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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/41 20160101AFI20231116BHJP
   F02F 1/24 20060101ALI20231116BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20231116BHJP
   F02M 26/05 20160101ALI20231116BHJP
   F02M 26/23 20160101ALI20231116BHJP
【FI】
F02M26/41 311
F02F1/24 A
F02F7/00 N
F02M26/05
F02M26/23
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021020459
(22)【出願日】2021-02-12
(62)【分割の表示】P 2017240549の分割
【原出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2021073413
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-02-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 智明
(72)【発明者】
【氏名】明井 政博
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】星名 真幸
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-127492(JP,A)
【文献】特開2016-79814(JP,A)
【文献】国際公開第2013/121121(WO,A1)
【文献】実開昭57-31560(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M26/00-26/74
F02B47/08-47/10
F02F1/24
F02F7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室から排気ガスを導出させる複数の排気ポートと、
シリンダヘッドの内部に形成され、EGRガスが通るEGR流路と、を備え、
前記複数の排気ポートの排気出口と前記EGR流路のEGRガス入口とが、前記シリンダヘッドの側面に配置され、
前記EGR流路は、前記側面に取り付けられる排気マニホールドにEGRクーラを介して接続され、
前記排気マニホールドは、前記複数の排気ポートの前記排気出口とそれぞれ連通する複数の排気入口を有し、
前記EGRクーラは、前記排気マニホールドにおいて、前記複数の排気入口から前記排気マニホールドに流入して前記排気マニホールドから前記排気ガスが流れる部分と接続されており、
前記排気マニホールドから前記EGRクーラに向かって前記排気ガスが流れ、
前記EGRクーラに向かって流れた前記排気ガスは、前記EGRクーラで冷却された後、前記EGR流路の前記EGRガス入口に流れる、エンジン。
【請求項2】
前記燃焼室に新気を導入させる複数の吸気ポートと、
複数の前記吸気ポートを集合する吸気集合部と、を備え、
前記吸気集合部の新気入口と前記EGR流路のEGRガス出口とが、前記シリンダヘッドにおいて前記側面と逆側となる側面に配置されている、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記EGRクーラが、前記排気マニホールドに直接取り付けられている、請求項1または2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記EGR流路が、前記シリンダヘッドと一体化されている、請求項1から3のいずれかに記載のエンジン。
【請求項5】
前記シリンダヘッドの6面が平坦面を有している、請求項1から4のいずれかに記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダヘッドを備えるエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シリンダヘッドの内部にEGR通路を内蔵したエンジンが開示されている。また、下記特許文献2には、吸気マニホールドがシリンダヘッドと一体に成形されたエンジンが開示されている。また、下記特許文献3には、シリンダヘッドの内部にサーモスタットを内蔵したエンジンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-34530号公報
