(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】アテローム切除モーター制御システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A61B17/3207
(21)【出願番号】P 2021539907
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 US2020012767
(87)【国際公開番号】W WO2020146517
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-08-30
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、コリドン
(72)【発明者】
【氏名】スパングラー、デイビッド ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】マッシミーニ、ダニエル フランク
(72)【発明者】
【氏名】ファラゴ、ラスズロ トレント
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-512702(JP,A)
【文献】特表2008-514367(JP,A)
【文献】特表2002-538927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0058956(US,A1)
【文献】特開2005-182161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテローム切除バリを回転すべく作動させる電気駆動メカニズム
であって、電気駆動モーターを備える、電気駆動メカニズムと、
前記電気駆動メカニズムがトルク対速度を含む空気タービンの1つ以上の性能特性を模倣するように、前記電気駆動メカニズムの動作を調整するコントローラと
、を備え、
前記コントローラは、
前記電気駆動
モーターから速度信号を受信し、基準信号を出力する基準ブロックと、
前記基準ブロックから前記基準信号を受信し、結果として生じる制御努力値信号を生成する制御ブロックであって、比例(P)ゲイン、積分(I)ゲイン及び微分(D)ゲインと可変Kオフセット値を利用する、制御ブロック
であって、
前記制御ブロックは、前記可変Kオフセット値の初期値をゼロに設定するように構成され、
前記制御ブロックは、前記電気駆動モーターが一定の速度基準値に到達した時には、
前記可変Kオフセット値の新しい値を計算し、
前記積分(I)ゲインを新しい定数値に低減し、
前記比例(P)ゲインの新しい値を計算する
ように構成される、制御ブロックと、
前記制御ブロックから前記制御努力値信号を受信し、それに応じて
前記電気駆動メカニズムの動作を調整する駆動回路と
、を備える、アテローム切除システム。
【請求項2】
前記電気駆動メカニズムは、前記アテローム切除バリと接続
するとともに、前記電気駆動モーターによって回転される駆動ケーブ
ルをさらに備える、請求項1に記載のアテローム切除システム。
【請求項3】
前記コントローラの前記制御ブロックは、前記電気駆動モーターが前記速度基準値に達すると、式(1)
【数1】
(ここで、P
newは、新しいPゲイン値;
P
oldは以前のPゲイン値;
I
oldは以前のIゲイン値;
T
stallは、ストールトルク値;
ω
refは速度基準値である。)に従ってPゲインの新しい値を計算するようにさらに構成される、
請求項1に記載のアテローム切除システム。
【請求項4】
前記コントローラの前記制御ブロックは、前記電気駆動モーターが前記速度基準値に達すると、式(2)
K=P
old+I
old (2)
に従って前記可変K
オフセット値の新しい値を計算するようにさらに構成される、
請求項3に記載のアテローム切除システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイス、ならびに医療デバイスを製造及び使用するための方法に関する。より詳細には、本発明は、身体の内腔から閉塞性物質を除去するためのデバイス及び方法に関する。さらに、本発明は、血管などの体の内腔の閉塞を通る通路を形成するためのアテローム切除デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの患者は、血流を制限する、閉塞した動脈などの血管に苦しんでいる。閉塞は、血管の閉塞部分を通る血流を減少させる部分的閉塞、又は閉塞された血管を通る血流を実質的に遮断する完全な閉塞(例えば、慢性的な完全な閉塞)であり得る。場合によっては、治療された閉塞の領域にステントが配置されることがある。ただし、ステント内で再狭窄が発生し、血管がさらに閉塞して血流が制限される場合がある。血行再建術には、様々なデバイスを使用して閉塞を通過させ、閉塞を貫通する開口部を作成又は拡大することが含まれる。アテローム切除は、切断要素を載置して有するカテーテルを、閉塞を貫通して前進させ、閉塞を貫通する経路を形成又は拡大するための1つの技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
