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特許7386357堆肥化可能な組成物、物品、及び堆肥化可能な物品を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】堆肥化可能な組成物、物品、及び堆肥化可能な物品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/30 20060101AFI20231116BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20231116BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20231116BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20231116BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20231116BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20231116BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20231116BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20231116BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20231116BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20231116BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20231116BHJP
   C08K 7/28 20060101ALI20231116BHJP
   A44B 18/00 20060101ALN20231116BHJP
【FI】
B32B3/30
B32B27/12
B32B27/36
B32B27/18 Z
B32B27/20 Z
C08L67/00 ZAB
C08K5/20
C08K5/10
C08K5/09
C08K3/26
C08K3/34
C08K7/28
A44B18/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022562651
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 US2021027296
(87)【国際公開番号】W WO2021211715
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】63/010,088
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/010,092
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/011,024
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/047,450
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/047,489
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/074,617
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】カドマ,イグナティウス エー.
(72)【発明者】
【氏名】キュー,シサヤ エス.
(72)【発明者】
【氏名】カルグトカール,ラジディープ エス.
(72)【発明者】
【氏名】サノッキ,スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ヤオファ
(72)【発明者】
【氏名】ワッツ,アナベル
(72)【発明者】
【氏名】ナヤール,サティンダー ケー.
(72)【発明者】
【氏名】シェルハース,ヴァーリン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ローウェル,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゼリンスキー,ジェフリー イー.
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,キンバリー シー.エム.
(72)【発明者】
【氏名】プリオロー,ロリ-アン エス.
(72)【発明者】
【氏名】モリス,ケネス ピー.
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-313217(JP,A)
【文献】特表2009-527594(JP,A)
【文献】特表2018-515680(JP,A)
【文献】特開平09-278991(JP,A)
【文献】特表平06-500486(JP,A)
【文献】特開2017-070745(JP,A)
【文献】国際公開第2021/153642(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
A44B 18/00
A61F 13/15- 13/84
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解性ポリマー層と繊維層とを有する、堆肥化可能な物品であって、
前記生分解性ポリマー層は堆肥化可能な組成物を含み、
前記堆肥化可能な組成物は、
ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(トリメチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート co-ブチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート co-テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート-co-テレフタレート)、及び熱可塑性デンプンからなる群から選択される第1の生分解性ポリマーと、
炭酸カルシウム、タルク、カオリン、アルミナ三水和物、硫酸カルシウム、中空ガラス球、粉砕雲母、ゼオライト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される充填剤と、
エチレンビス(ステアラミド)、水素化ヒマシ油、ヒマシ油、パルミチン酸、リノール酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、酪酸、ステアリン酸、トリグリセリド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疎水剤と、
を含み、
前記生分解性ポリマー層は有し、前記繊維層が前記と係合して取り付けシステムを形成する、堆肥化可能な物品。
【請求項2】
前記第1の生分解性ポリマーとは異なる、第2の生分解性ポリマーを更に含む、請求項1に記載の堆肥化可能な物品。
【請求項3】
前記第2の生分解性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、並びにポリ乳酸、ポリグリコリド及びポリカプロラクトンのうちの2つ以上のコポリマー、ゼイン、セルロースエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(トリメチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート co-ブチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート co-テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート-co-テレフタレート)、熱可塑性デンプン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の堆肥化可能な物品。
【請求項4】
前記堆肥化可能な組成物中の前記第1の生分解性ポリマーの前記第2の生分解性ポリマーに対する重量パーセントの比が、0.5:1~1.5:1、任意に0.75:1~1.25:1、又は任意に1:1である、請求項2又は3に記載の堆肥化可能な物品。
【請求項5】
前記が、フック、レール、及びピラーからなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の堆肥化可能な物品。
【請求項6】
前記が、ステム及びキャップを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の堆肥化可能な物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、堆肥化可能(compostable)な組成物、堆肥化可能な物品、及び堆肥化可能な物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日製造された多くの限定的利用又は使い捨て製品は、押出及び/又は成形(例えば、射出成形、ブロー成形)によって形成されている部品を必要とする。限定的利用又は使い捨てとは、製品及び/又は部品が、廃棄される前に、わずかな回数だけ、又は場合によっては1回のみ使用されることを意味する。例示的な使い捨て製品には、様々な製品を包装するために広く使用されているプラスチックから製造された可撓性フィルムが含まれる。場合によっては、そのような可撓性フィルムは、食品の劣化及び汚染を防止するために空気又は液体バリアを形成し得る。食品包装のための要件には、パッケージが長時間にわたって無傷のままであることを確実にすることが含まれる。結果として、ポリマー系可撓性フィルムは、通常、非生分解性及び再利用不可能である。この非生分解性及び再利用不可能な(再生不可能な)廃棄物の廃棄は、差し迫った環境課題である。
【0003】
生分解性製品を提供するための以前の試みは、例えば、ポリマーをブレンドして所望の機械的特性を達成することに依存していた。米国特許第5,910,545号は、ポリ(乳酸)及びポリブチレンサクシネート(PBS)を含む生分解性熱可塑性ブレンド、及び10~40の親水性-親油性バランス比を示す湿潤剤を記載している。米国特許第10,081,168号は、少なくとも70重量パーセントのポリ乳酸(PLA)及び少なくとも5重量パーセントのポリブチレンサクシネート(PBS)又はそれとブレンドされたその誘導体を含有する少なくとも1つのポリマーコーティング層を含む包装材料を記載している。米国特許公開第US20180229917号、同第US20180086538号、米国特許第102353458号、同第9957098号、米国特許公開第US20190328857号、同第US20200024061号、及び同第US20180194534号は、堆肥化可能な容器に関する。
【発明の概要】
【0004】
堆肥化可能で、しかも耐久性の組成物及び物品を提供する必要性があり続けている。「耐久性の」組成物とは、輸送に耐える包装物品を含む異なる物品に形成され、有用な貯蔵寿命を有する組成物を意味する。一態様では、本発明者らは、驚くべきことに高い撥水性を示す堆肥化可能な組成物及び物品を開発した。別の態様では、本出願の物品は耐候性であり、包装としての使用に好適である。
【0005】
本出願は、第1の生分解性ポリマー及び疎水剤を含む耐久性であり、しかも堆肥化可能な物品に関する。いくつかの実施形態では、堆肥化可能な物品は、第1の生分解性ポリマーとは異なる第2の生分解性ポリマーを更に含む。いくつかの実施形態では、疎水剤は、生分解性疎水剤である。いくつかの実施形態では、第1の生分解性ポリマーは、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(テトラメチレンアジペート-co-テレフタレート)、及び熱可塑性デンプンからなる群から選択される。
【0006】
本開示の堆肥化可能な組成物は、少なくとも40重量パーセント(「40重量%」)、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%の生分解性ポリマーを含む配合物から製造され得る。いくつかの実施形態では、本開示の堆肥化可能な組成物は、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超(例えば、90重量%)の生分解性ポリマーを含む配合物から製造され得る。そのような組成物は、例えば、第1の生分解性ポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネート、「PBS」)及び第2の生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸、「PLA」)などの生分解性熱可塑性樹脂を、疎水剤(例えば、ヒマシ豆由来の水素化ヒマシ油)と、天然の堆積物から供給される無機充填剤(例えば、炭酸カルシウム、水和ケイ酸マグネシウム)とを組み合わせることによって調製され得る。
【0007】
