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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】焙煎装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/08 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A23N12/08 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021543203
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2020051307
(87)【国際公開番号】W WO2020152114
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】19153660.6
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】チェカロリ, ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ジャカール, サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デュビエフ, フラヴィアン
(72)【発明者】
【氏名】グレヴィッチ‐ビーコック, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンテ, ステュアート
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-193650(JP,A)
【文献】特開昭57-110146(JP,A)
【文献】米国特許第06260479(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆を焙煎するための装置(10)であって、
ハウジング(4)と、
底部開口部(11)を有する焙煎チャンバ(1)と、
前記チャンバの前記底部開口部を通して前記焙煎チャンバ内に空気を駆動するように構成された空気ドライバ(2)と、
前記チャンバの前記底部開口部の下方に配置され電気ヒータ(3)であって、前記焙煎チャンバ内に駆動される空気を加熱するように構成されている、電気ヒータと、
を備え、
前記空気ドライバと前記電気ヒータは前記ハウジング(4)の内部に配置されており、前記ハウジングが、前記チャンバの前記底部開口部(11)の内側に前記ハウジングからの熱風を通過させることができるように設計された熱風出口孔(41)を含み、前記電気ヒータ(3)が、前記熱風出口孔(41)の直下に配置されており、
前記焙煎チャンバ(1)は、前記ハウジング(4)に取り外し可能に取り付けられ、前記焙煎チャンバが前記ハウジングに取り付けられているときに前記焙煎チャンバの前記底部開口部(11)が前記ハウジングの前記熱風出口孔(41)と連携し、
前記装置は、移動可能な閉鎖デバイス(5)を備え、前記移動可能な閉鎖デバイスが、
前記焙煎チャンバが前記ハウジングから取り外されている間、前記熱風出口孔(41)を覆い、
前記焙煎チャンバが前記ハウジングに取り付けられている間、前記熱風出口孔(41)を露わにする、
ように構成されている、装置。
【請求項2】
前記移動可能な閉鎖デバイス(5)の動作が、前記焙煎チャンバを前記ハウジングから取り外す動作、及び前記焙煎チャンバを前記ハウジングに取り付ける動作によって受動的かつ機械的に駆動される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記閉鎖デバイスが、前記熱風出口孔(41)の上方で前記熱風出口孔から離れるように摺動することができる摺動プレート(51、51a、51b)を備え、前記プレートが、前記焙煎チャンバの底部の一部と接続するように設計されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記摺動プレートが、単一の材料片で作製されており、回転又は並進することが可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記摺動プレートが、複数の関節部品(51a、51b)から作製されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記閉鎖デバイス(5)が、前記焙煎チャンバ(1)が前記ハウジング(4)から取り外されている間、前記熱風出口孔(41)を覆うように前記閉鎖デバイス(5)を付勢するよう構成された付勢要素(55)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記閉鎖デバイス(5)が、変形可能な材料で作製されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