(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】トリフルオロヨードメタンを生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 17/361 20060101AFI20231116BHJP
C07C 19/16 20060101ALI20231116BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20231116BHJP
【FI】
C07C17/361
C07C19/16
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2021510221
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 US2019047814
(87)【国際公開番号】W WO2020041653
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-16
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ネイル、ハリダサン ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】バナヴァリ、ラジヴ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ラジヴ ラタナ
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0122440(US,A1)
【文献】特開平02-262529(JP,A)
【文献】特開2006-193437(JP,A)
【文献】特開2004-043329(JP,A)
【文献】特開平10-204006(JP,A)
【文献】特表2021-535205(JP,A)
【文献】Haruhiko FUKAYA et al.,Convenient Synthesis of N-Containing Perfluoroalkyl Iodides,Chemistry Letters,日本化学会,1990年,813-814
【文献】The Journal of Organic Chemistry,1958年,23(12),2016-2017,doi:10.1021/jo01106a621
【文献】石油学会誌,1972年,15(12),1022-1026,doi:10.1627/jpi1958.15.12_1022
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を生成するための気相プロセスであって、
ヨウ化水素と、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるトリフルオロアセチルハライドと、を含む反応物流を提供することと、
前記反応物流を触媒の存在下で
200℃~600℃の反応温度で反応させて、前記トリフルオロヨードメタン、
未反応ヨウ化水素、及び未反応トリフルオロアセチルハライドを含む生成物流を生成することと、
を含
み、
前記供給する工程において、前記反応物流は500体積ppm未満の酸素を含む、プロセス。
【請求項2】
前記反応させる工程において、前記触媒は、活性炭触媒及びメソカーボン触媒の群から選択される少なくとも1種の触媒を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記提供する工程において、前記反応物流が500体積ppm未満の酸素を含み、前記ヨウ化水素が500重量ppm未満の水を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応させる工程において、前記触媒は、活性炭触媒及びメソカーボン触媒の群から選択される少なくとも1種の触媒を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記反応させる工程において、前記反応温度は350℃~400℃である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記生成物流中の有機化合物が、全有機化合物のGC面積%で、10%~99%のトリフルオロヨードメタン、1%~60%の未反応トリフルオロアセチルハライド、80%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに10%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記未反応トリフルオロアセチルハライドを前記生成物流体から分離する追加工程と、
前記分離した未反応トリフルオロアセチルハライドを前記反応物流に戻す追加工程と、を更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記生成物流から前記トリフルオロアセチルヨージドを分離する追加工程を更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記生成物流から未反応ヨウ化水素を分離し、前記未反応ヨウ化水素を前記反応物流に戻す追加工程を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスは連続プロセスである、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスに関する。具体的には、本開示は、トリフルオロヨードメタンを生成するための気相プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ペルフルオロメチルヨージド、トリフルオロメチルヨージド、又はヨードトリフルオロメタンとしても知られるトリフルオロヨードメタン(CF3I)は、市販用途において、例えば、冷媒又は火災抑制剤として有用な化合物である。トリフルオロヨードメタンは、ほぼゼロのオゾン破壊係数を有する、低地球温暖化係数分子である。トリフルオロヨードメタンは、より環境的に有害な物質の代わりとなり得る。
【0003】
トリフルオロヨードメタンの調製方法は既知である。例えば、米国特許第7,196,236号(Mukhopadhyayら)は、ヨウ素源、少なくとも化学量論量の酸素、及び反応物質CF3R(式中、Rは、-COOH、-COX、-CHO、-COOR2、及び-SO2Xからなる群から選択され、R2はアルキル基であり、Xは塩素、臭素、又はヨウ素である)を含む反応物質を使用してトリフルオロヨードメタンを生成するための触媒プロセスを開示している。反応によって生成され得るヨウ化水素は、少なくとも化学量論量の酸素によって酸化され得、水及びヨウ素を生成して経済的なリサイクルを行う。
【0004】
別の実施例では、米国特許第7,132,578号(Mukhopadhyayら)はまた、トリフルオロアセチルクロリドからトリフルオロヨードメタンを生成するための一工程の触媒プロセスを開示している。しかしながら、ヨウ素源は、ヨウ素フッ化物(IF)である。ヨウ素フッ化物は、ヨウ化水素とは対照的に比較的不安定であり、0℃超でI2及びIF5に分解する。ヨウ素フッ化物はまた、商業的に有用な量で入手できない場合がある。
【0005】
一部の既知のトリフルオロアセチルヨージドの調製方法としては、液相プロセスが挙げられる。液相プロセスは、分離及び廃棄を要する溶媒を必要とする場合がある。分離及び廃棄のために必要となる余分な工程は、プロセスの効率性を低下させ得る。
