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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】電気設備
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
H02B1/40 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020057749
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158825
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 篤志
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-268252(JP,A)
【文献】特開2015-034724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体が壁部に設置される電気設備であって、
前記壁部に固定されると共に、前記筐体における奥行方向の壁部側である裏側の外殻を構成する裏カバーと、
前記裏カバーの底部側から前記奥行方向に突出すると共に幅方向の一方側から他方側まで延在する下側板部、及び前記下側板部の裏側から上側に突出して前記幅方向に延在する板状の取付板部を含んで、前記筐体内における前記高さ方向の下側に配置される下側保護部材と、
前記筐体内において前記下側板部よりも前記高さ方向の上側に配置され、複数の電子部品を含む電気機器と、
前記電気機器における前記奥行方向における前記裏側とは反対側の表側を覆うように配置され、前記下側板部に対して前記奥行方向に間隔をおかずに前記高さ方向に関して前記下側板部と同じ高さか又は前記下側板部よりも下側に位置する下側隙間防止部を含む保護カバーと、
を備える、電気設備。
【請求項2】
筐体が壁部に設置される電気設備であって、
前記壁部に固定されると共に、前記筐体における奥行方向の壁部側である裏側の外殻を構成する裏カバーと、
前記裏カバーの底部側から前記奥行方向に突出すると共に幅方向の一方側から他方側まで延在する下側板部を含んで、前記筐体内における前記高さ方向の下側に配置される下側保護部材と、
前記筐体内において前記下側板部よりも前記高さ方向の上側に配置され、複数の電子部品を含む電気機器と、
前記電気機器における前記奥行方向における前記裏側とは反対側の表側を覆うように配置され、前記下側板部に対して前記奥行方向に間隔をおかずに前記高さ方向に関して前記下側板部と同じ高さか又は前記下側板部よりも下側に位置する下側隙間防止部を含む保護カバーと、
前記裏カバーの前記底部側から前記奥行方向に突出すると共に前記幅方向の一方側から他方側まで延在して前記電気機器よりも前記高さ方向の上側に位置する上側板部を含んで、前記筐体内における前記高さ方向の上側に配置される上側保護部材と、
を備える、電気設備。
【請求項3】
筐体が壁部に設置される電気設備であって、
前記壁部に固定されると共に、前記筐体における奥行方向の壁部側である裏側の外殻を構成する裏カバーと、
前記裏カバーの底部側から前記奥行方向に突出すると共に幅方向の一方側から他方側まで延在する下側板部を含んで、前記筐体内における前記高さ方向の下側に配置される下側保護部材と、
前記筐体内において前記下側板部よりも前記高さ方向の上側に配置され、複数の電子部品を含む電気機器と、
前記電気機器における前記奥行方向における前記裏側とは反対側の表側を覆うように配置され、前記下側板部に対して前記奥行方向に間隔をおかずに前記高さ方向に関して前記下側板部と同じ高さか又は前記下側板部よりも下側に位置する下側隙間防止部を含む保護カバーと、を備え、
前記裏カバーの前記底部側から前記奥行方向に突出すると共に前記幅方向の一方側から他方側まで延在して前記電気機器よりも前記高さ方向の上側に位置する上側板部を含んで、前記筐体内における前記高さ方向の上側に配置される上側保護部材を備え、
前記上側保護部材が、前記高さ方向の上側に突出すると共に前記幅方向に間隔をおいて配置される複数の突起を有し、
前記保護カバーが、前記複数の突起を係止する複数の貫通孔を有する上側平板部を前記高さ方向の上側に有し、
前記保護カバーは、略前記奥行方向に延在する締結部材で前記筐体に対して静止している静止部に固定され、
