(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】不正開封防止封止を備えたパッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 43/08 20060101AFI20231116BHJP
B65D 50/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B65D43/08 210
B65D50/00
(21)【出願番号】P 2021524043
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 FR2019052407
(87)【国際公開番号】W WO2020094932
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】アオン、ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ルメール、ゴティエ
(72)【発明者】
【氏名】ムグニール、ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォレ、ステファン
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許第02523866(EP,B1)
【文献】登録実用新案第3012002(JP,U)
【文献】特開2001-139046(JP,A)
【文献】特開平06-345202(JP,A)
【文献】特開2000-313459(JP,A)
【文献】特開2008-074568(JP,A)
【文献】実開平07-009741(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/08
B65D 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方で、隅部(24)で接する側壁(20、21、22、23)、上部開口部(25)、及び底部(26)を備える、プラスチック容器(2)と、他方で、前記容器の前記上部開口部を覆うように構成されたプラスチックの取り外し可能な蓋(4)と、を備える、パッケージ(1)であって、前記容器(2)が、前記上部開口部(25)に、外向き隆起部(28)を担持し、外周にわたって延びる第1の係合部(27)を備え、前記蓋(4)が、外周部にわたって、前記容器の前記外向き隆起部(28)の下方にラッチ係合することができる内向き隆起部(41)を備えた、下向きに折り曲げられて延びる第2の係合部(40)を備え、前記蓋の前記第2の係合部が、前記第2の係合部の下部にわたって延びるスカート(42)を有し、一方で前記容器の前記外向き隆起部(28)が、かつ、他方で前記蓋(4)の前記内向き隆起部(41)が、前記側壁同士が接する前記隅部に湾曲隅部セクション(29、43)を有し、前記湾曲隅部セクションにおいてそれぞれの前記隆起部の側部セクションが接続可能であり、前記内向き隆起部(41)の前記湾曲隅部セクション(43)のうちの少なくとも1つが、折り曲げ可能なスカートセクション(44)を備え、前記スカートセクションが、前記第2の係合部(40)の上部の折り曲げ領域(46)で関節運動され、前記内向き隆起部(41)の前記少なくとも1つの湾曲隅部セクションの中心部が、前記上部開口部の前記外向き隆起部(28)のてこの作用によって分離されるように、したがって、前記隆起部(28、41)間の係合が、前記中心部にわたって弱まるように、係合位置(P1)から外向き位置に折り曲げることができ、前記折り曲げ可能なスカートセクション(44)が、前記スカートの外面に形成され、かつ、前記スカートの折り曲げ領域から下方縁部まで下向きに延びる2つの溝(45)によって、前記スカートの残りのセクションから分離され、前記溝(45)が、前記折り曲げ可能なスカートセクションを前記係合位置(P1)から前記外向き位置に向かって折り曲げるために、前記スカートを前記溝に沿って破断することができるように、前記スカートの前記壁の厚さを低減する、パッケージ(1)において、
前記外向き隆起部(28)を担持する前記容器の前記第1の係合部(27)が、第1の隆起部と称される前記隆起部の下方に延び、細長であり、第2の隆起部(30)によって前記第1の隆起部の下方で終端し、湾曲隅部セクションを有して外向きに方向付けられ、前記折り曲げ可能なスカート(42)セクションが、少なくとも1つの内向きのラグ(4
7)を担持し、前記ラグが、前記折り曲げ可能なスカートセクション(44)の前記係合位置(P1)において、少なくとも前記蓋を取り外すために力が前記蓋に加えられるときに、前記第1の係合部の前記第2の外向き隆起部(30)の下方にラッチ係合することができ、
前記第2の隆起部(30)上の前記少なくとも1つのラグ(47)のラッチは、前記折り曲げ可能なスカートセクション(44)の前記係合位置(P1)において、前記第2の外向き隆起部(30)の前記湾曲隅部セクションのみに沿った局所領域において達成され、前記第2の隆起部(30)の前記湾曲
隅部セクションに対して径方向に垂直な方向から見たときの、前記少なくとも1つのラグ(47)と前記第2の隆起部(30)の相互係合面間のラッチカバー(Rac2)が、前記第1の隆起部(28)の前記湾曲
隅部セクションに対して径方向に垂直な方向から見たときの、前記内向き隆起部(41)と前記第1の外向き隆起部(28)の相互係合面間のラッチカバー(Rac1)よりも寸法が大きい、
ことを特徴とする、パッケージ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのラグ(47)と前記第2の隆起部(30)との間の前記ラッチカバー(Rac2)が、前記内向き隆起部(41)と前記第1の外向き隆起部(28)との間の前記ラッチカバー(Rac1)よりも少なくとも2倍大きい、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのラグ(47)と前記第2の隆起部(30)との間の前記ラッチカバー(Rac2)が、2mm超かつ4mm未満の値を有する、請求項1又は2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのラグ(47)が、前記湾曲隅部セクションにわたって、前記第2の隆起部(30)の長さの1/3未満、更には1/5の長さで前記第2の隆起部(30)に沿って延びる、請求項1~3のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記蓋(4)の前記折り曲げ可能なスカートセクション(42)が、前記折り曲げ可能なスカートセクション(44)の高さに沿って、前記少なくとも1つのラグ(47)の上方に、かつ前記少なくとも1つのラグ(47)に対して垂直に延びる貫通凹部(48)を有する、請求
