IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人九州大学の特許一覧 ▶ 日本曹達株式会社の特許一覧

特許7386486イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子
<>
  • 特許-イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子 図1
  • 特許-イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子 図2
  • 特許-イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子 図3
  • 特許-イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子 図4
  • 特許-イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子 図5
  • 特許-イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/86 20060101AFI20231117BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20231117BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231117BHJP
【FI】
C07D209/86 CSP
C09K11/06 645
H05B33/14 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021526078
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2020022547
(87)【国際公開番号】W WO2020250851
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2019111304
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】安田 琢麿
(72)【発明者】
【氏名】楊 旻朗
(72)【発明者】
【氏名】朴 仁燮
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】宮下 康弘
(72)【発明者】
【氏名】芦刈 康彦
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006988(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0062250(KR,A)
【文献】国際公開第2018/237389(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0049525(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107652225(CN,A)
【文献】特表2016-516085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物(I-1)または(I-2)
【化1】
【請求項2】
記化合物(II-2)または(II-3)。
【化2】
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物から選ばれる少なくともひとつを含む発光材料。
【請求項4】
請求項に記載の発光材料を含有する発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子に関する。より詳細に、本発明は、らせん構造に基づくキラリティが安定で、発光特性に優れるイソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子に関する。
本願は、2019年6月14日に、日本に出願された特願2019-111304号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子に用いられる発光材料が種々提案されている。例えば、特許文献1は、式(A)で表される化合物を開示している。
【0003】
【化1】
【0004】
式(A)において、R11~R15の少なくとも1つはシアノ基を表し、R11~R15の少なくとも1つは式(A1)で表される基を表し、残りのR11~R15は水素原子または置換基を表す。
【0005】
【化2】
【0006】
式(A1)において、R21~R28はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、R25およびR26は一緒になって単結合を形成してもよく、R27およびR28は一緒になってR27およびR28が結合する炭素原子と伴に置換もしくは無置換のベンゼン環を形成してもよい。
【0007】
特許文献2は、式(B)で表される化合物を開示している。
【0008】
【化3】
【0009】
式(B)において、R11~R15は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11~R15のうちの1個はシアノ基を表し、R11~R15のうち1~3個は、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよいアリール基Ar(ただし後者のアリール基を構成するベンゼン環には、炭素原子の他に酸素原子または硫黄原子を環骨格構成原子として含んでいてもよい環が縮合していてもよいが、酸素原子および硫黄原子以外のヘテロ原子を環骨格構成原子として含む環が縮合していることはない。)を表し、R11~R15のうち2個以上がArであるとき、それらArは互いに同一であっても異なってもよく、R11~R15のうちの1~3個は、ドナー性基D(ただしArに該当するものは除く。)を表し、R11~R15のうちの2個以上がDであるとき、それらDは互いに同一であっても異なってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO2013/154064A1
【文献】WO2019/004254A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、発光特性に優れるイソフタロニトリル化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく検討した結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
〔1〕 式(I)、式(II)または式(III)で表される化合物。
【0013】
【化4】
【0014】
式(I)中、
1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはヘテロアリール基であり、且つR1、R2、R3およびR4が同時に水素原子であることはない。
【0015】
【化5】
【0016】
式(II)中、
5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり、R5およびR6が同時に水素原子であることはなく、
1およびL2は、それぞれ独立して、アリール基である。
【0017】
【化6】
【0018】
式(III)中、
7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、アリール基、またはヘテロアリール基であり、R7、R8、R9およびR10が同時に水素原子であることはなく、且つ
1、およびL2は、それぞれ独立して、アリール基である。
【0019】
〔2〕 〔1〕に記載の化合物から選ばれる少なくともひとつを含む発光材料。
