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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20231117BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
H05K13/08 D
H05K13/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020000895
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021111652
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】森田 敬太
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を基板に装着する実装装置と前記基板に装着された前記複数の部品を検査する検査装置とを有する部品実装システムにおいて、
前記検査装置は、
前記基板の識別情報を取得する検査基板識別情報取得手段と、
前記複数の部品のうち装着が不良な装着不良部品の情報を前記検査基板識別情報取得手段によって取得された前記識別情報と共に送信する送信手段と、を備え、
前記実装装置は、
前記実装装置に搬入された基板の識別情報を取得する実装基板識別情報取得手段と、
前記実装基板識別情報取得手段によって取得された識別情報と同じ識別情報が前記送信手段によって送信されたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって同じ識別情報が前記送信手段によって送信されたと判定された場合に、前記識別情報と共に送信された前記装着不良部品の情報を取得する装着不良部品情報取得手段と、
前記装着不良部品情報取得手段によって取得された前記装着不良部品の情報を表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示された前記装着不良部品の情報が作業者によって確認されたら前記装着不良部品を前記搬入された基板に装着する装着手段と、を備える、部品実装システム。
【請求項2】
前記表示手段は、前記装着不良部品のうち予め設定された条件に一致する再装着対象部品の情報を表示し、
前記装着手段は、作業者によって確認された前記再装着対象部品を前記搬入された基板に装着する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
複数の部品を基板に装着する実装装置と前記基板に装着された前記複数の部品を検査する検査装置とを有する部品実装システムにおいて、
前記検査装置は、
前記基板の識別情報を取得する検査基板識別情報取得手段と、
前記複数の部品のうち装着が不良な装着不良部品の情報を前記検査基板識別情報取得手段によって取得された前記識別情報と共に記憶する記憶手段と、を備え、
前記実装装置は、
前記実装装置に搬入された基板の識別情報を取得する実装基板識別情報取得手段と、
前記実装基板識別情報取得手段によって取得された識別情報と同じ識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって同じ識別情報が前記記憶手段に記憶されていると判定された場合に、前記識別情報と共に記憶された前記装着不良部品の情報を取得する装着不良部品情報取得手段と、
前記装着不良部品情報取得手段によって取得された前記装着不良部品の情報を表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示された前記装着不良部品の情報が作業者によって確認されたら前記装着不良部品を前記搬入された基板に装着する装着手段と、を備える、部品実装システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記装着不良部品のうち予め設定された条件に一致する再装着対象部品の情報を表示し、