開示された堆肥化可能な組成物は、様々な形状に成形されてもよく、消費者及び/又は工業用の堆肥化施設で堆肥化可能であり得、典型的には、食品及び/又は食品調製、出荷、及び個人衛生用品を含む用途を含むがこれらに限定されない様々な用途での使用に好適である。いくつかの実施形態では、堆肥化可能な物品は、食品包装に使用され、その中に含まれる食品品目の汚染及び不適切な劣化を防止するために液体バリアを提供する。
【0008】
本開示の特徴及び利点は、詳細な説明及び付属する特許請求の範囲を考慮することで、更に理解されるであろう。
【0009】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、本開示の様々な実施形態についての下記の詳細な説明を添付の図面と併せて考察することにより、より完全に理解され得る。
【0011】
図1】例示的な堆肥化可能な物品の概略図である。
【0012】
図2】別の例示的な堆肥化可能な物品の概略図である。
【0013】
図3】更に別の例示的な堆肥化可能な物品の概略図である。
【0014】
図4A】開構成(4A)及び閉構成(4B)にあるフラップを備えた例示的な堆肥化可能な物品の概略図である。
図4B】開構成(4A)及び閉構成(4B)にあるフラップを備えた例示的な堆肥化可能な物品の概略図である。
【0015】
図5】接着剤部分を備えた例示的な堆肥化可能な物品の概略図である。
【0016】
図6】フラップ上に2つの接着剤部分を備えた例示的な堆肥化可能な物品の概略図である。
【0017】
図7】本開示による例示的な堆肥化可能な物品の透視断面図である。
【0018】
図8】パターンを含み、以下の実施例13Aに記載されるように調製された例示的な堆肥化可能な物品の写真である。
【0019】
図9】以下の実施例13Bに記載されるように調製されたパターンを含む例示的な堆肥化可能な物品の写真である。
【0020】
図10】パターンを含み、以下の実施例23に記載されるように調製された例示的な堆肥化可能な物品の写真である。
【0021】
図11】例示的な堆肥化可能な物品の断面図である。
【0022】
図12A】微細構造を含む例示的な堆肥化可能な物品の断面図である。
図12B】微細構造を含む例示的な堆肥化可能な物品の断面図である。
図12C】微細構造を含む例示的な堆肥化可能な物品の断面図である。
【0023】
図13】微細構造を含む例示的な堆肥化可能な物品の断面図である。
【0024】
図14】微細構造を含む例示的な堆肥化可能な物品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示におけるいくつかの用語が、以下に定義される。他の用語は、当業者によく知られており、それらの用語には当業者がそれらに割り当ててきた意味を与えるものとする。
【0026】
「共通の/一般的な」、「典型的な」、及び「通常の」、並びに「共通して/一般的に」、「典型的には」、及び「通常」などの(限定されないが)高頻度を示す用語が、本発明において多くの場合に用いられる特徴を指すために本明細書において使用されており、これらは、先行技術を参照して具体的に使用されない限り、特徴が先行技術に存在することを意味することを意図するものではなく、これらの特徴が従来技術において一般的である、通常である、又は典型的であるというのに遠く及ばないものである。
【0027】
本開示を通じて、「a」、「an」及び「the」などの単数形は、しばしば便宜上使用されるが、単数のみであることが明示的に指定されている場合又は文脈によって明確に示されている場合を除いて、単数形は複数を含むよう意図される。単数のみに言及する場合、典型的には「1つ、かつ1つのみ」という用語が使用される。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「又は(or)」は一般的に、文脈が明確に別途指示しない限り、「及び/又は(and/or)」を含む通常の意味で使用される。用語「及び/又は」とは、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0029】
本明細書で使用する場合、材料は、太陽光、熱、水、酸素、汚染物質、微生物、酵素、昆虫及び/又は動物の環境影響への暴露の結果として劣化又は分解するとき、「生分解性」である。
【0030】
本明細書で使用する場合、材料は、ASTM D6400-19又はASTM D6868、若しくはその両方の要件を満たすとき、「堆肥化可能」である。これらの2つの標準は、異なる種類の材料に適用可能であるため、材料、組成物、又は物品は、通常、本明細書で定義されるように「堆肥化可能」であるために、最も適用可能なものである、それらのうちの1つを満たすのみであることに留意されたい。ASTM D6400又はASTM D6868規格を満たすことに加えて、堆肥化可能な材料、組成物、又は物品は、以下の規格:ASTM D5338、EN 12432、AS 4736、ISO 17088、又はISO 14855のうちの1つ以上を任意に満たすことができる。本明細書で使用する場合、「堆肥化可能」という用語は、「生分解性」という用語と交換可能ではないことに留意されたい。「堆肥化可能」であるものは、上記の規格と一致する毒性、特に植物毒性を有する材料に、上記の規格によって指定された時間内で劣化しなければならない。「生分解性」という用語は、材料が劣化しなければならない時間を指定しないか、又は劣化する化合物が、毒性若しくは環境への害の欠如についての任意の規格に合格することも指定しない。例えば、ASTM D6400規格を満たす材料(すなわち、堆肥化可能な材料)は、「高レベルの規制金属及び他の有害成分の存在」に対処するISO 17088で指定された試験に合格しなければならないが、「生分解性」である材料は、任意のレベルの有害成分を有し得る。
【0031】
本明細書で使用する場合、「包装材」という用語は、物品を輸送、保管、又は保護するために使用される任意の品目を指す。本開示による包装材の例としては、包装紙、パウチ、バッグ、エンベロープなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、包装材は、食品品目を保護するために使用される。
【0032】
一般的な家庭用品用の部品(例えば、ボトル、カップ、容器、器具)は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネートなどの石油化学物質(すなわち、石油化学系ポリマー)から誘導される様々なグレードのポリマーから形成され得る。環境衝撃を低減するために、これらの部品は、リサイクル樹脂流を利用して製造され得る。しかしながら、化石資源の継続的な枯渇及び石油化学物質の使用に関連する地球温暖化に関する懸念は、生分解性ポリマーが、典型的には、比較的低いCO排出量を有し、持続可能性の概念と望ましく関連付けることができるため、新しい生分解性ポリマーの開発を促進し続けている。更に、消費者は、例えば、家庭用品、包装材、食品接触用途に使用され得る形成された部品、及び/又はリサイクル流に再び取り戻すことが困難であり得る部品(例えば、肉包装材、医療用包装材、歯科用包装材)に堆肥化可能な選択肢のための関心及び要望を表している。
【0033】
包装物品、特にメーラー、エンベロープ、バッグ、及びパウチなどの出荷用に設計されたものは、堆肥化可能又は再生利用可能な紙で製造され得る。しかしながら、紙は耐久性であり、すなわち、耐水性又は耐候性ではない。結果として、紙物品は、多くの包装用途及び輸送用途、特に、包装材が、例えば、出荷又は配送中に、悪天候に曝され得る環境を伴う用途にとって許容できない。耐候性であり得る(すなわち、耐久性である)プラスチック又はプラスチック含有包装並びに出荷物品は、堆肥化可能ではなく、したがって、最後は埋め立て廃棄物になってしまう。リサイクルされ得るこれらのプラスチック包装並びに出荷物品であっても、多くの場合、リサイクルされず、それらがリサイクルされる場合、プロセスは費用がかかり、時間がかかる可能性がある。
【0034】
生分解性食品包装物品が知られている。以前の試みは、天然由来のポリマー(例えば、セルロース系、デンプン系の多糖類)に依存して、より環境的に影響を与えることが少ない包装材を製造する試みが行われている。しかしながら、場合によっては、ポリマーは、耐久性であり、食品包装材として効果的に使用されるとみなされるにはあまりに急速に劣化した。他の例では、ポリマーは親水性であり、包装された品目に適切な空気及び/又は水分バリアを提供しなかった。PCT公開第WO91/06601号は、例えば、1つ以上のポリマー及び充填剤を含有する生分解性ポリマー組成物を記載している。充填剤は、界面活性剤などの分解剤を含む分解促進材料、及び生分解性無害化材料を含有する。PCT公開第WO93/00601号は、デンプン及び水から構成される生分解性フィルムを記載している。PCT公開第WO96/03886号は、食品又は非食品製品を包装するための生分解性成形体を記載している。成形体は、デンプン生成物に基づく懸濁液を焼成することによって得られる自己支持性ベース、及びワックス成分で製造された耐水性フィルムを含有する。
【0035】
一態様では、本開示は、いくらかの耐候性、耐水性、又は耐湿性を提供することができる、出荷物品又は食品包装物品などの堆肥化可能な包装物品を提供するという問題を認識する。本開示はまた、堆肥化可能なシートの縁部を、特によく知られている、迅速かつ安価なヒートシールプロセスによって封止することが困難であり得るという問題も認識し、1つの開縁部及び1つ以上の封止された縁部を有するバッグ、パウチ、又はエンベロープなどの堆肥化可能な物品を製造する。
【0036】
簡単に言えば、これらの問題のいくつか又は全て、並びに本開示において特定され得るか、又は特定され得ない他の問題の解決策は、堆肥化可能な組成物及び物品にある。本開示の堆肥化可能な組成物及び物品は、少なくとも40重量パーセント(「40重量%」)、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%の第1の生分解性ポリマーを含む配合物から製造することができ、これはより具体的には、第1の堆肥化可能なポリマー及び疎水剤であり、これはより具体的には、第1の堆肥化可能な疎水剤である。いくつかの実施形態では、本開示の堆肥化可能な組成物及び物品は、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超(例えば、90重量%)の第1の生分解性ポリマー、及びより具体的には、第1の堆肥化可能なポリマーを含む配合物から形成され得る。いくつかの実施形態では、堆肥化可能な組成物は、更に第2の生分解性ポリマーを含み、これはより具体的には、第2の堆肥化可能なポリマーである。例えば、第1の生分解性ポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネート、「PBS」)及び第2の生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸、「PLA」)と、疎水剤(例えば、トウゴマに由来する水素化ヒマシ油)である。いくつかの実施形態では、天然の堆積物(例えば、炭酸カルシウム、水和ケイ酸マグネシウム)から供給される無機充填剤が添加される。
【0037】
開示された組成物は、様々な形状に成形されてもよく、消費者及び/又は工業用の堆肥化施設で堆肥化可能であり得、典型的には、食品及び/又は食品調製を含む用途を含むがこれらに限定されない様々な用途での使用に好適である。
【0038】
一態様では、本出願による堆肥化可能な物品は、第1の内面及び第1の内面とは反対側の第1の外面を有する第1の壁、並びに第2の内面及び第2の内面とは反対側の第2の外面を有する第2の壁を含む包装物品である。第1及び第2の内面は、包装物品の内部を画定し、かつ第1及び第2の外面は、包装物品の外部を画定する。包装物品は、第1の壁が第2の壁に取り付けられている1つ以上の縁部を有する。任意に、物品は、第1の壁が第2の壁に取り付けられていない少なくとも1つの開口部を有してもよく、これは、包装物品の内部に配置される物体の周りに包装物品を形成し、それによって開口部を有する物品の必要性を排除することが可能であるため、必要ではない。第1又は第2の壁は、第1の生分解性ポリマー及び疎水剤を含む堆肥化可能な材料からなる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の壁は、堆肥化可能な材料からなる。いくつかの実施形態では、包装物品は、堆肥化可能なコーティングを更に含む。いくつかの実施形態では、堆肥化可能なコーティングは、堆肥化可能なヒートシール可能なコーティングを含む。
【0039】
生分解性ポリマー:
【0040】
本開示の堆肥化可能な組成物及び物品は、第1の生分解性ポリマー、及び任意に、第1の生分解性ポリマーとは異なる第2の生分解性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、第1の生分解性ポリマーは、脂肪族ポリエステルである。いくつかの実施形態では、脂肪族ポリエステルは、コハク酸又はアジピン酸から調製される。いくつかの実施形態では、第1の生分解性ポリマーは、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(トリメチレンサクシネート)(PTS)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート co-ブチレンアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンアジペート co-テレフタレート)(PBAT)、ポリ(テトラメチレンアジペート-co-テレフタレート)(PTAT)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1の生分解性ポリマーは、ポリ(ブチレンサクシネート)である。他の実施形態では、第1の生分解性ポリマーは、熱可塑性デンプンである。前述の実施形態のいずれかにおいて、第1の生分解性ポリマーは、特に堆肥化可能であり、すなわち、それは第1の堆肥化可能なポリマーである。
