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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】半導体装置および配線基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231116BHJP
   H01L 23/58 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L23/56 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021186390
(22)【出願日】2021-11-16
(65)【公開番号】P2023073743
(43)【公開日】2023-05-26
【審査請求日】2023-07-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 伸治
(72)【発明者】
【氏名】福島 正人
(72)【発明者】
【氏名】廣石 尭之
(72)【発明者】
【氏名】三原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】小杉 智之
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-049396(JP,A)
【文献】特開2003-188313(JP,A)
【文献】特開2005-285903(JP,A)
【文献】特開2009-145070(JP,A)
【文献】特開2010-078583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に集積回路を有し、且つ、その上面に前記集積回路に電気的に接続されたパッド電極を有する基板と、
前記パッド電極を覆うように、前記基板の上面に形成された絶縁膜と、
前記パッド電極の上面に達するように、前記絶縁膜中に形成された開口部と、
前記開口部の内部および前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記パッド電極に電気的に接続された第1再配線と、
前記第1再配線上に形成され、且つ、前記第1再配線に電気的に接続された第1外部接続用端子と、
前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1再配線、前記パッド電極および前記集積回路から電気的に絶縁された第2再配線と、
前記第2再配線上に形成され、且つ、前記第2再配線に電気的に接続された複数の第2外部接続用端子と、
を備え、
前記第2再配線および前記複数の第2外部接続用端子は、抵抗値測定用の第1測定回路を構成している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2再配線は、第1端子間接続部、第2端子間接続部、および、前記第1端子間接続部と前記第2端子間接続部とを接続する第1抵抗値測定部を有し、
前記複数の第2外部接続用端子のうち2つの前記第2外部接続用端子は、前記第1端子間接続部に電気的に接続され、且つ、第1始端端子および第2始端端子を構成し、
前記複数の第2外部接続用端子のうち他の2つの前記第2外部接続用端子が前記第2端子間接続部に電気的に接続され、且つ、第3終端端子および第4終端端子を構成し、
前記第1始端端子、前記第2始端端子、前記第3終端端子および前記第4終端端子に抵抗測定器を電気的に接続することで、前記第1抵抗値測定部の抵抗値を測定できる、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1抵抗値測定部の抵抗値と、前記第1抵抗値測定部の温度との相関関係を示すデータを参照することで、前記抵抗測定器によって測定された前記第1抵抗値測定部の抵抗値から、前記第1抵抗値測定部の温度を算出できる、半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1始端端子と前記第3終端端子との間の抵抗値をR13とし、前記第2始端端子と前記第4終端端子との間の抵抗値をR24とし、前記第1始端端子と前記第2始端端子との間の抵抗値をR12とし、前記第3終端端子と前記第4終端端子との間の抵抗値をR34とした場合、前記第1抵抗値測定部の抵抗値は、{(R13+R24)-(R12+R34)}/2によって求められる、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1再配線上に形成され、且つ、前記第1再配線および前記第1外部接続用端子に電気的に接続された第1柱状電極と、
前記第2再配線上に形成され、且つ、前記第2再配線および前記複数の第2外部接続用端子に電気的に接続された複数の第2柱状電極と、
前記第1柱状電極および前記複数の第2柱状電極の各々の上面を露出させるように、前記第1再配線、前記第2再配線、前記第1柱状電極および前記複数の第2柱状電極を封止する封止樹脂と、
を更に備え、
前記第1外部接続用端子は、前記第1柱状電極の上面上に形成され、
前記複数の第2外部接続用端子は、それぞれ前記複数の第2柱状電極の上面上に形成されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1外部接続用端子は、前記第1再配線上に直接形成され、
前記複数の第2外部接続用端子は、それぞれ前記第2再配線上に直接形成されている、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1外部接続用端子に電気的に接続された第1リード端子と、
前記複数の第2外部接続用端子に電気的に接続された複数の第2リード端子と、
前記第1リード端子および前記複数の第2リード端子の各々の上面を露出させるように、前記第1再配線、前記第2再配線、前記第1外部接続用端子、前記複数の第2外部接続用端子、前記第1リード端子、前記複数の第2リード端子および前記基板を封止する封止樹脂と、
を更に備え、
前記第2再配線、前記複数の第2外部接続用端子および前記複数の第2リード端子は、前記第1測定回路を構成している、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第2再配線は、第1端子間接続部、第2端子間接続部、および、前記第1端子間接続部と前記第2端子間接続部とを接続する第1抵抗値測定部を有し、
前記複数の第2外部接続用端子のうち2つの前記第2外部接続用端子は、前記第1端子間接続部に電気的に接続され、