前記装着手段は、作業者によって確認された前記再装着対象部品を前記搬入された基板に装着する、請求項3に記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を基板に装着する実装装置と基板に装着された部品を検査する検査装置を有する部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装した実装基板を生産する部品実装ラインは、部品を基板に装着する実装装置、基板に装着された部品を検査する検査装置などが連結されて構成されている。検査装置において実装不良の部品が発見された基板は、作業者によって部品実装ラインから取り出され、不良の部品が取り除かれた後に部品実装ラインに再投入され、取り除かれた部品が実装装置によって再装着される。これら一連のリペア作業は複雑な作業であり、人為的ミスも発生しやすいため、従来よりリペア作業を支援する部品実装システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の部品実装システムでは、再装着作業を行う実装装置が検査カメラを備えており、検査カメラが再投入された基板を検査して、部品が除去された箇所を発見すると、その箇所に部品を再装着している。これによって、人為的ミスの回避と作業者の負担の削減を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-82375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、実施可能な実装装置が装着作業では必須ではない検査カメラを備えている実装装置に限定され、また、再投入された基板の検査に時間を要するため実装効率が低下するという問題があり、リペア作業を効率化するためには更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、装着が不良の部品を基板から除去して実装装置に再投入して再装着するリペア作業を簡略化することができる部品実装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装システムは、複数の部品を基板に装着する実装装置と前記基板に装着された前記複数の部品を検査する検査装置とを有する部品実装システムにおいて、前記検査装置は、前記基板の識別情報を取得する検査基板識別情報取得手段と、前記複数の部品のうち装着が不良な装着不良部品の情報を前記検査基板識別情報取得手段によって取得された前記識別情報と共に送信する送信手段と、を備え、前記実装装置は、前記実装装置に搬入された基板の識別情報を取得する実装基板識別情報取得手段と、前記実装基板識別情報取得手段によって取得された識別情報と同じ識別情報が前記送信手段によって送信されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって同じ識別情報が前記送信手段によって送信されたと判定された場合に、前記識別情報と共に送信された前記装着不良部品の情報を取得する装着不良部品情報取得手段と、前記装着不良部品情報取得手段によって取得された前記装着不良部品の情報を表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された前記装着不良部品の情報が作業者によって確認されたら前記装着不良部品を前記搬入された基板に装着する装着手段と、を備える。
【0008】
本発明の他の部品実装システムは、複数の部品を基板に装着する実装装置と前記基板に装着された前記複数の部品を検査する検査装置とを有する部品実装システムにおいて、前記検査装置は、前記基板の識別情報を取得する検査基板識別情報取得手段と、前記複数の部品のうち装着が不良な装着不良部品の情報を前記検査基板識別情報取得手段によって取得された前記識別情報と共に記憶する記憶手段と、を備え、前記実装装置は、前記実装装置に搬入された基板の識別情報を取得する実装基板識別情報取得手段と、前記実装基板識別情報取得手段によって取得された識別情報と同じ識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって同じ識別情報が前記記憶手段に記憶されていると判定された場合に、前記識別情報と共に記憶された前記装着不良部品の情報を取得する装着不良部品情報取得手段と、前記装着不良部品情報取得手段によって取得された前記装着不良部品の情報を表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された前記装着不良部品の情報が作業者によって確認されたら前記装着不良部品を前記搬入された基板に装着する装着手段と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装着が不良の部品を基板から除去して実装装置に再投入して再装着するリペア作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の実装装置の構成を示す平面図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
図4】本発明の一実施の形態の実装装置のタッチパネルに表示された再装着部品確認画面の例を示す図
