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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】巻尺
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/1003 20200101AFI20231117BHJP
【FI】
G01B3/1003
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019158522
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021038934
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000156307
【氏名又は名称】株式会社TJMデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 章夫
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 勇也
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-122802(JP,U)
【文献】実開平03-002202(JP,U)
【文献】実開昭55-047645(JP,U)
【文献】特開2000-213671(JP,A)
【文献】特開2001-304320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/10-3/1094
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの内側に回転可能に保持されるドラムを備え、
前記ドラムの周囲に巻き付けられた測定テープを交換可能な巻尺であって、
前記ドラムは、前記測定テープの端部に設けられた環状部を係止可能な柱状の係止ピンを有し、
前記係止ピンの先端部には、前記環状部を係止させる際の干渉を軽減可能な面取り部が設けられており、
前記ドラムは、該ドラムの外周面から径方向外側に突出し、前記ドラムに巻き付けられる前記測定テープを所定の位置に誘導するガイド突起を有することを特徴とする巻尺。
【請求項2】
前記係止ピンは、先端部に向けて徐々に直径が小さくなっている、請求項1に記載の巻尺。
【請求項3】
前記ドラムの外周面には、径方向内側に向けて凹となる逃げ部が設けられており、
前記逃げ部は、前記測定テープの端部に設けられた、前記環状部を備える先端金具を配置可能に構成されている、請求項1または2に記載の巻尺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定テープを交換可能な巻尺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グラウンドや土木建築現場での大規模な測量等において、数十mの可撓性のある長尺測定テープを、ハンドルの回転操作によって本体ケースに巻取収納することができるように構成された巻尺が使用されている。
【0003】
特許文献1には、ハンドルを備えた本体ケースと、本体ケースの内側に配置され、ハンドルによって回転可能なドラムと、ドラムに巻き付けられた測定テープとを備えた巻尺が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献1に記載された巻尺は、ドラムを本体ケースから取り外すことなく、測定テープのみを交換することができるように構成されている。具体的に、本体ケースの内側に配置されたドラムから使用後の測定テープを取り外した後、交換用の新たな測定テープの端部(後端)をドラムに設けられたピンに係止して、操作ハンドルを回転させることで、新たな測定テープを本体ケース内のドラムに巻き付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3175399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような巻尺では、交換用の測定テープの端部に設けられた環状の端部(係止部)をドラムの係止ピンに引っ掛けて係止させる操作が容易ではなく、測定テープの交換に時間が掛かる懸念がある。
【0007】
それゆえ本発明は、本体ケースからドラムを取り外すことなく容易に測定テープを交換することができる巻尺を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の巻尺は、本体ケースの内側に回転可能に保持されるドラムを備え、
前記ドラムの周囲に巻き付けられた測定テープを交換可能な巻尺であって、
