(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】蒸気分解炉のためのバーナーシステム
(51)【国際特許分類】
C10G 9/36 20060101AFI20231116BHJP
F23C 9/08 20060101ALI20231116BHJP
F23C 99/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C10G9/36
F23C9/08 403
F23C9/08 ZAB
F23C99/00 325
(21)【出願番号】P 2020559469
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2019060731
(87)【国際公開番号】W WO2019207105
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-04
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504191741
【氏名又は名称】テクニップ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】アウト,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】キニック,ユナル
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-521024(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109073212(CN,A)
【文献】特表2005-521023(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0175646(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を放射部に供給するように構成された、蒸気分解炉の放射部のためのバーナーシステムであって、
煙道ガスを吸い込むように配置された吸込室を有し、前記放射部内に配置されているエジェクタブロックと、
前記エジェクタブロックに連結されているバーナーブロックと、
前記バーナーブロックに設けられている燃料入口と、
前記バーナーブロック及び/又は前記エジェクタブロックの入口領域に設けられている酸化剤入口と、
前記エジェクタブロックに推進剤を注入するように構成された第1のノズルと
を備えており、
前記エジェクタブロックは、前記第1のノズルから注入された推進剤、及び前記吸込室が吸い込んだ煙道ガスを予め混合するように配置されており、
前記バーナーシステムは、前記エジェクタブロックで予め混合した推進剤/煙道ガスの予混合物と混合する、前記燃料入口を介して供給される燃料及び/又は前記酸化剤入口を介して供給される酸化剤の少なくとも部分的に変換していない混合物の出口流を、燃焼反応のために前記放射部に向かって供給するために設けられた1つの出口を更に備えており、
前記推進剤は、燃料ガス、圧縮空気及び圧縮燃焼酸素の内の1つであり、
前記1つの出口は、前記バーナーブロックの出口領域であって前記燃料入口及び前記酸化剤入口の下流側に配置されていることを特徴とするバーナーシステム。
【請求項2】
前記エジェクタブロックは一定領域混合タイプのエジェクタを有し、推進剤及び煙道ガスが混合するエジェクタ一定領域混合部を含んでおり、
前記エジェクタ一定領域混合部は前記エジェクタブロックの入口から離れていることを特徴とする請求項
1に記載のバーナーシステム。
【請求項3】
前記エジェクタ一定領域混合部の長さ対前記エジェクタ一定領域混合部のスロート内径の比率が、約5~約8の範囲内であることを特徴とする請求項
2に記載のバーナーシステム。
【請求項4】
前記吸込室は、前記煙道ガスの運動量を増加させるように配置されていることを特徴とする請求項
2又は
3に記載のバーナーシステム。
【請求項5】
前記第1のノズルは、前記エジェクタブロックの長手軸芯に沿って、好ましくは前記エジェクタブロックの長手中心軸芯に沿って前記エジェクタブロック内に延びていることを特徴とする請求項
2~4のいずれか1つに記載のバーナーシステム。
【請求項6】
前記第1のノズルは、前記エジェクタ一定領域混合部の入口に配置されていることを特徴とする請求項
2~5のいずれか1つに記載のバーナーシステム。
【請求項7】
前記エジェクタ一定領域混合部のスロート内径対前記第1のノズルの直径の比率が5より高く、好ましくは7より高く、より好ましくは約10であることを特徴とする請求項
2~5のいずれか1つに記載のバーナーシステム。
【請求項8】
前記エジェクタブロックは、動圧を静圧に変えるように構成されたエジェクタディフューザを有していることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1つに記載のバーナーシステム。
【請求項9】
エジェクタディフューザ出口面積対エジェクタディフューザ入口面積の比率が、約1.5~約2.5の範囲内であることを特徴とする請求項
8に記載のバーナーシステム。
【請求項10】
前記エジェクタブロック内に設けられている出口湾曲片を更に備えており、
前記出口湾曲片の内側曲げ半径対直径の比率が、好ましくは約0.75より高く、より好ましくは約1より高いことを特徴とする請求項1~
9のいずれか1つに記載のバーナーシステム。
【請求項11】
前記エジェクタブロック内に設けられている直線延長片を更に備えており、
前記直線延長片の長さ対前記直線延長片の直径の比率が、好ましくは約1より高く、より好ましくは約1.5より高いことを特徴とする請求項1~1
0のいずれか1つに記載のバーナーシステム。
【請求項12】
前記直線延長片の出口領域の内側が、尖った縁部に先細になっていることを特徴とする請求項1
1に記載のバーナーシステム。
【請求項13】
請求項1~1
2のいずれか1つに記載のバーナーシステムを少なくとも1つ備えていることを特徴とする蒸気分解炉の炉火室。
【請求項14】
請求項1~1
2のいずれか1つに記載のバーナーシステムを蒸気改質器の放射部に使用することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1~1
2のいずれか1つに記載のバーナーシステムを作動させる方法であって、 - 過剰酸化剤レベルが約30vol%未満に達するまで、一次燃料及び酸化剤を前記バーナーシステムに注入する工程、
- 前記過剰酸化剤レベルが約30vol%未満に達すると、一次燃料の供給を減少させる工程、及び
- 推進剤を前記エジェクタブロックに注入する工程
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気分解炉のためのバーナーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蒸気分解炉では、炭化水素供給原料が、分解炉の対流部内の多くの対流バンクの内の1つである供給予熱器に入り得る。この炭化水素供給原料は、好ましくは天然のパラフィン系又はナフテン系のあらゆる種類の炭化水素とすることができるが、少量の芳香族化合物及びオレフィンが更に存在し得る。このような供給原料の例として、エタン、プロパン、ブタン、天然ガソリン、ナフサ、灯油、天然のガス凝縮物、軽油、減圧軽油、水素化若しくは脱硫若しくは水素化脱硫された(減圧)軽油又はこれらの組み合わせがある。供給原料の状態に応じて、供給原料を供給予熱器で予熱する及び/又は部分的若しくは完全に蒸発させ、その後、希釈蒸気と混合することができる。希釈蒸気を直接注入することができる。或いは、希釈蒸気をまず希釈蒸気過熱器で過熱し、その後、供給原料と混合することができる。例えば、より重い供給原料のために複数の蒸気注入ポイントを設けることが更に可能である。