図5】本発明の一実施の形態の実装装置のタッチパネルに表示された再装着部品確認画面の例を示す図
図6】本発明の一実施の形態の実装基板の製造方法のフロー図
図7】本発明の一実施の形態の部品装着方法のフロー図
図8】本発明の一実施の形態の基板検査方法のフロー図
図9】本発明の一実施の形態の部品装着方法の他の実施例のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、実装装置、検査装置、実装基板の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。
【0014】
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を装着して実装基板を製造する機能を有する。部品実装システム1は、基板搬送方向の上流側(紙面左側)から下流側(紙面右側)に向けて、第1コンベアM1、実装装置M2、検査装置M3、第2コンベアM4が直列に連結されている。各装置は通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されており、また各装置は通信ネットワーク2を介して相互にデータを送受信する。なお、部品実装システム1が備える実装装置M2は1台に限定されることはなく、2台以上でも良い。
【0015】
第1コンベアM1、実装装置M2、検査装置M3、第2コンベアM4は、それぞれ基板搬送機構4~7を備えている。基板搬送機構4~7は直列に連結されており、上流側の装置から下流側の装置に基板Bを搬送する。第1コンベアM1は、上流側に連結される基板Bに形成された電極Eに半田ペーストを印刷する印刷装置などの生産設備から基板Bを受け取り(矢印a)、実装装置M2に搬出する。実装装置M2は、装着ヘッドによって第1コンベアM1から搬送された基板Bの装着位置に部品供給部から取り出したチップ部品DやコネクタSなどの部品を装着する部品装着作業を行う。
【0016】
図1において、検査装置M3は、検査カメラ8によって実装装置M2から搬送された基板Bに装着された部品(チップ部品D、コネクタS)の装着状態を検査し、装着位置を計測する。第2コンベアM4は、検査装置M3から搬送された部品装着後の基板Bを受け取り、下流側に連結される基板Bを加熱して半田ペーストを融解させるリフロー装置などに搬出する(矢印b)。管理コンピュータ3は、ライン管理機能と併せて、検査装置M3によって取得された検査結果を受信して記憶する機能を有している。
【0017】
第1コンベアM1と第2コンベアM4は、上流側から受け取った基板Bを一時保管(仮置き)して下流側に搬出する機能に加えて、作業者が基板搬送機構4,7から基板Bを出し入れ可能な機能を有している。検査装置M3によって、部品が装着されない欠落、装着位置がずれる位置ズレ、部品の立ち・浮きなどの装着が不良な装着不良部品が検出された基板B1は、作業者によって第2コンベアM4から取り出される(矢印c)。作業者は、装着不良部品を取り除いたり、部品の装着状態を修正したりするリペア作業を実施した後(矢印d)、第1コンベアM1からリペア後の基板B1を再投入する(矢印e)。再投入された基板B1には、実装装置M2によって部品が再装着される。
【0018】
次に図2を参照して、実装装置M2の構成を説明する。基台10の中央には、基板搬送機構5がX方向に設置されている。基板搬送機構5は、上流側の第1コンベアM1から搬送された基板BをX方向へ搬入し、以下に説明する装着ヘッドによる装着作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品装着作業が完了した基板Bを下流側の検査装置M3に搬出する。
【0019】
基板搬送機構5の両側方には、部品供給部11がそれぞれ設置されている。部品供給部11には、複数のテープフィーダ12がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ12は、部品(チップ部品D、コネクタS)を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部11の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、装着ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。また、一方の部品供給部11には、大型部品やコネクタSを収容した複数のトレイ13を部品取出し位置に供給するトレイフィーダ14が装着されている。
【0020】
