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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】電磁波可視化装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
G01R29/08 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021536906
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2020027377
(87)【国際公開番号】W WO2021020110
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2019142608
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】谷本 真一
(72)【発明者】
【氏名】松原 亮
(72)【発明者】
【氏名】藤野 新九郎
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-53055(JP,A)
【文献】特開2011-174709(JP,A)
【文献】特開2016-188798(JP,A)
【文献】特開2017-96901(JP,A)
【文献】特開2016-217882(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013190(WO,A1)
【文献】特開2010-96658(JP,A)
【文献】特開2012-28373(JP,A)
【文献】国際公開第2009/128377(WO,A1)
【文献】特開2003-110278(JP,A)
【文献】特開2000-147034(JP,A)
【文献】特開平7-260853(JP,A)
【文献】特開2012-194145(JP,A)
【文献】特開2003-66079(JP,A)
【文献】特開2014-95629(JP,A)
【文献】国際公開第2014/002466(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/033896(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器を撮像する画像取得部と、
前記対象機器の所定の周波数帯域における電磁波強度を測定する測定部と、
前記測定部により測定された前記電磁波強度の測定結果を前記画像取得部によって撮像された前記対象機器の撮像画像に重畳した合成画像を生成する制御部と、
前記制御部により生成された前記合成画像を出力する出力部と、
前記測定部から前記対象機器までの距離を測距する測距部と、を備え、
前記制御部は、
前記測定部が測定可能な前記所定の周波数帯域に基づいて、前記測距部により測距された前記距離が前記所定の周波数帯域の前記電磁波強度を測定可能な所定距離の範囲内であるか否かを判定し、前記距離が前記所定距離の範囲内でない場合に、アラートを生成して前記出力部に出力させる、
電磁波可視化装置。
【請求項2】
前記測定部として、それぞれが異なる所定の周波数帯域ごとの前記電磁波強度を測定可能な複数の測定部のうちいずれか1つが脱着可能に配置される、
請求項1に記載の電磁波可視化装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記測定部に記憶されたID情報を検知し、前記ID情報に基づいて測定可能な前記所定の周波数帯域を取得し、前記所定距離を算出する、
請求項1に記載の電磁波可視化装置。
【請求項4】
前記対象機器は、電磁波の発生源としての少なくとも1つの導体を有する、
請求項1に記載の電磁波可視化装置。
【請求項5】
前記測定部は、少なくとも1つのダイポールアンテナを有して構成される、
請求項1に記載の電磁波可視化装置。
【請求項6】
前記測定部は、少なくとも1つのループアンテナを有して構成される、
請求項1に記載の電磁波可視化装置。
【請求項7】
前記測定部は、前記画像取得部が設けられた面に脱着可能に配置される、
請求項1に記載の電磁波可視化装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像取得部によって撮像された前記撮像画像に映る1以上の装置のうち、ユーザの選択操作に基づいて選択された1以上の装置を前記対象機器として前記電磁波強度の測定を開始し、前記対象機器に関する前記電磁波強度の測定結果を前記合成画像に重畳して前記出力部に出力する、
請求項1に記載の電磁波可視化装置。
【請求項9】
対象機器を撮像するカメラと、
前記対象機器の所定の周波数帯域における電磁波強度を測定する測定部と、
前記測定部により測定された前記電磁波強度の測定結果を前記カメラによって撮像された前記対象機器の撮像画像に重畳した合成画像を生成する制御部と、
前記制御部により生成された前記合成画像を表示するモニタと、
前記測定部から前記対象機器までの距離を測距する測距部と、を備え、
前記制御部は、
前記測定部が測定可能な前記所定の周波数帯域に基づいて、前記測距部により測距された前記距離が前記所定の周波数帯域の前記電磁波強度を測定可能な所定距離の範囲内であるか否かを判定し、
前記距離が前記所定距離の範囲内でない場合に、アラートを生成して前記モニタに出力させる、