【0006】
したがって、比較的安価な原料から商業的な量のトリフルオロヨードメタンを生成する規模に拡張され得る、より効率的なプロセスを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスを提供する。
【0008】
その一形態では、本開示は、トリフルオロヨードメタンを生成するための気相プロセスを提供し、本プロセスは、ヨウ化水素、並びにトリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるトリフルオロアセチルハライドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、触媒の存在下で約200℃~約600℃の温度において反応物流を反応させる工程と、を含む。
【0009】
供給する工程において、反応物流は、約500体積ppm未満の酸素を含んでよい。供給する工程において、ヨウ化水素は、約500重量ppm未満の水を含んでよい。供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は、約0.1:1~約2.0:1であってよい。供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は、約0.8:1~約1.5:1であってよい。供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドからなってよい。
【0010】
反応させる工程において、反応物流と触媒との接触時間は、約0.5秒~約60秒であってよい。反応させる工程において、反応物流と触媒との接触時間は、約10秒~約50秒であってよい。反応させる工程において、触媒は、活性炭触媒及びメソカーボン触媒の群から選択される、少なくとも1種の触媒を含んでよい。反応させる工程において、触媒は、活性炭触媒及びメソカーボン触媒の群から選択される、少なくとも1種の触媒から本質的になってよい。反応させる工程において、温度は約350℃~約400℃であってよい。本プロセスは、触媒の存在下で反応物流を反応させる前に、反応物流を約80℃~約120℃の温度に加熱する追加工程を更に含んでよい。
【0011】
生成物流中の有機化合物は、全有機化合物のGC面積%で、約10%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約60%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約80%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約10%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなってよい。生成物流中の有機化合物は、全有機化合物のGC面積%で、約40%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約40%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約20%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約9%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなってよい。生成物流中の有機化合物は、全有機化合物のGC面積%で、約70%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約30%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約5%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約5%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなってよい。
【0012】
本プロセスは、生成物流から未反応トリフルオロアセチルハライドを分離し、分離した未反応トリフルオロアセチルハライドを反応物流に戻す追加工程を更に含んでよい。本プロセスは、生成物流からトリフルオロアセチルヨージドを分離する追加工程を更に含んでよい。本プロセスは、生成物流から未反応ヨウ化水素を分離し、未反応ヨウ化水素を反応物流に戻す追加工程を更に含んでよい。本プロセスは、生成物流からハロゲン化水素酸及び一酸化炭素を分離する追加工程を更に含んでよい。本プロセスは、連続プロセスであってよい。
【0013】
その別の形態では、本開示は、約99重量%超のトリフルオロヨードメタンの濃度を含む組成物を提供する。
【0014】
添付の図面を考慮して、実施形態についての以下の記載を参照することによって、本開示の上述及び他の特性、並びにそれらを達成する様式がより明らかになり、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】トリフルオロヨードメタンを製造するためのプロセスを示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルクロリドなどトリフルオロアセチルハライドから出発して、驚くほど良好なプロセス収率をもたらすトリフルオロヨードメタンの製造プロセスを提供する。かかる出発物質は、比較的安価であり、商業的な量で容易に入手可能である。本開示のプロセスは、商業規模でのトリフルオロヨードメタンの製造に適した、高収率の気相プロセスであってよい。開示される気相プロセスは、溶媒を必要としないため、その商業的な魅力を更に高めている。
【0017】
本明細書に開示されるように、トリフルオロヨードメタンは、ヨウ化水素(HI)及びトリフルオロアセチルハライド(CF3COX)を含む反応物流から生成されてよい。ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルハライドは、無水である。反応物流中のいくらかの水でも、トリフルオロアセチルハライドの一部を加水分解し、所望のトリフルオロヨードメタンではなく、より熱力学的に好ましいトリフルオロ酢酸を形成し得るため、反応物流中には可能な限り水が存在しないことが好ましい。
【0018】
無水ヨウ化水素は、実質的に水を含まない。つまり、無水ヨウ化水素中の全ての水は、約500百万分率(ppm)未満、約300ppm未満、約200未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満、約3ppm未満、約2ppm未満、若しくは約1ppm未満、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の値未満の重量である。好ましくは、無水ヨウ化水素は、約100ppm未満の重量の水を含む。より好ましくは、無水ヨウ化水素は、約10ppm未満の重量の水を含む。最も好ましくは、無水ヨウ化水素は、約1ppm未満の重量の水を含む。
【0019】