〔3〕 〔2〕に記載の発光材料を含有する発光素子。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るイソフタロニトリル化合物は、発光材料として有用である。本発明に係る発光材料を含有する発光素子は、優れた発光効率を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例4で製造したトルエン溶液のPLスペクトルを示す図である。
図2】実施例5で製造した有機エレクトロミネッセンス素子の電圧-電流密度特性を示す図である。
図3】実施例5で製造した有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度-外部量子効率特性を示す図である。
図4】実施例9で製造したトルエン溶液のPLスペクトルを示す図である。
図5】実施例10で製造した有機エレクトロミネッセンス素子の電圧-電流密度特性を示す図である。
図6】実施例6~8で製造した有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度-外部量子効率特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のイソフタロニトリル化合物は、式(I)、式(II)または式(III)で表される化合物である。
【0023】
【化7】
【0024】
式(I)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはヘテロアリール基であり、且つR1、R2、R3およびR4が同時に水素原子であることはない。
【0025】
【化8】
【0026】
式(II)中、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり、R5およびR6が同時に水素原子であることはない。
式(II)中、L1およびL2は、それぞれ独立して、アリール基である。
【0027】
【化9】
【0028】
式(III)中、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、アリール基、またはヘテロアリール基であり、R7、R8、R9およびR10が同時に水素原子であることはない。
式(III)中、L1およびL2は、それぞれ独立して、アリール基である。
【0029】
本発明において、用語「無置換(unsubstituted)」は、母核となる基のみであることを意味する。母核となる基の名称のみで記載しているときは、別段の断りがない限り「無置換」の意味である。
一方、用語「置換(substituted)」は、母核となる基のいずれかの水素原子が、母核と同一または異なる構造の基で置換されていることを意味する。従って、「置換基」は、母核となる基に結合した他の基である。置換基は1個であってもよいし、2個以上であってもよい。2個以上の置換基は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0030】
「置換基」は化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。
「置換基」となり得る基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基などのC2~6アルケニル基;
【0031】
エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-メチル-3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、2-メチル-3-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、1,1-ジメチル-2-ブチニル基などのC2~6アルキニル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、キュバニル基などのC3~8シクロアルキル基;
2-シクロプロペニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロヘキセニル基、4-シクロオクテニル基などのC3~8シクロアルケニル基;
フェニル基、ナフチル基などのC6~10アリール基;
ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などの5員環のヘテロアリール基;
ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基などの6員環のヘテロアリール基;
インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基などの縮合環のヘテロアリール基;
オキシラニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、ジオキラニル基などの環状エーテル基;
アジリジニル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基などの環状アミノ基;
【0032】
水酸基; オキソ基;
メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;
ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基などのC2~6アルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基などのC2~6アルキニルオキシ基;
フェノキシ基、ナフトキシ基などのC6~10アリールオキシ基;
チアゾリルオキシ基、ピリジルオキシ基などの5~6員環のヘテロアリールオキシ基;
【0033】
カルボキシル基;
ホルミル基; アセチル基、プロピオニル基などのC1~6アルキルカルボニル基;
ホルミルオキシ基; アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのC1~6アルキルカルボニルオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基などのC1~6アルコキシカルボニル基;
【0034】
クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基、パーフルオロ-n-ペンチル基などのC1~6ハロアルキル基;
2-クロロ-1-プロペニル基、2-フルオロ-1-ブテニル基などのC2~6ハロアルケニル基;
4,4-ジクロロ-1-ブチニル基、4-フルオロ-1-ペンチニル基、5-ブロモ-2-ペンチニル基などのC2~6ハロアルキニル基;
3,3-ジフルオロシクロブチル基などのC3~6ハロシクロアルキル基;
2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基;
2-クロロプロペニルオキシ基、3-ブロモブテニルオキシ基などのC2~6ハロアルケニルオキシ基;
クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基などのC1~6ハロアルキルカルボニル基;
【0035】
シアノ基; ニトロ基; アミノ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのC1~6アルキルアミノ基;
アニリノ基、ナフチルアミノ基などのC6~10アリールアミノ基;
ホルミルアミノ基; アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i-プロピルカルボニルアミノ基などのC1~6アルキルカルボニルアミノ基;
メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、i-プロポキシカルボニルアミノ基などのC1~6アルコキシカルボニルアミノ基;
S,S-ジメチルスルホキシイミノ基などのC1~6アルキルスルホキシイミノ基;
【0036】
