(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】薬品払出装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20231117BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
B65B1/30 B
(21)【出願番号】P 2021180929
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2020023318の分割
【原出願日】2015-09-16
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2014194479
(32)【優先日】2014-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015024743
(32)【優先日】2015-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015086295
(32)【優先日】2015-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小田 智生
(72)【発明者】
【氏名】三輪 研人
(72)【発明者】
【氏名】八田 祥吾
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/046148(WO,A1)
【文献】特開平11-226087(JP,A)
【文献】特開2007-297066(JP,A)
【文献】特開2002-017819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、散薬を所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、
散薬収容容器は、散薬を収容するものであり、収容した散薬を排出するための排出口となる排出口部を有し、
内部に薬品容器配置領域、薬品分割領域、薬品包装領域が設けられ、
薬品容器配置領域には、複数の散薬収容容器を保管するための容器保管装置が設けられ、
薬品容器配置領域の外側壁面には、扉部が設けられ、
薬品分割領域には、散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置とが設けられ、
薬品包装領域には、薬品包装装置が設けられ、
掻出装置によって分配皿の散薬を掻き出して薬品包装領域側に落下させ、薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作が可能であり、
散薬収容容器は容器保管装置に保管されており、自動で
散薬収容容器を容器保管装置から取り出して所定の位置に載置して散薬収容容器に収容された散薬を分包する第1分包動作と、外部の管理棚に保管されており、使用者により選択された
薬品が収容された散薬収容容器を薬品払出装置内の所定の位置に手動で載置し、散薬収容容器に収容され
、処方に基づく量の散薬を分包する第2分包動作と、
薬品払出装置は使用者が
処方された散薬を手動式薬品容器に予め
充填し、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出する
ために手動式薬品容器を
使用者が扉部から薬品払出装置内の所定の位置に載置し、収容された散薬を分包する第3分包動作とを実行し、
各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、
第1分包動作又は第2分包動作を実行するのか、又は、第3分包動作を実行するのかのいずれか一方を選択するボタンを表示装置に表示することを特徴とする薬品払出装置。
【請求項2】
薬品分割領域には、容器保持台をさらに有し、
第1分包動作及び第2分包動作に使用される散薬収容容器は容器保持台に載置され、容器保持台に載置された散薬収容容器は、散薬収容容器からの排出量が所定量となったことを条件に分配皿への散薬の排出が停止されることを特徴とする請求項1に記載の薬品払出装置。
【請求項3】
各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、
第3分包動作では、表示装置に、手撒きカセットを置くことを求めるメッセージが表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬品払出装置。
【請求項4】
手動式薬品容器は、前記排出口部と、当該排出口部とは別位置に薬品投入部とが設けていることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の薬品払出装置。
【請求項5】
各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、
ボタンにより、第1分包動作又は第2分包動作使用を実行することが選択された後、第1分包動作で使用される散薬のリストの表示と、第2分包動作で使用される散薬のリストとの表示とを切り替える表示切替手段を表示装置に表示することを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載の薬品払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品払出装置に関するものであり、特に散薬を分配する薬品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大病院や、大規模の薬局では、散薬分包機能を備えた薬品払出装置が導入されている。この薬品払出装置は、処方情報に基づいて散薬を一服用分ずつ個別に包装することが可能であり、従来行われた散薬分包作業の大半を自動化することができる。
【0003】
このような薬品払出装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1に開示された薬品払出装置は、散薬を一服用分ずつ個別に包装する散薬分包装置である。
【0004】
具体的に説明すると、この散薬分包装置では、散薬を一服用分ずつ個別に包装する分包動作の実施前に、分包動作で使用する散薬を投入ホッパに投入する必要がある。
ここで、投入ホッパには、分包動作で必要な量だけ散薬が投入されるが、この必要量の量り出しは、薬剤師等の装置の使用者が手作業で実施する。すなわち、使用者が薬棚から処方された散薬が入った薬瓶を取り出し、天秤等の秤を使用して必要量を量り出し、投入ホッパに投入する。
【0005】
投入ホッパに散薬が投入されると同時に、トラフを振動させ、分配皿を回転させる。
このことにより、投入ホッパに投入された散薬は、投入ホッパの下端開口から、トラフに落ちる。そして、トラフ上を先端側に向かって移動する内に、薬剤の流れが層流状態となる。すなわち、流れに対して直交する方向の断面における薬剤の分布が一定となり、かつ単位時間当たりに薬剤が進行する距離も一定となる。
【0006】
このことから、散薬は均一に分散され、また一定の速度でゆっくりと先端側に向かって移動する。そして、先頭を移動する散薬が、トラフの先端から分配皿に落下する。また後に続く散薬は、時間あたり一定の量だけ分配皿に落下していく。
ここで、上記したように、分配皿は所定の速度で回転している。そのため、トラフから分配皿に落下する散薬は、分配皿で均等に分散することとなる。つまり、散薬が少しずつ分配皿に落下し、かつ分配皿が一定速度で回転することから、散薬が分配皿の上で均等に分散された状態となる。
【0007】
分配皿に対する散薬の落下が終了すると、一旦、分配皿の回転を停止する。そして、掻出装置を分配皿の上面に接触させ、分配皿を分割数に応じた角度だけ回転させる。例えば、3つに分包する場合、120度(360度の3分の1)だけ分配皿を回転させる。この動作により、掻出装置の周辺に一包分の散薬を集めた状態とし、集めた一包分の散薬を掻出装置で包装用ホッパに投入する。そして、包装用ホッパから落下した散薬が包装装置で包装され、分包動作が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された散薬分包装置では、散薬の使用量を量り出す作業を必ず手作業で実施する必要があり、面倒である。
そこで、分包作業及びそれに関連する様々な作業を自動化したいという欲求があった。
【0010】
しかしながら、棚から所定の薬品が収容された容器を特定し、その薬品を秤量、分包するという作業は、もし間違いがあると、患者が予定とは異なる医薬を服用してしまったり、誤った量の医薬を服用してしまう可能性がある。このような場合、人命に直結する事態となり得るため、これらを自動化する際には慎重を期すべきである。
【0011】
そこで本発明は、分包動作のさらなる簡易化を可能とし、不具合の発生をより抑制可能な薬品払出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、散薬を所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、散薬収容容器は、散薬を収容するものであり、収容した散薬を排出するための排出口となる排出口部を有し、内部に薬品容器配置領域、薬品分割領域、薬品包装領域が設けられ、薬品容器配置領域には、複数の散薬収容容器を保管するための容器保管装置が設けられ、薬品容器配置領域の外側壁面には、扉部が設けられ、薬品分割領域には、散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置とが設けられ、薬品包装領域には、薬品包装装置が設けられ、掻出装置によって分配皿の散薬を掻き出して薬品包装領域側に落下させ、薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作が可能であり、散薬収容容器は容器保管装置に保管されており、自動で散薬収容容器を容器保管装置から取り出して所定の位置に載置して散薬収容容器に収容された散薬を分包する第1分包動作と、外部の管理棚に保管されており、使用者により選択された薬品が収容された散薬収容容器を薬品払出装置内の所定の位置に手動で載置し、散薬収容容器に収容され、処方に基づく量の散薬を分包する第2分包動作と、薬品払出装置は使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が扉部から薬品払出装置内の所定の位置に載置し、収容された散薬を分包する第3分包動作とを実行し、各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、第1分包動作又は第2分包動作を実行するのか、又は、第3分包動作を実行するのかのいずれか一方を選択するボタンを表示装置に表示する薬品払出装置である。
好ましい態様は、薬品分割領域には、容器保持台をさらに有し、第1分包動作及び第2分包動作に使用される散薬収容容器は容器保持台に載置され、容器保持台に載置された散薬収容容器は、散薬収容容器からの排出量が所定量となったことを条件に分配皿への散薬の排出が停止される薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、第3分包動作では、表示装置に、手撒きカセットを置くことを求めるメッセージが表示される薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、手動式薬品容器は、前記排出口部と、当該排出口部とは別位置に薬品投入部とが設けている薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、ボタンにより、第1分包動作又は第2分包動作使用を実行することが選択された後、第1分包動作で使用される散薬のリストの表示と、第2分包動作で使用される散薬のリストとの表示とを切り替える表示切替手段を表示装置に表示する薬品払出装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、前記散薬収容容器は、散薬を収容するものであり、収容した散薬を排出するための排出口となる排出口部を有し、内部に薬品容器配置領域、薬品分割領域、薬品包装領域が設けられ、前記薬品容器配置領域には、複数の前記散薬収容容器を保管するための容器保管装置が設けられ、前記薬品分割領域には、前記散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置とが設けられ、前記薬品包装領域には、薬品包装装置が設けられ、前記掻出装置によって前記分配皿の散薬を掻き出して前記薬品包装領域側に落下させ、前記薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作が可能であり、各種情報を表示するための表示装置を有し、前記容器保管装置に現在保管されている前記散薬収容容器に収容された散薬に関する情報と、外部の管理棚に保管されている前記散薬収容容器に収容された散薬に関する情報とを切り替えて表示可能である表示切替手段を前記表示装置に表示することが可能である薬品払出装置である。
好ましい態様は、各種入力動作を実施するための操作装置を備え、前記操作装置は、前記表示装置と一体に設けられたタッチパネル式のものであり、前記表示装置には、前記分配皿への散薬の排出速度を制御するための速度制御画面を表示可能となっており、前記速度制御画面では、円環状の操作用画像が表示され、当該操作用画像が表示されている領域に触れつつ円周方向になぞる動作が検知されると、なぞる方向及びなぞる距離に応じて目標とする前記排出速度を決定し、決定した前記排出速度となるように散薬の排出動作を実施すること薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、前記速度制御画面では、現在の目標とする前記排出速度を示す値を表示する速度表示用画像がさらに表示されるものであり、当該速度表示用画像は、目標とする前記排出速度が変化したことを条件として、前記操作用画像の外側に一時的に表示されるものである薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、前記散薬収容容器から散薬を排出させる容器載置装置が設けられ、前記速度制御画面では、前記散薬収容容器が前記容器載置装置に載置されたとき、前記容器載置装置に載置された前記散薬収容容器の前記排出口部及びその周辺を撮影した動画像である観察画像をさらに表示可能であり、前記分配皿の回転動作中において、前記排出口部及びその周辺の現在の様子を表示した前記観察画像と、前記操作用画像とが一画面で同時に表示される薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、目標とする前記排出速度の変化に応じて前記操作用画像の表示色が変化する薬品払出装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、前記散薬収容容器は、散薬を収容するものであり、収容した散薬を排出するための排出口となる排出口部を有し、内部に薬品容器配置領域、薬品分割領域、薬品包装領域が設けられ、前記薬品容器配置領域には、複数の前記散薬収容容器を保管するための容器保管装置が設けられ、前記薬品分割領域には、前記散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置とが設けられ、前記薬品包装領域には、薬品包装装置が設けられ、前記掻出装置によって前記分配皿の散薬を掻き出して前記薬品包装領域側に落下させ、前記薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作が可能であり、各種情報を表示するための表示装置を有し、前記容器保管装置に現在保管されている前記散薬収容容器に収容された散薬に関する情報を前記表示装置に表示することが可能であり、各種入力動作を実施するための操作装置を備え、前記操作装置は、前記表示装置と一体に設けられたタッチパネル式のものであり、前記表示装置には、前記分配皿への散薬の排出速度を制御するための速度制御画面を表示可能となっており、前記速度制御画面では、円環状の操作用画像が表示され、当該操作用画像が表示されている領域に触れつつ円周方向になぞる動作が検知されると、なぞる方向及びなぞる距離に応じて目標とする前記排出速度を決定し、決定した前記排出速度となるように散薬の排出動作を実施する薬品払出装置である。
好ましい態様は、前記速度制御画面では、現在の目標とする前記排出速度を示す値を表示する速度表示用画像がさらに表示されるものであり、当該速度表示用画像は、目標とする前記排出速度が変化したことを条件として、前記操作用画像の外側に一時的に表示されるものである薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、前記散薬収容容器から散薬を排出させる容器載置装置が設けられ、前記速度制御画面では、前記散薬収容容器が前記容器載置装置に載置されたとき、前記容器載置装置に載置された前記散薬収容容器の前記排出口部及びその周辺を撮影した動画像である観察画像をさらに表示可能であり、前記分配皿の回転動作中において、前記排出口部及びその周辺の現在の様子を表示した前記観察画像と、前記操作用画像とが一画面で同時に表示される薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、目標とする前記排出速度の変化に応じて前記操作用画像の表示色が変化する薬品払出装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、前記散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置とが設けられ、前記掻出装置は、先端側が昇降するアーム部材と、当該アーム部材の先端に設けられた掻寄板と、当該掻寄板から突出する掻出板を備えており、前記分配皿は、環状に連続する溝状部分を備え、前記分包動作では、前記掻寄板を前記分配皿の前記溝状部分に挿入し、前記掻寄板と前記分配皿を相対移動させることで前記分配皿の上の散薬を前記掻寄板の近傍に掻き寄せる掻寄動作と、前記掻寄板の近傍に掻き寄せられた散薬を前記掻出板によって前記分配皿の外に掻き出す掻出動作を実施可能であり、さらに前記掻寄動作と前記掻出動作からなる動作を複数回実施し、前記分配皿の上の散薬を一包分ずつに分割して前記分配皿の外に掻き出す動作が可能であり、当該動作では、散薬の分割数に応じて、一包分の散薬を対象とした前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離が可変するものであり、一包分の散薬を対象とした前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離に応じて、一包分の散薬を1回の前記掻寄動作と前記掻出動作によって掻き出す単数掻出動作と、一包分の散薬を複数回の前記掻寄動作と前
記掻出動作によって掻き出す複数掻出動作のいずれかを実施可能であり、前記複数掻出動作を実施する場合には、先行して実施する前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離が、最後に実施する前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離よりも長いことを特徴とする薬品払出装置である。
本様相は、前記複数掻出動作では、予め規定した最大の移動量で前記相対移動を実施する前記掻寄動作を伴う最大量掻出動作と、予め規定した最小の移動量で前記相対移動を実施する前記掻寄動作を伴う最小量掻出動作とを実施可能であり、少なくとも1回の前記最大量掻出動作を実施し、一包分の散薬を対象とした前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離から前記最大量掻出動作で実施する前記掻寄動作での前記相対移動の移動距離を差し引いた値が所定以上であることを条件として、前記最大量掻出動作で実施する前記掻寄動作での前記相対移動の移動距離よりも少量の移動量で実施する前記掻寄動作と前記掻出動作を実施し、さらに前記最小量掻出動作を実施することが好ましい。
本様相は、前記掻寄板を前記分配皿の前記溝状部分に挿入した状態で、前記分配皿を回転させることで前記相対移動を行うものであり、前記分配皿の回転角度は、前記分配皿を回転させるモータのパルス量から算出することが好ましい。
本様相は、予め規定した最大の移動量で前記相対移動を実施する前記掻寄動作を伴う最大量掻出動作を実施可能であり、一包分の散薬を対象とした前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離が、前記最大量掻出動作における前記相対移動の移動距離より大きい場合に前記複数掻出動作を実施し、一包分の散薬を対象とした前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離が、前記最大量掻出動作における前記相対移動の移動距離以下である場合に前記単数掻出動作を実施することが好ましい。
本様相は、予め規定した最小の移動量で前記相対移動を実施する前記掻寄動作を伴う最小量掻出動作を実施可能であり、前記最小量掻出動作は、前記掻寄板を前記分配皿の前記溝状部分に挿入した状態で、前記掻寄板の幅と同じ距離だけ前記分配皿を回転させる動作であることが好ましい。
本様相は、予め規定した最小の移動量で前記相対移動を実施する前記掻寄動作を伴う最小量掻出動作を実施可能であり、前記複数掻出動作は、予め規定した最大の移動量で前記相対移動を実施する前記掻寄動作を伴う最大量掻出動作と、前記前記最大量掻出動作よりも小さい移動量で前記相対移動を実施する残余掻出動作とを実施する動作であり、前記複数掻出動作では、前記最大量掻出動作の実施回数を算出する動作と、前記最大量掻出動作の実施回数に基づいて前記残余掻出動作における前記相対移動の移動量を算出する動作を実施し、前記残余掻出動作における前記相対移動の移動量が、前記最小量掻出動作における前記相対移動の移動量の2倍以上である場合、2回の前記残余掻出動作を実施し、前記残余掻出動作における前記相対移動の移動量が、前記最小量掻出動作における前記相対移動の移動量の2倍より小さい場合、1回の前記残余掻出動作を実施するものであり、2回の前記残余掻出動作を実施する場合、2回目に実施する前記残余掻出動作が前記最小量掻出動作となることが好ましい。
また、本発明に関連する他の様相は、散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、前記散薬収容容器は、散薬を収容するものであり、収容した散薬を排出するための排出口となる排出口部を有し、内部に薬品容器配置領域、薬品分割領域、薬品包装領域が設けられ、前記薬品容器配置領域には、複数の前記散薬収容容器を保管するための容器保管装置が設けられ、前記薬品分割領域には、前記散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置と、前記散薬収容容器が載置されると共に前記散薬収容容器に作用して前記散薬収容容器から散薬を排出させる容器載置装置とが設けられ、前記薬品包装領域には、薬品包装装置が設けられ、前記散薬収容容器を移動させるための容器移動装置がさらに設けられ、前記容器移動装置は、前記容器保管装置から所定の前記散薬収容容器を取り出して前記容器載置装置に載置させる動作を実行可能であり、前記容器載置装置に載置された前記散薬収容容器から散薬を排出させて前記分配皿に投入し、前記掻出装置によって前記分配皿の散薬を掻き出して前記薬品包装領域側に落下させ、前記薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作が可能であり、各種情報を表示するための表示装置を有し、前記容器保管装置に現在保管されている前記散薬収容容器に収容された散薬に関する情報を前記表示装置に表示することが可能であることを特徴とする薬品払出装置である。
【0013】
本様相の薬品払出装置は、予め入力された処方情報に基づいて散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置において、容器保管装置から所定の散薬収容容器を取り出して容器載置装置に載置させ、容器載置装置に載置された散薬収容容器から散薬を排出させて分配皿に投入し、分配皿で分割後に分包する動作が可能となっている。
すなわち、散薬の使用量を量り出して散薬収容容器に投入する作業を必ずしも実施する必要がなく、分包動作のさらなる簡易化を図ることができる。
また、本様相の薬品払出装置は、表示装置を備えており、散薬収容容器に収容された散薬の情報を表示することできる。このことから、使用者は、使用する薬品に関する詳細な情報を確認しつつ各種動作を実施可能であり、各種動作において薬品の種類や量を誤るような不具合の発生を抑制できる。
【0014】
本様相は、各種入力動作を実施するための操作装置を備え、前記操作装置は、前記表示装置と一体に設けられたタッチパネル式のものであり、前記表示装置には、前記分配皿への散薬の排出速度を制御するための速度制御画面を表示可能となっており、前記速度制御画面では、円環状の操作用画像が表示され、当該操作用画像が表示されている領域に触れつつ円周方向になぞる動作が検知されると、なぞる方向及びなぞる距離に応じて目標とする前記排出速度を決定し、決定した前記排出速度となるように散薬の排出動作を実施することが好ましい。
【0015】
この好ましい様相では、各種入力動作を実施するための操作装置が表示装置と一体化しており、本体等に操作装置の設置領域をわざわざ確保する必要がなく、設計自由度の向上を図ることができる。そして、この好ましい様相では、円環状の操作用画像が表示された状態で、この操作用画像が表示されている領域に触れつつ円周方向になぞると、分配皿に排出(供給)される散薬の排出速度(供給速度)が変化する。このことにより、タッチパネル式の操作装置において、使用者にあたかもダイヤル操作のような操作感を与えることが可能となる。このことにより、速度変更の際の操作性の向上を図ることができる。
なお、散薬の排出速度(供給速度)とは、単位時間あたりの排出量である。すなわち、操作用画像で上記操作を実施することにより、排出量の変更が可能となる。
【0016】
この様相は、前記速度制御画面では、現在の目標とする前記排出速度を示す値を表示する速度表示用画像がさらに表示されるものであり、当該速度表示用画像は、目標とする前記排出速度が変化したことを条件として、前記操作用画像の外側に一時的に表示されるものであることがさらに好ましい。
【0017】
この好ましい様相では、速度制御画面で散薬の排出速度(供給速度)を変化させると、操作用画像の外側に速度表示用画像が一時的に表示される。このことにより、使用者は、現在の排出速度(供給速度)を確実に把握することができる。
より詳細に説明すると、操作用画像を指等で触れて操作する場合、指等が表示画面と重なってしまい、排出速度を表示している部分が見え難くなってしまう場合がある。そこで本様相では、指等で触れる部分である操作用画像の外側に速度表示用画像を表示させ、速度変更のための操作中であっても、排出速度を一目で確認することが可能となっている。つまり、排出速度を容易に把握可能とすることで、排出速度の変更操作をやり易くすることができる。
【0018】
より好ましくは、前記散薬収容容器は、散薬の排出口となる排出口部を有しており、前記速度制御画面では、前記散薬収容容器が前記容器載置装置に載置されたとき、前記容器載置装置に載置された前記散薬収容容器の前記排出口部及びその周辺を撮影した動画像である観察画像をさらに表示可能であり、前記分配皿の回転動作中において、前記排出口部及びその周辺の現在の様子を表示した前記観察画像と、前記操作用画像とが一画面で同時に表示される。
【0019】
この様相によると、分包動作の実施中において、散薬収容容器の前記排出口部及びその周辺の様子を観察しつつ、散薬の排出速度(供給速度)を変更することができる。すなわち、実際の状況を踏まえつつ排出速度の変更が可能となるので、より適切な排出動作(供給動作)を実施できる。
【0020】
より好ましくは、目標とする前記排出速度の変化に応じて前記操作用画像の表示色が変化する。
【0021】
この様相では、現在の排出速度をより把握し易くすることが可能となる。
【0022】
本様相は、前記分包動作の開始時において、これから実行する前記分包動作に関する情報を記憶する第1履歴記憶動作と、前記分包動作の完了時において、正常に完了した前記分包動作に関する情報を記憶する第2履歴記憶動作とを実行するものであり、前記第1履歴記憶動作で記憶した情報と、前記第2履歴記憶動作で記憶した情報からいずれかを選択し、選択された情報に基づいて前記分包動作を再実行することが可能であることが好ましい。
【0023】
この好ましい様相では、分包動作の開始時において、これから実行する分包動作に関する情報を記憶する第1履歴記憶動作と、分包動作の完了時において、実施が正常に完了した分包動作に関する情報を記憶する第2履歴記憶動作とを実行する。つまり、分包動作の正常完了時に取得する通常の動作履歴の他、分包動作の開始時に取得する動作履歴を取得し、記憶する。そして、それぞれの動作履歴に基づいて分包動作の再実行が可能となっている。言い換えると、正常に終了した分包動作を過去の情報に基づいて再実行可能とするだけでなく、実行を試みたことのある分包動作を過去の情報に基づいて再実行可能としている。
このことから、何らかの理由で中断してしまった分包動作であっても、その理由が即座に解決できる軽微な理由であれば、即座に問題を解決して再実行するといった運用が可能となる。分包動作で問題が発生したとしても、煩雑な入力操作等を必要とすることなく再実行を実施可能であることから、分包動作をより容易に実施可能となる。
【0024】
本様相は、前記分包動作において前記散薬収容容器から排出される散薬に関する薬品関連値の理論値を入力、又は、算出可能であり、前記薬品関連値の実測値を前記分包動作の実施中に直接取得、又は、前記分包動作の実施中に直接取得した値から算出可能であって、各種情報を印刷媒体に出力する印刷動作が実行可能であり、当該印刷動作では、前記理論値と前記実測値を出力可能であることが好ましい。
【0025】
この好ましい様相では、分包動作の結果等を印刷媒体に出力する際、使用した薬品の全量等の動作に関する各値の理論値と、実測値を同じ媒体に印刷可能となっている。このため、使用者は、「理論値」と「実測値」を簡単に比較可能であり、分包誤差の発生の有無や、発生した分包誤差の正確な値を簡単に把握できる。そして、使用者がこのことを踏まえた上で、次回の分包動作を実行可能であるので、より精度の高い分包動作を簡単に実施可能となる。
【0026】
より好ましくは、前記印刷媒体は、散薬を包装するための薬品袋であり、前記印刷動作で印刷する内容に応じて前記薬品袋の袋長を変更する。
【0027】
この好ましい様相によると、記載内容の量に応じて印刷媒体である薬品袋の長さを変更することができる。すなわち、印刷された内容を見易くすることが可能となる。
なお、薬品袋とは、処方に関する情報に基づいて作成される袋である。ここで、処方に関する情報とは、患者を特定するための情報、薬品の服用時期、服用量、服用回数、服用間隔等の処方された薬品の用法に関する情報となっている。
つまり、この様相における薬品袋は、所定の個人に対して個別に形成される薬品袋であり、処方に関する情報に応じて基礎となる袋長が決定されるものである。さらに、処方に関する情報に基づき、必要に応じて所定数に区画され、区画されたそれぞれに一服用分ずつの散薬が封止されるものとなっている。
【0028】
