(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品実装装置ならびに実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
H05K13/02 D
(21)【出願番号】P 2019026598
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 道明
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-012526(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087440(WO,A1)
【文献】特開2008-010594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイの上に配置された少なくとも第1の部品と前記第1の部品と
外縁形状が異なる第2の部品を含むパターンを示すパターンデータに基づいて、
複数の前記パターンが前記トレイの上で所定の間隔に配置されるように前記パターンデータを展開して、前記トレイの上に配置された
前記複数のパターンに含まれる複数の前記第1の部品と複数の前記第2の部品の位置を示すトレイデータを作成するトレイデータ作成手段と、
前記トレイデータ作成手段によって作成された前記トレイデータが示す前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品の位置に基づいて、前記トレイから前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品のうちの少なくとも1つの部品を取り出して基板に実装する実装手段と、を備えた、部品実装システム。
【請求項2】
前記トレイデータの各パターンは、前記トレイの上で互いに重ならない仮想的な矩形状の領域の内に収まる、請求項1の部品実装システム。
【請求項3】
前記パターンにおいて、前記第1の部品の外縁と前記第2の部品の外縁は、線対称の関係にある、請求項
1に記載の部品実装システム。
【請求項4】
トレイの上に配置された少なくとも第1の部品と前記第1の部品と
外縁形状が異なる第2の部品を含むパターンを示すパターンデータに基づいて、
複数の前記パターンが前記トレイの上で所定の間隔に配置されるように前記パターンデータを展開して作成された、前記トレイの上に配置された
前記複数のパターンに含まれる複数の前記第1の部品と複数の前記第2の部品の位置を示すトレイデータが示す前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品の位置に基づいて、前記トレイから前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品のうちの少なくとも1つの部品を取り出して基板に実装する、部品実装装置。
【請求項5】
トレイの上に配置された少なくとも第1の部品と前記第1の部品と
外縁形状が異なる第2の部品を含むパターンを示すパターンデータを作成するパターンデータ作成工程と、
複数の前記パターンが前記トレイの上で所定の間隔に配置されるように前記パターンデータを展開して、前記トレイの上に配置された
前記複数のパターンに含まれる複数の前記第1の部品と複数の前記第2の部品の位置を示すトレイデータを作成するトレイデータ作成工程と、
作成された前記トレイデータが示す前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品の位置に基づいて、前記トレイから前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品のうちの少なくとも1つの部品を取り出して基板に実装する実装工程と、を含む、実装基板の製造方法。
【請求項6】
前記パターンデータ作成工程において、前記パターンが仮想的な矩形状の領域の内に収まるように前記パターンデータを作成し、
前記トレイデータ作成工程において、前記領域が互いに重ならないように前記トレイの上に前記領域を所定の間隔に配置して前記トレイデータを作成する、請求項
5に記載の実装基板の製造方法。
【請求項7】
前記パターンデータ作成工程において、前記第1の部品の外縁と前記第2の部品の外縁が線対称の関係になるようにパターンデータを作成する、請求項
5に記載の実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに配置された部品を基板に実装する部品実装システムおよび部品実装装置ならびに実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装した実装基板を製造する部品実装装置では、サイズの大きな大型部品やコネクタなど複雑な形状をした異形部品は、トレイに配置した状態で供給される(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の部品実装装置は、異形部品を収納する凹部が方向を揃えて等間隔に形成されたトレイの凹部に異形部品を格納して部品実装装置に異形部品を供給している。