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特許7386327回路および回路に連結されるアンテナを備える被試験デバイスを試験するための試験装置、自動試験装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】回路および回路に連結されるアンテナを備える被試験デバイスを試験するための試験装置、自動試験装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/10 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G01R29/10 E
G01R29/10 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022513350
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2019073024
(87)【国際公開番号】W WO2021037364
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘッセルバート、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】モレイラ、ホセ
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0149674(US,A1)
【文献】国際公開第2019/133097(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03451001(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0003754(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0168476(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0293379(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0341528(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0153158(US,A1)
【文献】国際公開第2015/094177(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107664740(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 29/00-29/26、
31/26-31/27、
31/28-31/3193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路と、前記回路に結合されたアンテナとを備えるDUT(被試験デバイス)を試験するための試験装置であって、
前記試験装置は、
プローブと、
試験において、前記DUTの前記アンテナが必要とする接地面として機能するように構成された接地領域と、
を備え、
前記接地領域は開口部を含み、
試験において、前記DUTが置かれるDUT位置は前記接地領域の第1の側にあり、
前記プローブは、前記接地領域の第2の側に配置され、前記開口部を介して前記DUTの前記アンテナに結合するように適合され、
前記DUTの前記アンテナが前記DUTの前記回路によって給電されるときに信号をプローブするようにし、および/または
前記アンテナによって前記DUTの前記回路に供給される信号を前記アンテナに結合するようにする、試験装置。
【請求項2】
前記プローブが導通している、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記プローブが伝送線路を形成するか、または伝送線路の一部である、請求項1または2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記プローブが前記アンテナの反応性近接場領域内にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項5】
前記接地領域および/または前記プローブが前記DUT位置に統合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項6】
前記プローブは、前記接地領域の前記開口部を通って漏れる場に結合して、前記接地領域から離れる方向に前記DUTの前記アンテナから放射される信号をプローブするように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項7】
前記開口部および前記プローブは、前記DUTのパッチアンテナの接地領域として機能する前記接地領域の中央領域に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項8】
前記DUT位置は、前記DUTに接触するための接触手段が配置される少なくとも1つの接触領域を備え、
前記プローブが後方に配置される前記接地領域は、前記接触領域の横に位置し、
前記DUTが前記DUT位置に配置されているときに前記DUTの接点が前記接触手段に接触し、前記DUTが前記DUT位置に配置されているときに前記DUTの集積アンテナが前記接地領域に近接するようにする、請求項1から7のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項9】
前記プローブが後方に配置される前記接地領域は、同じ前記DUTに関連付けられる前記試験装置の2つの接触領域の間に配置され、
前記DUTが前記DUT位置に置かれたときに、前記DUTの2つの接点領域の間に配置された前記DUTの統合アンテナが、前記プローブが後方に配置されている前記接地領域の近くにあるようにする、請求項1から8のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項10】
前記プローブが後方に配置される前記接地領域は、前記DUTと接触するための接点を有する平面内にある、請求項1から9のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項11】
前記開口部は、スロットであり、
前記プローブの主延在部が、前記スロットの主延在部に対して+/-20度の公差内で直交する、または平行である、請求項1から10のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項12】
前記開口部は、スロットであり、
前記スロットの主延在部は、前記DUTの前記アンテナの周波数範囲の中心周波数における自由空間波長の0.2倍以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項13】
前記開口部またはスロットは、前記DUTの前記アンテナによって励振される前記スロットの位置における前記接地領域内の局所電流方向が、+/-20度の公差内で、前記スロットの主延在部に対して垂直になるように配置される、請求項1から12のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の試験装置を備え、
前記試験装置は、回路と、前記回路に結合されたアンテナとを備えるDUTを試験するように適合される、シングルまたはマルチサイトを有する自動試験装置。
【請求項15】
前記DUTが、複数のアンテナおよび1つ以上の回路を含む、請求項14に記載の自動試験装置。
【請求項16】
前記試験装置が、各々が1つ以上の開口部および1つ以上のプローブをそれぞれ有する1つ以上の接地板を備える、請求項15に記載の自動試験装置。
【請求項17】
前記試験装置が、前記DUTの前記アンテナの接地側とは反対側の前記DUTの前記第1の側の前記DUTの前記アンテナの放射近接場領域または遠距離場領域に設けられた吸収体材料を備える、請求項14から16のいずれか一項に記載の自動試験装置。
【請求項18】
回路と、前記回路に結合されたアンテナとを備えるDUT(被試験デバイス)を試験するための方法であって、
試験装置は、試験において、前記DUTの前記アンテナが必要とする接地面として機能するように構成された接地領域を備え、
前記接地領域は開口部を含み、
プローブが前記開口部を介して前記DUTの前記アンテナに結合する、方法。
