(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信方法及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/52 20230101AFI20231117BHJP
H04W 72/02 20090101ALI20231117BHJP
【FI】
H04W72/52
H04W72/02
(21)【出願番号】P 2020022679
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 俊浩
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
(72)【発明者】
【氏名】村田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】森下 陽平
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/125070(WO,A1)
【文献】920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備 920MHz-BAND TELEMETER, TELECONTROL AND DATA TRANSMISSION RADIO EQUIPMENT,標準規格(通信分野、放送分野)及び技術資料(通信分野、放送分野、共通分野) ,ARIB STD-T108 第1.1版,一般社団法人電波産業会,2017年10月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線チャネルそれぞれについての単位時間あたりの送信時間総和
が規定値よりも小さい閾値未満に減少
するまでの時間
である解消時間を示す情報に基づいて、前記複数の無線チャネルのうち少なくとも一つの無線チャネルを送信に使用する無線チャネルに選択する制御回路と、
選択された前記無線チャネルによって送信を行う無線回路と、
を具備
し、
制御回路は、前記複数の無線チャネルのうち、前記解消時間がより短い無線チャネルを優先して選択する
、
無線通信装置。
【請求項2】
前記制御回路は、他の無線通信装置から無線チャネルの変更要求を受信した場合に、前記送信に使用する無線チャネルの選択を行う、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記変更要求は、前記他の無線通信装置において前記複数の無線チャネルのうち少なくとも一つにおいて、単位時間あたりの送信時間総和が規定値に基づく閾値を超えたことを示す、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線回路は、前記
解消時間
を示す情報を、前記他の無線通信装置から受信する、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記複数の無線チャネルそれぞれの使用状況に基づいて、前記送信に使用する無線チャネルの選択を行う、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
単位時間あたりの送信時間総和が規定値
よりも小さい閾値を超えた無線チャネルについての前記送信時間総和
が前記閾値未満に減少
するまでの時間
である解消時間を示す情報を他の無線通信装置へ送信する無線回路と、
前記他の無線通信装置において
、複数の無線チャネルの中から、前記
解消時間
を示す情報に基づいて選択された無線チャネルによって送信を行う無線回路と、
を具備
し、
前記無線チャネルの選択において、前記複数の無線チャネルのうち、前記解消時間がより短い無線チャネルが優先して選択される、
無線通信装置。
【請求項7】
無線通信装置は、
複数の無線チャネルそれぞれについての単位時間あたりの送信時間総和
が規定値よりも小さい閾値未満に減少
するまでの時間
である解消時間を示す情報に基づいて、前記複数の無線チャネルのうち少なくとも一つの無線チャネルを送信に使用する無線チャネルに選択し、
選択された前記無線チャネルによって送信を行
い、
前記無線チャネルの選択において、前記複数の無線チャネルのうち、前記解消時間がより短い無線チャネルが優先して選択される、
無線通信方法。
【請求項8】
無線通信装置は、
単位時間あたりの送信時間総和が規定値
よりも小さい閾値を超えた無線チャネルについての前記送信時間総和
が前記閾値未満に減少
するまでの時間
である解消時間を示す情報を他の無線通信装置へ送信し、
前記他の無線通信装置において
、複数の無線チャネルの中から、前記
解消時間
を示す情報に基づいて選択された無線チャネルによって送信を行
い、
前記無線チャネルの選択において、前記複数の無線チャネルのうち、前記解消時間がより短い無線チャネルが優先して選択される、
無線通信方法。
【請求項9】
第1の無線通信装置と、
第2の無線通信装置と、
を具備し、
前記第1の無線通信装置は、単位時間あたりの送信時間総和が規定値
よりも小さい閾値を超えた無線チャネルについての前記送信時間総和
が前記閾値未満に減少
するまでの時間
である解消時間を示す情報を前記第2の無線通信装置へ送信し、
前記第2の無線通信装置は、前記
解消時間に関する情報に基づいて、複数の無線チャネルのうち少なくとも一つの無線チャネルを送信に使用する無線チャネルに選択し、
前記第1の無線通信装置及び前記第2の無線通信装置は、選択された前記無線チャネルによって送信を行
い、
前記第2の無線通信装置は、前記複数の無線チャネルのうち、前記解消時間がより短い無線チャネルを優先して選択する、
無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置、無線通信方法及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特定小電力無線装置(又は、特定小電力無線局とも呼ぶ)といった免許不要で使用可能な周波数帯域において通信を行う無線通信システムがある(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備 標準規格 ARIB STD-T108 1.3版 一般社団法人電波産業会 2019年4月12日改訂 P.2-24~P.2-29