アミノカルボニル基;
メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、i-プロピルアミノカルボニル基などのC1~6アルキルアミノカルボニル基;
イミノメチル基、(1-イミノ)エチル基、(1-イミノ)-n-プロピル基などのイミノC1~6アルキル基;
ヒドロキシイミノメチル基、(1-ヒドロキシイミノ)エチル基、(1-ヒドロキシイミノ)プロピル基などのヒドロキシイミノC1~6アルキル基;
メトキシイミノメチル基、(1-メトキシイミノ)エチル基などのC1~6アルコキシイミノC1~6アルキル基;
【0037】
メルカプト基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1~6アルキルチオ基;
トリフルオロメチルチオ基、2,2,2-トリフルオロエチルチオ基などのC1~6ハロアルキルチオ基;
ビニルチオ基、アリルチオ基などのC2~6アルケニルチオ基;
エチニルチオ基、プロパルギルチオ基などのC2~6アルキニルチオ基;
メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基などのC1~6アルキルスルフィニル基;
トリフルオロメチルスルフィニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルフィニル基などのC1~6ハロアルキルスルフィニル基;
アリルスルフィニル基などのC2~6アルケニルスルフィニル基;
プロパルギルスルフィニル基などのC2~6アルキニルスルフィニル基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基などのC1~6アルキルスルホニル基;
トリフルオロメチルスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニル基などのC1~6ハロアルキルスルホニル基;
アリルスルホニル基などのC2~6アルケニルスルホニル基;
プロパルギルスルホニル基などのC2~6アルキニルスルホニル基;
【0038】
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基などのトリC1~6アルキルシリル基;
トリフェニルシリル基などのトリC6~10アリールシリル基。
また、これらの「置換基」は、当該置換基中のいずれかの水素原子が、異なる構造の基で置換されていてもよい。
【0039】
「C1~6」などの用語は、母核となる基の炭素原子数が1~6個などであることを表している。この炭素原子数には、置換基の中に在る炭素原子の数を含まない。例えば、エトキシブチル基は、母核となる基がブチル基であり、置換基がエトキシ基であるので、C2アルコキシC4アルキル基に分類する。
【0040】
1、R2、R3、R4、R5およびR6における「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などを挙げることができ、炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。
【0041】
5、R6、R7、R8、R9およびR10ならびにL1およびL2における「アリール基」を構成する炭素原子の数は、6~40が好ましく、6~20がより好ましく、6~14がさらに好ましく、炭素数6がよりさらに好ましい。
無置換アリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アズレニル基、インダニル基、テトラリニル基などを挙げることができる。
置換アリール基としては、4-フルオロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,4-メチレンジオキシフェニル基、4-トリフルオロメトキシフェニル基、4-メトキシ-1-ナフチル基などを挙げることができる。
これらの中でも、「アリール基」は、フェニル基であることが好ましい。
【0042】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10における「ヘテロアリール基」は、単環または多環のいずれでもよい。多環ヘテロアリール基は、少なくとも一つの環がヘテロ芳香環であれば、残りの環が飽和環、不飽和環または芳香環のいずれであってもよい。ヘテロアリール基を構成する原子の数は、5~40が好ましく、5~26がより好ましく、5~14がさらに好ましい。
ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などの5員環のヘテロアリール基;ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基などの6員環のヘテロアリール基;インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基などの縮合環のヘテロアリール基;などを挙げることができるが、下記式(ia)又は(ib)で示される基であることが好ましい。
【0043】
【化10】
【0044】
上記式(ia)及び(ib)中、*は、式(I)~(III)中のカルバゾリル基を構成する炭素原子又は窒素原子との結合手を示す。
【0045】
これらの中でも、式(I)中、R1、R2、R3およびR4は、各々独立して、C1~6アルキル基であることが好ましい。
【0046】
式(II)中、R5およびR6は、各々独立して、水素原子、C1~6アルキル基、フェニル基、上記式(ia)で示される基、又は、上記式(ib)で示される基であることが好ましい。ここで、R5およびR6が同時に水素原子であることはない。さらに、R5およびR6の少なくとも一方が、C1~6アルキル基又はフェニル基である場合に、他方が水素原子でないことが好ましい。
L及びLは、好ましくは、フェニル基である。
【0047】
式(III)中、R7、R8、R9およびR10は、各々独立して、水素原子、C1~6アルキル基、フェニル基、上記式(ia)で示される基、又は、上記式(ib)で示される基であることが好ましい。ここで、R7、R8、R9およびR10が同時に水素原子であることはない。さらに、R7、R8、R9およびR10の少なくとも一つが、C1~6アルキル基又はフェニル基である場合に、他の基が水素原子でないことが好ましい。
L及びLは、好ましくは、フェニル基である。
【0048】
本発明のイソフタロニトリル化合物の具体例としては、下記化合物(I-1)~(III-8)を挙げることができ、好ましくは化合物(I-1)、(I-2)、(II-1)、(II-2)、(II-3)又は(II-6)を挙げることができる。
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
【0056】
【化18】
【0057】
【化19】
【0058】
【化20】
【0059】
【化21】
【0060】
【化22】
【0061】
【化23】
【0062】
【化24】
【0063】
【化25】
【0064】
【化26】
【0065】
【化27】
【0066】
【化28】
【0067】
【化29】
【0068】
本発明のイソフタロニトリル化合物は、公知の合成反応(例えば、カップリング反応、置換反応など)を組み合わせて行うことによって得ることができる。合成された化合物の精製は、カラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法などによって行うことができる。化合物の同定は、NMR分析などによって行なうことができる。
【0069】
本発明の化合物は、例えば、つぎのようにして得ることができる。
(例1)2,5-ビス(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル(化合物(I-1):BCz-2IN-I)の合成
【0070】
【化30】
【0071】
