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  • 特許-紫外線及び赤外線の遮断用化粧料組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】紫外線及び赤外線の遮断用化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20231116BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20231116BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/36
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/55
A61K8/85
A61Q17/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021569911
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 KR2020004423
(87)【国際公開番号】W WO2020242033
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0063306
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517039760
【氏名又は名称】コスマックス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ス ジ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジュン ベ
(72)【発明者】
【氏名】イム、ヒョン テ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヨン ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミョン サム
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-104401(JP,A)
【文献】特表2012-511499(JP,A)
【文献】特開2012-184178(JP,A)
【文献】特表2017-523150(JP,A)
【文献】特開2017-171655(JP,A)
【文献】特開2013-194041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線遮断無機素材と、赤外線遮断無機素材と、分散剤と、を含む、紫外線及び赤外線の同時遮断用化粧料組成物であって、
紫外線遮断無機素材は、100nm~500nmの粒子サイズを有する二酸化チタンであり、赤外線遮断無機素材は、500nm~1,500nmの粒子サイズを有する二酸化チタンであり、
分散剤は、ポリヒドロキシステアリン酸、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、イソステアリン酸、レシチン、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3、またはそれらの組み合わせであり、
前記紫外線遮断無機素材、赤外線遮断無機素材、及び分散剤の重量比は、1.5:1.5:1ないし3:3:1である組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線及び赤外線を同時に遮断する化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚老化は、経時的な内因性老化、及び長期間の太陽光露出による光老化に分けることができる。該内因性老化は、加齢によって自然に生じる不可避な老化現象である一方、該光老化は、長期間太陽光に露出されて生じる現象であり、弾力低下、深いしわ、色素沈着のような皮膚変化を誘発する。また、該光老化は、内因性老化に比べ、その速度が非常に速いために、皮膚老化予防において非常に重要な部分である。
【0003】
地表面に逹する太陽光は、赤外線、可視光線及び紫外線に大きく分けることができ、そのうち、紫外線による皮膚老化と、その危険性は、すでにかなり以前から広く知られている。それにより、紫外線から皮膚を保護するために、紫外線遮断有機/無機素材を利用した多様な製品が開発されている。しかし、最近になり、紫外線だけではなく、赤外線、そのうちでも、表皮及び真皮まで侵透して皮膚老化を起こす近赤外線(760~1,400nm)も、また皮膚老化の主要因子のうち一つとして認知されており、それにより、赤外線と皮膚老化とに係わる研究が多く報告されている実情である。それに合わせ、赤外線遮断製品開発への関心もだんだんと高まっている。
【0004】
紫外線遮断素材は、有機素材と無機素材とにも分類される。該有機素材は、紫外線を吸収して遮断する方式により、多様な製剤に適用可能であるが、変色、皮膚刺激、海洋生態系汚染のような問題点がある。該無機素材は、高い屈折率を有し、皮膚に吸収されず、アレルギーのような副作用がなく、皮膚安全性が高いという長所がある。ただし、該無機素材の特性上、凝集性が強いために、大きさ増大により、使い勝手が低下してしまい、遮断効果増大のために過量使用するとき、白濁現象が生じるという問題点がある。
【0005】
赤外線遮断素材は、無機素材を主に開発されており、これまで開発された赤外線遮断素材は、大きさが大きい粒子を使用するものであり、大きさが小さい粒子と共に物理的混合を行ったり、大粒子に小粒子をコーティングさせたりして使用し、紫外線と赤外線とを同時に遮断するものがほとんどである。ただし、大きさが異なる無機素材間の凝集により、多重散乱による白濁現象、またはコーティング過程における不均一性などにより、かえって紫外線及び赤外線の遮断効果を阻害させる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、紫外線と赤外線との遮断無機素材の凝集を防止し、紫外線及び赤外線を同時に効果的に遮断することができる化粧料組成物の開発が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一様態は、紫外線遮断無機素材と、赤外線遮断無機素材と、分散剤と、を含む紫外線及び赤外線の同時遮断用化粧料組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
