(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】穀物粉末を原料とする折箸および洋食器具
(51)【国際特許分類】
A47G 21/10 20060101AFI20231117BHJP
A47G 21/02 20060101ALI20231117BHJP
A47G 21/04 20060101ALI20231117BHJP
C08J 7/04 20200101ALI20231117BHJP
【FI】
A47G21/10 A ZBP
A47G21/02 Z ZAB
A47G21/04 Z
C08J7/04 CEP
(21)【出願番号】P 2018227800
(22)【出願日】2018-12-05
【審査請求日】2020-12-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】518432126
【氏名又は名称】平塚 豊
(72)【発明者】
【氏名】平塚 豊
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】柿崎 拓
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-178693(JP,A)
【文献】登録実用新案第3108247(JP,U)
【文献】特開2001-120415(JP,A)
【文献】実開平7-9763(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102639033(CN,A)
【文献】登録実用新案第3127030(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G21/10
A47G21/02-21/04
C08J7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
穀物の粉末を原料に用いて成形され、長さ方向に全長の60%以上となるように形成したスリットと、持ち代側に形成した結合部と、前記結合部に長さ方向に沿って、複数のホールが配列された洋食器具本体と、前記ホールを加工した後に、全体の表面に
バイオポリマーでコーティングすることで、
前記洋食器具本体の全体を被覆するバイオポリマーコーティング層が形成された洋食器具であって、折損がない状態から、使用時に、前記持ち代側に成形した前記結合部を折って分離し一対の洋食器具にしたときに、前記穀物で成形した部分が露出し、使用時には持ち代側は水分に浸かることが無いので分解せず、廃棄時に前記持ち代側の前記結合部の露出した部分から水分が吸収されることで自然分解力を向上する洋食器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
穀物の粉末を圧力成形し、バイオポリマー(生分解稙ポリ乳酸等)コーティング加工による箸としての機能性と、結合面にスリット加工を施し穀物原料を露出させた自然分解性を備えた地球に優しい使い捨て箸に係る。
【背景技術】
【0002】
この種の箸としては、生分解性物質によって成型し、エチルセルロースをエタノールに溶解してコーティング溶液を噴射ノズルにて全面コーティング形成した自然分解性箸類(特許文献1)葛粉又は葛粉と他の天然粉末、分解性プラスチック等を混合にて成る材料に水分を加え粘土状態形成後、箸成形用型による圧力固化し乾燥で強度を付与した割り箸( 特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-120415 号公報
【文献】特開2000-325210 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1 は全面コーティング溶液を噴射する為による使用強度はあるが、使用後に箸を折って廃棄した場合は主原料の露出面が少なく自然分解スピードが遅く自然分解時間を要し、折り忘れが残り易い。特許文献2に開示の箸は粘土状体の受型圧力成形後の乾燥処理箸であり工程時間及び使用時での水分対応等、箸としての機能的、問題、課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の折箸は、穀物の粉末を原料に用いて成形され、箸の長さ方向に全長の60%以上となるように形成したスリットと、持ち代側に成形した結合部と、前記結合部に箸の長さ方向に沿って形成したホールを含む箸本体と、前記箸本体の全体を被覆するバイオポリマーコーティング層を備えた折箸であって、前記結合部を折って分離し、一対の箸にしたとき前記穀物で成形した部分が露出する事で自然分解性を有することを特徴とする。