前記複数の第2外部接続用端子のうち他の2つの前記第2外部接続用端子が前記第2端子間接続部に電気的に接続され、
前記複数の第2リード端子のうち前記第1端子間接続部に電気的に接続された2つの前記第2リード端子が、第1始端端子および第2始端端子を構成し、
前記複数の第2リード端子のうち前記第2端子間接続部に電気的に接続された他の2つの前記第2リード端子が、第3終端端子および第4終端端子を構成し、
前記第1始端端子、前記第2始端端子、前記第3終端端子および前記第4終端端子に抵抗測定器を電気的に接続することで、前記第1抵抗値測定部の抵抗値を測定できる、半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置において、
表面および裏面を有する配線基板を更に備え、
前記配線基板は、
前記配線基板の表面側に形成された第1表面配線および複数の第2表面配線と、
前記配線基板の裏面側に形成され、且つ、前記第1表面配線に電気的に接続された第1裏面配線と、
前記配線基板の裏面側に形成され、且つ、前記複数の第2表面配線に電気的に接続された複数の第2裏面配線と、
前記第1表面配線上に形成され、且つ、前記第1表面配線に電気的に接続された第3外部接続用端子と、
前記複数の第2表面配線上に形成され、且つ、前記複数の第2表面配線に電気的に接続された複数の第4外部接続用端子と、
を有し、
前記第1再配線、前記第2再配線、前記第1外部接続用端子、前記複数の第2外部接続用端子、前記第1裏面配線、前記複数の第2裏面配線および前記基板は、封止樹脂によって封止され、
前記複数の第2表面配線、前記複数の第2裏面配線および前記複数の第4外部接続用端子は、前記第1表面配線、前記第1裏面配線および前記第3外部接続用端子から電気的に絶縁され、
前記第1裏面配線は、前記第1外部接続用端子に電気的に接続され、
前記複数の第2裏面配線は、前記複数の第2外部接続用端子に電気的に接続され、
前記第2再配線、前記複数の第2外部接続用端子、前記複数の第2表面配線、前記複数の第2裏面配線および前記複数の第4外部接続用端子は、前記第1測定回路を構成している、半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記第2再配線は、第1端子間接続部、第2端子間接続部、および、前記第1端子間接続部と前記第2端子間接続部とを接続する第1抵抗値測定部を有し、
前記複数の第2外部接続用端子のうち2つの前記第2外部接続用端子は、前記第1端子間接続部に電気的に接続され、
前記複数の第2外部接続用端子のうち他の2つの前記第2外部接続用端子が前記第2端子間接続部に電気的に接続され、
前記複数の第4外部接続用端子のうち前記第1端子間接続部に電気的に接続された2つの前記第4外部接続用端子が、第1始端端子および第2始端端子を構成し、
前記複数の第4外部接続用端子のうち前記第2端子間接続部に電気的に接続された他の2つの前記第4外部接続用端子が、第3終端端子および第4終端端子を構成し、
前記第1始端端子、前記第2始端端子、前記第3終端端子および前記第4終端端子に抵抗測定器を電気的に接続することで、前記第1抵抗値測定部の抵抗値を測定できる、半導体装置。
【請求項11】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記複数の第4外部接続用端子の互いの間の距離は、前記複数の第2外部接続用端子の互いの間の距離よりも大きい、半導体装置。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記配線基板は、
前記配線基板の表面側に形成された複数の第3表面配線と、
前記配線基板の裏面側に形成され、且つ、前記複数の第3表面配線に電気的に接続された第3裏面配線と、
前記複数の第3表面配線上に形成され、且つ、前記複数の第3表面配線に電気的に接続された複数の第5外部接続用端子と、
を更に有し、
前記複数の第3表面配線、前記第3裏面配線および前記複数の第5外部接続用端子は、前記第1表面配線、前記第1裏面配線、前記第3外部接続用端子、前記複数の第2表面配線、前記複数の第2裏面配線および前記複数の第4外部接続用端子から電気的に絶縁され、
前記複数の第3表面配線、前記第3裏面配線および前記複数の第5外部接続用端子は、前記第1測定回路とは異なる抵抗値測定用の第2測定回路を構成している、半導体装置。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置において、
前記第3裏面配線は、第3端子間接続部、第4端子間接続部、および、前記第3端子間接続部と前記第4端子間接続部とを接続する第2抵抗値測定部を有し、
前記複数の第5外部接続用端子のうち2つの前記第5外部接続用端子は、前記第3端子間接続部に電気的に接続され、且つ、第5始端端子および第6始端端子を構成し、
前記複数の第5外部接続用端子のうち他の2つの前記第5外部接続用端子が前記第4端子間接続部に電気的に接続され、且つ、第7終端端子および第8終端端子を構成し、
前記第5始端端子、前記第6始端端子、前記第7終端端子および前記第8終端端子に抵抗測定器を電気的に接続することで、前記第2抵抗値測定部の抵抗値を測定できる、半導体装置。
【請求項14】
表面および裏面を有する配線基板であって、
前記配線基板の表面側に形成された第1表面配線および複数の第3表面配線と、
前記配線基板の裏面側に形成され、且つ、前記第1表面配線に電気的に接続された第1裏面配線と、
前記配線基板の裏面側に形成され、且つ、前記複数の第3表面配線に電気的に接続された第3裏面配線と、
前記第1表面配線上に形成され、且つ、前記第1表面配線に電気的に接続された第3外部接続用端子と、
前記複数の第3表面配線上に形成され、且つ、前記複数の第3表面配線に電気的に接続された複数の第5外部接続用端子と、
を有し、
前記複数の第3表面配線、前記第3裏面配線および前記複数の第5外部接続用端子は、前記第1表面配線、前記第1裏面配線および前記第3外部接続用端子から電気的に絶縁され、
前記第1表面配線、前記第1裏面配線および第3外部接続用端子は、半導体チップの内部に形成されている集積回路に電気的に接続するために使用され、
前記複数の第3表面配線、前記第3裏面配線および前記複数の第5外部接続用端子は、抵抗値測定用の第2測定回路を構成している、配線基板。
【請求項15】
請求項14に記載の配線基板において、
前記第3裏面配線は、第3端子間接続部、第4端子間接続部、および、前記第3端子間接続部と前記第4端子間接続部とを接続する第2抵抗値測定部を有し、