【0003】
混合した供給原料/希釈蒸気混合物を、放射コイルに導入すべく最適温度に達するように高温コイルで更に加熱する。放射コイルでは、炭化水素供給原料を熱分解反応が開始するポイントまで迅速に加熱し、炭化水素供給原料を生成物及び副生成物に変換する。このような生成物は、特に水素、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、スチレン及びキシレンである。副産物は、特にメタン及び燃料油である。希釈蒸気、変換されなかった供給原料及び変換された供給原料の生じた混合物である反応器排出物は「分解ガス」と称される。この分解ガスを移送ライン交換器で迅速に冷却し、生成物に有利な反応の平衡を固定する。分解ガスの廃熱を少なくとも1つの移送ライン交換器で回収して、飽和高圧(HP)蒸気を発生させるために使用することができる。この蒸気を蒸気ドラムからのボイラ水から発生させてもよい。移送ライン交換器では、ボイラ水は部分的に蒸発する。この部分的に蒸発するボイラ水は、自然循環によって蒸気ドラムに還流している。蒸気ドラムでは、発生した飽和蒸気をボイラ水から分離し、対流部に送って過熱してもよい。複数の移送ライン交換器が設けられ得るが、第1の移送ライン交換器である一次移送ライン交換器が、飽和蒸気を発生させるために使用されることが好ましい。
【0004】
吸熱性の高い熱分解反応のための反応熱を、底部バーナー及び/又は側壁バーナーによって、放射部とも称される炉火室内の燃料空気を用いた燃料(ガス)の燃焼によって供給してもよい。他の燃焼オプションも同様に可能である。運転時間を長くするために火室内で熱を可能な限り均一に分散させることが有利である。一般的に、底部バーナーの数は制限されるが、底部バーナーは比較的長い燃焼ゾーン又は火炎を有する。側壁バーナーの数は通常、より多いが、側壁バーナーの燃焼ゾーン又は火炎はより小さい。炉効率は、底部バーナーの熱放出パターン及び側壁バーナーの物理的な位置に大きく左右され、底部バーナーが炉火室の下部領域で熱をより多く放出する程、且つ火室内の側壁バーナーの高さがより低い程、炉効率は高くなり得る。
【0005】
燃焼ゾーンで燃料及び空気を水及びCO2 のような燃焼生成物、所謂「煙道ガス」に変換する。煙道ガスからの廃熱を、様々なタイプの対流バンクを使用して対流部内で回収する。熱の一部をプロセス側、つまり、炭化水素供給原料及び希釈蒸気の予熱及び/又は蒸発のために使用し、熱の残りを非プロセス側、例えばHP蒸気の発生のために使用する。HP蒸気を発生させることにより上述したように煙道ガスから過剰な廃熱を回収するために、ボイラ給水を対流部内のエコノマイザで加熱し、その後、蒸気ドラムに送ってもよい。蒸気ドラムでは、ボイラ給水を、既に存在するボイラ水と混合してもよい。上述したように、ボイラ水を蒸気の発生のために移送ライン交換器で使用することができる。飽和蒸気を、高圧蒸気過熱器によって過熱することができる対流部に送ってもよい。HP蒸気の温度を制御するために、ボイラ給水を過熱低減器に注入してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現状の蒸気分解炉に関する問題は、火室の大きさが、例えば酸性雨を引き起こす場合がある不要な燃焼副生成物であるNOx の発生、例えばNO及びN2O のような亜酸化窒素の発生によりますます影響を受けるということである。NOx 排出目標がますます厳格になるので、火炎をより効率的に冷却してNOx 排出量を権限規定の範囲内で維持すべく火室の大きさは増加しているため、分解炉の資本コストを上昇させている。加えて、CO2 排出は温室効果ガスの主な源であるので、CO2 排出を最小限度に抑えるために炉の燃料効率を高める傾向がある。火室効率を、例えば側壁バーナーの少なくとも一部の除去によって高めることができる。炉の燃料効率を高めるというこの傾向のため、底部バーナーの能力を、側壁バーナーの少なくとも一部の除去を補うために高める必要がある。
【0007】
本発明の目的は、前述した問題の一又は複数を取り除くことである。特に本発明は、火室の大きさを増加させる必要なくNOx 排出を減らすことができる、蒸気分解炉のためのバーナーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、請求項1の特徴によって特徴付けられたバーナーシステムが提供される。特に、熱を放射部に供給するように構成された、蒸気分解炉の放射部、つまり炉火室のためのバーナーシステムが提供される。バーナーシステムは燃料入口及び酸化剤入口を備えており、推進剤及び推進流体を受けて前記推進剤を前記推進流体と予め混合するように配置されているエジェクタブロックを更に備えている。エジェクタブロックが、推進剤の高速噴出物と組み合わせて、いかなる追加の管も無しで、例えば火室内の煙道ガスに一定量の吸込み力を与え得るように、エジェクタブロックは放射部内に配置されているため、再循環煙道ガスの流れが増加する。火室の燃焼ゾーンで発生した煙道ガスは、再循環煙道ガスの流れを発生させるエジェクタブロックを介してバーナーシステム内に吸い込まれる。
【0009】
煙道ガス再循環の主な効果は、火室内の断熱火炎温度を下げるということであり、断熱火炎温度とは、燃焼により生じる煙道ガスが熱を環境に放出する前の煙道ガスの温度である。このような効果は、最終燃焼の前に煙道ガスを燃料及び/又は酸化剤と比較的低い温度で予めしっかり混合することに起因する。これは、放射部の主燃焼ゾーンでは、再循環不活性煙道ガスを再加熱するために燃焼熱をより多く割り当てる必要があり、残りの(nett)燃焼生成物を加熱するために使用可能な熱が少なくなるため、断熱火炎温度を下げることを意味する。再循環率が高くなる程、断熱火炎温度が低くなるため、火室内の火炎の最高温度が制限され、ひいては、1700℃を超える温度の領域で大部分が生じる不要な燃焼副生成物であるNOx と称されるNO及びN2O のような亜酸化窒素の発生量を減らすことができる。
【0010】
バーナーシステムは、推進剤/推進流体の予混合物と混合する燃料及び/又は酸化剤の少なくとも部分的に変換していない混合物の出口流のための1つの出口を放射部に備えている。推進剤は、例えば圧縮燃料又は圧縮酸化剤とすることができる。推進流体は、酸素を含む煙道ガスであってもよい。出口流は、例えば予め混合した煙道ガス/燃料混合物であってもよく、又は例えば予め混合した煙道ガス/酸化剤混合物であってもよく、この場合、燃料はバーナーを出る前に部分的に変換される。言い換えれば、出口流は、例えば過剰な酸化剤を含む少なくとも部分的に変換された燃料であってもよく、この場合、燃料の少なくとも一部又は酸化剤の少なくとも一部のいずれかが再循環煙道ガスと予めしっかり混合し、放射部の主燃焼ゾーンの断熱火炎温度を下げる。
【0011】