閉塞の通過を容易にするための代替のアテローム切除デバイスの必要性が依然存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、医療器具の設計、材料、製造方法、及び代替用途を提供する。例えば、アテローム切除システムは、アテローム切除のバリを回転可能に作動させるように適合された電気駆動メカニズムと、電気駆動メカニズムが空気タービンの1つ以上の性能特性を模倣するように電気駆動メカニズムの動作を調整すべく適合されたコントローラとを含み得る。
【0005】
追加的又は代替的に、空気タービンの1つ以上の性能特性には、トルク対速度を含み得る。
追加的又は代替的に、電気駆動メカニズムは、アテローム切除バリと接続された駆動ケーブルと、駆動ケーブルを回転させるように適合された電気駆動モーターとを含み得る。
【0006】
追加的又は代替的に、コントローラは、速度信号を受信して基準信号を出力するように適合された基準ブロックと、基準ブロックから基準信号を受信し、結果として生じる制御努力値信号を生成するように適合された制御ブロックと、制御ブロックから制御努力値信号を受信し、それに応じて駆動メカニズムの動作を調整するように適合された駆動回路とを含み得る。
【0007】
追加的又は代替的に、制御ブロックは、Pゲイン、Iゲイン及びDゲインの合計と合計された可変Kオフセット値を含むように修正された、Pゲイン、Iゲイン及びDゲインを利用するコントローラを含み得る。
【0008】
追加的又は代替的に、コントローラは、ゼロに等しい可変Kオフセット値の初期値を設定するように構成され得る。
追加的又は代替的に、コントローラは、電気駆動モーターが速度基準値に達したときに可変Kオフセット値の新しい値を計算するように構成され得る。
【0009】
追加的又は代替的に、コントローラは、電気駆動モーターが速度基準値に達したときに、Pゲインの新しい値を計算するようにさらに構成され得る。
追加的又は代替的に、コントローラは、電気駆動モーターが速度基準値に達すると、式(1)に従ってPゲインの新しい値を計算するようにさらに構成される。
【0010】
【0011】
ここで、Pnewは、新しいPゲイン値;
Poldは以前のPゲイン値;
Ioldは以前のIゲイン値;
Tstallは、好適なストールトルク値;
ωrefは速度基準値である。
【0012】
追加的又は代替的に、電気駆動モーターが速度基準値に達したときに、式(2)に従って変数K項の新しい値を計算するように、PIDコントローラをさらに構成することができる。
【0013】
K=Pold+Iold (2)
追加的又は代替的に、PIDコントローラは、式(3)及び(4)に従って、変数K項及びP項の新しい値を計算するようにさらに構成され得る。
【0014】
【0015】
【0016】
istallは、必要なストールトルクに対応するモーター電流であり、eは、基準速度と速度の誤差又は差である。
別の例として、アテローム切除システムは、アテローム切除バリを回転可能に作動させるように適合された駆動メカニズムと、駆動メカニズムの動作を調節するように適合された制御システムとを含む。制御システムは、速度基準値を提供するための基準ブロックと、速度基準値を受信するための基準ブロックに動作可能に接続されたコントローラとを備え、コントローラは、駆動メカニズムの出力信号を決定する際の速度基準値、比例(P)ゲイン値、積分(I)ゲイン値、微分(D)ゲイン値、及びKオフセット値を利用するように適合されている。コントローラは、Iゲイン値の初期値及びKオフセット値のゼロの値を使用して駆動メカニズムの作動を開始し、駆動メカニズムの速度が速度基準値に達した時には、Iゲイン値を低減し、Kオフセットの非ゼロ値を計算するようにさらに適合させることができる。
【0017】
追加的又は代替的に、コントローラは、駆動メカニズムの速度が速度基準値に達すると、新しいPゲイン値も計算するようにさらに適合され得る。
追加的又は代替的に、新しいPゲイン値は、所望のストールトルク値又は速度基準値に関連し得る。
【0018】
追加的又は代替的に、駆動メカニズムは、アテローム切除バリと接続された駆動ケーブルと、駆動ケーブルを回転させるように適合された電気駆動モーターとを有し得る。
別の例として、アテローム切除システムは、アテローム切除バリを作動させるように適合された電気駆動モーターと、電気駆動モーターの動作を調整するように適合されたコントローラと、電気駆動モーターの出力信号を決定する際の速度基準値、比例(P)ゲイン値、積分(I)ゲイン値、微分(D)ゲイン値、及びKオフセット値を利用するように適合されたコントローラと、を備える。
【0019】
追加的又は代替的に、コントローラは、ゼロに等しい可変Kオフセット値の初期値を設定するように構成され得る。
追加的又は代替的に、コントローラは、電気駆動モーターが速度基準値に達したときに可変Kオフセット値の新しい値を計算するように構成され得る。
