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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】食器洗い機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/50 20060101AFI20231117BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20231117BHJP
   A47L 15/23 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
A47L15/50
A47L15/42 A
A47L15/42 B
A47L15/42 G
A47L15/23
A47L15/42 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019110703
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020202884
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】菊川 智之
(72)【発明者】
【氏名】西村 誠
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-061756(JP,A)
【文献】特開平09-117404(JP,A)
【文献】特開2002-085317(JP,A)
【文献】特開2019-017611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00~21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口部を有した洗浄槽と、
前記洗浄槽の前記前面開口部を覆う扉体と、
前記洗浄槽と前記扉体とで形成された洗浄空間と、
前記洗浄空間下方に収納され条体で構成された、前方に引き出し可能な食器かごと、
前記食器かごに収納された食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、
前記洗浄槽底部に被洗浄物の付着物を捕集するフィルタと、を備え、
前記食器かごの最後方の側面を規定する後方条体部の少なくとも一部は可動とし、前記食器かごを引き出したときに前記後方条体部は前記フィルタの位置よりも前方位置に移動し、前記後方条体部を可動させることで後方空間部を形成可能とした食器洗い機。
【請求項2】
前記後方条体部は、回動するように構成された請求項1に記載の食器洗い機。
【請求項3】
前記後方条体部は、前記食器かごの前方に回動するように構成された請求項2に記載の食器洗い機。
【請求項4】
前記後方条体部は、前記食器かごの後方に回動するように構成された請求項2に記載の食器洗い機。
【請求項5】
前記後方条体部は、スライドするように構成された請求項1~4のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【請求項6】
前記後方条体部は、前記食器かごから取り外せるように構成された請求項1~5のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物が載置される食器かごが洗浄槽から前方に引き出される構成の食器洗い機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の食器洗い機は、扉が前方に引き出されるのに伴って洗浄槽から前方に引き出される条体で構成された食器かごと、前記食器かごの後方に洗浄時に流れ落ちる食品等の残菜を捕集するフィルタが設けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-119205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、洗浄後使用者がフィルタを取り出そうとすると、食器かご後方条体部が邪魔になりフィルタ部まで手を入れにくく、またフィルタを取り出しているとき、フィルタと後方条体部が接触する可能性が高く、フィルタを取り出しにくいという課題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、使用者がフィルタに堆積した食品等の残菜を取り除くため、容易にフィルタを食器洗い機から取り出すことのできる食器洗い機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前面開口部を有した洗浄槽と、前記洗浄槽の前記前面開口部を覆う扉体と、前記洗浄槽と前記扉体とで形成された洗浄空間と、前記洗浄空間下方に収納され条体で構成された、前方に引き出し可能な食器かごと、前記食器かごに収納された食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄槽底部に被洗浄物の付着物を捕集するフィルタを備え、前記食器かごの最後方の側面を規定する後方条体部の少なくとも一部は可動とし、前記食器カゴを引き出したときに前記後方条体部は前記フィルタの位置よりも前方位置に移動し、前記後方条体部を可動させることで後方空間部を形成可能としたものである。
【0007】
これによって、洗浄後、使用者がフィルタに捕集された食品等の残菜を取り除くためにフィルタを取り出すとき、後方条体部を可動させて後方空間部を確保すれば、フィルタまで手を入れやすく、またフィルタを取り出しているとき、フィルタと後方条体部が接触しにくく、容易にフィルタを食器洗い機から取り出すことができるメンテナンス性に優れた食器洗い機を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の食器洗い機は、使用者がフィルタに堆積した食品等の残菜を取り除くため、容易にフィルタを食器洗い機から取り出すことのできるメンテナンス性に優れた食器洗い機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の斜視図
図2】本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の側断面図
図3】本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の側断面図
図4】本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の要部正面断面図
図5】(a)本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態のスライドレール近傍の要部正面断面図(b)本発明の実施の形態1における食器洗い機の補助トレイが除かれて扉体が前方に引き出された状態の要部側断面図
図6】(a)本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の補助トレイ近傍の要部側断面図(b)本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の補助トレイ近傍の要部側断面図
図7】本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の主トレイ近傍の要部平面断面図
図8】(a)本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の斜視図(b)本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出され、下食器かごの後方条体部が前方に回動した状態の斜視図
図9】(a)本発明の実施の形態1における食器洗い機の下食器かごの斜視図(b)本発明の実施の形態1における食器洗い機の下食器かごの後方条体部が前方に回動した状態の斜視図
図10】本発明の実施の形態1における食器洗い機の洗浄工程における洗浄水の流れが示された側断面図
図11】(a)本発明の実施の形態2における食器洗い機の下食器かごの斜視図(b)本発明の実施の形態2における食器洗い機の下食器かごの後方条体部が後方に回動した状態の斜視図
図12】(a)本発明の実施の形態3における食器洗い機の下食器かごの斜視図(b)本発明の実施の形態3における食器洗い機の下食器かごの後方条体部が下方にスライドした状態の斜視図
