(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】組織の治療のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/04 20060101AFI20231116BHJP
A61B 17/3205 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A61B18/04
A61B17/3205
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022024947
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2020141933の分割
【原出願日】2012-01-18
【審査請求日】2022-03-23
(32)【優先日】2011-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180277
【氏名又は名称】フラクティル ヘルス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリス ラジャゴパラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ カプラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ. クリストファー フラハーティー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エス. レビン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0275445(US,A1)
【文献】特開2006-136726(JP,A)
【文献】特表2004-500184(JP,A)
【文献】特表2006-509536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/02-18/16
A61B 17/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の小腸からの粘膜組織を治療するためのシステムであって、該システムは、
遠位部分を有する、シャフトを含む細長管と、
シャフトの遠位部分上に配置される治療要素であって、前記治療要素は粘膜組織を治療するように構成される、治療要素と、
粘膜下組織に流体を送達する手段であって、前記粘膜下組織を円周方向に拡張させて目的治療区域を増加させるための、前記目
的治療区域は、前記治療によって治療される小腸上の粘膜組織を含む、流体を送達する手段と、を含み、
ここで、前記治療要素は、小腸上の粘膜組織を治療するように構成され、
ここで、前記治療要素は、65℃~90℃の温度の流体を含む拡張可能バルーンを含
み、および
ここで、前記粘膜下組織に前記流体を送達して前記粘膜下組織を拡張させることで、前記粘膜組織を治療する際に前記治療要素によって、非標的組織が悪影響を及ぼされることを防止する、システム。
【請求項2】
前記流体を送達する手段は、1つ以上の針をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体を送達する手段は、1つ以上の水噴流をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記治療要素は、半径方向に拡張可能および/または半径方向に拡大可能であるように構築および配列される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記治療要素は、少なくとも1cmの直径まで、半径方向に拡張および/または半径方向に延在するように構築および配列される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
第2の治療要素をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
第2の細長管をさらに含み、ここで、前記第2の治療要素は、前記第2の細長管上に配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記治療要素は、エネルギーを送達するように構築および配列される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記治療要素は、非標的組織への損傷を避けながら、標的組織にエネルギーを送達するように構築および配列される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記治療要素は、閉ループエネルギー送達のために構築および配列される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
センサをさらに備え、前記システムは、前記センサによって記録された信号に基づいてエネルギーを送達するように構築および配列される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記治療要素は、水、生理食塩水、グリセリンおよび蒸気からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、先の米国仮特許出願第61/434,319号(名称「Method and System for Treatment of Diabetes」、2011年1月19日出願、代理人整理番号41714-703.101)の利益を主張し、この出願の全内容はその全体が参照することにより本明細書に援用され、および/または、先の米国仮特許出願第61/538,601号(名称「Devices and Methods for the Treatment of Tissue」、2011年9月23日出願、代理人整理番号41714-703.102)の利益を主張し、この出願の全内容はその全体が参照することにより本明細書に援用される。
(技術分野)
本明細書に開示される実施形態は、概して、組織、特に、胃腸組織を治療するためのシステム、デバイス、および方法に関する。糖尿病を治療する方法もまた、開示される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
糖尿病は、人体が、十分なインスリンを産生しないため、または身体の細胞が、産生されたインスリンに効果的に応答不可能であるため、高血糖を発症する、代謝性疾患である。主に、糖尿病は、1型および2型の2つのタイプがある。1型糖尿病は、身体が十分なインスリンを産生できないため生じ、2型糖尿病は、膵臓β細胞の身体自己免疫破壊から生じ、その結果、身体が十分なインスリンを産生できず、2型糖尿病は、インスリン抵抗(身体の細胞が、産生されたインスリンを適切に利用することができない)および身体の必要性を満たすための不適正なインスリン産生を通して、高血糖症を生じさせる複合代謝性障害である。
【0003】
現在、前述の概念に基づいて、糖尿病を治療することを目的としたいくつかの手技が存在する。手技は、大手術、GI管の一部分の除去、および/または長期的インプラントを要求する。任意の大手術と同様に、胃バイパス手術は、合併症の危険性をもたらす。
【0004】
デバイスが、エネルギーを身体に送達するために開発されている。例えば、心臓切除デバイスが、切除エネルギーを心臓組織に送達するために設計されている。加えて、尿道切断デバイスが、前立腺の一部分を熱傷または切断するために設計されている。これらの技術はそれぞれ、身体の治療されるべき特定の部分ならびに治療されるべき特定の疾患における効果的使用を目的として、改良および適応されている。
【0005】
GI管へのエネルギーの印加によって、GI管の治療処置を提供することができる、システムおよび方法の必要性が存在する。具体的には、糖尿病の治療に、胃バイパス手術ほど侵襲性ではなく、患者のための他の利点を有する、GI管における手技をもたらす必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
患者の糖尿病を治療するためのシステムであって、該システムは、治療デバイスを備え、
該治療デバイスは、
十二指腸粘膜が評価されることを可能にするように構築および配列された視認構成要素と、
治療すべき該患者の十二指腸粘膜の標的区域を選択するように構築および配列された選択構成要素と、
該患者の胃および空腸に関して、治療が該患者の十二指腸を解剖学的に無傷のまま残すように、該患者の十二指腸粘膜の治療区域を治療するように構築および配列された治療構成要素と、
を含み、該治療区域は、該患者の空腸粘膜および胃粘膜のうちの少なくとも1つの中の区域と連続的である該十二指腸粘膜の中の区域を含む、システム。
(項目2)
前記治療構成要素は、前記患者の十二指腸粘膜を除去するように適応され、前記治療は、該十二指腸粘膜の中の幹細胞を排除することを含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記治療構成要素は、前記十二指腸粘膜の中の組織を切除するように適応される、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記治療構成要素は、前記十二指腸粘膜を切除するように適応され、該十二指腸粘膜を切除するための切除副構成要素を具備する第1のバルーンをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記治療構成要素は、前記患者の十二指腸粘膜を除去するように適応され、該十二指腸粘膜の少なくとも一部分を削取するための削取器および/または掻爬器をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記治療構成要素の削取器および/または掻爬器は、前記十二指腸粘膜を治療するための切断デバイスを具備するバルーンを備える、項目5に記載のシステム。
(項目7)
組織拡張デバイスをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記組織拡張デバイスは、前記十二指腸の粘膜下層組織を拡張するように構築および配列されている、項目7に記載のシステム。
(項目9)
患者を治療するためのシステムであって、
該システムは、
遠位部分を備える細長管と、
該細長管遠位部分上に配置された治療要素と
を備え、
該治療要素は、標的組織を治療し、非標的組織に及ぼす悪影響を減少させるように構築および配列され、
該システムは、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、高コレステロール血症、メタボリック症候群、疾患、セリアック病、肥満、癌(例えば、気管支肺胞癌)、および膀胱炎のうちの1つ以上を治療するように構築および配列されている、システム。
(項目10)
前記システムは、常習的インプラントを備えない、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記システムは、治療された粘膜に代わる粘膜組織が治療前粘膜と異なって機能するよう前記十二指腸の粘膜を治療するように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目12)
前記異なる機能は、異なる分泌、異なる分泌量、および/または異なる吸収特性を含む、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記標的組織は、第1の部分および第2の部分を備え、前記システムは、該第1の標的組織部分を治療するための第1の治療を実施し、該第2の標的組織部分を治療するための第2の治療を実施するように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目14)
前記第1の組織部分は、前記第2の組織部分に重複する、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記第1の治療は、前記第2の治療と異なる、項目13に記載のシステム。
(項目16)
前記標的組織の治療は、修正された細胞機能、細胞死、アポトーシス、細胞即死、細胞壊死、細胞の変性、細胞の除去、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される細胞修正を含む、項目9に記載のシステム。
(項目17)
前記標的組織は、組織を備える治療組織を含み、該組織の治療が所望の治療効果を生じさせる、項目9に記載のシステム。
(項目18)
前記標的組織は、組織の安全域をさらに備え、該組織の安全域は、前記治療組織に近接する組織を備え、該組織の安全域は、前記組織治療によってほとんど影響を受けない、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記治療組織は、粘膜層を含み、前記組織の安全域は、粘膜下層の少なくとも一部分の層を含む、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記標的組織は、深さ、長さ、および幅を備え、該深さは、該長さおよび/または該幅に沿って変化する、項目9に記載のシステム。
(項目21)
前記システムは、第1の治療ステップおよび第2の治療ステップにおいて、前記標的組織を治療するように構築および配列されている、項目20に記載のシステム。
(項目22)
前記第1の治療ステップおよび前記第2の治療ステップは、異なるエネルギー送達を含む、項目21に記載のシステム。
(項目23)
前記標的組織は、第1の組織部分および第2の組織部分を含み、前記システムは、該第1の組織部分および該第2の組織部分を連続して治療するように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目24)
前記第1の組織部分は、前記第2の組織部分と異なる特性を有する、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記異なる特性は、組織タイプ、例えば、組織層タイプ、組織密度、および組織厚のうちの1つ以上を含む、項目24に記載のシステム。
(項目26)
前記第1の組織治療は、前記第2の組織治療と異なる、項目24に記載のシステム。
(項目27)
前記組織治療の差異は、エネルギーレベル、送達持続時間、および送達の間の組織温度のうちの1つ以上に差異を含む、項目26に記載のシステム。
(項目28)
前記治療要素は、半径方向に拡張可能および/または半径方向に拡大可能であるように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目29)
前記治療要素は、少なくとも1cmの直径まで、半径方向に拡張および/または半径方向に拡大するように構築および配列されている、項目28に記載のシステム。
(項目30)
前記治療要素は、約65℃~90℃の温度の流体を含む拡張可能バルーンを備える、項目9に記載のシステム。
(項目31)
第2の治療要素をさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目32)
第2の細長管をさらに備え、前記第2の治療要素は、該第2の細長管上に配置される、項目31に記載のシステム。
(項目33)
前記治療要素は、エネルギーを送達するように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目34)
前記治療要素は、閉ループエネルギー送達のために構築および配列されている、項目33に記載のシステム。
(項目35)
センサをさらに備え、前記システムは、該センサによって記録された信号に基づいてエネルギーを送達するように構築および配列されている、項目34に記載のシステム。
(項目36)
前記治療要素は、電磁エネルギー(例えば、高周波エネルギー)、音エネルギー(例えば、超音波エネルギーおよび亜音速音エネルギー)、光エネルギー(例えば、レーザエネルギー、赤外線エネルギーおよび可視光エネルギー)、化学エネルギー、熱エネルギー(例えば、高温流体から送達される熱エネルギー)、低温エネルギー、機械的エネルギー(例えば、研削要素によって送達される機械的エネルギー)から成る群から選択されるエネルギーを送達するように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目37)
前記治療要素は、2つの形態のエネルギーを送達するように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目38)
第2の治療要素をさらに備え、前記第1の治療要素は、第1の形態のエネルギーを送達するように構築および配列され、該第2の治療要素は、第2の形態のエネルギーを送達するように構築および配列されている、項目37に記載のシステム。
(項目39)
前記システムは、同時に、および/または連続して、前記2つの形態のエネルギーを送達するように構築および配列されている、項目37に記載のシステム。
(項目40)
前記細長管は、身体アクセスデバイスの作業チャネルを通して挿入されるように構築および配列された部分を少なくとも備える、項目9に記載のシステム。
(項目41)
前記身体アクセスデバイスは、内視鏡、腹腔鏡ポート、経胃的アクセスデバイス、血管導入器、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目40に記載のシステム。
(項目42)
前記遠位部分は、偏向されるように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目43)
第2の細長管をさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目44)
前記第2の細長管は、前記第1の細長管によって摺動可能に受容される、項目43に記載のシステム。
(項目45)
前記第2の細長管上に配置される第2の治療要素をさらに備える、項目43に記載のシステム。
(項目46)
信号を提供するように構築および配列されたセンサをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目47)
拡張可能要素をさらに備え、前記センサは、該拡張可能要素に搭載される、項目46に記載のシステム。
(項目48)
前記センサは、熱センサ(例えば、熱電対)、インピーダンスセンサ(例えば、組織インピーダンスセンサ)、圧力センサ、血液センサ、光学センサ(例えば、光センサ)、音センサ(例えば、超音波センサ)、電磁センサ(例えば、電磁場センサ)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるセンサを備える、項目46に記載のシステム。
(項目49)
機能的要素をさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目50)
前記機能的要素は、センサ、変換器、真空ポート、可視化要素またはデバイス(例えば、超音波結晶または光学アセンブリ)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目49に記載のシステム。
(項目51)
前記機能的要素は、真空ポートを備える、項目49に記載のシステム。
(項目52)
前記真空ポートは、組織を除去するように構築および配列されている、項目51に記載のシステム。
(項目53)
前記真空ポートは、前記システムの少なくとも一部分を組織と接触させるように構築および配列されている、項目51に記載のシステム。
(項目54)
加圧流体を送達するように構築および配列された身体管腔加圧アセンブリをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目55)
前記身体管腔加圧アセンブリは、吹送流体源を備える、項目54に記載のシステム。
(項目56)
前記加圧流体の移動を阻止するように構築および配列された閉塞性要素をさらに備える、項目54に記載のシステム。
(項目57)
前記閉塞性要素は、前記細長管に搭載されている、項目56に記載のシステム。
(項目58)
身体アクセスデバイスをさらに備え、前記細長管は、該身体アクセスデバイスを通して挿入するように構築および配列されている、項目9に記載のシステム。
(項目59)
前記身体アクセスデバイスは、内視鏡、腹腔鏡ポート、経胃的アクセスデバイス、血管導入器、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目58に記載のシステム。
(項目60)
エネルギーを前記治療要素まで送達するように構築および配列されたエネルギー送達ユニットをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目61)
前記エネルギー送達ユニットは、2つ以上の形態のエネルギーを送達するように構築および配列されている、項目60に記載のシステム。
(項目62)
前記エネルギー送達ユニットは、閉ループエネルギー送達を前記治療要素まで送達するように構築および配列されている、項目60に記載のシステム。
(項目63)
コントローラおよびユーザインターフェースをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目64)
前記コントローラは、オペレータが、送達されるべきエネルギーのタイプ(例えば、RFエネルギー、熱エネルギー、および/または機械的エネルギー)、送達されるべきエネルギーの量(例えば、送達されるべきエネルギーの累積ジュール数または送達されるべきエネルギーのピーク量)、送達されるべきエネルギーの組み合わせのタイプおよびレベル、エネルギー送達持続時間、送達されるエネルギーのパルス幅変調率、研削デバイスが横断する往復運動の回数、治療要素のための温度(例えば、標的温度または最大温度)、吹送圧力、吹送持続時間、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるシステム入力パラメータを調整することが可能なように構築および配列されている、項目63に記載のシステム。
(項目65)
前記ユーザインターフェースは、温度情報(例えば、組織および/または治療要素温度情報)、圧力情報(例えば、バルーン圧力情報または吹送圧力情報)、力情報(例えば、組織に印加される力のレベルの情報)、患者情報(例えば、1つ以上のセンサによって記録される患者の生理学的情報)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるシステム出力パラメータを表示するように構築および配列されている、項目63に記載のシステム。
(項目66)
前記治療要素を並進および/または回転させるように構築および配列された運動伝達アセンブリをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目67)
組織治療の間、非標的組織を保護するように構築および配列された保護キャップをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目68)
前記非標的組織は、ファーター膨大部およびオッディ括約筋のうちの少なくとも1つを備える、項目67に記載のシステム。
(項目69)
組織拡張デバイスをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目70)
前記組織拡張デバイスは、粘膜下層の少なくとも一部分を拡張するように構築および配列されている、項目69に記載のシステム。
(項目71)
組織操作デバイスをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目72)
前記組織操作デバイスは、軸方向直線化(例えば、十二指腸または他の腸組織の直線化)、引張(例えば、軸方向および/または半径方向引張)、厚さ拡張(例えば、注入された流体(例えば、注入された液体またはガス)による腸の粘膜下層の拡張)、組織への軸方向力の印加、組織への反対の軸方向力の印加、組織への半径方向力の印加、組織の圧縮(例えば、十二指腸の絨毛の圧縮)、局在浮腫または血管性浮腫の誘発、十二指腸の半径方向に拡張(例えば、輪状襞の突出を減少させ、それらの皺襞の重畳のため、皺襞が治療要素による治療下に置かれることを防止および減少させるため)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される機能を果たすように構築および配列される、項目71に記載のシステム。
(項目73)
手技完了アルゴリズムをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目74)
患者を治療するための方法であって、
該方法は、
システムを提供することであって、該システムは、
遠位部分を備える細長管と、
該細長管遠位部分上に配置される治療要素と
を備える、ことと、
該治療要素によって標的組織を治療することと
を備え、
該患者は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、高コレステロール血症、メタボリック症候群、疾患、セリアック病、肥満、癌(例えば、気管支肺胞癌)、膀胱炎、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される疾患または障害のために治療されている、方法。
(項目75)
前記標的組織は、第1の部分および第2の部分を備え、前記方法は、
該第1の標的組織部分を治療するための第1の治療を実施することと、
該第2の標的組織部分を治療するための第2の治療を実施することと
を含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記第1の組織部分は、前記第2の組織部分に重複する、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記第1の治療は、前記第2の治療と異なる、項目75に記載の方法。
(項目78)
前記相違は、治療される標的組織区域、治療される標的組織深さ、治療される標的組織円周部分、エネルギー送達タイプ、エネルギー送達速度および/または量、エネルギー送達持続時間、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、項目77に記載の方法。
(項目79)
拡張流体を組織まで送達することをさらに備える、項目74に記載の方法。
(項目80)
前記拡張された組織は、粘膜下層の少なくとも一部分を備える、項目79に記載の方法。
(項目81)
患者の疾患および/または障害を治療するシステムであって、
該システムは、
治療要素を
備え、
該治療要素は、胃腸管の領域を改変するように構築および配列され、該改変は、細胞吸収容量、細胞ホルモン放出、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、システム。
(項目82)
患者の疾患および/または障害を治療するシステムであって、
該システムは、
標的組織を治療するように構築および配列された治療要素と、
該標的組織および/または該標的組織に近接する組織を拡張するよう構築および配列された組織拡張アセンブリと
を備える、システム。
(項目83)
患者の糖尿病を治療する方法であって、
該方法は、
該患者の胆汁塩および膵酵素にアクセスすることであって、該胆汁塩および膵酵素は、該患者によって摂取された食物と未反応である、ことと、
該未反応の胆汁塩および膵酵素を該患者の十二指腸まで送達することと
を含む、方法。
(項目84)
患者の糖尿病を治療する方法であって、
該方法は、
該患者の胆汁塩および膵酵素にアクセスすることであって、該胆汁塩および膵酵素は、該患者によって摂取された食物と未反応である、ことと、
該摂取された食物が、該患者の胆汁塩および膵酵素と反応することを防止することと、
該摂取された食物が、該患者の十二指腸粘膜と反応することを防止することと、
該アクセスされた胆汁塩および膵酵素を該患者の空腸まで送達することと
を含む、方法。
本発明の概念のシステム、方法、およびデバイスは、患者疾患または障害のための療法を提供するように、患者の標的組織を治療する。患者の糖尿病を治療するためのシステムは、視認構成要素と、選択構成要素と、治療構成要素とを備える。視認構成要素は、十二指腸粘膜の評価を可能にする。選択構成要素は、治療するための患者の十二指腸粘膜の標的区域を選択する。治療構成要素は、治療が、患者の胃および空腸に対して、患者の十二指腸を解剖学的に無傷のまま残すように、患者の十二指腸粘膜の治療区域を治療する。治療区域は、患者の空腸粘膜および胃粘膜のうちの少なくとも1つ内の区域と連続的である十二指腸粘膜の区域を含む。
【0007】
治療構成要素は、患者の十二指腸粘膜を除去するように適応されてもよく、治療は、十二指腸粘膜内の幹細胞を排除することを含んでもよい。
【0008】
治療構成要素は、十二指腸粘膜内の組織を切除するように適応されてもよい。
【0009】
治療構成要素は、十二指腸粘膜内の組織を切除するように適応されてもよく、十二指腸粘膜を切除するための切除副構成要素を具備するバルーンを備えてもよい。
【0010】
治療構成要素は、患者の十二指腸粘膜を除去するように適応されてもよく、十二指腸粘膜の少なくとも一部分を削取および/または掻爬するための削取器および/または掻爬器を備えてもよい。削取器および/または掻爬器は、十二指腸粘膜を治療するための切断デバイスを具備するバルーンを備えてもよい。
【0011】
本システムは、十二指腸の粘膜下層組織を拡張するように構築および配列される組織拡張デバイス等の組織拡張デバイスをさらに備えてもよい。
【0012】
本発明の別の側面によると、患者を治療するためのシステムは、細長管と、治療要素とを含む。細長管は、典型的には、可撓性シャフトであるが、遠位部分を含み、治療要素は、細長管遠位部分上に配置される。治療要素は、標的組織を治療し、非標的組織に悪影響を及ぼさないように構築および配列される。本システムが提供され、標的組織が、治療要素によって治療される方法が提供される。
【0013】
標的組織および標的組織治療の選択は、多数の患者疾患または障害に適用可能であって、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、高コレステロール血症、メタボリック症候群、疾患、セリアック病、肥満、癌、例えば、気管支肺胞癌、および膀胱炎を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、常習的インプラント(例えば、インプラントは、24時間を超えて身体内に残されない)は、使用されない。他の実施形態では、常習的に埋め込まれたデバイスとして、ステント、外筒、および薬物送達デバイス、例えば、コーティングされたステント、コーティングされた外筒、および/または埋め込まれたポンプ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、デバイス等が挙げられる得る。
【0014】
治療要素は、患者の1つ以上の場所における組織を標的にするように構成される。標的組織は、組織の3次元体積を備え、第1の部分である、その治療が患者にとって治療利益を有する治療部分と、第2の部分である、その治療が患者にとって殆どまたは全く悪影響をもたらさない安全域部分とを含んでもよい。非標的組織は、治療要素によって生じるその損傷または他の悪影響が、低減または回避される組織と同定され得る。
【0015】
標的組織治療は、標的組織に対して、1つ以上の効果、例えば、細胞機能の修正、細胞死、アポトーシス、細胞即死、細胞壊死、細胞の変性、細胞の除去、およびこれらの組み合わせの修正から成る群から選択される効果を含んでもよい。標的組織は、治療後、治療された標的組織および/または標的組織に代わる組織が、治療前標的組織と異なるよう機能するように選択されてもよい。標的組織の治療は、炎症反応を開始してもよい。標的組織の治療標的組織細胞を非機能的にさせ、および/または細胞分泌を防止させてもよい。標的組織の治療は、細胞自己分泌および/またはパラ分泌信号伝達を改変させてもよい。修正および/または置換組織は、糖尿病または肥満を治療する等のために、治療前標的組織と異なる分泌または分泌量を有してもよい。修正および/または置換組織は、糖尿病、肥満、および/または高コレステロール血症を治療する等のために、標的組織と異なる吸収特性を有してもよい。新しい組織は、異なるコレステロール吸収特性を備えてもよい。治療の効果は、急性的に、例えば、24時間以内等、またはより長い時間期間後、例えば、24時間を超えて、または1週間を超えて生じてもよい。
【0016】