電磁波可視化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁波可視化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被測定物に計測距離に応じ受信域が広がる指向性のアンテナプローブを向けて受信域を順次スキャンしながら電磁波成分を受信して不要電磁波成分を計測する電子機器の電磁波計測方法が開示されている。この電磁波計測方法では、被測定物からの計測距離を大小複数設定し、大きな計測距離での計測から小さな計測距離での計測を複数回行い、小さな計測距離での計測は大きな計測距離で不要電磁波成分が計測された受信域について行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-17250号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、対象機器の動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化する電磁波可視化装置を提供することを目的とする。
【0005】
本開示は、対象機器を撮像する画像取得部と、前記対象機器の電磁波強度を測定する測定部と、前記測定部により測定された前記電磁波強度の測定結果を前記画像取得部によって撮像された前記対象機器の撮像画像に重畳した合成画像を生成する制御部と、前記制御部により生成された前記合成画像を出力する出力部と、前記測定部から前記対象機器までの距離を測距する測距部と、を備え、前記制御部は、前記測定部が測定可能な周波数帯域に基づいて、前記測距部により測距された前記距離が前記周波数帯域の前記電磁波強度を測定可能な所定距離の範囲内であるか否かを判定し、前記距離が前記所定距離の範囲内でない場合に、アラートを生成して前記出力部に出力させる、電磁波可視化装置を提供する。
【0006】
また、本開示は、対象機器を撮像するカメラと、前記対象機器の電磁波強度を測定する測定部と、前記測定部により測定された前記電磁波強度の測定結果を前記カメラによって撮像された前記対象機器の撮像画像に重畳した合成画像を生成する制御部と、前記制御部により生成された前記合成画像を表示するモニタと、前記測定部から前記対象機器までの距離を測距する測距部と、を備え、前記制御部は、前記測定部が測定可能な周波数帯域に基づいて、前記測距部により測距された前記距離が前記周波数帯域の前記電磁波強度を測定可能な所定距離の範囲内であるか否かを判定し、前記距離が前記所定距離の範囲内でない場合に、アラートを生成して前記モニタに出力させる、電磁波可視化装置を提供する。
【0007】
本開示によれば、対象機器の動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る電磁波可視化装置の一例を示す外観図
図2】実施の形態1に係る電磁波可視化装置の内部構成例を示す図
図3】実施の形態1に係る電磁波可視化装置のユースケース例を示す図
図4】測定距離と波動インピーダンス特性との関係性の一例を示すグラフ
図5】測定距離と受信強度の補正係数との対応関係の一例を示す補正係数テーブルの一例を示す図
図6】実施の形態1に係る電磁波可視化装置の動作手順例を示すフローチャート
図7】アラート通知の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1の内容に至る経緯)
特許文献1には、対象機器である電子機器との間の測定距離に応じて受信域が広がる指向性のアンテナプローブを用いて不要電磁波強度を測定する電磁波測定方法が開示されている。この電磁波測定方法は、対象機器からの測定距離が異なる複数の測定距離のそれぞれを設定し、設定された大きい測定距離における電磁波強度の測定を実行し、その結果、不要電磁波強度が測定された受信域に対して、小さい測定距離における電磁波強度の測定を実行する。しかし、上述した電磁波測定方法では、使用するアンテナプローブによって受信可能な受信域(領域)が限定される。よって、上述した電磁波測定方法は、一度大きい測定距離で対象機器の全体の電磁波強度を測定することで不要電磁波が発生する領域を特定し、特定された領域に対して小さい測定距離で再度電磁波強度を測定するため、不要電磁波の発生源を特定するまでに時間を要した。
【0010】
また、機器あるいはシステムが設置された環境内において、他のいかなるものに対しても許容できない妨害を与えることなく、その電磁環境内において機能することを示すEMC(Electromagnetic Compatibility)規格がある。EMC規格は、電磁波(ノイズ)を発生して他の機器へ悪影響を与えないことを示すEMI(Electro Magnetic Interference)規格と、他の機器などから発生する外部ノイズ(電磁波)の影響への耐性を有することを示すEMS(Electro Magnetic Susceptibility)規格とからなり、製品に応じた各種試験が定められている。
【0011】
上述した各種試験は、周囲の電波環境に影響されず、かつ各種試験内容に応じた電波暗室(試験室)で行われる。よって、ユーザは、対象機器の電磁波強度を測定する際にEMC規格で利用され、周囲の電波環境に影響されない電波暗室を利用していたため、電波暗室以外の様々な場所で容易に電磁波強度の測定を行うことは困難だった。よって、ユーザは、ユーザの希望する測定距離における電磁波強度の測定、および特定の環境(例えば、実際に対象機器が使用される環境あるいは対象機器に所定の負荷をかけた環境)における電磁波強度の測定が困難だった。このため、ユーザは、使用するアンテナが有する特性に対して、例えば測定距離が大きい(言い換えると、アンテナが対象機器から遠い位置にある)場合、電磁波の発生源(発生箇所)の特定が困難となり、また使用環境に応じた電磁波対策を効率的に講じることが困難だった。
