(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】食材管理システムおよび食材管理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/80 20180101AFI20231116BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20231116BHJP
G06K 17/00 20060101ALI20231116BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20231116BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20231116BHJP
H04W 4/35 20180101ALI20231116BHJP
H04W 12/06 20210101ALI20231116BHJP
H04W 52/38 20090101ALI20231116BHJP
【FI】
H04W4/80
G06K7/10 264
G06K7/10 184
G06K17/00 022
G06Q50/26
F25D23/00 301L
H04W4/35
H04W12/06
H04W52/38
(21)【出願番号】P 2021054493
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗山 哲
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】原 和規
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079489(JP,A)
【文献】特開2012-039313(JP,A)
【文献】特開2006-153428(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137326(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/80
G06K 7/10
G06K 17/00
G06Q 50/26
F25D 23/00
H04W 4/35
H04W 12/06
H04W 52/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチン家電に搭載されるRFID装置と、前記キッチン家電と通信接続されたサーバと、を備えた食材管理システムであって、
前記RFID装置は、食材に貼付されたRFIDタグと通信するアンテナと、前記アンテナに接続されて受信した情報を読み取るリーダと、前記アンテナおよび前記リーダに指令信号を送出する信号処理部と、を有し、
前記サーバは、
広範囲のタグ読取を希望する旨の情報をユーザインターフェースから受信すると、
前記RFID装置のリースに関する確認情報を前記ユーザインターフェースに送信し、無線局免許に対応した電子証明書を発行して前記キッチン家電に送信し、
前記信号処理部は、
前記キッチン家電が受信した前記電子証明書に基づき、
前記アンテナの利得または前記リーダの出力電力を、無線局免許が必要なレベルとする食材管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の食材管理システムにおいて、
前記キッチン家電は、前記サーバに通信網を介して接続する通信部と、
前記通信部が前記サーバから受信した前記電子証明書を格納する電子証明書記憶部と、
日時情報を取得する第1日時情報取得部と、を有し、
前記信号処理部は、前記第1日時情報取得部の取得した日時が前記電子証明書の期限を超過した場合、前記アンテナの利得または前記リーダの出力電力を、無線局免許が不要なレベルとする食材管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の食材管理システムにおいて、
前記サーバは、前記無線局免許の期限を記憶するデータ記憶部と、日時情報を取得する第2日時情報取得部と、を有し、前記第2日時情報取得部の取得した日時が前記無線局免許の期限まで所定期間以内となった場合、前記RFID装置のリースを継続するかの確認情報を前記ユーザインターフェースに送信する食材管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の食材管理システムにおいて、