【文献】特開2017-180227号公報
【文献】特許第3850940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3では、EGR流路の省スペース化に繋がるような構成は一切検討されていない。
【0005】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、EGR流路の省スペース化に繋がるような構成を有するエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るエンジンは、燃焼室から排気ガスを導出させる複数の排気ポートと、EGRガスが通るEGR流路と、を備え、前記複数の排気ポートの排気出口と前記EGR流路のEGRガス入口とが、シリンダヘッドの側面に配置され、前記EGR流路は、前記側面に取り付けられる排気マニホールドにEGRクーラを介して接続される。
【0007】
上記エンジンは、前記燃焼室に新気を導入させる複数の吸気ポートと、複数の前記吸気ポートを集合する吸気集合部と、を備え、前記吸気集合部の新気入口と前記EGR流路のEGRガス出口とが、前記シリンダヘッドにおいて前記側面と逆側となる側面に配置されていてもよい。
【0008】
前記EGRクーラが、前記排気マニホールドに直接取り付けられていてもよい。
【0009】
前記EGR流路が、前記排気マニホールドおよび前記シリンダヘッドと一体化されていてもよい。
【0010】
前記シリンダヘッドの6面が平坦面を有していてもよい。
【0011】
なお、本発明の他の側面に係るシリンダヘッドおよびエンジンは、以下のように表現することができる。
【0012】
本発明のシリンダヘッドは、燃焼室から排気ガスを導出させる複数の排気ポートと、
前記燃焼室に新気を導入させる複数の吸気ポートと、
複数の前記吸気ポートを集合する吸気集合部と、
EGRガスが通るEGR流路と、を備え、
前記複数の排気ポートの排気出口と前記EGR流路のEGRガス入口とが、平坦な第1の側面に並べて配置され、
前記吸気集合部の新気入口と前記EGR流路のEGRガス出口とが、前記第1の側面と逆側となる平坦な第2の側面に並べて配置されているものである。
【0013】
本発明のシリンダヘッドは、複数の排気ポートの排気出口とEGR流路のEGRガス入口とが、平坦な第1の側面に並べて配置され、かつ、吸気集合部の新気入口とEGR流路のEGRガス出口とが、平坦な第2の側面に並べて配置されるため、6面加工が容易である。
【0014】
本発明のシリンダヘッドにおいて、上部が開口して冷却水出口管と連通されるサーモスタットケースと、
前記燃焼室を冷却水で冷却するウォータージャケットと、
前記サーモスタットケースと前記ウォータージャケットに連通する冷却水通路と、をさらに備え、
前記ウォータージャケットは、冷却水が排気側から吸気側へ向かうように形成され、
前記冷却水通路は、冷却水が排気側から前記サーモスタットケース側に向かうように形成されており、
前記排気側の前記ウォータージャケットの高さは、前記吸気側の前記ウォータージャケットの高さよりも高く形成され、
前記サーモスタットケース側の前記冷却水通路の高さは、前記排気側の前記冷却水通路の高さ以上に形成されているものでもよい。
【0015】
このウォータージャケットは、排気側の高さが、吸気側の高さよりも高く形成されているため、排気側にエアが溜まるおそれがあるが、サーモスタットケース側の冷却水通路の高さを、排気側の前記冷却水通路の高さ以上に形成することで、排気側のウォータージャケットで溜まったエアを冷却水通路を介してサーモスタットケース側に送り出すことができるため、エンジンの冷却効率を高めることができる。
【0016】
本発明のシリンダヘッドにおいて、前記サーモスタットケースの冷却水出口は、平坦に加工された上面の加工面にて開口しているものでもよい。
【0017】
この構成によれば、サーモスタットケースの冷却水出口が、平坦に加工された上面の加工面に配置されるため、6面加工が容易である。
【0018】
本発明のエンジンは、上記のシリンダヘッドを備え、前記サーモスタットケースの直下に冷却水ポンプが配置されているものでもよい。
【0019】
この構成によれば、エンジンをコンパクトに設計することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のエンジンの構成によれば、EGR流路の省スペース化に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係るエンジンの斜視図である。