治療されるべき標的組織は、2つ以上の組織部分、例えば、第1の治療および/または第1の治療要素によって治療される第1の組織部分と、第2の治療および/または第2の治療要素によって治療される第2の組織部分とを備えてもよい。第1および第2の組織部分は、重複してもよく、および隣接してもよく、例えば、組織の2つの隣接する部分的円周部分を備える。第1および第2の治療および/または治療要素は、類似してもよく、または異なってもよい。差異として、エネルギー送達治療要素によって送達されるべきエネルギーのタイプおよび/または量が挙げられ得る。他の差異として、治療される標的組織区域、治療される標的組織深さ、治療される標的組織円周部分、エネルギー送達タイプ、およびエネルギー送達速度および/または量が挙げられ得るが、それらに限定されない。本システムは、連続して、第1の標的組織部分および第2の標的組織部分を治療するように構築および配列されてもよい。第1および第2の標的組織部分は、類似または異なる組織特性を含んでもよい。類似または異なる組織特性は、組織タイプ、例えば、組織層タイプ、組織密度、組織厚、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。第1の標的組織部分は、第2の組織部分の治療と類似または異なる様式において、治療されてもよい。第1の治療と第2の治療との間の差異は、エネルギーレベル、送達持続時間、送達の間の組織温度、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。第1の組織部分は、第2の組織部分より薄くてもよく、本システムは、第2の組織部分より低い温度で、第2の組織部分より低いエネルギーレベルで、および/または第2の組織部分より短い治療持続時間の間、第1の組織部分を治療するように構成されてもよい。
【0017】
標的組織は、十二指腸の組織、例えば、十二指腸を解剖学的に接続して残したまま、糖尿病または肥満を治療するように、十二指腸の粘膜層の全部または一部分を含む組織を含んでもよい。置換組織は、その粘膜組織が、治療前の治療された粘膜組織機能と異なるように機能する、胃粘膜、空腸粘膜、または十二指腸の未治療部分のうちの1つ以上から移動させられた細胞を備えてもよい。いくつかの実施形態では、標的組織は、十二指腸の粘膜層を備える、治療組織と、十二指腸の粘膜下層の完全または部分層を備える、安全域組織とを含む。いくつかの実施形態では、標的組織は、十二指腸の粘膜層の全長を備え、十二指腸粘膜と連続する幽門の一部分および/または十二指腸粘膜と連続する空腸の一部分を含んでもよい。二指腸組織の治療は、糖尿病、肥満、インスリン抵抗、代謝性障害および/または疾患、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、疾患または障害を治療するために実施されてもよい。粘膜層の全周部分(例えば、360°)が、典型的に治療される。いくつかの実施形態では、標的組織は、少なくとも、十二指腸のある区画に沿った、少なくとも、最内粘膜部分層の円周部分を備える。これらの実施形態では、標的組織は、組織部分から成る群から選択される、少なくとも、十二指腸の全長に沿った、最内粘膜部分層の円周部分、最内粘膜部分層の全周部分、十二指腸の全長に沿った、最内粘膜部分層の全周部分、陰窩基底部における幹細胞、一過性増殖細胞、およびこれらの組み合わせを備えてもよい。標的組織は、十二指腸の全長に沿った、最内粘膜部分層の全周部分を備えてもよい。標的組織は、十二指腸の粘膜下層の少なくとも一部分を備えてもよい。これらの実施形態では、標的組織は、組織から成る群から選択される、少なくとも、十二指腸のある区画に沿った、少なくとも、最内粘膜下層部分層の円周部分、十二指腸の全長に沿った、少なくとも、最内粘膜下層部分層の円周部分、最内粘膜下層部分層の全周部分、十二指腸の全長に沿った、最内粘膜下層部分層の全周部分、およびこれらの組み合わせを備えてもよい。標的組織は、十二指腸の1つ以上の長手方向部分を備えてもよい。標的組織は、胃の遠位部分、例えば、胃の遠位部分から空腸の近位部分に及ぶ標的組織を備えてもよい。標的組織は、幽門からトライツ靱帯に及ぶ組織を備えてもよい。標的組織は、十二指腸の部分的円周部分、例えば、ファーター膨大部に近接する十二指腸の部分的円周部分および/または膵臓に近接する十二指腸の部分的円周部分を備えてもよい。標的組織は、組織の深さ、例えば、組織の所定の深さを備えてもよい。組織の深さは、完全粘膜層および/または完全粘膜下層を備えてもよい。標的組織の深さは、部分的組織層、例えば、完全粘膜下層の深さの1%、完全粘膜下層の深さの25%、完全粘膜下層の深さの50%、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、部分的粘膜下層の深さを備えてもよい。標的組織は、深さ、長さ、および幅を備えてもよく、標的組織の深さは、長さおよび/または幅に沿って、比較的に均一であってもよい。代替として、標的組織は、深さ、長さ、および幅を備えてもよく、標的組織の深さは、長さおよび/または幅に沿って可変であってもよい。標的組織は、患者解剖学的および/または生理学的状態、例えば、高血糖性高浸透圧性状態、糖尿病性ケトアシドーシス、インスリン抵抗、糖尿病前症、高トリグリセリド血症、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、解剖学的および/または生理学的状態から選択されてもよい。標的組織は、標的組織の肉眼的解剖学的および/または機能的境界、例えば、十二指腸と胃腸管の隣接する組織との間の組織、十二指腸の4つの部分間の組織、およびこれらの組み合わせから成る場所群から選択される、肉眼的解剖学的および/または機能的境界に基づいて選択されてもよい。
【0018】
標的組織は、例えば、高コレステロール血症または糖尿病を治療するために、回腸末端の組織を備えてもよい。標的組織は、近位回腸および/または結腸内に延在してもよい。
【0019】
標的組織は、例えば、肥満または食欲障害を治療するために、胃粘膜組織、例えば、グレリンおよび/または他の食欲調整ホルモンを産生する領域を含んでもよい。
【0020】
標的組織は、例えば、間質性膀胱炎、膀胱癌、膀胱ポリープ、膀胱の前癌病変、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される疾患または障害を治療するために、膀胱壁組織を含んでもよい。
【0021】
標的組織は、大規模および/または扁平結腸ポリープ、ポリープ切除術に残存する断端組織、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される組織を含んでもよい。これらの組織場所は、残存癌細胞を治療するために治療されてもよい。
【0022】
標的組織は、例えば、気管支肺胞癌、他の肺癌、前癌肺病変、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される疾患または障害を治療するために、気道内部組織を含んでもよい。
【0023】
標的組織は、クローン病または潰瘍性大腸炎が治療され得るように、炎症性大腸炎に罹患する腸管の少なくとも一部分を含んでもよい。
【0024】
標的組織は、例えば、口腔癌および口腔の前癌病変のうちの1つ以上を治療するために、口腔の組織を含んでもよい。
【0025】
標的組織は、例えば、鼻ポリープを治療するために、鼻咽頭の組織を含んでもよい。
【0026】
標的組織は、セリアック病を治療する、および/または腸障壁機能を改善するように選択される、胃腸組織を含んでもよい。
【0027】
治療要素、システム、デバイス、および方法は、本明細書で「非標的組織」と称される、ある組織の治療を回避するように構築および配列されてもよい。治療の場所に応じて、異なる非標的組織が、適用可能であってもよい。ある実施形態では、非標的組織は、粘膜下層の漿膜、筋層、および/または最外部分層(例えば、粘膜治療の間)、ファーター膨大部(例えば、ファーター膨大部に近接する粘膜治療の間)、オッディ括約筋、膵臓、胆管、幽門、身体器官、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、組織を含んでもよい。
【0028】
本発明の概念の治療要素は、変換器、またはエネルギーを送達するように構成される他の機能的要素、例えば、音送達要素、例えば、圧電変換器および超音波結晶、電磁エネルギー送達要素、例えば、電極、レーザエネルギー送達要素、例えば、光ファイバ、プリズム、レンズ、および他の光学構成要素、切断要素、例えば、刃、粗面表面、または研削メッシュ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、要素を備えてもよい。本発明の概念の治療要素は、前進可能および/または後退可能であってもよく、半径方向に拡張可能、半径方向に拡大可能、および/または半径方向に圧縮可能であってもよい。半径方向に拡張可能要素は、バルーン、ケージ、および半径方向展開可能アーム、例えば、研削要素または表面を伴うバルーン、または電磁エネルギーを送達するように構成される1つ以上の電極を含有するバルーンのうちの1つ以上を備えてもよい。治療要素は、3つ以上のエネルギー送達要素、例えば、半径方向に拡張可能なアレイに構成される、3つ以上のエネルギー送達要素を備えてもよい。治療要素は、半径方向に拡張された状態において組織を治療し、例えば、組織を圧縮し(例えば、エネルギー送達の間)、血液の灌流を防止し、および/または治療要素、例えば、エネルギー送達電極を組織と接触させてもよい。治療要素は、標的組織の微細構成に適合するように構成されてもよく、例えば、治療要素は、微細構成に適合可能なバルーンおよび/または微細構成に適合可能な拡張可能ケージを備える。治療要素は、単一ステップにおける全周組織治療、または複数のステップにおける部分的円周組織治療を実施するように構成されてもよい。治療要素は、直径少なくとも1cmまたは直径少なくとも2cmまで拡張するように構成されてもよい。治療要素は、標的組織に近接する血液を標的組織から離れるように移動させ、例えば、望ましくない放熱効果を回避するように構築および配列されてもよい。
【0029】
第2の治療要素が、本発明の概念のシステム、デバイス、および方法内に含まれてもよく、例えば、第1の治療要素は、第1の細長管に搭載され、第2の治療要素は、第1の細長管によって摺動可能に受容される、第2の細長管に搭載される。第1および第2の治療要素は、異なる組織治療を送達するように構成されてもよく、例えば、第1の治療は、第1の形態のエネルギーを伴い、第2の治療は、異なる形態のエネルギーを伴う。第2の治療要素は、典型的には、第1の細長シャフトの遠位部分または第2の細長管に搭載される。
【0030】
バルーンが、治療要素として構成されてもよく、例えば、バルーンは、43℃~100℃、典型的には、65℃~90℃の流体を含有し、標的組織を治療する。バルーンは、1つ以上の電極、例えば、単極モード(例えば、バルーン電極とパッチまたは他の皮膚電極との間にエネルギーを通過させることによって)および/または双極モード(例えば、2つのバルーン電極間にエネルギーを通過させることによって)において、電磁エネルギー(例えば、RFエネルギー)を組織に送達するように構成される、1つ以上の区画化された、または可撓性の電極を備えてもよい。複数のバルーンが含まれてもよく、例えば、バルーンは、組織研削器として構成され、また、バルーンは、組織切除のために構成される。いくつかの複数のバルーン実施形態では、第1のバルーンは、高温流体切除および/または電磁エネルギー切除によって、組織を治療し、第2のバルーンは、組織を研削するように構成される。第2のバルーンは、第1のバルーンの遠位または近位に配置されてもよい。治療要素は、複数のローブ付きバルーンを備えてもよく、例えば、複数のローブ付きバルーンは、高温流体を介して、エネルギーを標的組織に送達するように構成され、および/または複数のローブ付きバルーンは、その1つ以上のローブ上に1つ以上のエネルギー送達電極を含む。治療要素として構成されるバルーンは、流体、例えば、空気、CO2、および/または生理食塩水によって拡張されてもよい。
【0031】
本発明の概念の治療要素は、エネルギーを送達するように構成されてもよく、例えば、連続、パルス状、および/または可変エネルギーとして、エネルギー送達要素によって送達される。一構成では、第1のエネルギー印加が送達された後、類似または異なる第2のエネルギー印加が、同一のまたは異なる組織部分に対して続く。エネルギー送達は、単一印加内において、または第1の印加から第2の印加へと可変であって、例えば、異なる標的組織厚、例えば、十二指腸粘膜または十二指腸粘膜下層の異なる厚さに対応してもよい。いくつかの実施形態では、電磁エネルギーは、第1の印加および第2の印加において送達される。第1の印加は、第1の組織層に送達され、第2の印加は、第1より高いエネルギーレベルにおいて、第2のより深い組織層に送達されてもよい。エネルギー送達は、単一印加内において、または第1の印加から第2の印加へと可変であって、例えば、非標的組織への望ましくない治療を回避してもよい。可変エネルギー送達は、様々なレベルの送達されるエネルギーを備えてもよい。パルス状エネルギー送達は、パルス幅変調エネルギー送達および/または時分割多重化エネルギー送達を備えてもよい。
【0032】
送達されるエネルギーは、1つ以上の形態、例えば、電磁エネルギー、例えば、高周波およびマイクロ波エネルギー、プラズマエネルギー、例えば、凝固のために使用されるアルゴンプラズマエネルギー、音エネルギー、例えば、超音波エネルギーおよび亜音速音エネルギー、光エネルギー、例えば、レーザ光エネルギー、赤外線光エネルギーおよび可視光エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、例えば、熱または低温エネルギー、機械的エネルギー、例えば、1つ以上の切断および/または研削要素によって送達される機械的エネルギー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、エネルギーであってもよい。送達されるエネルギーは、非イオン化エネルギー、イオン化エネルギー、非プラズマ形成エネルギー、プラズマ形成エネルギー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、電磁エネルギーであってもよい。電磁エネルギーは、組織を除去する、組織を切除する、組織を収縮する、組織を修正する、および/または止血を提供するために送達されてもよい。本システムは、エネルギー送達の間、標的組織に近接して、生理食塩水溶液を送達するように構築および配列される、生理食塩水送達アセンブリを含んでもよい。送達されるエネルギーは、レーザエネルギー、例えば、CO2レーザ、KTPレーザ、Er:YSGGレーザ、Er:ガラス、Ho:YAGレーザ、Ho:YSGGレーザ、Nd:YAGレーザ、Nd:YSGG、nd:ドープレーザ、半導体レーザ、エキシマレーザ、塩化キセノンレーザ、フッ化アルゴンレーザ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、レーザエネルギーであってもよい。レーザエネルギーは、希土類ドープ結晶レーザ、アルゴンまたはクリプトンガスレーザ、液体レーザ、例えば、色素レーザ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、レーザから送達されてもよい。送達される化学エネルギーは、標的組織に送達される化学溶離剤、例えば、酸、フェノール、フェノール/クロトン、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、薬剤の形態であってもよい。薬剤は、出口ポート、例えば、ノズル、開口部、膜、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、出口ポートを通して送達されてもよい。送達される薬剤は、1つ以上の形態のエネルギー、例えば、光力学的および/または超音波エネルギー送達を支持するように構成される発色団によって吸収されるように構成されてもよい。送達される薬剤は、色素を備えてもよい。熱エネルギーは、例えば、高温流体充填バルーン、例えば、共形バルーンを介して、標的組織を治療するために送達されてもよい。高温流体は、水、生理食塩水、グリセリン、蒸気、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、流体であってもよい。熱エネルギーは、加熱および/または加熱可能構成要素、例えば、ケージ、カッタ、ワイヤ、およびこれらの組み合わせによって送達されてもよい。熱エネルギーは、第1のエネルギー送達および第2のエネルギー送達において印加されてもよく、例えば、第1のエネルギー送達は、第2のエネルギー送達より高い温度で実施される。熱エネルギーは、磁気粒子、例えば、MRI場によって加熱された粒子および/または組織、例えば、十二指腸組織に結合するように構成される粒子によって送達されてもよい。低温エネルギーは、標的組織を治療するために送達されてもよく、例えば、本システムは、CO2、アルゴン、亜酸化窒素、液体窒素、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、低温源を含む。機械的エネルギーは、例えば、周囲を囲む研削メッシュを伴うバルーン、研削材が埋め込まれたバルーン、および組織を除去するように構成された機械的研削器のうちの1つ以上を備える、機械的研削器を介して、組織に送達されてもよい。機械的研削器は、例えば、システムの運動アセンブリを介して、回転および/または並進するように構成されてもよい。標的組織は、流体噴流、例えば、水、空気、CO2、蒸気、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、流体を送達するように構築および配列される、流体噴流によって治療されてもよい。水噴流は、標的組織を除去する、および/または標的組織を非機能的にさせる、例えば、標的組織の細胞分泌を減少、防止、または修正するように構成されてもよい。2つ以上の異なる形態のエネルギーが、1つ以上のエネルギー送達要素によって送達されてもよい。2つ以上の異なる形態のエネルギーは、同時に、および/または連続して、送達されてもよい。エネルギーは、治療要素を標的組織に接触させた状態において送達されてもよく、例えば、1つ以上の高周波電極を含む、高温液体充填バルーンまたはアセンブリとして構成される。代替として、または加えて、エネルギーは、治療要素が、液体または空気を備える間隙だけ、標的組織から分離された状態において、送達されてもよく、例えば、レーザ送達要素または高強度超音波エネルギー送達要素として構成される。エネルギー送達導管、例えば、ワイヤまたは光ファイバが、エネルギーを治療要素に伝送するように構成されてもよい。ゲルが、組織へのエネルギーの伝達を改善するために含まれてもよく、例えば、ゲルは、治療要素上またはその近傍に配置される。ゲルは、熱伝導性ゲル、電気伝導性ゲル、光学透過性ゲル、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、ゲルを備えてもよい。治療要素は、超音波導入および/またはイオン導入を介して、エネルギーを標的組織に送達するように構築および配列されてもよい。
【0033】
センサは、エネルギー送達または他のパラメータを測定するために使用されてもよく、例えば、センサは、信号を提供するように構築および配列された1つ以上のセンサを備える。いくつかの実施形態では、センサは、閉ループエネルギー送達によって、組織を治療するために使用され、例えば、センサは、送達されるエネルギーの量、送達されるエネルギーの累積量、エネルギー浸透の深さ、得られる治療の深さ、組織温度、組織の物理特性、例えば、色、およびこれらの組み合わせを表す信号を提供する。センサは、エネルギー送達、例えば、高周波エネルギー送達を調整するように構築および配列される、温度センサおよび/またはインピーダンスセンサを備えてもよい。センサは、組織厚に関連する情報を提供するように構成される、センサ、例えば、画像センサ、例えば、超音波センサ、OCTセンサ、および/またはOCDRセンサを備えてもよい。センサは、エネルギー送達情報、例えば、エネルギー送達の深さ情報を提供するように構成される、センサを備えてもよい。センサは、細長管および/または治療要素、例えば、拡張可能治療要素に搭載されてもよい。センサは、組織壁、例えば、十二指腸組織壁に接触するように配置されてもよい。センサは、例えば、粘膜下層注入手技の間、組織層を貫通する、または別様に、その中に常駐する、例えば、粘膜下層組織の層内に常駐するように配置され、温度、流速、および圧力のうちの1つ以上を測定してもよい。本システムは、筋電図センサを含んでもよく、例えば、本システムは、筋層粘膜の筋電図に基づいて、エネルギーを送達するように構築および配列される。本システムは、熱量測定センサおよび/または血清レベルセンサを含んでもよい。本システムは、撮像センサを含んでもよく、例えば、本システムは、組織色、例えば、絨毛組織色の変化を定量化するように構築および配列される。
【0034】
本発明の概念の細長管は、身体空洞等の身体管腔、例えば、胃腸管、食道、胃、幽門、十二指腸、空腸、肺、膀胱、鼻咽頭、膀胱、結腸、気道、口腔、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、身体場所内に挿入されてもよい。細長管はさらに、例えば、正面装填または背面装填によって、身体アクセスデバイス、例えば、内視鏡、腹腔鏡ポート、経胃的アクセスデバイス、または血管導入器内への挿入のために構成されてもよい。細長管は、回転させられてもよく、一方または一部分、例えば、遠位部分が、例えば、近位ハンドル上に搭載された制御部に接続された引張ワイヤ、挿入可能湾曲マンドレル、例えば、室温から体温に遷移するにつれて形状を変化させるように構成される、形状記憶材料から構築されるマンドレル、および/または別の偏向アセンブリを介して、偏向されてもよい。偏向アセンブリは、治療要素を標的組織と接触させる、または別様にそれを改善するように構成されてもよい。複数の細長管が、含まれてもよく、例えば、第1の細長管は、第1の治療要素を含み、第2の細長管は、第2の治療要素を含む。第2の細長管は、第1の細長管によって、摺動可能に受容されてもよく、または第1の細長管と平行して留置されてもよい。
【0035】
1つ以上の拡張可能要素が、本発明のシステムおよびデバイス内に含まれてもよく、例えば、拡張可能要素は、細長管に搭載される。拡張可能要素は、拡張し、組織に接触する、例えば、身体管腔の内側壁、例えば、胃腸管の一部分に円周方向に接触するために使用されてもよい。拡張可能要素は、拡張可能バルーンまたはケージを備えてもよく、1つ以上の治療要素は、拡張可能要素を備え、および/または(and/o)拡張可能要素に搭載されてもよい。拡張可能要素は、加圧され、例えば、可変力を組織に印加してもよい。印加される可変力は、組織への治療を変化させ、例えば、組織への電極または高温流体バルーンの接触を変化させ、したがって、治療の量、治療の深さ、治療の力、組織との電極のインピーダンス、およびこれらの組み合わせを修正するために使用されてもよい。
【0036】
1つ以上の多数の形態およびタイプのセンサが、本発明の概念のシステム、デバイス、および方法内に含まれてもよい。センサは、細長管、治療要素、および/または半径方向に拡張可能要素に搭載されてもよい。センサとして、熱センサ、例えば、熱電対、インピーダンスセンサ、例えば、組織インピーダンスセンサ、圧力センサ、血液センサ、光学センサ、例えば、光センサ、音センサ、例えば、超音波センサ、電磁センサ、例えば、電磁場センサ、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに制限されない。治療は、1つ以上のセンサから受信した1つ以上の信号に基づいて、監視されてもよい。センサは、組織、例えば、標的組織内、その上、またはそれに近接して配置されてもよい。センサは、患者パラメータ情報、例えば、温度情報、例えば、組織温度情報または治療要素温度、インピーダンス情報、例えば、組織インピーダンス情報、圧力情報、血流情報、血糖レベル、インスリンレベル、グルカゴンレベル、GIP、GLP-1、GLP-2および/または他の胃腸ホルモンレベル、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、情報を提供してもよい。センサは、画像センサ、例えば、組織色の変化に関する情報を提供する画像センサを備えてもよい。撮像センサは、組織厚画像、組織血管分布画像、低温エネルギー送達において見出される氷球画像、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、画像を生成するように構成することができる。撮像センサは、X線、例えば、X線透視装置、CT撮像、MRI、超音波撮像、分子撮像、放射性撮像、例えば、放射性撮像(ブドウ糖負荷試験の有無を問わず)、OCT、分光法、例えば、Tera-Hertz分光法、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。
【0037】
1つ以上の機能的要素が、本発明の概念のシステム、方法、およびデバイス内に含まれてもよい。機能的要素は、細長管に搭載されてもよく、例えば、機能的要素は、センサ、変換器、真空ポート、可視化要素またはデバイス、例えば、超音波結晶または光学アセンブリ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。真空ポート(pot)は、組織を除去する、および/またはシステムの少なくとも一部分を組織と接触させる、例えば、細長管および/または治療要素を組織と接触させるように構成されてもよい。本システム機能的要素は、可視化デバイス、例えば、可視化デバイスから成る群から選択される、可視光カメラ、超音波撮像機、光干渉断層撮像機、およびこれらの組み合わせを備えてもよい。
【0038】
身体管腔加圧アセンブリが、例えば、加圧流体を送達するために、含まれてもよい。加圧流体は、管腔、例えば、内視鏡または細長管の管腔を通して送達されてもよい。加圧アセンブリは、例えば、液体および/またはガスを備える吹送流体、例えば、胃腸管の管腔等の身体管腔を膨張させるように構成される液体および/またはガス等の加圧された流体源を備えてもよい。1つ以上の閉塞性要素、例えば、細長管に搭載されたバルーンが、加圧流体の移動を制限する(例えば、管腔、例えば、十二指腸内の圧力を維持する)ために含まれてもよい。吹送圧力は、0.5cm超のH2Oから15cm未満のH2Oの圧力に維持されてもよい。本システムは、加圧流体を送達するように構成される、第2の細長管を含んでもよい。第2の細長管は、身体アクセスデバイス、例えば、第1の細長管および第2の細長管の両方を摺動可能に受容するように構築および配列される、内視鏡によって摺動可能に受容されるように構築および配列されてもよい。
【0039】
身体アクセスデバイス、例えば、治療要素を備える細長管を受容するように構成される内視鏡が含まれてもよい。撮像デバイス、例えば、身体挿入可視化デバイス、例えば、内視鏡と一体型またはその中に挿入される可視光カメラ、超音波撮像機、および/またはOCT撮像機が含まれてもよい。代替として、または加えて、外部可視化デバイス、例えば、X線、X線透視装置、超音波撮像機、MRI、PETスキャナ、およびこれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0040】
エネルギー送達ユニットが、含まれてもよく、例えば、ユニットは、1つ以上の形態のエネルギーを送達するように構成される。エネルギーは、閉ループエネルギー送達、例えば、組織温度または組織インピーダンスに基づく、閉ループ送達を備えてもよい。コントローラおよびユーザインターフェースが、含まれ、例えば、1つ以上のシステム入力パラメータを入力し、または1つ以上のシステム出力パラメータを表示してもよい。システム入力パラメータとして、送達されるべきエネルギーのタイプ、例えば、RFエネルギー、熱エネルギーおよび/または機械的エネルギー、送達されるべきエネルギーの量、例えば、送達されるべきエネルギーの累積ジュール数または送達されるべきエネルギーのピーク量、送達されるべきエネルギーの組み合わせのタイプおよびレベル、エネルギー送達持続時間、送達されるエネルギーのパルス幅変調率、研削デバイスが横断する往復運動の回数、治療要素のための温度、例えば、標的温度または最大温度、吹送圧力、吹送持続時間、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、それらに限定されない。システム入力パラメータとして、手技前または手技中パラメータから成る群から選択される、粘膜密度および/または厚さ、粘膜下層注入後の粘膜下層の粘膜「剥離」、GI管内の標的組織の長手方向場所、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、それらに限定されない。システム出力パラメータとして、温度情報、例えば、組織および/または治療要素温度情報、圧力情報、例えば、バルーン圧力情報または吹送圧力情報、力情報、例えば、組織に印加される力のレベルの情報、患者情報、例えば、1つ以上のセンサによって記録される患者の生理学的情報、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、それらに限定されない。ユーザが、治療要素によって送達される治療、例えば、治療要素によって送達されるエネルギー送達治療を開始、加減、および/または中止するように構築および配列されてもよい。
【0041】
運動伝達アセンブリが含まれ、例えば、細長管および/または1つ以上の治療要素を回転および/または並進させてもよい。いくつかの実施形態では、組織研削器が、組織治療の間、回転および並進される。いくつかの実施形態では、光エネルギー送達要素、例えば、レーザまたは超音波エネルギー送達要素が、組織治療の間、回転および/または並進される。運動伝達アセンブリは、モータ駆動またはシステムのオペレータによる手動駆動であってもよく、1つ以上の治療要素を同時に回転および/または並進するように構成されてもよい。運動伝達アセンブリは、往復運動において、1つ以上のエネルギー送達要素を移動させてもよい。
【0042】
保護キャップが、含まれ、非標的組織を望ましくない影響から保護してもよく、例えば、キャップは、ファーター膨大部および/またはオッディ括約筋内、その上、またはその近傍に留置される。保護キャップは、患者内に留置から24時間以内に、除去されるように構築および配列されてもよい。
【0043】
組織拡張デバイスが含まれてもよく、例えば、組織拡張デバイスは、拡張流体を組織、例えば、十二指腸の粘膜下層に送達するように構成される。組織拡張デバイスは、拡張されるべき組織内に流体を導入するように構成される水噴流または展開可能針を含んでもよい。
【0044】
組織操作デバイスが、含まれてもよく、例えば、半径方向に拡張可能組織操作デバイスは、膨張可能バルーン、拡張可能ケージ、展開可能アーム、例えば、半径方向展開可能アーム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、要素を備える。組織操作デバイスは、2つ以上の拡張可能要素、例えば、組織に接触するように拡張され軸方向に前進または後退させられ、力を組織に印加する、拡張可能バルーンまたはケージを備えてもよい。組織操作デバイスは、軸方向直線化、例えば、十二指腸または他の腸組織の直線化、引張、例えば、軸方向および/または半径方向引張、厚さ拡張、例えば、注入された流体(例えば、注入された液体またはガス)による腸の粘膜下層の拡張、組織への軸方向力の印加、組織への反対の軸方向力の印加、組織への半径方向力の印加、組織の圧縮、例えば、十二指腸の絨毛の圧縮、局在浮腫または血管性浮腫の誘発、十二指腸の半径方向に拡張(例えば、輪状襞の突出を減少させ、それらの皺襞の重畳のため、皺襞が治療要素による治療下に置かれることを防止および減少させるため)、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、機能を果たしてもよい。いくつかの実施形態では、2つの半径方向に拡張可能要素は、独立して、前進および後退させられるように構成される、2つの別個の細長管に搭載される。第2の細長管は、第1の細長管によって、摺動可能に受容されてもよい。代替として、第1の細長管および第2の細長管は、並列配列に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、組織操作デバイスは、吹送デバイスを備える。組織操作デバイスは、1つ以上の組織貫通要素を備えてもよい。
【0045】
