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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】ローラー式カム伝動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/06 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
F16H25/06 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022146863
(22)【出願日】2022-09-15
(65)【公開番号】P2023044667
(43)【公開日】2023-03-30
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】110134829
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505171997
【氏名又は名称】國立中山大學
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ トー ミン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ クン ロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイ ミン
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-193702(JP,A)
【文献】特開2014-224548(JP,A)
【文献】特開2002-305396(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113175500(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113175499(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸線を回転軸として回転可能に配置され、且つ、外周縁を有する円盤状の本体を有し、前記外周縁に複数の突起部が形成されていると共に、隣り合う2つの前記突起部の間に、第1の案内溝が画成されている回転盤と、
前記第1の軸線に略直交する第2の軸線において前記回転盤に隣接すると共に、前記第1の軸線及び前記第2の軸線の両方に略直交する第3の軸線を回転軸として回転可能に配置される軸棒と、前記軸棒に取り付けられていると共に、前記回転盤の前記外周縁に当接する外周カーブ面を有するホイール体とを有するカム軸と、
前記第1の軸線に沿って延伸して前記回転盤を外側から囲むハウジングと、を備えたローラー式カム伝動装置であって、
前記ホイール体の前記外周カーブ面には、前記第3の軸線を中心軸とする少なくとも1つの第2の案内溝が形成され、前記第2の案内溝は、前記回転盤に画成されるいずれか1つの前記第1の案内溝と向かい合いながら前記ハウジングと共に複数の収容空間を囲み、各前記収容空間はいずれも少なくとも一部が前記回転盤の接線方向に傾くように延伸し、また、各前記収容空間内にそれぞれ接触手段が回転自在に収容されていて、前記カム軸の回転を前記回転盤に伝動して該回転盤を回転させることが出来ることを特徴とするローラー式カム伝動装置。
【請求項2】
各前記第1の案内溝は前記回転盤の接線方向に傾くように延伸して前記第1の軸線の方向に対して斜めに形成されており、
前記ホイール体には前記第3の軸線を中心軸として互いに平行に延伸する複数の前記第2の案内溝が画成されていることを特徴とする請求項1に記載のローラー式カム伝動装置。
【請求項3】
各前記第1の案内溝は前記第1の軸線の方向に沿って延伸し、前記ホイール体には前記第3の軸線を中心軸とするらせん状の仮想線に沿って延伸する前記第2の案内溝が画成されていることを特徴とする請求項1に記載のローラー式カム伝動装置。
【請求項4】
前記回転盤の各前記第1の案内溝の前記第1の軸線に平行する方向に沿った断面は、台形、円弧状、ゴシックアーク状からなる群より選ばれる1つであることを特徴とする請求項1に記載のローラー式カム伝動装置。
【請求項5】
