(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】飲料調製方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/40 20060101AFI20231116BHJP
A47J 31/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A47J31/40 101
A47J31/00 302
(21)【出願番号】P 2021503824
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2019069683
(87)【国際公開番号】W WO2020020826
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-07
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ミーヴイル, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】セクリック, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィラー, ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ラシーヌ, ユーグ
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-078132(JP,U)
【文献】実開昭63-012284(JP,U)
【文献】国際公開第85/002989(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/121944(WO,A1)
【文献】特表2010-512207(JP,A)
【文献】米国特許第05303639(US,A)
【文献】特開2004-227437(JP,A)
【文献】実開昭58-000723(JP,U)
【文献】実開昭63-110986(JP,U)
【文献】実公昭58-012300(JP,Y2)
【文献】特表2016-526419(JP,A)
【文献】特開昭63-30997(JP,A)
【文献】特開平3-167690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
G07F 13/00-15/12
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製装置において可溶性飲料粉末を水で溶かすことによって飲料を生成するための方法であって、前記装置が、
1回分の可溶性飲料粉末を受け入れ、水と混合するための少なくとも1つのチャンバ(1)を備え、
前記チャンバが、
前記1回分の可溶性飲料粉末を受け入れるための開放された頂部と、
水入口(2)を含む横側壁(11)と、
飲料出口導管(3)を含む底壁(12)と、を備え、
前記水入口と前記チャンバの内部形状とが、前記水入口を通じて導入された水が前記チャンバ内に旋回流を形成することができるように構成されており、
前記底壁が、前記飲料出口導管の方向に傾斜した漏斗の形状を有し、
前記飲料出口導管が、少なくとも5mmの水力直径を有し、
前記漏斗が、水平に対して少なくとも30°の角度で傾斜しており、
前記方法が、
a)前記水入口(2)を通じて水を導入して、前記底壁の前記漏斗の内面を湿らせる工程と、次に、
b)水の導入を停止する工程と、次に、
c)前記チャンバ内に1回分の可溶性飲料粉末を導入
し、前記底壁の前記漏斗の前記内面に湿潤した前記粉末の層を形成する工程と、次に、
d)前記チャンバ内に水を導入して前記粉末を溶かす工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記湿らせる工程a)において、水が、前記底壁の前記漏斗の前記内面に沿って水の旋回流を生成するように設定された流量で、前記水入口を通じて前記チャンバ内に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記湿らせる工程a)において、水が、前記底壁の前記漏斗の前記内面のみを湿らせることを可能にする量で導入される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶かす工程d)において、水が、水の上昇旋回流を生成するように設定された流量で、前記チャンバ内に導入される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粉末が乳粉末である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記チャンバが、少なくとも100mLの内容積部を有し、前記飲料出口の前記導管の前記水力直径D