記閉鎖デバイス(5)が電動式であり、前記熱風出口孔(41)を覆うように自動的に移動させられる、請求項13~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、前記チャンバが前記ハウジングに取り付けられているか否かを検出するように構成されたチャンバ位置センサ(6)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱された空気を用いコーヒー豆を焙煎するための、家庭又は店舗及びカフェでの使用に特に適している装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭又は店舗及びカフェにおけるコーヒー豆の小規模な焙煎は、通常、コーヒー豆が熱風内で撹拌される小型装置を用いて実行される。1つのタイプの装置は、コーヒー豆が投入され、熱が供給されている間にタンブリングされる回転穿孔ドラムを使用する。
【0003】
別のタイプの装置は、熱風流動床チャンバを実装する流動床技術を使用する。このようなチャンバ内で、加熱された空気は、豆を持ち上げるのに十分な力で、コーヒー豆の下のスクリーン又は多孔板を通して押し出される。熱は、豆がこの流動床内でタンブリングし、流通するにつれて、豆に伝達される。
【0004】
米国特許第3964175号に記載されている工業用焙煎装置に由来するこの技術は、米国特許第4484064号、同第4494314号、同第4631838号、同第5269072号、同第5564331号のような小型家庭用装置に適合されている。
【0005】
焙煎装置では、ガスバーナ又は電気ヒータのような、様々な種類のヒータを使用することができる。小型の焙煎装置の場合、通常、加熱抵抗などの電気ヒータが好ましい。
【0006】
流動床技術を実施する焙煎装置の大半は、同じ主要要素、すなわち焙煎チャンバ、ヒータ、及び空気ドライバ、の構成を有する。非常に一般的かつ明白に、これらの要素は垂直な軸に沿って重ねられ、空気ドライバが最も低い位置に配置され、その上方に電気抵抗、そして、電気抵抗の上方に焙煎チャンバが配置される。
【0007】
好ましくは、これらの焙煎装置では、熱風流動床チャンバは、豆を投入する、及び取り出すため、並びに洗浄作業のために装置から取り外し可能である。チャンバが装置から取り外されている間、装置の設計によっては、未経験のユーザが装置内に誤って水を落とすという安全上の問題が生じ得る。
【0008】
本発明の目的は、より高いレベルの安全性を有する焙煎装置を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様では、コーヒー豆を焙煎するための装置が提供され、該装置は、
ハウジングと、
底部開口部を有する焙煎チャンバと、
上記チャンバの底部開口部を通して焙煎チャンバ内に空気を駆動するように構成された空気ドライバと、
チャンバの底部開口部の下方に配置された電気ヒータであって、焙煎チャンバ内に駆動される空気を加熱するように構成されている、電気ヒータと、
を備え、
空気ドライバと電気ヒータがハウジングの内部に配置されており、ハウジングが、チャンバの底部開口部の内側にハウジングからの熱風を通過させることができるように設計された熱風出口孔を含み、
焙煎チャンバは、ハウジングに取り外し可能に取り付けられており、焙煎チャンバがハウジングに取り付けられているときに焙煎チャンバの前記底部開口部がハウジングの熱風出口孔と連携し、
装置が、移動可能な閉鎖デバイスを備え、移動可能な閉鎖デバイスが、
焙煎チャンバがハウジングから取り外されている間、熱風出口孔を覆い、
焙煎チャンバがハウジングに取り付けられている間、熱風出口孔を露わにする、ように構成されている。
【0010】
焙煎装置は、底部開口部及び通常は頂部開口部を有する焙煎チャンバを備える。この焙煎チャンバは、熱風が底部開口部を通して導入されるとき、熱風の流動床を生成することができるように設計されている。
【0011】
一般的に、底部開口部は、チャンバ内に豆を保持するが、内部を通る熱風の通過を可能にするグリッドを備える。
【0012】
頂部開口部は、焙煎動作中に生成された煙及び粒子の排出を可能にする。また、焙煎される豆の投入及び焙煎動作の終了時の焙煎豆の取り出しも可能にする。この最後の動作のために、焙煎チャンバは、装置のハウジングから取り外し可能である。
【0013】
装置は、空気を上記チャンバの底部開口部を通して焙煎チャンバ内に駆動するように構成された空気ドライバを備える。通常、この空気ドライバは、空気を焙煎チャンバに上向きに送り出すように設計された送風機又はファンである。
【0014】
装置は、チャンバの底部開口部の下に配置され、焙煎チャンバ内に導入される前に空気を加熱するように構成された電気ヒータを備える。
【0015】