項4に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記貫通凹部(48)が、前記下部から、前記少なくとも1つのラグ(47)から、前記折り曲げ可能なスカートセクション(44)と前記第2の係合部(40)の前記上部との間の折り曲げ領域(46)まで、前記ラグ(47)の前記長さにわたってのみ延びる、請求項5に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記折り曲げ可能なスカートセクションの前記係合位置(P1)において、外部の力が前記蓋に加えられないとき、前記内向き隆起部(41)と前記第1の外向き隆起部(28)との間のラッチが解除されている一方、間隙(J)は、前記第2の外向き隆起部(30)と、前記第2の隆起部の下方に配置された前記少なくとも1つのラグ(47)とを分離し、前記ラグ(47)は、前記蓋(4)が力を受けたときにのみ、前記第2の隆起部(30)とラッチ接触する、請求項1~6のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記容器が、4つの隅部で接する4つの側壁を備え、前記蓋の前記内向き隆起部(41)が、4つの折り曲げ可能なスカートセクション(44)を備える4つの湾曲隅部セクション(43)を有し、各折り曲げ可能なスカートセクションが、前記容器の前記第2の外向き隆起部(30)とラッチ係合することができる、前記折り曲げ可能なスカートセクションの前記少なくとも1つのラグ(47)を担持する、請求項1~7のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記折り曲げ可能なスカートセクション(44)が、前記少なくとも1つのラグ(47)並びに前記内向き隆起部(41)を担持し、前記少なくとも1つのラグ(47)並びに前記内向き隆起部(41)は、両方とも前記折り曲げ領域(46)の下で、前記折り曲げ可能なスカートセクション(44)の前記係合位置(P1)に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記第2の係合部(40)を直接延長する前記蓋
の周壁(49)が、前記蓋の前記縁部に沿って、前記蓋の前記内向き隆起部(41)が前記容器の前記外向き隆起部(28)をラッチ係合する前記湾曲隅部セクション(43)間の前記側部セクションに、縦方向に突出し、前記蓋の下に配置され、外向きに配向された対向支持リブ(50)を備え、前記対向支持リブが、前記湾曲隅部セクション(43)間に、前記容器の前記側壁(20、21、22、23)
の内面に複数の対向支持部(Ap)を形成し、前記容器の外周に分布しており、前記湾曲隅部セクション(43)間の前記蓋の前記縁部に沿ってラッチ係合された前記隆起部(18、41)間の前記ラッチ係合を強化する、請求項1~9のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項11】
2つの湾曲隅部セクション(43)間の中央部(PM)にわたる前記蓋(4)の前記縁部に沿った前記対向支持リブ(50)の密度が、前記中央部の両側で前記湾曲隅部セクション(43)に近接す
る端部(PE)にわたる前記対向支持リブ(50)の密度よりも高い、請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記第2の係合部(40)を延長する前記周壁(49)が、水平壁に対して傾斜しつつ、前記第2の係合部を前記蓋の前記水平壁に接続し、前記周壁が前記容器
の内壁と共に、前記蓋の下面の下方に開放している溝Gを画定し、前記溝内で前記対向支持リブ(50)が突出して延びる、請求項10又は11に記載のパッケージ。
【請求項13】
各対向支持リブ(50)が三角形の形状であり、前記三角形の最長辺(51)が前記周壁(49)に隣接し、前記三角形の略水平である第2の辺(52)は、前記蓋の前記水平壁の延長部に配向され、第3の辺(53)は、前記容器の前記内面に支持領域を形成する、請求項12に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記第3の辺(52)が、前記容器の側壁の前記内面に前記支持領域を形成する長セクション(SIs)と、前記側壁を押圧しないように低減された短セクション(SIi)と、を有し、前記第2の辺(52)と前記第3の辺(53)との間に形成される角が丸みを帯びている、請求項13に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記蓋の前記外周にわたって、前記第2の係合部(40)に対して内部に向かって、前記蓋の前記水平壁に対して上向きに突出して延びるくさび形リブ(54)を備え、前記くさび形リブ(54)が、前記蓋の前記水平壁に積み重ねられた同種のパッケージの容器の下部を、センタリングしながら前記リブ間に受容するように、前記第2の係合部(40)の内周にわたって分布しており、前記くさび形リブが、前記積み重ねられた容器の前記側壁の前記下部との当接を構成する、請求項
12~14のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項16】
前記対向支持リブ(50)が、少なくとも部分的に、前記周壁(49)に対して、前記くさび形リブ(54)の延長部に位置するリブであり、前記対向支持リブ(50)及び前記くさび形リブが、対で同一平面上にある、請求項15と組み合わせた請求項10~14のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項17】
各くさび形リブが、前記蓋の前記水平壁から前記第2の係合部(40)の前記下部の上方に上向きに延び、前記第2の係合部から前記水平壁まで内向きに延び、前記水平壁を部分的に覆い、各くさび形リブ(54)が、前記蓋の前記水平壁に沿った第1の隆起部(55)のレベルで、前記周壁(49)に沿った第2の隆起部(56)で、及び第3の隆起部(57)に沿って前記第2の係合部(40)の高さの一部分にわたって、前記蓋の残部に隣接している、請求項12