前記サーバは、前記第2日時情報取得部の取得した日時が試用期限まで所定期間以内となった場合、試用期限後に前記RFID装置をリースするかの確認情報を前記ユーザインターフェースに送信する食材管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の食材管理システムにおいて、
前記ユーザインターフェースは、前記キッチン家電とは別体である無線端末に内蔵される食材管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の食材管理システムにおいて、
前記ユーザインターフェースは、前記キッチン家電に内蔵される食材管理システム。
【請求項7】
キッチン家電に搭載されるRFID装置と、前記キッチン家電と通信接続されたサーバと、を用いてRFIDタグが貼付された食材を管理する食材管理方法であって、
前記サーバは、広範囲のタグ読取を希望する旨の情報をユーザインターフェースから受信すると、
前記RFID装置のリースに関する確認情報を前記ユーザインターフェースに送信し、無線局免許に対応した電子証明書を発行して前記キッチン家電に送信し、
前記RFID装置は、前記キッチン家電が受信した前記電子証明書に基づき、前記RFIDタグと通信するアンテナの利得、または、前記アンテナに接続されて受信した情報を読み取るリーダの出力電力、を無線局免許が必要なレベルとする食材管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材管理システムおよび食材管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食材の過剰な家庭内在庫による食品ロスの低減に向けて、キッチンに保存されている食材にRFIDタグを添付し、そのタグIDを元に在庫管理をする食材管理システムが提案されている。例えば、特許文献1には、「無線タグが貼付された物品を収納する収納庫であって、収納庫本体内に電波を放射し、前記無線タグと無線通信するアンテナと、該アンテナから前記無線タグに記憶されている無線タグ情報を読み取る無線タグリーダと、前記収納庫本体内の電波状態を変更することで、前記収納庫本体内部全体を、前記無線タグの読み取り可能領域としてカバーする電波状態変更手段と、前記収納庫本体内の前記無線タグから読み取った無線タグ情報を処理する制御手段とを備えた」と記載されている(同文献の請求項1)。
【0003】
RFIDタグに対応する無線規格は、日本国内では、空中線電力およびアンテナ利得の出力に応じて2種類あり、空中線電力24dBm以下、アンテナ利得3dBiの特定小電力無線に準拠した無線機を用いる場合、無線局免許は不要である。一方、空中線電力30dBm以下、アンテナ利得6dBiの構内無線局に準拠した無線機を用いる場合、無線局免許が必要である。しかし、無線局免許を取得するためには、用いる無線機の仕様に基づいて監督省庁に申請する必要があり、不慣れな一般ユーザにとっては障壁が高い。この問題を解決するため、無線局免許の申請を一括管理するシステムが提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-250480号公報
【文献】特開2018-112914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のシステムでは、冷蔵庫内の限られた空間にある食材のみを管理の対象としているため、冷蔵庫外のキッチンに置かれた食材については管理できない。また、発明者らの新たな研究によれば、無線免許が不要な特定小電力無線を用いた場合、食材に貼付可能なサイズのRFIDタグを一般家庭のキッチン全体に亘り読み取るのは、困難であることが判明した。
【0006】
また、上記特許文献2に記載のシステムでも、無線局免許の申請および期限管理を代行して行うことは可能であるが、無線機の所有権者は、あくまで無線機を購入したユーザであるため、無線局免許はユーザに授与される。この場合、ユーザが免許更新申請を失念したり虚偽申請をしたりすると、無線機が無免許状態で使用されるという不法状態を招く可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、食材管理の対象エリアを必要に応じて変更でき、かつ、不法無線局を発生させないよう食材管理システムおよび食材管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、キッチン家電に搭載されるRFID装置と、前記キッチン家電と通信接続されたサーバと、を備えた食材管理システムであって、前記RFID装置は、食材に貼付されたRFIDタグと通信するアンテナと、前記アンテナに接続されて受信した情報を読み取るリーダと、前記アンテナおよび前記リーダに指令信号を送出する信号処理部と、を有し、前記サーバは、広範囲のタグ読取を希望する旨の情報をユーザインターフェースから受信すると、前記RFID装置のリースに関する確認情報を前記ユーザインターフェースに送信し、無線局免許に対応した電子証明書を発行して前記キッチン家電に送信し、前記信号処理部は、前記キッチン家電が受信した前記電子証明書に基づき、前記アンテナの利得または前記リーダの出力電力を、無線局免許が必要なレベルとする。