前記ドラムは、前記測定テープの端部に設けられた環状部を係止可能な柱状の係止ピンを有し、
前記係止ピンの先端部には、前記環状部を係止させる際の干渉を軽減可能な面取り部が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
なお、本発明の巻尺にあっては、前記係止ピンは、先端部に向けて徐々に直径が小さくなっていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の巻尺にあっては、前記ドラムは、該ドラムの外周面から径方向外側に突出し、前記ドラムに巻き付けられる前記測定テープを所定の位置に誘導するガイド突起を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の巻尺にあっては、前記ドラムの外周面には、径方向内側に向けて凹となる逃げ部が設けられており、
前記逃げ部は、前記測定テープの端部に設けられた先端金具を配置可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体ケースからドラムを取り外すことなく容易に測定テープを交換することができる巻尺を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る巻尺を示す正面図である。
図2図1に示す巻尺の背面図である。
図3図1に示す巻尺の測定テープを単独で示す斜視図である。
図4図1に示す巻尺のドラムを単独で示す平面図である。
図5図4に示すドラムの正面図であり、右利き用に測定テープを巻き付ける様子を示している。
図6図4に示すドラムの正面図であり、左利き用に測定テープを巻き付ける様子を示している。
図7図1に示す巻尺の測定テープを交換する様子を示す斜視図である。
図8図1に示す巻尺における摩耗防止部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について例示説明する。図1は本発明の一実施形態としての巻尺1を示す正面図であり、図2は背面図である。
【0015】
巻尺1は、測定テープ10を巻き付け可能なドラム20と、ドラム20を回転可能に保持する本体ケース30と、を備える。巻尺1は、測定テープ10を交換可能に構成されている。なお、軸線Aは、本体ケース30に対するドラム20の回転軸線である。
【0016】
測定テープ10は、金属、合成樹脂、もしくは織布(繊維)、またはそれらの組み合わせ等からなるテープ状の長尺部材である。測定テープ10は、ドラム20の周囲に巻き付け可能な柔軟性、可撓性を有する。また、測定テープ10の表面及び裏面の少なくとも一方には、長さを示す目盛表示が設けられている。なお、本例では表裏両面にそれぞれ目盛表示が設けられている。測定テープ10の両面に目盛表示を設けることにより、表と裏を考慮せずに対象物の長さを確認することができるので、利便性が向上する。また、使用者の利き手(右利き又は左利き)に応じてドラム20に対する測定テープ10の巻き付け方向を変える場合には、利便性を高める上で測定テープ10の両面に目盛表示を設けることが特に有効である。
【0017】
測定テープ10は、一方の端部10a(図1に示す巻き付け状態において径方向内側に位置する端部)がドラム20に係止され、他方の端部10b(図1に示す巻き付け状態において径方向外側に位置する端部)が引き出し可能に本体ケース30の外部に露出する。
【0018】
ここで、図3に示すように、測定テープ10の一方の端部10aには、ドラム20に測定テープ10を係止するための先端金具11が固定されている。先端金具11は、測定テープ10に固定される固定部11aと、固定部11aに連なる筒状の環状部11bとで構成されている。
【0019】
先端金具11は、金属製の板を2つに折り曲げると共に中間部を湾曲させて環状部11bを形成し、また、重ねた金属板の両端部の間に測定テープ10の端部10aを挟み込んで締結固定することで固定部11aを形成したものとすることができる。
【0020】
また、先端金具11には、切欠き部11cが形成されている。本例の切欠き部11cは、先端金具11の上縁部に沿って、環状部11bから固定部11aにわたって設けられている。これにより、切欠き部11cが設けられた領域では先端金具11の幅が測定テープ10の幅よりも小さくなっている。なお、本例では切欠き部11cを先端金具11の上縁部に設けているが、これに限られず、先端金具11の下縁部に設けてもよいし、上縁部及び下縁部の両方に設けてもよい。また、先端金具11には、切欠き部11cを設けなくてもよい。環状部11bは、後述する係止ピン23よりも内径が大きい略円筒状となるように構成されている。
【0021】
測定テープ10の他方の端部10bには、測定テープ10を引き出す際に把持する操作部12が設けられている。操作部12には、引き出した測定テープ10を巻き取り、操作部12が本体ケース30の開口部に衝突する際の衝撃を吸収する緩衝機構が設けられていることが好ましい。