本様相は、前記分配皿への散薬の排出速度を取得可能であり、過去に実施した前記分包動作の進捗に伴う前記排出速度の変化を示すグラフを表示可能であることが好ましい。
【0029】
この好ましい様相では、分配皿への散薬の排出速度を取得可能であり、過去に実施した前記分包動作の進捗に伴う前記排出速度の変化を示すグラフを表示可能となっている。
このことから、単に散薬の排出が完了したか否かを検出するだけでなく、例えば、散薬の排出が開始されてから終了するまでの間、散薬が滞りなく供給されたか否かを確認することができる。言い換えると、散薬の排出が完了したか否かを確認できるだけでなく、排出過程の状況をも確認することができる。そして、その排出速度の推移をグラフで表示することにより、使用者が排出過程の状況をより確認し易くすることができる。
【0030】
本様相は、過去に実施した前記分包動作に関する動画像であり、動作中の前記分配皿及び前記分配皿の周辺を撮影した動画像である過去分包画像と、過去に実施した前記分包動作の進捗に伴う前記分配皿への散薬の排出量の推移、又は、進捗に伴う前記分配皿への散薬の排出速度の変化を示すグラフとを表示可能であり、同じ前記分包動作を対象とした前記過去分包画像と前記グラフとが同一画面に表示されることが好ましい。
【0031】
この好ましい様相では、過去に実施した分包動作に関する動画像と、その過去に実施した分包動作での時間の経過に伴う薬品の供給量の推移(又は薬品の供給速度の変化)を示すグラフとを同一画面に表示することができる。
このことから、使用者は、時間の経過に伴う薬品の供給量や供給速度の推移を確認しつつ、過去の分包動作の具体的な内容を確認することができる。例えば、供給量や供給速度が急激に変化したとき、分配皿の周辺で何が起ったのかを詳細に把握することが可能となる。このように、この好ましい様相によると、過去に実施した分包動作の内容を詳細に検証可能となり、仮に不具合が発生したとしても、原因の特定が容易である。使用者は、このことを踏まえて次回の分包動作を実行可能であるので、より精度の高い分包動作を簡単に実施可能となる。
【0032】
より好ましくは、前記過去分包画像で表示する前記分包動作の開始時刻から終了時刻までの全体時間と、表示中の前記過去分包画像が前記全体時間内のどの時刻であるのかを示す時間表示部がさらに表示される。
【0033】
このより好ましい様相では、現在表示している過去の分包動作の内容が、開始時刻から終了時刻までの間のどの時点を表示しているのかを簡単に把握することができる。すなわち、どの時点で何が起ったのか容易に把握することができる。
【0034】
さらに好ましくは、実施中に不具合が発生した過去の前記分包動作を対象とするとき、前記グラフ上にエラー発生時刻を強調表示するエラー時刻表示動作を実施する。
【0035】
このさらに好ましい様相では、不具合が発生した時刻を強調表示することにより、過去の分包動作に関する動画像を閲覧する使用者に対し、不具合が発生した時刻及びその付近の時間の動作について、特に注意して見るように促すことができる。すなわち、過去の分包動作で不具合が発生した瞬間の様子や、不具合が発生する直前の様子、不具合の発生後にどうなったか等の重要な内容を、使用者が見逃してしまうことを防止する。
【0036】
本様相は、内部及び外部に保管された前記散薬収容容器内の散薬の量である在庫量と、将来実施される予定の前記分包動作で使用する散薬の量である予約量とを算出可能であり、前記在庫量と前記予約量を比較する比較動作を実施し、当該比較動作の結果、将来実施される前記分包動作で散薬が不足される場合には、使用者に将来の散薬の不足を報知する報知動作を実施することが好ましい。
【0037】
この好ましい様相では、将来実施される予定の分包動作で使用される薬品の量を算出し、在庫量と比較する。そして、比較の結果、将来薬品が不足されることが判明した場合には、使用者に将来に薬品の不足を報知する。すなわち、使用者に将来の薬品の不足を気付かせることにより、予め薬品を確保しておくことを促し、薬品の不足を原因とした分包動作の中断を予防することができる。このことにより、分包動作を滞りなく実施可能となる。
【0038】
さらに好ましくは、現在実施中の前記分包動作の進捗を表示するための分包進捗画面を表示可能であり、前記比較動作の結果、将来実施される前記分包動作で散薬が不足される場合には、この散薬の不足が発生することを報知する第1報知動作を実施するものであり、前記第1報知動作では、前記分包進捗画面の一部を周囲よりも際立たせて表示する動作が実施され、前記第1報知動作で際立たせる部分に対して所定の操作を実施することで、秤量予約通知画面が表示され、前記秤量予約通知画面では、将来実施する前記分包動作で不足する散薬の量である不足量が表示され、前記秤量予約通知画面で所定の操作が行われたことを条件として、所定の前記散薬収容容器に将来不足する散薬を充填するための動作が開始される。
【0039】
ところで、掻出装置によって散薬を掻き出す際、静電気が発生する等の理由により、掻出装置の散薬を掻き出すための部分に散薬が付着してしまうおそれがある。そして、掻出装置に散薬が付着してしまうと、掻き出す散薬の量が規定量より少なくなってしまい、正確な量の散薬を包装できなくなってしまうおそれがある。
【0040】
このことから、本様相は、前記掻出装置は、先端側が昇降するアーム部材と、当該アーム部材の先端に設けられた掻寄板と、当該掻寄板から突出する掻出板を備えており、前記分配皿は、環状に連続する溝状部分を備え、前記分包動作では、前記掻寄板を前記分配皿の前記溝状部分に挿入し、前記掻寄板と前記分配皿を相対的に移動させることで前記分配皿の上の散薬を前記掻寄板の近傍に掻き寄せる掻寄動作と、前記掻出板を前記溝状部分の上面に接触させたまま前記溝状部分の周方向を横切る方向に移動させることで前記掻寄板の近傍に掻き寄せられた散薬を前記分配皿の外に掻き出す掻出動作を実施可能であり、散薬を前記分配皿の外に掻き出す動作を実施した後、前記掻出板を前記溝状部分の上面に接触させたまま前記掻出動作の実施時とは逆方向に移動させ、さらにその後、前記掻出動作の同方向に移動させることが好ましい。
【0041】
この好ましい様相では、散薬を分配皿の外に掻き出す掻出動作を実施した後、掻出装置の掻出板を分配皿の溝状部分の上面に接触させたまま掻出動作の実施時とは逆方向に移動させている。このことにより、掻出板に付着した散薬を分配皿に落とすことが可能となる。そして、その後、掻出板を掻出動作の同方向に移動させる動作を実施することで、分配皿に落とした散薬を掻き出すことが可能となる。すなわち、この好ましい様相によると、掻出板に付着した散薬を分配皿に落とした後に掻き出すことができるので、掻出板に散薬が付着することに起因する掻き出す散薬の量の減少を防止できる。
【0042】
本様相は、前記掻出装置は、先端側が昇降するアーム部材と、当該アーム部材の先端に設けられた掻寄板と、当該掻寄板から突出する掻出板を備えており、前記分配皿は、環状に連続する溝状部分を備え、前記分包動作では、前記掻寄板を前記分配皿の前記溝状部分に挿入し、前記掻寄板と前記分配皿を相対移動させることで前記分配皿の上の散薬を前記掻寄板の近傍に掻き寄せる掻寄動作と、前記掻寄板の近傍に掻き寄せられた散薬を前記掻出板によって前記分配皿の外に掻き出す掻出動作を実施可能であり、さらに前記掻寄動作と前記掻出動作からなる動作を複数回実施し、前記分配皿の上の散薬を一包分ずつに分割して前記分配皿の外に掻き出す動作が可能であり、当該動作では、散薬の分割数に応じて、一包分の散薬を対象とした前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離が可変するものであり、一包分の散薬を対象とした前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離に応じて、一包分の散薬を1回の前記掻寄動作と前記掻出動作によって掻き出す単数掻出動作と、一包分の散薬を複数回の前記掻寄動作と前記掻出動作によって掻き出す複数掻出動作のいずれかを実施可能であり、前記複数掻出動作を実施する場合には、先行して実施する前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離が、最後に実施する前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離よりも長いことが好ましい。
【0043】
ここで、掻寄板と分配皿を相対移動させて散薬を掻き寄せる際、相対移動させる距離が長くなりすぎると、寄せ集める散薬の量が多くなり、掻き寄せた散薬が掻寄板の周辺だけでなく、掻寄板から離れた位置に達してしまう可能性がある。この場合、掻出動作を実施しても掻寄板から離れた位置の散薬を掻き出せない可能性がある。このことは、掻き出す散薬の量が規定量より少なくなってしまうため、正確な量の散薬を包装するという観点から好ましくない。
【0044】
そこで、上述の好ましい様相では、相対移動の移動距離に応じて複数掻出動作を実施し、一包分の散薬を複数回に分けて掻き出すので、掻き寄せた散薬を掻寄板の周辺のみに位置させることが可能となる。また、最後の掻出動作のために散薬を掻き寄せるとき、先行する掻出動作のために散薬を掻き寄せるときよりも、相対移動の移動距離を短くしている。つまり、最後の掻出動作のために散薬を掻き寄せるとき、より確実に散薬を掻寄板の周辺のみに位置させることが可能となる。このことにより、散薬が掻寄板から離れた位置に集められて掻き出せないということが無く、正確な量の散薬の包装が可能となる。
【0045】
さらに好ましくは、前記複数掻出動作では、予め規定した最大の移動量で前記相対移動を実施する前記掻寄動作を伴う最大量掻出動作と、予め規定した最小の移動量で前記相対移動を実施する前記掻寄動作を伴う最小量掻出動作とを実施可能であり、少なくとも1回の前記最大量掻出動作を実施し、一包分の散薬を対象とした前記掻寄動作における前記相対移動の移動距離から前記最大量掻出動作で実施する前記掻寄動作での前記相対移動の移動距離を差し引いた値が所定以上であることを条件として、前記最大量掻出動作で実施する前記掻寄動作での前記相対移動の移動距離よりも少量の移動量で実施する前記掻寄動作と前記掻出動作を実施し、さらに前記最小量掻出動作を実施する。
この好ましい様相によると、より確実に正確な量の散薬の包装が可能となる。
【0046】
本様相は、前記散薬収容容器は、前記排出口部に形成される排出口を開閉するための蓋部材を有しており、前記容器移動装置は、前記蓋部材を開閉させる蓋係合部と、前記散薬収容容器を密着させた状態で保持可能な容器保持部を備え、前記容器保持部が前記散薬収容容器から離れた位置で前記蓋部材を閉塞させる仮閉塞動作を実施した後、前記容器保持部と前記散薬収容容器を接触させ、前記散薬収容容器を保持させる動作と、前記蓋部材を閉塞させる本閉塞動作とを実施することが好ましい。
【0047】
この好ましい様相によると、容器移動装置で散薬収容容器を移動させるとき、容器移動装置と散薬収容容器の接触に起因する衝撃で散薬収容容器から散薬がこぼれ出てしまうことがない。このため、分配皿に予期しない散薬が供給されてしまうことがなく、正確な量の散薬の払い出しと、包装が可能となる。
【0048】
本様相は、前記容器載置装置が複数設けられており、複数の前記容器載置装置に対してそれぞれ別の前記散薬収容容器を載置し、それぞれの前記散薬収容容器から散薬を排出させる動作が可能であって、少なくとも1つの前記散薬収容容器から散薬が排出されている間、散薬の排出が完了した前記散薬収容容器を前記容器載置装置から離れた位置に移動させ、散薬の排出が完了した前記散薬収容容器が載置されていた前記容器載置装置に、新たな前記散薬収容容器を載置させる動作が実施可能であることが好ましい。
【0049】
この好ましい様相によると、薬品払出装置に設けられた容器載置装置の数以上の散薬を混合して分割、包装する場合においても、容器交換時の散薬のこぼれ等が発生することがなく精度の高い分包動作が実施できる。
【0050】
本発明に関連するさらに他の様相は、処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する制御装置と、薬品払出装置を備え、前記薬品払出装置は、散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、前記散薬収容容器が載置されると共に前記散薬収容容器に作用して前記散薬収容容器から散薬を排出させる容器載置装置とが設けられており、前記容器載置装置に載置された前記散薬収容容器から散薬を排出させて前記分配皿に投入し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出するものであり、前記調剤機器には、対象薬剤を秤量するための薬品秤量装置と、前記散薬収容容器を一時的に設置するための仮置台装置とを含むものであり、前記散薬収容容器は、複数の前記散薬収容容器から1の前記散薬収容容器を特定するための情報である容器情報を少なくとも記憶可能な容器側情報記憶手段が設けられ、前記仮置台装置と前記容器載置装置には、前記容器側情報記憶手段に記憶された状態を読み取るための情報読取手段が設けられており、前記仮置台装置に載置した前記散薬収容容器の前記容器情報を前記情報読取手段によって読み取り、読み取った情報を前記薬品秤量装置が一時的又は半永久的に記憶する情報記憶動作と、前記薬品秤量装置が受信した前記容器情報と、前記薬品秤量装置に記憶された秤量した散薬に関する情報とを前記薬品秤量装置から前記薬品払出装置に送信する情報送信動作と、前記薬品払出装置が前記薬品秤量装置から送信された情報と、前記薬品払出装置が予め受信していた前記処方データに基づいて、前記処方データに少なくとも前記容器情報を含む前記薬品秤量装置から受信した情報を関連付けて散薬関連情報を作成する情報作成動作とを実施し、前記仮置台装置に載置されていた前記散薬収容容器を前記容器載置装置に載置させたとき、前記容器載置装置の前記情報読取手段によって前記散薬収容容器の前記容器情報を読み取り、前記容器載置装置の前記情報読取手段が読み取った前記容器情報と、前記散薬関連情報に基づいて後に実施する分包動作と対応する処方を特定し、その後に前記分包動作を実行することを特徴とする散薬調剤業務支援システムである。
【0051】
本様相では、薬品秤量装置で秤量した薬品を散薬収容容器に収容する際に、散薬収容容器を専用の仮置台装置に載置する。このことにより、散薬収容容器を机の上等に直接載置する場合に比べ、散薬収容容器の姿勢を安定させた状態で薬品の収容が可能となる。
また、散薬収容容器を仮置台装置に載置するときに容器を特定するための容器情報を取得しており、この容器情報を処方データに関連付けることで散薬関連情報を作成している。そして、散薬収容容器を容器載置装置に載置させたとき、再度容器情報を読み取り、散薬関連情報と照合することで、散薬収容容器に収容した薬品を使用する処方を特定している。すなわち、散薬収容容器に収容した薬品を使用する処方を特定する動作を実施した後、その処方に応じた分包動作を実施する構成となっている。このことにより、処方で提供されない薬品を収容した散薬収容容器を誤って使用してしまうといったことが無く、より確実に所定の処方に応じた分包動作を実施可能となる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によると、分包動作のさらなる簡易化が可能であり、予期しない不具合の発生をより抑制可能な薬品払出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬品払出装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の本体装置の筐体を透過して示す斜視図である。
【
図3】
図1の本体装置を別角度から見た様子を示す斜視図であり、扉部が開いた状態を示す。
【
図4】
図2の薬品分割領域を拡大して示す斜視図である。
【
図5】本実施形態の散薬カセット実装マスタ画面を示す図である。
【
図6】本実施形態の薬品マスタ画面を示す図である。
【
図7】本実施形態の患者マスタ画面を示す図である。
【
図10】本実施形態の形態選択画面を示す図である。
【
図11】本実施形態の散薬カセット選択画面を示す図である。
【
図13】
図11の散薬カセット選択画面において文字入力部に入力が行われた状態を示す図である。
【
図14】本実施形態の欠カセット通知画面を示す図である。
【
図15】本実施形態の分包進捗画面を示す図である。
【
図16】
図15の分包進捗画面で表示されたグラフを拡大して示す図である。
【
図17】本実施形態の速度制御画面を示す図である。
【
図18】
図17の速度制御画面において、速度操作部を操作する様子を示す説明図であり、(a)は速度操作部に指が触れた状態を示し、(b)は(a)の状態から指が移動した後の様子を示す。
【
図19】
図17の速度制御画面の一部を拡大して示す図であり、速度表示部が表示された状態を示す。
【
図20】
図17の速度制御画面の一部を拡大して示す図であり、速度操作部の操作中に速度表示部が表示されている様子を示す図である。
【
図21】
図17の速度制御画面で全画面表示操作が実行された状態を示す図である。
【
図22】本実施形態のレイアウト設定画面を示す図である。
【
図23】本実施形態の秤量予約通知画面を示す図である。
【
図24】
図23の秤量予約通知画面で表示されるグラフ部分を示す図である。
【
図25】本実施形態の処方履歴一覧画面を示す図である。
【
図26】
図25の処方履歴一覧画面において、処方表示領域に処方がリスト表示された状態を示す図である。
【
図27】本実施形態の秤量履歴画面を示す図である。
【
図28】本実施形態の過去動画表示画面を示す図である。
【
図29】本実施形態の分包履歴表示画面を示す図である。
【
図30】
図17とは異なる速度制御画面の一部を示す図である。
【
図31】
図1の薬品払出装置を制御装置等と連動させて構築する散薬調剤業務支援システムを示すブロック図である。
【
図32】
図4の掻出装置の具体的な構造を示す斜視図である。
【
図33】
図1の薬品払出装置において、一包分の散薬を掻寄板の近傍に掻き寄せた後に分配皿の外部に掻き出す動作を示す説明図であり、(a)~(c)の順で散薬の掻き寄せが実施される。
【
図34】
図1の薬品払出装置において、一包分の散薬を分配皿の外部に掻き出す動作を示す説明図であり、(a)~(d)の順で散薬の掻き出しが実施される。
【
図35】本実施形態の薬品払出装置とは異なる動作を示す説明図であり、(a)は分配皿を半周回転させる動作を示す図であり、(b)は(a)の動作の終了後の掻寄板の周辺を示す図である。
【
図36】一包分を対象とした散薬を掻き出す掻出動作を実行するときの手順を示すフローチャートである。
【
図37】
図1の薬品払出装置で採用する自動式薬品容器を示す斜視図であり、容器保持台に載置された状態を示す。
【
図38】
図37で示す自動式薬品容器の断面図であり、(a)は蓋部材が開いた状態を示し、(b)は蓋部材が閉じた状態を示す。
【
図39】
図2で示される容器移動装置を示す斜視図である。
【
図40】
図39で示されるアーム部の先端側部分を示す斜視図であり、(a)は容器保持部の吸着面が水平となる姿勢を示し、(b)は容器保持部の吸着面が直立する姿勢を示す。
【
図41】
図39で示されるアーム部の先端側部分で自動式薬品容器を容器保持台から移動させる様子を示す説明図であり、アーム部の先端側部分を自動式薬品容器の上方に離れた位置に配して蓋部材を閉塞させる様子を示す。
【
図42】
図41に続いてアーム部の先端側部分で自動式薬品容器を容器保持台から移動させる様子を示す説明図であり、(a)はアーム部の先端側部分を自動式薬品容器から一旦離間させる様子を示し、(b)はアーム部の先端側部分を自動式薬品容器に接触させて蓋部材を閉塞させる様子を示す。
【
図43】全ての容器保持台に自動式薬品容器を載置して分配皿に散薬を排出させる動作中において、1つの自動式薬品容器を交換する様子を示す説明図であり、(a)~(c)の順で自動式薬品容器を交換する。
【
図44】本実施形態の散薬分包装置が実施する印字動作により出力される紙媒体の一例を示す説明図である。
【
図45】
図27とは異なる形態の秤量履歴画面を示す図である。
【
図46】
図1とは異なる手動式薬品容器を示す斜視図である。
【
図47】
図46で示される手動式薬品容器の貯留空間形成部材を示す分解斜視図である。
【
図48】
図46で示される手動式薬品容器の断面図であり、蓋部を省略して示す。
【
図49】
図46で示される手動式薬品容器の底部形成部材を示す分解斜視図である。
【
図50】貯留空間形成部材を底部形成部材に取り付ける様子を示す説明図であり、蓋部を省略して示す。
【
図51】
図46で示される手動式薬品容器を仮置台に載置する様子を示す説明図であり、手動式薬品容器を透過させると共に蓋部を省略して示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付した図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であり、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
【0055】
本実施形態の散薬分包装置1(薬品払出装置)は、
図1で示されるように、本体装置2と、操作表示部3(表示装置,操作装置)、制御部(図示しない)、手動式薬品容器5、薬品秤量装置6、ジャーナルプリンタ7、バーコードリーダー8を備えた構造となっている。
この散薬分包装置1は、操作表示部3を操作することにより、薬品容器(散薬収容容器であり、後述する自動式薬品容器4、又は上記した手動式薬品容器5)に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する装置である。
【0056】
本体装置2は、筐体10に各種機器が内蔵されて形成されており、具体的には、
図2で示されるように、筐体10の内部に薬品容器配置領域12、薬品分割領域13、薬品包装領域14がそれぞれ設けられている。この筐体10の内部には、除湿装置(図示しない)と温度調節器(図示しない)が設けられており、内部の温度と湿度を一定範囲に維持することが可能となっている。
【0057】
筐体10のうちで薬品容器配置領域12の外側壁面を形成する部分には、
図1、
図3で示されるように、扉部16が設けられている。
扉部16は、自動式薬品容器4を筐体10に出し入れするための部分であり、その内側に自動式薬品容器4を仮置きするための容器仮置部18が設けられている。この扉部16及び容器仮置部18は、筐体10の内部に薬品容器を導入する際の導入部として機能すると共に、筐体10の内部から薬品容器を取り出す際の取出部としても機能する。
【0058】
容器仮置部18は、自動式薬品容器4を機械的な係合によって保持可能な部分であり、自動式薬品容器4を載置することで、自動式薬品容器4と容器仮置部18が係合状態となる。反対に、自動式薬品容器4と容器仮置部18が係合状態であるとき、自動式薬品容器4を持ち上げることにより、これらが係合解除状態となる。すなわち、自動式薬品容器4を容器仮置部18から離脱させることが可能となる。
【0059】
この容器仮置部18には、自動式薬品容器4から情報を読み取るための情報読取手段と、自動式薬品容器4の重量を測定するための重量測定手段とが設けられている。
【0060】
薬品容器配置領域12には、
図2で示されるように、自動式薬品容器4を保持する容器保管部23(容器保管装置)が設けられている。なお、
図2では一部の自動式薬品容器4にのみ符号を付し、他の自動式薬品容器4への符号を省略している。
容器保管部23は、直立した姿勢で設置されるドラム部材25を備えており、このドラム部材25が縦方向に延びる回転軸を中心として回転可能となっている。つまり、縦型のドラム部材25がモータ等を動力原として水平方向に回転可能な状態となっている。
【0061】
このドラム部材25の外周面には、複数の容器設置部が設けられており、この容器設置部に自動式薬品容器4が保持された状態となっている。
それぞれの容器設置部は、機械的な係合によって自動式薬品容器4を保持するものであり、自動式薬品容器4を押し込むことで、自動式薬品容器4と容器設置部が係合状態となる。反対に、自動式薬品容器4と容器設置部が係合状態であるとき、自動式薬品容器4を外側に引っ張ることにより、これらが係合解除状態となる。
【0062】
本実施形態では、
図2で示されるように、ドラム部材25が縦方向で3分割されており、分割されたそれぞれの領域に複数の容器設置部が形成されている。言い換えると、11個の容器設置部からなる群が3段に亘って設けられている。すなわち、容器保管部23は、全体で33個の自動式薬品容器4を保持可能となっている。
【0063】
この容器設置部は、外側に向かって突出する突出部材を備えた構造となっており、自動式薬品容器4が正規の姿勢で取り付けられると、この突出部材が没入する構造となっている。
【0064】
また、ドラム部材25の内部と外側には、それぞれ光センサーが設けられており、容器設置部の突出部材が突出しているか否かを検知可能となっている。
【0065】
なお、薬品容器配置領域12には、ドラム部材25の近傍に情報読取手段(図示しない)が設けられている。このため、ドラム部材25に保持されたそれぞれ自動式薬品容器4から情報の取得が可能となっている。より詳細には、それぞれの自動式薬品容器4に取り付けられた容器側情報記憶手段(詳しくは後述する)から情報の取得が可能となっている。
【0066】
薬品容器配置領域12から薬品分割領域13に至る領域には、容器移動装置28が設けられている。容器移動装置28は、アーム部30と昇降機構31を備えた構造となっており、昇降機構31によってアーム部30が鉛直方向に移動可能となっている。
また、アーム部30の先端部分には磁石が設けられており、自動式薬品容器4に一体に取り付けられた鉄板を吸着することで、自動式薬品容器4を保持可能となっている。
【0067】
薬品分割領域13では、正面ドア34(
図1参照)の後方側に位置する空間内に、
図4で示されるように、分配皿35と、容器保持台36(容器載置装置)と、掻出装置37と、清掃装置38と、薬品導入口39と、カメラ部材40が設けられている。
より具体的に説明すると、薬品分割領域13では、並列する2つの分配皿35がそれぞれ埋没状態で設置されている。
【0068】
それぞれの分配皿35の周辺には、容器保持台36と、掻出装置37と、清掃装置38が設けられている。そして、1つの分配皿35に、3つの容器保持台36と、1つの掻出装置37と、1つの清掃装置38が対応付けられている。
【0069】
また、分配皿35の周辺であり、2つの分配皿35の間には、薬品包装領域14に一包分ずつ散薬を供給するための薬品導入口39が設けられており、この薬品導入口39と隣接する位置に仕切板装置41が設けられている。
仕切板装置41は、箱状の本体部と、この本体部に対して出没可能に取り付けられた立板部とを備えている。そして、立板部の大部分が本体部から外部に突出した突出状態と、立板部が本体内に収納された収納状態とを切替え可能となっている。
【0070】
ここで、各分包動作(詳しくは後述する)において、一方の分配皿35で配分した散薬を掻出装置37ですくい上げ、薬品導入口39に投入するとき、投入する散薬の種類によっては、散薬が必要以上に遠くまで飛んでしまうことが考えられる。すなわち、散薬が他方側の分配皿35まで飛んで行ってしまうことが考えられる。
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、仕切板装置41を突出状態とすることで、散薬が他方側の分配皿35まで飛んで行くことを防止している。すなわち、仕切板装置41の立板部を遮断壁のように機能させ、散薬が他方側の分配皿35まで飛んで行くことを防止している。
【0071】
分配皿35は、円環状に連続する薬品投入溝が設けられており、図示しない回転機構によって、回転可能な状態となっている。
【0072】
容器保持台36は、振動台部と、重量測定手段とを備えた構造となっている。
【0073】
振動台部には、薬品容器(自動式薬品容器4又は手動式薬品容器5)を保持するための容器保持手段が設けられている。なお、本実施形態では、容器保持手段として磁石(電磁石)を採用している。
【0074】
重力測定手段は、薬品容器の重量を直接又は間接的に測定するものである。
【0075】
このことから、容器保持台36に薬品容器を載置することで、薬品容器を振動させ、薬品容器に収容された散薬を分配皿35に排出することが可能となる。そして、この散薬の排出に伴う薬品容器の重量変化を重力測定手段によって検知可能となっている。
【0076】
カメラ部材40は、容器保持台36の周囲を撮影可能な位置に設置されており、容器保持台36に載置された薬品容器の薬品排出部(排出口部、詳しくは後述する)の周辺を撮影する撮像装置として機能するものである。このカメラ部材40には、例えば、CCDカメラ等のデジタル撮像器が好適に採用可能となっている。
本実施形態では、片側の分配皿35に隣接する容器保持台36の周辺を撮像するカメラ部材40と、他方側の分配皿35に隣接する容器保持台36の周辺を撮像するカメラ部材40が別途設けられており、それぞれ撮像動作を別途実行可能となっている。
【0077】
薬品包装領域14には、公知の薬品包装装置と、印字手段とが設けられている。
薬品包装装置は、薬品を一包分ずつ包装するための機械であり、シート供給装置と、シール装置によって形成されている。すなわち、シート供給装置から供給されたシートを袋状に形成して分包袋を作成すると共に、作成した分包袋で薬品分割領域13から供給された散薬シール装置によって一服用分ずつシールし包装する動作が可能となっている。
印字手段は、分包袋に対して所定の情報を印字するための機械である。
【0078】
自動式薬品容器4は、外形が略直方体状の容器であり、内部に収容した散薬又は粉末状の薬品を外部に排出するための薬品排出部187(
図37、
図38等参照)が設けられている。この薬品排出部187、開口状の部分であり、内外を連通している。なお、この薬品排出部187は、周辺の部材を取り外すことでより大きく開口し、薬品を導入するための薬品投入部として機能する部分でもある。
また、この自動式薬品容器4には、異なる二面にそれぞれ鉄板が取り付けられている。一方の面に設けられた鉄板は、アーム部30で自動式薬品容器4を保持する際、アーム部30の磁石に吸着させるための部分である。また、他方の面に設けられた鉄板は、後述する容器保持台36に設置するとき、容器保持台36の磁石に吸着させるための部分である。
加えて、この自動式薬品容器4にはRFIDタグが設けられており、収納された薬品に関する情報を記憶可能となっている。すなわち、このRFIDタグが容器側情報記憶手段として機能する。
【0079】
操作表示部3は、所謂タッチパネルであり、液晶パネル等の表示装置と、タッチパッド等の位置入力装置を組み合わせて形成されたものである。
本実施形態の散薬分包装置1は、この操作表示部3に各種画面を表示し、指やタッチペン等の誘電体(以下、単に指等とも称す)で所定の部分に触れる操作を行うことで、後述する各種動作を実行可能となっている。
【0080】
制御部は、CPU、ROM、RAM(EEPROM)、データ記憶部を備えている。
CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROMは、BIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリであり、RAMは、各種プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリとなっている。