【0009】
また、本発明は、キッチン家電に搭載されるRFID装置と、前記キッチン家電と通信接続されたサーバと、を用いてRFIDタグが貼付された食材を管理する食材管理方法であって、前記サーバは、広範囲のタグ読取を希望する旨の情報をユーザインターフェースから受信すると、前記RFID装置のリースに関する確認情報を前記ユーザインターフェースに送信し、無線局免許に対応した電子証明書を発行して前記キッチン家電に送信し、前記RFID装置は、前記キッチン家電が受信した前記電子証明書に基づき、前記RFIDタグと通信するアンテナの利得、または、前記アンテナに接続されて受信した情報を読み取るリーダの出力電力、を無線局免許が必要なレベルとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、食材管理の対象エリアを必要に応じて変更でき、かつ、不法無線局を発生させないよう食材管理システムおよび食材管理方法を提供することが可能となる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の食材管理システムの機能ブロック図
【
図2】実施例1に係るキッチン家電をユーザが初めて起動させたときの処理を示すフローチャート
【
図3】無線局免許の期限まで所定期間に近付いた場合の処理を示すフローチャート
【
図4】実施例1に係る食材管理システムにおいて、ユーザがキッチン家電を購入した後の流れを示すフローチャート
【
図5】実施例2に係る食材管理システムにおいて、ユーザがキッチン家電を購入またはリースにより取得した後の流れを示すフローチャート
【
図6】実施例3に係る食材管理システムにおいて、初期試用期限が設定された場合の流れを示すフローチャート
【
図7】実施例4に係る食材管理システムにおいて、中途試用期限が設定された場合の流れを示すフローチャート
【
図8】実施例5に係る食材管理システムにおいて、無線局免許の期限まで所定期間に近付いた場合の処理を示すフローチャート
【
図9】実施例6の食材管理システムの機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0013】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0014】
実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0015】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1に係る食材管理システムについて、
図1~
図4を用いて説明する。
【0017】
図1は、実施例1の食材管理システムの機能ブロック図である。
図1に示すように、実施例1の食材管理システムは、キッチン家電2と、通信網3と、クラウドサーバ4と、無線局免許を発行する機関である監督省庁5と、無線端末7と、で構成される。なお、キッチン家電2が設置されるキッチンには、RFIDタグ18の貼付された食材が存在している。また、無線端末7は、ユーザインターフェース10を具備する。
【0018】
キッチン家電2は、電子証明書記憶部12と、通信部11と、RFID装置6と、第1日時情報取得部15と、食材変動検知部14と、で構成される。食材変動検知部14は、キッチン家電2が例えば冷蔵庫の場合、扉の開閉状態を検知する扉センサとして、キッチン家電2に内蔵される。この場合、扉センサが扉の開閉動作を検知すると、食材の出し入れがあった可能性があるため、その信号がRFID装置6へ送られ、RFIDの読み取りが行われる。しかし、食材変動検知部14は、例えばキッチン内に別途設置される人感センサなど、キッチン家電2の外部にあっても良い。このような人感センサであっても、食材が持ち込まれたり持ち出されたりしてキッチン内で発生する食材の変動を、キッチン内の人の動きをトリガとして検知することが可能である。
【0019】