又は15に記載のパッケージ。
【請求項18】
前記第2の係合部(40)が、下向きに開放されて前記第1の係合部(27)を受容する溝を形成し、前記第2の係合部(40)が、前記蓋の上壁を延長する第1の長手方向セクションと、適用可能な場合、前記周壁(49)と、それに続く、前記第1の
長手方向セクションに対して傾斜した第2の長手方向セクションと、それに続く
前記第2の
長手方向セクションに対して傾斜し、下向きに延びて前記スカート(42)を形成し、前記内向き隆起部(41)を担持する第3の長手方向セクションと、を含む、逆U字型断面を備える、請求項
10~17のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項19】
前記蓋及び前記容器が射出成形により得られる、請求項1~18のいずれか一項に記載のパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージであって、一方で、隅部で接する側壁、底部、及び上部開口部を備える、プラスチック容器と、容器の上部開口部を覆うように意図された蓋と、を備える、パッケージに関する。
【0002】
本発明の分野は、蓋及び容器の射出成形によって従来より得られるプラスチックパッケージの分野である。他方、弾性的。
【背景技術】
【0003】
現行技術から、容器は、容器の上部開口部に第1の係合部を有し、かつ、蓋は、蓋の外周に第2の係合部を有し、これらの係合部は互いに弾性的に相互係止されるように意図されているパッケージが知られている。
【0004】
蓋の容器への係止を確保するために、蓋の第1の係合部は、外周にわたって延びる外向き隆起部を備え、蓋の第2の係合部は、容器の外向き隆起部の下にラッチ係合することができる第2の係合部のスカートに配置された内向き隆起部が備えている。
【0005】
一方の容器の外向き隆起部、及び他方の蓋の内向き隆起部は、上記側壁同士が接する隅部に湾曲隅部セクションを有し、上記湾曲隅部セクションは、それぞれの隆起部の側部セクションを接続する。
【0006】
このような現行技術では、容器上への蓋の配置及び係止は、従来は、容器の第1の係合部を第2の係合部に相互係止させるために、かつ、蓋の内向き隆起部が容器の外向き隆起部の上を通過するまで、蓋の中心を押圧するシリンダアクチュエータを用いて力を加えることによって行われる。2つの隆起部間の相互係合時に、表面は蓋の取り外しに抵抗する。
【0007】
蓋の取り外しは、典型的にはエンドユーザによって実施され、人によっては難しくなることができ、更には、容器から蓋を取り外すためにドライバーなどの工具の助けを必要とする場合がある。
【0008】
しかしながら、蓋及び/又は容器の機能部分を備えた現行技術のパッケージは、蓋を容易に取り外すことを可能にする。
【0009】
解決策のうちの1つは、文献EP0110859に開示されており、蓋の第2の係合部の上部に、折り曲げ領域で関節運動される可撓性ヒンジなどの折り曲げ可能なスカートセクションを、蓋上の内向き隆起部の湾曲隅部セクションのうちの1つに設けることを含む。この折り曲げ可能なスカートセクションは、てこの作用を用いることにより、内向き隆起部の上記少なくとも1つの湾曲隅部セクションの中心部が上部開口部の外向き隆起部から間隔を空けるように、したがって、内向き隆起部と外向き隆起部との間のそれぞれの係合が、上記中心部にわたって弱まるように、係合位置から外向き解放位置に折り曲げることができる。
【0010】
係合位置では、折り曲げ可能なスカートセクションは、スカートの外面に形成されており、かつ折り曲げ領域からスカートの下方縁部まで下向きに延びる2つの溝によって、残りのスカートセクションから分離されており、上記溝は、折り曲げ可能なスカートセクションを、係合位置から外向き位置に折り曲げるために、スカートを溝に沿って破断することができるように、スカートの壁厚を低減する。
【0011】
折り曲げ可能なスカートセクションを含むこのような解決策は、この隅部での蓋と容器との間の接続を弱めることによって、最も困難な場所(すなわち、隅部)における蓋の開封を大幅に簡易化し、有利なことに、スカートセクションが持ち上げられた後に2つの破断可能な溝が不可逆的に破断されるという不正開封防止機能を組み合わせる。文献EP0110859では、内向き隆起部は、折り曲げ可能なスカートセクションによって、折り曲げ可能なスカートセクションと第2の係合部との間の可撓性ヒンジの下に位置する。しかしながら、文献EP223866に開示されているように、可撓性ヒンジの上方に内向き隆起部を設けることが可能であり、最初の開封後の蓋と容器との間の封止を保持するために、折り曲げ可能なスカートセクションが持ち上げられたときにこの隆起部が切断されないようにすることができる。
【0012】
しかしながら、本発明者らによる知見によれば、そのような不正開封防止システムは完全には信頼できない。というのは、依然として、折り曲げ可能なスカートセクションを係合位置に維持しつつ、すなわち、持ち上げ2つの破断可能な溝を切断する必要なしに、容器の蓋を取り外すことが可能だからである。例えば、一方の手でスカートセクションの下で力強く押して、蓋を外そうとする力を加えると同時に、他方の手でスカートセクションを容器に向かって径方向に押しやることによって、隅部で蓋を取り外すことができる場合が多く、したがって溝の切断が回避される。このようにして、破断可能な溝を破断することなく、蓋の取り外しが達成される。隅部でのラッチ係合を増強するために、容器の第1の係合部上及び第2の部分上にそれぞれ配置され、共にラッチ係合するように相互に係合する外向き隆起部と内向き隆起部の別の対を用いて、隅部でラッチ係合される隆起部を二重にすることも、現行技術から知られている。本発明者らの知見によれば、破断可能な溝を依然として破断せずに上手く蓋を取り外すために、プラスチックの弾性によって遊びを設けることがなお可能であるため、相互にラッチ係合する二重対の隆起部を隅部に設けることによって、常に不正開封が防止されるわけではない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、文献EP0110859に記載されているタイプの蓋と容器とを含むパッケージを提案することによって、前述の欠点を改善することであり、上記パッケージは折り曲げ可能なスカートセクションを備え、このスカートセクションは、蓋の取り外しを容易にし、不正開封のリスク、すなわち、不正開封の痕跡として機能する破断可能な溝の破断を起こさない蓋の取り外しを低減する、又はせめて実質的に制限する。