図2において、基台10の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル15が配置されている。2基のY軸テーブル15の間には、同様にリニア機構を備えたビーム16がY方向に移動自在に結合されている。ビーム16には、装着ヘッド17がX方向に移動自在に装着されている。装着ヘッド17は、下端に装着された吸着ノズルによって部品(チップ部品D、コネクタS)を保持して昇降可能な複数の吸着ユニット(図示省略)を備えている。
【0021】
Y軸テーブル15およびビーム16は、装着ヘッド17を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる装着ヘッド移動機構を構成する。装着ヘッド移動機構および装着ヘッド17は、部品供給部11に装着されているテープフィーダ12、トレイフィーダ14の部品取出し位置から部品をピックアップし、基板搬送機構5に保持された基板Bの装着位置に装着する部品装着作業を実行する装着手段18を構成する。部品装着作業において装着ヘッド17は、部品供給部11の上方に移動し、各吸着ノズルで所定の部品(チップ部品D、コネクタS)をそれぞれピックアップし、基板Bの上方に移動し、各吸着ノズルが保持する部品をそれぞれの部品装着位置に装着する一連の装着ターンを繰り返す。
【0022】
図2において、ビーム16には、ビーム16の下面側に位置して装着ヘッド17とともに一体的に移動するヘッドカメラ19が装着されている。装着ヘッド17が移動することにより、ヘッドカメラ19は基板搬送機構5の装着作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板Bの位置を認識する。また、ヘッドカメラ19は基板Bに設けられた基板Bを特定する識別情報(基板番号など)を記録するバーコードや2次元コードなどの識別マークMを撮像する。
【0023】
部品供給部11と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ20が設置されている。部品認識カメラ20は、部品供給部11から部品(チップ部品D、コネクタS)を取り出した装着ヘッド17が部品認識カメラ20の上方に位置した際に、吸着ノズルに保持された部品を下方から撮像する。装着ヘッド17による部品の基板Bへの部品装着作業では、ヘッドカメラ19による基板Bの認識結果と部品認識カメラ20による部品の認識結果とを加味して装着位置の補正が行われる。
【0024】
図2において、実装装置M2の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル21が設置されている。タッチパネル21は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や実装装置M2の操作を行う。
【0025】
次に図3を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。管理コンピュータ3、実装装置M2および検査装置M3は、通信ネットワーク2を介して相互に接続されている。実装装置M2は、実装制御装置30、基板搬送機構5、部品供給部11、装着手段18、ヘッドカメラ19、部品認識カメラ20、タッチパネル21を備えている。実装制御装置30は、実装記憶部31、実装識別処理部32、判定処理部33、情報取得部34、抽出処理部35、表示処理部36、装着制御部37、実装通信部38を備えている。
【0026】
実装通信部38は、通信ネットワーク2を介して検査装置M3、管理コンピュータ3との間でデータの送受信を行う。実装記憶部31は記憶装置であり、実装データ31a、検査結果データ31b、抽出条件データ31c、再装着データ31dなどが記憶されている。実装データ31aには、実装基板の生産機種名(基板名)、基板Bに装着される部品の種類(部品名)、装着位置(XY座標)、装着方向(θ方向)、装着順序などが含まれている。
【0027】
図3において、検査装置M3は、検査制御装置40、基板搬送機構6、検査カメラ8、検査カメラ移動機構9を備えている。検査制御装置40は、検査記憶部41、検査識別処理部42、検査制御部43、検査送信処理部44、検査通信部45を備えている。検査通信部45は、通信ネットワーク2を介して実装装置M2、管理コンピュータ3との間でデータの送受信を行う。検査記憶部41は記憶装置であり、検査データ41a、検査結果データ41bなどが記憶されている。検査データ41aは、実装基板の生産機種名(基板名)、基板Bに装着される部品の種類(部品名)、装着位置(XY座標)、装着方向(θ方向)などが含まれている。
【0028】