トレイに配置する異形部品の向きを揃えることで、部品実装装置における実装作業を単純化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、トレイに向きを揃えて等間隔に部品を配置しているため、単純な矩形でない異形部品の場合は部品間の隙間が大きくなってトレイに配置可能な部品数が少なくなり、トレイの交換作業が増加して実装基板の生産効率が低下するという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、複雑な形状の部品を実装した実装基板を効率良く生産することができる部品実装システムおよび部品実装装置ならびに実装基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装システムは、トレイの上に配置された少なくとも第1の部品と前記第1の部品と外縁形状が異なる第2の部品を含むパターンを示すパターンデータに基づいて、複数の前記パターンが前記トレイの上で所定の間隔に配置されるように前記パターンデータを展開して、前記トレイの上に配置された前記複数のパターンに含まれる複数の前記第1の部品と複数の前記第2の部品の位置を示すトレイデータを作成するトレイデータ作成手段と、前記トレイデータ作成手段によって作成された前記トレイデータが示す前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品の位置に基づいて、前記トレイから前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品のうちの少なくとも1つの部品を取り出して基板に実装する実装手段と、を備えた。
【0007】
本発明の部品実装装置は、トレイの上に配置された少なくとも第1の部品と前記第1の部品と外縁形状が異なる第2の部品を含むパターンを示すパターンデータに基づいて、複数の前記パターンが前記トレイの上で所定の間隔に配置されるように前記パターンデータを展開して作成された、前記トレイの上に配置された前記複数のパターンに含まれる複数の前記第1の部品と複数の前記第2の部品の位置を示すトレイデータが示す前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品の位置に基づいて、前記トレイから前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品のうちの少なくとも1つの部品を取り出して基板に実装する。
【0008】
本発明の実装基板の製造方法は、トレイの上に配置された少なくとも第1の部品と前記第1の部品と外縁形状が異なる第2の部品を含むパターンを示すパターンデータを作成するパターンデータ作成工程と、複数の前記パターンが前記トレイの上で所定の間隔に配置されるように前記パターンデータを展開して、前記トレイの上に配置された前記複数のパターンに含まれる複数の前記第1の部品と複数の前記第2の部品の位置を示すトレイデータを作成するトレイデータ作成工程と、作成された前記トレイデータが示す前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品の位置に基づいて、前記トレイから前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品のうちの少なくとも1つの部品を取り出して基板に実装する実装工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複雑な形状の部品を実装した実装基板を効率良く生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成を示すブロック図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置に部品を供給するトレイの一例の説明図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用されるトレイデータの導出の説明図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用されるパターンデータの一例の説明図
【
図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用される仮想領域データの一例の説明図
【
図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用されるトレイデータの一例の説明図
【
図9】本発明の一実施の形態の部品実装装置に部品を供給する他のトレイの一例の説明図
【
図10】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用される他のトレイのトレイデータの導出の説明図
【
図11】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用される他のトレイのパターンデータの一例の説明図
【
図12】本発明の一実施の形態の部品実装装置で使用される他のトレイのトレイデータの一例の説明図
【