【0014】
本発明の別の目的は、製造に必要な射出成形設備及び製造コストを複雑にしないような設計のパッケージを提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、パッケージの積み重ね中の負荷に対する抵抗が、上記の現行技術よりも大幅に改善されるパッケージを提案することである。本発明の他の目的及び利点は、単に非限定的な例として与えられる以下の説明を通して明らかとなるであろう。
【0016】
また、本発明は、一方で、隅部で接する側壁、上部開口部、及び底部を備える、プラスチック容器と、他方で、容器の上部開口部を覆うように構成された取り外し可能なプラスチックの蓋と、を備える、パッケージに関し、容器が、上部開口部に、外向き隆起部を担持し、外周にわたって延びる第1の係合部を備え、蓋が、外周部にわたって、容器の外向き隆起部の下方にラッチ係合することができる内向き隆起部を備えた、下向きに折り曲げられて延びる第2の係合部を備え、蓋の第2の係合部が、第2の係合部の下部にわたって延びるスカートを有し、一方で容器の外向き隆起部が、かつ、他方で蓋の内向き隆起部が、側壁同士が接する隅部に湾曲隅部セクションfを有し、湾曲隅部セクションがそれぞれの隆起部の側部セクションを接続し、内向き隆起部の湾曲隅部セクションのうちの少なくとも1つが、折り曲げ可能なスカートセクションを備え、スカートセクションが、第2の係合部の上部の折り曲げ領域で関節運動され、内向き隆起部の少なくとも1つの隅部セクションの中心部が上部開口部の外向き隆起部のてこの作用を用いることによって分離されるように、したがって、隆起部間の係合が、中心部にわたって弱まるように、係合位置から外向き位置に折り曲げることができ、折り曲げ可能なスカートセクションが、スカートの外面に形成され、かつ、スカートの折り曲げ領域から下方縁部まで下向きに延びる2つの溝によって、スカートの残りのセクションから分離され、溝が、折り曲げ可能なスカートセクションを係合位置から外向き位置に向かって折り曲げるために、スカートを溝に沿って破断することができるように、スカートの壁の厚さを低減する。
【0017】
本発明によれば、
-外向き隆起部を担持する容器の第1の係合部が、第1の隆起部と称される隆起部の下方に延び、細長であり、第2の隆起部によって第1の隆起部の下方で終端し、湾曲隅部セクションを有して外向きに方向付けられ、
-折り曲げ可能なスカートセクションが、少なくとも1つの内向きのラグを担持し、ラグが、折り曲げ可能なスカートセクションの係合位置において、少なくとも蓋を取り外すために力が蓋に加えられるときに、第1の係合部の第2の外向き隆起部の下方にラッチ係合することができる。
【0018】
重要なことに、第2の隆起部上の上記少なくとも1つのラグのラッチは、折り曲げ可能なスカートセクションの係合位置において、
-第2の外向き隆起部の湾曲隅部セクションのみに沿った局所領域において達成され、
-第2の隆起部の湾曲セクションに対して径方向から見たときの、少なくとも1つのラグと第2の隆起部の相互係合面間のラッチカバーが、第1の隆起部の湾曲セクションに対して径方向から見たときの、内向き隆起部と第1の外向き隆起部の相互係合面間のラッチカバーよりも寸法が大きい。
【0019】
単独で又は組み合わせて解釈される本発明の任意の特徴によれば、
-少なくとも1つのラグと第2の隆起部との間のラッチカバーが、内向き隆起部と第1の外向き隆起部との間のラッチカバーよりも少なくとも2倍大きく、
-少なくとも1つのラグと第2の隆起部との間のラッチカバーが、好ましくは2mm超かつ4mm未満の値を有し、
-少なくとも1つのラグが、湾曲隅部セクションにわたって、第2の隆起部の長さの1/3未満、更には1/5の長さで第2の隆起部に沿って延び、
-蓋の折り曲げ可能なスカートセクションが、折り曲げ可能なスカートセクションの高さに沿って、少なくとも1つのラグの上方に、かつ少なくとも1つのラグに対して垂直に延びる貫通凹部を有し、
-貫通凹部が、下部から、少なくとも1つのラグから、折り曲げ可能なスカートセクションと第2の係合部の上部との間の折り曲げ領域まで、ラグの長さにわたってのみ延び、
-折り曲げ可能なスカートセクションの係合位置において、外部の力が蓋に加えられないとき、内向き隆起部と第1の外向き隆起部との間のラッチが解除されている一方、間隙は、第2の外向き隆起部と、第2の隆起部の下方に配置された少なくとも1つのラグとを分離し、ラグは、蓋が力を受けたときにのみ、第2の隆起部とラッチ接触し、
-容器が、4つの隅部で接する4つの側壁を備え、蓋の内向き隆起部が、4つの折り曲げ可能なスカートセクションを備える4つの湾曲隅部セクションを有し、各折り曲げ可能なスカートセクションが、容器の第2の外向き隆起部とラッチ係合することができる、折り曲げ可能なスカートセクションの少なくとも1つのラグを担持し、
-折り曲げ可能なスカートセクションが、少なくとも1つのラグ並びに内向き隆起部を担持し、少なくとも1つのラグ並びに内向き隆起部は、両方とも折り曲げ領域の下で、折り曲げ可能なスカートセクションの係合位置に配置され、
-第2の係合部を直接延長する蓋の周壁が、蓋の縁部に沿って、蓋の内向き隆起部が容器の外向き隆起部をラッチ係合する湾曲隅部セクション間の側部セクションに、縦方向に突出し、蓋の下に配置され、外向きに配向された対向支持リブを備え、対向支持リブが、湾曲隅部セクション間に、容器の壁の内面に複数の対向支持部を形成し、容器の外周に分布しており、湾曲隅部セクション間の蓋の縁部に沿って側部セクションの隆起部間のラッチを強化し、
-2つの湾曲隅部セクション間の中央部にわたる蓋の縁部に沿った対向支持リブの密度が、中央部の両側で湾曲隅部セクションに近接する端部にわたる対向支持リブの密度よりも高く、
-第2の係合部を延長する周壁が、例えば、45°~70°の角度αで水平壁に対して傾斜しつつ、第2の係合部を蓋の水平壁に接続し、周壁が容器の内壁と共に、蓋の下面の下方に開放している溝Gを画定し、溝内で対向支持リブが突出して延び、
-各対向支持リブが三角形の形状であり、三角形の最長辺は周壁に隣接し、三角形の略水平である第2の辺は、蓋の水平壁の延長部に配向され、第3の辺は、容器の内面に支持領域を形成し、
