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特許7386599取り付け具を備えるコレットチャック用アダプタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】取り付け具を備えるコレットチャック用アダプタ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/12 20060101AFI20231117BHJP
   B23B 31/117 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
B23Q3/12 G
B23B31/117 610F
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018167708
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2019048377
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】10 2017 215 837.9
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502422052
【氏名又は名称】ハイマー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランツ・ハイマー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・ハイマー
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-315027(JP,A)
【文献】特開2002-120124(JP,A)
【文献】特開2011-121121(JP,A)
【文献】特開2014-180730(JP,A)
【文献】特表2012-501856(JP,A)
【文献】特表2016-525457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0049180(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0080089(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10218292(DE,A1)
【文献】実開昭54-142316(JP,U)
【文献】特開2003-133152(JP,A)
【文献】特開2003-291045(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04303118(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02305407(EP,A1)
【文献】特開2000-246585(JP,A)
【文献】実開平06-050712(JP,U)
【文献】特開2017-013212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00-33/00
B23P 5/00-17/06
B23Q 3/00-3/154
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械で使用するためのツールを取り付けるための加熱アダプタ(100、100’、100’’)用デバイスであって、
ベース部(30、30’)であって、前記ベース部において前記ツールを挿入または抜去するためのアダプタ(100、100’、100’’)を、前記ツールの挿入方向が前記ベース部(30、30’)に向かって延在するように配することが可能なベース部と、
前記ベース部(30、30’)に配された前記アダプタ(100、100’、100’’)を加熱するように設計された加熱部(20)と、を備え、
前記ベース部(30、30’)および前記加熱部(20)は、前記ツールの前記挿入方向において互いに対して変位可能であり、
前記デバイスは、前記ベース部(30、30’)が、加熱中に前記アダプタ(100、100’、100’’)を前記ベース部上に固定された態様で保持するように設計された取り付けデバイス(36)を備え、
前記取り付けデバイス(36)はその一部分において、前記アダプタを保持するときに、前記アダプタ(100、100’、100’’)をその全周囲にわたって囲うように設計され、
前記取り付けデバイス(36)には、前記取り付けデバイス(36)の前記アダプタ(100、100’、100’’)の全周囲を囲う一部に1つ以上のアパーチャ(38)が設けられており、前記アパーチャを通じてアパーチャ磁化可能要素(38a)が外側から内側へ、保持された前記アダプタ(100、100’、100’’)に向かって延在することを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
工作機械で使用するためのツールを取り付けるための加熱アダプタ(100、100’、100’’)用デバイスであって、
ベース部(30、30’)であって、前記ベース部において前記ツールを挿入または抜去するためのアダプタ(100、100’、100’’)を、前記ツールの挿入方向が前記ベース部(30、30’)に向かって延在するように配することが可能なベース部と、
前記ベース部(30、30’)に配された前記アダプタ(100、100’、100’’)を加熱するように設計された加熱部(20)と、を備え、
前記ベース部(30、30’)および前記加熱部(20)は、前記ツールの前記挿入方向において互いに対して変位可能であり、
前記デバイスは、前記ベース部(30、30’)が、加熱中に前記アダプタ(100、100’、100’’)を前記ベース部上に固定された態様で保持するように設計された取り付けデバイス(36)を備え、