【0020】
追加的又は代替的に、コントローラは、電気駆動モーターが速度基準値に達したときに、Pゲインの新しい値を計算するようにさらに構成され得る。
追加的又は代替的に、コントローラは、フィードバック値として推定トルクを利用するようにさらに構成され得る。
【0021】
いくつかの実施形態の上記の要約は、開示された各実施形態又は本開示のすべての実施を説明することを意図するものではない。以下の図及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示している。
【0022】
本発明は、添付の図面に関連する本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】例示的なアテローム切除システムの概略を示すブロック図。
【
図2】例示的なアテローム切除システムの概略を示すブロック図。
【
図3】例示的なアテローム切除システムの概略を示すブロック図。
【
図4】例示的なアテローム切除システムの概略を示すブロック図。
【
図5】例示的なアテローム切除システムの概略を示すブロック図。
【
図6】例示的なアテローム切除システムの概略を示すブロック図。
【
図7】
図1~6のアテローム切除システムの例で使用可能なコントローラの例の概略図。
【
図12】
図1~6に関して説明されたアテローム切除制御システムを利用することができる例示的なアテローム切除システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、様々な修正及び代替形態に適用可能であるが、その詳細は、例として図面に示され、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本開示を限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、開示の精神と範囲に含まれるすべての修正、同等物、及び代替案を網羅することにある。
【0025】
以下の定義された用語については、特許請求の範囲又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用されるものである。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語によって変更されることが想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が記載された値と同等であると見なす(すなわち、同じ機能又は結果を有する)数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれ得る。
【0026】
終点による数値範囲の列挙には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a 」、「an」、及び「the 」は、内容が明らかに他に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「又は」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、一般に「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0027】
以下の詳細な説明は、異なる図面の類似した要素に同一の符号が付されている図面を参照して読む必要がある。必ずしも縮尺通りではない図面は、実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0028】
多くの患者は、体液(例えば、血液、胆汁など)の流れを制限する可能性があるような、閉塞した動脈、他の血管、及び/又は閉塞した管又は他の体腔に苦しむ。閉塞は、血管の閉塞部分を通る血流を減少させる部分的閉塞、又は閉塞された血管を通る血流を実質的に遮断する完全な閉塞(例えば、慢性的な完全な閉塞)であり得る。血行再建術には、様々なデバイスを使用して閉塞を通過させ、閉塞を貫通する開口部を作成又は拡大することが含まれる。アテローム切除は、切断要素を載置して有するカテーテルを閉塞を貫通して前進させ、閉塞を貫通する経路を形成又は拡大するための1つの技術である。理想的には、切断要素は、周囲の血管壁、及び/又は以前に埋め込まれ、再狭窄が発生したステントを損傷することなく、閉塞を切除する。しかしながら、場合によっては、切断要素は、それが血管壁及び/又はステントに接触するように操作及び/又は前進され得る。したがって、材料を利用すること、及び/又は周囲の血管及び/又は、以前に埋め込まれ再狭窄が発生したステントに損傷を与えることなく閉塞を切除できるアテローム切除デバイスを設計することが望ましい場合がある。さらに、切断要素は、石灰化された材料などの硬い閉塞性材料、及びより柔らかい閉塞性材料を除去するのに有用であることが望ましい場合がある。本明細書に開示される方法及びシステムは、閉塞性材料を効果的に切除しながら、以前のアテローム切除デバイスの制限の少なくともいくつかを克服するように設計され得る。例えば、本明細書に開示されるデバイス及び方法のいくつかは、独特の切削面の形状及び/又は設計を有する切削要素を含み得る。
