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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/08 20060101AFI20231116BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F25D21/08 B
F25D23/00 301N
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022063409
(22)【出願日】2022-04-06
(62)【分割の表示】P 2018103466の分割
【原出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2022087191
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 竜也
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-187976(JP,A)
【文献】特開2017-044448(JP,A)
【文献】特開平08-226746(JP,A)
【文献】特開平08-212446(JP,A)
【文献】特開2015-141018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00 ~ 16/00
F25D 17/04 ~ 17/08
F25D 21/00 ~ 21/02
F25D 21/06 ~ 21/12
F25D 23/00
F25D 27/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却貯蔵庫であって、
開閉扉を有する貯蔵庫本体と、
圧縮機及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検出する庫内温度センサと、
前記蒸発器を加熱する加熱部と、
異常を報知する報知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
所定の除霜開始条件が成立すると、前記圧縮機を停止させ、前記加熱部によって前記蒸発器を加熱する除霜運転を開始する除霜開始処理と、
前記庫内温度センサによって検出された庫内温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると前記除霜運転を終了させる除霜終了処理と、
前記除霜運転を開始した時から一定時間が経過しても庫内温度が前記除霜終了温度まで上昇しなかった場合に前記除霜運転を強制終了させる強制終了処理と、
前記強制終了処理を実行した場合に前記報知部に異常を報知させる報知処理であって、前記強制終了処理を実行したときの庫内温度が前記除霜終了温度から所定温度を減算した温度より低い場合は第1種の異常を報知させ、前記強制終了処理を実行したときの庫内温度が前記除霜終了温度から前記所定温度を減算した温度以上の場合は第2種の異常を報知させる報知処理と、
を実行し、
当該冷却貯蔵庫の点検が必要であることを点灯によって報知する発光部を備え、
前記制御部は、庫内温度を表示させるときは前記発光部を消灯させ、前記第1種の異常の警報番号又は前記第2種の異常の警報番号を表示するときは前記発光部を点灯させ
前記報知部は庫内温度を表示する表示部であり、
前記制御部は、前記第1種の異常又は前記第2種の異常を報知するときは、庫内温度と、前記第1種の異常の警報番号又は前記第2種の異常の警報番号とを前記表示部に交互に表示させる、冷却貯蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却貯蔵庫であって、
報知を終了させる指示を受け付ける操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部で前記指示を受け付けると報知を終了させる、冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫の庫内温度が所定の冷却温度範囲より高くなった場合に高温異常を報知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の温度警報装置は、測温素子が所定の温度範囲より高い温度を検出した時、一定時間後に高温警報を発する。
【0003】
また、従来、冷却貯蔵庫の庫内温度が所定の冷却温度範囲より低くなった場合に低温異常を報知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の温度警報装置は、測温素子が所定の温度範囲より低い温度を検出した時、一定時間後に低温警報を発する。
【0004】
また、従来、冷却貯蔵庫において、所定の除霜開始条件が成立すると加熱部によって蒸発器を加熱することによって蒸発器を除霜し、庫内温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると除霜を終了するものが知られている。また、このような冷却貯蔵庫において、一定時間が経過しても庫内温度が除霜終了温度まで上昇しなかった場合に除霜異常を報知するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、特許文献2に記載の冷蔵庫は、冷却器(蒸発器に相当)の温度を検知する除霜温度検知手段を備え、除霜ヒータ通電後に除霜温度検知手段の温度が上がらず除霜タイマの時間が設定時間より長い場合は、警報手段にて警報せらしめる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平2-29585号公報
【文献】特開平4-158182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に高温異常、低温異常、除霜異常などが発生すると、冷却貯蔵庫のメンテナンスを行う作業者(例えば冷却貯蔵庫の製造メーカのサービスマン)が冷却貯蔵庫を点検してその原因を特定し、特定した原因に応じたメンテナンスを行う。このため、原因の特定に時間を要するとメンテナンスが完了するまでに時間がかかり、食品などの収納物が劣化する可能性がある。このため、短時間で原因を特定することが望まれる。
【0007】
本明細書では、冷却貯蔵庫の高温異常の原因の特定に要する時間を短縮する技術を開示する。
また、本明細書では、冷却貯蔵庫の低温異常の原因の特定に要する時間を短縮する技術を開示する。
