IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京瓦斯株式会社の特許一覧 ▶ エコナビスタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図1
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図2
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図3
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図4
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20231117BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
G06Q50/20
A61B5/16 130
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019102561
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020197824
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513302477
【氏名又は名称】エコナビスタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】清石 彩華
(72)【発明者】
【氏名】川又 大祐
(72)【発明者】
【氏名】安田 輝訓
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-173958(JP,A)
【文献】特開2010-256796(JP,A)
【文献】特開2015-138419(JP,A)
【文献】勉強に効率のよい時間帯とは? 脳科学的におすすめの科目を解説!,[online],株式会社スタディーハッカー,2018年05月09日,インターネット:<URL:https://studyhacker.net/columns/study-time-rure>,[検索日:令和5年5月30日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A61B 5/06- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習を行うユーザの予め定めた期間の睡眠中の生体データを取得する生体データ取得手段と、
前記生体データに基づき、前記ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報を出力する出力手段と
を備え、
前記生体データ取得手段は、前記生体データとして、前記ユーザの起床時刻に関する情報を取得し、
前記出力手段は、前記生体データに基づき、前記効率化情報として、前記ユーザが学習をするのに適した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻の少なくとも1つに関する情報を出力し、
前記生体データ取得手段は、前記生体データとして、さらに、前記ユーザの睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つを取得し、
前記出力手段は、前記生体データとして、前記ユーザの起床時刻に関する情報に加えて、前記ユーザの睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つに基づいて、前記ユーザが学習をするのに適した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻の少なくとも1つに関する情報を出力する
情報処理システム。
【請求項2】
学習を行うユーザの予め定めた期間の睡眠中の生体データを取得する生体データ取得手段と、
前記生体データに基づき、前記ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報を出力する出力手段と、
前記ユーザの学習状況に関する情報を取得する学習状況取得手段と
を備え、
前記生体データ取得手段は、前記生体データとして、前記ユーザの睡眠時間、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つを取得し、
前記学習状況取得手段は、前記学習状況に関する情報として、前記ユーザが予定している学習に関する情報を取得し、
前記出力手段は、前記生体データおよび前記学習状況に基づき、前記効率化情報として、前記ユーザに推奨する学習科目または学習方法に関する情報を出力する情報処理システム。
【請求項3】
前記出力手段は、前記効率化情報として、さらに、前記ユーザに推奨する睡眠に関する情報を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
コンピュータに、
学習を行うユーザの予め定めた期間の睡眠中の生体データとして、当該ユーザの起床時刻に関する情報を取得するとともに、当該生体データとして、さらに、前記ユーザの睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つを取得する機能と、