1つの出口流を放射部に有するバーナーシステムは、先行技術のバーナーシステムでは一般に存在する、放射部の空気の出口流のための更なる二次空気間隙を除くことができる。バーナーシステムの多くの構成が可能である。バーナーシステムは、例えば燃料入口及び/又は酸化剤入口を有するバーナーブロックを備えることができるが、備える必要はない。そのため、エジェクタブロックは、少なくとも部分的に変換していない推進剤/推進流体をバーナーブロック内に噴出するように配置され得る。或いは、エジェクタブロックは火室内に直接噴出することができる一方、燃料及び酸化剤は、バーナーシステムの1つの出口の上流側でエジェクタブロック内に注入される。酸化剤及び/又は燃料は、例えば推進剤の一部であってもよい。
【0012】
エジェクタブロックは、有利には一定領域混合タイプのエジェクタを有することができ、推進剤及び推進流体が混合するエジェクタ一定領域混合部を含んでおり、エジェクタ一定領域混合部はエジェクタブロックの入口から離れている。推進剤及び推進流体がエジェクタブロックの入口の吸込室内で混合する、より一般的に使用される一定圧力混合エジェクタのような他のタイプのエジェクタに反して、この一定領域混合部タイプのエジェクタ内の推進剤及び推進流体はエジェクタブロックの入口から離れて、特にエジェクタの所謂スロートで混合するため、推進剤及び推進流体の混合状態が高められる。一定領域混合タイプの装置では、推進流体が、まずエジェクタブロックの吸込室内で加速し、その後、一定領域混合部内で推進剤と混合する。このため、推進剤と推進流体との速度差及び対応する運動量差が最小限度に抑えられ、混合がエジェクタブロックの吸込室の入口で行われる他のタイプのエジェクタでの場合より、混合が本質的により効率的になる。
【0013】
エジェクタ一定領域混合部の長さ対エジェクタ一定領域混合部のスロート内径の比率が、約5~約8の範囲内である。エジェクタブロックのスロートとも称されるエジェクタ一定領域混合部の十分な長さにより、推進流体、例えば再循環煙道ガスへの推進剤噴出物の運動量の伝達が向上し得る。推進剤の速度が下がり得る一方、推進流体の速度は、エジェクタのスロート又は一定領域混合部の長さ全体に亘って上昇し得る。言い換えれば、推進剤と推進流体との速度差が、エジェクタのスロート又は一定領域混合部の長さ全体に亘って減少し得る。約5~8の間の長さ対スロート直径の好ましい比率により、エジェクタの最大効率に近づくことができる。
【0014】
エジェクタブロックは、好ましくは火室内に存在する煙道ガスのような推進流体を吸い込むように配置された吸込室を有することができ、吸込室は、推進流体、特に煙道ガスの運動量を増加させるように配置されている。吸込室はエジェクタブロックの入口に配置されている。吸込室の構成は、煙道ガスのような流入する推進流体の運動量が徐々に増加し、混合損失を減少させてエジェクタの効率を高めるような構成である。吸込室は、例えば一定領域混合部に向かって先細になる形状を有することができる。エジェクタブロックの吸込室が例えば実質的にベルのような形状を有するように、吸込室の内壁が好ましくはエジェクタブロックの入口からエジェクタブロックのスロートに向かって丸められ得る。推進流体が、例えばエジェクタブロックの入口でベルのような形状の吸込室を介してエジェクタブロックに吸い込まれるため、推進流体の流れ方向はエジェクタブロックの長手軸芯と実質的に一致し、エジェクタブロックの混合部での推進剤及び推進流体間の運動量伝達の効率を高めることができる。これは、推進流体の流れ方向が推進剤の流れ方向を実質的に横断するため、混合損失に起因してエジェクタ効率を下げる複数の先行技術の吸込室とは正反対である。
【0015】
バーナーシステムは、推進剤をエジェクタブロックに注入するように構成された第1のノズルを更に備えることができ、第1のノズルは、エジェクタブロックの長手軸芯に沿って、好ましくは長手中心軸芯に沿ってエジェクタブロック内、特には吸込室内に延びている。第1のノズルがエジェクタブロック内に延びているので、推進剤は、推進流体がエジェクタブロックに入るエジェクタブロックの入口から離隔した位置で、特にはエジェクタブロックの長手方向に見てエジェクタブロックの入口の後ろ側の位置でエジェクタブロックに注入される。推進剤を、例えばエジェクタブロックの長手軸芯を横断する方向に注入する代わりに、エジェクタブロックの長手方向にエジェクタブロックに注入することにより、推進流体及び推進剤の両方が同一の方向に流れるので、推進流体及び推進剤の混合が向上し得る。
【0016】
第1のノズルは、有利にはエジェクタブロックの吸込室と直接流体連結するエジェクタ一定領域混合部の入口に配置され得る。このように、エジェクタブロックの入口での吸込室内の燃焼を避けてエジェクタの閉塞を防止することができる。加えて、特に比較的低温の推進剤、例えば燃料及び比較的高温の推進流体、例えば再循環煙道ガスのような異質流体又は不均質流体を処理することができる、より効率的なエジェクタブロックが設けられ得る。推進剤及び推進流体は、例えば異なる物理特性及び熱力学特性を有することができる。より具体的には、分子量、温度、熱容量及び等エントロピー因子は異なり得る。
【0017】
エジェクタ一定領域混合部のスロート内径対第1のノズルの直径の比率が5より高く、好ましくは7より高く、より好ましくは約10であることが好ましい。この比率により、エジェクタに吸い込まれる推進流体、例えば再循環煙道ガスの量を決定することができる。この直径比率が高い程、再循環煙道ガスの割合が高くなり、その結果、火室内の断熱火炎温度が低くなり、ひいてはNOx 排出量が減る。
【0018】
エジェクタブロックは、有利には動圧を静圧に変えるように構成されたエジェクタディフューザを有することができる。動圧から静圧へのこのような変換により、以下に説明されるように、火室内の燃焼が高められ得る。
【0019】
エジェクタの推力増加を最大限にし、エジェクタの推力を通常のノズルの推力を超えて増加させることが望ましい。推力はガス流の運動エネルギーである。これは、例えばディフューザ出口面積対スロート面積の比率を最適化することによって達成され得る。エジェクタの詳細な研究は、エジェクタディフューザ出口面積対エジェクタディフューザ入口面積の比率が好ましくは約1.5 ~約2.5 の範囲内に含まれ、より好ましくは約2.3 であるとき、この推力増加が最大であることを示した。1の面積比では、動圧は静圧に変換されない。ディフューザの出口速度は、直径が同一であるという明白な理由でスロートからの出口速度と同一である。圧力回収がないので、処理量が比較的低くなる。面積比が非常に高いと、動圧は全て静圧に変換される。ディフューザの出口速度は、スロートからの出口速度よりはるかに低い。圧力回収率が非常に高いため、処理量が多くなるが、速度、ひいては推力は非常に低くなる。1の面積比から無限の面積比に変わると、推力は最大値に達する。ディフューザからの推力を最大限にするために、処理量及び速度の両方が比較的高い必要がある。この推力は、予め混合した推進流体/推進剤及び/又は燃料の少なくとも部分的に変換していない混合物、例えば予め混合して少なくとも部分的に変換していない燃料ガス/煙道ガスの混合物と、例えばバーナーブロックに連結された風箱を通って入る低速の酸化剤との混合を高め得る。推力が高い程、混合が向上し、火室の主燃焼ゾーンでの適切な燃焼を高めることができる。
【0020】