また、本明細書では、冷却貯蔵庫の除霜異常の原因の特定に要する時間を短縮する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開閉扉を有する貯蔵庫本体と、圧縮機及び凝縮器を有する冷凍回路と、庫内温度を検出する庫内温度センサと、前記凝縮器の温度を検出する凝縮器温度センサと、当該冷却貯蔵庫の周囲の温度を検出する周囲温度センサと、異常を報知する報知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記圧縮機を運転して庫内を冷却する冷却運転であって、前記庫内温度センサによって検出された庫内温度が所定の下限温度まで低下すると前記圧縮機を停止させ、その後に庫内温度が所定の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、高温異常が発生した場合に前記報知部に異常を報知させる報知処理であって、庫内温度が前記上限温度より所定温度以上高い状態が所定時間継続し、且つ、その間に前記凝縮器温度センサによって検出された温度と前記周囲温度センサによって検出された温度との差が常に所定値未満であった場合は第1種の異常を報知させ、庫内温度が前記上限温度より前記所定温度以上高い状態が前記所定時間継続し、且つ、その間に前記差が一時的にでも前記所定値以上であった場合は第2種の異常を報知させる報知処理と、を実行する。
【0009】
第1種の異常(以下、「第1種の高温異常」という)と第2種の異常(以下、「第2種の高温異常」という)とでは原因が異なる。従来は高温異常が第1種の高温異常であるか第2種の高温異常であるかを作業者が知ることができなかったため、次のような問題があった。
・第2種の高温異常は部品の故障ではなく冷却貯蔵庫の設置環境や使用状況が原因であることもある。従来は第2種の高温異常の場合にも部品を点検しており、原因の特定に時間を要していた。
・第1種の高温異常と第2種の高温異常とでは故障している可能性がある部品が異なる。従来は例えば第1種の高温異常であっても第2種の高温異常の原因となる部品まで点検しており、点検する部品が多くなるため原因の特定に時間を要していた。
上記の冷却貯蔵庫によると、第1種の高温異常と第2種の高温異常とを区別して報知する。言い換えると、冷却貯蔵庫は高温異常を2分化して報知する。このため、例えば第1種の高温異常の場合は、作業者は第2種の高温異常の原因となる部品については点検しなくてよい。このため、高温異常の原因の特定に要する時間を短縮できる。これにより、メンテナンスが完了するまでに時間がかかることによって食品などの収納物が劣化する可能性を低減できる。
【0010】
前記制御部は、前記庫内温度センサによって検出された庫内温度が前記下限温度まで低下すると報知を終了させてもよい。
【0011】
庫内温度が下限温度まで低下すれば高温異常は確実に解消されたといえる。このため、上記の冷却貯蔵庫によると、高温異常が確実に解消されたときに報知を終了させることができる。
【0012】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開閉扉を有する貯蔵庫本体と、圧縮機及び凝縮器を有する冷凍回路と、庫内温度を検出する庫内温度センサと、前記凝縮器の温度を検出する凝縮器温度センサと、当該冷却貯蔵庫の周囲の温度を検出する周囲温度センサと、異常を報知する報知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記圧縮機を運転して庫内を冷却する冷却運転であって、前記庫内温度センサによって検出された庫内温度が所定の下限温度まで低下すると前記圧縮機を停止させ、その後に庫内温度が所定の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、低温異常が発生した場合に前記報知部に異常を報知させる報知処理であって、庫内温度が前記下限温度より所定温度以上低い状態が所定時間継続し、且つ、その間に前記凝縮器温度センサによって検出された温度と前記周囲温度センサによって検出された温度との差が常に所定値未満であった場合は第1種の異常を報知させ、庫内温度が前記下限温度より前記所定温度以上低い状態が前記所定時間継続し、且つ、その間に前記差が一時的にでも前記所定値以上であった場合は第2種の異常を報知させる報知処理と、を実行する。
【0013】
第1種の異常(以下、「第1種の低温異常」という)と第2種の異常(以下、「第2種の低温異常」という)とでは原因が異なる。従来は低温異常が第1種の低温異常であるか第2種の低温異常であるかを作業者が知ることができなかったため、次のような問題があった。
・第1種の低温異常は部品の故障ではなく冷却貯蔵庫の設置環境が原因であることもある。従来は第1種の低温異常の場合にも部品を点検しており、原因の特定に時間を要していた。
・第1種の低温異常と第2種の低温異常とでは故障している可能性がある部品が異なる。従来は例えば第1種の低温異常であっても第2種の低温異常の原因となる部品まで点検しており、点検する部品が多くなるため原因の特定に時間を要していた。
上記の冷却貯蔵庫によると、第1種の低温異常と第2種の低温異常とを区別して報知する。言い換えると、冷却貯蔵庫は低温異常を2分化して報知する。このため、例えば第1種の低温異常の場合は、作業者は第2種の低温異常の原因となる部品については点検しなくてよい。このため、低温異常の原因の特定に要する時間を短縮できる。これにより、メンテナンスが完了するまでに時間がかかることによって食品などの収納物が劣化する可能性を低減できる。
【0014】
前記制御部は、前記庫内温度センサによって検出された庫内温度が前記上限温度まで上昇すると報知を終了させてもよい。
【0015】
庫内温度が上限温度まで上昇すれば低温異常は確実に解消されたといえる。このため、上記の冷却貯蔵庫によると、低温異常が確実に解消されたときに報知を終了させることができる。
【0016】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開閉扉を有する貯蔵庫本体と、圧縮機及び蒸発器を有する冷凍回路と、庫内温度を検出する庫内温度センサと、前記蒸発器を加熱する加熱部と、異常を報知する報知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、所定の除霜開始条件が成立すると、前記圧縮機を停止させ、前記加熱部によって前記蒸発器を加熱する除霜運転を開始する除霜開始処理と、前記庫内温度センサによって検出された庫内温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると前記除霜運転を終了させる除霜終了処理と、前記除霜運転を開始した時から一定時間が経過しても庫内温度が前記除霜終了温度まで上昇しなかった場合に前記除霜運転を強制終了させる強制終了処理と、前記強制終了処理を実行した場合に前記報知部に異常を報知させる報知処理であって、前記強制終了処理を実行したときの庫内温度が前記除霜終了温度から所定温度を減算した温度より低い場合は第1種の異常を報知させ、前記強制終了処理を実行したときの庫内温度が前記除霜終了温度から前記所定温度を減算した温度以上の場合は第2種の異常を報知させる報知処理と、を実行する。
【0017】
第1種の異常(以下、「第1種の除霜異常」という)と第2種の異常(以下、「第2種の除霜異常」という)とでは原因が異なる。従来は除霜異常が第1種の除霜異常であるか第2種の除霜異常であるかを作業者が知ることができなかったため、次のような問題があった。