薬剤、例えば、医薬品または他の薬剤から成る群から選択される、抗生物質、ステロイド、粘膜細胞保護剤、例えば、スクラルフェート、プロトンポンプ阻害薬または他の酸遮断薬、およびこれらの組み合わせが、含まれてもよい。薬剤は、全身的にまたは特異的解剖学的部位において、患者に送達されてもよい。
【0046】
手技完了アルゴリズムが、含まれてもよく、例えば、時間ベースまたは作用ベースのアルゴリズムが、標的組織治療が、完了した、または標的組織の一部分の治療が、適正に治療されたときを示すように構成される。アルゴリズムは、ある持続時間が経過した、あるエネルギーレベルが達成される、ある電力レベルが達成される、あるエネルギーレベルが達成された(例えば、所定のRFエネルギーのジュール数)、機械的サイクル数、例えば、一組の往復運動が達成された、組織変化が生じた、例えば、色変化、質感変化、または他の視覚的変化が生じた、組織インピーダンスおよび/または組織インピーダンスの変化が閾値に到達した、温度および/または温度変化、例えば、温度および/または組織温度の変化が閾値に到達した、血流および/または血流変化が閾値に到達した、血清ホルモンレベルおよび/または血清ホルモンレベルの変化が閾値に到達した、血糖レベルおよび/または血糖レベルの変化が閾値に到達した、粘膜下層接続組織が露出される(例えば、視覚的検査あるいは化学的および/または生物学的検出機構によって検出されるとき)、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、パラメータに基づいてもよい。
【0047】
本発明の別の側面によると、患者を治療するための方法は、治療要素を含む、システムを提供するステップと、治療要素によって、標的組織を治療するステップとを含む。本システムはさらに、遠位部分を有する細長管を備え、治療要素は、細長管遠位部分上に配置される。患者は、典型的には、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、高コレステロール血症、メタボリック症候群、疾患、セリアック病、肥満、癌、例えば、気管支肺胞癌、膀胱炎、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、疾患のために治療される。本システムは、単独で、または組み合わせて、前述の実施形態のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態では、標的組織が、粘膜組織を含むとき、組織拡張ステップ、例えば、粘膜下層中への流体の注入が、実施される。
【0048】
本方法はさらに、常習的インプラント、例えば、ステント、外筒、および薬物送達デバイス、例えば、コーティングされたステント、コーティングされた外筒、および/または埋め込まれたポンプ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、インプラントを埋め込むステップを含んでもよい。
【0049】
本方法は、治療された標的組織に代わる新しい組織が、治療前標的組織と異なるように機能するように、組織を治療するステップを含んでもよい。機能的変化として、例えば、糖尿病および/または肥満を治療するために、治療前粘膜組織と分泌のタイプおよび/または分泌量が変化することを含んでもよい。機能的変化は、治療前組織と異なる吸収特性を備えてもよい。
【0050】
本方法は、治療された粘膜に代わる粘膜組織が、治療前粘膜組織と異なるように機能するように、十二指腸の粘膜を含む標的組織を治療するステップを含んでもよい。置換粘膜細胞は、胃粘膜および空腸粘膜のうちの1つ以上から移動させられてもよい。置換粘膜細胞は、治療前粘膜細胞と異なる機能を呈してもよい。
【0051】
本方法は、治療された標的組織に代わる新しい組織が、治療前標的組織と異なる吸収特性を有するように、組織を治療するステップを含んでもよい。吸収特性への変化は、高コレステロール血症を含むが、それらに限定されない、1つ以上の患者疾患状態を治療するために行われることができ、例えば、治療される標的組織は、回腸末端組織を含み、および/または置換組織は、治療前標的組織と異なるコレステロール吸収特性を呈する。
【0052】
本方法は、非標的組織に損傷および/または別様に悪影響を及ぼさないようにしてもよく、例えば、非標的組織は、腸の漿膜、ファーター膨大部、膵臓組織、腸の筋層、腸の粘膜下層の最外部分層、胆管組織、幽門、身体器官の組織、オッディ括約筋、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0053】
本方法は、第1の部分および第2の部分を備える、標的組織を治療してもよい。第1の部分は、第2の部分の治療と同時に、または連続して、治療されてもよい。第1の組織部分は、第2の組織部分の組織と重複してもよい。第1の組織部分は、第2の組織部分に隣接してもよい。第1の組織部分および第2の組織部分は、隣接する部分的円周組織部分を備えてもよい。
【0054】
本方法は、第1の組織治療と、第1の組織治療と類似または異なる、第2の組織治療とを備えてもよい。組織治療の差異として、治療される標的組織の区域、治療される標的組織の深さ、治療される標的組織の円周部分、エネルギー送達タイプ、エネルギー送達速度および/または量、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0055】
標的組織の治療は、細胞死、アポトーシス、細胞即死、細胞壊死、細胞の変性、細胞の除去、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される組織の細胞修正を備えてもよい。標的組織の治療は、標的組織細胞の除去、炎症反応の開始、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を備えてもよい。標的組織の治療は、標的組織細胞を非機能的にする、標的組織細胞の細胞分泌を改変し、例えば、細胞分泌を防止する、および標的組織細胞の自己分泌および/またはパラ分泌信号伝達を改変することのうちの1つ以上を備えてもよい。
【0056】
標的組織の治療は、標的組織の細胞を置換させてもよく、例えば、異なる細胞機能、例えば、異なる細胞分泌を伴う細胞と置換される。
【0057】
標的組織の治療は、急な変化をもたらしてもよく、例えば、変化は、治療から24時間以内に生じる。代替として、または加えて、標的組織の治療は、長期的に、例えば、24時間を超える時間または1週間を超える時間にわたって生じてもよい。
【0058】
本方法はさらに、治療されるべき標的組織を選択するステップを含んでもよい。選択は、治療されるべき患者の疾患または障害、例えば、1型および2型糖尿病を含む糖尿病、高コレステロール血症、メタボリック症候群および/または疾患、セリアック病、肥満、癌、例えば、気管支肺胞癌、膀胱炎、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、疾患または障害に基づいてもよい。選択される標的組織は、患者解剖学的または生理学的状態、例えば、高血糖性高浸透圧性状態、糖尿病性ケトアシドーシス、インスリン抵抗、糖尿病前症、高トリグリセリド血症、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、解剖学的または生理学的状態に基づいてもよい。選択される標的組織は、標的組織の肉眼的解剖学的および/または機能的境界に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、標的組織は、十二指腸と胃腸管の隣接する組織との間の機能的境界に基づく。いくつかの実施形態では、標的組織は、十二指腸の4つの部分間の機能的境界に基づく。
【0059】
標的組織は、その治療が所望の治療効果を生じさせる、治療組織を備えてもよい。標的組織はさらに、治療組織に近接する組織を備える、組織の安全域を含んでもよく、安全域組織は、組織治療によってほとんど影響を受けず、例えば、安全域組織は、治療組織が粘膜組織を備えるとき、粘膜下層の部分層を備える。
【0060】
いくつかの実施形態では、標的組織は、十二指腸の少なくとも一部分、典型的には、十二指腸の粘膜層の少なくとも一部分を備える。標的組織は、少なくとも、十二指腸のある区画に沿った、少なくとも、最内粘膜部分層の円周部分を備えてもよく、例えば、標的組織十二指腸の全長に沿った、最内粘膜部分層の少なくとも、円周部分、最内粘膜部分層の全周部分、十二指腸の全長に沿った、最内粘膜部分層の全周部分、陰窩基底部における幹細胞、一過性増殖細胞、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、組織を備える。標的組織は、少なくとも、十二指腸のある区画に沿った、粘膜層の全周部分を備えてもよく、典型的には、十二指腸の大部分または全長に及ぶ。十二指腸粘膜に加え、標的組織は、粘膜下層の少なくとも一部分、例えば、少なくとも、十二指腸のある区画に沿った、少なくとも、最内粘膜下層部分層の円周部分を備えてもよい。粘膜下層標的組織は、十二指腸の全長に沿った、少なくとも、最内粘膜下層部分層の円周部分、最内粘膜下層部分層の全周部分、十二指腸の全長に沿った、最内粘膜下層部分層の全周部分、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、組織を備えてもよい。標的組織は、十二指腸の1つ以上の長手方向部分を備えてもよく、十二指腸の全長を含んでもよい。標的組織は、胃の遠位部分を備えてもよい。標的組織は、十二指腸と連続する幽門の一部分を備えてもよい。標的組織は、胃の遠位部分と空腸の近位部分との間の組織に及んでもよい。標的組織は、幽門からトライツ靱帯に及ぶ組織を備えてもよい。標的組織は、空腸の少なくとも一部分を備えてもよい。標的組織は、十二指腸の全周部分を備えてもよい。標的組織は、十二指腸の部分的円周部分、例えば、ファーター膨大部および/または膵臓に近接する、十二指腸の部分的円周部分を備えてもよい。十二指腸組織の治療は、糖尿病、肥満、インスリン抵抗、代謝性障害および/または疾患、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、疾患または障害を治療するために実施されてもよい。十二指腸組織を含む、標的組織の治療は、典型的には、治療後、十二指腸を解剖学的に接続されたまま残すように達成される。
【0061】
標的組織は、完全組織層、例えば、完全粘膜層および/または完全粘膜下層を備える、深さを含んでもよい。標的組織は、部分的組織層を備える深さを含んでもよく、例えば、部分的粘膜下層は、完全粘膜下層の深さの少なくとも1%、完全粘膜下層の深さの少なくとも25%、または完全粘膜下層の深さの少なくとも50%を備える。標的組織は、深さ、長さ、および幅を備えてもよく、深さは、長さおよび幅の大部分に沿って、比較的に均一のままであってもよい。代替として、標的組織は、深さ、長さ、および幅を備えてもよく、深さは、長さおよび/または幅に沿って、可変であってもよい。標的組織治療の可変深さは、複数の治療ステップにおいて実施されてもよく、例えば、複数のステップは、異なるエネルギーレベルおよび/または持続時間の治療を備える。
【0062】
いくつかの実施形態では、標的組織は、例えば、高コレステロール血症および/または糖尿病を治療するために、近位回腸および/または結腸内に延在する、回腸末端組織の少なくとも一部分を備える。
【0063】
いくつかの実施形態では、標的組織は、胃粘膜の少なくとも一部分を備え、例えば、標的組織は、グレリンおよび/または他の食欲調整ホルモンを産生する組織を備え、および/または標的組織治療は、食欲障害を治療するために実施される。
【0064】
いくつかの実施形態では、標的組織は、膀胱壁組織を備え、例えば、標的組織治療は、間質性膀胱炎、膀胱癌、膀胱ポリープ、膀胱の前癌病変、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、疾患または障害を治療するために実施される。
【0065】
いくつかの実施形態では、標的組織は、大規模および/または扁平結腸ポリープ、ポリープ切除術後に残存する断端組織、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、組織を備え、例えば、標的組織治療は、癌細胞、例えば、残存癌細胞を治療するために実施される。
【0066】
いくつかの実施形態では、標的組織は、気道内部組織を備え、例えば、標的組織治療は、気管支肺胞癌、他の肺癌、前癌肺病変、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、疾患または障害を治療するために実施される。
【0067】
いくつかの実施形態では、標的組織は、炎症性大腸炎に罹患する腸管の少なくとも一部分を備え、例えば、標的組織治療は、クローン病および潰瘍性大腸炎のうちの1つ以上を治療するために実施される。
【0068】
いくつかの実施形態では、標的組織は、口腔の組織を備え、例えば、標的組織治療は、口腔癌および口腔の前癌病変のうちの1つ以上を治療するために実施される。
【0069】
いくつかの実施形態では、標的組織は、鼻咽頭の組織を備え、例えば、標的組織治療は、鼻ポリープを治療するために実施される。
【0070】
いくつかの実施形態では、標的組織は、セリアック病を治療するために選択される、胃腸組織の1つ以上の部分を備える。
【0071】
いくつかの実施形態では、標的組織は、腸障壁機能を改善するために選択される、胃腸組織の1つ以上の部分を備える。
【0072】
本方法はさらに、治療要素を前進、後退、および/または回転させるステップを含んでもよい。
【0073】
本方法はさらに、治療要素を半径方向に拡張および/または半径方向に延在させるステップを含んでもよい。治療要素は、バルーン、ケージ、少なくとも1つの半径方向展開可能アーム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、要素を備えてもよく、および/またはそれに搭載されてもよい。標的組織は、治療要素が、半径方向に拡張された状態にある間、治療されてもよい。治療要素は、直径少なくとも1cm、または少なくとも2cmまで半径方向に拡張するように構成されてもよい。治療要素の半径方向に拡張は、血液を治療要素に近接する組織から離れるように移動させるように構成されてもよい。治療要素の半径方向に拡張は、治療要素に近接する組織内の血液の灌流を減少させるように構成されてもよい。治療要素の半径方向に拡張は、標的組織を圧縮するように構成されてもよく、例えば、標的組織の圧縮は、標的組織へのエネルギーの送達の間、実施される。
【0074】
治療要素は、展開可能ケージを備えてもよい。ケージは、第1の搭載された電極を伴う第1の展開可能アームと、少なくとも、第2の搭載された電極を伴う第2の展開可能アームとを備えてもよい。ケージは、ケージを再配置する必要なく、全周標的組織治療(例えば、切除)をもたらすように拡張されてもよい。代替として、ケージは、複数回、再配置され、全周組織治療を実施してもよい。
【0075】
治療要素は、拡張可能バルーンを備えてもよい。バルーンは、高温の流体で充填され、例えば、熱エネルギーを標的組織に送達してもよい。一実施形態では、流体は、温度65℃~90℃であってもよい。別の実施形態では、流体は、43℃を上回り、典型的には、100℃を下回る温度である。バルーンは、空気、CO2、生理食塩水、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、1つ以上の流体で充填されてもよい。バルーンは、電磁エネルギー、例えば、高周波エネルギーが、1つ以上の電極から標的組織に送達され得るように、1つ以上の電極を含んでもよい。1つ以上の電極は、可撓性電極を備えてもよい。複数の区画化された電極が、バルーンに搭載されてもよい。治療要素は、複数のローブ付きバルーン、例えば、高温の流体で充填された複数のローブ付きバルーンおよび/または電磁エネルギーを送達するように構成される少なくとも1つの電極を備える、複数のローブ付きバルーンであってもよい。治療要素は、第2のバルーンを備えてもよく、例えば、治療要素は、高温流体で充填された第1のバルーンと、第2のバルーンが、並進および/または回転させられると、組織を研削するように構成される、第2のバルーンとを備える。いくつかの実施形態では、本方法は、治療要素を半径方向に圧縮するステップ、例えば、バルーン、ケージ、および/または半径方向に圧縮性アームの半径方向圧縮を含む。
【0076】
本方法は、治療要素を標的組織の微細構成に適合させるステップを備えてもよく、例えば、治療要素は、適合可能バルーンおよび/または適合可能ケージを含む。
【0077】
本方法は、第2の治療要素によって、組織を治療するステップを含んでもよく、例えば、第2の治療要素は、細長管遠位部分に搭載される。代替として、第2の治療要素は、第2の細長管の遠位部分に搭載されてもよく、例えば、第2の細長管は、第1の細長管によって摺動可能に受容される。本方法は、第1の治療要素および/または第2の治療要素を前進および/または後退させるステップを含んでもよい。本方法は、第1の治療要素によって実施される治療と異なる構成、例えば、異なる形態のエネルギー送達において、第2の治療要素によって、標的組織を治療するステップを含んでもよい。
【0078】
標的組織の治療は、治療要素から標的組織へのエネルギー送達を含んでもよい。エネルギー送達は、連続エネルギー送達を含んでもよい。エネルギー送達は、パルス状エネルギー送達を含んでもよく、例えば、送達されるエネルギーは、パルス幅変調および/または時分割多重化を使用する。エネルギー送達は、可変エネルギー送達を備えてもよく、例えば、可変送達は、可変形態の送達されるエネルギー、可変レベルの送達されるエネルギー、単一エネルギー送達印加における可変エネルギー、第1のエネルギー送達と第2のエネルギー送達との間の可変エネルギー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。本システムは、光ファイバを含んでもよく、本方法は、光ファイバを通して、エネルギーを送達するステップを含んでもよい。本システムは、組織へのエネルギーの伝達を改善するように構成される、ゲルを含んでもよく、例えば、ゲルは、熱伝導性ゲル、電気伝導性ゲル、光透過性ゲル、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0079】
標的組織治療は、第1のエネルギー送達を標的組織の第1の部分に、第2のエネルギー送達を標的組織の第2の部分に送達するステップを含んでもよい。第1のエネルギー送達および第2のエネルギー送達は、同一のまたは異なる形態のエネルギーを備えてもよい。第1のエネルギー送達は、第1の組のエネルギー送達パラメータによって送達されてもよく、第2のエネルギー送達は、第2の異なる組のエネルギー送達パラメータによって送達されてもよい。2つの組のエネルギー送達パラメータは、第1の標的組織部分と第2の標的組織部分との間の差異に基づいて選択されてもよく、例えば、差異は、標的組織厚および/または非標的組織への標的組織の近接性である。
【0080】
標的組織治療は、電磁エネルギー、例えば、高周波およびマイクロ波エネルギー、プラズマエネルギー、例えば、凝固のために使用されるアルゴンプラズマエネルギー、音エネルギー、例えば、超音波エネルギー、光エネルギー、例えば、レーザ光エネルギー、赤外線光エネルギーおよび可視光エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、例えば、熱または低温エネルギー、機械的エネルギー、例えば、1つ以上の切断および/または研削要素によって送達される機械的エネルギー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、形態における送達エネルギーを備えてもよい。エネルギーは、超音波導入および/またはイオン導入を使用して送達されてもよい。エネルギーは、治療要素が、標的組織と接触すると、送達されてもよい。代替として、エネルギーは、治療要素と標的組織との間に、間隙(例えば、非組織、例えば、ガスおよび/または液体を備える間隙)が存在するとき、送達されてもよく、例えば、送達されるエネルギーは、レーザエネルギーおよび/または超音波エネルギーである。
【0081】
標的組織治療は、閉ループエネルギー送達において、エネルギーを送達するステップを含んでもよく、例えば、送達されるエネルギーは、システムの1つ以上のセンサによって記録される信号に基づく。センサは、少なくとも1つの温度センサを備えてもよく、エネルギー送達は、1つ以上の測定された温度示度値に基づいて制御される。センサは、インピーダンスセンサを備えてもよく、エネルギー送達は、1つ以上の測定されたインピーダンス示度値、例えば、1つ以上の測定された組織インピーダンス示度値に基づいて制御される。センサは、組織厚示度値を提供するように構成される、センサを備えてもよく、例えば、センサは、超音波センサ、OCTセンサ、OCDRセンサ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。エネルギー送達は、測定された組織厚、例えば、測定された標的組織厚に基づいて制御されてもよい。エネルギー送達は、1つ以上のシステムセンサによって提供される、測定されたエネルギー送達の深さに基づいて可変であってもよい。エネルギー送達は、送達されるエネルギーの量、送達されるエネルギーの累積量、エネルギー浸透の深さ、得られる治療の深さ、組織温度、組織の物理特性、例えば、色、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、パラメータに基づいて制御されてもよい。
【0082】
治療される標的組織は、第1の標的組織部分および第2の標的組織部分を備えてもよい。第1の標的組織部分は、第2の標的組織部分と1つ以上の異なる特性を有してもよい。異なる特性は、組織タイプ、例えば、組織層タイプ、組織密度、組織厚、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに制限されない。第1の標的組織部分は、第2の標的組織部分と異なる治療を受容してもよく、例えば、治療差異は、エネルギーレベル、エネルギー送達持続時間、送達の間の組織温度、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。第1の標的組織部分は、第2の標的組織部分より薄くてもよく、第1の標的組織治療は、第2の標的組織治療と異なってもよく、例えば、差異は、標的組織部分治療の温度、標的組織部分治療の間に印加されるエネルギーレベル、標的組織部分治療の持続時間、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0083】
標的組織治療は、電磁エネルギーを標的組織に送達するステップ、例えば、標的組織への高周波および/またはマイクロ波エネルギーの送達を含んでもよい。送達される高周波エネルギーは、双極および/または単極高周波エネルギーを備えてもよく、例えば、エネルギーは、単一電極および皮膚電極を通して送達される、またはエネルギーは、電極のアレイを通して送達される。電磁エネルギーは、標的組織部分へのエネルギーの単一印加または標的組織部分への複数の印加において送達されてもよい。標的組織は、第1の組織層と、第1の組織層より深い第2の組織層とを備えてもよく、本システムは、第1の治療を第1の組織層に送達し、第2の治療を第2の組織層に送達してもよい。第1のエネルギー送達は、第2のエネルギー送達より高い温度で、より高い電力レベルで、および/またはより長い持続時間でのエネルギー送達を備えてもよい。送達される電磁エネルギーは、イオン化または非イオン化エネルギー送達であってもよい。送達される電磁エネルギーは、プラズマ形成または非プラズマ形成エネルギー送達であってもよい。電磁エネルギーは、組織除去、組織切除、組織収縮、および止血のうちの1つ以上を生じさせるように送達されてもよい。電磁エネルギーは、標的組織に近接した生理食塩水の送達、例えば、生理食塩水の連続または同時送達と組み合わせて送達されてもよい。
【0084】
標的組織治療は、音エネルギーを標的組織に送達するステップを含んでもよく、例えば、音エネルギーは、超音波音エネルギー、亜音速音エネルギー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。本システムは、音エネルギーを送達するように構成される、少なくとも1つのエネルギー送達要素を含んでもよく、例えば、エネルギー送達要素は、結晶または圧電材料を備える。複数のエネルギー送達要素は、高密度焦点式超音波エネルギーを送達するように構成されてもよい。
【0085】
標的組織治療は、光エネルギーを標的組織に送達するステップを含んでもよく、例えば、光エネルギーは、レーザエネルギー、赤外線エネルギー、可視光エネルギー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。送達されるレーザエネルギーは、CO2レーザ、KTPレーザ、Er:YSGGレーザ、Er:ガラス、Ho:YAGレーザ、Ho:YSGGレーザ、nd:YAGレーザ、Nd:YSGG、Nd:ドープレーザ、半導体レーザ、エキシマレーザ、塩化キセノンレーザ、フッ化アルゴンレーザ、希土類ドープ結晶レーザ、ガスレーザ、例えば、アルゴンまたはクリプトンガスレーザ、液体レーザ、例えば、色素レーザ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、レーザによって送達されるエネルギーを備えてもよい。
【0086】
標的組織治療は、薬剤および/または化学エネルギーを標的組織に送達するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、標的組織は、化学溶離剤によって治療され、例えば、薬剤は、酸、フェノール、フェノール/クロトン、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。本システムは、薬剤を標的組織に送達するための出口ポートを含んでもよく、例えば、出口ポートは、ノズル、開口部、膜、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。送達される薬剤は、標的組織へのエネルギーの送達を改善または可能にするために使用されてもよく、例えば、薬剤は、1つ以上の形態のエネルギーによって吸収され、および/または薬剤は、光力学的および/または超音波エネルギー送達を支持するように構成される、発色団を備える。薬剤は、色素を備えてもよい。
【0087】
標的組織治療は、熱エネルギーを標的組織に送達するステップを含んでもよく、例えば、治療要素から送達される熱エネルギーは、高温流体充填バルーン、例えば、高温流体で充填された適合可能バルーンを備える。高温流体は、水、生理食塩水、グリセリン、蒸気、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、流体を備えてもよい。治療要素は、加熱可能構成要素を備えてもよく、例えば、加熱可能構成要素は、ケージ、カッタ、ワイヤ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。標的組織治療は、第1のエネルギー送達および第2のエネルギー送達を備えてもよく、例えば、第1のエネルギー送達は、第1の温度であって、第2のエネルギー送達は、第2の温度である。本システムは、例えば、磁場に暴露されると、熱エネルギーを送達するように構成される、磁気粒子を含んでもよく、例えば、磁場は、MRIによって産生される。磁気粒子は、組織に結合するように構成されてもよく、例えば、磁気粒子は、十二指腸組織に結合するように構成される。
【0088】
標的組織治療は、低温エネルギーを標的組織に送達するステップを含んでもよく、例えば、本システムは、低温源、例えば、CO2、アルゴン、亜酸化窒素、および液体窒素源のうちの1つ以上を含む。
【0089】
標的組織治療は、例えば、切断バルーン、切断ケージ、研削コーティングおよび/または研削表面処理を伴う拡張可能要素、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、エネルギー送達要素を介した、標的組織への機械的エネルギーの送達を備えてもよい。本システムはさらに、治療要素が、回転および/または並進され、例えば、往復運動において、機械的エネルギーを送達するように、運動伝達アセンブリを備えてもよい。
【0090】
標的組織治療は、システムの少なくとも1つのエネルギー送達要素によって送達されてもよく、例えば、エネルギー送達要素は、電極、結晶、切断表面、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。本システムは、少なくとも3つのエネルギー送達要素を含んでもよく、例えば、3つ以上のエネルギー送達要素が、アレイ、例えば、半径方向に拡張可能アレイ内に配置される。
【0091】
標的組織治療は、標的組織を機械的に研削するステップを含んでもよい。機械的研削を送達する治療要素は、周囲を囲む研削メッシュを伴うバルーン、1つ以上の埋め込まれた研削材を伴うバルーン、および組織を除去するように構成されたバルーンまたは他の半径方向に拡張可能要素のうちの1つ以上を備えてもよい。本システムは、1つ以上の治療要素を回転および/または並進させ、標的組織を機械的に研削するために使用される、運動アセンブリを含んでもよい。
【0092】
標的組織治療は、流体噴流の印加を備えてもよく、例えば、流体噴流は、水、空気、CO2、および蒸気のうちの1つ以上を送達する。流体噴流治療は、典型的には、標的組織を除去または別様に非機能的にさせるように構成される。
【0093】
標的組織治療は、少なくとも2つの形態のエネルギーを送達するステップを含んでもよい。本システムは、第1の形態のエネルギーを送達するための第1の治療要素と、第2の形態のエネルギーを送達するための第2の治療要素とを含んでもよい。2つの形態のエネルギーは、同時に、または連続して、送達されてもよい。第1の形態のエネルギーは、第1の標的組織部分に送達されてもよく、第2の形態のエネルギーは、第2の標的組織部分に送達されてもよい。一実施形態では、第1の形態のエネルギーは、標的組織を機械的に研削するステップを含む。第2の形態のエネルギーは、高温流体バルーンからの熱エネルギーの送達および/または電磁エネルギー、例えば、高周波エネルギーの送達を備えてもよい。
【0094】
本方法はさらに、細長管遠位部分を患者の身体管腔および/または身体空洞に挿入するステップを含んでもよい。身体管腔および/または身体空洞は、胃腸管、食道、胃、幽門、十二指腸、空腸、肺、膀胱、鼻咽頭、結腸、気道、口腔、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、場所であってもよい。
【0095】
本方法はさらに、身体アクセスデバイスの作業チャネルを通して、細長管の少なくとも一部分を挿入するステップを含んでもよく、例えば、身体アクセスデバイスは、内視鏡、腹腔鏡ポート、経胃的アクセスデバイス、血管導入器、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。細長管の少なくとも一部分は、身体アクセスデバイス内に正面装填または背面装填されてもよい。
【0096】
本方法はさらに、細長管遠位部分を前進、後退、および/または回転させ、例えば、細長管の1つ以上の治療要素を前進、後退、および/または回転させるステップを含んでもよい。
【0097】
本方法はさらに、例えば、システムの偏向アセンブリを起動させることによって、細長管遠位部分を偏向させるステップを含んでもよい。偏向アセンブリは、前進または後退させられる引張ワイヤ、あるいは挿入される湾曲マンドレルを備えてもよく、体温に遷移するにつれて形状が変化するように構成される形状記憶材料を備えてもよい。細長管遠位部分は、偏向され、細長管および/または治療要素を標的組織に接触させてもよい。
【0098】
本方法はさらに、第2の細長管を前進、後退、および/または回転させるステップを含んでもよく、例えば、第2の細長管は、第1の細長管によって摺動可能に受容される、または並列構成に配置される。第2の細長管は、1つ以上の治療要素を備えてもよい。
【0099】
本方法はさらに、拡張可能要素を拡張させるステップを含んでもよく、例えば、拡張可能要素は、バルーン、ケージ、および半径方向展開可能アームのうちの1つ以上を備える。治療要素は、拡張可能要素を備えてもよく、または拡張可能要素に搭載されてもよい。本方法はさらに、第2の拡張可能要素を拡張させるステップを含んでもよく、例えば、第2の拡張可能要素は、治療要素を備える。第1または第2の拡張可能要素にかかる拡張力は、可変であって、例えば、標的組織に印加される治療を変化させてもよく、圧縮力の変動は、送達されるエネルギー、治療の深さ、および機械的研削要素によって印加される力のうちの1つ以上を修正してもよい。圧縮力の変動は、電磁送達されるエネルギーの変動を生じさせ、例えば、高圧縮力において減少されたインピーダンスのため、送達される高周波エネルギーを増加させてもよい。