【0081】
データ記憶部は、各種プログラムやデータが記憶されたHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置である。より詳細には、薬品に関する各種情報を記憶する「薬品マスタ」、賦形動作が必要な薬品に関する情報を記憶する「賦形薬品マスタ」、薬品の常用量に関する情報を記憶する「常用量マスタ」、薬品を処方された患者に関する情報を記憶する「患者マスタ」、薬品を処方される患者の平均体重に関する情報を記憶する「平均体重マスタ」等の各種データベースが記憶されている。
付言すると、これらのデータベースに記憶された情報は、適宜関連付けられた状態で記憶されている。
【0082】
手動式薬品容器5は、略直方体状の容器であり、自動式薬品容器4と略同じ構造となっている。この手動式薬品容器5は、薬品排出部とは別位置に薬品投入部を設けている点で、自動式薬品容器4とは異なっている。
すなわち、手動式薬品容器5では、薬品投入部が手動式薬品容器5の上部に設けられている。この薬品投入部は、内外を連通する貫通孔状の部分であり、外側部分が内側部分よりも断面積が大きくなるように形成されている。
【0083】
薬品秤量装置6は、天秤台と、RFIDリーダライタを備えている。そして、薬品秤量装置6に薬品容器を載置することで、薬品容器の重量を測定可能であり、薬品容器に設けられたRFIDタグに対して情報の読み込み及び書き込みが実施可能となっている。
換言すると、薬品秤量装置6は、薬品容器の重量を測定する重量測定手段と、薬品容器の容器側情報記憶手段に対して情報の読み取り及び書き込みを実施する情報読込手段及び情報書込手段を備えた構造となっている。
【0084】
ジャーナルプリンタ7は、分包動作の履歴や処方の記録といった、各種情報を紙等の媒体に印字して出力するための装置である。
【0085】
バーコードリーダー8は、薬品の元箱や薬瓶等に記されているバーコードを読み取り可能なものである。
【0086】
本体装置2に内蔵されたセンサー、カメラ部材等の各種機器、薬品秤量装置6、ジャーナルプリンタ7、バーコードリーダー8は、上記した制御部との間で各種情報を送受信可能な状態となっている。すなわち、これらはLAN等の通信ネットワークで接続された状態となっており、信号の送受信が可能な状態となっている。
【0087】
続いて、本実施形態の散薬分包装置1の実施可能な動作について説明する。
【0088】
本実施形態の散薬分包装置1では、各種データベースに対して、情報の追加、削除、変更を実施する「データベース編集動作」と、散薬を一服用分ずつ分包する「分包動作」と、各種書類を発行する「印字動作」と、将来実施される分包動作で不足する薬品を報知する「予約管理動作」と、過去に実施された分包動作の内容を検証する「分包検証動作」と、分包動作を正常に実行するための「メンテナンス動作」と、過去に発行した履歴に基づいて分包動作を再実施する「再分包動作」を実施可能となっている。
[データベース編集動作]
【0089】
本実施形態の散薬分包装置1では、各種データベースに対応する画面を表示させ、それぞれのデータベースに対する情報の追加、削除、変更が可能となっている。
具体的には、散薬カセット実装マスタ画面(
図5参照)と、薬品マスタ画面(
図6参照)と、患者マスタ画面(
図7参照)と、賦形薬品マスタ画面(図示せず)と、常用量マスタ画面(図示せず)と、平均体重マスタ画面(図示せず)とを含む各種画面を表示可能となっている。そして、各々の画面、又は、各々の画面を操作することで表示される他画面から情報の追加、削除、変更が可能となっている。
ここで、各々の画面には、それぞれ「CSV出力」ボタンと、「印刷」ボタンが設けられている。これらのボタンは、表示されている部分に触れる(以下、画面に表示されたボタン状の部分に使用者が触れることを「押下する」とも称す)ことで、データベースに登録された内容をCSVファイルで出力、又は、紙等の媒体に印字して出力することが可能となっている。
【0090】
散薬カセット実装マスタ画面(
図5参照)は、薬品容器(自動式薬品容器4)に収容された薬品の情報を記憶するデータベースに対応する画面となっている。
なお、この画面では、薬品毎に、薬品コード、薬品名、最大実装量、充填基準量、使用量、在庫量、製造番号、使用期限等の情報を登録可能となっている。
【0091】
薬品マスタ画面(
図6参照)は、薬品に関する情報を記憶するデータベースに対応する画面となっている。このデータベースの登録対象は、医師から処方される可能性のある薬品であり、薬品容器への収納、未収納に関わらず登録対象となる。つまり、散薬カセット実装マスタ画面が薬品容器に収容された薬品を対象とするのに対し、薬品マスタ画面は、処方される可能性のある全ての薬品を対象としている。
この薬品マスタ画面(
図6参照)では、薬品毎に、薬品コード、薬品名、単位コード、刻印、棚ナンバー(収納されている棚の管理番号)、管理フラグ(取扱いに特別な管理が必要か否か)、薬品名(略称)、洗い対象か否か(分配皿35の清掃動作が必要な薬品であるか否か)、安定係数、比重、振動係数、イメージ画像等の情報を登録可能となっている。
【0092】
患者マスタ画面(
図7参照)は、薬品が処方された患者に関する情報を記憶するデータベースに対応する画面となっている。
この患者マスタ画面(
図7参照)は、患者毎に、患者ID、患者名(漢字)、患者名(カナ)、生年月日、病棟名、申し送り事項、住所、電話番号、FAX番号等の情報を登録可能となっている。
なお、「病棟名」とは、患者が受診した診療科が属する病棟名であり、必要に応じて入力する。
【0093】
なお、賦形薬品マスタ画面(図示せず)は、増量、希釈等のために添加剤を加えて処方される薬品に関する情報を記憶するデータベースに対応する画面である。
常用量マスタ画面(図示せず)は、年齢や体重等に関連して決定される薬品の服用量に関する情報を記憶するデータベースに対応する画面である。
平均体重マスタ画面(図示せず)は、所定の年齢の範囲に対応する平均体重に関する情報を記憶するデータベースに対応する画面である。
[分包動作]
【0094】
本実施形態の散薬分包装置1は、予め実施された「処方入力動作」で入力された処方に関する情報を必要に応じて参照しつつ、薬品を一服用分ずつ包装する分包動作を実施可能となっている。
より詳細には、容器保管部23に保持された自動式薬品容器4に収容された散薬を分包する「第1分包動作」と、外部の管理棚に収納された自動式薬品容器4に収容された散薬を分包する「第2分包動作」と、手動式薬品容器5に収容された散薬を分包する「第3分包動作」を実施可能となっている。
【0095】
それぞれの分包動作に際して、散薬分包装置1は、自動式薬品容器4を容器保管部23に収容する動作、容器保管部23から自動式薬品容器4を取り出す動作、取り出した自動式薬品容器4を分配皿35の近傍に移動させる動作、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置する動作、所定量の薬品を分配皿35に投入する動作、分配皿35から薬品を一服用分ずつ薬品分包装置に供給する動作、自動式薬品容器4を容器保管部23に戻す動作を自動的に行うことが可能となっている。
【0096】
ところで、「第1分包動作」、「第2分包動作」が実施される場合には、処方に関する情報に基づいて使用する薬品容器を選択する「カセット選択動作」を実施し、選択された薬品容器を使用してそれぞれの分包動作を実施する構成となっている。
【0097】
ここで、「第1分包動作」を実施する際、「カセット選択動作」で選択した自動式薬品容器4がドラム部材25に保持されていなかった場合には、使用者にその旨を通知する「カセット欠如報知動作」が実施される。この場合、必要に応じて自動式薬品容器4をドラム部材25に保持させる「充填動作」を実施した後に、第1分包動作を再度実施することが可能となっている。
【0098】
これら「処方入力動作」、「カセット選択動作」、「充填動作」、「第1分包動作」、「第2分包動作」、「第3分包動作」につき、それぞれ詳細に説明する。
[処方入力動作]
【0099】
処方入力動作は、操作表示部3に処方入力画面(
図8参照)を表示させ、処方に関する情報を入力する動作である。
なお、処方入力動作では、入力された情報を所定のデータベースに自動的に登録する登録動作が必要に応じて実施される。
【0100】
処方入力画面には、それぞれの項目に対応する入力欄が設けられており、患者ID、患者名といった患者に関する情報、薬品を処方した医師が属する医療機関や診療科に関する情報、処方された薬品の薬品名、用法、用量といった薬品に関する情報が入力可能となっている。
【0101】
本実施形態の散薬分包装置1は、薬品名をリストから選択可能な入力補助機能を備えている。具体的には、簡単入力画面(
図9参照)を表示させ、リストから薬品名を選択することで、薬品名の入力が可能となっている。
【0102】
簡単入力画面には、検索に使用する文字列を入力するための文字入力部45と、検索条件を設定するための設定ボタン46とが設けられている。
そして、使用者が文字入力部45に所定の文字列を入力する、及び/又は3つの設定ボタン46のいずれかを押下することで、リストに挙げる薬品を絞り込み可能となっている。そして、リスト表示された薬品名のいずれかを押下することで、薬品名が選択されることとなる。
【0103】
文字入力部45は、薬品を特定するキーワードとして使用する文字又は文字列(以下、単に文字列等とも称す)を入力するための部分である。この文字入力部45に文字列等を入力すると、入力された文字列等から始まる薬品だけがリスト表示された状態となる。例えば、文字入力部45に「ア」という文字を入力した場合、薬品名の最初の文字が「ア」となる薬品のみがリスト表示されるといった具合である。
つまり、本実施形態の散薬分包装置1は、文字入力部45に入力された文字列等と、薬品名を仮名読みしたときの文字列を比較する比較動作を実施する。そして、薬品名を仮名読みしたときの文字列が入力された文字列等から始まる薬品だけをリストに表示する表示動作を実施する。
【0104】
本実施形態では、文字入力部45に文字列を入力していくとき、1文字入力する毎にリストの表示内容が変更される構成となっている。
具体的に例を挙げて説明すると、仮に文字入力部45に対して「アイウ」という文字列を入力するとき、まず「ア」という文字の入力後に、薬品名の最初の文字が「ア」となる薬品のみ表示された状態となる。そして、「ア」に続いて「イ」が入力され、文字入力部45に入力された文字列「アイ」となったとき、薬品名の最初の文字が「ア」であり、二文字目が「イ」である薬品のみが表示された状態となる。つまり、薬品名を仮名読みしたときの文字列が「アイ」から始まる薬品のみが表示される。このように、文字入力部45に文字列を入力していくと、一文字入力する毎にリストの表示が切り替わっていく構造となっている。
【0105】
設定ボタン46は、「散薬」ボタン、「錠剤」ボタン、「カセット」ボタンから構成されており、いずれか1つのボタンが押下されることで、検索対象となる薬品の種別が決定される。
すなわち、「散薬」ボタンが押下されると、全ての薬品うちで散薬だけがリストに表示されることとなる。同様に、「錠剤」ボタンが押下されると、全ての薬品うちで錠剤だけがリストに表示され、「カセット」ボタンが押下されると、すでに自動式薬品容器4に収容されている薬品のみがリストに表示されることとなる。
【0106】
ここで、文字入力部45に何も入力されず、設定ボタン46のいずれかが押下された場合、押下された設定ボタン46に対応する薬品のみがリストに表示されることとなる。対して、文字入力部45に文字列が入力され、設定ボタン46のいずれかが押下された場合は、押下された設定ボタン46に対応する薬品であり、且つ、薬品名が入力された文字列から始まる薬品がリストに表示される。
つまり、文字入力部45と設定ボタン46のいずれか一方又は双方を操作することで設定された条件を満たす薬品のみがリストに表示されることとなる。
【0107】
このように、簡単入力画面では、リストに挙げる薬品の数を特定の条件に基づいて減少させる動作が可能となっており、名称に特定の文字列を含むこと、散薬であること、錠剤であること、すでに自動式薬品容器4に収容されていること等の条件を満たす薬品のみをリストに挙げることが可能となっている。また、当然のことながら、洗い対象の薬品はリストに挙げないといった具合に、条件を満たす薬品をリストに挙げないといった絞り込みも可能となっている。
【0108】
なお、「洗い対象の薬品」とは、分配皿35において、他の薬品に対する意図しない混入(所謂コンタミネーション)が発生してしまったとき、重篤な事態の発生が予測される薬品であり、分包動作の前後いずれかにおいて分配皿35の清掃動作(詳しくは、後述する)が必要とされる薬品となっている。
具体的に説明すると、所定の分包動作に続いて他の分包動作を実施した場合、先行して実施した分包動作で分配皿35に排出した薬品が、分配皿35の上に僅かに残留してしまう可能性がある。この場合、引き続いて他の分包動作を実施してしまうと、上記した薬品の混入(所謂コンタミネーション)が発生してしまう可能性がある。そこで、意図しない薬品混入の発生が重篤な事態を引き起こす可能性のある薬品を洗い対象の薬品として指定可能とし、分包動作で使用する際に、清掃動作の実施を促す構成となっている。
【0109】
ところで、本実施形態の散薬分包装置1では、初期状態(出荷時の状態)において、データベースに登録された全ての薬品が洗い対象の薬品、すなわち、分包動作の前後いずれかにおいて分配皿35の清掃動作(詳しくは、後述する)が必要な薬品に設定されている。つまり、分包動作を実施すると、必ず分配皿35の清掃動作が実施される設定となっている。
【0110】
そして、本実施形態では、使用者が所定の操作を実施することにより、この設定を変更可能となっている。すなわち、処方入力画面で表示される薬品を洗い対象とするか否かを適宜選択可能となっている。
また、表示された薬品を洗い対象とした場合には、清掃動作を実施する時期を設定可能となっている。すなわち、分包動作前に清掃動作が必要か否かと、分包動作後に清掃動作が必要な否かを設定することができる。
【0111】
本実施形態の散薬分包装置1は、この設定された薬品の情報に基づいて清掃動作が必要か否かを自動的に判別し、必要な場合には自動的に清掃動作を実施する構成となっている。
すなわち、本実施形態の散薬分包装置1は、薬品を選択して分包動作を開始したとき、清掃動作の実施が必要であるか否かを自動的に判別する。より詳細には、データ記憶部に記憶された設定の結果に基づいて、その薬品が分包動作前の清掃動作が必要か否かを判別し、且つ、分包動作後の清掃動作が必要か否かを判別する。
なお、通常では、毒薬、麻薬、向精神薬、劇薬、色付きの薬品、分配皿35に付着し易い薬品等(洗い対象の薬品)を使用した後には、清掃動作が必要とされている。
【0112】
そして、いずれか一方又は双方の清掃動作が必要であると判別した場合、自動的に清掃動作を実施する。このことにより、分包動作を実施する毎に清掃動作を実施するか否かを手動で設定するような構成に比べ、分包動作時にかかる手間を削減できるため好ましい。
【0113】
さらに、処方入力画面(
図8参照)では、服用時期、服用回数、服用間隔等の処方された薬品の用法に関する情報と、処方された薬品の分包形態を入力可能となっている。
【0114】
薬品の用法に関する情報は、用法コードによる入力が可能となっており、用法コードを入力すると、関連付けられた服用時期、服用回数、服用間隔が自動的に入力されることとなる。
【0115】
薬品の分包形態は、処方された薬品を一服用分ずつ分包する際に、どのような分包動作で分包するのかを選択する項目である。この分包形態は、「つぶし」、「自動カセット」、「手撒きカセット」からなる項目群からいずれかが選択され、入力されることとなる。
【0116】
「つぶし」とは、錠剤を潰して粉末状にした後に分包する形態である。すなわち、処方された薬品が錠剤であり、粉末状にした錠剤を手動式薬品容器5に導入して分包動作を実施する場合に選択される項目である。
【0117】
「自動カセット」とは、自動式薬品容器4に収容されている散薬を分配皿35に供給して分包する形態である。すなわち、処方された薬品がすでに自動式薬品容器4に収容されており、自動式薬品容器4に収容された薬品を分包動作に使用する場合に選択される項目である。
【0118】
「手撒きカセット」は、手動式薬品容器5に散薬を導入して分包する形態である。すなわち、処方された薬品を薬剤師が手動で手動式薬品容器5に導入して分包動作を実施する場合に選択される項目である。
【0119】
本実施形態では、薬品名に「錠剤」に該当する薬品名が入力された場合、自動的に「つぶし」が選択される構成となっている。
【0120】
対して、薬品名に「散薬」に該当する薬品が入力された場合、散薬分包装置1は、入力された薬品が容器保管部23の自動式薬品容器4に収容されている薬品か否かを判別する判別動作を実施する。すなわち、散薬分包装置1は、入力された情報とデータ記憶部に記憶された情報(又はセンサによって取得した情報)を比較し、処方された薬品が自動式薬品容器4に収容されているか否かを自動的に判別する。
【0121】
そして、判別の結果、自動式薬品容器4に収納された薬品である場合には、自動的に「自動カセット」が選択され、そうでない場合には、自動的に「手撒きカセット」が選択された状態となる。
【0122】
本実施形態では、使用者が操作表示部3を操作することにより、自動的に選択された分包形態を変更可能となっている。
具体的に説明すると、本実施形態の散薬分包装置1では、形態選択画面(
図10参照)を表示させ、「自動カセット」ボタンと「手撒きカセット」ボタンのいずれかを押下することで項目の変更が可能となっている。すなわち、「自動カセット」ボタンを押下すると、「自動カセット」が選択された状態となり、「手撒きカセット」ボタンを押下すると、「手撒きカセット」が選択された状態となる。
[カセット選択動作]
【0123】
本実施形態の散薬分包装置1は、処方された薬品が「散薬」であり、処方入力画面で選択された分包形態が「自動カセット」である場合、第1分包動作又は第2分包動作を実施して一服用分ずつ分包することが可能となっている。
そして、第1分包動作又は第2分包動作を実施する場合、分包対象となる薬品が収容された自動式薬品容器4を選択するカセット選択動作を実施し、選択した自動式薬品容器4を使用して分包動作を実施する。すなわち、カセット選択動作で使用する自動式薬品容器4を選択し、選択した自動式薬品容器4を使用して分包動作を実施する構成となっている。
【0124】
散薬分包装置1では、散薬カセット選択画面(
図11参照)を操作表示部3に表示させ、この画面で自動式薬品容器4を選択可能となっている。
この散薬カセット選択画面は、容器保管部23が保持している自動式薬品容器4に収容された薬品がリスト表示された状態と、外部の管理棚に保管されている自動式薬品容器4に収容された薬品がリスト表示された状態とを切替え可能となっている。そして、リスト表示された各薬品の表示領域を押下することにより、分包動作で使用する薬品が収納された自動式薬品容器4を選択可能となっている。
【0125】
この散薬カセット選択画面(
図11参照)には、薬品表示部48と、表示切替ボタン49と、文字入力部50とが設けられている。
【0126】
薬品表示部48は、表示切替ボタン49の操作及び/又は文字入力部50での入力結果に基づいて、条件を満たす薬品名をリスト表示するための部分である。リスト表示された薬品名のうち、麻薬、治験薬、毒薬、劇薬、向精神薬等の取扱いに注意が必要な薬品には、その旨を示すメッセージの強調表示を実施する。
【0127】
具体的には、
図11、
図12で示されるように、各薬品名を表示している略横長長方形状の表示領域のうち、四隅いずれかの近傍に(図右下)斜め方向に延びる帯状の領域を設け、当該領域の背景色を周囲とは異なる色としてメッセージを記載する。このことにより、使用者は、取扱いに注意が必要な薬品を一目で特定することができる。
【0128】
表示切替ボタン49は、薬品表示部48に表示される薬品を切替えるためのボタンである。この表示切替ボタン49は、押下する毎に、容器保管部23が保持している自動式薬品容器4に収納された薬品(以下、内部薬品とも称す)を表示する状態と、外部の管理棚に保管されている自動式薬品容器4に収納された薬品(以下、外部薬品とも称す)を表示する状態とを切り替える。
この表示切替ボタン49には、薬品表示部48に内部薬品が表示されている状態では「管理棚外を表示」(
図11参照)と表示され、外部薬品が表示されている状態では「管理棚内を表示」(
図13参照)と表示されている。そして、ボタンが押下され、薬品表示部48の表示が切り替わると、ボタンに表示された文言もまた切り替わる構成となっている。
【0129】
文字入力部50は、薬品を特定するキーワードとして使用する文字列等を入力するための部分である。この文字入力部50に文字列等を入力すると、薬品名が入力された文字列等から始まる薬品だけが薬品表示部48に表示される。
つまり、この文字入力部50は、上記した簡単入力画面(
図9参照)の文字入力部45と同じく、リストに表示する表示対象を絞り込むためのキーワードを入力するための部分となっている。したがって、
図13で示されるように、文字入力部50に「ア」という文字を入力した場合、薬品名の最初の文字が「ア」となる薬品のみ表示される。
なお、この文字入力部50おいても、上記した文字入力部45と同様に、1文字入力する毎に表示内容を変更する構成となっている。
【0130】
つまり、この散薬カセット選択画面では、内部薬品と外部薬品のいずれかを選択し、選択された群に属する薬品のみをリスト表示する。そして、文字入力部50に文字列等が入力された場合には、選択された群に属する薬品であり、且つ、名称が入力された文字列等から始まる薬品のみをリスト表示する。
そして、1又は複数の薬品がリスト表示された状態において、使用者がいずれかの薬品が表示された領域を押下すると、押下された領域に表示されていた薬品を収容している自動式薬品容器4が選択され、選択された自動式薬品容器4が分包動作で使用されることとなる。
[カセット欠如報知動作]
【0131】
カセット選択動作において、容器保管部23が保持している自動式薬品容器4が選択されると、容器保管部23に現在保持されている自動式薬品容器4を確認する保持容器確認動作(詳しくは後述する)が実施される。そして、保持容器確認動作で取得した情報に基づいて、カセット選択動作で選択した自動式薬品容器4が容器保管部23に現在保持されているか否かを判別する保持判別動作を実施する。この判別の結果、カセット選択動作で選択された自動式薬品容器4が容器保管部23に保持されていなかった場合には、カセット欠如報知動作が実施される。
つまり、カセット欠如報知動作は、選択された自動式薬品容器4が容器保管部23に現在保持されていないことを条件として実施される動作である。
【0132】
なお、以下の説明において、これから実施する第1分包動作で使用予定の自動式薬品容器4であり、容器保管部23に現在保持されていない自動式薬品容器4を単に「欠カセット」とも称す。
【0133】
カセット欠如報知動作は、欠カセット通知画面(
図14参照)を操作表示部3に表示させ、上記した保持判別動作で存在が確認された欠カセット毎に管理番号と、収容される薬品の薬品名をリスト表示する動作となっている。
【0134】
ところで、複数の散薬を使用する分包動作を実施する場合、複数の欠カセットの存在が確認される可能性がある。例えば、第1分包動作において3種類の散薬を混合した後に分包しようとするとき、3つの薬品をそれぞれ収容する自動式薬品容器4がいずれも容器保管部23に保持されていない場合、3つの欠カセットが確認されることとなる。
【0135】
そこで、本実施形態では、存在する全ての欠カセットを一画面にリスト表示させ、複数の欠カセットが確認された場合であっても、一目で確認可能な構成としている。
【0136】
この欠如カセット通知画面(
図14参照)には、充填窓開放ボタン58、充填ボタン59、回収ボタン60のそれぞれが表示されている。
【0137】
充填窓開放ボタン58は、扉部16を開くためのボタンであり、押下することで扉部16が開放された状態となる。
【0138】
充填ボタン59は、後述する充填動作で使用されるボタンであり、容器仮置部18に載置した自動式薬品容器4を容器保管部23に保持させるためのボタンである。
【0139】
本実施形態の散薬分包装置1の散薬分包装置1では、リスト表示された欠カセットを選択し、充填窓開放ボタン58、充填ボタン59を適宜操作することで、欠カセットとなっている自動式薬品容器4を補填することが可能となっている。
すなわち、欠カセットに収容されるべき薬品を充填した自動式薬品容器4を別途用意し、この自動式薬品容器4を容器保管部23に保持させる充填動作を実施することにより、これから実施する分包動作において欠カセットが存在しない状態にすることができる。
まず、自動式薬品容器4を容器保管部23に保持させる充填動作につき、以下で具体的に説明する。
[充填動作]
【0140】
散薬分包装置1では、容器保管部23に多数の自動式薬品容器4が保持されており、その各々に薬品が収容されている。本実施形態の散薬分包装置1は、新たな自動式薬品容器4を容器保管部23に保持させる充填動作が実施可能となっている。
【0141】
この動作に先立って、自動式薬品容器4に対して薬品を充填しておく。この薬品を充填する作業は、薬剤師の手作業によって行われる。さらに、薬品の充填に伴って、自動式薬品容器4のRFIDタグに充填した薬品に関する情報を記憶させておく。すなわち、薬品名、充填日、充填量等の情報を記憶させておく。
【0142】
そして、操作表示部3を適宜操作して扉部16を開放した状態とする。このとき、扉部16の開放に伴って、安全装置が作動し、容器移動装置28が一時的に動作しない状態となる。
【0143】
そして、新たに容器保管部23に保持させる自動式薬品容器4を容器仮置部18に載置する。この作業は、使用者の手作業により実施される。自動式薬品容器4が容器仮置部18に載置された状態で、操作表示部3を表示させた状態で充填ボタン59を押下することにより、扉部16が閉じた状態となり、充填動作が開始される。
【0144】
まず、容器仮置部18の情報読取手段により、自動式薬品容器4のRFIDタグに記憶された情報を読み取る情報読取動作と、容器仮置部18の重量測定手段により自動式薬品容器4の重量を測定する重量測定動作が実施される。
情報読取動作では、新たに自動式薬品容器4に充填された薬品の種類が取得されることとなる。そして、この結果に基づいて、新たに充填された薬品の種類が、使用者が選択した欠カセット(自動式薬品容器4)に充填されるべき薬品であるか否かを照合する照合動作を実施する。つまり、新たに充填された薬品の種類が正しいものであるか否かを判別する動作を実施する。
なお、判別動作の結果、充填されるべき薬品の種類が誤っていた場合、操作表示部3でのメッセージ表示といったその旨を知らせる報知動作を実施し、充填動作を停止する。
【0145】
さらに、散薬分包装置1は、重量測定動作で測定した値に基づいて自動式薬品容器4に対する薬品の充填量を算出する充填量算出動作を実施する。なお、この算出結果は、データ記憶部に記憶され、必要に応じて自動式薬品容器4のRFIDタグにも記憶させる。
すなわち、散薬分包装置1は、重量測定動作で測定した自動式薬品容器4の重量を記憶させる情報書込動作を実施し、必要な場合は、必要充填量算出動作で算出した薬品の充填量をRFIDタグに記憶させる情報書込動作を実施する。
【0146】
扉部16が閉じた状態となることで、上記した安全装置による容器移動装置28への動作規制が解除され、容器移動装置28が可動可能な状態となる。そして、充填量算出動作と、重量測定動作が終了したことを条件として、アーム部30が容器仮置部18に近接し、自動式薬品容器4を保持した状態となる。
【0147】
そして、アーム部30は、自動式薬品容器4を容器保管部23の近傍まで移動させた後、自動式薬品容器4をドラム部材25に対して押し入れ、自動式薬品容器4とドラム部材25を係合させた状態とする。その状態において、アーム部30の先端に取り付けた磁石の磁力を消去させ、アーム部30を自動式薬品容器4から離間させた状態とする。
このとき、新たに保持させた自動式薬品容器4のドラム部材25に対する取付位置、すなわち、保持された状態における自動式薬品容器4の位置情報を取得し、データ記憶部に記憶する。
【0148】
本実施形態では、このような充填動作を繰り返し実施することにより、ドラム部材25に自動式薬品容器4を保持させていくことが可能となっている。
【0149】
なお、本実施形態では、自動式薬品容器4を保持させる際、自動式薬品容器4が正しく取り付けられているか否かを判別する容器姿勢判別動作を実施する(詳しくは後述する)。
【0150】
続いて、このような充填動作を上記した欠如カセット通知画面(
図14参照)から実施する場合について説明する。
リスト表示された管理番号、薬品名の中からいずれかが表示されている部分を押下し、補填する欠カセットを選択する。
そして、充填窓開放ボタン58を押下して扉部16が開放された状態とし、自動式薬品容器4を容器仮置部18に載置する。このとき、自動式薬品容器4には、選択した欠カセットに収容されるべき薬品を予め充填しておく。自動式薬品容器4が容器仮置部18に載置された状態で、充填ボタン59を押下することにより扉部16が閉じられ、上記した充填動作が開始される。このことにより、これから実施する分包動作で使用する散薬が充填された自動式薬品容器4が、容器保管部23に保持された状態となる。すなわち、欠如カセット通知画面が表示されていた欠カセットが補填され、これから実施する分包動作において欠カセットが存在しない状態となる。
[第1分包動作]
【0151】
第1分包動作では、上記したカセット選択動作で分包動作に使用する自動式薬品容器4が選択され、選択された自動式薬品容器4が容器保管部23に保持されていることが確認されると、容器保管部23から選択された自動式薬品容器4を取り出すカセット取出動作が実施される。
【0152】
すなわち、散薬分包装置1は、ドラム部材25を回転させ、取り出し対象となる自動式薬品容器4と容器移動装置28を近接させる。そして、容器移動装置28の一部であるアーム部30に自動式薬品容器4を保持させる。換言すると、アーム部30の先端側に設けられた磁石によって、自動式薬品容器4に一体に取り付けられた鉄板を吸着させる。
そして、アーム部30が容器保管部23から自動式薬品容器4を取り出し、自動式薬品容器4を容器保持台36まで移動させ、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置する。
【0153】
本実施形態では、容器保持台36の近傍に情報読取手段が設けられており、容器保持台36に載置させた自動式薬品容器4のRFIDタグから記憶されている情報を読み取る情報読取動作が可能となっている。
この情報読取動作により、自動式薬品容器4に収容されている薬品(散薬)の種類が確認される。すなわち、使用する薬品が収容された自動式薬品容器4が正しく選択され、運搬されたかを確認する確認動作が実施される。
【0154】
確認動作の結果、使用する薬品が収容された自動式薬品容器4が容器保持台36に載置されていることが確認されると、容器保持台36の振動台部が振動動作を開始し、自動式薬品容器4が振動し、自動式薬品容器4に収容された散薬がゆっくりと分配皿35に落下する。すなわち、自動式薬品容器4の内部から分配皿35に散薬が供給(排出)されていく。
【0155】