・第2種の除霜異常は部品の故障ではなく冷却貯蔵庫の使用状況が原因であることもある。従来は第2種の除霜異常の場合にも部品を点検しており、原因の特定に時間を要していた。
・第1種の除霜異常と第2種の除霜異常とでは故障している可能性がある部品が異なる。従来は例えば第1種の除霜異常であっても第2種の除霜異常の原因となる部品まで点検しており、点検する部品が多くなるため原因の特定に時間を要していた。
上記の冷却貯蔵庫によると、第1種の除霜異常と第2種の除霜異常とを区別して報知する。言い換えると、冷却貯蔵庫は除霜異常を2分化して報知する。このため、例えば第1種の除霜異常の場合は、作業者は第2種の除霜異常の原因となる部品については点検しなくてよい。このため、除霜異常の原因の特定に要する時間を短縮できる。これにより、メンテナンスが完了するまでに時間がかかることによって食品などの収納物が劣化する可能性を低減できる。
【0018】
報知を終了させる指示を受け付ける操作部を備え、前記制御部は、前記操作部で前記指示を受け付けると報知を終了させてもよい。
【0019】
メンテナンスが完了した時に報知を終了させるようにしないと、メンテナンスが完了しても除霜異常が報知されたままとなってしまい、冷却貯蔵庫の使用者が混乱する虞がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、例えばメンテナンスを行った作業者が操作部を操作することにより、除霜異常の報知を終了させることができる。これにより、冷却貯蔵庫の使用者が混乱してしまうことを抑制できる。
【0020】
前記報知部は庫内温度を表示する表示部であり、前記制御部は、前記第1種の異常又は前記第2種の異常を報知するときは、庫内温度と、前記第1種の異常の警報番号又は前記第2種の異常の警報番号とを前記表示部に交互に表示させてもよい。
【0021】
上記の冷却貯蔵庫によると、一つの表示部を庫内温度の表示と警報番号の表示とに用いるので、庫内温度を表示するための表示部と警報番号を表示するための表示部とを別々に備える場合に比べてコストを低減できる。
【0022】
当該冷却貯蔵庫の点検が必要であることを点灯によって報知する発光部を備え、前記制御部は、庫内温度を表示させるときは前記発光部を消灯させ、前記第1種の異常の警報番号又は前記第2種の異常の警報番号を表示するときは前記発光部を点灯させてもよい。
【0023】
庫内温度と警報番号とを交互に表示すると、使用者は庫内温度が表示されているのか警報番号が表示されているのかが判り難い。
上記の冷却貯蔵庫によると、庫内温度を表示するときは発光部を消灯し、警報番号を表示するときは発光部を点灯させるので、庫内温度が表示されているのか警報番号が表示されているのかが判り易くなる。
【0024】
なお、本明細書によって開示される技術は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1に係る冷蔵庫の正面図
図2図1に示すA-A線の断面図
図3】冷却ユニット及びその周辺の断面図
図4】冷蔵庫の電気的構成を示すブロック図
図5】操作部の拡大図
図6】高温異常の報知を説明するためのタイミングチャート
図7】実施形態2に係る低温異常の報知を説明するためのタイミングチャート
図8】実施形態3に係るデフロスト異常の報知を説明するためのタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図6に基づいて説明する。以降の説明において上下方向及び左右方向とは図1に示す上下方向及び左右方向を基準とし、前後方向とは図2に示す前後方向を基準とする。
【0027】
(1)冷蔵庫の全体構成
図1及び図2を参照して、実施形態1に係る冷蔵庫1(冷却貯蔵庫の一例)の全体構成について説明する。冷蔵庫1は主に業務に用いられる2ドア式の冷蔵庫である。
【0028】
図2に示すように、冷蔵庫1は前側に開口11A及び11Bを有する断熱箱体からなる貯蔵庫本体11を備えている。開口11A及び11Bは上下方向の概ね中央において左右方向に延びる角柱状の前面枠11Cによって上下に仕切られている。図1及び図2に示すように、貯蔵庫本体11には開口11A及び11Bを開閉する2つの断熱扉12(12A、12B)が取り付けられている。断熱扉12は開閉扉の一例である。貯蔵庫本体11の下面には貯蔵庫本体11を支持する4つの脚部13が取り付けられている。
【0029】
図2に示すように、貯蔵庫本体11の上には上側が開放された機械室16が設けられている。機械室16には冷却ユニット17、電装箱18、操作部19(図1参照)、周囲温度サーミスタ33(図4参照)、電源部(図示せず)などが収容されている。
【0030】
電装箱18には後述する制御部35(図4参照)が収容されている。
図1に示すように、操作部19は機械室16の前側に設けられている開口から前側に露出している。操作部19についての説明は後述する。
周囲温度サーミスタ33(周囲温度センサの一例)は操作部19に設けられている。周囲温度サーミスタ33は冷蔵庫1の周囲温度を検出して制御部35に出力する。周囲温度サーミスタ33は貯蔵庫本体11の外に配されているので、周囲温度は外気温度と言い換えることもできる。
【0031】
図3を参照して、冷却ユニット17及びその周辺の構成について説明する。冷却ユニット17は断熱性のユニット台20に冷凍回路21を取り付けたものである。ユニット台20は貯蔵庫本体11の天井壁11Dに形成されている開口11Eより一回り大きい形に形成されており、開口11Eを塞ぐように天井壁11Dの上に配置されている。
【0032】
冷凍回路21は圧縮機22、凝縮器23、凝縮器ファン24、蒸発器25、図示しない膨張弁などを備えている。圧縮機22は回転数が可変なインバータ圧縮機であってもよいし、回転数が一定の一定速圧縮機であってもよい。
凝縮器23の前側には空気中の塵埃が凝縮器23に付着して凝縮能力が低下することを防止するための図示しないフィルターが設けられている。また、凝縮器23の冷媒管にはフィルターの目詰まりを検出するための目詰サーミスタ31(図4参照)が取り付けられている。目詰サーミスタ31は凝縮器温度センサの一例である。
【0033】
蒸発器25はユニット台20の下側に取り付けられており、天井(天井壁11D及びユニット台20)と次に説明するダクト部27とによって構成される空気循環路28に収容されている。
【0034】
ダクト部27は天井との間に空気循環路28を形成するものであるとともに、蒸発器25に付着した霜が溶けた水である除霜水を受けるドレンパンとしても機能する。ダクト部27は後側に向かって下に傾斜する略平板状の底壁27A、底壁27Aの左右の縁部から上側に立ち上がっている側壁27B、及び、底壁27Aの後側の縁部から上側に僅かに立ち上がっている後壁27Cを有している。
【0035】