【0100】
本方法はさらに、1つ以上のセンサから信号を取得するステップを含んでもよい。1つ以上のセンサは、細長管および/または治療要素に搭載されてもよい。1つ以上のセンサは、拡張可能部材に搭載されてもよく、本方法は、部材を拡張させるステップを含み、例えば、センサを組織に接触させてもよい。本方法は、1つ以上のセンサから受信した1つ以上の信号に基づいて、標的組織治療を調節するステップを含んでもよく、例えば、1つ以上のセンサは、熱センサ、例えば、熱電対、インピーダンスセンサ、例えば、組織インピーダンスセンサ、圧力センサ、血液センサ、光学センサ、例えば、光センサ、音センサ、例えば、超音波センサ、電磁センサ、例えば、電磁場センサ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、センサを含む。本方法は、測定された温度に基づいて、標的組織治療を調節するステップを含んでもよく、例えば、温度センサは、治療要素内、その上、またはそれに近接して搭載される。本方法は、組織壁上、例えば、十二指腸組織壁上にセンサを配置するステップを含んでもよい。本方法は、組織内、例えば、粘膜下層注入手技の間に留置されるように、粘膜下層組織内にセンサを配置するステップを含んでもよい。本方法は、患者パラメータ情報を1つ以上のセンサから取得するステップを含んでもよい。患者パラメータ情報は、温度情報、例えば、組織温度情報または治療要素温度、インピーダンス情報、例えば、組織インピーダンス情報、圧力情報、血流情報、血糖レベル、インスリンレベル、グルカゴンレベル、GIP、GLP-1、GLP-2、および/または他の胃腸ホルモンレベル、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、情報を備えてもよい。本方法は、温度および/またはインピーダンス示度値に基づいて、標的組織治療を調節するステップ、例えば、高周波エネルギーまたは高温流体エネルギー送達の調節を含んでもよい。本方法は、筋電図センサによって受信された信号、例えば、筋層粘膜の筋電図を表す信号に基づいて、標的組織治療を調節するステップを含んでもよい。本方法は、定量的熱量測定センサ、血清レベルセンサ、撮像センサ、例えば、組織色、例えば、絨毛組織色を表す信号を生成するように構成される、センサ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、センサからの信号に基づいて、標的組織治療を調節するステップを含んでもよい。本方法は、撮像センサ、例えば、組織厚画像、組織血管分布画像、低温エネルギー送達において見出される氷球画像、およびこれらの組み合わせを表す信号を生成する撮像センサから受信した信号に基づいて、標的治療を調節するステップを含んでもよい。撮像センサは、典型的には、X線、例えば、X線透視装置、CT撮像、MRI、超音波撮像、分子撮像、放射性撮像、例えば、放射性撮像(ブドウ糖負荷試験の有無を問わず)、OCT、分光法、例えば、Tera-Hertz分光法、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、撮像センサである。
【0101】
本方法はさらに、機能的要素、例えば、細長管および/または治療要素に搭載された機能的要素の起動を含んでもよい。機能的要素は、センサ、変換器、真空ポート、可視化要素またはデバイス、例えば、超音波結晶または光学アセンブリ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、要素であってもよい。機能的要素は、真空ポートを備えてもよく、本方法は、真空を印加し、治療要素、細長管、および/またはシステムの別の部分を組織、例えば、標的組織と接触させるステップを含む。本方法は、真空ポートを通して、組織、例えば、以前に治療された標的組織を除去するステップを含んでもよい。機能的要素は、可視化デバイスを備えてもよく、本方法はさらに、1つ以上の画像を可視化デバイスから生成するステップを含んでもよい。典型的可視化デバイスは、可視光カメラ、超音波撮像機、光干渉断層撮像機、およびこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0102】
本方法はさらに、システムの身体管腔加圧アセンブリを介して、加圧流体を送達するステップを含んでもよい。1つ以上の流体、例えば、液体および/またはガスは、細長管の管腔および/または身体アクセスデバイス、例えば、内視鏡の管腔を通して、患者に送達され、例えば、身体空洞または身体管腔、例えば、十二指腸に吹送する(例えば、それを膨張させる)。流体は、システムの第2の細長管を通して送達されてもよく、例えば、第2の細長管は、身体アクセスデバイス、例えば、内視鏡を通して、第1の細長管とともに、内視鏡の同一または異なる作業チャネル内を前進させられる。システムの閉塞性要素が、拡張され、例えば、送達される流体の移動を防止する、または別様に、送達される流体を特定の管腔または身体空洞場所内に維持させてもよい。閉塞性要素は、典型的には、細長管に搭載される。流体は、約0.5cmのH2Oを上回る圧力で送達される、および/またはそれに維持されてもよい。流体は、約15cmのH2Oを下回る圧力で送達されてもよい。
【0103】
本方法はさらに、システムの身体アクセスデバイス、例えば、内視鏡を患者内に留置するステップを含んでもよい。代替として、または加えて、身体アクセスデバイスは、患者内に挿入されてもよく、腹腔鏡ポート、経胃的アクセスデバイス、および血管導入器のうちの1つ以上を含んでもよい。細長管は、例えば、正面装填または背面装填手技を介して、身体アクセスデバイス内に挿入されてもよい。
【0104】
本方法はさらに、システムの撮像デバイスから1つ以上の患者画像を生成するステップを含んでもよい。撮像デバイスは、例えば、身体アクセスデバイス、例えば、内視鏡を通して、患者内に挿入されてもよい。撮像デバイスは、可視光カメラ、超音波撮像機、OCT撮像機、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、挿入可能撮像デバイスを備えてもよい。撮像デバイスは、外部撮像デバイス、例えば、X線、X線透視装置、超音波撮像機、MRI、PETスキャナ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、撮像デバイスを備えてもよい。
【0105】
本方法はさらに、エネルギー送達ユニット、例えば、エネルギーを1つ以上の治療要素に提供するように構成される、システムのエネルギー送達ユニットを起動するステップを含んでもよい。エネルギー送達要素は、開ループまたは閉ループ送達において、1つ以上の形態のエネルギーを送達してもよい。
【0106】
本方法はさらに、コントローラおよび/またはユーザインターフェースを起動するステップを含んでもよい。ユーザインターフェースは、1つ以上のシステム入力パラメータを調節するために使用される、グラフィカルユーザインターフェースを備えてもよい。システム入力パラメータは、送達されるべきエネルギーのタイプ、例えば、RFエネルギー、熱エネルギーおよび/または機械的エネルギー、送達されるべきエネルギーの量、例えば、送達されるべきエネルギーの累積ジュール数または送達されるべきエネルギーのピーク量、送達されるべきエネルギーの組み合わせのタイプおよびレベル、エネルギー送達持続時間、送達されるエネルギーのパルス幅変調率、研削デバイスが横断する往復運動の回数、治療要素のための温度、例えば、標的温度または最大温度、吹送圧力、吹送持続時間、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、パラメータを含んでもよい。本システム入力パラメータは、粘膜密度および/または厚さ、粘膜下層注入後の粘膜下層の粘膜「剥離」、GI管内の標的組織の長手方向場所、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、手技前または手技中パラメータであってもよい。本方法はさらに、システム出力パラメータを表示するステップを含んでもよい。システム出力パラメータは、温度情報、例えば、組織および/または治療要素温度情報、圧力情報、例えば、バルーン圧力情報または吹送圧力情報、力情報、例えば、組織に印加される力のレベルの情報、患者情報、例えば、1つ以上のセンサによって記録される患者の生理学的情報、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、パラメータを備えてもよい。本方法は、治療要素によって送達される治療を開始、加減、および/または中止するステップを含んでもよい。本方法は、治療要素によるエネルギー送達を開始、加減、および/または中止するステップを含んでもよい。本方法は、エネルギー送達情報を記憶するステップを含んでもよい。
【0107】
本方法は、1つ以上のシステム構成要素、例えば、細長管および/または1つ以上の治療要素を、運動伝達要素とともに移動させるステップを含んでもよい。運動伝達要素は、1つ以上のシステム構成要素を回転および/または並進させる、例えば、往復回転および/または並進させてもよい。いくつかの実施形態では、治療要素および/またはシステム構成要素は、同時に、回転および並進される。いくつかの実施形態では、治療要素は、運動によって回転および/または並進される、機械的研削器を備える。運動伝達要素は、モータ駆動要素および/またはオペレータ駆動要素を備えてもよい。
【0108】
本方法は、非標的組織、例えば、ファーター膨大部および/またはオッディ括約筋内、その上、またはその近傍に保護キャップを留置するステップを含んでもよい。本方法は、保護キャップ、例えば、患者内に留置から24時間以内に、保護キャップを除去するステップを含んでもよい。
【0109】
本方法は、組織、例えば、標的組織または標的組織に近接する組織を拡張させるステップを含んでもよい。組織拡張は、システムの組織拡張デバイスによって、組織を拡張させるステップを含んでもよく、例えば、組織拡張デバイスは、十二指腸の粘膜下層組織を拡張するように構成される。組織拡張デバイスは、1つ以上の針または水噴流ノズルを備えてもよく、例えば、1つ以上の展開可能針または展開可能水噴流ノズルは、組織拡張流体、例えば、生理食塩水を送達するように構成される。組織拡張は、複数の場所において実施されてもよく、例えば、拡張は、第1の標的組織部分および第2の標的組織部分の治療に先立って、および/またはその間に実施される。
【0110】
本方法は、例えば、システムの組織操作デバイスによって、組織を操作するステップを含んでもよい。組織操作は、典型的には、軸方向直線化、例えば、十二指腸または他の腸組織の直線化、引張、例えば、軸方向および/または半径方向引張、厚さ拡張、例えば、注入された流体(例えば、注入された液体またはガス)による腸の粘膜下層の拡張、組織への軸方向力の印加、組織への反対の軸方向力の印加、組織への半径方向力の印加、組織の圧縮、例えば、十二指腸の絨毛の圧縮、局在浮腫または血管性浮腫の誘発、および十二指腸の半径方向に拡張(例えば、輪状襞の突出を減少させそれらの皺襞の重畳のため、皺襞が治療要素による治療下に置かれることを防止および減少させるため)のうちの1つ以上を生じさせるように構成される。本方法は、組織操作デバイスの1つ以上の部分を半径方向に拡張させるステップを含んでもよく、例えば、部分は、膨張可能バルーン、拡張可能ケージ、および展開可能アーム、例えば、半径方向展開可能アームのうちの1つ以上を含む。本方法は、拡張組織操作デバイスの2つ以上の半径方向に拡張部分を拡張させるステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向に拡張部分は、第1のシャフトに搭載され、第2の半径方向に拡張部分は、第2のシャフトに搭載され、第2のシャフトは、第1のシャフトによって摺動可能に受容される。組織、例えば、十二指腸の管腔壁組織に接触するために拡張後、第1の拡張部分および第2の拡張部分の相対的位置を使用して、力(例えば、引張力)を組織に印加することができる。本方法は、例えば、システムの内視鏡および/または細長管を通して、吹送流体を送達させ、組織を操作する(例えば、組織を膨張させる)ステップを含んでもよい。本方法は、完全または部分的に、管腔または身体空洞を閉塞し、例えば、送達される吹送流体が、膨張または別様に操作されるべき意図する場所から移動しないように防止するステップを含んでもよい。本方法は、1つ以上の組織貫通装置を前進させ、例えば、組織に係合し、1つ以上の力を組織に印加するステップを含んでもよい。
【0111】
本方法はさらに、薬剤を送達するステップを含んでもよく、例えば、薬剤は、全身的に、患者に送達される。薬剤は、抗生物質、ステロイド、粘膜細胞保護剤、例えば、スクラルフェート、プロトンポンプ阻害薬または他の酸遮断薬、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、薬剤を備えてもよい。
【0112】
本方法はさらに、手技完了確認アルゴリズムの起動を含んでもよい。アルゴリズムは、時間ベースのアルゴリズム、例えば、エネルギーが標的組織に送達される時間を監視する、アルゴリズムを備えてもよい。アルゴリズムは、作用ベースのアルゴリズム、例えば、あるエネルギーレベルが達成される、ある電力レベルが達成される、あるエネルギーレベルが送達された(例えば、所定のRFエネルギーのジュール数)、機械的サイクル数、例えば、一組の往復運動が達成された、組織変化が生じた、例えば、色変化、質感変化、または他の視覚的変化が生じた、組織インピーダンスおよび/または組織インピーダンスの変化が閾値に到達した、温度および/または温度変化、例えば、温度および/または組織温度の変化が閾値に到達した、血流および/または血流変化が閾値に到達した、血清ホルモンレベルおよび/または血清ホルモンレベルの変化が閾値に到達した、血糖レベルおよび/または血糖レベルの変化が閾値に到達した、粘膜下層接続組織が露出される(例えば、視覚的検査あるいは化学的および/または生物学的検出機構によって検出されるとき)、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、パラメータに基づく、アルゴリズムを備えてもよい。
【0113】
本発明の別の側面によると、患者の疾患および/または障害を治療するためのシステムは、治療要素を備える。治療要素は、胃腸管の領域を改変するように構築および配列され、該改変は、細胞吸収容量、細胞ホルモン放出、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0114】
本発明の別の側面によると、患者の疾患および/または障害を治療するためのシステムは、治療要素および組織拡張アセンブリを備える。治療要素は、標的組織を治療するように構築および配列され、組織拡張アセンブリは、標的組織および/または標的組織に近接する組織を拡張させるように構築および配列される。
【0115】
本発明の別の側面によると、患者の糖尿病を治療する方法は、除去するための患者の十二指腸の標的区域を選択するステップと、患者の胃および空腸に対して、患者の十二指腸を解剖学的に無傷に残しながら、患者の十二指腸粘膜を除去するステップとを含む。標的区域は、患者の空腸粘膜および胃粘膜のうちの少なくとも1つ内の区域と連続的である、十二指腸粘膜の区域を含む。
【0116】
本方法は、十二指腸粘膜内の幹細胞を排除するステップを含んでもよい。
【0117】
本方法は、十二指腸粘膜を切除することによって、十二指腸粘膜を除去するステップを含んでもよい。バルーンが、十二指腸粘膜を切除するために、十二指腸粘膜内に配置される、切除要素、例えば、高周波要素を含むように提供されてもよい。
【0118】
本方法は、十二指腸粘膜を削取および/または掻爬することによって、十二指腸粘膜を除去するステップを含んでもよい。バルーンが、十二指腸粘膜の削取および/または掻爬を常時させるために、切断デバイスを含むように提供されてもよい。
【0119】
本発明の別の側面によると、患者の糖尿病を治療する方法は、患者の十二指腸粘膜を除去するステップと、除去される十二指腸粘膜の代わりに、患者の空腸粘膜を増殖させるように助長するステップとを含む。患者の十二指腸粘膜の除去は、患者の胃および空腸に対して、患者の十二指腸を解剖学的に無傷のままにするように実施される。
【0120】
本方法は、十二指腸粘膜内の幹細胞を排除するステップを含んでもよい。
【0121】
本方法は、十二指腸粘膜を切除することによって、十二指腸粘膜を除去するステップを含んでもよい。バルーンが、十二指腸粘膜を切除するために、十二指腸粘膜内に配置される、切除要素、例えば、高周波要素を含むように提供されてもよい。
【0122】
本方法は、十二指腸粘膜を削取および/または掻爬することによって、十二指腸粘膜を除去するステップを含んでもよい。バルーンが、十二指腸粘膜の削取および/または掻爬を常時させるために、切断デバイスを含むように提供されてもよい。
【0123】
本方法は、障壁を胃粘膜に提供することによって、患者の空腸粘膜を増殖させるように助長するステップを含んでもよく、障壁は、除去される十二指腸粘膜の代わりに、胃粘膜が増殖しないように防止する。
【0124】
本発明の別の側面によると、患者の糖尿病を治療する方法は、患者の胆汁塩および膵酵素にアクセスするステップであって、胆汁塩および膵酵素が、患者によって摂取された食物に未反応である、ステップと、未反応胆汁塩および膵酵素を患者の十二指腸に送達するステップとを含む。
【0125】
本発明の別の側面によると、患者の糖尿病を治療する方法は、患者の胆汁塩および膵酵素にアクセスするステップであって、胆汁塩および膵酵素が、患者によって摂取された食物に未反応である、ステップと、摂取された食物が患者の胆汁塩および膵酵素と反応しないように防止するステップと、摂取された食物が患者の十二指腸粘膜と反応しないように防止するステップと、アクセスされた胆汁塩および膵酵素を患者の空腸に送達するステップとを含む。
【0126】
本発明の別の側面によると、患者の糖尿病を治療するためのシステムは、除去が、患者の胃および空腸に対して、患者の十二指腸を解剖学的に無傷のまま残すように、患者の十二指腸粘膜を除去する、治療デバイスを備える。治療の効果は、除去される十二指腸粘膜の代わりに、患者の空腸粘膜が増殖するように助長されることである。
【0127】
患者の十二指腸粘膜を除去するための治療デバイスは、十二指腸粘膜内の幹細胞を排除するように適応されてもよい。
【0128】
患者の十二指腸粘膜を除去するための治療デバイスは、十二指腸粘膜を切除するように適応されてもよい。治療デバイスは、十二指腸粘膜を切除するように構成される、バルーンを備えてもよい。治療デバイスは、高周波エネルギーを使用してもよい。本システムはさらに、十二指腸粘膜を削取および/または掻爬するように構成される、削取および/または掻爬デバイスを備えてもよい。削取および/または掻爬デバイスは、切断デバイスを具備する、第2のバルーンを備えてもよい。治療デバイスは、胃粘膜が、除去される十二指腸粘膜の代わりに増殖しないように防止する、障壁を胃粘膜に対して生成するように適応されてもよい。
【0129】
本発明の別の側面によると、患者の糖尿病を治療するためのシステムは、患者の胆汁塩および膵酵素にアクセスするデバイスであって、胆汁塩および膵酵素が、患者によって摂取された食物と未反応である、デバイスと、未反応胆汁塩および膵酵素を患者の十二指腸に送達するためのデバイスとを備える。
【0130】
本発明の別の側面によると、患者の糖尿病を治療するためのシステムは、患者の胆汁塩および膵酵素にアクセスするデバイスであって、胆汁塩および膵酵素が、患者によって摂取された食物と未反応である、デバイスと、摂取された食物が、患者の胆汁塩および膵酵素と反応しないように防止するように適応されるデバイスであって、摂取された食物が、患者の十二指腸粘膜と反応しないように防止される、デバイスと、アクセスされた胆汁塩および膵酵素を患者の空腸に送達するためのデバイスとを備える。
【0131】
本明細書に説明される本発明の概念は、その属性および付帯利点とともに、代表的実施形態が、一例として、説明される、付随の図面と関連して検討される、以下の発明を実施するための形態に照らして、最良に認識および理解されるであろう。
【0132】
前述の技術の利点は、さらなる利点とともに、付随の図面と関連して検討される、以下の説明を参照することによってより理解され得る。図面は、必ずしも、正確な縮尺で描かれておらず、代わりに、概して、本技術の原理の図示に応じて、強調が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【
図1】
図1は、ヒト胃腸(GI)管のある関連する解剖学的特徴を図示する。
【
図3】
図3は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するためのシステムの遠位部分の側面断面図を図示する。
【
図3A】
図3Aは、本発明の概念の実施形態による、胃腸管の領域の潜在的治療を図示する。
【
図4】
図4は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するためのシステムの概略図を図示する。
【
図5】
図5は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するための方法の流れ図を図示する。
【
図6】
図6は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するための方法の流れ図を図示する。
【
図7】
図7は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するための方法の流れ図を図示する。
【
図8】
図8Aおよび8Bは、本発明の概念の実施形態による、それぞれ、軸方向力を標的組織に印加前および後の、2つの組織操作要素を含む、組織治療システムの遠位部分の側面断面図を図示する。
【
図9】
図9は、本発明の概念の実施形態による、拡張可能治療要素および2つの組織操作要素を含む、組織治療システムの遠位部分の側面断面図を図示する。
【
図10】
図10は、本発明の概念の実施形態による、複数のローブ付きバルーンを備える、拡張可能治療要素を含む、組織治療システムの遠位部分の側面および端面図を図示する。
【
図11】
図11は、本発明の概念の実施形態による、多電極ケージを備える、拡張可能治療要素を含む、組織治療システムの遠位部分の側面図を図示する。
【
図12】
図12は、本発明の概念の実施形態による、2つの組織治療要素と、バルーン支持メッシュ研削器と、高温流体含有のために構成されるバルーンとを含む、組織治療システムの側面図を図示する。
【
図13】
図13Aおよび13Bは、本発明の概念の実施形態による、標的組織拡張デバイスの側面断面図を図示する。
【
図14】
図14は、本発明の概念の実施形態による、糖尿病の治療のための手技ステップを説明する流れ図を図示する。
【
図15】
図15は、本発明の概念の実施形態による、糖尿病の治療のための手技ステップを説明する流れ図を図示する。
【
図16】
図16は、本発明の概念の実施形態による、糖尿病の治療のための手技ステップを説明する流れ図を図示する。
【
図17】
図17は、本発明の概念の実施形態による、糖尿病の治療のための手技ステップを説明する流れ図を図示する。
【
図18】
図18は、本発明の概念の実施形態による、ファーター膨大部のための保護キャップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0134】
本発明の概念の実施形態を参照するが、その実施例は、添付図面に図示される。可能な場合、同一の参照番号は、図面を通して、同一または類似部品を指すために使用されるであろう。
【0135】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためであって、本発明の概念を制限することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって、別様に明示的に示されない限り、複数形態も同様に含むことが意図される。さらに、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」は、本明細書で使用されるとき、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を示すが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在あるいは追加を除外するわけではないことを理解されたい。
【0136】
第1、第2、第3等の用語は、種々の制限、要素、構成要素、領域、層、および/または区分を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの制限、要素、構成要素、領域、層、および/または区分は、これらの用語によって制限されるべきではないことを理解されるであろう。これらの用語は、ある制限、要素、構成要素、領域、層、または区画を別の制限、要素、構成要素、領域、層、または区画と区別するためにのみ使用される。したがって、後述の第1の制限、要素、構成要素、領域、層、または区画は、本願の教示から逸脱することなく、第2の制限、要素、構成要素、領域、層、または区画と称され得る。
【0137】
さらに、ある要素が、別の要素「の上にある」または「に接続される」または「に連結される」と称されるとき、直接、他の要素上またはその上方にあるか、またはそれに接続もしくは連結されることができるか、または介在要素が存在することができることを理解されたい。対照的に、ある要素が、別の要素「上に直接ある」または「に直接接続される」または「直接連結される」と称されるとき、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「間にある」対「直接、間にある」、「隣接する」対「直接、隣接する」等)。ある要素が、本明細書において、別の要素「にわたって」いると称されるとき、他の要素の上方または下方であることができ、直接、他の要素に連結されるか、または介在要素が存在し得るかのいずれかであるか、または要素が、隙間または間隙分だけ離間されていてもよい。
【0138】
細胞または組織(例えば、粘膜層)に関連して、本発明の概念のシステム、デバイス、および治療要素によって実施される治療は、その分泌(例えば、ホルモンの分泌)、吸収、または他の機能のうちの1つ以上が修正または防止され、および/または治療された細胞が、治療前細胞と異なる分泌または他の機能を有する新しい細胞によって置換されるように、細胞死、アポトーシス、細胞即死、細胞壊死、細胞の変性、細胞の除去、および/または細胞の他の改変を生じさせることを指し得る。標的組織細胞へのこれらの修正は、急性的に(例えば、24時間未満の時間にわたる適用において)生じてもよく、または経時的に(例えば、不可逆的損傷は、続いて、24時間を超える時間、例えば、1週間を超える時間にわたって典型的に生じる細胞死をもたらす)生じてもよい。用語「治療」の他の使用は、本明細書の文脈において明白となるであろう。治療された細胞は、例えば、機械的研削器またはレーザによる蒸発を介して除去されてもよい。治療された細胞は、存在したままであるが、非機能的にされてもよい。治療される細胞、例えば、熱切除によって治療される細胞は、高または低温暴露によって損傷される。これらの損傷された細胞の除去は、損傷細胞と認識し、それを除去する炎症反応によって媒介される。細菌、例えば、胃腸内で見出される細菌もまた、損傷された細胞を分解し、したがって、除去し得る。治療された細胞はまた、単に、腸壁から剥がれ落ち、次いで、身体によって排泄されてもよい。
【0139】
本発明の概念のシステム、方法、およびデバイスは、糖尿病を含む種々の疾患および障害を治療するために構築および配列されてもよい。糖尿病の原因および制御機構に関する最近の研究は、糖尿病の原因および治療が、胃腸(GI)管、特に、小腸と密接に結び付けられ得ることを明らかにしている。胃バイパス手術を受けた患者は、2型糖尿病症状の緩和または疾患の完全消散を自覚している。いくつかの最近の研究は、したがって、十二指腸および/または空腸のバイパス術が、患者の2型糖尿病のための治療の方法の1つであり得ることを示唆する。ある理論は、糖尿病患者の腸上部が、異常ホルモン信号伝達が産生される区域であって、糖尿病を生じさせるか、またはその発症に有利に働き得るという概念に基づく。2型糖尿病は、十二指腸および空腸内の抗インクレチンの過剰分泌から生じ、それによって、インスリン分泌を減少させ、インスリンの作用を遮断し得る。インクレチンは、栄養素の流動に応答して産生され、インスリン産生を増加させる胃腸ホルモンである。インクレチンの分泌は、インスリンの分泌および作用を増加させる。しかしながら、抗インクレチンは、インスリンの分泌および作用を抑制する。2型糖尿病は、十二指腸および空腸内の仮定される抗インクレチンの過剰分泌から生じ、それによって、インスリン分泌を減少させ、インスリンの作用を遮断し得る。この仮定に基づいて、インクレチンと抗インクレチンとの間の正しい均衡が、血液中の正常血糖値を維持するために要求される。糖尿病は、ヒト細胞が、インスリンの作用に耐性となる(「インスリン抵抗」の状態を生じさせる)とき、および膵臓が、十分なインスリンを産生するが、身体が受けるグルコース負荷に対処できないときに生じる。研究によると、胃腸バイパス手術手技は、小腸上部(十二指腸および近位空腸の区域を含む)を栄養素の運搬から除外することによって、2型糖尿病患者の臨床状態を改善すると考えられる。このバイパスは、GI管のホルモン産生細胞から放出されるホルモンの量を改変し(インクレチンの産生を増加させ、潜在的に、抗インクレチンの産生を減少させることによって)、それによって、2型糖尿病の改善をもたらす。
【0140】
本明細書に開示される本発明の概念に関連するヒトGI管の一部分が、
図1に図示される。図示されるGI器官は、肝臓102、胆嚢104、総胆管108、膵臓110、膵管112、十二指腸114、ファーター膨大部118、オッディ括約筋120、および胃122を含む。十二指腸114は、典型的には、約25cmの長さである。右側の幽門から起始し、空腸に結合する左側の十二指腸空腸接合部で終端するように、膵頭110の周囲において、C形状経路を辿る。この接合部は、通常、鋭角の十二指腸空腸曲の形態をとり、トライツ靭帯(図示せず)によって支持される。管112、108は、肝臓および膵臓からの胆汁および膵臓液を送達し、十二指腸乳頭を介して、十二指腸114に流れ込むファーター膨大部118と呼ばれる変換点において、十二指腸114に密接に結合する。ファーター膨大部118は、膵管112および総胆管108の融合によって形成される。ファーター膨大部118は、十二指腸114の第2の部分に沿って、約半分、位置する。オッディ括約筋120は、ファーター膨大部118を通して、十二指腸114の第2の部分中へと流動する消化液を制御する弁である。
【0141】
図2は、小腸200の断面である。
図1に図示されるような十二指腸114は、ヒトを含む大部分の脊椎動物に存在し、小腸200の第1の部分を形成する。十二指腸114は、空腸(本図には図示せず)に先行し、小腸200の第2の区画を形成する。十二指腸114はまた、十二指腸114の最内層を形成する十二指腸粘膜201と、十二指腸粘膜を支持する接続組織の層から成る十二指腸粘膜下層203とを含む。十二指腸粘膜および粘膜下層と同様に、空腸粘膜および空腸粘膜下層(図示せず)が、空腸に沿って存在する。
【0142】
