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特許7386338防火部材、電池パック及び電池を電源として使用する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】防火部材、電池パック及び電池を電源として使用する装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20231116BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20231116BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20231116BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20231116BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20231116BHJP
   H01M 50/383 20210101ALI20231116BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/289
H01M50/342 101
H01M50/293
H01M50/291
H01M50/383
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022520922
(86)(22)【出願日】2020-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 CN2020114930
(87)【国際公開番号】W WO2021068709
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】201921689873.2
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】楊爍
(72)【発明者】
【氏名】林成金
(72)【発明者】
【氏名】呉友▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】季進清
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108417743(CN,A)
【文献】特開2018-190486(JP,A)
【文献】特開2019-160774(JP,A)
【文献】中国実用新案第209104234(CN,U)
【文献】特表2018-536258(JP,A)
【文献】特開2012-049038(JP,A)
【文献】国際公開第2018/131221(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 50/289 - 293
H01M 50/342
H01M 50/383
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックに用いられる防火部材(1)であって、
本体(11)と、囲み枠(12)とを含み、
前記囲み枠(12)は、本体部(12A)と、延伸部(12B)と、開口(12C)とを有し、
前記開口(12C)が、前記本体部(12A)の内周面により囲んでなり、前記延伸部(12B)は、前記本体部(12A)の周方向に沿って前記本体部(12A)の外側に位置し、且つ前記本体部(12A)の外周面に接続され、前記延伸部(12B)は、第3の方向(Z)に沿って延伸して前記本体部(12A)から突出し、
前記本体(11)は、前記囲み枠(12)の前記開口(12C)を覆って前記本体部(12A)に接続されている防火部材(1)。
【請求項2】
前記本体(11)は、前記第3の方向(Z)において前記囲み枠(12)の前記本体部(12A)側に位置し、又は
前記本体(11)は、前記開口(12C)に収容されている請求項1に記載の防火部材(1)。
【請求項3】
前記本体(11)は、前記第3の方向(Z)において前記囲み枠(12)の前記本体部(12A)側に位置し、
前記本体部(12A)に第1の接続孔(T1)が設けられ、前記本体(11)に第2の接続孔(T2)が設けられ、前記本体(11)は、前記第2の接続孔(T2)及び前記第1の接続孔(T1)を介して前記本体部(12A)に接続されている請求項1に記載の防火部材(1)。
【請求項4】
前記囲み枠(12)の前記本体部(12A)に、さらに前記第1の接続孔(T1)に対し前記延伸部(12B)に近接して設けられた第3の接続孔(T3)が設けられ、
前記本体(11)に、さらに前記第3の接続孔(T3)を前記本体(11)から露出させるための逃げ溝(T4)が設けられた請求項3に記載の防火部材(1)。
【請求項5】
前記本体(11)は、マイカ板である請求項1~4のいずれか一項に記載の防火部材(1)。
【請求項6】
前記囲み枠(12)は、順次にスプライス接続され、且つそれぞれ第1の板部(1211)と、前記第3の方向(Z)に沿って延伸して前記第1の板部(1211)から突出した第2の板部(1212)とを有する複数の接続部材(121)を含み、
全ての前記接続部材(121)の前記第1の板部(1211)は、前記囲み枠(12)の前記本体部(12A)を構成し、全ての前記接続部材(121)の前記第2の板部(1212)は、前記囲み枠(12)の前記延伸部(12B)を構成している請求項1~5のいずれか一項に記載の防火部材(1)。