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、免許不要で使用可能な周波数帯域を用いる無線通信システムにおいて、送信に使用できる時間の総和に制限のある無線チャネルの選択方法については、改善の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、送信に使用できる時間の総和に制限のある無線チャネルの選択を適切に行うことが可能な無線通信装置、無線通信方法及び無線通信システムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る無線通信装置は、複数の無線チャネルそれぞれについての単位時間あたりの送信時間総和の減少時間に関する情報に基づいて、前記複数の無線チャネルのうち少なくとも一つの無線チャネルを送信に使用する無線チャネルに選択する制御回路と、選択された前記無線チャネルによって送信を行う無線回路と、を具備する。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施例によれば、送信に使用できる時間の総和に制限のある無線チャネルの選択を適切に行うことができる。
【0009】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】子無線装置におけるデータ送信の動作例を示すフローチャート
【
図4】子無線装置におけるチャネル変更要求処理の動作例を示すフローチャート
【
図5】親無線装置におけるチャネル変更判定処理の動作例を示すフローチャート
【
図6】子無線装置におけるチャネル変更処理の動作例を示すフローチャート
【
図7】無線通信システムにおける無線チャネル変更の動作例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本開示は以下の実施の形態により限定されるものではない。
【0012】
例えば、免許不要な周波数帯域を複数のシステムによって共用するために、無線装置に対して単位時間あたりの送信時間に制限が設けられることがある。例えば、日本国内の920MHz帯域に関する規格では、或る時間あたりの送信時間の総和(換言すると、Duty比)を10%以下に制限することが規定される(例えば、非特許文献1を参照)。例えば、非特許文献1では、同じ無線チャネルにおいて送信可能な送信時間総和は、1時間あたり360秒以下に規定される。
【0013】
無線装置は、例えば、或る無線チャネルの単位時間あたりの送信時間総和が規定値(例えば、1時間あたり360秒)を超えた場合、その無線チャネルを用いた信号の送信は行わない。例えば、無線装置は、単位時間あたりの送信時間総和が規定値を超えた無線チャネルについて、単位時間あたりの送信時間総和が規定値未満に減少するまで送信を休止する。
【0014】
また、非特許文献1では、無線装置が複数の無線チャネルを切り替えて使用する場合には、1つの無線装置における1時間あたりの送信時間総和(例えば、複数の無線チャネルにおける送信時間総和の合計)を720秒以下とし、かつ、個々の無線チャネルの1時間あたりの送信時間総和を360秒以下とすることが規定される。送信に使用する無線チャネルを切り替えることで、無線チャネル単位の送信時間総和の制限が設けられていても、1つの無線装置による送信機会を増加できる。
【0015】
ここで、1つの無線装置において複数の無線チャネルのうち送信に使用する無線チャネルを切り替える場合に、例えば、同一の無線チャネルが繰り返し選択されることがある。この場合、繰り返し選択された無線チャネルの単位時間あたりの送信時間総和が規定値を超えやすくなるため、当該無線チャネルが送信休止となる確率が高くなる。
【0016】
本開示の一実施例では、例えば、単位時間あたりの送信時間総和が規定された個々の無線チャネルの適切な選択によって、無線チャネルが送信休止となる確率を低減する方法について説明する。
【0017】
[無線通信システムの構成例]
図1は、本開示の一実施例に係る無線ネットワーク(又は、無線通信システムとも呼ぶ)1の構成例を示す図である。
図1に示す無線ネットワークは、例えば、ツリー型のネットワークである。
【0018】
図1に示す無線ネットワーク1は、例えば、1台の親無線装置10と、5台の子無線装置20-1~20-5と、を備える。以下では、子無線装置20-1~20-5それぞれを区別しない場合、例えば、「子無線装置20」と称する。親無線装置10及び子無線装置20それぞれは、例えば、特定小電力無線装置といった無線装置でよい。「親無線装置」は「親局」又は「親ノード」と称されてもよく、「子無線装置」は「子局」又は「子ノード」と称されてもよい。
【0019】
親無線装置10は、例えば、子無線装置20に対して、ビーコンのような発信信号、又は制御信号といった信号を無線によって送信してよい。また、親無線装置10は、例えば、子無線装置20から無線によって送信された、データ又は制御信号といった信号を受信してよい。子無線装置20から受信される信号には、例えば、後述する無線チャネルの変更に関する情報が含まれてよい。また、例えば、親無線装置10は、子無線装置20に対して、無線チャネルの設定を制御してよい。
【0020】
一方、子無線装置20は、例えば、親無線装置10から、ビーコン又は制御信号といった信号を無線によって受信してよい。例えば、ビーコンによって、複数の子無線装置20は、時刻同期を行ってよい。また、子無線装置20は、例えば、データ又は制御信号といった信号を親無線装置10へ送信してよい。
【0021】
また、
図1に示す例では、子無線装置20-1は、子無線装置20-2及び20-3と、親無線装置10との間の通信を中継する。同様に、子無線装置20-4は、例えば、子無線装置20-5と親無線装置10との間の通信を中継する。換言すると、子無線装置20-1及び20-4は、下位の子無線装置20から受信した信号を親無線装置10へ転送し、親無線装置10から受信した信号を下位の子無線装置20へ転送する。