【0012】
一方、電波暗室を利用しない電磁波強度の測定方法として、平面プローブアレイを用いて近傍磁界を測定する方法があった。このような測定方法では、対象機器がPC(Personal Computer)内の基板である場合、電磁波の発生源となり得る基板をPCの筐体から取り出す必要があったため、PCの実際の使用環境において発生する電磁波の強度測定が困難であった。
【0013】
そこで、以下に示す実施の形態においては、対象機器の動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化する電磁波可視化装置の例を説明する。
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る電磁波可視化装置の構成および作用を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
(実施の形態1)
まず、図1および図2を参照して、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100について説明する。図1は、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100の一例を示す外観図である。図2は、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100の内部構成例を示す図である。実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、例えばユーザによって把持され、電磁波測定対象となる対象機器Tg1の電磁波強度の測定を行うための可搬装置である。電磁波可視化装置100は、端末装置1と、測定部2と、を含んで構成される。
【0016】
端末装置1は、所謂タブレット、スマートフォンなどの可搬装置である。端末装置1は、後述する測定部2によって受信した対象機器Tg1の電磁波強度に基づくヒートマップ画像を生成し、さらにカメラ13で撮像した対象機器Tg1の撮像画像にヒートマップ画像を重畳した合成画像を生成してモニタ14に表示する。端末装置1は、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ12と、カメラ13と、モニタ14と、を含んで構成される。
【0017】
ここで、対象機器Tg1は、ユーザによって選択され、電磁波強度を測定する電気・電子機器を示す。対象機器Tg1は、電磁波の発生源としての導体を1つ以上含んで構成される装置であり、電磁波の発生源としての導体そのものであってよい。また、ユーザによって選択され、電磁波強度を測定される対象機器Tg1は、1つであっても複数であってもよい。
【0018】
通信部10は、測定部2の信号処理部20との間で有線通信可能に接続される。具体的には、端末装置1における通信部10および測定部2における信号処理部20のそれぞれは、USB(Univesal Serial Bus)のコネクタ(不図示)を有し、USBケーブル(不図示)により有線接続される。通信部10は、信号処理部20から受信された対象機器Tg1の電磁波強度の測定結果をプロセッサ11に出力する。
【0019】
なお、通信部10は、信号処理部20との間で無線通信可能に接続されてもよい。ここでいう無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)、NFC(登録商標)などの近距離無線通信、またはWifi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)を介した通信である。
【0020】
制御部の一例としてのプロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、端末装置1の各部の動作を制御する。プロセッサ11は、端末装置1の制御部として機能し、端末装置1の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、端末装置1の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムおよびデータに従って動作する。また、プロセッサ11は、カメラ13からトリガ信号を入力されると、対象機器Tg1の電磁波強度の測定を開始する。
【0021】
プロセッサ11は、端末装置1に取り付けられた測定部2から送信される信号を検知する。プロセッサ11は、検知された信号に基づいて、予め設定されメモリ12に記憶された測定部ごとのID(Identification)情報を検知(識別)する。プロセッサ11は、検知(識別)されたID情報と関連して記憶された各種情報をメモリ12から読み出す。ここで各種情報は、後述する周波数帯域情報、波動インピーダンス特性(図4参照)、および補正係数テーブル(図5参照)である。なお、測定部のID情報は、プロセッサ11による自動検知(識別)されても、ユーザによって取り付けられた測定部のID情報が入力されてもよい。
【0022】