0が、少なくとも5mmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記出口導管には閉鎖手段がない、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記飲料調製装置が、
前記水入口(2)に接続可能な水供給システム(
105)と、
1回分の可溶性飲料粉末を前記チャンバ(1)に供給するように構成された投入装置(107、108)と、
を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記飲料調製装置の前記チャンバ内で、
前記水入口が、前記チャンバの底部の近くに配置されており、
前記水入口が、水が水の真っ直ぐなジェットとして前記チャンバ内に導入されるように構成されており、前記導入された真っ直ぐなジェットが、線Lに沿って前記チャンバの内容積部を通って横方向に延び、前記線Lが、前記チャンバの長手方向中心軸(XX’)に対してオフセットされており、
前記水入口の反対側の、前記線Lが横切る円筒形横側壁の領域において、前記チャンバが、前記円筒形横側壁から前記チャンバ内に延びる隆起部(4)を含み、前記隆起部が、
前記チャンバ内に水を導入して前記粉末を溶かす工程d)において、
前記チャンバの前記内容積部を通って横方向に延びる、前記導入された水の真っ直ぐなジェットを、前記チャンバの前記横側壁に沿って流れる旋回流に変換し、
前記隆起部に戻るように回転する前記旋回流の直径を縮小させ、前記旋回流を前記水入口の方向に案内するように設計された形状を有する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶性飲料粉末から飲料を調製する飲料ディスペンサに関し、1回分のこの粉末が、混合チャンバ内の水と混合される。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2008/071613号には、1回分の飲料可溶性粉末が水と混合される泡立て飲料を調製するための混合チャンバを備える飲料調製マシンが記述されている。この混合チャンバは、インペラ又はホイッパのようなモータによって駆動される任意の撹拌装置がなくてすむという大きな利点を有する。撹拌、溶解、及び泡立ては、チャンバ内に導入された水のジェットの力のみによって得られる。その結果、機械の製造コストは低くなる。
【0003】
こうした混合チャンバは、特に、可溶性インスタントコーヒーからの泡立ちコーヒー飲料の調製に適合される。調製プロセスは、チャンバ内に1回分のコーヒー粉末を導入し、次いで水を導入して粉末を溶かすことからなる。混合チャンバは、コーヒーを溶かして泡立てるために、水を用いた十分な攪拌が提供される。
【0004】
このようなチャンバを用いてミルクが可溶性乳粉末から調製されるミルク入り飲料を生成することが望ましい場合、チャンバは特定の特性を有するべきである。
【0005】
まず、コーヒーラテ又はカプチーノなどの乳飲料は、特定の量のミルク、一般的に約100mLのミルク、又は更にはより多くのミルクを必要とする。この量は、約60mLのコーヒーエスプレッソを調製するための量よりもはるかに多い。つまり、チャンバは、大量の水で溶かして泡立て、大きな飲料出口により、飲料を迅速かつ正確に注出することができるように設計されなければならないことを意味する。
【0006】
加えて、大量のミルクの可能な限り迅速な完全な注出を容易にするために、飲料出口の方向に水平に対して十分に傾斜した漏斗形状でチャンバの底壁を設計することが強く勧められる。
【0007】
しかし、このようなチャンバを実装することにより、流動性の高い乳粉末を使用するときに障害が発生した。この種の粉末は、粉末が乳粉末タンク内に貯蔵され、そのタンクから投入ユニットによって1回分が供給されるために、飲料調製マシンで頻繁に使用される。投入の均一性を向上させるため、流動性の高い乳粉末、例えば、SiO2又はCaCO3のような添加剤を含む粉末が好ましい。