前記カム軸の前記少なくとも1つの前記第2の案内溝の前記第1の軸線に平行する方向に沿った断面は、台形、円弧状、ゴシックアーク状からなる群より選ばれる1つであることを特徴とする請求項1に記載のローラー式カム伝動装置。
【請求項6】
前記カム軸の前記ホイール体の前記外周カーブ面においては、複数のカム部が形成されており、各前記カム部は、いずれも前記軸棒との間の径方向の距離が最も短い第1の端と、前記第1の端の前記軸棒に反対する一側に位置し、且つ、前記軸棒との間の径方向の距離が比較的に大きい第2の端と、を有することを特徴とする請求項1に記載のローラー式カム伝動装置。
【請求項7】
各前記接触手段はボール状ローラーであることを特徴とする請求項1に記載のローラー式カム伝動装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、ハウジング体と、前記第1の軸線に平行する方向に沿って往復移動可能に前記ハウジング体に接続され、各前記接触手段と前記回転盤の前記第1の案内溝を画成する壁との間の隙間を調整するために用いられる調整部材と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のローラー式カム伝動装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記カム軸の設置に用いられるハウジング台と、前記第2の軸線に平行する方向に沿って往復移動可能に前記ハウジング台に接続され、且つ、各前記接触手段と前記回転盤の前記第1の案内溝を画成する壁との間の隙間を調整するために用いられる調整部材と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のローラー式カム伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力を伝動する装置に関し、特に、ローラー式カム伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のローラー式カム伝動装置に関して、例えば特許文献1に記載されるものがあげられる。図1図2は該従来のローラー式カム伝動装置の構成を示しており、図示のように、該従来のローラー式カム伝動装置1は、回転盤ユニット11と、該回転盤ユニット11に連動するカムユニット12と、を備える。回転盤ユニット11は、円盤111と、円盤111の中心の周りにおいて互いに等間隔をおくように配列されている複数の接触部材112とを有する。
【0003】
円盤111には、各接触部材112にそれぞれ対応して各接触部材112を収容する複数の収容孔110が形成されており、そして各接触部材112は、それぞれ円球状に形成されて下半分が対応の収容孔110内に収容されている球体部119と、球体部119から突起して対応の収容孔110に係合する係合ピン118とを有し、この構成により、各接触部材112の球体部119は対応の収容孔110に収容され、係合ピン118を回転軸として回転可能になっている。
【0004】
カムユニット12は、円盤111の回転軸に直交する方向に延伸するカム軸121と、カム軸121に取り付けられているカム本体122とを有する。カム本体122にはカム軸121を中心としてらせん状に延伸するように突起するらせんリブ129が形成され、そしてらせんリブ129により画成されるらせん溝120は、球体部119の収容孔110外に露出する上半分を受け入れ可能になっている。
【0005】
この構成により、カムユニット12が動力源(図示せず)の駆動を受けると、カム軸121を回転させ、該らせん溝120のらせん状に延伸する形態により、該らせん溝120内に収容される接触部材112に対し、該円盤111の接線方向に沿う推進力を生成し、これにより該回転盤ユニット11を該カムユニット12の回転方向と異なる方向に回転させる。具体的に言うと、該円盤111の回転軸と該カム軸121の回転軸とは互いに直交しているので、これにより動力の方向を変える伝動目的に達成する。
【0006】