【0022】
ドラム20は、本体ケース30の内側に回転可能に保持される。ここで、図4は、軸線Aに沿う方向から見たドラム20の平面図であり、図5、6は、係止ピン23側から見たドラム20の正面図である。図5では、ドラム20に対して測定テープ10を右利き用に巻き付けており、図6では、左利き用に巻き付けている。ドラム20は、全体が略円環状である。ドラム20は、略円板状の底壁21と、底壁21の外周縁部から立設する略円筒状の外周壁22とを有し、外周壁22の外周面に沿って測定テープ10を巻き付け可能に構成されている。
【0023】
外周壁22の外周面には、周方向の一部の領域において、ドラム20の径方向内側に向けて凹となるピン配置部22aが設けられている。ピン配置部22aの径方向外側(軸線Aから遠い側)には、係止ピン23が配置される。図4に示すように、ピン配置部22aは、係止ピン23の中心軸線Bを中心とする円弧状に形成されている。
【0024】
また、外周壁22の外周面には、ドラム20の径方向内側に向けて凹となる逃げ部22b、22cが設けられている。本例では、ピン配置部22aの左右両側に位置する一対の逃げ部22b、22cが設けられている。
【0025】
外周壁22は、ピン配置部22aの円弧状の頂点部において軸線Aからの距離が最も小さくなっている。また、外周壁22において、ピン配置部22a及び逃げ部22b、22cを除いた周方向領域が、軸線Aからの距離が最も大きい大径部22dとなっている。
【0026】
逃げ部22b、22cは、測定テープ10の端部10aに設けられた先端金具11を配置可能に構成されている。すなわち、本例では、図5に示すように、右利き用としてドラム20に測定テープ10を巻き付ける場合には一方の逃げ部22bに先端金具11が配置され、図6に示すように左利き用とする場合には他方の逃げ部22cに先端金具11が配置される。なお、逃げ部22b、22cの周方向長さは、当該逃げ部22b、22cに配置される先端金具11の長さ(測定テープ10の延在方向に沿った長さ)以上となっている。
【0027】
先端金具11は、測定テープ10よりも厚さが大きく、また、測定テープ10に比べて剛性が大きく変形し難いため、逃げ部22b、22cがない場合には、ドラム20の外周面に測定テープ10を巻き付けた際に、先端金具11が配置される周方向領域だけ測定テープ10が径方向外側に膨出してしまう虞がある。
【0028】
これに対して、本例では、外周壁22に凹状の逃げ部22b、22cを設け、当該逃げ部22b、22cに先端金具11を配置するようにしたことで、上述のように先端金具11に起因してドラム20に巻き付けた測定テープ10の周方向の一部が膨出する現象を抑制することができる。その結果、ドラム20に巻き付けた測定テープ10の周方向の凹凸が軽減されるため、測定テープ10の位置がずれ難く、また巻き取りの安定性が向上する。
【0029】
ドラム20は、測定テープ10の端部10aに設けられた先端金具11の環状部11bを係止可能な柱状の係止ピン23を有する。係止ピン23は、ドラム20の外周縁部に設けられており、外周壁22に設けられたピン配置部22aに配置されている。
【0030】
係止ピン23は、ピン配置部22aの外側に突出する底壁21から突出している。係止ピン23は、底壁21に連なる基端部23aから先端部23bまで軸線Aと平行に延在している。また、本例の係止ピン23は、基端部23aから先端部23bに向けて徐々に直径が小さくなっている。より具体的に、本例の係止ピン23は、略円錐台形状である。係止ピン23の形状は図示例に限定されず、適宜変更可能である。係止ピン23は、本例のように中心に中空部を有する筒状であってもよいし、中空部を持たない中実状であってもよい。また係止ピン23は、横断面(軸線Bに垂直な断面)が円形の形状に限られず、横断面が多角形状、楕円形状等であってもよい。
【0031】
本実施形態において、係止ピン23の先端部23bには、面取り部24が設けられている。本例の面取り部24は、係止ピン23の先端部23bにおける軸線A側の一部の周方向領域に設けられている。
【0032】
なお、本例の面取り部24は、係止ピン23の先端部23bにおける軸線A側の一部の周方向領域のみに設けられているが、これに限られるものではなく、例えば、係止ピン23の先端部23bの周方向全体に面取り部24を設けてもよいし、軸線A側以外の周方向領域に設けてもよいし、複数の面取り部24を周方向に間隔を空けて設けてもよい。
【0033】
また、ドラム20は、ドラム20の外周壁22の外周面から径方向外側に突出し、ドラム20に巻き付けられる測定テープ10を所定の位置に誘導するガイド突起25、26を有する。
【0034】
