(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】空気調和装置用電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20231117BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
H02K1/18 D
F04B39/00 106E
(21)【出願番号】P 2023051175
(22)【出願日】2023-03-28
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2022057371
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519366237
【氏名又は名称】NatureArchitects株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中 祥司郎
(72)【発明者】
【氏名】平野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山際 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】須藤 海
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-146452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0254390(US,A1)
【文献】特開2015-012804(JP,A)
【文献】米国特許第05315200(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00- 1/16
H02K 1/18- 1/26
H02K 1/28- 1/34
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸まわりに回転自在に構成されたロータ(40)及び前記ロータ(40)の外側に配置されたステータコア(32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i)を備える空気調和装置用電動機(30)において、
前記ステータコア(32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i)は、
環状の内ヨーク部(41)と、
前記内ヨーク部(41)から内径側に延びるティース部(35)と、
前記内ヨーク部(41)の外径側に配置された環状の外ヨーク部(43)と、
前記内ヨーク部(41)及び前記外ヨーク部(43)の間において周方向に伸びる複数の梁部(42)と、
前記内ヨーク部(41)と前記梁部(42)とを径方向に接合する内接合部(44)と、
前記外ヨーク部(43)と前記梁部(42)とを径方向に接合する外接合部(45)とを備えることを特徴とする空気調和装置用電動機(30)。
【請求項2】
請求項1において
前記梁部(42)は、周方向の一端に前記内接合部(44)を備え、他端に前記外接合部(45)を備える空気調和装置用電動機(30)。
【請求項3】
請求項1において、
前記梁部(42)は、周方向の両端に前記内接合部(44)を備え且つ他の箇所に前記外接合部(45)を備えるか、又は、周方向の両端に前記外接合部(45)を備え且つ他の箇所に前記内接合部(44)を備える空気調和装置用電動機(30)。
【請求項4】
請求項3において、
前記他の箇所に設けられる前記外接合部(45)又は前記内接合部(44)は、周方向について前記梁部(42)の中央部に設けられる空気調和装置用電動機(30)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つにおいて、
1つの前記梁部(42)の周方向の両端が、前記ステータコア(32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i)の中心に対して成す角は、50°以上である空気調和装置用電動機。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つにおいて、
前記梁部(42)は、2本、3本又は6本備えられ、且つ、長さが等しい空気調和装置用電動機(30)。
【請求項7】
請求項1において、
前記梁部(42)は、前記内
接合部(44)と前記外
接合部(45)の間に、前記内ヨーク部(41)に対して凸となる第1曲げ部(53)と、前記内ヨーク部(41)に対して凹となる第2曲げ部(54)とが周方向に並ぶように複数回曲がった曲げ領域(42a)を有する空気調和装置用電動機(30)。
【請求項8】
請求項1~4及び7のいずれか1つにおいて、
前記梁部(42)は、複数の弧状部分からなる空気調和装置用電動機(30)。
【請求項9】
請求項1~4及び7のいずれか1つの空気調和装置用電動機(30)を備える圧縮機(10)。
【請求項10】