より詳細に説明すると、自動式薬品容器4が容器保持台36に載置されたとき、自動式薬品容器4は、振動台部の容器保持手段によって強固に取り付けられた状態となっている。すなわち、自動式薬品容器4と容器保持台36とが広範囲に亘って密着しており、容器保持手段の磁石で自動式薬品容器4の鉄板を吸着することから、自動式薬品容器4が強固に取り付けられた状態となる。
そのため、振動台部が振動すると、自動式薬品容器4もまた同一周波数で振動する。この結果、自動式薬品容器4の内部に収容された散薬が排出口に向かってゆっくりと移動し、排出口から外部に排出される。
【0156】
また、自動式薬品容器4から分配皿35への散薬の供給動作(排出動作)に伴って、分配皿35を回転させるフィーダ回転動作を実施する。
【0157】
ここで、振動台部による振動動作の開始前及び実施中には、容器保持台36の重量測定手段が検知した値に基づいて、載置された自動式薬品容器4の重量を測定する重量測定動作が実施されている。
すなわち、自動式薬品容器4から分配皿35に散薬が供給(排出)されている間、自動式薬品容器4の重量が常時検知されており、散薬の供給量(排出量であり、分配皿35の上に落下した量)が所定量となったことを条件として、振動台部の振動動作を停止させる構成となっている。
なお、振動動作の開始前に取得した自動式薬品容器4の重量は原重量として記憶され、振動動作の実施中に取得される現在の重量は現重量として記憶される構成となっている。
【0158】
そして、振動動作の実施している間、自動式薬品容器4の重量を常時検知することにより、散薬が滞りなく分配皿35に供給されているか否かを確認する。言い換えると、自動式薬品容器4の排出口で散薬が詰まったりすることなく、正しく供給されているか否かが確認される。
すなわち、本実施形態の散薬分包装置1は、振動動作の実施中に自動式薬品容器4の現重量を取得し続け、取得した現重量を開始前に取得した原重量と比較することで、散薬の供給量(原重量から現重量を減算した値)を常時算出し続けている。
そして、散薬の供給量が規定量となったことを条件として振動動作を停止している。言い換えると、自動式薬品容器4の現重量が振動動作の開始前に取得した原重量に対して規定量だけ少なくなったことを条件として、振動動作を停止している。
【0159】
ここで、特に限定されるものではないが、この振動動作は、開始してから所定時間経過した後に振幅を小さくし、且つ、振動周波数を下げた状態で実施することが望ましい。すなわち、停止前の所定期間は、直前の動作よりも振幅を小さくし、且つ、振動周波数を下げた低出力振動動作を実施することが望ましい。
一例として、散薬の供給量が規定量(最終的に供給する量)より所定量(例えば、数グラム程度)だけ少ない値となったことを条件として、低出力振動動作を実施してもよい。すなわち、最後に供給する規定量の数パーセント程度の量(数グラム)を低出力振動動作によって供給してもよい。
【0160】
なお、複数の散薬を混合した後に分包する場合は、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置させる動作を繰り返し、複数の自動式薬品容器4をそれぞれ別の容器保持台36に載置させる。そして、それぞれの容器保持台36で振動動作を実施することにより、分配皿35に複数種類の散薬が供給されることとなる。
この場合、フィーダ回転動作に伴って複数種類の散薬が混合されることとなる。
【0161】
そして、分配皿35に規定量の散薬が供給され、振動動作が停止されると、アーム部30によって自動式薬品容器4が容器保管部23に戻される。このとき、分配皿35に薬品の供給が完了した際の自動式薬品容器4の重量を容器保持台36の重量測定手段で測定し、測定した重量をRFIDに記憶させる情報書込動作が実施され、その後、自動式薬品容器4が容器保管部23に戻される。
すなわち、アーム部30が自動式薬品容器4を容器保持台36から容器保管部23に移動させる。
【0162】
その一方、分配皿35では、振動動作が停止した後、分配皿35の回転を停止する。そして、分配皿35に供給された散薬を一服用分ずつ薬品導入口39に投入する薬品分割動作を実施する。
薬品分割動作では、掻出装置37の先端側部分を降下させ、分配皿35に近接させた状態とする。そして、分配皿35を分割数に応じた角度だけ回転させ、一服用分の散薬を掻出装置37の先端側部分の周辺によせた状態とする。この状態で、掻出装置37を動作させ、掻出装置37の周辺によせられた散薬をすくい上げ、薬品導入口39に投入する。
このような動作を繰り返すことにより、分配皿35に供給された薬品を一服用分ずつ薬品導入口39に投入する薬品分割動作が実施される。
【0163】
薬品導入口39に投入された一服用分の薬品は、薬品包装領域14に至り、薬品包装装置に供給される。そして、薬品包装装置で一服用分ずつ包装されていく。
この一連の動作が終了し、分配皿35に供給された薬品が全て薬品包装装置に供給され、包装が完了することで、第1分包動作が完了する。
【0164】
上記した第1分包動作では、自動式薬品容器4を容器保管部23に戻す動作を実施する際、容器仮置部18を経由させた後、容器保管部23に戻している。そして、容器仮置部18では、自動式薬品容器4の重量を再計量する再計量動作を実施している。
【0165】
すなわち、自動式薬品容器4を容器保持台36から容器保管部23に戻す際、まず自動式薬品容器4を容器保持台36から容器仮置部18に移動させている。そして、容器仮置部18の重量測定手段により自動式薬品容器4の重量を測定している。
ここで、本実施形態では、上記したように、分配皿35に薬品の供給が完了した際の自動式薬品容器4の重量を容器保持台36の重量測定手段で測定している。すなわち、容器保持台36で重量を測定し、さらに容器仮置部18でも重量を測定する二重測定動作を実施している。
【0166】
そして、RFIDタグから記憶されている情報を読み取る情報読取動作を実施し、容器保持台36で測定した薬品の供給が完了した際の自動式薬品容器4の重量と、容器仮置部18で測定した重量を比較し、合致するか否かを判別する。すなわち、容器保持台36の重量測定手段が正しく機能しているか否かの確認動作を実施する。
ここで、本明細書中の「合致した」とは、完全に一致した場合に限るものではなく、微細な測定誤差を許容して合致したとみなしてもよい。
【0167】
なお、上記した工程で算出された散薬の供給量が正しいか否かを確認する確認動作を実施してもよい。すなわち、薬品の供給を開始する前の自動式薬品容器4の重量(上記した原重量)と、容器仮置部18で検知した自動式薬品容器4の重量を比較し、散薬の供給量(原重量から容器仮置部18で検知した重量を減算した値)を算出してもよい。そして、この散薬の供給量と、上記した工程で算出された散薬の供給量(原重量から現重量を減算した値)を比較し、合致するか否かを判別してもよい。
【0168】
そして、これらの確認動作の結果、散薬の供給量や容器保持台36の重量測定値が正常であれば、自動式薬品容器4を容器保管部23に移動させ、第1分包動作を正常に終了する。
対して、散薬の供給量や容器保持台36の重量測定値が正常でない場合、操作表示部3にメッセージを表示する等の報知動作を実施し、使用者にその旨を報知する。
[第2分包動作]
【0169】
第2分包動作は、容器保管部23に保持された自動式薬品容器4でなく、外部の管理棚に保管されている自動式薬品容器4から分配皿35に薬品を供給するという点で、第1分包動作と異なっている。上記した第1分包動作と同じ動作については、詳細な説明を省略する。
【0170】
上記したカセット選択動作において、外部の管理棚に保管されている自動式薬品容器4を選択し、さらに使用者が操作表示部3で所定の操作を実施すると、第2分包動作が開始される。
この動作では、まず、扉部16が開放された状態となる。
【0171】
この状態において、手作業で外部の管理棚から取り出した自動式薬品容器4を容器仮置部18に載置し、操作表示部3で所定の操作を実施する。このことにより、自動式薬品容器4の容器仮置部18への載置が確認される。このとき、自動式薬品容器4のRFIDタグに記憶された情報を読み取る情報読取動作が実施され、使用者が選択した自動式薬品容器4が容器仮置部18に正しく載置されているか否かを確認する確認動作が実施される。すなわち、選択された自動式薬品容器4に収納される薬品の種類と、容器仮置部18に載置された自動式薬品容器4に収納される薬品の種類とが合致するか否かが判別される。
また、容器仮置部18に載置された自動式薬品容器4の重量を測定する重量測定動作が実施され、測定された重量をRFIDタグに記憶させる情報書込動作を実施される。
【0172】
そして、扉部16が閉じた状態となり、アーム部30が自動式薬品容器4を容器仮置部18から容器保持台36まで移動させ、自動式薬品容器4が容器保持台36に載置された状態となる。
【0173】
この状態から、上記した第1分包動作と同様に、分配皿35に薬品を供給し、一服用分ずつ薬品包装装置に供給していく。また、薬品包装装置では、供給された散薬を一服用分ずつ包装していく。このことにより、分配皿35に供給された薬品が所定数に分包される。
そして、分配皿35への薬品の供給動作が終了すると、アーム部30によって自動式薬品容器4を容器仮置部18に戻す動作を実施し、扉部16が開いて、第2分包動作が完了する。
[第3分包動作]
【0174】
第3分包動作では、操作表示部3に「手撒きカセットを置いてください」というメッセージが表示された状態で、所定の操作を実施し、正面ドア34を上昇させた状態とする。すなわち、筐体10において、薬品分割領域13の前方が開放された状態とする。
なお、第1分包動作が実施されている場合や、第2分包動作が実施されている場合等、容器移動装置28が動作している場合には、正面ドア34を上昇できない旨を報知する報知動作を実施する。この報知動作は、具体的には、警報を鳴らす動作である。この報知動作が実施された場合は、第3分包動作を中止する。
【0175】
正面ドア34が上昇すると、使用者が予め薬品を充填した手動式薬品容器5を手動で容器保持台36に設置する。このとき、手動式薬品容器5のRFIDタグに記憶された情報を読み取る情報読取動作が実施され、使用する手動式薬品容器5が容器保持台36に正しく載置されているか否かを確認する確認動作が実施される。
この確認動作において、手動式薬品容器5が容器保持台36に正しく載置されていることが確認されると、操作表示部3でのメッセージ表示が終了する。この状態で、所定の操作を実施し、正面ドア34を下降させ、正面ドア34を閉めた状態とする。
そして、手動式薬品容器5から分配皿35に薬品を供給され、一服用分ずつ薬品包装装置に供給していく。
【0176】
なお、分包動作が完了すると、操作表示部3に「手撒きカセットを取ってください」というメッセージが表示された状態となる。この状態で、所定の操作を実施し、再び正面ドア34を上昇させた状態とする。使用者は、手動式薬品容器5を取り出した後、操作表示部3で所定の操作を実施することにより、正面ドア34を下降させ、正面ドア34を閉めた状態とする。
【0177】
ここで、第3分包動作では、上記した第1分包動作とは異なり、薬品の供給量を測定する動作を実施せず、手動式薬品容器5に収容された薬品を全て分配皿35に供給する。すなわち、手動式薬品容器5には、規定量(最終的に供給する量)だけ薬品を充填しておく必要がある。
【0178】
上記した各分包動作では、1つ分配皿35を使用した分包動作の他、2つの分配皿35を使用した分包動作を実施可能となっている。すなわち、必要に応じて1つの分配皿35を使用した分包動作と、複数の分配皿35を使用した分包動作を切替え可能となっている。
【0179】
具体的には、各分包動作において、所定数以上の薬品を混合して分包する場合、2つの分配皿35を使用した分包動作を実施する。なお、ここでいう「所定数以上」とは、1つの分配皿35に近接配置される容器保持台36の数(本実施形態では3つ)以上である。
この動作では、仕切板装置41を突出状態から収納状態に移行する。すなわち、薬品導入口39の近傍に立板部が位置しない状態とする。そして、それぞれの分配皿35に散薬を落下させ、それぞれの分配皿35において上記と同様の薬品分割動作を実施する。
【0180】
ところで、筐体10の内部に設けられた容器保持台36の数(本実施形態では6つ)以上の所定数以上の薬品を混合して分包する必要が生じる場合がある。このような場合に実施される動作につき、以下で詳細に説明する。
使用する自動式薬品容器4が全て容器保持台36に載置されている場合、容器移動装置28によって自動式薬品容器4を交換する自動交換動作を必要に応じて実施する。
対して、使用する自動式薬品容器4が外部の管理棚に保管されている場合、使用する自動式薬品容器4を手動で用意するように促す勧告動作を実施する。
これに加えて、1以上の薬品を手動式薬品容器5から分配皿35に排出するように設定する手撒き設定動作が実施可能となっている。
[自動交換動作]
【0181】
自動交換動作では、所定の自動式薬品容器4から分配皿35への散薬の供給動作を実施した後、アーム部30がこの自動式薬品容器4を容器保持台36から容器保管部23に移動させる。これに続いて、アーム部30が新たな自動式薬品容器4を容器保管部23から容器保持台36へと移動させ、新たな自動式薬品容器4から分配皿35に散薬を供給する。この動作を所定数繰り返すことにより、必要な全ての散薬を分配皿35に供給する。
[勧告動作]
【0182】
勧告動作では、操作表示部3に所定の自動式薬品容器4を用意するように促すメッセージを表示させる。そして、分配皿35への散薬の供給動作が終了した自動式薬品容器4を容器保管部23(又は容器仮置部18)に移動させ、扉部16を開放した状態へと移行させる。そして、上記した第2分包動作と同様に、手作業で外部の管理棚から取り出した自動式薬品容器4を容器仮置部18に載置する。なお、自動式薬品容器4を容器仮置部18に移動させた場合は、自動式薬品容器4を取り出した後、新たな自動式薬品容器4を容器仮置部18に載置する。
このとき、上記した第2分包動作と同様に、情報読取動作、重量測定動作、情報書込動作が適宜実施され、アーム部30が自動式薬品容器4を容器仮置部18から容器保持台36まで移動させる。この動作を所定数繰り返すことにより、必要な全ての散薬を分配皿35に供給する。
[手撒き設定動作]
【0183】
所定数(本実施形態では6つ)以上の薬品を混合して分包する分包動作を実施する場合、予め手動式薬品容器5から分配皿35に排出する薬品を選択する選択操作を実施可能となっている。すなわち、操作表示部3に表示された複数の薬品から所定の薬品を選択し、手動式薬品容器5から分配皿35に排出する薬品を選択する。
例えば、7種の薬品を混合して分包する場合、5つの薬品を自動式薬品容器4から分配皿35に排出させ、残り2薬品を手動式薬品容器5から分配皿35に排出させるように選択するという動作が実施可能となっている。この場合、全ての容器保持台36のうち、1つを手動式薬品容器5を載置する容器保持台36として使用し、他の全ての容器保持台36を自動式薬品容器4を載置する容器保持台36として使用するといった分包動作が実施可能となっている。なお、容器保持台36への自動式薬品容器4、手動式薬品容器5の載置動作、容器保持台36からの自動式薬品容器4、手動式薬品容器5の取り外し動作は、上記した分包動作と同様の手順で実施される。
【0184】
本実施形態の散薬分包装置1では、上記した各分包動作の実施中に分包進捗画面(
図15参照)を表示させ、分配皿35に薬品を供給する際の進捗状況を表示する進捗表示動作が可能となっている。
また、上記した各分包動作の実施中には、分配皿35の周辺の様子を確認するためのモニタリング動作を実施可能となっている。
この進捗表示動作、モニタリング動作につき、以下で詳細に説明する。
[進捗表示動作]
【0185】
進捗表示動作は、上記したように、操作表示部3に分包進捗画面(
図15参照)を表示した状態で実施される動作となっている。
【0186】
分包進捗画面は、
図15で示されるように、分配皿35に供給する各薬品をリスト表示する供給薬品表示領域65が設けられている。この供給薬品表示領域65では、2つの分配皿35のうち、一方の分配皿35に供給する薬品がリスト表示された状態と、他方の分配皿35に供給する薬品がリスト表示された状態とを切替え可能となっている。
【0187】
また、供給薬品表示領域65には、薬品毎に薬品名、分包形態、服用の時期及び回数、供給進捗率、供給中であることを示す報知記号77a又は供給完了を示す報知記号77bを表示している。
なお、
図16でも示されるように、供給進捗率はグラフ(図中の符号66)で表示されている。このグラフの全長(図中の符号66a)が全供給量(最終的に供給する量)を示しており、色の異なる部分(図中の符号66b)がすでに分配皿35供給された量(現供給量)を示している。すなわち、供給進捗率は、現供給量の最終供給量に対する割合となっている。
【0188】
ところで、分包進捗画面には、
図15で示されるように、カセット残量ボタン68が設けられている。このカセット残量ボタン68は、押下することで秤量予約通知画面(
図23参照、詳しくは後述する)が表示されるボタンとなっている。
【0189】
なお、本実施形態の散薬分包装置1では、未実施の分包動作で使用予定の薬品のうち、将来不足することが予測される薬品が存在する場合、このカセット残量ボタン68を周囲よりも目立たせる強調表示動作(第1報知動作)を実施する。
より具体的には、上記した処方入力画面(
図8参照)で処方に関する情報を入力後に「発行」ボタンを押下したとき、入力した処方で提供される薬品のうちで薬品容器に収容されている薬品の残量が入力した処方に対応する分包動作での使用量を下回る場合に、強調表示動作を実施する。
なお、この強調表示動作とは、カセット残量ボタン68の色を所定時間毎に変更する点滅動作と、縁部分に周囲とは異なる色の枠を表示させる枠表示動作をそれぞれ実施する動作となっている。
付言すると、散薬調剤業務支援システム161(詳しくは後述する)を構築した場合には、制御装置160から散薬分包装置1に処方データを送信する際に、必要に応じて使用者に将来的な薬品の不足を報知する報知動作を実施する。すなわち、処方データを送信する際、1度に送信される処方データに含まれる処方のうちで1以上の処方につき、当該処方で提供される薬品のうちで薬品容器に収容されている薬品の残量がこの処方に対応する分包動作での使用量を下回る場合に、報知動作を実施する。この報知動作は、散薬分包装置1、制御装置160、外部PC162の1以上の機器で実施してもよい。
【0190】
ここで、将来不足することが予測される薬品が存在する場合に実施する報知動作は、上記した強調表示動作に限るものではない。例えば、操作表示部3や各種機器が備えるディスプレイに将来薬品が不足する旨を報知するメッセージや、薬品の充填を促すメッセージを表示させたり、将来的な薬品の不足を音声で報知するエラーアナウンス動作を実施したりしてもよい。つまり、操作表示部3や各種機器が備えるスピーカー装置等の音声発生装置に音声を発生させる動作によって、将来不足する薬品(現在充填することが好ましい薬品)を使用者に報知してもよい。
すなわち、本実施形態の散薬分包装置1では、将来充填が必要となる薬品を報知することで使用者に薬品の充填を促し、将来発生し得る薬品の不足を予め防止することが可能となっている。
[モニタリング動作]
【0191】
本実施形態の散薬分包装置1は、上記した各分包動作の実施中に速度制御画面(
図17)を表示することにより、薬品が供給される分配皿35の周辺を表示するモニタリング動作を実施することができる。詳細には、分配皿35に隣接配置された容器保持台36に載置された薬品容器の薬品排出部の周辺を表示するモニタリング動作を実施可能となっている。
そして、速度制御画面では、必要に応じて分配皿35への薬品(散薬)の排出速度(単位時間当たりの排出量)を変更する速度調整動作を実施可能となっている。
このことにより、使用者は、分包動作が正常に行われているか否かを確認することが可能であり、分配皿35への薬品の排出速度を好ましい速度に調整しつつ分包動作を実施可能となっている。
なお、モニタリング動作では、分配皿35に隣接配置された複数の容器保持台36に薬品容器が載置されている場合、全ての薬品容器の薬品排出部及びその周辺を表示可能となっている。
【0192】
操作表示部3において、「リアルタイム動画」ボタン(図示せず)が押下されると、速度制御画面(
図17)が表示された状態となる。そして、この速度制御画面には、動作表示部80と、速度操作部81(操作用画像)と、分包停止ボタン82と、AFボタン83を表示する分包管理用領域85が設けられている。
【0193】
分包管理用領域85のうち、左右方向の片側端部側では、上方から順に第1動作表示部80a、第1速度操作部81aが表示され、第1速度操作部81aの下方に第1分包停止ボタン82aと第1AFボタン83aが並列した状態で表示されている。
なお、第1速度操作部81aは、一方の分配皿35に隣接する全ての容器保持台36(本実施形態では3つ)の振動の大きさ(以下、振動レベルとも称す)を増減させるための部分である(振動レベルの変更動作については、後述する)。
【0194】
そして、左右方向の他方端部側では、上方から順に第2動作表示部80b、第2速度操作部81bが表示され、第2速度操作部81bの下方に第2分包停止ボタン82bと第2AFボタン83bが並列した状態で表示されている。
なお、第2速度操作部81bは、もう一方の分配皿35に隣接する全ての容器保持台36(本実施形態では3つ)の振動の大きさ(以下、振動レベルとも称す)を増減させるための部分である(振動レベルの変更動作については、後述する)。
【0195】
つまり、第1動作表示部80aと第2動作表示部80bが左右方向で並列しており、その下方で、第1速度操作部81aと第2速度操作部81bが左右方向で並列している。ここで、第1速度操作部81aが対応付けられている一方の分配皿35と、第2速度操作部81bが対応付けられている他方の分配皿35もまた左右方向で並列している。
そして、第1速度操作部81aと第2速度操作部81bの並び順は、対応する2つの分配皿35の並び順と対応している。つまり、一方の分配皿35が左方に位置し、他方の分配皿35が右方に位置している場合、一方の分配皿35に対応する第1速度操作部81aが操作表示部3の左方に表示され、他方の分配皿35に対応する第2速度操作部81bが操作表示部3の右方に表示されている。
【0196】
そして、分包管理用領域85の下端近傍であり、且つ、左右方向における片側端部近傍では、第1分包停止ボタン82aと第1AFボタン83aが並列している。そして、分包管理用領域85の下端近傍であり、且つ、左右方向における他方端部近傍では、第2分包停止ボタン82bと第2AFボタン83bが並列している。言い換えると、正面視で略四角形状となる分包管理用領域85の角部分のうち、一方の下側角部分の近傍に第1分包停止ボタン82aと第1AFボタン83aが位置しており、他方の下側角部分の近傍に第2分包停止ボタン82bと第2AFボタン83bが位置している。
【0197】
ここで、左右方向の片側端部側に表示される各部は、2つの分配皿35のうちの一方に対応し、左右方向の他方端部側に表示される各部は、2つの分配皿35のうちの他方に対応している。つまり、片側端部側に表示される各部は、一方の分配皿35で実施される分包動作を確認、制御するための部分となっており、他方側端部に表示される各部は、他方の分配皿35で実施される分包動作を確認、制御するための部分となっている。
ところで、片側端部側に表示される各部と、他方側端部に表示される各部は、対象となる分配皿35が異なるものの、いずれも分包動作を確認、制御するための部分であり、同様の動作が可能となっている。そこで、以下では、片側端部側に表示される各部についてのみ説明し、他方端部側に表示される各部については、重複する説明を省略する。
【0198】
第1動作表示部80aは、一方の分配皿35に隣接する容器保持台36の上の薬品容器の排出口及びその周囲を撮影するカメラ部材40で撮像した動画(観察画像)を表示するための部分である。すなわち、第1動作表示部80aに表示される動画を確認することで、薬品容器の排出口及びその周囲が現在どういった状況であるのかを確認することができる。
【0199】
第1速度操作部81aは、操作表示部3の画面上に表示される部分であり、円環状の操作ボタン部88と、操作ボタン部88の内側に位置する速度表示部89によって構成されている。
そして、この操作ボタン部88が表示されている部分で、指等を接触させたまま動かすことにより、容器保持台36の振動の大きさを上昇又は下降可能となっている。そして、容器保持台36の振動の大きさを変更することにより、薬品容器から分配皿35に散薬を排出するときの排出速度を変更できる。
【0200】
すなわち、容器保持台36の振動の振幅を小さくし、且つ、振動周波数を下げた状態とする動作と、容器保持台36の振動の振幅を大きくし、且つ、振動周波数を上げた状態とする動作とが実施可能となっている。そして、これらを適宜実施することにより、振動パターンを段階的に変更可能となっている。
そして、容器保持台36の振動パターンが変化することで、容器保持台36から薬品容器に伝わる振動が増減し、容器保持台36に載置された薬品容器の振動もまた増減する。そして、薬品容器の振動が変化することで、薬品容器から分配皿35に排出される排出速度が変化する。
【0201】
薬品容器の振動が大きくなることで、薬品容器から分配皿35に排出される排出速度が速くなる。言い換えると、単位時間当たりの排出量が多くなる。対して、薬品容器の振動が小さくなることで、薬品容器から分配皿35に排出される排出速度が遅くなる。単位時間当たりの排出量が少なくなる。
本実施形態では、容器保持台36の振動パターンを段階的に増減させることで、薬品容器から分配皿35に排出される排出速度を段階的に増減させることができる。
【0202】
具体的に説明すると、排出速度を変更する際には、
図18で示されるように、操作ボタン部88が表示されている部分を指等で触れ、この部分に指等が触れた状態を維持しつつ、指等を弧を描くように移動させる。すなわち、操作ボタン部88が表示されている部分をなぞるように、指等を時計回り(又は反時計回り)に動かしていく。
【0203】
本実施形態では、操作ボタン部88の周方向の長さをLとしたとき、指等を1/4Lだけ時計回りに移動させる毎に排出速度が1段階速くなり、1/4Lだけ反時計回りに移動させる毎に排出速度が1段階遅くなる構造となっている。
このことから、例えば、指等が最初に触れた部分から操作ボタン部88に沿って時計回りに1周すると、排出速度が4段階速くなる。対して、操作ボタン部88に沿って反時計回りに1周すると、排出速度が4段階遅くなる。すなわち、本実施形態では、排出速度が操作に応じて段階的に変化する構造となっている。
【0204】
このように、指等を接触させたまま円弧を描くようにさせ、排出速度を変化させる構造によると、速度変更操作を実施する際、使用者にあたかもダイヤル操作のような操作感を与えることが可能となる。このことにより、速度変更操作を行う際の操作性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の散薬分包装置1は、各分包動作が扉部16と正面ドア34が閉じ、密閉された空間内(筐体10の内部)で実施される。そのため、従来の薬品分包装置のように、薬品が供給される部分を直接目視しながらダイヤル操作を実施するといった操作が困難である。そこで、本発明では、容器保持台36に載置された薬品容器の薬品排出部の周辺を操作表示部3に表示させつつ、操作ボタン部88を操作して、散薬の排出速度を変更可能な構成としている。このことにより、散薬の排出される状況を明瞭に視認可能となり、安全性が高い。また、使用者に従来と同様の操作感を与えることにより、使用者が違和感なく操作できる。
【0205】
本実施形態の散薬分包装置1では、指等を画面に接触させたまま移動方向を異なる方向とするだけで、速度の変更が可能となる。そのため、第1動作表示部80aからから長く目を離さなくても、容易に速度の変更が可能となっている。
また、本実施形態の散薬分包装置1では、指等の移動速度を速めることで短時間での複数段階の速度変更が可能であり、反対に移動速度を遅くすることで緩やかな速度変更が可能となっている。かかる構成によると、速度の微調整をやり易いので好ましい。
つまり、本実施形態の散薬分包装置1では、あたかもダイヤルをつまんだまま第1動作表示部80aを確認しつつ、適宜ダイヤルを回して速度を変更しているような快適な操作感を与えることが可能となっている。
【0206】
速度表示部89は、現在の排出速度を表示するための部分であり、速度の段階(振動レベルの段階)を示す数字(
図19では「4」)が表示されている。
すなわち、使用者は、第1動作表示部80aを監視し続ける一方で、現在の速度を正確に把握したい場合もある。そこで、速度表示部89を設けることにより、現在の正確な排出速度を確認可能となっている。
【0207】
本実施形態の散薬分包装置1では、排出速度が変化したとき、速度に応じて操作ボタン部88の色を変更する構成となっている。また、所定時間(例えば数秒間)だけ速度報知部91(速度表示用画像)を表示する構成となっている(
図19参照)。
速度報知部91は、第1速度操作部81aの上方(12時の方向)に一時的に表示される部分であり、上側の略円形状の部分と下側の略逆三角形状の部分とを組み合わせたような形状となっている。この速度報知部91の内側には、速度を示す数字(
図19では「4」)が表示されている。
【0208】
この速度報知部91は、排出速度が変化したことを条件として一時的に表示される部分である。例えば、速度が「3」から「4」に変更されたときや、「5」から「4」に変更されたとき、変更後の速度である「4」が表示されることとなる。
このように速度報知部91を表示させることにより、現在の速度を確実に確認することができる。
【0209】
具体的に説明すると、
図20で示されるように、第1速度操作部81aの上側近傍に指等が触れている場合、手等が速度表示部89と重なった状態となり、速度表示部89に表示されている速度が見え難くなる。そして、この状態では、速度表示部89をちらりと見ただけでは速度の確認が難しくなる。
そこで、本実施形態では、手等が重ならない位置に速度報知部91を表示させることにより、確実に現在の速度を視認することが可能となっている。
【0210】
なお、この速度報知部91もまた、操作ボタン部88と同じく、速度に応じて色が変更される構成となっている。本実施形態では、各速度に対応する操作ボタン部88の色と、それぞれ同速度に対応する速度報知部91とが同色となっている。つまり、速度報知部91は、操作ボタン部88と同じ色で表示されることとなる。
【0211】
加えて、本実施形態の速度制御画面では、分包管理用領域85の略全域に亘って第1動作表示部80a(又は第2動作表示部80b)を表示させる全画面表示操作が実行可能となっている。
【0212】
全画面表示操作が実行されると、
図21で示されるように、分包管理用領域85の上側部分に第1動作表示部80aが表示され、下端近傍に帯状部分93が表示された状態となる。
上側部分の下端近傍であり、且つ、左右方向における片側端部近傍となる部分には、第1速度操作部81aが表示されている。すなわち、第1動作表示部80aの一部と第1速度操作部81aが重なった状態で表示されている。
また、帯状部分93には、左右方向における片側端部近傍に、分包停止ボタン82と、AFボタン83とが並列した状態となっている。
【0213】
分包停止ボタン82は、分包動作を停止させるためのボタンであり、押下されることで分包動作が停止されることとなる。