図2に図示されるように、小腸200は、腸絨毛202を含む。腸絨毛202は、小腸200の壁から延在する小さな指状突起である。腸絨毛202は、微絨毛(図示せず)と呼ばれる付加的突起を有する。グルコースを含む消化された栄養素は、腸絨毛202の細胞を通して体内に吸収され、次いで、循環リンパ管および血液によって、運ばれる。腸粘膜は、可変構造、機能、および形態を有する、いくつかの解剖学的層から構成される。小腸200の領域では、腸粘膜は、基底膜層と互いに入り込む。腸粘膜は、3つの分泌細胞タイプ(腸内分泌細胞、杯細胞、およびパネート細胞)と、1つの吸収性細胞タイプ(腸細胞)とから構成される。栄養素の輸送および吸収は、腸細胞内で生じ、複合信号伝達が粘膜内の種々の細胞タイプ間で生じる。特に、腸内分泌細胞は、多くの場合、管腔内の栄養素の存在および組成によって誘引される局所信号の存在または不在に応答して、ホルモンを放出する。腸粘膜の陰窩基底部における幹細胞は、これらの細胞タイプの全4つを生じさせ、これらの細胞の挙動および特性を遺伝的かつ後成的に画定する。幹細胞が分割すると、娘幹細胞または腸粘膜細胞の「一過性増殖」集団のいずれかを生じさせ得る。一過性増殖細胞は、急速に分割し、前述の4つの細胞タイプに識別し始める。腸内分泌細胞、腸細胞、および杯細胞は、腸の管腔に向かって移動する一方、パネート細胞は、陰窩基部内に戻るように移動し、そこで、常駐幹細胞と幹細胞ニッチを確立する。これらの細胞は、管腔に向かって移動し、それらの下から現れる細胞を新しく分割することによって、押し出されるにつれて、最終的に、管腔内に取り込まれる。単一陰窩-絨毛構造の細胞の全てが、陰窩の基部において、幹細胞から生じるため、この再活性化および再生プロセスの重要な側面は、陰窩-絨毛構造の表現型、挙動、および特性が、その陰窩の基部における幹細胞の特性によって画定されることである。このように、異なる構造および表現型(例えば、胃粘膜対腸粘膜)を伴う腸粘膜の領域は、それぞれ、胃および腸粘膜の基部における幹細胞の異なる識別特性のため、異なって挙動する(大部分)。円周方向において、小腸の任意の領域の粘膜は、概して、類似する。しかしながら、軸方向において、胃、十二指腸、空腸等の粘膜特性の差異によって観察されるように、劇的差異が存在する。
【0143】
用語「標的組織」は、本発明の概念のシステム、方法、およびデバイスによって治療されるべき組織の全てを含むものとする。標的組織はまた、治療されるべき組織の一部分、例えば、治療される1つ以上の他の部分の前に治療される、第1の部分を含むものとする。患者の標的組織を含む、患者の組織は、種々の幾何学的形状における組織の体積を備えてもよい。標的組織は、管状構造の1つ以上の層、例えば、胃腸管の管状部分の1つ以上の層を含んでもよい。標的組織は、長さ、幅、および深さによって画定されてもよく、または他の3次元画定パラメータによって画定されてもよい。標的組織長は、組織表面の長さ、例えば、十二指腸または他の胃腸管組織の一部分の長さ等の管状組織導管の長さを備えてもよい。標的組織幅は、組織表面の幅、例えば、管状組織層または複数の層の1°~360°の円周部分等、管状組織導管の円周部分を備える幅を備えてもよい。部分的円周標的組織は、標的組織または360°未満の標的組織の一部分を指すものとする。全周標的組織は、全周(例えば、胃腸管の1つ以上の完全または部分層の360°)を被覆する、標的組織または標的組織の一部分を指すものとする。標的組織の深さは、組織表面下の組織の深さ投影、例えば、少なくとも、完全十二指腸の粘膜層の深さ等、管状組織導管の内側壁から投影する組織の深さを備えてもよい。組織層は、完全層もしくは部分層または解剖学的に分類される組織層、例えば、胃腸管の粘膜および粘膜下層を備えてもよい。完全層は、2つ以上の部分層、例えば、第1の最内部分層および第2の最外部分層を備える、十二指腸の粘膜下層を備えてもよい。完全または部分層は、一定の深さ(例えば、厚さ)あるいは標的組織の長さおよび/または幅にわたって可変である深さを有してもよい。
【0144】
本発明の概念のある実施形態によると、十二指腸粘膜は、十二指腸114に解剖学的に接続されたまま残しながら(すなわち、GI管に対して無傷)、治療(例えば、除去)されてもよい。十二指腸の1つ以上の長手方向部分、典型的には、十二指腸の全長またはその実質的長手方向区画が、治療されてもよい。十二指腸組織の1つ以上の層が、治療されてもよく、典型的には、表面および完全粘膜層厚に沿った完全円周(例えば、360°)範囲を備える。一実施形態では、標的組織は、腸絨毛、粘膜の基部における幹細胞層、および一過性増殖細胞を含む、粘膜の完全厚の実質的部分を備える。本標的組織は、実質的に、腸の標的治療長さにわたって延在する、管状組織の完全円周および軸方向連続部分を含む。標的組織体積(標的組織長、深さ、および円周部分によって画定される)は、所望の治療効果を達成するように選択される。十二指腸粘膜の完全厚(粘膜の基部における幹細胞層を含む)の治療は、粘膜の局所再増殖を防止し、治療区域内の腸粘膜の細胞の挙動の修正を生じさせる。粘膜の領域の治療は、腸の所与の領域内の吸収性細胞ならびにその領域の分泌細胞の両方の機能および挙動を改変し得る。標的組織の挙動を修正する治療は、摂取された食物からの栄養素を吸収する腸のその領域の容量を改変するように構成されてもよい。治療はまた、標的領域内の腸内分泌細胞へならびにそこからの自己分泌およびパラ分泌信号伝達および/または分泌を改変するように構成されてもよい。一実施形態では、治療は、腸の所与の領域に対して、吸収細胞と分泌細胞との間の分泌ならびに自己分泌およびパラ分泌信号伝達通信を改変するように構成される。別の実施形態では、治療は、腸の所与の領域に対して、細胞の吸収特性を改変するように構成される。多数の他の標的組織場所が、本願の精神および範囲内で検討されるはずであって、
図3Aを参照して、以下に詳細に説明されるように、選定されてもよい。
【0145】
図3は、本発明の概念の実施形態による、身体管腔内に挿入される、組織を治療するためのシステムの遠位部分の側面断面図を図示する。システム300は、
図3Aを参照して後述されるように、1つ以上の組織部分を含む標的組織10を治療するように構築および配列される。システム300は、患者の身体管腔、例えば、十二指腸または患者の胃腸管の他の部分内に挿入された細長デバイス301を含む。細長デバイス301は、遠位端312を有するシャフト311を含む。シャフト311は、典型的には、可撓性シャフトであって、患者身体アクセスデバイス、例えば、内視鏡、腹腔鏡ポート、経胃的アクセスデバイス、または血管導入器を通して挿入されるように構成されてもよい。シャフト311は、アクセスデバイス、例えば、内視鏡内に正面装填および/または背面装填されるように構成されてもよい。背面装填は、シャフト311が、内視鏡の作業チャネル内に半径方向に圧縮可能でなくてもよいか、または別様に嵌合しなくてもよい1つ以上の遠位構成要素を含むときに、使用されてもよい。デバイス301はさらに、1つ以上の組織治療要素、例えば、それぞれ、シャフト311の遠位部分に搭載され、それぞれ、本願を通して多数の構成において説明されるように、標的組織を治療するように構成される要素320および321を含む。シャフト311は、治療要素320および/または321が、治療されるべき組織、標的組織10に近接して配置されるように、前進、回転、および/または別様に配置されている。一実施形態では、治療要素320および321は、2つの異なるシャフトに搭載される(第2のシャフトは図示せず)が、典型的には、治療要素320および治療要素321が、独立して前進および後退させられ得るように、シャフト111と同軸かつ摺動可能に係合される。身体管腔は、例えば、1つ以上の標準的吹送技法および/または以下の
図5、8A、ならびに8Bを参照して説明されるような技法を使用することによって、加圧されてもよい。吹送流体は、図示されないが、近位に進行し、吹送液体またはガス源に接続するシャフト311の1つ以上の管腔を通して導入されてもよい。デバイス301は、図示されないが、以下の
図4を参照して詳細に説明される、内視鏡を通して挿入され、吹送流体が、内視鏡の管腔を通して送達されてもよい。
【0146】
デバイス301は、1つ以上の機能的要素、例えば、図示されるように、シャフト311に搭載された機能的要素315を含んでもよい。典型的な機能的要素として、センサ、変換器、真空ポート、可視化要素またはデバイス、例えば、超音波結晶または光学アセンブリ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、真空ポートは、切除および郭清された組織を除去するように構成される。代替として、または加えて、真空ポートは、シャフト311、治療要素320、および/または治療要素321を組織と接触させるように構成されてもよい。別の実施形態では、機能的要素は、可視化デバイス、例えば、可視光カメラ、超音波撮像機、および/または光干渉断層可視化デバイスである。
【0147】
治療要素320および321は、類似または異なる組織治療を実施するように構成されてもよい。治療要素320および/または321は、複数の独立した治療を送達するように構成されてもよく、例えば、機械的研削および別の形態のエネルギー送達が、連続して、または同時に、実施される。複数の独立した組織治療(例えば、療法)が実施され、治療結果を改善するか、および/または有害事象を制限してもよい。
【0148】
治療要素320および/または321は、例えば、治療されるべき組織と接触させ、例えば、その組織と接触する間、エネルギーを組織に送達するように構成される拡張可能ケージ、バルーン、および/または1つ以上の展開可能アームを含むことによって拡張可能であってもよい。治療要素320および/または321は、適合性または非適合性構造、例えば、適合性または非適合性バルーンを備えてもよい。適合性治療要素は、標的組織および標的組織に近接する組織の可変微細構成に適合するように構築および配列される。治療要素320および/または321は、例えば、管腔のより大きいおよびより小さい直径部分内を前進または後退させられるとき、拡張または収縮するように構成されてもよい。胃腸用途に対して、治療要素320および/または321は、典型的には、少なくとも1cmの直径、より典型的には、少なくとも2cmの直径まで拡張するように構成される。治療要素320および/または321の拡張は、典型的には、シャフト311の遠位部分が、身体アクセスデバイス、例えば、内視鏡または腹腔鏡ポートを出た後に実施される。治療要素320および/または321は、拡張以外の手段を介して、組織と接触されてもよく、例えば、シャフト311の遠位部分は、例えば、偏向要素318の起動を介して半径方向に偏向され得る。偏向要素318は、典型的には、シャフト311を偏向させるように張力がかけられる引張ワイヤ(例えば、デバイス301の近位端上のレバーまたは他の制御部を起動させることによって)、またはシャフト311内に挿入される湾曲マンドレル(例えば、室温から体温に遷移されると、湾曲するように構成されるニチノールまたは他の形状記憶合金シャフト)を備える。
【0149】
治療要素320および/または321は、分離距離(例えば、治療要素320および/または321と標的組織10との間の距離)を通してエネルギーを送達するように構成されてもよく、例えば、治療要素320および/または321と標的組織10との間の液体またはガス等の間隙を通してレーザまたは超音波エネルギーが送達される。
【0150】
エネルギーは、異なるおよび/または所望の治療結果を達成するように、連続的および/または可変形式および/またはレベルにおいて送達されてもよい。エネルギー送達は、例えば、パルス幅変調および/または時分割多重化(TDM)を使用することによって、パルス状形式で提供されてもよい。エネルギー送達は、単一エネルギー印加の間に可変であってもよく、例えば、エネルギー送達要素は、以下の
図8Aを参照して説明されるように回転および/または並進する。
【0151】
エネルギー送達は、以下の
図7を参照して詳細に説明されるように、閉ループ様式で提供されてもよい。エネルギー送達量および持続時間は、システム300の1つ以上のセンサ、例えば、機能的要素315からのフィードバックに基づいてもよい。センサは、送達されるエネルギーの量、送達されるエネルギーの累積量、エネルギー浸透の深さ、得られる治療の深さ、組織温度、組織の物理特性、例えば、色、およびこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない1つ以上のシステムまたは患者パラメータを監視するように構成されてもよい。
【0152】
治療要素320および/または321は、1つ以上の形態のエネルギーを送達するように構成されてもよい。送達される典型的エネルギーとして、電磁エネルギー、例えば、高周波(RF)およびマイクロ波エネルギー、プラズマエネルギー、例えば、凝固のために使用されるアルゴンプラズマエネルギー、音エネルギー、例えば、超音波エネルギー、光エネルギー、例えば、レーザ光エネルギー、赤外線光エネルギーおよび可視光エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、例えば、熱または低温エネルギー、機械的エネルギー、例えば、1つ以上の切断および/または研削要素によって送達される機械的エネルギー、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。治療要素320および/または321は、イオン導入、例えば、不可逆的イオン導入を実施するように構成されてもよい。治療要素320および/または321は、超音波導入、例えば、不可逆的な超音波導入を実施するように構成されてもよい。治療要素320および/または321は、複数のエネルギー送達要素、例えば、複数の電極(例えば、RF電極)、複数の結晶(例えば、超音波結晶)、複数の切断表面、および同等物を含んでもよい。複数のエネルギー送達要素は、アレイの形態、例えば、それぞれ、以下の
図10および11を参照して説明される高温バルーンおよびRF電極の拡張可能アレイであってもよい。
【0153】
電磁エネルギー、例えば、高周波(RF)およびマイクロ波エネルギーは、治療要素320および321のうちの1つ以上によって送達されてもよい。電磁エネルギーは、例えば、以下の
図4を参照して詳細に説明される単極モードまたは双極モードにおいて、1つ以上の電極を通して送達されてもよい。双極エネルギーは、例えば、非標的組織への損傷を回避するために制限される必要があるエネルギーの送達のために使用されてもよい。双極技法の使用は、望ましくない区域内において組織加熱が実行される機会を低減させるか、または別様に、望ましくない区域内における電流を防止することができる。複数のエネルギー印加は、例えば、徐々により深い組織層を治療するために実施されてもよい。第1、第2(および、可能性としてそれ以降の)エネルギー印加は、異なる持続時間または電力レベルであってもよい。第1の印加は、より深い貫通のために、より高いエネルギーを伴ってもよい。第2の印加は、より低いエネルギーを伴ってもよく、エネルギー送達のより高い空間分解能を可能にし得る。一方または両方の印加は、単極送達、双極送達、または両方の組み合わせを含んでもよい。非電離放射線が好ましくあり得るが、電離放射線が使用されてもよい。
【0154】
電磁エネルギー送達は、マイクロ波周波数範囲内で使用されてもよい。マイクロ波エネルギーの使用は、組織を切除するために、熱伝導性を回避することが望ましいときに含まれてもよい。マイクロ波エネルギーは、組織の高速および指向性加熱を達成するために採用されてもよい。
【0155】
組織切除(すなわち、組織除去)、組織収縮、および止血は、低電圧非プラズマ形成組織加熱状態(例えば、組織凝固を生じさせる)から、非標的組織の最小の壊死を伴って組織を高速で切断または摘出することができるより高い電圧のプラズマ形成状態に及び得る、電磁エネルギー送達を使用して実施されることができる。生理食塩水が、標的組織10に近接して送達され、例えば、1つ以上の電極を冷却するか、および/またはより高い伝導性によってエネルギー送達を増加させてもよい(例えば、加熱を改善する)。RFエネルギー送達は、典型的には、周波数100kHz~500kHzで送達される。非プラズマ環境は、より低い電圧、典型的には、約65ボルトrms~125ボルトrmsを下回って生じる。
【0156】
プラズマ発生技術の使用は、高周波デバイスの先端に位置する単一の活性電極または活性電極群と、戻り電極(例えば、以下の
図4を参照して説明されるように、同一のデバイスまたは皮膚電極上により近位に位置する電極)との間に電場を産生するステップを含んでもよい。この構成では、電流は、典型的には、電気伝導性溶液、例えば、標的組織場所に近接して注入された生理食塩水を通して流動する。電圧、典型的には、150V~350Vが1つ以上の先端電極と戻り電極との間に印加される。この電場は、下層流体(例えば、生理食塩水)と相互作用し、流体中の電解質および分子を励起させ、プラズマと呼ばれる高密度エネルギー場を生成する。プラズマ場は、軟組織分子結合を破壊するために十分なエネルギーを有する励起された粒子を含有し、したがって、比較的に低温で組織を分解する際に効果的である状態をもたらす。ガス層の形成は、プラズマ形成状態につながる重要なプロセスである。電極におけるガス形成は、電極の表面における電気化学プロセスの結果である。蒸気層が形成される(および、生理食塩水と比較して、高インピーダンスの蒸気層が生じる)につれて、この区域を横断する電場は、劇的に増加し、蒸気層中の水分子をイオン化および断片化し、プラズマ場を形成する。この処理は、より低いエネルギー治療によって、大きな組織表面積を治療するために適用されてもよい。プラズマエネルギーは、治療要素320および321のうちの1つ以上によって送達されてもよい。
【0157】
音エネルギー、例えば、超音波エネルギーまたは亜音速エネルギーは、治療要素320および321のうちの1つ以上によって送達されてもよい。ある超音波デバイス、例えば、ハーモニックスカルペルが、治療の送達のために使用されてもよい。超音波要素は、組織の加熱をもたらすキャビテーションを生じさせ、水を急速に拡張させ、細胞を最終的に破裂させるように構成されてもよい。圧電要素、結晶または他の亜音速、および/または超音波変換器は、治療が要求される区域に近接して配置され、精密なエネルギー送達および非標的組織への最小の熱損傷を可能にし得る。治療要素320および/または321は、高密度焦点式超音波(HIFU)送達要素を備えてもよい。そのような実施形態では、2つ以上の超音波ビームが交差し、エネルギーの合流をもたらし、例えば、表面下の標的組織を治療してもよい。
【0158】
光エネルギー、例えば、レーザ光エネルギー、赤外線エネルギー、および/または可視光エネルギーは、治療要素320および321のうちの1つ以上によって送達されてもよい。薬剤が標的組織に塗布されてもよく、および光エネルギーが治療される組織に送達されてもよい。一実施形態では、薬剤は、標的組織に局所的に塗布される外因性発色団を備える。
【0159】
レーザエネルギーは、治療要素320および321のうちの1つ以上によって送達されてもよい。任意のEMスペクトルレーザがエネルギー源として使用されてもよい。例示的レーザは、CO2レーザである。CO2レーザは、高水分吸収を確実にし、例えば、組織への望ましくない熱損傷を最小にし得る。CO2レーザの使用はまた、制限された止血を確実にし、新しい粘膜が、より急速に再度取り込まれ得るように、ある粘膜下層が影響を受けないようにし得る。血液によって高度に吸収され得る、532またはKTPレーザ(Nd:Yagレーザ)532NM波長は、高度に血管が発達した組織において使用されてもよい。レーザエネルギーの短パルス化は、周囲組織に影響を及ぼすことなく、血管を標的化し得る。レーザは、その血液供給を除去するか、または別様に影響を及ぼすことによって組織を治療するように構成されてもよい。Erbium:YAGまたはErbium:YSGGレーザ、および同等物(2.94ミクロンのレーザ波長に近い)もまた、使用されてもよい。これらのレーザは、より高い水分吸収性を提供し得、薄いまたは浅い区画を含む標的組織部分と併用されてもよく、例えば、細胞の薄層が一度に除去されるとき、組織の再表面化のために使用される。これらのタイプのレーザはまた、最小の止血をもたらし得る。パルス状ホルミウムレーザ、例えば、2ミクロンレーザが、使用されてもよい。これらのレーザは、高い水分吸収性を提供する。これらのレーザのパルス化は、大量の入力エネルギーを要求し得る。約2ミクロンのCWレーザもまた、使用されてもよい。一実施形態では、レーザ波長は、例えば、熱壊死の増加および止血の増加をもたらすために、水分ピークに近いが、それに等しくはないように選定される。
【0160】
概して、水分吸収曲線のピーク、またはピークの近傍、例えば、1.96ミクロンにおけるピーク、2.94ミクロンにおけるピーク、および10.6ミクロンにおけるピーク、またはピークの近傍にある波長を有するレーザが選定されてもよい。要件に基づいて、切除および壊死(熱損傷)の組み合わせもまた、所望され得る。熱損傷および切除の組み合わされた効果は、感染症の危険性を緩和する際に有用であり得る。800nm、980nm、および種々の他の波長1300nm~2000nmのダイオードレーザが組織を凝固させるために使用されてもよい。1064nmにおけるNd:Yagレーザもまた、組織を凝固させるために使用されてもよい。貫通の深さは、レーザの選定波長に依存し得る。エキシマレーザ(PRKおよびLasic)、塩化キセノン、およびフッ化アルゴンが、分子解離のために使用されてもよい。これらのレーザは、非標的組織に熱損傷を及ぼさない、組織治療(例えば、切除)の非常に精密な区域を確実にし、それによって、綺麗な切れ口を達成し得る。これらのレーザは、内皮層または他の組織層の除去を補助し、例えば、隣接する区域(例えば、異なる特性を有する隣接する区域)からの標的組織層の急速再増殖を助長し得る。多数のタイプのレーザが使用されてもよく、希土類ドープ結晶レーザ、ガスレーザ、例えば、アルゴンまたはクリプトンガスレーザ、液体レーザ、例えば、色素レーザ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0161】
赤外線エネルギー、例えば、700nm~2000nmの波長の光、または所望の組織治療をもたらし得る、これらの波長の組み合わせが、治療要素320および/または321に送達されてもよい。可視光、約530nmもまた、使用され得る。狭波帯が所望される場合、非レーザ源、例えば、典型的には、フィルタを含むキセノンランプが含まれてもよい。
【0162】
薬剤、例えば、化学物質、および/または化学エネルギーが、治療要素320および321のうちの1つ以上によって送達されてもよい。本発明の概念のある実施形態では、化学物質は、標的組織、例えば、十二指腸粘膜またはその幹細胞を除去または切除するために使用されてもよい。化学溶離剤、例えば、酸、フェノール、およびフェノール/クロトンが、治療要素320および/または321によって、例えば、薬物送達要素、例えば、ノズル、出口ポート、または膜を通して送達されてもよい。光力学的療法(光への暴露によって、化学反応を生成する)が、1つ以上の薬剤を活性化するために使用されてもよい。化学薬剤は、エネルギー送達を可能または改善するために送達されることができる。一実施形態では、薬剤は、組織修飾剤、例えば、標的組織表面に塗布されるか、または標的組織内に注入される色素もしくは他の薬剤を含む。この特定の薬剤は、エネルギー送達手技の間に活性化され、例えば、組織の精密な切除を実施するように構成されてもよい。例えば、標的組織は、化学物質(例えば、メチレンブルー)によって染色され得、次いで、その化学色素によって優先的に吸収されるエネルギー源が使用され得る。本実施形態では、加熱は制限され、したがって、治療区域は、精密であり、染色された組織の狭い深さに制限されることができる。光力学または超音波のための標的であり得る発色団が、採用されてもよい。
【0163】
熱エネルギー、例えば、熱エネルギーは、高温液体充填バルーン、加熱可能ケージ、加熱されたカッタ(例えば、メス)またはワイヤ、および同等物によって送達されてもよい。一実施形態では、治療要素320および/または321は、高温流体、例えば、高温水、生理食塩水またはグリセリン、または高温ガス、例えば、蒸気で充填される、および/または充填可能なバルーンを備える。バルーンは、標的組織表面に容易に適合するように構成されてもよい。バルーンの圧縮特性は、薄型デバイスを可能にする(例えば、内視鏡の管腔を通して挿入される)一方、大管腔または他の区域、例えば、十二指腸の管腔内への拡張に対応する。加熱および/または冷却された流体を治療要素320および/または321内に導入し、例えば、標的組織のための可変加熱および冷却治療をもたらすことができる。組織治療の精度は、可変温度アプローチによって達成されてもよく、例えば、システム300は、組織温度、治療要素320および/または321の温度、および/または治療要素320および/または321に送達される流体の温度を監視する1つ以上の温度センサを含む。治療は、複数の熱印加ステップを含んでもよく、例えば、複数のステップは、類似または異なる温度で実施される。
【0164】
一実施形態では、磁気粒子が、標的組織内、その上、その近傍に留置され、磁場を使用して粒子を加熱し、組織を切除する。粒子は、ナノ粒子の溶液として構成されてもよく、十二指腸組織内のみに発現される受容体を含んでもよい。MRIまたは他の磁場産生デバイスを使用して、選択的にこれらの粒子を加熱し、したがって、選択的に十二指腸114を加熱することができる。十二指腸114内の分子標的もまた、例えば、優先的に分子標的に結合する、標的部分に付着されるMRI吸収粒子の使用を通して、実施されてもよい。標的組織区域または他の患者身体場所内への送達後、これらの粒子は、標的に結合し、MRIまたは他の磁場が印加され、標的および周囲細胞を加熱してもよい。
【0165】
熱エネルギー、例えば、低温エネルギーが、治療要素320および321のうちの1つ以上によって送達されてもよい。これらの実施形態では、低温源、例えば、CO2、アルゴン、亜酸化窒素、液体窒素、および同等物源が、標的組織を治療するために利用されてもよい。
【0166】
機械的エネルギーは、切断バルーンまたはケージ、研削コーティングを有する拡張可能要素、表面治療および/または被覆(例えば、以下の
図12を参照して説明される、研削メッシュ被覆を有するバルーン)、および同等物によって送達されてもよい。一実施形態では、治療要素320および/または321は、研削材が埋め込まれているテレフタル酸ポリエチレン(PET)バルーンを備える。研削要素または表面は、微小研削要素または表面を備えてもよい。
【0167】
多数の研削デバイスおよび要素(例えば、皮膚剥離要素)が、治療要素320および/または321内に含まれてもよい。これらの研削要素は、標的組織の表面に適用され(例えば、腸壁に並置され)、回転または並進運動が適用されるとき、標的組織を治療してもよい。本願では、研削は、腸壁に並置される粗い表面を摩擦させるか、または刃または半鋭利要素を腸壁に沿ってこすり付けるステップを含む。切断は、例えば、切除または先行する研削手技を介して、以前に治療された組織を摘出または別様に除去するために使用されてもよい。
【0168】
別の実施形態では、治療要素320および/または321は、高速の流体噴流ノズル、例えば、水、空気、CO2、および/または蒸気のパルス状の指向された噴霧を送達するように構成され、および標的組織を治療する、例えば、標的組織細胞を非機能的にするように構成されるノズルを備えてもよい。本実施形態では、流体噴流は、物理的に、その原位置から標的組織層および細胞を除去し得る。
【0169】
図3のシステム300は、埋め込まれる構成要素またはデバイスを含まず、身体挿入デバイスのみが、臨床手技の終了時に除去され、例えば、デバイスは、挿入から8時間以内に、挿入から24時間以内に、および/または挿入から1週間以内に除去される。代替実施形態では、インプラントが含まれてもよい。インプラントとして、ステント、外筒、薬物送達デバイス、例えば、コーティングされたステント、コーティングされた外筒および/または埋め込まれたポンプ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0170】
本発明の概念のデバイスは、標的組織を治療するように構築および配列される1つ以上の治療要素、例えば、
図3の治療要素320および321を含む。治療のための選択される標的組織は、治療されるべき患者の1つ以上の疾患または障害を含む、いくつかの要因に依存し得る。患者の解剖学的または生理学的状態もまた、治療のために選択される標的組織、および/または治療されるべきではない特定の組織(非標的組織)に影響を及ぼし得る。治療されるべき典型的な疾患および/または障害として、1型および2型糖尿病を含む糖尿病、高コレステロール血症、メタボリック症候群、疾患、セリアック病、肥満、癌、例えば、気管支肺胞癌、膀胱炎、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。そのような患者の解剖学的または生理学的状態として、高血糖性高浸透圧性状態(以前は、高浸透圧性非ケトン性昏睡として知られる)、糖尿病性ケトアシドーシス、インスリン抵抗、糖尿病前症、高トリグリセリド血症、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0171】
図3Aは、治療のための標的組織として選択され得る胃腸管の長手方向領域を図式的に図示する。他の身体場所も、加えて、または代替として、1つ以上の疾患または障害を治療するために、選定されてもよい。他の身体場所は、胃、十二指腸、および空腸のような中空身体器官であってもよく、比較的に平坦(すなわち、非管状)組織表面を含んでもよい。一実施形態では、標的組織は、例えば、糖尿病、高コレステロール血症、メタボリック症候群および/または疾患、肥満、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を治療するために、胃腸管の1つ以上の区画を含む。標的組織は、例えば、1型および/または2型糖尿病患者を治療するために、十二指腸の少なくとも一部分を含んでもよい。2型糖尿病は、患者のインスリン産生能力は、通常またはほぼ通常に機能しているときのインスリン抵抗によって特徴付けられる。血液グルコースは、十二指腸粘膜内の異常ホルモン産生のため、非糖尿病患者におけるように応答しない。摂取されたグルコースは、消化管を通過するにつれて、腸の種々の領域内に複合吸収および信号伝達パターンをもたらし得る。血糖を低下させ、2型糖尿病を治療することを対象とする治療は、胃腸管の1つ以上の部分内の標的組織を治療することによって、達成することができる。標的組織治療は、グルコースの吸収を改変し、および/またはグルコース信号に応答した腸粘膜の細胞から、および/またはその間の粘膜信号伝達を改変する。十二指腸粘膜の治療は、2型糖尿病患者のインスリン抵抗を減少させ、血液グルコース制御を改善し得る。
【0172】
標的組織は、回腸末端を含み、近位回腸および/または結腸内に延在してもよい。コレステロールおよび胆汁塩は、主に、回腸末端内に位置するコレステロールおよび胆汁受容体を介して消化管から体内に吸収される。回腸末端の治療は、腸のこの領域からのコレステロールおよび胆汁酸の吸収を改変し、全下流信号伝達を有意に改変し得る。回腸末端内のコレステロールおよび胆汁塩の吸収は、グルコース恒常性ならびにコレステロールレベルに影響を及ぼすことが知られているので、回腸末端の治療は、2型糖尿病ならびに高コレステロール血症の治療において採用されてもよい。標的組織は、例えば、肥満および/または食欲障害を治療するために、食欲を調整するグレリンおよび/または他のホルモンを産生する領域から延在する胃粘膜を含んでもよい。さらに別の実施形態では、標的組織は、例えば、間質性膀胱炎、膀胱癌、膀胱ポリープ、または膀胱の前癌病変を治療するために、膀胱壁組織を含んでもよい。標的組織は、例えば、残存癌細胞を排除し、癌除去における十分な断端の可能性を改善するために、大規模または扁平結腸ポリープまたはポリープ切除術後の断端組織を含んでもよい。標的組織は、例えば、気管支肺胞癌、他の肺癌、または前癌病変を治療するために、ウ1つ以上の気道内部を含んでもよい。治療される気道内部は、病理学的病変がない新しい細胞層と置換され得る。標的組織は、炎症性大腸炎、例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎に罹患した腸管の区画を含んでもよい。標的組織は、口腔の口腔癌または前癌病変を治療するために、口腔の区画を含んでもよい。標的組織は、鼻ポリープを治療するために、鼻咽頭を含んでもよい。
【0173】
標的組織は、例えば、セリアック病を治療するために、選択されてもよい。セリアック病では、腸粘膜は、鈍的絨毛および栄養素を吸収する能力の低下によって特徴付けられる。粘膜の治療は、腸の吸収性機能を回復させる。セリアック病はまた、腸障壁機能の障害によって特徴付けられ、腸壁浸透性および細胞間空間中への高分子の通過をもたらし、自己免疫応答を誘引する(Fasano 2005)。腸粘膜の治療は、腸障壁機能を改善させる。
【0174】