【0008】
上記のような混合チャンバでは、長時間にわたって飲料が調製されておらず(例えば、その日の最初の1杯)、よって、混合チャンバが乾燥している場合、1回分の高流動性の乳粉末が、チャンバの漏斗形状の底部に沿って直線状に流れ、次いで、大きな飲料導管を通って混合チャンバを出て、下流に配置された飲用容器内へそのまま供給されることが観察された。これは許容できない。
【0009】
この問題を解決するための解決策は、飲料出口を閉鎖又は開放するためにクランプ装置を使用することであってもよい。このようなクランプ装置を用いて、飲料の調製が終了していないうちは粉末の投入中に混合チャンバの出口を閉鎖しておくことができる。また、併せて、いったん準備ができれば、迅速に飲料を注出するように大きな出口を設計することができる。しかしながら、このようなクランプ装置は、モータによって作動させなければならず、モータは、機械のコストに直接影響を及ぼす。
【0010】
モータを有さない混合チャンバを用いて、高流動性の可溶性飲料粉末から有意な量の飲料を調製することができる飲料装置を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
飲料調製装置において可溶性飲料粉末を水で溶かすことによって飲料を生成するための方法が提供され、装置は、
1回分の可溶性飲料粉末を受け入れ、水と混合するための少なくとも1つのチャンバを備え、チャンバは、
1回分の可溶性飲料粉末を受け入れるための開放された頂部と、
水入口を含む横側壁と、
飲料出口導管を備える底壁と、を備え、
水入口とチャンバの内部形状とは、水入口を通じて導入された水がチャンバ内に旋回流を形成することができるように構成されており、
底壁は、飲料出口導管の方向に傾斜した漏斗の形状を有し、
飲料出口導管は、少なくとも5mmの水力直径を有し、
漏斗は、水平に対して少なくとも30°の角度で傾斜しており、
本方法は、
a)水入口を通じて水を導入して、底壁の漏斗の内面を湿らせる工程と、次に、
b)水の導入を停止する工程と、次に、
c)チャンバ内に1回分の可溶性飲料粉末を導入する工程と、次に、
d)チャンバ内に水を導入して、粉末を溶かす工程と、を含む。
【0012】
本方法で使用されるチャンバは、横側壁を含む。好ましくは、チャンバは、横側壁が実質的に垂直になるように装置内に配置される。横側壁の下部は、略円筒形である。
【0013】
横側壁の残りの部分も円筒形とすることができる、又はチャンバの水平断面を増加させるために開放させることができる。通常、上部においては、断面が円形断面に似た湾曲形状を有する。
【0014】
通常、チャンバの上部は、少なくとも部分的に開放されている。可溶性飲料粉末は、重力落下によって、開放された頂部を通ってチャンバ内に導入され得る。
【0015】
横側壁は、水入口を備える。
【0016】
水入口とチャンバの内部形状とは、水入口を通じて導入された水がチャンバ内に旋回流を形成することができるように構成される。
【0017】
好ましくは、この水入口は、略円筒形であるチャンバの下部に配置される。したがって、チャンバは底部から水を充填される。
【0018】
水入口は、水が真っ直ぐな水のジェットの形状でチャンバ内に導入されるように構成されている。ジェットとは、水入口から出て、チャンバ内に迅速かつ強力に流れる水流であると理解される。したがって、水入口は、水を高速で内側チャンバ内に導入するように構成されている。通常、この真っ直ぐなジェットは、チャンバの側壁の水入口に配置されたノズルによって生成され、そこから出現する。したがって、水入口は、好ましくはノズルを備える。
【0019】
その次に好ましい実施形態によれば、ノズルは、円筒形横側壁の内部に設計することができる。その結果、チャンバ及びノズルは、1つの単一材料部品から作製することができる。
【0020】
水ノズル出口のサイズ、チャンバの直径、及び水圧は、概して、高速のジェット及び水の旋回効果を得るように適合される。
【0021】
一般的に、ノズルは、直径が0.2~0.8mm、好ましくは0.3~0.6mm、更により好ましくは約0.5mmの円形面の面積と同等の表面積を有する出口断面を呈する。
【0022】
そのような寸法により、ノズル内の2~10バール、好ましくは4~7バールの圧力での水の送達は、高速のジェットの生成及びチャンバ内での旋回流の生成を可能にする。
【0023】