底壁27Aの前側部分には空気循環路28内に空気を吸い込むための円形の吸込口27Dが形成されている。後壁27Cは貯蔵庫本体11の後側の壁11Fから前側に離間しており、後壁27Cと貯蔵庫本体11の後側の壁11Fとの間に吹出口27Eが形成されている。また、後壁27Cには左右方向の概ね中央から後側に向かって延びる断面U字状の排水溝27Fが一体に形成されている。貯蔵庫本体11の後側の壁11Fの内部には排水通路11Gが形成されており、排水溝27Fは後側の端部が排水通路11Gに挿入されている。ダクト部27によって受けられた除霜水は排水溝27Fから排水通路11Gを介して庫外に排出される。
【0036】
庫内ファン29はダクト部27の吸込口27Dに上側から装着されている。庫内ファン29が回転すると庫内の空気が吸込口27Dから空気循環路28に吸い込まれ、蒸発器25によって冷却されて吹出口27Eから庫内に吹き出される。
庫内サーミスタ30(庫内温度センサの一例)は空気循環路28内において庫内ファン29と蒸発器25との間に配されている。庫内サーミスタ30は庫内温度を検出して制御部35に出力する。庫内サーミスタ30は除霜運転時の除霜サーミスタを兼ねている。
【0037】
除霜ヒータ32(加熱部の一例)は蒸発器25の冷却フィンの下端部に取り付けられている。除霜ヒータ32は蒸発器25を加熱して蒸発器25を除霜するためのものである。以降の説明では除霜のことをデフロストともいう。
【0038】
(2)冷蔵庫の電気的構成
図4を参照して、冷蔵庫1の電気的構成について説明する。冷蔵庫1は制御部35を備えている。制御部35には操作部19、圧縮機22、庫内ファン29、凝縮器ファン24、庫内サーミスタ30、目詰サーミスタ31、周囲温度サーミスタ33、除霜ヒータ32などが接続されている。
【0039】
制御部35はCPU35A、ROM35B、RAM35Cなどを備えている。制御部35はROM35Bに記憶されている制御プログラムを実行することによって冷蔵庫1の各部を制御する。制御部35はCPU35Aに替えて、あるいはCPU35Aに加えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備えていてもよい。
【0040】
(3)操作部
図5を参照して、操作部19について説明する。操作部19には表示装置40(表示部の一例)、複数の操作ボタン41、点検ランプ42(発光部の一例)、フィルターランプ43、霜取中ランプ44などが設けられている。
【0041】
表示装置40には現在の庫内温度や庫内の目標温度などが表示される。また、表示装置40には後述する高温異常などの異常が発生した場合にその異常に対応する警報番号が表示される。
複数の操作ボタン41は使用者が目標温度の設定などの各種の操作を行うためのボタンである。以降の説明では設定された目標温度のことを設定温度という。
【0042】
点検ランプ42は冷蔵庫1の点検が必要であることを示す半透明の図形及び「点検」という文字列と、それらの図形及び文字列の背後に配されているLEDなどの光源とを備えている。制御部35は冷蔵庫1の異常を検出すると点検ランプ42を点灯させ、冷蔵庫1の点検が行われて異常が検出されなくなると点検ランプ42を消灯させる。
【0043】
フィルターランプ43は凝縮器23の前側に設けられているフィルターの目詰まりが検出されたことを示す透明あるいは半透明の図形及び「フィルター」という文字列と、それらの図形及び文字列の背後に配されているLEDなどの光源とを備えている。制御部35は目詰サーミスタ31によって検出された温度が所定温度以上の状態を所定時間以上継続するとフィルターが目詰まりしていると見做してフィルターランプ43を点灯させる。そして、制御部35は目詰まりが解消されたと見做すとフィルターランプ43を消灯させる。
【0044】
霜取中ランプ44は蒸発器25を除霜する除霜運転中であることを示す透明あるいは半透明の図形及び「霜取中」という文字列と、それらの図形及び文字列の背後に配されているLEDなどの光源とを備えている。制御部35は除霜運転を開始すると霜取中ランプ44を点灯させ、除霜運転が終了すると霜取中ランプ44を消灯させる。
【0045】
(4)制御部によって実行される処理
ここでは制御部35によって実行される処理のうち冷却運転及び高温異常報知処理(報知処理の一例)について説明する。
【0046】
(4-1)冷却運転
図6を参照して、冷却運転について説明する。冷却運転は圧縮機22及び凝縮器ファン24の運転/停止を切り替えることによって庫内温度を所定の冷却温度範囲内に維持するものである。冷却温度範囲の上限温度は例えば設定温度+1.7K[ケルビン]であり、下限温度は設定温度-2.0Kである。1.7Kや2.0Kは一例であり、これに限定されるものではない。
【0047】
冷却運転では、制御部35は圧縮機22、凝縮器ファン24及び庫内ファン29を運転し、庫内温度が下限温度まで低下すると圧縮機22及び凝縮器ファン24を停止させる。これらを停止させると庫内温度が徐々に上昇する。制御部35は庫内温度が冷却温度範囲の上限温度まで上昇すると圧縮機22及び凝縮器ファン24の運転を再開する。これを繰り返すことによって庫内温度が概ね冷却温度範囲内に維持される。
【0048】
例えば、図6において時点T1は冷蔵庫1に電源が投入された時点である。制御部35は電源が投入されると圧縮機22、凝縮器ファン24及び庫内ファン29を運転する。これらを運転すると庫内温度が低下する。時点T2は庫内温度が冷却温度範囲の下限温度まで低下した時点である。制御部35は庫内温度が冷却温度範囲の下限温度まで低下すると圧縮機22及び凝縮器ファン24を停止させる。これらを停止させると庫内温度が上昇する。時点T3は庫内温度が冷却温度範囲の上限温度まで上昇した時点である。このため、制御部35は時点T3で圧縮機22及び凝縮器ファン24の運転を再開する。
【0049】
時点T3で圧縮機22及び凝縮器ファン24の運転を再開すると庫内温度が低下するはずであるが、図6に示す例では時点T2と時点T3との間で冷蔵庫1に何らかの異常が発生し、時点T3で圧縮機22及び凝縮器ファン24の運転を再開しても庫内温度が低下しない場合を示している。
【0050】
(4-2)高温異常報知処理
図6を参照して、高温異常報知処理について説明する。本実施形態では設定温度より10K以上高い温度(言い換えると上限温度より8.3K以上高い温度)を高温と定義する。10Kは一例であり、設定温度から何度以上高い温度を高温とするかは適宜に決定可能である。高温異常報知処理は、庫内温度が設定温度より10K以上高い状態(すなわち高温の状態)が2時間以上継続した場合に高温異常であることを使用者に報知する処理である。8.3Kは所定温度の一例であり、2時間は所定時間の一例である。
【0051】
ここで、庫内温度が高温(設定温度より10K以上高い状態)になっても高温の状態が継続した時間が2時間未満の場合は高温異常を報知しない理由は、冷蔵庫1が正常に動作していても断熱扉12が開けられて庫内温度が一時的に高温になることがあるからである。このため、制御部35は、庫内温度が高温になってもその状態が継続した時間が2時間未満の場合は高温異常を報知しない。
【0052】