(2)本発明の洋食器具は、穀物の粉末を原料に用いて成形され、長さ方向に全長の60%以上となるように形成したスリットと、持ち代側に形成した結合部と、前記結合部に長さ方向に沿って形成したホールを含む洋食器具(スプーン、フォーク、ナイフ)本体と、前記食器具本体の全体を被覆するバイオポリマーコーティング層を備えた洋食器具であって、前記結合部を折って分離し一対の洋食器具にしたときに、前記穀物で成形した部分が露出することで自然分解性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
・ 本箸は、折箸形状デザインにて結合面での貫通ホール加工、突起の付いた成形型圧力加工のより折り易く、折損がなく使用時には折面の断面に主原料が多く露出する為、直接水分やバクテリア等の吸収力が多く上がり、全体コーティング加工に比べ、廃棄時での自然分解、自然回帰スピードが早まり無理のない良質な土壌化に貢献できる。
・ 本折箸は、箸先、使い代部が全体バイオポリマーコーティング加工する為、湿気に強くカビ防止等、長期保存性に優れ、使用時では箸としての耐水性(汁の浸み込み等)、強度性(弾力、硬度等)、触感性(舌触り、歯あたり等)の機能性はもとより、穀物原料の為、様々なアレルギー対応も充分可能である。本折箸デザインは、従来の割り箸類と比べ折損が少なく、折って使う事で必ず持ち代部にだけ主原料が露出する材料、加工、デザイン等により時代対応力,市場対応力を有する。
・ 本折箸は、持ち代部の折面は主原料の穀物粉末が露出する為、バイオポリマーコーティングしている部分と比べ溶解が早く内側と外側両面から廃棄時での全体分解、自然回帰時間を早める。
・ 本折箸は主原料が穀物粉末(米粉、小麦粉、トウモロコシ粉等)である為、主原料の入手、確保が手軽であり従来の割り箸の主流である原料は木材、竹等や、プラスチック材料に比べ、森林保護、大気汚染、Co2対応等、国際的、社会的貢献を有する。
・ 本折箸は、特に主原料の米粉は日本国内での古米の再利用、備蓄米の在庫再利用等、国や生産者の新しいビジネス、可能性が生まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
本折箸は、穀物粉末の一体成形し、使用面に箸先、使い代部の箸全長の60%以上のスリットを入れ、残りの持ち代部の折面(結合面)は、0,3 ミリ~0,5ミリの貫通ホール加工や突起の付いた成形型に圧力を加え加工した本体にバイオポリマーコーティング加工を加える。
主原料穀物粉を圧力固成形型(1)し、全体のバイオポリマーコーティング加工(2)、スリット(3)による機能性と、結合面(折面)のホール(4)の加工は折った時、結合面の穀物原料が露出し廃棄時での自然分解力が上がる構造である。
【0009】
添付の図面を参照し本折箸の詳細を説明すると、以下のとおりである。
図1 は一例として示す穀物の粉末を原材料とした折箸の全体
図1-1、及び全体断面
図1-2であり、
図2はスリット面と結合面の断面であり、
図3は結合面を折り離し時での折る際の接合面での変化図であり、
図4は結合面での折りやすさとし自然分解力を維持する為のホール自体の形状バリエーション図、
図5は全体圧縮型成形加工方式であり、
図6はホールの形状に加え結合面の面積を広げた箸としての変形図である。
【0010】
図面1は全体が穀物粉末100%(1)を主原料として、水分調整粉化後、圧力成形、固形化により硬度を図り、スリット加工(3)と結合面のホール加工(4) 後、全体の表面にバイオポリーマー(生分解稙脂ポリ乳酸等)でコーティング処理(2)する。
【0011】
図2は、2―1面、2―2面は、スリット部分を含め、全体にバイオポリマーコーティングされ、使用時での折れ難さ、弾力性、耐水性、触感等の機能性を持ち2-2断面はホールの貫通部分には、コーティングされず、結合面が折れ、切り離し後はホール内面(4)が植物粉末の主原料が露出する為、水分、バクテリア等、廃棄時に於いて自然分解スピードが上がり自然回帰時間の短縮と良質な土壌化が図れる。
【0012】
結合面は上部からの圧力をかける事でホール貫通部の
図3-1(4-1)部が切り離され次に下部から圧力をかけ3-2(4-2)部が切り離され完全に2 本の箸3-3となる。此の切り離し方法により、従来の割り箸を割るときに起きる折り難さや、折りミス等の不安,不感が無くなる。
【0013】
本箸のホール部分は、使用面(1)にスリット(3)を入れ、結合面(2)にホールを入れることにより結合部の面が切り離し易くなり、切り離し時は結合面の断面に主原料が露出する事がポイントである。丸ホール型や
図4-1角ホール、4-2丸ホール連結型、4-3角ホール連結型等様々なホール形状が出来る。各ホールは、箸先から使い代に入るスリット(3)と結合面での各タイプ型に限らず、スリットとホール、ホールと箸頭部は必ずホールで繋ぐ。此のことにより、折損がなく切り離し易くなる。
【0014】
基本的には、主原料成形後に結合部へのホール加工(
図4)が基本だが、よりコスト面を重視した、大量生産型対応としては主原料成形、同時ホール加工(