前記下側隙間防止部の前記奥行方向の前記裏側の先端が、前記下側板部の前記奥行方向の前記表側の先端よりも前記奥行方向の前記裏側に位置する、電気設備。
【請求項4】
前記上側保護部材が、前記奥行方向の前記表側に前記高さ方向の上側に突出すると共に前記幅方向に延在する表側板部を有し、
前記保護カバーが、前記奥行方向の前記裏側に前記高さ方向の上側に突出すると共に前記幅方向に延在して前記表側板部に当接する裏側板部を有する、請求項に記載の電気設備。
【請求項5】
前記裏カバーが、前記筐体の内部室の少なくとも一部を画定する環状壁部を有し、
前記環状壁部が、前記幅方向に略平行に延在すると共に前記高さ方向に間隔をおいて対向する上側壁部及び下側壁部を有し、
前記上側板部と、前記上側壁部との間に上側スペースが存在すると共に、前記下側板部と、前記下側壁部との間に下側スペースが存在し、
前記上側スペースにおける前記高さ方向の最大寸法が、前記下側スペースにおける前記高さ方向の最大寸法よりも大きい、請求項又はに記載の電気設備。
【請求項6】
前記上側保護部材の前記奥行方向の表側の先端が、前記裏カバーにおける前記奥行方向の前記表側の先端と同じ前記奥行方向の位置に存在するか、又は前記裏カバーの前記先端よりも前記奥行方向の前記裏側に存在し、
前記下側保護部材の前記奥行方向の表側の先端が、前記裏カバーにおける前記先端と同じ前記奥行方向の位置に存在するか、又は前記裏カバーの前記先端よりも前記奥行方向の前記裏側に存在する、請求項からのいずれか1つに記載の電気設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気設備としては、特許文献1に記載されている分電盤がある。分電盤は、例えば、箱状の筐体、筐体内に設置された漏電遮断器、及び筐体内に設置された配線用遮断器を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-081998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分電盤は、漏電遮断器や配線用遮断器等を含む電気機器を筐体内に備えるが、施工不良等に起因して電気機器が異常発熱した場合でも、その影響が分電盤外に及ぶことを抑制できると、安全に万全を期すことができて好ましい。
【0005】
そこで、本開示の目的は、電気機器が異常発熱した場合でも、その影響が外部に及びにくい電気設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係る電気設備は、筐体が壁部に設置される電気設備であって、壁部に固定されると共に、筐体における奥行方向の壁部側である裏側の外殻を構成する裏カバーと、裏カバーの底部側から奥行方向に突出すると共に幅方向の一方側から他方側まで延在する下側板部を含んで、筐体内における高さ方向の下側に配置される下側保護部材と、筐体内において下側板部よりも高さ方向の上側に配置され、複数の電子部品を含む電気機器と、電気機器における奥行方向における裏側とは反対側の表側を覆うように配置され、下側板部に対して奥行方向に間隔をおかずに高さ方向に関して下側板部と同じ高さか又は下側板部よりも下側に位置する下側隙間防止部を含む保護カバーと、を備える。
【0007】
なお、高さ方向は、電気設備が壁部に適切に設置された状態における鉛直方向と定義してもよく、奥行方向は、電気設備が壁部に適切に設置された状態における壁面の法線方向と定義してもよい。また、幅方向は、電気設備が壁部に適切に設置された状態における鉛直方向と上記法線方向の両方に直交する直交方向として定義してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る電気設備によれば、電気機器が異常発熱した場合でも、その影響が外部に及びにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の電気設備の一実施形態を構成する分電盤の斜視図である。
図2】分電盤の主要構成の分解斜視図である。
図3】分電盤の表カバーの枠体を裏側から見たときの斜視図である。
図4】分電盤の機器本体の斜視図である。
図5】分電盤の裏カバーを表側から見たときの斜視図である。
図6】分電盤本体を斜め上側から見たとき拡大斜視図である。
図7】分電盤の内保護板の拡大斜視図である。
図8】分電盤本体と、それに固定された内保護板を示す斜視図である。