反応物流は、実質的に酸素を含まない。つまり、反応物流中の全ての酸素は、約500百万分率(ppm)未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満、約3ppm未満、約2ppm未満、若しくは約1ppm未満、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の値未満の重量である。好ましくは、反応物流中の酸素の重量は、約100ppm未満である。より好ましくは、反応物流中の酸素の重量は、約10ppm未満である。最も好ましくは、反応物流中の酸素の重量は、約1ppm未満である。反応物流中のいくらかの酸素でも、ヨウ化水素の少なくとも一部を酸化して、ヨウ化水素が反応してトリフルオロヨードメタンを形成し得る前にヨウ素及び水を形成するため、反応物流中に可能な限り酸素が存在しないことが好ましい。過剰なヨウ化水素と共にある場合であっても、形成された水は、トリフルオロアセチルハライドを加水分解し、所望のトリフルオロヨードメタンではなく、より熱力学的に好ましいトリフルオロ酢酸を形成し、プロセスの効率を低下させ得る。
【0020】
少なくとも1種のトリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルフルオリド(CF3COF)、トリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)、トリフルオロアセチルブロミド(CF3COBr)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてよい。好ましくは、少なくとも1種のトリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドを含む。より好ましくは、少なくとも1種のトリフルオロアセチルハライドは、本質的にトリフルオロアセチルクロリドからなる。最も好ましくは、少なくとも1種のトリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドからなる。
【0021】
トリフルオロアセチルクロリドは、例えば、Halocarbon Products Corporation(Peachtree Corners,Georgia)又はSolvay S.A.(Brussels,Belgium)から商業的な量で入手可能である。ヨウ化水素は市販されているか、又は例えば、元素状ヨウ素をヒドラジンと反応させ、ヨウ化ナトリウム及びリン酸の溶液からヨウ化水素を蒸留すること、若しくは水素と元素状ヨウ素との混合物に約578ナノメートルの波長で照射することによって製造されてよい。
【0022】
反応物流において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は、最低で約0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、約0.95:1、約0.99:1、若しくは約1:1、又は最高で約1.01:1、約1.05:1、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、約1.6:1、約1.8:1、若しくは約2.0:1、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の範囲内、例えば、約0.1:1~約2.0:1、約0.5:1~約1.5:1、約0.6:1~約1.4:1、約0.7:1~約1.3:1、約0.8:1~約1.2:1、約0.9:1~約1.1:1、約0.95:1~約1.05:1、約0.99:1~約1.01:1、約1:1~約2:1、約0.8:1~約1.5:1、若しくは約0.95:1~約1.2:1などであってよい。好ましくは、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は、約0.8:1~約1.5:1であってよい。より好ましくは、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は、約1:1~約1.2:1であってよい。最も好ましくは、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は、約0.9:1~約1.1:1であってよい。
【0023】
反応物流を形成するトリフルオロアセチルハライド及びヨウ化水素は、反応器に入る前に、個々に予熱されてよく、又は一緒に予熱されてよい。反応物流は、最低で約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、若しくは約100℃の温度に、又は最高で約105℃、約110℃、約115℃、若しくは約120℃の温度に、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の範囲内の温度、例えば、約80℃~約120℃、約85℃~約115℃、約90℃~約110℃、約95℃~約105℃、若しくは約90℃~約100℃などに予熱されてよい。好ましくは、反応物流は、約85℃~約115℃の温度に予熱されてよい。より好ましくは、反応物流は、約90℃~約110℃Cの温度に予熱されてよい。最も好ましくは、反応物流は、約100℃の温度に予熱されてよい。
【0024】
反応物流中のヨウ化水素及びトリフルオロアセチルハライドは、以下の式1に従って、反応器内に含まれる触媒の存在下で反応して、トリフルオロヨードメタン並びに反応副生成物の一酸化炭素(CO)及び少なくとも1種のハロゲン化水素酸(HX)を含む生成物流を生成する。
式1: HI+CF3COX → CF3I+CO+HX。
少なくとも1種のハロゲン化水素酸は、フッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、及び臭化水素酸(HBr)からなる群から選択されてよい。
【0025】
反応器は、触媒を含む管を備える加熱管反応器であってよい。官は、ステンレス鋼、ニッケル、及び/又はニッケル合金、例えばニッケル-モリブデン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、若しくはニッケル-銅合金などで作製されてよい。反応器内の管は加熱されてよく、したがって、触媒を加熱する。反応器は、任意の種類の充填床反応器であってよい。
【0026】
反応物流は、最短で約0.5秒、約1秒、約2秒、約3秒、約5秒、約8秒、約10秒、約12秒、若しくは約15秒、又は最長で約20秒、約25秒、約30秒、約35秒、約40秒、約50秒、若しくは約60秒の接触時間にわたって、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内の任意の接触時間、例えば、約0.5秒~約60秒、約1秒~約50秒、約5秒~約40秒、約8秒~約35秒、約10秒~約30秒、約12秒~約25秒、約15秒~約20秒、約20秒~約25秒、約10秒~約40秒、若しくは約10秒~約30秒などにわたって触媒と接触してよい。好ましくは、反応物流は、約10秒~約50秒の接触時間にわたって触媒と接触してよい。より好ましくは、反応物流は、約20秒~約40秒の接触時間にわたって触媒と接触してよい。最も好ましくは、反応物流は、約20秒~約40秒の接触時間にわたって触媒と接触してよい。
【0027】
反応物流は、最低で約200℃、約250℃、約300℃、約325℃、約330℃、約340℃、約350℃、若しくは約360℃の温度に、又は最高で約370℃、約380℃、約390℃、約400℃、約450℃、約475℃、約500℃、約525℃、約550℃、約575℃、若しくは約600℃の温度に、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の範囲内の温度、例えば、約200℃~約600℃、約325℃~約400℃、約330℃~約390℃、約340℃~約380℃、約350℃~約370℃、若しくは約340℃~約360℃などに加熱されてよい。好ましくは、反応物流は、約325℃~約450℃の温度に加熱されてよい。より好ましくは、反応物流は、約350℃~約400℃の温度に加熱されてよい。最も好ましくは、反応物流は、約370℃~約390℃の温度に加熱されてよい。
