(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】水栓用吐出具および水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/084 20060101AFI20231117BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20231117BHJP
B05B 1/18 20060101ALI20231117BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
E03C1/084
E03C1/042 B
B05B1/18
B05B1/14 A
(21)【出願番号】P 2021148015
(22)【出願日】2021-09-10
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000114097
【氏名又は名称】ミズタニバルブ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】水谷 真也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-326082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/08
E03C 1/042
A47K 3/28
B05B 1/18
B05B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓の吐出部に取り付けられる水栓用吐出具であって、
前記吐出部に取り付けられる本体を備え、
前記本体は、前記水栓内の流路と外部とを連通する、第1流路および第2流路を備え、
前記第1流路は、前記本体の中心部に設けられた第1吐出口と、その第1吐出口の上流側に設けられた旋回流生成空間部と、その旋回流生成空間部において旋回流が生成されるよう、その旋回流生成空間部の上流側にあってその旋回流生成空間部の中心に向かう方向とずれた方向からその旋回流生成空間部に水を導入する導入路とを備え、
前記第1吐出口は、前記旋回流生成空間部よりも絞られて形成され、
前記第2流路は、前記第1吐出口を囲むように設けられて水が筒状に吐出する第2吐出口と、その第2吐出口の上流側の空気室と、その空気室の上流側にあってその空気室に水を噴出させる噴出口とを備え、
前記空気室には、前記噴出口から噴出した水が衝き当たる当て面が設けられ、また、
前記本体には、外部から前記空気室に空気を導入するための空気導入孔が設けられる、水栓用吐出具
。
【請求項2】
前記第2吐出口は、前記第1吐出口を囲むように並ぶ複数の分割吐出口からなる、請求項1に記載の水栓用吐出具
。
【請求項3】
前記噴出口は、下流側ほど絞られた絞り流路を有する、請求項1または2に記載の水栓用吐出具。
【請求項4】
前記本体は、下流側の第1部材と上流側の第2部材とを備え、
前記第1部材に、前記第1吐出口と前記第2吐出口と前記空気導入孔とが設けられ、
前記第2部材に、前記噴出口が設けられ、
前記第1部材と前記第2部材との間に、前記旋回流生成空間部と前記導入路と前記空気室とが設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水栓用吐出具。
【請求項5】
前記第2部材には、その上流側にストレーナーが取り付けられている、請求項4に記載の水栓用吐出具。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水栓用吐出具が取り付けられている水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗浄能力の高い、水栓用吐出具および水栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、旋回力を有する旋回ミストを空気中に噴射する旋回ミスト発生装置があった(例えば、特許文献1参照)。
