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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】取付金具、シート構造体、テント
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/64 20060101AFI20231117BHJP
   E04H 15/18 20060101ALI20231117BHJP
   E04G 21/28 20060101ALI20231117BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
E04H15/64
E04H15/18
E04G21/28 B
E04G21/32 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019234364
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021102876
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504059544
【氏名又は名称】株式会社トータル環境
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】川添 栄治郎
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178373(JP,A)
【文献】特開2002-180701(JP,A)
【文献】特開2014-045883(JP,A)
【文献】特開平05-306583(JP,A)
【文献】特開2016-108841(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0076589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/00-15/64
E04G 21/28
E04G 21/32
A01G 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の矩形であり、その幅方向の両縁に、他の部分よりもその厚さが厚い、同じ構成の肉厚部をそれぞれ有するシートを取付けるために用いられる、長尺であり、その使用時において前記シートの幅と略対応した間隔となるようにして平行に2本配して用いられるシート取付用の取付金具であって、
長尺である長尺材と、
前記長尺材の長さ方向に沿って前記長尺材の長さ方向の全長にわたって設けられており、その開口の幅が前記シートの厚さよりも大きく且つ前記肉厚部の厚さよりも小さくされるとともに、その内部に前記肉厚部を挿入することが可能とされた、前記取付金具の使用時に互いに平行とされ且つ互いに対向させられる係止溝と、
を備えており、
前記係止溝の一方である第1係止溝と、前記係止溝の他方である第2係止溝とは、前記シートに所定の力がはたらいたときに、前記第1係止溝内に位置する前記肉厚部は変形することにより前記第1係止溝から脱落するが、前記第2係止溝内に位置する前記肉厚部は変形しても前記第2係止溝から脱落しないようになっている、
取付金具。
【請求項2】
前記第1係止溝の開口の幅は、前記第2係止溝の開口の幅よりも広くなっている、
請求項1記載の取付金具。
【請求項3】
長尺の矩形であり、その幅方向の両縁に、他の部分よりもその厚さが厚い、同じ構成の肉厚部をそれぞれ有するシートと、
前記シートを取付けるために用いられる、長尺であり、その使用時において前記シートの幅と略対応した間隔となるようにして平行に2本配して用いられるシート取付用の取付金具と、
を含んで構成されるシート構造体であって、
前記取付金具は、
長尺である長尺材と、
前記長尺材の長さ方向に沿って前記長尺材の長さ方向の全長にわたって設けられており、その開口の幅が前記シートの厚さよりも大きく且つ前記肉厚部の厚さよりも小さくされるとともに、その内部に前記肉厚部を挿入することが可能とされた、前記取付金具の使用時に互いに平行とされ且つ互いに対向させられる係止溝と、
を備えており、
前記係止溝の一方である第1係止溝と、前記係止溝の他方である第2係止溝とは、前記シートに所定の力がはたらいたときに、前記第1係止溝内に位置する前記肉厚部は変形することにより前記第1係止溝から脱落するが、前記第2係止溝内に位置する前記肉厚部は変形しても前記第2係止溝から脱落しないようになっている、
シート構造体。
【請求項4】
請求項3記載のシート構造体を含む、テント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、シートを取付けるための取付金具、及び取付金具とシートとを用いて構成されるシート構造体に主に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築物などを解体するには、解体現場においてパワーショベルなどの重機を用いて建築物を破壊し、細分化し、それによって生じた廃棄物を適当な方法で分別して廃棄する。