-第3の辺が、容器の側壁の内面に支持領域を形成する長セクションと、側壁を押圧しないように低減された短セクションと、を有し、第2の辺と第3の辺との間に形成される角が丸みを帯びており、
-蓋は、蓋の外周にわたって、第2の係合部に対して内部に向かって、蓋の水平壁に対して上向きに突出して延びるくさび形リブを備え、くさび形リブが、蓋の水平壁に重ねられた同種のパッケージの容器の下部を、センタリングしながらリブ間に受容するように、第2の係合部の内周にわたって分布しており、くさび形リブが、重ねられた容器の側壁の下部との止め部を構成し、
-対向支持リブが、少なくとも部分的に、周壁に対して、くさび形リブの延長部に位置するリブであり、対向支持リブ及びくさび形リブが、対で同一平面上にあり、
-各くさび形リブが、蓋の水平壁から第2の係合部の下部の上方に上向きに延び、第2の係合部から水平壁まで内向きに延び、水平壁を部分的に覆い、各くさび形リブが、蓋の水平壁に沿った第1の隆起部のレベルで、周壁に沿った第2の隆起部で、及び第3の隆起部に沿って第2の係合部の高さの一部分にわたって、蓋の残部に隣接しており、
-第2の係合部が、した向きに開放されて第1の係合部を受容する溝を形成し、第2の係合部が、蓋の上壁を延長する第1の長手方向セクションと、適用可能な場合、周壁と、それに続く、第1のセクションに対して傾斜した、例えば水平の、第2の長手方向セクションと、それに続く、第2のセクションに対して傾斜し、下向きに延びてスカートを形成し、内向き隆起部を担持する第3の長手方向セクションと、を含む、逆U字型断面を備える。
【0020】
本発明は更に、上記容器及び上記蓋が射出成形により得られる、本発明によるパッケージの製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
他の特徴、詳細、及び利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を分析することによって明らかになるであろう。
【0022】
【
図1】容器を備える本発明によるパッケージの斜視図であり、その上部開口部は、上記パッケージの蓋によって封止されている。
【0023】
【
図1A】スカートセクションを通り、ラグに垂直な凹部の存在により、スカートの残りの部分から、破断可能な2つの溝によって分離された、隅部で係合位置にある折り曲げ可能なスカートセクションを示す、
図1の詳細図であり、凹部は、ラグから折り曲げ領域の高さまで延びて、係合位置から外向き位置までのスカートセクションの上昇を可能にする。
【0024】
【
図2】積み重ねられた2つの蓋の図であり、蓋の側面を通る切断面に沿った断面図である。
【0025】
【
図3】積み重ねられた2つの蓋の図であり、蓋の隅部のうちの2つの隅部セクションを径方向に通る切断面に沿った断面図である。
【0026】
【
図4】容器の第1の部分と蓋の第2の部分との相互係止を示す、蓋の側面を通る切断面に沿った断面図である。
【0027】
【
図5】容器の第1の部分と蓋の第2の部分との相互係止を示す、ラグを通らずに折り曲げ可能なスカートセクションを通る切断面に沿った断面図である。
【0028】
【
図6】蓋の第2の部分上への容器の第1の部分の相互係止を示す、折り曲げ可能なスカートセクションとラグとを通る切断面に沿った断面図である。
【0029】
【
図7】第2の実施形態による、積み重ねられた本発明の2つのパッケージの斜視図であり、パッケージは、隅部上への蓋のラッチ係合を強化するラグだけでなく、容器の側壁の内面に位置し、蓋の内向きリブと容器の外向きリブとの間のラッチ係合を隅部間の縁部に沿って有利なことに強化する、外向きに突出する対向支持リブを含む。
【0030】
【
図8】
図7のパッケージの蓋の斜視図であり、この蓋は、蓋の隅部間の縁部に沿って蓋の外周に分布しており、この領域への蓋のラッチ係合を容易にすることを意図した蓋の下の対向支持リブと、蓋の上部にわたって突出し、蓋に積み重ねられた同種のパッケージのくさび留め及びセンタリングを促進することを意図したくさび形リブと、を備えるという点で注目に値する。
【0031】
【
図9】
図7に示すように、蓋の水平壁に対して平行な平面に沿った蓋の断面図であり、より具体的には、対向支持リブに対するくさび形リブの相対的位置決めを示し、くさび形リブのうちのいくつかは、対向支持リブの延長部にある。
【0032】
【
図10】パッケージの2つの隅部間の中央部を通る垂直平面に沿った断面図であり、(蓋の)内向きリブと(蓋の)外向きリブとの間のラッチ係合、及び蓋の側壁の内面に接触する対向支持リブによる補強を示し、この対向支持リブは、蓋の水平壁に対して傾斜した周壁から突出し、三角形の形状であり、その最長辺が隣接し、水平壁から延びる第2の辺と、支持隆起部を形成する第3の辺とを有し、上記第2の辺と第3の辺との間に形成された角が丸みを帯びている。
【0033】
【
図11】蓋と容器との間の相互にラッチ係合されたリブのラッチ係合を補強する対向支持リブの作用と、蓋に積み重ねられた容器をセンタリングするためのくさび形リブの作用と、を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明における図面は、特定の性質の要素を基本的に含む。したがって、これらの図面は、本開示のより良好な理解に役立つだけでなく、該当する場合には定義にも寄与する。
【0035】
本発明は、パッケージ1であって、一方で、隅部24で接する側壁20、21、22、23、上部開口部25、及び底部26を備える、プラスチック容器2と、他方で、容器の上部開口部を覆うように構成された取り外し可能なプラスチック蓋4と、を備える、パッケージ1に関する。
【0036】
側壁20、21、22、23は、略末広がりであってもよく、共に角錐台を形成しており、容器を同種の容器上に積み重ねることができるように構成されている。
【0037】
容器2は、その上部開口部25に第1の係合部27を備え、第1の係合部27は、外向き隆起部28を担持し、かつ外周にわたって延びており、上記蓋4は、その外周部にわたって第2の係合部40を備え、第2の係合部40は、折り曲げられた状態で下向きに延び、かつ内向き隆起部41を備え、内向き隆起部は、容器の外向き隆起部28の下方にラッチ係合することができる。
【0038】
また、