前記複数の第5外部接続用端子のうち2つの前記第5外部接続用端子は、前記第3端子間接続部に電気的に接続され、且つ、第5始端端子および第6始端端子を構成し、
前記複数の第5外部接続用端子のうち他の2つの前記第5外部接続用端子が前記第4端子間接続部上に電気的に接続され、且つ、第7終端端子および第8終端端子を構成し、
前記第5始端端子、前記第6始端端子、前記第7終端端子および前記第8終端端子に抵抗測定器を電気的に接続することで、前記第2抵抗値測定部の抵抗値を測定できる、配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の動作の高速化および小型化などの要求から、半導体基板上の多層配線層の最上層の配線の一部であるパッド電極上に、再配線と呼ばれる配線を形成する技術が開発されている。再配線は、その配線抵抗を低くするために、銅を主体とする材料からなり、例えばメッキ法によって形成される。再配線の上面の一部には、例えばバンプ電極、半田ボールまたはワイヤボンディングなどのような外部接続用端子が形成される。再配線を採用した半導体装置では、再配線を引き回すことで、パッド電極と異なる領域に外部接続用端子を配置することができる。
【0003】
特許文献1には、WLCSP(Wafer Level Chip Size Package)と称される半導体装置が開示されている。特許文献1では、集積回路に電気的に接続されたパッド電極上に、再配線が形成されている。再配線上には、半田からなるボール電極が形成され、再配線は、樹脂膜によって封止されている。
【0004】
特許文献2では、エレクトロマイグレーションを評価するための半導体チップが開示されている。タングステンからなるビアおよびアルミニウムからなる配線、または、銅からなるビアおよび銅からなる配線によって、エレクトロマイグレーションを評価するための多層配線パターンが形成されている。その多層配線パターンのジュール発熱によって、エレクトロマイグレーションを加速させることで、各配線の評価を行う測定システムが考案されている。すなわち、特許文献2の半導体チップは、実製品としての機能を持つ集積回路は有さず、エレクトロマイグレーションを評価するための専用回路のみを有している。
【0005】
特許文献3および特許文献4には、半導体素子によって構成された温度測定回路が開示されている。半導体素子としてはバイポーラトランジスタが用いられ、主にバイポーラトランジスタによって構成された差動回路が、温度上昇による抵抗値の上昇を測定する回路を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-188313号公報
【文献】特許第4148911号公報
【文献】特開2009-145070号公報
【文献】特許第5144559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、高性能のプロセッサ、パワーマネージメントIC、DC-DCコンバータまたは電源ICなどの半導体装置では、半導体装置自体から発生する熱が問題視されている。このような半導体装置を実際に使用した際に、半導体装置自体から発せられる温度を測定することができれば、温度の管理または制御で有益であるが、従来技術には以下のような問題点がある。
【0008】
例えば特許文献1では、半導体装置自体に温度を測定する機能は備えられていない。従って、半導体装置に熱電対などの温度計を装着することで、温度を測定する方式が想定される。その場合、半導体装置の外側の温度しか測定することができないという問題がある。また、温度計を装着するための領域を確保する必要があるという弊害が生じる。また、温度計を装着する方式では、一括処理および自動化が困難なので、大量生産には不向きであるという問題もある。
【0009】
また、特許文献2は、エレクトロマイグレーションを評価するための専用回路を備えた評価チップである。従って、製品として出荷された半導体装置を実際に使用した際に、その温度を測定することはできない。また、このような専用回路を半導体装置の内部に設けることは、回路の複雑化またはチップサイズの拡大の原因となるので、現実的ではない。
【0010】
特許文献3および特許文献4でも同様に、温度測定回路を半導体装置の内部に設けることは、回路の複雑化またはチップサイズの拡大の原因となる。また、バイポーラトランジスタによって回路を構成するので、半導体プロセスに整合する場合でないと、このような回路を適用することは難しい。
【0011】
以上を考慮すると、製品として出荷される半導体装置に温度測定用の回路を設けるために、半導体チップのサイズを大きくせず、且つ、パッケージのサイズも大きくすることなく実現できる技術が望まれる。すなわち、半導体装置の微細化の促進を妨げることなく、半導体装置の信頼性を向上させる技術が望まれる。更に、特殊な部品の追加、または、特殊な製造工程の追加を行うことなく、それらを実現できれば、半導体装置の製造コストの抑制を達成できる。
【0012】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
一実施の形態における半導体装置は、その内部に集積回路を有し、且つ、その上面に前記集積回路に電気的に接続されたパッド電極を有する基板と、前記パッド電極を覆うように、前記基板の上面に形成された絶縁膜と、前記パッド電極の上面に達するように、前記絶縁膜中に形成された開口部と、前記開口部の内部および前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記パッド電極に電気的に接続された第1再配線と、前記第1再配線上に形成され、且つ、前記第1再配線に電気的に接続された第1外部接続用端子と、前記絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1再配線、前記パッド電極および前記集積回路から電気的に絶縁された第2再配線と、前記第2再配線上に形成され、且つ、前記第2再配線に電気的に接続された複数の第2外部接続用端子と、を備える。ここで、前記第2再配線および前記複数の第2外部接続用端子は、抵抗値測定用の第1測定回路を構成している。
【発明の効果】
【0015】
一実施の形態によれば、半導体装置の微細化の促進を妨げることなく、半導体装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図2】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図3】実施の形態1における抵抗値測定部の抵抗値を測定する際の等価回路図である。