図3において、管理コンピュータ3は、管理処理装置50を備えている。管理処理装置50は、管理記憶部51、管理送信処理部52、入力部53、表示部54、管理通信部55を備えている。管理記憶部51は記憶装置であり、生産データ51a、検査結果データ51bなどが記憶されている。生産データ51aは、部品実装システム1における実装基板の生産に必要なデータであり、実装装置M2で使用される実装データ31a、検査装置M3で使用される検査データ41aなどが含まれる。管理コンピュータ3は、部品実装システム1で生産する実装基板に応じて、実装装置M2、検査装置M3などに必要なデータを送信する。
【0029】
入力部53は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部54は液晶パネルなどの表示装置であり、管理記憶部51が記憶する各種データを表示する他、入力部53による操作のための操作画面、データ入力画面などを表示画面に表示する。管理通信部55は、通信ネットワーク2を介して実装装置M2、検査装置M3との間でデータの送受信を行う。
【0030】
図3において、検査識別処理部42は、検査カメラ8で基板Bに付された識別マークMを撮像し、撮像画像を認識処理して基板Bを特定する識別情報(基板番号など)を取得する。すなわち、検査カメラ8と検査識別処理部42は、検査装置M3に搬入された基板Bの識別情報を取得する検査基板識別情報取得手段である。検査制御部43は、検査データ41aに含まれる基板Bに装着された部品(チップ部品D、コネクタS)の装着位置に基づいて検査カメラ8、検査カメラ移動機構9を制御して装着位置を撮像させ、基板Bに装着された部品の装着状態を検査する。
【0031】
基板Bに装着された複数の部品のうち、検査により検出された欠落、位置ズレ、部品の立ち・浮きなどで装着が不良な装着不良部品の情報は、検査基板識別情報取得手段によって取得された識別情報(基板番号)と共に検査結果データ41bとして検査記憶部41(記憶手段)に記憶される。検査送信処理部44は、検査通信部45、通信ネットワーク2を介して検査結果データ41bを管理コンピュータ3または実装装置M2に送信する。すなわち、検査送信処理部44と検査通信部45は、複数の部品のうち装着が不良な装着不良部品の情報を識別情報と共に送信する送信手段を構成する。なお、送信手段は、実装装置M2から要求された場合のみ、要求された識別情報の基板Bの検査結果データ41bを実装装置M2に送信するようにしてもよい。
【0032】
図3において、管理コンピュータ3に送信された検査結果データ41bは、検査結果データ51bとして管理記憶部51に記憶される。管理送信処理部52は、実装装置M2から要求された識別情報(基板番号)の基板Bの検査結果データ51bを管理通信部55、通信ネットワーク2を介して実装装置M2に送信する。実装装置M2に送信された検査結果データ41bまたは検査結果データ51bは、検査結果データ31bとして実装記憶部31に記憶される。
【0033】
図3において、実装識別処理部32は、ヘッドカメラ19によって撮像された基板Bに付された識別マークMの撮像画像を認識処理して、基板Bを特定する識別情報(基板番号)を取得する。すなわち、ヘッドカメラ19と実装識別処理部32は、実装装置M2に搬入された基板Bの識別情報を取得する実装基板識別情報取得手段である。判定処理部33(判定手段)は、実装基板識別情報取得手段によって取得された識別情報と同じ識別情報の基板Bの検査結果データ41bが検査装置M3の送信手段(検査送信処理部44、検査通信部45)によって送信されたか否かを判定する。
【0034】
具体的には、判定処理部33は、取得された識別情報と同じ識別情報の検査結果データ31bが実装記憶部31に記憶されている場合は、送信手段によって送信されたと判定する。または、判定処理部33は、取得された識別情報と同じ識別情報の検査結果データ41bが検査記憶部41(記憶手段)に記憶されているか否かを検査装置M3に問い合わせる。あるいは、判定処理部33は、取得された識別情報と同じ識別情報の検査結果データ51bが管理記憶部51(記憶手段)に記憶されているか否かを管理コンピュータ3に問い合わせる。
【0035】
図3において、実装記憶部31に同じ識別情報の検査結果データ31bが記憶されている場合、すなわち、判定処理部33によって同じ識別情報が送信されたと判定された場合、情報取得部34(装着不良部品情報取得手段)は識別情報と共に送信された装着不良部品の情報を実装記憶部31から取得する。または、判定処理部33によって同じ識別情報の検査結果データ41bが検査記憶部41に記憶されていると判定された場合、情報取得部34は識別情報と共に記憶された装着不良部品の情報を検査記憶部41から取得する。あるいは、判定処理部33によって同じ識別情報の検査結果データ51bが管理記憶部51に記憶されていると判定された場合、情報取得部34は識別情報と共に記憶された装着不良部品の情報を管理記憶部51から取得する。