本例では、ピン配置部22aの左右両側に位置する一対のガイド突起25、26が設けられている。具体的に、一方のガイド突起25は、一方の逃げ部22bに配置され、他方のガイド突起26は、他方の逃げ部22cに配置されている。また、一対のガイド突起25、26は、ドラム20の軸線Aに沿う軸方向(図5、6における上下方向)において互いに逆側に配置されている。すなわち、一方のガイド突起25は、係止ピン23の基端部23a側に位置し、他方のガイド突起26は係止ピン23の先端部23b側に配置されている。
【0035】
また本例では、図5に示すように右利き用としてドラム20に測定テープ10を巻き付ける場合には一方のガイド突起25によって先端金具11の位置が規制され、測定テープ10を所定の位置に誘導することができる。また、図6に示すように左利き用としてドラム20に測定テープ10を巻き付ける場合には、他方のガイド突起26によって先端金具11の位置が規制され、測定テープ10を所定の位置に誘導することができる。
【0036】
また、本例のガイド突起25、26にはそれぞれ傾斜面25a、26aが設けられている。これにより、ガイド突起25、26に測定テープ10もしくは先端金具11が乗り上げてしまった場合でも、傾斜面25a、26aによって適切な位置に測定テープ10(先端金具11)を誘導することができる。
【0037】
本例のガイド突起25、26は、先端金具11の切欠き部11cに配置されるように構成されている。なお、ガイド突起25、26は、ドラム20の軸方向に測定テープ10がドラム20からはみ出さないように構成されている。また、図4に示すように、ガイド突起25、26は、軸線Aからの距離が外周壁22の大径部22dの外周面以下となるように構成されている。換言すると、ガイド突起25、26はドラム20の径方向において、外周壁22の最大径(大径部22dの外周面)よりも径方向外側に突出しないように構成されている。このような構成とすることにより、ドラム20の外周面に巻き付けられた測定テープ10の周方向の凹凸を軽減することができる。なお、同様の理由から、係止ピン23も、外周壁22の最大径(大径部22dの外周面)よりも径方向外側に突出しないように構成されている。
【0038】
本体ケース30は、軸線Aに垂直な面で2つに分割可能に構成されており、その内側にドラム20及びドラム20に巻き付けた測定テープ10を保持する。本体ケース30は、軸線Aを中心とした十字状の外形を有し、図1、2に示すように、上側腕部30aと、下側腕部30bと、右側腕部30cと、左側腕部30dとを有する。
【0039】
本体ケース30の表面側にはハンドル31が設けられている。ハンドル31は、軸線Aを中心に回転可能に構成されており、当該ハンドル31の回転操作によりドラム20を回転させて測定テープ10を巻き取ることができる。
【0040】
また、本体ケース30の上側腕部30aには、環状の把持部32が設けられている。当該把持部32を把持することで、巻尺1の持ち運びが容易となる。また、使用者は、一方の手で把持部32を把持するとともに、他方の手でハンドル31を回転操作することで容易に巻尺1の測定テープ10を巻き取ることができる。
【0041】
図2に示すように、本体ケース30の裏面側には、本体ケース30の内部を視認可能な貫通孔である窓部33が形成されている。窓部33は、ドラム20の係止ピン23が視認可能な位置に設けられている。本例では、窓部33は、下側腕部30b側に設けられているが、窓部33の周方向位置(軸線Aを中心とする周方向における位置)は適宜変更可能である。
【0042】
図7は、本体ケース30の内側に保持され、測定テープ10を取り外した状態のドラム20に、測定テープ10を取付ける様子を示している。図7に示すように、本体ケース30の窓部33を通して確認しながら、ドラム20の係止ピン23に測定テープ10の端部10aに設けた環状部11bを係止する。そして、ハンドル31を回転させてドラム20に測定テープ10を巻き付けることにより、測定テープ10の取り付けが完了する。このように、本体ケース30からドラム20を取り外すことなく測定テープ10を交換することができる。なお、ドラム20から測定テープ10を取り外す際には、取り付けと逆の手順で行えばよい。つまり、測定テープ10を全て引き出した状態で、窓部33を通して確認しながら、係止ピン23から測定テープ10の環状部11bを引き上げて取り外すことで、ドラム20から測定テープ10を取り外すことができる。
【0043】
本実施形態では、係止ピン23の先端部23bに、環状部11bを係止させる際の干渉を軽減可能な面取り部24を設けている。これにより、係止ピン23の先端部23bの上方から測定テープ10の環状部11bを通す際に、係止ピン23の先端部23bに環状部11bが干渉し難くなり(引っ掛かり難くなり)、スムーズに環状部11bを係止ピン23に係止させることができる。換言すれば、係止ピン23の先端部23bに面取り部24を設けることによって、係止ピン23を測定テープ10の環状部11bに挿入し易くなる。その結果、本体ケース30からドラム20を取り外すことなく容易に測定テープ10を交換することができる