前記加熱部(20)は、前記加熱部(20)の前記ベース部(30、30’)に対する変位の間に、前記加熱部(20)の前記アダプタ(100、100’、100’’)に対する特定の相対位置に保持された前記アダプタ(100、100’、100’’)に接触するように設計された停止部(26)をさらに備えていることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデバイスであって、前記加熱部(20)は、前記ベース部(30、30’)に配された前記アダプタ(100、100’、100’’)を電磁誘導により加熱するように設計され、少なくとも1つの誘導コイル(24)を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイスであって、前記取り付けデバイス(36)は、電気的に、かつ/もしくは磁気的に弱伝導性の、または非伝導性の材料で作られていることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項2に記載のデバイスであって、位置決め手段(32、32’)が前記ベース部(30、30’)にさらに割り当てられており、前記位置決め手段は、前記加熱部(20)が前記ベース部(30、30’)に対して変位されているときに前記取り付けデバイス(36)に対して移動するように設計され、それによって前記ベース部(30、30’)に対してロックすることができ、ロックされた状態にある前記ベース部(30、30’)に対して対応する相対位置に前記加熱部(20)のための停止部材を形成することを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイスであって、前記ベース部(30、30’)に配された前記アダプタ(100、100’、100’’)を冷却し、かつ、前記ツールの前記挿入方向において前記ベース部(30、30’)に対して変位可能であるように設計されている冷却部をさらに備えることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイスおよび工作機械で使用するためのツールを取り付けるためのアダプタ(100、100’、100’’)から成るシステムであって、前記ツールは取り付けられている時に前記アダプタ(100、100’、100’’)の一側から延出し、前記アダプタ(100、100’、100’’)はコレットの外側寸法を有することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、前記アダプタ(100、100’、100’’)および前記取り付けデバイス(36)には、前記アダプタ(100、100’、100’’)を前記ベース部(30、30’)上に保持するための相互作用をインターロックするための要素が設けられていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記アダプタ(100、100’、100’’)および前記取り付けデバイス(36)は、相互作用をインターロックする領域において相補的な寸法を有することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載のシステムであって、前記アダプタ(100)は、前記ツールを取り囲む薄壁部(106)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一項に記載のシステムであって、前記取り付けデバイス(36)との相互作用をインターロックするための同一要素(102、102’)を備えるとともに外側寸法が異なる、複数の前記アダプタ(100、100’、100’’)を備えること特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか一項に記載のシステムであって、工作機械で使用するためのコレットチャックをさらに備え、前記コレットチャックは、前記アダプタまたは複数の前記アダプタ(100)の1つを受けるように設計され、かつ前記アダプタを受けている状態において前記アダプタ(100)の薄壁部(106)が前記コレットチャックを超えて軸方向に突出するように任意に形成されていること特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記コレットチャックは、前記アダプタ(100、100’、100’’)またはコレットの少なくとも1つを選択的に受けるように、さらに、設計されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項7から13のいずれか一項に記載のシステムのためのアダプタ(100、100’、100’’)であって、前記アダプタの一部分に円筒状の外側輪郭(110、110’、110’’)を有し、前記円筒状の外側輪郭は、軸方向において、第1部分と第2部分との間に設けられており、前記第1部分と前記第2部分の各々は円錐状の外側輪郭(104、108;104’、108’;104’’、108’’)を有することを特徴とするアダプタ。
【請求項15】
請求項14に記載のアダプタ(100、100’、100’’)であって、一部分が円筒状の前記外側輪郭(110、110’、100’’)は、前記円錐状の外側輪郭(104、104’、104’’)を有する前記第1部分の外径よりも大きく、前記円錐状の外側輪郭(108、108’、108’’)を有する前記第2部分の外径よりも小さい外径を有すること特徴とするアダプタ。
【請求項16】
請求項14または15に記載のアダプタ(100、100’)であって、雄ネジ(102、102’)を備えることを特徴とするアダプタ。
【請求項17】
請求項15に記載のアダプタ(100、100’)であって、多条雄ネジ(102、102’)を備えることを特徴とするアダプタ。
【請求項18】
請求項16または17に記載のアダプタであって、前記雄ネジは前記円錐状の外側輪郭(104、104’)を有する前記第1部分に形成されていることを特徴とするアダプタ。
【請求項19】
請求項18に記載のアダプタであって、前記円錐状の外側輪郭(104、104’)を有する前記第1部分におけるネジの巻きの間に、接触面が形成されており、前記接触面は、1つのネジの巻きの溝幅の半分よりも幅広いことを特徴とするアダプタ。
