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特許7386178ダウンフロー水素化処理リアクタのためのノズル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ダウンフロー水素化処理リアクタのためのノズル
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/00 20060101AFI20231116BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20231116BHJP
   B05B 7/10 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B01J8/00 A
B05B7/04
B05B7/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020556802
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 IB2019053555
(87)【国際公開番号】W WO2019211762
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】62/664,602
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/664,935
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スティーブン シュキ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイグ、ティモシー ディー.
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538115(JP,A)
【文献】米国特許第04140625(US,A)
【文献】特表2015-507833(JP,A)
【文献】特表2012-518713(JP,A)
【文献】特開2014-223610(JP,A)
【文献】実開昭61-000841(JP,U)
【文献】米国特許第05462719(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0078483(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0003187(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00
B05B 7/04
B05B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンフロー・リアクタ内の気液流体混合物の分散のためのノズルであって、
上部と、底部と、長さと、幅又は直径と、内面及び外面を有する壁とを有するノズル本体であって、前記ノズル本体は、気体入口ゾーン本体部、液体入口ゾーン本体部及び出口ゾーン本体部を有し、前記気体入口ゾーン本体部は、気体入口ゾーン・ボリュームを定義し、且つ前記気体入口ゾーン・ボリューム内に気体を通過させるための少なくとも2つのオフセットされた気体入口を有し、前記液体入口ゾーン本体部は、液体入口ゾーン・ボリュームを定義し、且つ前記液体入口ゾーン・ボリューム内に液体を通過させるための少なくとも1つの液体入口を有し、前記気体入口ゾーン・ボリューム及び前記液体入口ゾーン・ボリュームは流体連通している、ノズル本体と、
前記ノズル本体の前記上部に位置し、前記気体入口ゾーン本体部の上部を囲むノズル・キャップと、
前記ノズル本体の前記底部のところで前記出口ゾーンに位置する収束・発散ノズル制限器であって、前記液体入口ゾーンと流体連通する円錐台状の収束ゾーン及び円錐台状の発散ゾーンを有する収束・発散ノズル制限器と
を有し、
前記少なくとも2つのオフセットされた気体入口が、前記ノズル本体の周方向及び軸方向のいずれでも互いに整列しないように配置され、それにより入口気体の接線流が前記気体入口ゾーンの内部の周りで生成され、気相らせん流を提供する、ノズル。
【請求項2】
前記気体入口ゾーン及び前記液体入口ゾーンは流体連通しており、また前記気体入口ゾーン及び前記液体入口ゾーンは、動作中に気体が前記気体入口ゾーン内に、そしてそこから前記液体入口ゾーン内に流入し、液体が前記液体入口ゾーン内に流入し、それにより前記気体及び前記液体が混合し且つ前記出口ゾーン内に流入するように配置されている、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記ノズル本体、前記気体入口ゾーン本体部、前記液体入口ゾーン本体部及び前記出口ゾーン本体部のうち1つ又は複数が実質的に円筒状である、請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項4】
