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特許7386298密閉バケツ排気装置及び密閉バケツ排気システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】密閉バケツ排気装置及び密閉バケツ排気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
F24F7/06 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022131797
(22)【出願日】2022-08-22
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519246881
【氏名又は名称】社会医療法人蘇西厚生会
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川島 啓佑
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209392749(CN,U)
【文献】特開2014-234964(JP,A)
【文献】特開2011-016744(JP,A)
【文献】特開2011-005051(JP,A)
【文献】特開2013-174375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
病理解剖室に設置される密閉バケツ排気装置であって、
前記密閉バケツ排気装置は、
底壁と四方を囲む周壁を備えることにより上部が開放された収容空間を少なくとも形成するとともに、前記収容空間にて密閉バケツのバケツ本体を収容可能とした箱体と、
前記箱体の前記周壁または前記底壁に、前記収容空間内にあるホルマリンを含んだ空気である有害気体を吸引する吸引口とを有し、
前記吸引口には、有害気体処理装置へ送出する吸引ダクトが連結されており、
前記収容空間に収容される前記バケツ本体は、上部開口を有し、ホルマリン液が入っており、病理解剖にて摘出された臓器が入れられるものである密閉バケツ排気装置。
【請求項2】
前記収容空間に前記密閉バケツが載置された際、前記周壁と前記密閉バケツの前記バケツ本体の上部との間に、前記バケツ本体から生ずる有害気体が通過可能にした空隙が形成されることを特徴とする請求項1に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項3】
前記密閉バケツが前記収容空間内に収容されて、前記密閉バケツの密閉蓋が除去された際、前記周壁の高さは、当該密閉バケツの前記バケツ本体のバケツ高さ以上有する請求項2に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項4】
前記周壁は、前記密閉バケツの外部からの前記収容空間への収容移動を許容するとともに前記密閉バケツの前記収容空間からの外部への取り出しを許容する開閉扉を含む請求項3に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項5】
前記箱体内には、前記密閉バケツを前記底壁から上方へ離間して、前記密閉バケツを支持するバケツ支持部が形成されていて、前記バケツ支持部にて支持された前記密閉バケツよりも下方に前記収容空間と連通する連通空間を有する請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項6】
前記箱体の下部には、脚部が設けられている請求項5に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項7】
前記バケツ支持部は、前記周壁に架設された横架部材、または前記横架部材及び前記横架部材上に載置された支持板を含んでいて、前記横架部材または前記支持板よりも上方の空間を前記収容空間とし、下方を前記連通空間とする請求項5に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項8】
前記バケツ支持部は、底壁に設けられたバケツ支持台である請求項6に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項9】
前記バケツ支持台は、内部空間を備えるとともに、前記内部空間は、前記バケツ支持台の側方周面に形成された連通口及び前記連通空間を介して前記収容空間に連通し、前記底壁に形成された前記吸引口は、前記内部空間に連通して形成されている請求項8に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項10】
前記周壁の一部は、外部パネルと内部パネルとにより、パネル間空隙を有する2重構造とされており、前記内部パネルには、内部パネル開口が前記収容空間に連通して形成され、前記外部パネルには前記吸引口が形成されていて、前記パネル間空隙が前記内部パネル開口と前記吸引口と連通されている請求項1に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項11】
前記底壁は底壁外部パネルと底壁内部パネルにより、2重構造とされている請求項10に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項12】
前記密閉バケツは、有底円筒状に形成されるとともに底部が円形を有しており、
前記周壁の前記内部パネルの下端は、前記底壁に載置される前記密閉バケツの底部の位置規制を行って、前記密閉バケツの上端と、前記内部パネルのそれぞれの間の距離と同様に保持する位置規制部とされており、
前記位置規制部は、前記内部パネルが下方へ行くほどすぼまるように形成されている請求項10または請求項11に記載の密閉バケツ排気装置。
【請求項13】
処理台が載置された前記病理解剖室の天井側から、前記病理解剖室へ外気を吹き出し、前記処理台の上面から当該処理台上面の空気を処理台内部へ吸引して、前記天井側から当該空気を排気するプッシュ・プル換気装置を有する換気システムに対して付設する密閉バケツ排気システムであって、
前記換気システムは、前記処理台の側方に連結された横行部と、前記横行部に接続されて前記天井側へ向かう鉛直部とを有する排気系ダクトを備えて、前記横行部と、前記鉛直部とを備える前記排気系ダクトにより、前記処理台上面から前記処理台内部に吸引された前記空気を前記天井側から排気するものであり、