【請求項20】
請求項14から19のいずれか一項に記載のアダプタ(100、100’、100’’)であって、少なくとも1つの前記ツールに向かって開口する溝(112’、112’’)、および/または冷却材をガイドするための少なくとも1つのチャネル(116’’)を備えることを特徴とするアダプタ。
【請求項21】
請求項7から13のいずれか一項に記載のシステムのアダプタ(100、100’、100’’)にツールを挿入するための、または、前記システムの前記アダプタ(100、100’、100’’)から前記ツールを抜去するための方法であって、
前記取り付けデバイス(36)中に、前記アダプタ(100、100’、100’’)を保持するステップと、
前記加熱部(20)を前記ベース部(30、30’)に対して、前記アダプタ(100、100’、100’’)が前記加熱部(20)の加熱領域に位置するまで変位させるステップと、
前記アダプタ(100、100’、100’’)を加熱して膨張させるために、前記加熱部を動作させるステップと、
前記アダプタ(100、100’、100’’)にツールを挿入するステップ、または、前記ツールを前記アダプタ(100、100’、100’’)から抜去するステップと、
前記アダプタ(100、100’、100’’)が収縮し、前記ツールをしっかりと囲うように、前記アダプタ(100、100’、100’’)を任意に冷却するステップと、前記取り付けデバイス(36)から前記アダプタ(100、100’、100’’)を抜去するステップと、を備える方法。
【請求項22】
請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイスで使用するためのベース部(30、30’)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械で使用するためのツールを取り付けるための加熱アダプタ用デバイスに関し、ベース部であって、ベース部においてツールを挿入または抜去するためのアダプタを、ツールの挿入方向がベース部に向かって延在するように配することが可能なベース部と、ベース部に配されたアダプタを加熱するように設計された加熱部と、を備え、ベース部および加熱部は、ツールの挿入方向において互いに対して変位可能である。
【背景技術】
【0002】
コレットチャックは、今日でも工作機械において、ツールを取り付けるために依然として広く使用されている。メスのテーパがコレットチャックに設けられ、このコレットチャックのテーパは、ツールを受けるコレットの形状に適合されている。コレットチャックにツールを取り付ける際、コレットは、結合ナットを締め付けることによりチャックのメスのテーパに圧入され、この場合、コレットの周囲に設けられたスロットが圧縮されて、ツールは、この内部で作用する径方向の圧力により、コレットチャックにしっかりと固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、そのようなコレットの組立体は、例えば上述のスロットがコレットの中で非対称の力を受ける等、様々な不都合を伴うので、焼嵌めチャックが最近は市場で普及してきている。この種の焼嵌めチャックの寸法は、原理上、ツールをしっかり固定することを既に可能にしており、上述のチャックは、ツールを挿入するためにおよびツールをチャックの中に挿入することができる程度までのチャックの熱膨張による膨張のために、相当程度加熱される。その後の冷却手順に続いて、ツールは焼嵌めチャックの内壁に対してきつく載置され、完全に対称的な態様で焼嵌めチャックにより保持される。
【0004】
既存の工場および工作機械が、引き続きコレットチャックとともに使用することができるように、そして、その使用が同時に既に説明した焼嵌めチャックの利点を生かせるように、アダプタが市場に導入されてきており、その外径形状は原理上、コレットの外径形状に対応しており、それによって、上述のアダプタはコレットと同様の方法でコレットチャックに挿入でき、ツールをそこに取り付けることができる。しかしながら、この種のアダプタは、ツールを挿入または抜去することが意図された、ツールを縮小させるまたは収縮させる収縮プロセスと称される加熱プロセス中において、完全な焼嵌めチャックよりも取扱いが容易でない。しかしながら、コレットチャックに受けられている間にアダプタを加熱することは、技術的にほぼ不可能であり、したがって、アダプタは別に取り扱わなければならない。しかしながら、その軸方向の高さが低いこと、そして、その機械的安定性が低いことが、このプロセスを阻害する。
【0005】
これに関係して、この種の加熱アダプタ用デバイスが知られており、このデバイスでは上述のアダプタは、ある種の代替焼嵌めチャックに配置されているが、プロセスにおいては、回転や他の動きがないように防止されていない。しかしながら、上述の既知のデバイスにより実行される収縮プロセスは、ツールが加熱されたアダプタから再び抜去される際に、例えば汚染の発生、または代替焼嵌めチャックの不注意による加熱などの他の理由で、上述のツールが引っ掛かる場合がある、または摩擦がない態様で取り外すことができないという不都合がある。
【0006】
さらに、代替焼嵌めチャックもまたアダプタと一緒に加熱される必要があり、結果的に相当の追加のエネルギーと時間の消費をもたらす。最後に、アダプタの形状は説明した方法では制限される。何故なら、代替チャックをも加熱するための追加のエネルギーの投入は、薄壁部を備えるアダプタがあまりにも大きな熱応力にさらされるという結果をもたらしめ、したがって重要でないことはない最小壁厚をアダプタの全ての領域において付着させる結果をもたらすからである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
既に説明した一般的なデバイスの不都合を克服するため、本発明に係るデバイスの場合、ベース部が、加熱中にアダプタをベース部上に固定された態様で保持するように設計された取り付けデバイスを備える。