【請求項19】
前記プローブは、前記開口部を介して前記DUTの前記アンテナに結合し、
前記DUTの前記アンテナが前記DUTの前記回路によって給電されるときに信号をプローブするようにする、および/または
前記アンテナによって前記DUTの前記回路に供給される信号を前記アンテナに結合するようにする、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回路および回路に連結されるアンテナを備える被試験デバイスを試験するための試験装置に関する。本発明によるさらなる実施形態は、回路および回路に連結されるアンテナを備える被試験デバイスを試験するためのシングルまたはマルチサイトを有する自動試験装置に関する。本発明によるさらなる実施形態は、回路および回路に連結されるアンテナを備える被試験デバイスを試験するための方法に関する。本発明による実施形態は、埋め込みアンテナアレイを有する集積回路、または集積回路を組み込んだモジュールの無線電子試験のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
統合、小型化、および無線接続のための常時駆動により、通信アンテナを集積回路ダイまたはパッケージに含み、前世代のように別個ではない、無線用途のための新世代のデバイス、例えば5GまたはWiGigが開発されている。これらのアンテナは、通常、複数の素子を有するアレイアンテナとして実装される。
【0003】
ミリメートル波周波数での無線移動通信またはノマディック通信は、毎秒ギガビットのユーザ毎のデータレートを保証する。したがって、WLANベースおよび/またはセルラー5G規格の両方は、例えば、28GHz、39GHz、60GHzまたはそれより高い周波数でのユーザアクセスを想定している。関連するリンク距離を達成するために、ミリメートル波周波数での高い自由空間減衰などにもかかわらず、リンクの両端に基地局側およびユーザデバイス側で、高指向性アンテナを使用することができる。モビリティおよび/または柔軟性などをサポートするために、ユーザデバイスの側で、例えばフェーズドアレイ原理を使用する電子ビームステアリングを使用することができる。
【0004】
ミリ波周波数スペクトルは、例えば、高スループットまたは高データレートの無線伝送のための周波数帯域幅リソースを提供する。結果として、例えば、5G無線通信ならびに例えば、高度なWiFi(登録商標)システムは、ミリ波の使用を想定している。Friisの伝達方程式によると、
【0005】
【数1】
【0006】
式中、
・PrecおよびPは受信電力および送信電力であり、
・GrecおよびGはアンテナ利得であり、
・rは距離であり、
・λは空気中の信号の波長を示す。
【0007】
ミリメートル波周波数における距離当たりの高い自由空間損失または高い減衰は、例えば、無線リンクの一端または両端の高利得アンテナによって補償することができる。高利得アンテナは、狭いビーム幅を有する。例えば、モバイルまたはノマディック用途では、アンテナのビーム方向は適切に調整され、リンクの反対側の端部に向けられてもよい。これは、偏波を適合させることを含む。
【0008】
トランシーバ電子機器とエアインターフェースとの間のコンパクトさ、低コスト、および低損失のために、多層平面アンテナアレイと共に1つまたは複数のマルチトランシーバ集積回路を含むパッケージ集積アンテナアレイモジュールが好まれる。アンテナアレイフォームファクタは重要な役割を果たし、アレイに垂直な、好ましくは二重直線偏波ビームを有する2次元平面アレイが、端部発射、好ましくは側方放射の直線アレイから生じるビームと共に使用され得る。
【0009】
例えば、ほとんどの用途は、電子ビームステアリングおよび/またはビーム切り替えに依存し、ビームの方向を変更するための機械的手段に依存せず、アンテナアレイを使用することによって達成される。厳密には必要とされないが、多くのアンテナアレイは、例えば、アレイの放射器のそれぞれの寄与の望ましくない方向への放射または建設的干渉を回避するために、アレイの放射素子を互いに近接して配置する。平面アレイの場合、アレイの素子間の典型的な距離または中心間距離は、例えば、自由空間波長λである約0.6波長である。
【0010】
したがって、一般的なアンテナアレイは、平面上のいくつかの放射素子からなり、各放射素子は、平面に垂直な方向およびこの垂直軸を中心とする空間セクタにおける2つの直交する孤立偏波の放射を可能にする。アレイ配列は、0.6×λの周期性を有する平面の二方向に周期的である。
【0011】
そのようなアンテナアレイの標準的な動作は、例えば、ある空間的な方向において、アレイの素子からのすべての放射の寄与による、予測可能で建設的な干渉を必要とする。これは、振幅および位相に関して、より好ましくは、送信および/または受信電子機器を含む、両方の偏波に関して、各放射素子の明確に定義された動作を必要とする。
【0012】
むしろ複雑な集積回路は、例えば、32個ものトランシーバチャネルおよび/またはチップ上の内蔵自己試験機能を組み合わせることができる。1つまたはいくつかの一体型トランシーバチップと、信号分布およびアンテナアレイを有する多層基板とを組み込んだ完全な放射モジュールは、実装の複雑さが大きく、したがって、製造時に試験する必要が生じる。さらに、例えば、ユーザデバイスは、デバイスの異なる空間的に分離された位置にいくつかの放射モジュールを含むことができ、マルチビームまたはMIMOモードで動作することができる。そのようなユーザデバイスの能力の完全なセットを無線(OTA)試験で試験することは非常に複雑である。
【0013】
従来、アンテナは被試験デバイス(DUT)に含まれておらず、これらのデバイスは、標準的な無線周波数(RF)測定技術を使用して電気的接続を通じて試験される。ダイまたはパッケージ内の一体型アンテナアレイを有する無線DUTは、DUTからの無線信号を測定する可逆アンテナまたはアンテナアレイによってそのミッションモードで試験されてもよく、および/またはDUTに刺激信号を提供してもよい。言い換えれば、統合アンテナアレイを有するDUTは、DUTの送信モードで試験されるだけでなく、DUTの受信モードで試験されることも可能であり、場合によっては必要とされる。これらのタイプのデバイスを試験するための自動試験装置(ATE)またはシステムは、無線(wirelessly)(無線(over-the-air、OTA)試験とも呼ばれる)でDUTを受信および刺激するための方法およびプローブおよび/またはアンテナを必要とする。
【0014】
統合アンテナアレイのDUTを測定するための標準的な手法は、適切に遮蔽された測定エンクロージャ上で、DUTから遠く離れていることを意味する遠距離場測定領域において、ホーンアンテナのような標準的な既製のアンテナを使用することである。
【0015】
アレイの動作は、送信を測定するために、放射強度をマッピングするために、ある明確に定義された距離でプローブを用いて周囲の空間を測定することによって試験されてもよく、一方で受信を測定することは、球面座標θおよびφを使用して、すべての空間方向にわたって同様である。この概念は、通常、球面走査能力を有するアンテナ無響測定チャンバ内で実施される。
【0016】
精密な球面走査の機械的複雑さに加えて、アレイとプローブアンテナとの間の距離は非常に大きくなり得、測定はアレイアンテナの遠距離場領域で行われ得る。遠距離場の最小距離は、いくつかの制約を近似的に用いて、2×D/λとして与えられ、式中、Dはアンテナアレイの最大寸法を表し、多くの場合、アレイ開口を横切る対角長を表す。この遠距離場距離は、中高利得ミリメートル波アレイでは数メートルであり得る。
【0017】
遠距離場測定のために従来の電波暗室の手法を適合させることは、多数のアンテナプローブが電波暗室に取り付けられるように、試験トランシーバが接続されるために、非常に高価な投資となる。このような手法は、各デバイスの測定時間が長いため、生産試験にも実用的ではない。
【0018】
この手法は、実験室タイプの測定の設定にとって理想的であるが、必要とされる寸法のために、集積回路の大容量試験のための標準的な試験セルに統合され得ない。また、単一のアンテナを用いて遠距離場領域で動作することにより、DUTアンテナアレイを単一のビームとして測定し、これは、DUTアンテナアレイ上の各素子を別々に使用する代わりに、すべてのアンテナ素子が放射し、それらの信号が単一のビームに結合することを意味する。DUT上のアンテナアレイの個々のアンテナ素子の各々にプローブアンテナを接近させると、測定またはプローブアンテナ自体がDUTアンテナアレイ素子を乱し、測定を無効にする。