【請求項7】
各々の前記接続部材(121)は、板金部材である請求項6に記載の防火部材(1)。
【請求項8】
周方向において、隣接する2つの前記接続部材(121)のうちの一方の端部に、隣接する2つの前記接続部材(121)のうちの他方の端部を収容する位置決め溝(1213)が設けられている請求項6又は7に記載の防火部材(1)。
【請求項9】
前記複数の接続部材(121)は、第1の方向(X)において離間して設けられている2つの第1の接続部材(121A)と、第2の方向(Y)において離間して設けられ、前記2つの第1の接続部材(121A)を接続する2つの第2の接続部材(122B)とを含む請求項6~8のいずれか一項に記載の防火部材(1)。
【請求項10】
電池モジュール(2)と、請求項1~9のいずれか一項に記載の防火部材(1)とを含み、前記防火部材(1)の前記本体(11)及び前記囲み枠(12)の前記本体部(12A)は、前記電池モジュール(2)の上方に位置し、前記延伸部(12B)は、前記電池モジュール(2)の周方向に沿って前記電池モジュール(2)の外側に位置し、前記囲み枠(12)の前記本体部(12A)は、前記電池モジュール(2)に固定的に接続されている電池パック。
【請求項11】
前記電池モジュール(2)は、複数の電池を含み、且つ各々の前記電池に防爆弁が設けられ、
前記防火部材(1)の前記本体(11)の、前記防爆弁に対応する部分の厚さは、前記本体(11)の、前記防爆弁の外側に位置する部分の厚さよりも大きい請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
前記電池モジュール(2)の数が複数であり、且つ前記複数の電池モジュール(2)は、少なくとも一列のモジュールユニット(M)に配列され、
前記防火部材(1)は、各列の前記モジュールユニット(M)に設けられている請求項10又は11に記載の電池パック。
【請求項13】
装置に駆動力を供給するための動力源と、
前記動力源に電気エネルギーを供給するように配置された請求項10~12のいずれか一項に記載の電池パックとを含む、電池を電源として使用する前記装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年10月10日に中国専利局へ提出した出願番号が201921689873.2、発明名称が「防火部材、電池パック及び電池を電源として使用する装置」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願の実施例は、電池技術分野に関し、特に、防火部材、電池パック及び電池を電源として使用する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車は、主に電池パックから供給される高電圧を動力源として使用する。現在、新エネルギー電気自動車業界の発展に伴い、業界全体で電池パック内の電池に対する安全要求がますます高くなる。これは、電池パックの使用中に、電池パック内の電池が短絡、高温等の要因の影響を受けると、電池内部に高圧ガスが発生しやすくなり、さらに熱暴走を引き起こしやすくなることにより、燃焼や爆発等の事故を引き起こすためである。
【0004】
電池の熱暴走の拡散速度を緩和して燃焼や爆発等の事故を回避するために、通常、従来の電池パックには、防火部材が設けられ、且つ防火部材は、一般的にマイカ板や防火布等であり、マイカ板や防火布等がボルトにより電池パックにロックされると、電池パックとの接続部分は、ボルトの締付作用により潰れや割れ等の問題を発生しやすくなる。
【発明の概要】
【0005】
背景技術に存在する問題に鑑み、本願は、防火部材の構造が簡単で成形しやすいことで、生産効率を向上し、防火部材が電池パックに適用される場合に、防火部材の潰れや割れ等の問題を回避して、電池パックの安全信頼性を向上する防火部材、電池パック及び電池を電源として使用する装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本願は、電池パックに用いられる防火部材を提供する。防火部材は、本体と、囲み枠とを含む。囲み枠は、本体部と、延伸部と、開口とを有し、開口が本体部の内周面により囲んでなり、延伸部は、本体部の周方向に沿って本体部の外側に位置して本体部の外周面に接続され、延伸部は、第3の方向に沿って延伸して本体部から突出する。本体は、囲み枠の開口を覆って本体部に接続されている。本体と囲み枠は、それぞれ独立した部材であり、且つ防火部材と電池モジュールとの接続は、囲み枠と電池モジュールとのねじ止めにより実現され、本体は、電池モジュールに固定される必要がないため、本体と電池モジュールとの固定時に本体に潰れや割れなどの問題が発生しやすいことを回避し、防火部材の安全性を向上させる。
【0007】
本体は、第3の方向において、囲み枠の本体部側に位置している。又は、本体は、開口に収容されている。
【0008】
本体は、第3の方向において、囲み枠の本体部側に位置している。本体部に第1の接続孔が設けられ、本体に第2の接続孔が設けられ、本体は第2の接続孔及び第1の接続孔を介して本体部に接続されることで、本体とフレームとの間の接続を実現する。
【0009】