図4の断面図では、第1の係合部27は、下向きに開放した第2の係合部40の溝を貫通していることに留意されたい。第1の係合部27は、内壁を上向きに延長する第1の長手方向セクションと、それに続く、第1のセクションに対して傾斜した、例えば水平の、第2の長手方向セクションと、それに続く、第2のセクションに対して傾斜し、下向きに延び、外向き隆起部28を担持し、第2の隆起部30によって部分的に終端する第3の長手方向セクションと、を含む、逆U字型断面を備える。
【0039】
また、
図4の断面図において、第2の係合部40は、下向きに開放した溝を形成し、第1の係合部27を受容することに留意されたい。第2の係合部40は、上壁を延長する第1の長手方向セクションと、それに続く、第1のセクションに対して傾斜した、例えば水平の、第2の長手方向セクションと、それに続く、第2のセクションに対して傾斜し、下向きに延びてスカート42を形成し、内向き隆起部41を担持する第3の長手方向セクションと、を含む、逆U字型断面を備える。
【0040】
したがって、蓋の第2の係合部は、一方で、容器の第2の係合部40の下部にわたって延びるスカート42と、容器の外向き隆起部28と、を有し、他方で、蓋4の内向き隆起部41を有し、上記側壁同士が接する隅部に湾曲隅部セクション29、43を有し、湾曲隅部セクションは、それぞれの隆起部の側部セクション同士を接続する。
【0041】
内向き隆起部41の湾曲隅部セクション43のうちの少なくとも1つは、折り曲げ可能なスカートセクション44を備え、この折り曲げ可能なスカートは、第2の係合部40の上部の折り曲げ領域46で関節運動され、てこの作用を用いることにより、内向き隆起部41の上記少なくとも1つの湾曲隅部セクションの中心部が上部開口部の外向き隆起部28から間隔を空けるように、したがって、隆起部28、41間の係合が、上記中心部にわたって弱まるように、係合位置P1から外向き位置に折り曲げることができる。
【0042】
そのような折り曲げ可能なスカートセクションは、ドライバーなどの工具を使用する必要なく、使用者による蓋の取り外しを容易にし、弱化は、折り曲げ領域46の周囲の蓋の残部に対して枢動する折り曲げ可能なスカートセクション44を外向きに偏位することによって達成される。
【0043】
本発明によると、上記折り曲げ可能なスカートセクション44は、係合位置において、スカートの外面に形成されており、かつ折り曲げ領域からスカートの下方縁部まで下向きに延びる2つの溝45によって、残りのスカートセクションから分離されており、上記溝45は、折り曲げ可能なスカートセクションを、外向き係合位置P1に折り曲げるために、スカートを溝に沿って破断することができるように、スカートの壁厚を低減する。これらの溝45は、不可逆的に破壊されると、不正開封の痕跡を構成する。
【0044】
本発明によると、注目すべきことに、外向き隆起部28を担持する容器の第1の係合部27は、第1の隆起部と称される上記隆起部の下方に延びて、伸長し、上記第1の隆起部の下方で、湾曲隅部セクションを有する外向きの第2の隆起部41において終端する。
【0045】
したがって、
図4では、隆起部28を担持する第3の長手方向セクションは、この外向き隆起部28の下方に伸長し、第2の外向き隆起部30によって終端することに留意されたい。
【0046】
図6では、折り曲げ可能なスカートセクション42が少なくとも1つの内向きラグ47を担持し、この内向きラグは、折り曲げ可能なスカートセクションの係合位置P1において、少なくとも、蓋を取り外すように力が蓋に加えられるとき、第1の係合部の第2の外向き隆起部30の下にラッチ係合され得ることに留意されたい。
【0047】
注目すべきことに、第2の隆起部30上の少なくとも1つのラグ47のラッチ係合は、第2の外向き隆起部30の湾曲セクションに沿った1つの局所領域のみで折り曲げ可能なスカートセクションの係合位置P1において達成される。ラグ47は、第2の隆起部30の一部のみにわたって第2の隆起部30の長さに沿って延び、例えば、ラグは、湾曲隅部セクションにわたって、第2の隆起部30の長さの1/3未満、更には1/5の長さに沿って延びる。
【0048】
特に、第2の隆起部30の湾曲セクションに対して径方向に沿った、上記少なくとも1つのラグ47と第2の隆起部30の相互係合面間のラッチカバーRac2は、第1の隆起部28の湾曲セクションに対して径方向に沿った、内向き隆起部41と第1の外向き隆起部28の相互係合面間のラッチカバーRac1よりも大きい。
【0049】
図6では、ラッチカバーRac2及びRac1は例示目的のために示され、ラグ47と第2の隆起部30との間のラッチカバーRac2は、内向き隆起部41と外向き隆起部28との間のラッチカバーRac1よりも著しく大きいことに留意されたい。
【0050】
また、不正開封防止を試みた場合、及び、弱い方のラッチカバーRac1により、内向き隆起部41が第1の隆起部28から解放され、大きい方のラッチカバーRac2により、少なくとも1つのラグ47が常に第2の隆起部30をラッチ係合すると仮定すると、例えば、少なくとも1つのラグ47と第2の隆起部30との間のラッチカバーRac2は、内向き隆起部41と第1の外向き隆起部28との間のラッチカバーRac1の少なくとも2倍である。
【0051】
したがって、折り曲げ可能なスカートセクション44を折り曲げることによって、有利なことに溝45の破断を必要とする変位量だけ、第2の隆起部30から、上記少なくとも1つのラグ47を解放することのみが可能になる。したがって、この不正開封防止システムの信頼性は、大きく向上する。
【0052】
この点に関して、内向きラグ47のサイズは、内向き隆起部41のサイズよりも著しく大きいことに留意されたい。この点に関して、蓋4の折り曲げ可能なスカートセクション42は、少なくとも1つのラグ47の上方に、かつ少なくとも1つのラグ47に対して垂直に、折り曲げ可能なスカートセクション44の高さに沿って延びる貫通凹部48を有してもよい。この凹部の機能は、製造中に射出成形後の蓋の離型を容易にすることであり、この凹部がなければ、ラッチカバーRac2を得るために必要な、内部に向かう大きな寸法のラグが、金型の特別な配置なしでは、離型を煩雑にし、更には不可能にする。
【0053】
この貫通凹部48は、折り曲げ可能なスカートセクション44を本質的に脆弱にするし、また、この凹部は、離型を容易にするために必要な領域のみにわたって延びる、すなわち、この凹部は、上記少なくとも1つのラグ47に対して垂直に位置し、それ自体、凹部のサイズを制限するために、隅部セクション43に沿って小さい長手方向セクションにわたって延びることに留意されたい。最終的には、射出成形製造法中の実装の容易性と、隅部における折り曲げ可能なスカートセクションと容器とのラッチ係合の強度との間で妥協が得られる。