このような解体作業を、例えば、住宅地、病院、或いは学校等の近辺で行う場合には、粉塵の飛散が生じ易い。解体の対象となる建築物は古い建築物であるのが通常であるのでアスベスト等の健康に好ましくない物質を含む粉塵が生じる場合があり、また、焼却炉を含む廃棄物処分場が解体の対象となる場合にはダイオキシン等のこれも健康に好ましくない物質を含む粉塵が生じる場合がある。健康に好ましくない粉塵が生じる場合は特に、粉塵の飛散は近隣の住民等から大きな問題と捉えられやすい。
また、建物の解体には騒音がつきものであるが、それが近隣の住民との間で問題を生じる可能性がある。
【0003】
建築物の解体作業を一例とする何らかの作業を行うときに、その作業によって生じる粉塵や騒音の外部への漏れ出しを防止するための技術の1つとして、仮設のテントにより解体の対象となる建築物の全体を覆うという技術が採用されている。
かかる仮設のテントは、例えば、柱、梁等の骨材と、骨材、或いは骨材間の隙間の少なくとも一部を覆うシートとによって構成される。シートは、粉塵や騒音の外部への漏れ出しを防止する目的をより強調するために二重とされる場合もある。
【0004】
シートを仮設のテントに固定するために、シート固定用の取付金具が用いられており、また取付金具とシートにて構成されるシート構造体が知られている。
かかるシート取付金具に取付けられるシートは一般に長尺の矩形であり、且つその幅方向の両端部の全長にわたって、当該部分の厚さをその他の部分よりも厚くすることにより形成された肉厚部を備えている。肉厚部は多くの場合、シートの幅方向の両端部をそれぞれ折り返して作ったシートの幅方向の両端の全長にわたる長尺の孔の中に、ある程度の太さの曲折可能な棒状体(例えばロープ)を配置することによって形成される。
取付金具は長尺であり、多くの場合、シートの長さ方向の長さに対応するようにその長さ方向で連結された状態で、且つシートの幅方向の長さに対応した間隔を空けて、二本で一組を平行に配列して用いられる。取付金具は、また、シートの幅方向の端部を係止するための長尺の係止溝を備えており、平行に配置されたときに2本の取付金具における係止溝は、それらの開口同士が対向するようにされる。
係止溝は、その内部にシートの肉厚部を挿入することができるような溝であって、その係止溝の開口の幅がその奥側の幅よりも狭くなるようにされている。係止溝の開口の幅は、シートの厚さよりは大きいが肉厚部の厚さよりは小さくされている。シートの肉厚部は、係止溝の奥側の幅が広い部分に挿入される。そうすると、シートの縁部にシートの幅方向の中心に向かう力がはたらいたとしても、溝の開口の縁に干渉する肉厚部が溝の開口に係止されて係止溝から抜けないから、肉厚部は係止溝内から脱落しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3927567号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の如きシート構造体にも改良すべき点がある。
それは、シート構造体を有するテント等の周辺で強風が吹いた場合において、強風からシートが受ける力によって、シート構造体のみならずシート構造体を有するテント等が、例えば骨材を含めて破壊されるおそれがある、という点である。
シート構造体を構成する取付金具は、テントの骨材に取付けられるのが一般的であるが、強風からシートが大きな力を受けた場合には、その力が取付金具を介してテントの骨材にはたらき、その結果強風により骨材を含めてテントの全体が破壊されるおそれがある。
建造物の解体に応用される仮設のテントは、その高さが50mを超える場合もあり、強風を受けるシートの面積が非常に大きいから、シートには極めて大きな力がはたらく。その結果、テントの全体が破壊されるような事態が生じる可能性が大きくなりがちであり、また、そのような事態が生じたときの被害が大きくなりがちである。
もちろん、現在の気象予測の高い精度を考慮すれば、例えば台風の接近によっていつ強風が吹くかを予め予測することができるから、そのような予測に基づいて予めシートの例えば少なくとも一部を取付金具から外しておいたり、或いはシートの例えば少なくとも一部を弛ませておいたりするといった対応を取ることも可能ではある。
しかしながら、そのようなことを実現可能とするための構造をそもそもコスト低減を狙って採用されるテント等の仮設の構造物に採用するのは難しく、また、そのような構造を採用した仮設のテントであっても、上記の対応を人の手によって行ったり、また上記の対応を採るか否かの判断を人が行うとすれば、必要なときに必ず上述のような対応を採ることができるとは限らないから、テントの破壊が生じる可能性は残る。加えて、上述の対応或いは判断を機械によって自動的に行うようにしようとすれば、それに必要となるコストが発生し、コストが上昇する。
なお、このような問題は、仮設のテントに限らず、上述の如きシート構造体、或いは上述の如きシート構造体に含まれる取付金具一般に共通する。
【0007】
本願発明は、強風が吹いたときにおいてもテントの破損を生じることを避けることができる、安価なシート構造体或いはそれに関連する技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、長尺の矩形であり、その幅方向の両縁に、他の部分よりもその厚さが厚い、同じ構成の肉厚部をそれぞれ有するシートを取付けるために用いられる、長尺であり、その使用時において前記シートの幅と略対応した間隔となるようにして平行に2本配して用いられるシート取付用の取付金具である。