この電気ヒータは、好ましくは電気抵抗ワイヤである。この抵抗ワイヤは、例えばセラミック材料で作製された非導電性支持体に取り付けることができる。支持体は、熱交換を増加させ容易にするために、空気用チャネルを形成するように設計することができる。
【0016】
空気ドライバ及び電気ヒータは、ハウジングの内部に配置される。ハウジングは、ハウジング内で生成された熱風をチャンバの底部開口部へ通過させることができるように設計された熱風出口孔を備える。
【0017】
上述のように、焙煎チャンバは、ハウジングに取り外し可能に取り付けられる。焙煎チャンバがハウジングに取り付けられると、焙煎チャンバの底部開口部は、ハウジングの熱風出口孔と連携する。
【0018】
一般に、ヒータは、ヒータから焙煎チャンバへの熱風の移動中の熱損失を制限するために、ハウジングの熱風出口孔の直下に配置される。ヒータのこの位置はまた、焙煎チャンバにおける焙煎プロセス中に良好な温度調整も提供する。実際に、ヒータのどのような温度変化も焙煎チャンバ内の温度に直接影響する。
【0019】
加えて、装置は移動可能な閉鎖装置を備え、閉鎖装置は、
焙煎チャンバがハウジングから取り外されている間、熱風出口孔を覆い、
焙煎チャンバがハウジングに取り付けられている間、熱風出口孔を露わにする、ように構成されている。
【0020】
したがって、チャンバが焙煎装置のハウジングから取り外されると、熱風出口孔が覆われ、熱風出口孔の直下に配置されたヒータが閉鎖デバイスによって保護される。ユーザが、例えば、チャンバが装置から取り外された状態でのハウジングの洗浄動作中に、チャンバを受け入れるように設計されたハウジングの領域内に誤って水を流入させた場合、孔を覆う閉鎖デバイスは、この水が、熱風出口孔の直下に配置された電気ヒータに接触することを防止する。この保護がなければ、水が電気抵抗を濡らす可能性があり、電圧が再びオンになった時点で、電気的故障、操作者に対する電気的危険、又は火災リスクが生じ得る。
【0021】
好ましくは、焙煎チャンバの動作と閉鎖デバイスの動作とは同時に行われる。
【0022】
一実施形態では、閉鎖デバイスの動作は、焙煎チャンバをハウジングから取り外す動作、及び焙煎チャンバをハウジングに取り付ける動作によって受動的かつ機械的に駆動される。
【0023】
したがって、孔を覆うか、又は露わにする焙煎チャンバの動作をそれぞれ促すのは、ハウジングからの取り外し又はハウジングへの接続のいずれかの、焙煎チャンバの動作である。
【0024】
本実施形態によれば、閉鎖デバイスは、熱風出口孔の上方で熱風出口孔から離れるように摺動することができる摺動プレートを備え、上記プレートは、焙煎チャンバの底部の一部と接続するように設計されている。プレートと焙煎チャンバとの接続により、プレートは直ちに反応して、チャンバの底部と連携する。
【0025】
本実施形態の1つのモードでは、摺動プレートは、単一の材料片で作製されており、回転又は並進することができる。
【0026】
したがって、プレートは、熱風出口孔から離れるように回転又は並進することができる。
【0027】
並進の場合、プレートはスロット内を摺動するように案内されてもよく、又はサイドレールを通って案内されてもよい。装置内外へのチャンバの動作は、引き出しのように摺動プレートを押すか、引き出すか、又は解放するのに十分である。
【0028】
回転の場合、プレートは垂直な回転軸に接続することができる。装置内又は装置外へのチャンバの動作は、回転プレートを回転又は解放するのに十分である。好ましくは、プレートはチャンバの底部の一部と接続する設計を有し、それにより、チャンバの動作がユーザによるプレートの回転に容易に変換されて、ユーザによるチャンバの装着を容易にすることができる。したがって、閉鎖デバイスの動作は、焙煎チャンバの動作によってトリガされる。
【0029】
上記の実施形態の別のモードでは、摺動プレートは、複数の関節部品から作製することができる。
【0030】
結果として、閉鎖デバイスは、熱風出口の孔から離れるように後退させられる又は押されるときに多くの場所を占有しない。よって、装置をよりコンパクトにすることができる。また、動作の信頼度を高めることができる。
【0031】
閉鎖デバイスは、膝継手を通して関節運動する2つのプレートを備えることができる。
【0032】
あるいは、閉鎖デバイスは、ファンのように、重なって摺動するいくつかのプレートを備えることができる。
【0033】
好ましくは、閉鎖デバイスは、焙煎チャンバがハウジングから取り外されている間、熱風出口孔を覆うように閉鎖デバイスを付勢するよう構成された付勢要素を備えることができる。その結果、より迅速に覆うことができる。
【0034】
特定の実施形態では、閉鎖デバイスは、変形可能な材料で作製することができ、この材料は、チャンバによって押されたときに曲げられる。そのような変形可能な材料は、可撓性の高耐熱性シリコーンであり得る。この材料は、静止時に熱風出口孔を閉鎖し、上記チャンバがハウジングの内部に配置されたときに焙煎チャンバによって上記孔から押し出される際に圧縮されるように成形することができる。