少なくとも2つの気体入口が、前記ノズル本体の前記長さに沿って前記ノズル本体の前記上部から異なる長さに位置している、請求項1から3までのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項5】
前記気体入口は、前記気体入口ゾーン本体部の周りで、前記ノズル本体の中心線に対して略等しい角度で横方向に離間されている、請求項1からまでのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項6】
前記気体入口本体部は、約180度離れて離間された2つの気体入口を有し、又は約120度離れて離間された3つの気体入口を有し、又は約90度離れて離間された4つの気体入口を有している、請求項1からまでのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項7】
前記気体入口本体部は2つの気体入口を有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項8】
1つ又は複数の液体入口が、前記液体入口ゾーンの内部の周りで液体の接線流を生成するように、またそれにより液相らせん流を提供するように構成されている、請求項1からまでのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項9】
前記液体入口の1つ又は複数が、前記液体入口ゾーン・ボリューム内で液体の前記らせん流を提供するように構成され、前記液体流は前記液体入口から前記出口ゾーン本体部までである、請求項1からまでのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項10】
前記液体入口は、前記液体入口ゾーン本体部の周りで、前記ノズル本体の中心線に対して略等しい角度で横方向に離間されている、請求項1からまでのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項11】
前記液体入口本体部は、約180度離れて離間された2つの液体入口を有し、又は約120度離れて離間された3つの液体入口を有し、又は約90度離れて離間された4つの液体入口を有している、請求項1から10までのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項12】
前記液体入口本体部は2つの液体入口を有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載のノズル。
【請求項13】
前記気相らせん流及び前記液相らせん流は同じ回転方向である、請求項に記載のノズル。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載のノズルを有する水素化処理システム。
【請求項15】
水素化処理システム内における請求項1から13までのいずれか一項に記載のノズルの使用。
【請求項16】
水素化処理ダウンフロー・リアクタ内における請求項1から13までのいずれか一項に記載のノズルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月30日に出願した米国仮出願第62/664,602号に関連し、且つその優先権の利益を主張し、また2018年4月30日に出願した米国仮出願第62/664,935号に関連し、且つその優先権の利益を主張するものであり、これらの各々は、参照によって本願明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
ダウンフロー水素化処理リアクタのための改善されたノズル・デバイスが開示される。ダウンフロー・ノズルは、石油及び化学処理産業において、水素がある場合の炭化水素系原料の触媒反応において、高い温度及び圧力で、リアクタ触媒床に対する気体及び液体の混合及び分散を提供するために用いられる。適切な水素化処理用途として、水素化精製、水素化仕上げ、水素化分解、及び水素化脱ろうが含まれる。
【背景技術】
【0003】
固定床水素化処理リアクタでは、気体及び液体反応物質(例えば水素及び炭化水素系原料)が固体触媒の1つ又は複数の床を通り下方に流れる。(例えば、Penickの米国特許第4,597,854号参照)。反応物質がリアクタ触媒床を通り下方に流れるとき、反応物質は、触媒材料に接触し、所望の製品を製造するように反応する。水素のような気体反応物質は消費され、触媒反応によって熱が生成される。原料がリアクタを通り下方に移動するとき、原料の温度を制御することは、品質を確実にするのに重要であり、製品収量が目標製品の方向に最大化される。
【0004】