任意選択的に、第2の水入口をチャンバの頂部付近に配置することができる。これは、チャンバが泡を有さない飲料を生成するために使用される場合に、追加の水を導入することを目的とする。これにより、チャンバの最終的なすすぎも可能になる。
【0024】
好ましくは、水入口はまた、水の真っ直ぐなジェットが、線Lに沿ってチャンバの内容積部を通って横方向に延びるように向けられ、この線Lは、チャンバの長手方向中心軸に対してオフセットされている。
【0025】
より具体的には、線Lは、比d/r0が0.2~0.4、好ましくは約0.3となる方向に向けられ、r0はチャンバの円筒形横側壁の半径であり、dは、線Lからチャンバの長手方向中心軸まで直交方向に測定される距離である。この構成は、粉末の溶解を向上させる。
【0026】
一般的に、装置は、水入口に接続可能な水供給システムを備える。
【0027】
水は、高温又は低温のいずれかで供給することができる。概して、飲料製造マシンの水供給システムは、少なくとも、水タンク又は水供給部、水ポンプ、水加熱器及び/又は冷却器、及び水送達を作動させるためのバルブを備える。システムは、高温又は低温のいずれかで水を送達するための選択バルブを更に備えることができる。
【0028】
チャンバの底壁は、側壁の下方に配置されており、したがって、水入口は底壁の上方に配置される。チャンバの底壁は、飲料出口導管の方向に傾斜した漏斗の形状を有する。その結果、底壁は、飲料の完全な注出を容易にするために、飲料出口の方向に水平に対して傾斜している。通常、底壁は、水平に対して少なくとも30°、好ましくは30~60°の角度で傾斜する。
【0029】
一般的に、飲料出口は、導管であり、好ましくは垂直方向に向けられている。飲料出口導管は、通常、円形断面を有しているが、楕円形状などの他の形状も実現され得る。導管は、好ましくは少なくとも部分的に真っ直ぐである。飲料出口は、断面積が縮小していくいくつかの連続導管を備えることができる。
【0030】
導管の断面は、大量の飲料を迅速に注出できるほど十分に大きい。好ましくは、飲料出口導管の水力直径は、少なくとも5mmである。水力直径とは、丸い断面を有する導管の直径が、異なる形状の断面を有する導管と同じ断面積を有することを意味する。
【0031】
好ましくは、導管の断面は、少なくとも2つ、更により好ましくは4つの真っ直ぐな等しい副導管に細分される。
【0032】
好ましい実施形態によれば、導管の断面は、主導管を通って長手方向に延びる取り外し可能な仕切りによって細分され得る。この取り外し可能な特性は、仕切り及び導管の徹底的な洗浄を可能にする。好ましくは、取り外し可能な仕切りにはロッドが取り付けられ、このロッドは、仕切りが導管内に配置されたときにチャンバの頂部まで延びる。このロッドは、操作者による導管からの仕切りの取り外しを容易にする。
【0033】
好ましくは、仕切りは、導管の断面を4つの等しい流路に分割する十字型の形状を有する。
【0034】
この仕切りの特定の効果は、飲料導管内で旋回する飲料の回転を防止することである。飲料が旋回することは、以下のような欠点を有するため、導管内では望ましくない:
注出を減速させる、及び
飲用容器内に飲料を真っ直ぐに流して注出するのではなく、はね散らす。
【0035】
通常、チャンバの壁によって画定される内容積部は、大量の飲料の調製を可能にし、この飲料を迅速に注出するのに十分である。
【0036】
好ましい実施形態では、本方法は、少なくとも100mLの内容積部を有するチャンバに適用され、飲料出口導管の水力直径D0は、少なくとも5mmである。
【0037】
出口導管は開放されている。出口導管には閉鎖手段がない。
【0038】
一実施形態によれば、飲料出口の位置は、チャンバの円筒形横側壁の長手方向中心軸からオフセットされ得る。このような実施形態は、少なくとも2つのチャンバを備える飲料調製装置において好ましく、チャンバの飲料出口は、同じ領域に出現する。このような複数のチャンバは、コーヒーと泡状ミルクなどのいくつかの飲料成分を含む飲料の調製に使用され、いずれの飲料も同じ飲用容器に導入される。
【0039】
上述のチャンバを有する飲料を調製するために、本方法は、a)底壁の漏斗の内面を湿らせるために水入口を通じて水を導入し、次いで、b)水の導入を停止する第1の工程を含む。
【0040】