【0028】
触媒は、炭素触媒、例えば、Norit-PK35、Calgon若しくはShirasagiなど活性炭触媒、又はmesoC+(商標)などメソカーボン触媒である。炭素触媒は、例えば、炭素ペレット、球体、トリローブ、又は環の形態であってよい。活性炭は、最小で約100平方メートル/グラム(m2/g)、約200m2/g、約300m2/g、約400m2/g、約600m2/g、若しくは約800m2/g、又は最大で約1,000m2/g、約1,200m2/g、約1,400m2/g、約1,600m2/g、約1,800m2/g、若しくは約2,000m2/gの表面積を有してよく、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の範囲内の表面積、例えば、約100m2/g~約2,000m2/g、約400m2/g~約1,800m2/g、約600m2/g~約1,600m2/g、約800m2/g~約1,400m2/g、約1,000m2/g~約1,200m2/g、若しくは約100m2/g~約400m2/gなどを有してよい。好ましくは、炭素触媒は、約800m2/g~約1,200m2/gの表面積を有する。
【0029】
炭素触媒は、最小で約0.2ナノメートル(nm)、約0.5nm、約1nm、約1.5nm、約2nm、若しくは約2.5nm、又は最大で約3nm、約5nm、約10nm、約15nm、約20nm、若しくは約25nmの平均孔径、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の範囲内の平均孔径、例えば、約0.2nm~約25nm、約0.2nm~約20nm、約1.0nm~約15nm、約1.5nm~約10nm、約2nm~約5nm、若しくは約2.5nm~約3nmなどを有してよい。
【0030】
圧力は重要ではない。使い勝手の良い動作圧力は、約100KPa~約200KPaの範囲、好ましくは周囲気圧付近、つまり約100KPaであってよい。
【0031】
生成物流は、トリフルオロヨードメタン、一酸化炭素、及びハロゲン化水素酸に加えて、未反応トリフルオロアセチルハライド及びヨウ化水素を更に含んでよい。生成物流は、トリフルオロアセチルヨージド(CF3COI)など少量の他の有機化合物を更に含んでよい。
【0032】
生成物流中の有機化合物の組成は、ガスクロマトグラフィー(GC)及びガスクロマトグラフィー質量(GC-MS)分析によって測定され得る。有機化合物のそれぞれについてGC分析により提供されるグラフ領域を組み合わせて、生成物流中の有機化合物の相対濃度の測定値として、有機化合物のそれぞれについての全有機化合物のGC面積百分率(GC面積%)を提供することができる。
【0033】
生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、全有機化合物のGC面積%で、最低で約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、若しくは約60%であってよく、又は最高で約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは99%、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の範囲内、例えば、約10%~約99%、約20%~約95%、約30%~約90%、約40%~約85%、約45%~約80%、約50%~約75%、約55%~約70%、約60%~約65%、約90%~約99%、若しくは約95%~約99%などであってよい。好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約40%~約99%であってよい。より好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約60%~約99%であってよい。最も好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約70%~約99%であってよい。
【0034】
生成物流中の未反応トリフルオロアセチルハライドの濃度は、全有機化合物のGC面積%で、最低で約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、若しくは約35%であってよく、又は最高で約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、若しくは75%、又は前述の値のいずれか2つの間に定められる任意の範囲内、例えば、約1%~約75%、約5%~約70%、約10%~約65%、約15%~約60%、約20%~約55%、約25%~約50%、約30%~約45%、約35%~約40%、約1%~約5%、約5%~約40%、若しくは約5%~約60%などであってよい。好ましくは、生成物流中の未反応トリフルオロアセチルハライドの濃度は、約1%~約60%であってよい。より好ましくは、生成物流中の未反応トリフルオロアセチルハライドの濃度は、約1%~約40%であってよい。最も好ましくは、生成物流中の未反応トリフルオロアセチルハライドの濃度は、約1%~約30%であってよい。
【0035】
生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、全有機化合物のGC面積%で、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約18%未満、約16%未満、約14%未満、約12%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満であってよい。好ましくは、生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、約20%未満であってよい。より好ましくは、生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、約10%未満であってよい。最も好ましくは、生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、約5%未満であってよい。
【0036】
生成物流中の他の全ての有機化合物の濃度は、全有機化合物のGC面積%で、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、又は約0.1%未満であってよい。好ましくは、生成物流中の他の全ての有機化合物の濃度は、約9%未満であってよい。より好ましくは、生成物流中の他の全ての有機化合物の濃度は、約7%未満であってよい。最も好ましくは、生成物流中の他の全ての有機化合物の濃度は、約5%未満であってよい。
【0037】