【0041】
いくつかの実施形態では、第2の生分解性ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコリド(本明細書では、ポリグリコリド及びポリグリコール酸の両方を含むように使用される)、ポリカプロラクトン、及びポリ乳酸、ポリグリコリド、並びにポリカプロラクトンのコポリマー、又はそれらの2つ以上からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第2の生分解性ポリマーは、ゼイン、セルロースエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(トリメチレンサクシネート)(PTS)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート co-ブチレンアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンアジペート co-テレフタレート)(PBAT)、ポリ(テトラメチレンアジペート-co-テレフタレート)(PTAT)、熱可塑性デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1の生分解性ポリマーは、ポリブチレンサクシネートを含み、第2の生分解性ポリマーは、ポリ乳酸を含む。他の実施形態では、堆肥化可能な組成物は、ポリブチレンサクシネート及び疎水剤から本質的になる。いくつかの実施形態では、疎水剤は、堆肥化可能な疎水剤である。
【0042】
本開示の堆肥化可能な組成物及び物品は、典型的には、40重量%~75重量%、任意に45重量%~70重量%、又は任意に50重量%~60重量%の、第1及び第2の生分解性ポリマーの総重量を含み、それらは特に、第1及び第2の堆肥化可能なポリマーである。いくつかの実施形態では、組成物中の第1の生分解性ポリマー、特に第1の堆肥化可能なポリマーの、第2の生分解性ポリマー、特に第2の堆肥化可能なポリマーに対する重量パーセントの比は、0.5:1~1.5:1、任意に0.75:1~1.25:1、又は任意に1:1、0.1:1、0.2:1、2:1、5:1、及び10:1である。
【0043】
「PLA」という用語は、ポリ乳酸及びポリ乳酸の両方を含むことを意味する。
【0044】
ポリブチレンサクシネート(PBS)は、例えば、アミコラトプシス(Amycolatopsis)種、HT-6、及びペニシリウム(Penicillium)種、株14-3などの微生物の存在下で水及び二酸化炭素に自然に分解する熱可塑性脂肪族ポリエステルである。PBSを包装材に含むよう使用するが、その親水性は、適切な水分バリアとして不適切になり、包装用途で使用するのに十分に耐久性ではない。
【0045】
疎水剤:
【0046】
本開示の堆肥化可能な組成物は、望ましくは、疎水剤を含む。特定の理論に束縛されるものではないが、疎水剤は、例えば、組成物が射出成形プロセスで使用されるときの離型の増強、及び疎水性など、開示された組成物に有用な特性を付与し得ると考えられる。
【0047】
好適な疎水剤の例としては、バイオ系及び石油系疎水剤の両方が挙げられる。例示的な疎水剤としては、エチレンビス(ステアラミド)(EBS)、ヒマシ油、水素化ヒマシ油(ヒマシワックス)、ダイズワックス、ポリアミド酸、リノール酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、酪酸、ステアリン酸、トリグリセリド、パラフィン、又は関連する石油系水素化炭化水素、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に、上記の疎水剤のいずれかは、堆肥化可能であり得る。
【0048】
本開示の堆肥化可能な組成物は、1重量%~15重量%、任意に2重量%~8重量%、又は任意に2.5重量%~6重量%(例えば、4重量%)の好適な疎水剤、特に上述の疎水剤のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、又は少なくとも2.5重量%の好適な疎水剤を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、10重量%未満、8重量%未満、又は6重量%未満の好適な疎水剤を含み得る。いくつかの実施形態では、疎水剤は、生分解性疎水剤、及びより具体的には、堆肥化可能な疎水剤である。
【0049】
一態様では、本明細書に記載の堆肥化可能な物品のコーティング、層、又は部品は、0.5~15ポリマー重量の少なくとも1つの生分解性疎水剤、又は堆肥化可能な疎水剤の存在のために疎水性にされた。「疎水性」とは、本出願の堆肥化可能な物品が少なくとも90°の前進水接触角を示したことを意味する。
【0050】
充填剤
【0051】
本開示の堆肥化可能な組成物は、少なくとも1つの充填剤を含み得る。使用される場合、充填剤は、典型的には、例えば、充填剤の添加などの開示された組成物に有用な特性を付与するように選択され、堆肥化可能な組成物のヤング率(ksi)、伸び率%、及び破断点(「psi」)の変更を可能にし得る。
【0052】
本開示の実施形態で使用するために好適な充填剤は、当業者に既知であり、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレイ、アルミナ三水和物、硫酸カルシウム、グラスバブルズ、粉砕雲母、ゼオライト、リン酸カルシウム、及びそれらの組み合わせなどの無機材料を含み得る。
【0053】
本開示の実施形態において有用な他の充填剤は、例えば、木材繊維、木材パルプ、竹繊維、及びそれらの組み合わせなどの生分解性繊維を含み得る。
【0054】
好ましい実施形態では、堆肥化可能な組成物は、10重量%~60重量%、任意に12重量%~55重量%、又は任意に14重量%~50重量%の充填剤を含む。いくつかの実施形態では、堆肥化可能な組成物は、少なくとも10重量%、少なくとも12重量%、又は少なくとも14重量%の充填剤を含む。いくつかの実施形態では、堆肥化可能な組成物は、最大60重量%、最大55重量%、又は最大50重量%の充填剤を含む。いくつかの実施形態では、堆肥化可能な組成物は、充填剤を使用することなく好適な又は所望の特性を有することができるため、充填剤の使用は任意である。
【0055】
本堆肥化可能な組成物の実施形態において有用な充填剤は、様々な形状(例えば、球形、長方形、三角形、円筒形、管状、繊維状、小板、フレーク)で存在し得る。本堆肥化可能な組成物の実施形態において有用な充填剤はまた、様々なサイズで存在し得る。例えば、有用な充填剤は、0.1μm~10μm、任意に0.25μm~8μm、任意に0.5μm~6μm、任意に0.75μm~4μm、又は任意に0.8μm~2μm(例えば、1.5μm)メジアン粒径を有し得る。
【0056】
他の任意の成分
【0057】
堆肥化可能な組成物は、任意に、特定の用途において望ましい場合がある特性を付与するための追加の成分を含む。任意の成分としては、他のポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、及びそれらの組み合わせ)(そのようなポリマーは、第3の生分解性ポリマー及び/又は石油化学系ポリマーを含んでもよい)、離型剤、難燃剤、導電性剤、帯電防止剤、顔料、染料、酸化防止剤、耐衝撃改良剤、安定剤(例えば、UV吸収剤)、湿潤剤、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0058】
特に、堆肥化可能な顔料及び染料を使用することができる。例としては、OM若しくはOMBの製品系列で、Clariant Corp(Minneapolis,MN,USA)から入手可能なPLAマスターバッチ着色剤、又はPLAM若しくはPPM製品系列で、Techmer PM LLC(Clinton,TN,USA)から入手可能なものが挙げられる。典型的には、着色剤が使用される場合、それらは、0.5重量%~5重量%の量で他の堆肥化可能な組成物成分とブレンドされる。
【0059】
組成物の調製
【0060】
本開示の堆肥化可能な組成物は、当業者に周知の方法によって調製することができる。例えば、第1の生分解性ポリマー(例えば、PBS)は、二軸スクリュー押出機(現在、Baker Perkins,Inc.,Grand Rapids、MI、USAの一部であるAPVから商品名「MP2030」で入手した)を使用して、疎水剤(例えば、水素化ヒマシ油)と配合され得る。第2の生分解性ポリマー(例えば、PLA)及び無機充填剤などの他の成分は、押出機供給物に添加することができる。配合プロセス中に任意の成分も添加することもできる。二軸スクリュー押出機を出ると、堆肥化可能な組成物は、水浴を通してローレットニップロールを介して引き出され、続いて、回転切断ブレードを使用して冷却された組成物をペレット化することができる。ペレットは、成形物品を提供するための既知の方法によって、限定されないが、射出成形、ブロー成形、射出ブロー成形、又はプロファイル押出などの更なる処理に供され得る。
【0061】
堆肥化可能な組成物は、成分の液体溶液又は分散液を混合し、続いて乾燥させること(例えば、組成物のフィルムを鋳造した後)などによっても、他の方法によって調製することができる。堆肥化可能な組成物を調製するための他の好適な方法も可能である。選択された調製の方法は、堆肥化可能な組成物の所望の使用又は特性に依存することができ、例えば、ポリマー又は材料科学の当業者によって容易に決定可能である。
【0062】
物品
【0063】
任意の数の物品が、本開示の組成物から形成され得る。そのような成形品としては、例えば、食品の調理及び/又は食品保存に有用なトレイ並びに容器、テープディスペンサ並びにテープコア、3M Company、St.Paul、MN、USAから商品名COMMANDで市販されているものなどのフック、ROLLBAG 3200袋詰め機(PAC Machinery、San Rafael、CA、USから入手可能)などの自動化システムで使用できる、ロールに形成されたフラットチューブ、固定された、分離した、又は一体ヒンジ式蓋を備えた、若しくは備えていない両方の剛性包装容器、並びにEco Latch Systems,LLC,Pewaukee,WI,USAから商品名BOX LATCHで市販されているものなどの包装材料(例えば、バッグ、エンベロープ、パウチ、又は一時的な段ボール箱及びカートン閉鎖システム及びコーナ片)などの品目を挙げることができる。
【0064】
包装物品などの特定の形態では、その例としては、エンベロープ、メーラー、パウチ、チューブなどが挙げられ、物品は、例えば、その内部の物体で完全に閉鎖され得るか、又は開口部を有することができる。1つの特定の実施形態では、本開示の堆肥化可能な物品は、典型的には、2つの壁、すなわち、第1の壁及び第2の壁を有し、各々が物品の内部に面する内面及び物品の外部に面する外面を有する。したがって、第1の壁の内面(「第1の内面」)は、第2の壁の内面(「第2の内面」)に面している。
【0065】
2つの壁は、典型的には材料のシートから製造され、材料の単層又は材料の複数の層であり得る。壁の各々は、異なるシートで製造されてもよく、その場合、2つの壁は、同じ又は異なる材料から製造され得る。より一般的には、第1及び第2の壁は、2つの別個の壁を作り出すように折り畳まれる同じ材料シートから製造される。これらの場合、第1及び第2の壁は、同じ材料からなり得る。いくつかの実施形態では、第1の壁又は第2の壁は、本出願の堆肥化可能な組成物から調製されたシートを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の壁は、堆肥化可能な組成物から製造される。
【0066】
第1の壁及び第2の壁は、包装物品の少なくとも1つの縁部に沿って取り付けられている。物品の構成及び形状に応じて、それらは、2つ、3つ、4つ、又は更により多くの縁部に沿って取り付けることができる。第1の壁及び第2の壁は、一緒に封止されるように直接取り付けることができるか、又はガセット、溶接、又は同様のものなどの中間構造によって間接的に取り付けることができる。包装物品はまた、第1及び第2の壁が取り付けられていない開口部を含む。
【0067】
物品、特に包装物品は、第1及び第2の壁が取り付けられていない開口部を含むことができる。しかしながら、内部に位置する物体の周りに包装物品を形成し、それによって開口部を備えた物品を製造し、続いて開口部を閉鎖する必要性を取り除くことも可能であるため、開口部は必要とされない。
【0068】