図13】(a)本発明の実施の形態4における食器洗い機の下食器かごの斜視図(b)本発明の実施の形態4における食器洗い機の下食器かごの後方条体部が取り出された状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明の食器洗い機は、前面開口部を有した洗浄槽と、前記洗浄槽の前記前面開口部を覆う扉体と、前記洗浄槽と前記扉体とで形成された洗浄空間と、前記洗浄空間下方に収納され前方に引き出し可能な食器かごと、前記食器かごに収納された食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄槽底部に被洗浄物の付着物を捕集するフィルタを備え、前記食器かごの後方条体部の少なくとも一部は可動とし、前記食器カゴを引き出したときに前記後方条体部は前記フィルタの前方に位置し、後方空間部を形成可能としたものである。
【0011】
この構成によって、洗浄後、使用者がフィルタに捕集された食品等の残菜を取り除くためにフィルタを取り出すとき、後方条体部を可動させて後方空間部を確保すれば、フィルタまで手を入れやすく、またフィルタを取り出しているとき、フィルタと後方条体部が接触しにくく、容易にフィルタを食器洗い機から取り出すことができるメンテナンス性に優れた食器洗い機を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記後方条体部は、回動するように構成されたものである。この構成によって、使用者は、後方条体部を回動させるだけで容易に後方空間部を確保することができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第2の発明において、前記後方条体部は、前記食器かごの前方に回動するように構成されたものである。この構成によって、食器かごを後方に移動させたとき、後方条体部が洗浄槽や洗浄手段等と接触することがなく、使用者は後方条体部の位置を気にすることなく食器かごを後方に動かすことができる。
【0014】
第4の発明は、特に、第2の発明において、前記後方条体部は、前記食器かごの後方に回動するように構成されたものである。この構成によって、食器かごに被洗浄物が載置されていたとしても、後方条体部は被洗浄物が載置されていない方向に回動するため、被洗浄物と接触することがなく、使用者は被洗浄物の有無を意識することなく後方条体部を回動させ、容易にフィルタを食器洗い機から取り出すことができる。
【0015】
第5の発明は、特に、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記後方条体部は、スライドするように構成されたものである。この構成によって、食器かごに被洗浄物が載置されていたとしても、後方条体部は被洗浄物が載置されていない方向にスライドするため、被洗浄物と接触することがなく、使用者は被洗浄物の有無を意識することなく容易にフィルタを食器洗い機から取り出すことができ、また食器かごを後方に移動させたとき、後方条体部が洗浄槽や洗浄手段等と接触することがなく、使用者は後方条体部の位置を気にすることなく食器かごを後方に動かすことができる。
【0016】
第6の発明は、特に、第1~第5のいずれか1つの発明において、前記後方条体部は、前記食器かごから取り外せるように構成されたものである。この構成によって、食器かごに被洗浄物が載置されていたとしても、後方条体部は被洗浄物が載置されていない方向に取り外せるため、被洗浄物と接触することがなく、使用者は被洗浄物の有無を意識することなく容易にフィルタを食器洗い機から取り出すことができ、また食器かごを後方に移動させたとき、後方条体部が洗浄槽と接触することがなく、使用者は後方条体部の位置を気にすることなく食器かごを後方に動かすことができる。
【0017】
第7の発明は、特に、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記扉体は前方に引き出し可能に構成され、前記扉体とともに引き出されるトレイを備え、前記トレイは、前記食器かごの下方で前記洗浄空間外に設けられたものである。この構成によって、トレイがフィルタの前方に収納されるため、相対的にフィルタが洗浄槽底部の後方に設けられているにもかかわらず、容易にフィルタを食器洗い機から取り出すことができるメンテナンス性に優れた食器洗い機を提供することができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。例えば、本発明の食器洗い機は、引き出し式のビルトイン型食器洗い機で説明するが、特にこれに限定されるものではなく、前開き式のビルトイン型食器洗い機および卓上型の食器洗い機等も含まれる。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の斜視図である。
【0020】
図1に示されるように、食器洗い機1は、前面開口部2を有した洗浄槽3と、洗浄槽3の前面開口部2を覆い前後に移動可能な扉体4と、洗浄槽3と扉体4とで形成された洗浄空間5と、洗浄空間5内に収納され、被洗浄物6を載置し、前後に移動可能で金属製の条体で構成された下食器かご7および上食器かご8を備えている。
【0021】
扉体4の上面には、操作部9が設けられている。使用者は、操作部9のボタンを押すことにより、電源の入り切り、スタート、一時停止、洗浄および乾燥のコースや条件の切り
替えが行える。
【0022】
なお、本実施の形態においては、洗浄槽3の前面開口部2側を前方とし、この前方より後方に向かって右側を右方とし、前方より後方に向かって左側を左方として、以下の説明を行う。
【0023】
また、本実施の形態においては、2つの食器かごが設けられているが、必要とされる被洗浄物6の量に応じて1つの食器かごだけでもよく、また、3つ以上の食器かごが設けられてもよい。
【0024】
さらに、本実施の形態においては、2つの食器かごは金属製の条体で構成されているが、コーティングされた金属あるいは樹脂材料が用いられてもよい。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の側断面図である。図3は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の側断面図である。
【0026】
図2および図3に示されるように、洗浄槽3は、前面に位置する前面開口部2と、前面開口部2と対向し洗浄槽3の後部を塞ぐ後部壁3gと、洗浄槽3の上方を塞ぐ上部壁3cと、上部壁3cに対向する内底3dと、洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fとによって構成されている。洗浄空間5は、洗浄槽3の前面開口部2を扉体4で塞いで水封して囲まれた略直方体で構成されている。
【0027】
下食器かご7上の被洗浄物6を洗浄する下洗浄ノズル10と、上食器かご8上の被洗浄物6を洗浄する上洗浄ノズル11が設けられている。下食器かご7、下洗浄ノズル10、上食器かご8および上洗浄ノズル11はすべて、扉体4が閉じられた状態において、洗浄空間5内に位置している。
【0028】
下洗浄ノズル10は、下食器かご7の下方で、下食器かご7を上方から見て略中央部に下導水路12と連結されて回転自在に設けられている。下洗浄ノズル10は、洗浄水を通す中空空間を有し、下食器かご7上の被洗浄物6に向けて洗浄水を噴射する複数の噴射孔10aが上面に設けられている。下洗浄ノズル10は、下導水路12から供給される洗浄水が噴射孔10aから噴射される際に発生する反力により回転される。
【0029】
なお、本実施の形態においては、噴射孔10aは下洗浄ノズル10の上面にのみ設けられているが、洗浄後、下洗浄ノズル10内に洗浄水が溜まらないように下方に噴射孔が設けられていてもよい。
【0030】
下導水路12は、略水平前後方向に伸び、下洗浄ノズル10の上方で下方に屈曲し、中空のパイプ形状で構成されている。下導水路12は、下食器かご7の下部条体7aに固定され、下食器かご7とともに前後方向に移動する。下導水路12が前方に移動すると、下導水路12後端と洗浄槽3の後部壁3gに固定されたパイプ形状の下結合部13との結合が外れる。下食器かご7および下導水路12が後方に移動すると、下導水路12後端が下結合部13と結合し、下洗浄ノズル10に洗浄水を送水することができる。