この湿らせる工程a)中、水は、底壁の漏斗の内面に沿って水の旋回流を生成するように設定された流量で、水入口を通じて導入される。この旋回流は、漏斗形状の表面に水の膜を残す。好ましくは、水は、漏斗の底壁の内面のみを湿らせることを可能にする量で導入される。工程a)の間に導入される水の量は、内面を実質的に湿らせて、かつ飲料出口導管の下に配置された飲用容器内の飲料導管から水滴が流出するのを回避するように構成される。
【0041】
粉末を投入する第2の工程c)が行われる前に、水の導入が停止される(工程b))。
【0042】
円形漏斗の形状を呈する底壁を有し、漏斗が約50mmの最大直径及び約10mmの高さを有するチャンバの場合、表面を湿らせるために導入される水の量は約2mLで十分である。
【0043】
第2の投入工程では、1回分の可溶性飲料粉末が、チャンバの上部開口部を通じて導入される。粉末は、底壁に接触するとすぐに、内面に広がった水の膜と反応して湿潤粉末の層を形成するため、底壁に到達する粉末はチャンバの湿潤面上で摺動しない。漏斗の表面を覆うこの第1の粉末層の上方に落下する残りの粉末は、第1の層上に保持され、導管の下方へと落下することが防止される。
【0044】
仕切りが飲料導管の内部に存在する場合、粉末の摺動現象(sliding effect)が更に低減される。
【0045】
第3の溶かす工程では、水がチャンバ内に導入されて、飲料粉末を溶かす。好ましくは、水は、水の上昇旋回流を生成するように設定された流量で、チャンバ内に導入される。
【0046】
好ましくは、上記の方法で使用される粉末は、可溶性乳粉末である。
【0047】
一般的に、飲料調製装置は、チャンバを装置内に取り外し可能に配置し、チャンバ水入口を水供給システムに接続するための受容領域を有する。したがって、洗浄及びメンテナンスのためにチャンバを取り外すことができる。
【0048】
一般的に、飲料調製装置は、チャンバ内に1回分の可溶性飲料粉末を供給するように構成された投入装置を備える。
【0049】
一般的に、投入装置は、重力落下によって供給を行うために、チャンバの上方に配置される。一般的に、投入装置は、粉末リザーバと関連付けられ得る。
【0050】
本願では、用語「内部」、「頂部」、「底部」、及び「側部」は、本発明の特徴部の相対的な位置を説明するために用いられる。これらの用語は、
図1、
図2、
図4、及び
図5aに示したように、飲料を生成するための飲料調製ディスペンサ内に配置されたときに正常な向きにあるチャンバに関するものであることを理解すべきである。
【0051】
本発明の上記の諸態様は、任意の好適な組み合わせで組み合わせることができる。更には、本明細書における様々な特徴を、上記の諸態様のうちの1つ以上と組み合わせることにより、具体的に図示及び説明されたもの以外の組み合わせを提供することができる。本発明の更なる目的及び有利な特徴は、「特許請求の範囲」、「発明を実施するための形態」、及び添付図面から明らかとなるであろう。
【0052】
本発明の特徴及び利点は、以下の図との関連で、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の方法で使用される飲料調製装置の概略図である。
【
図2】
図1の装置で使用されるチャンバの斜視図である。
【
図4】水入口を横切る平面に沿った
図2のチャンバの縦断面図である。
【
図5a】
図4に対応し、飲料出口の仕切りが取り外されている図である。
【
図6】本発明の方法による、
図1の装置の投入ユニット及び水ポンプの作動シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、本発明の方法で使用される飲料調製装置100を示す。本装置は、可溶性飲料粉末及びチャンバに入る水から飲料を生成するための混合チャンバ1を含む。
【0055】
飲料粉末は、容器107内に収容される。容器は、飲料粉末を含有する恒久的又は使い捨てパッケージであるホッパーであってもよい。
【0056】
1回分の飲料粉末が計量され、投入装置108によって供給される。投入装置は、混合チャンバ1に投入される1回分の粉末を要求に応じて計量する主要機能を有する。投入装置は、混合チャンバ1内に1回分の飲料粉末を供給し、一般的には、重力によってチャンバの上部開口部に落下させる。
【0057】
投入装置は、投入スクリュー、往復式投入ドロワ、又は回転ディスクなどの任意の好適なシステムであり得る。投入方法は、当然ながら、可溶性粉末の性質にも依存する。可溶性粉末は、典型的には、乾燥飲料粉末、好ましくは乳粉末である。本装置は、コントローラ114及びコマンド112によって促される際に要求に応じて粉末が供給される。