【0036】
抽出処理部35は、情報取得部34によって取得された装着不良部品の情報の中から、実装記憶部31に記憶されている抽出条件データ31cから選択された抽出条件に一致する再装着対象部品の情報を抽出する。抽出された再装着対象部品の情報は、再装着データ31dとして実装記憶部31に記憶される。抽出条件データ31cには、例えば、チップ部品DやコネクタSなどの部品形状に基づく抽出条件、部品の欠落、位置ズレ、浮きなどの装着不良内容に基づく抽出条件などが予め設定されている。
【0037】
図3において、表示処理部36は、情報取得部34(装着不良部品情報取得手段)によって取得された装着不良部品の情報をタッチパネル21(表示手段)に表示させる。あるいは、表示処理部36は、抽出処理部35によって抽出された装着不良部品のうち予め設定された条件(抽出条件データ31c)に一致する再装着対象部品の情報(再装着データ31d)をタッチパネル21に表示する。
【0038】
図3において、装着制御部37は、内部処理部として再装着制御部37aを備えている。装着制御部37は、実装データ31aに含まれる装着位置、装着方向、装着順序に基づいて部品供給部11、装着手段18を制御して、上流側の装置から搬入された部品が未装着の基板Bに部品を装着する部品装着作業を実行させる。再装着制御部37aは、再装着データ31dに含まれる装着位置、装着方向、装着順序に基づいて部品供給部11、装着手段18を制御して、第1コンベアM1に再投入された基板Bに再装着対象部品を再装着する部品装着作業を実行させる。
【0039】
次に図4を参照して、表示処理部36によってタッチパネル21に表示された再装着部品確認画面60の例について説明する。再装着部品確認画面60には、「基板名」表示枠61、「基板番号」表示枠62、「抽出条件」選択枠63、「再装着対象部品」表示枠64、「詳細設定」ボタン65、「確認」ボタン66が表示されている。「基板名」表示枠61には、部品実装システム1において生産中の実装基板の生産機種名(A1)が表示されている。「基板番号」表示枠62には、第1コンベアM1に再投入されて実装装置M2に搬入され、認識情報(基板番号)が取得された再投入基板の基板番号(0012)が表示されている。
【0040】
「抽出条件」選択枠63には、抽出条件データ31cに設定されている抽出条件が選択されて表示されている。「抽出条件」選択枠63のドロップダウンボタン63aを操作することで、適用される抽出条件を選択することができる。この例では、抽出条件として「全て」が選択されている。「再装着対象部品」表示枠64には、「抽出条件」選択枠63で選択されている抽出条件に基づいて抽出処理部35によって抽出された再装着対象部品の情報(再装着データ31d)が表示されている。「抽出条件」選択枠63には、再装着対象部品の情報として、「位置番号」「部品装着位置」「部品名」「部品形状」「不良内容」が表示されている。
【0041】
図4において、「位置番号」は実装データ31aにおいて設定されている装着順番であり、「部品装着位置」は装着位置(XY座標)と装着方向(θ方向)を示している。「部品名」は部品の種類(部品名)であり、「部品形状」は部品の形状を示している。この例で「チップ」はチップ部品D、「コネクタ」はコネクタSを示している。「不良内容」は検査装置M3で検出された装着不良の内容を示している。この例では「欠落」は部品の欠落、「ズレ」は部品の位置ズレ、「浮き」は部品の浮きを示している。
【0042】
「詳細設定」ボタン65が操作されると、再装着対象部品を実装データ31aに基づいて詳細に設定する再装着部品詳細設定画面(図示省略)に遷移する。「確認」ボタン66が操作されると、「再装着対象部品」表示枠64に表示されている装着不良部品が再装着対象部品として確定されて、再装着制御部37aによって基板Bに再装着される。作業者は、再装着部品確認画面60において再装着対象部品を確認すると、「確認」ボタン66を操作する。
【0043】
すなわち、タッチパネル21(表示手段)に表示された「再装着対象部品」表示枠64の装着不良部品の情報が作業者によって確認されたら(「確認」ボタン66が操作されたら)、装着手段18は装着不良部品を搬入された基板Bに装着する。これによって、実装が不良の部品を基板Bから除去して実装装置M2に再投入して再装着するリペア作業を簡略化することができる。
【0044】