機構又は特徴は、封止された後の包装物品の容易な開封を容易にするために存在し得る。例としては、穿孔、スコーリング、ジップトップ、又は埋め込まれた引き紐若しくはワイヤが挙げられる。開口部又はフラップが存在する場合、これらの特徴部のうちの1つ以上は、開口部又はフラップの近くに存在して、開口部又はフラップの近くの包装物品の開封を容易にするか、又は包装物品の異なる部分上に存在し得る。これらの特徴部は、使用される場合、最も一般的には包装物品の少なくとも1つの縁部に平行な直線では、特定の構成が必要ではなく、包装物品の意図される用途に応じて他の形状又はレイアウトを使用することができる。
【0069】
本開示の組成物から形成された堆肥化可能な物品は、ASTM D6400規格を満たす。追加的又は代替的に、シート物品が堆肥化可能である場合、それらはASTM D6868規格を満たすことができる。前述の規格の一方又は両方を満たすことに加えて、堆肥化可能な成形品は、EN 12432規格、AS 4736規格、又はISO 17088規格のうちの少なくとも1つを満たすことができる。特定の堆肥化可能な成形品はまた、ISO 14855規格を満たす。
【0070】
繊維層
【0071】
いくつかの実施形態では、堆肥化可能な物品は繊維層を含む。繊維層は、不織布及び紙などのセルロース材料、並びに厚紙を含む。いくつかの実施形態では、繊維層は生分解性である。例示的な生分解性繊維層及び繊維としては、ポリ乳酸(PLA)、天然由来ゼイン、ポリカプロラクトン、セルロースエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)(例えば、ポリ-3-ヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(トリメチレンサクシネート)(PTS)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート co-ブチレンアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンアジペート co-テレフタレート)(PBAT)、ポリ(テトラメチレンアジペート-co-テレフタレート)(PTAT)、及びそれらの混合物から製造されたものが挙げられる。
【0072】
好適な不織布としては、スパンボンド布、メルトブロー布、スパンレース、エアレイド、ウェットレイド、カード、及びそれらの組み合わせが挙げられる。スパンボンド繊維は、当該技術分野において既知であり、押出成形された紡糸フィラメントを均一なランダムな様式で収集ベルト上に堆積させ、続いて繊維を接合することによって生成される布地を指す。繊維は、エアジェット又は静電荷によって層形成プロセス中に分離される。スパンボンド繊維を含む層は、当該技術分野において既知の技術によって提供することができ(例えば、その開示が参照により、本明細書に組み込まれる、米国特許第8,802,002号(Berriganら)の図1に一般的に示されるような装置を使用して)、またNatureWorks LLC,Minnetonka,MNから商品名「INGEO BIOPOLYMER 6202D」(ポリ乳酸繊維、スパンボンドスクリム、平滑カレンダー)で市販されている。例えば、米国特許出願公開第2006/0096911号(Breyら)に開示されているような標準的なメルトブローン繊維形成プロセスは、その開示が全体で参照により、本明細書に組み込まれる。ダイに溶融ポリマーが入り、それを通って流れ、その流れがダイのキャビティ内でダイの幅にわたって分散され、ポリマーが一連のオリフィスを通ってフィラメントとしてダイから出ることによってブローンマイクロ繊維(BMF)が作られる。1つの例示的な実施形態では、加熱された気流は、エアマニホールド、及びダイ出口(先端)を形成する一連のポリマーオリフィスと隣接しているエアナイフアセンブリを通過する。この加熱された気流の温度と速度の両方を調節することで、ポリマーフィラメントを所望の繊維径まで細くすること(引くこと)ができる。BMF繊維を、この乱れた気流において、回転している表面に向かって運び、そこでBMF繊維を集積して層を形成した。
【0073】
使用することができる特定の繊維層は、熱、低温、雨、若しくは雪などの気象条件、及び包装及び出荷プロセス中に遭遇し得る他の条件にそれらが耐えることを可能にし、並びに落下、押し合い(jostling)、他の物質への衝突などの包装及び出荷中に起こり得る取り扱いに耐えることを可能にするのに十分な坪量を有する。いくつかの実施形態では、繊維層の坪量は、6~300g/mである。不織布を使用する場合、意図された使用に好適な不織布の任意の坪量を用いることができ、ユーザの必要性に応じて様々な坪量が好適であり得る。最も一般的には、坪量(g/m単位)は、20以上、任意に30以上、任意に40以上、任意に50以上、任意に75以上、任意に100以上、任意に125以上、任意に150以上、任意に175以上、任意に200以上、任意に225以上、又は任意に250以上である。坪量(再びg/m単位)は、典型的には、250以下、任意に225以下、任意に200以下、任意に175以下、任意に150以下、任意に125以下、任意に100以下、任意に75以下、任意に50以下、任意に40以下、又は任意に30以下である。一例として、坪量(再びg/m単位)は、20~250であり得、より具体的には、使用される不織布の坪量は、不織布で20~100であり得、及びより具体的には、セルロース系壁の坪量は、50~250であり得る。
【0074】
本明細書に記載されるもののいずれかなどの第1の壁及び第2の壁を含む例示的な堆肥化可能な物品は、繊維層を含み得る。第1の壁、第2の壁、又はその両方に用いることができる特に有用な材料は、セルロースである。使用される場合、セルロースは、典型的には、紙の成分である。任意の形態の紙が、それが堆肥化可能である限り、第1の壁、第2の壁、又はその両方に用いることができる。クラフト紙は、この目的に特に有用であるが、他の堆肥化可能な紙が使用されてもよい。
【0075】
第1の壁、第2の壁、又はその両方は、材料の単一の層若しくはシート、又は複数のシートから構成され得る。単一の層若しくはシートが使用される場合、典型的には、PLA又は紙のいずれかである。しかしながら、本明細書で第2の生分解性ポリマーとして特定される材料のいずれか、並びにそれらの混合物又はブレンドを使用することも可能である。混合物は、個々の繊維が2つ以上の種類の第2の生分解性ポリマーを有する構造を指し得るか、又は単一の繊維層若しくはシートにおいて各々が異なる成分を有する2つ以上の種類の繊維の使用を指すことができる。
【0076】
第1の壁、第2の壁、又はその両方に複数の層若しくはシートが使用される場合、それらは同じ又は異なる層若しくはシートであり得る。2つ、3つ、4つ、又は更により多くの層若しくはシートを使用することができる。2つの層若しくはシートがある構成では、1つのシートは、適用可能な壁の内部に配置された内層若しくはシートであり、他方の層若しくはシートは、適用可能な壁の外部に配置されたシートの外層である。3つの層若しくはシートが存在する構成では、内層と外層若しくはシートとの間に追加の中間層若しくはシートが存在する。
【0077】
層若しくはシートは、本明細書に記載の堆肥化可能なコーティングのいずれかなどの堆肥化可能なコーティングでコーティングすることができ、より具体的には、第1の生分解性(特に堆肥化可能な)ポリマー及び疎水剤を含む堆肥化可能なコーティング、及びより具体的には、PBS及び疎水剤を含む堆肥化可能なコーティングを含む。使用することができるコーティングに関するより詳細を以下に提供する。最低でも、第1の内面若しくは第1の外面(第1の壁の)又は第2の内面若しくは第2の外面(第2の壁の)のうちの少なくとも1つが、堆肥化可能なコーティングからなる1つ以上のコーティングで、より具体的には、堆肥化可能なヒートシール可能なコーティングでコーティングされる。しかしながら、多くの場合、第1の壁又は第2の壁を構成する層若しくはシートのうちの1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の片側若しくは両側が、堆肥化可能なコーティングでコーティングされる。
【0078】
層若しくはシートは、任意の好適な方法で一緒に接合することができる。本明細書で論じられる堆肥化可能なコーティングは、ヒートシール可能なコーティングであり得、その場合、層若しくはシートは、誘導溶接又は熱衝撃封止などのヒートシールプロセスによって一緒に接合され得る。シート若しくは層の隣接する側のコーティングは、シート若しくは層を積層するために使用することができる接着剤を有することができる。パターン化されたカレンダーロールを使用して、隣接する層を接合することもできる。
【0079】
層若しくはシートのうちの1つ以上は、フラットな層若しくはシートであり得る。層若しくはシートのうちの1つ以上が、エンボス加工され得ることも可能である。エンボス加工された層若しくはシートは、包装物品の内容物にある程度の緩衝を提供することができ、したがって、特定の用途に有利であり得る。任意のエンボスパターンを使用することができるが、ほとんどの場合、規則的又は繰り返しパターンが用いられる。繰り返しパターンの例は、菱形、正方形、円形、三角形、六角形、並びに異なる形状を有する混合パターンである。複数の層若しくはシートが使用される場合、層若しくはシートのいずれか又は全てがエンボス加工され得る。最も一般的には、2つの層若しくはシートが使用される場合、内層若しくはシートがエンボス加工され、外層若しくはシートはエンボス加工されない。3つの層若しくはシートが使用される場合、典型的には、中間層又は内層若しくはシートのいずれかがエンボス加工され、他の層若しくはシートはエンボス加工されない。しかしながら、他の構成も可能である。例えば、3層構造において、1つのエンボス加工された層若しくはシートのみが提供されるものを超える追加の緩衝を提供するために、内層若しくはシート及び中間層若しくはシートの両方をエンボス加工することが有用であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、繊維層は、ループ材料のシートを含み、その後、ファスナーのためのループ部分を形成するために断片に切断され得る。ループ材料のシートは、典型的には、概ね均一な形態である熱可塑性バッキング層、及び間隔を置いた接合位置においてこの熱可塑性バッキング層に接合又は融合された、概ね非変形のアンカー部を有する、長手方向に配向されたシートを含むバッキングと、複数の接合位置の間でバッキングの前表面から突出している弓状部とを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、繊維は、コアシース構造を含み、コア及びシースは、同じ材料又は異なる材料で製造され得る。1つの材料の繊維又は異なる材料若しくは材料の組み合わせの繊維は、同じ繊維シートで使用され得る。
【0082】
ループ材料シートが、限定された使用(すなわち、ファスナーが通常、10回以下開閉される使用のために)を意図するファスナーのループ部分を形成するために使用される場合、好ましくは繊維のシートの弓状部は、約0.64センチメートル(0.250インチ)未満、好ましくは約0.38センチメートル(0.15インチ)未満のバッキングからの高さを有し、接合位置の幅は、約0.005インチ~0.075インチであるべきであり、繊維のシートの弓状部の幅は、約0.06インチ~0.35インチであるべきである。好適なループ材料を作成するための例示的な方法は、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,256,231号に記載されている。
【0083】
堆肥化可能なコーティング
【0084】
本出願による堆肥化可能な物品は、堆肥化可能なコーティングを更に含み得、これは、特定の実施形態では、ヒートシール可能なコーティングであり得る。第1の壁及び第2の壁を含む包装物品について、第1の内面(第1の壁の)、第2の内面(第2の壁の)、第1の外面(第1の壁の)、及び第2の外面(第2の壁の)のうちの少なくとも1つは、1つ以上の堆肥化可能なコーティングでコーティングされ得る。堆肥化可能なコーティングは、堆肥化可能なヒートシール可能なコーティングを含む。他の層若しくはシートはまた、本明細書で論じられるコーティングのいずれかで、又は第1及び第2の壁の構成可能性を損なわない他のコーティングでコーティングされてもよい。
【0085】
堆肥化可能なヒートシール可能なコーティングは、典型的には、本明細書に記載の堆肥化可能な組成物である。したがって、それは、典型的には、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(テトラメチレンアジペート-co-テレフタレート)、水素化ヒマシ油、又は熱可塑性デンプンのうちの1つ以上を含む。特に、堆肥化可能なヒートシール可能なコーティングは、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート)、水素化ヒマシ油、又はポリ(テトラメチレンアジペート-co-テレフタレート)のうちの少なくとも1つを含む。より具体的には、コーティングは、ポリブチレンサクシネート、ヒマシ油、例えば、水素化ヒマシ油、又はその両方を含む。堆肥化可能なヒートシール可能なコーティングは、いくつかの目的を果たすことができる。第1の壁が第2の壁に取り付けられた縁部がヒートシールされることを可能にすることによって、包装物品を形成することが有用であり得る。これはまた、包装物品に耐候性又は耐水性を提供する役割も果たすことができる。