反応容器に2,5-ジフロロイソフタロニトリル、3,6-ジt-ブチル-カルバゾール、脱水DMFを加え、冷却する。水素化ナトリウムを少しづつ加えた後、室温で反応させて得た反応液を氷水に注加し、析出した結晶をろ過、洗浄し、目的物を得る。
【0072】
(例2)2,4-ビス(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル(化合物(I-2):BCz-2IN-II)の合成
【0073】
【化31】
【0074】
3,6-ジ-t-ブチルカルバゾールを窒素置換した反応容器に加え、脱水テトラヒドロフランに溶解した後、氷水冷下で水素化ナトリウム(0.56g,14.0mmol)を加えて室温で撹拌下反応させる。得られる混合物を氷水冷し、窒素気流下で、4,5-ジフルオロイソフタロニトリルを脱水テトラヒドロフランに溶解して加え、室温下で反応させる。反応溶液を氷水冷し、水と酢酸エチルを加え、有機層を分液し、更に水層を酢酸エチルで抽出し、混合した有機層を飽和食塩水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過・濃縮後、精製することで、目的化合物を得る。
【0075】
(例3)2-(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル(化合物(II-1):BCz-2PIN)の合成
【0076】
【化32】
【0077】
反応容器に、カリウムtert-ブトキシド、脱水DMF、3,6-ジt-ブチル-カルバゾールを加え、室温、攪拌下で反応させる。続いて5’-クロロ-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-4’,6’-ジカルボニトリルを加えて還流し、得られる反応液を水に注加し、ジクロロメタンを加え抽出を行う。得られる有機層を、乾燥、ろ過、濃縮、精製し、目的化合物を得る。
【0078】
(例4)2-(3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル)-4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル(化合物III-3):Ph-BiCz-PIN)の合成
【0079】
【化33】
【0080】
反応容器に、t-BuOK、脱水DMF、9-フェニル-9H,9'H-3,3'-ビカルバゾールを加え、室温、攪拌下で反応させる。続いて5'-クロロ-[1,1':3',1''-ターフェニル]-4',6'-ジカルボニトリルを加え還流させて得られる反応液を水に注加し、ジクロロメタンを加え抽出を行う。得られる有機層を、乾燥、ろ過、濃縮、精製し、目的化合物を得る。
【0081】
(例5)2-(3-(9-(4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル-2-イル)-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル)-4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル(化合物(II-2):BiCz-2PIN)の合成
【0082】
【化34】
【0083】
反応容器に、t-BuOK、脱水DMF、9H,9'H-3,3'-ビカルバゾールを加え、室温、攪拌下で反応させる。続いて5'-クロロ-[1,1':3',1''-ターフェニル]-4',6'-ジカルボニトリルを加えて還流して得られる反応液を、水に注加し、ジクロロメタンを加え抽出を行う。得られる有機層を、乾燥、ろ過、濃縮、精製し、目的化合物を得る。
【0084】
(例6)2-(3,6-ジ-フェニル-9H-カルバゾール-9-イル)-4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル(化合物(II-6):PCz-PIN)の合成
【0085】
【化35】
【0086】
反応容器に、t-BuOK、脱水DMF、3,6-ジフェニルカルバゾールを加え、室温、攪拌下で反応させる。続いて5'-クロロ-[1,1':3',1''-ターフェニル]-4',6'-ジカルボニトリルを加え、還流して得られる反応液を水に注加し、ジクロロメタンを加え抽出を行う。得られる有機層を、乾燥、ろ過、濃縮、精製し、目的化合物を得る。
【0087】
本発明のイソフタロニトリル化合物は発光材料として用いることができる。本発明の発光材料は、有機フォトルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子などの発光素子を提供することができる。本発明のイソフタロニトリル化合物は、他の発光材料(ホスト材料)の発光をアシストする機能を有するので、他の発光材料にドープして用いることができる。
【0088】
本発明の有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に本発明の発光材料を含有する発光層を設けてなるものである。発光層は、スピンコートなどのような塗布法、インクジェット印刷法などのような印刷法、蒸着法などによって得ることができる。
【0089】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は陽極と陰極との間に有機層を設けてなるものである。本発明における「有機層」とは、陽極と陰極の間に位置する、実質的に有機物からなる層を意味し、これらの層は本発明の発光素子の性能を損なわない範囲で無機物を含んでいてもよい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一実施形態における構造としては、基板上に順次に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極からなるもの、また、電子輸送層と陰極の間にさらに電子注入層を有するものを挙げることができる。これらの多層構造においては有機層を何層か省略することが可能であり、例えば基板上に順次に、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極とすることや、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極とすることもできる。本発明の発光材料は、発光層のみならず、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層、または電子注入層にドープさせてもよい。
【0090】
基板は発光素子の支持体となるものであり、シリコン板、石英板、ガラス板、金属板、金属箔、樹脂フィルム、樹脂シートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が低すぎると、基板を通過する外気により発光素子が劣化することがある。このため、合成樹脂基板のどちらか片側もしくは両側に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保することが好ましい。
【0091】
基板上には陽極が設けられる。陽極には仕事関数の大きい材料が一般に用いられる。陽極用材料として、例えば、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム酸化物、スズ酸化物、ITO、酸化亜鉛、In23-ZnO、IGZOなどの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或は、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。陽極の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板上に塗布することにより陽極を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成したりすることもできる。
【0092】
