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特許7386320メカニカルキー、カードキー及びメカニカルキーの製造方法
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  • 特許-メカニカルキー、カードキー及びメカニカルキーの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】メカニカルキー、カードキー及びメカニカルキーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
E05B19/00 C
E05B19/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022507960
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2020012304
(87)【国際公開番号】W WO2021186671
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】貝原 健司
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-71894(JP,A)
【文献】特開2007-284878(JP,A)
【文献】特開2004-27627(JP,A)
【文献】特開平1-290881(JP,A)
【文献】特開平2-120480(JP,A)
【文献】米国特許第4677835(US,A)
【文献】米国特許第4637236(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1498256(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00-19/26
E05B 49/00
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に凹設されたキーパターンを有し、厚さ方向に複数枚の分割キーに分割可能とされたメカニカルキーであって、
前記分割キーの少なくとも1つは、前記キーパターンに対応した形状で厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部を有し、
複数の前記分割キーは、個別に成形されたメカニカルキー。
【請求項2】
複数の前記分割キーは、互いに厚さ方向に嵌合する嵌合部を有する請求項1に記載のメカニカルキー。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載のメカニカルキーと、分割された状態の前記分割キーをその厚さ方向の直交方向に並べて保持可能な収容部を有するカードケースとを備えたカードキー。
【請求項4】
厚さ方向に凹設されたキーパターンを有し、厚さ方向に複数枚の分割キーに分割可能とされ、前記分割キーの少なくとも1つは、前記キーパターンに対応した形状で厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部を有するメカニカルキーの製造方法であって、
前記分割キーは、打ち抜きによって成形されるメカニカルキーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカニカルキー、カードキー及びメカニカルキーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等には、例えば、通信携帯キーの電池が切れた際等に使用されるメカニカルキーが付属される場合がある。そして、このようなメカニカルキーとしては、厚さ方向に複数枚の分割キーに分割可能とされ、分割された状態でカードケースに収容保持されてカードキーを構成するものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなカードキーでは、メカニカルキーを薄い状態で保持して利用者が携帯可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4865390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したようなメカニカルキーは、厚さ方向に凹設されたキーパターンを有しており、そのキーパターンの形状が一方の分割キーのみに形成されている。しかしながら、上記メカニカルキーでは、キー固有のパターンに対応した形状の側壁とキーパターンの底部とが一方の分割キーに成形されるため、製造が困難であり、また薄型化が難しかった。
【0005】
本発明の目的は、薄型化及び容易な製造を可能としたメカニカルキー、カードキー及びメカニカルキーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのメカニカルキーは、厚さ方向に凹設されたキーパターンを有し、厚さ方向に複数枚の分割キーに分割可能とされたメカニカルキーであって、前記分割キーの少なくとも1つは、前記キーパターンに対応した形状で厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部を有する。
【0007】
同構成によれば、分割キーの少なくとも1つは、キーパターンに対応した形状で厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部を有するものであり、キーパターンの底部が設けられない構成であるため、例えば底部を有する分割キーとした場合に比べてキーパターンの深さを保ちつつ薄型化が可能となると共に、打ち抜きによって容易に製造することができる。
【0008】