前記生体データとして、前記ユーザの起床時刻に関する情報に加えて、前記ユーザの睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つに基づき、前記ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報として、当該ユーザが学習をするのに適した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻の少なくとも1つに関する情報を出力する機能と
を実現するプログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
学習を行うユーザの予め定めた期間の睡眠中の生体データとして、当該ユーザの睡眠時間、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つを取得する機能と、
前記ユーザの学習状況に関する情報として、前記ユーザが予定している学習に関する情報を取得する機能と、
前記生体データおよび前記学習状況に基づき、前記ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報として、当該ユーザに推奨する学習科目または学習方法に関する情報を出力する機能と
を実現するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1には、学習者の脳波を検出し、検出した脳波に基づいて学習者の心身状態を判断し、判断結果に基づいて学習プログラムの実施状況等を制御する学習装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-289765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、記憶の定着性や学習を行う際の集中力等は、就寝時刻、起床時刻、睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数等の睡眠の状態によって変動する傾向がある。このため、学習を行う人物の学習効率は、その人物の睡眠の状態によって変動する傾向があり、学習効率を向上させるためには、学習を行う人物の睡眠の状態に合わせて学習を行うことが好ましい。
本発明は、睡眠中の生体データを利用することで、学習を行う人物の学習効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、学習を行うユーザの予め定めた期間の睡眠中の生体データを取得する生体データ取得手段と、前記生体データに基づき、前記ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報を出力する出力手段とを備え、前記生体データ取得手段は、前記生体データとして、前記ユーザの起床時刻に関する情報を取得し、前記出力手段は、前記生体データに基づき、前記効率化情報として、前記ユーザが学習をするのに適した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻の少なくとも1つに関する情報を出力し、前記生体データ取得手段は、前記生体データとして、さらに、前記ユーザの睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つを取得し、前記出力手段は、前記生体データとして、前記ユーザの起床時刻に関する情報に加えて、前記ユーザの睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つに基づいて、前記ユーザが学習をするのに適した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻の少なくとも1つに関する情報を出力する情報処理システムである。
請求項2に記載の発明は、学習を行うユーザの予め定めた期間の睡眠中の生体データを取得する生体データ取得手段と、前記生体データに基づき、前記ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報を出力する出力手段と、前記ユーザの学習状況に関する情報を取得する学習状況取得手段とを備え、前記生体データ取得手段は、前記生体データとして、前記ユーザの睡眠時間、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つを取得し、前記学習状況取得手段は、前記学習状況に関する情報として、前記ユーザが予定している学習に関する情報を取得し、前記出力手段は、前記生体データおよび前記学習状況に基づき、前記効率化情報として、前記ユーザに推奨する学習科目または学習方法に関する情報を出力する情報処理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記出力手段は、前記効率化情報として、さらに、前記ユーザに推奨する睡眠に関する情報を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システムである。
請求項4に記載の発明は、コンピュータに、学習を行うユーザの予め定めた期間の睡眠中の生体データとして、当該ユーザの起床時刻に関する情報を取得するとともに、当該生体データとして、さらに、前記ユーザの睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つを取得する機能と、前記生体データとして、前記ユーザの起床時刻に関する情報に加えて、前記ユーザの睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つに基づき、前記ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報として、当該ユーザが学習をするのに適した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻の少なくとも1つに関する情報を出力する機能とを実現するプログラムである。