【0054】
図1aに示すように、上記貫通凹部48は、例えば、その下部の、少なくとも1つのラグ47から、折り曲げ可能なスカートセクション44と第2の係合部40の上部との間の折り曲げ領域46まで、ラグ47の長さにわたってのみ延びる。
【0055】
折り曲げ可能なスカートセクションの係合位置P1では、
図6に示されるように、外部の力が蓋に加えられないとき、内向き隆起部41と第1の外向き隆起部28との間のラッチ係合は開放されており、一方、間隙Jは、第2の外向き隆起部30と、第2の隆起部30の下に配置された少なくとも1つのラグ47とを分離することができる。そのような場合、蓋を取り外そうとするような力が蓋4に加えられたとき、又は蓋に大きな負荷がかかったとき、例えば、本発明によるパッケージが互いに積み重ねられたときのみ、上記ラグ47が第2の隆起部30とラッチ接触する。
【0056】
その点に関して、本発明は、積み重ねに対するパッケージの抵抗、より具体的には、積み重ねの中で最も下のパッケージの蓋の性能を向上させることが可能であり、現行技術のパッケージでは、列の重量の影響下で、蓋は、ラッチ係合されず、容器の開封を通じて文字通り潰れる場合がある。本発明は、上記少なくとも1つのラグのラッチ係合に起因して、潰れに対してより良く抵抗することができる。そのような場合、少なくとも1つのラグ47及び少なくとも1つの折り曲げ可能なスカートセクションが、パッケージの各隅部に設けられてもよい。
【0057】
図示された実施形態によれば、折り曲げ可能なスカートセクション44は、上記少なくとも1つのラグ47並びに内向き隆起部41も担持し、少なくとも1つのラグ47並びに内向き隆起部41は、両方とも折り曲げ可能なスカートセクション44の係合位置P1において折り曲げ領域46の下に配置される。したがって、折り曲げ可能なスカートセクション44が係合位置P1から上昇したときに、内向き隆起部41が切断される。あるいは、文献EP2523866によって教示されるように、折り曲げ可能なスカートセクションが上昇しても、内向き隆起部41が切断されずに最初の開封時の蓋の封止特性を維持するように、内向き隆起部41が折り曲げ領域46の上方に位置してもよい。
【0058】
図示される実施形態によれば、容器は、4つの隅部で接する4つの側壁を備え、蓋の内向き隆起部41は、4つの折り曲げ可能なスカートセクション44を備える4つの湾曲隅部セクション43を有し、各折り曲げ可能なスカートセクションは、容器の第2の外向き隆起部30とラッチ係合することができる少なくとも1つのラグ47を担持する。少なくとも4つのラグ47は、容器の4つの隅部における蓋の確実なラッチ係合を提供し、蓋と容器との間のラッチ接続を更に増強する。
第1の実施形態の利点及び欠点
【0059】
第1に、特に4つの湾曲隅部セクション43におけるラグ47の存在は、溝45を破断して第2の隆起部30のラグ27の係合を解除することをユーザに要求する不正開封防止システムの信頼性を大幅に向上させる。
【0060】
本発明はまた、列の重量の影響下で、パッケージの積み重ねに対する抵抗、より具体的には、積み重ねのうちの最も下のパッケージの性能を高めることができる。逆に、現行技術のパッケージでは、蓋が取り外され、容器の開封を通じて文字通り潰れる場合がある。隅部における上記少なくともラグのラッチ係合により、本発明は、潰れに対するより良好な抵抗を可能にし、蓋は、少なくとも上記ラグを有する4つの隅部で容器にラッチ係合された状態を保つ。
【0061】
図1~
図6に示す実施形態によれば、積み重ね中、より具体的には、重負荷の場合、容器が蓋を変形させ、第2の係合部40に伝播する大きな内部張力を生成する。重負荷の場合の発明者の観察によると、負荷下の変形の影響下で、間隙Jを排除し、有利なことに、容器内への蓋の潰れを回避しつつ、第2の隆起部30に当接するラグ27の作用により、蓋が隅部にラッチ係合された状態が保たれることを見出し得る。しかしながら、重負荷の場合、内部張力は、蓋と容器との間の隆起部28、41が、隆起部28、41の側部セクションの隅部間の蓋の縁部に沿って、特に、蓋の外周の中央部において、隅部から離れるように取り外されるだけの強度であってもよい。この結果、蓋と容器との間の封止の著しい損失が生じる。以下で説明する改良は、この問題に対処することができる。
第2実施形態により得られる改良
【0062】
図7~
図11に示す第2の実施形態は、隅部における容器の第1の係合部と蓋の第2の係合部との間のラッチの補強を達成するだけでなく、隆起部28、41の側部セクションの隅部間の縁部に沿って、ラッチの補強を達成するという点で有利である。
【0063】
有意に(かつ、第1の実施形態と同様に)、第2の実施形態は、第1に、容器の第2の隆起部30をラッチ係合するように構成された上記少なくとも1つのラグ47を備え、かつ前述したラッチカバーにより、溝45が、第2の隆起部30から少なくともラグ47を解放するように切断され得るだけでなく、湾曲隅部セクション43に沿った、上記少なくともラグを有する蓋の隅部での堅牢なラッチ係合により、負荷下の変形及び応力に抵抗することによって、積み重ね中に容器上に蓋を維持することを確保する。
【0064】
第1に、
図8では、ラッチは、任意選択的に、隅部で各折り曲げ可能なスカートセクション44上の2つのラグ47を用いて、湾曲隅部セクションで補強されてもよいことに留意されたい。隅部当たり2つのラグ47は、本発明による一般的な尺度とすることができ、この特定の実施形態に限定されるものではない。
【0065】
また、有意に(かつ、第2の実施形態に特有に)、第2の係合部40を直接延長する蓋の周壁49は、蓋の内向き隆起部41が容器の外向き隆起部28をラッチ係合する湾曲隅部セクション43間の側部セクション上の蓋の縁部に沿って、縦方向に突出し、蓋の下に位置し、外向きに配向された対向支持リブ50を備える。
【0066】
これらの対向支持リブ50は、有利なことに、容器の側壁20、21、22、23の内面に複数の対向支持部Apを形成し、湾曲隅部セクション43間の隆起部28、41の側部セクション上で容器の外周にわたって分布しているという点で、第1の実施形態に関して上記で特定された問題に対処するために有意である。これらの対向支持部Apは、有利なことに、湾曲隅部セクション43間の隆起部28、41の側部セクション上の蓋の縁部に沿って、隆起部28、41間のラッチ係合を強化する。