RFID装置6は、信号処理部13と、リーダライタ16と、アンテナ17と、で構成される。リーダライタ16は、アンテナ17を介して、キッチン家電2内またはキッチン家電2外の食材に貼付されたRFIDタグ18のID情報とRSSI(Received Signal Strength Indicator)を取得する、RFIDリーダとしての機能を有する。さらに、リーダライタ16は、キッチン内で包装した食材にユーザ1が付したRFIDタグに対して、包装日時などの情報を記録するRFIDライタとしての機能も有している。本実施例では、RFIDライタの機能も有するリーダライタ16を用いて説明するが、RFIDリーダの機能のみを有するものであっても良い。信号処理部13は、アンテナ17およびリーダライタ16に指令信号を送出するものであり、リーダライタ16が取得したRFIDタグのID情報とRSSIより、RFIDタグがキッチン内のどの場所にあるかを判定する機能を有していても良い。
【0020】
ここで、食材に貼付可能な2×6cm程度のサイズのRFIDタグの場合、無線局免許が不要な特定小電力無線では、読み取りが困難である。例えば日本国内では、空中線電力24dBm以下、アンテナ利得3dBi以下であれば無線局免許は不要であるが、このような特定小電力無線によれば、RFIDタグの読み取り可能な距離が約1mであり、一般家庭のキッチンのエリアをカバーするには不足している。しかし、例えば日本国内では、空中線電力27dBm以下、アンテナ利得6dBi以下であれば構内無線局に準拠することになり、このようなリーダライタ16およびアンテナ17を用いることで、RFIDタグの読み取り可能な距離が約4mに延伸できる。そこで、本実施例では、リーダライタ16の最大出力電力が、無線局免許の不要な第1出力電力と無線局免許の必要な第2出力電力とに切替が可能であり、アンテナ17のアンテナ利得が、無線局免許の不要な第1アンテナ利得と無線局免許の必要な第2アンテナ利得とに切替が可能な、RFID装置6を用いた。以下、説明の簡便化のため、無線局免許の不要なリーダライタ16およびアンテナ17の状態を第1モードと呼称し、無線局免許の必要なリーダライタ16およびアンテナ17の状態を第2モードと呼称することとする。
【0021】
クラウドサーバ4は、キッチン家電2に搭載されるRFID装置6の無線局免許の管理を代行する事業者が有する装置であり、サーバ通信部30と、データ記憶部32を具備するユーザ情報管理部31と、第2日時情報取得部33と、で構成される。
【0022】
次に、
図1および
図2に基づき、本実施例に係る食材管理システムを構成するキッチン家電2をユーザ1が初めて起動させたときの処理について説明する。
図2は、実施例1に係るキッチン家電をユーザが初めて起動させたときの処理を示すフローチャートである。
【0023】
まず、ユーザ1が、キッチン家電2を新規購入しかつ広範囲のタグ読取(無線局免許が必要な第2モードの利用)を希望する時、第2モードを利用するための利用希望情報100をユーザインターフェース10に入力する。利用希望情報100は、ユーザ1の氏名、キッチン家電2を設置する住所、無線局免許の有効期限などから構成される。この利用希望情報100は、ユーザインターフェース10から利用者希望情報101として通信網3に送出され、さらに通信網3から利用希望情報102としてクラウドサーバ4のサーバ通信部30に送出される。クラウドサーバ4のユーザ情報管理部31は、利用希望情報103としてデータ記憶部32に保存する(ステップS101)。
【0024】
次に、ユーザ情報管理部31は、データ記憶部32に保存された利用希望情報103に基づいて、監督省庁5に無線局免許の申請104を実施し、所定の法定期限まで有効な無線局免許105を取得し、データ記憶部32に保存された利用希望情報103に紐づける(ステップS102)。
【0025】
さらに、ユーザ情報管理部31は、無線局免許105の法定期限に対応した期限付きの電子証明書106を発行する。この期限付きの電子証明書106は、サーバ通信部30が電子証明書107として通信網3に送出し、通信網3から電子証明書108としてキッチン家電2の通信部11に送出される。通信部11は、電子証明書200としてキッチン家電2の電子証明書記憶部12に保存する(ステップS103)。
【0026】
そして、キッチン家電2の食材変動検知部14より食材変動情報203をキッチン家電2の信号処理部13が受信した場合、食材の持ち込みまたは持ち出しの可能性があるため、信号処理部13が動作を開始する(ステップS104)。
【0027】