しかし、これらの接触部材112を円盤111に確実に保持するには、各接触部材112は余分な加工によって構造が比較的に精細な係合ピン118を作成しなければならず、これによって製造の効率そして加工のコストに影響を与えかねない。この他、これらの接触部材112は円盤111に固定されているので、運動エネルギーを伝える際、該円盤111の接線方向に沿った有効分力を除いた他のエネルギーは実体の構造により受けられることになり、これは運動エネルギーの伝達の制限となる上、カム伝動装置1の稼働負荷を高くすることにもつながる。従って、該カム伝動装置11の稼働負荷が比較的に大きい状況を考慮すると、全体的に稼働を安定させるためには、構造の厚みや強度を増やすか、もしくは負荷を分担する部材を配置する方式を採用する必要があるが、そうするとカム伝動装置11はそのままサイズを小さくしてマイクロ化の需要及びトレンドに応えることが出来ないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】台湾実用新案登録第M485317号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題点に鑑みて、本発明は加工が比較的に単純で且つ稼働負荷を小さくすることができるローラー式カム伝動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、
第1の軸線を回転軸として回転可能に配置され、且つ、外周縁を有する円盤状の本体を有し、前記外周縁に複数の突起部が形成されていると共に、隣り合う2つの突起部の間に、第1の案内溝が画成されている回転盤と、
前記第1の軸線に略直交する第2の軸線において前記回転盤に隣接すると共に、前記第1の軸線及び前記第2の軸線の両方に略直交する第3の軸線を回転軸として回転可能に配置される軸棒及び前記軸棒に取り付けられていると共に、前記回転盤の前記外周縁に当接する外周カーブ面を有するホイール体を有するカム軸と、
前記第1の軸線に沿って延伸して前記回転盤を外側から囲むハウジングと、を備えたローラー式カム伝動装置であって、
前記ホイール体の前記外周カーブ面には、前記第3の軸線を中心軸とする少なくとも1つの第2の案内溝が形成され、前記第2の案内溝は、前記回転盤に画成されるいずれか1つの前記第1の案内溝と向かい合いながら前記ハウジングと共に複数の収容空間を囲み、各前記収容空間はいずれも少なくとも一部が前記回転盤の接線方向に傾くように延伸し、また、各前記収容空間内にそれぞれ接触手段が回転自在に収容されて前記カム軸の回転を前記回転盤に伝動して該回転盤を回転させることが出来ることを特徴とするローラー式カム伝動装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により、各接触手段がそれぞれの収容空間に収容される際、各収容空間の第3の軸線に沿った方向、すなわち回転盤の接線方向に傾いて延伸する形態により、カム軸の回転が運動エネルギーを回転盤に伝達するという基本的目的を達成し、且つ、これらの接触手段はハウジングにより囲まれてそれらの位置が制限されると共に収容空間内で自由に転動できるという効果が発揮されるので、接触手段の位置を制限する余分な精細な構造を増設する必要や、その他の位置決めメカニズムを設計する必要もなく、そして転動方向から外れたベクトル成分はハウジングに分散することができるので、稼働負荷を効果的に小さくすることが出来る上、直接的にサイズを小さくしてマイクロ化の需要に応えられるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来のカム伝動装置を説明する斜視図である。
図2】従来のカム伝動装置を説明する側面説明図である。
図3】本発明のローラー式カム伝動装置の第1の実施例を説明する正面図である。
図4】該第1の実施例における回転盤とカム軸との接続関係を説明する説明図である。
図5】視角が図4と異なる断面図であり、該カム軸のホイール体の形態を説明する。
図6】切り刃を用いて該カム軸を作成する状況を説明する説明図である。
図7】該第1の実施例のハウジングの調整部材の用途を説明する斜視図である。
図8】該カム軸が回転して該第1の実施例の複数の接触手段を用いて運動エネルギーを該回転盤に伝達する状況を説明する説明図である。
図9】該カム軸と各接触手段の接続関係の他の実施形態が示される説明図である。
図10】該カム軸と各接触手段の接続関係の他の実施形態が示される説明図である。
図11】本発明のローラー式カム伝動装置の第2の実施例を説明する説明図である。
図12】本発明のローラー式カム伝動装置の第3の実施例を説明する正面図である。
図13】本発明の実施例1における回転盤の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は図面を参照して本発明の連動装置の各実施形態について詳しく説明する。
【0013】