【0019】
あるいは、プローブは、好ましくは球状に、いわゆる放射近接場においてアンテナアレイの周りをより短い距離で走査することができる。振幅および/または位相を含むこれらの測定データは、フーリエ変換を使用することによって、遠距離場に数学的に変換することができる。ある程度まで、これらのデータはまた、放射開口にわたる局所的な場の分布が得られるか、またはほぼ得られるまで、アンテナアレイに向かって変換され得る。次いで、単一の故障したアンテナアレイ放射体素子を位置特定することができる。
【0020】
例えば、すべての空間方向をスキャンする必要があるため、DUTの測定時間はさらに長くなる可能性があり、従来の近接場測定に戻ること、すなわち、電気的に大きな放射構造をその放射近接場でプローブすることによって特性評価することは、数学的変換が続くが、役に立たない。
【0021】
生産試験または完全な放射モジュールの較正のためには、放射モジュールの所与のトランシーバからその接続された放射素子の空気の境界面までの経路を特徴付けることで十分であり得る。放射モジュールの試験モードがすべてのトランシーバの順次試験をサポートすることを条件として、アレイアンテナの前方に、小さい距離から、またはアンテナアレイの放射近接場に配置されるが、アレイの単一の放射素子の遠距離場に依然として配置される単一のプローブアンテナを使用して、そのような試験を行うことができる。
【0022】
言い換えれば、単一のアンテナアレイ放射器の動作は、関連する送信または受信の連鎖と共に、振幅および位相において単一の空間方向にプローブされる。これが必要に応じて機能する場合、他のアレイ素子との/他のアレイ素子への結合を含む他のすべての方向における放射特性も同様に機能すると想定される。後者の仮定は、設計、シミュレーション、または既知の良好なデバイスの以前の測定に基づく。この手法の一例は、プローブアンテナがアレイの前に配置される場合である。アレイの素子は次々に選択される。アンテナアレイとプローブアンテナとの間の距離は、プローブアンテナがアレイアンテナの放射近接場にあるが、単一の放射アレイ素子の遠距離場にあるような距離である。非反射および/または吸収エンクロージャは、コンパクトな設定を可能にする。
【0023】
概念の単純さにもかかわらず、いくつかの欠点がある。第1に、連続的な概念として、より並列化された手法よりも時間がかかる場合がある。第2に、設定の幾何学的形状に応じて、プローブアンテナは、異なる角度の下でコンパクトな設定で大きなアンテナアレイのそれぞれの放射素子を「見る」ので、絶対測定はかなり複雑であり、したがって既知の良好なデバイスとの比較のみが簡単に見える。第3に、「スイッチオン」放射素子から他の放射素子への結合は、自由空間を介するが遠距離場ではない、および/または基板表面波を介する、および/またはトランシーバの不一致を介するなど、測定された応答に対してかなり複雑な方法で重なり合う可能性があり、信頼性をもって定量化されない可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【文献】A.H. Naqvi and S. Lim, “Review of recent phased arrays for millimeter-wave wireless communication,” Sensors, vol. 18, no. 10, Oct. 2018, pp. 3194 / 1-31.
【文献】M.A. Mow, B.H. Noori, M. Pascolini, X. Han, V.C. Lee, M.-J. Tsai, and S. Paulotto, “Electronic device with millimeter wave antenna arrays,” U.S. Patent Application US2018/0090816A1, Mar. 29, 2018.
【文献】X. Gu, D. Liu, C. Baks, O. Tageman, B. Sadhu, J. Hallin, L. Rexberg, and A. Valdes-Garcia, “A multilayer organic package with 64 dual-polarized antennas for 28GHz 5G communication," in IEEE MTT-S International Microwave Symposium (IMS), June 2017, pp. 1899-1901.
【文献】S. Shahramian, M. J. Holyoak, and Y. Baeyens, "A 16-element W-band phased-array transceiver chipset with flip-chip PCB integrated antennas for multi-gigabit wireless data links," IEEE Trans. Microwave Theory Techniques, vol. 66, no. 7, July 2018, pp. 3389-3402.
【文献】M.-C. Huynh, “System and method for testing radio frequency wireless signal transceivers using wireless test signals,” U.S. Patent 9 774 406, Sep. 26, 2017.
【文献】A. Pabst and C. Rowell, “Test system and test method,” U.S. Patent 9 954 279, Apr. 24, 2018.
【文献】J. Kyrolainen and P. Kyosti, “Systems and methods for performing multiple input, multiple output (MIMO) over-the-air testing,” U.S. Patent 10 033 473, Jul. 24, 2018.
【文献】J. Peeters, “Production test of cm and mmWave devices,” in Proc. Salland Test Technology Symposium, Zwolle, Netherlands, Sep. 2018, [Online]. Available: https://www.salland.com/wp-content/uploads/2018/09/11-SE-Symposium-Jan-Peeters-Xcerra.pdf.
【文献】G. Schuppener and R.F. Payne, “Interface between an integrated circuit and a dielectric waveguide using a dipole antenna, a reflector and a plurality of director elements,” U.S. Patent 9 300 024, Mar. 29, 2016.
【文献】M. Wojnowski, C. Wagner, R. Lachner, J. Bock, G. Sommer, and K. Pressel, “A 77-GHz SiGe single-chip four-channel transceiver module with integrated antennas in embedded wafer-level BGA package,” in IEEE 62nd Electronic Components Technology Conf., San Diego, CA, June 2012, pp. 1027-1032.
【文献】M. Wojnowski, C. Wagner, R. Lachner, J. Bock, G. Sommer, K. Pressel, “A 77-GHz SiGe single-chip four-channel transceiver module with integrated antennas in embedded wafer-level BGA package,” IEEE 62nd Electronic Components Technology Conf., June 2012.