換言すると、生成物流中の有機化合物は、全有機化合物のGC面積%で、約10%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約60%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約80%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約10%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなってよい。生成物流中の有機化合物は、約40%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約60%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約20%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約9%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなってよいことも規定される。生成物流中の有機化合物は、約60%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約40%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約10%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約7%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなってよいことも規定される。生成物流中の有機化合物は、約70%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約30%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約5%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約5%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなってよいことも規定される。
【0038】
生成物流は、蒸留塔に直接進んでよい。あるいは、生成物流は、生成物流が蒸留塔に供給される前に、熱交換器を通過して生成物流を冷却してよい。
【0039】
蒸留塔は、副生成物、反応物質、及び上記の有機化合物の多くをトリフルオロヨードメタンから分離して精製物流を生成するために構成されてよい。蒸留塔は、未反応ヨウ化水素を分離して反応物流に戻し、未反応トリフルオロアセチルハライドを分離して反応物流に戻すように構成されてよい。
【0040】
蒸留塔はまた、販売、別の場所での再利用、又は廃棄のためにハロゲン化水素酸をハロゲン化水素酸流に分離し、一酸化炭素を一酸化炭素流に分離するように構成されてよい。蒸留塔は、トリフルオロアセチルヨージドを分離し、反応器に戻すように更に構成されてよい。あるいは、トリフルオロアセチルヨージドフローは、貯蔵タンクに送られてよい。トリフルオロヨードメタンを含む精製物流は、貯蔵タンクに送られてよい。
【0041】
精製物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約99%超であってよい。好ましくは、精製物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約99.5%超であってよい。より好ましくは、精製物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約99.9%超であってよい。最も好ましくは、精製物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約99.99%超であってよい。
【0042】
触媒の存在下で、上記の温度においてヨウ化水素とトリフルオロアセチルハライドとを反応させることが、ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルハライドの高変換率をもたらし、高選択率でトリフルオロヨードメタンを選択することが見出された。上記の気相プロセスは、驚くべきことに良好なプロセス収率をもたらし、商業規模でのトリフルオロヨードメタンの製造に適している。
【0043】
図は、トリフルオロヨードメタンを製造するための一工程の気相プロセス10を示すプロセスフロー図である。図に示されるように、プロセス10は、ヨウ化水素(HI)の材料フロー12及び少なくとも1種のトリフルオロアセチルハライド(CF3COX)の材料フロー14を含んでよい。
【0044】
ヨウ化水素のフロー12及びトリフルオロアセチルハライドのフロー14は、ミキサー弁16内での混合前に流量計又はマスフローコントローラ(図示せず)によって制御されて、反応物流18を形成してよい。反応物流18は、反応器20に直接供給されてよい。あるいは、反応物流18は、反応物流18が反応器20に供給される前に予熱器22を通過して、反応物流18を加熱してよい。
【0045】
反応物流18は、上記の式1に従って、反応器20内に含まれる触媒24の存在下で反応して、トリフルオロヨードメタン並びに反応副生成物の一酸化炭素(CO)及び少なくとも1種のハロゲン化水素酸(HX)を含む生成物流26を生成してよい。
【0046】
生成物流26は、蒸留塔28に直接進んでよい。あるいは、生成物流26は、図に示されるように、生成物流26が蒸留塔28に供給される前に、熱交換器30を通過してよい。熱交換器30は、生成物流26が蒸留塔28に入る前に生成物流26を冷却するように構成されてよい。
【0047】
蒸留塔28は、上記の副生成物、反応物質、及び有機化合物の多くをトリフルオロヨードメタンから分離して精製物流32を生成するように構成されてよい。図に示されるように、蒸留塔28は、ヨウ化水素フロー34中の反応物流18で使用するために、未反応ヨウ化水素を分離し、ヨウ化水素のフロー12に戻すように、また、トリフルオロアセチルハライドフロー36中の反応物流18で使用するために、未反応トリフルオロアセチルハライドを分離し、トリフルオロアセチルハライドのフロー14に戻すように構成されてよい。
【0048】
蒸留塔28はまた、販売、再利用、又は廃棄のためにハロゲン化水素酸をハロゲン化水素酸流38に分離し、一酸化炭素を一酸化炭素流40に分離するように構成されてよい。蒸留塔28は、図に示されるように、トリフルオロアセチルヨージドを分離し、トリフルオロアセチルヨージドフロー42中で反応器20に戻すように更に構成されてよい。あるいは、トリフルオロアセチルヨージドフロー42は、貯蔵タンク(図示せず)に送られてよい。トリフルオロヨードメタンを含む精製生成物流32は、貯蔵タンク44に送られてよい。
【0049】
本発明は、例示的な設計に対するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。
【0050】
本明細書で使用するとき、「前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちの任意の2つから選択され得ることを意味する。例えば、1対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択されてもよい。
【実施例】
【0051】
式1によるトリフルオロヨードメタンの製造