本発明の説明の前に、以下の説明内容において、類似する部材は同一の符号で表されることに注意されたい。
【0014】
図3図4に本発明のローラー式カム伝動装置の第1の実施例が示されており、図示のように、この第1の実施例は、回転盤2と、カム軸3と、複数の接触手段4と、ハウジング5とを含む。回転盤2は第1の軸線L1を回転軸として回転可能である。カム軸3は第1の軸線L1に直交する第2の軸線L2に沿って回転盤2に密に隣接する。接触手段4はそれぞれ金属材料により作成され、且つ、円球状を呈する。ハウジング5は第1の軸線L1に沿って回転盤2を覆っている。
【0015】
回転盤2は、円盤状を呈し且つ外周縁211を有する本体21と、互いに間隔を置くように本体21の外周縁211から突起して設けられる複数の突起部22と、を有する。隣り合う2つの突起部22の間にはそれぞれ1つの第1の案内溝200が画成されており、且つ、各第1の案内溝200の第1の軸線L1に平行する方向に沿った断面は、台形、円弧状、ゴシックアーク状とからなる群から選ばれる1つである。この第1の実施例において、各接触手段4が円球状である状況に対応し、各第1の案内溝200の第1の軸線L1に平行する方向に沿った断面は円弧状であることが好ましい。第1の軸線L1と第2の軸線L2とに直交する第3の軸線L3を定義すると、各第1の案内溝200は回転盤2の接線方向に傾くように延伸して回転盤2を貫通して第1の軸線L1の方向に対して斜めになるように形成されており(図13参照)、これによりカム軸3と連接する箇所において第3の軸線L3に沿って延伸するベクトル成分を提供する。
【0016】
カム軸3は動力源(図示せず)に接続するのに適し、そして該動力源により駆動されて第3の軸線L3を回転軸として回転可能であり、且つ、第3の軸線L3に沿って延伸する軸棒31と、軸棒31を囲うように配置されたホイール体32とを含む。図5に示されるように、ホイール体32は外周縁211に当接する外周カーブ面320を有する。また、この実施形態における軸棒3は図6に示されるように、ホイール体32は複数のカム部301を有する。各カム部301の第3の軸線L3に直交する断面には、軸棒31との間の径方向の距離が最も短い第1の端321と、第1の端321の軸棒31に反対する一側に位置し、且つ、軸棒31との間の径方向の距離が比較的に大きい第2の端322と、を有する。また、図4図5に示されているように、ホイール体32には、外周カーブ面320に凹設され、且つ、第3の軸線L3を中心軸として互いに平行に延伸し、且つ、それぞれ複数の第1の案内溝200における4つに互いに連通する4つの第2の案内溝300が画成されている。各第2の案内溝300の第1の軸線L1に平行する方向に沿った断面は、台形、円弧状、ゴシックアーク状とからなる群から選択することができる。この第1の実施例において、各接触手段4が円球状であるのに対応し、各第2の案内溝300の第1の軸線L1に平行する方向に沿った断面を円弧状に形成することが好ましい。ホイール体32に形成される各第2の案内溝300と、各第2の案内溝300に対応して回転盤2に形成される各第1の案内溝200とにより画成される空間をそれぞれ収容空間Sとすると、各収容空間Sにおいて、それぞれの第1の案内溝200のエリアは回転盤2の接線方向に傾くように延伸する。
【0017】
図6を参照し、本実施形態において、各第2の案内溝300をその断面の形状が台形、円弧状、ゴシックアーク状とのいずれか1つに形成するので、比較的単純な加工、簡単な加工機具で加工を行うことができ、また最も広く使われる切削加工を採用する際、対応する形状の切り刃7で第2の案内溝300を所望の形状に切削して形成することができる。また、加工作業を行う際は、まず該カム軸3を自身の軸方向(即ち第3の軸線L3)を回転軸として回転させてから、該切り刃7を対応させて3つの軸で移動可能としその3つの軸における1つの軸を中心として回転可能な駆動設備(図示せず)を用いて駆動すればよいので、2つの回転軸を含む比較的に複雑な専用設備を提供する必要がないため、加工機具を効果的に簡潔化することができる。
【0018】