一様態による紫外線及び赤外線の同時遮断用化粧料組成物は、紫外線遮断無機素材、赤外線遮断無機素材及び分散剤を適切な比率で含むことにより、紫外線と近赤外線との領域の光を有意に遮断することができるので、光老化による皮膚老化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】紫外線遮断無機素材(左側)及び赤外線遮断無機素材(右側)の透過電子顕微鏡を利用して撮影された写真である。
図2】比較例1ないし3、及び実験例1及び2の組成物の分散性に係わる評価のために、顕微鏡を利用して観察されたところを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一様態は、紫外線遮断無機素材と、赤外線遮断無機素材と、分散剤と、を含む紫外線及び赤外線の同時遮断用化粧料組成物を提供する。
【0011】
本明細書において、用語「紫外線遮断無機素材」は、紫外線領域の光を反射させたり散乱させたりする物質を意味する。前記紫外線遮断無機素材は、100ないし500nmの粒子サイズを有することができる。
【0012】
前記紫外線遮断無機素材は、化粧料組成物に一般的に含まれる全種類の紫外線遮断無機素材を含んでもよい。例えば、前記紫外線遮断無機素材は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、またはそれらの組み合わせでもある。一具体例において、前記紫外線遮断無機素材として、100ないし500nmサイズの二酸化チタンは、高い紫外線遮断指数を示すということを確認した。
【0013】
前記組成物は、紫外線遮断無機素材を、1ないし25重量%、例えば、1ないし20重量%、例えば、1ないし18重量%、例えば、1ないし16重量%、例えば、1ないし15重量%、例えば、1ないし13重量%、例えば、2ないし12重量%で含むものでもある。
【0014】
本明細書において、用語「赤外線遮断無機素材」は、赤外線領域、特に、近赤外線領域の光を反射させたり散乱させたりする物質を意味する。前記赤外線遮断無機素材は、500ないし1,500nmの粒子サイズを有することができる。
【0015】
前記赤外線遮断無機素材は、化粧料組成物に一般的に含まれる全種類の赤外線遮断無機素材を含んでもよい。例えば、前記赤外線遮断無機素材は、金、銀、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(Fe)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化セリウム(CeO、Ce)、ジルコニウムジオキシド(ZrO)、またはそれらの組み合わせでもある。一具体例において、前記赤外線遮断無機素材として、500ないし1,500nmサイズの二酸化チタンは、高い赤外線遮断指数を示すということを確認した。
【0016】
前記組成物は、赤外線遮断無機素材を、1ないし25重量%、例えば、1ないし20重量%、例えば、1ないし18重量%、例えば、1ないし16重量%、例えば、1ないし15重量%、例えば、1ないし13重量%、例えば、2ないし12重量%で含むものでもある。
【0017】
本明細書において、用語「分散剤」は、固体粒子が液体内にに均一に混合された分散状態を維持するために使用される界面活性剤を意味し、具体的には、大きさが大きい粒子と、大きさが小さい粒子との凝集を防止するために加える物質を意味しうる。
【0018】
前記分散剤は、化粧料組成物に一般的に含まれる全種類の分散剤を含んでもよい。例えば、前記分散剤は、ポリヒドロキシステアリン酸(polyhydroxystearic acid)、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル(caprlic and capric triglyceride)、イソステアリン酸(isostearic acid)、レシチン、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3(polyglyceryl-3 polyricinoleate)、またはそれらの組み合わせでもある。一具体例において、前記分散剤として、ポリヒドロキシステアリン酸、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、イソステアリン酸、レシチン及びポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3の組み合わせを含む場合、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断の凝集を防止し、しっとりとしない使いにくさ、白濁現象などの問題を改善し、高い紫外線遮断及び赤外線遮断指数を示すということを確認した。
【0019】
前記組成物は、分散剤を、1ないし15重量%、例えば、1ないし13重量%、例えば、1ないし12重量%、例えば、1ないし10重量%、例えば、1ないし8重量%、例えば、1ないし7重量%、例えば、2ないし7重量%で含むものでもある。
【0020】
前記紫外線遮断無機素材、赤外線遮断無機素材、及び分散剤の重量比は、3ないし7:3ないし7:1ないし5でもあり、例えば、1.5:1.5:1ないし3:3:1、例えば、2:2:1ないし3:3:1、例えば、1.5:1.5:1ないし4:4:1、例えば、2:2:1ないし4:4:1でもある。一具体例において、前記紫外線遮断無機素材、赤外線遮断無機素材及び分散剤の重量比を5:5:3で含む場合、紫外線及び赤外線の同時遮断効果、低い白濁度(whiteness)、高い分散性、改善された使い勝手を示すということを確認した。従って、前記範囲を外れる場合、紫外線及び赤外線の同時遮断効果が微々たるものであるか、あるいは無機素材間の凝集により、白濁現象、しっとりとしない使いにくさのような問題を示しうる。