【0022】
親無線装置10及び子無線装置20それぞれは、例えば、様々な機器又はセンサからデータ収集を行ってよい。例えば、
図1において、親無線装置10は、子無線装置20-2、20-3及び20-5に接続されたセンサ(図示せず)において測定されたデータ(例えば、センサデータ)を、各子無線装置20を介して収集してよい。この場合、
図1に示すように、子無線装置20-2、20-3及び20-5それぞれから送信されるデータは、矢印によって示した経路で親無線装置10へ送信される。
【0023】
例えば、
図1に示すようなツリー型のネットワークにおいてデータ収集が行われる場合、親無線装置10に近い上位の子無線装置20ほど、データ受信の対象である下位の子無線装置20の数が多くなりやすいので、受信データ量が増加しやすい。
【0024】
なお、
図1に示す無線ネットワーク1の構成は一例であり、親無線装置10及び子無線装置20それぞれの数、接続関係、又は、トポロジ(
図1ではツリー型)は、
図1に示す例に限定されない。
【0025】
図2は、本開示の一実施例に係る無線装置100の構成例を示すブロック図である。
図1に示す親無線装置10及び子無線装置20-1~20-5それぞれは、例えば、
図2に示す無線装置100の構成を有してよい。
【0026】
図2に示す無線装置100は、例えば、無線部101と、制御部102と、送信時間管理部104と、チャネル選択部107と、を備えてよい。
【0027】
無線部101は、例えば、無線チャネルを選択して動作する周波数切替回路、及び、無線送受信を行う無線送受信回路を備えてよい。例えば、無線部101は、制御部102の制御に従って、複数の無線チャネルのうち何れか一つを通信(例えば、送信及び受信の少なくとも1つ)に使用する無線チャネルに設定(換言すると、切替)してよい。また、例えば、無線部101は、他の無線装置と無線による送信及び受信の少なくとも一方を行う。
【0028】
制御部102は、例えば、無線部101(換言すると、データ又は制御信号といった信号の送信及び受信の少なくとも1つ)を制御する。また、例えば、制御部102は、無線部101が動作する(別言すると、無線部101が使用する)無線チャネル(以下、便宜的に「動作チャネル」又は「使用チャネル」と称することがある)を無線部101へ指示する。制御部102(例えば、親無線装置10)は、例えば、後述するチャネル選択部107によって選択された無線チャネルを、無線部101の動作チャネルに設定してよい。または、制御部102(例えば、子無線装置20)は、例えば、他の無線装置(例えば、親無線装置10又は上位の子無線装置20)から受信した(あるいは通知された)情報に基づいて、無線部101の動作チャネルを設定してよい。
【0029】
また、制御部102は、例えば、「チャネル変更要求フラグ」及び「解消時間」といった情報を記憶する記憶部103を備えてよい。チャネル変更要求フラグに関する情報、及び、解消時間に関する情報は、例えば、子無線装置20から親無線装置10へ送信(換言すると、報告又は通知)されてよい。
【0030】
「チャネル変更要求フラグ」は、例えば、無線装置100(例えば、子無線装置20)における無線チャネルの変更要求の有無を示す情報である。例えば、チャネル変更要求フラグは、無線装置100において複数の無線チャネルのうち少なくとも一つにおいて、単位時間あたりの送信時間総和が規定値を超えたことを示してよい。以下では、一例として、無線装置100において単位時間あたりの送信時間総和が閾値(一例は後述する)以下の場合、チャネル変更要求フラグは「0」に設定される。また、例えば、無線装置100において或る無線チャネルの単位時間あたりの送信時間総和が閾値を上回る場合、チャネル変更要求フラグは「1」に設定される。また、例えば、1つの無線装置における単位時間あたりの送信時間総和が閾値を上回る場合のチャネル変更要求フラグは「2」に設定される。
【0031】
「解消時間」は、例えば、複数の無線チャネルそれぞれについての単位時間あたりの送信時間総和の減少時間に関する情報である。例えば、解消時間は、無線チャネルにおける単位時間あたりの送信時間総和が、規定値に対する閾値未満に減少するまでの期間又は時刻に関する情報である。例えば、解消時間は、無線チャネルにおける単位時間あたりの送信時間総和が、閾値未満に減少するまでにかかる時間を示す情報でもよいし、閾値未満に減少する時刻を示す情報でもよい。なお、解消時間の一例については後述する。
【0032】
送信時間管理部104は、無線装置100における無線チャネル毎又は1つの無線装置毎の送信時間を管理する。換言すると、送信時間管理部104は、規定された送信時間総和を管理する。送信時間管理部104は、例えば、送信時間記憶部105と、解消時間算出部106と、を備えてよい。
【0033】
送信時間記憶部105は、無線装置100において信号を送信した時間(送信時間)を記憶する。例えば、送信時間記憶部105は、単位時間(例えば、1時間)あたりの送信時間総和を、無線チャネル毎に記憶してよい。
【0034】
例えば、送信時間記憶部105は、無線チャネル毎又は1つの無線装置毎の送信時間の累計を記憶してよい。そして、送信時間記憶部105は、単位時間あたりの送信時間総和を参照する際に、或る時刻(例えば、現時刻)の累計値と、或る時刻から単位時間(例えば、1時間)前の時刻における累計値との差分を、単位時間あたりの送信時間総和に設定してよい。
【0035】
また、送信時間記憶部105は、無線装置100が使用可能な複数の無線チャネルのそれぞれについての送信時間を加算(又は合計)して、無線装置100(換言すると、1つの無線装置)における単位時間あたりの送信時間総和を記憶してよい。
【0036】
解消時間算出部106は、例えば、送信時間記憶部105において記憶された単位時間あたりの送信時間総和を基に既述の解消時間を無線チャネル毎に算出(換言すると、予測又は推定)する。また、解消時間算出部106は、1つの無線装置100における単位時間あたりの送信時間総和に対する解消時間を算出してよい。
【0037】