【0008】
対応するアダプタは通常は円柱状に対称であるため、取り付けデバイスが上述のアダプタをその角度アラインメントに対してベース部上に固定して保持することは、望ましくはあるが、必須ではない。したがって、本願において、「固定された態様で保持する」という表現は少なくとも固定された空間的アラインメントを意味し、任意にはまた、ベース部と、保持されているアダプタと、の間の固定された角度アラインメントを意味する。
【0009】
原理上、例えばヒートガンなどの適切な加熱デバイスであればどのようなものもアダプタを加熱するために加熱部において使用することができる。しかしながら、好ましい実施形態においては、少なくとも1つの誘導コイルが加熱部に設けられており、本発明に係るデバイスの動作中、すなわち収縮プロセスが行われているときには、コイルは、保持されたアダプタが配されているコイルの内部で、交流の電磁フィールドを生成するように設計されており、この電磁フィールドはアダプタの中に渦電流を誘導し、これにより上述のアダプタがそのオーム抵抗により発熱する。もちろん、この種のアダプタは、従来の熱的および機械的な安定性の要求を満たすことに加えて、誘導の態様で上述のアダプタが加熱されることをも可能にしなければならない材料から作られなければならない。
【0010】
対照的に、本発明に係るデバイスの取り付けデバイスが、電気的に、かつ/もしくは磁気的に弱伝導性の、または非伝導性の材料から作られていることは有利である場合がある。これらの方策は、アダプタの誘導加熱の間に、取り付けデバイスの磁気的なシールド効果および上述のデバイスそのものの加熱の両方を抑える。特に、取り付けデバイスが、完全に、または部分的に、ステンレス鋼もしくはアルミニウムから、または適切なプラスチック材料から製造されることが想到可能である。
【0011】
アダプタが取り付けデバイスにより、特にアダプタの径方向において確実に保持されることを保証することを可能にするために、取り付けデバイスを、アダプタを保持するときに、その一部分において、アダプタをその全周囲にわたって囲うように設計することができる。結果的に、アダプタが取り付けデバイスにより保持されている間に、アダプタの引っ掛かり、または傾きを、確実に抑制することができる。
【0012】
それでもなお、アダプタが取り付けデバイスにより全周囲にわたって囲われている場合にアダプタの囲われた部分の十分な加熱と、これに関連する、誘導コイルの交流磁界からのアダプタのシールドと、を確保することを可能にするために、取り付けデバイスは、1つ以上のアパーチャを、アダプタの周囲全体を囲む取り付けデバイスのその一部に備えることができ、アパーチャの磁化可能な要素は保持されたアダプタに向かって延在する。この場合、例えば、フェライト鉄または同様の弱導電性であるが強導磁性である材料から成る要素が取り付けデバイスの領域に設けられ、当該要素が取り付けデバイス全体を囲い、取り付けデバイスのアパーチャに係合する、またはアパーチャの中に突出することが特定的に想到可能である。
【0013】
この場合、上述のフェライト要素の寸法は、好ましくは、アパーチャに係合しているその部分が、アダプタの外側周囲のすぐ近辺まで達するような寸法とすることができる。したがって、フェライト要素と保持されたアダプタとの間には、狭い間隙が残されるだけであり、その結果として、取り付けデバイスによって囲われたアダプタの領域もまた、アダプタの加熱という目的のための強力な磁束にさらされる。本発明のこの発展形態は、特にアダプタが比較的短く、挿入されたときに、ツールがほとんどアダプタの下端まで延在するときに有利である。この場合、アダプタを、アダプタの略全長にわたって、ツールをアダプタの中へ容易に導入するのを可能にする程度に加熱することが重要である。
【0014】
本発明に係るただ1つのデバイスにおいて、異なるタイプの複数のアダプタが収縮プロセスを経ることができることが望ましいので、加熱部をアダプタに対して特定的に位置決めをするときに、加熱部が、加熱部のベース部に対する変位の間に、ベース部に対する加熱部の特定の相対位置において、保持されたアダプタに接触するように設計された停止部をさらに備えることが有利である。特に、これは、収縮プロセスにおいて可能な最高の効率を達成するために、アダプタが少なくとも1つの誘導コイルの交流電磁界に最適にさらされる位置でありうる。このように、ベース部に対する加熱部の位置は、加熱部の停止部と、アダプタと、の間の接触により固定されるので、加熱部上の停止部の適切な位置決めは、ベース部に対する加熱部の変位に続いて、誘導コイルが、異なる長さの、異なって設計されたアダプタもまた、上述のコイルの交流電磁界に最適にさらされる位置に常にあることを確実にすることができる。
【0015】
停止部を用いて固定されるとすぐに、上述の最適な位置を繰り返し素早く想定することを可能とするために、位置決め手段をベース部にさらに割り当てることができ、この位置決め手段は、加熱部がベース部に対して変位されているときに取り付けデバイスに対して移動するように設計され、それによってベース部に対してロックすることができ、ロックされた状態にあるベース部に対して対応する相対位置に加熱部のための停止部材を形成するように設計されていてもよい。結果的に、本発明に係るデバイスの動作中に、アダプタの収縮プロセスを実行するため、加熱部を、停止部を用いて所定の最適な位置にまず変位させることができ、位置決め手段をベース部に対して移動し、そして、上述の位置に到達すると位置決め手段をロックすることができ、例えば第2の、構造的に同一のアダプタを取り付けデバイスに挿入するために、加熱部を再び抜去することが可能であり、次いで、加熱部を対応する位置に戻るように変位することが可能であり、そこで加熱部は位置決め手段に再び接触するようになる。位置決め手段を追加的に設けることは、例えば加熱部の停止部が加熱部の動作中に抜去される場合には有利であり、そのために、2つの同一設計のアダプタの2つの収縮プロセスからなる記載された例では、上述の停止部は上述の2つのプロセス間で加熱部に再取り付けされる必要がない。