推進剤は、例えば圧縮燃料ガス、圧縮空気及び圧縮燃焼酸素の内の1つであってもよく、又はこれらの内のいずれかの組み合わせであってもよい。推進剤のこれらの例の夫々に関して、推進流体は煙道ガスであることが好ましい。燃料ガスを推進剤として使用することは、燃料ガスが炉に圧縮形態で既に存在するので有利であり得る。更に圧縮空気は、例えば炭素除去のために全てのプラントで利用可能である。推進剤としての圧縮空気の必要な量が限定され、圧縮空気の供給圧力がNOx 制限を満たすためにプラントの動作条件から独立して設定されることができ、このような設定は燃料ガスの圧力では不可能であるため、圧縮空気は圧縮燃料ガスに対して利点がある。更に、通常の空気を主炎に使用しながら、推進剤として純酸素を使用して火室効率を高めることが可能な場合があり、同一のNOx 排出レベルを維持しながら、燃料効率を高めることができる。推進剤として圧縮空気を使用することにより、複数の更なる利点が与えられ得る。
【0021】
過剰な酸化剤が火室内に存在する場合、エジェクタ自体内に可燃混合物がないため、開始段階中にエジェクタを過熱する機会がない。これは、バーナーが限られた量の一次燃料だけで作動することができ、二次燃料の必要がないことを意味する。これは、エジェクタを使用することができる前に、炉が完全な動作状態まで加熱する必要がないが、所謂「ホット・スタンバイ」状態、つまり、主な供給原料を導入する前の状態まで加熱することが十分となり得ることを意味する。この所謂「ホット・スタンバイ」状態は実質的により低温であり、開始能力を1/3 ~1/4 下げることができる。一次バーナーがNOx 生成の残りの主な源であるので、このバーナーの能力を下げることにより、NOx 生成を更に低下させることができる。
【0022】
CO2 排出を削減するためにCO2 捕捉を適用する場合、より経済的であるように、推進剤として圧縮燃焼酸素を典型的に使用して、非常に低い窒素濃度で煙道ガスを生じさせてもよい。窒素分が非常に低く、NOx が窒素無しでは生成され得ないので、NOx 生成率も非常に低い。圧縮燃焼酸素を使用する主な利点の内の1つは、煙道ガス再循環率が、比較的低温の煙道ガスが火室の外側から管を介してバーナーに再循環する外部の煙道ガス再循環を回避するのに十分高いということである。
【0023】
バーナーシステムは出口湾曲片を更に備えてもよい。バーナーブロックを備えたバーナーシステムの場合、この出口湾曲片はバーナーブロックの側壁を通って延びてバーナーブロックの流れ方向に湾曲し得る。出口湾曲片は、バーナーシステムのディフューザと直接流体連通してもよい。予め混合した推進剤/推進流体の少なくとも部分的に変換していない混合物の方向を変えることにより、混合物の渦流を引き起こすことができ、ここでも混合に有利であり、火室の主燃焼ゾーンでの燃焼を高めることができる。出口湾曲片の内側曲げ半径対直径の比率が、好ましくは約0.75より高く、より好ましくは比較的大きい湾曲になる約1.0 より高いことが好ましく、このため、出口湾曲片を出る流れの断面流れ分布を高めて圧力降下を下げることができる。あまりにも小さな曲げ半径は火室側壁に向かう高選択流を与える場合があり、これは望ましくない。
【0024】
バーナーシステムは直線延長片を更に備えてもよい。直線延長片は延びてバーナーシステムの出口湾曲片又はディフューザと直接流体連通してもよい。直線延長片はバーナーシステムのバーナーブロック内に延びてもよく、又は火室内に直接延びてもよい。直線延長片の中心長手軸芯は、バーナーブロックの中心長手軸芯と平行であってもよく、又は実質的に同一であってもよい。直線延長片は、エジェクタブロックからの混合物の流れを火室内の熱の流れと同一の方向に向けるように上方に向いていることが好ましい。
【0025】
直線延長片の出口領域で、予め混合した推進剤/推進流体及び/又は燃料の少なくとも部分的に変換していない混合物は、例えば空気のような酸化剤の流れがあるバーナーブロック内に達してもよい。予め混合した推進剤/推進流体及び/又は燃料の少なくとも部分的に変換していない混合物は、更に説明するように例えば部分的に変換している燃料ガス/煙道ガス混合物又は他の混合物であってもよい。バーナーブロックの周囲の管内における、予め混合している推進剤/推進流体及び/又は燃料の少なくとも部分的に変換していない混合物と酸化剤、例えば空気との比較的高い推力差により、酸化剤の流れを、予め混合した推進剤/推進流体の流れの少なくとも部分的に変換していない混合物に吸い込ませてもよく、火室の主燃焼ゾーンでの燃焼を更に促進してもよい。
【0026】
直線延長片の長さ対直線延長片の直径の比率が、好ましくは約1より高く、より好ましくは約1.5 程度より高いことが好ましい。上記に示されているように、火室側壁に向かう一定量の選択流が存在する場合があるが、この直線延長片をより長く形成することにより、このような流れは打ち消され得る。
【0027】
直線延長片の出口領域の内側が、好ましくは尖った縁部に先細になり得る。尖った縁部は、直線延長片を出る流れとバーナーブロック内の流れとの界面で渦を生じさせることができ、混合及びその後の火室の主燃焼ゾーンでの燃焼を促進する。
【0028】
バーナーシステムは、平行に配置された複数のエジェクタブロックを有利に備えることができ、エジェクタブロックは夫々1つのバーナーブロック内に噴出する。多数のエジェクタは1つのバーナー当たりの効率を高め得る一方、必要なハードウェア、バーナーブロック及び風箱はごくわずかに高価なだけである。従って、可能な限り多くのエジェクタを1つのバーナーブロックに追加することにより、より経済的なシステムを得ることができる。結果として、システムの能力が高まる。これは、火室の側壁バーナーから底部バーナーに負荷を移したい場合に有利な場合があり、ひいては燃料効率を高める。或いは、バーナーブロック無しの複数のバーナーシステムが1つの火室内に平行に配置され得る。
【0029】
本発明の態様は、請求項14の特徴によって定義されているような蒸気分解炉の炉火室を提供する。この炉火室は、前述した利点の一又は複数を有し得る。
【0030】
本発明の更なる態様は、請求項15の特徴によって定義されているような、バーナーシステムを蒸気改質器の放射部に使用する方法を提供する。この使用する方法は、前述した利点の一又は複数を有し得る。
【0031】
本発明の更なる態様は、請求項16の特徴によって定義されているような、バーナーシステムを作動させる方法を提供する。この方法は、前述した利点の一又は複数を有し得る。更に、バーナーシステムを作動させる前記方法は、エジェクタブロック内で余りにも高くなる温度によって引き起こされ得るエジェクタブロックの破損を防止することができる。火室の開始時に推進剤がエジェクタブロックに注入されるとすると、火室内の酸素分又は過剰酸化剤レベルが依然として30 vol%を超える場合、一次燃料の供給無しでは、特に二次燃料ガスが推進剤として使用される場合、主にCO2 が発熱反応の結果として予燃焼ゾーンに生じる。このCO2 の生成により、温度がエジェクタブロック内で上昇し、エジェクタブロックを破損させる場合がある。
【0032】
エジェクタブロック内でのこの潜在的に危険な温度上昇を防ぐために、本方法によれば、過剰酸化剤レベル、特に酸素レベルが火室内で約30 vol%未満に達するまで、特にエジェクタブロックを迂回するように一次燃料をバーナーシステムにまず注入する。その後、一次燃料の供給を減少させて、推進剤、例えば二次燃料をエジェクタブロックに注入することができる。火室内の酸素分が減少した結果、予燃焼ゾーンの吸熱反応が主にCOを生じさせ、エジェクタブロック内の温度を制御して維持することができるか、又はエジェクタブロック内の温度を減少させる場合もある。