陽極は異なる2種以上の物質を積層して形成することも可能である。陽極の厚さは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常、60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましく、この場合、厚みは、通常、10~1000nm、好ましくは10~200nmである。不透明でよい場合、陽極は基板の厚みと同程度でもよい。陽極のシート抵抗は数百Ω/□以上であることが好ましい。
【0093】
必要に応じて設けられる正孔注入層として、銅フタロシアニンに代表されるポルフィリン化合物のほか、ナフタレンジアミン誘導体、スターバースト型のトリフェニルアミン誘導体、分子中にトリフェニルアミン構造を3個以上、単結合またはヘテロ原子を含まない2価基で連結した構造を有するアリールアミン化合物などのトリフェニルアミン3量体および4量体、ヘキサシアノアザトリフェニレンのようなアクセプター性の複素環化合物や塗布型の高分子材料を用いることができる。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0094】
必要に応じて設けられる正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができることが好ましい。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が高いことが好ましい。従って、Tgとして70℃以上の値を有する材料が望ましい。
必要に応じて設けられる正孔輸送層として、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマーなどを挙げることができる。より具体的に、m-カルバゾリルフェニル基を含有する化合物、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)-ベンジジン(以後、TPDと略称する)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(α-ナフチル)-ベンジジン(以後、NPDと略称する)、N,N,N’,N’-テトラビフェニリルベンジジンなどのベンジジン誘導体、1,1-ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(以後、TAPCと略称する)、種々のトリフェニルアミン3量体および4量体やカルバゾール誘導体などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。正孔輸送層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。また、正孔の注入・輸送層として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(以後、PEDOTと略称する)/ポリ(スチレンスルフォネート)(以後、PSSと略称する)などの塗布型の高分子材料を用いることができる。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0095】
また、正孔注入層あるいは正孔輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにトリスブロモフェニルアミンヘキサクロルアンチモンをPドーピングしたものや、PDの構造をその部分構造に有する高分子化合物などを用いることができる。正孔注入・輸送性のホスト材料として、CBPやTCTA、mCPなどのカルバゾール誘導体などを用いることができる。
【0096】
正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物(hi1)~(hi7)を以下に挙げる。
【0097】
【化36】
【0098】
【化37】
【0099】
【化38】
【0100】
【化39】
【0101】
【化40】
【0102】
【化41】
【0103】
【化42】
【0104】
正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物(ht1)~(ht38)を以下に挙げる。
【0105】
【化43】
【0106】
【化44】
【0107】
【化45】
【0108】
【化46】
【0109】
【化47】
【0110】
【化48】
【0111】
【化49】
【0112】
【化50】
【0113】
【化51】
【0114】
【化52】
【0115】
【化53】
【0116】
【化54】
【0117】
【化55】
【0118】
【化56】
【0119】
【化57】
【0120】
【化58】
【0121】
【化59】
【0122】
【化60】
【0123】
【化61】
【0124】
【化62】
【0125】
【化63】
【0126】
【化64】
【0127】
【化65】
【0128】
【化66】
【0129】
【化67】
【0130】
【化68】
【0131】
【化69】
【0132】
【化70】
【0133】
【化71】
【0134】
【化72】
【0135】
【化73】
【0136】
【化74】
【0137】
【化75】
【0138】
【化76】
【0139】
【化77】
【0140】
【化78】
【0141】
【化79】
【0142】
【化80】
【0143】
必要に応じて設けられる電子阻止層として、4,4’,4”-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(以後、TCTAと略称する)、9,9-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]フルオレン、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(以後、mCPと略称する)、2,2-ビス(4-カルバゾール-9-イルフェニル)アダマンタン(以後、Ad-Czと略称する)などのカルバゾール誘導体、9-[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-9-[4-(トリフェニルシリル)フェニル]-9H-フルオレンに代表されるトリフェニルシリル基とトリアリールアミン構造を有する化合物などの電子阻止作用を有する化合物を用いることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。電子阻止層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0144】
電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物(es1)~(es5)を以下に挙げる。
【0145】
【化81】
【0146】
【化82】
【0147】
【化83】
【0148】
【化84】
【0149】
【化85】
【0150】
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入される正孔および電子が再結合することにより励起子が生成して、発光する機能を有する層である。発光層は本発明の発光材料単独で形成してもよいし、ホスト材料に本発明の発光材料をドープして形成してもよい。ホスト材料の例としては、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以後、Alq3と略称する)などのキノリノール誘導体の金属錯体、アントラセン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ビピリジル基とオルトターフェニル構造を有する化合物、mCP、チアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体などを挙げることができる。発光層には公知のドーパントが含まれていてもよい。ドーパントとしては、キナクリドン、クマリン、ルブレン、アントラセン、ペリレンおよびそれらの誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、アミノスチリル誘導体などを挙げることができる。また、Ir(ppy)3などの緑色の燐光発光体、FIrpic、FIr6などの青色の燐光発光体、Btp2Ir(acac)などの赤色の燐光発光体などの燐光性の発光体を用いてもよい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。発光層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