高温異常は次に説明する高温異常1(第1種の異常の一例)と高温異常2(第2種の異常の一例)とに分けることができる。高温異常1と高温異常2とでは原因が異なる。このため、制御部35は冷蔵庫1のメンテナンスを行う作業者が高温異常の原因を特定し易くするために高温異常1と高温異常2とを区別して報知する。言い換えると、制御部35は高温異常を2分化して報知する。
【0053】
(a)高温異常1
高温異常1は、圧縮機22が停止していることによって庫内温度が高温になる異常である。圧縮機22が停止する原因としては、圧縮機22自体の故障、圧縮機22の制御基板の故障、圧縮機22への通電をオン/オフするリレーの故障などが考えられる。
【0054】
圧縮機22が運転されている場合は圧縮機22から凝縮器23に高温高圧の冷媒が送り出されるので、凝縮器23の温度(目詰サーミスタ31によって検出される温度)が冷蔵庫1の周囲温度(周囲温度サーミスタ33によって検出される温度)より高くなる。これに対し、圧縮機22が停止していると冷凍回路21内の冷媒の循環が停止するので、凝縮器23内に滞留している冷媒の温度が周囲温度に近い温度まで低下し、凝縮器23の温度と周囲温度との差が小さくなる。
【0055】
このため、制御部35は、庫内温度が設定温度より10K以上高い状態が2時間継続し、且つ、その2時間の間に凝縮器23の温度と周囲温度との差の絶対値が常に3K(所定値の一例)未満であった場合は、圧縮機22が停止していたとして高温異常1を報知する。以下、具体的に説明する。
【0056】
図6において時点T6は庫内温度が下限温度まで低下して圧縮機22が停止された時点であり、時点T7はその後に庫内温度が上限温度まで上昇した時点である。図6に示す例では時点T6と時点T7との間で高温異常1の原因が生じたものとする。このため、時点T7で庫内温度が上限温度まで上昇しても圧縮機22が停止したままとなり、時点T7を過ぎても庫内温度が上昇している。そして、時点T8で庫内温度が設定温度より10K高い温度に達している。図6に示す例では、庫内温度が設定温度より10K以上高い状態が、時点T8から2時間が経過した時点である時点T9まで継続している。
【0057】
図6に示す例では時点T6で圧縮機22が停止されているので、時点T6を境に凝縮器23の温度が低下している。そして、時点T6と時点T7との間で凝縮器23の温度と周囲温度との差の絶対値が3K以下になっており、それらの差の絶対値が3K以下である状態が時点T9まで継続している。すなわち、時点T8から時点T9までの2時間の間(言い換えると庫内温度が設定温度より10K以上高い状態が2時間継続している間)、それらの差の絶対値は常に3K以下である。このため、制御部35は時点T9で表示装置40に高温異常1の警報番号を表示する。
【0058】
なお、上述した8.3K(所定温度)、2時間(所定時間)、及び、3K(所定値)は一例である。所定温度、所定時間及び所定値は適宜に決定できる。
【0059】
(b)高温異常2
高温異常2は、圧縮機22が運転されているにも関わらず庫内温度が高温になる異常である。圧縮機22が運転されているにも関わらず庫内温度が高温になる原因としては、圧縮機22以外の構成要素の故障、庫内サーミスタ30の故障による異常な庫内温度の出力、冷凍回路21の冷媒洩れ、高温環境(設置環境の一例)での使用や扉開閉回数が多いなどの過酷な使用状況などが考えられる。
【0060】
高温異常2の場合は圧縮機22が運転されているので、凝縮器23には圧縮機22から高温高圧の冷媒が送り込まれる。このため、高温異常2の場合は凝縮器23の温度と周囲温度との差が大きくなる。
このため、制御部35は、庫内温度が設定温度より10K以上高い状態が2時間継続し、且つ、その2時間の間に凝縮器23の温度と周囲温度との差の絶対値が一時的にでも3K以上であった場合は、圧縮機22が運転されていたとして高温異常2を報知する。以下、具体的に説明する。
【0061】
図6において時点T2は庫内温度が下限温度まで低下して圧縮機22が停止された時点であり、時点T3はその後に庫内温度が上限温度まで上昇した時点である。図6に示す例では時点T2と時点T3との間で高温異常2の原因が生じたものとする。このため、時点T3で庫内温度が上限温度まで上昇して圧縮機22の運転が再開されても庫内温度が上昇している。そして、時点T4で庫内温度が設定温度より10K高い温度に達している。図6に示す例では、庫内温度が設定温度より10K以上高い状態が、時点T4から2時間が経過した時点である時点T5まで継続している。
【0062】
図6に示す例では時点T2で圧縮機22が停止されているので時点T2を境に凝縮器23の温度が低下している。そして、時点T2と時点T3との間で凝縮器23の温度と周囲温度との差の絶対値が3K未満となっている。しかしながら、時点T3で圧縮機22の運転が再開されたことにより、時点T3から凝縮器23の温度が上昇しており、時点T4から時点T5までの間はそれらの差の絶対値がほぼ3K以上となっている。すなわち、時点T4から時点T5までの2時間の間(言い換えると庫内温度が設定温度より10K以上高い状態が2時間継続している間)に、それらの差の絶対値が一時的にでも3K以上になっている。このため、制御部35は時点T5で表示装置40に高温異常2の警報番号を表示する。
【0063】
(4-3)警報番号の表示、及び、点検ランプの点灯
制御部35は、表示装置40に高温異常の警報番号を表示するとき、庫内温度と高温異常の警報番号とを交互に表示させる。その場合に、制御部35は、表示されている情報が庫内温度であるか警報番号であるかを判り易くするために、警報番号を表示している間だけ点検ランプ42を点灯させる。
【0064】
制御部35は、警報番号を表示した後、庫内温度が冷却温度範囲の下限温度まで低下すると警報番号の表示を終了させるとともに、点検ランプ42を消灯させる。これにより高温異常の報知が終了する。
【0065】
(5)実施形態の効果
実施形態1に係る冷蔵庫1によると、高温異常を高温異常1と高温異常2とに2分化して報知する。このため、例えば高温異常1の場合は、メンテナンスを行う作業者は高温異常2の原因となる部品については点検しなくてよい。このため、高温異常の原因の特定に要する時間を短縮できる。これにより、メンテナンスが完了するまでに時間がかかることによって食品などの収納物が劣化する可能性を低減できる。また、原因の特定に要する時間を短縮できるので作業者の作業負担を軽減することもできる。
【0066】
また、冷蔵庫1によると、作業者は修理する可能性がある部品の手配などの準備をするとき、冷蔵庫1の使用者から警報番号を事前に入手することにより、修理する可能性がある部品を絞り込むことができる。このため準備時間も短縮することができる。
【0067】
また、冷蔵庫1によると、圧縮機22が運転されていたか否かを凝縮器23の温度や周囲温度から判断できる。このため、凝縮器23の温度を検出する目詰サーミスタ31や周囲温度を検出する周囲温度サーミスタ33を備えている冷蔵庫の場合には、圧縮機22が運転されていたか否かを確認するための制御部品を新たに備える必要がない。このため、高温異常を2分化するためのコストを低減できる。