すると、信号処理部13は、電子証明書記憶部12に、電子証明書が存在するかを問い合わせる証明書存在の問い合わせ201を送出する(ステップS105)。
【0028】
電子証明書記憶部12は、証明書存在の問い合わせ201を受信した場合、第1日時情報取得部15より第1日時情報206を取得する(ステップS106)。
【0029】
続いて、電子証明書記憶部12は、期限が満了していない電子証明書の有無、すなわち、期限が第1日時情報206より先である期限付きの電子証明書の有無、を判定する(ステップS107)。期限が第1日時情報206より先である期限付きの電子証明書が存在する場合、電子証明書記憶部12は、証明書存在の回答202としてYES情報を信号処理部13に送出する。一方、期限が第1日時情報206より先である期限付きの電子証明書が存在しない場合、電子証明書記憶部12は、証明書存在の回答202としてNO情報を信号処理部13に送出する。
【0030】
電子証明書記憶部12からの証明書存在の回答202がYES情報であった場合、信号処理部13は、リーダライタ16の出力電力の上限値を第2出力電力に設定するリーダライタ設定信号204をリーダライタ16に送出すると同時に、アンテナ17のアンテナ利得の上限値を第2アンテナ利得に設定するアンテナ設定信号205をアンテナ17に送出する(ステップS108)。
【0031】
一方、電子証明書記憶部12からの証明書存在の回答202がNO情報であった場合、信号処理部13は、リーダライタ16の出力電力の上限値を第1出力電力に設定するリーダライタ設定信号204をリーダライタ16に送出すると同時に、アンテナ17のアンテナ利得の上限値を第1アンテナ利得に設定するアンテナ設定信号205をアンテナ17に送出する(ステップS109)。
【0032】
食材変動検知部14より食材変動情報203を信号処理部13が受信してから所定時間が経過すると、ユーザ1による食材の持ち込みまたは持ち出しの動作が完了したと見做し、信号処理部13は動作を終了する(ステップS110)。なお、食材変動検知部14が扉センサの場合、扉センサが扉閉を検知した時点で信号処理部13が動作を終了するようにしても良い。その後、ステップS101からステップS110の処理を繰り返す。
【0033】
次に、
図1および
図3に基づき、キッチン家電2に搭載されたRFID装置6の無線局免許の期限が近づいたときの処理について説明する。
図3は、無線局免許の期限まで所定期間に近付いた場合の処理を示すフローチャートである。
【0034】
まず、ユーザ情報管理部31は、第2日時情報取得部33より第2日時情報300を取得する(ステップS201)。なお、クラウドサーバ4の第2日時情報取得部33で取得される第2日時情報300と、キッチン家電2の第1日時情報取得部15で取得される第1日時情報206と、は同期したものとなっている。
【0035】
次に、ユーザ情報管理部31は、第2日時情報取得部33で取得した第2日時情報300を用いて、データ記憶部32に保存された利用希望情報103に紐づけられた期限付きの無線局免許105の期限までの日数を計算する(ステップS202)。
【0036】
さらに、ユーザ情報管理部31は、期限付きの無線局免許105の期限まで所定期間以内となったか否かを判定する(ステップS203)。期限までの期間が所定期間を超える場合、ステップS201に回帰する。一方、期限までの期間が所定期間以下である場合、ステップS204に移行する。
【0037】
ステップS204では、ユーザ情報管理部31が免許の更新に関する意思確認通知を発行し、サーバ通信部30より意思確認通知110として通信網3に送出され、意思確認通知111としてユーザインターフェース10に送出される。ユーザインターフェース10は、意思確認通知111を受信した場合、意思確認通知112をユーザ1に通知する。なお、意思確認通知には、無線局免許の期限切れまでの日数や、更新申請に必要な申請事項の入力を促す内容が含まれている。
【0038】
そして、ユーザ1がユーザインターフェース10を通じて、無線局免許を更新する(広範囲のタグ読取を継続する)ための利用希望情報100を入力する。この利用希望情報100は、ユーザインターフェース10から利用者希望情報101として通信網3に送出され、さらに通信網3から利用希望情報102としてクラウドサーバ4のサーバ通信部30に送出される。クラウドサーバ4のユーザ情報管理部31は、利用希望情報103としてデータ記憶部32に保存する(ステップS205)。
【0039】