この実施例では、上記の式1による、ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルクロリドからのトリフルオロヨードメタンの製造が実証される。等モル量のトリフルオロアセチルクロリド及び無水ヨウ化水素を予熱器に通し、一連の9回の実験で約100℃の温度に加熱した。次いで、加熱した反応物を、直径3/8インチ(9.5mm)、長さ6インチ(152mm)のステンレス管に通した。実験によっては、管を350℃~380℃の範囲の温度に加熱し、各実験前に窒素で少なくとも1時間パージして、全ての水分を飛ばした。各実験では、管は、数種類の触媒のうちの1種を含有していた。接触時間は、12秒~30秒と様々であった。GC分析及びGC-MS分析のために、各実験について排出された全ての蒸気を試料バッグに回収した。結果を表1、表2、及び表3に示す。
【0052】
表1は、9回の各実験に対する反応条件(温度、接触時間、及び使用触媒)を記載する。表2は、9回の各実験に対応する、対象の主要有機化合物のGC面積%を記載する。表3は、9回の各実験に対応するトリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルヨージド、及びトリフルオロヨードメタンとトリフルオロアセチルヨージドとの組み合わせの変換率及び選択率を記載する。変換率及び選択率は、GC面積%データに基づいている。
【0053】
表1、表2、及び表3に示すように、式1を参照して上述したプロセスは、90%超の変換率及び選択率でトリフルオロヨードメタンを生成することができる。したがって、表1、表2、及び表3は、驚くべき良好な変換率及び選択率をもたらす、トリフルオロヨードメタンの製造のための本開示によるプロセスを実証する。
【表1】
【表2】
【表3】
実施例2:トリフルオロヨードメタンの分離
【0054】
この実施例では、トリフルオロヨードメタンの分離が実証される。85重量%のトリフルオロヨードメタン、10重量%のトリフルオロアセチルヨージド、及び5重量%の一酸化炭素を含有する混合物を蒸留塔に入れることができる。蒸留塔は、10ガロンのリボイラ、Cannon Instrument Company(State College,PA)製の内径2インチの10フィートPro-Pak(登録商標)カラム、及び約30の理論段を含み得る。蒸留塔は、温度送機、絶対圧力送機、及び差圧伝送機を備え得る。蒸留を約275KPaの圧力で実行し、凝縮器を約-13℃の温度で実行して、トリフルオロヨードメタンを回収することができる。
態様
【0055】
態様1は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素、並びにトリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるトリフルオロアセチルハライドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、触媒の存在下で約200℃~約600℃の温度において反応物流を反応させる工程と、を含む、プロセスである。
【0056】
態様2は、供給する工程において、反応物流が約500体積ppm未満の酸素を含む、態様1に記載のプロセスである。
【0057】
態様3は、供給する工程において、反応物流が約100体積ppm未満の酸素を含む、態様1に記載のプロセスである。
【0058】
態様4は、供給する工程において、反応物流が約10体積ppm未満の酸素を含む、態様1に記載のプロセスである。
【0059】
態様5は、供給する工程において、反応物流が約1体積ppm未満の酸素を含む、態様1に記載のプロセスである。
【0060】
態様6は、供給する工程において、ヨウ化水素が約500重量ppm未満の水を含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0061】
態様7は、供給する工程において、ヨウ化水素が約100重量ppm未満の水を含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0062】
態様8は、供給する工程において、ヨウ化水素が約10重量ppm未満の水を含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0063】
態様9は、供給する工程において、ヨウ化水素が約1重量ppm未満の水を含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0064】
態様10は、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比が約0.1:1~約2:1である、態様1~9のいずれかに記載のプロセスである。
【0065】
態様11は、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比が約0.8:1~約1.5:1である、態様1~9のいずれかのプロセスである。
【0066】
態様12は、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比が約1:1~約1.2:1である、態様1~9のいずれかのプロセスである。
【0067】
態様13は、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比が約1:1である、態様1~9のいずれかに記載のプロセスである。
【0068】
態様14は、供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドがトリフルオロアセチルクロリドを含む、態様1~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0069】
態様15は、供給する工程においてトリフルオロアセチルハライドがトリフルオロアセチルフルオリドを含む、態様1~14のいずれかに記載のプロセスである。
【0070】
態様16は、供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドがトリフルオロアセチルブロミドを含む、態様1~15のいずれかに記載のプロセスである。
【0071】
態様17は、供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドが、トリフルオロアセチルクロリドから本質的になる、態様1~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0072】
態様18は、供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドがトリフルオロアセチルクロリドからなる、態様1~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0073】
態様19は、供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドが、トリフルオロアセチルフルオリドから本質的になる、態様1~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0074】
態様20は、供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドがトリフルオロアセチルフルオリドからなる、態様1~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0075】
態様21は、供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドが、トリフルオロアセチルブロミドから本質的になる、態様1~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0076】