図9図8のB-B線断面図である。
図10図6に示す図と異なる角度から分電盤本体を見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、本明細書で、「略」という文言を用いた場合、「大雑把に言って」という文言と同じ意味合いで用いており、「略~」という要件は、人がだいたい~のように見えれば満たされる。例を挙げれば、略円形という要件は、人がだいたい円形に見えれば満たされる。また、図面及び以下の説明において、X方向は、奥行方向を示し、Y方向は、幅方向を示し、Z方向は、高さ方向を示す。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。
【0011】
また、以下の説明において、上側、上方とは、分電盤1が壁部に適切に設置された状態におけるZ方向(鉛直方向)の上側、上方を示し、下側、下方とは、分電盤1が壁部に適切に設置された状態におけるZ方向(鉛直方向)の下側、下方を示す。また、表側とは、分電盤1が壁部に適切に設置された状態におけるX方向(壁面の法線方向)の壁部側とは反対側(前側)を示し、裏側とは、分電盤1が壁部に適切に設置された状態におけるX方向(壁面の法線方向)の壁部側(後側)を示す。
【0012】
図1は、本開示の電気設備の一実施形態を構成する分電盤1の斜視図であり、図2は、分電盤1の主要構成の分解斜視図である。図1に示すように、分電盤1は、箱形状を有し、例えば、建物(図示せず)において鉛直方向を含む壁面を有する壁部(図示せず)に設置される。図2に示すように、分電盤1は、樹脂製の表カバー10、保護カバーとしての内保護板30、及び分電盤本体50を備える。図1及び図2に示すように、表カバー10は、枠体11と、蓋18を有する。蓋18は、例えば、ヒンジ等の公知の旋回を可能にする構造により、枠体11に対して図1に矢印Aに示す方向に旋回可能になっている。
【0013】
図1に示すように、蓋18は、分電盤1が適切に壁部に設置されている状態で、Z方向下側に開口する切欠き12をY方向の中央部に有する。人が、その切欠き12を有して蓋18の下側を上側に旋回させると、分電盤1のX方向表側に開口14(図3参照)が現れ、人が分電盤1の操作部(スイッチ)51(図4参照)にアクセス可能になる。図3は、表カバー10の枠体11を、裏側から見たときの斜視図である。図3に示すように、枠体11は、複数の係止部16を有し、複数の係止部16を用いて、分電盤本体50(図2参照)の所定位置に係止される。なお、表カバー10は、分電盤本体50に固定手段で固定されてもよく、例えば、締結部材で、分電盤本体50に固定されてもよく、スナップフィットを用いて分電盤本体50に固定されてもよい。
【0014】
図2を参照して、内保護板30は、金属で構成され、表カバー10の裏側(内側)に締結部材等で固定され、工具を用いなければ人が着脱できないようになっている。内保護板30の表側面と裏側面は、電気機器62の事故による発火を防ぐための金属保護面になっており、内保護板30は、安全に万全を期すために設けられている。内保護板30は、X方向から見たときに、分電盤本体50に設けられた操作部51に重なる箇所に複数の貫通孔31を有し、蓋18を上側に旋回させると、人が貫通孔31を介して操作部51を操作できるようになっている。
【0015】
図2に示すように、分電盤本体50は、機器本体60と、裏カバー90を備え、機器本体60は、裏カバー90に固定され、裏カバー90は、図示しない壁部に固定される。図4は、機器本体60の斜視図である。図4に示すように、機器本体60は、機器用ベース61、複数の電子部品を含む電気機器62、上保護板65、及び下保護板75を有する。電気機器62は、例えば、漏電遮断器(漏電ブレーカー)や配線用遮断器(安全ブレーカー)を有する。電気機器62は、更に、電流制限器(アンペアブレーカー)を有してもよい。機器用ベース61は、金属板であり、電気機器62は、機器用ベース61に固定される。機器用ベース61は、YZ平面に略平行に広がる平板部61aを有し、平板部61aを裏カバー90の底部91(図5参照)に複数のねじ95で固定することで電気機器62が機器用ベース61を介して裏カバー90に固定される。
【0016】