【0031】
下食器かご7は、下洗浄ノズル10の上方で、上方から見て洗浄空間5のほぼ全体に設けられている。下食器かご7は、下食器かご7の左右両側面において、洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面の下部に保持された左右一対の下食器かごレール14により前後移動可能に支えられ、洗浄槽3の前面開口部2から洗浄槽3の前方へ引き出すことができるように構成されている。下食器かご7は、標準状態では大皿類やまな板、なべ等の
大型の食器や調理器具が収納できるよう構成されている。
【0032】
上洗浄ノズル11は、上導水路15を介して洗浄槽3の後部壁3gに片持ちで固定支持されている。上洗浄ノズル11は、扉体4が閉じられたときに上食器かご8の下方に位置し、扉体4が閉じられたときに上食器かご8を上方から見て略中央部に上導水路15と連結されて回転自在に設けられている。上洗浄ノズル11は、洗浄水を通す中空空間を有し、上食器かご8上の被洗浄物6に向けて洗浄水を噴射する複数の噴射孔11aが上面に設けられている。上洗浄ノズル11は、上導水路15から供給される洗浄水が噴射孔10aから噴射される際に発生する反力により回転する。
【0033】
なお、本実施の形態においては、噴射孔11aは上洗浄ノズル11の上面にのみ設けられているが、洗浄後、上洗浄ノズル11内に洗浄水が溜まらないように下方に噴射孔が設けられていてもよい。
【0034】
上導水路15は、略水平前後方向に伸び、上洗浄ノズル11の上方で下方に屈曲し、中空のパイプ形状で構成されている。上導水路15は、その後端部において、洗浄槽3の後部壁3gに固定されたエルボ形状のパイプを有した上結合部16と結合され、洗浄槽3の後部壁3gに片持ちで固定されている。上導水路15は、上結合部16を介して供給される洗浄水を上洗浄ノズル11に送水する。
【0035】
上食器かご8は、扉体4が閉じられているとき、上洗浄ノズル11の上方で、上方から見て洗浄槽3のほぼ全体に設けられている。上食器かご8は、上食器かご8の左右両側面において、洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面の上部に保持された左右一対の上食器かごレール17により前後移動可能に支えられ、洗浄槽3の前面開口部2から洗浄槽3の前方へ引き出すことができるように構成されている。上食器かご8は、標準状態では茶碗や直径20cm以下の中皿類、湯のみ、コップなどの小型食器が収納できるように構成されている。
【0036】
洗浄槽3の洗浄空間5の最下部に凹形状の排水口30が設けられている。洗浄排水ポンプ18が、洗浄槽3の底面の外側下方に配置されている。ポンプ水路31は、排水口30と洗浄排水ポンプ18とを連通する経路である。洗浄排水ポンプ18は、被洗浄物6を洗浄するための洗浄水を洗浄水路32を介して下洗浄ノズル10および上洗浄ノズル11に送水する。また、洗浄排水ポンプ18は逆回転することにより弁を切り替え、洗浄が終わった後の洗浄槽3内の洗浄水を食器洗い機1の外部に排水する。洗浄排水ポンプ18から送水された洗浄水は、洗浄水路32を通り、2経路に分水される分水部32aを経て、下洗浄ノズル10と上洗浄ノズル11とに送水される。
【0037】
なお、本実施の形態においては、上導水路15は洗浄槽3の後部壁3gで上結合部16と結合し、片持ちで固定されているが、下導水路12と同様に、上導水路15は上食器かご8の下部条体に固定され、上食器かご8とともに前後方向に移動するように構成されてもよい。その構成によれば、上食器かご8の高さが調整可能に構成されたときに、上食器かご8の高さ調整とともに上導水路15の高さもともに変化し、その高さ調整位置に対応した上結合部16を洗浄槽3の後部壁3gに複数設ければ、上食器かご8の高さ位置に関わらず、上洗浄ノズル11に洗浄水を送水することができる。
【0038】
また、洗浄と排水を1つのポンプで動作させているが、別々に2つのポンプを用いてもよい。
【0039】
本実施の形態の食器洗い機1は、下食器かご7および上食器かご8に載置された被洗浄物6から落下する水滴を受ける主トレイ20および補助トレイ(トレイ)21を備えてい
る。主トレイ20および補助トレイ21は、扉体4とともに前方に引き出される。主トレイ20および補助トレイ21は、扉体4とともに円滑に洗浄槽3に対し出し入れできるように、洗浄槽3の左方の側壁3eおよび右方の側壁3fとの間に隙間を設けて配置されている。主トレイ20は、扉体4が閉じられているとき、洗浄空間5の内部に位置し、下食器かご7の下方に、下食器かご7の上方から見て下食器かご7より左右方向に大きいサイズに構成されている。補助トレイ21は、主トレイ20の下方に配設されており、扉体4が閉じられているとき、洗浄槽3の下方に設けられた補助トレイ収納部19内に収納され、洗浄空間5の外部(洗浄空間外)に位置する。補助トレイ21は、扉体4が引き出されているとき、主トレイ20との間に高さ方向において、例えば5cm以上の使用者の手が入る間隔が確保されて配設されている。
【0040】
主トレイ20は剛性の高い樹脂材料で形成され、後方に向かって下方に傾斜(例えば、傾斜角5度)している。主トレイ20は、洗浄槽3の前面に向かって左右方向において、洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fに面する周縁が中央部より高くなるように溝状に構成され、上方に開口されている。主トレイ20の前端部は扉体4に設けられた主トレイ爪部20aと爪嵌合で着脱自在に固定されている。主トレイ20の後方に向かう下方への傾斜は、少なくとも底部の上面に形成されていればよいが、底部の下面(裏面)にも形成されていればさらによい。また、上記の主トレイ20の後方に向かう下方への傾斜は、主トレイ20の前端部と扉体4との固定において、主トレイ20を後方に向かって下方に傾斜させて配置し、固定することによって構成されてもよい。なお、主トレイ20の後方に向かう下方への傾斜は、本実施の形態では一定の傾斜角としてあるが、複数の傾斜角で構成されてもよいし、徐々に連続的に変化する傾斜角で構成されてもよい。
【0041】
主トレイ20の後端部左右には回転自在のトレイローラー23(転動支持部)が備えられている。トレイローラー23は、洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面に設けられたトレイレール24の上面を転がりながら主トレイ20を支える。扉体4が引き出されると、主トレイ20は、トレイローラー23によって支えられ、扉体4とともに引き出される。
【0042】
主トレイ20の表面に、親水コートが施されてもよい。これによって、主トレイ20に付着する洗浄水が水滴となって主トレイ20の表面に留まることが抑制されるので、洗浄水が床面に落下することを抑制することができる。
【0043】
補助トレイ21は剛性の高い樹脂材料で形成され、略水平に配置されている。補助トレイ21は、第1の補助トレイ21aと、第1の補助トレイ21aより下方に設けられた第2の補助トレイ21bとで構成されている。第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bはともに上方が開口している。扉体4が閉じられているときは、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bは上下に重なったように位置している。扉体4が引き出されると、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bは、互いに相対的に前後方向に変位しつつ扉体4とともに引き出される。
【0044】
扉体4の洗浄槽3側の面(内面)には外周に沿ってシール部25が設けられている。シール部25は、シリコンゴムで中空に形成され、洗浄槽3側の面には磁力を有するゴム磁石が内蔵されている。シール部25に対向する洗浄槽3の洗浄槽シール面26は磁性を有する金属であるSUS430で構成されている。これによって、扉体4が引き出された状態から閉じられるとき、シール部25は洗浄槽シール面26に磁力によって引き込まれ、扉体4は洗浄槽3に対して水密性を保って閉じられる。
【0045】
シール部25が洗浄槽シール面26に引き込まれた後、シール部25全面が洗浄槽シール面26と磁力で吸引されてシールされる。これにより、多少、扉体4や洗浄槽シール面