例えば、或る無線チャネルの単位時間あたりの送信時間総和は、当該無線チャネルが使用されていない時間が続くと時間経過とともに減少する。また、単位時間あたりの送信時間総和の減少度合い(あるいは減少率)は、例えば、当該無線チャネルにおける過去の送信時間の推移に応じて異なり得る。例えば、或る無線チャネルにおいて、単位時間内のより短い期間に集中的に送信が行われるほど、単位時間あたりの送信時間総和が減少し始めるタイミングが遅くなり得るので、当該無線チャネルの単位時間あたりの送信時間総和は減少しにくく、解消時間は長くなり得る。換言すると、例えば、或る無線チャネルにおいて、単位時間内に分散的に送信が行われるほど、単位時間あたりの送信時間総和が減少し始めるタイミングが早くなり得るので、当該無線チャネルの単位時間あたりの送信時間総和は減少しやすく、解消時間は短くなり得る。
【0038】
解消時間の算出(又は決定)に用いる閾値(規定値に対する閾値)は、例えば、規定値の30%の値であってよい。一例として、上述したように、920MHz帯の特定小電力無線装置において、単位時間あたりの送信時間総和の規定値は、無線チャネルについて1時間あたり360秒以下であり、1つの無線装置については1時間あたり720秒以下である。よって、解消時間の決定に用いる閾値は、例えば、1無線チャネルについて108秒に設定され、1無線装置100について216秒に設定されてよい。解消時間算出部106は、例えば、無線チャネル又は無線装置100の単位時間あたりの送信時間総和が閾値(例えば、108秒又は216秒)未満に減少するまでの時間又は閾値未満に減少する時刻を解消時間に設定してよい。
【0039】
なお、解消時間の決定に用いる閾値は、規定値の30%に限定されず、他の割合(換言すると、規定値より小さい値の何れか)でもよい。また、ここでは、解消時間に関する閾値を決定する際、無線チャネル及び無線装置100それぞれの規定値に対して同じ割合(例えば、30%)を適用したが、これに限定されず、無線チャネルと無線装置100とで異なる割合が適用されてもよく、無線チャネル毎に異なる割合が適用されてもよい。
【0040】
チャネル選択部107は、例えば、複数の無線チャネルのうち、無線部101に設定する無線チャネル(換言すると、動作チャネル)を選択する。例えば、チャネル選択部107は、他の無線装置100(例えば、子無線装置20)から通知された、チャネル変更要求フラグ、及び、解消時間に関する情報に基づいて、選択可能な複数の無線チャネルの中から、無線部101に設定する無線チャネルを選択してよい。例えば、チャネル選択部107は、解消時間がより短い(あるいは時刻の早い。以下において同じ)無線チャネルを選択してよい。
【0041】
また、例えば、チャネル選択部107は、選択可能な無線チャネルの使用状況を判断してよい。チャネル選択部107は、例えば、選択可能な無線チャネルにおける他の無線装置100による使用の有無、他の無線装置100による占有度合いといった使用状況を判断してよい。チャネル選択部107は、例えば、無線チャネルの使用状況に基づいて、他の無線装置100又は他の無線通信システムにおいて無線チャネルが使用されているか否かを判定してよい。そして、チャネル選択部107は、例えば、無線チャネルの使用状況、チャネル変更要求フラグ、及び、解消時間に基づいて、無線部101に設定される無線チャネルを選択してよい。
【0042】
[無線装置の動作例]
上述した無線ネットワーク1における無線装置100(例えば、親無線装置10及び子無線装置20)の動作例について説明する。
【0043】
図3は、例えば、子無線装置20におけるデータ送信に関する処理の動作例を示すフローチャートである。
【0044】
子無線装置20は、例えば、送信データの有無を判断する(S100)。送信データは、例えば、子無線装置20又は子無線装置20に接続された外部装置(例えば、センサ)において発生したデータでもよく、他の無線装置100(例えば、下位の子無線装置20)から送信されたデータ(換言すると、転送データ)でもよい。送信データが無い場合(S100:No)、子無線装置20は、S100の処理に戻る。
【0045】
送信データが有る場合(S100:Yes)、子無線装置20は、チャネル変更要求フラグが0(ゼロ)であるか否かを判断する(S101)。チャネル要求フラグが0の場合(S101:Yes)、子無線装置20は、S106の処理に進む。
【0046】
チャネル変更要求フラグが0ではない場合(S101:No)、子無線装置20は、各無線チャネル、又は、1つの無線装置の単位時間あたりの送信時間総和に対応する解消時間が経過しているか否かを判断する(S102)。換言すると、子無線装置20は、単位時間あたりの送信時間総和が閾値未満であるか否かを判断する。例えば、子無線装置20は、チャネル変更フラグが1の場合には無線チャネルの解消時間に基づき、チャネル変更要求フラグが2の場合には無線装置の解消時間に基づき、解消時間の経過を判断してよい。なお、「判断」という用語は、「判定」、「判別」、「検出」、「検知」といった他の用語に相互に読み替えられてもよい。
【0047】
解消時間が経過している場合(S102:Yes)、子無線装置20は、例えば、チャネル変更要求フラグを0に設定し(S103)、S106の処理に進む。
【0048】
解消時間が経過していない場合(S102:No)、子無線装置20は、例えば、送信信号がビーコン又は制御信号といった信号とは異なる他の信号であるか否かを判断する(S104)。送信信号がビーコン又は制御信号である場合(S104:Yes)、子無線装置20は、S106の処理に進む。なお、S104において判断対象の送信信号は、ビーコン又は制御信号に限定されず、例えば、データと比較して送信の優先度(又は重要度)が高い他の信号でもよい。
【0049】
送信信号がビーコン又は制御信号ではない場合(S104:No)、子無線装置20は、データを破棄(換言すると、廃棄)してよく(S105)、また、データ送信処理を終了してよい。子無線装置20は、データの破棄により、規定された送信時間総和の制限に従うことができる。
【0050】