【0086】
他の成分もコーティングに含まれ得る。特に、堆肥化可能な顔料及び染料を使用することができる。例としては、OM若しくはOMBの製品系列で、Clariant Corp(Minneapolis,MN,USA)から入手可能なPLAマスターバッチ着色剤、又はPLAM若しくはPPM製品系列で、Techmer PM LLC(Clinton,TN,USA)から入手可能なものが挙げられる。典型的には、着色剤が使用される場合、それらは、0.5重量%~5重量%の量で他のコーティング成分とブレンドされる。
【0087】
コーティングを層若しくはシート上に配置させることができる少なくとも2つの方法がある。これらの両方が重要であり、それらのいずれか1つは、本明細書に記載の物品の任意の実施形態と共に使用され得る。
【0088】
下地シート若しくは層が形成された後に、下地シート若しくは層の材料にコーティングを適用する第1の特定の方法は、例えば本明細書で論じられるような繊維材料のいずれかである。これは、任意の好適な方法で達成することができる。典型的には、押出成形が使用される。
【0089】
コーティングを適用する第2の特定の方法は、繊維材料、シート若しくは層の個々の繊維をコーティングでコーティングすることである。これにより、コアをシート若しくは層材料として、シースをコーティングとして有するコアシース構成がもたらされる。コアシース繊維を製造する様々な方法は、当該技術分野において既知であり、原則として、これらのいずれも、コア及びシースの構成要素に応じて使用され得る。更なるコーティングは、原則としてシースに適用することができ、これは、本明細書に記載のコーティングの範囲内である。
【0090】
本明細書に記載の物品の任意の実施形態における前述の2つのアプローチの組み合わせを使用することが可能である。したがって、特定の場合には、個々の繊維は、コアシース型構成及びコーティングでコーティングされ、このコーティングは、シースと同じ又は異なるコーティングであり得、コアシース繊維から製造された材料の層若しくはシートの片側又は両側に配置される。
【0091】
いずれの場合も、コーティングは、層若しくはシートの全体に適用される必要はないが、層若しくはシートの一部のみにあってもよい。しかしながら、より具体的には、コーティングは、層若しくはシートの少なくとも1つの側の全体に適用される。更により具体的には、コーティング、及び最も具体的にはポリブチレンサクシネートを含むコーティングは、層若しくはシートの両側の全体に適用される。
【0092】
層若しくはシートのうちの1つ以上に対する1つの特に有用な構造は、ポリブチレンサクシネートで両側に完全にコーティングされたポリ乳酸の層若しくはシートであり、より具体的には、ポリブチレンサクシネートとヒマシ油との混合物であり、任意に、コーティングの追加の成分として1つ以上の顔料又は染料を有する。より具体的には、ポリブチレンサクシネートを用いて両側に完全にコーティングされたポリ乳酸の層若しくはシートを有する層若しくはシートをエンボス加工することができる。層若しくはシートの別の特に有用な構造は、ポリブチレンサクシネートで両側に完全にコーティングされた紙の層若しくはシートである。より具体的には、ポリブチレンサクシネートで両側に完全にコーティングされた紙の層若しくはシートは、エンボス加工することができる。両側に完全にコーティングされた層若しくはシートのいずれにおいても、特にポリブチレンサクシネートで両側に完全にコーティングされた前述のポリ乳酸又は紙層若しくはシートは、コーティングが材料の層若しくはシート上に配置された層の形態、又は層若しくはシート材料の繊維上に配置されたシースの形態であり得る。
【0093】
コーティング厚さは、マイクロメートル単位で、所望の特性を提供するために必要な任意の厚さであり得るが、典型的には10超、15超、20超、25超、30超、35超、40超、45超、又は更に50超である。コーティング厚さは、マイクロメートル単位で、典型的には60未満、55未満、50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、又は更に20未満である。コーティング厚さについての例示的な範囲は、マイクロメートル単位で、20~50である。コーティングがコア繊維上のシースである場合、「コーティング厚さ」は、シースの厚さを指し、コーティングが層として適用される場合には、「コーティング厚さ」は、層の厚さを指す。
【0094】
微細構造
【0095】
いくつかの実施形態では、堆肥化可能な物品は、微細構造を更に含む。微細構造を含む堆肥化可能な物品は、予想外に、強化された撥水性を示す。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの微細構造は、生分解性ポリマー層の表面上にチャネルを形成し、それによって水の進入口を妨げる(すなわち、表面の湿潤を防止する)と考えられる。結果として、高い水接触角が観察され、堆肥化可能な物品は、増加した疎水性を示す。
【0096】
いくつかの実施形態では、微細構造は、例えばレールなどのポリマー層の長さ又は幅全体にわたって連続的に延びることができる。他の実施形態では、微細構造は、例えば、フック又はピラーなどの別個の特徴部である。微細構造を製造する例示的な方法は、米国特許第5,053,028号、同第5,868,987号、同第6,000,106号、同第6,132,660号、同第6,417,294号、及び同第7,168,139号に記載されている。これらの特許の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、微細構造はポストを含む。他の実施形態では、微細構造は、ステム及びキャップを含む。いくつかの実施形態では、キャップは、長方形、楕円形、円形、又は半円形である断面を有し得る。いくつかの実施形態では、キャップは、ステムの幅よりも大きい幅を有する。いくつかの実施形態では、ステム及びキャップは、同じ材料から製造される。他の実施形態では、ステム及びキャップは、異なる材料から製造される。いくつかの実施形態では、ステム及びキャップは一体形成されている。他の実施形態では、ステム及びキャップは別個の部品である。
【0098】
いくつかの実施形態では、ポリマー層及び微細構造は、同じ材料から製造される。他の実施形態では、ポリマー層の材料は、微細構造の材料とは異なる。本明細書で使用される「異なる」は、(a)少なくとも1つの赤外線ピークにおける少なくとも2%の差、(b)少なくとも1つの核磁気共鳴ピークにおける少なくとも2%の差、(c)数平均分子量における少なくとも2%の差、又は、(d)多分散度における少なくとも5%の差、のうちの少なくとも1つを意味する。ポリマー材料間の差をもたらし得るポリマー材料の違いの例としては、組成、微細構造、色、及び屈折率が挙げられる。ポリマー材料に関する「同じ」という用語は、異なっていないことを意味する。
【0099】
接着剤
【0100】
いくつかの実施形態では、1つ以上の接着剤部分を堆肥化可能な物品に提供することができる。いくつかの実施形態では、前述のように、第1の壁及び第2の壁を含む物品上に接着剤部分が提供される。これらの物品では、接着剤部分が壁の上部に設けられている。接着剤部分は、壁の一部であるとは見なされない。典型的には、使用される場合、接着剤部分は、包装物品の開口部の近くにあり、物品を閉じるために使用され得る。フラップが使用される場合、1つ以上の接着剤部分は、多くの場合フラップ上にあるか、又はフラップが閉位置に折り畳まれるときにフラップによって到達され得る外面の一部にあり、これにより、フラップを閉位置に接着させることができる。多くの場合、2つの接着剤部分が提供される。
【0101】
1つ以上の接着剤部分は通常、包装物品の開口部にほぼ平行に延びるストリップの形状であるが、これは必須ではない。
【0102】
1つ以上の接着剤部分は、所望の使用に応じて任意の好適な接着剤であり得るが、最も一般的に堆肥化可能な接着剤である。特定の場合には、1つ以上の接着剤部分は、堆肥化可能な接着剤からなる。1つ以上の接着剤部分は、水活性化接着剤又は感圧接着剤であり得る。最も具体的には、堆肥化可能な感圧接着剤が用いられる。例示的な堆肥化可能な接着剤は既知であり、例としては、2-オクチルアクリレート及びアクリル酸のコポリマー;糖修飾アクリレートのコポリマー;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、及び樹脂のブレンド;ポリ(ヒドロキシアルカノエート)及び樹脂のブレンド;タンパク質接着剤;天然ゴム接着剤;並びにダイマー酸含有ポリアミドが挙げられる。
【0103】
1つ以上の剥離ライナーを、1つ以上の接着剤部分のいずれか又は全ての上に配置させることができる。剥離ライナーは、堆肥化可能であるか、又は少なくともリサイクル可能であることが有利であるが、剥離ライナーは、使用後に包装物品とは別個に配置され得、堆肥化環境で包装物品に配置される必要はないため、必要とされない。したがって、本明細書に記載の包装物品が1つ以上の剥離ライナーを有する場合、剥離ライナーのいずれか又は全てが堆肥化可能でない場合でも、包装物品は「堆肥化可能」であり得る。
【0104】
相変化材料(PCM)
【0105】
本出願の堆肥化可能な組成物及び物品は、相変化材料(PCM)を更に含み得る。PCMは、融解又は凝固すると、特定の温度(すなわち、相変化を受けている)で大量のエネルギーを貯蔵及び放出することができる、高い融解熱を有する物質である。溶融又は凍結などの相変化中、分子はそれ自体を再配列し、潜熱の吸収又は放出をもたらすエントロピー変化を引き起こす。相変化を通して、材料自体の温度は一定のままである。いくつかの例示的な一般的なPCMには、塩、水和塩、脂肪酸、及びパラフィンが含まれる。好適に包装されたそのようなPCMは、熱デバイスとして使用され得る。しかしながら、ドライアイス又はウェットアイスとは異なり、ほとんどのPCMは、それ自体で出荷及び輸送用途に容易に適応可能ではない。それらは適切な保護被覆と対になる必要がある。一緒に、PCM及び保護被覆は、所望の温度で輸送される物品を保護することができる包装構造を形成する。
【0106】
本開示の構造で使用するためのPCMは、輸送中に輸送される物品の所望の温度を維持する。したがって、1つ以上のPCMは、以下の特性:広範囲の物理的特性にわたる微調整可能性、出荷中の温度及び押し合いに対する回復力、過剰冷却を伴わない凍結、調和して溶融するための能力、様々な従来の材料との適合性、化学的安定性、非腐食性、不燃性、及び非毒性のうちの1つ以上を有し得る。いくつかの実施形態では、PCMは、堆肥化可能及び/又は生分解性である。PCMは、液体、ゲル、ヒドロコロイド、又は三次元形状(例えば、長方形、正方形、又はレンガ状)の形態をとり得る。
【0107】
いくつかの例示的なPCMは、以下の通りである。好適なPCMは、塩、水和塩、脂肪酸、パラフィン、及び/又はそれらの混合物を含む、有機若しくは無機材料であり得る。相を変化させるための異なる相変化材料手段は、様々な温度で相変化(又は融合)を受けるため、デバイスで使用するために選択される特定の材料は、包装材が保持されることが望まれる温度に依存することができ、これは、約-135℃~約40℃の範囲を含み得る。この範囲内の所望の範囲は、包装材の意図された使用に依存し得る。例えば、食品コールドチェーン包装は、典型的には、約-36℃~約25℃である。生物学的又は薬学的コールドチェーン包装は、典型的には、約-135℃~約40℃である。
【0108】
コールドチェーンに使用されるいくつかの実施形態では、塩化ナトリウム及び水を含む約20重量パーセント~23重量パーセントの塩溶液を相変化材料として提供することができる。この特定の相変化材料は、約-19℃~約-21℃の融合の相変化温度を特徴とする。そのような温度範囲は、薬物、ワクチン、及び他の活性生物製剤などの多くの医薬製品の包装及び出荷で使用するために好適であり得る。
【0109】
本発明のコールドチェーン包装、デバイス、及び物品に使用可能な相を変化させるための他の例示的な相変化材料又は手段は、上記の所望の相変化温度及び他の特性を有する、米国特許第6,574,971号に記載されているプロセスに従って生成された組成物を含み得る。米国特許第6,574,971号の材料には、加熱及び触媒反応、冷却、分離、及び再循環によって製造された脂肪酸及び脂肪酸誘導体が含まれる。反応材料は、大豆、パーム、ココナッツ、ヒマワリ、菜種、綿実、亜麻仁、トウゴマ、ピーナッツ、オリーブ、ベニバナ、マツヨイグサ、ルリジサ、カーボシード、動物の獣脂並びに油脂、動物グリース、及びそれらの混合物から誘導される油又は脂肪からなる群から選択される脂肪酸グリセリドを含む。米国特許第6,574,971号のプロセスによれば、反応混合物は、異なる融点を有する脂肪酸グリセリドの混合物であり、反応は、エステル交換反応であるか、反応混合物は水素を含み、反応は水素化であり、反応混合物は、脂肪酸グリセリドと単純アルコールとの混合物であり、反応は、アルコール分解反応である。
【0110】
追加の例示的なPCMは、以下の文書:米国特許第9,850,415号、同第9,914,865号、同第10,119,057号、及び同第10,745,604号に記載されており、これらのそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
図面の説明
【0112】