冷たい水素が豊富な気体が触媒床の間に導入されることができ、それにより温度上昇を抑え、また反応によって消費される水素を補充する。全体のリアクタ性能を維持するために、リアクタ内の流体の温度はできるだけ均一でなければならず、液体及び気体は、性能を最大にするために十分に混合されなければならない。不十分な床間流体の混合は、種々の方法でリアクタ動作を制限しうる。床間混合が放射温度差を消すことができないとき、プロセス流体がリアクタの下に移動する際、これらの温度差は持続又は成長する。任意の床のホット・スポットは、その領域内の触媒の急速な非活性化につながる可能性があり、これは全リアクタ・サイクル長を短縮する。製品選択度は、典型的には、高温でより不十分になる。例えば、ホット領域は色、粘性及び他の製品品質を仕様外にしうる。また、温度がある値(典型的には800~850°F)をいかなる点でも超える場合、発熱反応が自動加速になり、暴走したイベントにつながりうるし、これは、触媒、容器又は下流の器材に損害を与えうる。
【0005】
これらの危険のため、不十分なリアクタ内部ハードウェアによって動作する精製は、不十分な床間流体の混合の悪影響を回避するために、収量及び/又はスループットを犠牲にしなければならない。リアクタ温度の不均衡分散及びホット・スポットは、触媒床の間の反応物質の混合及び平衡、任意の温度及び流れの不均衡分散の修正、並びに圧力低下の最小化により最小化可能である。触媒床の間の流体の混合は、分散トレイ上に組み込まれるノズルを含む分散アセンブリを用いることにより達成可能である。水素化処理ユニットが設計をはるかに超えた供給速度で動作することを要求する現代の精練経済学によって、最適な床間流体の混合は、有益で低コストな解決策(debottleneck)である。
【0006】
ノズルを備えた分配トレイを含む分散アセンブリを用いて、多床触媒リアクタの床間領域内の流体を収集、混合及び分散することができる。さまざまなタイプのノズル及び混合デバイスが多数の特許及び刊行物に記載されている。本発明は、従来技術のノズル・デバイス、例えば国際公開第2012/011989(A1)号及び国際公開第2012/011990(A1)号に記載されているノズル・デバイスを凌ぐ特定の改善を提供する。
【0007】
良好な触媒寿命、高いスループット、長いサイクル長及びリアクタ性能全体を提供するための十分な床間流体の混合及び分散の要求のために、改善された混合及び分散デバイスが必要である。それゆえ、継続的必要性が、ダウンフロー・リアクタ内のノズル・デバイスに存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4,597,854号
【文献】国際公開第2012/011989(A1)号
【文献】国際公開第2012/011990(A1)号
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ダウンフロー水素化処理リアクタのためのノズル・デバイスに関する。ノズルは、水素化処理リアクタの触媒床に対する気体及び液体の有効な混合及び分散を提供する。ノズルは、二相システムの気相及び液相の混合における既存の混合ボリュームの有効な混合を提供しながら、他のノズルと比較してノズルを介して圧力低下を減少させる。ノズルは、改造応用のために適切であり、ノズルを用いて、新しいリアクタ設計がリアクタ触媒床に対する効果的な流体の混合及び分散を達成することができる。例えば、混合ボックス及び分散トレイを含む、多床ダウンフロー・リアクタの追加の混合及び分散の構成要素に関連して、ノズルは、リアクタ内の液相及び気相の有効な混合及び分散を提供する。
【0010】
ノズルは、全体的に、上部、底部、長さ、幅又は直径、並びに内面及び外面を有する壁を有するノズル本体を含む。ノズルは、少なくとも3つのゾーン、すなわち気体入口ゾーン本体部、液体入口ゾーン本体部及び出口ゾーン本体部を有することによって特徴付けられる。気体入口ゾーン及び液体入口ゾーンは、気体及び液体を、入口を通してノズル内に導入するためのそれぞれのボリュームを有する。ノズルはまた、ノズル本体の上部のキャップ又は他のクロージャと、ノズルの底部に位置するノズル流量制限器とを含む。ノズル制限器(ノズル・リストリクタ)は、収束ゾーン及び発散ゾーンを含むので一般的に収束・発散ノズル制限器と称され、各ゾーンは、円錐台状の形状を有する。
【0011】
本発明はまた、ノズルを有する水素化処理システム、及び例えば触媒床に対する気体及び液体の床間分散のための分散トレイ装置においてを含む水素化処理システム内のノズルの使用にも関する。
【0012】