図3において、チャネル変更要求フラグが0の場合(S101:Yes)、チャネル変更要求フラグが0に設定された場合(S103の処理後)、又は、送信信号がビーコン又は制御信号の場合(S104:Yes)、子無線装置20は、例えば、単位時間あたりの送信時間総和を記憶(換言すると、更新)する(S106)。
【0051】
その後、子無線装置20は、例えば、チャネル変更要求処理を行う(S107)。チャネル変更要求処理の一例については後述する。
【0052】
子無線装置20は、例えば、信号(データ、ビーコン又は制御信号)を送信する(S108)。
【0053】
なお、送信信号がビーコン又は制御信号の場合(S104:Yes)、子無線装置20は、例えば、チャネル変更要求処理をスキップしてよい。換言すると、ビーコン又は制御信号は、子無線装置20に対して規定された送信時間総和制限の対象外の信号であり、送信時間総和の制限に依らずに送信されてよい。
【0054】
ただし、これに限らず、ビーコン又は制御信号が送信時間総和の制限の対象であってもよい。この場合、子無線装置20は、
図3に示すS104の処理を行わなくてもよい。
【0055】
[チャネル変更要求処理]
次に、子無線装置20におけるチャネル変更要求処理の一例について説明する。
【0056】
図4は、子無線装置20におけるチャネル変更要求処理(例えば、
図3に示すS107の処理)の動作例を示すフローチャートである。
【0057】
子無線装置20は、例えば、単位時間あたりの送信時間総和が閾値(以下、便宜的に「制限閾値」と呼ぶことがある)を上回るか否かを判断する(S110)。
【0058】
例えば、子無線装置20は、無線チャネルに対する規定値360秒、及び、1つの無線装置に対する規定値720秒のそれぞれについて、単位時間あたりの送信時間総和と閾値とを比較してよい。例えば、閾値が規定値に対して99%の値に設定される場合、1無線チャネルに対する閾値は、356.4秒に設定され、1無線装置100に対する閾値は、712.8秒に設定されてよい。子無線装置20は、例えば、各無線チャネルの単位時間あたりの送信時間総和が356.4秒を上回るか否かを判定してよい。また、子無線装置20は、例えば、子無線装置20の単位時間あたりの送信時間総和(例えば、複数の無線チャネルの送信時間総和の合計)が712.8秒を上回るか否かを判定してよい。
【0059】
例えば、規定値に対して99%の閾値に基づく判定により、子無線装置20は、単位時間あたりの送信時間総和が規定値を超える前に、チャネル変更要求を行えるので、送信休止となる確率を低減できる。
【0060】
なお、閾値に設定される規定値に対する割合は99%に限定されず、他の割合(例えば、100%以下の何れかの値)でもよい。また、無線チャネル及び無線装置100それぞれの単位時間あたりの送信時間総和に対する閾値は、規定値に対して同じ割合(例えば、99%)が適用される場合に限定されず、無線チャネルと無線装置100とで異なる割合が適用されてもよい。
【0061】
各無線チャネル及び1つの無線装置の全ての単位時間あたりの送信時間総和が閾値以下の場合(S110:No)、子無線装置20は、チャネル変更要求処理を終了してよい。換言すると、子無線装置20は、単位時間あたりの送信時間総和が閾値以下の場合、チャネル変更要求を行わなくてよい。
【0062】
各無線チャネル及び1つの無線装置のいずれか1つの単位時間あたりの送信時間総和が閾値を上回る場合(S110:Yes)、子無線装置20は、チャネル変更要求フラグを変更する(S111)。例えば、無線チャネルに対する単位時間あたりの送信時間総和が閾値(例えば、356.4秒)を上回る場合、子無線装置20は、チャネル変更要求フラグを0から1に変更する。また、例えば、1つの無線装置に対する単位時間あたりの送信時間総和が閾値(例えば、712.8秒)を上回る場合、子無線装置20は、チャネル変更要求フラグを0から2に変更する。なお、子無線装置20は、無線チャネル及び1つの無線装置の双方に対する単位時間あたりの送信時間総和が閾値を上回る場合にはチャネル変更要求フラグを0から2へ変更してよい。子無線装置20は、例えば、変更後のチャネル変更要求フラグを記憶する。
【0063】
子無線装置20は、例えば、該当する単位時間あたりの送信時間総和の制限が解消される時間(例えば、解消するまでの時間又は解消する時刻を示す解消時間)を算出(又は決定)する(S112)。例えば、子無線装置20は、各無線チャネルに対する解消時間、及び、1つの無線装置に対する解消時間をそれぞれ算出してよい。上述した例では、子無線装置20は、各無線チャネルに対して、単位時間あたりの送信時間総和が108秒以下になるまでの時間又は時刻を示す解消時間を算出してよい。また、子無線装置20は、例えば、子無線装置20における単位時間あたりの送信時間総和が216秒以下になるまでの時間又は時刻を示す解消時間を算出してよい。子無線装置20は、例えば、算出した解消時間を記憶する。
【0064】
子無線装置20は、例えば、チャネル変更要求フラグ及び解消時間を示す情報を送信データに追加する(S113)。例えば、チャネル変更フラグ及び解消時間を示す情報は、信号のデータ部(例えば、ペイロード部とも呼ぶ)に追加されてもよく、信号のヘッダ部に追加されてもよい。
【0065】
なお、子無線装置20は、フラグが1であり、単位時間あたりの送信時間総和が規定値を超過しない無線チャネルが存在する場合、チャネル変更要求フラグ及び解消時間を示す情報を送信データに追加してもよい。また、単位時間あたりの送信時間総和が、無線チャネルに対する規定値(フラグ1)、又は、1つの無線装置に対する規定値(フラグ2)を超える場合は、子無線装置20は、例えば、子無線装置20が送信しようとする送信データのデータ部を廃棄し、チャネル変更要求フラグ及び解消時間を追加した制御信号を送信データとしてもよい。
【0066】
以上の動作により、子無線装置20において、無線チャネルにおいて単位時間あたりの送信時間総和が閾値(又は規定値)を上回る(フラグが1又は2である)場合に、チャネル変更要求フラグは子無線装置20から親無線装置10へ通知される。換言すると、子無線装置20は、単位時間あたりの送信時間総和が閾値を上回る場合に、親無線装置10に対してチャネル変更を要求する。
【0067】