請求項5に記載の発明は、コンピュータに、学習を行うユーザの予め定めた期間の睡眠中の生体データとして、当該ユーザの睡眠時間、睡眠深度、中途覚醒の回数の少なくとも1つを取得する機能と、前記ユーザの学習状況に関する情報として、前記ユーザが予定している学習に関する情報を取得する機能と、前記生体データおよび前記学習状況に基づき、前記ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報として、当該ユーザに推奨する学習科目または学習方法に関する情報を出力する機能とを実現するプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、睡眠中の生体データを利用することで、学習を行う人物の学習効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態が適用される情報処理システムの全体構成を示す図である。
図2】本実施の形態が適用されるサーバ装置の機能構成例を示す図である。
図3】効率化情報生成部による効率化情報の生成処理を説明するための模式図である。
図4】サーバ装置で実行される効率化情報の生成処理の処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図5】端末装置に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される情報処理システム1の全体構成を示す図である。
情報処理システム1は、学習を行うユーザの睡眠中の生体データを検知するベッドセンサ2と、ベッドセンサ2による検知結果およびユーザによる学習状況に関する情報を取得し、ユーザに対し学習効率を向上させるための効率化情報を通知するサーバ装置3と、ユーザが操作する端末装置4とが、インターネット10を通じて接続されている。なお、図1に示す情報処理システム1では、サーバ装置3が1つであるが、複数存在してもよい。また、情報処理システム1を用いるユーザが複数いる場合、それぞれのユーザに対応して、ベッドセンサ2および端末装置4が複数存在してもよい。
【0009】
ベッドセンサ2は、就寝する人物の生体データを非接触で測定可能なセンサからなり、例えば、ユーザが就寝する寝具の下に敷いて使用するマット型のセンサが挙げられる。例えばベッドセンサ2は、導電性の生地と複数個の圧電素子によって構成され、周期的な微振動を検知の対象とする。なお、ベッドセンサ2としては、マイクロ波ドップラーレーダーを使用してもよい。本実施の形態の場合、ベッドセンサ2は、生体データとして、脈拍、体温、呼吸数、寝返り等の体動を検知する。また、ベッドセンサ2は、寝具にユーザが入ったこと、および寝具からユーザが出たことを検知する。
【0010】
もっとも、ベッドセンサ2は、生体データを検知できれば、マット型のセンサやマイクロ波ドップラーレーダーに限らない。例えばベッドセンサ2として、スマートフォンを代用してもよい。現在、スマートフォン用のアプリケーションプログラムとして、スマートフォンに内蔵された加速度センサの出力を用いて、被検者の睡眠時間や睡眠サイクル等を計測できるものがある。このようなスマートフォン用のアプリケーションプログラムを、ベッドセンサ2として用いることができる。
【0011】
ベッドセンサ2は、予め定めた時間単位(例えば、1分単位)で、または生体データが検知されたタイミングで、インターネット10を通じて生体データをサーバ装置3へ送信する。
【0012】
サーバ装置3は、ベッドセンサ2から取得した生体データを収集し分析する。また、サーバ装置3は、端末装置4等から、ユーザの学習状況に関する情報を取得する。そして、サーバ装置3は、生体データおよびユーザの学習状況に基づき、ユーザによる学習効率を向上させるための効率化情報を生成する。ここで、「学習効率」とは、ユーザが学習に要する労力に対し、ユーザが学習により得られる成果の大きさを意味する。学習効率を示す指標としては、単位時間の学習による記憶の定着のしやすさ、集中力が持続する時間の長さ、問題を解いたり文章を読んだりする速度等が例示される。なお、サーバ装置3の構成や機能については、後段にて詳細に説明する。
【0013】
端末装置4は、情報を表示する表示部および他の装置等との通信を行う通信部を備える情報機器であり、例えばスマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等であるが特に限定されるものではない。端末装置4は、ユーザの学習状況に関する情報の入力を受け付け、サーバ装置3へ送信する。また、端末装置4は、サーバ装置3にて生成された効率化情報を取得し、表示部に表示する。
【0014】
図2は、本実施の形態が適用されるサーバ装置3の機能構成例を示す図である。
サーバ装置3は、所謂コンピュータであり、アプリケーションプログラムを実行する演算装置31と、各種のデータを記憶する記憶装置33と、情報処理システム1(図1参照)を構成する他の装置との通信を行う通信装置35と、これらを接続するバス37とを備えている。
演算装置31は、CPU(=Central Processing Unit)と、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)とを有している。ここでのROMは、不揮発性の半導体メモリであれば書き換えが可能でもよい。
【0015】