図4】抵抗値と温度との相関関係を示すデータを作成するためのフローチャートである。
図5】抵抗値と温度との相関関係を示すデータである。
図6】抵抗値と温度との相関関係を示すグラフである。
図7】ジュール熱発熱用の配線を発熱させた場合の温度および時間を示すグラフである。
図8】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図12図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図13図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図14図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図15図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図16図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図18】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図19】実施の形態2における半導体装置の実装例を示す断面図である。
図20】変形例1における半導体装置の実装例を示す断面図である。
図21】変形例2における半導体装置の実装例を示す断面図である。
図22】変形例2における抵抗値測定部の抵抗値を測定する際の等価回路図である。
図23】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面図」または「平面視」などの表現は、X方向およびY方向によって構成される面を「平面」とし、この「平面」をZ方向から見ることを意味する。
【0019】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に図1および図2を用いて、実施の形態1における半導体装置100について説明する。図1は、半導体装置100の一部を示す平面図であり、図2は、図1のA-A線に沿った断面図である。半導体装置100は、基板10の上方に、再配線RW1、RW2、柱状電極PE1、PE2および外部接続用端子ET1、ET2を備えた半導体チップである。また、実施の形態1における半導体装置100の実装例は、WLCSP構造としている。
【0020】
基板10は、その内部に集積回路を有する。上記集積回路は、シリコンなどの半導体基板に形成された複数のトランジスタと、上記半導体基板上に形成された多層配線層とから構成される。また、基板10は、その上面に複数のパッド電極PDを有し、複数のパッド電極を覆う絶縁膜IF1を有する。複数のパッド電極PDは、上記多層配線層の最上層配線の一部であり、最上層配線のうち、絶縁膜IF1の開口部から露出した箇所である。複数のパッド電極PDは、アルミニウムを主体とする導電性膜を含み、例えば300~1000nmの厚さを有する。絶縁膜IF1は、基板10の内部に水分などが侵入することを防ぐための保護膜であり、例えば窒化シリコン膜および酸化シリコン膜の積層膜であり、例えば300~800nmの厚さを有する。
【0021】
図1および図2に示されるように、絶縁膜IF2は、複数のパッド電極PDを覆っている。絶縁膜IF2は、例えば感光性ポリイミド膜であり、例えば3~10μmの厚さを有する。絶縁膜IF2には、複数のパッド電極PDの上面に達するように、複数の開口部OPが形成されている。
【0022】
再配線RW1は、開口部OPの内部および絶縁膜IF2上に形成され、且つ、パッド電極PDに電気的に接続されている。半導体装置100には、複数の再配線RW1が設けられているが、ここでは、1つのパッド電極PD1に対して1つの再配線RW1が接続されている。再配線RW2は、絶縁膜IF2上に形成され、且つ、再配線RW1、パッド電極PDおよび上記集積回路から電気的に絶縁されている。再配線RW1および再配線RW2は、同層に形成され、同じ厚さを有し、例えば1μm以上、10μm以下の厚さを有する。
【0023】
再配線RW1上には、再配線RW1の厚さよりも厚い厚さを有する柱状電極PE1が形成されている。再配線RW2上には、それぞれRW2の厚さよりも厚い厚さを有する複数の柱状電極PE2が形成されている。柱状電極PE1および柱状電極PE2は、同層に形成され、同じ厚さを有し、例えば10μm以上、50μm以下の厚さを有する。なお、再配線RW1、再配線RW2、柱状電極PE1および柱状電極PE2は、パッド電極PDを構成する材料よりも低いシート抵抗値を有する材料からなり、例えば銅を主体とする導電性材料からなる。
【0024】
絶縁膜IF上には、柱状電極PE1、PE2の各々の上面を露出させるように、再配線RW1、RW2および柱状電極PE1、PE2を封止する封止樹脂MRが形成されている。封止樹脂MRは、例えば非感光性のエポキシ樹脂である。封止樹脂MRの上面には、研磨処理が施されている。このため、柱状電極PE1、PE2および封止樹脂MRの各々の上面は、平坦化され、面一になっている。
【0025】
柱状電極PE1の上面上には外部接続用端子ET1が形成され、柱状電極PE2の上面上には外部接続用端子ET2が形成されている。外部接続用端子ET1、ET2は、半導体装置100と異なる半導体チップ、リードフレームまたは配線基板などに電気的に接続させるために設けられ、例えば半田ボールのような、半田を主体とする導電性材料からなる。平面視において、柱状電極PE1は、開口部OPと異なる領域に位置する。再配線RW1によって引き回すことで、パッド電極PDと異なる位置に、外部接続用端子ET1を設けることができる。
【0026】
パッド電極PD、再配線RW1、柱状電極PE1および外部接続用端子ET1は、互いに電気的に接続され、再配線RW2、柱状電極PE2および外部接続用端子ET2は、互いに電気的に接続されている。しかし、再配線RW2、柱状電極PE2および外部接続用端子ET2は、パッド電極PD、再配線RW1、柱状電極PE1および外部接続用端子ET1から電気的に絶縁されている。
【0027】
<測定回路20について>
ところで、実施の形態1における半導体装置100は、領域1Aおよび領域2Aを備えている。領域1Aは、基板10の集積回路用の配線領域であり、再配線RW1が形成される領域である。領域2Aは、半導体装置100の温度測定用の配線領域であり、再配線RW2が形成される領域である。
【0028】