【0016】
発展形態において、本発明に係るデバイスは、さらに、ベース部に配されたアダプタを冷却し、かつ、ツールの挿入方向においてベース部に対して変位可能であるように設計されている冷却部を備えていてもよい。結果的に、収縮プロセスおよびツールのアダプタへの挿入に続き、加熱部をベース部から抜去し、冷却部に置き替えることが可能であり、これは上述のアダプタに意図されている、アダプタを工作機械に素早く挿入するための、アダプタの加速された冷却を結果的にもたらす。結果として、冷却部を追加的に設けることは、アダプタにツールを挿入するプロセス全体に必要とされるサイクルタイムを削減する。
【0017】
第2の特徴では、本発明は、工作機械で使用するためのツールを取り付けるための加熱アダプタ用の本発明によるデバイス、および工作機械で使用するためのツールを取り付けるためのこの種のアダプタから成るシステムに関し、ツールは取り付けられている時にアダプタから一側上において延出し、アダプタは好ましくはコレットの外側寸法を有する。
【0018】
アダプタと取り付けデバイスとの間の相互作用を保持することは、原理上、どのような適切な手段を用いても実現可能であるが、アダプタおよび取り付けデバイスがそれぞれに、例えば、相互作用するネジ切り部、または輪郭取り若しくはスロット付きガイドシステムのような、アダプタをベース部上に保持するための相互作用をインターロックするための要素が設けられていることが有利である場合がある。
【0019】
この場合、アダプタおよび取り付けデバイスが、例えば先端を切り取ったメスおよびオスのテーパそれぞれとして形成されるような、相互作用をインターロックする領域において相補的な寸法を有することがさらに有利である場合がある。アダプタが、取り付けデバイスに挿入される、好ましくは多条雄ネジ、特に二条雄ネジを円錐台状のテーパ状の端部をアダプタの端部に備えており、取り付けデバイスが、平面のベースを有する同様の円錐台状のテーパ状の開口を備えており、その開口の内壁にアダプタの雄ネジと係合することになることが可能な、少なくとも1つの阻害要素が形成されている実施形態が特に想到可能である。
【0020】
アダプタの端部の円錐台状の設計と、大きなネジ切りのピッチは、アダプタが、非常に短いねじ込み移動、例えば半回転未満またはさらに四分の一回転によって、取り付けデバイスの中にねじ込まれて固定され得ることを意味する。このように、正確に反復可能な態様により、そして、極度に正確な反復可能な軸方向の位置決めにより、アダプタは取り付けデバイスに組付けられ、これはツールの長さ調整をも同様に可能にする。これは、アダプタがねじ込みの移動の最後で円錐台状の開口のベース上に押し付けられることによって実現される。この場合、0.01mm未満、またはさらに0.005mm未満の公差を、取り付けデバイスおよびアダプタの適切な設計によって実現することができる。この目的のため、アダプタはその下面に平坦な支持面を追加的に備えることができ、当該支持面は、基準径に対して軸方向に十分に正確に規定された位置となるように、その円錐台の外面に位置する。アダプタからの特定の突出長さを有するツール、または、アダプタの基準面に対して特定の長さを有するツールが、本発明に係るデバイスのアダプタの中に収縮する場合には、アダプタと受け部の中のツールとの組合せにより形成されるモジュールの全長は、あらかじめ正確に特定することができる。
【0021】
既に上記で説明したように、アダプタを加熱するためのデバイスおよびアダプタそのものの本発明に係るキャリブレーションは、上述のアダプタを実質的により厳選した態様で加熱することができ、したがって、薄壁領域もまた、アダプタが収縮プロセス中に損傷を受けるリスクなしに設けることができるので、アダプタの形状設計の際に柔軟性を相当高めることを可能にする。この場合には、アダプタが、アダプタの外側の円錐状領域を超えて突出し、アダプタから延出するツールを取り囲む薄壁部を備えることが特に有利でありえる。このように、ツールと接触するアダプタの長さが増加し、したがってツールを全体として、径方向および軸方向の両方において、よりしっかりと、より正確にアダプタ上に取り付けることができる。変形例において、薄壁部は、挿入されたときにツールが薄壁部の領域にのみ位置し、アダプタの外側の円錐状領域の中にはもはや突出しない程度までアダプタの外側の円錐状領域を超えて突出してもよい。
【0022】
発展形態において、本発明に係るシステムは、取り付けデバイスとの相互作用をインターロックするための同一要素を備えるとともに外側寸法が異なる、複数のアダプタを備えていてもよい。このようにして、様々なタイプのアダプタが、ただ1つの加熱用デバイスにおける収縮プロセスを経ることが可能になり、繰り返しになるが、これによってシステム全体としての柔軟性を相当向上させる。この場合、全てのアダプタを適切な態様でデバイスの取り付けデバイスによって保持されうることを保証することだけが必要となる。
【0023】
さらなる発展形態において、本発明に係るシステムは、工作機械で使用するためのコレットチャックを追加的に備え、このチャックは、アダプタまたは複数のアダプタのうちの1つを受けるように設計され、かつアダプタを受けている状態において、アダプタの薄壁部がコレットチャックを超えて軸方向に突出するように任意に形成されていていてもよい。
【0024】
さらに、コレットチャックは、複数のアダプタのうちの1つまたはコレットを選択的に受けるように設計されていてもよい。
【0025】
本発明は、本発明に係るシステムのためのアダプタにさらに関し、このアダプタは、その一部分に円筒状の外側輪郭を有し、この円筒状の外側輪郭は、軸方向において、第1部分と第2部分との間に設けられており、第1部分と第2部分各々は円錐状の外側輪郭を有する。この場合、上述のアダプタは、一部分が円筒状である外側輪郭が、円錐状の外側輪郭を有する第1部分の外径よりも大きく、円錐状の外側輪郭を有する第2部分の外径よりも小さい外径を有するように形成することができる。
【0026】