上記課題を解決するためのカードキーは、メカニカルキーと、分割された状態の前記分割キーをその厚さ方向の直交方向に並べて保持可能な収容部を有するカードケースとを備える。
【0009】
同構成によれば、上記したメカニカルキーの効果に加え、メカニカルキーを薄い状態で保持して利用者が携帯可能となる。
上記課題を解決するためのメカニカルキーの製造方法は、厚さ方向に凹設されたキーパターンを有し、厚さ方向に複数枚の分割キーに分割可能とされ、前記分割キーの少なくとも1つは、前記キーパターンに対応した形状で厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部を有するメカニカルキーの製造方法であって、前記分割キーは、打ち抜きによって成形される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のメカニカルキー、カードキー及びメカニカルキーの製造方法では、薄型化及び容易な製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態におけるカードキーの斜視図。
図2】一実施形態におけるカードキーの分解斜視図。
図3】一実施形態におけるメカニカルキーの斜視図。
図4】一実施形態におけるメカニカルキーの分解斜視図。
図5】別例におけるメカニカルキーを展開した状態の平面図。
図6】別例におけるメカニカルキーの斜視図。
図7】別例におけるメカニカルキーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、カードキーの一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、カードキー11は、カードケース12と、該カードケース12に収容保持可能なメカニカルキー13とを備える。
【0014】
図3に示すように、メカニカルキー13は厚さ方向に凹設されたキーパターン14を有する。詳しくは、メカニカルキー13は、板状に形成され、把持部13aと、把持部13aから延びるキー部13bとを有し、キーパターン14は、キー部13bの先端から把持部13a側に延びて形成されつつ厚さ方向に凹設されている。
【0015】
図4に示すように、メカニカルキー13は、厚さ方向に2枚の分割キーとしての第1分割キー15と第2分割キー16とに分割可能とされている。
【0016】
図2に示すように、カードケース12は、分割された状態の第1分割キー15と第2分割キー16とをその厚さ方向の直交方向に並べて保持可能な収容部17,18を有する。本実施形態の収容部17,18は、カードケース12の板厚方向に凹設され、板厚方向から第1分割キー15及び第2分割キー16がそれぞれ挿入可能とされている。また、本実施形態のカードケース12の内部には、例えば、トランスポンダやNFC(Near Field Communication)等に対応した通信機器19が埋設されている。
【0017】
そして、第1分割キー15は、キーパターン14に対応した形状で厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部21を有する。すなわち、メカニカルキー13の厚さ方向に凹設されるキーパターン14は、キーパターン14の固有のパターンに対応した形状の側壁14aと、凹設方向の底である底部14bとによって構成されている。そして、キーパターン14の側壁14aは、第1分割キー15のキーパターン構成貫通部21によって構成され、キーパターン14の底部14bは、第2分割キー16の平坦面22によって構成されている。
【0018】
また、図4に示すように、第1分割キー15及び第2分割キー16は互いに厚さ方向に嵌合する嵌合部としての雌嵌合部23または雄嵌合部24を有する。詳しくは、第1分割キー15には、厚さ方向に貫通する雌嵌合部23が設けられている。雌嵌合部23は、第1分割キー15の長手方向に一対設けられている。また、第2分割キー16には、厚さ方向に膨出する雄嵌合部24が設けられている。雄嵌合部24は、第2分割キー16の長手方向に一対設けられている。なお、第2分割キー16において、雄嵌合部24が形成される側とは反対側の面には、雄嵌合部24を押し出して膨出させるための凹部24a(図1及び図2参照)が形成されている。そして、第1分割キー15及び第2分割キー16は、雌嵌合部23に雄嵌合部24が嵌合されつつ重ね合わされることでメカニカルキー13として使用可能とされる。
【0019】
また、上記した第1分割キー15及び第2分割キー16は、個別に成形されている。詳しくは、第1分割キー15は、メカニカルキー13毎に異なる固有のパターンのキーパターン14と対応した形状のキーパターン構成貫通部21が形成されるように、打ち抜きによって成形されている。また、第2分割キー16は、キーパターン14のパターンに関係なく共通部品として、打ち抜きによって成形されている。
【0020】
以下、本実施形態の作用について説明する。
【0021】
例えば、メカニカルキー13を使用する必要がない場合では、分割された状態の第1分割キー15と第2分割キー16とがその厚さ方向の直交方向に並べてカードケース12の収容部17,18に収容保持されることで、メカニカルキー13が薄い状態で保持され、薄いカードキー11として利用者が携帯可能となる。
【0022】
そして、メカニカルキー13を使用する必要が生じた場合では、カードケース12から第1分割キー15と第2分割キー16とが取り出され、雌嵌合部23に雄嵌合部24が嵌合されつつ第1分割キー15と第2分割キー16とが重ね合わされることでメカニカルキー13として利用者が使用可能となる。
【0023】
以下、本実施形態の効果について説明する。
【0024】