請求項9の圧縮機(10)を備える冷凍装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置用電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置等の様々な分野において、電動機が用いられている。電動機は震動源となりうるので、振動を低減するための技術が研究されている。例えば特許文献1では、ヨーク部を有するモータステータ抜板であって、ヨーク部には、いくつかの軸方向の溝が周方向に沿って設けられており、溝が空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されているモータステータ抜板が開示されている。これにより、ステータが発生する振動に起因してステータ鉄心が励振されることを弱め、振動等を抑制すると説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、溝形状が略三角形であって径方向に長く、その結果としてモータの回転トルクに寄与する磁路が減少してしまう。
【0005】
本開示の空気調和装置用電動機の目的は、モータの回転トルクに寄与する磁路の減少を抑制しながら、モータステータからこれを収容するケーシングに伝播する振動を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、空気調和装置用電動機(30)を対象とする。空気調和装置用電動機(30)は、回転軸まわりに回転自在に構成されたロータ(40)及びロータ(40)の外側に配置されたステータコア(32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i)を備える。ステータコア(32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i)は、環状の内ヨーク部(41)と、内ヨーク部(41)から内径側に延びるティース部(35)と、内ヨーク部(41)の外径側に配置された環状の外ヨーク部(43)と、内ヨーク部(41)及び外ヨーク部(43)の間において周方向に伸びる複数の梁部(42)と、内ヨーク部(41)と梁部(42)とを径方向に接合する内接合部(44)と、外ヨーク部(43)と梁部(42)とを径方向に接合する外接合部(45)とを備える。
【0007】
第1の態様では、内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)との間の振動の伝播を低減することができる。
【0008】
本開示の第2態様は、第1の態様において、梁部(42)は、周方向の一端に内接合部(44)を備え、他端に外接合部(45)を備えるものである。
【0009】
第2の態様では、梁部(42)を連結部とした内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)との連結を具体的に実現できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1の態様において、梁部(42)は、周方向の両端に内接合部(44)を備え且つ他の箇所に外接合部(45)を備えるか、又は、周方向の両端に接合部(45)を備え且つ他の箇所に内接合部(44)を備えるものである。
【0011】
第3の態様では、梁部(42)を連結部とした内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)との連結を具体的に実現できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第3の態様において、他の箇所に設けられる外接合部(45)又は内接合部(44)は、周方向について梁部(42)の中央部に設けられるものである。
【0013】
第4の態様では、振動の伝播を低減する効果をより顕著に発揮することができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、1つの前記梁部(42)の周方向の両端が、前記ステータコア(32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i)の中心に対して成す角は、50°以上であるものである。
【0015】
第5の態様では、振動の伝播を低減する効果をより顕著に発揮することができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、梁部(42)は、2本、3本又は6本備えられ、且つ、長さが等しいものである。
【0017】
第6の態様では、振動の伝播を低減する効果をより顕著に発揮することができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第1~第6のいずれか1つ態様において、梁部(42)は、内接合部(44)と外接合部(45)の間に、内ヨーク部(41)に対して凸となる第1曲げ部(53)と、内ヨーク部(41)に対して凹となる第2曲げ部(54)とが周方向に並ぶように複数回曲がった曲げ領域(42a)を有するものである。
【0019】
第7の態様では、曲げ領域(42a)がバネ構造を構成するので、捻り剛性が高くなり、軸方向の振動が抑制される。
【0020】
本開示の第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、梁部(42)は、複数の弧状部分からなるものである。
【0021】