図2】本実施形態に係るエンジンの斜視図である。
図3A】シリンダヘッド、吸気マニホールド、及び排気マニホールドの分解斜視図である。
図3B】シリンダヘッド、吸気マニホールド、及び排気マニホールドの分解斜視図である。
図4】シリンダヘッドの断面斜視図である。
図5A】シリンダヘッドの上下方向下部での断面図である。
図5B】シリンダヘッドの上下方向中央部での断面図である。
図5C】シリンダヘッドの上下方向上部での断面図である。
図6】シリンダブロック及びシリンダヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
初めに、図1及び図2を参照しながら、エンジン1の概略構造について説明する。なお、以下の説明では、クランク軸2と平行な両側部を左右とし、冷却ファン8の配置側を前側、フライホイルハウジング9の配置側を後側と、排気マニホールド6の配置側を左側、吸気マニホールド5の配置側を右側と、ヘッドカバー7の配置側を上側、オイルパン11の配置側を下側と称して、これらを便宜的に、エンジン1における四方及び上下の位置関係の基準としている。
【0024】
農業機械や建設・土木機械といった作業機械に搭載される原動機としてのエンジン1は、エンジン出力軸であるクランク軸2とピストン(不図示)とを内蔵したシリンダブロック3を備えている。シリンダブロック3上にはシリンダヘッド4が搭載されている。シリンダヘッド4の右側面に吸気マニホールド5が配置され、シリンダヘッド4の左側面に排気マニホールド6が配置されている。シリンダヘッド4の上面側はヘッドカバー7にて覆われている。シリンダブロック3の前後両側面から、クランク軸2の前後両端側を突出させている。エンジン1の前面側に冷却ファン8が設けられている。クランク軸2の前端側から冷却ファン用Vベルトを介して冷却ファン8に回転動力が伝達される。
【0025】
エンジン1の後面側にフライホイルハウジング9が設けられている。フライホイルハウジング9内に、フライホイル10がクランク軸2の後端側に軸支された状態で収容されている。エンジン1の回転動力は、クランク軸2からフライホイル10を介して作業機械の作動部に伝達される。シリンダブロック3の下面には、エンジンオイルを貯留するオイルパン11が配置されている。オイルパン11内のエンジンオイルは、シリンダブロック3内のオイルポンプを介してエンジン1の各潤滑部に供給され、その後、オイルパン11に戻る。
【0026】
シリンダブロック3の右側面における吸気マニホールド5の下方には燃料供給ポンプ13が設けられている。また、エンジン1には、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブを有する四気筒分のインジェクタ14を備えている。各インジェクタ14の燃料噴射バルブを開閉制御することによって、コモンレール内の高圧の燃料が各インジェクタ14からエンジン1の各気筒に噴射される。
【0027】
シリンダブロック3の前面側には、冷却水供給用の冷却水ポンプ15が配置されている。クランク軸2の回転動力によって、冷却ファン用Vベルトを介して、冷却ファン8と共に冷却水ポンプ15が駆動される。作業機械に搭載されるラジエータ(不図示)内の冷却水は、冷却水ポンプ15の駆動によって、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4に供給され、エンジン1を冷却する。エンジン1の冷却に寄与した冷却水はラジエータに戻される。なお、冷却水ポンプ15の上方にオルタネータ16が配置されている。
【0028】
冷却水ポンプ15は、吸気マニホールド5の下方に配置されており、ラジエータの冷却水出口と連通される冷却水入口管30が、シリンダブロック3の右側面であって冷却水ポンプ15と同じ高さに設けられている。また、ラジエータの冷却水入口と連通される冷却水出口管31が、シリンダヘッド4の右側上面に固定されている。
【0029】
吸気マニホールド5には、吸気スロットル部材17が連結されている。エアクリーナ(不図示)に吸い込まれた新気(外部空気)は、エアクリーナで除塵及び浄化された後、吸気スロットル部材17を介して吸気マニホールド5に送られ、エンジン1の各気筒に供給される。
【0030】
吸気マニホールド5の上部には、EGR装置18が配置されている。EGR装置18は、エンジン1の排気ガスの一部(排気マニホールド6からのEGRガス)を吸気マニホールド5に供給する装置であり、排気マニホールド6にEGRクーラ20を介して接続するEGR配管21と、EGR配管21に吸気マニホールド5を連通させるEGRバルブケース19とを備えている。
【0031】