【0021】
前記化粧料組成物は、必要により、前記成分以外に組成物の効果を落とさない範囲内において、安定化剤、香料、酸化防止剤、増粘剤、保湿剤、柔軟剤、高吸油能粉体、粘度下降剤、pH調節剤などをさらに添加することができる。また、前記化粧料組成物は、皮膚に必須栄養素を補助的に提供することができる物質をさらに含むが、望ましくは、天然香、化粧品香または植物抽出物が含まれるが、それらに限られるものではない補助剤を含んでもよい。
【0022】
前記化粧料組成物は、当業界で一般的に製造されるいかなる剤形にも製造され、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション及びスプレーなどにも剤形化されるが、それらに限定されるものではない。さらに詳細には、サンクリーム、柔軟化粧水、収斂化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、パック、スプレーまたはパウダーの剤形にも製造される。
以下、実施例を介し、さらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。
【0023】
比較例1ないし3、並びに実施例1及び2.紫外線及び赤外線の同時遮断用化粧料組成物の製造
紫外線遮断無機素材、赤外線遮断無機素材及び分散剤の含まれ具合を異にさせ、比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物を製造した。下記表1は、比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物の成分及び含量(重量%)を示したものである。
【0024】
【表1】
【0025】
具体的には、比較例1ないし3の組成物は、無機素材を油相部と混合して分散させ、70℃ないし80℃に加温溶解させた。その後、水相部を添加して撹拌して製造した。実施例1及び2の組成物は、分散剤に、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材を分散させた後、それを油相部に混合し、70℃ないし80℃に加温溶解させた。その後、水相部を添加して撹拌して製造した。比較例1及び2の組成物は、紫外線遮断無機素材または赤外線遮断無機素材のうち一つだけを含むように製造されたものであり、比較例3の組成物は、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材を単純混合して製造された。それと異なり、実施例1及び2の組成物は、前記表1に記載された分散剤をさらに含み、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材を混合して製造された。
【0026】
実験例1.無機素材の粒子サイズ確認
前記実施例1及び2の組成物に含まれた紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材の粒子サイズを比較するために、透過電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscope)写真を撮影した。
その結果、図1に示されているように、紫外線遮断無機素材は、100nmないし500nmの粒子サイズを示し(左側写真)、それと異なり、赤外線遮断無機素材は、500nmないし1,500nmの粒子サイズを示す(右側写真)ことを確認した。
【0027】
実験例2.紫外線遮断効果確認
比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物の紫外線遮断指数(SPF:sun protection factor)を評価した。比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物の紫外線遮断指数を下記表2に示した。
【0028】
具体的には、紫外線遮断効果を評価するために、Labsphere UV-2000Sインビトロサンスクリーン分析器(in vitro sunscreen analyser)を利用し、インビトロSPFを測定した。該インビトロSPF測定のために、UV透過率測定に適する光学用PMMAプレートに、均一に各サンプルを塗布した後、測定装備を利用し、紫外線(290nmないし400nm)を照射し、インビトロSPFを測定した。このとき、それぞれのサンプルは、3回反復して測定した。
【0029】
【表2】
【0030】
その結果、前記表2に示されているように、紫外線遮断無機素材を含む比較例1の組成物は、高い紫外線遮断指数を示す一方、赤外線遮断無機素材のみを含む比較例2の組成物は、低い紫外線遮断指数を示した。また、比較例3の組成物は、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材をいずれも含んでいるが、単純混合して製造したことにより、2無機素材間の凝集現象により、かえって紫外線遮断指数が低下するという短所を示した。それと異なり、実施例1及び2の組成物は、2無機素材を含んでも、分散剤を適切な比率でさらに含むことにより、高い紫外線遮断指数を示し、無機素材の含量増加により、紫外線遮断指数も上昇した。
【0031】
実験例3.赤外線遮断効果確認
比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物の赤外線遮断指数(IPF:infrared protection factor)を評価した。比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物の赤外線遮断指数を下記表3に示した。
【0032】
具体的には、本発明者が自体的に開発した以下の臨床評価法を利用した。赤外線遮断効果は、近赤外線領域の波長において、分光反射率測定を介して評価し、測定のために使用した装備は、近赤外線分光光度計(NIR Spectrophotometer,ASD Inc.,米国)である。結果は、各サンプルだ当たり5人に対して測定し、その平均値を示した。