図13】本発明の一実施の形態の実装基板の製造方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装装置、トレイの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図2における上下方向)が示される。
【0012】
まず
図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を実装して実装基板を製造する機能を有している。部品実装システム1は、複数の部品実装装置M1,M2を連結して構成されている。部品実装装置M1,M2は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。管理コンピュータ3は、部品実装システム1による実装基板の製造を統合管理する他、部品実装装置M1,M2で使用される各種パラメータなどを作成する。なお、部品実装システム1が備える部品実装装置M1,M2は2台に限定されることなく、1台でも、3台以上であってもよい。
【0013】
次に
図2を参照して、部品実装装置M1の構成を説明する。部品実装装置M1,M2の構成を説明する。部品実装装置M1、部品実装装置M2は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M1について説明する。部品実装装置M1において、基台4の中央には、基板搬送機構5がX方向に設置されている。基板搬送機構5は、上流側から搬入された基板6をX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品搭載作業が完了した基板6を下流側に搬出する。基板搬送機構5の両側方には、それぞれ部品供給部7が設置されている。
【0014】
両方の部品供給部7には、複数のテープフィーダ8がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ8は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部7の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。また、一方の部品供給部7には、大型部品やコネクタなどの異形部品などの部品Dを整列して保持するトレイ9を部品取出し位置に供給するトレイフィーダ10が装着されている。トレイ9には、部品Dの形状に合わせて形成された凹状の格納部9a(
図4参照)が所定の間隔で形成されており、各格納部9aの中に部品Dが載置されている。
【0015】
図2において、基台4の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル11が配置されている。Y軸テーブル11には、同様にリニア機構を備えたビーム12がY方向に移動自在に結合されている。ビーム12には、実装ヘッド13がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド13は、部品Dを保持して昇降し、鉛直軸(Z軸)回りに回転可能な複数の吸着ユニット(図示省略)を備える。吸着ユニットのそれぞれの下端部には、部品Dを吸着して保持する吸着ノズル(図示省略)が装着されている。
【0016】
Y軸テーブル11およびビーム12は、実装ヘッド13を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構を構成する。実装ヘッド移動機構および実装ヘッド13は、部品供給部7から部品Dを取り出して基板6の実装位置に実装する部品実装作業を実行する部品実装機構14を構成する。部品実装作業において実装ヘッド13は、部品供給部7の上方に移動し、各吸着ノズルで所定の部品Dをそれぞれピックアップし、基板6の上方に移動し、各吸着ノズルが保持する部品Dを所定の方向に回転させ、それぞれの実装位置に実装する一連のターンを繰り返す。
【0017】
図2において、ビーム12には、ビーム12の下面側に位置して実装ヘッド13とともに一体的に移動するヘッドカメラ15が装着されている。実装ヘッド13が移動することにより、ヘッドカメラ15は基板搬送機構5の実装作業位置に位置決めされた基板6の上方に移動して、基板6に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板6の位置を認識する。
【0018】
部品供給部7と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ16が設置されている。部品認識カメラ16は、部品供給部7から部品Dを取り出した実装ヘッド13が部品認識カメラ16の上方に位置した際に、吸着ノズルに保持された部品Dを下方から撮像する。実装ヘッド13による部品Dの基板6への部品実装作業では、ヘッドカメラ15による基板6の認識結果と部品認識カメラ16による部品Dの認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0019】
図2において、部品実装装置M1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル17が設置されている。タッチパネル17は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置M1の操作を行う。