【0068】
また、冷蔵庫1によると、庫内温度が下限温度まで低下すると高温異常の報知を終了させる。庫内温度が下限温度まで低下すれば高温異常は確実に解消されたといえる。このため、冷蔵庫1によると、高温異常が確実に解消されたときに報知を終了させることができる。
【0069】
また、冷蔵庫1によると、一つの表示装置40を庫内温度の表示と警報番号の表示とに用いるので、庫内温度を表示するための表示部と警報番号を表示するための表示部とを別々に備える場合に比べてコストを低減できる。
【0070】
また、冷蔵庫1によると、庫内温度を表示させるときは点検ランプ42を消灯させ、警報番号を表示するときは点検ランプ42を点灯させるので、庫内温度が表示されているのか警報番号が表示されているのかが判り易くなる。
【0071】
<実施形態2>
実施形態2を図7によって説明する。実施形態2に係る制御部35は低温異常報知処理(報知処理の一例)を実行する。
【0072】
(1)低温異常報知処理
図7を参照して、低温異常報知処理について説明する。本実施形態では設定温度より5K以上低い温度(言い換えると下限温度より3.0K以上低い温度)を低温と定義する。5Kは一例であり、設定温度から何度以上低い温度を低温とするかは適宜に決定可能である。低温異常報知処理は、庫内温度が設定温度より5K以上低い状態(すなわち低温の状態)が1時間以上継続した場合に低温異常であることを使用者に報知する処理である。3.0Kは所定温度の一例であり、1時間は所定時間の一例である。
【0073】
ここで、庫内温度が低温(設定温度より5K以上低い状態)になってもその状態が継続した時間が1時間未満の場合は低温異常を報知しない理由は、一般に庫内温度が設定温度より5K以上低い状態になってもその状態が継続した時間が1時間未満であれば冷蔵庫1は正常に動作していると考えられるからである。このため、制御部35は、庫内温度が設定温度より5K以上低い状態になってもその状態が継続した時間が1時間未満の場合は低温異常を報知しない。
【0074】
低温異常は次に説明する低温異常1(第1種の異常の一例)と低温異常2(第2種の異常の一例)とに分けることができる。低温異常1と低温異常2とでは原因が異なる。このため、制御部35は冷蔵庫1のメンテナンスを行う作業者が低温異常の原因を特定し易くするために低温異常1と低温異常2とを区別して報知する。言い換えると、制御部35は低温異常を2分化して報知する。
【0075】
(a)低温異常1
低温異常1は、圧縮機22が停止しているにも関わらず庫内温度が低温になる異常である。圧縮機22が停止しているにも関わらず庫内温度が低温になる原因としては、庫内サーミスタ30の故障による異常な庫内温度の出力、低温環境(設置環境の一例)での使用などが考えられる。
【0076】
実施形態1で説明したように、圧縮機22が停止すると冷凍回路21内の冷媒の循環が停止するので、凝縮器23内に滞留している冷媒の温度が周囲温度に近い温度まで低下し、凝縮器23の温度と周囲温度との差が小さくなる。
このため、制御部35は、庫内温度が設定温度より5K以上低い状態が1時間継続し、且つ、その1時間の間に凝縮器23の温度と周囲温度との差の絶対値が常に3K(所定値の一例)未満であった場合は、圧縮機22が停止していたとして低温異常1を報知する。以下、具体的に説明する。
【0077】
図7において時点T1は庫内温度が上限温度まで上昇して圧縮機22の運転が開始された時点であり、時点T2はその後に庫内温度が下限温度まで低下した時点である。図7に示す例では時点T1とT2との間で低温異常1の原因が生じたものとする。このため、時点T2で圧縮機22が停止しても庫内温度が低下している。そして、時点T3で庫内温度が設定温度より5K低い温度に達している。図7に示す例では、庫内温度が設定温度より5K以上低い状態が、時点T3から1時間が経過した時点である時点T4まで継続している。
【0078】
図7に示す例では時点T2で圧縮機22が停止しているので、時点T2を境に凝縮器23の温度が低下している。そして、時点T3で凝縮器23の温度と周囲温度との差の絶対値が3K以下となっている。そして、それらの差の絶対値が3K以下である状態が時点T4まで継続している。すなわち、時点T3から時点T4までの1時間の間(言い換えると庫内温度が設定温度より5K以上低い状態が1時間継続している間)、それらの差の絶対値は常に3K以下である。このため、制御部35は時点T4で表示装置40に低温異常1の警報番号を表示する。
【0079】
なお、上述した5K(所定温度)、1時間(所定時間)、及び、3K(所定値)は一例である。所定温度、所定時間及び所定値は適宜に決定できる。
【0080】
(b)低温異常2
低温異常2は、圧縮機22が運転されていたために庫内温度が低温になる異常である。圧縮機22が運転されていたために庫内温度が低温になる原因としては、圧縮機22の制御基板の故障、圧縮機22への電流供給をオン/オフするリレーの故障などが考えられる。
【0081】
低温異常2の場合は圧縮機22が運転されているので、凝縮器23には圧縮機22から高温高圧の冷媒が送り込まれる。このため、圧縮機22が運転されている場合は凝縮器23の温度(目詰サーミスタ31によって検出される)が周囲温度(周囲温度サーミスタ33によって検出される温度)より高くなる。このため、低温異常2の場合は凝縮器23の温度と周囲温度との差が大きくなる。
【0082】
このため、制御部35は、庫内温度が設定温度より5K以上低い状態が1時間継続し、且つ、その1時間の間に凝縮器23の温度と周囲温度との差の絶対値が一時的にでも3K以上であった場合は、圧縮機22が運転されていたとして低温異常2を報知する。以下、具体的に説明する。
【0083】
図7において時点T5は庫内温度が上限温度まで上昇して圧縮機22の運転が再開された時点であり、時点T6はその後に庫内温度が下限温度まで低下した時点である。図7に示す例では時点T5と時点T6との間で低温異常2の原因が生じたものとする。このため、時点T6で庫内温度が下限温度まで低下しても圧縮機22が運転されたままとなり、時点T6を過ぎても庫内温度が低下している。そして、時点T7で庫内温度が設定温度より5K低い温度に達している。図7に示す例では、庫内温度が設定温度より5K以上低い状態が、時点T7から1時間が経過した時点である時点T8まで継続している。
【0084】
図7に示す例では時点T5で圧縮機22の運転が再開されており、時点T5以降は凝縮器23の温度と周囲温度との差の絶対値が常に3K以上となっている。すなわち、時点T7から時点T8までの1時間の間(言い換えると庫内温度が設定温度より5K以上低い状態が1時間継続している間)に、それらの差の絶対値が一時的にでも3K以上になっている。このため、制御部35は時点T8で表示装置40に低温異常2の警報番号を表示する。
【0085】
(2)警報番号の表示、及び、点検ランプの点灯
制御部35は、表示装置40に低温異常の警報番号を表示するとき、庫内温度と低温異常の警報番号とを交互に表示させる。その場合に、制御部35は、表示されている情報が庫内温度であるか警報番号であるかを判り易くするために、警報番号を表示している間だけ点検ランプ42を点灯させる。