【0035】
一実施形態によれば、閉鎖デバイスは、電動式にし、空気出口孔を覆うように自動的に移動させることができる。本実施形態では、好ましくは、装置は、チャンバがハウジングに取り付けられているか、又はハウジングに近接しているか否かを検出するように構成されたチャンバ位置センサを備えることができる。
【0036】
センサは、存在スイッチであってもよく、上記センサは、装置のハウジングによって保持され、チャンバが装置の内部に配置されたときにチャンバと接触するように構成されている。
【0037】
センサは、光学センサであってもよく、上記センサは装置のハウジングによって保持され、ハウジングへの又はハウジングからのチャンバの動作を検出するように構成されている。
【0038】
センサは、チャンバによって保持されるRFIDタグと装置のハウジングによって保持されるRFID検出器とのシステムのような近距離検出システムであってもよい。
【0039】
一般的に、閉鎖デバイスは、高耐熱材料で作製され、好ましくは300℃に耐える。金属が好ましい。
【0040】
本発明の上記の諸態様は、任意の好適な組み合わせで組み合わせることができる。更には、本明細書における様々な特徴を、上記の諸態様のうちの1つ以上と組み合わせることにより、具体的に図示及び説明されたもの以外の組み合わせを提供することができる。本発明の更なる目的及び有利な特徴は、「特許請求の範囲」、「発明を実施するための形態」、及び添付図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明による焙煎装置の側面図であり、焙煎チャンバが装置に取り付けられている。
【0042】
図2図1の焙煎装置の側面図であり、焙煎チャンバが装置から取り外され、脇に置かれている。
【0043】
図3】それぞれ図1及び図2の閉鎖デバイスの拡大図である。
【0044】
図4】それぞれ図1及び図2の閉鎖デバイスの拡大図である。
【0045】
図5A】並進で動作する焙煎チャンバ及び閉鎖デバイスの概略図である。
【0046】
図5B】並進で動作する焙煎チャンバ及び閉鎖デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明による焙煎装置10の側面図である。本装置は、空気ドライバ2及び空気ヒータ3が配置されたハウジング4を備える。空気ドライバ2は、点線で示すように、ハウジングの空気入口42から空気を吸い込み、その空気を上向きにヒータ3に、次いで、チャンバ内側の空気出口孔41へと駆動するファンである。
【0048】
ヒータ3は、電気ヒータであり、一般に、100~300℃の温度まで空気流を加熱するように構成された抵抗ワイヤである。ヒータには、例えば、約110V又は230Vで高電力が供給される。抵抗と接触するいかなる水も、装置の短絡及び故障を招く。ヒータ3は、加熱をより良好に制御し、熱損失を回避するために、空気出口孔41の直下に、概ね約1~5cm離して配置される。「直下」とは、熱風出口孔が電気ヒータに面していることを意味する。電気抵抗が孔41の真下に存在する結果、ユーザが抵抗に触れることを防止するか、又はヒータ上の物体の落下を回避するように、グリッドが存在することができる。
【0049】
焙煎装置は、コーヒー豆を保持し、開放底部11を通して導入された熱風流から空気の流動床を生成するように設計された焙煎チャンバ1を備える。底部開口部11は、コーヒー豆(図示せず)を保持するためのグリッドを備える。チャンバがハウジングに取り付けられると、チャンバの底部は空気出口孔41に緊密に接続されて、熱風流の漏れを回避する。
【0050】
チャンバの頂部開口部12は、煙及び粒子排出装置(図示せず)に接続される。
【0051】
チャンバ1は、図2の矢印によって示されるように、ハウジング4から取り外し可能である。チャンバは、コーヒー豆の投入若しくは取り出し、又は洗浄及びメンテナンスのいずれかのために、焙煎装置から外しておくことができる。チャンバが取り外されると、操作者は、チャンバの後ろの垂直ハウジング部43にアクセスし、例えばスポンジ及び水で洗浄することができる。洗浄作業中、水、更には液滴が、空気出口孔41の方向に、ひいてはヒータ上に落下し得る危険性がある。
【0052】
本装置は、焙煎チャンバ1と連携し、チャンバが装置から取り外されたときに空気出口孔41を閉鎖することができる可動閉鎖デバイス5を備える。
【0053】
図1、及びチャンバが装置のハウジングに取り付けられている図3の拡大図では、閉鎖デバイス5は、焙煎チャンバの底部によって押されて空気出口孔41の脇に保持され、ハウジングの垂直壁43に押さえつけられて、チャンバの底部開口部11と空気出口孔41との接続を実現させる。
【0054】