第8の態様では、梁部(42)の構成の一例として、複数の弧状部分からなるものとすることができる。
【0022】
本開示の第9の態様は、圧縮機(10)を対象とし、第1~第7のいずれか1つの態様の空気調和装置用電動機(30)を備える。
【0023】
第9の態様では、振動の抑制された圧縮機(10)が実現される。
【0024】
本開示の第10の態様は、冷凍装置(1)を対象とし、第9の態様の圧縮機(10)を備える。
【0025】
第10の態様では、振動の抑制された冷凍装置(1)が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態に係る冷凍装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る圧縮機における軸方向に平行な断面に相当する縦断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する軸方向に垂直な断面に相当する断面図である。
【
図5】
図5は、
図5は、本開示及び比較例のステータコアについて、振動により固定部に生じる反力の解析結果を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【
図8】
図8は、
図7におけるVIII部を拡大して示す模式図である。
【
図9】
図9は、
図7におけるIX部を拡大して示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る電動機のステータコアについて説明する横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0028】
本開示の圧縮機(10)は、冷凍装置(1)に設けられる。
【0029】
(1)冷凍装置の概要
図1に示す冷凍装置(1)は、本開示の圧縮機(10)を備える。冷凍装置(1)は、冷媒が充填された冷媒回路(R)を有する。冷媒回路(R)は、圧縮機(10)、放熱器(2)、減圧機構(3)、および蒸発器(4)を有する。減圧機構(3)は、膨張弁である。冷媒回路(R)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0030】
冷凍サイクルでは、圧縮機(10)によって圧縮された冷媒が、放熱器(2)において空気に放熱する。放熱した冷媒は、減圧機構(3)によって減圧され、蒸発器(4)において蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(10)に吸入される。
【0031】
冷凍装置(1)は、空気調和装置である。空気調和装置は、冷房専用機、暖房専用機、あるいは冷房と暖房とを切り換える空気調和装置であってもよい。この場合、空気調和装置は、冷媒の循環方向を切り換える切換機構(例えば四方切換弁)を有する。冷凍装置(1)は、給湯器、チラーユニット、庫内の空気を冷却する冷却装置などであってもよい。冷却装置は、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナなどの内部の空気を冷却する。膨張機構は、電子膨張弁、感温式膨張弁、膨張機、またはキャピラリーチューブで構成される。
【0032】
(2)圧縮機
図2に示すように、圧縮機(10)は、ケーシング(11)と、電動機(30)と、駆動軸(20)と、圧縮機構(22)とを有する。圧縮機(10)は、ロータリ型の圧縮機である。厳密には、圧縮機(10)は揺動ピストン型の圧縮機である。圧縮機(10)は、スクロール型、スクリュー型、あるいはターボ型の圧縮機であってもよい。
【0033】
(2-1)ケーシング
ケーシング(11)は、電動機(30)、駆動軸(20)、および圧縮機構(22)を収容する。ケーシング(11)は全密閉型の容器である。ケーシング(11)の内部は、圧縮機構(22)から吐出された高圧の冷媒で満たされる。
【0034】
ケーシング(11)は、金属材料で構成される。ケーシング(11)は、胴体(12)、底部(13)、および頂部(14)を有する。胴体(12)は、金属製の筒状の部材である。胴体(12)の軸方向の両端にはそれぞれ開口が形成される。本例では、胴体(12)の軸方向が鉛直方向に対応する。底部(13)は胴体(12)の下側の開口を閉塞する。頂部(14)は胴体(12)の上側の開口を閉塞する。
【0035】
(2-2)電動機
図2および
図3に示す電動機(30)は、回転電気機械の一例である。電動機(30)は、圧縮機構(22)の上方に配置される。電動機(30)は、インバータ装置によって運転周波数が制御される。言い換えると、圧縮機(10)は、運転周波数が可変なインバータ式である。
【0036】
電動機(30)は、ステータ(31)と、ロータ(40)とを有する。ステータ(31)は、ケーシング(11)の胴体(12)に支持される。ステータ(31)は、ステータコア(32)と、ステータコア(32)に巻回されるコイル(33)とを有する。ステータコア(32)は、本開示のコアを構成する。ステータコア(32)は、電磁鋼板(M)が軸方向に積層されて構成される。
図3に示すように、ステータコア(32)は、環状のヨーク部(34)と、ヨーク部(34)の内周面から径方向内方に延びる複数(本例では6つ)のティース部(35)とを有する。ヨーク部(34)は複数の部分から成る構成であり、この点を含むステータコア(32)の詳細は後述する。