続いて、ユーザ情報管理部31は、データ記憶部32に保存された利用希望情報103に基づいて、監督省庁5に無線局免許の申請104を実施し、無線局免許105を取得(更新)し、データ記憶部32に保存された利用希望情報103に紐づける(ステップS206)。
【0040】
すると、ユーザ情報管理部31は、更新された無線局免許105に対応した期限付きの電子証明書106を発行する。この期限付きの電子証明書106は、サーバ通信部30が電子証明書107として通信網3に送出し、通信網3から電子証明書108としてキッチン家電2の通信部11に送出される。通信部11は、新たな電子証明書200としてキッチン家電2の電子証明書記憶部12に保存する(ステップS207)。
【0041】
本実施例に係る食材管理システムにおけるRFID装置6の扱いについて、
図1~4を用いて説明する。本実施例では、ユーザ1がキッチン家電2を購入したとしても、キッチン家電2に搭載されるRFID装置6の所有権者は、無線局免許の管理を代行する事業者とし、ユーザ1が広範囲のタグ読取を希望する場合に当該事業者からRFID装置6のリースを受ける仕組みとなっている。なお、当該事業者は、例えば、キッチン家電2を製造するメーカであり、このメーカがクラウドサーバ4を運営する場合が想定される。また、本明細書における「リース」は、レンタルを包含する意味で用いることとする。
【0042】
図4は、実施例1に係る食材管理システムにおいて、ユーザがキッチン家電を購入した後の流れを示すフローチャートである。まず、ユーザ1がキッチン家電2を新規購入するとき(ステップS400)、ユーザ1は第2モードに準拠した広範囲RFIDタグ読取システムを利用するか否かを決定する(ステップS401)。
【0043】
クラウドサーバ4は、ユーザインターフェース10から利用希望情報100を受信すると、RFID装置6のリースに関する確認情報をユーザインターフェース10に送信する。ユーザ1は、ユーザインターフェース10を用いて、RFID装置6のみのリースを受けるための処理を行うとともに、無線局免許の代行申請に関する費用を含むリース料金の支払い処理を実行する(ステップS402)。この処理により、前述の
図2におけるステップS101~S108が実行され、キッチン家電2は無線局免許に準拠した第2モードでの動作が可能となる(ステップS403)。
【0044】
一方、ユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの利用を希望しない場合、キッチン家電2は無線局免許が不要な第1モードでのみ動作が可能となる(ステップS404)。
【0045】
さらに、ユーザ1がキッチン家電2を新規購入する時点では広範囲RFIDタグ読書システムの利用を希望しないものの、その後の任意の時点で広範囲RFIDタグ読書システムの利用を希望する場合(ステップS405)、ユーザ1はRFID装置6のリースを受けるためにステップS402と同様の処理を実行する(ステップS406)。この処理により、キッチン家電2は無線局免許に準拠した第2モードでの動作が可能となる(ステップS404)。
【0046】
次に、ユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムを利用しており、かつ、無線局免許の法定期限までの所定期間以内となった場合(ステップS407)、前述の
図3におけるステップS204により、ユーザ1はユーザインターフェース10を介して、無線局免許の期限切れまでの日数および更新申請に必要な申請事項を入力するよう促す通知を受け取る。この時点で、ユーザ1は第2モードに準拠した広範囲RFIDタグ読取システムを継続して利用するか否かを決定する(ステップS408)。
【0047】
ユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの継続利用を希望する場合、ユーザ1はRFID装置6のリースを継続して受けるための処理を実行する(ステップS409)。この処理により、キッチン家電2は無線局免許に準拠した第2モードでの動作が引き続き可能となる(ステップS410)。
【0048】
一方、ユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの利用継続を希望しない場合、無線局免許の法定期限が経過した後は、キッチン家電2は無線局免許が不要な第1モードでのみ動作が可能となる(ステップS411)。
【0049】