囲み枠の本体部に、さらに第1の接続孔に対し延伸部に近接して設けられた第3の接続孔が設けられている。本体に、さらに第3の接続孔を本体から露出させるための逃げ溝が設けられていることで、囲み枠の本体部が第3の接続孔を介して電池モジュールに固定的に接続される時、本体が電池モジュールに直接固定的に接続されないため、本体が接続過程において損傷を受けることを回避して、防火部材と電池モジュールとの間の接続信頼性を確保することができる。
【0010】
本体は、マイカ板であり、ここで、マイカ板は、耐高温特性を有することにより、本体の耐高温性能を向上させる。
【0011】
囲み枠は、順次にスプライス接続され、第1の板部と、第3の方向に沿って延伸して第1の板部から突出した第2の板部とを有る複数の接続部材を含む。全ての接続部材の第1の板部は、囲み枠の本体部を構成し、全ての接続部材の第2の板部は、囲み枠の延伸部を構成している。ここで、複数の接続部材により順次にスプライス接続して囲み枠を形成して、囲み枠内の1つの接続部材が破損した場合、該接続部材を交換し、囲み枠全体を交換する必要がなく、交換コストを低減することができる。
【0012】
各接続部材は、板金部材である。ここで、板金部材はプレス方式で成形され、そのプロセスが成熟するため、囲み枠の生産効率を向上させることに寄与する。
【0013】
周方向において、隣接する2つの接続部材のうちの一方の端部に、隣接する2つの接続部材のうちの他方の端部を収容する位置決め溝が設けられていて、位置決め溝は、取り付け時に隣接する2つの接続部の位置決めを容易にする。
【0014】
複数の接続部材は、第1の方向において離間して設けられた2つの第1の接続部材と、第2の方向において離間して設けられ且つ2つの第1の接続部材を接続する2つの第2の接続部材とを含む。
【0015】
本願は、さらに、電池モジュール及び上記防火部材を含み、防火部材の本体及び囲み枠の本体部は、電池モジュールの上方に位置し、延伸部は、電池モジュールの周方向に沿って電池モジュールの外側に位置し、囲み枠の本体部は、電池モジュールに固定的に接続されている電池パックを提供する。ここで、電池モジュールは、囲み枠に固定されることで、電池モジュールと防火部材との固定を実現し、電池モジュールと本体の固定による潰れや割れなどの問題が発生しやすいことを回避する。
【0016】
電池モジュールは、複数の電池を含み、且つ各電池に防爆弁が設けられている。防火部材の本体の、防爆弁に対応する部分の厚さは、本体の、防爆弁の外側に位置する部分の厚さよりも大きいことで、電池モジュールの熱暴走時に、電池の防爆弁から排出された高温高圧ガスが本体を押しつぶすことを回避する。
【0017】
電池モジュールの数が複数であり、且つ複数の電池モジュールが少なくとも一列のモジュールユニットに配列されている。防火部材は、列ごとのモジュールユニットに設けられている。
【0018】
本願は、さらに、駆動力を供給するための動力源と、動力源に電気エネルギーを供給するように配置された上記電池パックとを含む、電池を電源として使用する装置を提供する。
【0019】
本願の有益な効果は、以下のとおりである。
【0020】
防火部材の本体と囲み枠は、それぞれ独立した部材であるため、両者は、異なる材料を選択し、且つ異なる成形プロセスによりそれぞれ成形することができる。従って、本体と囲み枠は、いずれも自身の材料に基づいて適切な成形プロセスを選択することができ、防火部材全体の成形時間を短縮し、生産効率を向上させることに寄与するだけでなく、防火部材の囲み枠の構造強度を確保することができ、これにより、囲み枠と電池モジュールが固定的に接続される時に、本体が電池モジュールに固定される必要がなく、本体と電池モジュールが固定される時に本体に潰れや割れなどの問題が発生しやすいことを回避し、防火部材の安全を向上させ、さらに防火部材を取り付けた電池パックの安全信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下は、本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明された図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0022】
図1】本願の電池パックの分解図である。
図2図1における防火部材と電池モジュールとの位置関係の概略図である。
図3図2における防火部材の斜視図である。
図4】一実施例における防火部材の分解図である。
図5】別の実施例における防火部材の分解図である。
図6図5における囲み枠の組立図である。
【0023】
ただし、符号の説明は以下のとおりである。
1 防火部材 T1 第1の接続孔
11 本体 T2 第2の接続孔
12 囲み枠 T3 第3の接続孔
12A 本体部 T4 逃げ溝
12B 延出部 2 電池モジュール
12C 開口 3 上部箱体
121 接続部材 4 下部箱体
1211 第1の板部 M モジュールユニット
1212 第2の板部 X 第1の方向
1213 位置決め溝 Y 第2の方向
121A 第1の接続部材 Z 第3の方向
121B 第2の接続部材
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に図面及び実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明された具体的な実施例は、単に本願を解釈するために用いられ、本願を限定するものではない。