図1は、第1の壁130及び第2の壁140の2つの縁部(111、112)が取り付けられている1つの例示的な堆肥化可能な物品構造100を示す。図1では、物品100は、バッグとして構成されている。第1及び第2の縁部111、112は、直接取り付けられ、第1の壁130を第2の壁140と接合する。この図では、第1の壁130の外面131及び第2の壁140の内面142のみが見える。開口部150は、第1及び第2の壁130、140が取り付けられていない場合に存在する。この場合、底部120は、物品100を構成するシート材料の折り目によって画定される。
【0113】
図2は、第1の壁230及び第2の壁240の1つの縁部211のみが取り付けられている別の構造を示す。ここで、例示的な物品200は、バッグとしても構成されている。単一の縁部211は、第1及び第2の壁230、240の大部分に取り付き、それらを開口部250で取り付かないままにする。
【0114】
図3は、第1及び第2の壁330、340が取り付けられていない開口部350を残している間に、縁部311、312が第1及び第2の壁330、340に取り付くガセットの形態にある、例示的な包装物品300の構造を示す。
【0115】
図4A及び図4Bは、図4Aに示すように開位置と図4Bに示される閉位置との間で折り畳み可能であるフラップ460を含む包装物品400の別の例示的な構造を示す。開位置では、開口部450は覆われていないが、閉位置では、開口部450はフラップ460によって覆われている。
【0116】
接着剤部分501を有する例示的な包装物品500を図5に示す。この例では、包装物品500は、バッグ及び接着剤部分501が開口部550の上部近くに配置され、必要に応じて開口部550を閉じると形成される。
【0117】
2つの接着剤部分601及び602を有する例示的な包装物品600を図6に示す。この例では、包装物品600は、パウチとして形成され、接着剤部分601及び602は、開口部650を閉じるためにフラップ660上に配置される。
【0118】
図7は、第1の表面700a及び第2の表面700bを有する本出願による例示的な層状堆肥化可能な物品700を示す。堆肥化可能な物品700は、第1の堆肥化可能なポリマー層710、第2の堆肥化可能なポリマー層720、及び第3の堆肥化可能なポリマー層730を含む。示される例では、第1の堆肥化可能なポリマー層710及び第3の堆肥化可能なポリマー層730は、同じ組成を有する。いくつかの実施形態では、これらの2つの堆肥化可能なポリマー層は、PBS及び疎水剤を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第3の堆肥化可能なポリマー層は、堆肥化可能な組成物を第2の堆肥化可能なポリマー層上にコーティングすることによって調製された。いくつかの実施形態では、第2の堆肥化可能なポリマー層720は、第1及び/又は第3の堆肥化可能なポリマー層(710、730)とは異なる組成及び/又は異なる提示を有する。いくつかの実施形態では、第2の堆肥化可能なポリマー層720は、PLAを含む。いくつかの実施形態では、PLAは、スパンボンドされている。他の実施形態では、第2の堆肥化可能なポリマー層720は、PBSを含む不織ウェブを含む。接着剤層740は、堆肥化可能な物品700の第1の表面700a上に配置されている。いくつかの実施形態では、剥離層750は、接着剤層740の上に配置される。いくつかの実施形態では、剥離ライナー750は、シリコーンコーティングされたポリエステルフィルムを含む。
【0119】
図11は、本出願による例示的な堆肥化可能な物品の断面図である。堆肥化可能な物品1100は、第1の表面1120及びその反対側の第2の表面1130を有する生分解性ポリマー層1110を含む。一実施形態では、生分解性ポリマー層1110は、第1の堆肥化可能なポリマーと疎水剤とを含む。いくつかの実施形態では、第1の堆肥化可能なポリマーは、ポリブチレンサクシネート(PBS)であり、疎水剤は、堆肥化可能な疎水剤である。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー層1110は、第1の生分解性ポリマー及び第2の生分解性ポリマーを含み、第1の生分解性ポリマーは、第2の生分解性ポリマーとは異なる。図1に示す実施形態では、堆肥化可能な物品1100は、接着剤1140によって生分解性ポリマー層1110に固定された繊維層1150を含む。他の実施形態は、接着剤を含まない。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー層1110は、繊維層1150上に直接押し出される。他の実施形態では、生分解性ポリマー層1110及び繊維層1150は、熱積層されている。
【0120】
図12A図12Cは、本出願による例示的な堆肥化可能な物品の断面図である。図12Aの堆肥化可能な物品1200は、第1の表面1220を有する生分解性ポリマー層1210を含む。微細構造1260は、堆肥化可能な物品1200の第1の表面1220上に配置される。図12Bの堆肥化可能な物品1201では、微細構造1261は、第1の表面1221から突出し、生分解性ポリマー層1211と一体である。堆肥化可能な物品1202の微細構造1262は、ステム1263及びキャップ1264を含む。ステム1263は、キャップ1264と一体である。他の実施形態(図示せず)では、ステムは、キャップと一体ではない。
【0121】
図13に示される堆肥化可能な物品1300は、ポリマー層1310の第1の表面1320から延びる微細構造1360を有する生分解性ポリマー層1310を含む。不織布層1350は、接着剤1340によって生分解性ポリマー層1310の第2の表面に固定されている。
【0122】
図14に示される堆肥化可能な物品1400では、不織布層1450は、生分解性ポリマー層1410から延びる隣接する微細構造1460である。この実施形態では、不織布層1450及び微細構造1460は、取り付けシステムを形成する。図14に示される取り付けシステムの例示的な使用には、個人衛生用品(例えば、女性用衛生製品、失禁用製品、及びおむつ)が含まれる。おむつは、典型的には、トップシート、バックシート、及び吸収性コアを備える。おむつは、後部ウエストバンド、前部ウエストバンドセクション、及び中間クロッチセクションを更に備え、締結部品が、後部ウエストバンドセクションに横方向に適用される。締結タブは、使用中、おむつの対応する対向するランディングゾーンまで延びて、それに係合して、おむつを着用者の周りに固定する。例示的なおむつ構造は、米国特許第10,413,457号の図8に示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本開示の物品は、女性用衛生製品の包装として使用され得る。いくつかの実施形態では、これらの包装は、使用前に女性用衛生製品を包み込み、保護する剥離ライナーである。他の実施形態では、本出願の取り付けシステムは、剥離ライナーを女性用衛生製品に固定するために使用され得る。
【0123】
材料が疎水性及び効果的な液体バリアと見なされるために、それらは少なくとも90°の前進水接触角測定値によって示される疎水性を必要とする。一態様では、本明細書に記載される堆肥化可能な物品及び組成物は、少なくとも95°の前進水接触角測定値を示す。いくつかの実施形態では、本堆肥化可能な組成物は、120°、125°、及び135°の水接触角測定値を示す。材料の液体バリア特性の別の尺度は、ASTM F1249-13、「Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor」に記載されるように測定されたその水蒸気透過率(WVTR)である。
【実施例
【0124】
本発明の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に説明するが、これらの実施例において述べられる特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない、本開示の予測可能な修正及び変更は、当業者にとって自明であろう。全ての部及び百分率は、別段の指示のない限り、重量に基づく。
【0125】
別段の記載がない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量基準である。以下の略語を使用することができる:m=メートル、cm=センチメートル、mm=ミリメートル、μm=マイクロメートル、ft=feet、in=inch、RPM=毎分回転数、g=グラム、mg=ミリグラム、kg=キログラム、oz=オンス、lb=ポンド、mL=ミリリットル、L=リットル、Pa=パスカル、kPa=キロパスカル、sec=秒、min=分、hr=時、psi=ポンド/平方インチ、℃=摂氏度、°F=華氏度、及びphr=樹脂100部当たりの部(重量)。「重量%(weight %)」、「重量%(% by weight)」、及び「重量%(wt%)」という用語は区別なく使用される。
【0126】
材料
【0127】
【表1】
【0128】
試験方法
【0129】
伸び率パーセント、破断応力及びヤング率:以下に記載されるように調製された実施例及び比較例の堆肥化可能な組成物を、Engel 100TL Tonプレスを使用して射出成形して、「ドッグボーン」試験片を製造し、試験した。試験片の薄部分は、厚さ0.125インチ(3.1mm)、長さ2.50インチ(12.7mm)、幅0.50インチ(12.7mm)の測定値を有した。試験片を120°F(49℃)及び65%相対湿度で2週間風化させ、試験前に、73.1°F(22.8℃)及び50%相対湿度で少なくとも12時間平衡化させた。電気機械的ユニバーサル試験システム(MTS Systems Corporation,Eden Prairie,MN,USAから商品名「MTS CRITERION MODEL 43」で入手)を使用して、一定速度の伸長で試験片の引張特性を測定した。ロードフレームには、10kNのロードセルを備え及び機械的ウェッジグリップ(MTS Systems Corporation,Eden Prairie,MN,USAから商品名「MTS ADVANTAGE」部品番号056-079-501で入手)を使用して、試験片を固定した。グリップ間のギャップを2.5インチ(63.5mm)に調整し、試験速度を0.2インチ/分で行った。各読み取りの前にグリップ内に試験片がない状態で、ロードセルをゼロにした。試験片が試験場で破断すると、ロードセルは垂直移動を停止する。試験前に試料の中心に試験片の実際の厚さを記録するために、厚さゲージを使用した。試験が行われた部屋を、73.1±2°F及び50±2%RHに温度制御した。各試験について、以下の、伸び率%、破断応力(「psi」)及びヤング率(「ksi」)を報告した。ヤング率は、応力-ひずみ曲線の初期線形領域における応力対ひずみの比として計算された。
【0130】
他の試験方法:例示的な物品を特徴付けるために使用された追加の試験方法を、以下の表2に要約する。摩擦係数試験については、調製手順に記載されているように、パウチの外側を形成する試料の側を、鋼表面に対して試験した。引張特性については、試料幅は、パッドなし材料では、0.5インチ(1.2cm)、パッド付材料では1インチ(2.5cm)であった。試料を、制御された温度及び湿度の室内で一晩調整し、10インチ/分(25cm/分)の引張速度を使用した。試料を縦方向(MD)及びクロスウェブ(横方向)方向(CD)の両方で試験した。滑りは、表面の均一なスライド中の平均力読み取り値として決定し、動摩擦係数は、滑りをスレッド重量(200g)で割ったものとして計算した。
【0131】
【表2】
【0132】
堆肥化可能なフィルム及びパウチの実施例
【0133】
実施例1~26の堆肥化可能なフィルム及びパウチの調製を以下に記載する。
【0134】
PLAウェブの生成
【0135】
不織繊維層を、以下の手順に従って、INGEO Biopolymer 6202Dから製造し、全ての実施例における多層複合材料を、米国特許第3,802,817号に開示されている一般的な方法に従って調製し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。具体的には、スパンボンドウェブを形成するために使用された装置は、第1のステーション及び第2のステーションを含み、第1のステーションは、第1の不織布層を作成するために使用され、第2のステーションは、第2の不織布層を作成するために使用される。各ステーションは、少なくとも1つの押出ヘッド、減衰器及びクエンチング流を含み、両方のステーションがコレクタ表面を共有する。第1のステーションは、第2のステーションの上流に位置付けられ、第1のステーションで製造されたフィラメントは、最初にコレクタ表面に到達し、コレクタ表面上の第1の繊維塊を形成する。したがって、第2のステーションからのフィラメントは、第1の繊維塊の表面上に堆積され、その上に第2の繊維塊を形成する。
【0136】
繊維形成材料は、押出機で溶融され、規則的なパターン、例えば、直線の列で配置された複数のオリフィスを含む押出ヘッドにポンプ輸送される。繊維形成液体のフィラメントは、押出ヘッドから押し出され、空気充填空間を通して減衰器に搬送され得る。フィラメントは、コア/シース構成のように意図的に表示されている。この構成は、材料の2つの層(コアとシース)との間に境界が存在するため、コア及びシースが同じ材料で製造されても持続する。空気のクエンチング流は、押出フィラメントに向けられ、空気は、押出フィラメントの温度を低下させるか、又は部分的に固化することができる。