【0058】
この投入装置は、国際公開第2009/144239号に記載されているような回転装置、又は国際公開第2019/016149号に記載されているような並進計量キャビティであってもよい。
【0059】
水供給システム105は、混合チャンバ1に水、より具体的には熱水を供給することができるようにマシン内に設けられる。
【0060】
水供給システムは以下のものを備える:
新鮮な水を補給することができる、又は、最終的には水道水に接続され得るタンク101。
タンク101から水を圧送するための、送水ポンプ102。ポンプは、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ又は蠕動ポンプなどの任意のタイプのポンプであってもよい。好ましくは、ポンプは、水の様々な流量を生成できるように構成される。
圧送される水を加熱するための、サーモブロック、ボイラ、又はカートリッジタイプヒータなどの水加熱器103(あるいは、又はそれに加えて、マシンは水加熱器をバイパスするラインに水冷却器を備えてもよい)。
逆止め弁104。
【0061】
最終的に、水は、チューブ106によって、混合チャンバに供給される。図示されていない変形例では、水は、チャンバの2つの異なる入口に2つのチューブ106によって供給され得る。
【0062】
図1に示すように、混合チャンバ1は、飲料を受け入れる飲用容器113を配置する、サービストレイ109の真上に配置することができる。一般的に、混合チャンバ1は、洗浄するために、及び任意選択的には投入するために、マシンから取り外し可能である。通常、マシンは、チャンバを内部に取り外し可能に固定し、混合チャンバ水入口と水供給チューブ106との間の協働を提供する混合チャンバ受容領域を備える。
【0063】
通常、チャンバ2は、装置内で動かない。更に、その次に好ましい実施形態では、国際公開第2009/153157号に記載されているように、混合チャンバ1は、投入装置108の下に配置された位置に移動可能とすることができる。
【0064】
コントローラ12は、ユーザが装置上のコマンド112を作動させる又はこれを押圧するように促されると、投入装置108による可溶性飲料粉末の投入とポンプ102による水の投入とを調整することができる。
【0065】
図示されていないが、装置は、可溶性コーヒー粉末及び水からコーヒーを調製し、同じ飲用容器113内にコーヒーを注出するように構成された第2の混合チャンバも備えることができる。したがって、カプチーノ又はカフェラテなどのミルク及びコーヒーベースの飲料を、この装置を用いて調製することができる。
【0066】
図2は、
図1に記載されるような飲料調製装置で使用されるチャンバ1の斜視図である。
図3は、このチャンバの上面図である。図示されたチャンバは、モータ付き泡立て装置を必要とせずに飲料を調製することができ、粉末の溶解及び飲料の泡立ては、水のジェットによって得られる。本発明の方法は、図示されたチャンバを用いて説明されるが、これに限定されない。大量の飲料の調製及び迅速な注出を可能にする別のチャンバを実装することができる。
【0067】
例示の好ましい実施形態では、チャンバ1は、横側壁11と底壁12とを備える。これらの壁は、調製中に水及び飲料を収容することができる内容積部を画定する。横側壁の下部111は、好ましくは円筒形である、又は略円筒形である。この下部は、後述するように、水入口2と、チャンバの内側にある隆起部4とを備える。側部の上部は、円筒形断面から丸角部を有する正方形断面へと徐々に変化する。この上部形状により、チャンバの内容積部を増大させることができる。この形状は、チャンバの下部で開始されて実質的にそこで行われる飲料の調製に影響を及ぼさない。
【0068】
好ましくは、円筒形横側壁11は、長手方向距離(高さ)が断面寸法(直径)に近い。したがって、チャンバの内容積部は、チャンバの高さ、ひいては装置の高さを増加させないという点で比較的重要であり得る。直径は40~70mm、高さは40~80mmとすることができる。チャンバの内容積部は、一般的に、100mLより多い量の液体を保持することができるように設定される。好ましくは、内容積部は約135mLに達することができる。
【0069】
円筒形横側壁11は、水入口2を備える。この水入口2は、チャンバの底壁12の近くに配置される(