ホスト材料を用いた場合、発光層に含有させることができる本発明の発光材料の量は、下限が、好ましくは0.1質量%、より好ましくは1質量%であり、上限が、好ましくは50質量%、より好ましくは20質量%、さらに好ましくは10質量%である。
【0151】
発光層のホスト材料として用いることができる好ましい化合物(el1)~(el40)を以下に挙げる。
【0152】
【化86】
【0153】
【化87】
【0154】
【化88】
【0155】
【化89】
【0156】
【化90】
【0157】
【化91】
【0158】
【化92】
【0159】
【化93】
【0160】
【化94】
【0161】
【化95】
【0162】
【化96】
【0163】
【化97】
【0164】
【化98】
【0165】
【化99】
【0166】
【化100】
【0167】
【化101】
【0168】
【化102】
【0169】
【化103】
【0170】
【化104】
【0171】
【化105】
【0172】
【化106】
【0173】
【化107】
【0174】
【化108】
【0175】
【化109】
【0176】
【化110】
【0177】
【化111】
【0178】
【化112】
【0179】
【化113】
【0180】
【化114】
【0181】
【化115】
【0182】
【化116】
【0183】
【化117】
【0184】
【化118】
【0185】
【化119】
【0186】
【化120】
【0187】
【化121】
【0188】
【化122】
【0189】
【化123】
【0190】
【化124】
【0191】
【化125】
【0192】
必要に応じて設けられる正孔阻止層として、ビピリジル基とオルトターフェニル構造を有する化合物、バソクプロイン(以後、BCPと略称する)などのフェナントロリン誘導体や、アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-キノリナート)-4-フェニルフェノレート(以後、BAlqと略称する)などのキノリノール誘導体の金属錯体、各種の希土類錯体、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体など、正孔阻止作用を有する化合物を挙げることができる。これらの材料は電子輸送層の材料を兼ねてもよい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。正孔阻止層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0193】
正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物(hs1)~(hs11)を以下に挙げる。
【0194】
【化126】
【0195】
【化127】
【0196】
【化128】
【0197】
【化129】
【0198】
【化130】
【0199】
【化131】
【0200】
【化132】
【0201】
【化133】
【0202】
【化134】
【0203】
【化135】
【0204】
【化136】
【0205】
必要に応じて設けられる電子輸送層として、Alq3、BAlqをはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体のほか、各種金属錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、カルボジイミド誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体などを用いることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。電子輸送層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0206】
必要に応じて設けられる電子注入層として、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属塩、フッ化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、酸化アルミニウムなどの金属酸化物などを用いることができるが、電子輸送層と陰極の好ましい選択においては、これを省略することができる。
【0207】
電子注入層あるいは電子輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにセシウムなどの金属をNドーピングしたものを用いることができる。
【0208】
電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物(et1)~(et30)を以下に挙げる。
【0209】
【化137】
【0210】
【化138】
【0211】
【化139】
【0212】
【化140】
【0213】
【化141】
【0214】
【化142】
【0215】
【化143】
【0216】
【化144】
【0217】
【化145】
【0218】
【化146】
【0219】
【化147】
【0220】
【化148】
【0221】
【化149】
【0222】
【化150】
【0223】
【化151】
【0224】
【化152】
【0225】
【化153】
【0226】
【化154】
【0227】
【化155】
【0228】
【化156】
【0229】
【化157】
【0230】
【化158】
【0231】
【化159】
【0232】
【化160】
【0233】
【化161】
【0234】
【化162】
【0235】
【化163】
【0236】
【化164】
【0237】
【化165】
【0238】
【化166】
【0239】
電子注入材料として用いることができる好ましい化合物(ei1)~(ei4)を以下に挙げる。
【0240】
【化167】
【0241】
【化168】
【0242】
【化169】
【0243】
【化170】
【0244】
安定化材料として用いることができる好ましい化合物(st1)~(st5)を以下に挙げる。
【0245】
【化171】
【0246】
【化172】
【0247】
【化173】
【0248】
【化174】
【0249】
【化175】
【0250】
陰極には仕事関数の小さい材料が一般に用いられる。陰極用材料として、例えば、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、リチウム、スズ、マグネシウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、リチウム/アルミニウム混合物、マグネシウム銀合金、マグネシウムインジウム合金、アルミニウムマグネシウム合金などが用いられる。透明導電性材料を用いることによって透明または半透明な陰極を得ることができる。陰極の厚さは、通常、10~5000nm、好ましくは50~200nmである。陰極のシート抵抗は数百Ω/□以上であることが好ましい。
【0251】