【0214】
AFボタン83は、手動で排出速度の変更が可能な状態を終了し、自動で排出速度の変更を実施するためのボタンである。すなわち、排出速度の変更が可能な状態で押下することにより、自動で排出速度が設定される状態へと移行する。
[印字動作]
【0215】
本実施形態の散薬分包装置1では、紙媒体又は分包袋の印刷媒体に対して所定の情報を印字し、出力する印字動作が実行可能となっている。
【0216】
印字動作は、「充填記録」、「充填リスト」、「手撒き指示書」、「欠品リスト」、「削除・回収リスト」、「調剤記録」から選択される各種書類のいずれかを出力する動作が可能となっている。詳細には、「調剤記録」のみが紙媒体と分包袋の双方に出力可能となっており、他の書類は紙媒体にのみ出力可能となっている。
【0217】
「充填記録」は、充填動作の実施結果に関する情報が主として表示される書類となっている。
「充填リスト」は、自動式薬品容器4に現在充填されている薬品のリストに関する情報が主として表示される書類となっている。
「手撒き指示書」は、これから実施する分包動作の実施内容に関する情報が主として表示される書類となっている。より詳細には、これから実施される手動式薬品容器5を用いた分包動作において、手動式薬品容器5に収容される薬品名や、この分包動作の内容等の情報が表示される種類である。
「削除・回収リスト」は、使用者が削除・回収した薬品名、削除回収した日時等の履歴に関する情報が主として表示される書類となっている。
「調剤記録」は、実施後の分包動作に関する情報が主として表示される書類となっている。
【0218】
ここで、初期状態(出荷時の状態)では、それぞれの書類を出力する場合、書類毎に予め規定された項目を出力する設定となっている。
そして、本実施形態の散薬分包装置1では、レイアウト設定画面(
図22参照)を表示させ、各書類で印刷する項目を変更可能となっている。
【0219】
レイアウト設定画面には、
図22で示されるように、各種レイアウトに関する情報を表示するレイアウト情報表示領域98と、印字可能な項目をリスト表示する項目表示領域99と、出力結果を表示するプレビュー領域100とを備えている。
【0220】
レイアウト情報表示領域98では、登録された各種レイアウトのいずれか1つを選択し、選択したレイアウトの管理番号と名称を表示可能となっている。
【0221】
項目表示領域99は、印字可能な項目をリスト表示するための部分である。ここで、レイアウト情報表示領域98において、いずれかのレイアウトが選択されている場合には、選択されたレイアウトで印字する項目がリスト表示された状態となる。
【0222】
ここで、レイアウト設定画面では、選択されたレイアウトで印字する項目を追加・削除することが可能となっている。すなわち、項目表示領域99に表示する項目の追加、削除を実施し、リスト表示された項目の中から印字する項目を選択することで、選択されたレイアウトで出力する項目が変更される。
【0223】
プレビュー領域100は、これから実施する印字動作で出力される内容を表示するための部分である。より詳細には、レイアウト情報表示領域98で選択されたレイアウトにおいて、項目表示領域99で選択されている項目を印字した場合の内容を表示する部分となっている。
このように、実際に印字動作を実施する前に内容を確認可能な構成とすると、設定ミスによる出力のやり直しを防止することができる。
【0224】
ところで、本実施形態の印字動作では、上記したように、「調剤記録」を出力可能となっている。
この「調剤記録」を出力する際には、分包動作において理論的に必要とされる薬品の量(薬品関連値)の「理論値」と、実際に分包された薬品の量である「実測値」と、「実測値」に基づいて計算される「計算値」と、分包動作が正常に終了したか否かを示す「秤量結果」と、「秤量フィーダ」等の項目を表示可能となっている。
【0225】
「理論値」を表示する際には、分包動作1回あたりに必要とされる薬品の全量、包装された薬品の一日あたりの使用量、包装された薬品の一回あたりの使用量といった具合に、異なる基準に基づく薬品の量から、いずれか1つ又は選択される複数の量の理論値を表示可能となっている。
【0226】
例えば、「分包動作1回あたりに必要とされる薬品の全量」の理論値と、「分包動作で分包される薬品の一日あたりの使用量」の理論値を同時に表示可能となっている。
すなわち、理論値を表示する場合には、1つの基準に基づく理論値を表示するだけでなく、異なる基準に基づく理論値をそれぞれ表示してもよい。
【0227】
この場合、いずれかに基づいて他を算出する構成であってもよい。例えば、「分包動作1回あたりに必要とされる薬品の全量」の理論値から「分包動作で分包される薬品の一日あたりの使用量」の理論値を算出し、表示してもよい。
【0228】
「実測値」を表示する際にもまた、分包動作1回あたりに必要とされる薬品の全量、分包される薬品の一日あたりの使用量、分包される薬品の一回あたりの使用量等といった具合に、異なる基準に基づく薬品の量から、いずれか1つ又は選択される複数の量の実測値を表示可能となっている。
これらはいずれも、容器仮置部18や容器保持台36の重量測定手段により、分包動作の実施中に測定された値となっている。すなわち、分包動作の実施中に状況応答で取得した値となっている。
【0229】
この実測値を表示する場合もまた、1つの基準に基づく実測値を表示するだけでなく、異なる基準に基づく実測値をそれぞれ表示してもよい。
【0230】
このように、本実施形態の散薬分包装置1では、分包動作の実施時に目標とされる「理論値」と、実際に実施した分包動作で測定される「実測値」とを併記した書類を出力可能となっている。このため、使用者は「理論値」と「実測値」を簡単に比較可能であり、分包誤差の発生の有無や、分包誤差の正確な値を把握できる。
【0231】
以上のように、本実施形態の散薬分包装置1は、紙媒体に対して各種情報を出力可能となっている。つまり、
図44で示されるような紙媒体を出力可能となっている。
詳細に説明すると、
図44で示される紙媒体には、その上側部分に、分包動作の開始時刻と、「分包動作1回あたりに必要とされる薬品の全量」の理論値と、「分包される薬品の一日あたりの使用量」の理論値を出力している。さらに、その下方側には、分包動作で混合した各種薬品毎に、薬品名、薬品の量の実測値、薬品の量の理論値、「秤量フィーダ」のIDを出力している。なお、「秤量フィーダ」のIDとは、分包動作時に薬品を収容した薬品容器が載置された容器保持台36を特定する情報を示すものであり、文字や数字を組み合わせて形成される識別記号となっている。加えて、さらに下方側には、分包動作の終了時刻と、総包数(薬品を一包分ずつ包装した際の包装数の合計値)を出力している。
[予約管理動作]
【0232】
本実施形態の散薬分包装置1では、将来実行される分包動作が実行待ち状態となっている場合、操作表示部3に秤量予約通知画面(
図23参照)を表示し、実行待ち状態の分包動作で使用予定の薬品をリスト表示することが可能となっている。
このとき、実行待ち状態の分包動作で必要な各薬品の量を算出し、その薬品の在庫量と比較する在庫比較動作を実施する。そして、在庫比較動作の結果、将来薬品が不足することが予測される場合には、その旨を使用者に通知する報知動作を実施する。
【0233】
なお、「実行待ち状態」とは、分包動作を実行するように操作したにも関わらず、現在他の分包動作を実行している等の理由により、即座に分包動作を実行できない状態である。この場合、対象となる分包動作は、将来実施されることが予約され、分包動作を実施可能な状況となるまで実行を待機した状態となる。そして、分包動作が実施可能な状況となり、実施されると、実行待ち状態が解消される。
【0234】
また、実行待ち状態の分包動作が複数ある場合は、所定の順序に従ってそれぞれの分包動作が順に実行されていくこととなる。つまり、実行待ち状態が順に解消されていくこととなる。
【0235】
秤量予約通知画面には、
図23で示されるように、患者情報表示領域105と、薬品表示領域106が設けられている。
【0236】
患者情報表示領域105は、現在実行待ち状態の分包動作において1回以上使用される薬品のうち、1以上の薬品が処方された患者を表示対象としている。そして、表示対象となる患者毎に、患者名、患者ID,包数等の患者に関する情報が表示されることとなる。
なお、「包数」とは、将来実施する分包動作で1服用分ずつ1以上の薬品を1袋に封入するとき、何袋がその患者を対象としたものとなるかを示す情報である。
【0237】
例を挙げて詳細に説明すると、仮に実行待ち状態の分包動作が3つ存在しており、1つ目の分包動作で分包される薬品が「湯山壱郎」さんと、「湯山弐郎」さんに処方され、2つ目の分包動作で分包される薬品が「湯山弐郎」さんと、「湯山参郎」さんに処方され、3つ目の分包動作で分包される薬品が「湯山四郎」さんに処方されていたとする。この場合、患者情報表示領域105では、「湯山壱郎」、「湯山弐郎」、「湯山参郎」、「湯山四郎」が並列して表示されることとなる。
【0238】
薬品表示領域106では、現在実行待ち状態である全ての分包動作において、1回以上使用する薬品がリスト表示されることとなる。そして、薬品毎に、薬品名、予約量、在庫量が表示され、必要に応じて不足量が表示される。
【0239】
「予約量」とは、対象となる薬品の将来的な必要量であり、現在実行待ち状態である各分包動作での使用量の積算値となっている。つまり、現在実行待ち状態である各分包動作における使用予定量の合計値である。
【0240】
「在庫量」とは、容器保管部23に保持された自動式薬品容器4、又は、管理棚に収納された自動式薬品容器4に現在収容されている対象となる薬品の量である。
【0241】
この予約量と在庫量は、文字及び数字の他、グラフでも表示している。そして、
図24で示されるように、全長(図中の符号108)が最大量を示しており、色の異なる部分(図中の符号109)が現在の量を示している。なお、予約量の最大量は、在庫量の最大量と同一であり、対象となる薬品を収容している自動式薬品容器4の最大収容量(収容可能な量)となっている。
【0242】
なお、対象となる薬品が2つの自動式薬品容器4に収容されている場合は、在庫量が2つの自動式薬品容器4の現在の収容量の合計値であり、在庫量の最大量が2つの自動式薬品容器4の最大収容量の合計値となる。
また、本実施形態の散薬分包装置1では、上記した分包動作において、使用する薬品が2つの自動式薬品容器4に収容されている場合、収容された薬品の残量が少ない方から使用する構成となっている。すなわち、情報読取動作によって2つの自動式薬品容器4のそれぞれに収容された薬品の量を取得し、これらの量を比較する残量比較動作を実施可能となっている。そして、この動作によって残量の少ない自動式薬品容器4を特定し、特定した自動式薬品容器4から分包動作に使用する選別使用動作を実施可能となっている。
【0243】
ここで、本実施形態の散薬分包装置1では、予約量と在庫量を比較する比較演算(比較動作)を実施し、予約量が在庫量を上回った場合には、不足量を算出する不足量算出動作を実施する。そして、算出した不足量を表示させ、枠体を点滅表示させる不足報知動作(報知動作)を実施する。
【0244】
なお、この枠体は、薬品表示領域106のうち、それぞれの薬品を個別に表示する領域の縁部分に表示されるものであり、所定の間隔(例えば2秒)で表示と非表示を繰り返す点滅表示で表示されるものとなっている。
【0245】
また、この不足報知動作が実施されている状態で、不足量を表示した薬品を表示している領域を使用者が触れることにより、その薬品を充填する充填動作を実施するための画面を表示させることが可能となっている。
【0246】
なお、この充填動作は、上記した充填動作と同様の手順で実施される。簡単に説明すると、使用者が所定の操作を実施することで、不足した薬品を収容するための自動式薬品容器4が、容器移動装置28により扉部16まで搬送され、扉部16が開いた状態となる。
そして、使用者が自動式薬品容器4を取り出し、この自動式薬品容器4に不足量又はそれ以上の薬品を手動で充填する。同時に、外部の機器により、薬品の充填量を自動式薬品容器4のRFIDに記憶させる動作を実施しておく。
さらに、扉部16の容器仮置部18に薬品を充填した自動式薬品容器4を載置し、所定の操作(例えば、完了ボタンを押下する)を実施する。
【0247】
このとき、容器仮置部18では、自動式薬品容器4の重量を再度測定する充填検証動作を実施している。この動作の結果、自動式薬品容器4に正しい量(不足量以上)の薬品が充填されていると判別された場合、自動式薬品容器4を容器保管部23又は容器保持台36に移動させる動作を実施する。なお、容器保持台36に移動させる場合とは、次に実施される分包動作が、薬品を充填した自動式薬品容器4を使用した分包動作である場合である。
対して、充填検証動作の結果、未だ自動式薬品容器4に収容された薬品が不足した状態である場合には、自動式薬品容器4を再度取り出して薬品を充填する旨を促す報知動作(例えば、操作表示部3にメッセージを表示する)を実施する。または、外部の管理棚に保管されている自動式薬品容器4、又は、手動式薬品容器5を使用した分包動作への切り替えを選択させる画面を表示させる。
[分包検証動作]
【0248】
本実施形態の散薬分包装置1では、過去に実施した分包動作が正しく実施されたか否かを検証するための分包検証動作を実施可能となっている。
この分包検証動作では、予め処方履歴一覧画面(
図25参照)を表示させ、いずれかの処方を選択し、選択された処方に関する分包動作を対象として分包検証動作を実施する。
【0249】
処方履歴一覧画面は、
図25で示されるように、検証する分包動作の処方を特定するための条件入力領域115と、処方をリスト表示するための処方表示領域116とを備えている。
【0250】
条件入力領域115では、処方の特定条件となる患者名、開始日、終了日、開始時刻、終了時刻といった項目の入力が可能となっている。
このとき、患者名の入力では、患者一覧呼出ボタン117を押下後に表示されるリスト(図示しない)から所定の患者を選択する、又は、使用者が直接文字を入力していくことが可能となっている。そして、開始日及び終了日の入力は、入力欄を選択することで表示されるカレンダー画面(図示しない)から日時を指定して入力することが可能となっている。
【0251】
そして、条件入力領域115で条件を入力した後、表示ボタン118が押下することにより、処方表示領域116に入力した条件を満たす処方のリストが表示されることとなる。
すなわち、患者名が入力された場合には、この患者名に適合する患者を対象とした処方がリスト表示の対象となる。また、開始日及び終了日が入力された場合は、処方された日付が入力された期間内に含まれる処方がリスト表示の対象となり、開始時刻及び終了時刻が入力された場合には、処方された時刻が入力された期間内に含まれる処方がリスト表示の対象となる。なお、これらの中から複数の条件が入力された場合には、複数の条件を全て満たすものが表示の対象となる。
【0252】
対して、条件入力領域115で何も条件が入力されない状態で、表示ボタン118が押下されると、記録されている全ての処方が処方表示領域116にリスト表示された状態となる。
なお、表示ボタン118は、条件入力領域115でいずれかの項目が入力された状態では「表示」と表記され、何も入力されていない状態(
図25の状態)では「全表示」と表記される構成となっている。
【0253】
そして、処方表示領域116に処方がリスト表示された状態(
図26参照)では、各行にそれぞれ別の処方が対応している。そして、各行のうちのいずれかが表示されている部分を指等で触れることにより、触れた部分に表示されていた行に対応する処方を未選択状態から選択状態に移行することが可能となっている。
なお、処方が選択された状態で削除ボタン119を押下すると、リストから選択された処方を削除する処理が実施される。さらに、処方が選択された状態で所定の操作を実施すると、選択された処方に関する具体的な内容を表示する秤量履歴画面(
図27参照)が表示される。
【0254】
秤量履歴画面は、
図27で示されるように、日付表示部125と、患者名表示部126と、説明表示部127と、エラー表示部128と、薬品情報表示部129と、推移表示部130と、配分動画ボタン131、流速ボタン132、秤量値ボタン133が設けられている。
【0255】
日付表示部125は、分包された薬品の服用日及び調剤日を表示するための部分である。
【0256】
患者名表示部126は、分包された薬品を処方された患者名に関する情報を表示するための部分である。
【0257】
説明表示部127は、服用時期、用法、処方量といった分包された薬品の服用に関する情報を表示するための部分である。
【0258】
エラー表示部128は、表示している処方に関する分包動作において、実施時に発生した不具合に関する情報(以下、エラー情報とも称す)を表示するための部分である。なお、複数の不具合が発生していた場合には、複数のエラー情報がリスト表示された状態となる。
【0259】
そして、エラー情報のいずれかが表示されている部分を指等で触れることにより、触れた部分に表示されていたエラー情報を未選択状態から選択状態に移行することが可能となっている。ここで、複数のエラー情報が表示されている場合、いずれか一つのエラー情報を選択状態することができる。言い換えると、選択状態となったエラー情報を除いた他のエラー情報は、全て未選択状態となる。
【0260】
薬品情報表示部129は、分包動作に使用された各薬品に関する情報を表示するための部分であり、薬品名、配分量、分包動作で使用した分配皿35を示す情報、分包動作の形態に関する情報等が表示される部分となっている。
【0261】
推移表示部130は、薬品の流速又は秤量値の推移を示す情報が表示される部分であり、具体的には、横軸を時刻とし、縦軸を流速又は秤量値としたグラフ(
図27では流速)が表示される部分となっている。
ここで、「流速」とは、連続する時刻間に分配皿35に供給された薬品の量の絶対値であり、「秤量値」とは、所定の時刻までに分配皿35に供給された薬品の量の積算値となっている。つまり、推移表示部130は、表示対象となる分包動作での分配皿35への薬品の供給量の推移を表示するための部分であるといえる。
なお、薬品情報表示部129に薬品が表示されている場合には、表示された薬品を選択することにより、グラフ中の選択された薬品に対応する折れ線が強調表示される。すなわち、折れ線が太線で表示される、折れ線の色が変わる、折れ線が点滅するといった動作が実施される。
【0262】
本実施形態の散薬分包装置1は、流速又は秤量値の経時変化を示すグラフを表示可能となっており、実施した分包動作が流速又は秤量値の変化が通常のものか否か、また、通常のものでない場合、違いがどの程度あるのかを即座に把握することができる。
ここで、分配皿35や容器保持台36等、散薬分包装置1の各部が経年使用等により劣化していくと、流速又は秤量値が通常の変化とはわずかに異なる変化をする場合がある。すなわち、問題となる程度ではないが、通常とはやや異なる変化をする場合がある。本実施形態の散薬分包装置1では、使用者がこのような変化を即座に把握できるので、将来的に起こり得る経年劣化に関する問題の発生を予測することができる。
【0263】
さらに、エラー表示部128に不具合に関する情報が表示されている場合には、エラー表示部128で選択状態となっているエラー情報の発生時刻を示す表示記号135が表示された状態となる(エラー時刻表示動作)。つまり、過去に実施した分包動作で発生した不具合を選択可能となっており、不具合が選択されたことを条件して、選択された不具合の発生時刻をグラフで視覚的に報知する報知動作を実施可能となっている。
【0264】
配分動画ボタン131は、後述する過去動画表示画面(
図28等参照)を表示するためのボタンである。
【0265】
流速ボタン132、秤量値ボタン133は、推移表示部130で表示されるグラフの項目を切り替えるためのボタンである。すなわち、流速ボタン132が押下されると、グラフの縦軸で示される値が「流速」となり、秤量値ボタン133が押下されると、グラフの縦軸で示される値が「秤量値」となる。
【0266】
本実施形態の散薬分包装置1では、過去動画表示画面(
図28等参照)を表示することで、不具合の発生時刻に至るまでの時間、及びエラー発生時刻に分配皿35の周辺でどのような動作が実施されたかを検証できる。また、時間の経過に伴う流速又は秤量値の推移を、実際に分配皿35の周辺で行われた動作と見比べつつ確認することができる。
【0267】
過去動画表示画面には、上方から順に、過去に撮影された動画を表示するための過去動作表示領域138と、シークバー表示領域139(時間表示部)と、グラフ表示領域140が設けられている。
【0268】
過去動作表示領域138では、第1過去動作表示部145と第2過去動作表示部146が左右方向に並列した状態となっている。
【0269】
第1過去動作表示部145は、一方の分配皿35に隣接する容器保持台36の上の薬品容器の薬品排出部及びその周囲を撮影するカメラ部材40で撮像され、記録された動画を表示するための部分である。言い換えると、過去に実施された分包動作のうち、一方の分配皿35で実施された分包動作において、分包動作中の一方の分配皿35の周辺部分の様子を示す動画(過去分包画像)を表示する部分となっている。
【0270】
第2過去動作表示部146は、他方の分配皿35に隣接する容器保持台36の上の薬品容器の薬品排出部及びその周囲を撮影するカメラ部材40で撮像され、記録された動画を表示するための部分である。言い換えると、過去に実施された分包動作のうち、他方の分配皿35で実施された分包動作において、分包動作中の他方の分配皿35の周辺部分の様子を示す動画を表示する部分となっている。
【0271】
シークバー表示領域139では、再生ボタン148、停止ボタン149、シークバー150が表示された状態となっている。
【0272】
再生ボタン148は、第1過去動作表示部145及び/又は第2過去動作表示部146で動画を再生するためのボタンであり、押下することで動画の再生が開始されるボタンとなっている。
【0273】
停止ボタン149は、第1過去動作表示部145及び/又は第2過去動作表示部146で再生されている動画を停止するためのボタンであり、押下することで動画の再生が停止されるボタンとなっている。
【0274】
シークバー150は、過去動作表示領域138に表示された動画の現在の再生位置を示すものであり、開始部分から終了部分までの間のいずれの部分を表示しているのかを視覚的に示すためのものである。また、このシークバー150を操作することにより、動画の再生位置を変更することが可能となっている。
【0275】
グラフ表示領域140は、上記した推移表示部130で表示したグラフと同様のグラフを表示するための部分である。
【0276】
過去動画表示画面では、過去に実施した分包動作中における分配皿35の周辺部分の様子を示す動画と、この分包動作での分配皿35への薬品の供給量の推移を示すグラフを一画面で表示している。そして、表示されたグラフでは、分包動作で発生した不具合の発生時間を強調表示している。
このため、使用者が不具合の発生時刻及びその前後の時間に分配皿35の近傍で何が起こったのかを確認するとき、これらを見比べるだけで、容易に状況の把握が可能となっている。このため使用者の確認動作を簡易化できる。
[メンテナンス動作]
【0277】
本実施形態の散薬分包装置1では、必要に応じて分配皿35を清掃する清掃動作を実施可能となっている。このことにより、分包動作により分配皿35の上に薬品が僅かに残留してしまっても、残留した薬品を完全に除去することができる。すなわち、その後実施する分包動作で分配皿35に薬品を供給したとき、供給した薬品と残留してしまった薬品が混ざってしまうことがない(所謂コンタミネーションが発生することがない)。
【0278】
清掃動作では、清掃装置38の先端側部分を降下させ、分配皿35に近接した状態とする。そして、分配皿35を所定の速度で回転させる動作を実施する。
ここで、清掃装置38には、残薬を吸引する吸引装置が設けられている。そして、先端側部分に回転可能なブラシ状の部分と、吸引装置の吸入口が形成されている。
つまり、清掃動作は、分配皿35に接触したブラシ状の部分が残薬を掻きだし、上方に舞い上がった残薬を吸引装置で吸引する動作となっている。
[再分包動作]
【0279】
本実施形態の散薬分包装置1は、実施された各分包動作毎に実行条件を履歴情報として記憶する履歴記憶動作を実施する構成となっている。
なお、実行条件とは、分包動作で使用した各薬品の薬品名、各薬品の総使用量、一服用分当りの量、服用時期、服用回数等の情報である。
【0280】
この履歴記憶動作では、実施された分包動作の履歴情報である実施履歴情報の他、正常に終了した分包動作のみの履歴情報である完了履歴情報をそれぞれ記憶する構成となっている。すなわち、実施履歴情報を記憶する動作(第1履歴記憶動作)と、完了履歴情報を記憶する動作(第2履歴記憶動作)を実行可能となっている。
【0281】
そして、実施された分包動作の履歴情報(実施履歴情報)に基づいて再度分包動作を実施する第1再分包動作と、正常に終了した分包動作の履歴情報(完了履歴情報)に基づいて再度分包動作を実施する第2再分包動作をそれぞれ実行可能となっている。
【0282】
より詳細に説明すると、本実施形態の散薬分包装置1では、操作表示部3を操作することにより、分包履歴表示画面(
図29参照)を表示可能となっている。
【0283】
分包履歴表示画面には、過去に分包動作を実施した薬品をリスト表示する履歴表示領域155が設けられている。そして、所定の操作を実施することにより、過去に実施されたことのある分包動作の履歴を動作毎にリスト表示した状態と、過去に正常に終了した分包動作の履歴を動作毎にリスト表示した状態とを切替えることが可能となっている。
【0284】
そして、リスト表示された各動作のいずれか一つを選択し、「再発行」ボタンを押下することで、過去に実行した分包動作を再度実行する。
【0285】
つまり、本実施形態では、実施履歴情報に基づいて再度分包動作を実施可能となっており、何らかの理由で実施中に中断された分包動作を再度実行する際、詳細な設定動作をすることなく実行可能である。すなわち、再実行時に煩雑な操作を必要としないという利点がある。
例えば、分包動作が途中まで実行されていた場合、分包袋を開封して薬品容器(自動式薬品容器4、手動式薬品容器5)に再度薬品を導入し、再度実施するといった動作も容易に実施可能となっている。
[その他の動作]
【0286】
さらに、本実施形態の散薬分包装置1は、保持容器確認動作、容器姿勢判別動作、保持位置変更動作、移動距離短縮動作、振動パターン変更動作、測定手段調整動作等の各種動作を適宜実施可能となっている。それぞれの動作につき、詳細に説明する。
[保持容器確認動作]
【0287】
保持容器確認動作は、容器保管部23に保持されている自動式薬品容器4の位置、それぞれの自動式薬品容器4に収容した薬品の種類及び薬品容器の重量に関する情報を取得する動作である。
この保持容器確認動作では、ドラム部材25を回転させ、ドラム部材25の各段に対応する位置に設けられている情報読取装置(図示しない)で、各段に取り付けられた自動式薬品容器4のRFIDタグから情報を読み取る情報読取動作を実施する。
【0288】
ここで、情報読取装置の数は、上記したドラム部材25の容器設置部の数よりも少なくなっている。すなわち、本実施形態では、ドラム部材25を回転させて情報を読み取る構成とすることにより、情報読取装置の取付数を少なくすることが可能となっている。
【0289】
なお、この保持容器確認動作を実施した後、容器保管部23で保持する全ての自動式薬品容器4にそれぞれ収容した薬品の薬品名、収容した薬品の重量、保持位置等を紙等の媒体に印字して出力してもよい。特に限定されるものではないが、この印字動作は、散薬分包装置1の起動時(電源投入直後)に実施されることが望ましい。
[容器姿勢判別動作]
【0290】
容器姿勢判別動作は、容器保管部23に自動式薬品容器4が正しく保持されているか否かを判別する動作である。
すなわち、上記した容器設置部の突出部材が没入しているか否かを、上記したドラム部材25に内蔵された光センサーで検知する。加えて、ドラム部材25を回転させる動作を実施し、上記したドラム部材25の外側に設けられた光センサーにより、自動式薬品容器4が規定の位置から飛び出していないかどうかを検知する。これら2つの光センサーによる検知結果に基づいて、自動式薬品容器4が正規の姿勢で取り付けられたか否かを判別する。
【0291】
このように、本実施形態の散薬分包装置1は、ドラム部材25を回転させ、保持容器確認動作、容器姿勢判別動作が実施可能な構成となっている。そして、このドラム部材25の回転動作は、散薬分包装置1の起動時(電源投入直後)に自動で実施される構成となっている。なお、起動時や上記した分包動作の実施中の他、一日の始業前、各分包動作の実施前、一定時間おき、扉部16が閉じられた直後等、所定の時期に実施してもよい。
[保持位置変更動作]
【0292】
本実施形態の散薬分包装置1は、特有の動作として、容器保管部23での自動式薬品容器4の装着位置を変更する保持位置変更動作を実施可能となっている。
この保持位置変更動作は、容器保管部23が保持しているそれぞれの自動式薬品容器4の使用頻度に基づいて、自動式薬品容器4の容器保管部23での保持位置を自動的に変更する動作である。
【0293】
例えば、インフルエンザが流行した場合や、花粉が飛散する時期では、特有の薬品の使用量が突出して多くなる。すなわち、実施される分包動作において、特有の薬品を収容する自動式薬品容器4が他の自動式薬品容器4よりも頻繁に使用される状況となる。
【0294】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1は、このような状況で保持位置変更動作を実施し、使用頻度の高い自動式薬品容器4を分配皿35の近くに配置する。
【0295】
具体的に説明すると、容器保管部23において自動式薬品容器4を保持しているドラム部材25は、分配皿35の上方に位置している。このため、ドラム部材25の下方側は、上方側よりも分配皿35に近い位置となる。
【0296】
このことから、アーム部30が容器保管部23から自動式薬品容器4を取り出し、自動式薬品容器4を容器保持台36まで移動させるとき、ドラム部材25の下方から自動式薬品容器4を取り出して移動させると、上方から自動式薬品容器4を取り出して移動させる場合に比べて、移動距離を短くすることができる。
【0297】
つまり、保持位置変更動作を実施し、使用頻度の高い自動式薬品容器4の保持位置をドラム部材25の上方から下方へ移動することにより、分包動作を実施する際の自動式薬品容器4の移動距離を短くすることが可能となり、効率のよい分包動作を実施可能となる。
【0298】
すなわち、本実施形態の散薬分包装置1では、分包動作での自動式薬品容器4の使用回数を記憶しておく。そして、所定の自動式薬品容器4の使用回数が所定数以上となったこと、又は、他の自動式薬品容器4の使用回数を所定数だけ上回ったことを条件として、ドラム部材25の上段側に保持されていた所定の自動式薬品容器4を下段側に移動させる。
【0299】
このとき、下段側に空き領域があり、自動式薬品容器4を保持可能である場合には、所定の自動式薬品容器4をそのまま下段側に移動させる。
対して、下段側に自動式薬品容器4を保持させるための空き領域が無い場合には、下段側に現在保持されている自動式薬品容器4を容器仮置部18といった退避場所に一時的に設置し、所定の自動式薬品容器4を上段側から下段側へ移動させた後、退避場所の自動式薬品容器4を上段側へ移動させる。
[移動距離短縮動作]