前記横行部の上方を覆うように請求項6に記載の密閉バケツ排気装置が配置され、
前記密閉バケツ排気装置の前記吸引ダクトが、前記排気系ダクトに接続して連通されている密閉バケツ排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉バケツ排気装置及び密閉バケツ排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病理解剖を行う場合、解剖者及び遺体処置者は解剖台の近くにホルマリン液が入った大型サイズの密閉バケツを載置して、摘出した遺体各部位の臓器を前記密閉バケツの中のホルマリン液に浸漬するようにしている。このことにより、前記臓器はホルマリン固定される。
【0003】
上記のようにホルマリン液が入った密閉バケツの蓋を開く際には、密閉バケツ内の蓋の内側に充満したホルマリンを含んだ空気が、蓋の開放動作に伴って生ずる誘導気流により上方に放出される。また、前記密閉バケツを蓋で閉める際には、蓋の下面に押されて密閉バケツ内の空気の圧力が高まり、前記密閉バケツの開口部上縁と蓋周縁との隙間からホルマリンを含んだ空気が放出される。このため、解剖者及び遺体処置者の健康に有害なホルマリンが室内に多量に流出することとなる。
【0004】
この問題を解決するために、特許文献1の環状排気装置が提案されている。
特許文献1の環状排気装置は、密閉バケツの上方に該密閉バケツの上面開口部を包囲する環状フードを有している。環状フードには空気浄化装置に対して排気ホースを介して連結された合流チャンバが設けられている。前記環状フードの内周面全体には、吸気スリットが形成されている。前記環状フードと前記合流チャンバには、互いに独立した複数の空気流路が形成されている。
【0005】
前記環状排気装置は、前記環状フードの前記内周面に設けられた環状の吸気スリットから密閉バケツの開口部上方にあるホルマリンを含んだ空気を放射状に吸引して、吸引した空気浄化装置へ排気するようにしている。このことにより、密閉バケツの蓋を開ける際や、蓋を外してある時に、密閉バケツ内のホルマリンを含んだ空気が外部へ流出することを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-234964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前記環状排気装置においては、環状フードに対する密閉バケツの置き位置によっては、吸気スリットと密閉バケツの開口部上縁に間隔が広がり、ホルマリンを含んだ空気が、吸引されない場合が生ずる虞がある。すなわち、ホルマリンは、気中に発散し易いとともに、その空気比重は、1.08であることから空気よりも重い。このため、上記吸気スリットと密閉バケツの開口部上縁に間隔が広がっていると、ホルマリンは、吸気スリットに吸引されずに、密閉バケツの開口部から密閉バケツ外側面に沿って下方へ流出して床面に漂う虞がある。
【0008】
また、前記環状排気装置の第1実施形態では、環状フード及び合流チャンバ等は、床面に載置した密閉バケツに対して昇降自在に支持されている。密閉バケツの上面開口部に蓋がされている場合、環状フード及び合流チャンバ等を上昇状態にした後、前記蓋と密閉バケツの上面開口部間を緩めることにより、蓋を外すようにしている。このように環状フード及び合流チャンバ等を上昇状態で、蓋が緩められると、密閉バケツの上面開口部の一部が開口されることによりホルマリンは、開口された一部か密閉バケツ外側面に沿って下方へ流出して床面に漂う虞がある。
【0009】
このように、一旦、密閉バケツの開口部上面から下方へ流出したホルマリンが、床に漂うにことにより、解剖者及び遺体処置者の健康に該を及ぼす虞がある。
本発明の目的は、上記課題を解決して、密閉バケツの開口部上面から外部の下方へ流出した有害気体があっても、当該有害気体を排気することができる密閉バケツ排気装置及び密閉バケツ排気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、本発明の密閉バケツ排気装置は、底壁と四方を囲む周壁を備えることにより上部が開放された収容空間を少なくとも形成するとともに、前記収容空間にて密閉バケツのバケツ本体を収容可能とした箱体と、前記箱体の前記周壁または前記底壁に、前記収容空間内にある有害気体を吸引する吸引口とを有し、前記吸引口には、有害気体処理装置へ送出する吸引ダクトが連結されているものである。
【0011】
上記構成により、バケツ本体の外部四方及び下面は、周壁及び底壁に包囲されるため、バケツ本体の開口部上面から外部の下方へ流出した有害気体を排気する。
前記収容空間に前記密閉バケツが載置された際、前記周壁と前記密閉バケツの前記バケツ本体の上部との間に、前記バケツ本体から生ずる有害気体が通過可能にした空隙が形成されることが好ましい(請求項2)。
【0012】
上記構成により、バケツ本体の上部と周壁の間に間隙があるため、バケツ本体の開口部上面から出た有害気体は収容空間の上部から収容空間の下方への誘導が容易となる。
前記密閉バケツが前記収容空間内に収容されて、前記密閉バケツの密閉蓋が除去された際、前記周壁の高さは、当該密閉バケツのバケツ本体のバケツ高さ以上有することが好ましい(請求項3)。
【0013】
上記構成により、バケツよりも周壁の高さが高いため、周壁外部へ漏れ出にくくなり、バケツの開口部上面から出た有害気体は収容空間の上部から収容空間の下方への誘導が容易くなる。
【0014】
前記周壁は、前記密閉バケツの外部からの前記収容空間への収容移動を許容するとともに前記密閉バケツの前記収容空間からの外部への取り出しを許容する開閉扉を備えることが好ましい(請求項4)。
【0015】
上記構成により、開閉扉を開放することにより、収容空間内への密閉バケツの収容及び前記収容空間からの密閉バケツの取り出しが容易に行われる。
前記箱体内には、前記密閉バケツを前記底壁から上方へ離間して、前記密閉バケツを支持するバケツ支持部が形成されていて、前記バケツ支持部にて支持された前記密閉バケツよりも下方に前記収容空間と連通する連通空間を有していてもよい(請求項5)。
【0016】
上記構成により、収容空間に納められた密閉バケツよりも下方に位置する連通空間に有害気体を移動させて、収容空間内での有害気体の淀みを防止する。