【0033】
[近赤外線遮断効果評価方法]
1)人体の腕内側皮膚に3.5X3.5cmサイズに準備
2)サンプル塗布前の分光反射率測定(control)
3)サンプル2μL/cmを、指を利用して満遍なく塗布
4)15分間放置
5)サンプルが塗布されたところの分光反射率測定(sample)
6)サンプル塗布前後の分光反射率を、下記数式1(IPF:infrared protection factor)に代入し、赤外線遮断効果測定
【0034】
【数1】
【0035】
IPFが高いほど、皮膚に逹する近赤外線を反射させる比率が高く、近赤外線遮断に、さらに効果的であるという意味であり、それにより、サンプルを塗布する前より、塗布後の分光反射率がどれほど高くなったかということを比較した。
【0036】
【表3】
【0037】
その結果、前記表3に示されているように、赤外線遮断無機素材を含まない比較例1の組成物は、赤外線遮断無機素材を含む比較例2の組成物に比べ、低い赤外線遮断指数を示した。紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材をいずれも含む比較例3の組成物は、比較例1及び2の組成物に比べ、上昇した赤外線遮断指数を示した。ただし、比較例3の組成物のように、2種の無機素材を単純混合して製造したものではなく、分散剤を適切な比率でさらに含んで製造した実施例1及び2の組成物は、さらに上昇した赤外線遮断指数を示し、無機素材の含量増加により、紫外線遮断指数も上昇した。前記結果から、前記実施例1及び2の組成物は、分散剤をさらに含むことにより、大きさが異なる2種の無機素材をいずれも含んでも、剤形内に安定して分散されるので、さらに優秀な紫外線及び赤外線の遮断効果を示すということを確認した。
【0038】
実験例4.化粧料組成物の白濁度(whiteness)評価
比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物の白濁度を評価した。比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物の白濁度値(L値)を下記表4に示した。
【0039】
具体的には、化粧料組成物を黒色人造皮2X2cmの矩形に塗布した後、分光測色計(Minolta CM-2600d)を利用してL値を測定した。各サンプルは8、μLずつ塗布し、指で10回ずつ擦った後、2分後、分光測色計で各サンプルのL値を相対的に比較した。L値は、低いほど白濁程度が低いということを意味する。
【0040】
【表4】
【0041】
その結果、前記表4に示されているように、紫外線遮断無機素材のみを含む比較例1の組成物は、高い白濁度を示したが、赤外線遮断無機素材のみを含む比較例2の組成物は、低い白濁度を示した。また、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材を単純混合した比較例3の組成物は、無機素材間の凝集により、白濁度が顕著に上昇した。それと異なり、2種の無機素材だけではなく、適切な比率で分散剤をさらに含む実施例1及び2の組成物は、比較例3の組成物と比較し、白濁度が顕著に低下した。前記結果から、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材をいずれも含む化粧料組成物に、分散剤をさらに含むことにより、無機素材間の凝集現象を防止し、低い白濁度を示すので、多様な剤形の化粧料組成物に製造されうるということを確認した。
【0042】
実験例5.化粧料組成物の分散性評価
比較例1ないし3、並びに実施例1及び2の化粧料組成物の分散性を、顕微鏡を利用した観察を介して評価した。
【0043】
その結果、図2に示されているように、比較例1ないし比較例3の化粧料組成物は、粒子が凝集されているか、あるいは押しなべて分布したいない様子を示し、特に、比較例3の組成物は、無機素材間の凝集により、粒子が最も大きく凝集されているところを確認した。それと異なり、実施例1及び2の組成物は、適切な比率で分散剤をさらに含み、紫外線遮断無機素材と赤外線遮断無機素材との凝集を防止し、粒子が満遍なく分布されているところを確認した。
【0044】
実験例6.化粧料組成物の使い勝手評価
紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材をいずれも含む比較例3、実施例1及び2の化粧料組成物の使い勝手を評価した。評価結果は、下記表4に示した。
【0045】
具体的には、皮膚疾患がない成人男女20人を対象に、顔、頬部位に化粧料組成物を使用してもらった。無機素材を含む化粧料組成物は、しっとりとしない使いにくさや、皮膚への塗布時、白濁程度がはなはだしいという問題があるので、化粧料組成物の塗り具合(しっとりさ)、白濁程度、全般的な満足度に係わる評価を行った。評価結果は、15人以上が満足した場合に、◎で表記し、10人以上が満足した場合、○で表記し、5人以上が満足した場合、△で表記した。
【0046】
【表5】
【0047】
その結果、前記表5に示されているように、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材を物理的に混合した比較例3の組成物は、滑らかではない剤形外観だけではなく、しとやかではない塗り具合を示した。それと異なり、紫外線遮断無機素材及び赤外線遮断無機素材を、分散剤を使用して混合した実施例1及び2の組成物は、しとやかではない塗り具合及び白濁程度が顕著に改善され、全般的な使い勝手に対する満足度が高いということ確認した。
【0048】
以上の結果から、前述の紫外線及び赤外線の同時遮断用化粧料組成物は、紫外線遮断無機素材、赤外線遮断無機素材及び分散剤を適切に配合させて含むことにより、前述の2種無機素材間の凝集を効果的に防止し、紫外線及び赤外線の同時遮断効果を示すだけではなく、白濁現象、しっとりとしない使いにくさのような問題を解決したということを確認した。
図1
図2