【0025】
本願の説明において、明確な規定及び限定がない限り、「第1」、「第2」、「第3」という用語は、説明の目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示することを理解することができない。「複数」という用語は、2つ以上(2つを含む)を指す。特に規定又は説明がない限り、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、「接続」は、固定的に接続であってもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよく、信号を利用する接続であってもよい。「接続」は、直接的に接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に基づいて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0026】
本明細書の説明において、本願の実施例に記載された「上」、「下」等の方位用語は、図面に示された角度で説明され、本願の実施例を限定するものであると理解すべきではない。以下は、具体的な実施例により図面を参照して本願をさらに詳細に説明する。
【0027】
本願の電池を電源として使用する装置は、電池パック及び動力源を含み、動力源は、装置に駆動力を提供するために用いられ、電池パックは、前記動力源に電気エネルギーを提供するように配置される。ここで、前記装置は、車両、船舶、小型航空機等の移動装置であってもよい。前記動力源は、電池パック及びエンジンであってもよく、且つ前記動力源が提供する駆動力は、全てが電気エネルギーであってもよく、電気エネルギー及び他のエネルギー(例えば機械的エネルギー)を含んでもよい。したがって、電池を電源として使用する装置は、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0028】
車両を例とすると、本願の実施例における車両は、新エネルギー自動車であってもよく、前記新エネルギー自動車は、純電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンデッド型自動車(Extended range vehicle)等であってもよい。具体的には、車両は、車両本体、駆動モータ、電池パック、伝動機構及び車輪を含み、電池パック及び駆動モータは、車両本体に設けられ、且つ電池パックは、駆動モータに電気的に接続されて駆動モータに電気エネルギーを供給するために用いられ、駆動モータは、伝動機構により車両本体における車輪に接続されることで、車両の走行を駆動する。具体的には、電池パックは、車両本体の底部に水平に設けられてもよい。
【0029】
図1及び図2を参照すると、電池パックは、防火部材1、電池モジュール2、上部箱体3及び下部箱体4を含む。このうち、防火部材1は、ボルトにより電池モジュール2に固定的に接続され、下部箱体4は、上部箱体3に取り付けられ且つ上部箱体3と共に電池モジュール2及び防火部材1を収容する。電池モジュール2は、複数の電池を含み、電池モジュール2内の電池が熱暴走が発生した場合、防火部材1は、電池の熱暴走の拡散速度を効果的に緩和するので、燃焼や爆発などの事故の発生を回避し、電池パックの安全信頼性を向上させることができる。
【0030】
具体的には、電池モジュール2の数は、1つ又は複数であってもよい。電池モジュール2の数が複数である場合、図2に示すように、前記複数の電池モジュール2は、少なくとも一列のモジュールユニットMに配列され、防火部材1は、各列のモジュールユニットMに設けられてもよい。
【0031】
図2図6を参照すると、防火部材1は、本体11(難燃材からなる)及び囲み枠12を含むことができる。囲み枠12は、本体部12Aと、延出部12Bと、開口12Cとを有する。本体部12Aは、折り返し構造であり、前記開口12Cが本体部12Aの内周面により囲んでなり、延伸部12Bは、本体部12Aの周方向に沿って本体部12Aの外側に位置して本体部12Aの外周面に接続され、且つ第3の方向Zに沿って延伸して本体部12Aから突出する。本体11は、囲み枠12の前記開口12Cを覆って本体部12Aに接続されている。具体的には、本体11は、カシメ、溶接又はボルト接続により囲み枠12の本体部12Aに接続される。
【0032】
防火部材1が電池パックに適用される場合、防火部材1の本体11及び囲み枠12の本体部12Aは、電池モジュール2の上方に位置し、延伸部12Bは、電池モジュール2の周方向に沿って電池モジュール2の外側に位置し、また、囲み枠12の本体部12Aは、ボルトにより電池モジュール2に固定的に接続可能となっている。電池モジュール2内の電池に熱暴走が発生した場合、防火部材1の本体11が難燃作用を有するため、防火部材1は、電池の熱暴走の拡散速度を効果的に緩和することができる。また、囲み枠12の本体部12Aが延伸部12Bと共にL型構造に形成されるため、囲み枠12は、火炎を下方に向けて噴射させるようにガイドすることで、電池パックの上部箱体3(複合材料からなる)が火炎により焼損されることを回避し、電池パックの安全信頼性を向上させることができる。
【0033】