【0029】
図1は、アテローム切除バリ14を回転可能に作動させるように適合された駆動メカニズム12を有した例示的なアテローム切除システム10の概略を示すブロック図である。アテローム切除システム10は、駆動メカニズム12の動作を調節するように適合されたコントローラ16を含む。以下に記載するように、場合によっては、コントローラ16は、電気モーターではなく空気タービンによって駆動されるアテローム切除システムの1つ以上の性能パラメータを模倣するために、駆動メカニズム12の動作を調整する。場合によっては、アテローム切除システム10は、コントローラ16が駆動メカニズム12の性能に関する情報を表示することができるように、コントローラ16に動作可能に接続され得るユーザインターフェース18を含み得る。この情報は、例えば、駆動メカニズム12の瞬間速度の1つ以上、アテローム切除バリ14などによって経験される瞬間トルク、等を含み得る。場合によっては、アテローム切除システム10は、ユーザインターフェース18を有しない場合がある。場合によっては、アテローム切除バリ14は、カッティングヘッド又はカッティング部材である、又はそれらを含むと呼ばれることもあり、これらの用語は交換可能に使用され得る。
【0030】
図2は、例示的なアテローム切除システム20の概略を示すブロック図であり、駆動メカニズム12は、駆動モーター22と、駆動モーター22ならびにアテローム切除バリ14と動作可能に接続される駆動ケーブル24とを含み得る。場合によっては、駆動モーター22は電気駆動モーターである。場合によっては、アテローム切除システム20の特徴は、アテローム切除システム10の特徴と組み合わされ得る。場合によっては、アテローム切除システム20は又はハンドル(図示せず)を含み得る。
【0031】
図3は、コントローラ16が参照ブロック32、制御ブロック34、及び駆動回路36を有する、例示的なアテローム切除システム30の概略を示すブロック図である。場合によっては、アテローム切除システム30の特徴は、アテローム切除システム20及び/又はアテローム切除システム10の特徴と組み合わせることができる。場合によっては、基準ブロック32は、速度信号を受信し、基準速度値を出力するように適合され得る。制御ブロック34は、基準ブロック32から基準速度信号を受信し、結果として生じる制御努力値信号を生成するように適合され得る。場合によっては、制御ブロック34は、P(比例)コントローラを含む。場合によっては、制御ブロック34は、比例積分微分(PID)コントローラを含む。場合によっては、後述するように、制御ブロック34は、可変K値をD(微分)ゲイン値と合計するように変更されたPIDコントローラを含み得る。駆動回路36は、制御ブロック34から制御努力信号を受信し、それに応じて駆動メカニズム12の動作を調整するように適合され得る。
【0032】
図4は、アテローム切除バリ14を回転可能に作動させるために駆動メカニズム12の動作を調節するように適合された制御システム42を備えた、例示的なアテローム切除システム40の概略を示すブロック図である。場合によっては、アテローム切除システム40の特徴は、アテローム切除システム10、アテローム切除システム20又はアテローム切除システム30のうちの1つ以上と組み合わせることができる。制御システム42は、参照ブロック32と、参照ブロック32に動作可能に接続されたコントローラ44とを含むことができる。場合によっては、基準ブロック32は、速度基準46を判定することができる。
【0033】
場合によっては、コントローラ44は、駆動メカニズム12の出力信号48を決定する際に、速度基準46、比例(P)ゲイン値、積分(I)ゲイン値、微分(D)ゲイン値、及びDゲイン値と合計される可変Kオフセット値を利用するように適合され得る。場合によっては、駆動メカニズム12は、駆動モーターと、駆動モーターとアテローム切除バリ14との間に延びる駆動ケーブルとを含み得る。場合によっては、コントローラ44は、駆動メカニズム12が、電気駆動モーターではなく、空気タービンによって駆動されるアテローム切除システムの1つ以上の特性を模倣するように、駆動メカニズム12の動作を調整するように適合され得る。一例として、空気タービンシステムのトルク対速度特性は、コントローラ44によって模倣され得る。場合によっては、PID-Kコントローラを使用して、定常状態エラーを低減するバイアスを導入し、システムのリバウンドが問題になる可能性がある場合にトルクベースを提供することができる。
【0034】