図1に示されるように、再配線RW2は、2つの端子間接続部RW2a、および、2つの端子間接続部RW2aを接続する抵抗値測定部RW2bを有している。複数の外部接続用端子ET2のうち2つの外部接続用端子ET2は、一方の端子間接続部RW2aに電気的に接続され、且つ、始端端子P1および始端端子P2を構成する。複数の外部接続用端子ET2のうち他の2つの外部接続用端子ET2は、他方の端子間接続部RW2aに電気的に接続され、且つ、終端端子P3および終端端子P4を構成する。
【0029】
このような再配線RW2、複数の柱状電極PE2および複数の外部接続用端子ET2(始端端子P1、P2、終端端子P3、P4)は、測定回路20を構成している。また、実施の形態1では、2つの端子間接続部RW2aおよび複数の柱状電極PE2が、抵抗値測定部RW2bと、始端端子P1、P2および終端端子P3、P4とを繋ぐ電気経路を構成している。
【0030】
始端端子P1、始端端子P2、終端端子P3および終端端子P4に抵抗測定器30を電気的に接続することで、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rを測定できる。そして、測定された抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rから、抵抗値測定部RW2bの温度を算出できる。以下に、そのような算出方法について説明する。
【0031】
図3は、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rを測定する際の等価回路図である。測定時には、測定回路20の始端端子P1、始端端子P2、終端端子P3および終端端子P4に、抵抗測定器30および直流電源31が電気的に接続される。測定回路20は4端子回路となっているので、測定回路20の配線長および接触抵抗などを排除して、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rのみを測定できる回路となっている。すなわち、実施の形態1では、2つの端子間接続部RW2aおよび複数の柱状電極PE2が電気経路を構成しているが、この電流経路の抵抗値を全体の抵抗値から引くことで、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rのみを算出できる。
【0032】
始端端子P1と終端端子P3との間の抵抗値をR13とし、始端端子P2と終端端子P4との間の抵抗値をR24とし、始端端子P1と始端端子P2との間の抵抗値をR12とし、終端端子P3と終端端子P4との間の抵抗値をR34とした場合、抵抗値Rは、以下の式1によって求められる。
={(R13+R24)-(R12+R34)}/2 ・・・式1
【0033】
抵抗値Rから抵抗値測定部RW2bの温度を算出するために、事前に、抵抗値Rと抵抗値測定部RW2bの温度との相関関係を示すデータを用意する。図4は、そのデータを作成するためのフローチャートを示している。
【0034】
まず、ステップS1では、外部加熱によって、半導体装置100の温度を上昇させる。例えば、半導体装置100を恒温槽に入れた状態で、温度を上昇させながら、上述のように、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rを測定する。この際、抵抗値Rの測定は、ジュール熱による温度上昇が無いような低い電流値(50mmA程度)の電流を、測定回路20に流すことで行われる。
【0035】
次に、ステップS2では、複数の温度点で取得された抵抗値Rを基にして、最小二乗法によって以下の式2を取得する。ここで、「y」は抵抗値であり、「x」は温度であり、「a」および「b」は定数である。
y=ax+b ・・・式2
【0036】
次に、ステップS3では、上記式2によって、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rと、抵抗値測定部RW2bの温度との相関関係を示すデータを得る。
【0037】
ステップS4は、半導体装置100を実際に使用した際の工程である。始端端子P1、始端端子P2、終端端子P3および終端端子P4に抵抗測定器30に接続し、基板10の内部の集積回路を動作させると共に、抵抗測定器30によって抵抗値Rを測定する。ステップS3で得られたデータを参照することで、測定された抵抗値Rから、抵抗値測定部RW2bの温度を算出することができる。
【0038】
図5図7は、本願発明者らが行った実験の結果を示すデータである。図5および図6は、図4のステップS3によって得られた結果である。図6は、図5をグラフ化したものである。ここでは、抵抗値測定部RW2bについて、厚さを5μm、幅を20μm、長さを1.51mmとして実験を行った。測定回路20を恒温槽内へ設置し、熱電対を取り付けて温度を測定した。印可電流は50mAの定電流とした。
【0039】
図5に示されるように、恒温槽内の温度を30℃、70℃、105℃、140℃、180℃へ変化させ、各温度に対する電圧を測定し、抵抗値Rを算出した。図6に示されるように、最小二乗法によって近似直線の関係式を算出した結果、上記式2が「y=0.0012x+0.28」となり、傾きRaが0.9998となった。
【0040】
図7は、抵抗値測定部RW2bに並走するように、ジュール熱発熱用の配線を設け、ジュール熱発熱用の配線を発熱させて、抵抗値測定部RW2bから温度を測定した結果を示す。なお、ジュール熱発熱用の配線について、厚さを5μm、幅を10μm、長さを1.51mmとして実験を行った。また、抵抗値測定部RW2bとジュール熱発熱用の配線との間隔は、20μmとした。
【0041】
ジュール熱発熱用の配線に、200mA、400mA、600mA、800mAの電流を、それぞれ10分ずつ印可した。電流を印可することでジュール熱発熱用の配線が発熱している際に、隣接する抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rを、図3の等価回路図で測定した。測定した抵抗値R図6の式2によって温度へ変換し、その温度を図7の縦軸としている。以上により、抵抗値測定部RW2bによって、半導体装置100の内部温度を測定できることが確認できた。
【0042】
以上のように、実施の形態1によれば、半導体装置100が測定回路20を備えていることで、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rから抵抗値測定部RW2bの温度を知ることができる。従って、基板10内の集積回路を動作させると同時に、半導体装置100の内部の温度を知ることができる。すなわち、抵抗値測定部RW2bが基板10の表面に非常に近い位置に設けられているので、基板10の内部の集積回路からの発熱を、より正確に測定することができる。このため、温度の管理または制御を高精度に行うことができる。更に、抵抗値測定部RW2bを発熱が懸念される箇所の上部に配置すれば、より正確に発熱部の温度を測定することが可能になる。