プロセッサ11は、カメラ13によって撮像された撮像画像に基づいて、端末装置1と対象機器Tg1との間の測定距離を測定する。なお、この測定距離は、カメラ13により導出されても構わない。プロセッサ11は、測定された測定距離と、測定部2の適正感度距離とを比較し、測定距離が測定部2の適正感度距離以内であるか否かを判別する。プロセッサ11は、比較の結果、測定距離が適正感度距離に対して小さい場合(つまり、測定部2の適正感度距離に対して端末装置1が対象機器Tg1に近すぎる場合)、端末装置1が対象機器Tg1に近すぎる旨を知らせるアラートを生成し、モニタ14に表示させる。
【0023】
なお、プロセッサ11は、測定距離が適正感度距離に対して大きい場合にも同様に、端末装置1が対象機器Tg1から測定距離が遠い旨を知らせるアラートを生成し、モニタ14に表示させてもよい。このような場合、測定距離が適正感度距離に対して大きいか否かを判定するための閾値は、ユーザによって設定されてもよいし、アンテナの波動インピーダンス特性に応じて算出され設定されてもよい。
【0024】
ここでいう適正感度距離は、測定部2が有するアンテナごとの波動インピーダンス特性において、所謂遠方界となる測定距離を示す。端末装置1は、遠方界となる測定距離で電磁波強度が測定されると、受信信号を補正するための補正係数テーブルTB1(図5参照)を参照し、測定部2から受信された受信信号を補正する。
【0025】
アラートは、プロセッサ11により生成された例えばメッセージ、インジケータなどである(図7参照)。なお、アラートは、スピーカ(不図示)から出力される音声であってもよい。
【0026】
プロセッサ11は、測定距離が適正感度距離の範囲内である場合、対象機器Tg1の電磁波強度の測定結果に基づくヒートマップ画像を生成し、撮像画像に重畳した合成画像を生成してモニタ14に表示させる。
【0027】
メモリ12は、例えばプロセッサ11の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の動作を規定するプログラムが書き込まれている。メモリ12は、端末装置1に脱着可能な複数の測定部のそれぞれごとに予め設定されたID(Identification)情報を記憶する。
【0028】
また、メモリ12は、測定部2によって測定可能な周波数帯域情報、測定距離に対する波動インピーダンス特性、および測定部2の周波数帯域情報と測定距離とに応じて信号を補正する補正係数テーブル(図5参照)などをID情報と関連付けて記憶する。
【0029】
画像取得部および測距部の一例としてのカメラ13は、少なくともレンズ(不図示)とイメージセンサ(不図示)とを有して構成される。イメージセンサは、例えばCCD(Charged-Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の固体撮像素子であり、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。カメラ13は、撮像領域内に映る1つ以上の対象機器のうちユーザによって1つ以上の対象機器Tg1が選択されると、対象機器Tg1の動作中に発生する電磁波強度の測定を開始させるトリガ信号を生成し、プロセッサ11に出力する。なお、対象機器Tg1の選択がされない場合、カメラ13は、撮像の開始をトリガとして対象機器Tg1の動作中に発生する電磁波強度の測定を開始させるトリガ信号を生成してもよい。また、カメラ13は、対象機器Tg1を撮像し、撮像された撮像画像をプロセッサ11に出力する。
【0030】
なお、カメラ13は、端末装置1と一体でなく、別体(つまり、外部接続され、対象機器Tg1を撮像可能に設置された他のカメラ)であってもよい。
【0031】
出力部の一例としてのモニタ14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)もしくは有機EL(Electroluminescence)を用いて構成され、カメラ13によって撮像された撮像画像あるいはヒートマップ画像(つまり、電磁波強度の測定結果)が撮像画像に重畳された合成画像を表示する。
【0032】
また、モニタ14は、端末装置1に備えられ、タッチパネルによって構成されたタッチインターフェースであってよい。モニタ14は、ユーザの入力操作を受け付ける。
【0033】
測定部2は、動作中の対象機器から発生する電磁波を受信し、電磁波強度を測定する。測定部2は、異なる周波数帯域ごとの電磁波を受信可能に構成され、カメラ13が設けられた面に脱着可能に取り付けられる。なお、図2に示す測定部2は、所定の周波数帯域における電磁波強度に対応した複数のアンテナ装置のそれぞれのうち1つが取り付けられた状態を示し、脱着するための構造については図を省略する。
【0034】
測定部2は、測定対象となる対象機器から発生する周波数帯域に応じて、ユーザによって端末装置1に取り付けられる。なお、実施の形態1に係る複数の測定部を用いて測定可能となる周波数帯域は、EMC規格に準じた周波数帯域9kHz~6GHzである。
【0035】
また、図1に示す測定部2は、カメラ13の周辺を除いて端末装置1と略同一の大きさ(面積)を有するが、測定部2の大きさおよび形状は図1に示す例に限らないことは言うまでもない。測定部2の大きさは、例えばモニタ14より大きくても小さくてもよい。測定部2の形状は、例えば矩形であってもよい。測定部2は、信号処理部20と、センサ30と、ID保持部40と、を含んで構成される。
【0036】