態様22は、供給する工程において、トリフルオロアセチルハライドがトリフルオロアセチルブロミドからなる、態様1~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0077】
態様23は、反応物流を反応させる工程において、反応物流と触媒との接触時間が約0.5秒~約60秒である、態様1~22のいずれかに記載のプロセスである。
【0078】
態様24は、反応物流を反応させる工程において、反応物流と触媒との接触時間が約10秒~約50秒である、態様1~22のいずれかに記載のプロセスである。
【0079】
態様25は、反応物流を反応させる工程において、反応物流と触媒との接触時間が約20秒~約40秒である、態様1~22のいずれかに記載のプロセスである。
【0080】
態様26は、反応物流を反応させる工程において、反応物流と触媒との接触時間が約25秒~約35秒である、態様1~22のいずれかに記載のプロセスである。
【0081】
態様27は、反応させる工程において、温度が約320℃~約450℃である、態様1~26のいずれかに記載のプロセスである。
【0082】
態様28は、反応させる工程において、温度が約325℃~約400℃である、態様1~26のいずれかに記載のプロセスである。
【0083】
態様29は、反応させる工程において、温度が約325℃~約375℃である、態様1~26のいずれかに記載のプロセスである。
【0084】
態様30は、反応させる工程において、温度が約350℃である、態様1~26のいずれかに記載のプロセスである。
【0085】
態様31は、反応させる工程において、触媒が、活性炭触媒及びメソカーボン触媒の群から選択される少なくとも1種の触媒を含む、態様1~30のいずれかに記載のプロセスである。
【0086】
態様32は、反応させる工程において、触媒が、活性炭触媒及びメソカーボン触媒の群から選択される少なくとも1種の触媒から本質的になる、態様1~30のいずれかに記載のプロセスである。
【0087】
態様33は、反応させる工程において、触媒が、活性炭触媒及びメソカーボン触媒の群から選択される少なくとも1種の触媒からなる、態様1~30のいずれかに記載のプロセスである。
【0088】
態様33は、反応させる工程において、触媒が活性炭触媒を含む、態様1~30のいずれかに記載のプロセスである。
【0089】
態様34は、反応させる工程において、触媒が、活性炭触媒から本質的になる、態様1~30のいずれかに記載のプロセスである。
【0090】
態様35は、反応させる工程において、触媒が活性炭触媒からなる、態様1~30のいずれかのプロセスである。
【0091】
態様36は、反応させる工程において、触媒がメソカーボン触媒を含む、態様1~30のいずれかに記載のプロセスである。
【0092】
態様37は、反応させる工程において、触媒が、メソカーボン触媒から本質的になる、態様1~30のいずれかに記載のプロセスである。
【0093】
態様38は、反応させる工程において、触媒がメソカーボン触媒からなる、態様1~30のいずれかのプロセスである。
【0094】
態様39は、プロセスが連続プロセスである、態様1~38のいずれかに記載のプロセスである。
【0095】
態様40は、触媒の存在下で反応物流を反応させる前に、反応物流を約80℃~約120℃の温度に加熱する追加工程を更に含む、態様1~39のいずれかに記載のプロセスである。
【0096】
態様41は、生成物流中の有機化合物が、全有機化合物のGC面積%で、約10%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約60%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約80%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約10%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなる、態様1~40のいずれかに記載のプロセスである。
【0097】
態様42は、生成物流中の有機化合物が、全有機化合物のGC面積%で、約40%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約40%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約20%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約9%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなる、態様1~40のいずれかに記載のプロセスである。
【0098】
態様43は、生成物流中の有機化合物が、全有機化合物のGC面積%で、約70%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約30%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約5%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約5%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなる、態様1~40のいずれかに記載のプロセスである。
【0099】
態様44は、生成物流からトリフルオロアセチルヨージドを分離する追加工程を更に含む、態様41~43のいずれかのプロセスである。
【0100】
態様45は、生成物流から未反応トリフルオロアセチルハライドを分離し、分離した未反応トリフルオロアセチルハライドを反応物流に戻す追加工程を更に含む、態様1~44のいずれかのプロセスである。
【0101】
態様46は、生成物流から未反応ヨウ化水素を分離し、未反応ヨウ化水素を反応物流に戻す追加工程を更に含む、態様1~45のいずれかのプロセスである。
【0102】
態様47は、生成物流からハロゲン化水素酸及び一酸化炭素を分離する追加工程を更に含む、態様1~46のいずれかのプロセスである。
【0103】
態様48は、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度が約99重量%を超えてよい、態様1~47のいずれかのプロセスである。
【0104】
態様49は、最終生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度が約99.5重量%を超えてよい、態様1~47のいずれかのプロセスである。
【0105】
態様50は、最終生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度が約99.9重量%を超えてよい、態様1~47のいずれかのプロセスである。
【0106】
態様52は、最終生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度が約99.99重量%を超えてよい、態様1~47のいずれかのプロセスである。
【0107】
態様52は、組成物が、約99重量%を超えるトリフルオロヨードメタンの濃度を含む、態様1~48のいずれかに記載のプロセスによって生成される組成物である。
【0108】