図3Aの実施形態に示されるように、標的組織区域Aは、胃の遠位部分から十二指腸の近位部分まで及ぶ長手方向組織部分を含んでもよく、この標的組織区域Aは、幽門を含む。標的組織区域Bは、十二指腸のある区画に及ぶ長手方向部分を含む。標的組織区域Cは、十二指腸の遠位部分に及ぶ長手方向部分を含む。本発明の概念の実施形態の一側面は、標的組織の選択を含む。標的組織の選択は、治療されるべき組織の肉眼的解剖学的および/または機能的境界、例えば、十二指腸とGI管の他の隣接する構成要素との間の解剖学的および機能的境界、または十二指腸自体の4つの部分間の境界の検討を含む。一実施形態では、選択される標的組織は、少なくとも、十二指腸の全長を含む。胃の遠位部分および/または空腸の近位部分もまた含まれてもよい。一実施形態では、幽門とトライツ靱帯との間の組織(十二指腸-空腸接合部)が治療される。
【0175】
その長手方向場所に加え、治療されるべき組織の円周の幅または部分が、選定されなければならない。標的組織が、十二指腸および/または空腸の一部分を含む、典型的実施形態では、全周(例えば、360°)治療が実施される。代替実施形態では、標的組織の長さの少なくとも一部分は、部分的円周方向(例えば、360°未満)治療を受容する。一実施形態では、標的組織は、十二指腸の長さの大部分を含み、標的組織の深さは、標的長さに沿って、全360°を含む。別の実施形態では、ファーター膨大部に近接する部分的な円周方向部分は、解剖学的場所へのいかなる損傷も防止または減少させるように治療される。さらに別の実施形態では、膵臓に当接または別様に近接する、十二指腸壁の一部分における部分的円周治療は、膵臓の過熱および膵炎の危険性増加を防止するように実施される。
【0176】
標的組織の長さ(例えば、長手方向部分)および幅(例えば、円周方向部分)に加え、長さおよび幅の場所に沿って深さが選定されなければならない。選定される深さまたは複数の深さは、大きさが比較的に均一(例えば、数ミリメートルの深さ)であってもよく、または選定される深さは可変であってもよい。選定される深さは、実際の距離ではなく、組織のタイプに関連してもよく、例えば、深さは、それらの完全または部分層の実際の厚さに関係なく、組織層、例えば、完全または部分的粘膜または粘膜下層の厚さを表す。標的組織が十二指腸および/または空腸の一部分を含む、典型的実施形態では、組織層の層または一部分が選定される。一実施形態では、標的組織は、十二指腸の長さの大部分を含み、全360°円周治療は、陰窩基底部に配置される幹細胞および/または一過性増殖細胞を含む標的長さに沿った粘膜層の少なくとも全部を含む。一実施形態では、例えば、糖尿病の治療のためには、完全粘膜層および粘膜下層の少なくとも一部分(
図2に示されるような層203)、例えば、粘膜下層203の少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも25%、または少なくとも50%が、標的組織である。
【0177】
標的組織の場所、長さ、幅、および/または深さの選択は、典型的には、治療されるべき組織の区域内に、所望の治療変化をもたらすように選定される。一実施形態では、組織は、置換組織が元の標的組織と異なる様式で機能するように治療される。標的区域は、後続治癒プロセスにおいて、十二指腸および/または十二指腸の近位および遠位の胃腸管の一部分の種々の治療において、新しい組織が1つ以上の患者疾患または障害、例えば、糖尿病を緩和および/または排除するように治療されてもよい。十二指腸の新しい粘膜組織の再増殖を助長するか、またはそれをもらすことは、本発明の概念のいくつかの実施形態における、治療目標である。十二指腸粘膜の再増殖は、「より健康的」または「より正常な」粘膜をその場所に復元させるためにもたらされ得る。他のそのような実施形態では、治療された区域の再増殖は、1つの側に胃粘膜および他の側に空腸粘膜からの新しい粘膜の移動を備えてもよい(例えば、両端の粘膜を取り込む幹細胞が、その天然の生理学的状態を留保し、本質的に、十二指腸粘膜を胃および空腸粘膜のうちの一方またはそれらの混合物と置換し得るため)。故に、そのような実施形態では、標的化のステップは、十二指腸粘膜ならびに空腸のある区画内への十二指腸接合部までのおよび/またはそれを越えた連続的区域を含み、それによって、空腸粘膜を含む、治療するための区域を選択するステップを含む。この標的治療区域は、除去された十二指腸粘膜の代わりに、空腸型粘膜の再増殖を助長するであろう。代替として、治療された区域の再増殖は、十二指腸粘膜の近位および/または遠位部分からの新しい粘膜の移動を備えてもよい(例えば、十二指腸粘膜を取り込む幹細胞が、これらの近位および/または遠位部分において、治療された十二指腸粘膜より好ましい機能を有するため)。本発明の概念のシステムおよび方法は、修正された組織がそれに代わり、例えば、患者の疾患または障害を治療するように、標的組織を治療する。
【0178】
ある用途に対して、組織の腸内分泌細胞特性の修正が、所望される。新しい組織は、前述のように、粘膜組織であってもよいが、代替として、線維または瘢痕組織、あるいは粘膜細胞および他の細胞のいくつかのハイブリッド、あるいは治癒プロセスから生じるいくつかの他の組織タイプであってもよい。糖尿病および/または肥満の治療のために、置換組織は、新しい粘膜組織内の異なるタイプの腸内分泌細胞の量および分泌によって決定されるように、治療前組織と異なるホルモン機能を有する。代替として、または加えて、糖尿病および/または肥満の治療は、異なる吸収特性を有する置換組織を含む。高コレステロール血症の治療のために、回腸末端内の置換組織は、新しい回腸末端粘膜組織内の吸収性細胞の量およびタイプによって決定されるように、治療前組織と異なる吸収特性(例えば、コレステロールの異なる吸収性)を有する。
【0179】
他のそのような実施形態では、標的化のステップは、十二指腸粘膜ならびに胃との境界の幽門までのおよび/またはそれを越えた連続的区域を含み、それによって、胃粘膜を含む、治療するための区域を選択するステップを含む。この区域の標的化は、除去される十二指腸粘膜の代わりに、胃型粘膜の再増殖を助長する。
【0180】
他のそのような実施形態では、治療された十二指腸粘膜の代わりに、十二指腸の一部分からの十二指腸粘膜の増殖を促進することが(別の部分に)、望ましくあり得る。そのような実施形態では、したがって、標的化のステップは、十二指腸粘膜ならびに十二指腸の部分間の境界までのおよび/またはそれを越えた連続的区域を含み、それによって、十二指腸の異なる部分からの十二指腸粘膜を含む、治療するための区域を選択するステップを含む。前述の標的化シナリオのいずれの組み合わせもまた、実施されてもよい。
【0181】
治療される標的組織は、組織の連続するもしくは断続する長さ、幅(例えば、円周方向部分)、または深さ(例えば、層)を含む、組織の連続部分または組織の断続部分を含んでもよい。標的組織は、複数の長さ、複数の断面部分、および/または複数の深さを含んでもよい。標的組織は、複数のステップにおいて治療されてもよい。治療される組織の第1の治療長さ、幅、および/または深さは、治療される組織の第2の治療長さ、幅、および/または深さと重複してもよい。第1の治療は、第2の治療と類似または異なってもよく、例えば、差異は、治療される標的組織の区域、治療される標的組織の深さ、治療される標的組織の円周方向部分、エネルギー送達タイプ、エネルギー送達速度および/または量、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0182】
標的組織の治療に加え、本発明の概念のシステムの治療要素または他の構成要素はさらに、非標的組織の治療または別様に悪影響を及ぼさないように構築および配列されてもよい。腸の治療のために、非標的組織は、典型的には、腸の外側層、漿膜を含む。腸治療のための非標的組織はまた、典型的には、ファーター膨大部および膵臓を含む。非標的組織は、粘膜下層203の筋層および/または最外層を含んでもよい。非標的組織のための他の場所として、胆管、幽門、1つ以上の器官、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0183】
標的組織は、その治療が所望の治療利益を生じさせる組織に加えて、治療が全くまたは最小の悪影響を及ぼす近隣組織を備える安全域を含んでもよい。例えば、糖尿病のための治療では、全十二指腸の粘膜層(または、十二指腸のある区画)の除去は、粘膜下層の除去を伴わずに、所望の治療利益を達成してもよい。しかしながら、標的組織は、粘膜下層の治療が最小の悪影響を及ぼすので、粘膜下層の全部または一部分を含んでもよい。少なくとも、粘膜下層の最内部分層は、安全域として使用され、標的組織内のその含有は、完全粘膜層が治療されることを確実にする。安全域内において要求される治療の精度は、したがって、低減され、治療要素、例えば、エネルギー送達治療要素の機能を簡略化する。本実施形態では、治療組織の深さは、粘膜層の全部に加え、粘膜下層の少なくとも一部分を含み、この組織の深さは、決定された長さ(例えば、少なくとも、十二指腸の全長)および決定された幅(例えば、決定された長さに沿って全360°)に対して治療される。
【0184】
粘膜下層、例えば、筋層および漿膜を越えた層は、これらの区域内の治療が、望ましくない効果(例えば、腸の穿孔)を生じさせ得るので、非標的組織と決定され得る。治療のために選択される標的組織の長さ(例えば、選択される胃腸管の長さ)は、前述のように選択される治療の深さと同様であってもよい。再び、糖尿病の治療のために、十二指腸の全体長さが、十二指腸の近位および遠位の組織の除去を伴わずに、所望の治療利益を達成してもよい。しかしながら、標的組織は、十二指腸の近位の組織の一部分(すなわち、幽門の全部または一部分)、および十二指腸の遠位の組織の一部分(すなわち、空腸の一部分)を含み、例えば、十二指腸の全長が治療されることを確実にしてもよい。そのような完全十二指腸治療は、十二指腸粘膜再増殖が、空腸および胃または幽門(すなわち、任意の未治療十二指腸粘膜からではなく)からの組織移動のみを備えることを確実にし得る。治療パラメータ、例えば、エネルギー送達パラメータは、治療されるべき組織の導管の長さに沿って調節され、例えば、可変組織タイプおよび密度、可変壁厚等に対応してもよい。例えば、遠位十二指腸は、典型的には、近位十二指腸壁より薄い壁を有する。遠位十二指腸における治療は、十二指腸の近位部分における治療よりも低い温度で、より低いエネルギーレベルで、および/またはより短い持続時間の間に、実施される場合がある。
【0185】
図4は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するためのシステムの概略図を図示する。システム300は、
図3Aを参照して前述のように、1つ以上の組織部分を含む標的組織10を治療するように構築および配列される。システム300は、シャフト311aおよび311bを備える複数のフィラメント細長デバイス301を含む。シャフト311aは、遠位端312を有する。シャフト311aおよび311bは、シャフト311aが、シャフト311bによって摺動可能に受容されるように寸法設定および構成される。シャフト311aおよび311bは、内視鏡350の作業チャネル(例えば、6mm作業チャネル)、管腔351を通して挿入されている。シャフト311aおよび311bは、遠位端312から出るように示されるガイドワイヤ、例えば、ガイドワイヤ371を経由して挿入されてもよい。デバイス301はさらに、それぞれ、シャフト311aおよび311bに搭載される、2つの拡張可能組織治療要素、拡張可能研削要素322aおよび拡張可能エネルギー送達要素322bを含む。シャフト311aおよび311bは、それを通して通過する1つ以上の管腔を含んでもよく、データおよび/またはエネルギーの転送のためのワイヤまたは光ファイバを備えてもよい。
【0186】
内視鏡350は、標準的内視鏡、例えば、標準的胃腸内視鏡、またはカスタマイズされた内視鏡、例えば、本発明の概念の組織治療に関連する情報を提供するように構成されるセンサ353を含む内視鏡であってもよい。システム300のセンサ353および他のセンサは、熱センサ、例えば、熱電対、インピーダンスセンサ、例えば、組織インピーダンスセンサ、圧力センサ、血液センサ、光学センサ、例えば、光センサ、音センサ、例えば、超音波センサ、電磁センサ、例えば、電磁場センサ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されるセンサであってもよい。センサ353は、システム300の1つ以上の構成要素に情報を提供し、例えば、標的組織10の治療を監視し、および/または標的組織10を閉ループ方式で治療するように構成されてもよい。内視鏡350は、標的組織10の治療前、その間、またはその後、例えば、内視鏡350および/またはシャフト311aおよび311bの挿入または除去の間、300のオペレータによって使用されるカメラ352、例えば、可視光、超音波および/または他の可視化デバイスを含んでもよい。カメラ352は、内部身体空間および組織、例えば、胃腸管の内部器官の直接可視化を提供してもよい。内視鏡350は、ガイドワイヤと連結されるか、または別様にそれを含み、例えば、空腸内への内視鏡350の挿入を可能にしてもよい。
【0187】
システム300は、身体管腔の吹送を実施するように構成されてもよい。身体管腔は、例えば、1つ以上の標準的吹送技法および/または以下の
図5、8A、および8Bを参照して説明されるような技法を使用することによって、加圧されてもよい。吹送流体は、内視鏡350の管腔354を通して挿入されてもよい。管腔354は、近位に進行し、図示されないが、典型的には、空気、CO
2、および/または水源である吹送液体またはガス源に接続する。代替として、または加えて、吹送流体は、デバイス301によって、例えば、シャフト311aおよび/または311bを通して、あるいは治療要素322aおよび/または322b内のポートを通して送達されてもよく、ポートは図示されないが、同様に図示されない吹送液体またはガス源に流動的に取り付けられる。代替として、または加えて、内視鏡350を通して挿入されるか、または内視鏡350に沿って配置されるように構成される別個のデバイスは、吹送流体を送達するように構成される1つ以上の管腔を有してもよい。システム300は、1つ以上の閉塞性要素またはデバイス、例えば、拡張可能治療要素322a、または図示されないが、半径方向に拡張するように構成され、例えば、吹送圧力が達成され、および/または経時的に維持されるように(例えば、吹送流体の望ましくない移動を減少または防止する)、身体管腔を完全または部分的に閉塞させる別の拡張可能デバイスを含んでもよい。1つ以上の閉塞性要素またはデバイスは、吹送されるべき管腔区画の近位および/または遠位に配置されてもよい。
【0188】
本発明の概念の治療要素、例えば、
図4の治療要素322aおよび/または322bは、固定した直径を有してもよく、または拡張可能であってもよい。拡張可能要素は、膨張可能バルーン、拡張可能ケージ、半径方向展開可能アーム、および同等物を備えてもよい。治療要素は、エネルギー送達要素または要素のアレイ、例えば、展開可能ケージに搭載された電極のアレイを含んでもよい。エネルギー送達要素は、
図3を参照して前述されたように、1つ以上の異なる形態のエネルギーを送達するように構成されてもよい。エネルギーは、一定もしくは可変の大きさまたは他のエネルギーレベルで送達されてもよい。エネルギーは、連続またはパルス状であってもよく、閉ループ方式で送達されてもよい。エネルギー送達は、第1の組織場所から第2の場所まで可変であってもよく、例えば、第2の治療される場所が第1の治療される場所よりも薄いとき、第1の治療される場所から第2の治療される場所までエネルギーが低下する。代替として、または加えて、エネルギー送達は、例えば、以下の
図8Aおよび8Bを参照して詳細に説明されるように、送達されるエネルギーの量を調節することによって、またはエネルギー送達要素の一部分を移動させることによって、単一組織場所への単一印加の間において可変であってもよい。
【0189】
治療要素322aおよび/または322bは、標的組織の完全または部分的破壊、例えば、十二指腸粘膜の完全または部分的破壊を生じさせるように構成されてもよい。治療要素322aおよび/または322bは、以前に治療されたおよび/または未治療組織を除去するように構成されてもよい。治療要素322aおよび/または322b内に維持される圧力は、治療の深さの調節、機械的研削デバイスによって印加される力の調節、RFエネルギー送達の間に印加されるエネルギーの量の調節(例えば、組織インピーダンスまたは電極接触を変化させることによって)、およびこれらの組み合わせ等、実施されている治療を調節するように設定されるか、および/または可変であることができる。
【0190】
治療要素322aおよび322bは、それぞれ、センサ316aおよび316bを含んでもよい。センサ316aおよび316bはそれぞれ、前述のような1つ以上のセンサであってもよい。センサ316aは、研削要素322aによって実施される組織治療に関連する情報を提供するように構成されるセンサ、例えば、研削要素322aに近接する組織タイプを識別する、例えば、粘膜および粘膜下層組織を識別するように構成される研削要素322aに搭載された可視化センサであってもよい。センサ316bは、エネルギー送達要素322bによって実施される組織治療に関連する情報を提供するように構成されるセンサ、例えば、エネルギー送達要素322bに搭載され、エネルギー送達要素322bおよび/またはエネルギー送達要素322bに近接する組織の温度を監視するように構成される温度センサであってもよい。
【0191】
エネルギー送達ユニット(EDU)330は、
図3を参照して前述されたような1つ以上の形態のエネルギーを送達するように構成されてもよい。一実施形態では、EDU330は少なくとも高周波(RF)エネルギーを送達するように構成され、システム300は、RFエネルギーが、単極送達モードで送達され得るために、患者(例えば、患者の背中)に取り付けられるように構成される接地パッド332を含む。代替として、または加えて、EDU330は、双極RFモードでエネルギーを送達するように構成されてもよく、例えば、要素322bは、RFエネルギーを送達するように構成され、および/またはシステム300は、図示されないが、典型的には、1つ以上の電極または電気伝導性表面を含む第2のエネルギー送達要素を含む。
【0192】
システム300は、典型的には、図示されないが、システム300の1人以上のオペレータが、1つ以上の機能、例えば、1つ以上のシステム入力パラメータの入力、ならびに1つ以上のシステム出力パラメータの可視化および/または記録を実施することを可能にするように構成されるグラフィカルユーザインターフェースを含むコントローラ360を含んでもよい。典型的なシステム入力パラメータとして、送達されるべきエネルギーのタイプ、例えば、RFエネルギー、熱エネルギーおよび/または機械的エネルギー、送達されるべきエネルギーの量、例えば、送達されるべきエネルギーの累積ジュール数または送達されるべきエネルギーのピーク量、送達されるべきエネルギーの組み合わせのタイプおよびレベル、エネルギー送達持続時間、送達されるエネルギーのパルス幅変調率、研削デバイスが横断する往復運動の回数、治療要素のための温度、例えば、標的温度または最大温度、吹送圧力、吹送持続時間、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。システム入力パラメータは、患者生体構造または状態、例えば、粘膜密度および/または厚さ、粘膜下層注入後の粘膜下層の粘膜「剥離」、GI管内の標的組織の長手方向場所、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される手技前または手技中パラメータに基づく情報を含んでもよい。典型的システム出力パラメータとして、温度情報、例えば、組織および/または治療要素温度情報、圧力情報、例えば、バルーン圧力情報または吹送圧力情報、力情報、例えば、組織に印加される力のレベルの情報、患者情報、例えば、1つ以上のセンサによって記録される患者の生理学的情報、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0193】
コントローラ360および/またはシステム300の1つ以上の他の構成要素は、電子機器モジュール、例えば、プロセッサ、メモリ、ソフトウェア、および同等物を含む、電子機器モジュールを含んでもよい。コントローラ360は、典型的には、オペレータが、システム300の種々の構成要素、例えば、コントローラエネルギー送達ユニット330によって、組織の治療を開始、修正、および中止することを可能にするように構成される。コントローラ360は、拡張可能治療要素322aおよび/または322b内の圧力を調節し、例えば、それぞれ、標的組織に印加される研削力および/またはエネルギーを変動させるように構成されてもよい。コントローラ360は、吹送を開始し、および/または吹送圧力を調節するように構成されてもよい。コントローラ360は、例えば、システム300の1つ以上のセンサからの信号に基づいて、1つ以上の組織治療パラメータを修正することによって、エネルギー(例えば、EDU330から)または他の組織治療を閉ループ方式で送達するように構成されてもよい。コントローラ360は、プログラム可能であって、例えば、オペレータが、今後の使用のために、所定のシステム設定を記憶することを可能にしてもよい。
【0194】
コントローラ360およびEDU330は、一定、可変、連続、および断続エネルギー送達プロファイルにおいて、エネルギーを送達するように構成されてもよい。パルス幅変調および/または時分割多重化(TDM)が、エネルギー送達の精度を達成するように組み込まれ、例えば、非標的組織を無傷のまま残しながら、標的組織の切除を確実にしてもよい。
【0195】
システム300は、治療要素322aおよび/または322bに運動を印加するように構成される機構、例えば、運動伝達要素335を含んでもよい。運動伝達要素335は、治療要素322aおよび/または322bが、それぞれ、回転および/または並進させられるように、シャフト311aおよび/または311bを回転および/または軸方向に並進させるように構成されてもよい。運動伝達要素335は、独立して、または連動して、治療要素322aおよび322bを回転させるように構成されてもよい。運動伝達要素335は、1つ以上の回転または線形駆動アセンブリ、例えば、回転モータ、磁気および他の線形アクチュエータ、ならびにシャフト311aおよび/または311bに動作可能に接続される同等物を含むものを含んでもよい。シャフト311aおよび/または311bは、関連付けられた組織治療の間、それぞれ、治療要素322aおよび/または322bを十分に回転および/または並進させるために十分な柱強度および/またはトルク伝達特性を伴って構築される。運動伝達要素335は、コントローラ360と通信し、例えば、運動伝達要素335、したがって、研削要素322aおよび/またはエネルギー送達要素322bの運動を起動、調節、および/または別様に制御してもよい。運動伝達要素335は、手動で駆動されるか、および/または自動的に(例えば、モータ)駆動されてもよい。
【0196】
一実施形態では、研削要素322aを腸内の遠位位置に留置後に、研削要素322aは、一定速度で回転させられ、固定距離の間、一定速度で引き戻され(すなわち、近位に移動させられる)、腸壁から研削される実質的に均一な量の組織を含む螺旋経路を形成する。代替として、研削要素322aは、研削要素322aが、固定治療期間(例えば、時間、圧力等)の間、腸壁の画定された部分を繰り返し研削するように、固定持続時間の間、回転方向に、長手方向に、または両方に振動されてもよい。別の実施形態では、コントローラ360は、ユーザが管腔壁の前後研削に影響を及ぼすように、前後に繰り返し移動させる単純ハンドルを備える。コントローラ360は、手動および動力化特徴の両方を含み、ユーザが、腸のいくつかの部分に対して、動力化治療期間(例えば、固定時間および/または圧力で)を適用し、他の腸区域に対して、手動治療期間を適用することを可能にしてもよい。コントローラ360は、例えば、円周方向研削が、腸のある部分内で達成され、円周の一部分のみ、腸の他の部分、例えば、ファーター膨大部の場所において研削されるようにプログラム可能であってもよい。
【0197】
コントローラ360は、エネルギー送達、例えば、エネルギー送達要素322bへのエネルギー送達を制御するように構成されてもよい。例えば、切除要素322bが、RF電極アレイであり、エネルギー送達ユニット330が、RF発生器を備える場合、コントローラ360は、規定された時間期間の間、特異的な量のRFエネルギーを提供するようにプログラムされてもよい。別の実施例では、エネルギー送達要素322bが、加熱された生理食塩水バルーンである場合、コントローラ360は、所望の温度で、および所望の時間期間の間、例えば、図示されないエネルギー伝達管を通して、加熱された生理食塩水をエネルギー送達要素322bに提供し、回収するように構成することができる。コントローラ360は、オペレータが、最初に、エネルギー送達を開始し、次いで、エネルギー送達要素322bが、ある時間期間の間、組織を切除することを可能にし、その後、オペレータが、エネルギー送達を終了させるように、手動制御のために構成されてもよい。
【0198】
システム300はさらに、1つ以上の撮像デバイス、例えば、撮像デバイス370を含んでもよい。撮像デバイス370は、患者内に挿入されるように構成されてもよく、視覚的光カメラ、超音波撮像機、光コヒーレンス領域リフレクトメトリ(OCDR)撮像機、および/または光干渉断層(OCT)撮像機を備えてもよく、例えば、シャフト311aおよび/または311bと一体型である、それに取り付けられる、その中に含有される、および/またはそれに近接する。撮像デバイス370は、内視鏡350の別個の作業チャネルを通して挿入されてもよいが、管腔は、図示されない。一実施形態では、撮像デバイス370は、図示されないが、シャフト311aによって囲繞され、典型的には、回転および/または並進され、撮像デバイス370を囲繞する区域の多次元画像を生成する、シャフトに接続された超音波変換器である。代替として、または加えて、撮像デバイス370は、患者の外部にあってもよく、例えば、撮像デバイスは、X線、X線透視装置、超音波撮像機、MRI、PETスキャナ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0199】
システム300はさらに、保護キャップ380を含んでもよく、組織に近接して配置され、エネルギー送達または他の組織治療事象の間、ある組織への損傷を防止するように構成される。保護キャップ380は、
図18を参照して以下に詳細に説明されるように、キャップ380がそれを覆って留置され、次いで、ファーター膨大部を保護するように配置され得るように、内視鏡350または別の細長デバイスと嵌合されてもよい。典型的実施形態では、保護キャップ380は、例えば、標的組織の治療後、手技の間に除去されることによって、留置から24時間以内に除去される。
【0200】
システム300はさらに、標的組織区域を拡張するように構成される、組織拡張デバイス390、例えば、以下に詳細に説明される、
図13の組織拡張デバイス390を含んでもよい。組織拡張は、増加したサイズ(例えば、増加した深さ)の標的と、治療が、有意な有害事象を生じさせない、組織の関連付けられた安全域(例えば、粘膜層切除の粘膜下層)によって、治療の精度、例えば、エネルギー送達の精度の必要性を大幅に緩和させることができる。
【0201】
システム300はさらに、1つ以上の医薬品または他の薬剤500、例えば、患者への全身および/または局所送達のために構成される薬剤を含んでもよい。これらの薬剤は、手技前、手技中、および/または手技後、送達されてもよい。薬剤は、治癒を改善するように構成されてもよく、例えば、薬剤は、抗生物質、ステロイド、粘膜細胞保護剤、例えば、スクラルフェート、プロトンポンプ阻害薬または他の酸遮断薬、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。これらの薬剤の代替として、または加えて、手技前および/または手技後、食事療法が、採用されてもよい。手技前食事療法は、低糖質および/または低カロリーの食物摂取を含んでもよい。手技後食事療法は、低カロリーおよび/または低糖質の全流動食または食事を備える、食物摂取を含んでもよい。
【0202】
典型的実施形態では、システム300は、常習的に埋め込まれた構成要素またはデバイスを含まず、身体挿入デバイスのみ、臨床手技の終了時またはその後すぐに、除去され、例えば、デバイスは、挿入から8時間以内に、挿入から24時間以内に、および/または挿入から1週間以内に、除去される。代替実施形態では、インプラント510が、含まれてもよい。インプラント510は、ステント、外筒、および薬物送達デバイス、例えば、コーティングされたステント、コーティングされた外筒、および/または埋め込まれたポンプのうちの1つ以上を備えてもよい。
【0203】
システム300の構成要素はそれぞれ、別の構成要素、特に、コントローラ360、エネルギー送達ユニット330、運動伝達要素335、接地パッド332、ならびに内視鏡350および細長デバイス301に取外し可能に取り付けられてもよい。
【0204】
図5は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するための方法の流れ図を図示する。ステップ410から413は、患者の疾患または障害、例えば、糖尿病を治療するための標的組織、例えば、十二指腸組織または他の組織を治療するための方法を説明する。この特定の実施形態では、標的組織は、複数の組織部分を備える。複数の組織部分は複数の隣接する組織区域、例えば、十二指腸または他の胃腸管腔の複数の連続的円周区画を備えてもよい。第1の治療が、第1の組の組織部分に適用され、続いて、第2の治療が、第2の組の組織部分に適用される。第1の組の組織部分は、典型的には、第2の組の組織部分の全部または一部分を含む。第1および/または第2の治療は、相互に重複する、1つ以上の組織区域を治療してもよい(例えば、組織部分の境界は、治療される区域間の治療されない組織場所を防止するように重複する)。
【0205】
ステップ410において、細長デバイスが、例えば、前もって挿入されたデバイスの管腔を通して、例えば、内視鏡の管腔を通して、患者の体内に挿入される。細長デバイスは、例えば、食道を介して胃を通したアクセスによって、空腸を通して、腹腔鏡下ツールを介して胃を通して、腸側壁を通して外科手術的に、同一のまたは異なる手技において、各端から、同時に、または連続して、胃および空腸を通して、およびこれらの組み合わせにおいて、例えば、十二指腸組織を治療するために、挿入されてもよい。細長デバイスは、内視鏡であってもよく、内視鏡を通して挿入されてもよく、腹腔鏡ポートを通して挿入されてもよく、胃ポートまたは管を通して挿入されてもよく、およびこれらの組み合わせであってもよい。
【0206】
ステップ411において、標的組織および/または標的組織に近接する組織、例えば、標的組織の両側の組織は、例えば、ステップ410において留置された細長デバイスによって、配置されるか、張力がかけられるか、または別様に操作されてもよい。操作は、軸方向直線化、例えば、十二指腸または他の腸組織の直線化、引張、例えば、軸方向および/または半径方向引張、厚さ拡張、例えば、注入された流体(例えば、注入された液体またはガス)による腸の粘膜下層の拡張、組織への軸方向力の印加、組織への反対の軸方向力の印加、組織への半径方向力の印加、組織の圧縮、例えば、十二指腸の絨毛の圧縮、局在浮腫または血管性浮腫の誘発、十二指腸の半径方向に拡張(例えば、輪状襞の突出を減少させ、それらの皺襞の重畳のため、皺襞が治療要素による治療下に置かれることを防止および減少させるため)、およびこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。組織の操作は、以下のうちの1つ以上を生じさせるように実施されてもよい。管状組織のある長さの直線化、組織層の圧縮、管状組織の管腔内への突起の圧縮(例えば、腸内への絨毛の圧縮)、組織の引張、1つ以上の組織層の拡張、腸壁の全体的厚さの増加、組織壁からの粘液および腸内容物の除去、およびこれらの組み合わせ。
【0207】
組織操作は、種々の方法で成し遂げられ得る。組織引張は、1つ以上の組織接触デバイス、例えば、
図8Aおよび8Bを参照して詳細に説明されるような1つ以上の拡張可能要素への力の印加によって達成されることができる。一実施形態では、反力が、身体管腔内、例えば、十二指腸または他の胃腸管腔内に配置される2つの組織マニピュレータに印加される。組織操作は、吹送を介して実施されることができ、例えば、遠位拡張要素が身体管腔を閉塞するときに、吹送圧力が直線化の力および他の操作の力を拡張要素の近位の組織に印加する。吹送流体は、本発明の概念の組織治療デバイスおよび内視鏡を含むが、それらに限定されない、1つ以上のデバイスによって導入されることができる。一実施形態では、少なくとも0.5cmのH