次に図5を参照して、表示処理部36によってタッチパネル21に表示された再装着部品確認画面70の例について説明する。図5は、「抽出条件」選択枠71において抽出条件として「チップ部品」が選択されているところが図4に示す再装着部品確認画面60と異なる。以下、再装着部品確認画面60と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。「再装着対象部品」表示枠72には、抽出条件に基づいて絞り込まれている位置番号が「003」と「006」の2つのチップ部品Dが再装着対象部品として表示されている。
【0045】
この例では、位置番号が「007」のコネクタSは装着不良により基板Bから浮いていたが作業者によるリペア作業によって浮きが修復されたため、実装装置M2での再装着は不要である。一方、位置ズレしている位置番号が「006」のチップ部品Dは作業者によって除去されて、実装装置M2で再装着される。また、欠落している位置番号が「003」の部品装着位置にも、実装装置M2でチップ部品Dが再装着される。
【0046】
作業者が再装着部品確認画面70において再装着対象部品を確認して「確認」ボタン66を操作すると、装着手段18は、作業者によって確認された再装着対象部品を搬入された基板Bに装着する。このように、作業者によるリペア作業の後に再装着が必要となる部品を抽出する抽出条件を予め抽出条件データ31cとして記憶させておくことで、実装が不良の部品を基板Bから除去して実装装置M2に再投入して再装着するリペア作業を簡略化することができる。
【0047】
なお、実装基板に装着される部品の種類などから再装着対象部品を抽出する抽出条件が決定しているような場合は、作業者による確認を省略して、再投入された基板Bが実装装置M2に搬入されると、装着手段18による再装着対象部品の再装着を開始するようにしてもよい。
【0048】
次に図6のフローに沿って、部品実装システム1によって基板Bに部品を装着する実装基板の製造方法について説明する。まず、実装装置M2において、第1コンベアM1を介して上流側の装置から搬入された部品が未装着の基板Bに全ての部品を装着する部品装着作業が実行される(ST1:部品装着工程)。次いで検査装置M3において、基板Bに装着された部品の装着状態が検査される(ST2:基板検査工程)。
【0049】
装着不良部品がない基板Bは(ST3においNo)、第2コンベアM4を介して下流側の装置に搬出される。装着不良部品がある基板Bは(ST3においYes)、作業者によって第2コンベアM4から取り出されてリペア作業が実行される(ST5:リペア作業工程)。リペア後の基板Bは第1コンベアM1から再投入され、部品装着工程(ST1)において再装着対象部品が再装着される。
【0050】
次に図7のフローに沿って、部品装着工程(ST1)の詳細(部品装着方法)について説明する。まず、基板搬送機構5によって基板Bが装着作業位置まで搬入される(ST11)。次いで実装基板識別情報取得手段(ヘッドカメラ19、実装識別処理部32)によって、搬入された基板Bの識別情報(基板番号)が取得される(ST12:実装基板識別情報取得工程)。次いで判定手段(判定処理部33)によって、搬入された基板Bが再投入基板か否かが判定される(ST13)。具体的には、判定手段は、取得された識別情報と同じ識別情報の検査結果データ41bが検査装置M3から送信された場合、または検査記憶部41、管理記憶部51、実装記憶部31のいずれかに記憶されている場合に、再投入基板であると判定する。
【0051】
再投入基板の場合(ST13においてYes)、装着不良部品情報取得手段(情報取得部34)によって再投入基板の装着不良部品の情報(検査結果データ31b、41b、51b)が取得される(ST14:装着不良部品情報取得工程)。次いで抽出処理部35によって装着不良部品のうち予め設定された条件(抽出条件データ31c)に一致する再装着対象部品の情報が抽出され、表示処理部36によって表示手段(タッチパネル21)に再装着部品確認画面60、70が表示される(ST15:表示工程)。
【0052】
図7において、再装着部品確認画面60、70に表示された再装着対象部品が作業者によって確認されて「確認」ボタン66が操作されると(ST16においてYes)、再装着制御部37aによって再装着対象部品が基板Bに装着される(ST17:再装着工程)。「詳細設定」ボタン65が操作されると(ST16においてNo)、再装着部品詳細設定画面に遷移して作業者による再装着対象部品の詳細設定が実行される(ST18)。
【0053】
搬入された基板Bが未装着基板の場合(ST13においてNo)、装着制御部37によって全ての部品が基板Bに装着される(ST19:全装着工程)。再装着工程(ST17)または全装着工程(ST19)が終了すると、基板搬送機構5によって基板Bが検査装置M3に搬出され(ST20)、部品装着工程(ST1)が完了する。