【0033】
本発明を、例示的な実施形態の図面を参照して更に説明する。対応する要素は対応する参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係るバーナーシステムの第1の実施形態を示す概略図である。
【
図2】本発明に係るバーナーシステムの第2の実施形態を概略的に示す平面図である。
【
図3】本発明に係るバーナーシステムの第3の実施形態を示す概略図である。
【
図4】本発明に係るバーナーシステムの第4の実施形態を示す概略図である。
【
図5】本発明に係るバーナーシステムの第5の実施形態を示す概略図である。
【
図6】本発明に係るバーナーシステムの第6の実施形態を示す概略図である。
【
図7】本発明に係るバーナーシステムの第7の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明に係るバーナーシステム51の第1の実施形態を示す概略図である。以下の例に示されているバーナーシステムは、他のタイプの炉に同様に使用され得るが、好ましくは蒸気分解炉の放射部又は火室40用である。バーナーシステム51は、一次燃料入口57と酸化剤入口6 とを有するバーナーブロック55を備えており、酸化剤入口6 は、例えば風箱52を介して火室床41に達する。風箱52は、例えばフランジを有し、火室床41の底部に固定されてもよい。
【0036】
バーナーシステム51は、推進剤及び推進流体を受けて予め混合し、部分的に変換していない混合物をバーナーブロック55に噴出するために配置されたエジェクタブロック65を更に備えている。蒸気分解炉のための火室の放射部内に設けられたエジェクタブロック65は、例えば火室の底部領域に、例えば炉床41上に実質的に水平に設けられ得る。或いは、改質器のような下向き燃焼火室を備えた炉では、バーナーシステムは更に、当業者に明らかなように火室の屋根から吊り下げられ得る。
図1に示されているエジェクタブロック65は、バーナーブロック55の上向きの長手方向を実質的に横断して配置されており、バーナーブロック55の側壁に達する。このように、バーナーシステムは、推進剤/推進流体の予混合物と混合した燃料及び/又は酸化剤の少なくとも部分的に変換していない混合物の出口流のための1つの出口を放射部又は火室40に備えている。
【0037】
バーナーシステム51の第1の実施形態のエジェクタブロック65は、一定領域混合タイプのエジェクタを有しており、推進剤70及び推進流体50が混合するエジェクタ一定領域混合部61を含んでいる。エジェクタ一定領域混合部61はエジェクタブロック65の入口60から離れており、入口は、煙道ガスのような推進流体50を吸い込むために配置された吸込室60によって形成されている。吸込室60は、前記推進流体50の運動量を増加させるために配置されている。推進流体50は、まず吸込室60内でエジェクタブロックの長手方向に加速し、その後、一定領域混合室61内で推進剤70と混合する。このため、推進剤70と推進流体50との速度差及び対応する運動量差が最小限度に抑えられ、混合が吸込室60の入口で行われる他のタイプのエジェクタより、混合が本質的により効率的になる。
【0038】
バーナーシステム51は、推進剤70をエジェクタブロック65に注入するように構成された第1のノズル71を更に備えている。第1のノズル71は、エジェクタブロック65内にエジェクタブロック65の長手軸芯に沿って、好ましくはエジェクタブロックの長手中心軸芯に沿って、特にはエジェクタブロック内の中空のエジェクタ空間の長手中心軸芯に沿って延びている。第1のノズル71は、推進流体及び推進剤の流れ方向が実質的に同一であるエジェクタ一定領域混合部61の入口に配置されていることが好ましい。第1のノズル71は、例えば火室床41を通って第1のノズル71に達する推進剤70の供給源と流体連結されている。推進剤70は、更なる実施形態に示されているように、例えば二次燃料ガス、又は圧縮空気、又は圧縮燃焼酸素、又は他の適切な推進剤とすることができる。
【0039】
本実施形態のバーナーシステム51では、エジェクタブロック65は、動圧を静圧に変えるように構成されたエジェクタディフューザ62を有している。エジェクタディフューザ62は、エジェクタのディフューザ入口領域より大きいディフューザ出口領域から、エジェクタ一定領域混合部61と直接流体連結する入口領域に向かって先細の形状を有している。
【0040】
バーナーシステム51は、エジェクタブロック65をバーナーブロック55の側壁を通してバーナーブロック55に連結する出口湾曲片63を更に備えている。推進剤及び推進流体の混合物をバーナーブロック55内の酸化剤6 の流れ方向と同一の方向に向けるように、出口湾曲片63は実質的に直角の湾曲部分を有している。
【0041】
バーナーシステム51は、バーナーブロック55の中心長手軸芯と平行にバーナーブロック55内に延びている直線延長片64を更に備えている。酸化剤、例えば燃焼空気6 及び一次燃料56が直線延長片64に沿って流れることができるように、直線延長片64の外径はバーナーブロック55の内側の大きさ又は内径のいずれかより小さい。直線延長片64を出る予め混合して少なくとも部分的に変換していない推進剤/推進流体混合物の速度は酸化剤に吸込み作用を及ぼし、両方の流れを更に混合することができる。この作用は、尖った縁部に先細になる直線延長片の出口領域の内部によって更に高められ得る。
【0042】
バーナーシステム51のこの第1の実施形態を使用する燃焼プロセスの例を、以下のように説明することができる。燃焼空気のような酸化剤6 が、消音器53と風箱52との間の開口部を通ってバーナーシステム51に入ることができる。酸化剤の流量を、風箱に設けられた酸化剤制御ダンパ54によって制御することができる。酸化剤は、風箱の内側の酸化剤チャネルを通って、炉床41及びバーナーブロック55の内部を通って一次燃焼ゾーン58及びバーナーブロックの出口にある主燃焼ゾーン74に向かって流れる。
【0043】
一次燃料ガス56が、火室側壁42を通過して、一次燃料ガス56がバーナーブロックに入る、バーナーブロックの凹部内に設けられた一次燃料バーナーノズル57を通過し、燃焼空気と混合すると点火して煙道ガスを一次燃焼ゾーン58で発生させる。一次燃料バーナーノズル57のみが動作中である場合、煙道ガス75の大部分が火室出口43を通って火室40を出る。この場合、煙道ガスの再循環が非常に限定される。
【0044】
二次燃料ガス70のような推進剤が、火室床41を通過して、推進剤がエジェクタブロック65に入る、エジェクタブロック65の一定領域混合部61の入口に設けられた二次燃料バーナーノズル71を通過することができる。この二次燃料ガス70は、予燃焼ゾーン72でエジェクタ吸込室60からの再循環煙道ガス50と混合すると点火し、酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73を発生させる。ノズルを出る、本明細書では推進剤と称される燃料ガスによって二次燃料ガスノズルの出口で発生する高速噴出物によって、エジェクタ吸込室60を通して再循環煙道ガス50をエジェクタブロック65に推進させる。この再循環煙道ガス50は依然として酸素を含んでいる。この再循環煙道ガス50に残存する酸素は二次燃料ガスの一部を消費し、予燃焼ゾーン72で大部分が一酸化炭素(CO)に完全に変換される。