EGRバルブケース19の下向きの開口端部が、吸気マニホールド5から上向きに突出する入口部にボルトで締結されている。また、EGRバルブケース19の右向きの開口端部が、EGR配管21の出口側に連結されている。EGRバルブケース19内に収容されているEGRバルブ部材(不図示)の開度を調節することによって、EGR配管21から吸気マニホールド5へのEGRガスの供給量が調節される。EGRバルブ部材は、EGRバルブケース19に取り付けられたアクチュエータ22によって駆動される。
【0032】
エアクリーナから吸気スロットル部材17を介して吸気マニホールド5に供給される新気と、排気マニホールド6からEGRバルブケース19を介して吸気マニホールド5に供給されるEGRガス(排気マニホールド6から排出される排気ガスの一部)とが、吸気マニホールド5内で混合される。このように、排気マニホールド6から排出された排気ガスの一部を吸気マニホールド5経由でエンジン1に還流させることによって、燃焼温度を低下させ、エンジン1からの窒素酸化物(NOX)の排出量を低減している。
【0033】
EGR配管21は、EGRクーラ20とEGRバルブケース19とに接続される。EGR配管21は、シリンダヘッド4の右側に配置された第1EGR配管21aと、シリンダヘッド4の後端部に形成された第2EGR配管21bと、シリンダヘッド4の左側に配置された第3EGR配管21cとを備えている。
【0034】
第1EGR配管21aは、全体としてL字状のパイプである。第1EGR配管21aは、入口側が第2EGR配管21bの出口側に連結され、出口側がEGRバルブケース19に連結されている。
【0035】
第2EGR配管21bは、図2に示すようにシリンダヘッド4の後端部に左右方向に貫通するように形成されている。すなわち、第2EGR配管21bとシリンダヘッド4は、一体化されている。第2EGR配管21bは、入口側が第3EGR配管21cの出口側に連結され、出口側が第1EGR配管21aの入口側に連結されている。
【0036】
第3EGR配管21cは、排気マニホールド6の内部に形成されている。すなわち、第3EGR配管21cと排気マニホールド6は、一体化されている。第3EGR配管21c及び第2EGR配管21bを排気マニホールド6及びシリンダヘッド4と一体化することで、省スペース化に繋がり、さらに外部の衝撃を受けにくくなる。
【0037】
次に、シリンダヘッド4の構成について、図3A図3B図4図5A図5B、及び図5Cを参照して説明する。図3A及び図3Bは、シリンダヘッド4、吸気マニホールド5、及び排気マニホールド6の分解斜視図であり、図3A図3Bはそれぞれ別の方向から見た斜視図である。図4は、シリンダヘッド4の上下方向の中央部付近での断面斜視図である。図5A図5B、及び図5Cは、それぞれシリンダヘッド4の上下方向の下部、中央部、及び上部での断面図である。
【0038】
シリンダヘッド4は、全体として長方形状をしている。シリンダヘッド4は、鋳造後に6面(側面4面と上下面2面)が切削加工される。シリンダヘッド4は、図4等に示すように、燃焼室から排気ガスを導出させる複数の排気ポート41と、燃焼室に新気を導入させる複数の吸気ポート42と、複数の吸気ポート42を集合する吸気集合部43と、EGRガスが通る第2EGR配管21b(本発明のEGR流路に相当する)と、を備えている。
【0039】
排気ポート41は、対応するシリンダの上面に開口する排気弁孔41a(図3B及び図5A等を参照)に連通しており、燃焼室から排気ガスを導出させる。排気弁孔41aの位置には、不図示の排気弁が設けられる。排気ポート41は、排気弁孔41aから左側に延びており、排気出口41bがシリンダヘッド4の左側面4a(本発明の第1の側面に相当する)に開口している。複数の排気出口41bは、前後方向に並んで配置されている。一方、排気マニホールド6は、シリンダヘッド4の左側面4aと連結される右側面に、複数の排気出口41bと連通する複数の排気入口6aが、前後方向に並んで配置されている。
【0040】
吸気ポート42は、シリンダの上面に開口する吸気弁孔42a(図3B及び図5A等を参照)に連通しており、燃焼室に新気を導入させる。吸気弁孔42aの位置には、不図示の吸気弁が設けられる。吸気ポート42は、吸気弁孔42aから右側に延びている。
【0041】
シリンダヘッド4の右側面4bには、複数の吸気ポート42を集合する吸気集合部43が形成されている。吸気集合部43は、複数の吸気ポート42の新気入口と連通している。吸気集合部43の新気入口43aがシリンダヘッド4の右側面4b(本発明の第2の側面に相当する)に開口している。一方、吸気マニホールド5は、シリンダヘッド4の右側面4bと連結される左側面に、新気入口43aと連通する新気出口5aが設けられている。