信号処理部20は、センサ30によって受信された受信信号強度に基づいて、対象機器から発生する電磁波強度を示す信号に変換する。信号処理部20は、USBのコネクタを有し、変換された信号をセンサ30上の座標情報と関連付け、対象機器Tg1の電磁波強度の測定結果を端末装置1における通信部10との間で接続されたUSBケーブルを介して送信する。なお、信号処理部20は、近距離無線通信あるいはWifi(登録商標)などの無線LAN通信を用いて測定結果を端末装置1に送信してもよい。ここでいう近距離無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)あるいはNFC(登録商標)である。
【0037】
センサ30は、例えばダイポールアンテナ、1つあるいは複数のループアンテナのそれぞれを有し、所定の周波数帯域の電磁波を受信可能に構成される。なお、センサ30は、平面アンテナとして形成されてよい。センサ30は、対象機器Tg1から発生する電磁波を受信した受信信号を信号処理部20に出力する。
【0038】
ID保持部40は、例えばROMによって構成され、測定部のID情報を記憶する。なお、ID保持部40は、ID情報に限らず、例えばシリアルナンバーなど取り付けられた測定部2を識別可能な情報を保持していればよい。
【0039】
図3は、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100のユースケース例を示す図である。電磁波可視化装置100は、ユーザによって把持あるいは机上などに載置されて、対象機器Tg1から発生する電磁波強度を測定する。
【0040】
電磁波可視化装置100は、モニタ14と反対側の面に設けられたカメラ13によって対象機器Tg1を撮像するとともに、同様にモニタ14と反対側の面に取り付けられた測定部2によって動作中の対象機器Tg1から発生する電磁波強度を測定する。プロセッサ11は、電磁波強度の測定結果に基づいて、ヒートマップ画像を生成し、ヒートマップ画像を撮像画像に重畳した合成画像を生成してモニタ14に表示する。なお、図3には、対象機器Tg1の電磁波強度の測定結果がヒートマップ画像で表示されているが、測定結果の表示方法はこれに限らず、例えば数値であってもよい。
【0041】
これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、電磁波の発生源となる所定の導体を取り出さず、かつ対象機器Tg1の動作環境において動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化することができる。
【0042】
図4および図5を参照して、ループアンテナの波動インピーダンス特性C1およびダイポールアンテナの波動インピーダンス特性C2について説明する。図4は、測定距離rと波動インピーダンス特性C1,C2との関係性の一例を示すグラフGR1である。図5は、測定距離と受信強度の補正係数との対応関係の一例を示す補正係数テーブルTB1の一例を示す図である。
【0043】
図4に示すグラフGR1は、測定部2と対象機器Tg1との間の測定距離rと波動インピーダンスとの関係性(つまり、電磁波に対して空間が有するインピーダンス)を示す図である。グラフGR1の横軸(r/λ)は、測定距離rを対象機器Tg1から発生する電磁波の波長λで除算した値である。
【0044】
ループアンテナの波動インピーダンス特性C1およびダイポールアンテナの波動インピーダンス特性C2のそれぞれは、r/λ<1/2πの領域において、所謂近傍界となる。このような近傍界における電磁波は、電界と磁界との強さが異なり(例えば、ループアンテナにおいては磁界強度が優位となるためインピーダンスが低くなり、ダイポールアンテナにおいては電界強度が優位となるためインピーダンスが高くなる)、かつ波面は球面とみなす必要があり、高精度の強度測定を行うことが難しい。よって、端末装置1は、測定距離rが近傍界の領域となる場合、近傍界における波動インピーダンス特性に応じた電磁波強度の測定を実行する。具体的には、端末装置1は、取り付けられた測定部の周波数帯域情報(つまり、周波数)に応じた補正係数テーブルTB1に基づいて、受信信号を補正し、補正後の受信信号に基づいて電磁波強度の測定結果を取得する。
【0045】
さらに、端末装置1は、取り付けられた測定部の周波数帯域情報(つまり、周波数)が、測定距離rが遠方界の領域での測定が容易な周波数(例えば、測定距離rが1mで遠方界となる70MHz以上の周波数)である場合には、受信信号を補正した旨を含み、対象機器Tg1から離れて測定するように指示するアラートを生成し、モニタ14に表示させる。
【0046】
一方、端末装置1は、取り付けられた測定部の周波数帯域情報(つまり、周波数)に基づく測定距離rが、遠方界の領域での測定が容易でなく、近傍界の領域での測定が容易な周波数(例えば、測定距離rが1mでも遠方界とならない50MHz以下の周波数)である場合には、受信信号を補正した旨を通知するアラートを生成し、モニタ14に表示させる。
【0047】
なお、上述した遠方界の領域で測定が容易な周波数、および測定距離rが近傍界の領域で測定される周波数は、これに限定されないことは言うまでもない。遠方界の領域で測定が容易な周波数、および測定距離rが近傍界の領域で測定される周波数は、センサ30の大きさ、カメラ13が有する画角、電磁波強度の測定を行う部屋の大きさあるいは対象機器Tg1の大きさなどに応じて適宜変更されてよい。これにより、電磁波可視化装置100は、測定環境に応じて電磁波強度を測定できる。
【0048】