【文献】I. Nasr, R. Jungmaier, A. Baheti, D. Noppeney, J.S. Bal, M. Wojnowski, E. Karagozler, H. Raja, J. Lien, I. Poupyrev, S. Trotta, "A highly integrated 60 GHz 6-channel transceiver with antenna in package for smart sensing and short-range communications," IEEE Journal Solid-State Circuits, vol. 51, no. 9, Sep. 2016, pp. 2066-2076.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
この状況を考慮して、回路および回路に連結されるアンテナを備えるDUTを試験するための複雑さ、精度、およびコストの間の改善された妥協をもたらす概念が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一態様によれば、いわゆる近接場電磁動作範囲において、DUTに非常に近い範囲でDUTを無線で試験することが有利であることが分かった。これは、測定アンテナがDUTから遠く離れている必要がある遠距離場電磁動作範囲に作用する解決策との統合および/または機械的問題を回避するだけでなく、DUTアンテナアレイ上の各個々のアンテナ素子の測定も可能にする。
【0027】
本発明による実施形態は、例えばMMICなどのアクティブ回路と、例えばATEを使用して回路に結合されたアンテナとを備えるDUTを試験するための試験装置である。
【0028】
試験装置は、DUT位置およびプローブを備える。さらに、試験装置は、DUTのアンテナのためのアンテナ接地領域として機能するように構成された、例えば約λ×λの典型的なサイズを有する接地領域、例えば金属面を備える。プローブは、接触領域に近接して、例えば、λ/20以下の小さい距離内に配置されてもよい。
【0029】
接地領域は、アンテナ給電インピーダンスが影響を受けないか、または大きく影響されないように、例えば0.2×λ以下のサイズの小さな開口部を含む。
【0030】
DUT位置は接地領域の第1の側にあり、プローブは接地領域の第2の側に配置される。
【0031】
プローブは、DUTのアンテナがDUTの回路によって供給されるときに信号をプローブするために、および/またはアンテナによってDUTの回路に供給される信号をアンテナに結合するために、開口部を介してDUTのアンテナに弱く結合するように適合される。
【0032】
試験装置は、大量の集積回路を電子的に試験するために使用される現在の自動試験セルに容易に統合することができる。
【0033】
言い換えれば、新しいプローブの概念または試験装置は、埋め込みウェハレベルボールグリッドアレイ(eWLB)パッケージなどのチップ埋め込みパッケージ内の(好ましくは平面)アンテナを試験するために使用可能であり、アンテナによって必要とされる接地面は、モジュールが実装される回路基板の一部であり、例えば、開口部を有する接地領域によって提供される(アンテナから見て、プローブは開口部の後方に配置される)。
【0034】
提案された概念または試験装置は、外部反射器(例えば、搭載反射器)を必要とする試験パッケージ内アンテナに適用され得る。そのようなDUTは、例えば、ダイポールおよび/またはパッチアンテナを有するeWLBパッケージであり、パッケージが搭載される回路基板は、アンテナ放射体に金属接地を提供する。
【0035】
そのようなアンテナを含むパッケージを試験するために、テスタは、規定された位置に接地を提供する。次いで、この接地はアンテナの一部となる。この接地金属に誘導された電流は、裏面のテストラインを使用して、この接地の小さな開口部を通してプローブすることができる。電流をプローブすることは、プローブによるアンテナ動作の妨害を回避するために、弱くプローブすること、すなわち、アンテナとプローブとの間の著しい減衰でプローブすることを含むことができる。
【0036】
好ましい実施形態では、プローブは導電性である。
【0037】
導電性プローブは、アンテナによって励起された波を給電点に導くことができ、またはDUTのアンテナを励起するために給電点からDUTに向かって波を導くことができる。
【0038】
好ましい実施形態では、プローブは、伝送線路を形成するか、または伝送線路、例えばプローブと接地領域(例えば、DUTから避けられた側)とによって形成されたマイクロストリップ線路の一部である。プローブは、任意選択的に、例えば、接地領域内の結合のための小さな開口部からλ/20以下の短い距離内で、接地領域と短絡されてもよい。
【0039】
例えば、伝送線路は、それらの波の性質を考慮して、無線周波数の交流電流を伝導する構造化設計である。これにより、伝送線路を介して導波することができ、アンテナが放射する信号を評価することができる。
【0040】
好ましい実施形態では、プローブは、アンテナへの弱い結合を可能にし、周囲の他の信号と著しく区別可能なアンテナの信号を測定することを可能にする。
【0041】
好ましい実施形態では、接地領域および/またはプローブは、DUT試験装置のDUT位置に統合される。接地領域およびプローブをDUT位置に組み込むことにより、より小さいサイズでコンパクトな試験装置が得られる。
【0042】
好ましい実施形態では、プローブは、接地領域の開口部を通って漏れる場に結合して、DUTのアンテナによって(主に)接地領域の第1の側にある方向に放射された信号をプローブするように構成される。
【0043】
接地領域の小さな開口部を介してフィールドに結合することにより、DUTによって接地領域の第1の側の方向に放射される信号を接地領域の第2の側からプローブすることが可能になり、したがって試験装置のサイズを小さく保つことが可能になる。
【0044】
好ましい実施形態では、小さな開口部およびプローブは、DUTのパッチアンテナの接地領域として機能する接地領域の中央領域に配置される。場合によっては、プローブおよび開口部を接地領域の中央領域に配置することにより、DUTのアンテナから受信される信号を最大にすることができ、および/または開口部およびプローブのDUTへの影響を適度に小さく保つことができる。
【0045】
好ましい実施形態では、DUT位置は少なくとも1つの接触領域を含み、その中にDUTに接触するための接触手段、例えばポゴピンまたはばね荷重接点が配置される。プローブが後方に配置される接地領域は、DUTがDUT位置に配置されるときにDUTの接点が接触手段に接触し、DUTがDUT位置に配置されるときにDUTの集積アンテナが接地領域に近接するように、接点領域の横に配置される。
【0046】
接触領域を含むDUT位置は、例えば、DUTのアクティブ回路またはアンテナに電力を供給することを可能にする。
【0047】
さらに、それは、DUTの回路と試験装置との間でデータを転送することを可能にすることができる。
【0048】
好ましい実施形態では、プローブが後方に配置される接地領域は、試験装置の2つの接触領域の間に配置される。DUTがDUT位置に配置されるとき、DUTの2つの接触領域の間に配置されるDUTの統合アンテナが、プローブが後方に配置される接地領域の近くにあるように、接触領域は同じDUTに関連付けられる。
【0049】
場合によっては、空間利用率を最大にするために、好ましい実施形態は、2つ以上、例えば2つの接触領域を含むことができる。異なるタイプのDUTによって異なる接触手段および/または接触領域が必要とされ得る。
【0050】