そして、その取付金具は、長尺である長尺材と、前記長尺材の長さ方向に沿って前記長尺材の長さ方向の全長にわたって設けられており、その開口の幅が前記シートの厚さよりも大きく且つ前記肉厚部の厚さよりも小さくされるとともに、その内部に前記肉厚部を挿入することが可能とされた、前記取付金具の使用時に互いに平行とされ且つ互いに対向させられる係止溝と、を備えている。
ここまでに説明した取付金具、及びシートの構成は、背景技術の欄で説明したそれらの構成と変わるところがなく、従来におけるそれらの構成を踏襲したものであっても構わない。
そして、2本で一組として用いられる取付金具における前記係止溝の一方である第1係止溝と、前記係止溝の他方である第2係止溝とは、前記長尺材に所定の力がはたらいたときに、前記第1係止溝内に位置する前記肉厚部は変形することにより前記第1係止溝から脱落するが、前記第2係止溝内に位置する前記肉厚部は変形しても前記第2係止溝から脱落しないようになっている。
したがって、かかる取付金具を用いることとすれば、かかる取付金具に取付けられたシートは、上述の「所定の力」を適切に設計しておくことにより、取付金具に工夫がなければテントが壊れることになるような、或いはそれより幾らか弱い「ある強さの風」が吹いた場合に、第1係止溝に係止されていた肉厚部が第1係止溝から脱落するとともに、第2係止溝に係止されていた肉厚部がそのまま第2係止溝内に残る、という状態を作り出すことができるようになる。この状態であれば、シートの2つの肉厚部のうち、第1係止溝から脱落した方の肉厚部側の縁は自由端になるので、ある強さ或いはそれ以上の風が吹いたとしても、シートに「所定の力」或いはそれ以上の力がはたらくことがもはや無い。それゆえ、本願発明の取付金具を用いれば、強風によって発生した大きな力がシートからはたらくことにより、骨材を含むテントの全体が壊れるような事態を防ぐことができる。なお、本願発明の取付金具は、第1係止溝からシートの一方の肉厚部が脱落しても、他方の肉厚部は第2係止溝内にとどまるため、シート自体がどこかへ飛び去ることを防ぐことができる。
しかも、上述のように、第1係止溝から肉厚部が外れるのは、ある強さの風が吹いた場合であり、第1係止溝から肉厚部を外すために人手に頼ることも、人の判断を必要とすることもない。したがって、本願発明の取付金具を用いれば、第1係止溝から肉厚部を外すべきときに自動的に第1係止溝から肉厚部が外れることになるので、テントの全体が破壊されるおそれを抑制することができ、また第1係止溝から肉厚部を外すためのコストも小さく抑えられる。
【0009】
上述したように、2本で一組として用いられる取付金具における係止溝の一方である第1係止溝と、係止溝の他方である第2係止溝とは、シートの本体に所定の力がはたらいたときに、第1係止溝内に位置する肉厚部は変形することにより第1係止溝から脱落するが、第2係止溝内に位置する肉厚部は変形しても第2係止溝から脱落しないようになっている
そのような第1係止溝と第2係止溝からの選択的な肉厚部の脱落を生じさせるためには、例えば、前記第1係止溝の開口の幅が、前記第2係止溝の開口の幅よりも広くなっていればよい。
【0010】
本願発明者は、また、以下のシート構造体をも本願発明の一態様として提案する。以下のシート構造体の効果は、以上で説明した取付金具の効果に等しい。
一例となるシート構造体は、 長尺の矩形であり、その幅方向の両縁に、他の部分よりもその厚さが厚い、同じ構成の肉厚部をそれぞれ有するシートと、前記シートを取付けるために用いられる、長尺であり、その使用時において前記シートの幅と略対応した間隔となるようにして平行に2本配して用いられるシート取付用の取付金具と、を含んで構成されるシート構造体である。
そして、前記取付金具は、長尺である長尺材と、前記長尺材の長さ方向に沿って前記長尺材の長さ方向の全長にわたって設けられており、その開口の幅が前記シートの厚さよりも大きく且つ前記肉厚部の厚さよりも小さくされるとともに、その内部に前記肉厚部を挿入することが可能とされた、前記取付金具の使用時に互いに平行とされ且つ互いに対向させられる係止溝と、を備えている。
そして、2本で一組として用いられる取付金具における前記係止溝の一方である第1係止溝と、前記係止溝の他方である第2係止溝とは、前記長尺材に所定の力がはたらいたときに、前記第1係止溝内に位置する前記肉厚部は変形することにより前記第1係止溝から脱落するが、前記第2係止溝内に位置する前記肉厚部は変形しても前記第2係止溝から脱落しないようになっている。
本願発明者は、また、以下のテントをも本願発明の一態様として提案する。以下のテントの効果は、以上で説明した取付金具の効果に等しい。
一例となるテントは、本願発明によるシート構造体を含むテントである。本願発明によるテントの使用方法の例としては、背景技術の欄で説明したものを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態で構築される仮設の建築物を示す斜視図。
図2図1に示した仮設の建築物に含まれる骨部材を示す斜視図。
図3図1に示した仮設の建築物に含まれるシートの(A)平面図と、(B)側面図と、(C)他の場合の側面図。