また、ループアンテナの波動インピーダンス特性C1およびダイポールアンテナの波動インピーダンス特性C2のそれぞれは、r/λ≧1/2πの領域において、所謂遠方界となる。なお、遠方界における電磁波は、電界と磁界との強さの比率が等しく、かつ波面は平面(波)とみなすことができ、インピーダンスが所定値に近づくため、強度測定が容易となる。よって、端末装置1は、測定距離rが遠方界の領域となる場合、遠方界における波動インピーダンス特性に応じた電磁波強度の測定を実行する。具体的には、端末装置1は、取り付けられた測定部の周波数帯域情報(つまり、周波数)に応じた補正係数テーブルTB1に基づいて、受信信号を補正し、補正後の受信信号に基づいて電磁波強度の測定結果を取得する。
【0049】
なお、測定距離rが大きい、対象機器Tg1から発生する電磁波強度が小さいなどの要因により受信された電磁波強度が小さい場合、端末装置1は、ゲインの調整および補正を実行してよい。
【0050】
端末装置1は、補正後の受信信号強度に基づいて、ヒートマップ画像を生成し、撮像画像にヒートマップ画像を重畳した合成画像を生成して、モニタ14に表示する。なお、端末装置1は、補正係数テーブルTB1に基づいて受信信号を補正した場合、あるいはゲインの調整および補正を実行した場合、受信信号を補正した旨を通知するアラートを生成し、モニタ14に表示させる。
【0051】
補正係数テーブルTB1は、図5に示すように補正係数と測定距離rとが対応づけて記憶されている。端末装置1は、メモリ12に記憶された補正係数テーブルTB1と測定距離rとに基づいて、電磁波強度の測定結果に対する補正を実行する。例えば測定距離rがXである場合において電磁波を測定した場合、端末装置1は、電磁波強度の測定結果に対して+5dBの補正を実行する。端末装置1は、補正後の電磁波強度が示す測定結果に基づいてヒートマップ画像を生成し、生成されたヒートマップ画像を撮像画像に重畳した合成画像を生成してモニタ14に表示する。
【0052】
図6は、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100の動作手順例を示すフローチャートである。
【0053】
ユーザは、測定機器が発する電磁波の周波数帯域に応じた測定部2を端末装置1に取り付ける。端末装置1は、測定部2が発する信号に基づいて、測定部2が取り付けられたことを検知する(St1)。
【0054】
端末装置1は、測定部2が発する信号に基づいて、取り付けられた測定部2に設定されたID情報を識別(検知)する(St2)。なお、ID情報は測定部2を識別可能な情報の一例であり、これに限らず、例えばシリアルナンバーであってもよい。
【0055】
端末装置1は、識別されたID情報に基づいて、メモリ12に複数の測定部のそれぞれのID情報と関連付けて記憶された各種情報(例えば、測定部によって測定可能な周波数帯域情報、測定距離に対する波動インピーダンス特性、および測定距離に応じた補正係数テーブルなど)を読み出す。端末装置1は、以前使用された測定部の電磁波測定および合成画像の生成のための設定を、測定部2の各種情報に対応したアンテナ特性の設定に切り替える(St3)。
【0056】
端末装置1は、カメラ13によって撮像された撮像画像をモニタ14に表示する。端末装置1は、撮像画像に映る1以上の対象機器のうち、ユーザによって指定(選択)された1つの対象機器Tg1を、電磁波測定を行う対象として設定して対象機器Tg1の動作中に発生する電磁波測定を開始する。端末装置1は、測定部2から電磁波の受信信号を受信し、対象機器Tg1の電磁波強度を測定する(St4)。
【0057】
端末装置1は、カメラ13の撮像画像に基づいて、指定(選択)された対象機器Tg1との間の距離(つまり、測定距離)を測定する(St5)。
【0058】
端末装置1は、測定された距離が測定部2の波動インピーダンス特性に基づく適正感度距離か否かを判定する(St6)。なお、適正感度距離は、対象機器Tg1との間の測定距離と、対象機器Tg1から受信された電磁波の周波数とに基づいて算出される。端末装置1は、取り付けられた測定部2の周波数帯域情報に応じて、r/λ≧1/2πを満たす測定距離rを適正感度距離とする。
【0059】
端末装置1は、ステップSt6の処理において、測定距離が適正感度距離であると判定した場合(St6,YES)、補正係数テーブルTB1に基づく受信信号を補正する。端末装置1は、補正後の受信信号強度に基づいて、ヒートマップ画像を生成し、撮像画像にヒートマップ画像を重畳した合成画像を生成して、モニタ14に表示する(St7)。
【0060】
端末装置1は、ステップSt6の処理において、測定距離が適正感度距離でないと判定した場合(St6,NO)、受信信号を補正せずに対象機器Tg1から離れて測定するように指示するアラートを生成し、モニタ14に表示させる(St8)。
【0061】
端末装置1は、ステップSt7およびステップSt8の処理を実行した後、ステップSt4の処理に戻る。
【0062】
なお、上述した電磁波可視化装置100の動作手順例におけるステップSt3の処理において、検知されたID情報が示す周波数帯域情報に基づいて、近傍界の領域での測定が容易な周波数(例えば、測定距離rが1mでも遠方界とならない50MHz以下の周波数)である場合について説明する。このような場合、端末装置1は、ステップSt6の処理において、測定距離が適正感度距離でないと判定し(St6,NO)、測定部2のアンテナの波動インピーダンス特性のうち近傍界における特性に応じた受信信号の補正を実行する。端末装置1は、補正後の受信信号強度に基づいて、ヒートマップ画像を生成し、撮像画像にヒートマップ画像を重畳した合成画像を生成する。また、端末装置1は、対象機器Tg1から離れて測定するように指示するアラートおよび受信信号を補正した旨を通知するアラートを生成し、合成画像とアラートとをモニタ14に出力し、表示させる。