上保護板65は、金属で構成され、例えば、金属板に曲げ加工を施すだけで形成される。図4に示すように、上保護板65は、Y方向の一方側から他方側まで延在する。上保護板65は、表側に突出してY方向に延在する板状の上側機器被覆板部66と、上側機器被覆板部66の裏側から下側に突出してY方向に延在する板状の取付板部67を有する。上側機器被覆板部66は、上側板部を構成する。上側機器被覆板部66は、XY平面に対して鋭角をなして傾斜してもよいが、本実施例のようにXY平面に略平行に広がっていると好ましい。上側機器被覆板部66は、電気機器62の上側に位置して、Y方向の全域又は略全域に亘って電気機器62をY方向に被覆する。取付板部67は、YZ平面に略平行に広がる。機器用ベース61の平板部61aは、表側から見たときに取付板部67に重なる取付部61bを有し、取付部61bは、貫通孔を有し、取付板部67も、その貫通孔にX方向に重なる箇所に貫通孔を有する。ねじ96を、取付部61bの貫通孔と取付板部67の貫通孔に挿入して裏カバー90の底部91に締め込むことで、上保護板65が機器用ベース61に対して精密に位置決めされた状態で裏カバー90に固定される。
【0017】
下保護板75は、金属で構成され、例えば、金属板に曲げ加工を施すだけで形成される。下保護板75は、Y方向の一方側から他方側まで延在する。下保護板75は、表側に突出してY方向に延在する板状の下側機器被覆板部76と、下側機器被覆板部76の裏側から上側に突出してY方向に延在する板状の取付板部77を有する。下側機器被覆板部76は、下側板部を構成する。下側機器被覆板部76は、XY平面に対して鋭角をなして傾斜してもよいが、本実施例のようにXY平面に略平行に広がっていると好ましい。下側機器被覆板部76は、電気機器62の下側に位置して、Y方向の全域又は略全域に亘って電気機器62をY方向に被覆する。取付板部77は、YZ平面に略平行に広がる。機器用ベース61の平板部61aは、表側から見たときに取付板部77に重なる取付部61cを有し、取付部61cは、貫通孔を有し、取付板部77も、その貫通孔にX方向に重なる箇所に貫通孔を有する。ねじ97を、取付部61cの貫通孔と取付板部77の貫通孔に挿入して裏カバー90の底部91に締め込むことで、下保護板75が機器用ベース61に対して精密に位置決めされた状態で裏カバー90に固定される。
【0018】
上側機器被覆板部66と、下側機器被覆板部76は、Z方向の両側で電気機器62を覆った状態でZ方向に対向する。このような上側及び下側機器被覆板部66,76を設けることで、電気機器62の施工不良等で、電気機器62が発火したとしても、上側機器被覆板部66で炎が上側に流動することを堰き止めることができ、発火の影響が外部に及ぶことを効果的に抑制できる。また、そのような場合に、高熱の溶融流動体が下側に流動したとしても、溶融流動体が下側に流動することを下側機器被覆板部76で堰き止めることができ、発火の影響が外部に及ぶことを効果的に抑制できる。したがって、仮に電気機器62が発火したとしても、その発火の影響が外部に及ぶことを効果的に抑制でき、安全に万全を期すことができる。
【0019】
図5は、裏カバー90を表側から見たときの斜視図である。図5に示すように、裏カバー90は、筐体15におけるX方向裏側の外殻を構成する。裏カバー90は、樹脂で構成される。裏カバー90は、表側に突出する一体で環状の環状壁部93を有する。環状壁部93は、筐体15の内部室17の裏側の少なくとも一部を画定する。環状壁部93は、Y方向に略平行に延在すると共にZ方向に間隔をおいて対向する上側壁部93a及び下側壁部93bを有する。また、環状壁部93は、Z方向に略平行に延在すると共にY方向に間隔をおいて対向する第1側壁部93c及び第2側壁部93dを含む。また、裏カバー90は、環状壁部93の裏側に繋がると共にYZ平面に略平行に広がる底部91を有する。
【0020】
次に、分電盤本体50への内保護板30の固定構造について説明する。図6は、分電盤本体50の拡大斜視図である。図6に示すように、上側機器被覆板部66においてY方向の第1の側に位置する第1端部68とY方向の第2の側に位置する第2端部69の夫々は、中央に位置する中央部70よりも下側に位置すると共に幅(X方向の寸法)が長くなっている。第1及び第2端部68,69の夫々は、段部を介して中央部70に繋がっている。上保護板65は、第1端部68の表側から上側に突出する突起68aと、第2端部69の表側から上側に突出する突起69aを有する。また、中央部70は、表側に上側に突出すると共にY方向に延在する表側板部70aを有する。本実施例では、上側機器被覆板部66が、Y方向に間隔をおいて位置する複数の表側板部70aを有するが、上側機器被覆板部は、上側機器被覆板部の第1の側から第2の側までY方向に延在する1つのみの表側板部を有してもよい。