【0137】
フィラメントは、減衰器を通過し、次いで、一般にフラットなコレクタ表面上に堆積され、そこで第1の繊維塊として収集される。減衰器を通過するフィラメントは、第1の繊維塊又はウェブの表面上に堆積される。
【0138】
コレクタは、一般に多孔質であり、ガス離脱(真空)デバイスは、コレクタ上への繊維の堆積(多孔性、例えば、コレクタの比較的小規模な多孔性は、コレクタが上記で定義されたように一般にフラットであるという事実を変化させない)を支援するためにコレクタの下に配置される。
【0139】
上記の装置に関して、繊維層は以下のように製造される。ステップ1では、PLA/PLA(使用された全てのPLAは、INGEO Biopolymer 6202Dの商品名で入手した)シース/コアフィラメントを200℃~230℃(シース)及び230℃(コア)の温度で押し出し、次いで10℃の急冷空気及びゾーン1では23m/分の流量で、及びゾーン2では23m/分の流量で引かれ、PLA/PLAスパンボンド第1の複合層を形成した。PLA単成分フィラメントを230℃で押し出し、次いで15℃で急冷空気及び12m/分の流量で引かれ、第1の複合層上に置くために、二層ウェブを形成する。次いで、二層ウェブに、スルーエア接合ステーションを通過させ(すなわち、自己接合させ)、100℃~125℃~130℃の熱風を二層ウェブ上に吹き付けて、二層ウェブを熱的に接合した。所望の坪量を得るために、必要に応じてウェブ速度を調整した。より速いウェブ速度でより低い坪量が得られる:より高い坪量は、より高いウェブ速度で得られる。
【0140】
以下の坪量を有するPLAウェブを、上記の装置及び手順を使用して製造した。
【0141】
調製例1a:坪量25g/m
【0142】
調製例1b:坪量45g/m
【0143】
調製例1c:坪量80g/m
【0144】
調製例1d:坪量30g/m
【0145】
ウェブコーティングプロセス
【0146】
686mmのデッケル:0mm~1mmの調節可能なダイリップを備えた760mmのドロップダイ(Cloeren,Orange,TX,USAから入手)につながる加熱ホース(260℃)、単層フィードブロックシステムを備えた、260℃の押出温度で操作される、58ミリメートル(mm)の二軸スクリュー押出機(Davis-Standard,Pawcatuck,CT,USAから商品名「DTEX58」で入手)を使用して、コーティング材料を溶融押出することによって、ウェブをコーティングした。固体コーティング材料を、上記の条件で、50ポンド/時(22.7kg/時)の速度で二軸スクリューシステムに供給した。得られた溶融樹脂は、ダイを出て、ウェブ上に鋳造されたときに薄いシートを形成した。表面粗さを、キャストフィルム側に対するスリーブ(American Roller,Union Grove,WI,USA)を使用することによって75の粗さ平均に設定し、シリコーンゴムニップロール(American Rollerからの80~85デュロメーター)は、スパンボンド側にあった。層状複合材を、所望のコーティング厚さを提供するように調整されたライン速度で、約70KPaのニップ力で2つのニップロール間でプレスした。
【0147】
実施例2~25の調製
【0148】
実施例2
【0149】
調製例1aからのウェブの長さ900mを、BIOPBS FD72で底部に25μmのコーティング厚にコーティングした。ウェブを半分に切断し、一方の半分(長さ450m)はこの実施例の生成物であり、他方の半分を実施例5で使用した。
【0150】
実施例3
【0151】
調製例1bからのウェブの長さ900mを、BIOPBS FD72で底部に25μmのコーティング厚にコーティングした。ウェブを半分に切断し、一方の半分(長さ450m)はこの実施例の生成物であり、他方の半分を実施例6で使用した。
【0152】
実施例4
【0153】
調製例1cからのウェブの長さ900mを、BIOPBS FD72で底部にコーティングした。ウェブを半分に切断し、一方の半分(長さ450m)はこの実施例の生成物であり、他方の半分を実施例7で使用した。
【0154】
実施例5
【0155】
実施例2のウェブを半分(2つの450m長)に切断した。マット仕上げのためのニップロールセットを使用して、半分の一方の上部を99.5%のBIOPBS FZ71及び0.5%のPLAM 69962でコーティングした。コーティング厚さは25μmであった。
【0156】
実施例6
【0157】
実施例3のウェブを半分(2つの450m長)に切断した。マット仕上げのためのニップロールセットを使用して、半分の一方の上部をBIOPBS FZ71及び0.5%のPLAM 69962でコーティングした。コーティング厚さは25μmであった。
【0158】
実施例7
【0159】
実施例4のウェブを半分(2つの450m長)に切断した。マット仕上げのためのニップロールセットを使用して、半分の一方の上部をBIOPBS FZ71及び0.5%のPLAM 69962でコーティングした。コーティング厚さは25μmであった。
【0160】
実施例8
【0161】
調製例1bによって調製されたウェブの上部を、80%のBIOPBS FZ71、0.5%のPLAM 69962、及び19.5%の95%のBIOPBS FZ71と5%のCASTORWAXとの混合物の組成物でコーティングした。
【0162】
実施例9
【0163】
実施例2によって調製されたウェブの上部を、80%のBIOPBS FZ71、0.5%のPLAM 69962、及び19.5%の95%のBIOPBS FZ71と5%のCASTORWAXとの混合物の組成物でコーティングした。
【0164】
実施例10
【0165】
従来の押出コーティングラインを使用して、PBSを両面コーティングした40#クラフト紙(Uline)を製造した。トップコートは、80%のBIOPBS FZ71、0.5%のPLAM 69962、及び19.5%の、95%BIOPBS FZ71と5%CASTORWAXとの混合物の組成を有していた。ボトムコートは、25μmのコーティング厚さにBIOPBS FD72を有する。
【0166】
実施例11
【0167】
調製例1dのウェブを、提供された条件で、固体コーティング材料を200ポンド/時(90.7kg/時)の速度で二軸スクリューシステムに供給したことを除いて、上記のウェブコーティング手順を使用してコーティング材料を溶融押出することによって、両側にコーティングした。
【0168】
上側のコーティングは、99%のBIOPBS FZ71及び1%のPLAM 69962の組成の75マイクロメートル(μm)までのコーティング厚さであり、底部側のコーティングは、95%のPBS FD72、4%のOM0364246、及び1%のOM9364251の組成の75μmのコーティング厚さであった。
【0169】
ウェブを、自動ウィケットバッグ機モデルM2106WASP-25(Hudson-Sharp,Green Bay,WI,USA)を使用してパウチに製造した。この機械は、底部のコーティングされた層がパウチの内側になるように、2つの底部のコーティングされた層が互いに向かい合ってウェブを折り畳んだ。ウェブを中心線から約15.2cm(6インチ)に折り畳み、約15.2cm(6インチ)のフラップを残した。
【0170】
ホットメルト感圧接着剤HM6422PIの2つのストリップ(約19.05mm又は0.75インチ)をフラップ上に押し出し、PP701.2金属化剥離ライナーをホットメルトPSAの1つのストリップの上に固定し、PET剥離ライナーをホットメルトPSAの他のストリップの上に固定した。次いで、個々のパウチを、ホットナイフのスリッティング操作を使用して、側縁部を切断及び密封することによって形成した。
【0171】
実施例12
【0172】
実施例12は、以下の違いを除いて、実施例11と同じであった。
【0173】
ウェブコーティングプロセス中に、固体コーティング材料を、50ポンド/時(22.7kg/時)の速度で二軸スクリューシステムに供給した。
【0174】
上側及び底側の両方のコーティング厚さは、37μmであった。両方のコーティングの組成は、実施例11で使用された対応するコーティングと同一であった。
【0175】
実施例13A及び13B
【0176】
実施例12のように、第1のPLAウェブを調製し、コーティングした。第2のPLAウェブを以下のように調製した。95%のBIOPBS FZ71及び5%のCASTORWAXのマスターバッチを、複数のオリフィスを通して流れる溶融ポリマーとして使用した。95%のBIOPBS FZ91と共に、5%の水素化ヒマシ油をシースとしてLUMINY L130をコア、3デニール、31mmとして使用して、国際公開第1999/051799号に記載される方法に従って、ステープル繊維を製造した。繊維を溶融フィラメント(繊維)の流れに対して垂直な角度に向けて不織布繊維層として収集した。
【0177】
第1のPLAウェブを第2のPLAウェブの上に積み重ね、第1のPLAウェブの底部側を第2のPLAウェブと接触させた。次いで、2つのウェブを、11.4cm×15.2cm(4.5”×6”)のアルミニウムブロックホーンを備えたBranson AED機械及び1:1.5のブースターを使用して、超音波溶接によって一緒に封止した。溶接法はエネルギーによるものであった。溶接値は、7.62cm(3インチ)の円で552kPa(80psi)の圧力で700Jであった。振幅を100%に設定し、45.4kg(100lb)にトリガーし、保持時間は1秒であった。
【0178】
実施例13Aでは、アンビルが38mm(1.5インチ)の円形ドットパターンの6つのキャビティを含み、1つの円当たり36個の点(各々1.5mm(0.061インチ))を有する。実施例13Bでは、アンビルがネストされた六角形パターンであった。六角形は、1つの角から対向する角まで20mmのネストされた六角形パターンであり、厚さ1mmの壁を有し、5mm離間していた。実施例13A及び13Bのパウチを、手動インパルスシーラー、モデルH-458(Uline,Pleasant Prairie,WI,USA)を使用することによって形成した。ウェブは、中心線から離れて折り畳み、フラップを残し、第2のPLAウェブが内側に面している。縁部をインパルスシーラーによって熱封止し、切断して最終パウチを作成した。
【0179】
図8は、実施例13A(円形ドットパターン)の写真である。図9は、実施例13B(六角形パターン)の写真である。
【0180】
実施例14A及び14B
【0181】
実施例14A及び14Bは、超音波溶接ステップの前に、第3のスパンボンドPLAウェブ(調製例1d)が実施例13A及び13Bの第1のPLAウェブと第2のPLAウェブとの間に配置されたことを除いて、それぞれ実施例13A及び13Bと同様である。
【0182】
実施例15
【0183】
実施例13A及び13Bの第2のPLAウェブについて記載したように、PLAウェブを調製した。30#クラフト紙の2つの片を、20μmの厚さのコーティングのBIOPBS FD92の一方の側に熱積層した。クラフト紙のコーティングがPLAウェブに面するように、PLAウェブを2つのクラフト紙の間に配置した。
【0184】
実施例13Aの超音波溶接及びインパルスシール法によって、パウチを製造した。
【0185】
実施例16
【0186】
上記で提供されたウェブコーティング手順を使用して、スパンボンド第1のPLAウェブ(調製例1a)を、99%のBIOPBS FZ71と1%のPLAM 69962との混合物で、37μmの厚さに上部側にコーティングし、BIOPBS FZ71を用いて、37μmの厚さに底部側にコーティングした。次いで、コーティングされたPLAウェブを、米国特許第5256231号に記載の方法を使用してエンボス加工し、その中で、35.6(14インチ)幅のウェブをダイヤモンドパターン化ツールに供給して、3D構造を形成した。
【0187】
エンボス加工されていないことを除いて、エンボス加工された第1のPLAウェブ層と同一であった第2の滑らかなPLAウェブを、次いでエンボス加工されたコーティングウェブに熱積層して、2層ウェブを形成した。エンボス加工されたPLAウェブの上側が滑らかなPLAウェブの底部側に積層されるように、ウェブを積層した。
【0188】
2層ウェブを、実施例13Aに記載されるインパルスシール法を使用して、メーラーの内側にエンボス加工されたPLAウェブがあり、メーラーの外側に滑らかなPLAウェブがあるようにパウチに変換した。
【0189】
実施例17
【0190】
エンボス加工されたPLAウェブを、実施例16に記載される通りに製造した。エンボス加工されたPLAウェブを、PLAウェブの上側がクラフト紙と接触するように、30#クラフト紙Style S-3575の層に熱積層した。得られた材料を、実施例13A及び13Bに記載のインパルスシール法によって、パウチの内側にエンボス加工されたPLAウェブがあり、パウチの外側にクラフト紙があるように、パウチに製造した。
【0191】
実施例18
【0192】
30#クラフト紙を、BIOPBS FZ71で、一方の側に25μmの厚さにコーティングした。コーティングされたクラフト紙を、実施例16に記載のプロセスに従ってエンボス加工した。次いで、コーティングされたクラフト紙のコーティングされた層が、コーティングされていないクラフト紙と接触して、2層材料を形成するように、コーティングされたクラフト紙を別のコーティングされていない30#クラフト紙に熱積層した。2層材料を、実施例13Aに記載のインパルスシール法を使用して、パウチに製造した。