【0300】
上記した各分包動作を連続して実施する場合において、先行して実施する分包動作で使用する自動式薬品容器4が、続けて実施する分包動作で使用される場合、必要に応じて移動距離短縮動作を実施してもよい。
この移動距離短縮動作では、先行する分包動作で自動式薬品容器4から分配皿35に散薬(薬品)を排出した後、容器保持台36から容器保管部23に自動式薬品容器4を移動させる動作に替わって、自動式薬品容器4を容器仮置部18に移動させる。そして、続けて実施する分包動作において、容器仮置部18から容器保持台36へ自動式薬品容器4を移動させる。このことにより、自動式薬品容器4の移動距離を短縮することができる。
【0301】
なお、先行して実施する分包動作で使用しない容器保持台36が存在する場合には、容器保持台36から容器保管部23に自動式薬品容器4を移動させる動作に替わって、自動式薬品容器4を使用しない容器保持台36に移動させてもよい。この場合には、続けて実施する分包動作において、先行する分包動作で使用しない容器保持台36から、所定の容器保持台36へと自動式薬品容器4を移動させる。このことでも、自動式薬品容器4の移動距離を短縮できる。
[振動パターン変更動作]
【0302】
本実施形態の散薬分包装置1は、振動台部を振動させる際、振幅を増減させる振動パターン変更動作が実施可能となっている。
【0303】
詳細に説明すると、本実施形態の散薬分包装置1では、上記したように、各分包動作を実施するとき、容器保持台36の振動台部を振動させ、容器保持台36に保持された薬品容器の内部から分配皿35に薬品を供給している。
【0304】
ここで、振動台部を振動させ続けているにも関わらず、薬品容器から薬品が供給されなくなってしまう場合や、単位時間当たりの供給量が極端に少なくなってしまう場合が考えられる。この場合、原因としては、自動式薬品容器4の内部で粉末状の薬品が固着して塊になってしまうことや、自動式薬品容器4の内部に薬品が無いことが考えられる。
【0305】
なお、自動式薬品容器4の内部に薬品が無いという状況は、上記した予約管理動作が何らかの理由で正常に実施されず、不足量が表示されずに分包動作が開始されてしまい、且つ、容器保持台36の重量測定手段でも自動式薬品容器4の内部に薬品が収容されていないことが検知できなかった場合に生じる可能性がある。
【0306】
本実施形態では、振動台部を振動させ続けているにも関わらず、単位時間当たりの供給量が一定未満となったとき、まず、振動の振幅を大きくする振動パターン変更動作を実施し、薬品の塊を砕く動作を実施する。すなわち、まず、薬品の塊が形成されている場合を想定し、原因の解消を図る。このとき、想定の通りに薬品が塊になったことが原因であれば、振幅を大きくし、自動式薬品容器4を大きく振動した状態とすることで、塊が砕け、原因が解消する可能性がある。
【0307】
振幅を大きくする振動パターン変更動作を実施したにも関わらず、単位時間当たりの供給量が一定未満である場合には、振動台部の振動を停止し、使用者に対して分配皿35に単位時間あたりに所定量の薬品が供給されない旨を報知する報知動作が実施される。
この報知動作は、操作表示部3に所定のメッセージを表示する動作や、音声、警報音等の音を発する動作、あるいは、別途設けた非常灯を点灯するといった光を発する動作等により実施される。
【0308】
さらに、本実施形態の散薬分包装置1では、この報知動作が実施された後、欠品処理を適宜実施する。
すなわち、アーム部30の使用又は手動により、薬品が排出できなかった自動式薬品容器4を本体装置2から取り出し、この自動式薬品容器4を使用者が点検する。
【0309】
このとき、自動式薬品容器4の内部で粉末状の薬品が固着して塊になっている場合、使用者が塊を砕く。また、自動式薬品容器4の内部に薬品が無いことが確認された場合には、薬品を充填する。
【0310】
その後、アーム部30の使用又は手動により、点検の終わった自動式薬品容器4を容器保持台36に載置し、分配皿35への薬品の供給動作を再開する。すなわち、振動台部の振動を再開し、分配皿35を再度回転させる。
ここで、前記したように、本実施形態の散薬分包装置1では、自動式薬品容器4から分配皿35に薬品が供給されている間、自動式薬品容器4の重量が常時検知される構成となっている。すなわち、中断前までに分配皿35に供給した薬品の重量が記憶された状態となっている。
このことから、分配皿35への薬品の供給動作を再開されると、中断前までに分配皿35に供給した薬品の重量に基づいて、残りの供給量を算出し、算出した供給量だけ薬品を分配皿35に供給する。
【0311】
本実施形態では、振幅を大きくする振動パターン変更動作を実施したにも関わらず、単位時間当たりの供給量が一定未満である場合には、振動台部の振動を停止し、アーム部30によって自動式薬品容器4を容器仮置部18まで移動させる動作を自動的に実施する。そして、使用者が扉部16を開いて自動式薬品容器4を取り出す構成となっている。
【0312】
上記した実施形態では、第3分包動作の実施時に手動式薬品容器5を使用する例を示したが、これに限らず、自動式薬品容器4を使用して第3分包動作を実施してもよい。すなわち、手動式薬品容器5に替わって自動式薬品容器4を使用してもよい。
【0313】
上記したデータ記憶部は、本体装置2に内蔵されるHDDに限るものでなく、本体装置2にケーブル等を介して接続された外付けHDD等を採用してもよい。また、本体装置2に内蔵されたHDDと、外付けHDDを併用する構成であってもかまわない。
【0314】
上記した実施形態では、操作ボタン部88を操作し、分配皿35への散薬の排出速度を変更する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、
図30で示されるように、速度上昇ボタンと速度下降ボタンを設け、それぞれを押下することで速度が増減するという構造としてもよい。また、この速度上昇ボタン、速度下降ボタンの近傍に棒状のメモリ等の速度の段階を視覚的に表示するメモリ部を設けてもよい。
【0315】
上記した各動作に加え、薬品容器の内部から分配皿35に散薬(薬品)を供給する際に、外部から振動や衝撃が加わること等により、排出速度が急激に変化したことが検知された場合、その旨を報知する報知動作(例えば、操作表示部3に警告メッセージを表示させる、警報音を発する等)を実施し、緊急停止するか否かを選択させるメッセージを操作表示部3に表示させてもよい。
ここで、緊急停止されなかった場合には、そのまま分包動作を継続させ、排出速度が急激に変化した旨(異常の発生)を履歴情報に記憶する動作を実施する構成としてもよい。
【0316】
上記した各動作に加え、各分包動作によって形成される1又は複数回分に区画された分包袋と、それに内蔵される散薬の総重量を算出し、分包袋に直接又は紙等の媒体に算出した結果を印字する構成としてもよい。
【0317】
例えば、分包袋の原料であり、芯管にロール状に巻きつけた状態で筐体10の内部に収容する長尺状シートに対し、芯管部分にRFIDを取り付けた構成とする。そして、このRFIDに書き込まれた情報を読み取ることにより、長尺状シートの重量を取得する重量取得動作を実施可能とする。
ここで、各分包動作の前後で重量取得動作をそれぞれ実施し、取得した重量を比較する動作を実施することで、対象となる分包動作で作成した分包袋の重量を算出する。そして、算出した分包袋の重量と、分包動作で使用した薬品の総使用量(総排出量)から、分包袋とそれに内蔵される散薬の総重量を算出する。
【0318】
また、別の例として、芯管部分に取り付けたRFIDの情報を読み取り、出力した長尺状シートの長さを取得すると共に、この長さと、未使用状態の長尺状シートの総重量から、作成した分包袋の重量を算出してもよい。そして、このように算出した分包袋の重量と、分包動作で使用した薬品の総使用量(総排出量)から、分包袋とそれに内蔵される散薬の総重量を算出してもよい。
【0319】
そして、分包袋を形成する際、分包袋と内蔵される散薬の総重量を直接印字すると、形成した分包袋を天秤に乗せるだけで、使用者が印字された内容を見つつ監査を行うことが可能となるので、業務の利便性の向上を図ることができる。
なお、分包袋と内蔵される散薬の総重量を印字するとき、他の情報と共に印字してもよい。この他の情報としては、秤量開始時間、引換券番号、年齢、体重、薬品名、1日量(理論値及び/又は実測値)、総量(理論値及び/又は実測値)、薬包込総重量(理論値及び/又は実測値)、分数、日数等の情報がある。
【0320】
上記した各分包動作のうち、自動式薬品容器4を使用した分包動作を実施する場合、分配皿35への散薬の排出動作が開始される前に、使用する薬品容器を自動式薬品容器4から手動式薬品容器5に切り替える容器切替動作を実施してもよい。
すなわち、操作表示部3にこれから実施する分包動作(又は現在実施中の分包動作)で使用する薬品のリストから所定の薬品を選択し、所定の操作を実施することで、手動式薬品容器5から分配皿35に薬品を排出するように設定する。そして、分包動作の実施前(又は実施中に)一時的に正面ドア34を上昇させ、容器保持台36に予め薬品を充填した手動式薬品容器5を載置する。
【0321】
上記した例では、分包動作に関する動画像を表示する例を示したが、動画像に限らず静止画像を表示してもよい。例えば、分包動作の実施中において、数秒ごとに撮影動作を実施する。その一方、分包動作で形成される分包袋に処方(分包動作)を特定するためのバーコードを印字する。そして、所定の読取装置によりバーコード情報を読み取る動作を実施し、対応する静止画像を操作表示部3に表示する。このことにより、分配皿35に薬品が正常に排出されたか否かを確認する。
なお、読取装置は、本体装置2と一体に設けてもよく、別途設けて通信ネットワークで接続された状態してもよい。
【0322】
上記した例では、所定数(本実施形態では6つ)以上の薬品を混合して分包する分包動作を実施する場合において、自動式薬品容器4と手動式薬品容器5の双方を使用して分包動作を実施した。この分包動作では、手動式薬品容器5を使用して分配皿35に排出する薬品を指定可能とし、所定の薬品を選択することを促す動作を実施してもよい。
【0323】
具体的に説明すると、データベース編集動作において、「薬品マスタ」に薬品を登録する際、「手撒きカセット優先順位」の項目(優先順位を指定する項目)を入力可能とする。この項目は、例えば、高、中、低から選択して入力可能とする。
そして、所定数(本実施形態では6つ)以上の薬品を混合する分包動作を実施するとき、優先順位の高いものから順に手撒き推奨薬品として表示する(又は優先順位の違いが明確となるようにリスト表示する)。
【0324】
なお、手動式薬品容器5を使用する薬品の数(以下、設定数とも称す)が予め設定されている場合(又は使用者によって指定された場合)に、設定数以上に優先順位が同じ薬品が存在するときには、登録順に設定数だけ提示してもよい。
【0325】
また、上記した優先順位の設定は適宜実施可能であるが、麻薬、毒薬、向精神薬、劇薬等のハイリスク薬品、顆粒薬、色つき薬、要冷所保管薬等を考慮して設定することが好ましい。
例えば、ハイリスク薬品を「低」とし、クロスコンタミネーションの発生可能性を低下させてもよい。また、飛散しやすい薬品を「低」とし、手動式薬品容器5に薬品を充填する手間を低減してもよい。逆に顆粒薬のような手動式薬品容器5に充填し易い薬品を「高」としてもよい。また、色つき薬を「低」とし、手動式薬品容器5への着色を防止してもよい。
【0326】
上記したように、本実施形態の薬品容器には、情報記録部材(RFIDのチップ)が取り付けられており、情報読取動作と、情報書込動作を適宜実施可能となっている。このことにより、以下の動作が可能となっている。なお、一部重複する説明があるが、全て上述に記載の構成及び動作に準拠するものとする。
【0327】
RFIDには、薬品の名称等の他、薬品容器内の薬品の残量が記録される。
本実施形態の散薬分包装置1を起動したとき、ドラム部材25に搭載された全ての薬品容器に収容された薬品の種類と残量がRFIDから読み出され、制御部に記録される。すなわち、ドラム部材25を回転し、情報読書装置(一体又は別体として設けられた情報読取装置と情報書込装置)でRFIDの情報が読み取られる。またドラム部材25のどの位置にどの薬品容器が収容されているかが確認され、記録される。
【0328】
また、本実施形態では、容器保持台36の近傍に情報読書装置が設けられている。そして薬品を分包するために容器保管部23から薬品容器を取り出し、薬品容器を容器保持台36に置いた時に対象薬品か否かが確認される。
【0329】
また、分配作業が終了した際、分配作業が終了した際、容器保持台36の近傍に情報読書装置によって、RFIDに記録された薬品容器内の薬品の残量が書き換えられる。
【0330】
また、分包が終了して容器保管部23に薬品容器を戻す前に、薬品容器が容器仮置部18に設置され、薬品容器の重量が再度測定される。この様に本実施形態の散薬分包装置1では薬品の重量が二重に確認される。
【0331】
容器仮置部18から容器保管部23に薬品容器を戻した後、ドラム部材25を回転させて戻された薬品容器を情報読書装置に近づけ、容器保管部23に戻された薬品容器が元の薬品容器であることが確認される。
【0332】
また、外部から散薬分包装置1に薬品容器を収容する際には、操作表示部3で薬品容器に収容された薬品の情報を入力する。そして容器仮置部18に薬品容器を設置し、所定の操作をすることにより、薬品容器の重量が測定され、その重量がRFIDに書き込まれる。またRFIDから薬品の情報が読み出され、使用者が入力した薬品であることが確認される。
【0333】
薬品容器内の薬品が不足し、薬品容器に薬品を補充して散薬分包装置1に薬品容器を収容場合も同じである。
なお、薬品容器内の薬品が不足している場合は、容器保持台36又は容器保管部23から薬品容器が扉部16の容器仮置部18に移動させられる。そして扉部16が自動的に開き、使用者が薬品容器を取り出せる状態となる。
【0334】
通常時に容器保管部23に収容していない薬品(以下、非常備薬品とも称す)を分包する際には、当該薬品を収容した薬品容器を上記した手順で散薬分包装置1に入れるが、この場合についてもRFIDから薬品(非常備薬品)の情報が読み出され、使用者が入力した薬品であることが確認される。
また、非常備薬品を使用する場合については、薬品容器は、直接容器保持台36に運ばれて分配が開始される。
非常備薬品が充填された薬品容器は、分配が終了すると直ちに容器仮置部18に移動させる。そして扉部16が自動的に開き、使用者が薬品容器を取り出せる状態となる。
【0335】
スライド式の正面ドア34は、通常作業においては開く必要は無いが、何らかのトラブル発生時に正面ドア34を開けた時には、容器保管部23の薬品容器は自由に抜き差しできる環境となる。そのため、薬品容器が入れ替わっていないことと、再度薬品容器の位置を念のため確認することを目的として、正面ドア34が閉じられた時には、散薬分包装置1を起動した際と同様にドラム部材25に搭載された全ての薬品容器に収容された薬品の種類と残量が、RFIDから読み出され、制御部に記録される。すなわち、ドラム部材25を回転し、情報読書装置でRFIDの情報が読み取られる。またドラム部材25のどの位置にどの薬品容器が収容されているかが確認され、記録される。
【0336】
上記した散薬分包装置1は、
図31で示されるように、制御装置160と構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態とすることで、散薬調剤業務支援システム161を構築することが可能となっている。この散薬調剤業務支援システム161について詳細に説明する。
【0337】
この散薬調剤業務支援システム161は、
図31で示されるように、制御装置160と、薬品秤量装置6と、散薬分包装置1とを備えており、制御装置160と他の調剤機器(薬品秤量装置6と、散薬分包装置1)とが構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態に接続されている。
また、制御装置160は、医師が使用する外部PC162とも互いにデータを送受信可能な状態で接続されている。そして、医師が外部PC162に処方に関する情報を入力することで、散薬調剤業務支援システム161を構成する各機器で使用される処方データが作成されることとなる。
【0338】
すなわち、医師が外部PC162で処方に関するデータを入力すると、外部PC162から制御装置160に信号が送信され、制御装置160で散薬分包装置1に送信するための処方に関するデータ(以下、単に処方データとも称する)が作成される。そして、この処方データに含まれる処方が散薬分包装置1だけで自動的に処理できる処方であるか否かを判別する判別動作が実施される。なお、この判別動作は、制御装置160で実施してもよく、制御装置160から散薬分包装置1へ処方データを送信した後、散薬分包装置1で実施してもよい。
【0339】
この判別動作は、処方データに含まれる処方が、上記した第1分包動作又は第2分包動作によって分包可能か否かを判別する動作である。
この判別動作の結果、処方データに含まれる処方が散薬分包装置1だけで自動的に処理できる処方であり、さらに第1分包動作で対応可能である場合には、第1分包動作で第1分包動作が実施される。また、処方データに含まれる処方が散薬分包装置1だけで自動的に処理できる処方であるが、第1分包動作が実施できない場合には、第2分包動作を実施する。
【0340】
このような構成とすることで、第1分包動作又は第2分包動作によって分包可能な処方については、外部PC162で入力操作を実施するだけで、自動で処理されることとなる。このことにより、散薬分包装置1で入力を実施することなく、散薬の分包が可能となる。
【0341】
ここで、散薬調剤業務支援システム161において実施可能な自動式薬品容器4への散薬(薬剤)の充填動作について説明する。
散薬調剤業務支援システム161でも、上記した充填動作と同様に、散薬分包装置1に自動式薬品容器4をドラム部材25に保持させる動作が可能となっている。これに加えて、散薬調剤業務支援システム161では、外部の管理棚に保管する自動式薬品容器4に対して散薬を充填する場合に、自動式薬品容器4への散薬の充填を制御装置160に登録する動作が可能となっている。この登録動作について詳細に説明する。
【0342】
まず、動作に先立って、自動式薬品容器4に散薬を充填しておく。この充填作業は、薬剤師の手作業によって行われる。さらに、薬剤の充填に伴って、自動式薬品容器4のRFIDタグに各種情報を記憶させておく。より詳細には、充填作業を実施した者を示す充填者名(又は、充填者ID)、充填日、充填量、充填した薬品名といった情報を記憶させておく。
【0343】
そして、操作表示部3を操作して扉部16を開放し、散薬を充填した自動式薬品容器4を容器仮置部18に載置する。このとき、制御装置160を操作することで、制御装置160から散薬分包装置1へと信号が送信されることとなる。散薬分包装置1が信号を受信すると、容器仮置部18の重量測定手段により、自動式薬品容器4の重量を測定する重量測定動作が実施される。加えて、測定した重量を自動式薬品容器4のRFIDタグに記憶させる情報書込動作が実施される。
【0344】
重量測定動作、情報書込動作が完了すると、散薬分包装置1から制御装置160に対して動作完了を示す信号が送信される。そして、操作表示部3に自動式薬品容器4を扉部16から取り出すことを促すメッセージが表示される。この状態で、使用者が自動式薬品容器4を取り出すことにより、一連の登録動作が完了する。
【0345】
なお、上記した例では、制御装置160から送信された信号を散薬分包装置1が受信することで、重量測定動作、情報書込動作が実施される例について説明したが、これに替わって、操作表示部3を操作することで重量測定動作、情報書込動作が実施される構成としてもよい。
さらにまた、散薬調剤業務支援システム161において、自動式薬品容器4をドラム部材25に保持させる充填動作を実施する際、制御装置160を操作し、散薬分包装置1が制御装置160から送信された信号を受信することで、重量測定動作、情報書込動作、自動式薬品容器4を移動させる同等の各種動作を実施してもよい。すなわち、操作表示部3を操作することで各種動作を実施してもよく、制御装置160から信号を受信することで各種動作を実施してもよい。
【0346】
ところで、散薬分包装置1では、上記したように、薬品容器(自動式薬品容器4又は手動式薬品容器5)を容器保持台36の上に載置し、容器保持台36の振動台部に振動動作を実施させている。そして、振動動作の開始前に取得した薬品容器の重量(原重量)と、振動動作中に取得し続ける薬品容器の現在の重量(現重量)とを比較し、原重量から現重量を差し引いた値である散薬の供給量が規定量となったことを条件として、振動動作を停止している。
【0347】
ここで、振動動作を停止させるとき、振動動作の停止後に慣性によって薬品容器から散薬が排出されてしまうことが考えられる。すなわち、振動動作の停止後にわずかな散薬が分配皿35に供給されてしまうことが考えられる。この場合、実際に供給した散薬の供給量が供給予定量となってから振動動作を停止したのでは、分配皿35に供給予定量よりも多くの散薬を供給してしまうおそれがある。つまり、散薬の供給量が規定量となったことを条件として振動動作を停止する場合、この規定量を供給予定量と同量としてしまうと、供給予定量よりも多くの散薬を分配皿35に供給してしまう可能性がある。
【0348】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、振動動作の停止後に排出が予測される散薬の量を想定し、規定量を設定している。すなわち、供給予定量よりも少量となる規定量を設定し、散薬の供給量が規定量となったことを条件として振動動作を停止している。
【0349】
より具体的には、散薬分包装置1は、供給予定量とすでに供給した散薬の量から残りの供給量を算出すると共に、実行中の振動動作における所定時間あたりの供給量を算出することが可能となっている。さらに、振動動作の停止後に慣性によって薬品容器から流れ出る散薬の量が予め実験等によって導出されており、データ記憶部に記憶されている。このことから、振動動作の停止後に供給されることが予測される散薬の量を取得可能となっている。
そして、分配皿35に散薬を供給し続けた後、残りの供給量が振動動作の停止後に薬品容器から供給される散薬の量と同量となったとき、振動動作を停止している。つまり、上記した条件となる「規定量」とは、供給予定量から振動動作の停止後に供給される散薬の量を差し引いた値となっている。
【0350】
ここで、散薬分包装置1に人がぶつかってしまう等の理由により、散薬分包装置1が瞬間的に揺らされた場合について考える。この場合、薬品容器や容器保持台36等に揺れが伝わることで、散薬分包装置1が算出する時間当たりの散薬の供給量の値が一時的に増加してしまうおそれがある。すなわち、散薬分包装置1が算出する散薬の供給量が、実際に供給した散薬の供給量を上回ってしまうおそれがある。すると、散薬分包装置1は、実際には十分な量が供給されていないにもかかわらず、十分な量を供給したものと判断し、振動動作を停止しまうことになる。すなわち、実際に分包する散薬の量が予定していた量よりも少なくなってしまうという不具合が発生してしまう可能性がある。
【0351】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、少量排出時において通常時とは異なる振動動作を実施可能となっている。この動作につき、以下で詳細に説明する。
【0352】
本実施形態の散薬分包装置1は、薬品容器(自動式薬品容器4又は手動式薬品容器5)を容器保持台36の上に載置し、容器保持台36の振動台部を振動させる際、供給予定量、所定量の散薬をすでに供給した際の残りの供給量、所定時間あたりの供給量に基づいて、振幅及び振動周波数を変更して振動動作を実施可能となっている。
例えば、供給予定量が少量である場合や、残りの供給量が少量となった場合に、振幅を小さくし、振動周波数を下げることで、所定時間あたりの供給量を低下させた状態で供給することが可能となっている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、残りの供給量が少量となった場合とは、残りの供給量が4g以下となった場合としている。すなわち、予め設定した基準値を下回った場合に、少量になったものと判別している。
【0353】
そして、振幅を小さくし、振動周波数を下げた振動動作(以下、低出力振動動作とも称す)を実行している際には、散薬の時間当りの供給量の値が急激に増加しても振動動作を停止しない動作を実行している。つまり、通常時では、時間当りの供給量の値が急激に増加した際には振動動作を異常停止させるのに対し、残りの供給量が少量である時には、散薬の時間当りの供給量の値が急激に増加しても振動動作を停止しない動作を実行している。
【0354】
さらに具体的には、低出力振動動作の実行時において、取得した時間当りの供給量が、その直前に取得した時間当たりの供給量よりも基準値(本実施形態では0.3g)以上増加したとき、所定時間(本実施形態では300ms)だけ待機動作を実施している。この待機動作とは、散薬を供給する際に実施する時間当たりの供給量を取得する動作と、それに基づいて振動動作を停止させるか否かの判別を実施する動作とを一時的に実施しない動作である。このことにより、散薬分包装置1が外力によって揺さぶられ、算出する時間当たりの散薬の供給量の値に瞬間的な増加があっても、振動動作が誤停止してしまうことがない。
なお、この少量排出時に実施する振動動作は、それぞれの容器保持台36で個別に実施可能となっている。
【0355】
付言すると、低出力振動動作を実施している際には、散薬が少しずつ供給されるため、通常は時間当りの供給量が急激に増加することはない。すなわち、低出力振動動作の実施時において、時間当りの散薬の供給量が急激に増加したことが検知された場合、それが誤検知である可能性が極めて高い。そこで、低出力振動動作の実施中に時間当りの散薬の供給量が急激に増加したことが検知された場合、極めて短時間の待機動作を実施し、一時的に振動動作を停止させるか否かの判別を実施しない構成としている。このことにより、人がぶつかる等の理由により散薬分包装置1が一瞬だけ揺さぶられたとしても、その影響を排除することが可能となり、誤動作を防止できる。そして、地震等によって散薬分包装置1に長時間振動が加わった場合等においては、通常通り緊急停止を実施することができる。
【0356】
これに加え、本実施形態の散薬分包装置1は、薬品容器(自動式薬品容器4又は手動式薬品容器5)を容器保持台36の上に載置した後、容器保持台36が安定した状態となっているのか否かを判別する安定性判別動作を実施可能となっている。
【0357】
より詳細に説明すると、容器保持台36は、例えば薬品容器が載置された直後のように、重量測定手段によって計測する値が安定しない状態となる場合がある。すなわち、薬品容器から載置した際の振動が伝わったりしている場合、同じ対象物を検知しているにも関わらず、測定時刻によって測定される値が異なるという現象が生じてしまう。すなわち、容器保持台36は、状況によって精度の高い測定が可能な安定状態である場合と、精度の高い測定が不可能な不安定状態である場合とがある。
【0358】
そこで本実施形態では、容器保持台36が安定状態であるか否かを判別する安定性判別動作を実施している。
具体的には、所定時間(例えば1秒)に亘って容器保持台36の重量測定手段によって薬品容器の重量を検知し、その間に検知した値が大きく変化しない場合(変化量が所定量以下であり、誤差の範囲内である場合)、容器保持台36が安定状態であると判別している。
【0359】
そして、容器保持台36が安定状態であることが確認されると、上記したように薬品容器の原重量及び現重量を取得し、振動動作を開始している。
【0360】
ところで、このような安定性判別動作では、容器保持台36が何らかの理由で一時的に安定することに起因する誤検知の発生が考えられる。すなわち、実際は容器保持台36が安定状態ではないのにもかかわらず、安定性判別動作を実施した所定時間(例えば1秒)の間だけ、偶然に重量の変化量が少なくなってしまうことで、容器保持台36が安定状態であると誤った判断してしまう可能性がある。言い換えると、この安定性判別動作を単に実施したのみでは、安定状態がそのまま継続するのか否かが判別不能であるため、重量を高精度で取得するという観点から改良の余地がある。
【0361】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、このような誤検知を防止すべく、以下で説明する一連の動作を実施している。
まず第1の動作として、薬品容器が容器保持台36の上に載置されたとき、すぐに安定性判別動作を実施せず、所定時間待機する動作を実施する。すなわち、薬品容器が載置された直後は不安定状態である可能性が高いため、所定時間待機する動作を実施する。
そして、その後に安定性判別動作を実施し、容器保持台36が安定状態であると判別された場合(少なくとも一時的に安定状態であると判別された場合)、第2の動作を実施する。
【0362】
第2の動作では、所定時間(本実施形態では2.5ms)毎に、容器保持台36の重量測定手段によって薬品容器の重量を検知する。また、このとき検知した重量と直前に取得した重量と比較し、重量が大きく変化していないか否かの判別(安定状態が継続しているか否かの判別)を実施する。そして、一定の期間(本実施形態では1秒)に亘って継続して安定状態である(不安定状態でない)ことが確認されたことを条件として、容器保持台36が継続して安定状態であると判別する。容器保持台36が継続して安定状態であると判別されると、第3の動作を実施する。
【0363】
第3の動作では、所定時間(本実施形態では2.5ms)毎に検知した薬品容器の重量の平均値を薬品容器の原重量として取得し、振動動作を開始する。この第1の動作から第3の動作までの一連の動作を実施することで、薬品容器の原重量を高い精度で算出することが可能となる。
【0364】
なお、分配皿35に散薬の供給を開始する前だけでなく、分配皿35に散薬の供給が終了した後の薬品容器の重量を取得する際、この一連の動作を実施してもよい。すなわち、第1の動作から第3の動作までの一連の動作を実施し、所定時間毎に検知した薬品容器の重量の平均値を薬品容器の供給終了時の重量として取得してもよい。
【0365】
ここで、上記した掻出装置37(
図4等参照)についてより詳細に説明する。
掻出装置37は、具体的には、
図32で示されるように、円盤状のターンテーブル170の上面にアーム部材171が固定されており、アーム部材171がターンテーブル170の外側に向かって突出している。このことから、ターンテーブル170を回動させることで掻出装置37の略全体を旋回させることが可能となっている。
また、アーム部材171の先端側には、掻寄板172と、仕切板173と、掻出板174とが取り付けられている。
【0366】
掻寄板172は、薄板で作られた小型円盤状の部材であり、その厚さ方向がアーム部材171の突出方向と垂直となるように取付けられている。言い換えると、掻寄板172は、アーム部材171の側面のうち突出方向と垂直となる面に固定され、直立した姿勢をとっている。
また、掻寄板172の周縁部分には、分配皿35の上面と密着するようにゴム又は樹脂の円周部シール材175が設けられている。
【0367】
仕切板173は、掻寄板172と平行になるように配された薄板状の部材であり、扇型に近い形状をしている。すなわち、仕切板173は、中心角が30度程度の円弧と、直線の2辺によって形付けられた略三角形の板となっている。