【0020】
次に
図3を参照して、部品実装装置M1,M2の構成を説明する。部品実装装置M1、部品実装装置M2は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M1について説明する。部品実装装置M1が備える制御装置20には、基板搬送機構5、部品供給部7、部品実装機構14、ヘッドカメラ15、部品認識カメラ16、タッチパネル17が接続されている。制御装置20は、実装データ記憶部21、トレイデータ作成部22、実装制御部23を備えている。実装データ記憶部21は記憶装置であり、生産データ21a、パターンデータ21b、仮想領域データ21c、トレイデータ21dなどを記憶している。
【0021】
生産データ21aには、実装基板の生産機種名、基板6に装着される部品Dの部品名(種類)、部品供給部7における部品Dの供給位置(テープフィーダ8、トレイフィーダ10の装着位置など)、部品Dのサイズ、実装位置(XY座標)、実装方向、実装順序などが含まれている。トレイデータ作成部22は、トレイ9に格納される部品Dの位置、部品方向などの情報を含むトレイデータを作成する。
【0022】
ここで、
図4~
図8を参照しながら、トレイデータ作成部22によるトレイ9Aのトレイデータの作成について説明する。
図4において、トレイ9Aには、L字型をした異形部品である複数の部品D1~D18を格納する複数の格納部9aが規則的に形成されている。複数の格納部9aは、格納される複数の部品D1~D18を交互に180°回転させて格納するように形成されている。これにより、トレイ9Aに複数の部品D1~D18を効率的に格納することができる。
【0023】
図5において、部品D2は、部品D1と部品D2の間にある中心Cを回転中心として、部品D1を180°回転させた状態でトレイ9Aに格納されている。吸着ノズルが部品D2を保持する際の目標となる部品保持位置P2も、中心Cを回転中心として部品D1の部品保持位置P1を180°回転(矢印a)させた位置にある。部品D1と部品D2は、仮想的な矩形状の領域A1(以下、単に「仮想領域A1」と称する。)の内に収まっている。以下、仮想領域A1~A9内にある部品D1~D18をパターンと称し、仮想領域A1内の部品D1を第1の部品Q1、部品D2を第2の部品Q2と称する。
【0024】
すなわち、仮想領域A1~A9内には、それぞれ第1の部品Q1と第2の部品Q2が配置されている。なお、トレイ9A上の第1の部品Q1と第2の部品Q2は、同じ部品Dであっても、外縁の形状が同一の異なる部品Dであってもよい。すなわち、第1の部品Q1(部品D1)と第2の部品Q2(部品D2)は、少なくとも外縁の形状が同一の部品Dである。そして、第1の部品Q1の外縁と第2の部品Q2の外縁は、回転対称の関係にある。
【0025】
図6は、トレイデータ作成部22によって作成された、トレイ9A上に配置された第1の部品Q1(部品D1)と第2の部品Q2(部品D2)を含むパターンを示すパターンデータ21bを示している。パターンデータ21bには、部品番号30毎に、部品保持位置座標31、部品方向32が記憶されている。部品保持位置座標31は、トレイ9A内の第1の部品Q1である部品D1と第2の部品Q2である部品D2の部品保持位置P1,P2のXY座標(X座標31x,Y座標31y)である。第1の部品Q1の部品方向32は0°で、第2の部品Q2の部品方向32は180°である。トレイデータ作成部22は、作成したパターンデータ21bを実装データ記憶部21に記憶させる。なお、パターンデータ21bは、作業者が作成してもよい。
【0026】
図5において、トレイ9Aには9つの仮想領域A1~A9が互いに重ならないように等間隔で配置されている。すなわち、トレイ9Aに格納されている部品D1~D18の配置は、第1の部品Q1と第2の部品Q2が配置された仮想領域A1をX方向、Y方向に所定の間隔(ΔX、ΔY)で繰り返し配置した第1の部品Q1と第2の部品Q2の配置と同じである。なお、隣接する仮想領域A1~A9は、互いに重ならなければ境界を互いに接していてもよい。つまり、各パターンは、トレイ9Aの上で互いに重ならない仮想領域A1~A9(仮想的な矩形状の領域)の内に収まる。
【0027】
図7は、トレイデータ作成部22によって作成された、トレイ9A内の仮想領域A1~A9の位置を含む仮想領域データ21cを示している。仮想領域データ21cには、仮想領域A1~A9を特定する領域番号33毎に、仮想領域座標34が記憶されている。仮想領域座標34は、仮想領域A1を原点(0,0)とする仮想領域A1~A9のXY座標(X座標34x,Y座標34y)である。トレイデータ作成部22は、作成した仮想領域データ21cを実装データ記憶部21に記憶させる。なお、仮想領域データ21cは、作業者が作成してもよい。
【0028】
図8は、トレイデータ作成部22が、パターンデータ21bと仮想領域データ21cに基づいて作成した、トレイ9A上に配置された複数の部品D1~D18の位置を示すトレイデータ21dを示している。トレイデータ21dには、部品番号35毎に、部品保持位置座標36(X座標36x,Y座標36y)、部品方向37が記憶されている。トレイデータ作成部22は、