【0043】
また、測定回路20を設けるにあたり、基板10のサイズを大きくせず、且つ、パッケージのサイズも大きくすることなく実現できる。以上のように、実施の形態1によれば、半導体装置の微細化の促進を妨げることなく、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、実施の形態1では、測定回路20が1つ設けられている場合を例示したが、半導体装置100には、2つ以上の測定回路20が設けられていてもよい。その場合、半導体装置100内の異なる箇所において、温度を測定することが可能になる。
【0045】
また、実施の形態1における測定回路20は、半導体装置100が製品として使用される場合だけでなく、各特性を評価するための評価用の半導体装置にも使用することもできる。
【0046】
<半導体装置の製造方法について>
以下に図8図17を用いて、実施の形態1における半導体装置の製造方法について説明する。
【0047】
まず、図8に示されるように、集積回路と、その上面にパッド電極PDとを有する基板10を用意する。基板10の上面は、絶縁膜IF1で覆われており、絶縁膜IF1の開口部においてパッド電極PDが露出している。
【0048】
図9に示されるように、パッド電極PDを覆うように、絶縁膜IF1上に絶縁膜IF2を形成する。絶縁膜IF2は、例えば感光性のポリイミド膜であり、例えば塗布法によって形成できる。次に、絶縁膜IF2に対して選択的に露光処理を行うことで、絶縁膜IF2をパターニングする。これにより、絶縁膜IF2中に、パッド電極PDの上面に達する開口部OPを形成する。その後、絶縁膜IF2に対して熱処理を施すことで、絶縁膜IF2を硬化させる。
【0049】
図10に示されるように、開口部OPの内部および絶縁膜IF上に、スパッタリング法を用いて、シード層SDを形成する。シード層SDは、例えばチタン膜のようなバリアメタル膜と、銅膜とからなる。なお、シード層SDの厚さは200~800nm程度である。次に、絶縁膜IF2上に、少なくとも開口部OPを開口するパターンを有するレジストパターンRP1を形成する。レジストパターンRP1は、塗布法によってレジスト膜を形成し、上記レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、上記レジスト膜をパターニングすることで形成される。
【0050】
図11に示されるように、開口部OPの内部および絶縁膜IF2上に、パッド電極PD1に電気的に接続される再配線RW1を形成し、絶縁膜IF2上に、再配線RW2を形成する。具体的には、電解メッキ法によって、レジストパターンRP1から露出しているシード層SD上に、再配線RW1および再配線RW2を形成する。その後、例えば剥離液による溶解によって、レジストパターンRP1を除去する。
【0051】
なお、以降の説明では、再配線RW1および再配線RW2に覆われているシード層SDは、再配線RW1および再配線RW2の一部として説明し、その図示を省略する。
【0052】
図12に示されるように、シード層SD、再配線RW1および再配線RW2の各々の上面上に、少なくとも再配線RW1および再配線RW2の各々の一部を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。レジストパターンRP2は、塗布法によってレジスト膜を形成し、上記レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、上記レジスト膜をパターニングすることで形成される。
【0053】
図13に示されるように、再配線RW1上に、再配線RW1の厚さよりも厚い厚さを有する柱状電極PE1を形成し、再配線RW2上に、それぞれ再配線RW2の厚さよりも厚い厚さを有する複数の柱状電極PE2を形成する。具体的には、電解メッキ法によって、レジストパターンRP2から露出している再配線RW1上に柱状電極PE1を形成し、レジストパターンRP2から露出している再配線RW2上に柱状電極PE2を形成する。
【0054】
図14に示されるように、例えば剥離液による溶解によって、レジストパターンRP2を除去する。次に、絶縁膜IF2上に残されているシード層SDに対してウェットエッチング処理を施す。これにより、再配線RW1および再配線RW2から露出しているシード層SDが除去される。
【0055】
図15に示されるように、柱状電極PE1および柱状電極PE2の各々の上面を覆うように、絶縁膜IF2上において、再配線RW1、再配線RW2、柱状電極PE1および柱状電極PE2を、封止樹脂MRによって封止する。封止樹脂MRは、例えばスクリーン印刷法によって形成される。また、封止樹脂MRは、柱状電極PE1および柱状電極PE2の各々の上面から50~100μm程度の位置まで形成される。
【0056】
図16に示されるように、封止樹脂MRに対して研磨処理を行うことで、柱状電極PE1および柱状電極PE2の各々の上面を封止樹脂MRから露出させる。これにより、柱状電極PE1、柱状電極PE2および封止樹脂MRの各々の上面は、平坦化され、面一になる。
【0057】
図17に示されるように、柱状電極PE1の上面上に、外部接続用端子ET1を形成し、柱状電極PE2の上面上に、外部接続用端子ET2を形成する。外部接続用端子ETは、例えば半田ボールのような、半田を主体とする導電性材料からなる。半田ボールは、例えば、半田ペーストを印刷した後、リフロー処理を行うことで形成できる。その後、ダイシングラインDLに沿ってダイシングを行うことで、基板10が個片化され、図2に示される半導体装置100が、複数個取得される。
【0058】
以上により、実施の形態1における半導体装置100が製造される。実施の形態1によれば、半導体装置100に測定回路20を設けるにあたり、特殊な部品の追加、または、特殊な製造工程の追加を行うことが無い。従って、実施の形態1によれば、半導体装置100の製造コストを抑制することができる。
【0059】
(実施の形態2)
以下に図18および図19を用いて、実施の形態2における半導体装置100について説明する。なお、以下では、主に実施の形態1との相違点について説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0060】