【0037】
ヨーク部(34)の外周面には、複数(本例では6つ)のコアカット(36)が形成される。コアカット(36)は、ステータコア(32)の軸方向に延びる溝である。各コアカット(36)は、ヨーク部(34)を挟んでティース部(35)と反対側の位置に形成される。
【0038】
ロータ(40)は、ステータコア(32)の内部に配置される。ロータ(40)の軸心には駆動軸(20)が固定される。ロータ(40)の内部には、複数の永久磁石が埋め込まれる(図示省略)。
【0039】
ステータ(31)のティース部(35)と、ロータ(40)との間には、横断面視において環状のギャップが形成される。
【0040】
(2-3)駆動軸
駆動軸(20)は、ケーシング(11)の軸心に沿って鉛直方向に延びる。駆動軸(20)は、電動機(30)によって回転駆動される。駆動軸(20)は、軸受け(21)によって回転可能に支持される。
【0041】
(2-4)圧縮機構
圧縮機構(22)は、シリンダ(23)と、シリンダ(23)の内部に設けられるピストン(24)とを有する。シリンダ(23)の内周面とピストン(24)の外周面との間にシリンダ室(25)が形成される。シリンダ室(25)では、駆動軸(20)によって駆動されるピストン(24)により流体が圧縮される。
【0042】
(2-5)吸入管および吐出管
圧縮機(10)は、吸入管(26)および吐出管(27)を有する。吸入管(26)は、胴体(12)を径方向に貫通し、シリンダ室(25)と連通する。冷媒回路(R)の低圧冷媒が、吸入管(26)を介してシリンダ室(25)に吸い込まれる。吐出管(27)は、頂部(14)を軸方向に貫通し、ケーシング(11)の内部空間と連通する。圧縮機構(22)で圧縮された冷媒は、電動機(30)のコアカット(36)およびギャップ等を流れた後、吐出管(27)より冷媒回路(R)へ送られる。
【0043】
(3)ステータコアの詳細
ステータコア(32)の詳細について
図2~
図5を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、「軸方向」、「周方向」、および「径方向」は、特に言及しない限り、ステータ(31)の軸方向、周方向、および径方向をそれぞれ意味する。本例では、ステータ(31)の軸方向は、
図2に示すように駆動軸(20)の軸方向に相当する。
【0044】
ステータコア(32)は、複数の電磁鋼板が軸方向の一端から他端に亘って積層された構成であっても良い。
【0045】
ステータコア(32)の構成例1を示す
図3の破線により囲んだ部分IVを、
図4に拡大して示す。ステータコア(32)のヨーク部(34)は、環状の内ヨーク部(41)と、内ヨーク部(41)の径方向外側に配置された環状の外ヨーク部(43)と、内ヨーク部(41)及び外ヨーク部(43)との間において周方向に伸びる複数の梁部(42)とを備える。内ヨーク部(41)と梁部(42)とは、内接合部(44)によって径方向に接合されている。外ヨーク部(43)と梁部(42)とは、外接合部(45)によって径方向に接合されている。このようにして、内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)とは、その間に介在する連結部としての梁部(42)により一体になっている。尚、
図4におけるt
1、T
2等の寸法については後に述べる。
【0046】
図3の例では、概略形状としては弧状である同じ長さの2つの梁部(42)が設けられ、合わせて概ね環となっている。また、それぞれの梁部(42)は、周方向の一端に内接合部(44)を備え、他端に外接合部(45)を備えている。
図3により説明すると、2つの梁部(42)の一方は、上部(
図4に拡大図が示された領域)において外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合され、周方向に時計回りに伸び、下部(軸心に対して反対側)において内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合されている。梁部(42)の他方は、下部において外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合され、周方向に時計回りに伸び、上部において内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合されている。このように、2つの梁部(42)は軸心に対して対称に設けられている。それぞれの梁部(42)は、他の箇所では内ヨーク部(41)及び外ヨーク部(43)のいずれもと接合されていない。
【0047】
尚、詳しくは後に説明するが、梁部(42)の数及び長さ、内接合部(44)及び外接合部(45)の配置等について
図3は一例であり、様々な構成を取ることができる。
【0048】
このようなステータコア(32)について、外ヨーク部(43)は、ケーシング(11)に対して焼嵌め等によって固定されている。これにより、ケーシング(11)からヨーク部(34)に応力が加わる。しかし、当該応力は外ヨーク部(43)に加わるものであり、外ヨーク部(43)とは梁部(42)によって接合された内ヨーク部(41)にまで加わることは無い。従って、内ヨーク部(41)及びティース部(35)において応力が原因の磁気劣化は抑制され、磁気劣化による鉄損の増加が抑制される。