好ましい実施形態では、プローブが後方に配置される接地領域は、例えば、接地面が、DUTが接点に結合されるときにDUTが取り付けられるプリント回路基板の表面のように、+/-20%の距離内でDUTから同じ距離を含むように、DUTと接触するための接点を有する平面内にある。
【0051】
したがって、DUTが試験装置に適切に挿入され、試験装置の接点を介して接続されると、接地領域が接地面およびプリント回路基板に置き換わる。
【0052】
したがって、試験装置は、ほぼ現実の状況でDUTのアンテナの信号をプローブするために使用されてもよく、DUTのアンテナは、コネクタまたは接触パッドと接地面とを備える回路基板に近接している。DUTに接触するための接点を有する平面内に接地領域を有する試験装置は、この一般的なユースケースをシミュレートまたは近似することができる。
【0053】
さらに、この装置は、例えば、接触領域からλ/20以下の小さい距離内で、接触領域の後方にプローブを配置することを可能にする。
【0054】
好ましい実施形態では、開口部はスロットであり、プローブの主延在部は、スロットの主延在部に対して+/-20度の公差内で直交する。
【0055】
プローブの主伸長部がスロットの主伸長部に対して+/-20度の公差内で直交するようにスロットおよびプローブを位置決めすることは、例えば、DUTのアンテナによって送信される受信信号を最大化することができる。
【0056】
好ましい実施形態では、開口部はスロットであり、スロットの主延在部は、DUTのアンテナの周波数範囲の中心周波数における自由空間波長の0.2倍以下である。
【0057】
小さなスロット、例えば0.2×λの主延在部を有するものは、アンテナ給電インピーダンスが影響を受けないか、または大きく影響されないように信号をプローブすることを可能にすることができる。
【0058】
好ましい実施形態では、開口部またはスロットは、DUTのアンテナによって励起されるスロットの位置における接地領域内の局所電流方向が、+/-20度の公差内で、スロットの主延在部に対して垂直になるように配置される。
【0059】
スロットの位置における接地領域内の局所電流方向が、スロットの主延在部に対して+/-20度の公差内でほぼ垂直になるようにスロットを配置することにより、例えば、DUTのアンテナによって送信される受信信号を最大化することができる。
【0060】
本発明による実施形態は、試験装置を備えるシングルまたはマルチサイトを有する自動試験装置ATEであり、試験装置は、アクティブ回路、例えばMMICと、回路に結合されたアンテナとを備えるDUTを試験するように適合される。
【0061】
上述した試験装置は、大容量の集積回路を電子的にテストするために使用され得るATEに統合されてもよい。ATEは、試験プロセスの効率および/または速度を改善するために、マルチサイトおよび/または複数の試験装置も有し得る。
【0062】
本明細書に記載の試験装置は、中程度のコストおよび中程度のサイズで高いDUT密度で実施することができる。
【0063】
好ましい実施形態では、DUTは、複数のアンテナと、例えばMMICなどの1つまたは複数のアクティブ回路とを備える。
【0064】
好ましい実施形態では、試験装置は、各々が1つ以上の開口部および1つ以上のプローブをそれぞれ有する1つ以上の接地プレートを備え、プローブの各々はDUTのアンテナに関連付けられてもよく、または2つ以上のプローブは、例えば複数の偏波または円もしくは楕円偏波を検知するために、プローブの一部またはすべてのアンテナに関連付けられてもよい。
【0065】
DUTは、2つ以上のアンテナおよび/またはアクティブ回路を備えることができ、これらは任意選択的に、1つまたは複数の接地板の第2の側に配置された1つまたは複数のプローブによってプローブおよび/または試験することができる。
【0066】
一実施形態では、送信された無線信号のための吸収体は、任意選択的に、DUTアンテナアレイの放射近接場距離において、DUTの上方、またはアンテナ接地とは反対側のDUTの第1の側に配置される。そのような吸収体は、アンテナアレイのアンテナ放射器素子間の望ましくない結合を回避しながら、かつアンテナ給電インピーダンス整合条件、すなわち、離調の望まぬ劣化を避けるのみならず、ATE構造の簡素性を維持できる。
【0067】
本発明によるさらなる実施形態は、それぞれの方法を作り出す。
【0068】
しかしながら、方法は、対応する装置と同じ考慮事項に基づいていることに留意されたい。さらに、本方法は、個々におよび組み合わせて、装置に関して本明細書に記載されている機能および詳細について、特徴のいずれかによって補足されてもよい。
【0069】
本願による実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】回路および回路に連結されるアンテナを備える被試験デバイスを試験するための試験装置の実施形態の概略図を示す。
図2a2b図2aは、被試験デバイスを試験するための試験装置の概略的な3D図を示し、図2bは、図2aの試験装置の開口部を拡大した概略的な3D図を示す。
図2c2d図2cは、アンテナを含む被試験デバイスの概略的な3D図を示し、図2dは、被試験デバイスと結合する試験装置の概略的な3D図を示す。
図3】回路および回路に連結されるアンテナを備える被試験デバイスを試験するための試験装置の一実施形態の概略図を示す。
図4a】従来の埋め込みウェハレベルボールグリッドアレイ(eWLB)パッケージ概念の概略図を示す。
図4b】異なる従来のアンテナ設計例を示す。
図4c】試験装置で試験される被試験デバイスの設計を示す。
図5】試験装置で試験される被試験デバイスの設計を示す。
図6図1に記載の試験装置を備える自動試験装置(ATE)の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下では、異なる本発明の実施形態および態様について説明する。また、さらなる実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0072】
特許請求の範囲によって定義される実施形態は、本明細書に記載の詳細、特徴、および機能のいずれかによって任意選択的に補足され得ることに留意されたい。また、本明細書に記載された実施形態は、個別に使用されてもよく、特許請求の範囲に含まれる詳細、特徴および機能のいずれかによって任意選択的に補足されてもよい。
【0073】
また、本明細書に記載された個々の態様は、個別にまたは組み合わせて使用され得ることに留意されたい。したがって、前記態様の別の1つに詳細を追加することなく、詳細が前記個々の態様の各々に追加され得る。本開示は、試験装置または自動試験装置(ATE)で使用可能な機能を明示的または暗黙的に説明することにも留意されたい。したがって、本明細書に記載の特徴のいずれも、試験装置の文脈または自動試験装置の文脈で使用することができる。
【0074】
さらに、方法に関連して本明細書で開示される特徴および機能は、そのような機能を実行するように構成された装置で使用することもできる。さらに、装置に関して本明細書で開示された任意の特徴および機能を、対応する方法で使用することもできる。言い換えれば、本明細書に開示された方法は、装置に関して説明された特徴および機能のいずれかによって補足され得る。
【0075】
本発明は、以下に記載される詳細な説明、および本発明の実施形態の添付の図面からより完全に理解されるが、本発明を記載される特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、単に説明および理解のためのものである。
【0076】
図1に係る実施形態)