2Oの圧力が十二指腸の内部管腔にかかるように用いられる。別の実施形態では、15.0cm未満のH
2Oの圧力が、十二指腸の内部管腔にかかる。組織操作は、組織内への流体の導入を介して実施されることができ、例えば、流体は、以下の
図13を参照して詳細に説明されるように、粘膜下層組織内への針を介して留置される。
【0208】
吹送は、胃腸管の管腔を拡張させるために使用され、例えば、粘膜をより容易に視覚化し、デバイス、例えば、本発明の概念の内視鏡および治療デバイスの前進および/または後退を容易にし、組織をより容易に操作および/または治療する。吹送は、流体、例えば、空気、CO2、および/または水として送達されることができ、例えば、1つ以上のデバイスを再配置した後に、導入、除去、および再導入されてもよい。胃腸管腔内には、皺襞および他の組織の襞が存在し、標的組織に対する1つ以上の治療要素の並置を複雑にし得る。吹送は、例えば、粘膜内層の膨張を介して、これらの組織襞の大部分を減少または排除することができる。吹送はまた、身体管腔、例えば、十二指腸の一部分を細長くおよび/または直線化するために使用されることができる。
【0209】
ステップ412において、第1の治療が、連続して、複数の組織部分に印加される。第1の治療は、ステップ410において導入された細長デバイス、または別の挿入されたデバイスによって適用されてもよい。第1の治療は、1つ以上の治療、例えば、エネルギー、例えば、RFエネルギー、熱エネルギー、または別の組織治療の印加を含んでもよい。
【0210】
ステップ413において、第2の治療が、複数の組織部分、典型的には、ステップ412で治療された同一の組織部分に、連続して適用される。第2の治療は、ステップ411において、組織を操作するために使用されるデバイス、ステップ412の第1の治療デバイス、または別の治療デバイスによって適用されてもよい。第2の治療は、第1の治療と類似または異なってもよい。差異として、治療を送達するために使用されるデバイス、送達されるエネルギーのタイプ、送達されるエネルギーの量またはレベル、例えば、電力レベル、温度レベル、エネルギー印加の持続時間、送達されるエネルギーの組み合わせのタイプおよびレベル、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。ステップ413の前またはその間に、第2の組織操作ステップ、例えば、同一の組織区域内の異なる組織操作または異なる組織区域内の類似もしくは異なる組織操作が、実施されてもよい。いくつかの実施形態では、組織切除と組織研削との組み合わせが、採用される。研削後に、切除が続くことにより、例えば、切除された組織を鮮創してもよい。絨毛の研削後に、残存粘膜の切除が続いてもよい。研削および/または切除の複数回の適用が、標的区域全体の治療が完了するまで、1つ以上の組織部分において、採用されてもよい。
【0211】
ステップ413の完了後に、組織治療が完了されてもよく、または付加的組織治療が実施されてもよい。ステップ412および/または413の組織治療は、繰り返されてもよく、または異なる組織治療が実施されてもよい。任意の付加的組織治療ステップ前および/またはその間、別の組織操作ステップ411が、実施されてもよい。
【0212】
1つ以上の付加的臨床手技が、本発明の概念の方法内に含まれてもよい。典型的な補助および/または支援手技として、粘膜移植、天然オリフィス手術、粘膜瘢痕化手技、抗生物質療法、粘膜組織の再増殖を防止または助長するように構成される薬物療法、インプラント、例えば、瘢痕化を生じさせ、または粘膜組織を通した吸収を制限するように構成される物理的障壁、肥満および/または糖尿病を治療するための療法、食事、運動、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0213】
ステップ412および413は、典型的には、単一臨床手技、例えば、単一滅菌手技の間に実施される。代替として、または加えて、反復治療が、数日、数週間、または数ヶ月後に実施されてもよい。一実施形態では、治療される標的組織は、十二指腸粘膜の陰窩基底部における幹細胞を含む。本実施形態では、粘膜は、長期間、再増殖せず、同様に、これらの幹細胞を治療する二次手技が、必要に応じて、頻繁に繰り返され、例えば、糖尿病患者に永続的効果をもたらしてもよい。
【0214】
図6は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するための方法の流れ図を図示する。ステップ410から424は、患者の疾患または障害、例えば、糖尿病を治療するための標的組織、例えば、十二指腸組織または他の組織を治療する方法を説明する。標的組織は、複数の組織部分を備え、それぞれ、第1の治療に続いて、第2の治療によって治療され、例えば、十二指腸の第1の区画の治療に続いて、十二指腸の第2の区画の治療が続く。複数の組織部分は、複数の隣接する組織区域、例えば、十二指腸の複数の連続的な円周区画を備えてもよい。第1および/または第2の治療は、相互に重複する1つ以上の組織区域を治療してもよい(例えば、組織部分の境界は、重複し、治療される区域の間の組織場所が治療されないことを防止する)。複数の区域の治療は、1つ以上の治療要素の再配置、例えば、1つ以上のエネルギー送達拡張可能構造、例えば、バルーンの再配置によって成し遂げられてもよい。代替として、または加えて、拡張可能デバイスが配置され、治療要素が軸方向に並進され、複数の区域を連続的または区画毎に治療してもよい。第1および第2の治療は、導管の2つの全周区画の治療を含んでもよい。代替として、第1および第2の治療は、第1の部分的円周区画(例えば、導管区画の360°未満)に続いて、第2の部分的円周区画、例えば、導管の残りの円周部分を含んでもよい。
【0215】
ステップ410において、細長デバイスが、例えば、前もって挿入されたデバイスの管腔を通して、例えば、内視鏡の管腔を通して、患者の体内に挿入される。
【0216】
ステップ411において、標的組織および/または標的組織に近接する組織、例えば、標的組織の両側の組織が、前述の
図5の参照において、ステップ411を参照して説明されるように、操作されてもよい。
【0217】
ステップ421において、第1の治療が、第1の組織部分に適用される。第1の治療は、ステップ410において導入された細長デバイス、または別の挿入されたデバイスによって適用されてもよい。第1の治療は、1つ以上の治療、例えば、エネルギー、例えば、RFエネルギーまたは本願に説明される別の治療の適用を含んでもよい。
【0218】
ステップ422において、第2の治療が、第1の組織部分に適用される。第2の治療は、ステップ411において組織を操作するために使用されたデバイス、ステップ421の第1の治療デバイス、または別の治療デバイスによって、適用されてもよい。第2の治療は、第1の治療と類似または異なってもよい。差異として、治療を送達するために使用されるデバイス、送達されるエネルギーのタイプ、エネルギー送達量の値、例えば、エネルギーレベル、温度レベル、および印加の持続時間、送達されるエネルギーの組み合わせ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0219】
ステップ423において、第1の治療が、第2の組織部分に適用される。この治療は、典型的には、ステップ421の治療と同様であるが、例えば、第1の組織部分と第2の組織部分とが、異なる組織特性、例えば、治療されるべき組織の厚さを有することに起因して、様々なエネルギー送達に変化させられてもよい。
【0220】
ステップ424において、第2の治療が、第2の組織部分に適用される。この治療は、典型的には、ステップ422の治療と同様であるが、例えば、第1の組織部分と第2の組織部分とが、異なる組織特性、例えば、治療されるべき組織の厚さを有することに起因して、様々なエネルギー送達に変化させられてもよい。
【0221】
多数の組み合わせおよび様々な順序の組織治療モダリティが、本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、採用されることができる。治療モダリティとして、使用されるエネルギーのタイプ、治療の深さ、組織表面積の長さおよび/または幅を含む治療される組織表面積、治療の持続時間、例えば、以下の
図13を参照して説明されるような引張デバイスまたは粘膜下層注入による、標的組織および標的組織に近接する組織の操作、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、治療は、粘膜下層注入、標的組織区域の近位および/または遠位の1つ以上のバルーンの膨張(例えば、比較的に流体気密シールを生成するため)、組織の研削、および組織の切除を含む。別の実施形態では、治療は、高温流体バルーンによる切除、高温流体と標的組織の直接接触による切除、RFエネルギー送達デバイスによる切除、および、例えば、研削デバイスを介した組織の機械的除去を含む。さらに別の実施形態では、1つ以上の組織操作ステップ(例えば、1つ以上のバルーンを介した粘膜下層注入または標的組織引張)が、機械的組織除去(例えば、研削)と組み合わされたエネルギー送達(例えば、高温流体またはRFエネルギーによる切除)と組み合わせて実施される。エネルギー送達と機械的組織除去との間の順序付けは、繰り返されてもよく、その逆であってもよい。これらおよび他の組織治療ステップはそれぞれ、任意の組み合わせおよび任意の順序で含まれてもよい。
【0222】
ステップ422、423、および424のそれぞれの前またはその間、1つ以上の付加的組織操作ステップ、例えば、同一の組織区域における異なる組織操作あるいは異なる組織区域における類似または異なる組織操作が、実施されてもよい。
【0223】
ステップ424の完了後、組織治療は、完了してもよく、または付加的組織治療が、実施されてもよい。ステップ421および422の組織治療は、繰り返されてもよく、または異なる組織治療が、実施されてもよい。任意の付加的組織治療ステップ前および/またはその間、別の組織操作ステップ411が、実施されてもよい。
【0224】
図7は、本発明の概念の実施形態による、組織を治療するための方法の流れ図を図示する。ステップ510から540は、患者の疾患または障害、例えば、糖尿病を治療するための標的組織、例えば、十二指腸組織または他の組織を治療する方法を説明する。標的組織は、標的組織を治療するように構成される、1つ以上のタイプの組織治療によって治療される、複数の組織部分を備えてもよい。本方法は、1つ以上のパラメータの監視と、1つ以上のパラメータが、許容限度、例えば、所定の限界値間であることに基づく、組織治療の調節とを含む。
【0225】
ステップ510では、組織の一部分の治療が、開始される。組織は、典型的には、1つ以上の治療要素を含む、デバイスによって、治療される。治療要素は、エネルギー(例えば、RFまたは熱エネルギー)を送達してもよく、または、オペレータが、エネルギー(例えば、往復研削デバイスによって送達される機械的エネルギー)を送達することを可能にするように構成されてもよい。
【0226】
ステップ520では、治療が継続するにつれて、1つ以上のパラメータが、測定され、1つ以上の閾値、例えば、1つ以上の定量的値と比較される。
【0227】
測定されたパラメータが、許容限度内ではない場合、ステップ525が、実施され、1つ以上の治療パラメータが調節される。調整可能治療パラメータとして、送達されるべきエネルギーのタイプ、例えば、RFエネルギー、熱エネルギーおよび/または機械的エネルギー、送達されるべきエネルギーの量、例えば、送達されるべきエネルギーの累積ジュール数または送達されるべきエネルギーのピーク量、送達されるべきエネルギーの組み合わせのタイプおよびレベル、エネルギー送達持続時間、送達されるエネルギーのパルス幅変調率、研削デバイスが横断する往復運動の回数、治療要素のための温度、例えば、標的温度または最大温度、およびこれらの組み合わせ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。調節後、ステップ520の監視が、継続する。
【0228】
測定されたパラメータが、許容限度内である場合、ステップ530が、実施され、現在の組織部分のための組織治療が、例えば、本発明の概念のシステムのアルゴリズムによって、完了のために確認される。一実施形態では、完了確認は、時間または作用ベースである。時間ベースの確認は、単に、固定時間期間が経過(例えば、開ループ)、例えば、標的組織を治療するための1つ以上のエネルギー送達のための固定時間期間後、完了を示してもよい。作用ベースの確認は、あるエネルギーレベルが達成される、ある電力レベルが達成される、あるエネルギーレベルが達成された(例えば、所定のRFエネルギーのジュール数)、機械的サイクル数、例えば、一組の往復運動が達成された、組織変化が生じた、例えば、色変化、質感変化、または他の視覚的変化が生じた、組織インピーダンスおよび/または組織インピーダンスの変化が閾値に到達した、温度および/または温度変化(例えば、温度および/または組織温度の変化)が閾値に到達した、血流および/または血流変化が閾値に到達した、血清ホルモンレベルおよび/または血清ホルモンレベルの変化が閾値に到達した、血糖レベルおよび/または血糖レベルの変化が閾値に到達した、粘膜下層接続組織が露出される(例えば、視覚的検査あるいは化学的および/または生物学的検出機構によって検出されるように)、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。多数の形態の閉ループ確認が、例えば、1つ以上のセンサによって、1つ以上のシステムまたは患者パラメータを測定することによって、ステップ520において実施されてもよい。センサは、システムパラメータに関連する情報を監視および提供してもよく、例えば、センサは、前述の
図4を参照して列挙されている。本発明の概念のセンサは、1つ以上の場所に留置される、典型的には、患者の身体内に配置されてもよい。センサは、身体管腔内、例えば、センサが、十二指腸壁に接触するように、十二指腸内に配置されたデバイス上に配置されてもよい。代替として、または加えて、1つ以上のセンサは、組織壁内、例えば、粘膜下層注入が生じた後、粘膜下層空間内に留置されてもよい。代替として、または加えて、センサは、胃腸管の外側、例えば、余剰腸空間または周囲構造内に配置されてもよい。一実施形態では、センサは、ファーター膨大部内またはそれに近接して配置され、例えば、膵臓の温度を監視する。別の実施形態では、センサは、血管構造、例えば、下大静脈の温度を監視するために配置される。センサは、患者パラメータに関連する情報を監視および提供してもよく、例えば、パラメータは、温度情報、例えば、組織温度情報または治療要素温度、インピーダンス情報、例えば、組織インピーダンス情報、圧力情報、血流情報、血糖レベル、インスリンレベル、グルカゴンレベル、GIP、GLP-1、GLP-2、および/または他の胃腸ホルモンレベル、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。一実施形態では、熱および/またはインピーダンスセンサが、含まれ、センサ情報は、エネルギー送達、例えば、RFエネルギー送達を調整するために使用される。
【0229】
現在の組織部分の治療が完了する場合、ステップ540が、実施され、1つ以上の組織治療デバイスが、標的組織の付加的組織部分を治療するために、再配置され、その後、ステップ510が、繰り返される。組織部分全体が、治療された場合、組織治療は、完了し、使用された1つ以上のデバイスは、患者から除去され、または二次手技を実施するために使用されてもよい。
【0230】
ステップ510において、治療を開始する前に、1つ以上のパラメータ、例えば、1つ以上のシステムまたは患者パラメータが、測定されてもよい。一実施形態では、組織パラメータが、測定され、例えば、組織厚が、可視化センサまたはデバイス、例えば、超音波、光コヒーレンス領域リフレクトメトリ(OCDR)、および/または光干渉断層(OCT)を使用する可視化センサあるいはデバイスによって測定される。治療前パラメータ測定の結果に基づいて、1つ以上の治療が調節され、例えば、特定の組織場所において測定された組織厚に基づいて、送達されるべきエネルギーを増加または減少させてもよい。組織治療前に測定された1つ以上のパラメータは、再び、1つ以上の後続組織治療ステップ前またはその間に測定されてもよい(例えば、リアルタイムで連続的または断続的に監視される)。別の実施形態では、パラメータ(例えば、撮像センサまたはデバイスによって測定された組織パラメータ)は、治療モダリティを選択するために測定される。典型的治療モダリティとして、送達されるべきエネルギータイプ、1つ以上の細胞タイプの再増殖を可能にする、または再増殖を防止するための組織治療パラメータの選択が挙げられるが、それらに限定されない。
【0231】
治療は、実質的量の粘膜細胞あるいはホルモンを産生する陰窩および絨毛から細胞が、非機能的にされるまで、施行および監視されてもよい。治療監視は、例えば、RFエネルギー送達または他の切除組織治療の間の治療の貫通の深さの監視を含んでもよい。本発明の概念の一側面では、非機能的にされた細胞は、再生不可能であり、すなわち、非機能的にされた細胞の再増殖および再生は、実質的に排除される。非機能的になった細胞は、粘膜細胞の断片、例えば、粘膜細胞の100%未満を含んでもよい。別の実施形態では、非機能的になった細胞は、粘膜細胞の全部(すなわち、粘膜細胞の100%)を含む。本実施形態では、粘膜下層細胞の断片は、標的化され(すなわち、非機能的にされ)、粘膜細胞の全部が影響を受けると仮定されてもよい。別の実施形態では、組織治療、例えば、切除ステップは、陰窩基底部の幹細胞を標的化してもよい。これらの特定の幹細胞の除去は、粘膜の幹細胞の再増殖を防止し得る。類似または異なるエネルギー送達の複数の切除が、実施されてもよい。さらに別の実施形態では、組織治療は、表面粘膜および腸絨毛を切除し、組織を削取または機械的に破壊し、死滅した細胞を排除し、次いで、粘膜表面を再切除し、陰窩基底部における幹細胞を標的化することによって、幹細胞のレベルまで拡張してもよい。標的組織および非標的組織の詳細な説明は、
図3Aを参照して前述に提供されている。
【0232】
1つ以上のシステムまたは患者パラメータ、例えば、組織厚および/または組織治療の貫通の深さの監視は、狭窄の形成、出血、瘢痕化、および/または穿孔を減少あるいは最小にするために使用されてもよい。一実施形態では、組織治療は、潰瘍、癌、および/または薄壁組織場所が、検出される場合、停止または別様に修正されてもよい。組織治療の貫通の深さは、1つ以上のシステムセンサ、例えば、視覚的センサ、例えば、超音波センサまたは他の細胞構造センサ、インピーダンスセンサ、例えば、組織インピーダンスセンサ、および/または深さ情報が相関され得る他のセンサによって監視されてもよい。貫通の深さは、リアルタイムで、または最小の遅延を伴って、監視され、例えば、望ましくない狭窄または瘢痕化、穿孔、出血、およびこれらの組み合わせの防止から成る群から選択される、望ましくない臨床事象を防止してもよい。1つ以上のセンサによって得られる貫通の深さの情報は、自動的に、組織を治療するために使用される、あるいは単に、その解釈および治療の後続調節のために、臨床医またはシステムの他のオペレータに提供されてもよい。
【0233】
多数の患者および/またはシステムパラメータが、例えば、本発明の概念のシステムの1つ以上のセンサまたは感知デバイスを使用することによって、1つ以上の組織治療ステップ前、その間、またはその後に、測定することができる。筋電図センサが、使用され、例えば、筋層粘膜の筋電図検査を実施してもよい。臨床医は、適切な治療の深さを達成する方法として、筋肉化粘膜の収縮を感知してもよい。貫通の深さは、組織に送達される電流に対するインピーダンスの変化を測定することによって、制御されてもよい。エネルギー送達は、インピーダンスが、粘膜に対して予期され得るものから、筋層粘膜または粘膜下層に対して予期され得るものへと変化すると、減少または停止される。筋層粘膜の電気または収縮活動を監視するように構成される、プローブが、挿入され、例えば、筋肉機能に及ぼすエネルギー送達の影響を査定してもよい。定量的熱量測定を使用して、組織または組織特性の変化を監視し、例えば、前述のように、組織治療前、その間、および/またはその後の組織特性を監視してもよい。1つ以上のセンサまたは感知デバイスは、血清分析、例えば、ホルモン放出データまたはグルコース応答データを提供するように構成されてもよい。
【0234】
1つ以上の視覚的センサまたはデバイスを使用して、1つ以上のシステムまたは患者パラメータを測定してもよい。例えば、切除の間、粘膜の視覚的探査を使用して、エネルギー送達の深さを制御してもよい。光散乱分光法は、組織表面評価を実施し、例えば、形成異常を同定する、または絨毛特性、例えば、長さまたは色を評価するために使用することができる。絨毛は、典型的には、粘膜より明るい色であるため、分光法を使用して、治療の進行(例えば、絨毛の除去)を監視することができる。組織色変化の特性評価は、組織の乾燥のレベルを同定することができる(例えば、赤化または白化)。浮腫、組織灌流、および/または組織酸化の同定および/または定量化は、視覚的センサまたは可視化デバイスを使用して監視されてもよい。粘膜の撮像が、存在する腸内分泌細胞のタイプを決定するために実施されてもよい。
【0235】
本発明の概念のセンサおよび感知デバイスは、患者の身体の内部および/または外部の1つ以上の場所に配置することができる。撮像デバイスを使用して体温、組織の厚さおよび温度、ならびに標的組織内または近位の血管分布を含むが、それらに限定されない、多数のパラメータを測定することができる。一実施形態では、外部撮像デバイスが、低温治療が実施されているときに見出される、「氷球」を検出するために使用される。種々の撮像モダリティが、使用されてもよく、例えば、撮像モダリティは、X線、例えば、X線透視装置、CT撮像、MRI、超音波撮像、分子撮像、放射性撮像、例えば、放射性撮像(ブドウ糖負荷試験の有無を問わず)、OCT、分光法、例えば、Tera-Hertz分光法、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。撮像デバイスは、外部にあってもよく、または、例えば、内視鏡、例えば、胃腸管内に挿入された内視鏡、経皮的血管内デバイス、腹腔鏡下プローブ、およびこれらの組み合わせを通して挿入されることによって、身体内に留置されてもよい。
【0236】
図8Aおよび8Bは、本発明の概念の実施形態による、それぞれ、軸方向力を標的組織に印加前および後の、2つの組織操作要素を含む、組織治療システムの遠位部分の側面断面図を図示する。システム300は、
図3Aを参照して前述のように、1つ以上の組織部分を含む、標的組織10を治療するように構築および配列される。システム300は、身体管腔、例えば、壁Wおよび標的組織10、典型的には、腸組織の360°区画を含む、十二指腸内に挿入されたデバイス301を含む。デバイス301は、シャフト311bによって摺動可能に受容される、シャフト311aを含む。シャフト311aの遠位端に搭載されるのは、操作要素317a、典型的には、貫通せずに、管腔壁組織に動作可能に係合するように構成される、拡張可能バルーンまたは拡張可能ケージである。シャフト311bの遠位端に搭載されるのは、操作要素317b、同様に、典型的には、拡張可能バルーンまたは拡張可能ケージである。代替実施形態では、要素317aおよび/または317bによる係合は、いくつかの組織貫通によって、例えば、ほぼ粘膜-粘膜下層界面の深さまで貫通し、例えば、腸内に配置されると、適正な把持力を確実にする、突起を介して、達成される。シャフト311bは、別個のデバイス、例えば、内視鏡を通して、摺動可能に通過されるように構成されてもよく、その後、操作要素317aおよび317bは、管腔壁Wに係合するように拡張される。
【0237】
シャフト311bの管腔内に配置されるのは、治療要素320である。治療要素320は、シャフト311bの壁を通して、管腔壁組織内に、例えば、レーザまたは超音波エネルギーの印加を通して、エネルギーを印加するように構成されてもよい。これらの指向性エネルギー送達構成では、治療要素320は、エネルギー源、例えば、レーザまたは超音波エネルギー源に動作可能に接続されてもよい。治療要素320は、1つ以上のエネルギー送達または指向要素、例えば、圧電結晶、レンズ、鏡、フィルタ、および同等物を含んでもよい。代替として、または加えて、治療要素320は、例えば、シャフト311b内の開口部(開口部は図示せず)を通して、半径方向に拡張し、接触を介して、組織10の治療を可能にするために、壁Wに接触するように構成されてもよく、例えば、治療要素320は、高温流体および/または1つ以上のRFエネルギー送達電極を含有する。代替として、または加えて、治療要素320は、シャフト311b内の開口部を通して、エネルギーを送達するように構成されてもよく、図示されないが、典型的には、開口部は、流体噴流をそれを通して通過させるように構成され、流体噴流は、標的組織10に接触し、切除するように構成される。
【0238】
治療要素320は、光ファイバ、流体搬送管腔、および/または1つ以上の電気伝導性ワイヤを備え、例えば、エネルギーが、壁Wに伝送されると、例えば、治療要素320を回転させるように回転するように構成され得る、シャフト329に接続される。代替として、または加えて、シャフト329は、軸方向に前後に並進し、例えば、治療されるべき組織区域に沿って移動するように構成されてもよい。回転および/または軸方向並進は、前述の
図4を参照して説明される運動伝達要素を介して、成し遂げられてもよい。エネルギーは、標的組織にわたって均等に印加されてもよく、あるいは断続または別様に不均等に送達されるエネルギーが存在してもよい。エネルギーは、例えば、十二指腸の所定の長さに沿って、管腔の全周にわたって印加されてもよい。
【0239】
ある用途では、エネルギーまたは他の組織治療の適用前に、標的組織10を操作することが望ましくあり得る。典型的実施形態では、組織操作要素317aおよび317bが、
図8Aに示されるように、拡張され、標的組織10に近接して配置され、例えば、要素317aおよび317bは、十二指腸の約2cm~5cmを直線化するように配置される。壁Wは、
図8Aに示されるように、複数の襞または湾曲部分を含んでもよい。
図8Bでは、例えば、図示されないが、典型的には、デバイス301の近位端上のハンドル内に組み込まれる、シャフト311aおよび/または311bの近位端上の1つ以上の制御部を介して、シャフト311aは、前進させられ、および/またはシャフト311bは、後退させられている。シャフト311aの前進および/またはシャフト311bの後退は、それぞれ、標的組織10に対して、操作要素317aに、示されるように、ページの右側に力を印加させ、および/または操作要素317bに、示されるように、ページの左側に力を印加させる。これらの力は、標的組織10を張力下に置き、例えば、標的組織10内の1つ以上の襞を除去または減少させる、標的組織10を直線化させる、標的組織10を配置させる、標的組織10を支持させる、およびこれらの組み合わせを行わせる。治療要素320は、操作要素317aおよび/または317bによる、引張(すなわち、軸方向)力の印加前、その間、またはその後、起動されることができる。代替として、または加えて、吹送流体が、操作要素317aの近位に(例えば、管腔壁内に相対的シールを形成する、要素317aと317bとの間)導入され、管腔内圧力の増加のため、管腔壁組織を半径方向に拡張させ、直線化させ、および/または別様に、操作させることができる。
【0240】
標的組織10の治療は、例えば、標的組織10が、
図8Aおよび8Bに示されるものより長いとき、複数の組織操作ステップを含んでもよい。これらの実施形態では、操作要素317aおよび317bは、第1の組織区画に力を印加してもよく、その後、半径方向に圧縮され、前進させられ、半径方向に拡張され、例えば、第2の組織区画に力を印加する。組織治療は、典型的には、操作要素317aおよび317bによる各引張後、実施され、複数の組織区画のために繰り返されてもよい。ある実施形態では、シャフト311aおよび311bの一連の前進後、一連の後退が、実施され、また、マニピュレータ317aおよび317bを動作させ、組織区画に張力をかけ、治療要素320を起動し、これらの組織区画を治療する。
【0241】
本発明の概念のシステムは、単一ステップまたは複数のステップにいて、組織を治療してもよい。組織治療要素を含むデバイスは、単一治療のために、1回だけ、配置されてもよく、または複数の治療のために、複数回、再配置されてもよい。組織操作要素を含むデバイスは、1回または複数回、1つ以上の組織操作要素を配置させてもよい。組織操作は、1回または複数回、実施されてもよい。エネルギー送達または他の組織治療は、組織治療を通して、または複数の治療にわたって、比較的に一定のままであってもよい。代替として、エネルギー送達は、組織治療を通して、および/または複数の治療にわたって、可変であってもよい。
【0242】
一実施形態では、
図8Aおよび8Bの組織操作要素317aおよび317bは、単一場所に1回だけ、配置され、その後、エネルギーが、組織治療要素320によって印加される。本実施形態では、エネルギーは、組織治療要素320を移動させずに、印加され得る(例えば、単一エネルギー送達印加または同一の場所における複数の印加において)。単一ステップ送達は、例えば、低温エネルギー、熱エネルギー、例えば、高温流体エネルギー、RFエネルギー、例えば、複数の電極アレイを通して送達されるRFエネルギーを送達するように構成される、組織治療要素によって、大量のエネルギーが、送達されることを要求し得る。代替として、組織治療要素320は、依然として、操作要素317aおよび317bを再配置することなく、回転および/または前後に並進されてもよい(すなわち、要素317aと317bとの間の組織にエネルギーを送達する)。異なる実施形態では、組織操作要素317aおよび317bは、複数の場所に配置され、組織治療要素320は、回転および/または並進によって成し遂げられる、単一位置エネルギー送達または複数位置エネルギー送達を送達してもよい。治療要素320の移動の間、エネルギーまたは他の治療パラメータは、可変である、または一定のままであってもよい。
【0243】
治療要素320の移動は、エネルギー送達の修正と組み合わせて、治療の深さを変化させる、および/または治療の深さを維持する、標的組織を適切に治療するために送達されるべきピークエネルギーレベルを最小にする、潜在的再治療または修正された再治療のために、以前に治療された組織を監視する、治療されるべき組織を監視し、治療パラメータ、例えば、エネルギーレベルを設定する、組織治療区域を重複させる、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を達成するために使用されてもよい。
【0244】
組織操作要素317aおよび/または317bは、膨張可能バルーン、拡張可能ケージ、展開可能アーム、例えば、半径方向展開可能アーム、およびこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、多数の形態であってもよい。組織操作要素317aおよび/または317bは、例えば、吹送手技の間、管腔、例えば、腸を閉塞または部分的に閉塞するように構成されてもよい。組織操作要素317aおよび/または317bはさらに、例えば、組織治療要素320を補完する、またはそれに代わるように、組織を治療するように構成されてもよい。
【0245】
一実施形態では、組織操作要素317aおよび317bは、腸壁、例えば、十二指腸壁に牽引力を付与するために十分なレベルまで加圧されるように構成される、バルーンまたは他の半径方向に拡張可能構造(例えば、拡張可能ケージ)である。代替として、または加えて、操作要素317aおよび317bは、要素317aと317bとの間の管腔体積の吹送を可能にするように構成される、バルーンまたは他の閉塞性構造であってもよい。典型的実施形態では、操作要素317aおよび317bは、約2インチ~4インチの長さのバルーンであって、積層および/または均一作業表面構成において、標的組織を配置するように操作される(例えば、長手方向に引き離される)。
【0246】
代替実施形態では、コルクスクリュー式引張が採用されてもよい。この引張は、小腸鏡検査システム、例えば、適所の中へ回転させられる螺旋小腸鏡検査システムを有してもよい。これらのシステムは、例えば、切除または他の標的組織治療デバイスが、十二指腸に沿って前進または後退するとき、標的組織、例えば、十二指腸を再成形するために使用することができる。