実施の形態1では、単体で半導体パッケージとして使用できるWLCSP構造を例示した。実施の形態2では、再配線RW1、RW2が形成された基板10を、リードフレームまたは配線基板などへ実装する場合を例示する。
【0061】
図18に示されるように、再配線RW1上に柱状電極PE1が形成され、再配線RW2に柱状電極PE2が形成されている。柱状電極PE1の上面に外部接続用端子ET1が形成され、柱状電極PE2の上面に外部接続用端子ET2が形成されている。実施の形態2では、外部接続用端子ET1、ET2は、半田を主体とする導電性材料からなり、例えば半田メッキである。メッキ処理の後にリフロー処理がされているので、半田メッキは、半球形状となっている。また、半田メッキの厚さは、5~50μm程である。
【0062】
また、再配線RW1、RW2を覆うように、絶縁膜IF2上に絶縁膜IF3が形成されている。絶縁膜IF3は、例えば塗布法によって形成された感光性ポリイミド膜である。なお、絶縁膜IF3は、必須ではなく、設けられていなくてもよい。
【0063】
図19は、図18の実装例として、QFN(Quad Flat No leaded package)構造とした場合を示し、リードフレームから形成された複数のリード端子LF1、LF2を用いる。外部接続用端子ET1にリード端子LF1が電気的に接続され、外部接続用端子ET2にリード端子LF2が電気的に接続されている。
【0064】
実施の形態2では、複数のリード端子LF2は、測定回路20の一部を構成し、始端端子P1、P2および終端端子P3、P4を構成する。すなわち、複数のリード端子LF2のうち一方の端子間接続部RW2aに電気的に接続された2つのリード端子LF2が、始端端子P1および始端端子P2を構成し、複数のリード端子LF2のうち他方の端子間接続部RW2aに電気的に接続された2つのリード端子LF2が、終端端子P3および終端端子P4を構成する。
【0065】
また、2つの端子間接続部RW2a、複数の柱状電極PE2および複数の外部接続用端子ET2が、抵抗値測定部RW2bと、始端端子P1、P2および終端端子P3、P4とを繋ぐ電気経路を構成する。
【0066】
また、封止樹脂MRは、複数のリード端子LF1および複数のリード端子LF2の各々の上面を露出させるように、再配線RW1、再配線RW2、複数の外部接続用端子ET1、複数の外部接続用端子ET2、複数のリード端子LF1、複数のリード端子LF2および基板10を封止している。
【0067】
実施の形態2でも、複数のリード端子LF2(始端端子P1、始端端子P2、終端端子P3および終端端子P4)に抵抗測定器30を接続することで、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rを測定することができる。
【0068】
(変形例1)
以下に図20を用いて、実施の形態2の他の実装例について説明する。図20は、たとえばプリント配線基板またはコアレス基板のような配線基板を用いた実装例を示している。
【0069】
なお、コアレス基板50上には、基板10を備えた半導体チップの他に、他の電子部品が搭載されている場合もある。変形例2では、そのような場合の半導体モジュールも半導体装置100として扱う。
【0070】
コアレス基板50は、表面および裏面を有し、樹脂層と配線層とが交互に積層された構造となっている。コアレス基板50は、主に、樹脂層IF4、樹脂層IF5、複数の表面配線51、複数の表面配線52、複数の裏面配線53、複数の裏面配線54、複数の外部接続用端子55および複数の外部接続用端子56を有する。
【0071】
表面配線51、52および裏面配線53、54は、例えば銅を主体とする導電性材料からなり、例えばメッキ法によって形成されている。複数の再配線RW1、RW2、柱状電極PE1、PE2、複数の外部接続用端子ET1、ET2、複数の裏面配線53、54および基板10は、封止樹脂MRによって封止されている。樹脂層IF4、IF5は、例えばエポキシ樹脂のような樹脂材料からなる。なお、樹脂層IF4、IF5上には、表面配線51、52および裏面配線53、54の一部を覆うソルダレジストが設けられているが、ここでは、それらの図示を省略する。
【0072】
複数の表面配線51および複数の表面配線52は、コアレス基板50の表面側に形成されている。複数の裏面配線53および複数の裏面配線54は、コアレス基板50の表面側に形成されている。複数の裏面配線53は、コアレス基板50の内部に形成されている他の配線およびビアなどの導電体を介して、複数の表面配線51に電気的に接続されている。複数の裏面配線54は、コアレス基板50の内部に形成されている他の配線およびビアなどの導電体を介して、複数の表面配線52に電気的に接続されている。
【0073】
複数の外部接続用端子55は、複数の表面配線51上に形成され、複数の表面配線51に電気的に接続されている。複数の外部接続用端子56は、複数の表面配線52上に形成され、複数の表面配線52に電気的に接続されている。
【0074】
複数の表面配線52、複数の裏面配線54および複数の外部接続用端子56は、複数の表面配線51、複数の裏面配線53および複数の外部接続用端子55から電気的に絶縁されている。複数の裏面配線53は、複数の外部接続用端子ET1に電気的に接続され、複数の裏面配線54は、複数の外部接続用端子ET2に電気的に接続されている。複数の表面配線51、複数の裏面配線53および複数の外部接続用端子55は、基板10の集積回路のような、半導体チップの内部に形成されている集積回路に電気的に接続するために使用される。
【0075】
変形例1では、複数の表面配線52、複数の裏面配線54および複数の外部接続用端子56も測定回路20の一部を構成しており、複数の外部接続用端子56が、始端端子P1、始端端子P2、終端端子P3および終端端子P4を構成する。すなわち、複数の外部接続用端子56のうち一方の端子間接続部RW2aに電気的に接続された2つの外部接続用端子56が、始端端子P1および始端端子P2を構成し、複数の外部接続用端子56のうち他方の端子間接続部RW2aに電気的に接続された他の2つの外部接続用端子56が、終端端子P3および終端端子P4を構成する。
【0076】
また、2つの端子間接続部RW2a、複数の柱状電極PE2、複数の外部接続用端子ET2、複数の表面配線52および複数の裏面配線54が、抵抗値測定部RW2bと、始端端子P1、P2および終端端子P3、P4とを繋ぐ電気経路を構成する。
【0077】
変形例1でも、複数の外部接続用端子56(始端端子P1、始端端子P2、終端端子P3および終端端子P4)に抵抗測定器30を接続することで、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rを測定することができる。