前記箱体の下部には、脚部が設けられていてもよい(請求項6)。
【0017】
脚部が設けられていれば、箱体を床面から離間配置することができ、このため、床面と箱体間には、他の用途に使用できるスペースを形成することも可能となる。
前記バケツ支持部は、前記周壁に架設された横架部材、または前記横架部材及び前記横架部材上に載置された支持板を含んでいて、前記横架部材または前記支持板よりも上方の空間を前記収容空間とし、下方を前記連通空間としてもよい(請求項7)。
【0018】
上記構成により、横架部材、または前記横架部材及び前記横架部材上に載置された支持板により、収容空間と、連通空間とが形成される。
前記バケツ支持部は、底壁に設けられたバケツ支持台としてもよい(請求項8)。
【0019】
前記バケツ支持台は内部空間を備えるとともに前記内部空間は、前記バケツ支持台の側方周面に形成された連通口及び前記連通空間を介して前記収容空間に連通し、前記底壁に形成された前記吸引口は、前記内部空間に連通して形成されていてもよい(請求項9)。
【0020】
上記構成により、有害気体は、密閉バケツよりも下方に位置する連通空間、連通口、内部空間及び吸引口を介して排気される。
前記周壁の一部は、外部パネルと内部パネルとにより、パネル間空隙を有する2重構造とされており、前記内部パネルには、内部パネル開口が前記収容空間に連通して形成され、前記外部パネルには前記吸引口が形成されていて、前記パネル間空隙が前記内部パネル開口と前記吸引口と連通されていてもよい(請求項10)。
【0021】
上記構成により、有害気体は、前記収容空間に連通する内部パネル開口から、周壁及び底壁の内外両パネル間の空間及び吸引口を介して排気される。
前記底壁は底壁外部パネルと底壁内部パネルにより、2重構造とされていてもよい(請求項11)。
【0022】
前記密閉バケツは、有底円筒状に形成されるとともに底部が円形を有しており、前記周壁の前記内部パネルの下端は、前記底壁に載置される前記密閉バケツの底部の位置規制を行って、前記密閉バケツの上端と、前記内部パネルのそれぞれの間の距離と同様に保持する位置規制部とされており、前記位置規制部は、前記内部パネルが下方へ行くほどすぼまるように形成されていることが好ましい(請求項12)。
【0023】
上記構成により、密閉バケツは、収容空間内に配置される際、位置規制部は、前記内部パネルが下方へ行くほどすぼまるように形成されていることにより、実現される。
この結果、密閉バケツの収容空間での配置位置が片寄らずに、適切な位置に配置することが可能となる。
【0024】
本発明の密閉バケツ排気システムは、処理台が載置された処理部屋の天井側から、前記処理部屋へ外気を吹き出し、前記処理台の上面から当該処理台上面の空気を処理台内部へ吸引して、前記天井側から当該空気を排気するプッシュ・プル換気装置を有する換気システムに対して付設する密閉バケツ排気システムであって、前記換気システムは、前記処理台の側方に連結された横行部と、前記横行部に接続されて前記天井側へ向かう鉛直部とを有する排気系ダクトを備えて、前記横行部と、前記鉛直部とを備える前記排気系ダクトにより、前記処理台上面から前記処理台内部に吸引された前記空気を前記天井側から排気するものであり、前記横行部の上方を覆うように請求項6に記載の密閉バケツ排気装置が配置され、前記密閉バケツ排気装置の前記吸引ダクトが、前記排気系ダクトに接続して連通されているものである(請求項12)。
【0025】
上記構成により、プッシュ・プル換気装置を有する換気システムに対して密閉バケツ排気装置を付設する際に、排気系ダクトの横行部の上方空間を密閉バケツ排気装置の配置スペースにして有効利用できる。すなわち、処理部屋内において、密閉バケツ排気装置の新たな配置スペースを確保する必要がない。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、密閉バケツの開口部上面から外部の下方へ流出した有害気体があっても、当該有害気体を排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明を具体化した一実施形態の密閉バケツ排気装置の斜視図である。
図2】同じく開閉扉を開いた状態の密閉バケツ排気装置の斜視図である。
図3】同じく密閉バケツ排気装置の縦断面図である。
図4】密閉バケツ排気装置を設置する前のプッシュ・プル換気装置を有する換気システムの説明図である。
図5】密閉バケツ排気装置を設置した後のプッシュ・プル換気装置を有する換気システムの説明図である。
図6】(a)及び(b)は、それぞれ第3実施形態及び第4実施形態の密閉バケツ排気装置の断面図である。
図7】(a)は、第1実施形態を簡略化した密閉バケツ排気装置の断面図、(b)は、第5実施形態の密閉バケツ排気装置の断面図である。
図8】(a)及び(b)は、それぞれ第6実施形態及び第7実施形態の密閉バケツ排気装置の断面図である。
図9】(a)及び(b)は、それぞれ第8実施形態及び第9実施形態の密閉バケツ排気装置の断面図である。
図10】(a)は第10実施形態の密閉バケツ排気装置の断面図、(b)は、内部パネルと密閉バケツBとの離間距離の説明図、(c)は、第11実施形態の密閉バケツ排気装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の密閉バケツ排気装置を図1図3を参照して説明する。
【0029】
図1図3に示すように、密閉バケツ排気装置10は、箱体12と、箱体12に設けられた脚部14と、箱体12に連結された吸引ダクト16とを備えている。
箱体12は、四角筒状に配置された周壁20、底壁30及び内壁40を有する。周壁20、底壁30、内壁40は、ステンレスからなるが、材質は限定するものではない。
【0030】
(周壁20、底壁30及び内壁40)
周壁20は四角板状の固定壁22、24、26と、四角板状の可動壁28を含む。可動壁28は開閉扉に相当する。
【0031】
図2に示すように、底壁30は、平面視四角板状をなす。固定壁22、26は、四角板状をなして底壁30の相互に反対側側縁から立設して、相互に平行となるように配置されている。
【0032】