図4図1に示した仮設の建築物に含まれるシート取付金具の正面図。
図5図1に示した仮設の建築物に含まれるシート取付金具が梁部に取付けられた状態を梁部の長さ方向の延長線上から見た図。
図6図1に示した仮設の建築物に含まれるシート取付金具にシートが取付けられた状態を梁部の長さ方向の延長線上から見た図。
図7図1に示した仮設の建築物に含まれるシート取付金具にシートが取付けられた状態で降雨があった場合の雨水の動きを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
この実施形態では、図1に示したような仮設の建築物に、本願発明の取付金具乃至シート構造体を応用する場合について説明することとする。
これには限られないが、この実施形態における仮設の建築物は、簡単に言うと巨大なテントである。これには限られないが、この実施形態における仮設の建築物は、ビルディング、清掃工場等の既存の建築物を解体するために用いられるものであり、既存の建築物の全体をすっぽりと覆うようなものとされる。仮設の建築物は、これには限られないがこの実施形態では平面視矩形であり、大きい場合にはその長辺が100mに及ぶことがあり、その高さは50mに及ぶことがある。
【0014】
この実施形態による仮設の建築物は、図1図2に示すようにして複数の骨部材10を備えている。図2は、骨部材10のみを示した図である。骨部材10は、従来の仮設の建築物におけるそれらと基本的に同じ構造で構わない。
各骨部材10は、これには限られないがこの実施形態では等間隔で、且つ平面視した場合に平行になるようにして立てられている。
【0015】
これには限られないが、この実施形態における各骨部材10は同じものとされている。骨部材10は仮設の建築物の骨材となるものであり、それに必要な剛性を有するものとなっている。骨部材10は、これには限られないがこの実施形態では金属製の角パイプで構成されている。
骨部材10は、いずれも棒状の2本の柱部11と、これもいずれも棒状の2本の梁部12とを備えて構成されている。柱部11は仮設の建築物の柱となり壁の一部を構成するものであり、梁部12は仮設の建築物の梁となり屋根の一部を構成するものである。柱部11と梁部12とは全体として一体となっていても構わないが、この実施形態における2つの柱部11と2つの梁部12とは別部材とされており、それらが組合せられ、後述の状態で固定されることにより、一体の骨部材10となるようにされている。もちろん、柱部11と梁部12との少なくとも一方が、更に複数の部材で構成されていることもあり得る。
柱部11は、所定の間隔を空けて、地面に対して事実上垂直に立てられるものである。柱部11の下端は地面に固定されるが、その固定の方法は、周知又は公知技術に倣えばよい。柱部11の下端は地面に直接固定されても良いし、他の部材を介して間接的に地面に固定されていても良い。
2つの梁部12の一端は、2つの柱部11の上端にそれぞれ固定されている。また2つの梁部12の他端は互いに接続されるようになっている。平面視した場合における2つの梁部12は一直線状になるようにされている。梁部12の互いに接続される他端は、梁部12の一端よりもその高さが高くなるようになっている。かかる梁部12の構成により、仮設の建築物の屋根は、これには限られないが、いわゆる切妻型となる。
【0016】
次に、仮設の建築物を構成するシートについて説明する。
シート20は、後述する肉厚部を除いて、従来のものとその構成は同じでよく、具体的には図3に示されたように構成される。後述するようにしてシート20は、隣接する骨部材10の間に張り渡される。
シート20は、シート材21を備えている。シート材21は、例えば、樹脂製のシート、或いは、繊維による織物又は編物の少なくとも一方の面を樹脂でコーティングしたシートとすることができる。シート材21を構成する樹脂の例は、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等である。シート材21の厚さは、例えば0.5mm~2.0mmである。シート20は、巻取り又は折畳みが可能とされているが、この実施形態ではその双方が可能とされており、少なくとも骨部材10に沿って曲折可能な程度の柔軟性を有している。なお、シート20はその用途にもよるが例えば多数の孔が開いていてもよく、場合によっては編状であってもよい。
シート20は図3(A)に示したように長尺の矩形である。シート20の幅は隣り合う骨部材10の間の間隔と同じかそれよりも僅かに長い長さとされている。シート20の長手方向の長さは、骨部材10の長さ、即ち2つの柱部11と2つの梁部12の長さを合わせた長さに対応したものとされている。シート20は、複数枚のシート材21を熱融着などによって貼り合わせたものであってももちろん構わない。
シート20の幅方向の両端部には、肉厚部22が設けられている。肉厚部22の厚さはシート20を構成するシート材21の厚さよりも大きくされている。