図4図5を再び参照すると、それぞれ各収容空間S内に収容される各接触手段4の回転により該カム軸3の回転運動エネルギーを該回転盤2に伝達して回転盤2を第1の軸線L1を中心として回転駆動する。この第1の実施例において、各第1の案内溝200の該第1の軸線L1に平行する方向に沿った断面が円弧状である形態に対応し、各接触手段4は金属材料により作成されたボール状ローラーであることが好ましい。なお、実際にこの第1の実施例を実施する際、各第1の案内溝200の該第1の軸線L1に平行する方向に沿った他の形態の断面に応じて、接触手段4を楕円柱形、円柱形などの形状に形成することができる。また、各接触手段4の材料については、金属材料の他、例えばセラミック、ガラス繊維強化プラスチック、木材などの他の硬質材料を選択することも可能である。要するに、運動エネルギーを効果的に伝達できる材料であれば、上記金属材料に限定されることはない。
【0019】
図7図4と合わせて参照すると、該ハウジング5は各収容空間Sの一部を遮蔽することで、各接触手段4をそれぞれ収容空間S内に制限して保持する。ここで、該ハウジング5は該回転盤2の形態に対応してこれらの収容空間Sの周りを除いたエリアを遮蔽するハウジング体51と、該第1の軸線L1に平行する方向に沿って往復移動可能に該ハウジング体51に接続され、且つ、各接触手段4と回転盤2の第1の案内溝200を画成する壁との間の隙間を調整するのに用いられる調整部材52とを含む。該調整部材52による適切な調整によって、各接触手段4が収容空間S内において位置ずれを生じることを避けることができるので、これらの接触手段4をトルクの伝達に適する位置に維持し続ける上、これによりトルクを伝達する方向以外の他の方向のベクトルの力を該ハウジング5に伝達して該回転盤2に掛かる応力を抑えて該回転盤2の稼働負荷を下げることもできる。
【0020】
図8図3及び図4と合わせて参照すると、該カム軸3が動力源の作動に応じて該第3の軸線L3を回転軸として回転すると、これらの収容空間S内に収容される各接触手段4も対応して回転し第1の案内溝、そして各収容空間Sを画成する各第1の案内溝200が図13に示されるように該回転盤2の接線方向に傾くように延伸することは、該接線方向のベクトル成分を含有することを意味するので、これらの接触手段4がカム軸3の回転に応じて回転すると、該回転盤2の回転を駆動して運動エネルギーを伝達させる目的を達成する。
【0021】
特に、カム軸3の回転により、ホイール体32に形成される各カム部301の第1の端321が対応する接触手段4に接触する際、該接触手段4を収容する収容空間Sの容積が最大となるので、該接触手段4は対応する第1の案内溝200から離れて第2の案内溝300内に収容されるようになる。また、カム軸3の更なる回転により、接触手段4が他の1つの第1の案内溝200に隣接するようになる際、該ホイール体32の第2の端322は接触手段4に接触すると共に、接触手段4を収容している第2の案内溝300と他の1つの第1の案内溝200とにより画成される収容空間Sの容積は最小となるので、該接触手段4は該他の1つの第1の案内溝200内に押し込まれるようになる。本願発明はこのように、カム軸3側における1つの特定の第2の案内溝300と、カム軸3と回転盤2の相対回転によって該特定の第2の案内溝300に向かい合ういずれか1つの第1の案内溝200とにより画成されて容積がホイール体32に形成される各カム部301の回転に応じて変化し続ける収容空間S内に接触手段4を収容することによって、該回転盤2の回転を駆動して運動エネルギーを伝達させる。このように、各接触手段4が収容空間S内で自由に転がり、運動エネルギーを伝達するには、接触手段4を適切な位置に保持する必要があり、そして本発明はハウジング5を用い、該ハウジング5と該回転盤2と該カム軸3とが共にこれらの接触手段4の移動可能範囲である収容空間Sを囲む構成を採用するので、上記従来技術のように各接触手段4に対して比較的に精細な固定用構造を余分に作成する必要がなく、そして例えば磁力による吸引やバネによる位置決定などのメカニズムを余分に配置する必要もないので、製造段階のプロセスを大幅に簡潔化することができる。この他、これらの接触手段4の自由な転がりは、目標となる伝達方向以外のベクトルの力を分散して該ハウジング5に伝達することができるので、該回転盤2及び該カム軸3の構造的稼働負荷を低くすることもできる。これにより、構造的稼働負荷が比較的に小さい状況では、一定の体積によって一定の剛性を達成することや、構造強度を強化するための手段などを考える必要はなく、もし、更なるマイクロ化の需要に応える必要がある際、全体の体積を小さくすることで簡単に達成することができる。
【0022】