固定壁24及び内壁40は、固定壁22,26が立設された両側縁を結ぶ一対の側縁からそれぞれ立設されるとともに固定壁22、26に対して一体に連結されている。固定壁22、24、26は、底壁30から同一の高さを有している。図2に示すように、内壁40は、固定壁22、24、26の底壁からの高さよりも低い高さを有する。この内壁40の前記高さは、固定壁22、24、26の底壁からの高さよりも低ければ、限定するものではない、本実施形態では、内壁40の底壁30からの高さは、固定壁22、24、26の底壁30からの高さの略1/3としている。固定壁22,24、26により、周壁20は、平面視でコ字状に連結されている。
【0033】
図1図3に示すように、内壁40と、固定壁24間には、複数の棒状の横架部材42がそれぞれ底壁30から同一高さとなるように、格子状に架設されている。前記複数の横架部材42上には、複数の孔44が上下方向へ貫通して形成された支持板46が載置されている。
【0034】
本実施形態では、前記複数の横架部材42及び支持板46により、バケツ支持部50が構成されている。なお、支持板46は、省略してもよい。この場合は、複数の横架部材42の配置を、後述する密閉バケツBが横架部材42から下方へ抜け出ない間隔にして、密閉バケツBを横架部材42にて直接支持できればよい。
【0035】
(脚部14)
なお、説明の便宜上、底壁30において可動壁28側を前部とし、反対方向を後部とする。脚部14は、底壁30の前部及び後部の各隅部から下方へ延出した左右一対の前脚14a、及び左右一対の後脚14bを備えている。
【0036】
左右一対の前脚14a間には脚貫14cが架設されている。左右一対の後脚14b間には脚貫14dが架設されている。なお、左側の前脚14aと左側の後脚14b間、及び右側の前脚14aと右側の後脚14b間には、脚貫は架設されていない。従って、底壁30の下面と床面、一対の前脚14a及び脚貫14c、並びに一対の後脚14b及び脚貫14dで区画されるスペース80は、左右方向において障害がないように外部空間と連通されている。
【0037】
(連通空間60及び吸引ダクト16)
図3に示すように、底壁30、固定壁22、24、26及び内壁40で囲まれた空間は、連通空間60とされている。
【0038】
図3に示すように、固定壁22の下部、すなわち、横架部材42よりも下方の内外側面には、吸引口23が透設されていて、吸引ダクト16が外部に向かうように取付けられている。吸引ダクト16は、図示しない排気ファン、及び活性炭処理装置等を備える排気装置に接続される。そして、前記排気ファンが駆動されることにより吸引ダクト16により、連通空間60内のホルマリンを含んだ空気を外部に排出することが可能となっている。ホルマリンを含んだ空気は有害気体に相当する。また、前記排気装置は、有害気体処理装置ら相当する。
【0039】
(可動壁28)
可動壁28は、固定壁22の一側端に対して一対のヒンジ32を介して、開閉自在に連結されている。図1は、可動壁28が、固定壁26の一側端に対して当接した状態であって、閉じた状態を示している。
【0040】
図2に示すように、可動壁28の自由側端側の内面には、磁石34が固定されている。図1に示すように可動壁28が、固定壁26の一側端面に対して当接した状態となった際に、磁石34の磁力で、固定壁26にくっつくことにより、可動壁28が固定壁26の一側端に対して閉じた状態を保持するようにされている。
【0041】
(収容空間70)
可動壁28が上記のように閉じた状態に保持された際、支持板46の上方空間において、可動壁28、及び固定壁22、24、26で囲まれた空間は、密閉バケツBの収容空間70としている。収容空間70は、下部が連通空間60に対して、支持板46の孔44を介して連通しているとともに、上部が開放されている。
【0042】
図3に示すように、周壁の支持板46からの高さ、すなわち、固定壁22、24、26、及び可動壁28の支持板46上面からの高さは、密閉バケツBの密閉蓋Bbを取り外した状態のバケツ本体Baのバケツ高さよりも高くされている。
【0043】
また、収容空間70の上部の開口面積は、密閉バケツBの上部の開口面積よりも広くされている。このことにより、密閉蓋Bbをバケツ本体Baから取り外した際、バケツ本体内のホルマリン液から、漏れ出るホルマリンを含んだ空気は、両開口面積の差分で形成される。
【0044】
図3では、密閉蓋Bbを取り外した状態において露出するバケツ本体Baの開口部上面Beが固定壁22、24、26の上端面よりも低くなっているところが図示されている。なお、可動壁28の上端面は、固定壁22、24、26の上端面と同一高さとなるようにされている。従って、バケツ本体Baの開口部上面Beは可動壁28の上端面よりも低くなっている。
【0045】
図2に示すように、可動壁28の内面において、固定壁22、26の側端面に臨む両側縁には帯状の当てゴム36が、磁石34及びヒンジ32の取付部位を除いて上下方向へ延出するように貼付されている。
【0046】
また、図2に示すように、可動壁28に臨む固定壁22、26の側端面には帯状の当てゴム38が磁石34に当接される部位及びヒンジ32の取付部位を除いて上下方向に延出するように貼付されている。可動壁28が、閉じ状態に保持された際、両当てゴム36、38同士が密着するように配置されている。
【0047】
また、可動壁28の内面において、下部側縁は、帯状の当てゴム43が横方向へ延出するように貼付されている。可動壁28が、閉じ状態に保持された際、当てゴム43全体は、内壁40の外面下部の幅方向全体に密着するように配置されている。
【0048】
このように、可動壁28が閉じた状態に保持されている場合、当てゴム36、38の密着、並びに当てゴム43と内壁40とが密着されることにより、収容空間70内の気体が、外部に漏れ出ないようにされている。
【0049】
また、可動壁28が、図2に示すように、開放された状態では、収容空間70内への密閉バケツBの収容作業、または、収容空間70からの密閉バケツBの外部への取り出しが作業者により可能となっている。
【0050】
(密閉バケツB)
図3に示すように、密閉バケツBは、樹脂製であって、有底円筒状のバケツ本体Baと、バケツ本体Baの上部開口に対して着脱自在に嵌められる密閉蓋Bbを有する。バケツ本体Baは、上部外周面に複数の補強フランジBcが形成されている。また、バケツ本体Baの上部外周には運搬用の持ち手Bdが取り付けられている。バケツ本体Baの底部は円形とされている。
【0051】