26のそり等による変形や、扉体4の前倒れが起こったとしても、洗浄中のシール性を確保でき、洗浄空間5の外への水漏れを防止することができる。
【0046】
なお、本実施の形態においては方形状に連続してシール部25が設けられているが、一部シール部の繋がりが途切れていたりしていても、扉体4と洗浄槽3とのシールが確保できていればよい。
【0047】
また、洗浄槽シール面26の材質としてSUS430が用いられているが、磁性を有する材質、例えば鉄のような材質であってもよく、洗浄槽シール面26以外の洗浄槽3の前面は樹脂等の磁性を有しない物質が用いられてもよい。
【0048】
さらに、シール部25は、扉体4側に設けられているが、洗浄槽3側に設けられ、対向する扉体4の面に磁性を有する材質が用いられてもよい。
【0049】
また、洗浄槽シール面26は洗浄槽3の前面3aより後方に構成されている。この構成により、洗浄槽シール面26を伝って下方に流れてくる洗浄水を受けたり、洗浄中に扉体4が引き出された場合、洗浄排水ポンプ18が停止するまでの間、シール部25と洗浄槽シール面26の隙間から洗浄槽シール面26を伝って流れてくる洗浄水を受けることができる。
【0050】
また、洗浄槽3前方の底面には、上方に開口した受け部27が設けられている。これによって、多少の洗浄水が流れてきても溢れることなく受けることができる。さらに、下方の洗浄槽シール面26に部分的に孔部26aが設けられている。これによって、受け部27内に溜まった洗浄水を洗浄槽3内に戻すことができる。
【0051】
扉体4の洗浄空間5側の内壁には、鍵形状のフック28が設けられている。このフック28に下食器かご7の前部略中央の条体が係合され、扉体4と下食器かご7とが連動して前後に移動可能に構成されている。また、使用者が下食器かご7を外したいときには、下食器かご7の前部条体を持ち上げることによりフック28から下食器かご7を容易に外すことができる。また、フック28の後方には傾斜面が設けられている。これにより、扉体4を前方に引き出しているときで、フック28から下食器かご7を外して洗浄槽3内に位置している状態でも、扉体4が閉じられると下食器かご7の前部条体がフック28の傾斜面を上り、扉体4が閉じられた状態では下食器かご7の前部条体がフック28に係合され、次回扉体4が前方に引き出されたときには、下食器かご7も同時に引き出される。
【0052】
洗浄槽3の後部上方に給水弁29が配設されている。洗浄水は水道と直結された給水弁29から洗浄槽3内に給水される。
【0053】
洗浄槽3の外側後部下方にファン33が設けられている。ファン33は、食器洗い機1の乾燥工程などで動作して、外気を吸い込み、送風経路34を経て送風口35から洗浄空間5の内部に供給する。洗浄空間5の内部に供給された空気は、洗浄空間5の下方に位置するヒータ36により暖められて、洗浄空間5の内部の被洗浄物6を乾燥させ、扉体4の上面または側壁に設けられた排気口37より排気させる。排気口37は、洗浄槽3の天面または側壁に設けられていてもよい。
【0054】
温度検知部38が洗浄槽3の底面外側に密着して配設されている。温度検知部38は、洗浄槽3内の洗浄水、空気およびヒータ36の温度を間接的に検知する。
【0055】
制御部40が、洗浄槽3の底面下方に設けられている。制御部40は、使用者によって操作される操作部9からの信号により、給水弁29を制御して洗浄槽3内への洗浄水の供
給を制御したり、温度検知部38の出力に基づいてヒータ36を制御したりするとともに、洗浄排水ポンプ18、ファン33等を制御して、洗浄、すすぎ、乾燥の一連の工程を逐次実行する。
【0056】
図4は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の要部正面断面図である。
【0057】
図2図4に示されるように、洗浄水導入部70が、洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面に設けられている。洗浄水導入部70は、主トレイ20の上方に位置し、主トレイ20の周縁を覆っている。洗浄水導入部70は、後方に向かって下方に傾斜させ、かつ、洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面から内方に向かって下方に傾斜させて設けられている。この構成によって、洗浄水導入部70は、被洗浄物6を洗浄中および洗浄後の洗浄水を主トレイ20に導入する。
【0058】
また、洗浄水導入部70は、主トレイ20に備えられたトレイローラー23が転がりながら移動するトレイレール24の上方に位置し、トレイレール24の上面を覆っている。この構成によって、トレイレール24に洗浄水がかかることが少なくなり、トレイレール24上に洗浄水に含まれる残菜や汚れが付着することが少ない。
【0059】
洗浄水導入部70の後方に向かう下方への傾斜および洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面から内方に向かう傾斜は、少なくとも上面に形成されていればよいが、下面(裏面)にも形成されていればさらによい。なお、洗浄水導入部70の後方に向かう下方への傾斜および洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面から内方に向かう傾斜は、本実施の形態では一定の傾斜角としてあるが、複数の傾斜角で構成されてもよいし、徐々に連続的に変化する傾斜角で構成されてもよい。
【0060】
洗浄水導入部70は、本実施の形態においては、平板状に形成されているが、これに限定されるものではない。
【0061】
排水口30には、被洗浄物6を洗浄する洗浄工程および被洗浄物6をすすぐすすぎ工程で、被洗浄物6に汚れとして付着していた食品等の残菜を捕集する排水フィルタ50が設けられている。排水フィルタ50は、第1の排水フィルタ50aと、第1の排水フィルタ50aの周囲に設けられた第2の排水フィルタ50bと、排水口30の上方を覆うように形成された第3の排水フィルタ50cの3つの部品により構成されている。
【0062】
第1の排水フィルタ50aは、樹脂材料で円筒形に形成され、外周面および底面に1辺約4.5mmの略正方形の孔が多数設けられている。第2の排水フィルタ50bは、ステンレスメッシュで円筒形に形成され、外周面に1辺約4.5mmの略正方形の孔が多数設けられている。第3の排水フィルタ50cは、第1の排水フィルタ50aおよび第2の排水フィルタ50bが上部から嵌合される孔を有し、直径約1mmのパンチング孔が多数開けられたステンレス板で板状に形成されている。洗浄排水ポンプ18に連通するポンプ水路31が第2の排水フィルタ50b外側の排水口30の底面に接続されている。
【0063】
図5(a)は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態のスライドレール近傍の要部正面断面図である。図5(b)は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の補助トレイが除かれて扉体が前方に引き出された状態の要部側断面図である。
【0064】
図5(a)および図5(b)に示されるように、左右一対のスライドレール60は、洗浄槽3の洗浄空間5の外下方の左右両内側面に取り付けられた固定レール60aと、固定
レール60aにスライド自在に装着された第1の可動レール60bと、第1の可動レール60bにスライド自在に装着された第2の可動レール60cから構成されている。
【0065】
扉体4は、扉体4の下方において、金属板で形成された左右一対のアングル61の前端部と固定されている。アングル61は第2の可動レール60c上に位置し、アングル61の後端部は第2の可動レール60cに形成された引っ掛け部60dに引っ掛けられ、アングル61前方で第2の可動レール60cにネジ止めされて固定されている。扉体4が前方に引き出されたとき、アングル61および第2の可動レール60cは扉体4を略垂直に支えつつ、洗浄槽3の前面開口部2から前方に引き出される。
【0066】
アングル61上には第1の補助トレイ21aの左右のフランジ部が載置されている。第2の補助トレイ21bは、第1の補助トレイ21aの左右のトレイスライド部21cにおいて第1の補助トレイ21aに対して前後方向にスライド自在に保持されている。
【0067】