図16に示すように、この旋回ミスト発生装置21は、円筒形の容器本体22と、加圧液体導入口23とから構成されていた。ここで、容器本体22は、円筒部22aと、その円筒部22aの一端側を閉塞する壁体22bと、開口24を有して円筒部22aの他端側を覆う壁体22cとからなっていた。そして、加圧壁体導入口23は、円筒部22aに、その接線方向に開口するように設けられた。そこで、加圧液体導入口23から加圧液体を導入し、容器本体22内でその加圧液体を旋回させ、その旋回液を開口24から外へ噴射させて旋回ミスト25となした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記旋回ミスト発生装置21おいては、旋回ミスト25が、開口24から拡散して放出されることから、開口24から遠いほど被洗浄物への当たりが弱くなり洗浄能力が低下する虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、水の洗浄能力を高めることができる、水栓用吐出具および水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る水栓用吐出具および水栓は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る水栓用吐出具は、水栓の吐出部に取り付けられる吐出具である。この水栓用吐出具は、前記吐出部に取り付けられる本体を備える。そして、前記本体は、前記水栓内の流路と外部とを連通する、第1流路および第2流路を備える。ここで、前記第1流路は、前記本体の中心部に設けられた第1吐出口と、その第1吐出口の上流側に設けられた旋回流生成空間部と、その旋回流生成空間部において旋回流が生成されるよう、その旋回流生成空間部の上流側にあってその旋回流生成空間部の中心に向かう方向とずれた方向からその旋回流生成空間部に水を導入する導入路とを備える。このとき、前記第1吐出口は、前記旋回流生成空間部よりも絞られて形成される。一方、前記第2流路は、前記第1吐出口を囲むように設けられて水が筒状に吐出する第2吐出口と、その第2吐出口の上流側の空気室と、その空気室の上流側にあってその空気室に水を噴出させる噴出口とを備える。そして、前記空気室には、前記噴出口から噴出した水が衝き当たる当て面が設けられ、また、前記本体には、外部から前記空気室に空気を導入するための空気導入孔が設けられる。
【0007】
この水栓用吐出具によると、水栓用吐出具は、水栓の吐出部に取り付けられる。そこで、水栓内を流れる水は、この水栓用吐出具において本体に設けられた第1流路と第2流路とに分岐する。ここで、第1流路においては、水は、導入路を通ることで、旋回流生成空間部で旋回流となって、本体の中心部に設けられた第1吐出口から吐出する。このとき、水は、第1吐出口が旋回流生成空間部よりも絞られていることから、水の流速が増して圧力が低下し、周りの空気を巻き込んだり水中に溶け込んでいた空気が微細気泡となって現れたりして、水は、第1吐出口から拡散するミストとなって吐出する。そして、第2流路においては、水は、噴出口を通って空気室に噴出し、その空気室内で、当て面に衝き当たって飛び散り、第2吐出口から泡沫となって吐出する。この第2吐出口は、第1吐出口を囲むように設けられており、泡沫となった水は、筒状に吐出し、第1吐出口から吐出するミストを取り囲む。このため、ミストの拡散が、筒状の泡沫によって制限される。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る水栓用吐出具は、請求項1に記載の水栓用吐出具において、前記第2吐出口は、前記第1吐出口を囲むように並ぶ複数の分割吐出口からなる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る水栓用吐出具は、請求項1または2に記載の水栓用吐出具において、前記噴出口は、下流側ほど絞られた絞り流路を有する。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る水栓用吐出具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水栓用吐出具において、前記本体は、下流側の第1部材と上流側の第2部材とを備える。ここで、前記第1部材に、前記第1吐出口と前記第2吐出口と前記空気導入孔とが設けられる。そして、前記第2部材に、前記噴出口が設けられる。また、前記第1部材と前記第2部材との間に、前記旋回流生成空間部と前記導入路と前記空気室とが設けられる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る水栓用吐出具は、請求項4に記載の水栓用吐出具において、前記第2部材には、その上流側にストレーナーが取り付けられている。