図1は、被試験デバイス(DUT)110を試験するための試験装置100の一実施形態の概略図を示す。試験装置100に挿入されるDUT110は、MMICなどのアクティブ回路120と、回路120に結合されるアンテナ130とを備える。
【0077】
DUT110は、DUT位置140に配置される。DUT位置140は、2つの接触領域150a、150bと、接地領域160とを備え、接地領域160は、接触領域150a、150bの間に位置する。試験装置100は、接触手段としてポゴピンおよび/またはばね荷重接点を使用して、2つの接触領域150a、150bにおいてDUT110と接触するように適合され得る。接地領域160は、2つの接触領域150a、150b(または接触手段のDUT側表面)の概ね面内にあり、2つの接触領域150a、150bの間にある。接地領域160は、2つの接触領域150a、150bの面にあるように、突出部上に配置されるか、または立たせる(例えば、接触手段が配置されている表面と比較するとき)。
【0078】
アンテナ接地160は、接地領域160の中央領域に配置された開口部または「小さい」開口部170を備える。開口部170は、スロットの主延在部が、DUT110のアンテナ130の周波数範囲の中心周波数における自由空間波長の0.2倍以下、またはさらには0.1倍以下であるスロットであってもよい。スロットであってもよい開口部170は、例えば、DUT110のアンテナ130によって励起されるスロット170の位置における接地領域160内の局所電流方向が、スロット170の主延在部に対して+/-20度の公差で垂直または平行になるように配置される。
【0079】
試験装置100は、プローブ180をさらに備える。プローブは、接地領域160の第2の側、アンテナ130と比較した場合に接地領域の反対側、接地領域160の近傍および小開口部170の近傍に配置される。プローブ180は、接地領域160が位置する突出部に位置する。プローブ180は導通していてもよく、プローブ180の主延在部は、例えば、開口部またはスロット170の主延在部に対して+/-20度の公差で直交していてもよい。アンテナ接地160とプローブ180との間の距離は、DUT110のアンテナ130の周波数範囲の中心周波数でλ/20以下であってもよい。
【0080】
試験装置100のDUT位置140は、接触領域150a、150bを介して、DUT110に電力を供給し、および/またはDUT110のアンテナ130に結合されたアクティブ回路120、例えばMMICと通信するように構成される。接地領域160は、DUT110のアンテナ130のアンテナ接地領域として機能するように構成され、アンテナ130の主放射方向135は、例えば、アンテナから、プローブ180から離れる方向および/または接地領域160から離れる方向を指す。開口部170およびプローブ180は、例えば、試験装置100の接地領域160の中央領域に配置される。プローブ180は、DUT110のアンテナ130によって放射された信号をプローブするために、接地領域160内の開口部170を通って漏れる場に結合するように構成される。
【0081】
例えば、パッケージ内アンテナの試験は、接地領域によって実装される基板接地反射器160を必要とする場合があり、弱く結合されたプローブ180は、有利には、基板接地160の下に取り付けられ、その基板接地160の開口部170を介して結合され得る。
【0082】
プローブ180は、接地領域160の第2の側に配置され、DUT110のアンテナ130がDUT110の回路120によって給電されるときに信号をプローブするために、および/またはアンテナ130によってDUT110の回路120を介して給電される信号をアンテナ130に結合するために、開口部170を介してDUT110のアンテナ130に弱く結合するように適合される。
【0083】
提案された概念は、例えば基板平面の方向に向かって端部発射放射するために使用されるダイポール様構造体のために、接地のない面アンテナにDUTを適用することができる。ここで、導電性の短絡したプローブは、ダイポール状アンテナの中心対称面内の磁場を弱くプローブするために使用することができる。
【0084】
提案された概念または試験装置100はまた、外部の搭載反射器160を必要とする試験パッケージ内アンテナ130に適用されてもよい。そのようなアンテナは、例えば、ダイポールおよび/またはパッチアンテナを有する埋め込みウェハレベルボールグリッドアレイ(eWLB)パッケージのために提案され、パッケージが実装される回路基板は、アンテナ放射器130に金属接地160を提供する。例えば、接地領域160は、例えば、DUTがDUT位置に挿入されるときに接地領域とDUTとの間に低インピーダンス接続が存在するように、DUTに接触するための接触手段のうちの1つ以上と電気的に結合されてもよい。そのようなアンテナを含むパッケージを試験するために、テスタは、規定された位置に接地160を提供しなければならない。この接地フィールド160は、その後、アンテナ130の一部となる。接地金属内に誘導された電流は、この接地160の小さな開口部170を通って裏面のテストラインまでプローブされ得る。プロービングは、弱いプロービング、すなわち、プロービングによるアンテナ動作の妨害を回避するために、アンテナとプローブとの間に大きな減衰があることを意味し得る。
【0085】
言い換えれば、提案された新しい試験装置および/または試験概念は、eWLBパッケージなどの外部搭載反射器を必要とするパッケージ内アンテナに有用である。テスタまたは試験装置は、試験対象またはDUTを接続し、試験対象のパッケージ内アンテナのための接地を提供する。テスタおよび/または試験装置は、放射された場に大きさおよび位相において比例する(または少なくとも固定された関係にある)アンテナ場を、設けられたアンテナ接地の小さな開口部を介して弱くプローブする。プローブ結合は非常に弱いので、アンテナ給電インピーダンスは影響を受けない(または深刻に影響を受けない)。
【0086】
図2に係る実施形態)
図2は、DUT210の有無での図1の試験装置100と同様の試験装置200の一実施形態の3Dの表現を示す。
【0087】
図2aは、DUT210のない試験装置200を示す。試験装置200は、図1の接触領域150a、150bなどの1つ以上の接触領域にグループ化され得るポゴピンおよび/またはばね荷重接点などの接触手段220を備える。試験装置200は、接地領域230をさらに備え、接地領域230は平面内にあるか、またはほぼ平面内にあるように突出しているか、または立たせており、接触手段220は接地領域230を囲む。接地領域230の中央領域には、開口部、または小さな開口部240がある。例えば、突出部は、上面図で見たときに長方形または二次形状を含むことができる。
【0088】
突起の横方向の延長は、例えば、DUTの周波数範囲の中心周波数における信号の自由空間波長よりも大きくてもよい。
【0089】
接触手段222a~222dは、例えば、突出部の角の近傍に配置されてもよい。
【0090】
例えば、接触手段222a~222dは、突出部の上部に配置された接地領域230をDUTと接続することができる。
【0091】
さらに、突起の縁部の一方の横に(例えば線に沿って)配置され、例えばDUTに電力および/または制御信号を提供することができる追加の接触手段220がある。
【0092】
図2bは、接触領域230の小さな開口部240を拡大した3D表現を示す。小さな開口部240は、スロットである可能性が高い。開口部240またはスロットの主延在部は、例えば、DUT210のアンテナの周波数範囲の中心周波数における自由空間波長の0.2倍以下である。小さな開口部240の後方および/または接触領域230の後方に、試験装置200は、図1のプローブ180と同様のプローブ250を備える。プローブ250の主延在部は、+/-20度の公差内で、スロット240の主延在部に対して垂直である。プローブ250は、導電性であってもよく、伝送線路を形成してもよく、または伝送線路の一部であってもよく、任意選択的に、接地領域230と導電性ストリップ260によって短絡されてもよい。プローブは、スロット240からλ/4未満またはλ/20未満の距離内にある。