演算装置31は、ユーザの学習状況に関する情報を取得する学習状況取得部311と、ユーザの睡眠中の生体データを取得し、分析する生体データ分析部313と、ユーザの学習状況および生体データの分析結果に基づき、ユーザの学習効率を向上させるための効率化情報を生成する効率化情報生成部315と、効率化情報生成部315により生成された効率化情報を端末装置4等へ通知する通知部317として機能する。学習状況取得部311、生体データ分析部313、効率化情報生成部315、および通知部317の各機能は、アプリケーションプログラムの実行を通じて実現される。
【0016】
学習状況取得部311は、学習状況取得手段の一例であって、端末装置4等から送信されたユーザの学習状況に関する情報を取得する。この例では、学習状況取得部311は、学習状況に関する情報として、ユーザが学習を予定している学習科目(例えば、英語、数学、法律等)、およびその学習方法(例えば、暗記、演習、音読、動画再生等)の情報が挙げられる。
学習状況取得部311は、例えば、端末装置4の表示部に、学習状況入力フォームを表示させ、ユーザによる学習状況入力フォームへの入力を介して、ユーザの学習状況に関する情報を取得することができる。
【0017】
生体データ分析部313は、生体データ取得手段の一例であって、予め定めた期間(この例では、ユーザが就寝してから起床するまでの期間)に取得された生体データを分析し、分析結果を効率化情報生成部315へ出力する。生体データ分析部313は、生体データの分析結果として、例えば就寝時刻、起床時刻、睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数等を出力する。
【0018】
効率化情報生成部315は、学習状況取得部311にて取得した学習状況に関する情報、および生体データ分析部313による生体データの分析結果に基づいて、ユーザの学習効率を向上させるための情報である効率化情報を生成する。効率化情報としては、例えば、ユーザに推奨する学習に関する情報、ユーザに推奨する睡眠に関する情報等が挙げられる。ユーザに推奨する学習に関する情報としては、具体的には、学習効率を向上させるために適した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻、学習時間、学習科目、および学習方法等の情報が挙げられる。また、ユーザに推奨する睡眠に関する情報としては、学習効率を向上させるために適した就寝時刻、起床時刻、睡眠時間の長さ等の情報が挙げられる。
【0019】
通知部317は、効率化情報生成部315により生成された効率化情報を、ユーザが操作する端末装置4に通知する。
本実施の形態では、効率化情報生成部315および通知部317が、出力手段の一例である。なお、効率化情報生成部315により生成される効率化情報の詳細、および通知部317による通知内容については、後段にて例を挙げて説明する。
【0020】
記憶装置33は、不揮発性の書き換え可能な記憶媒体にデータを読み書きする装置であり、例えばハードディスク装置、半導体メモリ等で構成される。本実施の形態の場合、記憶装置33には、基本ソフトウェアやアプリケーションプログラムも記憶されている。CPUによるアプリケーションプログラムの実行を通じ、前述した学習状況取得部311、生体データ分析部313、効率化情報生成部315および通知部317の機能が実現される。
【0021】
また、記憶装置33には、ベッドセンサ2から取得された生体データが記憶される。また、記憶装置33には、学習状況取得部311が取得したユーザの学習状況に関する情報が記憶される。
さらに、記憶装置33には、効率化情報生成部315により生成された効率化情報をユーザの端末装置4へ通知する場合に用いるメッセージのひな型等の情報が記憶されている。
【0022】
さらにまた、記憶装置33には、ユーザを識別する識別情報、ユーザの連絡先等の各種のデータが記憶されている。記憶装置33に記憶される各種のデータは、情報処理システム1を用いるユーザの数だけ記憶されており、ユーザの管理に用いられるID(Identifier)によって管理されている。
ユーザを識別する識別情報は、例えば、ユーザの氏名、住所、性別、年齢等の情報である。また、ユーザの連絡先には、例えばユーザが操作する端末装置4で用いられるメールアドレス等が記録される。
【0023】
ところで、記憶の定着性や学習を行う際の集中力等は、就寝時刻、起床時刻、睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数等によって変動する傾向がある。言い換えると、学習を行う人物の学習効率は、その人物の睡眠の状態によって変動する傾向がある。また、学習を行う人物の睡眠の状態によって、適した学習科目や学習方法があり、学習科目や学習方法の違いによっても学習効率が変動する場合がある。このため、学習効率を向上させるためには、学習を行う人物の睡眠の状態に合わせて、学習を行うことが好ましい。
これに対し、本実施の形態の情報処理システム1では、効率化情報生成部315が睡眠中の生体データに基づいて効率化情報を生成することで、ユーザにより学習効率の向上を図っている。
【0024】
続いて、効率化情報生成部315による効率化情報の生成処理の一例について説明する。図3は、効率化情報生成部315による効率化情報の生成処理を説明するための模式図である。
効率化情報生成部315は、上述したように、学習状況取得部311にて取得したユーザによる学習状況、および生体データ分析部313にて分析したユーザの睡眠中の生体データの分析結果(以下、単に生体データの分析結果と表記する。)に基づいて、効率化情報を生成する。