本発明はさらに、ダウンフロー・リアクタ内の気液流体混合物の分散のためのノズルを製造するための方法に関する。例えば本発明の実施例では、ノズル本体は、所定の長さ及び幅又は直径の標準サイズのパイプから形成され、上部、底部、長さ、幅又は直径並びに内面及び外面を有する壁を有するノズル本体を形成してもよい。方法は、気体入口ゾーン本体部をノズル本体内に形成するステップであって、気体入口ゾーン本体部の壁を通して少なくとも2つのオフセットされた気体入口を形成することを有するステップと、液体入口ゾーン本体部をノズル本体内に形成するステップであって、液体入口ゾーン本体部の壁を通して少なくとも1つの液体入口を形成することを有するステップとを含む。出口ゾーン本体部は、ノズル内に形成され、ノズル制限器を含むように、ノズル本体の底部を適応又は構成することを有する。円錐台状の収束ゾーン及び円錐台状の発散ゾーンを有するノズル制限器は、ノズル本体の底部の一体部分として又は別々の材料から形成される。別々の材料から形成されるとき、ノズル制限器は、ノズル本体の底部に挿入又は取り付けられる。気体入口ゾーン本体部の上部を囲む(enclose)ように構成されるノズル・キャップはまた、ノズル本体の上部の一体部分として又は別々の材料から形成されてもよい。別々の材料から形成されるとき、ノズル・キャップは、ノズル本体の上部に固定され、気体入口ゾーン本体部の上部を囲む。
【0013】
図1から図3は、本発明の一実施例に従うノズル・デバイスの代表的な図を提供する。本発明の範囲は、これらの代表的な図によって制限されるものではなく、出願の請求項によって定義されるものと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のノズル・デバイスの実施形態の概略的な図を示すものであり、側面図1及び断面図1A、1B及び1Cを含む。
図2】ノズル・デバイスの実施形態の図を示すものであり、断面図2A図2Bの詳細B及び底面図2Cを示す。
図3】本発明のノズル・デバイスの実施形態の側面、上面及び底面斜視図を示すものであり、ノズルの側面(図3.1a)、底面(図3.1c、3.2b及び3.3b)及び上面(図3.1b、3.2a及び3.3a)方向からの等角図を含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のノズル・デバイスは、周知のノズル・デバイスに対する利点を提供する。この種の利点は、コストの削減及び製作の単純性並びに動作上の利点、例えば改善された動作の安定性、改善された液体スループット、及び非標準動作条件(例えば高い液体流量及びレベル外の条件)に対するより高い許容度を含む。
【0016】
特定の実施例及び利点は、本願明細書に提供される詳細な説明から明らかである。しかしながら、詳細な説明、図面及び任意の特定の例は、有益な実施例を示し、好適な実施例を含むが、説明の目的のためにのみに意図され、本発明の範囲を制限することを意図しないことを理解されたい。
【0017】
本発明は、ダウンフロー水素化処理リアクタのためのノズル・デバイスに関する。ノズルは、上部、底部、長さ、幅又は直径、並びに内面及び外面を有する壁を有するノズル本体を有する。ノズルは、気体入口ゾーン本体部、液体入口ゾーン本体部及び出口ゾーン本体部を含む。気体入口ゾーン本体部は、気体入口ゾーン・ボリュームを定義し、気体入口ゾーン・ボリューム内に気体を通過させるための少なくとも2つのオフセットされた気体入口を有する。液体入口ゾーン本体部は、液体入口ゾーン・ボリュームを定義し、液体入口ゾーン・ボリューム内に液体を通過させるための少なくとも1つの液体入口を有する。気体入口ゾーン・ボリューム及び液体入口ゾーン・ボリュームは、流体連通する。すべての用途に必要とされるわけではないが、2つの入口ゾーンは、典型的には、液体入口ゾーンの上部に位置する気体入口ゾーンによって隣接する。ノズル・キャップは、ノズル本体の上部に位置し、気体入口ゾーン本体部の上部を囲み、収束・発散ノズル制限器は、ノズル本体の底の出口ゾーン本体部内に位置する。ノズル・キャップは、ノズル本体の上部及び/又は気体入口本体部の上部を囲む。ノズル制限器は、円錐台状の収束ゾーン及び円錐台状の発散ゾーンを有し、これらは、ノズル制限開口で合致する。円錐台状のゾーンは、互いに流体連通する。典型的には、ノズル本体は、ノズル本体の上部の気体入口本体部と、気体入口ゾーンに隣接し、気体入口ゾーンの下の液体入口ゾーン部と、液体入口ゾーン本体部に隣接し、液体入口ゾーン本体部の下の出口ゾーン本体部とともに形成される。
【0018】
気体入口ゾーン、液体入口ゾーン及び出口ゾーン本体部を含むノズル本体は、全体的に任意の断面形状を有してもよい。便宜上、コスト及び動作上の性能、この種の本体部の一部又は全部は、典型的には実質的に円筒状である。典型的には、ノズル本体は、ブランクのシリンダ又はパイプから形成されるが、他の断面形状を用いてもよい。
【0019】