なお、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、金、白金等の、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性を増すため好ましい。また、陰極と、隣接する有機層(例えば電子輸送層や、電子注入層)とのコンタクトを向上させるために、両者の間に陰極界面層を設けてもよい。陰極界面層に用いられる材料としては、芳香族ジアミン化合物、キナクリドン化合物、ナフタセン誘導体、有機シリコン化合物、有機リン化合物、N-フェニルカルバゾール骨格を有する化合物、N-ビニルカルバゾール重合体などを挙げることができる。
【0252】
本発明の発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX-Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
【0253】
以下、本発明の実施の形態について、その効果を示す。
本発明の発光材料を用いて、有機フォトルミネッセンス素子および有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、発光特性を評価した。
発光特性の評価は、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)、分光放射輝度計(コニカミノルタ社製:CS-2000)、分光蛍光光度計(日本分光社製:FP-8600)、および100mmΦ積分球(日本分光社製:ILF-835)を用いて行った。
【実施例
【0254】
実施例1
2,5-ビス(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル(BCz-2IN-I)の合成
【0255】
【化176】
【0256】
50mLのナスフラスコに2,5-ジフロロイソフタロニトリル(0.25g,1.52mmol)、3,6-ジt-ブチル-カルバゾール(0.85g,3.04mmol)、脱水DMF5mlを加え、氷水バスで冷却した。60%水素化ナトリウム(0.14g,3.34mmol)を少しづつ加えた後、室温で4時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、析出した結晶をろ過し、n-ヘキサン/酢酸エチル=9/1で洗浄し目的物0.78g(収率75.0%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 8.36 (s, 2H), 8.18 (t, 4H), 7.58 (dd, 2H), 7.54 (dd, 2H), 7.51 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 1.50 (s, 18H), 1.49 (s, 18H)
【0257】
実施例2
2,4-ビス(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル(略号:BCz-2IN-II)の合成
【0258】
【化177】
【0259】
3,6-ジ-t-ブチルカルバゾール(2.92g,10.4mmol)を窒素置換した200mLの三口フラスコに加え、脱水テトラヒドロフラン30mLに溶解した後、氷水冷下で60%水素化ナトリウム(0.56g,14.0mmol)を加えて室温で0.5時間撹拌した。この混合物を氷水冷し窒素気流下で4,5-ジフルオロイソフタロニトリル(0.57g,3.5mmol)を脱水テトラヒドロフラン14mLに溶解して加え、室温で21時間撹拌した。反応溶液を氷水冷し、水と酢酸エチルを加え、有機層を分液した。更に水層を酢酸エチルで2回抽出し、混合した有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過・濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:n-ヘキサン/ベンゼン)で精製することで粗精製物を得た。粗精製物を酢酸エチルで洗浄・濾過し、溶媒を留去することで微黄白色固体として目的化合物を1.21g、収率51.0%で得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3, δ): 8.45 (s, 1H), 8.11 (d, J = 1.2 Hz, 4H), 7.89 (s, 1H), 7.50 (dd, J = 8.8 Hz, 1.6 Hz, 4H), 7.27 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 1.45 (s, 36H)
【0260】
実施例3
2-(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル(BCz-2PIN)の合成
【0261】
【化178】
【0262】
50mLのシュレンクフラスコにカリウムtert-ブトキシド(0.336g,3.00mmol)、脱水DMF(8ml)、3,6-ジt-ブチル-カルバゾール(0.838g,3.00mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。続いて5’-クロロ-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-4’,6’-ジカルボニトリル(0.630g,2.00mmol)を加え24時間還流した。反応液を水に注加し、ジクロロメタンを加え抽出を行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥、ろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=2/1)により精製し、目的化合物を0.645g(収率57.8%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 8.18 (t, J = 0.9 Hz, 2H), 7.83 (s, 1H), 7.71-7.75 (m, 4H), 7.52-7.60 (m, 8H), 7.18 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 1.46 (s, 18H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, δ): 151.12, 146.17, 144.246, 138.75, 136.19, 130.88, 130.2, 135.66, 134.14, 125.09, 124.59, 124.20, 123.37, 122.15, 117.63, 116.21, 115.51, 115.07, 112.35, 109.89, 109.10, 109.04, 35.09, 34.70, 34.42, 32.17, 31.88.
【0263】
実施例4
窒素雰囲気のグローブボックス中で、BCz-2PIN、BCz-2IN-I、およびBCz-2IN-IIのトルエン溶液(濃度10-5M)をそれぞれ調製し、発光材料とした。これらの発光材料についてPLスペクトルを測定した。その結果を図1に示す。
【0264】
実施例5
膜厚50nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に10nm厚のHAT-CN(ジピラジノ[2,3-F:2',3'-H]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル)層、40nm厚のTAPC(ジ-[4-(N,N-ジトリル-アミノ)-フェニル]シクロヘキサン)層、10nm厚のCCP(1,4-ビス(カルバゾリル)ベンゼン)層、10nm厚のmCP(1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン)層、20nm厚の発光層、10nm厚のPPF(2,8-ビス(ジフェニルフォスフィンオキシド)ジベンゾフラン)層および40nm厚のB3PyPBM(1,3-ビス(3,5-ジピリド-3-イルフェニル)ベンゼン)層をこの順で真空蒸着法(5.0×10-4Pa以下)によって積層させた。次いで、1nm厚の8-ヒドロキシキノリトリチウム膜、および100nm厚のアルミニウム膜をこの順で真空蒸着法にて積層させることにより陰極を形成させて、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