代替的にまたは追加的に、アダプタは、第1部分に円錐状の外側輪郭を有するように設計された雄ネジ、好ましくは多条雄ネジを備えてもよい。この場合、円錐状の外側輪郭を有する第1部分におけるネジの巻きの間に接触面が形成されてもよく、接触面は、1つのネジの巻きの溝幅の半分よりも幅広い。さらに、本発明に係るアダプタには、軸方向スロットがなくてもよい。
【0027】
発展形態において、アダプタは、少なくとも1つの、好ましくは4つのツールに向かって開口する溝、および/または冷却材をガイドするための少なくとも1つのチャネルを備えていてもよい。この場合、少なくとも1つの溝および/または少なくとも1つのチャネルは実質的に軸方向に延在してもよく、それによってツールの背後から冷却材を得ることができ、上述の冷却材をツールの周りでガイドすることができる。この関連で、チャネルは、アダプタの本体よって完全に囲まれている冷却材の流路を示すが、溝はツールに向かって開口している。
【0028】
さらに、本発明は、本発明に係るシステムのアダプタにツールを挿入するための、または、システムのアダプタからツールを抜去するための方法に関し、方法は、取り付けデバイス中に、アダプタを保持するステップと、加熱部をベース部に対して、アダプタが加熱部の加熱領域、例えば加熱部の少なくとも1つの誘導コイルのフィールド領域に位置するまで変位させるステップと、アダプタを加熱して膨張させるために、加熱部を動作させるステップと、アダプタにツールを挿入するステップ、または、ツールをアダプタから抜去するステップと、アダプタが収縮し、ツールをしっかりと囲うように、アダプタを任意に冷却するステップと、取り付けデバイスからアダプタを抜去するステップと、を備える方法に関する。
【0029】
この場合、アダプタの冷却とアダプタの抜去の2つのステップは、取り付けデバイスがさらなるアダプタを保持するために直ちに利用可能になるように、逆の順で備えられていてもよい。
【0030】
最後に、本発明に係るデバイスで使用するためのベース部に対しても別々に保護が請求されている点について留意されるべきである。
【0031】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の実施形態の説明と併せて、以下に詳細を示す添付図面を考慮することで明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係るデバイスの概略断面図である。
図2図1のデバイスのベース部の拡大断面図である。;
図3a】本発明に係るアダプタの第1の設計の側面図である。
図3b】本発明に係るアダプタの第2の設計の側面図である。
図3c】本発明に係るアダプタの第2の設計の斜視平面図である。
図3d】本発明に係るアダプタの第3の設計を示す図である。
図4図1のデバイスの変更した変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明に係る、工作機械(machine tool)で使用するためのツールをホールドするための加熱アダプタ用デバイスの概略断面図であり、当該デバイスを非常に概略的に符号10で表す。デバイス10は、本質的に2つの部分を備えており、これは具体的には、図1の上側に示される加熱部20と、下側に示されるベース部30である。図1は、さらに、ベース部に保持されて、ベース部30から加熱部20の中に上向きに延在するアダプタ100を示す。
【0034】
加熱部20およびベース部30は、以下に詳細に説明するように、特にアダプタ100の軸方向のエクステンションにより特定される方向において互いに対して変位可能であり、また、ツール(図に示されていない)はこの方向にアダプタに挿入することができる。この目的のため、加熱部20は、ベース部30に対して固定されたフレームに例えば変位可能に取り付けられている。
【0035】
この目的のため、加熱部20は、一対の誘導コイル24が中に配されているハウジング22を備えており、これらコイルはハウジング22内の空洞に支持されている。図1の描画においては、誘導コイル24の軸がアダプタ10の軸と平行に延在するように上述の誘導コイル24の軸もまた垂直方向に延在する。誘導コイルは、電源供給ライン(不図示)の手段により電力を供給されて、これにより生じた交番磁界がアダプタ100内に電流を誘導するように動作する。
【0036】
加熱部20は、さらに、図1に示す位置において上面がアダプタ100に接触している停止要素26を備える。加熱部20がベース部30の方へ下に向かう垂直変位の場合、上述の停止要素26は、上述の変位が加熱部20のアダプタ100に対する、そしてベース部30に対する適切な相対位置において終了することを確実にする。図1に示されるこの適切な位置において、誘導コイル24はアダプタ100に対して、交流電流の手段により動作する場合に電磁相互作用により電流が同様にアダプタ100に誘導され、そのオーム抵抗により電流が加熱されるように位置決めされている。結果として生じる熱膨張は、次いでアダプタ100を膨張させ、それによって設けられているツールが最終的にアダプタ中に挿入されうる。
【0037】
示されている停止要素26はまた、アダプタ100よりも大きな部品を誘導加熱する際に、ここに示される加熱部20と一緒に使用されうる部品であり、上述の停止要素は対応する部品の端面で磁界を集中させるためのような場合に主に使用される。しかしながら、この種の集中は、上述のアダプタの薄い壁のデザインにより、磁界の強度が強すぎてアダプタ100に損傷を与える結果になりうるため、アダプタ100が存在する場合には望ましくない。したがって、停止要素26は、誘導コイル24の動作前に加熱部20から抜去されるか、または、アダプタ100に影響を及ぼしえない加熱部20内部の位置に移動される。
【0038】
同一の、または構造的に同様のアダプタ100を使用した場合、加熱部20が再びベース部30に対して変位されるときに停止要素26を再びアダプタ100に近づけるように移動する必要がないように、ベース部30は位置決め手段32を備える。
【0039】