ノズル気体入口は、ノズル本体の長さに沿ってノズル本体の上部から異なる長さに位置する。気体入口形状は、溝をつけられてもよく、円形又は他の形状でもよいが、円形であることが都合がよい。気体入口は、少なくとも1つの気体入口が1つ又は複数の他の気体入口よりノズル本体の上部(又は底部)のより近くに位置するように、ノズル本体の上部(又は底部)からそれらの距離においてオフセットされる。これに制限されるものではないが、好ましくは、少なくとも1つの気体入口は、他の気体入口の1つ又は複数よりノズル本体の上部に少なくとも50%、又は少なくとも30%、又は少なくとも20%近い。気体入口は、気体入口ゾーン本体部の周りで間隔がおかれる。入口間隔は、気体入口ゾーン本体部の壁の周りで変化してもよく、ノズル本体の中心から測定される各入口の間の角度が略同じであるように、等しく間隔がおかれることが都合よい。例えば、2つの気体入口の場合、各入口は、180度離れて間隔がおかれてもよい。同様に、3つの気体入口は、約120度間隔で等しく間隔がおかれてもよいし、又は、4つの気体入口は、約90度間隔で等しく間隔がおかれてもよい。
【0020】
気体入口は、気体及び液体を混合することを提供するように構成され、1つ又は複数の気体入口は、好ましくは、気体入口ゾーンの内部の周りで入口気体の接線流を生成し、このことによって気相らせん流を提供するように構成される。好ましくは、2つの気体入口は、気体入口ゾーン本体部内に存在する。
【0021】
ノズル液体入口は、液体入口ゾーン本体部内に位置し、典型的には、ノズルの気体入口ゾーン本体部の下に位置する。液体入口形状は、溝をつけられてもよいし、円形又は他の形状でもよいが、溝をつけられ円形の端を有することが都合がよい。液体入口は、上部(又は底部)から測定されるとき同じ位置でノズル本体の長さに沿って設定されてもよいし、又は、液体入口の位置は、長さに沿って変化しもよい。好ましくは、液体入口は、ノズル本体に沿って同じ高さに位置する。液体入口は、気体入口ゾーン本体部の周りで間隔がおかれる。入口間隔は、液体入口ゾーン本体部の壁の周りで変化してもよく、ノズル本体の中心から測定される各入口の間の角度が略同じであるように、等しく間隔がおかれることが都合がよい。例えば、2つの液体入口の場合、各入口は、180度離れて間隔がおかれてもよい。同様に、3つの液体入口は、約120度間隔で等しく間隔がおかれてもよいし、又は、4つの液体入口は、約90度間隔で等しく間隔がおかれてもよい。
【0022】
液体入口は、液体入口ゾーンの内部の周りで液体の接線流を生成し、このことによって液相らせん流を提供するように構成される。少なくとも1つの液体入口は、液体入口ゾーン本体部内に存在し、2つの液体入口が存在することが都合がよい。
【0023】
好ましくは、液体入口及び気体入口は、混合が発生するように、気体入口ゾーンから液体入口ゾーンまで気体のらせん流を提供するように構成される。液体入口はまた、気相らせん流及び液相らせん流が同じ回転方向であるように、液体入口ゾーン内の液体のらせん流を提供することができる。次に、気体及び液体の流れは、ノズルの出口ゾーンに通過する。
【0024】
本発明は、さらに、水素化処理システムにおいて、特にダウンフォロー水素化処理リアクタにおいて、例えば、この種のリアクタの分散トレイの一部としての本発明に従うノズルの使用に関する。
【0025】
本発明の一実施例において、図1は、ノズル10の断面図を示す。ノズルは、気体入口14及び液体入口16を有する実質的に円筒状のノズル本体12を含み、気体入口14及び液体入口16は、それぞれ、各々気体及び液体ゾーン・ボリュームを定義する気体入口及び液体入口の本体部内に位置する。ノズルはまた、ノズルの底において出口ゾーン本体部も含み、出口ゾーン本体部は、収束ゾーン20及び発散ゾーン22を有するノズル・リストリクタ18を含む。ノズル制限開口24は、収束ゾーンと発散ゾーンとの間に位置し、実質的に円形である。ノズルは、ノズル本体の上部及び気体入口ゾーン本体部の上部に位置するノズル・キャップ26を含む。ノズル・キャップは、ノズル本体の上部に固定され、都合よく上部に溶接されてもよいか又はさもなければ上部に結合又は取り付けられてもよい。図1A、1B及び1Cは、それぞれ、断面線A-A、B-B及びC-Cに沿った断面図を示す。
【0026】
図2は、本発明の同じ実施例の追加の図を示し、図線A-Aに沿った底面図2Cを含む。図2Bは、ノズル・リストリクタの詳細Bのより近い図を提供する。
【0027】
図3は、本発明の同じ実施例に従うノズルの追加の斜視図を示し、図3.1a、3.1b及び3.1cは側面図、平面図及び底面図である。図3.2a及び3.3aはノズルの平面斜視図を示し、図3.2b及び3.3bはノズルの底面斜視図を示す。
【0028】