【0093】
換言すれば、接地領域に垂直な投影において、プローブを構成するプローブ伝送線路がスロットを横切る。スロットの一方の側では、プローブは接地領域に短絡され、スロットの他方の側では、伝送線路は、プローブに信号を供給するため、またはプローブによって送達される信号を評価するための回路に結合される。
【0094】
図2cは、DUT210の概略的な3D表現を示す。DUT210は、ダイポールアンテナ270と、埋め込みウェハレベルボールグリッドアレイ(eWLB)パッケージ280とを備える。DUT210は、eWLBパッケージ280などのチップ埋め込みパッケージ内の平面アンテナを備え、アンテナ270によって必要とされる接地平面または接地領域230は、モジュールが実装される回路基板の一部であり、DUT210が試験されているときに接地領域230によって提供される。
【0095】
図2Dは、DUT210に接続された試験装置200の概略的な3D表現を示す。試験装置200およびDUT210は、試験装置200の接触手段220および222a~222dを介して、かつDUT210のeWLBパッケージ280を介して接続される。DUT210は、DUT210のダイポールアンテナ270が接地領域230の近傍に配置され、接地領域230の中央領域の上、例えば開口部240の上およびプローブ250の上に配置されるように、試験装置200上に配置される。
【0096】
提案された試験装置および/または概念は、外部搭載反射器または接地領域230を必要とするパッケージ内アンテナを試験するために適用され得る。そのようなアンテナは、ダイポールまたはパッチアンテナ270を有するeWLBパッケージのために提案されており、パッケージが実装される回路基板は、アンテナ放射器270に金属接地230を提供する。そのようなアンテナ含有パッケージを試験するために、テスタまたは試験装置200は、画定された位置に接地を設けることができる(場合によっては、設けなければならない)。この接地フィールドは、アンテナ270の一部となり得る。この接地金属230に誘導された電流は、この接地230の小さな開口部240を通って裏面の試験線路にプローブされ得る(またはプローブに印加された信号によって励起され得る)。プロービングは、弱いプロービング、すなわち、プロービングによるアンテナ動作の妨害を回避するために、アンテナ270とプローブ250との間に大きな減衰があることを意味し得る。
【0097】
図2は、eWLB試験の概念実証シミュレーションの設定を示す。DUT210および/またはパッケージ内ダイポールアンテナ270を有するダミーチップは、適切に動作するために接地領域230または接地金属を必要とする。
【0098】
図2dは、試験装置200の接地領域230を有するパッケージ内ダイポールアンテナ270を示す。
【0099】
図2aおよび図2bは、テスタまたは試験装置200の一部としてプローブ250またはマイクロストリップ線路に再結合するための、パッケージおよび結合開口部240、この場合は矩形スロットへの接続を有する試験構造を示す。マイクロストリップ線路またはプローブ250は、DUT210のアンテナによって放射された信号をプローブするために、接地領域内の開口部を通って漏れる場に結合するように構成される。
【0100】
図2は、図1の試験装置100と同様の試験装置200の概略的な3D表現を示す。図2の試験装置200は、図1の試験装置200または試験装置100の部分の位置を3Dにおいてより理解しやすくする。試験装置200の能力は、図2aで説明されており、小さな開口部240およびその後方のプローブ250は、図2bで詳しく説明されている。試験装置200に接続され得るDUT210は、図2cに説明および/または示されている。試験装置200とDUT210との接続は、DUT210が試験装置200のDUT位置に配置されるとき、図2dで説明される。
【0101】
図3に係る実施形態)
図3は、図1の試験装置100および図2の試験装置200と同様の試験装置300の一実施形態を示す。
【0102】
図1の試験装置100と同様に、試験装置300は、2つの接触領域350a、350bと、接地領域360の中央領域に小さな開口部370を有する接地領域360とを備える。接地領域360は、接触領域350a、350bの接触手段と面内にある。接触領域350a、350bおよび接地領域360は、DUT位置340に一体化されている。
【0103】
DUT位置340の上部には、接触領域350a、350bの接触手段を介して試験装置300に結合されたDUT310が配置されている。
【0104】
DUT位置340の下部では、図1の試験装置100と同様に、プローブ380が、開口部370の近傍の接地領域360の中央領域に配置される。言い換えると、DUTは、接地領域360の第1の側に配置され、プローブは、接地領域の反対側の他方の側に配置される。
【0105】
DUT310は、図1のDUT110よりも細かいDUT310は、再配線層390およびモールド395を備える。
【0106】
再配線層390は、試験装置300(例えば、ボールグリッドアレイ、BGAの一部であり得る接触ボールを介して)の接触領域350a、350bと結合され、主放射方向335を有するアンテナ330を備え、アンテナ330からプローブ380から離れる方向を指す。再配線層390は、アクティブ回路320、例えばモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)にさらに接続され、DUT位置340の反対側(接触手段および接地領域360から避けられた再配線層の側)で、モールド内に配置または封入される。アクティブ回路320はまた、アンテナ330に結合される。
【0107】
図1の試験装置100と同様に、アンテナ330および/またはアクティブ回路320は、接触領域350a、350bを介して試験装置300によって給電される。DUT310の給電アンテナ330は、主放射方向335に、すなわち、接地領域360から離れて、またはプローブ380から離れて放射する。アンテナ330の場は、接地領域360の開口部370を通って漏れ、アンテナ接地部360から好ましくはλ/20以下の距離内に配置されたプローブ380によってプローブされる。
【0108】
言い換えれば、アンテナ反応性近接場への再結合の概念の着想は、適切な動作のために回路基板上に金属層または接地領域360を必要とし得るチップ埋め込みパッケージ内のいくつかのアンテナ330を試験するために適用され得る。このような金属接地部360がなければ、アンテナ330は完全に離調され、トランシーバ入力/出力における不十分な放射および強いインピーダンス不整合につながる。そのようなモジュールの製造試験のために、テスタまたは試験装置300は、モジュールに対して適切な距離で必要な金属接地部360を容易に提供することができる。テスタおよび/または試験装置300によって提供される接地面360内の小さな開口部370は、金属接地部360の後方の伝送線路380への明確な結合または再結合を可能にし、したがってアンテナ330の適切な動作を測定することを可能にする。
【0109】
図3は、パッケージ内蔵アンテナを有するeWLB無線トランシーバモジュールの概念図を示し、アンテナの適切な動作に必要な接地面または接地領域360は、テスタおよび/または試験装置300の一部である。