図5は、アテローム切除バリ14を回転可能に作動させるために駆動モーター22の動作を調節するように適合された制御システム52を備えた、例示的なアテローム切除システム50の概略を示すブロック図である。場合によっては、アテローム切除システム50の特徴は、アテローム切除システム10、アテローム切除システム20、アテローム切除システム30又はアテローム切除システム40のうちの1つ以上と組み合わせることができる。制御システム52は、駆動モーター22に動作可能に接続され、駆動モーター22の性能を監視し、制御努力値信号56を出力するように適合されたフィードバックループ54を含む。駆動回路58は、制御努力値信号56を受信し、制御努力値信号56に従って駆動モーター22の動作を調整するように適合されている。場合によっては、制御システム52は、空気タービンの性能を模倣するように、駆動モーター22の動作を調整するようにさらに適合され得る。
【0035】
場合によっては、フィードバックループ54は、速度基準を決定するための基準ブロックと、速度基準を受信するために基準ブロックに動作可能に接続されたコントローラとを備え、コントローラは、制御努力値信号を決定する際に、速度基準、比例(P)ゲイン値、積分(I)ゲイン値、可変Kオフセット値、及び微分(D)ゲイン値を利用するように適合され得る。場合によっては、フィードバックループ54は、無負荷状態の間に駆動モーター22の速度を正確に保持するために、基準ループ54に提供される基準信号にオフセット値を追加するように適合され得る。
【0036】
図6は、例示的なアテローム切除システム300の概略を示すブロック図である。場合によっては、アテローム切除システム300は、アテローム切除システム10、20、30、40又は50の例であると見なされ得る。場合によっては、アテローム切除システム300の特徴は、例えば、アテローム切除システム10、20、30、40又は50のいずれかの特徴と組み合わせることができる。アテローム切除システム300は、それ自体が負荷306に係合する駆動ケーブル304を駆動するモーター302を含む。負荷306は、例えば、アテローム切除バリである。モーター302は、例えば、駆動モジュール22及び/又は制御システム106の例であるか、さもなければ組み込まれていると見なされ得る駆動回路308によって制御される。
【0037】
駆動回路308は、フィードバック部分310からの入力を受け取る。場合によっては、フィードバック部分310は、基準入力(又は基準エラー)312をコントローラ316に提供する、基準スケジュールブロック314からの基準入力312で始まる。場合によっては、参照スケジュールブロック314は、ユーザから、及び/又は図示されていない追加のセンサーからなど、追加の入力を受け入れるように構成され得る。一例として、デバイスが非常に長い期間実行されている場合、基準スケジュールブロック314は、過熱を防ぐために速度基準を下げることができる。PIDコントローラは、(P)比例部分、(I)積分部分、及び(D)微分部分を含むコントローラである。場合によっては、PIDコントローラを変更して、可変Kオフセット値とDゲイン値を合計することができる。コントローラ316は、制御努力値318を駆動回路308に出力する。モーター状態推定ブロック320は、駆動回路308から電流/電圧信号322及びモーター位置信号323を受信し、コントローラ316から状態フィードバック324を受信する。モーター状態推定ブロック320は、速度値326を基準スケジュールブロック314に出力して戻す。モーター状態推定ブロック320から基準スケジュールブロック314へのフィードバックは速度値として示されているが、場合によっては、フィードバックは、位置、トルク、電圧又は電流のうちの1つ以上を追加的又は代替的に含み得、場合によっては、これらの値のいずれかの導関数又は積分を含めることができる。場合によっては、モーター状態推定ブロック320は、(図示のように)位置ではなく、速度を表す信号323を代わりに受信することができる。モーター位置信号323は、モーター302の出力シャフトの相対回転位置の表示であり得、したがって、負荷306の相対回転位置の表示であり得、これは、経時的に追跡された場合、速度の表示を提供し得る。
【0038】
図7は、コントローラ316の概略ブロック図であり、これは、
図4に示されるコントローラ44の例であると見なすことができる。所望の値と実際の値との間の誤差を表す基準信号312がコントローラ316に入る。コントローラ316は、誤差に比例するP値340を計算する。コントローラ316は、エラーの時間に関する積分であるI値342と、エラーの時間に関する導関数であるD値344とを計算する。コントローラ316は、Kオフセット値348を計算し、これは、空気タービンの性能を模倣する際にコントローラ316によって使用される。図示のように、D値344及びKオフセット値348は、加算点346で一緒に加算され、加算点346で作成された結果の値は、加算点350でP値340及びI値342と共に加算され、結果として、制御努力値信号318の出力をもたらす。場合によっては、合計が可換であることが理解され、すなわち合計は任意の順序で発生する可能性がある。
【0039】
上で参照したように、アテローム切除システムは、従来は空気タービンによって駆動されていた。場合によっては、空気タービン駆動のアテローム切除システムの性能を模倣することが望ましい場合がある。例えば、一部のユーザはこれを期待し、及び/又は慣れているため、空気タービンのトルク対速度曲線を模倣したい場合がある。電気モーターのトルク対速度曲線は、空気タービンのそれとはかなり異なることが理解されよう。