【0021】
図7は、内保護板30の拡大斜視図である。図7に示すように、内保護板30は、被覆板部33、上側平板部34、連結部35、及び下側隙間防止部としての下側平板部36を有する。被覆板部33は、上述の貫通孔31を有し、YZ平面に略平行に広がって電気機器62の表側を被覆する。上側平板部34は、被覆板部33の上側縁部から後側に突出してXY平面に略平行に広がる。上側平板部34においてY方向の第1の側に位置する第1端部38とY方向の第2の側に位置する第2端部39の夫々は、中央に位置する中央部40よりも幅(X方向の寸法)が長くなっている。第1及び第2端部38,39の夫々は、貫通孔38a,39aを有する。
【0022】
連結部35は、被覆板部33の下側縁部から下側に延在する。詳しくは、連結部35は、Z方向の下側に行くにしたがってX方向の裏側に位置し、YZ平面に対して傾斜する。下側平板部36は、連結部35の下側縁部から裏側に延在する。下側平板部36は、XY平面に略平行に広がる。内保護板30は、更に、裏側板部41を有する。裏側板部41は、中央部40の裏側から上側に突出すると共にY方向に延在してYZ平面に略平行に広がる。
【0023】
なお、本実施例では、下側平板部36が、連結部35を介して被覆板部33に連らなっていたが、下側平板部は、連結部を介さずに被覆板部の下側縁部から延在してもよい。また、下側平板部が、XY平面に略平行に広がる場合について説明したが、下側平板部は、XY平面に対して鋭角をなして傾斜してもよい。
【0024】
図8は、分電盤本体50と、それに固定された内保護板30を示す斜視図である。図8に示すように、第1端部38の下面が上保護板65に接触するまで、突起68aが貫通孔38aに挿入され、第2端部39の下面が上保護板65に接触するまで、突起69aが貫通孔39aに挿入される。また、その状態で、内保護板30は、略X方向に延在するねじ45で筐体15に対して静止している静止部47(図4参照)に固定される。より詳しくは、内保護板30の被覆板部33はねじ孔を有し、静止部47もねじ孔48(図4参照)を有する。ねじ45を、被覆板部33のねじ孔、静止部47のねじ孔48の順に締め込むことで内保護板30が静止部47に固定される。なお、静止部47は、筐体15の一部でもよく、筐体以外の部材の一部でもよい。
【0025】
図8に示すように、内保護板30が静止部47に固定されている状態で、上保護板65の表側板部70aが、内保護板30の裏側板部41に隙間なく当接する。これにより、電気機器62の上側を内保護板30と内保護板30で確実に閉鎖でき、仮に電気機器62が発火したとしても、炎が上保護板65よりも上側に達することを確実に防止できる。
【0026】
また、図8に加えて、図9、すなわち、図8のB-B線断面図も参照して、内保護板30が静止部47に固定されている状態で、下側平板部36が、下側機器被覆板部76に対してX方向に間隔をおかずにZ方向に関して下側機器被覆板部76よりも下側に位置している。更には、下側平板部36のX方向の裏側の先端が、下側機器被覆板部76のX方向の表側の先端よりもX方向の裏側に位置している。したがって、内保護板30が静止部47に固定されている状態で、電気機器62が発火して、高熱の溶融流動体が下側に流動したとしても、その溶融流動体が下側に流動することを、下側平板部36と下側機器被覆板部76で効果的に堰き止めることができる。よって、仮に電気機器62が発火したとしても、その発火の影響が外部に及ぶことを効果的に抑制できる。
【0027】
図5及び図9を参照して、裏カバー90は、上述のように、筐体15の内部室17の少なくとも一部を画定する環状壁部93を有し、環状壁部93が、Y向に略平行に延在すると共にZ方向に間隔をおいて対向する上側壁部93a及び下側壁部93bを有する。また、図9に示すように、上側機器被覆板部66と、裏カバー90の上側壁部93aとの間に上側スペース88が存在すると共に、下側機器被覆板部76と、裏カバー90の下側壁部93bとの間に下側スペース89が存在する。そして、上側スペース88におけるZ方向の最大寸法x1が、下側スペース89におけるZ方向の最大寸法x2よりも大きくなっている。
【0028】