【0078】
また、変形例1では、複数の外部接続用端子56の互いの間の距離(ピッチ)が、複数の外部接続用端子ET2の互いの間の距離(ピッチ)よりも大きくなっている。例えば、半導体装置100をマザーボードなどに搭載する際に、複数の外部接続用端子ET2のピッチが小さいと、ショート不良などの不具合を引き起こす恐れがある。変形例1のような実装例を適用し、複数の外部接続用端子56のピッチを大きくすることで、そのような恐れを解消することができる。
【0079】
(変形例2)
以下に図21および図22を用いて、実施の形態2の他の実装例について説明する。変形例2でも変形例1と同様にコアレス基板50を用いており、変形例2の構造は、変形例1の構造とほぼ同じである。しかし、変形例2では、図21に示されるように、再配線RW2を用いた測定回路20が設けられておらず、コアレス基板50に、測定回路20とは異なる他の抵抗値測定用の測定回路21が設けられている。
【0080】
このような測定回路21は、複数の表面配線57、裏面配線58および複数の外部接続用端子59によって構成される。複数の表面配線57、裏面配線58および複数の外部接続用端子59は、複数の表面配線51、複数の裏面配線53、および複数の外部接続用端子55とは異なる領域に形成され、これらから電気的に絶縁されている。
【0081】
図22は、測定回路21の等価回路を示している。詳細に図示はしていないが、裏面配線58が、再配線RW2と同じ機能をもつ構成となっている。裏面配線58は、2つの端子間接続部58a、および、2つの端子間接続部58aを接続する抵抗値測定部58bを有している。複数の外部接続用端子59のうち2つの外部接続用端子59は、一方の端子間接続部58aに電気的に接続され、且つ、始端端子P5および始端端子P6を構成する。複数の外部接続用端子59のうち他の2つの外部接続用端子59は、他方の端子間接続部58a上に電気的に接続され、且つ、終端端子P7および終端端子P8を構成する。
【0082】
変形例2では、2つの端子間接続部58aと、複数の表面配線57と、コアレス基板50の内部に形成されている他の配線およびビアなどの導電体とが、抵抗値測定部58bと、始端端子P5、P6および終端端子P7、P8とを繋ぐ電気経路を構成している。
【0083】
始端端子P5、始端端子P6、終端端子P7および終端端子P8に抵抗測定器30を電気的に接続することで、抵抗値測定部58bの抵抗値Rを測定できる。そして、図4のフローチャートと同じ手段を行うことで、測定された抵抗値測定部58bの抵抗値Rから、抵抗値測定部58bの温度を算出できる。
【0084】
変形例2のコアレス基板50を用いることで、再配線RW2を用いた測定回路20が無かったとしても、半導体装置100の内部の温度を測定することができる。そのため、例えば再配線RW1、RW2などが形成されておらず、且つ、パッド電極PD上にバンプ電極が直接形成されたような半導体装置にも変形例2を適用できる。従って、ウェハ状態での調達または加工が困難である単体の半導体チップ、または、化合物半導体など特殊材料を使用した半導体チップについても、変形例2を適用することで、半導体チップの内部の温度を測定することが可能となる。
【0085】
また、変形例1(図20)のように再配線RW2を用いた測定回路20を設け、測定回路20とは別の場所に、変形例2の測定回路21を設けることもできる。その場合、半導体装置100の内部のうち異なる箇所での温度を同時に測定することができる。すなわち、変形例2によれば、半導体装置100の内部の温度を測定するための回路は、コアレス基板50の測定回路21だけの場合もあるし、測定回路21と、再配線RW2を用いた測定回路20とを併用する場合もある。
【0086】
(実施の形態3)
以下に図23を用いて、実施の形態3における半導体装置100について説明する。なお、以下では、主に実施の形態1との相違点について説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0087】
実施の形態3では、柱状電極PE1、PE2が形成されておらず、外部接続用端子ET1は、再配線RW1上に直接形成され、複数の外部接続用端子ET2は、それぞれ再配線RW2上に直接形成されている。
【0088】
再配線RW1、RW2を覆うように、絶縁膜IF2上に絶縁膜IF3が形成されている。絶縁膜IF3は、例えば塗布法によって形成された感光性ポリイミド膜である。絶縁膜IF3の一部には複数の開口部が設けられ、複数の開口部から露出した領域に、外部接続用端子ET1、ET2が形成されている。実施の形態3における外部接続用端子ET1、ET2は、半田を主体とする導電性材料からなり、例えば半田バンプと、半田バンプの下に形成された金属膜との積層膜からなる。また、半田バンプの径は、50~250μm程度である。
【0089】
実施の形態3では、再配線RW2および複数の外部接続用端子ET2が、測定回路20を構成している。実施の形態3でも、複数の外部接続用端子ET2(始端端子P1、始端端子P2、終端端子P3および終端端子P4)に抵抗測定器30を接続することで、抵抗値測定部RW2bの抵抗値Rを測定することができる。
【0090】
なお、実施の形態2、変形例1および変形例2の各実装例では、図18に示される柱状電極PE1、PE2を備えた構造を使用したが、実施の形態2、変形例1および変形例2に、実施の形態3の構造を適用してもよい。
【0091】
以上、本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 基板
20、21 測定回路
30 抵抗測定器
31 直流電源
50 コアレス基板(配線基板)
51、52、57 表面配線
53、54、58 裏面配線
55、56、59 外部接続用端子
58a 端子間接続部
58b 抵抗値測定部
100 半導体装置
1A 領域(集積回路用の配線領域)
2A 領域(温度測定用の配線領域)
DL ダイシングライン
ET1、ET2 外部接続用端子
IF1~IF3 絶縁膜
IF4、IF5 樹脂層
LF1、LF2 リード端子
MR 封止樹脂
OP 開口部
P1、P2、P5、P6 始端端子
P3、P4、P7、P8 終端端子
PD パッド電極
PE1、PE2 柱状電極
PR1、RP2 レジストパターン
RW1、RW2 再配線
RW2a 端子間接続部
RW2b 抵抗値測定部
SD シード層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23