図8は、いくつかのトルク対速度曲線を示す代表的なプロット400である。曲線402は、ギアリングのない電気モーターのトルク対速度曲線を表している。曲線404は、3.5:1にてギアリングする電気モーターのトルク対速度の曲線を表している。曲線406は、システムの摩擦損失を含む、電気モーターの動作トルクを表す。曲線408は、空気タービンの動作トルクを表している。これらの曲線402、404、406は、電気モーターの動作を変更するコントローラのない場合の電気モーターの動作を表す。ここに見られる通り、明確な違いがある。
【0040】
図9は、PID(比例積分微分)コントローラが電気モーターの動作を調整するために使用されるときの挙動を示す代表的なプロット420である。曲線422は、電気モーターで測定された動作トルクを表す。曲線424は、バリで測定された動作トルク(駆動メカニズム内の摩擦損失を含む)を表す。曲線426は、バリで測定された空気圧の動作トルクを表す。電気モーターと空気タービンは高速では比較的よく一致するが、速度が低下するにつれて発散が大きくなる。これに関係する1つの要因は、電気システム内に存在する比較的高い摩擦力である。この摩擦は、高速で克服すべき大量のトルクを必要とし、その結果、低速で過剰なトルクが発生する。相対摩擦もまた、患者ごとに、及び手順ごとに異なる可能性があることが理解されよう。
【0041】
図10は、従来のPIDコントローラの各部分によって駆動されるモータートルクの量を示す代表的なプロット430を示す。線432は、P,I,D成分の合計を示す。線434はP成分の寄与を示し、線436はI成分の寄与を示し、線438はD成分の寄与を示す。P成分の寄与の勾配を単純に平坦化すると、湾曲した全体のトルクの勾配(線432で表される)が(
図8の曲線408で示されるように)空気タービンの勾配とより厳密に一致する結果となる可能性があるが、単純にPゲインを減少すると、速度保持特性が低下し、目標速度に到達するまでの時間が長くなる。
【0042】
図11は、Kオフセット値を含む修正されたPIDコントローラにおける、各成分によってモータートルクが駆動されるかの量を示す代表的なプロット450を示している。場合によっては、電気システムを速度基準まで加速するために、K値を最初に0(ゼロ)に設定することができる。その速度基準に達すると、Iゲインは新しい定数値に低減され、K値は瞬間的なP項とI項の合計に設定され、新しいPゲインが計算される。
【0043】
電気駆動モーターが速度基準値に達すると、コントローラは式(1)に従ってPゲインの新しい値を計算し、式(2)に従って可変Kオフセット項の新しい値を計算することができる。
【0044】
【0045】
ここで、Pnewは、新しいPゲイン値;
Poldは以前のPゲイン値;
Ioldは以前のIゲイン値;
Tstallは、好適なストールトルク値;
ωrefは速度基準値である。
【0046】
K=P
old+I
old (2)
プロット450を参照すると、線452は、P、I、D及びK成分の合計を示している。線454はKの寄与を示し、線456はP成分の寄与を示し、線458はI成分の寄与を示し、線460はD成分の寄与を示す。線452(
図11)を線432(
図10)と比較すると、全体のトルク曲線が平坦になっているため、空気タービンのトルク曲線(
図8に線408として示されているように)に近いことがわかる。
【0047】
場合によっては、コントローラは式(3)に従ってPゲインの新しい値を計算し、式(4)に従って可変Kオフセット項の新しい値を計算することがある。
【0048】
【0049】
【0050】
istallは、必要なストールトルクに対応するモーター電流であり、
eは、基準速度と速度の誤差又は差である。
場合によっては、これらの式(3)及び(4)は、従来のコントローラ(加速に使用)から変更されたコントローラ(手順中に使用)への移行中にのみ使用される。場合によっては、この遷移は、過渡動作を最小限に抑えるために、エラーeの値が小さい(基準速度の1%未満)場合にのみ行われる。
【0051】
図12は、アテローム切除システム10、20、30、40、50及び300を使用することができる回転式アテローム切除システム510の例を示している。回転式アテローム切除システム510は、回転式アテローム切除デバイス512と、回転式アテローム切除デバイス512を制御するためのコントローラ514とを備えることができる。回転式アテローム切除デバイス512は、ハウジング516と、ハウジング516から長尺状のシャフト518の遠位端に配置された切断部材520まで遠位に延びる長尺状のシャフト518とを備えることができる。長尺状のシャフト518は、切断部材520に回転運動を提供するための駆動シャフト524を含み得る。場合によっては、長尺状のシャフト518は、それを通って延びる管腔を有する外側管状部材522を含み得、駆動シャフト524は、外側管状部材522の管腔を通って延びることができる。