【0086】
制御部35は、警報番号を表示した後、庫内温度が冷却温度範囲の上限温度まで上昇すると警報番号の表示を終了させるとともに、点検ランプ42を消灯させる。これにより低温異常の報知が終了する。
【0087】
(3)実施形態の効果
実施形態2に係る冷蔵庫1によると、低温異常を低温異常1と低温異常2とに2分化して報知する。このため、例えば低温異常1の場合は、作業者は低温異常2の原因となる部品については点検しなくてよい。このため、低温異常の原因の特定に要する時間を短縮できる。これにより、メンテナンスが完了するまでに時間がかかることによって食品などの収納物が劣化する可能性を低減できる。
【0088】
また、実施形態2に係る冷蔵庫1によると、庫内温度が上限温度まで上昇すると低温異常の報知を終了させる。庫内温度が上限温度まで上昇すれば低温異常は確実に解消されたといえる。このため、冷蔵庫1によると、低温異常が確実に解消されたときに報知を終了させることができる。
【0089】
実施形態2に係る冷蔵庫1のその他の効果は実施形態1と実質的に同じである。
【0090】
<実施形態3>
実施形態3を図8によって説明する。実施形態3に係る制御部35は、蒸発器25に付着した霜を溶かす除霜運転を強制終了した場合にデフロスト異常報知処理(報知処理の一例)を実行する。
【0091】
(1)除霜運転
図8を参照して、除霜運転について説明する。前述した冷却運転を行うと蒸発器25に霜が付着する。このため制御部35は所定の除霜開始条件が成立すると除霜運転を行う。所定の除霜開始条件は「前回の除霜運転が終了してから一定時間が経過した」、「予め設定されている時刻に達した」、「使用者によって除霜が指示された」などである。除霜開始条件は適宜に決定できる。
【0092】
制御部35は、上述した所定の除霜開始条件が成立すると、ヒータデフロスト方式によって蒸発器25を除霜する。ヒータデフロスト方式は除霜ヒータ32によって蒸発器25を加熱することによって除霜する方式である。ヒータデフロスト方式では、制御部35は圧縮機22、凝縮器ファン24及び庫内ファン29を停止させ、除霜ヒータ32に通電して蒸発器25を加熱する。
【0093】
図8を参照して、ヒータデフロスト方式による除霜について具体的に説明する。時点T1は除霜開始条件が成立した時点である。このため制御部35は時点T1でヒータデフロスト方式による除霜運転を開始する(除霜開始処理の一例)。
除霜運転では圧縮機22が停止され、除霜ヒータ32に通電されるので庫内温度が上昇する。時点T2は、除霜運転を開始した後、庫内サーミスタ30(言い換えると除霜サーミスタ)によって検出された庫内温度が所定のヒータデフロスト終了温度(除霜終了温度の一例)まで上昇した時点である。制御部35は庫内温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇すると除霜ヒータ32への通電を終了する(除霜終了処理の一例)。ただし、制御部35は除霜ヒータ32への通電を終了しても蒸発器25の水切りのために直ぐには圧縮機22、凝縮器ファン24及び庫内ファン29の運転を再開せず、5分が経過するとこれらの運転を再開する。これにより冷却運転に戻る。
【0094】
(2)除霜運転の強制終了
図8を参照して、除霜運転の強制終了について説明する。制御部35は、ヒータデフロスト方式による除霜運転を開始した時から1時間(一定時間の一例)が経過しても庫内温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇しなかった場合は除霜運転を強制終了する。
【0095】
例えば、図8において時点T5や時点T9は、ヒータデフロスト方式による除霜運転を開始した時から1時間が経過した時点である。これらの時点では庫内温度がヒータデフロスト終了温度未満である。このため、制御部35は時点T5や時点T9で除霜運転を強制終了する。制御部35は、除霜運転を強制終了する場合は、除霜ヒータ32への通電を終了し、水切りのために5分待機した後、圧縮機22、凝縮器ファン24及び庫内ファン29の運転を再開する。
【0096】
(3)デフロスト異常報知処理
デフロスト異常報知処理は、ヒータデフロスト方式による除霜を強制終了した場合に、デフロスト異常であることを使用者に報知する処理である。
デフロスト異常は次に説明するデフロスト異常1(第1種の異常の一例)とデフロスト異常2(第2種の異常の一例)とに分けることができる。デフロスト異常1とデフロスト異常2とでは原因が異なる。このため、制御部35は冷蔵庫1のメンテナンスを行う作業者がデフロスト異常の原因を特定し易くするためにデフロスト異常1とデフロスト異常2とを区別して報知する。言い換えると、制御部35はデフロスト異常を2分化して報知する。
【0097】
(a)デフロスト異常1
デフロスト異常1は、除霜ヒータ32に通電されないことによって庫内温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇しなかった異常である。除霜ヒータ32に通電されない原因としては、除霜ヒータ32の故障、除霜ヒータ32への通電をオン/オフするリレーの故障、温度ヒューズの断線などが考えられる。
【0098】
除霜ヒータ32に通電されなかった場合は庫内温度が上昇しないので、通常、除霜運転を強制終了したときの庫内温度はヒータデフロスト終了温度から15K(所定温度の一例)を減じた温度以下となる。このため、制御部35は、ヒータデフロスト方式による除霜運転を強制終了したときの庫内温度がヒータデフロスト終了温度から15Kを減じた温度以下の場合は、除霜ヒータ32に通電されなかったとしてデフロスト異常1を報知する。以下、具体的に説明する。
【0099】
図8において時点T4は所定の除霜開始条件が成立した時点である。このため、制御部35は時点T4でヒータデフロスト方式による除霜運転を開始する。時点T5は時点T4から1時間が経過した時点である。図8に示す例では時点T4においてデフロスト異常1の原因が生じているものとする。このため図8に示す例では除霜ヒータ32に通電されないことによって庫内温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇することなく1時間が経過している。このため、時点T5において除霜運転が強制終了される。
【0100】
図8に示す例では、除霜ヒータ32に通電されていないため、時点T5で除霜運転を強制終了した時の庫内温度はヒータデフロスト終了温度から15Kを減じた温度以下である。このため、制御部35は時点T5で表示装置40にデフロスト異常1の警報番号を表示する。
【0101】
なお、上述した15K(所定温度)は一例である。所定温度は適宜に決定できる。
【0102】
(b)デフロスト異常2