【0247】
図9は、本発明の概念の実施形態による、拡張可能治療要素および2つの組織操作要素を含む、組織治療システムの遠位部分の側面断面図を図示する。システム300は、
図3Aを参照して前述のように、1つ以上の組織部分を含む、標的組織10を治療するように構築および配列される。システム300は、壁Wおよび標的組織10、典型的には、腸組織の360°区画を含む、身体管腔、例えば、十二指腸または他の胃腸管腔内に挿入されているデバイス301を含む。デバイス301は、シャフト311cによって摺動可能に受容されるシャフト311aを含む。シャフト311cは、シャフト311bによって摺動可能に受容される。シャフト311aおよび311bは、それぞれ、
図8Aおよび8Bの操作要素317aおよび317bと類似構造および配列の操作要素317aおよび317bを含む。シャフト311bは、別個のデバイス、例えば、内視鏡を通して、摺動可能に通過されるように構成されてもよく、その後、操作要素317aおよび317bは、管腔壁Wに係合するように拡張される。シャフト311aは、管腔313、例えば、遠位端312において、シャフト311aから出るガイドワイヤ管腔を含んでもよい。
【0248】
シャフト311cに搭載されるのは、拡張可能要素327、典型的には、バルーン、例えば、動作可能に拡張し、管腔壁組織Wに接触し、それを圧縮し、および/または別様に、それに係合するように構成される共形または非共形のバルーンを含む切除要素322である。拡張可能要素327に搭載されるのは、電極328、典型的には、可撓性伝導性ストリップ、例えば、拡張可能要素327に接着するように取り付けられた白金イリジウムストリップである。電極328は、例えば、図示されない1つ以上のワイヤを介して、図示されないが、典型的には、前述の
図5のEDU330と同様に構成されるエネルギー送達ユニットに取り付けられてもよい。電極328は、例えば、接地パッド電極に、単極RFエネルギーを送達するように構成されてもよい。電極328は、双極RFエネルギーを送達するように構成されてもよく、例えば、デバイス301は、図示されない、別個の電極を含む、または電極328は、拡張可能要素327の円周表面に沿って、複数の区画化された電極を備える。システム300は、図示されないが、任意の非均一表面、例えば、十二指腸の縮緬皺層理および腸絨毛に対して、エネルギー送達および/または補償を行うように構成される電気的および/または熱的伝導性ゲルを含んでもよい。代替として、光エネルギーが、拡張可能要素327を通して送達されてもよい。本実施形態では、光透過性ゲルが、要素327と標的組織との間の連結を改善させるために使用されてもよい。
【0249】
拡張可能要素327は、電極328と標的組織10との間に十分および均一な接触が存在するように、管腔壁Wに圧力を印加するように構成されてもよい。圧力の印加は、血液を「締め出す」ように実施され、したがって、治療されるべき組織内またはそれに近接した流動体液の放熱効果を減少させ得る。印加される圧力はまた、印加されるエネルギーの放射性伝達が改善され、熱伝導がより深い組織層内に到達するように、治療されるべき組織壁を薄化(例えば、圧縮)し得る。
【0250】
拡張可能要素327および電極328は、複数のエネルギー送達が、標的組織10を治療するために実施され得るように構成される。第1のエネルギー送達が、実施された後に、かつ第2のエネルギー送達の前に、1つ以上の操作、例えば、電極328を回転させる、電極328を前進または後退させる、操作要素317aおよび/または317bを前進あるいは後退させる、およびこれらの組み合わせが、実施されてもよい。複数のエネルギーまたは他の組織治療が、標的組織10が十分に治療されるまで、前述の
図5、6、および/または7を参照して説明されたように、実施される。
【0251】
ある用途では、例えば、
図8Aおよび8Bを参照して詳細に説明されたように、エネルギーまたは他の組織治療を適用する前に、標的組織10を操作することが望ましくあり得る。標的組織10の治療は、例えば、標的組織10が、
図9に示されるものより長いとき、複数の組織操作ステップを含んでもよい。これらの実施形態では、操作要素317aおよび317bは、第1の組織区画に力を印加してもよく、その後、半径方向に圧縮され、前進させられ、半径方向に拡張され、例えば、第2の組織区画に力を印加する。組織治療は、典型的には、操作要素317aおよび317bによる各引張後、実施され、複数の組織区画のために繰り返されてもよい。ある実施形態では、シャフト311aおよび311bの一連の前進の後に、一連の後退が実施され、また、マニピュレータ317aおよび317bを動作させ、組織区画に張力をかけ、治療要素320を起動させ、これらの組織区画を治療する。
【0252】
前述の
図8Aおよび8Bのシステム300を参照して説明されたエネルギー送達ステップは、
図9のシステム300を使用して実施されてもよく、
図9の組織操作要素317aおよび317bは、1回または複数回、留置されてもよい。拡張可能要素327および電極328は、操作要素317aおよび317bの再配置を伴って、または伴わずに、単一または複数のエネルギー送達のために、配置されてもよい。治療要素320の任意の移動の間、エネルギーまたは他の治療パラメータは、可変であってもよく、または一定のままであってもよい。治療要素320の移動は、エネルギー送達の修正と組み合わせて、
図8Aおよび8Bを参照して前述のものと類似方式で使用されてもよい。
【0253】
図10は、本発明の概念の実施形態による、複数のローブ付きバルーンを備える拡張可能治療要素を含む、組織治療システムの遠位部分の側面および端面図を図示する。システム300は、
図3Aを参照して前述のように、1つ以上の組織部分を含む標的組織を治療するように構築および配列される。システム300は、多ローブ付き治療要素320を含む、デバイス301を含む。デバイス301は、治療要素320が搭載されるシャフト311を含む。治療要素320のローブ326は、シャフト311の管腔に流動的に接続され、管腔は、図示されないが、典型的には、デバイス301のハンドルに搭載される膨張ポートへと近位に進行する。シャフト311は、別個のデバイス、例えば、内視鏡を通して、摺動可能に通過されるように構成されてもよく、その後、治療要素320は、標的組織、例えば、管腔の壁に係合するように拡張される。シャフト311は、遠位端312において、シャフト311から出る管腔313、例えば、ガイドワイヤ管腔を含んでもよい。
【0254】
治療要素320は、身体管腔の壁、例えば、十二指腸壁に係合するように寸法設定された、その半径方向に拡張された状態で示される。ローブ326は、治療要素320が身体管腔内に配置され、拡張されると、別個のデバイス(例えば、システム300の撮像または治療デバイス)が、ローブ326のうちの1つ以上間を通過され得るように、構築および配列される。ローブ326は、標的組織が、治療要素320によって、切除または別様に治療され得るように、典型的には、高温、例えば、約65℃~90℃の生理食塩水で充填される。治療の温度および持続時間は、ローブ326間に位置する組織もまた、十分に治療されるように選択されてもよい。代替として、シャフト311およびローブ326は、360°切除を実施するために、連続エネルギー印加の間に回転させられてもよい。治療要素320の連続展開は、1つ以上の場所における標的組織の治療によって実施されてもよい。各組織治療前および/またはその間、標的組織および/または標的組織に近接する組織は、例えば、前述のように、操作されてもよい。代替として、または加えて、ローブ326は、1つ以上の電極、例えば、電磁エネルギー、例えば、RFエネルギーを送達するように構成される、電極を含んでもよい。
【0255】
図11は、本発明の概念の実施形態による、多電極ケージを備える拡張可能治療要素を含む、組織治療システムの遠位部分の側面図を図示する。システム300は、
図3Aを参照して前述のように、1つ以上の組織部分を含む標的組織を治療するように構築および配列される。システム100は、多電極治療要素320を含む、デバイス301を備える。デバイス301は、治療要素320が、動作可能に搭載される、シャフト311を含む。シャフト311は、別個のデバイス、例えば、内視鏡を通して、摺動可能に通過されるように構成されてもよく、その後、治療要素320は、標的組織、例えば、管腔の壁に係合するように拡張される。シャフト311は、管腔313、例えば、遠位端312において、シャフト311から出るガイドワイヤ管腔を含んでもよい。
【0256】
治療要素320は、その半径方向に拡張された状態で示され、身体管腔の壁、例えば、十二指腸壁に係合するように寸法設定されたケージ325を含む。ケージ325は、図示されないが、典型的には、後退によって張力がかけられると、ケージ325を展開(すなわち、半径方向に拡張)させ、前進させられると、ケージ325を収縮(すなわち、展開解除)させるように構成される1つ以上の展開シャフトまたはケーブルに動作可能に取り付けられる。ケージ325は、治療要素320が、身体管腔内に配置され、拡張されると、別個のデバイスがケージ325の1つ以上のアーム間を通過され得るように、構築および配列される。
【0257】
治療要素320の電極324は、ケージ325に搭載され、図示されないが、典型的には、デバイス301のハンドルに搭載される電気接続に近位に進行する1つ以上のワイヤに電気的に接続される。また、図示されないが、
図5のEDU330の構造に類似するエネルギー送達ユニットは、電極324のうちの1つ以上に単極および/または双極エネルギーを送達するように構成される。エネルギー、典型的には、RFエネルギーが、標的組織が治療要素320によって切除または別様に治療され得るように、電極324に送達されてもよい。治療のエネルギー、温度、および/または持続時間は、電極324間に位置する組織もまた十分に治療されるように、選択され得る。電極324へのエネルギー送達は、1つ以上のエネルギー送達によって、単一配置ステップの後に、全周組織治療を行うように構成されてもよい。代替として、シャフト311および電極324は、360°切除を実施するために、連続エネルギー印加間で回転させられてもよい。治療要素320の連続展開は、1つ以上の場所における標的組織の治療によって実施されてもよい。各組織治療前および/またはその間、標的組織および/または標的組織に近接する組織が、例えば、前述のように操作されてもよい。
【0258】
図12は、本発明の概念の実施形態による、2つの組織治療要素と、バルーン支持メッシュ研削器と、高温流体含有のために構成されるバルーンとを含む組織治療システムの側面図を図示する。システム300は、
図3Aを参照して前述のように、1つ以上の組織部分を含む標的組織を治療するように構築および配列される。システム100は、第1の組織治療要素320および第2の組織治療要素321を含むデバイス301を備える。デバイス301は、治療要素320および321が動作可能に搭載されるシャフト311を含む。シャフト311は、別個のデバイス、例えば、内視鏡を摺動可能に通過させられるように構成されてもよく、その後、治療要素320および321は、連続して、または同時に、標的組織、例えば、管腔の壁に係合するように拡張される。システム300は、ガイドワイヤ371を含んでもよく、シャフト311は、デバイス301および/またはシステム300の他の身体挿入可能デバイス、例えば、内視鏡または第2の組織治療デバイスのワイヤを経由して前進させるために、ガイドワイヤ371を摺動可能に受容するように構成される管腔313を含んでもよい。
【0259】
治療要素320は、その半径方向に拡張された状態で示され、身体管腔の壁、例えば、十二指腸壁に係合するように寸法設定される。治療要素320は、研削要素322a(例えば、
図12に示される菱形パターンを有するメッシュ研削器)によって囲まれる拡張可能要素327a(例えば、拡張可能バルーン)を含む。研削要素322aは、粗面表面を含んでもよく、および/または研削材料、例えば、グリットまたは他の研削材料が含浸されてもよい。拡張可能要素327aは、図示されないが、ハンドル302に搭載された膨張ポート303(例えば、標準的ルアーコネクタ)と流体接続する、シャフト311内の管腔に流動的に接続される。膨張流体、例えば、空気、CO
2、または生理食塩水がシャフト311を通して導入され、研削要素322aを半径方向に拡張させることができる。組織治療は、研削要素322aを管腔壁組織と接触させたまま、シャフト311を前後に並進させるか、および/またはシャフト311を回転させることによって、成し遂げられる。治療は、拡張可能要素327aに印加される半径方向力(すなわち、要素327a内の圧力)、拡張可能要素327aに印加される軸方向力、拡張可能要素327aに印加される回転力、およびこれらの組み合わせによって調節されてもよい。
【0260】
治療要素321は、同様にその半径方向に拡張された状態に示され、身体管腔の壁、例えば、十二指腸壁に係合するように寸法設定される。治療要素321は、高温流体322b(例えば、温度約65℃~90℃まで加熱された生理食塩水)で充填されるように構成される拡張可能要素327b(例えば、拡張可能バルーン)を含む。拡張可能要素327bは、図示されないが、加熱された生理食塩水がシャフト311を通して導入され、拡張可能要素327bを半径方向に拡張させ、高温流体322bに近接する標的組織を治療し得るように、膨張ポート304(例えば、標準的ルアーコネクタ)と流体接続する、シャフト311内の管腔に流動的に接続される。組織治療は、高温流体322bから、拡張可能要素327bを介した組織への熱伝達によって達成される。いくつかの実施形態では、拡張可能要素327bは、組織治療の間、標的組織に対して移動させられてもよく、例えば、軸方向または回転方向移動は、拡張可能要素327bより長い組織表面積に熱を送達する。
【0261】
治療要素320および321の連続展開は、1つ以上の場所における、標的組織の治療によって実施されてもよい。各組織治療の前および/またはその間に、標的組織および/または標的組織に近接する組織は、例えば、前述のように操作されてもよい。
【0262】
図13Aは、本発明の概念の実施形態による、胃腸管内に配置された標的組織拡張デバイスの側面断面図を図示する。内視鏡350は、身体管腔、例えば、十二指腸内の場所へと前進させられている。流体拡張デバイス390は、内視鏡350内に挿入され、そこから出た状態で示される。拡張デバイス390は、十二指腸粘膜201に近接して配置される細長シャフト391を含む。流体395は、シャフト391の管腔から流出して示される。シャフト391およびデバイス390は、例えば、ノズル通した高圧送達、加圧手段、および図示されないノズルの使用を通して、水噴流方式で、流体395を送達するように構成される。粘膜下層203は、
図13Aに示されるように、円周方向にその拡張を開始する。粘膜下層203の拡張は、本発明の概念の1つ以上のデバイス、例えば、前述の1つ以上のデバイスによって、治療のための標的区域を増加させるように実施されてもよい。標的区域の増加は、非標的組織が、例えば、標的組織の安全域の拡張によって治療(例えば、切除または研削)されることを防止することに有利であり得る。
【0263】
図13Bは、本発明の概念の実施形態による、胃腸管内に配置される別の標的組織拡張デバイスの側面断面図を図示する。
図13Aのデバイス390’は、内視鏡350内に挿入され、そこから出た状態で示されている。デバイス390’は、シャフト391’が、前進可能針392を含むことを除いて、
図13Aのデバイス390と形態および機能が類似する。
図13Aの水噴流の代わりに、前進可能針392は、流体395が組織内に送達され、それを拡張し得るよう、組織内に貫通するように構成される。
【0264】
図14から15は、十二指腸の標的区域が治療される、本発明の概念の実施形態の手技ステップ400を図示する。標的区域を決定するステップは、
図14-16と関連して論じられる各実施形態に適用可能であり得ることに留意されたい。手技は、ステップ402から開始し得る。ステップ404において、内視鏡302が、患者が、麻酔、例えば、全身麻酔または静脈内鎮静法の影響下に置かれた後に、患者の身体の内側に挿入され得る。内視鏡302は、ガイドワイヤ上で内視鏡の既存の管腔内に嵌合してもよい。その後、ステップ408において、保護挿入物が、ファーター膨大部118内に送達され得る。ステップ410において、RFバルーン304および切断バルーン308が、十二指腸粘膜を細長くおよび直線化するために使用され得る。ステップ412において、組織を治療、破壊、または除去するための前述の療法の任意の様式が、段階を追って適用されてもよい。ステップ414において、保護挿入物が、ファーター膨大部118から除去され得る。最後に、内視鏡302が、ステップ418において、身体から除去され得る。手技は、ステップ420で終了し得る。本発明の概念のある実施形態によると、糖尿病の治療のための手技はまた、治療の深さを監視するステップを含んでもよい。本実施形態によると、位置保持記号が、内視鏡302に提供されてもよい。切除または掻爬の深さの監視は、内視鏡302とともに嵌合され得るセンサの使用によって行われてもよい。
【0265】
本発明の概念のある実施形態によると、その後、数日、数週間、または数ヶ月における関連生理学的パラメータ、例えば、グルコース、インスリンなどもまた、センサの使用によって監視されてもよい。前述の方法は、糖尿病を治療するだけではなく、また、糖尿病症状を改善し、メタボリック症候群を治療し、グルコース耐性を改善し、患者内のインスリン抵抗を減少させ、ならびに体重または肥満を減少させるなどのために利用されてもよい。
【0266】
本発明の概念のいくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、改変されたホルモン信号伝達を試み、達成する。故に、本発明の概念のある実施形態に従って使用されるデバイスは、有効性の測定値として、このホルモン信号伝達の監視と連結され得る。これは、GI管内に放出されるホルモンに関して、血液またはリンパ管あるいは腔内含有物自体をサンプリングすることによって、もしくはいくつかの他の様式によって、成し遂げられてもよい。
【0267】
図15を参照して、2型糖尿病の治療のための本発明の概念の実施形態が説明される。手技は、ステップ502から開始し得る。ステップ504において、内視鏡302は、患者が、麻酔、例えば、全身麻酔または脊椎麻酔の影響下に置かれた後に、患者の身体の内側に挿入され得る。その後、ステップ508において、保護挿入物が、ファーター膨大部118内に送達されてもよい。ステップ510において、RFバルーン304および切断バルーン308を使用して、十二指腸粘膜を細長くおよび直線化し得る。ステップ512において、エネルギーが治療区域に印加され、例えば、段階を追って行われ得る十二指腸粘膜の治療をもたらせてもよい。治療された十二指腸粘膜は、切断デバイスを具備し得る切断バルーン308の使用によって、削取されてもよい。患者の十二指腸粘膜の除去は、患者の十二指腸114の残部を解剖学的に無傷のまま残し得る。さらに、幹細胞の排除もまた、再増殖を防止するために行われてもよい。エネルギーを印加し、機械的デバイスを使用して、粘膜を研削または切断するプロセスは、エネルギーステップと研削ステップとの間を交互する一連の複数の治療を含んでもよく、あるいはより少ない研削ステップを有する複数のエネルギーステップまたはより少ないエネルギーステップを有する複数の研削ステップを含むことができる。ステップ514において、保護挿入物が、ファーター膨大部118から除去され得る。最後に、内視鏡302が、ステップ518において、身体から除去され得る。ステップ520において、患者の空腸粘膜は、除去された十二指腸粘膜の代わりに存在する、空腸幹細胞から増殖させるように助長され得る。そのような助長は、
図3A上のパターンCに従って、標的区域を選択することによって達成され得る。
【0268】
前述の方法は、糖尿病を治療するだけではなく、糖尿病症状を改善し、メタボリック症候群を治療し、グルコース耐性を改善し、患者内のインスリン抵抗を減少させ、ならびに体重または肥満を減少させるなどのために利用されてもよい。前述の治療のいずれかのための特定の任意の治療プロトコルは、有意に可変であるが、依然として、本発明の概念の範囲内にあり得る。
【0269】
図16を参照すると、2型糖尿病の治療の手技が、本発明の概念の別の実施形態に従って説明される。
図16は、第3の実施形態による、糖尿病の治療の手技ステップ600を説明する流れ図を図示する。手技は、ステップ602から開始し得る。ステップ604において、依然として患者によって摂取された食物と接触していない患者の胆汁塩および膵酵素にアクセスされ得る。ステップ608において、アクセスされた胆汁塩および膵酵素は、患者の十二指腸114に送達され得る。手技は、ステップ610で終了し得る。本実施形態によると、治療は、膵管および胆管から十二指腸114への未反応(摂取された食物と)の胆汁塩および膵酵素の直接のルーティングに基づき得る。本実施形態で説明される方法は、糖尿病を治療するだけではなく、また、糖尿病症状を改善する、メタボリック症候群を治療する、グルコースを改善する、患者内のインスリン抵抗を減少させる、ならびに体重または肥満を減少させるなどのために利用され得る。種々の修正が手技に行われるが、依然として、本発明の概念の範囲内であり得る。
【0270】
図17を参照すると、2型糖尿病の治療の手技が、本発明の概念のさらに別の実施形態に従って、説明される。
図17は、第4の実施形態による、糖尿病の治療の手技ステップ700を説明する流れ図を図示する。手技は、ステップ702から開始し得る。ステップ704において、依然として、患者によって摂取された食物と接触していない患者の胆汁塩および膵酵素に、アクセスされ得る。ステップ708において、摂取された食物は、患者の胆汁塩および膵酵素と反応することが防止され得る。これは、いくつかの方法、例えば、前述のエネルギー治療および機械的治療においてもたらされてもよい。加えて、患者の胆汁塩および膵酵素を防止するための他のエネルギー送達または機械的技法が使用されるが、依然として、本発明の概念の範囲内であり得る。ステップ710において、摂取された食物は、患者の十二指腸粘膜と反応することが防止され得る。これは、前述のエネルギー送達および機械的治療を使用してもたらされ得る。加えて、他のエネルギー送達または機械的技法も使用されるが、依然として、本発明の概念の範囲内であり得る。ステップ712において、アクセスされた胆汁塩および膵酵素は、患者の空腸に送達されてもよい。手技は、ステップ714において完了し得る。
【0271】
本実施形態によると、治療は、膵管および胆管から空腸への未反応胆汁塩および膵酵素(摂取された食物と)の直接のルーティングに基づき得る。本実施形態で説明される方法は、糖尿病を治療するだけではなく、また、糖尿病症状を改善する、メタボリック症候群を治療する、グルコース耐性を改善する、患者内のインスリン抵抗を減少させる、ならびに体重または肥満を減少させるなどのために利用され得る。これらの治療のそれぞれのための治療プロトコルは、異なるが、依然として、本発明の概念の範囲内であり得る。
【0272】
前述の手技は、近位小腸自体の粘膜の改変をもたらし、改変した基質を残し、その結果、糖尿病を改善するようにホルモン環境を変化させ得る。さらに、治療的内視鏡下でのアプローチが、代謝媒介状態、例えば、糖尿病を治療するために、ホルモン平衡を改変するよう胃腸粘膜を改変するように利用され得る。加えて、治療的内視鏡下でのアプローチは、胃腸粘膜の改変を促進し、コレステロール輸送を改変させ、高コレステロール血症を治療し得る。種々の他の実施形態によると、他の状態および要因も、十二指腸粘膜を改変することによって治療され得る。これらの状態および要因として、エネルギー消費、体重、食欲、インスリン抵抗、吸収性症候群および障害(セリアック病)、および空腸粘膜を増殖させ元に戻すことが挙げられ得る。
【0273】
説明される手技による十二指腸粘膜の治療は、異なり、および糖尿病の管理により有益なホルモン特性を有し得る局所的近位および/または遠位粘膜の増殖を可能にし得る。例えば、遠位空腸組織の治療は、回腸を近位に増殖させるように実施されてもよい。別の実施例におけるように、回腸末端粘膜の治療は、より近位回腸粘膜および/または結腸粘膜と置換するように実施され、したがって、胆汁塩およびコレステロールが取り込まれないように防止し得る。これは、したがって、高コレステロール血症のための治療としての役割を果たし得る。ある実施形態によると、これは、異なる幹細胞の存在によって粘膜挙動の変化を促すために、腸管腔のある領域から別の領域への粘膜/幹細胞移植によって達成され得る。遠位小腸からのあるホルモン細胞(L細胞)は、食塊に応答して、抗糖尿病ホルモンを放出すると考えられるので、治療手技はまた、遠位回腸からの粘膜組織の外植および治療された十二指腸への細胞の移植を含み、小腸内のより近位に回腸粘膜増殖を誘発させてもよい。
【0274】
粘膜はまた、特有の深さまで治療されてもよい。例えば、上部レベルが、除去され、より低いレベルは、そのまま、例えば、部分的に損傷されたまま、残されていてもよい。この手技は、RF、レーザ、低温、例えば、マイクロ波などによる切除を介して行われてもよい。
【0275】
ホルモン信号伝達活性の多くは、十二指腸球部のレベルにおいて生じるので、この治療は、好ましくは、胆汁塩および膵酵素を腸管腔に送達するファーター膨大部118またはオッディ括約筋120にいかなる損傷または炎症/狭窄も生じさせることなく、この領域内において実施され得る。これは、糖尿病および関連症候群を改善する、ホルモン信号を変化させる、オッディ括約筋120を保護する、蠕動機能を保存し、膵管を保護するなどを促進し得る。
【0276】
前述の実施形態(
図14‐17)と関連して説明される手技後に、手技後ケアが続いてもよい。手技後ケアは、狭窄および穿孔の監視、吸収不良の監視、栄養素および/またはビタミン補給などを含んでもよい。
【0277】
本発明の概念の実施形態は、前述のように、非インプラントおよび非手術手技を介して2型糖尿病の治療の方法を提供し得る。本発明の概念の説明される実施形態の利点は、糖尿病に対する内視鏡下での解決策を介した治療が、インプラントを残さなくてもよく、栄養素の吸収不良を生じさせるほど腸管を切除しなくてもよく、管内の胆汁塩または膵酵素の流入を防止しなくてもよく、および粘膜表面との相互作用を回避するために、管腔内のデバイスあるいは従来の管腔の外側のデバイスまたはヒト生体構造の領域のいずれかを食物を再ルーティングさせなくてもよいことであり得る。
【0278】
本発明の概念の実施形態は、グルコース応答を改善し、インスリン感度を減少させ得る。さらに、内分泌細胞は、十二指腸粘膜から身体に進入し得るホルモンを放出し、例えば、インスリン抵抗に影響を及ぼす効果を有し得る。加えて、異なる量のホルモンが放出され得、細胞が、この治療手技が実施された後に、刺激に対して異なるように応答し得る。本発明の概念はまた、血液グルコース制御および再増殖の防止を可能にし得る。
【0279】
十二指腸粘膜を改変するために、(限定されないが)マイトマイシンCまたは希釈された酸等の局所的に送達される薬物を使用することができる。これは、任意数の方法において、本明細書に説明される手技と組み合わせられることができる(粘膜再増殖を防止するため、局所組織構造/構造を改変するため、瘢痕化を誘発するため、瘢痕化を防止するため、または化生を誘発するため)。これらの薬物内またはそれとともに、多くの媒体が適用または投与され得る。
【0280】
療法はまた、経口薬と連結されてもよい。これらとして、(限定されないが)ビタミン補給剤、酸遮断薬、粘膜治癒薬剤、胆汁/膵酵素補給剤、マイトマイシンC、希釈された酸、5-FU、シクロスポリン(M-tor阻害剤)、シロリムス、FK506、「-Limus」薬物、および薬物溶出ステントのために使用される任意のものが挙げられ得る。毒素もまた、粘膜下層(筋肉化粘膜と上皮との間の区域)内に注入されてもよい。加えて、血流またはその下の栄養素から粘膜を遮断する薬剤が使用されてもよい。硬化療法(瘢痕化薬剤を組織に注入する)および粘膜再増殖を改変するステップが、使用されてもよい。
【0281】
本発明の概念はまた、前述のものと組み合わせられ得る、他の技法も想定する。例えば、ポリマーコーティングが、特定の治療後(または、前)に、治療区域に適用されてもよい。ポリマーコーティングを使用するとき、細胞は、治療され、例えば、不活性にされ、次いで、コーティングされ得る。加えて、コーティングまたは外筒が、治療区域上に塗膜されてもよい。再び、これは、特定の治療後(または、前)に生じ得る。他の治療として、肥大反応を生じさせる、および/または線維症を促すために使用され得る足場および/またはステントが挙げられ得る。加えて、噴霧材料、例えば、ニチノールを使用して、治療区域をコーティングしてもよい。さらに、粘膜/上皮移植片が使用されてもよい。本実施形態では、例えば、空腸または腸骨組織(または、食道組織さえ)の断片が得られ、増殖され、十二指腸内に留置され、十二指腸内に新しいタイプの組織を生成する。例えば、腸骨組織の移植片は、十二指腸の治療場所の中に回腸の領域全体を生成するために使用され得る。
【0282】
一実施形態では、切除が行われ、次いで、上皮が増殖して元に戻る時間期間の間、外筒が埋め込まれている。これは、不適切な創傷治癒または感染症を防止するために必要であり得る。
【0283】
前述のある実施形態では、保護キャップ802が、
図18に図示されるように使用される。これは、ある領域、例えば、ファーター膨大部またはオッディ括約筋を保護するための安全機構である。この技法は、広縁付きキャップを管内に挿入するステップを含む。キャップが挿入され、適所に保持され、除去され得る多くの方法が存在する。例えば、キャップ802は、管壁に対して外向きの圧力を付与するバネ804によって、適所に保持されてもよい。手技全体の完了後に、キャップは、スネアによって除去され、および内視鏡を通して除去されることができる。一時的に適所にあるとき、胆汁塩が十二指腸に流れ込まないように防止する。オッディ括約筋ならびに胆汁および膵酵素の管は、十二指腸の第2の部分に進入する。外筒、例えば、GI Dynamicsデバイス/外筒が、その括約筋のすぐ遠位に設置される(したがって、食物は、外筒に進入する前に、膵酵素および胆汁塩と混合する)。これは、療法の区域を十二指腸の第2の部分およびその向こう側に制限する。切除は、十二指腸全体を横断して行われてもよい。オッディ括約筋または胆管に損傷が生じ得ないので、それらの要素を切除の影響から保護するであろうキャップを留置することが推奨される。これは、機械的に絶縁する、熱的に絶縁する、電気的に絶縁する、または光学的に不透過性にすることを含み得る。
【0284】
本発明の概念のシステムおよびデバイスは、標的組織を治療するように構築および配列される1つ以上の治療要素を含む。治療要素は、組織に接触してもよく、例えば、高温または低温(例えば、極低温)の流体充填バルーン、または高周波エネルギーを送達するように構成される1つ以上の電極を含む拡張可能ケージである。治療要素は、拡張可能であってもよく、および/または拡張可能要素に搭載されてもよい。拡張可能要素として、バルーン、展開可能ケージ、半径方向展開可能アーム、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。拡張可能要素は、組織に接触し、組織と係合し、潜在的に、組織を圧縮するか、または別様に力を付与するように構成されてもよい。
【0285】
本発明の概念のデバイスまたはシステムの治療要素または別の構成要素は、1つ以上のコーティングを含んでもよく、例えば、コーティングは、シャフト、バルーン、または拡張可能ケージに適用される。コーティングは、例えば、手技全体を通して放出されるか、または無傷のままであるように構成されてもよく、例えば、潤滑性コーティングは、デバイスまたは構成要素の前進または後退を改善するように構成される。デバイスおよび方法の好ましい実施形態が、それらが開発された環境を参照して説明されたが、それらは、単に本発明の概念の原理の例示である。本発明の概念を実行するための前述のアセンブリ、他の実施形態、構成、および方法の修正または組み合わせ、ならびに当業者に明白である本発明の概念の側面の変形例は、請求項の範囲内にあることが意図される。加えて、本願は、方法または手技のステップを特異的な順序で列挙したが、いくつかのステップが実施される順序を変更することが可能であり、ある状況においては好都合でさえあり得、以下に記載の方法または手技の請求項の特定のステップは、そのような順序の特異性が、請求項に明示的に記載されない限り、順序が特異的であると解釈されないことが意図される。