【0054】
次に図8のフローに沿って、基板検査工程(ST2)の詳細(基板検査方法)について説明する。まず、基板搬送機構6によって部品が装着された基板Bが搬入される(ST21)。次いで検査基板識別情報取得手段(検査カメラ8、検査カメラ移動機構9)によって、搬入された基板Bの識別情報(基板番号)が取得される(ST22:検査基板識別情報取得工程)。次いで検査制御部43によって基板Bに装着された部品の装着状態が検査される(ST23)。
【0055】
次いで装着不良部品の情報と取得された識別情報を関連付けて検査結果データ41bとして検査記憶部41に記憶する(ST24)。次いで送信手段(検査送信処理部44、検査通信部45)によって、検査結果データ41bが管理コンピュータ3または実装装置M2に送信される(ST25:送信工程)。次いで基板搬送機構6によって基板Bが第2コンベアM4に搬出され(ST26)、基板検査工程(ST2)が完了する。
【0056】
次に図9のフローに沿って、部品装着工程(ST1)の他の実施例(部品装着方法)について説明する。他の実施例は、装着不良部品の情報(再装着対象部品の情報)のタッチパネル21への表示(ST15)および作業者による確認(ST16)が省略されるところが図7に示す部品装着工程(ST1)と異なる。以下、図7に示す部品装着工程(ST1)と同じ工程は同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
まず、基板Bが装着作業位置まで搬入され(ST11)、実装基板識別情報取得工程(ST12)により搬入された基板Bの識別情報(基板番号)が取得される。再投入基板の場合(ST13においてYes)、装着不良部品情報取得工程(ST14)により再投入基板の装着不良部品の情報が取得され、抽出処理部35によって装着不良部品のうち予め設定された条件(抽出条件データ31c)に一致する再装着対象部品の情報が抽出される(ST31)。
【0058】
次いで再装着工程(ST17)により再装着対象部品が基板Bに装着される。搬入された基板Bが未装着基板の場合(ST13においてNo)、全装着工程(ST19)が実行される。再装着工程(ST17)または全装着工程(ST19)が終了すると、基板搬送機構5によって基板Bが検査装置M3に搬出され(ST20)、部品装着工程(ST1)の他の実施例が完了する。このように、部品装着工程(ST1)の他の実施例では、リペア作業後に作業者が第1コンベアM1から基板Bを再投入すると、リペア作業によって基板Bから除去された再装着対象部品が自動的に再装着される。これによって、リペア作業が簡略化される。
【0059】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装システム1は、複数の部品を基板Bに装着する実装装置M2と、基板Bに装着された複数の部品を検査する検査装置M3とを有している。検査装置M3は、基板Bの識別情報を取得する検査基板識別情報取得手段(検査カメラ8、検査カメラ移動機構9)と、装着不良部品の情報(検査結果データ41b)を識別情報と共に送信する送信手段(検査送信処理部44、検査通信部45)を備えている。
【0060】
また、実装装置M2は、基板Bの識別情報を取得する実装基板識別情報取得手段(ヘッドカメラ19、実装識別処理部32)と、取得された識別情報と同じ識別情報が送信されたか否かを判定する判定手段(判定処理部33)と、同じ識別情報が送信されたと判定された場合に、識別情報と共に送信された装着不良部品の情報を取得する装着不良部品情報取得手段(情報取得部34)と、装着不良部品の情報を表示する表示手段(タッチパネル21)と、表示された装着不良部品の情報が作業者によって確認されたら装着不良部品を基板Bに装着する装着手段18と、を備えている。これによって、実装が不良の部品を基板Bから除去して実装装置M2に再投入して再装着するリペア作業を簡略化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の部品実装システムは、装着が不良の部品を基板から除去して実装装置に再投入して再装着するリペア作業を簡略化することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 部品実装システム
8 検査カメラ(検査基板識別情報取得手段)
18 装着手段
19 ヘッドカメラ(実装基板識別情報取得手段)
21 タッチパネル(表示手段)
B、B1 基板
D チップ部品(部品)
M2 実装装置
M3 検査装置
S コネクタ(部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9