図4を参照されたい)。一般的に、チャンバの底部と水入口の中心軸との間の距離は、5~20mmである。
【0070】
この水入口2は、水が水の真っ直ぐなジェットとしてチャンバ内に導入されるように構成されている。好ましくは、この真っ直ぐなジェットは、水入口を横切るチャンバの縦断面を示す
図4に示されるように、チャンバの水入口内に配置されたノズル6によって生成され、そこから出ていく。
【0071】
水入口はまた、水の真っ直ぐなジェットが線Lに沿ってチャンバの内容積部を通って横方向に延びるように構成されており、この線Lは、チャンバの上面図である
図3に示されるように、チャンバの長手方向中心軸XX’に対してオフセットされている。
【0072】
より具体的には、線Lは、比d/r0が0.2~0.4、好ましくは約0.3となる方向に向けられ、r0は、円筒形横側壁11の半径であり、dは、線Lからチャンバの長手方向中心軸線XX’まで直交方向に測定される距離である。
【0073】
水入口2に配置されたノズル6は、水の真っ直ぐなジェットを生成するように設計されている。別の実施形態によれば、ノズルは、チャンバ横側壁にある水入口内に成形することができる。
【0074】
概して、ノズルは、直径が0.2~0.8mm、好ましくは0.3~0.5mm、更により好ましくは約0.4mmの円形表面の面積と同等の表面積を有する出口断面を呈する。そのような寸法により、ノズル内の2~10バール、好ましくは少なくとも6バールの圧力での水の送達は、高速のジェットの生成を可能にする。
【0075】
図示した実施形態では、水入口はまた、水の真っ直ぐなジェットが、円筒形横側壁の対向面の方向に下向きに傾斜するように構成されている。
【0076】
チャンバは、チャンバの頂部に任意選択の第2の水入口21を備える。この第2の水入口は、チャンバを濯ぐため、又は非泡立ち飲料を調製するため、又はチャンバ底部を湿らせるために使用することができる。
【0077】
チャンバは、飲料出口3を備える。この出口は、チャンバの底壁12の最も低い位置に配置された導管である。底壁12は、導管の方向に傾斜した漏斗の形状を有する。底壁の内面は、水平に対して少なくとも30°、好ましくは30~60°の角度αで傾斜する。例示される実施形態では、この角度は約40°である。
【0078】
導管は、円筒形横側壁チャンバの長手方向中心軸XX’を中心に規則正しく配置されておらず、図示されるようにオフセットされてもよい。この例示の実施形態は、容器113内への飲料の注出を可能にし、容器は、チャンバ1の脇に配置された別のチャンバの出口から注出される飲料から飲料を受け入れるように配置される。
【0079】
このような制約がない別の実施形態では、チャンバの飲料出口の導管は、チャンバの長手方向中心軸線XX’上に中心を置くことができる。
【0080】
飲料出口の導管の直径は、大量の飲料を迅速に注出できるほど十分に大きい。飲料出口の導管の水力直径D0は、約15mmである。
【0081】
底壁の漏斗形状と飲料導管の大径との組み合わせは、粉末がチャンバ内に投入されるとき、特にチャンバが乾燥しているときに、粉末が飲用容器内の導管を直接通って流れるための有利な条件を作り出す。
【0082】
図3及び
図4に示す実施形態では、導管3は、仕切り31によって4つの直線状の副導管30に細分することができる。この仕切りは、飲料導管内で旋回する飲料の回転を防止して、注出を減速させることができ、飲用容器内に真っ直ぐな適切な流れとして飲料が注出されるのを防止する。仕切り31は、洗浄のためにチャンバから取り外し可能である。仕切りはロッド311を備え、これを操作者が容易につかんで導管から仕切りを取り外し、次いで、仕切りを再配置することができる。
図5bは、導管から取り外された仕切り31を示す。
【0083】
図3、
図4、
図5aに示す実施形態では、チャンバは、チャンバの側面からチャンバの容積部内側に延びる隆起部4を備える。この隆起部は、飲料のより良好な溶解及び泡立ちを可能にする。隆起部4は、水入口2に対向する円筒形横側壁111の領域に配置される。隆起部4は、少なくとも部分的に湾曲した2つの側面41、42を有する。各側面は円筒面から互いに向かい合う方向に徐々に突出し、中央の共通の略垂直な縁部43に収束する。
【0084】
水が注入されると、隆起部の第1の側面41に到達する水のジェットは、旋回流を生成する(