【0025】
図3に示す例では、効率化情報生成部315は、ユーザによる学習状況に関する情報として、ユーザが学習を予定している学習科目(例えば、英語、数学、法律等)、および学習方法(例えば、暗記、演習、音読、動画視聴等)を、学習状況取得部311から取得する。
また、効率化情報生成部315は、生体データの分析結果として、就寝時刻、起床時刻、睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数を、生体データ分析部313から取得する。
【0026】
そして、効率化情報生成部315は、ユーザによる学習状況および睡眠中の生体データの分析結果に基づいて、効率化情報として、学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻、学習時間、学習科目、学習方法、および睡眠に対するアドバイス等を生成する。
【0027】
効率化情報生成部315は、例えば、生体データの分析結果のうち起床時刻に基づいて学習開始時刻、学習終了時刻および休憩時刻を算出することができる。一般に、人物が学習を行う場合、起床してからの経過時間によって脳や体の働きが変動し、これに伴って学習効率が変動する。
したがって、効率化情報生成部315は、起床時刻に対し学習効率が向上する所定の時間を加算した時刻を学習開始時刻、学習終了時刻および休憩時刻として算出することができる。なお、起床してからの経過時間による脳や体の働きの変動の仕方は、睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数等によって異なる場合がある。したがって、学習開始時刻、学習終了時刻および休憩時刻を算出するに際して起床時刻に加算する所定の時間は、生体データの分析結果である睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数等に応じて変化させてもよい。
【0028】
また、効率化情報生成部315は、例えば、生体データの分析結果のうち睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数等に基づいて、ユーザによる学習状況の中から適した学習科目および学習方法を選択することができる。例えば、ユーザの睡眠時間が短い場合、睡眠深度が浅い場合、または中途回数が多い場合等には、学習中にユーザが眠くなったり、集中力が低下したりする傾向がある。一方で、さまざまな学習科目や学習方法の中で、例えば、英単語や法律の暗記や動画再生による学習等はユーザが眠くなって学習効率が低下しやすく、また、数学の演習や文章の音読等の学習は眠くなりにくく学習効率が低下しにくい等の傾向がある。
したがって、効率化情報生成部315は、例えば、睡眠時間が予め定めた閾値より短い場合、睡眠深度が予め定めた閾値より浅い場合、中途覚醒の回数が予め定めた閾値より多い場合には、ユーザによる学習状況の中から、学習効率が低下しにくい学習科目や学習方法を選択することができる。
【0029】
また、効率化情報生成部315は、生体データの分析結果、および効率化情報として生成した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻、学習時間、学習科目および学習方法に基づいて、睡眠に対するアドバイスを生成することができる。一般に、学習した内容は、睡眠中に定着される傾向がある。このため、学習を行った場合には、速やかに睡眠をとることが好ましく、また睡眠時間を十分に長くとることが好ましい。
したがって、効率化情報生成部315は、生体データの分析結果、および効率化情報として生成した学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻、学習時間、学習科目および学習方法に基づいて、「学習後は、速やかに寝ましょう。」等のアドバイスを生成することができる。また、効率化情報生成部315は、睡眠に対するアドバイスとして、ユーザに推奨する具体的な就寝時刻、起床時刻、睡眠時間の長さを算出してもよい。
【0030】
なお、上述した効率化情報生成部315による効率化情報の生成処理については、一例に過ぎない。ユーザによる学習状況および睡眠中の生体データの分析結果に基づいてユーザの学習効率を向上させる効率化情報を生成できれば、生成方法は特に限定されるものではない。
【0031】
続いて、サーバ装置3により行われる効率化情報の生成処理について説明する。図4は、サーバ装置3で実行される効率化情報の生成処理の処理動作の一例を説明するフローチャートである。
情報処理システム1を利用するユーザは、端末装置4を用いて学習状況の入力を行う。端末装置4は、入力を受け付けた学習状況に関する情報を、サーバ装置3へ出力する。
サーバ装置3は、演算装置31の学習状況取得部311が、端末装置4から出力された学習状況に関する情報を取得し(ステップ101)、取得した学習状況に関する情報を記憶装置33に記憶する。
【0032】
また、ベッドセンサ2は、予め定めた時間単位またはタイミングで、生体データをサーバ装置3へ送信する。
サーバ装置3は、ベッドセンサ2から送信された生体データを受信すると、受信した生体データを記憶装置33(図2参照)に記憶する(ステップ102)。サーバ装置3は、予め定めた期間(この例では、ユーザが就寝してから起床するまでの期間)、この処理を継続的に実行する。すなわち、サーバ装置3は、受信した生体データに基づきユーザが起床したか否かの判定を行い(ステップ103)、ユーザが起床していない場合(ステップ103でNO)、生体データを受信し、記憶する処理を継続する。