したがって、上側スペース88及び下側スペース89で外部に対して電気機器62を断熱し易くて、仮に電気機器62が異常発熱したとしても、その影響が外部に及びにくくすることができる。また、上側スペース88におけるZ方向の最大寸法x1が、下側スペース89におけるZ方向の最大寸法x2よりも大きくなっているので、電気機器62が異常発熱した場合に高熱になり易い上側スペース88の断熱性を優れたものにでき、より安全に万全を期すことができる。
【0029】
図10は、分電盤本体50を斜め上側から見たとき斜視図である。図10に示すように、上保護板65のX方向の表側の先端が、裏カバー90におけるX方向の表側の先端99よりもX方向の裏側に存在している。また、下保護板75のX方向の表側の先端も、裏カバー90の先端99よりもX方向の裏側に存在している。このため、上保護板65と下保護板75を設置しても、人が、それらの部材65,75で、電気機器62の施工作業やメンテナンス作業を行いにくくなることがなく、人が、それらの作業を円滑に行うことができる。
【0030】
なお、筐体15内の金属部品は、互いに全て導通している。また、分電盤1は、電気機器62の上側と下側をY方向に被覆する部材65,75を備える一方、電気機器62のY方向の側方をZ方向に被覆する部材を有さない。これは、高熱の炎や溶融流動体は、Z方向に流動するので、電気機器62のY方向の側方をZ方向に被覆する部材を設けても、あまり意味がないからである。本実施例では、分電盤1が、電気機器62の上側と下側をY方向に被覆する部材65,75を備える一方、電気機器62のY方向の側方をZ方向に被覆する部材を備えないので、安全性が高い分電盤1を格段に安価に製造できる。
【0031】
以上、分電盤1の筐体15は壁部に設置される。また、分電盤1は、壁部に固定されると共に、筐体15の裏側の外殻を構成する裏カバー90と、裏カバー90の底部側からX方向に突出すると共にY方向の一方側から他方側まで延在する下側機器被覆板部(下側板部)76を含み、筐体15内におけるZさ方向の下側に配置される下保護板75を備える。また、分電盤1は、筐体15内において下側機器被覆板部76よりもZ方向の上側に配置され、複数の電子部品を含む電気機器62を備える。また、分電盤1は、電気機器62におけるX方向の裏側とは反対側の表側を覆うように配置され、下側機器被覆板部76に対してX方向に間隔をおかずにZ方向に関して下側機器被覆板部76よりも下側に位置する下側平板部(下側隙間防止部)36を含む内保護板(保護カバー)30を備える。
【0032】
したがって、電気機器62の施工不良等で、電気機器62が発火して高熱の溶融流動体が下側に流動したとしても、溶融流動体が下側に流動することを下側機器被覆板部76で堰き止めることができ、発火の影響が外部に及ぶことを抑制できる。したがって、電気機器62が発火したとしても、その発火の影響が外部に及ぶことを抑制できる。また、下側機器被覆板部76で電気機器62からの熱が外殻に達することを抑制できるので、通常時の外殻温度を低減させることもできる。
【0033】
また、分電盤1は、裏カバー90の底部側からX方向に突出すると共にY方向の一方側から他方側まで延在して電気機器62よりもZ方向の上側に位置する上側機器被覆板部66を含んで、筐体15内におけるZ方向の上側に配置される上保護板(上側保護部材)65を備えてもよい。また、上保護板65が、Z方向の上側に突出すると共にY方向に間隔をおいて配置される複数の突起68a,69aを有すると共に、内保護板30が、複数の突起68a,69aを係止する複数の貫通孔38a,39aを有する上側平板部34をZ方向の上側に有してもよい。また、内保護板30は、略X方向に延在する1以上のねじ45で筐体15に対して静止している静止部47に固定されてもよい。また、下側平板部36のX方向の裏側の先端が、下側機器被覆板部76のX方向の表側の先端よりもX方向の裏側に位置してもよい。
【0034】
本構成によれば、電気機器62の施工不良等で、電気機器62が発火したとしても、上側機器被覆板部66で炎が上側に流動することを堰き止めることができ、発火の影響が外部に及ぶことを効果的に抑制できる。また、上側機器被覆板部66で電気機器62からの熱が外殻に達することを抑制できるので、通常時の外殻温度を低減させることもできる。
【0035】