なお、法定期限の経過後の任意の時点で、ユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの利用再開を希望する場合(ステップS405)、ユーザ1はRFID装置6のリースを受けるためにステップS402と同様の処理を実行する(ステップS406)。この処理により、キッチン家電2は無線局免許に準拠した第2モードでの動作が再び可能となる(ステップS403)。
【0050】
以上述べた通り、本実施例によれば、キッチン家電2から3~4m離れた場所にあるRFIDタグを無線局免許が必要なリーダライタ16およびアンテナ17を用いることで読み取ることができ、キッチン全体に及ぶ広範囲での食材管理が可能となる。
【0051】
ただし、構内無線局の免許を取得や更新には、官公庁への免許申請が必要となり、無線に関する専門知識を有さない一般のユーザには不便である。そこで、本実施例では、無線局免許の管理を代行するクラウドサーバ4とキッチン家電2が通信網3を介して接続され、ユーザ1はユーザインターフェース10を用いて利用希望情報をクラウドサーバ4へ送信するだけで済むようにしたので、ユーザ1の利便性が損なわれることがない。
【0052】
また、本実施例では、無線局免許が必要な広範囲RFIDタグ読書システムを利用する場合、RFID装置6の所有権者はクラウドサーバ4を管理する事業者とし、ユーザ1は事業者からリースを受ける形としている。このため、無線局免許は事業者に授与され、事業者は、無線局免許の管理の代行やRFID装置6のモード管理が可能となる。つまり、ユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの利用を希望しない場合は、リーダライタ16の出力電力やアンテナ17の利得が、免許が必要な高レベルから免許が不要な低レベルに切り替えられるので、RFID装置6が不法状態で動作することを阻止できる。
【0053】
さらに、ユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの利用を希望しなくなった場合でも、RFID装置6のモードを切り替えるだけで済むため、無線局免許が不要なリーダやアンテナを新たに設置し直さなくて良い。
【実施例2】
【0054】
本発明の実施例2に係る食材管理システムについて、
図5を用いて説明する。本実施例は、ユーザ1が、RFID装置6だけでなくキッチン家電2全体のリースを受けることも選択肢として含む場合の例である。
【0055】
図5は、実施例2に係る食材管理システムにおいて、ユーザがキッチン家電を購入またはリースにより取得した後の流れを示すフローチャートである。本実施例では、
図5に示すように、
図4の実施例1と異なり、ステップS400′として、キッチン家電2全体をリースする場合が追加されている。ユーザ1がキッチン家電2の全体のリースを希望し、リースを受けるための処理が実行されると、キッチン家電2は無線局免許に準拠した第2モードでの動作が可能となる(ステップS403)。本実施例によれば、ユーザ1へのキッチン家電2の提供方法の選択肢が増えるため、ユーザ1の生活形態への適用性を向上できる。
【実施例3】
【0056】
本発明の実施例3に係る食材管理システムについて、
図6を用いて説明する。本実施例では、実施例1に加えて、キッチン家電2の新規購入時から初期試用期限(第1試用期限)までの間は、ユーザ1が、無線局免許の申請費用や利用費用を支払うことなく、広範囲RFID読書システムを利用できるようにしている。この初期試用期限は、無線局免許の管理を代行する事業者が設定する期限であり、無線局免許に関する法定の有効期限よりも短い期間が設定される。なお、新規購入時点から初期試用期限が経過するまでは、無線局免許の管理を代行する事業者が、無線局免許にかかる費用を負担する。
【0057】
図6は、実施例3に係る食材管理システムにおいて、初期試用期限が設定された場合の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、初期試用期限まで所定期間以内となった場合(ステップS502)、ユーザ1はユーザインターフェース10を介して、広範囲RFID読書システムを継続して利用するか否かの意思確認通知を受け取る。ユーザ1が継続利用を希望し、RFID装置6のリースを受けるための処理が実行されると(ステップS504)、第2モードに準拠した広範囲RFIDタグ読取システムの利用が継続される(ステップS505)。一方、ユーザ1が継続利用を希望しない場合、初期試用期限の経過後は、キッチン家電2は無線局免許が不要な第1モードでのみ動作が可能となる(ステップS506)。
【0058】