態様53は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素、並びにトリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるトリフルオロアセチルハライドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、活性炭触媒の存在下で反応物流を反応させる工程と、を含み、活性炭触媒は、約800m2/g~約2,000m2/gの表面積及び約0.2nm~約25nmの平均孔径を含む、プロセスである。
【0109】
態様54は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルブロミドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、活性炭触媒の存在下で反応物流を反応させる工程と、を含み、活性炭触媒は、約800m2/g~約2,000m2/gの表面積及び約0.2nm~約25nmの平均孔径を含む、気相プロセスである。
【0110】
態様55は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素、並びにトリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるトリフルオロアセチルハライドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、触媒の存在下で反応物流を反応させる工程と、を含み、反応物流は、約500体積ppm未満の酸素を含む、プロセスである。
【0111】
態様56は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素、並びにトリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるトリフルオロアセチルハライドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、触媒の存在下で約200℃~約600℃の温度において反応物流を約0.5秒~約60秒の接触時間にわたって反応させる工程と、を含み、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は約0.1:1~約2:1である、プロセスである。
【0112】
態様57は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルクロリドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、触媒の存在下で約325℃~約450℃の温度において反応物流を約10秒~約50秒の接触時間にわたって反応させる工程と、を含み、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は約0.8:1~約1.5:1である、プロセスである。
【0113】
態様58は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルクロリドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、触媒の存在下で約325℃~約450℃の温度において反応物流を約10秒~約50秒の接触時間にわたって反応させる工程と、を含み、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は約0.8:1~約1.5:1である、プロセスである。
【0114】
態様59は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルクロリドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、触媒の存在下で約350℃~約400℃の温度において反応物流を約20秒~約40秒の接触時間にわたって反応させる工程と、を含み、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は約1:1~約1.2:1である、プロセスである。
【0115】
態様60は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスであって、このプロセスは、ヨウ化水素及びトリフルオロアセチルクロリドを含む反応物流を供給する工程と、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成するために、触媒の存在下で約370℃~約390℃の温度において反応物流を約25秒~約35秒の接触時間にわたって反応させる工程と、を含み、供給する工程において、ヨウ化水素対トリフルオロアセチルハライドのモル比は約0.9:1~約1.1:1である、プロセスである。
【0116】
態様61は、触媒が、活性炭触媒から本質的になる、態様56~60のいずれかに記載のプロセスである。
【0117】
態様61は、触媒が、メソカーボン触媒から本質的になる、態様56~60のいずれかに記載のプロセスである。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
トリフルオロヨードメタン(CF
3
I)を生成するための気相プロセスであって、
ヨウ化水素と、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるトリフルオロアセチルハライドと、を含む反応物流を提供することと、
前記反応物流を触媒の存在下で約200℃~約600℃の反応温度で反応させて、前記トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成することと、を含む、プロセス。
[2]
前記提供する工程において、前記反応物流が約500体積ppm未満の酸素を含み、前記ヨウ化水素が約500重量ppm未満の水を含む、[1]に記載のプロセス。
[3]
前記反応させる工程において、前記触媒は、活性炭触媒及びメソカーボン触媒の群から選択される少なくとも1種の触媒を含む、[1]に記載のプロセス。
[4]
前記反応させる工程において、前記反応温度は約350℃~約400℃である、[1]に記載のプロセス。
[5]
前記生成物流中の有機化合物が、全有機化合物のGC面積%で、約10%~約99%のトリフルオロヨードメタン、約1%~約60%の未反応トリフルオロアセチルハライド、約80%未満のトリフルオロアセチルヨージド、並びに約10%未満の、トリフルオロヨードメタン、トリフルオロアセチルハライド、及びトリフルオロアセチルヨージド以外の有機化合物からなる、[1]に記載のプロセス。
[6]
前記未反応トリフルオロアセチルハライドを前記生成物流体から分離する追加工程と、
前記分離した未反応トリフルオロアセチルハライドを前記反応物流に戻す追加工程と、を更に含む、[5]に記載のプロセス。
[7]
前記生成物流から前記トリフルオロアセチルヨージドを分離する追加工程を更に含む、[5]に記載のプロセス。
[8]
前記生成物流から未反応ヨウ化水素を分離し、前記未反応ヨウ化水素を前記反応物流に戻す追加工程を更に含む、[1]に記載のプロセス。
[9]
前記プロセスは連続プロセスである、[1]に記載のプロセス。
[10]
[1]に記載のプロセスによって製造される組成物であって、約99重量%を超えるトリフルオロヨードメタンの濃度を含む、組成物。