また、突起68a,69aと貫通孔38a,39aを含む引掛け構造と、ねじ45とを用いて上保護板65を分電盤本体50に簡単かつ確実に固定できる。更には、下側平板部36のX方向の裏側の先端が、下側機器被覆板部76のX方向の表側の先端よりもX方向の裏側に位置して、Z方向から見たときに下側平板部36と下側機器被覆板部76が互いに重なる部分を有しているので、下側機器被覆板部76における溶融流動体の下側移動の阻止性能を更に優れたものにできる。
【0036】
また、上保護板65が、X方向の表側にZ方向の上側に突出すると共にY方向に延在する表側板部70aを有してもよく、内保護板30が、X方向の裏側にZ方向の上側に突出すると共にY方向に延在して表側板部70aに当接する裏側板部41を有してもよい。
【0037】
本構成によれば、電気機器62の上側を内保護板30と内保護板30で確実に閉鎖できる。よって、仮に電気機器62が発火したとしても、上保護板65よりも上側に達することを確実に防止できる。
【0038】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態では、内保護板30の下側平板部36が下保護板75の下側機器被覆板部76に対してX方向に間隔をおかずにZ方向に関して下側機器被覆板部76よりも下側に位置する場合について説明した。しかし、保護カバーの下側隙間防止部は、下側保護部材の下側板部に対してX方向に間隔をおかずにZ方向に関して下側板部と同じ高さに位置してもよく、保護カバーの下側隙間防止部の裏側の先端と、下側保護部材の下側板部の表側の先端とが、互いに接触する構成でもよい。
【0040】
また、上保護板65のX方向の表側の先端が、裏カバー90におけるX方向の表側の先端よりもX方向の裏側に存在すると共に下保護板75のX方向の表側の先端が裏カバー90におけるX方向の表側の先端よりもX方向の裏側に存在する場合について説明した。しかし、上側保護部材のX方向の表側の先端が、裏カバーにおけるX方向の表側の先端と同じX方向の位置に存在してもよい。また、下側保護部材のX方向の表側の先端が、裏カバーにおけるX方向の表側の先端と同じX方向の位置に存在してもよい。又は、上側保護部材のX方向の表側の先端が、裏カバーにおけるX方向の表側の先端よりもX方向の表側に位置してもよい。また、下側保護部材のX方向の表側の先端も、裏カバーにおけるX方向の表側の先端よりもX方向の表側に位置してもよい。
【0041】
また、上保護板65の表側板部70aが、内保護板30の裏側板部41に当接する場合について説明したが、上側保護部材の表側板部は、保護カバーの裏側板部に当接しなくてもよい。また、上側スペース88におけるZ方向の最大寸法x1が、下側スペース89におけるZ方向の最大寸法x2よりも大きくなっている場合について説明したが、上側スペースにおけるZ方向の最大寸法x1は、下側スペースにおけるZ方向の最大寸法x2よりも大きくなっていなくてもよい。そもそも、本開示の電気設備は、上側保護部材を備えていなくてもよい。
【0042】
また、上保護板65、下保護板75、及び内保護板30が、金属で構成され、表カバー10、及び裏カバー90が、樹脂で構成される場合について説明した。しかし、上側保護部材、下側保護部材、及び保護カバーは、樹脂で構成されてもよく、表カバー、及び裏カバーは、金属で構成されてもよい。
【0043】
また、電気設備が、分電盤である場合について説明したが、電気設備は、壁部に設置されて電気機器を備える装置であれば如何なる装置でもよく、例えば、インターホン親機や子機でもよく、又は、液晶パネル等の表示部と操作部を有して複数の機器の動作管理を実行すると共に、壁部に設置される情報処理装置等でもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 分電盤、 15 筐体、 17 内部室、 30 内保護板、 34 上側平板部、 36 下側平板部、 38a,39a 貫通孔、 41 裏側板部、 45,95,96,97 ねじ、 47 静止部、 50 分電盤本体、 60 機器本体、 61 機器用ベース、 62 電気機器、 65 上保護板、 66 上側機器被覆板部、 68a,69a 突起、 70a 表側板部、 75 下保護板、 76 下側機器被覆板部、 88 上側スペース、 89 下側スペース、 90 裏カバー、 93 環状壁部、 93a 上側壁部、 93b 下側壁部、 x1 上側スペースのZ方向の最大寸法、 x2 下側スペースのZ方向の最大寸法。
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