図6(a)は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が閉じられた状態の補助トレイ近傍の要部側断面図である。図6(b)は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の補助トレイ近傍の要部側断面図である。
【0068】
図6(a)および図6(b)に示されるように、第1の補助トレイ21aの前部は、第1の補助トレイ21aのリブを扉体4の引っ掛け部4aに引っ掛けることによって、扉体4に係合されている。第1の補助トレイ21aの後部は、補助トレイ爪部21dをアングル61に爪嵌合させることによって、アングル61に着脱自在に固定されている。
【0069】
扉体4が閉じられた状態から引き出されていくと、まず、第1の補助トレイ21aがアングル61とともに引き出される。その後、第1の補助トレイ21aの後方に設けられた引っ掛け部21eと、第2の補助トレイ21bの前方に設けられた引っ掛け部21fとが係合し、第2の補助トレイ21bも前方に引き出される。
【0070】
第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bは、扉体4がスライドレール60の限界まで前方に引き出されたとき、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bのトレイスライド部21cにおいて、まだ前後方向のオーバーラップ部21gが残るように、両者の前後関係の長さが構成されている。これにより、扉体4がスライドレール60の限界まで前方に引き出されたときにおいても、第2の補助トレイ21bが不安定になり、斜めになったり、外れたりすることがない。
【0071】
また、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bは、扉体4がスライドレール60の限界まで前方に引き出されたとき、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bの左右方向の全幅にわたって、まだ前後方向のオーバーラップ部21gが残るように、両者の前後関係の長さおよび左右方向の幅寸法が構成されている。これにより、扉体4がスライドレール60の限界まで前方に引き出されたときにおいても、第1の補助トレイ21a上に落下する洗浄水が床面に落下することがない。
【0072】
第1の補助トレイ21a、第2の補助トレイ21bおよびアングル61を上記のように構成することにより、下食器かご7および上食器かご8が扉体4とともに前方に引き出されたときに、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bが主トレイ20の下に展開し、上面から見て主トレイ20より広い範囲を完全に覆い、主トレイ20から床面への水滴の落下を防ぐことができる。
【0073】
逆に扉体4が引き出された状態から閉じられていくと、まず、第1の補助トレイ21aがアングル61とともに洗浄槽3の下方の補助トレイ収納部19内に収納されていく。こ
のとき、第2の補助トレイ21bは、トレイスライド部21cにおいて異常に大きな摩擦力が働かない限り、後方に移動しない。第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bとは、トレイスライド部21cにおいて、互いに相対的に前後方向に変位する。その後、第2の補助トレイ21bの前端部と扉体4の内壁4bとが当接し、第2の補助トレイ21bは扉体4によって押され、洗浄槽3の下方の補助トレイ収納部19内に収納されていく。
【0074】
なお、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bは、ともに略水平に配置されている。これにより、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21b上に落下した水滴は、特定の箇所に集中することがなく、自然蒸発が促進される。したがって、落下した水滴を排水する構成を備える必要がなく、また、使用者が水滴を拭き取る手間も生じない。
【0075】
図6(a)および図6(b)に示されるように、本実施の形態においては、引っ掛け部21fは、第2の補助トレイ21bの前端部に構成されているが、別の部位に構成されてもよい。
【0076】
また、第2の補助トレイ21bが洗浄槽3から前方に外れてしまわないように、洗浄槽3の前面3aにストッパー3bが設けられている。扉体4が前方に引き出されていくとき、ストッパー3bと第2の補助トレイ21b後方に設けられた引っ掛け部21hが当接する。
【0077】
これによって、第2の補助トレイ21bは、それ以上の前方への移動を阻止され、洗浄槽3から前方に外れることがない。また、第2の補助トレイ21bの後端が洗浄槽3の前面3aより前方まで出てしまうことがないので、下食器かご7および上食器かご8から落下する洗浄水の床面への落下を防止することができる。
【0078】
また、本実施の形態において、2枚の補助トレイ21aおよび21bが設けられているが、排水口30や洗浄排水ポンプ18等のスペースを確保できれば、1枚で構成されてもよい。また、3枚以上の複数の補助トレイが設けられれば、排水口30や洗浄排水ポンプ18等のスペースをより広く確保することができる。
【0079】
さらに、第1の補助トレイ21aおよび第2の補助トレイ21bは剛性の高い樹脂材料で形成されているが、扉体4が前方に引き出されたときに主トレイ20の下方を覆うことができれば、金属や樹脂の薄板、布、ゴムのようなたわむことのできるシート材料を用いて、扉体4が閉じられているときは、折り畳まれたり、ロール状に巻き取られたりする構成であってもよい。
【0080】
図7は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の主トレイ近傍の要部平面断面図である。
【0081】
図7に示されるように、補助トレイ21は主トレイ20より左右方向において大きく構成されている。主トレイ20の後部には、左右方向に長手方向を有した長方形状の複数のトレイ流出口20bが形成されている。図2に示されるように、トレイ流出口20bは、主トレイ20の底部の上面と下面(裏面)とを貫通させて設けられている。トレイ流出口20bは、洗浄中および洗浄後において、主トレイ20上に落下し、主トレイ20の底部の後方に向かって下方に傾斜させた上面によって導かれてきた洗浄水や水滴を洗浄槽3の内部に導く。
【0082】
図2および図7に示されるように、トレイ流出口20b上には、一辺約4.5mmの正
方形状の孔が多数設けられたトレイフィルタ41が着脱自在に載置されている。トレイフィルタ41は、洗浄時に主トレイ20上に流れてくる洗浄水に含まれる残菜を、上記多数の正方形状の孔によって捕集する残菜フィルタである。トレイフィルタ41は主トレイ20に着脱自在に載置されているので、使用者は、扉体4を引き出すとトレイフィルタ41も前方に引き出され、トレイフィルタ41に捕集された残菜を容易に処理することができる。
【0083】
なお、トレイフィルタ41は、本実施の形態のように主トレイ20に着脱自在に構成されるのが最適であるが、主トレイ20が扉体4に着脱自在に取り付けられているので、主トレイ20に一体的に備えられていても、残菜処理は可能である。
【0084】
扉体4が前方に最後まで完全に引き出された状態で、トレイ流出口20bは洗浄槽3の前面3aより後方に位置させている。これにより、主トレイ20上に落下した洗浄水がトレイ流出口20bから流れ出たとしても、洗浄槽3の受け部27上に落ち、補助トレイ21上や床面に落ちることがない。このように、できる限り補助トレイ21上に洗浄水が落下しないように構成することにより、補助トレイ21上の洗浄水が自然蒸発によって乾燥しやすくし、補助トレイ21のメンテナンスを減らすことができる。
【0085】
なお、トレイ流出口20bを設けずに主トレイ20の後部の壁面をなくして、洗浄水を主トレイ20後部から洗浄槽3内に流すように構成してもよい。
【0086】
また、トレイフィルタ41を備えずに、排水フィルタ50で粗い残菜も捕集する構成にしてもよい。
【0087】
さらに、主トレイ20は剛性の高い樹脂材料で形成されているが、扉体4が前方に引き出されたときに下食器かご7の下方を覆うことができれば、金属や樹脂の薄板、布、ゴムのようなたわむことのできるシート材料を用いて、扉体4が閉じられているときは、折り畳まれたり、ロール状に巻き取られたりする構成であってもよい。