【0049】
また、上記のテータコア(32)によると、外ヨーク部(43)と内ヨーク部(41)とを梁部(42)により接合した構成により、内ヨーク部(41)側に発生した振動の外ヨーク部(43)側に対する伝播を抑制できる。この結果、ケーシング(11)、ひいては圧縮機(10)の振動を低減できる。
【0050】
これに関して
図5に示す。
図5は、
図3に示すようにステータコア(32)を収容したケーシング(11)を他の部材(冷凍装置(1)の筐体等)に固定している場合に、ティース部(35)に発生した振動によって前記の固定部に生じる反力を解析した結果である。太線は、
図3を一例とする本開示のステータコア(32)の場合を示す。細線は、内ヨーク部(41)、外ヨーク部(43)に分割した構成を備えない単一のヨークを有するステータコアの場合を示す。
【0051】
固定部に加わる反力は、振動の周波数に依存する。比較例の場合、幾つかの周波数範囲において反力に大きなピークが発生している。これに対し、本開示の場合、広い周波数範囲において反力は顕著に小さく、比較例のピーク部分においては10分の1又はそれ以下にもなっている。尚、本開示の方が比較例よりも反力が大きい周波数範囲も一部存在する。しかし、その場合も反力自体が小さいので、振動抑制の観点においては問題となりにくい。
【0052】
また、モータが回転する際、ティース部(35)の位置は変位する。この変位の大きさも周波数に依存し、特定の周波数範囲では、比較例の変位よりも本開示の変位の方が大きくなる傾向がある。しかし、その際も変位の大きさは変位電磁性能の劣化を避けうる程度に抑制することが可能である。
【0053】
本開示のステータコア(32)による振動低減の効果は、各部の寸法等によって異なる。これに関し、
図4を参照して説明する。
図4には、ステータコア(32)における各部の寸法を示している。尚、ステータコア(32)の直径(コアカット(36)の無い箇所の寸法)は、一例として110mm程度である。
【0054】
具体的に、梁厚さt1は梁部(42)の厚さ(径方向の寸法)、接合部幅t2は内接合部(44)の周方向の寸法、梁ヨーク隙間g1は内ヨーク部(41)と梁部(42)との隙間の幅、接合部間隔g2は内接合部(44)と外接合部(45)との周方向の隙間の幅、内ヨーク厚さT1は内ヨーク部(41)の厚さ、外ヨーク厚さT2は外ヨーク部(43)の厚さである。尚、t2は外接合部(45)の周方向の寸法と同じであっても良く、g1は外ヨーク部(43)と梁部(42)との隙間の幅と同じであっても良い。
【0055】
内ヨーク部(41)側にて発生した振動の伝播を抑制する防振性能に関しては、梁厚さt1及び内ヨーク厚さT1の影響が顕著である。梁の厚さt1は、小さくすることで防振性能が高まる傾向があり、0.6mm以上で且つ1.0mm以下程度が好ましい。内ヨーク厚さT1は、大きくすることで防振性能が高まる傾向があり、6mm以上で且つ7mm以下程度が好ましい。
【0056】
また、落下衝撃応力についても、梁の厚さt1を小さくすることで低減される傾向がある。落下衝撃応力とは、ここでは、圧縮機(10)が落下して床面等に衝突した際に、ステータコア(32)に軸方向に発生する応力のことを言う。この応力により、圧縮機(10)に取り付けられた電動機(30)の位置がずれる等の損傷が発生する可能性がある。従って、落下衝撃応力を低減することは、特に運搬時における圧縮機(10)信頼性向上に貢献する。
【0057】
また、接合部幅t2は1mm以上で且つ3mm以下程度が好ましい。梁ヨーク隙間g1は、0.4mm以上で且つ0.6mm程度が好ましい。接合部間隔g2は1mm以上で且つ6mm以下程度が好ましい。外ヨーク厚さT2は、2.5mm以上で且つ3.5mm以下程度が好ましい。直径が110mm程度のステータコア(32)の場合、実施上、このような値とすることが適正である。
【0058】
(ステータコア(32)の他の形状)
ステータコア(32)の構成、特に梁部(42)の構成は、
図3及び
図4に示したものには限られない。
図3の場合を構成例1として、以下に、他の構成例を示す。
【0059】
(構成例2)
図6は、構成例2のステータコア(32a)を示す。ステータコア(32a)について、基本的な構成は
図3のステータコア(32)と同様であるが、梁部(42)の接合に関して異なっている。つまり、ステータコア(32a)においても、2本の同じ長さの梁部(42)が設けられている。しかし、
図3の場合とは異なり、梁部(42)の一方が上部で内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合され、周方向に時計回りに伸び、下部において外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合されている。梁部(42)の他方は、下部におい内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合され、周方向に時計回りに伸び、上部において外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合されている。
【0060】
このように、