肉厚部22は、例えば、シート20の両端部を図3(B)に示したように折り返して、その先端をシート20の幅方向のやや内側よりに溶着、接着、或いは縫製等により固定することで作られた、シート20の幅方向の両端部におけるシート20の長さ方向の全長にわたる筒状の空間の内部に、骨部材10に沿って曲折可能な程度に柔軟な棒状体23を配することによって構成される。或いは、肉厚部22は、図3(C)に示したように、シート20の両端部の表裏両面に、長尺で矩形であり且つその中央を長さ方向に沿って曲折させたシート(例えば、シート材21と形状を除いて同じように構成されたシートである。)である追加シート片24の両端の内側面を溶着、接着、或いは縫製等により固定することで作られた、シート20の幅方向の両端部におけるシート20の長さ方向の全長にわたる筒状の空間の内部に、柔軟な棒状体23を配することによって構成される。棒状体23は例えばゴムにより構成することができるが、その素材を含めた構成については後述することとする。
いずれにせよ、シート20の肉厚部22は、シート材21の厚さよりも厚くなる。かかる肉厚部22の厚さは、後述する外係止溝及び内係止溝に挿入することができ、且つシート材21に力がかかっていない状態では、外係止溝及び内係止溝の開口から抜け出さないような厚さとされる。なお、シート20の肉厚部22以外の部分の厚さは当然に、肉厚部22を構成するために2重又は3重になっている部分を含めて、外係止溝及び内係止溝の開口の幅よりも小さくなっている。
なお、棒状体23を用いてシート20に肉厚部22を設ける場合、シート20に対する棒状体23の固定の仕方は上述したものに限られず、例えば、縫合や接着等によりそれをなしても良い。
また、1つのシート20に2つ設けられる肉厚部22は、同じ構成とされている。ここで、同じとは、対称の関係を含む。
シート20は、後述するシート取付金具を用いて骨部材10に取付けられる。
【0017】
次に、シート20を骨部材10に取付けるために用いられるシート取付金具について説明する。
なお、以下に説明するシート取付金具は、骨部材10のうち梁部12にシート20を固定するために用いられるが、この実施形態では柱部11へのシート20の固定にも、同様のシート取付金具が用いられる。
【0018】
シート取付金具100の正面図を図4に示す。これには限られないが、この実施形態では、すべてのシート取付金具100は図4に示された同じ構成となっている。
シート取付金具100は、図4に示したような形状をしており、長尺であり、その図4における縦断面形状は、その長さ方向のすべての部分で同じである。これには限られないが、シート取付金具100は金属製であり、例えば押出成形によって製造される。
シート取付金具100は、その幅方向の両側にそれぞれ、外係止溝111Aをその内側に有する断面略C字形状の外係止部材111と、内係止溝112Aをその内側に有する断面略C字形状の内係止部材112とを備えている。
2つの外係止部材111同士は、板状体である外接続板113によって互いに接続されており、2つの内係止部材112同士は、板状体である内接続板114によって互いに接続されている。
また、これには限られないが、シート取付金具100の幅方向の同じ側にある外係止部材111と内係止部材112とは、その一部で、より詳細には前者の図4における内側より下方と後者の外側より上方で、互いに一体化されている。
上述した外係止溝111Aは、後述する外側のシート20の肉厚部22を係止するためのものである。外係止溝111Aにはシート20の肉厚部22を挿入することができるようになっている。またシート20の肉厚部22以外の部分は外係止溝111Aの開口を通過できるようになっている。ただし、1つの取付金具100に設けられる2つの外係止溝111Aのうちの一方(図4における右側)の開口の幅は、他方(図4における左側)の開口の幅よりも広くなっている。
上述した内係止溝112Aは、後述する内側のシート20の肉厚部22を係止するためのものである。内係止溝112Aにはシート20の肉厚部22を挿入することができるようになっている。またシート20の肉厚部22以外の部分は内係止溝112Aの開口を通過できるようになっている。ただし、1つの取付金具100に設けられる2つの内係止溝112Aのうちの一方(図4における右側)の開口の幅は、他方(図4における左側)の開口の幅よりも広くなっている。
開口の幅が相対的に広い、図4における右側の外係止溝111Aと、内係止溝112Aが本願でいう第1係止溝に相当し、開口の幅が相対的に狭い、図4における左側の外係止溝111Aと、内係止溝112Aが本願でいう第2係止溝に相当する。
これには限られないが、外係止溝111A乃至外係止部材111は、内係止溝112A乃至内係止部材112よりも外側に位置するようになっている。
外係止部材111の外側下方、或いは別の言葉で言うなら外係止溝111Aの開口の下側には、突起である案内突起115が設けられている。案内突起115は、後述するようにして垂れ落ちる雨水を案内するものである。もっとも、案内突起115は本願発明において必須ではない。
内係止部材112の下方には、固定脚116が設けられている。固定脚116は、シート取付金具100を骨部材10に対して固定するために用いられるものである。固定脚116はその下方で外側に曲折されており、その先端に上方に突出した係止爪116Aを備えている。係止爪116Aの機能については後述する。
【0019】
以上の如きシート取付金具100は、図5に示したようにして、骨部材10に対して取付けられる。