【0088】
図8(a)は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出された状態の斜視図である。図8(b)は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の扉体が前方に引き出され、下食器かごの後方条体部が前方に回動した状態の斜視図である。図9(a)は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の下食器かごの斜視図である。図9(b)は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の下食器かごの後方条体部が前方に回動した状態の斜視図である。
【0089】
図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)に示されるように、洗浄槽3から引き出された下食器かご7の後方条体部81は排水フィルタ50よりも前方に位置し、前方に回動自在に構成され、図9(a)の状態のとき、後方条体部81が回動しないように左右の保持部材82により保持されている。
【0090】
洗浄後、使用者が排水フィルタ50に捕集された食品等の残菜を取り除くために排水フィルタ50を取り出すとき、後方条体部81を前方に回動させて後方空間部80を確保すれば、排水フィルタ50まで手を入れやすく、また排水フィルタ50を取り出しているとき、排水フィルタ50と後方条体部81が接触しにくく、容易に排水フィルタ50を食器洗い機1から取り出すことができる。
【0091】
さらに、下食器かご7を後方に移動させたとき、後方条体部81が洗浄槽3と接触することがなく、使用者は後方条体部81の位置を気にすることなく下食器かご7を後方に動かすことができる。
【0092】
また、補助トレイ21が排水フィルタ50の前方に収納されるため、相対的に排水フィルタ50が洗浄槽3底部の後方に設けられているにもかかわらず、容易に排水フィルタ50を食器洗い機1から取り出すことができる。
【0093】
以上のように構成された食器洗い機1について、その動作および作用を説明する。
【0094】
使用者が食器洗い機1から扉体4を前方に引き出すと、扉体4にフック28によって係合された下食器かご7と、主トレイ20および補助トレイ21が、扉体4に連動して前方に引き出される。使用者は被洗浄物6を下食器かご7にセットする。続いて、使用者は、上食器かご8を引き出して被洗浄物6を上食器かご8にセットし、洗剤を洗浄槽3内に投入する。そして、扉体4上面の操作部9によって洗浄および乾燥のコースや条件を入力し、電源ボタン、スタートボタンを押し、扉体4を閉める。
【0095】
制御部40は、扉体4が閉じられたことを扉体開閉スイッチ(図示せず)により検知すると、運転を開始する。
【0096】
図10は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の洗浄工程における洗浄水の流れが示された側断面図である。
【0097】
まず、洗浄排水ポンプ18が動作して、前回の運転等で洗浄槽3内に残っている洗浄水の残水を食器洗い機1外へ排出する。次に、給水弁29が動作して、所定量の水道水が洗浄水として洗浄槽3内に供給される。
【0098】
所定量の洗浄水が供給されると、排水口30からポンプ水路31によって接続された洗浄排水ポンプ18の内部にも洗浄水が洗剤とともに流れ込む。洗浄排水ポンプ18による加圧が開始され、洗剤が溶け込んだ洗浄水が送水され、分水部32aで分水される。分水部32aで分水された洗浄水の一部は、下結合部13、下導水路12を経て、下洗浄ノズル10に送られる。
【0099】
分水部32aで分水された洗浄水の残りの一部は、上結合部16、上導水路15を経て、上洗浄ノズル11に送られる。
【0100】
それぞれの洗浄ノズルに送水された洗浄水は、下洗浄ノズル10に設けられた噴射孔10aおよび上洗浄ノズル11に設けられた噴射孔11aからそれぞれ被洗浄物6に向けて上方に噴射される。そして同時に、噴射孔10aおよび噴射孔11aから噴射される洗浄水の反力を利用してそれぞれの洗浄ノズルを回転させる。
【0101】
下洗浄ノズル10および上洗浄ノズル11から噴射されて被洗浄物6を洗浄した洗浄水の大半は、主トレイ20上に落ちて後方に向かう下り傾斜に沿って流れる。そして、まず、トレイフィルタ41で粗めの残菜が漉しとられる。次に、排水フィルタ50で細かい残菜が漉しとられる。その後、排水口30に回収され、ポンプ水路31を介して洗浄排水ポンプ18に再び流れ込む。このように洗剤が溶け込んだ洗浄水が循環し、被洗浄物6を洗浄する洗浄工程が行われる。この洗浄工程では、制御部40は洗浄槽3内に設けられたヒータ36に通電して、洗浄水を循環させながら所定温度まで加熱する。
【0102】
この際、洗浄槽3の両側の側壁3e、3fには、後方に向かって下方に傾斜させ、かつ、側壁3e、3fの内側面から主トレイ20に向かって下方向に傾斜させた洗浄水導入部70が設けられている。この洗浄水導入部70によって、洗浄中に洗浄槽3の両側の側壁3e、3fの内側面にかかる洗浄水は、主トレイ20に導入されて、トレイ流出口20b
を通過して洗浄槽3の内底3dに流れ落ちる。したがって、洗浄中の洗浄水が主トレイ20と洗浄槽3の壁面との隙間に流れ込んで汚れや残菜が主トレイ20の周縁に付着することを抑制することができる。
【0103】
さらに主トレイ20上を流れる洗浄水の量が安定する。これによって、洗浄水の水流に乗って洗浄主トレイ20上に落ちた汚れや残菜はトレイ流出口20bに流れる。これにより、主トレイ20に残菜や汚れが付着したままになることがなく主トレイ20を清潔に保て、臭いを発生させる心配もない。
【0104】
さらに、主トレイ20を流れる洗浄水の量が安定し、残菜や汚れを洗い流す水勢を維持できるので、主トレイ20の水平に対する傾斜角度を小さくすることができる。これによって、主トレイ20を配置するためのスペースが少なくて済むので、サイズの大きい食器や調理容器を効率よく収容できる。
【0105】
また、洗浄後に洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面を伝って洗浄水導入部70に落ちてくる洗浄水も同様に、洗浄水導入部70によって主トレイ20上に導かれる。これにより、扉体4が引き出されることに伴って主トレイ20が引き出されたときに、主トレイ20の周縁に水滴や残菜が付着して床面に落下することを防止することができる。
【0106】
なお、比較のため、主トレイ20に洗浄水を導入する洗浄水導入部70が設けられていない場合の洗浄水の流れについて説明する。被洗浄物6を洗浄した洗浄水の流れは、主トレイ20を通過して洗浄槽3の内底3dへと流れる流れと、主トレイ20を通過せずに主トレイ20の周縁と洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fとの隙間を通過して洗浄槽3の内底3dにそのまま流れてしまう流れとが存在する。主トレイ20の周縁と洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fとの隙間を通過する流れによって、主トレイ20の周縁に洗浄中に水滴や残菜が付着しやすくなるとともに、洗浄後に扉体4が引き出されたときに洗浄中に付着した水滴や残菜が主トレイ20から床面に落下してしまう。また、上記2つの流れに分かれることによって、主トレイ20上を流れる水量が減少する。これにより、主トレイ20上に落ちた汚れや残菜を洗い流す勢いが弱くなる。そのため、主トレイ20は水平に対して相当大きく傾斜させる必要が生じ、主トレイ20を設けるためのスペースが余分に必要となり、収容できる食器や調理容器のサイズや数量が制約される。
【0107】
洗浄工程が所定時間行われると、洗浄排水ポンプ18が被洗浄物6から洗い落とされた汚れを含む洗浄水を食器洗い機1外へ排出する。そして、制御部40は、新たに給水弁29を開いて洗浄槽3内に洗浄水を供給し、下洗浄ノズル10および上洗浄ノズル11に設けられた噴射孔10aおよび噴射孔11aから再び洗浄水が噴射されて、洗剤や残菜等で汚れた被洗浄物6をすすぐ、すすぎ工程を実行する。すすぎ工程における洗浄槽3内部の洗浄水の流れは、洗浄工程と同様である。したがって、洗浄水導入部70の作用も、洗浄工程と同様である。