ちなみに、該カム軸3の該ホイール体32は図5に示されるようにカム部301を有し、すなわち、各カム部301はいずれも第1の端321と第2の端322との径方向における幅(最短距離)が異なるカム構造であるので、従って、該カム軸3が回転する際、該回転盤2との間の間隔を予め設定しておけば、該第2の端322がこれらの接触手段4に接触する間の該接触手段4を収容する収容空間Sの容積の変化及び該接触手段4の回転を用いて該回転盤2を連動させる構造が可能となるので、これにより間欠的なトルク伝達を実現することができる。
【0023】
図9図10に示されるように、図5に示される該カム軸3と各接触手段4とは相対的に0°で該回転盤2に接触する状況を呈するが、実際の応用では当然、機械全体の都合に合わせて接触角度を調整し、例えば図9に呈される45°、もしくは図10に呈される90°にするなどの構成も可能であり、そして図5図9図10に示されるような相対的連結関係もこれらの実施形態に示される構成に制限されることはない。
【0024】
図11に本発明のローラー式カム伝動装置の第2の実施例が示されており、この第2の実施例の該第1の実施例との相違点は、各前記第1の案内溝200は回転盤2の周縁を該第1の軸線L1の方向に沿って貫通して延伸し、そして該カム軸3の該ホイール体32の外表面には、該第3の軸線L3を中心軸とするらせん状の仮想線に沿って延伸する前記第2の案内溝300が形成されているところにある。すなわち、各収容空間Sの該回転盤2の接線方向に傾くように延伸する部分は、該第2の案内溝300のらせん状に延伸することによって該第3の軸線L3に沿って傾斜する形態である。従って、該カム軸3が回転する際、これらの接触手段4の該第2の案内溝300における転がりによって、すなわち相対的に該回転盤2の該第3の軸線L3に沿ったベクトルを提供し、これによって運動エネルギーを伝達する目的を達成する。この他、この第2の実施例は該第1の実施例と全く同じ効果を達成することができる。
【0025】
図12に本発明のローラー式カム伝動装置の第3の実施例が示されており、この第3の実施例の該第1の実施例及び該第2の実施例との相違点は、該ハウジング5は該カム軸3を設置するのに用いられるハウジング台50と、該第2の軸線L2に平行する方向に沿って往復移動可能に該ハウジング台50に接続され、且つ、各接触手段4と回転盤2の第1の案内溝200を画成する壁との間の隙間を調整するために用いられる調整部材52とを含むところにある。すなわち、該調整部材52の活動可能範囲は該第2の軸線L2に平行する方向に沿っており、具体的に言うと、該ハウジング台50と該調整部材52との間は、2つの係合ブロック501をそれぞれ該第2の軸線L2に平行する方向に沿って延伸するカギ溝500内に可動的に収容させることにより、該ハウジング台50に対して移動する際は該調整部材52による直接的押し当てを通じて、該回転盤2と各接触手段4と該カム軸3の該第2の軸線L2に平行する隙間の容積を調整する。この他、この第3の実施例は該第1の実施例、該第2の実施例と全く同じ効果を達成することができる。
【0026】
以上をまとめると、本発明のローラー式カム伝動装置は、自由に転がる接触手段4に通じて運動エネルギーを伝達する目的を達成するので、接触手段4に対して付加的に固定用の構造を加工することや、位置決定メカニズムを設計することが必要なくなり、そして転動方向から外れたベクトル成分はハウジングに分散することができるので、該回転盤2と該カム軸3の加工機具も相対的に簡潔化され、加工を単純化する目的を達成する上、更に例えば該回転盤2及び該カム軸3の構造的稼働負荷の低下に利するので、従って直接的に全体のサイズを縮小することによりマイクロ化の需要に応えることができる。従って、本発明の目的を確実に達成することができる。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【符号の説明】
【0028】
2 回転盤
200 第1の案内溝
21 本体
211 外周縁
22 突起部
3 カム軸
300 第2の案内溝
301 カム部
31 軸棒
32 ホイール体
320 外周カーブ面
321 第1の端
322 第2の端
4 接触手段
5 ハウジング
50 ハウジング台
500 カギ溝
501 係合ブロック
51 ハウジング体
52 調整部材
7 切り刃
L1 第1の軸線
L2 第2の軸線
L3 第3の軸線
S 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13