上述の位置決め手段32は、図2のベース部30の拡大図において特に明確に視認することができる。上述の手段は、伸縮自在に延長可能なチューブ組立体32aを備え、チューブ組立体32aは、固定された外側チューブと、外側チューブ内に受けられたスプリング32bによって垂直方向に事前に上向きに搭載された、変位可能な内側チューブとを有する。
【0040】
加熱部20がベース部30上に配置されると、チューブ組立体32aがスプリング32bの作用と反対向きに圧縮されるように加熱部20のハウジング22の一部分が内側チューブと接触するようになり、例えば図1に示す位置のような、加熱部20とベース部30との間の適切な相対位置に達すると、位置決め手段をこの位置にレバー32cにより固定することが可能になる。そのため、上述の接触要素26を用いて特定した最適な位置を、停止要素26が加熱部20から抜去された後にもまた再びとることが可能となり、加熱部20のハウジング22が再び位置決め手段32に載置されるようになるまで、加熱部20はベース部30に対して下降する。
【0041】
ベース部30は、さらに、台座34を備え、その上に取り付けデバイス36が配されている。上述の取り付けデバイス36は、実質的に平面のベースを有するとともに例えば雌ネジまたは同じ機能を担う突起のような適切な係合要素が設けられた円錐台状の受け部36aからなり、当該要素によりアダプタ100の雄ネジ102(後述)をねじ込むことが可能になる。取り付けデバイス36は、アダプタ100の下側部分104をアダプタ100の全周囲にわたり囲うため、コイル24により生成された磁界に対するシールドとして作用し、結果的にアダプタ100が取り付けデバイスに受けられている部分の加熱は、初期には抑制されている。上述のシールド効果を相殺するため、アパーチャ38は取り付けデバイス36に設けられており、このアパーチャを通じてフェライト素子38aが外側から内側へ、アダプタ100に向かって延出している。上述のフェライト素子38aは、取り付けデバイス36を通じてアダプタ100の範囲までの外部磁界を伝導させるとともに集中させ、これにより上述のアダプタの下側部分104もまた、加熱されて膨張する。
【0042】
アダプタ100が充分に加熱され、それにより膨張する場合には、適切な寸法を有する設けられたツールを、上からツール100の内部101(ここでのみ示す)に挿入することができ、アダプタが再び冷却された後に上述のツールは固定された状態を維持する。
【0043】
さらに、図3aから図3dを参照して3つの実施形態が説明されており、これらアダプタは図1のデバイス10の中で収縮プロセスを経る。この場合、図3aおよび図3bはそれぞれ第1実施形態および第2実施形態の側面図であり、図3cは第2実施形態の斜視図であり、図3dは第3実施形態の断面図である。
【0044】
まず、図3aは図1および図2のアダプタ100を再度示す。この場合、アダプタ100は、軸Aを有し、既に説明したツールは当該軸Aに沿って上述のアダプタに挿入され、上述のアダプタは当該軸Aを中心として実質的に回転対称である。
【0045】
図1および図2の底部に示される面、すなわちツールの出現から離れた面においてだけは、既に言及したアダプタ100の外壁に設けられた雄ネジ102により上述の対称が中断されている。上で説明したように、アダプタ100は、雄ネジ102によりベース部30の取り付けデバイス36にねじ込むことが可能であり、アダプタ100の対応する下側部分104の円錐台形状と、受け部36aの相補的な形状とが、高ピッチのネジ102と併せて、取り付けデバイス36におけるアダプタ100の極めて正確な位置決めを可能にしている。
【0046】
アダプタ100は、さらに、従来のコレットチャックで使用されうる外形を有し、特に、上述のアダプタのエクステンションの大部分が、同様にその軸Aに沿った円錐台状であり、それによって上述のアダプタを結合ナットによりコレットチャックにねじ込むことを可能にしている。アダプタ100は、ツールの出現に面したその上面にのみ薄壁拡張部分106を備えており、当該薄壁拡張部分はアダプタ100に受けられたツールを接近して取り囲んでいる。結果的に、従来のチャックおよび既知のアダプタと比較して、ツールはアダプタ100に、径方向および軸方向の両方向でよりしっかりと取り付けられており、したがってアダプタ100とツール(不図示)とで形成されたモジュールの精度をさらに向上させている。しかしながら、変形例においては、拡張部分106はまた、ツールが拡張部分106内にのみ取り付けられ、アダプタ100の円錐台部104の中に突出しないような長さであってもよい。
【0047】
図3bおよび図3cに示すアダプタの変形例100’はこの場合を示すが、本発明に係るアダプタの上述の部分106を省略することができ、この種の部分を備えない上述の変形例では、アダプタ100’の外形をそうでなければ図3aのアダプタ100と同一の形状とすることも可能である。特に、円錐台部104’は、図3aのアダプタ100の場合と同じ外側寸法を有し、雄ネジ102’は、図3aのアダプタ100の場合と同じピッチを有する。上述のパラメータは、異なる形状のアダプタ100およびアダプタ100’において同じであるので、これらアダプタは、それぞれ、図1および図2のデバイス10の取り付けデバイス36に同様の方法でねじ込むことができ、かつその中で収縮プロセスを経ることが可能である。
【0048】
さらに、本発明によるアダプタ100および100’の2つの実施形態が、部分的に円筒状であり、軸方向の円錐台部104および円錐台部104’それぞれと、さらなる円錐台部108および円錐台部108’それぞれと、の間に設けられた外側輪郭110および外側輪郭110’それぞれを有する点に留意すべきである。この場合、円筒状の外側輪郭110および外側輪郭110’の外径はそれぞれ、各々の場合において円錐台部104および円錐台部104’それぞれの外径より大きく、さらなる円錐台部108および円錐台部108’それぞれの外径より小さい。
【0049】