図5) で、主原料の圧力成形時に突起付き両面圧縮(5- 1)は圧縮面に使用部のスリット突起型(3)と結合部の主原料(1)を両面突起ホール(4)で圧縮力をかける。結合面のホールは貫通せず主原料を残す。突起付き片面圧縮(5-2)は圧縮面に使用部スリット突起型(3)と結合部の主原料(1)を片面突起型(4)で圧縮を加える。貫通スリット部とホール部は両部共貫通させる。5-1成形加工は、折った時に結合面での主原料の露出面が大きく残る。5-2成形加工は、成形後の工法よりホール部分の内圧とコーティング液との圧力差により、コーティング液の流入を抑えられ主原料の露出面が確保できる。
【0015】
図6は6-1 角広型6-2 角広変形型6-3楕円型。使用部に対し結合部の面積を大きくとる形状に変え事で、折り時に微力でより折り易く出来るデザイン。主原料(1) を成形加工し、バイオポリマーコーティングスリット(3)と、バイオポリマーコーティング結合面(2)にホール(4)を加工する。バイオポリマーコーティング加工の強度、精度、触感等を考慮する為、各部位の縁を鋭角ではなく、滑らかさを出す曲角に処理する。
【0016】
図7の7-1は主原料(1)を成形加工し、全体バイオポリマーコーティング(2)しスリット(3)を入れ、結合面にホール加工(4)した同デザイン、同機能を持つ2体1対型使い捨て洋食器具( スプーン、フォーク、ナイフ) 。世界の食文化の30%は洋食器文化圏(箸食器具文化圏30%であり残り40%は手食器文化圏。)であり、現代のライフスタイルの多様化時代で、テイクアウト、パーティー、アウトドア―シーンでの使い捨て需要、市場に対応。
【0017】
上記同様、7-2は主原料(1)を成型加工し、バイオポリマースリット(3)、バイオポリマー結合面にホール加工(4)した、同一機能の2対1体型使い捨て洋食器具(スプーン、フォーク、ナイフ)に対し、別機能2体1対使い捨て洋食器具(フォーク+ナイフ、フォーク+スプーン)。
7-3は切り離し時の、全体バイオポリマーコーティング(2)に対し結合面でのホール加工部(4)と、主原料露出部(1)の断面。
【0018】
図8の8-1は穀物粉末を主材料(1)に、同一機能、デザイン筒状成形加工し、筒状の内面、外面にバイオポリマーコーティング(2)を加え、吸い口側のスリット、汲み上げ側スリット(3)を入れ、両スリットの間に結合面を造りその結合面に切り離しホール(3)加工を加えた同一機能2対1体型使い捨てストロー。使用時に切り離すと結合面部の切り離し断面に主原料(1)が露出。廃棄時に切り離し断面からの水分、バクテリア等の吸収力が上がり、自然分解力をアップする。
【0019】
上記、同一機能2対1体使い捨てストローは、機能的防水性が必要であり、吸い口、吸い口内面、汲み上げ口及び、汲み上げ内面、差し込み外面等全体にバイオポリマーコーティング(2)する。紙製ストロー、植物性ストロー等は、防水性、耐久性等の問題があり、又耐久性のある現在主流のプラスチック製ストローは環境問題として大きな社会問題が浮上。本ストローは、全体のバイオポリマーコーティング加工とスリット加工(3)を加えた機能性と、結合部ホール加工(4)の主原料露出による、上記問題に対応し自然分解性を有するストロー。
【0020】
ストローは、上方の吸い口から空気を吸引することで液体を重力に逆らって持ち上げる作用原理。細ければ小さな吸引力ですむが、汲み上げる量は少ない。太ければ吸引力が必要、汲み上げる量は多くなる。通常は直径6ミリ。本ストローは、最もおいしいと感じる太さ8-2内径(A)7ミリ、外径(B)10ミリとする。全長の25ミリ以上の結合面(1)を汲み上げ口と吸い口との間に配する構造とする。
【0021】
上記、主原料(穀物粉末)を成形する方法としては、水分調整型加工法、離水低減、固結抑制、増粘等の食用油脂調整型加工法。又穀物粉末を分解力を上げる為に粒子径粉砕加工法を用いる。
【0022】
本体成形は粉体プレス成形法、圧力成形法等があり金型による高圧油圧、低圧油圧方式に加え、挟込脱型方式。強度、硬度の精度重視。
【0023】
コーティング原料は、バイオポリマー(生分解稙ポリ乳酸)等であるが、バイオマス(生物資源)を基本的原料とする。コーティング方法としては、乾式整粒、湿式整粒を分散、加熱、成膜化する転動流動造粒コーティングや
遠心造粒コーティング方式。摩耗性、滑らかさ、付着性を重視。
【0024】
ホール加工、スリット加工は,機能及び折り易さ等によりホールサイズ、ホール数、スリットの幅、長さに対応。本折箸は機能面、コスト面、安全面、環境面を有する箸である。
【0025】
本折箸は、穀物粉末を主原料とし、使い代部のスリット加工と持ち代部での結合面のホール加工で折り易さと、折離し後の主原料露出面を確保する。加え、全体をバイオポリマーコーティング加工で箸としての機能性(耐水、硬度、舌触り等)を持ち、主原料露出面は、水分、バクテリア吸収力を高くし、廃棄時の自然分解力をあげる構造である。
【符号の説明】
【0026】
1箸全体
2コーティング 部
3スリット部
4ホール部