密閉蓋Bbは、中に入れたホルマリンを含んだ空気が外部に漏れ出さないように、バケツ本体Baの上部開口に対して嵌合されることにより、密閉が可能となっている。本実施形態では、バケツ本体Baは、上部へ行くほど拡径するようにされているが、この形状に限定されるものではない。例えば、上下両部において、同径を成す有底円筒状でもよく、或いは四角箱状であってもよい。
【0052】
(実施形態の作用)
上記のように構成された密閉バケツ排気装置10の使用方法を説明する。なお、説明の便宜上、バケツ本体Baはホルマリン液が入れられた状態で密閉蓋Bbが密閉されているものとする。また、図示しない排気装置の排気ファンが駆動されて、吸引ダクト16は、連通空間60及び収容空間70の空気を吸引しているものとする。
【0053】
そして、この状態で、前記密閉バケツBに対して、病理解剖において献体から摘出された臓器を入れる場合について説明する。
図1に示すように、密閉バケツ排気装置10の可動壁28を、図2に示すように開放して、密閉バケツBを支持板46に載置した後、図1に示すように、可動壁28を閉じる。これにより、図2に示す磁石34がその磁力で、固定壁26にくっつくことにより、可動壁28が固定壁26の一側端に対して閉じた状態を保持する。
【0054】
また、可動壁28が閉じた状態に保持されている場合、当てゴム36、38の密着、並びに当てゴム43と内壁40とが密着されることと、後述する収容空間70内が負圧となることにより、収容空間70内の気体が、外部に漏出することがない。
【0055】
また、収容空間70において、周壁20と、密閉バケツBとの間には、バケツ本体Baから生ずる有害気体が通過可能にした空隙が形成される。
このようにして密閉バケツBは、収容空間70に収容される。
【0056】
この状態で収容空間70内は、前記排気ファン(図示しない)により吸引ダクト16を介して吸引されて負圧となっている。このために、密閉バケツBと周壁20との間の前記空隙は、密閉バケツ排気装置10の外部空間から収容空間70内に向かう空気の誘導流が生じている。
【0057】
この状態で、密閉蓋Bbをバケツ本体Baから取り外す。この密閉蓋Bbが取り外された際に、バケツ本体Baの開口部上面から出たホルマリンを含んだ空気は前記空気の誘導流により、収容空間の上部から収容空間70の下方へ入る。
【0058】
さらに、収容空間70内に入ったホルマリンを含んだ空気は、孔44を介して連通空間60及内に入り、吸引ダクト16を介して、活性炭処理装置の活性炭によりホルマリンが吸着される。ホルマリンが除去された空気は前記排気ファン(図示しない)により、外部に放出される。
【0059】
このように、バケツ本体Baの上部開口から漏れ出たホルマリンを含んだ空気は、処理される。この状態で、献体の解剖で摘出した各部位の臓器は、箱体12の上方からホルマリン液が入ったバケツ本体Baの中に順次収納されていく。
【0060】
解剖の作業が終了されると、外されていた密閉蓋Bbがバケツ本体Baの上部に対して上方から嵌合されることにより、バケツ本体Baの上部開口が密閉される。
この後、図2に示すように可動壁28が磁石34の磁力に抗して開放された状態にする。この状態で、密閉バケツBは密閉バケツ排気装置10から搬出される。
【0061】
前述の説明は、病理解剖の際に、ホルマリン液が入った密閉バケツB内に献体から摘出された臓器を収納して、ホルマリン固定する場合の密閉バケツ排気装置10の使用方法、すなわち、使用手順の説明である。
【0062】
病理解剖においては、密閉バケツBに密閉されて収納されていてホルマリン固定されたる臓器を取り出す際の密閉バケツ排気装置10の使用手順は、臓器を密閉バケツBに入れる場合と同様の使用手順で行えばよい。
【0063】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1)本実施形態の密閉バケツ排気装置10は、底壁30と四方を囲む周壁20を備えることにより上部が開放された収容空間70を形成するとともに、収容空間70にて密閉バケツBのバケツ本体Baを収容可能とした箱体12を備える。また、箱体12の周壁20に、収容空間70内にあるホルマリンを含んだ空気を吸引する吸引口23を有する。また、吸引口23には、排気装置(有害気体処理装置)へ送出する吸引ダクト16が連結されている。
【0064】
この結果、バケツ本体Baの外部四方及び下面は、周壁20及び底壁30に包囲されるため、バケツ本体Baの開口部上面から外部の下方へ流出したホルマリンを排気することができる。
【0065】
(2)本実施形態の密閉バケツ排気装置10は、収容空間70に密閉バケツBが載置された際、周壁20と密閉バケツBのバケツ本体Baの上部との間に、バケツ本体Baから生ずるホルマリンを含む空気が通過可能にした空隙が形成される。
【0066】
この結果、バケツ本体の上部と周壁の間に間隙があるため、バケツ本体の開口部上面から出たホルマリンを含む空気は収容空間の上部から収容空間の下方への誘導が容易となる。
【0067】
(3)本実施形態の密閉バケツ排気装置10は、密閉バケツBが収容空間70内に収容されて、密閉バケツBの密閉蓋Bbが除去された際、周壁20の支持板46上面からの高さは、バケツ本体のバケツ高さ以上有する。
【0068】
この結果、バケツ本体よりも周壁の高さが高いため、周壁外部へ漏れ出にくくなり、バケツの開口部上面から出たホルマリンは収容空間の上部から収容空間の下方への誘導が容易くなる。
【0069】
(4)本実施形態の密閉バケツ排気装置10において、周壁20は、密閉バケツBの外部からの収容空間70への収容移動を許容するとともに密閉バケツBの収容空間70からの外部への取り出しを許容する可動壁28(開閉扉)を備える。
【0070】
この結果、可動壁28を開放することにより、収容空間70内への密閉バケツの収容及び収容空間70からの密閉バケツの取り出しが容易に行われる。
(5)本実施形態の密閉バケツ排気装置10において、箱体12内には、密閉バケツBを底壁30から上方へ離間して、密閉バケツBを支持するバケツ支持部50が形成されている。そして、バケツ支持部50にて支持された密閉バケツBよりも下方に収容空間70と連通する連通空間60を有する。
【0071】
この結果、収容空間に納められた密閉バケツよりも下方に位置する連通空間にホルマリンを含む空気を移動させることにより、収容空間内でのホルマリンを含む空気の淀みをなくす。
【0072】