【0045】
予燃焼ゾーン72を出る、酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73は、エジェクタ一定領域混合部61、エジェクタディフューザ62、エジェクタ出口湾曲片63及びエジェクタ直線延長片64を通って送られ、エジェクタブロック65を出る。酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73は、直線延長片64を出た後、主燃焼ゾーン74内で残存する酸化剤、例えば燃焼空気6 と混合する。ここで、全ての二次燃料を煙道ガス75に変換する。生じた煙道ガスは、エジェクタブロック65に注入される推進剤の吸込み作用によってエジェクタブロックの吸込室に部分的に再循環し、残りの(nett)煙道ガス75は火室出口43に送られる。
【0046】
一次燃料56及び二次燃料70の両方が同時的に注入され得るが、火室40内の過剰な空気が30 vol%未満のレベルに減少するまで、好ましくはバーナーシステムの開始時のみ同時的に注入され得る。前記レベルに達した後、一次燃料56の供給を減少させ得る一方、同時的に注入されている二次燃料70を増加させてもよい。火室の開始時に二次燃料70がエジェクタブロック65に注入されるとすると、火室40内の酸素分又は過剰酸化剤レベルが依然として30 vol%を超える場合、一次燃料56の供給無しでは主にCO2 が発熱反応の結果として予燃焼ゾーン72に生じる。このCO2 の生成により、エジェクタブロック65内で温度が上昇し、エジェクタブロックを破損させる場合がある。
【0047】
エジェクタブロック65内でのこの潜在的に危険な温度上昇を防ぐために、過剰酸化剤レベル、特に酸素レベルが火室40内で約30 vol%未満に達するまで、特にエジェクタブロック65を迂回するように一次燃料56をバーナーシステム51にまず注入する。その後、一次燃料56の供給を減少させて二次燃料70をエジェクタブロック65に注入することができる。火室内の酸素分の減少により、予燃焼ゾーン72の吸熱反応は主にCOを生じさせることができるので、エジェクタブロック65内の温度を制御して維持することができるか、又はエジェクタブロック内の温度を減少させる場合もある。主燃焼ゾーン74の燃焼温度が一次燃焼ゾーン58の燃焼温度より大幅に低いので、主燃焼ゾーン74で生じるNOx は、一次燃焼ゾーン58で生じるNOx より少ない。一次燃料の割合が小さくなる程、NOx 排出量が低くなる。
【0048】
図2は、本発明に係るバーナーシステムの第2の実施形態を概略的に示す平面図である。この第2の実施形態に係るバーナーシステム51' は、平行に配置された複数のエジェクタブロック65a, 65b, 65c を備えており、これらのエジェクタブロックは夫々1つのバーナーブロック55内に噴出する。例えば、2つ若しくは3つのエジェクタブロック又はより多くのエジェクタブロックが設けられ得る。これらのエジェクタブロック65a, 65b, 65c を、平行に配置された中空のエジェクタ空間を含む1つのブロックを形成するように製造することができるか、又は別個のエジェクタブロックとして製造することができる。エジェクタブロックは夫々、前述の実施形態又は以下の実施形態に記載されている特徴の一部又は全てを有することができる。エジェクタブロックは、好ましくは互いに隣り合って平行に、例えば火室床41に配置され得る。
【0049】
第1の実施形態に記載されているようにエジェクタ直線延長片64の高さで火室側壁42を通って延びている一又は複数の一次燃料バーナーノズル57に加えて、バーナーシステムは、バーナーブロック55の最上部に一又は複数の段階燃料ノズル81を更に備えることができる。このように、段階燃料ガス80は、火室側壁42を通過して、段階燃料ガス80が火室40に入る段階燃料バーナーノズル81を通過することができ、燃焼空気のような酸化剤と混合すると点火し、一次燃焼ゾーン58の上側に設けられた段階的な燃焼ゾーンに煙道ガスを発生させる。開始段階中もNOx 排出量を減らすことができるように、段階的な燃焼は生じるNOx を減らし得ることが有利である。更に、一次ノズルを一次レベル及び段階レベルに分割することにより、通常動作中に段階レベルを停止して一次燃料が少ない容量で流れ得るように、一次レベルをより少ない容量のサイズにすることができる。この少ない容量は、分割しない場合より低くなる。上記に説明したように、一次バーナーは残存するNOx の主な排出源である。これらのノズルの全体的な燃焼への寄与を最小限度に抑えることにより、全体的なNOx 排出量が最小限に減らされる。この段階的な燃焼を
図1に示されている実施形態の利点に更に使用することができる。
【0050】
図3は、本発明に係るバーナーシステムの第3の実施形態を示す概略図である。この第3の実施形態に係るバーナーシステムは、前述した特徴の一又は複数を有することができる。このバーナーシステムの幾何学的配置は実質的に第1の実施形態における幾何学的配置と同一である。差異は、第1のノズル91によってエジェクタブロック65に注入される二次燃料ガスの代わりに、推進剤として圧縮空気又は100 %の純酸素のような圧縮酸化剤90を使用することである。バーナーシステム51''は、バーナーシステムの出口の近く、好ましくはエジェクタ出口湾曲片63に、より好ましくはエジェクタ直線延長片64の入口に設けられた第2のノズル71を更に備えている。第2のノズルは、好ましくは風箱52の側壁を通り、エジェクタ出口湾曲片63を通ってエジェクタ直線延長片64内に延びている二次燃料入口と流体連結されている。このように、再循環煙道ガスの過剰な空気を、主燃焼ゾーンに達する前に比較的低い温度で変換することができる。
【0051】
この第3の実施形態のバーナーシステムを使用する燃焼プロセスでは、燃焼空気6 は、前述した実施形態のように消音器53と風箱52との間の開口部を通ってエジェクタバーナー51''に入ることができる。空気の流量を、風箱52に設けられた酸化剤制御ダンパ54によって制御する。空気は、風箱の内側の空気チャネルを通って、炉床41及びバーナーブロック55の内部を通って一次燃焼ゾーン58及びバーナーブロックの出口にある主燃焼ゾーン74に向かって流れる。
【0052】
一次燃料ガス56が火室側壁42を通過して、一次燃料ガス56がバーナーブロック55に入る、バーナーブロック55の凹部内に設けられた一次燃料バーナーノズル57を通過し、燃焼空気と混合すると点火して一次燃焼ゾーン58に煙道ガスを発生させる。一次燃料バーナーノズル57のみが動作中である場合、煙道ガス75の大部分が火室出口43を通って火室40を出る。この場合、煙道ガスの再循環が非常に限定される。
【0053】
前述した実施形態とは対照的に、圧縮空気が火室床41を通過して、圧縮空気がエジェクタブロック65に入る、エジェクタブロック65の一定領域混合部61の入口に設けられた第1のノズル91を通過することができる。ノズルを出る、本明細書では推進剤と称される圧縮空気によって圧縮空気ノズルの出口で発生する高速噴出物によって、エジェクタ吸込室60を通して再循環煙道ガス50をエジェクタブロック65に推進させる。煙道ガス/空気混合物76は、エジェクタ一定領域混合部61、エジェクタディフューザ62、エジェクタ出口湾曲片63を通ってエジェクタ直線延長片64に向かって送られ、エジェクタ直線延長片64で、煙道ガス/空気混合物76は予燃焼ゾーン72の二次燃料と混合する。