【0108】
このすすぎ工程が終わると、洗浄排水ポンプ18は洗浄水を再び食器洗い機1外へ排出する。このすすぎ工程は連続して複数回繰り返される。そして、複数回行われるすすぎ工程の後に、ヒータ36により洗浄水を所定温度(例えば60℃)まで加熱してすすぐ加熱すすぎ工程が行われる。
【0109】
加熱すすぎ工程が終了すると乾燥工程が開始される。この乾燥工程では、ファン33が動作し、外気が送風経路34を介して送風口35から洗浄槽3内へ送り込まれる。洗浄槽3内に送り込まれた空気は、送風口35の下流方向に設けられたヒータ36により加熱された後、被洗浄物6を乾燥させて排気口37より食器洗い機1の外に排気される。乾燥工程終了後、制御部40は、食器洗い機1の運転を終了し、ブザーで使用者に運転終了を報
知する。
【0110】
食器洗い機1の運転終了後、使用者は扉体4を前方に引き出すことによって下食器かご7を引き出し、洗浄乾燥の終わった被洗浄物6を取り出し、次に上食器かご8を引き出し、被洗浄物6を取り出す。
【0111】
以上のように本実施の形態における食器洗い機1は、前面開口部2を有した洗浄槽3と、洗浄槽3の前面開口部2を覆い前方に引き出し可能な扉体4と、洗浄槽3と扉体4とで形成された洗浄空間5と、洗浄空間5内に収納される下食器かご7と、下食器かご7に収納された食器等の被洗浄物6を洗浄する下洗浄ノズル10と、扉体4とともに引き出される主トレイ20と補助トレイ21とを備え、主トレイ20は、洗浄空間5内の下食器かご7の下方に設けられ、補助トレイ21は、主トレイ20の下方で洗浄空間5外に設けられたものである。
【0112】
洗浄工程が始まり乾燥工程が終わるまでは、被洗浄物6および洗浄槽3内はもちろんのこと、主トレイ20の裏面にも水滴が残っており、その状態で扉体4が引き出されたとき、主トレイ20の裏面に付着した水滴が下に落下することがある。本実施の形態における食器洗い機1は、上記の構成によって、補助トレイ21がその水滴を受けることができるため、水滴が床面に落ちることを防ぐことができる。また補助トレイ21上には水滴しか落ちないため、汚れが蓄積して補助トレイ21や補助トレイ21が収納される空間が不潔な環境になることがない衛生的な食器洗い機を提供することができる。
【0113】
さらに、補助トレイ21を主トレイ20より左右方向の幅寸法を大きくしたことにより、扉体4が引き出されたとき、主トレイ20の裏面から落ちる水滴を補助トレイ21で確実に受けることができ、床面に水滴が落ちることを防ぐことができる。
【0114】
また、扉体4とともに下食器かご7も前方に引き出されることにより、使用者が扉体4を引き出す動作だけで下食器かご7が前方に引き出され、使用者がわざわざ下食器かご7を引き出すことなく下食器かご7に被洗浄物6をセットすることができる。
【0115】
さらに、主トレイ20および補助トレイ21を着脱可能としたことにより、使用者は、主トレイ20および補助トレイ21を取り外して丸洗いすることができ、主トレイ20および補助トレイ21を衛生的に保つことができる。
【0116】
また、扉体4が引き出されたときの主トレイ20と補助トレイ21の隙間は、使用者の手が入る5cm以上の間隔としたことにより、使用者が主トレイ20と補助トレイ21の隙間に手を入れて、主トレイ20を取り外すことなく容易に主トレイ20の下面および補助トレイ21の上面を掃除することができ、主トレイ20および補助トレイ21を衛生的に保つことができる。
【0117】
さらに、補助トレイ21を第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bの2枚のトレイで構成したことにより、扉体4が閉じられたとき、補助トレイ21の水平方向に占める面積を小さくすることができ、排水口30や洗浄排水ポンプ18等のスペースを広く確保することができる。
【0118】
また、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bは、扉体4が洗浄槽3の前面開口部2を覆っているときには上下方向に重ねられて収納され、扉体4が引き出されたときには引き出し方向に展開されることにより、補助トレイ21を折り曲げたり、屈曲させたりすることなく、排水口30や洗浄排水ポンプ18等のスペースを広く確保することができ、小型の食器洗い機を提供することができる。
【0119】
また、扉体4が引き出されて補助トレイ21が引き出し方向に展開されたときに、第1の補助トレイ21aと第2の補助トレイ21bの間にオーバーラップ部21gが存在するように構成したことにより、扉体4がスライドレール60の限界まで前方に引き出されたときにおいても、第2の補助トレイ21bが不安定になり、斜めになったり、外れたりすることを防止できる。また、第1の補助トレイ21a上に落下する洗浄水の床面への落下を防止することができる。
【0120】
また、扉体4が引き出されて補助トレイ21が引き出し方向に展開されたときに、第2の補助トレイ21bは、後方の引っ掛け部21hが洗浄槽3の前面3aに設けられたストッパー3bによって洗浄槽3の前面3aより後方に位置規制される。これによって、第2の補助トレイ21bが洗浄槽3から前方に外れることがない。また、第2の補助トレイ21bの後端が洗浄槽3の前面3aより前方まで出てしまうことがないので、下食器かご7および上食器かご8から落下する洗浄水の床面への落下を防止することができる。
【0121】
また、主トレイ20は、底部の上面が後方に向かって下方に傾斜させて形成もしくは配置され、主トレイ20の後部に底部の上面と下面とを貫通させてトレイ流出口20bが設けられている。これによって、洗浄中はもちろん、洗浄終了後においても、主トレイ20上に落下する洗浄水や水滴を主トレイ20の底部の上面の傾斜およびトレイ流出口20bによって洗浄槽3内に確実に導くことができる。これによって、洗浄中においては、洗浄水の循環を良くして洗浄性能を向上させることができる。また、洗浄終了後においては、主トレイ20上に落下する洗浄水や水滴をすみやかに、主トレイ20上から除去し、洗浄槽3内に移動させることができ、扉体4が引き出されたときに、洗浄水や水滴が床面に落下することを防止することができる。
【0122】
また、主トレイ20のトレイ流出口20bは、扉体4が完全に引き出されたとき、洗浄槽3の前面3aより後方に位置するように構成されている。この構成によって、扉体4が完全に引き出されたときにおいても、主トレイ20上に落下する洗浄水や水滴を確実に洗浄槽3内に収容することができる。したがって、扉体4とともに引き出される主トレイ20がいかなる位置にあっても、主トレイ20上に落下する洗浄水や水滴をトレイ流出口20bによって確実に洗浄槽3内に移動させることができるとともに、食器かごから落下する洗浄水の床面への落下を防止することができる。
【0123】
また、主トレイ20は、トレイ流出口20bに洗浄水に含まれる残菜を捕集するトレイフィルタ41を備えている。トレイフィルタ41が扉体4とともに前方に引き出されることにより、使用者は、残菜の処理を容易に行うことができる。また、洗浄槽3の最下部に位置する排水フィルタ50より洗浄水の流れの上流側にトレイフィルタ41が設けられたことにより、残菜処理が行いづらい排水フィルタ50への残菜の堆積を少なくし、使用者による残菜処理の手間を軽減することができる。
【0124】
また、主トレイ20は、洗浄槽3に対し転動しながら主トレイ20を支持するトレイローラー23を備えている。これによって、主トレイ20が扉体4に片持ち支持された構成においても、主トレイ20を安定して支持した状態で前後に円滑に移動させることができる。これによって、主トレイ20が扉体4とともに前方に引き出される際に、主トレイ20の振動を抑制することができ、主トレイ20に付着した水滴が周囲に飛散することを抑制することができる。また、洗浄中において、主トレイ20上に落ちる洗浄水の荷重に対する主トレイ20の変形を抑えて、主トレイ20の裏面が洗浄槽3の内底3dに流れ込む洗浄水に浸ることを防止することができる。
【0125】
また、洗浄槽3の左右の側壁3e、3fの内側面に、洗浄水を主トレイ20に導入する