【0042】
第2EGR配管21bは、前述のように、シリンダヘッド4の後端部に左右方向に貫通するように形成されている。第2EGR配管21bは、排気ポート41及び吸気ポート42の後方に設けられている。第2EGR配管21bのEGRガス入口44aが、シリンダヘッド4の左側面4aの後方にて開口している。一方、排気マニホールド6は、シリンダヘッド4の左側面4aと連結される右側面に、EGRガス入口44aと連通する第3EGR配管21cのEGRガス出口6bが設けられている。複数の排気出口41bとEGRガス入口44aは、切削加工された平坦なシリンダヘッド4の左側面4aに前後方向に並べて配置されている。すなわち、複数の排気出口41bとEGRガス入口44aは、同一面にて開口している。
【0043】
また、第2EGR配管21bのEGRガス出口44bが、シリンダヘッド4の右側面4bの後方にて開口している。吸気集合部43の新気入口43aとEGRガス出口44bは、切削加工された平坦なシリンダヘッド4の右側面4bに並べて配置されている。すなわち、新気入口43aとEGRガス出口44bは、同一面にて開口している。
【0044】
シリンダヘッド4の右側面4bの前方には、上部が開口して冷却水出口管31と連通されるサーモスタットケース45が設けられている。サーモスタットケース45は、吸気集合部43の前方に設けられている。サーモスタットケース45の内部には、不図示のサーモスタットが配置される。サーモスタットケース45の冷却水出口45aは、平坦に加工されたシリンダヘッド4の上面4cの加工面にて開口している。
【0045】
シリンダヘッド4の内部には、ウォータージャケット46が設けられている。ウォータージャケット46は、排気ポート41と吸気ポート42の周囲に形成されている。ウォータージャケット46は、図5A及び図5Bに示すように、シリンダヘッド4の上下方向の下面側から中央部付近までは、排気側、吸気側の両方に設けられ、図5Cに示すように、シリンダヘッド4の上面側では、排気側のみに設けられている。すなわち、排気側のウォータージャケット46の高さは、吸気側のウォータージャケット46の高さよりも高く形成されている。ウォータージャケット46内の冷却水は、図5A及び図5Bにおいて矢印Wで示すように、排気側から吸気側へ向かう方向に流れる。
【0046】
また、シリンダヘッド4の内部には、サーモスタットケース45とウォータージャケット46に連通する冷却水通路47が設けられている。冷却水通路47は、シリンダヘッド4の前部に形成されている。サーモスタットケース45側の冷却水通路47の高さは、排気側の冷却水通路47の高さ以上に形成される。本実施形態では、サーモスタットケース45側の冷却水通路47の高さと、排気側の冷却水通路47の高さとは、図5Cに示すように略同じとなっている。これにより、冷却水通路47内の冷却水は、排気側からサーモスタットケース45側に向かう方向に流れる。その結果、ウォータージャケット46の排気側で溜まったエアをサーモスタットケース45側に送り出すことができ、エンジン1の冷却効率を高めることができる。
【0047】
図6は、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4をサーモスタットケース45の位置で上下方向に切断した断面図である。サーモスタットケース45の直下には、冷却水ポンプ15が配置されている。より具体的には、サーモスタットケース45と冷却水ポンプ15の冷却水入口15aが上方方向に並べて配置されている。サーモスタットケース45の下部には、サーモスタットが閉じたときに冷却水が流れるボトムバイパス32が接続される。ボトムバイパス32は、シリンダブロック3の前部に形成されている。ボトムバイパス32は、上下方向に延びて、冷却水ポンプ15の冷却水入口15aに連通する。サーモスタットケース45の直下に冷却水ポンプ15を配置することにより、ボトムバイパス32を簡素な形状にすることができるため、エンジン1をコンパクトに設計することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 エンジン
4 シリンダヘッド
4a 左側面
4b 右側面
4c 上面
15 冷却水ポンプ
21b 第2EGR配管
41 排気ポート
41b 排気出口
42 吸気ポート
43 吸気集合部
43a 新気入口
44a EGRガス入口
44b EGRガス出口
45 サーモスタットケース
45a 冷却水出口
46 ウォータージャケット
47 冷却水通路
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6