図3では反時計回りに回転する)。この旋回流は水入口2の前を通過するとき、水が注入されている限り、進入する水のジェットによって攪拌及び通気される。加えて、この旋回流は、隆起部4に戻ると、隆起部の第2の曲線42に沿って旋回し、依然として進入する水のジェットによって再び打ちつけられ、再度効率的な攪拌を提供することができる。したがって、チャンバの設計は、プロセスの最初から、粉末の効率的な溶解と飲料の泡立ちを可能にする。これにより、飲料中に有意な体積の泡を即座に生成する利点がもたらされる。有意な量の飲料を調製するために、チャンバは非常に大きな直径を有するように設計することができるが、効率的な溶解及び泡立て効果は、隆起部によって付与される液体の循環のおかげで依然として得られる。
【0085】
全ての飲料粉末は、非常に迅速に水に溶ける。水がチャンバに進入し続けると、旋回流はチャンバ内部で水入口の上方に上昇する。水入口の上方で、旋回流は、調製中の飲料の混合を可能にする。水入口では、ジェットの力が、旋回流を引き続き攪拌及び通気する。
【0086】
一定の時間後、チャンバ内の水の量により、旋回流の底部が飲料出口3に到達し、飲用容器内への注出が開始される。
【0087】
このチャンバ設計は、大量の泡立て飲料を調製することができる。しかし、溶解と泡立てのための他の内部設計を有する別のチャンバを使用することもできる。
【0088】
図6は、
図1の装置及び
図2~
図4に示すようなチャンバを用いる飲料調製方法を示す。このプロセスは、特定の時間にわたって飲料が調製されておらず、チャンバが乾燥している状態で使用される。
【0089】
図6は、飲料調製時の粉末投入ユニット108(点線)及び水ポンプ102(実線)の作動シーケンスを示す。
【0090】
この時間に従うと、シーケンスは、水ポンプが作動されるt=0~t1の工程a)にて開始される。工程a)の時間長は、水ジェットがチャンバの表面に沿って水の旋回流を形成してチャンバ表面を湿らせるように、水ノズルを通じて約2mLの水を注出することを可能にする。水ポンプは、時間t1で停止される(工程b))。
【0091】
t1~t2の工程c)では、粉末投入ユニットは、チャンバ内に1回分の乳粉末を供給するようにパワーを供給される。チャンバの底部で漏斗に到達する粉末の第1の部分が、水の膜と反応し、飲料出口導管に到達する直前に停止する。残りの粉末は、この副層によってチャンバ内に保持される。したがって、粉末投入動作中に、粉末が飲料導管から直接落下することはない。
【0092】
t2から開始する工程d)では、水ポンプが再び作動される。工程d)の時間長及びポンプのパワーは、水ジェットがチャンバを横断して、反対側の側壁に衝突し、チャンバの表面に沿って水の上昇旋回流を形成するように、水ノズルを通じて水を注出することを可能にする。乳粉末が溶かされ、生じた乳液が泡立てられる。
【0093】
本装置は、飲料出口を閉鎖するためのモータ、及び任意選択的に、飲料を強く撹拌するためのホイッピングモータや、高圧を供給する高圧ポンプといった高価な内部装置を含まないという利点を有する。
【0094】
本発明は、上記で例示された実施形態を参照して説明されているが、特許請求される本発明は、決してこれらの例示された実施形態によって限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0095】
「特許請求の範囲」で定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び修正が実施可能である。更に、特定の特徴に対して既知の均等物が存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
【0096】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は包括的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【符号の説明】
【0097】
1、1’ チャンバ
11 横側壁
110 上縁部
111 下部
12 底壁
2 水入口
3、3’ 飲料出口
30 副導管
31 仕切り
311 ロッド
4 隆起部
41 第1の側面
42 第2の側面
43 中央縁部
6 ノズル
9 導管
100 飲料調製装置
101 タンク
102 ポンプ
103 加熱器
104 弁
105 水供給システム
106 パイプ
107 容器
108 投入装置
109 サービストレイ
112 コマンド
113 飲用容器
114 コントローラ