【0193】
実施例19
【0194】
上記で提供されたウェブコーティング手順を使用して、スパンボンドPLA繊維層(調製例1a)を、98%のBIOPBS FZ71、0.7%のOMB8264260、及び1.3%OM0364246の組成で25μmの厚さで上部にコーティングし、及び98%のBIOPBS FZ71、1%のOM0364246、及び1%のOM9364251で25μmの厚さで、底部にコーティングした。フラップ上のPSA及び剥離ライナーの配置を含む、実施例11に記載のプロセスを使用して、ウェブをパウチに変換した。
【0195】
実施例20
【0196】
スパンボンドPLA繊維層(調製例1b)を、実施例19に記載の方法によってコーティングし、パウチに変換した。
【0197】
実施例21
【0198】
45g/mの坪量を有するスパンボンドPLA繊維層を、ウェブを98.5%のINGEO 602Dと1.5%のPPM56090との混合物から製造したことを除いて、実施例19の方法に従って製造した。実施例19に記載の方法によって、ウェブをコーティングし、パウチに変換した。
【0199】
実施例22
【0200】
調製例1aの第1のPLAウェブを、上記のウェブコーティング手順を使用してコーティングした:上側を90%のBIOPBS FZ71と10%のPLAM 69962との混合物で37μmの厚さにコーティングし、底部側を90%のBIOPBS FZ71と5%のOM0364246と5%のOM9364251との混合物で37μmの厚さにコーティングした。
【0201】
次いで、第1のコーティングされたPLAウェブを、米国特許第5256231号に記載の方法を使用してエンボス加工し、その中で、35.6(14インチ)幅のウェブをダイヤモンドパターン化ツールに供給して、3D構造を形成した。
【0202】
エンボス加工されていないことを除いて、エンボス加工された第1のPLA層と同一であった第2のPLAウェブを、次いでエンボス加工されたコーティングウェブに熱積層して、2層ウェブを形成した。エンボス加工されたPLAウェブの上側が滑らかなPLAウェブの底部側に積層されるように、ウェブを積層した。
【0203】
2層ウェブを、実施例13Aに記載されるインパルスシール法を使用して、メーラーの内側にエンボス加工されたPLAウェブがあり、メーラーの外側に滑らかなPLAウェブがあるように、パウチに変換した。
【0204】
実施例23
【0205】
エンボス加工されたPLAウェブを、実施例22に従って製造した後、PLAウェブの上側がクラフト紙と接触するように、ウェブを30#クラフト紙Style S-3575の層に熱積層した。得られた材料を、実施例13Aに記載のインパルスシール法によって、パウチの内側にエンボス加工されたPLAウェブがあり、パウチの外側にクラフト紙があるように、パウチに製造した。
【0206】
図10はこの実施例のパウチの写真である。
【0207】
実施例24
【0208】
実施例24Aでは、上記のウェブコーティング手順を使用して、スパンボンドPLA繊維層(調製例1a)を、98%のBIOPBS FZ71、0.7%のOMB8264260、及び1.3%のOM0364246の組成で上部に25μmの厚さにコーティングし、98%のBIOPBS FZ71、1%のOM0364246、及び1%のOM9364251で25μmの厚さに底部にコーティングした。フラットチューブは、材料を折り畳み、SEAMMASTER LM920 Ultrasonic Welder(SONOBOND,West Chester,PA,US)を使用して、2インチ(5.0cm)のホーン、1:1.5のブースター、50%の振幅、3列のステッチパターン、50psi(345kPa)、0.75インチ(1.9cm)の直径のシリンダー、及び15フィート/分(4.6m/分)の速度を使用して連続的に縁部を封止することによって製造した。実施例24Bについては、エンボス加工されたPLAウェブを、実施例22について記載されたように調製し、チューブを実施例24Aについて使用された同じ連続超音波方法を使用して製造した。
【0209】
実施例24A及び24Bの圧延管を、ROLLBAG 3200バギング機(PAC Machinery,San Rafael,CA,US)に供給して、フラットな(24A)及びパッド付き(24B)包装物品を製造した。
【0210】
実施例25
【0211】
実施例25Aについては、上記のウェブコーティング手順を使用して、スパンボンドPLA繊維層(調製例1b)を、98%のBIOPBS FZ71、0.7%のOMB8264260、及び1.3%のOM0364246の組成で上部に25μmの厚さにコーティングし、98%のBIOPBS FZ71、1%のOM0364246、及び1%のOM9364251で25μmの厚さに底部にコーティングした。実施例25Bについては、エンボス加工されたPLAウェブを、実施例22について記載されたように調製した。
【0212】
個々のフラットな(実施例25A)及びパッド付き(実施例25B)の包装パウチを、各材料を折り畳み、14”×0.25”(36cm×0.64cm)のチタンホーン、1:1.5のブースター、75%の振幅、14”×0.25”(36cm×0.64cm)のローレットパターンを有するアンビル、250lb(113kg)のトリガー、3インチ(7.6cm)の直径のシリンダーに対する60psi(414kPa)の圧力、及び0.30秒の保持時間で、Branson AED Ultrasonic Welder(Emerson Automation Solutions,St.Louis,MN,US)を使用する超音波プランジ溶接によって側縁部を封止することによって製造した。
【0213】
実施例26
【0214】
フラットなパウチ及びパッド付パウチを、実施例25A及び25Bに記載したように製造した。ホットメルト感圧接着剤の1つのストリップ(約19.05mm又は0.75インチ)。接着剤をシリコーンコーティングされた紙剥離ライナー上に押し出し、次いで、スリットして接着剤ストリップを製造した。ストリップを、フラットメーラーのフラップの上部及びパッド付きメーラーのリップに固定した。
【0215】
実施例1~26に記載されるように調製された包装物品を、上記の試験方法を使用して試験した。結果を以下の表3に報告する。
【0216】
【表3】
【0217】
比較例及び堆肥化可能な組成物の実施例
【0218】
実施例I~XIIIの堆肥化可能な組成物及び比較組成物CI~CIIIを、以下に記載されるように調製した。
【0219】
ポリブチレンサクシネート(「PBS」)及びポリ乳酸(「PLA」)樹脂を、処理前に、可動式乾燥ドライヤーシステム(Conair Group,Inc.,Abbotsford,Canadaから商品名「Model MDCW015」で入手)で、170°F(77℃)の温度で最低4時間及び最大12時間乾燥させて、残留水分を除去した。材料は、表4に示すように、各実施例についての重量パーセント(「重量%」)比で計量した。30のL/D比を有する30mmの二軸スクリュー押出機(「TSE」)(APV、現在Baker Perkins,Inc.,Grand Rapids,MI,USAの一部から商品名「MP2030」で入手)を使用して、以下のように材料を配合した。PBS及びPLAを、重量スクリューフィーダー(Coperion,GmbH,Stuttgart,Germanyから商品名「K-TRON T20」で入手)を使用して、所望の比率でTSEの供給口に計量した。サイドスタッフィングフィーダー(Coperion,GmbH,Stuttgart,Germanyから商品名「K-TRON T20」で入手)を、およそ18のL/DのTSEのゾーン6で利用し、ここでは、疎水剤(例えば、CASTORWAX、EBS)及び/又は充填剤(すなわち、タルク、CaCO)を使用時に導入した。疎水剤及び無機充填剤を使用した場合、ポリマー供給物に添加する前に、それらを所望の比率でプレブレンドした。これらの材料ブレンドは、重量スクリューフィーダー(Coperion,GmbH,Stuttgart,Germanyから商品名「K-TRON T20」で入手)を使用して計量した。TSEの排出終了時に、単一の穴ストランドダイを使用して、排出溶融物を押し出した。加工鋼の温度は、ゾーン1で周囲温度(例えば、20℃~25℃)、ゾーン2で300°F(149℃)、及びゾーン3からダイまで350°F(177℃)であった。スループットは、250RPMのスクリュー速度で合計15lb/時(6.8kg/時)であった。各実施例についてのTSEからの押出物を、55°F(13℃)に冷却された6フィート(1.8m)の水浴を通して、ローレット付きニップロールを介して引っ張り、回転切断刃を使用してペレット化した。
【0220】
【表4】
【0221】
堆肥化可能な組成物の実施例I~XIII及び比較例CI~CIIIの機械的特性を、上記のように試験した。結果を以下の表5に報告する。
【0222】
【表5】
【0223】
堆肥化可能な物品の実施例
【0224】
比較例A(CEA):
【0225】
686mmのデッケル:0mm~1mmの調節可能なダイリップを備えた760mmのドロップダイ(Cloeren,Orange,TXから入手)につながる加熱ホース(260℃)、単層フィードブロックシステムを備えた、260℃の押出温度で操作される、58ミリメートル(mm)の二軸スクリュー押出機(Davis-Standard,Pawcatuck,CTから商品名「DTEX58」で入手)を使用して、比較例Aを調製した。ポリブチレンサクシネート(BioPBS FZ71)樹脂を、上記の条件で、50ポンド/時間(22.7キログラム/時間)の速度で二軸スクリューシステムに供給した。得られた溶融樹脂は、ダイを出たときに薄いシートを形成し、プラズマコーティングされた鋳造ロール(75の粗さ平均、American Roller,Union Grove,WIから入手)及びシリコンゴムニップロール(American Rollerからの80~85デュロメータ)からなるニップアセンブリで鋳造した。キャストフィルムを、2つのニップロール間で約70キロパスカル(KPa)のニップ力で、23メートル/分のライン速度でプレスし、最終的に3インチのボール紙コアに巻き付けた。比較例Aのフィルムは、50~75ミクロンの厚さを有した。
【0226】
比較例B(CEB):
【0227】
比較例Bを、ステム及びキャップを有する微細構造を比較例Aのフィルムに付与することによって調製した。溶融PBS薄いシートは、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,679,302号の実施例に概ね記載されているように、キャビティを有する回転金型に流し込んだ。微細構造の密度は、2200個の微細構造/インチ(341個の微細構造/cm)であった。各微細構造の高さは10ミル(0.25mm)であり、ウェブバッキングの厚さは3.2ミル(80ミクロン)であった。キャップは概ね円形であり、約0.27mmの直径を有した。微細構造フィルムを固化し、キャビティ寸法に従って直立微細構造のアレイを有するウェブとして金型から外した。
【0228】
比較例C(CEC):
【0229】
商品名「ZIPLOC」で入手した食品セーバーバッグを、試験に使用されるフィルムの外側に面した側を用いて3インチ×3インチの正方形の材料に切断した。この材料は、以下、比較例Cと称される。
【0230】
比較例D(CED):
【0231】
白色テフロンテープを、Grainger,Lake Forest,ILから、「1/2”W PTFE THREAD SAMPLE TAPE,WHITE,260”LENGTH」の説明書きと共に「ITEM#21TF19」の商品名で入手した。この材料は、以下、比較例Dと称される。
【0232】
実施例E(EX1):
【0233】
実施例Eを、押出前に、1重量%のCASTORWAXをBioPBS FZ71樹脂と混合したことを除いて、比較例Aに記載されるように調製した。
【0234】
実施例F(EX2):
【0235】
実施例Fを、比較例Bに記載の方法に従ってフィルム上に微細構造を追加的に付与したことを除いて、実施例Eに記載されるように調製した。
【0236】
前述の試験方法に従って、前進水接触角測定値及び水蒸気透過率値を得た。結果を以下の表6に報告する。
【0237】
【表6】
【0238】
本開示による実施例は、驚くほど高い前進水接触角を示し、これは、それらを有効な液体バリアにするか、又は耐湿性及び耐候性にする。したがって、本開示による堆肥化可能な組成物は、例えば、包装材及び個人衛生用品などの用途において有用である。
【0239】
用いた用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用したものであり、そのような用語及び表現を使用する際、図示及び記載する特徴又はその一部分の均等物を除外する意図はなく、本開示の実施形態の範囲内で様々な修正形態が可能であることが理解される。したがって、特定の実施形態及び任意の特徴によって、本開示を具体的に開示したが、本明細書に開示する概念の修正形態及び変形形態を、当業者であれば用いることができ、そのような修正形態及び変形形態は、本開示の実施形態の範囲内であると見なされることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14