骨部材10の梁部12に対するシート取付金具100の取付け方は以下の通りである。シート取付金具100はその長さ方向が梁部12の長さ方向に沿うようにして、梁部12に対して固定される。シート取付金具100を梁部12に取付ける際には、固定用金具200が用いられる。なお、図5における梁部12は、梁部12を構成する部材の1つであり、梁部12に沿って延びる長尺の部材である場合がある。
固定用金具200は、図5に示したような正面形状を持つ、2つで1組とされた金具である。固定用金具200は、図5における奥行き方向に、後述するボルトの直径の例えば数倍程度の長さを持つ。つまり、固定用金具200は長尺ではない。固定用金具200は、梁部12の左右のどちらか半分の外周に沿わせて用いられるものであり、その上方に、まず内向きにそして図5における下向きに曲折して形成された係止部211を備えている。また、固定用金具200はその下方に、図5における下方に伸びる固定部212を備えている。固定部212には、図示を省略の孔が穿たれている。
2つの固定用金具200における上述した係止部211はそれぞれ、シート取付金具100の2つの固定脚116における係止爪116Aに対して外側上方から係止することができるようになっている。その状態で、2つの固定用金具200の固定部212にそれぞれ穿たれた上述の孔を貫通させたボルト220に対してナット230を螺合させることにより、固定用金具200を介してシート取付金具100は梁部12に対して固定されるようになっている。各シート取付金具100は、その長さ方向の複数の適宜の位置で、固定用金具200を用いて梁部12に対して固定される。
結果として、シート取付金具100は、梁部12の全長にわたるようにして梁部12に対して固定されることになる。なお、通常はそうであるが、梁部12の長さよりもシート取付金具100が短ければ、1つの梁部12には、その長さ方向で連ねられた複数のシート取付金具100が固定されることになる。
シート取付金具100が梁部12に取付けられたとき、シート取付金具100の外接続板113と内接続板114はいずれも、その断面が水平になるようにする。シート取付金具100は各梁部12に取付けられるので、隣り合う骨部材10における梁部12に取付けられたシート取付金具100の互いに相手側のシート取付金具100に近い側の外係止溝111A同士、及び内係止溝112A同士は、互いに対向することになる。外係止溝111Aは、仮設の建築物を基準とした場合に、内係止溝112Aより外側に位置することになる。
同様にして、骨部材10の柱部11に対しても、柱部11の全長にわたるようにしてシート取付金具100が取付けられる。シート取付金具100が柱部11に取付けられたとき、シート取付金具100の外接続板113と内接続板114はいずれも、仮設の建築物の図1における長手方向と一致するようにする。シート取付金具100は各柱部11に取付けられるので、隣り合う骨部材10における柱部11に取付けられたシート取付金具100の互いに相手側のシート取付金具100に近い側の外係止溝111A同士、及び内係止溝112A同士は、互いに対向することになる。外係止溝111Aは、仮設の建築物を基準とした場合に、内係止溝112Aより外側に位置することになる。また、柱部11と梁部12との接続部分においては、柱部11と梁部12とがなす角度と同じ角度で、それらにそれぞれ固定されたシート取付金具100の端部同士が殆ど接触した状態となる。このとき、両シート取付金具100における外係止溝111A同士と内係止溝112A同士は連続した状態となるが、外係止溝111A同士の間、或いは内係止溝112A同士の間に隙間が生じるようであれば、適当な部材を配することによりその隙間を埋めるようにすることも可能である。
【0020】
このようにして骨部材10に対して取付けられたシート取付金具100に対して、シート20が取付けられる。
シート20は、隣り合う骨部材10の間に張り渡される。
一の骨部材10に取付けられたシート取付金具100における外係止溝111A及び内係止溝112Aは、隣り合う骨部材10に取付けられたシート取付金具100における上記一の骨部材10に取付けられたシート取付金具100に近い側の外係止溝111及び内係止溝112Aとそれぞれ対向した状態となっている。その対向した外係止溝111A同士を対になる外係止溝111Aとして、それら2つの外係止溝111Aに、それぞれ一枚のシート20の幅方向の両端の肉厚部22を、図2の手前側に位置する柱部11の下端からか、又は奥側に位置する柱部11の下端から挿入する。そして、シート20の先端を2本の柱部11に取付けられたシート取付金具100の対向する外係止溝111Aにその幅方向の両端の肉厚部22を案内させながら、当該柱部11の上端まで引き上げる。次いで、2本の梁部12に取付けられたシート取付金具100の外係止溝111Aと、反対側の柱部11に取付けられたシート取付金具100の外係止溝111Aとにその肉厚部22を案内させながら、シート20の先端を、上記反対側の柱部11の下端に至るまで移動させる。
これにより、シート20は、隣接する2つの骨部材10の間の一対の外係止溝111Aによってその両端の肉厚部22を係止された状態で、隣接する2つの骨部材10の間に張り渡された状態となる。
かかる作業を、隣接する2つの骨部材10の間のすべてにおいて行う。