デフロスト異常2は、除霜ヒータ32に通電されていたにも関わらず庫内温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇しなかった異常である。除霜ヒータ32に通電されていたにも関わらず庫内温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇しなかった原因としては、庫内サーミスタ30の故障による異常な庫内温度の出力、断熱扉12の開閉による蒸発器25への多量の霜の付着などの使用状況が考えられる。
【0103】
デフロスト異常2では除霜ヒータ32に通電されているので庫内温度がある程度上昇する。このため、通常、除霜運転を強制終了したときの庫内温度はヒータデフロスト終了温度から15Kを減じた温度より高くなる。このため、制御部35は、ヒータデフロスト方式による除霜運転を強制終了したときの庫内温度がヒータデフロスト終了温度から15Kを減じた温度より高い場合は、除霜ヒータ32に通電されていたとしてデフロスト異常2を報知する。以下、具体的に説明する。
【0104】
図8において時点T8は所定の除霜開始条件が成立した時点である。このため、制御部35は時点T8でヒータデフロスト方式による除霜運転を開始する。時点T9は時点T8から1時間が経過した時点である。図8に示す例では時点T7から時点T8の間にデフロスト異常2の原因が生じているものとする。このため図8に示す例では庫内温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇することなく1時間が経過している。このため、時点T9において除霜運転が強制終了される。
【0105】
図8に示す例では、除霜ヒータ32に通電されているため、時点T9で除霜運転を強制終了した時の庫内温度は、ヒータデフロスト終了温度より低いものの、ヒータデフロスト終了温度から15Kを減じた温度より高い。このため、制御部35は時点T9で表示装置40にデフロスト異常2の警報番号を表示する。
【0106】
(4)警報番号の表示、及び、点検ランプの点灯
制御部35は、表示装置40にデフロスト異常の警報番号を表示するとき、庫内温度とデフロスト異常の警報番号とを交互に表示させる。その場合に、制御部35は、表示されている情報が庫内温度であるか警報番号であるかを判り易くするために、警報番号を表示している間だけ点検ランプ42を点灯させる。
【0107】
制御部35は、デフロスト異常の警報番号を表示した後、操作部19の上ボタン41Aが3秒以上長押しされると警報番号の表示を終了させるとともに、点検ランプ42を消灯させる。これによりデフロスト異常の報知が終了する。図8に示す例では時点T7で操作部19の上ボタン41Aが3秒以上長押しされている。このため、時点T7でデフロスト異常の報知が終了している。
【0108】
(5)実施形態の効果
実施形態3に係る冷蔵庫1によると、デフロスト異常をデフロスト異常1とデフロスト異常2とに2分化して報知する。このため、例えばデフロスト異常1の場合は、作業者はデフロスト異常2の原因となる部品については点検しなくてよい。このため、デフロスト異常の原因の特定に要する時間を短縮できる。これにより、メンテナンスが完了するまでに時間がかかることによって食品などの収納物が劣化する可能性を低減できる。
【0109】
また、冷蔵庫1によると、除霜ヒータ32に通電されていたか否かを警報番号から判断できる。このため、除霜ヒータ32に通電されていたか否かを確認するための作業を行う必要がない。
【0110】
また、実施形態3に係る冷蔵庫1によると、例えばメンテナンスを行った作業者が操作部19を操作することにより、デフロスト異常の報知を終了させることができる。メンテナンスが完了した時に報知を終了させるようにしないと、メンテナンスが完了してもデフロスト異常が報知されたままとなってしまい、冷蔵庫1の使用者が混乱する虞がある。冷蔵庫1によると、操作部19を操作することによってデフロスト異常の報知を終了させることができるので、冷蔵庫1の使用者が混乱してしまうことを抑制できる。
【0111】
実施形態3に係る冷蔵庫1のその他の効果は実施形態1と実質的に同じである。
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0112】
(1)上記実施形態では冷却貯蔵庫として冷蔵庫1を例に説明したが、冷却貯蔵庫は冷凍庫であってもよいし、冷蔵庫と冷凍庫とを備える冷凍冷蔵庫であってもよいし、ショーケースであってもよい。
【0113】
ここで、上記実施形態3では、デフロスト異常を2分化するための所定温度を15Kとしている。15Kは冷蔵庫にも冷凍庫にも共通に適用することができる。このため、所定温度を15Kとすると、冷蔵庫と冷凍庫とで制御プログラムを個別に開発する必要がなく、制御プログラムの開発工数を抑制できる。
【0114】
(2)上記実施形態3では庫内サーミスタ30によって検出された庫内温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇すると除霜運転を終了するが、庫内サーミスタ30とは別に蒸発器25の温度を検出するためのサーミスタ(以下、除霜サーミスタという)を設け、除霜サーミスタによって検出された温度がヒータデフロスト終了温度まで上昇すると除霜運転を終了してもよい。
【0115】
(3)上記実施形態1では操作部19に高温異常1の警報番号や高温異常2の警報番号を表示することによって高温異常を報知する場合を例に説明したが、報知の方法はこれに限られるものではなく、適宜に決定可能である。例えば、警報番号を電子メールによって冷蔵庫1の使用者(あるいはサービスマン)に送信することによって報知してもよい。また、警報ブザーを鳴らすことによって報知してもよい。その場合に、高温異常1と高温異常2とでブザー音を異ならせてもよい。実施形態2及び3についても同様である。
【0116】
(4)上記実施形態3では加熱部として除霜ヒータ32を例に説明したが、加熱部は除霜ヒータ32に限定されない。例えば、加熱部は蒸発器25にホットガスを供給することによって蒸発器25を加熱するものであってもよい。
【0117】
(5)上記実施形態では点検ランプ42を点灯させることによって冷蔵庫1の点検が必要であることを報知する場合を例に説明したが、報知の方法はこれに限られない。例えばブザー音によって報知してもよい。そして、表示装置40に庫内温度と警報番号とを交互に表示する場合は、警報番号が表示されている間のみブザー音を鳴らしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…冷蔵庫(冷却貯蔵庫の一例)、11…貯蔵庫本体、12…断熱扉(開閉扉の一例)、19…操作部(報知部の一例)、21…冷凍回路、22…圧縮機、23…凝縮器、25…蒸発器、30…庫内サーミスタ(庫内温度センサの一例)、31…目詰サーミスタ(凝縮器温度センサの一例)、32…除霜ヒータ(加熱部の一例)、33…周囲温度サーミスタ(周囲温度センサの一例)、35…制御部、40…表示装置(表示部の一例)、42…点検ランプ(発光部の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8