また、子無線装置20は、親無線装置10に対してチャネル変更を要求する際に、複数の無線チャネルの解消時間に関する情報を通知してよい。
【0068】
以上、チャネル変更要求処理の動作例について説明した。
【0069】
[チャネル変更判定処理]
次に、親無線装置10におけるチャネル変更判定処理の一例について説明する。
【0070】
親無線装置10は、例えば、子無線装置20から通知された信号に含まれるチャネル変更要求フラグが1又は2の場合、チャネル変更判定処理(換言すると、送信に使用する無線チャネルの選択)を行う。
【0071】
図5は、親無線装置10におけるチャネル変更判定処理の動作例を示すフローチャートである。
【0072】
親無線装置10は、例えば、子無線装置20から通知された信号に含まれる、単位時間あたりの送信時間総和の解消時間に関する情報を抽出(又は検出)する(S120)。
【0073】
親無線装置10は、例えば、子無線装置20からのチャネル変更要求に対して、変更先の無線チャネルを選択する(S121)。
【0074】
親無線装置10は、例えば、子無線装置20から通知される解消時間に基づいて、無線チャネルを選択してよい。または、親無線装置10は、例えば、各無線チャネルの使用状況、及び、子無線装置20から通知される解消時間に基づいて、無線チャネルを選択してよい。
【0075】
ここで、解消時間の短い無線チャネルほど、単位時間あたりの送信時間総和がより少ない無線チャネルであり得るので、単位時間あたりの送信時間総和の規定によって無線送信が制限されるまでの残りの送信時間は長い可能性が高い。換言すると、解消時間の短い無線チャネルほど、子無線装置20における送信機会がより多い可能性が高い。また、複数の無線チャネルにおいて単位時間あたりの送信時間総和が同じであっても、分散送信しているため、解消時間がより短い無線チャネルの方が、単位時間あたりの送信時間総和の規定によって無線送信が制限される可能性は低い。
【0076】
そこで、例えば、チャネル変更要求フラグが1の場合、親無線装置10は、各無線チャネルの単位時間あたりの送信時間総和の解消時間に基づいて、変更する無線チャネルを選択してよい。例えば、親無線装置10は、複数の無線チャネルのうち、解消時間がより短い無線チャネルを優先して選択してよい。この際、親無線装置10は、例えば、選択可能な無線チャネルの使用状況に基づいて、干渉を受ける可能性の低い無線チャネルを優先して選択してよい。
【0077】
また、例えば、チャネル変更要求フラグが2の場合、親無線装置10は、無線チャネルを変更しても、1つの無線装置に対する単位時間あたりの送信時間総和の制限によって無線送信が制限され得ると判断してよい。この場合、親無線装置10は、無線チャネルを変更せずに、現在選択(又は、使用)している無線チャネルを選択(換言すると再選択)してよい。
【0078】
親無線装置10は、選択された無線チャネルに関する情報(例えば、チャネル変更指示情報と呼ぶ)を、子無線装置20へ送信する(S122)。例えば、親無線装置10は、チャネル変更指示情報を、ブロードキャストによって、配下の子無線装置20へ通知してもよい。例えば、
図1において、チャネル変更指示情報は、親無線装置10から子無線装置20-1及び20-4へ送信されてよい。また、チャネル変更指示情報は、子無線装置20-1から子無線装置20-2及び20-3へ送信され、子無線装置20-4から子無線装置20-5へ送信されてよい。
【0079】
親無線装置10は、例えば、親無線装置10(例えば、無線部101)において使用する無線チャネルを、選択した無線チャネルに変更する(S123)。
【0080】
なお、
図5では、チャネル変更要求フラグが2の場合に親無線装置10が無線チャネルを変更しない場合について説明したが、これに限定されない。例えば、チャネル変更要求フラグが2の場合でも、親無線装置10は、例えば、解消時間に基づいて無線チャネルを選択(換言すると、変更)してもよい。この処理により、例えば、1つの無線装置100に対する単位時間あたりの送信時間総和の制限が解消された場合に、各無線装置100は、解消時間がより少ない無線チャネルにおいて通信できるので、再び送信休止となる確率を低減できる。
【0081】
以上、親無線装置10におけるチャネル変更判定処理の一例について説明した。
【0082】
次に、子無線装置20におけるチャネル変更処理の一例について説明する。
【0083】
子無線装置20は、例えば、親無線装置10から、チャネル変更指示情報を受信した場合、チャネル変更処理を行う。
【0084】
図6は、子無線装置20におけるチャネル変更処理の動作例を示すフローチャートである。
【0085】
子無線装置20は、親無線装置10から通知されるチャネル変更指示情報に示される無線チャネル(換言すると、指定される無線チャネル)と、現在使用している無線チャネルとが異なるか否かを判断する(S130)。
【0086】
指定される無線チャネルと使用している無線チャネルとが異なる場合(S130:Yes)、子無線装置20は、例えば、チャネル変更要求フラグを0に設定し(S131)、無線部101において使用する無線チャネルを、指定された無線チャネルに変更する(S132)。ただし、S131の処理において、チャネル変更要求フラグが2である場合は、例えば、チャネル変更要求フラグは変更されなくてもよい。
【0087】
一方、指定される無線チャネルと使用している無線チャネルとが同一である場合(S130:No)、子無線装置20は、例えば、チャネル変更要求フラグを変更せずに(S133)、チャネル変更処理を終了してよい。
【0088】
以上、子無線装置20におけるチャネル変更処理の一例について説明した。
【0089】
[無線ネットワーク1の動作例]
図7は、上述した無線ネットワーク1において無線チャネルを変更する場合の親無線装置10及び子無線装置20の動作例を示すシーケンス図である。
【0090】
図7では、一例として、
図1に示す無線ネットワーク1のうち、親無線装置10、子無線装置20-1、及び、子無線装置20-2における動作(例えば、データ送信、チャネル変更要求、チャネル変更判定、又は、チャネル変更)の一例を示す。
【0091】