図3のステータコア(32)とは梁部(42)の接合について逆になっている構成例2のステータコア(32a)においても、振動低減等の本開示の効果が発揮される。
【0061】
(構成例3)
図7は、構成例3のステータコア(32b)を示す。また、
図7のVIII部を
図8に、IX部を
図9に、それぞれ拡大して示している。ステータコア(32b)についても、基本的な構成は
図3のステータコア(32)と同様であるが、梁部(42)の接合に関して異なっている。
【0062】
ステータコア(32b)においても、2本の同じ長さの梁部(42)が設けられている。
図7において、2本の梁部(42)は、いずれも上部(
図8に示すVIII部)において内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合され、いずれも周方向時計回り及び反時計回りにそれぞれ延び、下部においても再び内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合されている。つまり、梁部(42)の両端において、それぞれ内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合されている。これに加え、梁部(42)の中央部分、つまり、
図7では左右の部分において、外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合されている。
図9には、外接合部(45)付近IX部を拡大して示している。
【0063】
このような構成で内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)とが梁部(42)を介して接合されるステータコア(32b)においても、振動低減等の本開示の効果が発揮される。
【0064】
(構成例4)
図10は、構成例4のステータコア(32c)を示す。ステータコア(32c)について、基本的な構成は
図7のステータコア(32b)と同様であるが、梁部(42)の接合に関して異なっている。
【0065】
ステータコア(32c)においても、2本の同じ長さの梁部(42)が設けられている。但し、内接合部(44)及び外接合部(45)の配置は
図7のステータコア(32b)とは逆になっている。
【0066】
より具体的に、2本の梁部(42)は、いずれも上部において外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合され、周方向時計回り及び反時計回りにそれぞれ延び、下部においても再び外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合されている。つまり、梁部(42)の両端において、それぞれ外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合されている。これに加え、梁部(42)の中央部分、つまり、
図10では左右の部分において、内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合されている。
【0067】
このような構成で内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)とが梁部(42)を介して接合されるステータコア(32c)においても、振動低減等の本開示の効果が発揮される。
【0068】
(構成例5)
図11は、構成例5のステータコア(32d)を示す。ステータコア(32d)について、基本的な構成は
図4のステータコア(32a)と同様であるが、梁部(42)の接合に関して異なっている。つまり、ステータコア(32d)においても、2本の同じ長さの梁部(42)が設けられている。また、それぞれの梁部(42)について、一端に内接合部(44)、他端に外接合部(45)が設けられている。
【0069】
図11のステータコア(32d)において、梁部(42)の端部は、コアカット(36)同士の間の部分である領域Bに配置されている。この点において、コアカット(36)に対応する領域Aに梁部(42)の端部が設けられている
図3のステータコア(32a)と異なっている。
【0070】
図11では、コアカット(36)の1つの中央を基準として反時計回りにθ
1の角度を成す位置に、梁部(42)の端部(一方の梁部(42)の内接合部(44)と、他方の梁部(42)の外接合部(45))が設けられている。この例ではコアカット(36)は6か所であるから、コアカット(36)同士の中間地点までの角度θ1は30°に対応する。但し、コアカット(36)の数は6には限らないので、θ
1の値もこれには限らない。また、梁部(42)の端部について、コアカット(36)同士の中間地点以外に配置されても良く、この場合、θ
1は任意の値を取ることができる。
【0071】
また、ステータコア(32d)は、
図3のステータコア(32)において梁部(42)の端部位置をθ
1変更した構成と言える。これに対し、
図6~7、
図10に示す他の構成例のステータコアについて、梁部(42)の端部位置をθ
1変更した構成としてもよい。
【0072】
θ1の値は、振動低減等の効果を鑑みて設定することができる。
【0073】
尚、