【0054】
二次燃料ガス70は、風箱52の壁及びエジェクタ出口湾曲片63の壁を通過し、二次燃料ガス70がエジェクタブロック65に入る、好ましくはエジェクタ直線延長片64の入口に設けられた二次燃料バーナーノズル71を通過することができる。この二次燃料ガス70は、予燃焼ゾーン72でエジェクタ出口湾曲片63からの再循環煙道ガス/空気混合物76と混合すると点火し、酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73を発生させる。
【0055】
この煙道ガス/酸素混合物73の酸素は、二次燃料ガスの一部を消費して予燃焼ゾーン72で大部分が一酸化炭素(CO)に完全に変換される。予燃焼ゾーン72を出る、酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73はエジェクタ直線延長片を通って送られ、エジェクタブロック65を出る。酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73は、直線延長片を出た後、主燃焼ゾーン74で残存する燃焼空気6 と混合する。ここで、全ての二次燃料を煙道ガス75に変換する。生じた煙道ガスはエジェクタブロックの吸込室に部分的に再循環し、残りの煙道ガス75は火室出口43に送られる。
【0056】
一次燃料56及び二次燃料70の両方は同時的に注入され得るが、同時的に注入される必要はない。二次燃料ガス70及び圧縮空気90は好ましくは同時的に注入される。
【0057】
図4は、本発明に係るバーナーシステムの第4の実施形態を示す概略図である。この第4の実施形態に係るバーナーシステム51''' は、前述した特徴の一又は複数を有することができる。このバーナーシステムの幾何学的配置は、エジェクタブロック65がバーナーシステムの1つの出口を介して火室40に直接噴出するように、この第4の実施形態が別個のバーナーブロック55無しのバーナーシステムの例であるという点で前述した実施形態における幾何学的配置とは実質的に異なる。更に、この実施形態では風箱が設けられていない。更に、圧縮空気又は二次燃料の代わりに、圧縮酸素が推進剤としてエジェクタで使用される。酸素は100 %の純酸素である必要がない。酸素は、更に相当量の空気を含むことができるか、又は圧縮空気とすることもできる。推進剤としての圧縮酸素は、同時的に酸化剤をバーナーシステムに供給することができるので、別個の酸化剤入口が設けられておらず、酸化剤入口は推進剤入口と同一である。
【0058】
バーナーシステムは、エジェクタブロックの過熱を防止するために、バーナーシステムの出口の近く、好ましくはエジェクタ出口湾曲片63に、より好ましくはエジェクタ直線延長片64の入口に又はこの入口を過ぎた位置に設けられた主燃料バーナーノズル98を更に備えている。この場合、火炎が他の場合より高温であるため、火炎が壁に触れないように、ノズルは、実際には直線延長片内に延びてもよい。主燃料バーナーノズル98は、エジェクタ出口湾曲片63及び火室床41を通って延びている主燃料入口と流体連結されている。バーナーシステムのこの実施形態では、エジェクタ一定領域混合部61のスロート内径対第1のノズル91の直径の比率が、好ましくは10より高く、より好ましくは約20程度である。
【0059】
圧縮燃焼酸素又は圧縮空気のような圧縮酸化剤90が火室床41を通過して、圧縮酸化剤90がエジェクタブロック65に入る、エジェクタブロック65の一定領域混合部61の入口に設けられた圧縮酸化剤ノズル91を通過することができる。ノズルを出る、本明細書では推進剤と称される圧縮酸化剤によって圧縮酸化剤ノズルの出口で発生する高速噴出物によって、エジェクタ吸込室60を通して再循環煙道ガス50をエジェクタブロック65に推進させる。煙道ガス/酸化剤混合物76は、エジェクタ一定領域混合部61、エジェクタディフューザ62及びエジェクタ出口湾曲片63を通って、煙道ガス/酸化剤混合物76が主燃料97と混合するエジェクタ直線延長片64に向かって送られ、主燃料97は、火室床41及びエジェクタ出口湾曲片63の壁を通過して、主燃料97がエジェクタブロック65に入る、エジェクタ直線延長片64の入口又はこの入口を過ぎた位置に設けられた主燃料バーナーノズル98を通過する。この主燃料ガス97は、バーナーシステムの出口の近く且つ主燃焼ゾーン74の近くでエジェクタ出口湾曲片63からの圧縮酸化剤/再循環煙道ガスの混合物76と混合すると点火し、煙道ガス75を発生させる。そのため、エジェクタブロック65内に予燃焼ゾーン72が設けられていない。
【0060】
生じた煙道ガスはエジェクタブロックの吸込室に部分的に再循環し、残りの煙道ガス75は火室出口43に送られる。主燃料ガス97及び圧縮酸化剤90は同時的に注入される。大量の煙道ガス及び酸化剤を予め混合するため、煙道ガス/酸化剤混合物中の酸素の割合が、通常の燃焼空気中の酸素の割合と同様のレベル又はこの割合より低いレベルに減少する。このため、主燃焼ゾーンの燃焼温度が大幅に低下する。更にこのため、火室内の再循環煙道ガス中の非常に低い窒素レベルと組み合わせて、NOx を非常に低い値に減少させる。しかしながら、この場合の主な目的は外部の煙道ガス再循環を防止することである。その意図は、十分な煙道ガスを再循環させて、火炎温度を、空気を用いた燃焼中に通常達成される状態にすることである。実際には窒素が存在しないので、この場合、NOx 排出量は非常に少ない。この実施形態の更なる利点は、発生した煙道ガスのCO2 が比較的多いので、炭素の捕捉に適した廃棄流になり、大気への温室効果ガスの排出を削減するということである。
【0061】
図5は、本発明に係るバーナーシステムの第5の実施形態を示す概略図である。このバーナーシステムの幾何学的配置は、
図3に示されている第3の実施形態における幾何学的配置と実質的に同一である。差異は、推進剤として圧縮酸化剤90を使用することである。圧縮酸化剤90は空気とすることができるが、酸素、又は空気及び酸素のあらゆる組み合わせとすることができる。更に、燃焼酸化剤6 として燃焼空気を使用する代わりに、燃焼空気を外部で再循環する煙道ガスと混合して、火室40内の主燃焼ゾーン74の火炎温度を更に下げることができる。燃焼酸化剤6 を、例えば上流側の管(不図示)で個々のバーナーに達する前に外部で再循環する煙道ガスと混合する。燃焼酸化剤/外部再循環煙道ガスの混合物7 は、風箱52を通ってバーナーシステム51''''に入ることができる。混合物7 の流量を、風箱52に設けられた酸化剤制御ダンパ54によって制御することができる。酸化剤は、風箱の内側の酸化剤チャネルを通って、炉床41及びバーナーブロック55の内部を通って一次燃焼ゾーン58及びバーナーシステムの出口にある主燃焼ゾーン74に向かって流れることができる。
【0062】
一次燃料ガス56が火室側壁42を通過して、一次燃料ガス56がバーナーブロック55に入る、バーナーブロック55の凹部内に設けられた一次燃料バーナーノズル57を通過することができ、燃焼酸化剤と混合すると点火し、一次燃焼ゾーン58に煙道ガスを発生させる。一次燃料バーナーノズル57のみが動作中である場合、煙道ガス75の大部分が火室出口43を通って火室40を出る。この場合、煙道ガスの再循環が非常に限定される。