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る水栓は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水栓用吐出具が取り付けられている水栓である。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る水栓用吐出具および水栓によれば、水栓の吐出部から吐出する水を、ミストおよび泡沫として吐出させ、そのミストの拡散を筒状に吐出する泡沫によって制限して、ミストと泡沫を集中して被洗浄物に当てることで、この水の洗浄能力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施の形態の、第1部材の正面図である。
【
図4】同じく、
図2におけるA-A線による断面図である。
【
図5】同じく、
図2におけるB-B線による断面図である。
【
図6】同じく、旋回流生成空間部と導入路との高さを示す模式図である。
【
図9】同じく、
図8におけるC-C線による断面図である。
【
図10】同じく、
図9におけるD-D線による断面図である。
【
図11】同じく、ストレーナーを示し、(a)は、左半分を破断した正面図、(b)は、底面図である。
【
図12】同じく、
図4に相当する水栓用吐出具の断面図である。
【
図13】同じく、
図5に相当する水栓用吐出具の断面図である。
【
図14】同じく、吐出するミストと泡沫を示す断面図である。
【
図15】同じく、水栓用吐出具の使用状態を示す部分断面図である。
【
図16】従来の旋回ミスト発生装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1~
図15は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、単水栓、混合水栓、自動水栓等の水栓(図示実施の形態においては、シングルレバー式混合水栓)を示す。2は、前記水栓1の吐出部(図示実施の形態においては、吐水パイプ)1aに(詳しくは、吐出部1aの先端側に)取り付けられる水栓用吐出具を示す。
【0017】
水栓用吐出具2は、前記吐出部1aに(詳しくは、前記吐出部1aの先端側に)取り付けられる本体3を備える。この本体3は、水栓1内の流路と外部とを連通する、第1流路4および第2流路5を備える。第1流路4は、本体3の中心部に設けられた第1吐出口4aと、その第1吐出口4aの上流側に設けられた(詳しくは、円形状の(より詳しくは、平面視円形状に囲われた))旋回流生成空間部4bと、その旋回流生成空間部4bにおいて旋回流が生成されるよう、その旋回流生成空間部4bの上流側にあってその旋回流生成空間部4bの中心に向かう方向とずれた方向から(詳しくは、円形状の旋回流生成空間部4bの径方向と交差する方向から)その旋回流生成空間部4bに水を導入する導入路4cとを備える。このとき、第1吐出口4aは、旋回流生成空間部4bよりも絞られて形成される。
【0018】
第2流路5は、第1吐出口4aを囲むように設けられて水が筒状に吐出する第2吐出口5aと、その第2吐出口5aの上流側の空気室5bと、その空気室5bの上流側にあってその空気室5bに水を噴出させる噴出口5cとを備える。ここで、空気室5bには、噴出口5cから噴出した水が衝き当たる当て面5dが設けられる。詳しくは、当て面5dは、噴出口5cから水が噴出する先にあって、第2吐出口5aは、噴出口5cや当て面5dとは、水の噴出方向に対し横にずれた位置にある。そして、前記本体3には、外部から空気室5bに空気を導入するための空気導入孔6が設けられる。
【0019】
詳細には、第2流路5においては、前記第2吐出口5aは、第1吐出口4aを囲むように並ぶ複数(図示実施の形態においては、八つ)の分割吐出口5e、5eからなる。そして、空気室5bは、前記分割吐出口5eに対応して、複数(図示実施の形態においては、八つ)設けられる。また、前記空気導入孔6も複数(図示実施の形態においては、八つ)設けられており、それら空気導入孔6、6は、隣合う分割吐出口5e、5eの間に設けられて、分割吐出口5eと空気導入孔6とが、交互に並ぶように位置する。
【0020】
より詳細には、本体3は、下流側の第1部材7と、上流側の第2部材8とを備える。そこで、第1部材7に、前記第1吐出口4aと、前記第2吐出口5aと、前記空気導入孔6とが設けられ、また、第2部材8に、前記噴出口5cが設けられる。そして、第1部材7と第2部材8との間に、前記旋回流生成空間部4bと、前記導入路4cと、前記空気室5bとが設けられる。また、第2部材8には、その上流側にストレーナー9が取り付けられる。すなわち、水栓用吐出具2は、ストレーナー9を備える。