(6)本実施形態の密閉バケツ排気装置10は、箱体12の下部には、脚部14が設けられている。
この結果、箱体12を床面から離間配置することができ、このため、床面と箱体12間に、他の用途に使用できるスペースを形成することも可能となる。
【0073】
(7)本実施形態の密閉バケツ排気装置10において、バケツ支持部50は、周壁20に架設された横架部材42、及び横架部材42上に載置された支持板46を含んでいて、支持板46よりも上方の空間を収容空間70とし、下方を連通空間60としている。
【0074】
この結果、横架部材42及び横架部材42上に載置された支持板46により、収容空間70と、連通空間60に区画できる。
(第2実施形態)
次に、前記実施形態で説明した密閉バケツ排気装置10を採用した密閉バケツ排気システムの例を図4及び図5を参照して説明する。
【0075】
図4はホルマリンを使用する部屋、例えば、病院の病理解剖室の概略図を示している。病理解剖室は、処理部屋に相当する。この病理解剖室には、図4に示す既存の換気システム100が設置されている。
【0076】
換気システム100の給気系は、天井内に設置された空調機102と、空調機102に接続されて外気と連通する吸気系ダクト104aを備えている。換気システム100の給気系は空調機102の下流側の吸気系ダクト104bを介して天井面に開口する給気口106から、病理解剖室の室内に給気するようにされている。前記空調機102は外気を取り込んで、所望の湿度、温度に空調する。
【0077】
一方、換気システム100の排気系は、天井内に設置された排気ファン112と、この排気ファン112に接続されて外気と連通する排気系ダクト114aを備えている。また、換気システム100の排気系は、前記排気ファン112の上流側に排気系ダクト114bを介して接続された活性炭フィルタ116を備えている。活性炭フィルタ116はホルマリンの吸着手段である。
【0078】
空調機102、排気ファン112は図示しない制御装置により駆動制御される。
活性炭フィルタ116の上流側に接続された排気系ダクト114cは、天井を貫通して、病理解剖室内に配置されるとともに、床面に載置された方向変換部114dを介して、水平方向に延びる排気系ダクト114eに接続されている。
【0079】
ここで、排気系ダクト114cにおいて、方向変換部114dから天井側に向かう部位は、鉛直部に相当する。
排気系ダクト114eは、解剖台120に設けられた図示しない排気ボックスに接続されている。解剖台120は、処理台に相当する。また、前記水平方向に延びる排気系ダクト114eは処理台の側方に連結された横行部に相当する。
【0080】
解剖台120は、局所排気式解剖台であって、全体として平面視矩形の平面形状を有する。解剖台120は、図示はしないが、4周縁の全てに複数の排気口が並設されている。前記排気口は全て前記排気ボックスを介して排気系ダクト114eに連通されている。
【0081】
換気システム100が前記制御装置により駆動されると、給気口106から病理解剖室内に給気された空気は、ほぼ下方へ向かって下降し、病理解剖室の床面に到達せず、かつ、解剖台120の排気口に吸引される程の流速で供給されるようにされている。
【0082】
このように換気システム100は、天井側から、病理解剖室へ外気を吹き出し、病理解剖室の解剖台120の上面から解剖台120の上面の空気を解剖台120内部へ吸引して、天井側から当該空気を排気するプッシュ・プル換気装置を有する換気システムである。
【0083】
図4の既存の換気システム100では、解剖台120から延びる排気系ダクト114eは、解剖台120に隣接した洗浄槽122の下部を貫通するようにして床面に沿って配置されている。このように病理解剖室に解剖台120及び換気システム100が既設となっている場合、新たに、密閉バケツ排気装置10を配置しようとすると、その載置場所のスペースを確保する必要がある。
【0084】
本実施形態では、密閉バケツ排気装置10は、図5に示すように、洗浄槽122と方向変換部114dとの間に配置されている。
具体的には、密閉バケツ排気装置10は、方向変換部114dと洗浄槽122間の排気系ダクト114aを底壁30の下方にあるスペース80内に挿通するように、一対の前脚14a及び一対の後脚14bが跨ぐようにして配置されている。
【0085】
密閉バケツ排気装置10の吸引口23に接続された吸引ダクト16は、方向変換部114dに接続されて、排気系ダクト114cに連通されている。
このようにして、本実施形態の密閉バケツ排気システムは、プッシュ・プル換気装置を有する換気システムに対して密閉バケツ排気装置10を付設する際に、排気系ダクトの横行部の上方空間を密閉バケツ排気装置の配置スペースにして有効利用できる。すなわち、病理解剖室内において、密閉バケツ排気装置の新たな配置スペースを確保する必要がない。
【0086】
<他の実施形態>
以下では、第1実施形態の密閉バケツ排気装置10の変形例の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態では、第1実施形態の密閉バケツ排気装置10と同一または相当する構成については、第1実施形態の符号を付して、詳細な説明を省略し、異なる構成について説明する。また、各図に図示されている密閉バケツBは、説明の便宜上、補強フランジBc及び持ち手Bdが省略されているが、図示されているものと理解されたい。
【0087】
さらに、開口部上面Beを図示するために密閉蓋Bbを省略してバケツ本体Baのみが図示されている。しかし、以下の実施形態の密閉バケツBにおいても、密閉蓋Bbは、第1実施形態と同様にバケツ本体Baの上部開口を密閉したり、取り外したりして使用されるものと理解されたい。
【0088】
(第3実施形態)
図6(a)で示す第3実施形態の密閉バケツ排気装置10は、第1実施形態の構成中、横架部材42、内壁40、支持板46及び連通空間60が省略されている。密閉バケツB(バケツ本体Ba)は、底壁30の上面に支持可能となっている。この実施形態では、従って、周壁20を構成する固定壁22、24、26、及び可動壁28は、横架部材42、内壁40、支持板46及び連通空間60が省略されている分、上下高さが低くなっている。
【0089】
本実施形態においても、固定壁22、24、26、及び可動壁28の上端面は、バケツ本体Baの開口部上面Beは、高くなるように設定されている。