また、同様の作業を、隣接する2つの骨部材10の間の一対の内係止溝112Aの間で行う。これにより、シート20は、隣接する2つの骨部材10の間の一対の内係止溝112Aによってその両端の肉厚部22を係止された状態で、隣接する2つの骨部材10の間に張り渡された状態となる。この作業は、隣接する2つの骨部材10の間の一対の内係止溝112Aの間のすべてで行われる。
シート20が張り渡された状態を図6に示す。作図の都合上、図6におけるシート20の幅(図6における左右方向の長さ)は実際よりもかなり小さく描かれている。
シート取付金具100の本願発明における第1係止溝に相当する外係止溝111A及び内係止溝112Aの開口は、他のシート取付金具100の本願発明における第1係止溝111A及び第2係止溝112Aの開口と対向するようにされる。したがって、シート20の一方の肉厚部は、本願発明における第1係止溝に相当する開口の幅が相対的に広い外係止溝111A又は内係止溝112Aに取付けられ、シート20の他方の肉厚部は、本願発明における第2係止溝に相当する開口の幅が相対的に狭い外係止溝111A又は内係止溝112Aに取付けられることになる。
【0021】
これにより、図1における仮設の建築物の4つの側面のうちの2つの矩形の側面と、2つの矩形の屋根面にはシート20が張り渡される。
他方、図1における2つの五角形の側面は未だ開放された状態である。2つの五角形の側面には、周知又は公知の手法を用いて適当にシートを張り渡す。必要に応じて当該側面に開閉が可能な扉40を設けて、仮設の建築物が完成する。
【0022】
仮設の建築物が完成した後、降雨があったとする。梁部12を構成する部分の傾斜したシート20に雨水が付着することを考える。
この場合、外側のシート20の外面に雨水が付着する。かかる雨水の一部は、図7における矢印Wで示したように、外側のシート20の外面を伝わって外係止溝111Aの中に入り込み、外側のシート20の肉厚部22を回り込んで、外側のシート20の内面側に至り、そして、再び外係止溝111Aから漏れ出すことがある。このとき、雨水は外側のシート20の内面側に位置している。かかる雨水は、更に矢印Wで示したように外係止部材111における外係止溝111Aの開口の下方の部分を伝わって垂れる。外係止溝111Aから出た雨水は、そのまま内側のシート20に垂れるか、或いは少なくとも案内突起115にまで及んだら、そこで水滴W1となって内側のシート20に垂れ落ちる。
いずれにせよ、雨水が垂れ落ちる内側のシート20の外側面上における位置は、内係止溝112Aからは離れたところ、言い換えれば内側のシート20の幅方向における中央寄りの位置となる。かかる位置に落ちた雨水は、内側のシート20の最大傾斜線に沿う方向、つまりシート取付金具100の長さ方向に沿って流れていくことになるから、内係止溝112Aの方向に近づき内係止溝112Aの中に入ることはない。これにより、内係止溝112Aを介して、内側のシート20の更に内側、つまり仮設の建築物の内部に雨水が侵入することがなくなる。
仮設の建築物の側面を構成するシート20に対応する部分では以上のような効果は生じないが、少なくともシート取付金具100によって構成される以上の取付構造が、雨水の仮設の建築物への侵入を促進することはない。
【0023】
仮設の建築物が完成した後、強風が吹いたとする。その場合においても、テントであるこの実施形態における建築物は、少なくともその骨部材10に損傷が起こる程の損傷が生じない。
図6に示したように、各シート20はそれぞれ、2つで一組とされた外係止部材111における外係止溝111A又は、2つで一組とされた内係止部材112における内係止溝112Aによって、その幅方向の両縁にある肉厚部22を係止されることによって建築物に対して固定されている。
【0024】
とりあえず、図6中の左右方向における中央の上側に位置する、外係止部材111の外係止溝111Aにその両縁の肉厚部22を係止されたシート20に着目する。
このシート20は、図6中の左縁と右縁とにそれぞれ肉厚部22を有している。それら肉厚部22の構成は同じである。
本願発明における第1係止溝に相当する外係止溝111Aに挿入されている、図6中の左右方向における中央の上側に位置するシート20の左側の肉厚部22は、外係止溝111Aの開口の幅が相対的に広いこともあり、シート20に対して所定の力がはたらいたときに変形して、外係止溝111Aから脱落する。他方、本願発明における第2係止溝に相当する外係止溝111Aに挿入されている、図6中の左右方向における中央の上側に位置するシート20の右側の肉厚部22は、外係止溝111Aの開口の幅が相対的に狭いこともあり、シート20に対して左側の肉厚部22が外係止溝111Aから脱落する所定の力がはたらいても、多少の変形は生じるものの外係止溝111Aから脱落しない。
シート20に対して、ある風速の風が吹き付けたときにシート20にはたらく力は計算により容易に求められる。したがって、上述の「所定の力」を適切に定めることにより、ある風速の風がテントである建築物の周囲で吹いたときに、本願発明における第1係止溝に相当する左側の外係止溝111Aからシート20の左側の肉厚部22が脱落するとともに、本願発明における第2係止溝に相当する右側の外係止溝111Aからシート20の右側の肉厚部22が脱落しないようにすることができる。