【0021】
具体的には、第1部材7は、底壁7aと、その底壁7aの周縁から起立する円筒状の外周壁7bと、その外周壁7bの内側にあってその外周壁7bと同心となって底壁7aから起立する円筒状の内周壁7cとを備える。そこで、外周壁7bの外面には、水栓1の吐出部1aへの取り付けのための雄ねじ部7dが設けられる。内周壁7cは、外周壁7bよりも低く、その内周壁7cの内側においては、前記旋回流生成空間部4bと前記導入路4cとが、底壁7aの内面(上面)から窪むように形成される。そして、前記第1吐出口4aは、旋回流生成空間部4bの中央から、底壁7aを貫通するように形成される。詳細には、旋回流生成空間部4bは、底壁7aの中央部分において、円形に窪んで形成される。そして、導入路4cは、その旋回流生成空間部4bを囲むに位置にあって、旋回流生成空間部4bに通ずるよう溝状に窪んで形成される。図示実施の形態においては、導入路4cは、旋回流生成空間部4bの回りに180°離れるようにして、二つ設けられる。また、底壁7aには、これら旋回流生成空間部4bと導入路4cとを囲むリブ7eが設けられ、そのリブ7eにより、後に詳述する第2部材8の底壁8dとの密接を確実にしている。そして、第1吐出口4aは、底壁7aを貫通する両側が、面取りされた形状となっている。
【0022】
また、外周壁7bと内周壁7cとの間に、空気室5bと空気導入孔6とが設けられる。詳細には、外周壁7bの内側には、その外周壁7bと一部が重なるようにして、内部が前記空気導入孔6となる筒部7fが、底壁7aから起立するようにして形成され、空気導入孔6は、その筒部7f内から底壁7aを貫通して形成される。そして、この筒部7fと内周壁7cとを繋ぐように隔壁7gが設けられ、これら筒部7fと隔壁7gとで、空気室5bが、複数(図示実施の形態においては、八つ)に区画される。
【0023】
空気室5bに設けられる前記当て面5dは、内周壁7cに形成される。詳しくは、その当て面7dは、内周壁7cの先端面(上面)からなって、噴出口5cからの水の噴出方向に対し傾斜して(詳しくは、外周壁7b側を向くように傾斜して)形成される。この当て面5dからは、一対の棒状突起7h、7hが間隔をあけて突出しており、当て面5dで跳ね返った水は、それら棒状突起7h、7hで制限されながらそれら棒状突起7h、7hの間などを通って第2吐出口5aへと進む。
【0024】
前記分割吐出口5e(第2吐出口5a)は、空気室5bと連通するとともに、底壁7aを貫通するように形成される。この分割吐出口5eは、噴出口5cや当て面5dよりも外側(つまり、外周壁7b寄りの位置)にある。また、分割吐出口5eは、底壁7aの外側(下側)において、底壁7aから突出する案内筒部7iによって囲まれており、この分割吐出口5eは、底壁7aを貫通し、かつ、案内筒部7i内を通るように形成される。
【0025】
第2部材8は、第1部材7の内側に嵌められて取り付けられる。この第2部材8は、上流側(上側)の大径円筒状の大径筒部8aと下流側(下側)の小径円筒状の小径筒部8bとが、中間底壁8cで繋がって形成される。ここで、小径筒部8bは、先端(下端)が、底壁8dで塞がれ、また、小径筒部8bには、先端部分に、内外に貫通する複数(図示実施の形態においては、四つ)の横孔8e、8eがあけられている。そして、中間底壁8cに、複数(図示実施の形態においては、八つ)の前記噴出口5c、5cが設けられる。この噴出口5cは、下流側ほど絞られた絞り流路5fを有する。詳細には、噴出口5cは、絞り流路5fが上流側にあって、その下流側が一定の径となって開口する。
【0026】
この第2部材8は、大径筒部8aが、第1部材7の外周壁7bの内側に嵌められ、小径筒部8bが、第1部材7の内周壁7cの内側に嵌められて、その第1部材7に取り付けられる。このとき、外周壁7bと大径筒部8aとの間には、第1パッキン10が設けられ、また、内周壁7cと小径筒部8bとの間には、第2パッキン11が設けられて、それぞれの間が水密となる。そして、第2部材8の底壁8dが、第1部材7の底壁7a(詳しくは、リブ7e)に当たり、その第2部材8の底壁8dで、旋回流生成空間部4bと導入路4cとが覆われる。そこで、前記第1流路4は、小径筒部8bの内部8xと、横孔8eと、小径筒部8bと内周壁7cの間に形成された隙間12と、導入路4cと、旋回流生成空間部4bと、第1吐出口4aとを有して、水は、第1流路4を、その順に流れることとなる。
【0027】