本実施形態では、吸引ダクト16は、固定壁22の下部の内外側面に形成された吸引口23に対して接続されている。
【0090】
なお、図6(a)では、脚部14は、図示されていないが、脚部14はなくてもよく、或いは、第1実施形態の密閉バケツ排気装置10と同様に設けてもよい。
本実施形態では、下記の効果がある。
【0091】
(1)本実施形態の密閉バケツ排気装置10は、密閉バケツBが収容空間70内に収容されて、密閉バケツBの密閉蓋Bbが除去された際、底壁30からの高さは、バケツ本体のバケツ高さ以上有する。
【0092】
この結果、バケツ本体Baよりも周壁20の高さが高いため、周壁外部へ漏れ出にくくなり、バケツの開口部上面から出たホルマリンは収容空間の上部から収容空間の下方への誘導が容易くなる。
【0093】
(第4実施形態)
図6(b)に示す第4実施形態の密閉バケツ排気装置10では、底壁30の上下両面に透設された吸引口23に対して吸引ダクト16が接続されているところが、第3実施形態と主に異なっている。また、第4実施形態では、図示はしないが、脚部14を設けて、吸引口23に接続された吸引ダクト16が、密閉バケツ排気装置10が設置される床面に干渉しないようにすることが好ましい。
【0094】
第4実施形態の密閉バケツ排気装置10の他の構成は、第3実施形態の密閉バケツ排気装置10と同様としている。
(第5実施形態)
図7(a)は、図7(b)に示す第5実施形態の密閉バケツ排気装置10と比較するために、第1実施形態の密閉バケツ排気装置10の構成を図7(b)の第5実施形態と同様に簡略化して図示したものである。
【0095】
図7(b)の密閉バケツ排気装置10では、底壁30の上下両面に透設された吸引口23に対して吸引ダクト16が接続されているところが、第1実施形態と異なっている。また、第5実施形態では、図示はしないが、脚部14を設けて、吸引口23に接続された吸引ダクト16が、密閉バケツ排気装置10が設置される床面に干渉しないようにすることが好ましい。
【0096】
(第6実施形態)
図8(a)の第6実施形態の密閉バケツ排気装置10は、第1実施形態の構成中、横架部材42及び支持板46が省略されて、その代わりに底壁30上面にバケツ支持部50としてのバケツ支持台52が形成されている。バケツ支持台52は、略直方体を成してブロック状に形成されている。バケツ支持台52の高さは、第1実施形態の内壁40の底壁からの高さと同じとしている。バケツ支持台52の上面、すなわち、載置面53の四方周縁には、位置決め突条54が上方へ突出されている。
【0097】
バケツ支持台52の高さは、載置面53に密閉バケツBを載置した状態で、密閉バケツBの開口部上面Beが、周壁20を構成する固定壁22、24、26、及び可動壁28よりも低くなるように設定されている。
【0098】
バケツ支持台52の位置決め突条54により、密閉バケツBの載置面53における位置決めがされる。この位置決めがされることにより、密閉バケツBの上部と、周壁20の固定壁22、24、26及び可動壁28とのそれぞれの離間が同等となるようにされている。バケツ支持台52と、固定壁22、24、26及び内壁40(図2参照)との周囲は収容空間70と連通する連通空間60とされている。
【0099】
本実施形態では、図8(a)に示すように、吸引ダクト16は、固定壁22に形成された吸引口23に接続されている。
第6実施形態の密閉バケツ排気装置10は、第1実施形態の(1)~(5)と同様の作用効果を享受できる。
【0100】
なお、図8(a)では、脚部14は、図示されていないが、脚部14はなくてもよく、或いは、第1実施形態の密閉バケツ排気装置10と同様に設けてもよい。
(第7実施形態)
図8(b)の第7実施形態の密閉バケツ排気装置10は、図8(a)の実施形態とは、バケツ支持台52が内部空間52aを備えるところが異なっている。また、バケツ支持台52の側方周面には、内部空間52aと連通空間60とを連通させる連通口52bを有する。また、バケツ支持台52の下方に位置する底壁30の部位には、内部空間52aに連通するとともに吸引ダクト16に接続された吸引口23が形成されているところが図8(a)の実施形態と異なっている。
【0101】
これにより、ホルマリンを含む空気は、密閉バケツBよりも下方に位置する連通空間60、連通口52b、内部空間52a及び吸引口23、及び吸引ダクト16を介して排気される。
【0102】
本実施形態の密閉バケツ排気装置10は、吸引ダクト16が、底壁30の吸引口23に接続される。このため、図示はしないが、脚部14を設けて、吸引口23に接続された吸引ダクト16が、密閉バケツ排気装置10が設置される床面に干渉しないようにすることが好ましい。
【0103】
(第8実施形態)
図9(a)の第8実施形態の密閉バケツ排気装置10は、第1実施形態の構成中、固定壁22、24、26及び底壁30がそれぞれ外部パネル、底壁外部パネル、内部パネル及び底壁内部パネルにより二重構造となっているところが異なっている。
【0104】
図9(a)では、固定壁22、24、26は、外部パネル22a、24a、26a及び内部パネル22b、24b、26bを有するところが図示されている。外部パネル22a、24a、26a及び内部パネル22b、24b、26b間には、パネル間空隙58が形成されている。
【0105】
図9(a)では、底壁30が底壁外部パネル30a及び底壁内部パネル30bを有するところが図示されている。前記底壁内部パネル30bは、第1実施形態の支持板46の代わりとなっていて、固定壁22、24、26の内部パネル22b、24b、26bと一体に連結されている。底壁30が底壁外部パネル30a及び底壁内部パネル30b間は、連通空間60となる。
【0106】
固定壁22、24、26の内部パネル22b、24b、26bには、複数の内部パネル開口56が形成されている。
上記構成により、収容空間70とパネル間空隙58とは内部パネル開口56により連通されている。また、パネル間空隙58は、連通空間60と連通されている。
【0107】
図9(a)に示すように本実施形態では、吸引ダクト16は、外部パネル22aの吸引口23に接続されている。
なお、図9(a)では、脚部14は、図示されていないが、脚部14はなくてもよく、或いは、第1実施形態の密閉バケツ排気装置10と同様に設けてもよい。
【0108】