【0063】
以上により、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、対象機器Tg1の動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化できる。
【0064】
図7は、アラート通知の表示例を示す図である。図7に示す複数のアラートMs1,Ms2のそれぞれは、対象機器Tg1との間の測定距離が近傍界の領域となる(つまり、r/λ<1/2π)場合に端末装置1によって生成され、画面Sr1(つまり、モニタ14)に表示される。なお、図7に示す画面Sr1には、複数のアラートMs1,Ms2が表示されているが、どちらか一方のアラートが表示されていればよい。
【0065】
アラートMs1は、対象機器Tg1から離れる旨のメッセージ「測定対象から離れてください」である。ここでいう測定対象は、対象機器Tg1を示す。なお、アラートMs1は、スピーカ(不図示)によって音声出力されてもよい。
【0066】
なお、アラートMs1は、上述した例に限定されない。アラートMs1は、補正係数テーブルTB1に基づいて受信信号を補正した場合、あるいはゲインの調整および補正を実行した場合には、受信信号を補正したことを示すメッセージであってよい。具体的には、近傍界の領域での測定が容易な周波数(例えば、測定距離rが1mでも遠方界とならない50MHz以下の周波数)である場合には、対象機器Tg1から離れる旨のメッセージと、受信信号を補正したことを示すメッセージとからなるアラートが表示される。
【0067】
アラートMs2は、複数のインジケータMs21,Ms22であり、測定距離が適正感度距離であるか否かをインジケータの点灯箇所あるいは色の変化によってユーザに通知する。なお、アラートMs2は、1つのインジケータであってもよい。
【0068】
以上、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100について説明したが、これに限定されない。以下、実施の形態1における各構成要素について、他の実施例を記載する。
【0069】
電磁波可視化装置100に使用される複数の測定部のそれぞれが測定可能な周波数帯域は、EMC規格に準じた周波数帯域9kHz~6GHzに限定されない。例えば、電磁波可視化装置100に使用可能な測定部は、ミリ波を測定可能であってよい。これにより、電磁波可視化装置100は、無線通信装置の指向性および電波強度を評価できる。
【0070】
電磁波可視化装置100に使用されるモニタ14は、端末装置1と別体であってよい。モニタ14は、例えば端末装置1との間で有線あるいは無線通信可能に接続された他のモニタあるいはHMD(Head Mounted Display)により実現されてよい。モニタ14は、端末装置1におけるプロセッサ11から外部出力された合成画像(つまり、測定結果)を表示する。
【0071】
さらに、電磁波可視化装置100に使用されるカメラ13は、端末装置1と別体であってよい。カメラ13は、例えば端末装置1との間で通信可能に接続され、対象機器Tg1を所定位置から撮像する。
【0072】
端末装置1は、カメラ13およびモニタ14が端末装置1との間で有線あるいは無線通信可能に外部接続される場合、カメラ13から撮像画像を受信し、測定結果としての合成画像をモニタ14に送信してもよい。具体的に、端末装置1は、センサ30によって受信された対象機器Tg1から発生する電磁波強度の測定結果を、カメラ13から受信された撮像画像に重畳した合成画像を生成し、モニタ14に送信する。モニタ14は、受信された合成画像を表示する。
【0073】
以上により、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、対象機器Tg1を撮像する画像取得部(カメラ13)と、対象機器Tg1の電磁波強度を測定する測定部2と、測定部2により測定された電磁波強度の測定結果(つまり、ヒートマップ画像)を画像取得部によって撮像された対象機器Tg1の撮像画像に重畳した合成画像を生成する制御部(プロセッサ11)と、制御部により生成された合成画像を表示する出力部(モニタ14)と、測定部2から対象機器Tg1までの距離(つまり、測定距離r)を測距する測距部(カメラ13)と、を備え、制御部は、測定部2が遠方界の領域において測定可能な周波数帯域に基づいて、測距部により測距された距離が周波数帯域の電磁波強度を測定可能な所定距離(つまり、適正感度距離)の範囲内であるか否かを判定し、距離が所定距離の範囲内でない場合に、電磁波強度の測定が困難である旨を示すアラートを生成して出力部に出力させる。
【0074】
これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、対象機器Tg1の動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化できる。また、電磁波可視化装置100は、測定部2の特性に合った距離か否かを判定し、特性に合わない距離の場合にはユーザに通知できる。
【0075】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、測定部2として、それぞれ異なる周波数帯域ごとの電磁波強度を測定可能な複数の測定部のうちいずれか1つが脱着可能に配置される。これにより、ユーザは、対象機器Tg1の動作中に発生する電磁波の周波数に応じた測定部を適応的に使用できる。また、測定部2が測定可能な周波数帯域が限定されることにより、測定部の製造コストを低減できる。