【0033】
次いで、ユーザが起床すると(ステップ103でYES)、サーバ装置3は、生体データ分析部313が、予め定めた期間に収集された生体データの分析を行う(ステップ104)。具体的には、生体データ分析部313は、生体データの分析を行い、予め定めた期間におけるユーザの就寝時刻、起床時刻、睡眠時間の長さ、睡眠深度、中途覚醒の回数等を算出する。
そして、生体データ分析部313は、分析結果を効率化情報生成部315へ出力する(ステップ105)。
【0034】
次いで、サーバ装置3は、効率化情報生成部315が、ステップ101で取得した学習状況に関する情報、およびステップ105で取得した生体データの分析結果に基づき、ユーザによる学習効率を向上させるための効率化情報を生成する(ステップ106)。
【0035】
次いで、サーバ装置3は、通知部317が、端末装置4に対して効率化情報生成部315により生成された効率化情報を通知し(ステップ107)、一連の処理を終了する。
【0036】
続いて、効率化情報生成部315により生成され通知部317により通知される効率化情報について説明する。上述したように、通知部317は、効率化情報をユーザが使用する端末装置4に通知している。
通知を受けた端末装置4は、効率化情報を例えばメッセージとして表示部に表示する。
【0037】
図5は、端末装置4に表示されるメッセージの一例を示す図である。図5では、端末装置4としてスマートフォンの表示部にメッセージを表示する場合を示している。
図5に示す例では、端末装置4に、効率化情報として、ユーザである「Aさん」の学習効率を向上させるための効率化情報として、学習開始時刻、学習時間、それぞれの学習時間に対応する学習科目および学習方法、および睡眠に対するアドバイスが表示されている。
これにより、効率化情報を通知されたユーザが、端末装置4に表示されたメッセージに基づいて学習を行うことで、学習効率を向上させることができる。
【0038】
なお、サーバ装置3による効率化情報の通知方法は、特に限定されるものではなく、図5に示したような端末装置4におけるメッセージの表示の他、音声等によって行ってもよい。また、例えば、効率化情報のうち学習開始時刻等は、その時刻に到達した場合に端末装置4が有するアラーム機能等により通知してもよい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に記載した範囲に限定されるものではない。
上述した例では、学習状況取得部311は、学習状況としてユーザが学習を予定している学習科目やその学習方法等の情報を取得しているが、学習状況取得部311は、例えば、学習状況としてユーザが既に行った過去の学習に関する情報を取得してもよい。具体的には、学習状況取得部311は、その日に行った学習についての学習開始時刻、学習終了時刻、学習時間、学習科目、学習方法等の情報を取得してもよい。
この場合、効率化情報生成部315は、効率化情報として、上述したユーザに推奨する学習に関する情報、ユーザに推奨する睡眠に関する情報等の他、過去の学習に関する評価を生成することができる。具体的には、「学習後にすぐ就寝したので、記憶の定着性が良好である。」、「学習後の睡眠時間が不足しているので、学習効率が低下した。」等の評価を生成することができる。そして、ユーザが、過去の学習に関する評価に基づいて学習および睡眠を行うことで、学習効率を向上させることができる。
【0040】
また、学習状況取得部311は、過去の学習に関する情報を取得する場合、学習状況として、その日に行った学習についての学習開始時刻、学習終了時刻、学習時間、学習科目、学習方法等の情報の他、学習を行った際のユーザの感想等の情報を取得してもよい。具体的には、学習状況取得部311は、学習状況として、学習を行った際に眠くなったか否か、眠くなった際の時刻等の情報を取得してもよい。これにより、効率化情報生成部315は、学習状況取得部311が取得したユーザの感想等の情報を加味して、効率化情報を生成することができる。
【0041】
また、上述した例では、学習状況取得部311は、学習状況に関する情報を、端末装置4に対するユーザの入力により取得しているが、これに限定されるものではない。学習状況取得部311は、例えばユーザが所属する団体(学校、予備校、会社、試験機関等)からインターネット10を介して学習状況を取得してもよい。また、例えば、ユーザがインターネット10による動画配信等の通信教育を行っている場合、この通信教育での学習の進行状況等を学習状況として取得してもよい。
【0042】
また、上述した例では、効率化情報生成部315は、ユーザによる学習状況と睡眠中の生体データの分析結果との双方に基づいて、効率化情報を生成しているが、これに限られるものではない。すなわち、効率化情報生成部315は、睡眠中の生体データの分析結果のみに基づいて効率化情報を生成してもよい。上述したように、ユーザによる学習効率は、睡眠中の生体データによって変動し、睡眠中の生体データによってユーザによる学習効率が向上する時刻等が変化する。
したがって、効率化情報生成部315は、睡眠中の生体データの分析結果に基づいて、効率化情報として、学習開始時刻、学習終了時刻、休憩時刻、学習時間等を算出することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…情報処理システム、2…ベッドセンサ、3…サーバ装置、4…端末装置、31…演算装置、33…記憶装置、35…通信装置、37…バス、311…学習状況取得部、313…生体データ分析部、315…効率化情報生成部、317…通知部
図1
図2
図3
図4
図5