【0063】
圧縮酸化剤90が火室床41を通過して、圧縮酸化剤90がエジェクタブロック65に入る、エジェクタブロック65の一定領域混合部61の入口に設けられた圧縮酸化剤ノズル91を通過することができる。ノズルを出る、本明細書では推進剤と称される圧縮酸化剤90によって圧縮酸化剤ノズル91の出口で発生する高速噴出物によって、エジェクタ吸込室60を通して再循環煙道ガス50をエジェクタブロック65に推進させる。煙道ガス/酸化剤混合物76は、エジェクタ一定領域混合部61、エジェクタディフューザ62及びエジェクタ出口湾曲片63を通って、煙道ガス/空気混合物76が予燃焼ゾーン72の二次燃料と混合することができるエジェクタ直線延長片64に向かって送られる。
【0064】
二次燃料ガス70は、風箱52の壁及びエジェクタ出口湾曲片63の壁を通過して、二次燃料ガス70がエジェクタブロック65に入る、エジェクタ直線延長片64の入口に設けられた二次燃料バーナーノズル71を通過することができる。この二次燃料ガス70は、予燃焼ゾーン72でエジェクタ出口湾曲片63からの再循環煙道ガス/酸化剤混合物76と混合すると点火し、酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73を発生させる。この煙道ガス/酸化剤混合物の酸素は、二次燃料ガスの一部を消費して予燃焼ゾーン72で大部分が一酸化炭素(CO)に実質的に完全に変換される。
【0065】
予燃焼ゾーン72を出る、酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73はエジェクタ直線延長片を通って送られ、エジェクタブロック65を出る。酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物73は、直線延長片を出た後、主燃焼ゾーン74で燃焼酸化剤及び外部再循環煙道ガスの残存する混合物7 と混合する。ここで、全ての二次燃料を煙道ガス75に変換する。生じた煙道ガスはエジェクタブロックの吸込室60に部分的に再循環し、残りの煙道ガス75は火室出口43に送られる。
【0066】
一次燃料56及び二次燃料70の両方は同時的に注入され得るが、好ましくはバーナーシステムの開始時のみ、過剰な酸化剤が火室40内で約30 vol%程度未満、より好ましくは30 vol%未満のレベルに達する前に同時的に注入され得る。この状態に達した後、一次燃料56の供給を減少させ得る一方、同時的に注入されている二次燃料70及び圧縮酸化剤90を増加させてもよい。主燃焼ゾーンの燃焼温度が一次燃焼ゾーンの燃焼温度より大幅に低いので、主燃焼ゾーンで生じるNOx は、一次燃焼ゾーンで生じるNOx より少ない。一次燃料の割合が小さくなる程、NOx 排出量が低くなる。
【0067】
図6は、本発明に係るバーナーシステムの第6の実施形態を示す概略図である。この第6の実施形態の幾何学的配置は
図4に示されている第4の実施形態の幾何学的配置と実質的に同様であるが、この実施形態のバーナーシステム51''''' は、火室床41に実質的に水平に配置される代わりに火室側壁42に沿って置かれるように配置されているため、横向きの燃焼をもたらす。このバーナーシステムは、火室40内の放射管に当たる火炎を避けるように、比較的小さな主燃焼ゾーンが設けられ得るオキシ燃料燃焼に関与してもよい。
【0068】
バーナーシステムは、エジェクタ吸込室60の上流側で前記エジェクタ吸込室60と直接流体連通するように配置されたエジェクタ入口湾曲片66を更に備えてもよい。前記エジェクタ入口湾曲片66は、バーナーシステムの全周に亘って又はバーナーシステムの下部のみ、火室床41、又は火室側壁42から実質的に水平に延びている火室テラス床44に配置されてもよい。そのため、推進剤の入口が、前記火室テラス床44又は火室床41を通って、前記エジェクタ入口湾曲片66を通って延びて第1のノズル91に達してもよい。
【0069】
図7は、本発明に係るバーナーシステムの第7の実施形態を示す概略図である。
図6に示されているバーナーシステムの第6の実施形態と同様に、
図7に示されているバーナーシステムも火室側壁42に沿って置かれるように配置されている。第7の実施形態は、バーナーシステムがエジェクタ出口湾曲片63を備えていない点で前述の実施形態とは異なり、横向きの燃焼の代わりに上向きの燃焼をもたらす。更に、直線延長片64の側壁を通って延びている主燃料バーナーノズル98は、燃焼ゾーンが上向きに生じるようにノズルの端部の代わりにノズルの側部に孔を有し得るため、この実施形態では、横向きの燃焼の実施形態より、より大きい燃焼ゾーンが設けられ得る。
【0070】
明瞭化及び簡潔な説明のために、特徴は、同一の実施形態又は個別の実施形態の一部として本明細書に記載されているが、本発明の範囲は、記載された特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施形態を包含し得ることが認識される。例として、図示されていない場合であっても、
図6及び
図7の両方の実施形態のバーナーシステムが、例えば外部再循環煙道ガスと混合した、空気のような燃焼酸化剤の導入を可能にすべくバーナーブロック及び風箱を備えることができる。図示されたバーナーシステムの全ては、例えば
図2に示されているような段階燃料バーナーノズルを更に備えることができる。
【0071】
示された実施形態は、異なっていると記載されている例とは別に、同一の要素又は同様の要素を有すると理解され得る。
【0072】
特許請求の範囲では、括弧内のあらゆる参照符号は、請求項を限定すると解釈されないものとする。「備えている」という文言は、請求項に記載されている特徴又は工程以外の他の特徴又は工程の存在を除外しない。更に、「1つの(a)」及び「1つの(an)」という文言は、「1つのみ」に限定すると解釈されないものとするが、代わりに「少なくとも1つ」を意味すべく使用され、複数を除外しない。ある手段が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが利点のために使用され得ないことを示さない。多くの変形例が当業者には明らかである。全ての変形例は、以下の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲内に含まれると理解される。
【符号の説明】
【0073】
6.燃焼酸化剤
7.燃焼酸化剤及び外部再循環煙道ガスの混合物
40.火室
41.火室床
42.火室側壁
43.火室出口
44.火室テラス床
50.内部再循環煙道ガス
51.バーナーシステム
52.風箱
53.消音器
54.酸化剤制御ダンパ
55.バーナーブロック
56.一次燃料
57.一次燃料バーナーノズル
58.一次燃焼ゾーン
60.エジェクタ吸込室
61.エジェクタ一定領域混合部
62.エジェクタディフューザ
63.エジェクタ出口湾曲片
64.エジェクタ直線延長片
65.エジェクタブロック
66.エジェクタ入口湾曲片
70.二次燃料
71.二次燃料バーナーノズル
72.予燃焼ゾーン
73.酸素を消耗した煙道ガス/燃料混合物
74.主燃焼ゾーン
75.煙道ガス
76.酸化剤/煙道ガス混合物
80.段階燃料
81.段階燃料ノズル
90.圧縮酸化剤
91.圧縮酸化剤ノズル
97.主燃料
98.主燃料バーナーノズル