【0076】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100における制御部は、測定部2に記憶されたID情報を検知し、ID情報に基づいて、所定距離(つまり、適正感度距離)を算出する。これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、ユーザによる入力操作などを必要とせず、測定部2に記憶されたID情報に基づいて、測定部2が測定可能な周波数帯域の電磁波強度に応じた所定距離を取得できる。
【0077】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100における対象機器Tg1は、電磁波の発生源としての少なくとも1つの導体を有する。これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、電磁波の発生源となる所定の導体を取り出さず、かつ対象機器Tg1の動作環境において動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化することができる。
【0078】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100における測定部2は、少なくとも1つのダイポールアンテナを有して構成される。これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、電界に対する測定感度を得るとともに、簡易な構造により測定部2の製造コストを安くできる。
【0079】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100における測定部2は、少なくとも1つのループアンテナを有して構成される。これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、磁界に対する測定感度を得ることができる。
【0080】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100における測定部2は、画像取得部が設けられた面に脱着可能に配置される。これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、対象機器Tg1の電磁波の強度の測定と、対象機器Tg1の撮像とを同時に行うことができ、生成された合成画像によって電磁波の強度を容易に可視化することができる。
【0081】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100における制御部は、画像取得部に撮像された撮像画像に映る1以上の装置のうち、ユーザの選択操作に基づいて選択された1以上の対象機器Tg1の電磁波強度の測定を開始し、対象機器Tg1に関する電磁波強度の測定結果(つまり、ヒートマップ画像)を合成画像に重畳して出力部に出力する。これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、撮像画像に映る対象機器となりうる装置が複数ある場合でも、測定機器を限定することができる。これにより、ユーザは、測定する対象機器を限定することができ、選択された対象機器Tg1に関する電磁波の強度を容易に確認することができる。
【0082】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100における測定部2は、所定の周波数帯域における電磁波強度を測定可能である。これにより、ユーザは、測定する対象機器Tg1の動作中に発生する電磁波の周波数の観点から限定することができる。
【0083】
また、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、対象機器Tg1を撮像するカメラ13と、対象機器Tg1の電磁波強度を測定する測定部2と、測定部2により測定された電磁波強度の測定結果をカメラ13によって撮像された対象機器Tg1の撮像画像に重畳した合成画像を生成する制御部と、制御部により生成された合成画像を表示するモニタ14と、測定部2から対象機器Tg1までの距離を測距する測距部と、を備える。制御部は、測定部2が測定可能な周波数帯域に基づいて、測距部により測距された距離が周波数帯域の電磁波強度を測定可能な所定距離の範囲内であるか否かを判定し、距離が所定距離の範囲内でない場合に、アラートを生成してモニタ14に出力させる。これにより、実施の形態1に係る電磁波可視化装置100は、対象機器Tg1の動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化できる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示は、対象機器の動作中に発生する電磁波の強度を容易に可視化する電磁波可視化装置として有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 端末装置
2 測定部
10 通信部
11 プロセッサ
12 メモリ
13 カメラ
14 モニタ
20 信号処理部
30 センサ
40 ID保持部
100 電磁波可視化装置
Tg1 対象機器
Ms1,Ms2 アラート
r 測定距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7