【0067】
同種のパッケージの蓋にパッケージを積み重ねている間、有利なことに、一方の隅部の折り曲げ可能なスカートセクション44上のラグ47と、他方の隅部間の縁部に沿った対向支持リブ50との組み合わせにより、蓋の全周にわたって、すなわち、隅部だけでなく隅部間の縁部に沿って、リブ28、41の係合を解除することなく、容器の蓋のラッチ係合が良好に保持される。
【0068】
図10及び
図11に示すように、第2の係合部40は、下向きに開放されて第1の係合部27を受容する溝Gを形成する。第2の係合部40は、蓋の上壁を延長する第1の長手方向セクションと(蓋の中央水平壁によって延長される周壁49を含む)、それに続く、第1のセクションに対して傾斜した、例えば水平の、第2の長手方向セクションと、それに続く、第2のセクションに対して傾斜し、下向きに延びてスカート42を形成し、内向き隆起部41を担持する第3の長手方向セクションと、を含む、逆U字型断面を備える。
【0069】
周壁49は、第2の係合部を蓋の水平壁に接続することによって、第2の係合部40を延長する。
図10及び
図11に示すように、この周壁49は、水平壁に対して、蓋の中心を、例えば、30°~70°、特に45°~70°の角度αだけ傾斜させることができる。この壁49は、第2の係合部40から水平壁に向かって下降する。この周壁49は、側壁20、21、22、23と共に、(リブ28、41のラッチによって)蓋が容器に取り付けられたとき、蓋4の下面の下方に開放し、容器の内周にわたって延びる溝Gを画定する。また、対向支持リブ50は、側壁20、21、22、23の内面上の対向支持部Apにおいて、この溝G内に延びることにも留意されたい。これらの支持部は、積み重ね中の負荷下での周壁49の収束を防止する。したがって、有利なことに、第2の係合部40のU字型セクションを開放し、縁部に沿った隆起部28、41の取り外しを促進する傾向がある、このような変形が回避される。有利なことに、ラッチのより良好な維持が、隅部間のパッケージの縁部に沿って隆起部28と41との間で達成される。
【0070】
2つの湾曲隅部セクション43間の側部セクションの中央部PM上の、蓋4の縁部に沿った対向支持リブ50の密度は、中央部PMの両側で湾曲隅部セクション43に近接する側部セクションの端部PE上の対向支持リブ50の線密度よりも高くてもよい。
【0071】
図8では、中央部PMが、2つの隅部間の縁部の長さに沿って5つの対向支持リブ50を備える一方、2つの端部PEは、2つの対向支持リブのみを備え、線密度がより低いことに留意されたい。
【0072】
図10及び
図11に示すように、各対向支持リブ50は三角形の形状であってもよく、第1の辺と称される三角形の最長辺51が周壁49に隣接し、略水平である三角形の第2の辺52は、蓋の水平壁の延長部、特に、その下面に配向され、第3の辺53は、容器の内面に支持領域を形成する。また、第3の辺52は、容器の側壁の内面に対向支持部Apを形成する長セクションSIsと、側壁を押圧しないように低減された短セクションSIiとを有し、第2の辺52と第3の辺53との間に形成される角は、有利なことに丸みを帯びていることに留意されたい。したがって、内容物を損なう、又は更には、容器内に材料を梱包するために使用される可撓性パウチを穿刺する可能性が高い鋭角の存在が回避される。
【0073】
図8に示すように、蓋4は、蓋の外周に突出して延び、第2の係合部40に対して内向きに、かつ蓋の水平壁に対して上向きに延びるくさび形リブ54も備えることができる。くさび形リブ54は、蓋の水平壁に積み重ねられた同種のパッケージの容器の下部を、センタリングしつつリブ間に受容するように、第2の係合部40の内周にわたって分布している。上記くさび形リブは、積み重ねられた容器の側壁の下部との当接部を構成し、蓋上でのセンタリングを確実にする。
【0074】
図9に示すように、対向支持リブ50は、少なくとも部分的に、周壁49に対して、くさび形リブ54の延長部に位置するリブであり、この対向支持リブ50及びくさび形リブ54は、対で同一平面上にある。
【0075】
したがって、
図9に示すように、蓋の隅部間の各縁部に関して、
-中央部PMは、3つの対向支持リブ50をそれぞれ延長する3つのくさび形リブ54を備え、一方、2つの他の対向支持リブ50は、前述のリブの中間に位置付けられ、周壁49から単独で、すなわち、くさび形リブを延長せずに突出する。
-中央部PMの両側にある2つの端部PEでは、2つの対向支持リブ50は、2つのくさび形リブ54をそれぞれ延長する。
【0076】
各くさび形リブ54は、蓋の水平壁を部分的に覆いつつ、蓋の水平壁から第2の係合部40の下部の上方へと、かつ第2の係合部40から水平壁へと内向きに向かって延びる。
図10に示すように、各くさび形リブ54は、水平壁に沿った第1の隆起部55で、傾斜した周壁49に沿った第2の隆起部56で、及び第3の隆起部57に沿った第2の係合部の高さの一部分にわたって、蓋の残部に隣接する。対向支持リブ50と組み合わせて、これらのくさび形リブ54は、負荷下での第2の係合部への力の伝達を制限することに関与し得る。
【0077】
当然ながら、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱せずに、本発明の他の実施形態も考えられ得る。
【符号の説明】
【0078】
1.パッケージ、
1.容器、
20、20、21、23側壁、
24.隅部、
25.上部開口部、
26.底部、
27.係合部、
28.第1の外向き隆起部、
29.湾曲した隅部セクション(隆起部28)
4.蓋、
40.第2の係合部、
41.第2の内向き隆起部、
42.スカート、
43.湾曲した隅部セクション(隆起部41)、
44.折り曲げ可能なスカートセクション、
45.破断可能な溝、
46.折り曲げ領域(例えば、可撓性ヒンジ)、
47.ラグ
48.貫通凹部
49.第2の係合部40の延長部の周壁、
50.対向支持リブ、
51.対向支持リブを形成する三角形の長辺
52.蓋の水平壁の延長部の三角形の第2の辺
53.対向支持リブを形成する三角形の第3の辺、
54.くさび形リブ
55.第1の隆起部(リブ54)
56.第2の隆起部(リブ54)
57.第3の隆起部(リブ54)
G.溝
PE.端部(隆起部28、41の側部セクション)
PM.中央部(隆起部28、41の側部セクション)
Rac1.Rac2.ラッチカバー
J.蓋に力が加えられていないときに、上記ラグと第2の隆起部とを分離する間隙。