発光層のドープ材料としてBCz-2PIN、BCz-IN-I、およびBCz-IN-IIをそれぞれ用いた。ドーブ材料濃度を20重量%(in PPF)に設定した。
有機エレクトロルミネッセンス素子の特性を測定した。図2に電圧-電流密度-発光強度特性を示す。図2中、黒印は電流密度を示し、白抜き印は発光強度を示す。図3に電流密度-外部量子効率特性を示す。その他の結果を表1に示す。
【0265】
【表1】
【0266】
実施例6
2-(3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル)-4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル(Ph-BiCz-PIN)の合成
【0267】
【化179】
【0268】
50mLのシュレンクフラスコにt-BuOK (0.168 g, 1.50 mmol)、脱水DMF (8 ml)、9-フェニル-9H,9'H-3,3'-ビカルバゾール(0.612 g, 1.50 mmol) を加え、室温で30分攪拌した。続いて5'-クロロ-[1,1':3',1''-ターフェニル]-4',6'-ジカルボニトリル (0.314 g, 1.00 mmol)を加え24時間還流した。反応液を水に注加し、ジクロロメタンを加え抽出を行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥、ろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=8/1)により精製し、Ph-BiCz-PINを0.482g(収率70.2%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 8.47 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 8.26 (dd, J = 8.5, 7.8 Hz, 2H), 7.87 (s, 1H), 7.84 (dd, J = 8.4, 1.9 Hz, 1H), 7.78 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 1H), 7.75-7.73 (m, 4H), 7.65-7.62 (m, 4H), 7.60-7.31 (m, 15H)
【0269】
実施例7
2-(3-(9-(4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル-2-イル)-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル)-4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル(BiCz-2PIN)の合成
【0270】
【化180】
【0271】
50mLのシュレンクフラスコにt-BuOK (0.224 g, 2.00 mmol)、脱水DMF (10 ml)、9H,9'H-3,3'-ビカルバゾール(0.332 g, 1.00 mmol) を加え、室温で30分攪拌した。続いて5'-クロロ-[1,1':3',1''-ターフェニル]-4',6'-ジカルボニトリル (0.628 g, 2.00 mmol)を加え24時間還流した。反応液を水に注加し、ジクロロメタンを加え抽出を行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥、ろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=4/1)により精製し、BiCz-2PINを0.350g(収率39.0%)得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3, δ): 8.47 (d, J = 1.3 Hz, 2H), 8.26 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.87 (s, 2H), 7.83 (dd, J = 8.4, 1.9 Hz, 2H), 7.75-7.72 (m, 8H), 7.61-7.50 (m, 14H), 7.43-7.35 (m, 4H), 7.28 (d, J = 8.0 Hz, 2H)
【0272】
実施例8
2-(3,6-ジ-フェニル-9H-カルバゾール-9-イル)-4,6-ジフェニル-イソフタロニトリル(PCz-PIN)の合成
【0273】
【化181】
【0274】
50mLのシュレンクフラスコにt-BuOK (0.672 g, 6.00 mmol)、脱水DMF (16 ml)、3,6-ジフェニルカルバゾール(1.914 g, 6.00 mmol) を加え、室温で30分攪拌した。続いて5'-クロロ-[1,1':3',1''-ターフェニル]-4',6'-ジカルボニトリル (0.942 g, 3.00 mmol)を加え24時間還流した。反応液を水に注加し、ジクロロメタンを加え抽出を行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥、ろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=4/1)により精製し、PCz-PINを0.956g(収率53.4 %)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, δ): 8.41 (d, J = 1.3 Hz, 2H), 7.88 (s, 1H), 7.75-7.71 (m, 10H), 7.61-7.47 (m, 10H), 7.39-7.31 (m, 4H)
【0275】
実施例9
窒素雰囲気のグローブボックス中で、Ph-BiCz-PIN、BiCz-2PIN、およびPCz-PINのトルエン溶液(濃度10-5M)をそれぞれ調製し、発光材料とした。これらの発光材料についてPLスペクトルを測定した。その結果を図4に示す。
【0276】
実施例10
膜厚50nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に10nm厚のHAT-CN層、40nm厚のTAPC層、10nm厚のCCP層、10nm厚のmCP層、20nm厚の発光層、10nm厚のPPF層および40nm厚のB3PyPBM層をこの順で真空蒸着法(5.0×10-4Pa以下)によって積層させた。次いで、1nm厚の8-ヒドロキシキノリトリチウム膜、および100nm厚のアルミニウム膜をこの順で真空蒸着法にて積層させることにより陰極を形成させて、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
発光層のドープ材料としてPh-BiCz-PIN、BiCz-2PIN、およびPCz-PINをそれぞれ用いた。ドーブ材料濃度を20重量%(in PPF)に設定した。
有機エレクトロルミネッセンス素子の特性を測定した。図5に電圧-電流密度-発光強度特性を示す。図5中、黒印は電流密度を示し、白抜き印は発光強度を示す。図6に電流密度-外部量子効率特性を示す。その他の結果を表2に示す。
【0277】
【表2】
【0278】
以上のとおり、本発明の化合物からなる発光材料は、高い発光特性が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0279】
本発明に係るイソフタロニトリル化合物は、発光材料として有用である。本発明に係る発光材料を含有する発光素子は、優れた発光効率を実現し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6