図6に示すパターンデータ21bを
図7に示す仮想領域データ21cの仮想領域座標34に配置して展開し、部品保持位置座標36を算出する。
【0029】
このように、トレイデータ作成部22は、パターンデータ21bに基づいて、パターンがトレイ9Aの上で等間隔(ΔX,ΔY)に配置されるようにパターンデータ21bを展開して、トレイ9Aの上に配置された複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2の位置を示すトレイデータ21dを作成するトレイデータ作成手段である。トレイデータ作成部22は、作成したトレイデータ21dを実装データ記憶部21に記憶させる。
【0030】
図3において、実装制御部23は、生産データ21aとトレイデータ21dに基づいて部品実装機構14を制御して、吸着ノズルによってトレイ9Aの格納部9aに格納された部品D1~D18を順番に保持して取り出して、取り出した部品D1~D18を基板6の実装位置に実装させる部品実装作業を実行させる。より具体的には、実装制御部23は、トレイデータ21dの部品保持位置座標36に基づいてトレイ9Aから部品D1~D18を取り出し、取り出した部品D1~D18の部品方向37に基づいて吸着ノズルを回転させて、所定の方向で基板6に実装させる。
【0031】
このように、実装制御部23と部品実装機構14は、トレイデータ作成部22(トレイデータ作成手段)によって作成されたトレイデータ21dが示す複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2の位置(部品保持位置座標36)に基づいて、トレイ9Aから複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2のうちの少なくとも1つの部品D1~D18を取り出して基板6に実装する実装手段である。そして、部品実装装置M1,M2は、トレイデータ21dが示す複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2の位置に基づいて、トレイ9Aから複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2のうちの少なくとも1つの部品D1~D18を取り出して基板6に実装する。
【0032】
次に、
図9~
図12を参照しながら、トレイデータ作成部22による他のトレイ9B(以下、単に「トレイ9B」と称する。)のトレイデータ21dの作成について説明する。便宜上、
図9での格納部9aの記載は省略されている。
図9において、トレイ9Bには、L字型をした異形部品とT字型をした異形部品である複数の部品D21~D32が規則的に配置されている。
【0033】
図10において、仮想領域A11内には、L字型の第1の部品Q3(部品D21)、T字型の第3の部品Q4(部品D22)、L字型の第2の部品Q5(部品D23)が配置されている。第1の部品Q3と第2の部品Q5は、仮想領域A11の中心を通るY方向の軸Lに対して線対称の関係にある。すなわち、第1の部品Q3の外縁と第2の部品Q5の外縁は、線対称の関係にある。第1の部品Q3である部品D21の部品保持位置P21と第2の部品Q5である部品D23の部品保持位置P23も、軸Lに対して線対称の関係にある。第3の部品Q4は、軸Lに対して線対称の形状をしている。
【0034】
図11は、トレイ9B上に配置された第1の部品Q3(部品D21)、第2の部品Q5(部品D23)、第3の部品Q4(部品D22)を含むパターンを示すパターンデータ21bである。トレイ9Bのパターンデータ21bには、部品番号40毎に、部品保持位置座標41(X座標41x,Y座標41y)、部品方向42が記憶されている。第1の部品Q3、第2の部品Q5、第3の部品Q4の部品方向32は、全て0°である。
【0035】
図10において、トレイ9Bには4つの仮想領域A11~A14が互いに重ならないように等間隔(ΔX1,ΔY1)で配置されている。それぞれの仮想領域A11~A14には、第1の部品Q3、第2の部品Q5、第3の部品Q4が配置されている。
【0036】
図12は、トレイデータ作成部22が、トレイ9Bのパターンデータ21bに基づいて、パターンがトレイ9Bの上で等間隔(ΔX1,ΔY1)に配置されるようにパターンデータ21bを展開して作成した、トレイ9B上に配置された複数のL字型の第1の部品Q3、複数のL字型の第2の部品Q5、複数のT字型の第3の部品Q4を示すトレイデータ21dである。トレイ9Bのトレイデータ21dには、部品番号43毎に、部品保持位置座標44(X座標44x,Y座標44y)、部品方向45が記憶されている。
【0037】
上記のように、本実施の形態では、トレイ9A,9B上に配置された少なくとも第1の部品Q1,Q3と第2の部品Q2,Q5を含むパターンを示すパターンデータ21bに基づいて、パターンがトレイ9A,9Bの上で等間隔に配置されるようにパターンデータ21bを展開して、トレイ9A,9Bの上に配置された複数の第1の部品Q1,Q3と複数の第2の部品Q2,Q5の位置(部品保持位置座標36,44)を示すトレイデータ21dを作成している。これによって、複雑な形状の部品D1~D18,D21~D32を実装した実装基板を効率良く生産することができる。