【0110】
図3は、図1の試験装置100と同様の試験装置300を示し、あるクラスのパッケージ埋め込みアンテナを試験することができる。プローブおよび/または伝送線路380は、金属接地シールド360(例えば、DUTから見たときに)の後方にあり、このシールドは、アンテナの一部であり(またはDUTがDUT位置に配置されるときにアンテナの一部になる)、アクセス可能である。
【0111】
図1の試験装置100と図3の試験装置300との違いは、試験装置300がより詳細なDUT310に結合され、再配線層390およびモールド395も表示されていることである。
【0112】
図4に係るeWLBの概念およびアンテナの例)
図4は、異なるアンテナ例を有する従来のeWLB概念を示す。
【0113】
図4aは従来のeWLB概念400を示し、図4bは異なるアンテナ例を示し、図4cはDUT410のアンテナを示す。
【0114】
図4aは、DUT410がプリント回路基板440に、2つの接触領域450a、450bにわたって、およびDUTのワイヤボールグリッドアレイ480にわたって結合されている従来のeWLB概念400を示す。2つの接触領域450aおよび450bの間で、プリント回路基板440は、接地領域として、またはDUT410のアンテナ430の反射器として機能する接地領域460を備える。DUT410は、アクティブ回路420および集積アンテナ430を備える。統合アンテナ430は、場合によっては、適切に動作するために接地金属460を必要とし、これは、アンテナ430から、接地領域460から離れる方向を指す方向435に信号を放射することを意味する。
【0115】
DUT410の統合アンテナ430は、いくつかのアンテナ設計を有することができる。図4bは、ダイポールアンテナ、2つのダイポールアンテナのアレイ、CPWパッチアンテナ、およびVivaldiアンテナのこれらの設計概念のいくつかの例を示す。
【0116】
図4cは、ボールグリッドアレイ480、集積アンテナ430、およびアクティブ回路420を含むDUT410を示し、アンテナ430は、ボールグリッドアレイ480上のさらなる構成要素に接続され得るアクティブ回路420に結合される。
【0117】
図4cは、図1の試験装置100と同様の試験装置で試験および/またはプローブすることができるDUT410を示す。DUT410は、例えば図4aに示されているパッケージ埋め込みアンテナで使用される。試験されるアンテナ430は、例えば図4bに記載されている異なるアンテナタイプのうちの1つであってもよい。図1の試験装置100と同様の試験装置で試験されるDUT410は、図4cに示されており、アンテナ430は、ボールグリッドアレイ480上のさらなる構成要素に接続され、および/またはそれによって給電され得るアクティブ回路420に結合される。
【0118】
図5に係るDUT)
図5は、ボールグリッドアレイパッケージ510、アクティブ回路520、およびアンテナアレイ530を備える、図1のDUT110と同様のDUT500を示す。アンテナアレイ530は、ボールグリッドアレイ510を介してさらなる回路素子に接触することができるアクティブ回路520に結合される。
【0119】
アンテナアレイ530は、ボールグリッドアレイ510上のさらなる回路素子に接続するアクティブ回路520によって給電される。
【0120】
例示的なDUT500は、試験装置のDUT位置に配置されたときに、試験装置100と同様の試験装置において試験されてもよい。
【0121】
アンテナは、適切な動作のために回路基板上および/または試験装置上に金属層または接地領域を必要とし得る。そのような金属接地がないと、アンテナアレイ530のアンテナ素子540は完全に離調し、送受信機の入力/出力における不十分な放射および強いインピーダンス不整合につながる。そのようなDUTの製造試験のために、テスタまたは試験装置は、必要な金属接地を提供することができる。
【0122】
図6に係る自動試験装置)
図6は、図1の試験装置100と同様の試験装置850と、DUT860とを備える自動試験装置(ATE)800の実施形態を示す。試験装置850は、測定プローブ810と、試験固定具820またはDUT位置とを備える。試験固定具820は、接地面または接地領域830を含む。接地面は、DUT860のアンテナアレイ870の接地領域として機能する。テスタによって、または試験装置によって、または試験固定具によって、またはATEによって提供されるDUTアンテナ用の接地面830は、接触ボールのほぼ底部、すなわち試験固定具側で試験固定具820の表面と面一であり、すなわち、モジュールまたはDUTが将来の適用シナリオで回路基板上に実装される場合、この接地面を形成するのはこの回路基板の金属化表面である。
【0123】
DUT860は、試験固定具820内に配置され、試験装置850に電子的に結合される。DUT860は、試験装置850の電子信号880に従って無線信号890を送信することができるDUTアンテナアレイ870を備える。送信された無線信号890用の吸収体840は、DUTアンテナアレイ870の近接場距離を放射する際に、接地領域830の反対側のDUT860の上方に配置される。吸収体は、アンテナアレイ870のアンテナ放射器素子間の望ましくない結合を回避しながら、かつアンテナ給電インピーダンス整合条件、すなわち、離調の望まぬ劣化を避けるのみならず、ATE構造の簡素性を維持できる。
【0124】
DUTアンテナアレイ870のアンテナ素子は、試験固定具820がDUT860とプローブアンテナ810との間にあるように配置されたプローブアンテナ810によってプローブされる。
【0125】
ATE800内の上述した試験装置と同様の試験装置850は、DUT860のDUTアンテナアレイ870に電気信号880を送信している。DUTアンテナアレイ870は、試験装置850のプローブアンテナ810によって受信される信号890を送信する。受信された信号は、DUT860を試験するために使用される。
【0126】
図1の試験装置100のプローブはDUTの非常に近くに配置することができるので、大量の集積回路を電子的に試験するために使用することができる自動試験セルまたはDUT位置に容易に統合することができる。
【符号の説明】
【0127】
100…試験装置、110…DUT、120…アクティブ回路、120…回路、130…アンテナ、130…試験パッケージ内アンテナ、135…主放射方向、140…DUT位置、150a…接触領域、160…アンテナ接地、170…スロット、180…プローブ、200…試験装置、210…DUT、220,222a…接触手段、230…接地、240…スロット、250…プローブ、260…導電性ストリップ、270…アンテナ、280…パッケージ、300…試験装置、310…DUT、320…アクティブ回路、330…アンテナ、335…主放射方向、340…DUT位置、350a…接触領域、360…アンテナ接地部、370…開口部、380…プローブ、390…再配線層、395…モールド、400…eWLB概念、410…DUT、420…アクティブ回路、430…アンテナ、435…方向、440…プリント回路基板、450a…接触領域、460…接地金属、480…ボールグリッドアレイ、500…DUT、510…ボールグリッドアレイ、520…アクティブ回路、530…アンテナアレイ、540…アンテナ素子、800…ATE、810…プローブアンテナ、820…試験固定具、830…接地面、840…吸収体、850…試験装置、860…DUT、870…アンテナアレイ、880…電子信号、890…信号。
図1
図2a2b
図2c2d
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6