【0044】
なお、係止ピン23の先端部23bの上方から測定テープ10の環状部11bを通す際には、軸線A側の周方向領域に最も干渉し易い。そのため、少なくとも係止ピン23の先端部23bにおける軸線A側の周方向領域に、面取り部24を設けることが好ましい。
【0045】
また、係止ピン23に測定テープ10の環状部11bを係止し易く(係止ピン23を環状部11bに挿入し易く)する観点から、係止ピン23は、先端部23bに向けて徐々に直径が小さくなっていることが好ましく、特に本例のように略円錐台形状であることがより望ましい。
【0046】
また、本実施形態では先端金具11に切欠き部11cが設けられ、環状部11bの軸方向高さが比較的小さくなっている。これにより、図7に示すように、係止ピン23に測定テープ10の環状部11bがより干渉し難くなり、取り付け作業がより容易となる。
【0047】
また、本実施形態では、ドラム20にガイド突起25、26を設けたことにより、容易にドラム20に対して測定テープ10を適切な位置に配置することができ、巻取りの際の安定性を高めることができる。
【0048】
ここで、巻尺1は、図8に示すような、本体ケース30の内部に配置される摩耗防止部材41~48を有していてもよい。本体ケース30が合成樹脂製である場合などにおいては、測定テープ10の繰出し及び巻取りの際に、本体ケース30と測定テープ10とが接触し、本体ケース30が摩耗する虞がある。そこで、金属等の摩耗に強い材料からなる摩耗防止部材41~48を、測定テープ10が接触する部分に配置することで、本体ケース30の摩耗を防止することができる。
【0049】
本例の場合、下側腕部30bの右側開口部に配置される摩耗防止部材41、42及び左側腕部30dに配置される摩耗防止部材45、46は、右利き用に測定テープ10を巻き付けた場合に有効である。また、下側腕部30bの左側開口部に配置される摩耗防止部材43、44及び右側腕部30cに配置される摩耗防止部材47、48は、右利き用に測定テープ10を巻き付けた場合に有効である。
【0050】
また、測定テープ10の端部10bが引き出される下側腕部30bの開口部は特に摩耗し易いため、図8に示す摩耗防止部材41、42及び摩耗防止部材43、44は、特に本体ケース30の摩耗を抑制する効果が高い。
【0051】
なお、本例の場合、摩耗防止部材41~48は、例えば針金を折り曲げて形成することができる。また、本体ケース30の表裏方向に対向配置される摩耗防止部材41及び42は、一体物として形成してもよいし、別体としてそれぞれ本体ケース30に取り付けてもよい。同様に、対向配置される摩耗防止部材43、44、摩耗防止部材45、46、及び摩耗防止部材47、48についても一体物としてもよいし、別体としてもよい。なお、摩耗防止部材41~48を全て連結して一体物としてもよい。
【0052】
本例では、折り曲げられた各摩耗防止部材41~48の端部を、本体ケース30に設けた突出筒部(ボス)の穴に差し込み、また、本体ケース30に固定される板状部材49に連結する等により摩耗防止部材41~48を本体ケース30に取り付ける構成としているが、本体ケース30に対する摩耗防止部材41~48の取付け方法も特に限定されず、適宜変更可能である。
【0053】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものである。例えば、先の実施形態においては、本体ケース30が表裏方向の中心位置で2分割される構成であったが、本体ケース30の分割位置は図示例に限定されず、適宜変更可能である。また、ドラム20を回転させるハンドル31は図示例に限定されず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:巻尺
10:測定テープ
10a:一方の端部
10b:他方の端部
11:先端金具
11a:固定部
11b:環状部
11c:切欠き部
12:操作部
20:ドラム
21:底壁
22:外周壁
22a:ピン配置部
22b、22c:逃げ部
22d:大径部
23:係止ピン
23a:基端部
23b:先端部
24:面取り部
25、26:ガイド突起
25a、26a:傾斜面
30:本体ケース
30a:上側腕部
30b:下側腕部
30c:右側腕部
30d:左側腕部
31:ハンドル
32:把持部
33:窓部
41~48:摩耗防止部材
49:板状部材
A:軸線(ドラムの回転軸線)
B:係止ピンの軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8