防火部材1の本体11と囲み枠12は、それぞれ独立した部材であるため、両者は、異なる材料を選択し、且つ異なる成形プロセスによりそれぞれ成形することができる(換言すれば、囲み枠12の成形プロセスは、本体11の成形プロセスの制限を受けない)。これにより本体11と囲み枠12は、いずれも自身の材料に基づいて適切な成形プロセスを選択することができるので、防火部材1全体の成形時間を短縮し、生産効率を向上させることに寄与するだけでなく、防火部材1の囲み枠12の構造強度を確保することができる。従って、囲み枠12と電池モジュール2が固定的に接続される時に、ボルトの締付力による囲み枠12の潰れや割れなどの問題を回避し、電池パックの安全信頼性を向上させることができる。
【0034】
マイカ板が耐高温特性を有するため、いくつかの実施例では、本体11は、マイカ板であってもよい。前記マイカ板は、複数層のマイカシート(マイカ材料からなる)及び隣接する二層のマイカシートの間ごとに設けられた接着剤を含み、且つ前記複数層のマイカシート及び接着剤は、プレス方式により全体として平板状構造に形成することができる。プレス成形方式が金型を開発する必要がないため、防火部材1の本体11を迅速に量産することができる。
【0035】
具体的には、本体11は、厚さが均一なマイカ板であってもよい。本体11のアブレーション能力を向上させるために、本体11は、本体11の電池の防爆弁に対応する部分の厚さが本体11の防爆弁の外側に位置する部分の厚さよりも大きくなるように部分的に厚くしたマイカ板であってもよい。
【0036】
囲み枠12は、金属材料からなる板金部品であり、プレス方式で成形されてもよい。プレス方式の成形プロセスが成熟したことにより、囲み枠12の生産効率を向上させる。また、板金部品の強度が高いため、囲み枠12が電池モジュール2に固定的に接続される時、囲み枠12は、ボルトの締付力で潰れや割れなどの問題が発生しないので、電池パックの安全信頼性を向上させる。
【0037】
一実施例では、図3図5を参照すると、本体11は、第3の方向Zにおいて囲み枠12の本体部12A側に位置し且つ本体部12Aに固定的に接続され、即ち本体11の部分が本体部12Aと重なってもよい。具体的には、囲み枠12の本体部12Aに第1の接続孔T1が設けられてもよく、本体11に第2の接続孔T2が設けられてもよい。ここで、本体11は、第2の接続孔T2及び第1の接続孔T1とを介してカシメ又はボルトにより本体部12Aに接続される。
【0038】
図3図6を参照すると、囲み枠12の本体部12Aに、さらに第1の接続孔T1に対し延伸部12Bに近接して設けられた第3の接続孔T3が設けられてもよい。本体11に、さらに第3の接続孔T3を本体11から露出させるための逃げ溝T4が設けられてもよい。このとき、囲み枠12の本体部12Aは、第3の接続孔T3を介して電池モジュール2に固定的に接続される。本体11が電池モジュール2に直接固定的に接続されないため、本体11が接続過程において損傷を受けることを回避し、これにより防火部材1と電池モジュール2との間の接続信頼性が確保される。
【0039】
別の図示しない実施例において、本体11は、全体が前記開口12C内に収容され本体部12Aの内周面に固定的に接続されてもよい。
【0040】
一実施例では、図4を参照すると、囲み枠12の本体部12Aと延伸部12Bは一体成形されてもよい。
【0041】
別の実施例では、図5及び図6を参照すると、囲み枠12は、中空の囲み枠12を形成するように周方向に順次にスプライス接続された複数の接続部材121を含くてもよい。具体的には、前記スプライス接続方式は、溶接(例えば、スポット溶接)、カシメ又はボルト接続であってもよい。各接続部材121は、板金部品であって、プレス方式で形成されてもよい。単一の接続部材121の構造が簡単であり、迅速に成形しやすく、これにより囲み枠12全体の成形効率を向上させる。
【0042】
各接続部材121は、第1の板部1211と第2の板部1212を有し、第2の板部1212は、第3の方向Zに沿って延伸して第1の板部1211から突出し、且つ全ての接続部材121の第1の板部1211は、囲み枠12の本体部12Aを構成し、全ての接続部材121の第2の板部1212が囲み枠12の延伸部12Bを構成する。
【0043】
前記複数の接続部材121の間の位置決め及び取付を容易にするために、周方向において、隣接する2つの接続部材121のうちの一方の端部に、隣接する2つの接続部材121のうちの他方の端部を収容する位置決め溝1213が設けられてもよい。
【0044】
図示しない実施例では、全ての接続部材121の構造及び寸法は、いずれも同じであってもよく、即ち、前記複数の接続部材121は、いずれも同じタイプの部品である。この時、接続部材121は、量産を行うことができ、これにより生産効率を向上させる。
【0045】
別の実施例では、図5及び図6を参照すると、囲み枠12の前記複数の接続部材121は、第1の方向Xにおいて離間して設けられた2つの第1の接続部材121Aと、第2の方向Yにおいて離間して設けられ、2つの第1の接続部材121Aを接続する2つの第2の接続部材122Bとを含んでもよい。このとき、囲み枠12は、二種類の部品(即ち、第1の接続部材121A及び第2の接続部材122B)のみを含み、第1の接続部材121Aと第2の接続部材122Bは、いずれも量産することができ、これにより生産効率を向上させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6