図3a、図3bおよび図3cの実施形態100と実施形態100’とのさらなる違いは、実施形態100’は、いずれの場合にも90度だけ離間した4つの溝112’をツールに面したその内面に備えており、これら溝はツールに向かって開口し、それによってこれら溝を通じて冷却材がツールに沿ってガイドされる得る点である。上述の冷却材は、図3bおよび図3cの下面、すなわちマンドレルの面から工作機械に送り込まれるため、アダプタ100’と、特にツールとの両方をこれにより冷却することが可能であり、冷却材は対象がツールで機械加工される領域に運ばれることが可能である。
【0050】
この冷却材の供給は、特に図3dに示す本発明に係るアダプタ100’’の第3実施形態を参照しつつ理解することができ、ここでは既に説明した少なくとも1つの溝112’’に加えて、チャネル116’’がさらに設けられている。このチャネルは、軸Aに対して所定の角度でアダプタ本体を通じて延在する。そうでなければ、特にその外側寸法に関して、第3実施形態110’’は第2実施形態110’に対応し、まさに上述の第2実施形態のように、円錐台部104’’および円錐台部108’’を備え、その間に配された円筒状の部分110’’を備える。アダプタ110’’の第1円錐台部104’’は、上述のネジ溝が設けられてもよいにも関わらず、明確に示すために雄ネジなしで示されている点にのみ留意されるべきである。
【0051】
既に述べたように、冷却材は、図3dの下側でアダプタ110’’の一部分にアクセスポイント114’’を経由して送り込まれ、その冷却材は次に第1流路114a’’を通じて溝112’’に流れ、そしてツールに沿った上述の溝の中を流れ、また第2流路114b’’を通じ、円筒状部分110’’の外側面に沿って、チャネル116’’の中を流れ、それによって最終的にまたツールに向かって外側から径方向にも流れる。この場合、アダプタ100’’が動作中にチャックに受けられており、当該チャックは円筒状部分110’’の径方向外側に位置し、第2流路114b’’とチャネル116’’との間で冷却材を一緒にガイドすることが繰り返し述べられるべきである。
【0052】
最後に、図1のデバイスの変更された変形例を図4に示す。この変形例は、ここで参照符号32’により示される手段である位置決め手段の形状と、アダプタに挿入されるツールに設けられている長さ調節アセンブリ40との両方によって図1と異なる。上述の長さ調節アセンブリ40は、原理上図1および図2のベース部30に組み込むことができ、図1および図2の加熱部20と取り付けデバイス36とを図4の変形例において使用することができる点に留意されるべきである。
【0053】
したがって、より明確にするために、上述の加熱部20および上述の取り付けデバイス36、並びにこれもまた図1のデバイスと同様または類似する形で存在する部品は、改めて説明されることはなく、上述の部品が説明されている、上記の対応する節が参照される。
【0054】
位置決め手段32’は、ベース部30’の上領域の周りに延在し、図1および図2の位置決め手段32のチューブ組立体32aと同様に、加熱部20のための、高さ調整可能な支持体として機能する環状要素32a’を備える。環状要素32a’は、ベース部30’に向かって移動されるか、または、手動で移動する加熱部20の作用によって、アダプタ100の軸に向かって、ベース部30’に対して同様に変位することができる。ベース部30’に現在保持されているアダプタ100にとって適切な加熱部20の位置に対応している位置に環状要素32a’を固定するために、ボルト32c’がさらに設けられており、当該ボルトは環状要素32a’の穴に挿入され得、環状要素32a’の軸方向の内面上でベース部30’の一連の溝32d’のうちの1つと係合することができる。ボルト32c’は、環状要素32a’と対応する溝32d’との間に押し込まれるので、環状要素は、その現在の空間的、角度的な位置に固定されて、加熱部20の停止部材として機能することができる。
【0055】
最後に、アダプタに挿入されるツールの長さ調節アセンブリ40について説明する。上述のアセンブリは、アダプタ100の軸のエクステンションの底部に存在し、アダプタ100の下側の開口まで延在する中空部42を備える。チューブ44は、中空部の中で変位可能にガイドされており、当該チューブは、中空部42においてチューブ44を変位させるための作動部44aをその下端に備えている。さらに、ベース部30’には停止部材44bが設けられており、当該停止部材は、中空部42におけるチューブ44の変位を制限する。
【0056】
ロッド46が、チューブ44の上端にさらに保持されており、当該ロッドは小さな径を有しており、具体的にその径は、アダプタ100が収縮したときの内径よりも小さく、つまり、アダプタ100に受けられているツールの径よりも小さい。チューブ44が上向きに変位したとき、特定の時点の後に、ロッド46は、その一部がアダプタ内部に位置している。ここで、上述のロッドは、上からアダプタ100に挿入されるツールの垂直方向の停止部材として結果的に機能し、既に言及したように、上述のロッドの径は充分に小さく、たとえツールがアダプタ100内で収縮した後でも、再びアダプタ100の内部からロッドを問題なく下から抜去することができる。ロッド46はこのように、ツールが挿入されて収縮する前に一定程度までアダプタに下から挿入されるため、ツールの位置、そしてツールのアダプタ100からの上向きの突出を非常に正確に調整することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 デバイス
20 加熱部
22 ハウジング
24 誘導コイル
26 停止部
30 ベース部
32a チューブ組立体
32b スプリング
32c レバー
34 台座
36a 受け部
38 アパーチャ
38a フェライト素子
40 調節アセンブリ
42 中空部
44 チューブ
44a 作動部
44b 停止部材
46 ロッド
100 加熱アダプタ用デバイス
100 ツール
100 アダプタ
102 ネジ
104 外側輪郭
104 円錐台部
106 薄壁部
108 外側輪郭
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4