【0368】
掻出板174は、掻寄板172と、仕切板173の中心角を成す直線状の一辺とに接触しており、これらの双方と直交するように配された板状の部材となっている。言い換えると、掻寄板172の円形面から外側に突出するように形成されている。
この掻出板174の端辺にもまた、分配皿35の上面と密着するようにゴム又は樹脂の掻出用シール材176が設けられている。
【0369】
次に、上記した分包動作時の掻出装置37の具体的な動作について説明する。
【0370】
本実施形態の掻出装置37は、分配皿35と連動することで、分配皿35の上に広がった散薬の一部を掻寄板172の周辺に寄せ集める掻寄動作と、寄せ集めた散薬を薬品導入口39に投入する掻出動作を実施可能となっている。掻寄動作と掻出動作からなる一連の動作について説明する。
【0371】
まず、上記したように、薬品容器から分配皿35に散薬が排出され、分配皿35が回転することで、分配皿35の上面全体に散薬が満遍なく広がった状態となる。そして、薬品容器から分配皿35への排出が停止した後、分配皿35の回転が停止する。
この状態で、
図33(a)で示されるように、アーム部材171が下方側へ回動し、掻寄板172の周縁部分が分配皿35の上面と接触した状態となる(
図33(b)参照)。言い換えると、掻寄板172の下方側の部分が分配皿35の窪んだ部分に入り込んだ状態となる。
【0372】
この状態で、分配皿35を散薬の分割数に応じた角度だけ回転させ、分配皿35の上に広がった散薬の一部を掻寄板172の周辺に寄せ集めた状態とする(
図33(c)参照)。そして、掻寄板172を回転させることにより、寄せ集めた散薬を薬品導入口39に投入する。
【0373】
具体的には、
図34で示されるように、掻寄板172を正面からみたときに時計回りとなる方向に回転させる。すると、掻寄板172の回転に伴って掻出板174もまた移動することとなる。そして、掻出板174が寄せ集められた散薬と接触した状態となる(
図34(b)参照)。このとき、掻出板174は、分配皿35の溝部分における断面の円弧半径に沿う方向であり、且つ、内側から外側に向かう方向(
図34における右側から左側に向かう方向)に移動する。このため、掻出板174は、分配皿35の径方向内側から寄せ集められた散薬に接触することとなる。
【0374】
この状態で、そのまま掻寄板172を回転させていくことにより、散薬が分配皿35の径方向における外側端部まで押されていく(
図34(c)参照)。そして、分配皿35から外側に押し出された散薬は、分配皿35の外側に隣接する薬品導入口39に落とし込まれることとなる。
【0375】
ところで、上記したように、掻出板174には、分配皿35の上面と密着するようにゴム又は樹脂の掻出用シール材176(
図32等参照)が設けられている。このことにより、掻出板174が分配皿35と接触するとき、掻出板174と分配皿35の上面の間に隙間が形成されることがない。すなわち、寄せ集めた散薬を外側へと押し出していくとき、掻出板174と分配皿35の間から散薬が漏れ出てしまうことがない。このため、散薬を薬品導入口39に投入する際に、散薬の分配皿35の上への残留を防止できる。
【0376】
しかしながら、静電気が発生する等の理由により、この掻出用シール材176に微量の散薬が付着してしまうことが考えられる。この場合、掻出用シール材176が付着した散薬を薬品導入口39へと落とし込むことができず、一包あたりの散薬の量が予定より少なくなるといった不具合の発生が考えられる。
【0377】
そこで、本実施形態では、掻出動作を実施する際に、掻出用シール材176に付着した散薬を掻出用シール材176から除去し、除去した散薬を薬品導入口39に落とし込むための払い落とし動作を実施している。
【0378】
この払い落とし動作は、上記した通常の掻出動作に続いて実施する。
まず、上記したように、掻出板174を薬品導入口39の近傍となる所定位置まで移動させ(
図34(d)参照)、寄せ集められた散薬の略全てを薬品導入口39に落とし込む。そして、この状態から、掻寄板172を通常とは逆方向に回転させる。すなわち、掻寄板172を正面からみたときに反時計回りとなる方向に回転させる。
【0379】
このことにより、掻出板174の掻出用シール材176が分配皿35の上面に密着した状態で、分配皿35の上面に沿って移動する。すなわち、掻出板174は、分配皿35の溝部分における断面の円弧半径に沿う方向であり、且つ、外側から内側に向かう方向(
図34における左側から右側に向かう方向)に移動する。
【0380】
このように、掻出用シール材176を分配皿35に擦り付けつつ移動させることにより、掻出用シール材176に付着していた散薬が分配皿35の上に落下する。そして、掻出板174を一定距離に亘って移動させると、掻寄板172の回転を停止し、掻寄板172を直前の回転方向とは逆方向に回転させる。すなわち、掻寄板172の回転を停止し、その後に、通常と同じく、正面からみたときに時計回りとなる方向に回転させる。
このことにより、掻寄板172の逆回転によって分配皿35の上に落下させた散薬を、分配皿35の径方向における外側端部まで押していき、分配皿35の外側に隣接する薬品導入口39に投入させることが可能となる。
なお、掻寄板172を逆方向に回転させる回転動作と、これに続いて行う通常と同じ方向に回転させる回転動作、すなわち、払い落とし動作での回転動作の速度は、通常の回転動作と同等以上の速度とすることが好ましい。このようにすることで、より効果的に掻寄板172付着した散薬を落下させることができ、更に本来の払い出し操作に付加する不要な動作の時間を最低限に抑えることができる。
【0381】
また、上記した払い落とし動作は、薬品毎に実施するか否かを適宜選択可能となっている。
詳細に説明すると、上記した薬品マスタ画面(
図6参照)や、処方入力画面(
図8参照)等の適宜な画面を表示させた状態で、使用者が所定の操作を実施することにより、画面で表示された薬品を分包動作後に払い落とし動作が必要な薬品とするか否かを選択可能となっている。そして、払い落とし動作が必要な薬品として予め設定された薬品が、分包動作の対象として選択された場合、通常の掻出動作に続いて払い落とし動作を自動で実施する。つまり、分包動作の対象となる薬品に1以上の払い落とし動作が必要な薬品が含まれる場合に払い落とし動作が自動で実施され、分包動作の対象となる薬品が全て払い落とし動作が必要な薬品でない場合は、払い落とし動作を実施しないようにしている。
【0382】
上記した払い落とし動作では、掻寄板172を逆回転させることで掻寄板172に付着した散薬を分配皿35の上に落下させる動作について説明した。しかしながら、散薬分包装置1で実施する払い落とし動作はこれに限るものではない。
例えば、アーム部材171を振動させて掻寄板172に付着した散薬を分配皿35の上に落下させ、その後に掻寄板172を通常と同じ方向に回転させる回転動作を実施し、分配皿35の上に落下させた散薬を分配皿35の径方向における外側端部まで押していく動作を実施してもよい。
【0383】
ここで、上記したように、分包動作を実施するとき、分配皿35を散薬の分割数に応じた角度だけ回転させている(
図33(b)等参照)。例えば、分配皿35の上に供給した散薬を30包に分割するのであれば、1周360度を30に分割した12度だけ回転させている。
【0384】
ところで、分割する数が少ない場合は、割数に応じた角度もまた大きくなる。例えば、2包に分割する場合には、
図35(a)で示されるように、分配皿35が180度回転することとなる。このとき、割数に応じた角度が大きくなるにつれ、分配皿35の上面のうちで一包分の散薬を寄せ集める範囲が広くなっていく。例えば、分配皿35が90度回転する場合であれば、分配皿35の全周の4分の1を占める範囲に広がった散薬が集められるが、上記したように、分配皿35が180度回転する場合であれば、分配皿35の半周を占める範囲に広がった散薬が集められる。
【0385】
しかしながら、このように一度の動作で広範囲に広がった散薬を集めると、
図35(b)で示されるように、掻寄板172の周辺に集められた散薬の山が分配皿35の周方向に延びた状態となるという問題がある。
このような場合、掻寄板172を回転させ、掻出板174によって散薬を薬品導入口39まで押し出そうとするとき(
図34等参照)、集められた散薬の掻寄板172に近い部分(
図35(b)のαで示される部分)は、薬品導入口39へ投入することが可能であるが、掻寄板172から遠い部分(
図35(b)のβで示される部分)は薬品導入口39へ投入することができなくなる。
【0386】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、分包動作において分配皿35を回転させる際、割数に応じた角度が一定の角度以上となる場合、一包分を複数回に分割して薬品導入口39に投入する投入動作(複数掻出動作)が実施可能となっている。この動作につき、
図36を参照しつつ以下で詳細に説明する。
【0387】
まず、散薬分包装置1は、分配皿35を一包分で回転させる角度が所定角度より大きいか否かを判別する。ここで、分配皿35を分割数に応じた角度だけ回転させる際、分配皿35を回転させるモータのパルス量を可変させることで、回転させる角度を可変させている。すなわち、分配皿35が回転する角度とその際のモータのパルス量は相関関係にあり、分配皿35が回転する角度は、モータのパルス量から算出可能となっている。
このことから、本実施形態では、分配皿35を一包分で回転させるために必要なパルス量Zが規定量Xより多いか否かを判別する判別動作を実施することにより(STEP1)、分配皿35を一包分で回転させる角度が所定角度より大きいか否かを判別している。
【0388】
なお、本実施形態では、分配皿35を1周回転させるために必要なモータのパルス量が50000パルスとなっている。また、規定量Xは2200パルスとしており、1周回転させるために必要なモータのパルス量の4.4パーセントとなっている。言い換えると1周回転させるために必要なモータのパルス量の数パーセント程度(1~9パーセント程度)となっている。
また、本実施形態では、分配皿35を分割数に応じた角度だけ回転させる際に、一度に規定量X以上のパルス量が必要な回転を実施しない構成としている。つまり、規定量Xは、分配皿35を分割数に応じた角度だけ回転させるとき、一回の回転を対象とするパルス量の最大値となっている。
【0389】
判別動作の結果、一包分で回転させる角度が所定角度以下である場合(STEP1でNoであり、パルス量Zが規定量X以下である場合)には、通常通り、割数に応じた角度だけ分配皿35を移動させた後、掻出装置37によって散薬を薬品導入口39へ投入する(単数掻出動作、STEP9)。
【0390】
これに対して、一包分で回転させる角度が所定角度より大きい場合には(STEP1でYesであり、パルス量Zが規定量Xより大きい場合)、一包分の散薬を複数回に分けて薬品導入口39へ投入する。この場合、一包分の散薬を薬品導入口39へ投入する投入動作の実施回数と、それぞれの投入動作での分配皿35を回転させる角度(分配皿35の移動に必要なパルス量)をそれぞれ算出し、複数回の投入動作を実施する。
【0391】
より具体的に説明すると、この場合、分配皿35を規定量Xで回転させる投入動作(以下、最大量掻出動作とも称す)と、分配皿35を規定量Xより小さいパルス量で回転させる投入動作(以下、残余掻出動作とも称す)を適宜実施して、散薬を薬品導入口39へ投入する。
すなわち、一包分で回転させる角度が所定角度より大きい場合には(STEP1でYes)、まず、最大量掻出動作の実施回数nと、残余掻出動作の実施回数n2、そして残余掻出動作で分配皿35を回転させる角度(分配皿35の移動に必要なパルス量)をそれぞれ算出する。
【0392】
まず下記式(1)の演算を実施して演算結果Sを算出し、演算結果Sの整数部分を算出することで、最大量掻出動作の実施回数nを取得する(STEP2)。このとき、演算結果Sの整数部分がそのまま最大量掻出動作の実施回数nとなる。
S=Z/X・・・(1)
【0393】
続いて、残余掻出動作の実施回数n2と、それぞれの残余掻出動作で分配皿35を回転させる角度(分配皿35の移動に必要なパルス量)を算出する。
具体的には、1回又は複数回実施する残余掻出動作で分配皿35の移動に必要な総パルス量Pを算出し、その算出した総パルス量Pに基づいて、残余掻出動作の実施回数n2と、それぞれの残余掻出動作での分配皿35の回転角度を算出する。
【0394】
より詳細には、まず下記式(2)の演算を実施し、残余掻出動作で必要な総パルス量Pを算出する(STEP3)。
P=Z-nX・・・(2)
【0395】
総パルス量Pが算出されると、この総パルス量Pが規定量X2の2倍以上であるか否かの判別を実施する(STEP4)。なお、規定量X2とは、掻寄板172(
図32等参照)の幅と同じだけ分配皿35を移動させるために必要なパルス量であり、本実施形態では600パルスとなっている。
【0396】
この判別動作の結果、総パルス量Pが規定量X2の2倍以上である場合(STEP4でYes)、2回の残余掻出動作を実施する。すなわち、2回の残余掻出動作のそれぞれで分配皿35を回転させるために必要なパルス量を算出し(STEP5)、n回の最大量掻出動作と、2回の残余掻出動作を実施する(STEP6)。
なお、残余掻出動作のそれぞれで分配皿35を回転させるために必要なパルス量は、総パルス量Pから規定量X2を引いたパルス量を1回目の残余掻出動作で分配皿35を回転させるためのパルス量とし、規定量X2を2回目の残余掻出動作で分配皿35を回転させるためのパルス量とする。すなわち、判別動作の結果、総パルス量Pが規定量X2の2倍以上である場合には、残余掻出動作を2回実施し(n2=2)、最後に実施する残余掻出動作では分配皿35を回転させるためのパルス量が規定量X2となる(最小量掻出動作)。
【0397】
対して、総パルス量Pが規定量X2の2倍より小さい場合(STEP4でNo)、1回の残余掻出動作を実施する。すなわち、1回の残余掻出動作のそれぞれで分配皿35を回転させるために必要なパルス量を算出し(STEP7)、n回の最大量掻出動作と、1回の残余掻出動作を実施する(STEP8)。
この場合は、総パルス量Pがそのまま残余掻出動作で分配皿35を回転させるためのパルス量となる。すなわち、判別動作の結果、総パルス量Pが規定量X2の2倍より小さい場合には、総パルス量Pと同じパルス量で分配皿35を回転させる残余掻出動作を1回実施する(n2=1)。
【0398】
上記した動作につき、1包分の回転を実施するために必要なモータのパルス量Zが4167パルスである場合と、1包分の回転を実施するために必要なモータのパルス量Zが5556パルスである場合につき、具体的な例を挙げて詳細に説明する。
【0399】
まず、1包分の回転を実施するために必要なモータのパルス量Zが4167パルスである場合について説明する。この場合、上記式(1)での演算結果Sは、4167パルス/2200パルスとなり、1.89・・・となる。このことから、整数部分は1であるので、最大量掻出動作の実施回数nは1回である(STEP2)。
続いて、上記式(2)で算出する総パルス量Pは、1967パルス(4167-1×2200)となる(STEP3)。この総パルス量Pは、X2の2倍である1200パルス以上であるので(STEP4でYes)、1回目の残余掻出動作で分配皿35を回転させるためのパルス量が1367パルス(1967-600)となり、2回目の残余掻出動作で分配皿35を回転させるためのパルス量が600パルスとなる(STEP5)。すなわち、この場合は1包分を3回に分けて薬品導入口39へ投入するものであり、1回の最大量掻出動作と、2回の残余掻出動作を実施する(STEP6)。つまり、分配皿35を2200パルスで回転させた後に掻出装置37によって散薬を掻き出し(1回目)、続いて、分配皿35を1367パルスで回転させた後に掻出装置37によって散薬を掻き出し(2回目)、最後に分配皿35を600パルスで回転させた後に掻出装置37によって散薬を掻き出すこととなる(3回目)。
【0400】
さらに、1包分の回転を実施するために必要なモータのパルス量Zが5555.55パルスである場合について説明する。この場合、パルス量Zは小数点以下を四捨五入し、5556とする。そして、上記式(1)での演算結果Sは、5556パルス/2200パルスとなり、2.52・・・となる。このことから、整数部分は2であるので、最大量掻出動作の実施回数nは2回である(STEP2)。
続いて、上記式(2)で算出する総パルス量Pは、1156パルス(5556-2×2200)となる(STEP3)。この総パルス量Pは、X2の2倍である1200パルスより小さいので(STEP4でNo)、1回目の残余掻出動作で分配皿35を回転させるためのパルス量がそのまま1156パルスとなり(STEP7)、2回目の残余掻出動作は実施しない。すなわち、この場合は1包分を3回に分けて薬品導入口39へ投入するものであり、2回の最大量掻出動作と、1回の残余掻出動作を実施する(STEP8)。つまり、分配皿35を2200パルスで回転させた後に掻出装置37によって散薬を掻き出し(1回目)、続いて、分配皿35を2200パルスで回転させた後に掻出装置37によって散薬を掻き出し(2回目)、最後に分配皿35を1156パルスで回転させた後に掻出装置37によって散薬を掻き出すこととなる(3回目)。
【0401】
上記したように、本実施形態の散薬分包装置1は、手動式薬品容器5を使用した第3分包動作が実施可能となっている。また、第1分包動作や第2分包動作のような自動式薬品容器4を使用した分包動作を実施する場合、分配皿35への散薬の排出動作が開始される前に、使用する薬品容器を自動式薬品容器4から手動式薬品容器5に切り替える容器切替動作が実施可能となっている。このような分包動作では、複数の散薬を分配皿35に排出して分包動作を実施する場合、2個以上の手動式薬品容器5を使用して分包動作を実施する場合がある。例えば、1つの分配皿35に対応する3つの容器保持台36のうち(
図4等参照)、1つに自動式薬品容器4を設置して散薬を排出し、他の2つに手動式薬品容器5を設置して散薬を排出するような場合である。
【0402】
ここで、本実施形態の散薬分包装置1では、2個以上の手動式薬品容器5を使用する場合、一度に2個以上の手動式薬品容器5を容器保持台36に載置してそれぞれの手動式薬品容器5から散薬を排出させる動作と、1つの容器保持台36に2個以上の手動式薬品容器5を順次載置して散薬を排出させる動作とが実行可能となっている。後者の動作は、具体的には、先行して設置した手動式薬品容器5から散薬を排出した後、散薬の排出が完了した手動式薬品容器5を新たな手動式薬品容器5と交換し、新たな手動式薬品容器5から散薬を排出させる動作である。
これらの動作につき、以下で詳細に説明する。
【0403】
2個以上の手動式薬品容器5を使用する分包動作が実施される場合、使用者に所定数の手動式薬品容器5を容器保持台36に設置するように促すメッセージと、薬品容器から分配皿35に散薬の排出を開始させる開始ボタンと、正面ドア34(
図1等参照)を昇降させる開閉ボタンとが操作表示部3に表示される。
【0404】
使用する手動式薬品容器5を容器保持台36の上に一度に載置する場合、開閉ボタンに触れて正面ドア34を上昇させ、使用者が所定数の手動式薬品容器5を全て容器保持台36に設置し、再び開閉ボタンに触れて正面ドア34を下降させる。そして、開始ボタンを押下することで、容器保持台36に設置した薬品容器から分配皿35に散薬が排出される。
【0405】
対して、使用する手動式薬品容器5を容器保持台36の上に一度に載置せず、順次載置して散薬の排出を行う場合、開閉ボタンに触れて正面ドア34を上昇させ、使用者が所定数より少ない数の手動式薬品容器5を容器保持台36に設置し、再び開閉ボタンに触れて正面ドア34を下降させた状態とする。そして、開始ボタンを押下することで、容器保持台36に設置した薬品容器から分配皿35に散薬が排出される。
この場合、散薬の排出が完了すると、残りの手動式薬品容器5を容器保持台36に設置するように促すメッセージが操作表示部3に表示される。この状態で、開閉ボタンに触れて正面ドア34を上昇させ、使用者が残りの手動式薬品容器5を容器保持台36に設置し、再び開閉ボタンに触れて正面ドア34を下降させた状態とする。そして、開始ボタンを押下することで、容器保持台36に設置した薬品容器から分配皿35に散薬が排出される。
【0406】
すなわち、本実施形態の散薬分包装置1では、2個以上の手動式薬品容器5を使用する分包動作を実施する場合、使用する手動式薬品容器5の数よりも少ない数の手動式薬品容器5だけを容器保持台36に設置した状態で、分配皿35への散薬の排出を実施可能となっている。このことにより、一度に2個以上の手動式薬品容器5を容器保持台36に載置してそれぞれの手動式薬品容器5から同時に散薬を排出させる動作と、1つの容器保持台36に2個以上の手動式薬品容器5を順次載置して散薬を順次排出させる動作の双方を実行することができる。
【0407】
上記したように、本実施形態の散薬分包装置1は、容器保管部23に保持された2以上の自動式薬品容器4に同種の散薬を導入した状態で運用することが可能となっている。
ここで、第1分包動作において自動式薬品容器4から分配皿35に散薬を排出させるとき、自動式薬品容器4に内蔵された散薬が分配皿35への供給予定量より少ない場合には、分配皿35に散薬を排出する動作の実施中に内蔵された散薬が無くなってしまうことが考えられる。
【0408】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1は、分配皿35に排出する散薬が2以上の自動式薬品容器4に内蔵されており、そのうち1つの自動式薬品容器4の散薬の内蔵量が分配皿35への供給予定量より少ない場合には、以下で説明する補充用カセット準備動作を実施可能となっている。
【0409】
まず、通常の分包動作と同様に、供給予定量よりも少量の散薬が内蔵された第1の自動式薬品容器4を容器保持台36に設置した状態で、分配皿35への散薬の排出を開始する。
そして、第1の自動式薬品容器4から分配皿35に散薬を排出しているとき、アーム部30により、第1の自動式薬品容器4と同種の散薬が内蔵された第2の自動式薬品容器4を未使用の容器保持台36に載置する(仮置きする)。なお、第2の自動式薬品容器4を載置する容器保持台36は、薬品容器が載置されていなければどの容器保持台36に載置してもよいが、第1の自動式薬品容器4が載置された容器保持台36と近い位置にある容器保持台36に載置することが望ましい。
【0410】
そして、第1の自動式薬品容器4に内蔵された散薬が無くなると、アーム部30が第1の自動式薬品容器4を容器保管部23へと移動させ、第1の自動式薬品容器4が載置されていた容器保持台36に第2の自動式薬品容器4を載置する。そして、残りの散薬を第2の自動式薬品容器4から分配皿35に排出する。
すなわち、散薬の不足が予測される第1の自動式薬品容器4の近くに、予め同種の散薬を内蔵した第2の自動式薬品容器4を配置しておくことにより、第1の自動式薬品容器4に替わって第2の自動式薬品容器4を設置する作業を迅速に実施することが可能となる。
【0411】
ここで、本実施形態の自動式薬品容器4と、容器移動装置28のアーム部30についてその具体的な構造を説明する。
自動式薬品容器4は、
図37で示されるように、容器本体180と、蓋部材181と、下面側鉄板部材182と、上面側鉄板部材183を備えた構造となっている。より詳細には、容器本体180の短手方向(
図37の高さ方向)で対向する2面の一方に、2つの上面側鉄板部材183が一体に固定されており、他方に下面側鉄板部材182が一体に固定されている。なお、以下の説明において、自動式薬品容器4の上下方向を説明する際には、
図37の姿勢を基準として説明する。
【0412】
容器本体180は、直方体状の容器であり、その内部は、
図38で示されるように、大別して散薬を収納するための散薬収納部185と、乾燥剤収納部186に区画されている。また、容器本体180の長手方向の片側端部には薬品排出部187が設けられている。この薬品排出部187は周辺の部材を取り外すことでより大きく開口し、容器本体180の内部に薬品を導入するための薬品投入部として機能する。この薬品排出部187には、下端近傍となる位置に、容器本体180の内外を連通する薬品排出口188(排出口)が設けられている。
【0413】
蓋部材181は、立板状の可動蓋部190と、共に可動蓋部190の内側面から内側に突出する係合片部191とパッド部192を備えた構造となっている。なお、係合片部191は、可動蓋部190の内側面うちで高さ方向の中心よりやや上側から内側に突出しており、パッド部192は、下端付近から内側に突出している。
この蓋部材181は、可動蓋部190が容器本体180の薬品排出口188が位置する端部を覆うように、容器本体180に一体に取り付けられている。そして、容器本体180に取り付けられた状態で、係合片部191の一部を中心に揺動可能な状態となっている。
【0414】
つまり、
図38(a)で示されるように、可動蓋部190の上側を容器本体180の長手方向外側に向かって押圧することにより、可動蓋部190の下端側が容器本体180に近接する。そして、可動蓋部190の下端側に位置するパッド部192が薬品排出口188を閉塞することで、蓋が閉じた状態となる(
図38(b)参照)。
反対に、この蓋が閉じた状態から、可動蓋部190の上側を容器本体180の長手方向内側に向かって押圧することにより、可動蓋部190の下端側が容器本体180の長手方向における外側に移動する。そして、可動蓋部190の下端側に位置するパッド部192が薬品排出口188から離れることで、薬品排出口188が開放され、蓋が開いた状態となる(
図38(a)参照)。
【0415】
アーム部30は、
図39で示されるように、昇降機構31の昇降台200に取り付けられた基幹アーム部材201と、基幹アーム部材201の先端側に取り付けられた中間アーム部材202と、中間アーム部材202の先端側に取り付けられたハンド部203を備えた構造となっている。
【0416】
基幹アーム部材201は、図示しない垂直軸を介して昇降台200に取り付けられており、昇降台200を中心として水平方向に回動可能となっている。
中間アーム部材202もまた、図示しない垂直軸を介して基幹アーム部材201の先端に取り付けられており、基幹アーム部材201の先端を中心として水平方向に回動可能となっている。
【0417】
ハンド部203は、大別して基幹部204と容器保持部205から構成されており、これらが取付金具206を介して一体に取り付けられている。
基幹部204は、図示しない垂直軸を介して中間アーム部材202の先端に取り付けられており、中間アーム部材202の先端を中心として水平方向に回動可能となっている。
【0418】
容器保持部205は、
図40で示されるように、水平方向に寝かした姿勢の取付金具206に対し、水平軸を介して回動自在に取り付けられている。そのため、容器保持部205は、平行姿勢(
図40(a)参照)をとることも垂直姿勢(
図40(b)参照)をとることも可能となっている。
【0419】
この容器保持部205は、薬品容器を吸着するための電磁石(図示しない)と、開閉部材207(蓋係合部、
図41参照)を備えた構成となっている。
具体的には、容器保持部205のうち、薬品容器の吸着時に薬品容器に押し当てられる面(
図41の下面)に開口208が設けられており、この開口208の奥側に開閉部材207が設けられている。開閉部材207は、側面視した形状が略「L」字状となるように連続する2つの当接板によって構成された、略「L」字板状の部材である。この開閉部材207は、2つの当接板の付け根部分を中心として揺動自在に取り付けられている。
なお、この開閉部材207は、図示しないソレノイドやモータ等の動力によって揺動させることが可能となっている。
【0420】
以上のことから、
図41で示されるように、容器保持部205で自動式薬品容器4を吸着するとき、蓋部材181の外側に突出している部分を開口208に挿入させ、この外側に突出している部分を開閉部材207の2つの当接板の間に位置させることができる。そして、この状態で開閉部材207を揺動させることにより、蓋部材181を開閉することが可能となる。
【0421】
続いて、分包動作において、自動式薬品容器4から分配皿35に散薬を排出した後に、容器保持台36に載置された自動式薬品容器4をアーム部30によって移動させる際の動作について詳細に説明する。
【0422】
まず、
図41で示されるように、アーム部30の容器保持部205を自動式薬品容器4に近接させ、容器保持部205の吸着面(
図41における下面)と自動式薬品容器4の上面側鉄板部材183が取り付けられた面(
図41における上面)とを離間対向させる。言い換えると、容器保持部205の吸着面を自動式薬品容器4の上面と所定距離L(1mm乃至3mmであり本実施形態では1.5mm)だけ離れた位置に配置する。
そして、この状態で開閉部材207を揺動させることにより、蓋部材181を閉じた状態とする(仮閉塞動作)。この時、容器保持部205の電磁石を無励磁状態として吸着力を無くすことで、1mmまで近づけてもカセットが自然と吸着されたり、吸着しようとする力で揺れ動いたりすることも無い。
【0423】
続いて、
図42(a)で示されるように、容器保持部205を上昇させ、自動式薬品容器4から離間させた状態とする。このことにより、開閉部材207の2つの当接板の間に位置していた蓋部材181の上端部分が、開閉部材207の下方側に位置した状態となる。言い換えると、開閉部材207と蓋部材181の係合が解除され、開閉部材207を揺動させても蓋部材181と接触しない状態となる。
【0424】
この状態から、再び容器保持部205を自動式薬品容器4に近接させ、容器保持部205の吸着面(
図42における下面)と自動式薬品容器4の上面側鉄板部材183が取り付けられた面(
図42における上面)とを密着させた状態とする。そして、容器保持部205の電磁石(図示しない)に磁力を発現させ、容器保持部205に自動式薬品容器4を吸着させる。そして、開閉部材207を再度揺動させ、蓋部材181を閉塞させる動作を実施する(本閉塞動作)。この蓋部材181を閉塞させる動作により、蓋部材181がしっかりとしまった状態となる。そして、この状態でアーム部30を動作させ、容器保持部205と共に自動式薬品容器4を移動させる。
【0425】
このように、本実施形態では、容器保持部205に自動式薬品容器4を吸着させる前に、容器保持部205と自動式薬品容器4を離間させた状態で、自動式薬品容器4の蓋部材181を閉塞する動作を実施し、蓋部材181を仮閉めした状態とする。このことにより、容器保持部205を自動式薬品容器4に吸着させる際の衝撃で、自動式薬品容器4から散薬がこぼれ落ちてしまうことを防止することが可能となっている。
【0426】
本実施形態の散薬分包装置1は、上記したように、容器移動装置28によって自動式薬品容器4を交換することで、筐体10の内部に設けられた容器保持台36の数(本実施形態では6つ)以上の所定数以上の薬品を混合して分包することが可能となっている。
この動作につき、以下で詳細に説明する。
【0427】
図43(a)で示されるように、まず、全ての容器保持台36にそれぞれ異なる自動式薬品容器4(自動式薬品容器4a~4f)を載置させ、それぞれの自動式薬品容器4から散薬を排出させる。
【0428】
そして、内蔵された散薬の排出が完了した自動式薬品容器4aをアーム部30によって移動させ(
図43(b)参照)、自動式薬品容器4aが載置されていた容器保持台36に薬品容器が載置されていない状態とする。そして、この容器保持台36に新たな自動式薬品容器4gを載置する(