本発明のノズルは、全体的に、いくつか又はノズル本体のいくつか又はすべての部分を別に又は1つの本体部分として形成することによって構成されてもよい。一実施例において、ノズル本体は、特定のリアクタのために必要とされる液体及び気体流速のためにサイズ設定される標準パイプから形成される。さまざまな断面形状を用いることができるが、円筒状のパイプ断面は、製造の容易さ及びコストのために都合がよく好ましい。この実施例に従う方法は、ノズルが所定の上部、底部及び直径(又は非円形の断面の場合は幅)を有するようにノズル本体を形成するように、パイプの断面をサイズ設定するステップを含む。ノズル本体はまた、全体的に、ノズル本体の内部及び外部を、本体の内面及び外面とともに定義する壁を有する。気体及び液体入口は、典型的には、ノズル本体の円筒状の部分を穿設又はミル加工のような機械的手段によってノズル本体に形成される。例えば、三次元製作、成形又は他の技術による、入口を形成する他の手段もまた用いてもよい。ノズル本体の気体入口部及び液体入口部は、典型的には隣接し、気体入口は、ノズル本体の上部のより近くに位置し、液体入口は、ノズル本体の底部のより近くに位置し、出口ゾーン本体部に隣接する。気体入口は、ノズル本体の上部から、ノズル本体の長さに沿ってオフセットされる。気体入口の数及び位置は、分散トレイ上の液高さを占めるために変化することができるので、気体入口の少なくともいくつかは、高い液体負荷条件下で開放されたままである。出口ゾーンは、典型的には別々の材料から作られるが、例えばノズル本体の中実部分から形成されるときにノズル本体の一体部分として形成されてもよいノズル制限器を含むように形成される。ノズル制限器は、典型的には固体ブランクのミル加工のような機械的手段を介して、収束ゾーン及び発散ゾーンを含むように形成される。例えば、成形又は三次元製作などの代替技術もまた適切である。別々の材料から形成されるとき、ノズル・リストリクタは、溶接、接着性結合又は他の機械的手段のような適当な技術を用いて、ノズル本体に固定されてもよいし、取り付けられてもよいし、又は、接続されてもよい。ノズル・キャップはまた、典型的にはブランク材料から形成されてもよく、ノズル本体に従って都合よく成形されてもよく、例えば円形のディスクに成形され、ノズル本体の上部に適合する。ノズル・キャップはまた、典型的には、本願明細書において記載されているような適当な技術を用いて、ノズル本体の上部に固定され、取り付けられ、又は、接続される。
【0029】
本発明のノズルは、水素化処理用途における特定の利点及び改善を提供し、気体及び液体の渦巻きにより、ノズル出口ゾーンを通り流れる間ノズル内の気体と液体との間の広範囲な混合を提供するため、ノズル内での気体及び液体の有利な混合と、(例えば、国際公開第2012/01189(A1)号及び国際公開第2012/01190(A1)号にて説明したような)他の従来技術のノズルと比較して、ノズル出口ゾーン(例えば、図1のノズル制限開口24)を通るより低い流速での円錐形状のスプレー・パターンの形成と、気体入口ゾーン本体部内に位置する気体入口開口のオフセット位置に部分的に起因する高い液体流量の改善された動作上の柔軟性及び能力と、を含む。
【0030】
また、本発明に従うノズルを製造する方法は、特定の利点及び改善を提供し、すなわち、標準サイズ材料の使用により、コスト及び製作時間及び複雑さが著しく減少すること(例えば、配管供給元から入手可能な標準パイプ・サイズ例えば、一般的に利用できるスケジュール80パイプは、標準直径が1~8インチ(2.54~20.32cm)、好ましくは1.5~5インチ(3.81~12.7cm)の範囲である)、及び、異なる直径の複数の内部ゾーンを必要としない気体入口ゾーン及び液体入口ゾーンのためのより単純な設計の使用による製作の複雑さ及び時間を減少することを含む。例えば、国際公開第2012/01189(A1)号及び国際公開第2012/01190(A1)号に記載されているノズルと比較して、本発明のノズルは、(例えば、国際公開第2012/01189(A1)号及び国際公開第2012/01190(A1)号の図9Bの要素602bに従う)気体入口及び液体入口と異なる、気体入口ゾーンと液体入口ゾーンとの間に中間ゾーンを含まず、又は、特には、(例えば、国際公開第2012/01189(A1)号及び国際公開第2012/01190(A1)号の図9Bの要素602cに従う)液体入口ゾーン及び(例えば、国際公開第2012/01189(A1)号及び国際公開第2012/01190(A1)号の図9Bの要素602aに従う)気体入口ゾーンより小さい直径を有する中間ゾーンを含まない。加えて、国際公開第2012/01189(A1)号及び国際公開第2012/01190(A1)号に記載されているノズルと比較して、本発明のノズルは、液体入口ゾーンより大きい直径を有する気体入口ゾーン(例えば、それぞれ、国際公開第2012/01189(A1)号及び国際公開第2012/01190(A1)号の図9Bにおいて、要素602a及び602bに従う)を有する必要がなく、好ましくは、有さない。
【0031】
本発明の1つ又は複数の実施例の上記の説明は、主に説明のためであり、依然として本発明の本質を組み込む多くの変化を用いることができることを認識されたい。本発明の範囲を決定する際には、以下の請求項を参照しなければならない。
【0032】
本発明の上記の説明で引用されるすべての特許及び刊行物は、本願明細書に参照によって組み込まれる。
図1
図2
図3