これにより、密閉バケツBより漏れ出たホルマリンを含む空気は、収容空間70、内部パネル開口56、パネル間空隙58、連通空間60、吸引ダクト16を介して排気される。
【0109】
(第9実施形態)
図9(b)は、第9実施形態の密閉バケツ排気装置10の変形例である。第8実施形態では、吸引ダクト16は、固定壁22の吸引口23に接続したが、同図に示すように、底壁外部パネル30aに形成された吸引口23に吸引ダクト16を接続してもよい。
【0110】
本実施形態の密閉バケツ排気装置10は、吸引ダクト16が、底壁30の底壁外部パネル30aの吸引口23に接続される。このため、図示はしないが、脚部14を設けて、吸引口23に接続された吸引ダクト16が、密閉バケツ排気装置10が設置される床面に干渉しないようにすることが好ましい。
【0111】
(第10実施形態)
図10(a)の第10実施形態の密閉バケツ排気装置10は、図9(a)の第8実施形態の密閉バケツ排気装置10の構成中、固定壁22、24、26の内部パネル22b、24b、26bの下端が、位置規制部62をそれぞれ有しているところが異なっている。
【0112】
具体的には、固定壁22、24、26の内部パネル22b、24b、26bの下端は底壁30の底壁内部パネル30bに載置される密閉バケツBの底部の位置規制を行って、密閉バケツBの上端と、内部パネルのそれぞれの間の距離と同様に保持する。
【0113】
ここで、密閉バケツBの上端と、内部パネルのそれぞれの間の距離と同様にとは、下記のことを意味している。例えば、固定壁22の内部パネル22bは、平面であり、密閉バケツBが断面円形となっている。図10(b)に示すように、平面視した場合、密閉バケツBの上端間の離間距離は、内部パネル22bの上端と密閉バケツBとの離間距離は、最長距離L1と最短距離L2の範囲を有することになる。
【0114】
このような離間距離の範囲を、固定壁24の内部パネル24bと密閉バケツBとの間、及び固定壁26の内部パネル26bと密閉バケツBとの間においても、同時に有するようにする。
【0115】
上記の関係を有するように各位置規制部62は、内部パネル22b、24b、26bが下方へ行くほどすぼまるように形成されている。
このように構成されることにより、密閉バケツの収容空間での配置位置が特定の内部パネル22b、24b、26bに片寄らずに、適切な位置に配置することが可能となる。このため、密閉バケツBと、内部パネル22b、24b、26b間のいずれにおいても、漏れ出たホルマリンを含む空気は、良好に排出することが可能となる。
【0116】
なお、図10(a)では、脚部14は、図示されていないが、脚部14はなくてもよく、或いは、第1実施形態の密閉バケツ排気装置10と同様に設けてもよい。
(第11実施形態)
図10(c)は、第10実施形態の密閉バケツ排気装置10の変形例である。第10実施形態では、吸引ダクト16は、固定壁22の吸引口23に接続したが、同図に示すように、底壁外部パネル30aに形成された吸引口23に吸引ダクト16を接続してもよい。
【0117】
本実施形態の密閉バケツ排気装置10は、吸引ダクト16が、底壁30の底壁外部パネル30aの吸引口23に接続される。このため、図示はしないが、脚部14を設けて、吸引口23に接続された吸引ダクト16が、密閉バケツ排気装置10が設置される床面に干渉しないようにすることが好ましい。
【0118】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0119】
・第1実施形態では、箱体12の周壁20を四角筒状に配置したが、四角筒状に限定するものではなく、他の形状にしてもよい。例えば、周壁20を円筒形状としたり、平面視楕円形状にしてもよい。
【0120】
図9(a)及び図10(a)では、固定壁22、24、26及び底壁30を二重構造としたが、固定壁22、24、26のみを二重構造とし、底壁30を図6(a)、図6(b)に示すように一枚パネルで底壁30を構成してもよい。
【0121】
・第3実施形態から第11実施形態において、可動壁28の代わりに、固定壁としてもよい。この場合、密閉バケツBは、四方で囲まれた固定壁の上部が開口されるため、この上部開口から、密閉バケツBの収納及び取り出しを行ってもよい。
【0122】
・前記実施形態では、有害気体は、ホルマリンを含んだ気体としたが、ホルマリンに限定するものではなく、他の有害気体であってもよい。
【符号の説明】
【0123】
10…密閉バケツ排気装置
12…箱体
14…脚部
16…吸引ダクト
20…周壁
22…固定壁
22a…外部パネル
22b…内部パネル
23…吸引口
24…固定壁
24a…外部パネル
24b…内部パネル
26…固定壁
26a…外部パネル
26b…内部パネル
28…可動壁(開閉扉)
30…底壁
30a…底壁外部パネル
30b…底壁内部パネル
32…ヒンジ
34…磁石
36…当てゴム
38…当てゴム
40…内壁
42…横架部材
43…当てゴム
44…孔
46…支持板
50…バケツ支持部
52…バケツ支持台
52a…内部空間
53…載置面
54…位置決め突条
56…内部パネル開口
58…パネル間空隙
60…連通空間
62…位置規制部
70…収容空間
100…換気システム
102…空調機
104a…吸気系ダクト
104b…吸気系ダクト
106…給気口
112…排気ファン
114a…排気系ダクト
114b…排気系ダクト
114c…排気系ダクト(鉛直部)
114d…方向変換部1
114e…排気系ダクト
116…活性炭フィルタ
120…解剖台
122…洗浄槽
B…密閉バケツ
Ba…バケツ本体
Bb…密閉蓋
Bc…補強フランジ
Bd…持ち手
【要約】
【課題】密閉バケツの開口部上面から外部の下方へ流出した有害気体があっても、当該有害気体を排気することができる密閉バケツ排気装置及び密閉バケツ排気システムを提供する。
【解決手段】密閉バケツ排気装置10は、底壁30と四方を囲む周壁20を備えることにより上部が開放された収容空間70を形成するとともに、収容空間70にて密閉バケツBのバケツ本体Baを収容可能とした箱体12を備える。また、箱体12の周壁20に、収容空間70内にあるホルマリンを含んだ空気を吸引する吸引口23を有する。吸引口23には、排気装置(有害気体処理装置)へ送出する吸引ダクト16が連結されている。
【選択図】図1
図1
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図10