図2及び図4の拡大図では、チャンバは、矢印A1によって示されるように左に並進することによって装置のハウジングから取り外されている。その結果、閉鎖デバイス5はもはや押し戻されず、矢印A2によって示されるように、空気出口孔41の上方に倒れて空気出口孔を覆うことができる。その位置では、空気出口孔41の方向に落下する水又は他の液体は、空気出口孔を囲むハウジングの水平壁に向けられて、上記孔には到達しない。結果として、下の電気ヒータ3は、将来の短絡から保護される。
【0055】
図1~4に示される実施形態では、閉鎖デバイスは、2つの関節プレート51a、51bを備える。2つのプレートは、膝継手52によって相互に接合される。プレート51bは、固定軸53を中心に回転することができ、この固定軸は水平に、かつプレート51a、51bの摺動方向に対して垂直に延びる。
【0056】
図1及び図3では、チャンバの底部は、これらのプレート51a、51bを、ハウジングの垂直に沿って曲げられた位置に維持する。図2及び4では、チャンバの取り外しで閉鎖デバイス5が解放されており、重量及び角度によってプレート51aはその垂直位置から倒れ、膝継手52を介して第1のプレートに取り付けられた他方のプレート51bを引っ張る。その結果、2枚のプレートが空気出口孔を覆う。
【0057】
好ましくは、閉鎖デバイスの異なる部材間の相互作用、及びプレートとハウジングとの相互作用は、ユーザにとってのチャンバの取り扱いを容易にし、プレートの効率的かつ迅速な伸長又は屈曲動作を可能にするために、できる限り摩擦を起こさないように構成される。
【0058】
例示した実施形態は、装置内部の又は装置から取り外されたチャンバの位置を検出する位置センサ6の存在を示す。チャンバの存在に関する情報を使用して、装置の電源を切るか、又はユーザインターフェースに特定の情報を提供することができる。
【0059】
閉鎖デバイスが電動式である場合、センサは、チャンバの不在を検出したときに閉鎖デバイスを自動的に移動させるのに役立つ。
【0060】
図5A及び5Bは、チャンバが装置のハウジング4を出入りするときの相対位置及び動作を示す、焙煎チャンバ1及び閉鎖デバイス5の側面図である。
【0061】
本実施形態では、閉鎖デバイス5は、
チャンバ1がハウジングから取り外されたときに、空気出口孔41を覆うのに十分な表面を有するプレート51と、
プレート51から立ち上がり、チャンバが装置内部に収容されているか、又は収容されるように動作させられているとき、チャンバの底部11と相互作用するように構成された接続要素54と、
好ましくは、接続要素54に対するチャンバ1の動作に応じてプレート51の並進運動を案内する案内フレーム(図示せず)と、
好ましくは、チャンバが接続要素54に対していかなる力も加えないとき、プレートを孔41の上方で並進運動させる付勢要素55と、
を備える。
【0062】
したがって、チャンバ1がハウジング4から取り外されたとき、閉鎖デバイス5は、付勢要素55によって孔41の上方に押されて、ヒータ3を保護する(図5A)。チャンバが図5Aの矢印B1によって示されるようにハウジングの内部に戻して導入されるとき、チャンバの底部は、例えば、接続要素54がチャンバの形状と適合する形状を有することによって、接続要素54と連携し、矢印B1に沿ったチャンバの並進は、矢印B2によって示される接続要素54の同じ並進を誘導し、その結果、プレート51が付勢要素55に対して押圧される。チャンバがハウジング内部に正しく配置されると(図5B)、プレート51は孔41から完全に取り外され、付勢要素55は圧縮されて、チャンバが装置から取り外されたときにプレート51を押し戻す準備が整う。
【0063】
代替的な方法では、閉鎖デバイスの並進運動は回転であってもよく、プレート51は、孔41から離れるように水平に回転する。
【0064】
本発明は、上記で例示された実施形態を参照して説明されているが、請求される本発明は、決してこれらの例示された実施形態によって限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0065】
「特許請求の範囲」で定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び修正が実施可能である。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
【0066】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は包括的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【符号の説明】
【0067】
10 焙煎装置
1 焙煎チャンバ
11 底部開口部
12 頂部開口部
2 空気ドライバ
3 ヒータ
4 ハウジング
41 空気出口孔
42 空気入口
43 垂直ハウジング部
5 閉鎖デバイス
51、51a、51b プレート
52 膝継手
53 軸
54 接続要素
55 付勢要素
6 位置センサ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B