そして、この実施形態における2つの外係止溝111Aは、そのように構成されている。あり得る範囲の強風が吹いたとしても外係止溝111Aからシート20の肉厚部22が脱落しないようになっているのであれば、ある程度以上の風速の風が吹きシート20に大きな力がはたらいたときには、その力がシート取付金具100から骨部材10に伝わり、結果として骨部材10に損傷が生じるおそれがある。骨部材10の強度に応じて、上述の「所定の力」を骨部材10が耐えられる範囲で適切に定めておけば、骨部材10が耐えられる範囲の力をシート20にかけるようなある程度の風が吹いた段階で、本願発明における第1係止溝に相当する左側の外係止溝111Aに挿入された左側の肉厚部22が外係止溝111Aから脱落するとともに、本願発明における第2係止溝に相当する右側の外係止溝111Aに挿入された右側の肉厚部22が外係止溝111Aから脱落しない、という状態が生じることになる。そうすると、外係止溝111Aから脱落した左側の肉厚部22が存在する縁が自由端となったシート20は、それ以降より強い風を受けたとしても、風からより大きな力を受けることがなくなる。そのため、この実施形態におけるテントである建築物は、強い風を受けたとしても、骨部材10の損傷を伴うような大きな損傷を受けることが無い。
これは、内側のシート20でも同様である。
【0025】
なお、図3を用いて既に説明したように、肉厚部22は、棒状体23を備えている。図3では、棒状体23は断面円形とされているが、これはこの限りではない。もっとも断面円形とすると、シート20に「所定の力」がはたらいたときに再現性良く第1係止溝に相当する外係止溝111Aから肉厚部22を脱落させられるようになる。
棒状体23は、繊維製のロープにより構成されていても良いが、ゴム製であってもよい。棒状体23乃至肉厚部22の変形は弾性変形であるのが好ましいが、棒状体23乃至肉厚部22が行う変形は弾性変形であってもそうでなくてもよい。棒状体23乃至肉厚部22の変形が弾性変形であれば、第1係止溝に相当する外係止溝111Aから肉厚部22が脱落したシート20を再利用するのに有利である。
【0026】
なお、この実施形態では、建築物に用いられるシート20のすべてにおいて、その一方の肉厚部22が本願発明における第1係止溝に相当する外係止溝111A又は内係止溝112Aに支持されるとともに、他方の肉厚部22が本願発明における第2係止溝に相当する外係止溝111A又は内係止溝112Aに支持されるようにされている。
したがって、この実施形態におけるテントである建築物では、ある風速の風がテントである建築物の周囲で吹いたときに、すべてのシート20で、本願発明における第1係止溝に相当する、図6における左側の外係止溝111A又は内係止溝112Aに挿入された肉厚部22が外係止溝111A又は内係止溝112Aから脱落するとともに、本願発明における第2係止溝に相当する、図6における右側の外係止溝111A又は内係止溝112Aに挿入された肉厚部22が外係止溝111A又は内係止溝112Aから脱落しないという状況が生じる。それにより、この建築物では、骨部材10が損傷するような破損が生じない。
肉厚部22が第1係止溝に相当する外係止溝111A又は内係止溝112Aから脱落したシート20は、既に述べた方法により、再び建築物に固定し直すことができる。
なお、建築物に用いられるすべてのシート20で、本願発明における第1係止溝に相当する、図6における左側の外係止溝111A又は内係止溝112Aに挿入された肉厚部22が外係止溝111A又は内係止溝112Aから脱落するとともに、本願発明における第2係止溝に相当する、図6における右側の外係止溝111A又は内係止溝112Aに挿入された肉厚部22が外係止溝111A又は内係止溝112Aから脱落しないという現象が生じるようにする必要はない。一部のシート20のみでそのような現象が生じ、他のシート20では、両肉厚部22ともに外係止溝111A又は内係止溝112Aから脱落しないような構成を採用しうる。
【0027】
この実施形態では、シート取付金具100は骨部材10に沿うようにして骨部材10に対して固定されるものとなっていたが、シート取付金具100とシート20との位置関係が以上の実施形態で説明した位置関係を保てるのであればシート取付金具100と骨部材10の位置関係は上述の実施形態の如くに限定されるものではない。例えば、図1において平行に並んでいる骨部材10同士を結ぶ骨部材を新たに設け、その骨部材10にシート取付金具100を固定することが可能である。
また、上述の実施形態では、シート取付金具100は骨部材10の全長にわたって存在していたが、シート取付金具100は少なくとも柱部11と梁部12の一部にのみ設けることもできる。
また、上述の実施形態では、シート20は二重構造とされていたが、これはこの限りではなく、例えば、シート20は一重構造であっても良い。その場合、シート取付金具100の外係止部材111と内係止部材112とは、その一方のみが存在すれば足りる。
【符号の説明】
【0028】
10 骨部材
11 柱部
12 梁部
20 シート
21 シート材
22 肉厚部
23 棒状体
100 シート取付金具
111 外係止部材
111A 外係止溝
112 内係止部材
112A 内係止溝
115 案内突起
200 固定用金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7