図7において、子無線装置20-2は、例えば、データ送信を行う度に送信時間総和を記憶(換言すると、更新)し、チャネル変更要求処理(換言すると、無線チャネル変更の要否判断。例えば、
図4)を行う(S200)。
図7に示す例では、子無線装置20-2は、無線チャネルの変更を要求しないと判断する。そこで、子無線装置20-2は、例えば、子無線装置20-1(上位の子無線装置20)へデータを送信する(S201)。
【0092】
子無線装置20-1は、例えば、子無線装置20-2からデータを受信後、データ転送を行う度に送信時間総和を記憶(換言すると、更新)し、チャネル変更要求処理(例えば、
図4)を行う(S202)。
図7に示す例では、子無線装置20-1は、無線チャネルの変更を要求すると判断する。そこで、子無線装置20-1は、例えば、親無線装置10へ、データ及びチャネル変更要求に関する情報(例えば、チャネル変更要求フラグ及び解消時間)を送信する(S203)。
【0093】
親無線装置10は、子無線装置20-1からチャネル変更要求情報を受信後、チャネル変更判定処理(例えば、
図5)を行い、変更する無線チャネルを選択する(S204)。
【0094】
親無線装置10は、例えば、選択した無線チャネルを示すチャネル変更指示情報を子無線装置20-1へ通知(例えば、ブロードキャスト)する(S205)。また、子無線装置20-1は、通知されたチャネル変更指示情報を子無線装置20-2(換言すると、下位の子無線装置20)へ通知(換言すると、転送)する(S206)。
【0095】
子無線装置20-1は、チャネル変更指示情報を受信後、チャネル変更処理(例えば、
図6)を行い、無線部101で使用する無線チャネルを、指定された無線チャネルに変更する(S207)。同様に、子無線装置20-2は、チャネル変更指示情報を受信後、チャネル変更処理を行い(例えば、
図6)、無線部101で使用する無線チャネルを、指定された無線チャネルに変更する(S208)。また、親無線装置10は、無線部101で使用する無線チャネルを、子無線装置20へ指示した無線チャネルに変更する(S209)。
【0096】
以上、無線装置100の動作例について説明した。
【0097】
本実施の形態では、単位時間あたりの送信時間総和が規定(換言すると、制限)されている無線ネットワーク1において、子無線装置20は、単位時間あたりの送信時間総和が規定を超えた無線チャネルについての解消時間(換言すると、送信時間総和の減少時間)を親無線装置10へ通知し、親無線装置10は、解消時間に基づいて、複数の無線チャネルのうち少なくとも一つの無線チャネルを送信に使用する無線チャネルに選択する。そして、親無線装置10及び子無線装置20は、選択された無線チャネルによって送信を行う。
【0098】
この処理により、無線ネットワーク1では、各無線装置100は、使用する無線チャネルを、例えば、解消時間がより短い無線チャネルへ変更できる。よって、各無線装置100は、例えば、複数の無線チャネルのうち、変更後の無線チャネルにおいてより長く送信できる可能性が高いので、単位時間あたりの送信時間総和の規定によって送信休止になる状態を低減できる。
【0099】
例えば、無線装置100は、無線チャネルを変更(換言すると、切替)する際に、送信可能な時間がより長い無線チャネルの選択により、無線チャネル毎の単位時間あたりの送信時間総和の規定によって当該無線チャネルにおいて送信休止となる確率を低減できる。また、例えば、無線装置100は、例えば、送信休止状態になった場合でも、送信可能な時間がより長い無線チャネルの選択により、送信休止状態が解消された際に、無線チャネル毎の単位時間あたりの送信時間総和の規定によって当該無線チャネルにおいて送信休止となる確率を低減できる。
【0100】
また、無線チャネルの選択において、送信可能な時間がより長い無線チャネルが選択されることで、例えば、無線装置100における無線チャネルの切り替えを低減できるので、無線装置100における処理量(又は、処理の複雑さ)を低減できる。
【0101】
以上より、本実施の形態によれば、無線通信システムにおいて無線チャネルの適切な選択(あるいは切り替え)を実現できる。
【0102】
以上、本開示の一実施例について説明した。
【0103】
上述した実施の形態では、無線ネットワーク1において、各無線装置100に対して、同一のタイミングに同一の無線チャネルが設定される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、子無線装置20それぞれに異なる無線チャネルが設定されてもよく、子無線装置20のグループ(例えば、ツリー型ネットワークにおける各枝に対応する子無線装置20のグループ)それぞれに対して異なる無線チャネルが設定されてもよい。
【0104】
また、上述した実施の形態において、無線チャネル毎の単位時間あたりの送信時間総和の規定値は360秒に限定されず、他の値でもよい。また、1つの無線装置における単位時間あたりの送信時間総和の規定値は720秒に限定されず、他の値でもよい。また、例えば、単位時間は1時間に限らず、他の時間単位でもよい。
【0105】
また、上述した実施の形態では、一例として、親無線装置10及び子無線装置20それぞれが無線装置100(例えば、
図2)の構成を有する場合について説明したがこれに限定されない。例えば、親無線装置10は、
図2に示す無線装置100の構成のうち、無線部101、制御部102及びチャネル選択部107の構成を有してもよい。また、例えば、子無線装置20は、
図2に示す無線装置100のうち、無線部101、制御部102及び送信時間管理部104の構成を有してもよい。
【0106】
また、上述した実施の形態において、無線チャネル変更の際、選択する無線チャネルの数が1個の場合について説明したが、選択する無線チャネルは複数個でもよい。
【0107】