【0038】
なお上記では、部品実装装置M1,M2がトレイデータ作成手段(トレイデータ作成部22)は備える形態を説明したが、トレイデータ作成手段は管理コンピュータ3が備える形態であってもよい。その場合、管理コンピュータ3のトレイデータ作成手段がトレイデータ21dを作成し、部品実装装置M1,M2の実装データ記憶部21には、管理コンピュータ3から送信されたトレイデータ21dが記憶される。
【0039】
次に
図13のフローに沿って、
図4~
図12を参照しながら、部品実装システム1による実装基板の製造方法について説明する。以下では、管理コンピュータ3がトレイデータ作成手段を備え、部品実装装置M1がトレイ9Aの上に配置された部品D1~D18を基板6に実装する形態で説明する。
【0040】
まず、トレイデータ作成手段は、トレイ9Aの上に配置された第1の部品Q1と第2の部品Q2を含むパターンを示すパターンデータ21bを作成する(ST1:パターンデータ作成工程)(
図5、
図6参照)。パターンデータ作成工程(ST1)では、パターンが仮想的な矩形状の領域(仮想領域A1)の内に収まるようにパターンデータ21bが作成される。また、パターンデータ作成工程(ST1)では、第1の部品Q1の外縁と第2の部品Q2の外縁が回転対称の関係になるようにパターンデータ21bが作成される。なおトレイ9Bでは、パターンデータ作成工程(ST1)において、第1の部品Q3の外縁と第2の部品Q5の外縁が線対称の関係になるようにパターンデータ21bが作成される(
図10、
図11参照)。
【0041】
図13において、次いでトレイデータ作成手段は、パターンがトレイ9Aの上で等間隔(ΔX,ΔY)に配置されるようにパターンデータ21bを展開して、トレイ9Aの上に配置された複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2の位置(部品保持座標位置36)を示すトレイデータ21dを作成する(ST2:トレイデータ作成工程)。トレイデータ作成工程(ST2)では、仮想領域A1~A9が互いに重ならないようにトレイ9Aの上に仮想領域A1~A9を等間隔(ΔX,ΔY)に配置してトレイデータ21dが作成される(
図5、
図8参照)。
【0042】
次いで管理コンピュータ3は、部品実装装置M1にトレイデータ21dを転送する(ST3:トレイデータ転送工程)。転送されたトレイデータ21dは、実装データ記憶部21に記憶される。次いで部品実装装置M1において実装手段(実装制御部23、部品実装機構14)は、トレイデータ21dが示す複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2の位置(部品保持位置座標36)に基づいて、トレイ9Aから複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2のうちの少なくとも1つの部品D1~D18を取り出して基板6に実装する(ST4:実装工程)。実装手段は、予定された全ての部品の実装が終了するまで(ST5においてYes)、実装工程(ST4)を繰り返す(ST5においてNo)。これによって、複雑な形状の部品D1~D18を実装した実装基板を効率良く生産することができる。
【0043】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装システム1は、トレイ9Aの上に配置された少なくとも第1の部品Q1と第2の部品Q2を含むパターンを示すパターンデータ21bに基づいて、パターンがトレイ9Aの上で等間隔(ΔX,ΔY)に配置されるようにパターンデータ21bを展開して、トレイ9Aの上に配置された複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2の位置(部品保持位置座標36)を示すトレイデータ21dを作成するトレイデータ作成手段(トレイデータ作成部22)と、トレイデータ21dが示す複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2の位置に基づいて、トレイ9Aから複数の第1の部品Q1と複数の第2の部品Q2のうちの少なくとも1つの部品D1~D18を取り出して基板6に実装する実装手段(実装制御部23、部品実装機構14)と、を備えている。
【0044】
これによって、複雑な形状の部品D1~D18を実装した実装基板を効率良く生産することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の部品実装システムおよび部品実装装置ならびに実装基板の製造方法は、複雑な形状の部品を実装した実装基板を効率良く生産することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 部品実装システム
6 基板
9,9A,9B トレイ
14 部品実装機構(実装手段)
D1~D18,D21~D32 部品
Q1,Q3 第1の部品
Q2,Q5 第2の部品
M1,M2 部品実装装置