本実施例によれば、ユーザ1はキッチン家電2の新規購入時点から初期試用期限までの間に広範囲RFIDタグ読書システムを無償で利用できるため、キッチン家電2が実際に設置されたキッチンでの広範囲RFIDタグ読書システムの有用性をユーザ1が検証することが可能となる。
【実施例4】
【0059】
本発明の実施例4に係る食材管理システムについて、
図7を用いて説明する。
図7は、実施例4に係る食材管理システムにおいて、中途試用期限が設定された場合の流れを示すフローチャートである。本実施例では、実施例1に加えて、キッチン家電2の新規購入時はユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの利用を希望せず、かつ、新規購入後の任意の時点でユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの利用を希望する場合に、試用期間を設けたものである。すなわち、ユーザ1が広範囲RFIDタグ読書システムの利用を希望した時から中途試用期限(第2試用期限)までの間は、ユーザ1が、無線局免許の申請費用や利用費用を支払うことなく、広範囲RFID読書システムを利用できるようにしている。この中途試用期限も、無線局免許に関する法定の有効期限よりも短い期間が設定され、この期限が経過するまでは、無線局免許の管理を代行する事業者が、無線局免許にかかる費用を負担する。
【0060】
本実施例によれば、広範囲RFIDタグ読書システムについて、キッチン家電2の新規購入直後には利用しなくても、その後で希望した場合に中途試用期限までは無償で利用できるため、無線局免許の管理を代行する事業者やキッチン家電2へのユーザの信頼感および安心感が向上する。
【実施例5】
【0061】
本発明の実施例5に係る食材管理システムについて、
図8を用いて説明する。
図8は、実施例5に係る食材管理システムにおいて、無線局免許の期限まで所定期間に近付いた場合の処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、本実施例では、実施例1に加えて、無線局免許の法定期限まで所定期間以内となった場合に、当該キッチン家電2の新製品の購入案内を、クラウドサーバ4がユーザインターフェース10を介してユーザ1に通知する(ステップS700)。ユーザ1が新製品の購入を希望しない場合は、
図4の実施例1におけるステップS408~ステップS411と同様の処理が行われる。一方、ユーザ1が新製品の購入を希望する場合は、例えば所定の販売サイトがユーザインターフェース10に表示され、新製品の購入処理が行われる(ステップS701)。なお、ステップS700およびステップS701に示す機能は、ユーザ1が利用希望情報100において本機能に関する承諾をした場合に限る。本実施例によれば、ユーザ1は、無線局免許の更新時に新製品の情報を取得できるため、より高性能な製品の情報に接する機会が増加する。
【実施例6】
【0062】
本発明の実施例6に係る食材管理システムについて、
図9を用いて説明する。
図9は、実施例6の食材管理システムの機能ブロック図である。
図9に示すように、本実施例では、ユーザインターフェース10がキッチン家電2に内蔵される点で、実施例1と異なっている。本実施例によれば、ユーザ1がスマートフォンなど無線端末7を所有していない場合でも、食材管理システムを利用できる。
【0063】
上記の実施例1乃至6は本発明を分かりやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0064】
例えば、ユーザインターフェース10は、無線端末7やキッチン家電2に内蔵された電子デバイス以外に、書面などであっても良い。また、前述の実施例に係るRFID装置6は、第1モードと第2モードの両方に準拠しかつモード切替可能な構成であったが、第1モードに準拠した第1リーダライタおよび第1アンテナと、第2モードに準拠した第2リーダライタおよび第2アンテナと、を備え、無線局免許が存在しない場合は第2リーダライタの動作を停止させても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 ユーザ
2 キッチン家電
3 通信網
4 クラウドサーバ
5 監督省庁
6 RFID装置
7 無線端末
10 ユーザインターフェース
11 通信部
12 電子証明書記憶部
13 信号処理部
14 食材変動検知部
15 第1日時情報取得部
16 リーダライタ
17 アンテナ
18 RFIDタグ
30 サーバ通信部
31 ユーザ情報管理部
32 データ記憶部
33 第2日時情報取得部