また、上述した実施の形態において、無線装置100は、単位時間あたりの送信時間総和の解消時間に基づいて無線チャネルを選択する場合について説明したが、これに限定されない。本開示の一実施例では、無線装置100は、例えば、各無線チャネルにおける単位時間あたりの送信時間総和の変化度合い(例えば、減少度合いまたは増加度合い)に基づいて、送信に使用する無線チャネルを選択してもよい。例えば、無線装置100は、各チャネルにおける単位時間あたりの送信時間総和の増加度合い(あるいは増加率)に基づいて、送信に使用する無線チャネルを選択してもよい。例えば、無線装置100が選択可能な無線チャネルそれぞれの使用形態によって、単位時間あたりの送信時間総和の増加度合いが異なる場合、無線装置100は、単位時間あたりの送信時間総和の増加度合いがより小さい無線チャネルを優先して選択してよい。換言すると、単位時間あたりの送信時間総和の増加度合いがより大きい無線チャネルほど、無線装置100の送信に使用される無線チャネルに選択されにくくしてよい。
【0108】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0109】
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0110】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、SSI(Small Scale Integration)、MSI(Middle Scale Integration)、システムLSI、スーパーLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0111】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0112】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により,LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0113】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0114】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0115】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0116】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0117】
以上の説明において、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0118】
(実施の形態のまとめ)
本開示の一実施例に係る無線通信装置は、複数の無線チャネルそれぞれについての単位時間あたりの送信時間総和の減少時間に関する情報に基づいて、前記複数の無線チャネルのうち少なくとも一つの無線チャネルを送信に使用する無線チャネルに選択する制御回路と、選択された前記無線チャネルによって送信を行う無線回路と、を具備する。
【0119】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、他の無線通信装置から無線チャネルの変更要求を受信した場合に、前記送信に使用する無線チャネルの選択を行う。
【0120】
本開示の一実施例において、前記変更要求は、前記他の無線通信装置において前記複数の無線チャネルのうち少なくとも一つにおいて、単位時間あたりの送信時間総和が規定値に基づく閾値を超えたことを示す。
【0121】
本開示の一実施例において、前記無線回路は、前記減少時間に関する情報を、前記他の無線通信装置から受信する。
【0122】
本開示の一実施例において、前記減少時間に関する情報は、前記送信時間総和が規定値よりも小さい閾値未満に減少するまでの時間を示す情報である。
【0123】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記複数の無線チャネルそれぞれの使用状況に基づいて、前記送信に使用する無線チャネルの選択を行う。
【0124】
本開示の一実施例にかかる無線通信装置は、単位時間あたりの送信時間総和が規定値に基づく閾値を超えた無線チャネルについての前記送信時間総和の減少時間に関する情報を他の無線通信装置へ送信する無線回路と、前記他の無線通信装置において前記減少時間に関する情報に基づいて選択された無線チャネルによって送信を行う無線回路と、を具備する。
【0125】
本開示の一実施例にかかる無線通信方法において、無線通信装置は、複数の無線チャネルそれぞれについての単位時間あたりの送信時間総和の減少時間に関する情報に基づいて、前記複数の無線チャネルのうち少なくとも一つの無線チャネルを送信に使用する無線チャネルに選択し、選択された前記無線チャネルによって送信を行う。
【0126】
本開示の一実施例にかかる無線通信方法において、無線通信装置は、単位時間あたりの送信時間総和が規定値に基づく閾値を超えた無線チャネルについての前記送信時間総和の減少時間に関する情報を他の無線通信装置へ送信し、前記他の無線通信装置において前記減少時間に関する情報に基づいて選択された無線チャネルによって送信を行う。
【0127】
本開示の一実施例にかかる無線通信システムは、第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、を具備し、前記第1の無線通信装置は、単位時間あたりの送信時間総和が規定値に基づく閾値を超えた無線チャネルについての前記送信時間総和の減少時間に関する情報を前記第2の無線通信装置へ送信し、前記第2の無線通信装置は、前記減少時間に関する情報に基づいて、複数の無線チャネルのうち少なくとも一つの無線チャネルを送信に使用する無線チャネルに選択し、前記第1の無線通信装置及び前記第2の無線通信装置は、選択された前記無線チャネルによって送信を行う。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本開示は、無線通信システムに適用できる。
【符号の説明】
【0129】
1 無線ネットワーク
10 親無線装置
20 子無線装置
100 無線装置
101 無線部
102 制御部
103 記憶部
104 送信時間管理部
105 送信時間記憶部
106 解消時間算出部
107 チャネル選択部