切断部材520に固定され得る駆動シャフト524は、切断部材520を回転させるために、外側管状部材522に相対して回転可能である。場合によっては、外側管状部材522に対する切断部材520の軸方向位置は、駆動シャフト524を外側管状部材522に対して長手方向に動かすことによって調整することができる。例えば、アテローム切除デバイス512は、ハウジング516内に配置された、又はそうでなければハウジング516に備えられ、ハウジング516に対して長手方向に移動可能な前進器アセンブリ526を含み得る。外側管状部材522は、ハウジング516に結合され得、一方、駆動シャフト524は、前進器アセンブリ526に結合され得る。したがって、駆動シャフト524(したがって、切断部材520)は、ハウジング516に相対して前進器アセンブリ526を駆動することによって、外側管状部材522に相対して長手方向に移動可能であり得る。
【0052】
回転式アテローム切除デバイス512は、駆動シャフト524に回転運動を提供して切断部材520を回転させるための原動機(図示せず)を含み得る。例えば、場合によっては、原動機は、前進器アセンブリ526に備えられているような、ハウジング516内の流体タービンであり得る。しかしながら、他の例では、原動機は電気モーターなどであり得る。コントローラ514は、原動機を制御するために使用され得る。例えば、ユーザは、原動機に電力を供給し、及び/又はコントローラ514を介してドライブシャフト524の回転速度を制御することができる。例えば、コントローラ514のフロントパネル528は、電源スイッチ、速度制御メカニズム(例えば、速度制御ノブ及び/又はボタン)、ディスプレイ、及び/又は回転アテローム切除デバイス512を制御するための他の特徴を含むユーザインターフェースを含み得る。場合によっては、回転式アテローム切除システム510は、例えば、原動機への動力及び/又は速度を制御するために使用され得るフットペダル、ハンドコントロール、又は他のメカニズムなどの遠隔制御装置530を含み得る。
【0053】
原動機が電気モーターである場合、電気モーターは、電気接続539を介してコントローラ514に接続されて、電気モーターを制御し、及び/又は電気モーターに電気を供給することができる。
【0054】
場合によっては、回転式アテローム切除デバイス512は、速度データをコントローラ514に提供するために、光ファイバコネクタなどのコネクタ538を介してコントローラ514に接続された光速度センサーなどの速度センサーを含み得る。他の例では、ホール効果センサーなどの電子センサー、又は他のタイプのセンサーを使用して、駆動シャフト524及び切断部材520の速度を感知することができる。速度データは、フロントパネル528及び/又はコントローラ514などに表示され得、及び/又は医療処置中に切断部材520の所望の速度を維持するなど、切断部材520の速度を制御するために使用され得る。
【0055】
場合によっては、回転式アテローム切除システム510は、長尺状のシャフト518を介して治療部位に流体を注入し、及び/又は治療部位から長尺状のシャフト518を介して流体を吸引するように構成され得る。例えば、回転式アテローム切除システム510は、長尺状のシャフト518の管腔を通って治療部位に流体の流れを提供するための流体供給540を含み得る。場合によっては、流体供給540は、圧力カフ544によって加圧されて、流体供給ライン546を介して回転式アテローム切除デバイス512に加圧流体(例えば、生理食塩水)を提供し得る生理食塩水バッグ542を含み得る。他の例では、蠕動ポンプなどの注入ポンプを使用して、加圧流体を回転式アテローム切除デバイス512に送達することができる。追加的又は代替的に、場合によっては、回転式アテローム切除システム510は、治療部位から流体を吸引するように構成され得る。例えば、回転式アテローム切除システム510は、必要に応じて、蠕動ポンプなどの吸引ポンプを含み、真空を生成して、長尺状のシャフト518の管腔を通して流体収集容器(図示せず)に流体を吸引することができる。
【0056】
場合によっては、回転式アテローム切除デバイス512の長尺状のシャフト518は、ガイドワイヤ548を介して治療部位に進められ得る。例えば、駆動シャフト524は、ガイドワイヤ548が通過することができるガイドワイヤ管腔を含むことができる。追加的又は代替的に、長尺状のシャフト518は、ガイドカテーテルの管腔を通って治療部位に進められ得る。
【0057】
この開示は、多くの点で、例示にすぎないことを理解されたい。開示の範囲を超えることなく、特に形状、サイズ、及び工程の配置に関して、詳細に変更を加えることができる。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用されている一例の実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。言うまでもなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。