図11では同じ長さの2本の梁部(42)が設けられているので、軸心に対して反対側に他方の内接合部(44)及び外接合部(45)が配置される。梁部(42)はそれぞれ内ヨーク部(41)の周囲を約半周しており、軸心に対して両端が成す角は約180°となっている。周方向の梁部(42)の端部間には接合部間隔g
2があるので(
図4)、この角は180°よりは幾分小さな値となる。
【0074】
(構成例6)
図12は、構成例6ステータコア(32e)を示す。ステータコア(32e)について、基本的な構成は
図7のステータコア(32b)と同様であるが、梁部(42)の接合に関して異なっている。
【0075】
ステータコア(32e)においても、2本の同じ長さの梁部(42)が設けられ、且つ、それぞれ両端(
図12の上部及び下部)において内接合部(44)により内接合部(44)に接合されている。しかし、外接合部(45)については、梁部(42)の中央を外れた位置に設けられている。
【0076】
梁部(42)の一端をP=0.0、他端をP=1.0として位置を表すものとする。
図12では2本のうちの右側の梁部(42)について、下部をP=0.0、上部P=1.0として、反時計回りにPの値を示している。
図12のステータコア(32e)では、P=0.25の領域Dに外接合部(45)が設けられている。従って、P=0.0側の内接合部(44)から外接合部(45)までが梁部(42)の長さの約1/4、外接合部(45)からP=1.0側の内接合部(44)までが梁部(42)の長さの約3/4となっている。尚、
図12の左側の梁部(42)についても、数値の図示は省略するが、P=0.25に対応する領域Eに外接合部(45)が設けられている。
【0077】
また、
図12のステータコア(32e)は、
図7のステータコア(32b)において、外接合部(45)の位置を梁部(42)の中央部から変更した構成と言える。これに対し、
図10のステータコア(32c)において、内接合部(44)の位置を梁部(42)の中央部から変更しても良い。
【0078】
Pの値は、振動低減等の効果を鑑みて設定することができる。Pは、0.5程度とするのが好ましい。つまり、梁部(42)の両端以外に設けられる内接合部(44)又は外接合部(45)は、梁部(42)の中央に設けられることが好ましい。また、複数の梁部(42)において、Pの値は同じにすることが振動低減等の観点から好ましい。
【0079】
(構成例7)
図13は、構成例7のステータコア(32f)を示す。ステータコア(32f)について、基本的な構成は
図3のステータコア(32)と同様であるが、梁部(42)関して異なっている。
【0080】
つまり、ステータコア(32f)では、同じ長さの3本の梁部(42)が設けられている。従って、軸心を基準としてステータコア(32f)を三等分する位置(破線の円により示す領域F)に梁部(42)の端部が配置され、それぞれの梁部(42)について、一端は内接合部(44)により内ヨーク部(41)に、他端は外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合されている。梁部(42)の両端が軸心に対して成す角をθ
2とすると、θ
2は約120°である。周方向の梁部(42)の端部間には接合部間隔g
2があるので(
図4参照)、120°よりは幾分小さな値となる。
【0081】
尚、梁部(42)は、更に他の数としても良い。例えば6本とすると、θ2は60°よりも幾分小さい値となる。振動低減等の観点から、θ2は50°以上であることが好ましい。
【0082】
(構成例8)
図14は、構成例8のステータコア(32g)を示す。ステータコア(32g)について、基本的な構成は
図3のステータコア(32)と同様である。つまり、内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)との間に同じ長さの2つの梁部(42)が設けられ、それぞれの梁部(42)は、周方向の一端に内接合部(44)を備え、他端に外接合部(45)を備えている。
【0083】
但し、
図14のステータコア(32g)は、内
接合部(44)と外
接合部(45)の間に、内ヨーク部(41)に対して凸となる第1曲げ部(53)と、内ヨーク部(41)に対して凹となる第2曲げ部(54)とが周方向に並ぶように複数回曲がった曲げ領域(42a)を有する。
【0084】
図14の例では、6つのティース部(35)のうちの向かい合う2つ(図の上及び下のティース部(35))に対応する位置に内
接合部(44)及び外
接合部(45)が配置され、その他の4つのティース部(35)に対応する部分において、内ヨーク部(41)の外周が内側に凹んでいる。当該凹みは、内ヨーク部(41)側に向いた頂角が鈍角の二等辺三角形状であり、その形状に合わせるように梁部(42)も内側に凹んでいる。これは、梁部(42)に第1曲げ部(53)及び第2曲げ部(54)を設けて曲げ領域(42a)とすることにより実現されている。
【0085】
このような梁部(42)における曲げ領域(42a)は、バネ構造を構成し、捻り剛性が高くなっている。これにより、バネ構造が無い場合に比べて、軸方向の振動を低減する効果が大きくなっている。この結果、ステータコア(32g)によると、径方向、周方向及び軸方向のいずれについても、コア部からケーシング(11)への振動の伝播を低減する顕著な効果を発揮する。
【0086】
(構成例9)