(1)厚さ方向に第1分割キー15と第2分割キー16とに分割可能とされたメカニカルキー13において、第1分割キー15は、キーパターン14に対応した形状で厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部21を有するものとされている。よって、第1分割キー15は、キーパターン14の底部14bが設けられない構成とされ、例えば底部を有する分割キーとした場合に比べて、キーパターン14の深さを保ちつつ薄型化が可能となる。また、第1分割キー15は厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部21を有するものであるため、例えば、打ち抜きによって容易に製造することができる。すなわち、例えば、第1分割キー15がキーパターン14の底部14bをも有する形状であると、打ち抜きによる製造ができないが、底部14bを有さない形状であるため、打ち抜きによって容易に製造することができる。
【0025】
(2)第1分割キー15と第2分割キー16とは、一体成形品ではなく、個別に成形される。よって、例えば、キーパターン構成貫通部21を有する第1分割キー15のみを固有のパターンのキーパターン14と対応した形状に成形して、キーパターン構成貫通部21を有していない第2分割キー16を、キーパターン14のパターンに関係なく共通部品として製造することができる。
【0026】
(3)第1分割キー15と第2分割キー16とは、互いに厚さ方向に嵌合する嵌合部としての雌嵌合部23または雄嵌合部24を有するため、第1分割キー15と第2分割キー16とが適した位置で重ね合わせられ、メカニカルキー13として良好に使用することが可能となる。
【0027】
(4)カードキー11は、上記メカニカルキー13と、分割された状態の第1分割キー15と第2分割キー16とをその厚さ方向の直交方向に並べて保持可能な収容部17,18を有するカードケース12とを備えるため、メカニカルキー13を薄い状態で保持して利用者が携帯可能となる。
【0028】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0029】
・上記実施形態では、第1分割キー15と第2分割キー16とは、一体成形品ではなく、個別に成形されるものとしたが、これに限定されず、例えば、図5に示すように、第1分割キー15と第2分割キー16とが薄肉ヒンジ部31を介して一体成形されたものとしてもよい。このようにすると、例えば、メカニカルキー13の部品点数が1つとなり、第1分割キー15及び第2分割キー16のいずれか一方を紛失してしまうといったことがなくなる。
【0030】
・上記実施形態では、第1分割キー15と第2分割キー16とは、互いに厚さ方向に嵌合する嵌合部としての雌嵌合部23または雄嵌合部24を有するとしたが、これに限定されず、雌嵌合部23及び雄嵌合部24を有していないものとしてもよい。また、雌嵌合部23及び雄嵌合部24の形状や数は変更してもよい。
【0031】
・上記実施形態では特に言及していないが、カードキー11は、カードケース12の収容部17,18に第1分割キー15及び第2分割キー16が収容された状態でそれらを覆うように貼られるフィルムシールを有していてもよい。また、収容部17,18は、第1分割キー15及び第2分割キー16が圧入固定や係合固定される形状としてもよい。また、上記実施形態では収容部17,18は、カードケース12の板厚方向に凹設されるものとしたが、これに限定されず、板厚方向の直交方向に凹設され、同方向から第1分割キー15及び第2分割キー16がそれぞれ挿入可能とされたものとしてもよい。
【0032】
・上記実施形態では、メカニカルキー13のキーパターン14は、キー部13bの幅方向内側に形成される所謂、内溝タイプ(図3参照)であるとしたが、厚さ方向に凹設され、厚さ方向から見た形状によって固有のパターンを形成するものであれば、他のタイプのキーパターンとしてもよい。
【0033】
例えば、図6に示すように、キーパターン32は、キー部13aの幅方向両側に形成される所謂、外山タイプとしてもよい。
【0034】
また、例えば、図7に示すように、キーパターン33は、独立した多数のキー凹部33aからなる所謂、ディンプルタイプとしてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、メカニカルキー13は、厚さ方向に第1分割キー15と第2分割キー16とに分割可能とされるとしたが、3枚以上の分割キーに分割可能とされたものとしてもよい。例えば、メカニカルキーは、両面にキーパターンを有するものであって、厚さ方向に3つの分割キーに分解可能とされ、メカニカルキーの両面に対応した2つの分割キーが厚さ方向に貫通するキーパターン構成貫通部を有する構成としてもよい。
【0036】
・上記実施形態では、第1分割キー15及び第2分割キー16は、打ち抜きによって成形されるとしたが、これに限定されず、他の製造方法で成形されたものとしてもよい。
【0037】
・上記実施形態では、カードケース12は、通信機器19を有するものとしたが、これに限定されず、通信機器19を有していないカードケースとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
11…カードキー、12…カードケース、13…メカニカルキー、13a…把持部、13b…キー部、14,32,33…キーパターン、14a…側壁、14b…底部、15…第1分割キー(分割キー)、16…第2分割キー(分割キー)、17,18…収容部、19…通信機器、21…キーパターン構成貫通部、22…平坦面、23…雌嵌合部(嵌合部)、24…雄嵌合部(嵌合部)、31…薄肉ヒンジ部、33a…キー凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7