図43(c)参照)。すなわち、アーム部30によって新たな自動式薬品容器4gを移動させ、容器保持台36に新たな自動式薬品容器4gを載置する。
【0429】
こうして、内蔵された散薬の排出が完了した自動式薬品容器4を順次新たな自動式薬品容器4に交換していくことで、容器保持台36の数(本実施形態では6つ)以上の薬品を混合して分包することが可能となる。例えば、上記したように、全ての容器保持台36に自動式薬品容器4を載置して散薬を排出した後、1つの自動式薬品容器4を交換することにより、7種類の薬品の混合が可能となる。また、全ての容器保持台36にそれぞれ載置された自動式薬品容器4を一度ずつ交換することにより12種類の薬品の混合が可能となり、2度ずつ交換することにより18種類の薬品の混合が可能となるといった具合である。
【0430】
付言すると、本実施形態の散薬分包装置1は、上記した蓋部材181を仮閉めする動作を実施することにより、自動式薬品容器4の吸着時における散薬の意図しない排出を防止可能となっている。言い換えると、自動式薬品容器4を移動させる際に、散薬をこぼすことなく移動させることが可能となっている。そのため、他の自動式薬品容器4から分配皿35へ散薬を供給している途中で、所定の自動式薬品容器4を交換したとしても、移動させる自動式薬品容器4から散薬がこぼれ落ちることがない。つまり、自動式薬品容器4の移動に起因して分配皿35に散薬を過剰に排出してしまうことがなく、容器保持台36の数(本実施形態では6つ)以上の薬品を混合する場合においても、精度の高い分包動作が実施可能となっている。すなわち、従来の散薬分包装置では、同一処方の薬剤払い出し動作中において、前記こぼれ落ちによる分包誤差の発生を懸念して薬品容器の交換を原則的に行わないこととしていた。それに対し、本実施形態の散薬分包装置1では、そのような懸念が無くなったため、多数の薬種を混合することが安全に実現できることとなった。
【0431】
本実施形態の散薬分包装置1では、上記した
図27で示される秤量履歴画面(以下、第1秤量履歴画面とも称す)に代わって、
図45で示されるような秤量履歴画面(以下、第2秤量履歴画面とも称す)を表示してもよい。
第2秤量履歴画面は、上記した第1秤量履歴画面と同様に、日付表示部125と、患者名表示部126と、説明表示部127と、エラー表示部128と、薬品情報表示部229と、推移表示部130と、配分動画ボタン131、流速ボタン132、秤量値ボタン133が設けられているが、各部、各ボタンの配置位置がそれぞれ異なっている。
【0432】
そして、第2秤量履歴画面の薬品情報表示部229は、上記した第1秤量履歴画面の薬品情報表示部129とは異なり、画面の左右方向における片側端部近傍から他方側端部近傍に亘って表示されている。このことから、「薬品名」、「目標量」、「配分量」、「配分時間」、「配分開始時の残量」、「配分開始時間」といった重要な項目を一画面に表示させることが可能となる。すなわち、薬品情報表示部229で表示内容をスクロールさせる動作を実施することなく、重要な項目を一目で確認可能となっている。
【0433】
本実施形態の散薬分包装置1では、上記した手動式薬品容器5に代わって、
図46で示されるような薬剤投入口開放型の手動式薬品容器300を使用可能となっている。
【0434】
手動式薬品容器300は、
図46で示されるように、貯留空間形成部材301と底部形成部材302によって構成されている。
【0435】
貯留空間形成部材301は、
図47で示されるように、四方の側面が側面壁304によって完全に覆われ、上下の面が開口する本体部303を有している。すなわち、本体部303は、平面視が長方形であって、上部に開口305を有し、この開口305から薬剤を投入することが可能となっている。
【0436】
また、本体部303の底部分にも、
図48で示されるように、開口306が設けられている。この下部側の開口306は、上部側の開口305よりも開口面積が小さくなっている。これら2つの開口305,306は離間対向しており、それぞれ側面壁304で囲まれた空間と外部を連通する開口となっている。
【0437】
本体部303の側面には、RFIDタグが設けられており、投入する薬品に関する情報や、手動式薬品容器300のID(複数の薬品容器から特定の薬品容器を特定するための識別子)を記憶可能となっている。すなわち、このRFIDタグが容器側情報記憶手段として機能する。
【0438】
図47で示されるように、本体部303の一対の側面には、ガイド片309が設けられている。ガイド片309は、本体部303の長辺側の側面壁304と一体に形成されており、側面壁304から水平(容器保持台36に載置された姿勢を基準とする)に突出している。またガイド片309は、側面壁304の長辺に沿って延びている。そして一方の端部にストッパ307が形成されている。ストッパ307は、ガイド片309の末端部分にあって、断面積が大きく作られた部位である。
【0439】
また、貯留空間形成部材301は、本体部303の上部に装着可能な蓋部308を有しており、蓋部308を装着することで上側に位置する開口305を閉塞可能な構造としている。
【0440】
底部形成部材302は、フェライト等の磁性体成分を含む鋼板を加工して形成される部材であり、
図48、
図49で示されるように、底部310を中心としてその両側が上方に折り曲げられ、傾斜壁311が形成されている。
【0441】
ここで、
図49で示されるように、底部形成部材302の長手方向における一端側には、縦壁状の部分が形成されておらず、側方が開放された状態となっている。そして、この側方が開放された部分が薬剤排出部315を構成している。対して、底部形成部材302の長手方向における他端側には、縦壁316が設けられており、側方が閉塞された状態となっている。
【0442】
また、底部形成部材302の底部310であって薬剤排出部315の近傍には、突起325が複数設けられている。
【0443】
そして、底部形成部材302の全長は、
図46等で示されるように、貯留空間形成部材301の全長よりも長くなっている。
【0444】
底部形成部材302の傾斜壁311の外周部には、ガイド受け部材313が設けられている。
【0445】
ガイド受け部材313は、
図49で示されるように、受け部形成部材317と、弾性部材320によって構成されている。
【0446】
ガイド受け部材313は、略直方体の箱型形状となっている。ガイド受け部材313の天面部分には、覆い部318があり、箱型部分の天面と覆い部318との間に、上記したガイド片309が係合するスリット部319が形成されている。なお、スリット部319は、薬剤排出部315側が開放され、縦壁316側は閉塞された状態となっている。
【0447】
ガイド受け部材313の内部には、天井部から垂下するピン324が2本設けられている。
【0448】
弾性部材320は、底部形成部材302の傾斜壁311に設けられ、外側に棚状に張り出した支持台321に取り付けられている。すなわち、傾斜壁311の外周部に支持台32が設けられ、この支持台に2つの弾性部材320が立設された状態となっている。
弾性部材320は具体的にはバネである。弾性部材320の上部には受け部材322が設けられており、この受け部材322には凹部323が形成されている。
【0449】
受け部形成部材317は、弾性部材320を覆うように取付けられる部材であり、内部のピン324が弾性部材320の凹部323と係合可能となっている。
【0450】
そして、貯留空間形成部材301は、ガイド受け部材313を介して底部形成部材302に一体に取り付け可能となっている。すなわち、
図50で示されるように、ガイド受け部材313のスリット部319に、貯留空間形成部材301のガイド片309を係合させ、両者を一体化することで、手動式薬品容器300が形成される構造となっている。
【0451】
ここで、ガイド受け部材313は、上記したように弾性部材320を有しているので、貯留空間形成部材301と底部形成部材302は、間に弾性部材320が介在された状態で一体化されることとなる。
また、上記したように、スリット部319の薬剤排出部315側が開放され、縦壁316側は閉塞されているから、貯留空間形成部材301を底部形成部材302の長手方向に沿って薬剤排出部315側に移動させることにより、貯留空間形成部材301を底部形成部材302から取り外すことができる。
【0452】
ところで、
図48で示されるように、貯留空間形成部材301の下部側の開口306は、底部形成部材302の底部310とは接しておらず、両者の間には隙間がある。
【0453】
ここで、この手動式薬品容器300は、上記した手動式薬品容器5と同様に使用することができる。
すなわち、貯留空間形成部材301内に薬剤を投入し、手動で手動式薬品容器300を筐体10の内部に搬入し、所望の容器保持台36に設置する。そして、容器保持台36の振動台部を振動させて、薬品を薬剤排出部315から排出する。
【0454】
このとき、手動式薬品容器300は、貯留空間形成部材301と底部形成部材302が弾性部材320を介して一体化しているので、底部形成部材302は振動して薬剤を移動させるが、貯留空間形成部材301の振動量は底部形成部材302に比べて小さくなる。このように、貯留空間形成部材301と底部形成部材302の振動量を異なるものとすることで、貯留空間形成部材301に投入した薬剤(薬品)を開口306から底部形成部材302に円滑に移動させることが可能となり、薬剤の排出を円滑に実施可能となる。
【0455】
ここで、この手動式薬品容器300を使用する際、薬品秤量装置6で薬品を秤量し、秤量した薬品を手動式薬品容器300に充填し、手動式薬品容器300を筐体10の内部に搬入する場合がある。このような場合、手動式薬品容器300を机上に置き、貯留空間形成部材301に計量した薬剤を投入することとなる。
しかしながら、この手動式薬品容器300は、底側部分が底部形成部材302によって形成されているが、底部形成部材302の断面形状は「コ」の字状であって、机上表面と接する部分の面積は小さい。このことから、手動式薬品容器300を机上に直接置いた際に姿勢が安定せず、手動式薬品容器300がひっくり返ってしまう懸念がある。
【0456】
そこで、手動式薬品容器300を実際に使用する際には、
図51で示されるように、仮置台340(仮置台装置)と共に使用することが好ましい。
【0457】
仮置台340は、手動式薬品容器300の底部形成部材302の底面が合致する設置溝341を有する台状の部材となっている。
設置溝341は、一方側が開放部345であり、他方側には縦壁部342が設けられている。この設置溝341は、その底部分が傾斜しており、開放部345側が縦壁部342側に比べて高くなっている。この底部分の傾斜角度は、3度から10度程度であり、本実施形態では5度となっている。
【0458】
また、この仮置台340には、RFIDタグ等から情報を読み取る情報読取装置(情報読取手段)が設けられている。そのため、手動式薬品容器300を仮置台340に載置したとき、手動式薬品容器300のRFIDタグ等から情報を読み取る情報読取動作を実施可能となっている。
【0459】
このような仮置台340の上に手動式薬品容器300を置くことで、手動式薬品容器300の姿勢を安定させた状態で薬品を投入が可能となる。
より具体的に説明すると、手動式薬品容器300の底部形成部材302の傾斜壁311を仮置台340の設置溝341の傾斜面に合致させ、底部形成部材302の縦壁316を仮置台340の縦壁部342に当接させた姿勢で手動式薬品容器300を仮置台340の上に置いた状態とする。このことにより、底部形成部材302が傾斜姿勢となり、薬剤排出部315が上方向に向いた状態で手動式薬品容器300の姿勢が安定する。このように薬剤排出部315を上方に位置させることで、薬剤排出部315からの薬品の零れ落ちを防止できる。
【0460】
ところで、上記したように、散薬分包装置1は制御装置160と構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態とすることで、散薬調剤業務支援システム161を構築することが可能となっている(
図31参照)。
そして、この散薬調剤業務支援システム161において、手動式薬品容器300及び仮置台340を使用可能となっている。
【0461】
仮置台340を散薬調剤業務支援システム161で使用する場合、仮置台340が薬品秤量装置6にデータ(信号)を送信可能な状態となるように、仮置台340と薬品秤量装置6を構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態に接続する。また、上記と同様に、制御装置160と他の調剤機器(薬品秤量装置6及び散薬分包装置1)とが構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態に接続された状態とする。そして、制御装置160は、医師が使用する外部PC162とも互いにデータを送受信可能な状態で接続された状態とする。
【0462】
続いて、このような散薬調剤業務支援システム161で実施可能な手動式薬品容器300を使用する分包動作について詳細に説明する
【0463】
まず、医師が外部PC162で処方に関するデータを入力すると、外部PC162から制御装置160に信号が送信され、制御装置160で散薬分包装置1に送信するための処方に関するデータ(以下、単に処方データとも称する)が作成される。そして、この処方データに含まれる処方が散薬分包装置1だけで自動的に処理できる処方であるか否かを判別する判別動作が実施される。なお、この判別動作は、制御装置160で実施してもよく、制御装置160から散薬分包装置1へ処方データを送信した後、散薬分包装置1で実施してもよい。
【0464】
そして、散薬分包装置1だけで自動的に処理できる処方でないと判別された場合、すなわち、手動式薬品容器300を使用する必要があると判別された場合、制御装置160は処方データに基づいて薬品秤量装置6で使用するデータを作成し、薬品秤量装置6へと送信する。
【0465】
続いて、仮置台340に手動式薬品容器300を載置した状態とした上で、薬品秤量装置6で薬品の秤量を実施する。このとき、仮置台340の情報読取装置が手動式薬品容器300のRFIDタグ等から情報を読み取る情報読取動作が実施され、仮置台340から薬品秤量装置6に読み取った情報に関するデータが送信される。すなわち、手動式薬品容器300のID等の情報に関するデータが薬品秤量装置6に送信され、薬品秤量装置6に一時的(又は半永久的)に記憶された状態となる(情報記憶動作)。
【0466】
そして、秤量が完了すると、実施した秤量結果に関するデータと、仮置台340から送信されて薬品秤量装置6に一時的(又は半永久的)に記憶されたデータとが、薬品秤量装置6から制御装置160を介して散薬分包装置1へと送信される(情報送信動作)。
【0467】
散薬分包装置1が薬品秤量装置6から送信されたデータを受信すると、この受信したデータと、予め受信していた処方データとを関連付けるデータ作成動作を実施する。
このデータ作成動作は、薬品秤量装置6から送信されたデータに含まれる手動式薬品容器300のIDや秤量に関する情報と、処方データに含まれる情報の共通部分などを抽出し、これらを基に薬品秤量装置6から送信された情報と処方データとを関連付けたデータ(以下、散薬関連情報とも称す)を作成する動作である。
【0468】
この状態で、薬品秤量装置6で秤量した薬品を手動式薬品容器300に投入し、仮置台340から筐体10の内部に移動させ、容器保持台36に載置する。
【0469】
ここで、容器保持台36の近傍に位置する情報読取手段が手動式薬品容器300のRFIDタグ等から情報を読み取る情報読取動作が実施する。そして、この情報読取動作で読み取った情報と散薬関連情報に基づいて、手動式薬品容器300に収容された薬品を分包する分包動作に対応する処方を特定する。
【0470】
そして、特定された処方が、手動式薬品容器300に収容された薬品のみを分包する処方であれば、そのまま分包動作を開始する。
対して、手動式薬品容器300に収容された薬品の他に、自動式薬品容器4に収容された薬品を使用する処方であれば、アーム部30によって所望の自動式薬品容器4を容器保持台36まで移動させた後、分包動作を開始する。
【0471】
さらに、散薬調剤業務支援システム161は、上記した散薬分包装置1に加えて、公知の薬剤分包機を備える構成であってもよい。すなわち、散薬調剤業務支援システム161は、制御装置160と、薬品秤量装置6と、散薬分包装置1と、公知の薬剤分包機を構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態に接続し、且つ、仮置台340が薬品秤量装置6にデータ(信号)を送信可能な状態となるように形成されるシステムであってもよい。
この場合、薬品秤量装置6は、散薬分包装置1で使用する手動式薬品容器5(又は手動式薬品容器300)に収容する薬品を秤量する秤量動作と、公知の薬剤分包機のホッパに投入するための薬品を秤量する秤量動作を実施可能な構成としてもよい。そして、秤量動作が開始されたとき、開始された秤量動作が手動式薬品容器5(又は手動式薬品容器300)に収容する薬品を対象としているのか、公知の薬剤分包機のホッパ投入するための薬品を対象としているのかを判別する判別動作を実施してもよい。
つまり、薬品秤量装置6は、散薬分包装置1で使用する薬品の秤量と、薬剤分包機で使用する薬品の秤量のいずれを実施しているのか判別する機能を有する構成としてもよい。
【0472】
具体的には、薬品秤量装置6で薬品を秤量する動作を実施するとき、上記したように、薬品秤量装置6の情報読込手段、又は仮置台340の情報読取装置により、薬品容器のRFIDタグ等から情報を読み取る情報読取動作を実施する。そして、この情報読取動作は、薬品容器のID(複数の薬品容器から特定の薬品容器を特定するための識別子)を含む情報を読み込む動作とする。
【0473】
そして、この情報読取動作により、薬品容器のIDを含む情報が取得できた場合、薬品秤量装置6は、実施中の薬品の秤量が手動式薬品容器5(又は手動式薬品容器300)に収容する薬品を対象としているものと判別する。
対して、情報読取動作で薬品容器のIDを含む情報が取得できなかった場合、薬品秤量装置6は、実施中の薬品の秤量が公知の薬剤分包機のホッパに投入するための薬品を対象としているものと判別する。
【0474】
つまり、散薬分包装置1で使用する薬品容器のRFIDタグ(情報記憶手段)にのみ「薬品容器のID」を記憶させ、公知の薬剤分包機で使用する薬品をのせるためのトレー等にはRFIDタグ(情報記憶手段)に「薬品容器のID」に記憶させない状態としておく。そして、薬品を秤量する動作と共に実施する情報読取動作が、そのまま秤量する薬品の使用機器を判別する判別動作を兼ねることとなる。
【0475】
実施中の薬品の秤量が手動式薬品容器5(又は手動式薬品容器300)に収容する薬品を対象としている場合、上記した場合と同様に、情報送信動作、散薬関連情報を作成する動作を含む一連の動作を実行して分包動作に対応する処方を特定し、分包動作を実施する。
なお、実施中の薬品の秤量が公知の薬剤分包機のホッパに投入するための薬品を対象としている場合、薬品をのせるトレー等のRFIDタグに秤量結果を書き込む動作を実施する。そして、使用者がこのRFIDタグを公知の薬剤分包機のRFIDリーダーにかざすことで、秤量結果等の情報が公知の薬剤分包機に読み込まれた状態となり、分包動作が実施可能となる。
【0476】
また、散薬調剤業務支援システム161を構築せず、散薬分包装置1と薬品秤量装置6を使用して手動式薬品容器5(又は手動式薬品容器300)を使用した分包動作を実施する場合には、薬品の秤量結果を手動式薬品容器5(又は手動式薬品容器300)のRFIDタグに書き込む動作と、使用者がこのRFIDタグを散薬分包装置1のRFIDリーダーにかざして秤量結果等の情報を散薬分包装置1に読み込ませる動作も可能となっている。
【0477】
ところで、上記したように、各分包動作では、薬品容器(自動式薬品容器4、手動式薬品容器5、手動式薬品容器300等)を容器保持台36に載置し、容器保持台36の振動台部に振動動作を実施させて薬品容器を振動させることで、薬品容器に収容された散薬を分配皿35に供給している。そして、その後に分配皿35の上に広がった散薬の一部を掻寄板172の周辺に寄せ集める掻寄動作や、寄せ集めた散薬を薬品導入口39に投入する掻出動作を適宜実施している。
【0478】
ここで、薬品容器から分配皿35に散薬を供給する場合、分配皿35への散薬の供給予定量(最終的に供給する量)がごく少量である場合には、分配皿35に適量の散薬を供給できない可能性がある。すなわち、通常の量の散薬を分配皿35に供給する場合、供給時に生じてしまうごく微量の供給誤差は実質的に無視することができる。
これに対し、ごく少量の散薬を分配皿35に供給する場合には、全体量における誤差の量の割合が大きくなってしまい、この供給誤差が無視できないものとなってしまう可能性がある。
また、掻寄動作の実施時においても同様であり、通常の量であればごく僅かな掻き残しは実質的に無視することができるが、ごく少量の散薬を掻き寄せる場合には、この掻き残し量が占める割合が大きくなってしまう。
【0479】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、上記した各種分包動作を実施する際、分包動作の対象となる散薬(薬品)が規定の条件を満たした場合に、少量分包動作を実施することが可能となっている。この少量分包動作につき、以下で詳細に説明する。
【0480】
上記した各種分包動作において、分包動作で使用する散薬を指定する操作(例えば、カセット選択動作)がなされると、少量分包動作を実施するべきか否かを判別する判別動作(以下、少量判別動作とも称す)が実施される。
この少量判別動作は、分包動作で使用する散薬のそれぞれについて下記の(1)乃至(2)の基準に基づいて少量分包動作を実施するべきか否かを判別する動作であり、1以上の散薬で下記の(1)乃至(2)の基準を全て満たすとき、少量分包動作を実施するものとして判別する。
(1)対象となる分包動作において分配皿35への供給予定量(全供給量)が規定値Q1(固定値であり本実施形態では2g)より少ない。
(2)かさ比重が所定値以上である。
なお、ここでいう「かさ比重」とは、紛体や粒体を構成する各粒子周辺に存在する空間の体積を含めた体積当りの質量であり、より詳細には、粒子自身の体積、粒子の閉細孔の体積、粒子表面の凹凸部の空間の体積、粒子と粒子の間隙の体積、粒子と容器(紛体や粒体を配した皿等の他の物体)の間隙の体積を含めた体積当たりの質量である。そして、この「かさ比重」は、散薬(薬品)毎に、規定の条件(温度、湿度、薬品に加わる圧力等の条件)下で予め算出し、データベース等(例えば薬品マスタ等)に記憶しておく。
【0481】
すなわち、分配皿35に供給される散薬のかさの値が所定以上である場合、上記した不具合が発生せず、分配皿35への排出動作や掻寄動作、掻出動作を通常通り正確に実施可能である可能性が高い。しかしながら、分包動作の実施中に散薬のかさの値を取得することは困難であるため、本実施形態では、重量(又は質量)と予め算出したかさ比重に基づいて少量分包動作を実施するべきか否かを判別している。
より詳細に説明すると、重量(又は質量)とかさの値には相関関係があるため、より簡便には、(1)のみの基準に基づいて少量判別動作を実施してもよい。言い換えると、重量が少ない(又は質量が小さい)場合には、かさの値が小さいことが予測されるため、(1)のみの基準に基づいて少量判別動作を実施してもよい。しかしながら、より正確性のある判別動作を実施するという観点から、上記したように、(1)乃至(2)の基準に基づいて少量判別動作を実施することが望ましい。すなわち、重量(又は質量)とかさ比重に基づいてかさの値を判別することが望ましい。
【0482】
上記した少量判別動作において少量分包動作を実施するものと判別された場合、処方の日数又は包数(一日又は1回あたりの服用数)の少なくともいずれかを変更して分包を実施する少量分包動作を実施する。
例えば、1包分が0.3gであり、一日2回1包ずつ服用する薬品(散薬)が3日分処方されていたとする。この場合、通常の分包動作では6包分(1日2包、3日分)が包装されることなる。これに対し、処方の日付を変更する少量分包動作では、「3日分」の処方を「4日」分として8包分(1日2包、4日分)を包装する。この場合、分配皿35への供給予定量(全供給量)は、1.8g(0.3g×6)から2.4g(0.3g×8)となり、規定値Q1(2.0g)以上となる。
つまり、日数を変更する場合、処方された日数を増やす変更を実施することで、分配皿35への供給予定量を規定値Q1以上とする。なお、増加させる日数の設定(日数の変更操作)は、自動で算出して反映してもよく、操作表示部3に表示された所定の画面に対して手動で入力してもよい。
【0483】
包数(一日又は1回あたりの服用数)を変更する場合も同様に、処方された服用数を増やす変更を実施することで、分配皿35への供給予定量を規定値Q1以上とする。
例えば、1包分が0.5gであり、一日3回1包ずつ服用する薬品(散薬)が1日分処方されていたとする。包数を変更する少量分包動作では、これを一日4回1包ずつ服用する薬品(散薬)が1日分処方されたものとして分包動作を実施する。この場合、分配皿35への供給予定量(全供給量)は、1.5g(0.5g×3×1)から2.0g(0.5g×4×1)となり、規定値Q1(2.0g)以上となる。また別の方法として、これを一日3回2包ずつ服用する薬品(散薬)が1日分処方されたものとして分包動作を実施してもよい。この場合、分配皿35への供給予定量(全供給量)は、1.5g(0.5g×3×1)から3.0g(0.5g×3×2)となり、規定値Q1(2.0g)以上となる。
つまり、処方された一日又は1回あたりの服用数を増やす変更を実施することにより、分配皿35への供給予定量を規定値Q1以上とする。なお、増加させる服用数の設定(服用数の変更操作)は、自動で算出して反映してもよく、操作表示部3に表示された所定の画面に対して手動で入力してもよい。
【0484】
このように、いずれの場合においても通常よりも多数の包装が実施されることとなる。そして、使用者が手作業で差分を廃棄することにより、処方に基づいた本来の量の薬品が患者に提供されることとなる。例えば、本来であれば6包包装するところを少量分包動作により8包包装した場合、差分となる2包分が手作業によって廃棄され、6包分が患者に提供される。
【0485】
このとき、少量分包動作の実施に伴い、必要に応じて使用者に少量分包動作を実施している旨(実施した旨)を報知する少量分包報知動作を実施する。
この少量報知動作では、出力される薬品袋のうちの余剰部分やジャーナルプリンタ7から出力される紙媒体に対して廃棄を促すメッセージを印字する動作や、操作表示部3に所定のメッセージを表示する動作が実施される。また、メッセージを表示する場合、それに伴って音声や警報音といった音を発する動作が必要に応じて実施される。
なお、「薬品袋のうちの余剰部分」とは、例えば、本来であれば6包包装するところを少量分包動作により8包包装した場合、差分となる2包分に対応する部分である。
【0486】
このように、少量報知動作によって少量分包動作を実施している旨(実施した旨)を報知することで、廃棄すべき差分の薬品を誤って患者に提供してしまうことを防止できる。
【0487】
上記した少数判別動作では、基準の一つを「かさ比重が所定値以下である」としたが、本実施形態の少数判別動作はこれに限るものではない。例えば、上記(2)の基準に代わって下記(2a)を採用してもよい。
(2a)かさ(かさ比重の逆数であり、単位質量当りの体積)の値が所定値以上である。
【0488】
また、上記した少数判別動作では、上記の(1)乃至(2)の基準を全て満たすとき、少量分包動作を実施するものとしたが、少数判別動作はこれに限るものではない。例えば、散薬の供給予定量がその散薬のかさ比重に応じて決定される基準値より小さいか否かを判別基準としてもよい。
具体的には、予め散薬の種類毎にかさ比重(又はかさや体積)に基づいて規定値Q2を算出しておき、1以上の散薬で下記の(3)の基準を満たすとき、少量分包動作を実施するものとして判別する動作であってもよい。
(3)対象となる分包動作において分配皿35への供給予定量(全供給量)が規定値Q2(散薬の種類ごとに異なる変動値)より少ない。
この場合、規定値Q2はかさ比重に基づいて算出される値(かさ比重に応じて変動する値)であるので、A薬品では規定値Q2が2.0gであり、B薬品では規定値Q2が3.0gであるといった具合に、薬品の種類ごとに異なる値となることが考えられる。また、この少数判別動作の後に実施される少量分包動作は、処方の日数又は包数(一日又は1回あたりの服用数)の少なくともいずれかを変更し、分配皿35への供給予定量を規定値Q2以上とする動作となる。
【0489】
つまり、本実施形態における少数判別動作とは、対象となる散薬の重量(又は質量)と嵩(又は体積)に関する値に基づいて分包動作の実施が可能か否かを判別する動作であるともいえる。
【0490】
なお、手動式薬品容器5(又は手動式薬品容器300)を使用する分包動作で少量分包動作を実施する場合、手動式薬品容器5に手作業で本来より多量の散薬を導入し、手動式薬品容器5を容器保持台36の上に載置して分配皿35に散薬を供給することとなる。
したがって、手動式薬品容器5に導入する散薬が錠剤を粉末状にした散薬である場合もまた、使用者は本来よりも多数の錠剤を粉末状にし、手動式薬品容器5に導入することとなる。このときの供給予定量は、錠剤を粉砕した場合に薬品秤量装置6等に登録する1錠の粉砕時重量に基づいて算出してもよい。
【0491】
具体的に説明すると、1包分が1錠に相当する量であり、一日3回1包ずつ服用する薬品(散薬)が3日分処方されていたとする。ここで、1錠の粉砕時重量が0.2gとすると、本来の包数は9包であり、本来の供給予定量は1.8g(0.2×9)となり、2gに満たない。
この場合は、包数を変更して10包とし、10錠の錠剤を粉砕して手動式薬品容器5(又は手動式薬品容器300)に投入する。そして本来であれば9包包装するところを少量分包動作により10包包装し、余剰の1包は廃棄する。
【0492】
上記した実施形態では、散薬分包装置1の操作表示部3に表示された所定の画面に対して手動で入力することで、日付や包数(一日又は1回あたりの服用数)を変更し、少量分包動作を実施する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、上記した散薬調剤業務支援システム161を構築した場合、散薬分包装置1の操作表示部3を操作して日付や包数を変更してもよく、制御装置160や薬品秤量装置といった他の機器を操作して日付や包数を変更してもよい。この場合、変更のための画面を制御装置160や薬品秤量装置の表示部(ディスプレイ等)に表示させてもよい。
【符号の説明】
【0493】
1;散薬分包装置(薬品払出装置)、3;操作表示部(表示装置,操作装置)、4;自動式薬品容器(散薬収容容器)、5,300;手動式薬品容器(散薬収容容器)、6;薬品秤量装置、12;薬品容器配置領域、13;薬品分割領域、14;薬品包装領域、23;容器保管部(容器保管装置)、28;容器移動装置、35;分配皿、37;掻出装置、36;容器保持台(容器載置装置)、81;速度操作部(操作用画像)、91;速度報知部(速度表示用画像)、139;シークバー表示領域(時間表示部)、160;制御装置、171;アーム部材、172;掻寄板、174;掻出板、187;薬品排出部(排出口部)、188;薬品排出口(排出口)、181;蓋部材、205;容器保持部、207;開閉部材(蓋係合部)、340;仮置台(仮置台装置)