図15は、構成例9のステータコア(32h)を示す。ステータコア(32h)について、基本的な構成は
図7のステータコア(32b)と同様である。つまり、内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)との間に同じ長さの2つの梁部(42)が設けられ、それぞれの梁部(42)は、両端(
図15では上下の位置)において内接合部(44)により内ヨーク部(41)に接合され、中央部分(
図7では左右の位置)において外接合部(45)により外ヨーク部(43)に接合されている。
【0087】
但し、
図15のステータコア(32h)は、内
接合部(44)と外
接合部(45)の間に、内ヨーク部(41)に対して凸となる第1曲げ部(53)と、内ヨーク部(41)に対して凹となる第2曲げ部(54)とが周方向に並ぶように複数回曲がった曲げ領域を有する。これは、
図14に示す構成例8のステータコア(32g)と同様である。
【0088】
構成例9においても、第1曲げ部(53)及び第2曲げ部(54)が並んだ曲げ領域(42a)はバネ構造を構成し、捻り剛性を高めることで軸方向の振動を低減する効果が大きくなっている。
【0089】
尚、
図14及び
図15では、内ヨーク部(41)外周の凹みについて、頂点が鈍角の二等辺三角形状である構造を例示したが、連続した円弧状等の他の形状であっても構わない。
【0090】
(構成例10)
図16は、構成例10のステータコア(32i)を示す。また、
図17は、
図16におけるXVII部を拡大して示す。ステータコア(32i)について、基本的な構成は
図3のステータコア(32)と同様である。つまり、内ヨーク部(41)と外ヨーク部(43)との間に同じ長さの2つの梁部(42)が設けられ、それぞれの梁部(42)は、周方向の一端に内接合部(44)を備え、他端に外接合部(45)を備えている。
【0091】
また、
図16において、6つのティース部(35)のうちの向かい合う2つ(図の上及び下のティース部(35))に対応する位置に内
接合部(44)及び外
接合部(45)が配置され、その他の4つのティース部(35)に対応する部分において、内ヨーク部(41)の外周が内側に凹んでいる。当該凹みの部分において、梁部(42)は矩形波状に曲げられた曲げ領域(42a)を有している。曲げ領域(42a)において、梁部(42)は、角のあるU字状に内ヨーク部(41)に対して凸となった第1曲げ部(53)と、角のあるU字状に内ヨーク部(41)に対して凹となった第2曲げ部(54)とが周方向に並んだ構造を有する。
【0092】
このような曲げ領域(42a)は、多数の第1曲げ部(53)及び第2曲げ部(54)を有するので、顕著なバネ効果を示すバネ構造となっている。従って、バネ構造により捻り剛性を高めて軸方向の振動を抑制する効果がより顕著に発揮される。
【0093】
尚、
図16及び
図17では矩形波状の構造を例示したが、三角波状、正弦波状、連続した円弧状等の他の形状であっても構わない。
【0094】
(その他の構成例及び組み合わせ)
以上の構成例1~10において、複数の梁部(42)は長さが同じであり、ステータコア(32)等の形状としては回転対称性を有する。これは、振動低減等の効果を発揮するためには好ましい構成である。但し、他の理由から長さの異なる梁部(42)を設けることは可能である。また、内接合部(44)及び外ヨーク部(43)の配置についても、非対称にすることは可能であるが、対称性の高い構成が好ましい。
【0095】
また、内接合部(44)が配置されている内ヨーク部(41)の外周、又は、外接合部(45)が配置されている外ヨーク部(43)の内周は、以上の各例ではいずれも直線状であるが、これには限らない。当該部分について、例えば、冷媒の流路面積を大きくするために、径方向内側に凹んでいても良い。
【0096】
また、構成例8~10における内ヨーク部(41)の凹み及び曲げ領域(42a)の配置、数等は、上記には限らない。例えば、
図14では、1つの梁部(42)に対して2つの曲げ領域(42a)が設けられており、軸方向の振動を低減する効果のためには望ましい。しかし、このうち一方の位置だけに曲げ領域(42a)が設けられていても良い。また、ティース部(35)の数が6よりも多い場合に、どのティース部(35)に対応する位置に曲げ領域(42a)を配置するのかは選択可能である。
【0097】
更に、磁路の損失を低減する観点から、内ヨーク部(41)の凹み及び曲げ領域(42a)をティース部(35)に対応する部分に設けるのが望ましい配置であるが、これに限るわけではない。
【0098】
以上、実施形態及び種々の例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0099】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上説明したように、本開示は、空気調和装置用電動機について有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 冷凍装置
10 圧縮機
30 空気調和装置用電動機
32,32a,32b,32c,32d,32e,32f ステータコア
35 ティース部
41 内ヨーク部
42 梁部
42a 曲げ領域
43 外ヨーク部
44 内接合部
45 外接合部