洗浄水導入部70が備えられている。この構成によって、洗浄中に洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面にかかる洗浄水は、主トレイ20に導入されて、トレイ流出口20bを通過して洗浄槽3の内底3dに流れ落ちる。したがって、洗浄中の洗浄水が主トレイ20と洗浄槽3の壁面との隙間に流れ込んで汚れや残菜が主トレイ20の周縁に付着することを抑制することができる。また、主トレイ20上を流れる洗浄水の量を安定させ、主トレイ20に残菜や汚れが付着したままになることを防止できる。また、洗浄後においても、洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面を伝って洗浄水導入部70に落ちてくる洗浄水も同様に主トレイ20上に導かれ、主トレイ20の周縁に水滴や残菜が付着して床面に落下することを防止することができる。
【0126】
また、洗浄水導入部70は、主トレイ20の周縁を覆うように主トレイ20の上方に設けられている。この構成によって、洗浄中の洗浄水は確実に主トレイ20上に導入され、主トレイ20と洗浄槽3の壁面との隙間に流れ込んで残菜や汚れが主トレイ20の周縁に付着することを抑制することができる。
【0127】
また、洗浄水導入部70は、主トレイ20が移動するトレイレール24を覆うようにトレイレール24の上方に設けられている。この構成によって、残菜や汚れがトレイレール24に付着して主トレイ20の前後方向の移動が阻害されることを防止することができる。
【0128】
また、洗浄水導入部70は、後方に向かって下方に傾斜させて設けられている。この構成によって、洗浄中に洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面にかかる洗浄水を、トレイ流出口20bおよびトレイフィルタ41を備えた主トレイ20の後部に可能な限り集中させて導入し、洗浄槽3の内底3dに落下させることができる。これによって、主トレイ20の上面に残菜や汚れが残存することを抑制することができる。また、洗浄後に洗浄水導入部70の表面に水滴や残菜や汚れが残存することを抑制することができる。
【0129】
また、洗浄水導入部70は、洗浄槽3の内方に向かって下方に傾斜させて設けられている。この構成によって、洗浄中に洗浄槽3の左右両側の側壁3e、3fの内側面にかかる洗浄水を、確実に主トレイ20上に導くことができる。また、洗浄後に洗浄水導入部70の表面に水滴や残菜や汚れが残存することを抑制することができる。
【0130】
なお、本実施の形態においては、下導水路12と主トレイ20は独立して設けられているが、下導水路12を主トレイ20と一体で形成して、下洗浄ノズル10を下導水路12上方に設ければ、下導水路12の形状を避けるために下食器かご7の形状を凸状に変形させる必要がなく、被洗浄物6の下食器かご7への載置に対する制限が少なくなる。
【0131】
また、本実施の形態においては、洗浄水導入部70は、洗浄槽3の左右の側壁3e、3fに設けられているが、扉体4の内側面にも同様の洗浄水導入部が設けられていてもよい。
【0132】
なお、本実施の形態においては、扉体4の内側面にも同様の洗浄水導入部が設けられていてもよい。
【0133】
また、本実施の形態においては、後方条体部81を条体で構成しているが、金属板や樹脂板のような面状のものであってもよい。
【0134】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における食器洗い機について、図面を参照しながら説明する。以下、実施の形態1の構成、動作との相違点を中心に述べ、実施の形態1と同一構成
要素については同一符号を付してその構成、動作の詳細な説明を省略する。
【0135】
図11(a)は、本発明の実施の形態2における食器洗い機の下食器かごの斜視図である。図11(b)は、本発明の実施の形態2における食器洗い機の下食器かごの後方条体部が後方に回動した状態の斜視図である。
【0136】
図11(a)および図11(b)に示されるように、下食器かご7の後方条体部81は、後方に回動自在に構成され、図11(a)の状態のとき、後方条体部81が回動しないように左右の保持部材82により保持されている。
【0137】
以上のように本実施の形態における食器洗い機1は、下食器かご7に被洗浄物6が載置されていたとしても、後方条体部81は被洗浄物6が載置されていない方向に回動するため、被洗浄物6と接触することがなく、使用者は被洗浄物6の有無を意識することなく後方条体部81を回動させ、容易に排水フィルタ50を食器洗い機1から取り出すことができる。
【0138】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における食器洗い機について、図面を参照しながら説明する。以下、実施の形態1の構成、動作との相違点を中心に述べ、実施の形態1と同一構成要素については同一符号を付してその構成、動作の詳細な説明を省略する。
【0139】
図12(a)は、本発明の実施の形態3における食器洗い機の下食器かごの斜視図である。図12(b)は、本発明の実施の形態3における食器洗い機の下食器かごの後方条体部が下方にスライドした状態の斜視図である。
【0140】
図12(a)および図12(b)に示されるように、後方条体部81は保持部材82の溝に沿って上下にスライド可能に構成され、最も上方に移動したときに自重で下方に動かないように左右の保持部材82により保持されている。
【0141】
以上のように本実施の形態における食器洗い機1は、下食器かご7に被洗浄物6が載置されていたとしても、後方条体部81は被洗浄物6が載置されていない方向にスライドするため、被洗浄物6と接触することがなく、使用者は被洗浄物6の有無を意識することなく容易に排水フィルタ50を食器洗い機1から取り出すことができ、また下食器かご7を後方に移動させたとき、後方条体部81が洗浄槽3と接触することがなく、使用者は後方条体部81の位置を気にすることなく下食器かご7を後方に動かすことができる。
【0142】
なお、本実施の形態においては、後方条体部81は上下にスライドしたが、左右や斜めにスライドし、後方空間部80を確保してもよい。
【0143】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4における食器洗い機について、図面を参照しながら説明する。以下、実施の形態1の構成、動作との相違点を中心に述べ、実施の形態1と同一構成要素については同一符号を付してその構成、動作の詳細な説明を省略する。
【0144】
図13(a)は、本発明の実施の形態4における食器洗い機の下食器かごの斜視図である。図13(b)は、本発明の実施の形態4における食器洗い機の下食器かごの後方条体部が取り出された状態の斜視図である。
【0145】
図13(a)および図13(b)に示されるように、後方条体部81は下食器かご7から着脱自在に構成され、食器かご7に装着されているときは左右の保持部材82により保
持されている。
【0146】
以上のように本実施の形態における食器洗い機1は、下食器かご7に被洗浄物6が載置されていたとしても、後方条体部81は被洗浄物6が載置されていない方向に取り外せるため、被洗浄物6と接触することがなく、使用者は被洗浄物6の有無を意識することなく容易に排水フィルタ50を食器洗い機1から取り出すことができ、また下食器かご7を後方に移動させたとき、後方条体部81が洗浄槽3と接触することがなく、使用者は後方条体部81の位置を気にすることなく下食器かご7を後方に動かすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
以上のように、本発明にかかる食器洗い機は、使用者がフィルタに堆積した残菜を取り除くため、容易にフィルタを取り出すことができる。したがって、食器洗い機および食器乾燥機のみならずフィルタを有する保管庫等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0148】
1 食器洗い機
2 前面開口部
3 洗浄槽
3a 前面
3e、3f 側壁
4 扉体
5 洗浄空間
7 下食器かご
8 上食器かご
10 下洗浄ノズル
11 上洗浄ノズル
18 洗浄排水ポンプ
21 補助トレイ(トレイ)
21a 第1の補助トレイ
21b 第2の補助トレイ
50 排水フィルタ
50a 第1の排水フィルタ
50b 第2の排水フィルタ
50c 第3の排水フィルタ
80 後方空間部
81 後方条体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13