なお、旋回流生成空間部4bの高さH1と、導入路4cの高さH2の関係は、旋回流生成空間部4bの高さH1に対する、導入路4cの高さH2の比は、0.5~0.8の範囲にあるのが好ましい(
図6参照)。こうすることで、導入路4cから導入される水が、旋回流生成空間部4b内で、効率よく旋回する。
【0028】
第2流路5においては、空気室5bは、第2部材8(詳しくは、小径筒部8bと中間底壁8c)で覆われる。そして、空気導入孔6は、中間底壁8cの周縁に設けられた環状の凹部8fを介して、空気室5bに通じている。
【0029】
ストレーナー9は、第2部材8の大径筒部8aの内側に嵌められて取り付けられる。このストレーナー9には、多数の小さな孔9a、9aがあけられており、水栓1内の水は、この孔9aを通って吐出具2内へと流れる。
【0030】
図15は、水栓用吐出具2の使用状態を示す。この吐出具2は、水栓1の吐出部1aに(詳しくは、吐出部1aの先端側に)設けられた雌ねじ部1bに、雄ねじ部7dがねじ込まれることで、その吐出部1aに取り付けられている。
【0031】
次に、以上の構成からなる水栓用吐出具2の作用効果について説明する。この水栓用吐出具2は、水栓1の吐出部1aに取り付けられる。そこで、水栓1内を流れる水は、この水栓用吐出具2において本体3に設けられた第1流路4と第2流路5とに分岐する。ここで、第1流路4においては、水は、導入路4cを通ることで、旋回流生成空間部4bで旋回流となって、本体3の中心部に設けられた第1吐出口4aから吐出する。このとき、水は、第1吐出口4aが旋回流生成空間部4bよりも絞られていることから、水の流速が増して圧力が低下し、周りの空気を巻き込んだり水中に溶け込んでいた空気が微細気泡となって現れたりして、水は、第1吐出口4aから拡散するミスト13xとなって吐出する。第2流路5においては、水は、噴出口5cを通って空気室5bに噴出し、その空気室5b内で、当て面5dに衝き当たって飛び散り、第2吐出口5aから泡沫13yとなって吐出する。この第2吐出口5aは、第1吐出口4aを囲むように設けられており、泡沫13yとなった水は、筒状に吐出し、第1吐出口4aから吐出するミスト13xを取り囲む。このため、ミスト13xの拡散が、筒状の泡沫13yによって制限される。すなわち、水栓1の吐出部1aから吐出する水を、ミスト13xおよび泡沫13yとして吐出させ、そのミスト13xの拡散を筒状に吐出する泡沫13yによって制限して、ミスト13xと泡沫13yを集中して被洗浄物に当てることで、この水の洗浄能力を高めることができる。
【0032】
また、噴出口5cは、絞り流路5fを有している。これにより、噴出口5cから噴出する水の流速を高めることができる。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、第1吐出口4aは、本体3の中心部に設けられるが、この第1吐出口4aは、一つに限らず、複数設けられてもよい。
【0034】
また、第2吐出口5aは、第1吐出口4aを囲むように並ぶ複数の分割吐出口5e、5eからなるが、第1吐出口4aを囲んで環状に開口する一つの吐出口からなっていてもよい。
【0035】
また、噴出口5cは、絞り流路5fを有するが、この絞り流路5fを有することなく、一定の径であけられていてもよい。
【0036】
また、空気室5bに設けられる当て面5dは、傾斜して形成されるが、傾斜することなく、噴出口5cからの水の噴出方向に対し直角となるように形成されてもよい。
【0037】
また、この水栓用吐出具2には、水栓1の吐出部1aへの取り付け用に、雄ねじ部7dが設けられているが、この雄ねじ部7dを設けるのではなく、例えば、水栓用吐出具2を、両端が開口する筒状のケースに収容し、そのケースに設けた雌ねじ部を、吐出部1aに設けた雄ねじ部にねじ込むことで、この水栓用吐出具2を水栓1の吐出部1aに取り付けてもよく、その取り付け構造は、特に限定されない。
【0038】
また、この水栓用吐出具2を取り付ける対象となる水栓1は、シングルレバー式混合水栓に限らず、サーモスタット式混合水栓、ツーハンドル式混合水栓、単水栓、自動水栓等、どのような水栓(蛇口)でもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 水栓
1a 吐出部
2 水栓用吐出具
3 本体
4 第1流路
4a 第1吐出口
4b 旋回流生成空間部
4c 導入路
5 第2流路
5a 第2吐出口
5b 空気室
5c 噴出口
5d 当て面
5e 分割吐出口
5f 絞り流路
6 空気導入孔
7 第1部材
8 第2部材
9 ストレーナー