(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】照合システム及びそれに用いる部品供給フィーダ
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
H05K13/02 C
(21)【出願番号】P 2019125532
(22)【出願日】2019-07-04
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江嵜 弘健
(72)【発明者】
【氏名】ナラサンビ アヌスヤ
(72)【発明者】
【氏名】大池 博史
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-214584(JP,A)
【文献】特開2013-222737(JP,A)
【文献】特開2016-201430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を等間隔で収容するテープを巻回するリールであって、当該リールに巻回されるテープに収容される電子部品を識別する部品識別子を備えている、リールと、
前記リールが着脱可能に取付けられると共に、前記電子部品を基板に実装する部品実装機本体に着脱可能に取付けられ、前記リールに巻回されるテープに収容される電子部品を前記部品実装機本体に供給するテープ式の部品供給フィーダであって、前記リールから送り出されるテープのテープ送り量を変更可能であり、当該部品供給フィーダを識別するフィーダ識別子を備えている、部品供給フィーダと、
前記フィーダ識別子の識別情報及び前記部品識別子の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部で取得した前記フィーダ識別子の識別情報及び前記部品識別子の識別情報に基づいて、前記フィーダ識別子の識別情報に紐付けられている当該部品供給フィーダの前記テープ送り量、及び、前記部品識別子の識別情報に紐付けられている当該電子部品が前記テープに収容される部品間隔を取得し、取得した前記テープ送り量と前記部品間隔とを照合する照合部と、を備えて
おり、
前記フィーダ識別子は、当該部品供給フィーダの変更可能な前記テープ送り量に関する情報を備えており、
前記部品供給フィーダは、前記フィーダ識別子を表示する可変表示部をさらに備えている、照合システム。
【請求項2】
前記部品供給フィーダは、当該部品供給フィーダの前記テープ送り量に関する情報を備えるフィーダ識別子を生成する識別子生成部をさらに備えている、請求項
1に記載の照合システム。
【請求項3】
前記テープ送り量と前記部品間隔とが適合しないときに異常を報知する報知部をさらに備える、請求項1
又は2に記載の照合システム。
【請求項4】
前記部品供給フィーダは、当該部品供給フィーダから供給される電子部品の種類が予め設定されており、
前記リールに巻回されるテープには、予め設定された種類の電子部品が収容されており、
前記照合部は、前記識別情報取得部で取得した前記フィーダ識別子の識別情報及び前記部品識別子の識別情報に基づいて、前記部品供給フィーダから供給される前記電子部品の種類と前記リールに巻回されるテープに収容される前記電子部品の種類との適合をさらに照合し、
前記報知部は、前記部品供給フィーダから供給される前記電子部品の種類と前記リールに巻回されるテープに収容される前記電子部品の種類とが適合しないときに第1の態様で異常を報知すると共に、前記テープ送り量と前記部品間隔とが適合しないときに前記第1の態様とは異なる第2の態様で異常を報知する、請求項
3に記載の照合システム。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載の照合システムにおいて、電子部品を基板に実装する部品実装機本体に着脱可能に取付けられ、前記部品実装機本体に電子部品を供給するテープ式の部品供給フィーダであって、
前記リールから送り出されるテープのテープ送り量を設定する設定部と、
前記設定部で設定された前記テープ送り量で前記リールに巻回されているテープを送り出すリール駆動部と、
当該部品供給フィーダを識別する識別情報、及び、前記設定部で設定された前記テープ送り量に関する情報を有するフィーダ識別子を表示する可変表示部と、を備えている、部品供給フィーダ。
【請求項6】
電子部品を等間隔で収容するテープを巻回するリールであって、当該リールに巻回されるテープに収容される電子部品を識別する部品識別子を備えている、リールと、
前記リールが着脱可能に取付けられると共に、前記電子部品を基板に実装する部品実装機本体に着脱可能に取付けられ、前記リールに巻回されるテープに収容される電子部品を前記部品実装機本体に供給するテープ式の部品供給フィーダであって、前記リールから送り出されるテープのテープ送り量を変更可能であり、当該部品供給フィーダを識別するフィーダ識別子を備えている、部品供給フィーダと、
前記フィーダ識別子の識別情報及び前記部品識別子の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部で取得した前記フィーダ識別子の識別情報及び前記部品識別子の識別情報に基づいて、前記フィーダ識別子の識別情報に紐付けられている当該部品供給フィーダの前記テープ送り量、及び、前記部品識別子の識別情報に紐付けられている当該電子部品が前記テープに収容される部品間隔を取得し、取得した前記テープ送り量と前記部品間隔とを照合する照合部と、を備えている、照合システムにおいて、電子部品を基板に実装する部品実装機本体に着脱可能に取付けられ、前記部品実装機本体に電子部品を供給するテープ式の部品供給フィーダであって、
前記リールから送り出されるテープのテープ送り量を設定する設定部と、
前記設定部で設定された前記テープ送り量で前記リールに巻回されているテープを送り出すリール駆動部と、
当該部品供給フィーダを識別する識別情報、及び、前記設定部で設定された前記テープ送り量に関する情報を有するフィーダ識別子を表示する可変表示部と、を備えている、部品供給フィーダ。
【請求項7】
前記照合システムは、前記テープ送り量と前記部品間隔とが適合しないときに異常を報知する報知部をさらに備える、請求項6に記載の部品供給フィーダ。
【請求項8】
前記部品供給フィーダは、当該部品供給フィーダから供給される電子部品の種類が予め設定されており、
前記リールに巻回されるテープには、予め設定された種類の電子部品が収容されており、
前記照合部は、前記識別情報取得部で取得した前記フィーダ識別子の識別情報及び前記部品識別子の識別情報に基づいて、前記部品供給フィーダから供給される前記電子部品の種類と前記リールに巻回されるテープに収容される前記電子部品の種類との適合をさらに照合し、
前記報知部は、前記部品供給フィーダから供給される前記電子部品の種類と前記リールに巻回されるテープに収容される前記電子部品の種類とが適合しないときに第1の態様で異常を報知すると共に、前記テープ送り量と前記部品間隔とが適合しないときに前記第1の態様とは異なる第2の態様で異常を報知する、請求項7に記載の部品供給フィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装機本体に電子部品を供給する部品供給フィーダと部品供給フィーダに着脱可能に取付けられるリールとの適合を照合する照合システム及びこれに用いる部品供給フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装機では、部品供給フィーダが着脱可能に取付けられ、部品供給フィーダから電子部品を供給するものがある。部品供給フィーダとしては、例えば、テープ上に複数の電子部品が等間隔で収容されているテープ式の部品供給フィーダが知られている。この種のテープ式の部品供給フィーダは、電子部品を収容するテープが巻かれたリールを着脱可能に収容する。部品供給フィーダがテープをリールから所定量送り出すことによって、部品実装機に電子部品を供給している。このため、テープに収容される電子部品の間隔(以下、単に「部品収容間隔」ともいう)と、部品供給フィーダがテープを送り出す量(以下、単に「テープ送り量」ともいう)とが一致していないと、部品実装機に電子部品を正常に供給できない。
【0003】
例えば、特許文献1には、部品供給フィーダに収容されたリールの種類と、部品供給フィーダの種類とが適合しているか否かを照合するシステムが開示されている。特許文献1の照合システムでは、部品供給フィーダにその部品供給フィーダの仕様を記述するバーコードが貼付けられている。部品供給フィーダの仕様とは、その部品供給フィーダのテープ送り量等である。また、リールには、そのリールの仕様を記述するバーコードが貼付けられている。リールの仕様とは、リールに収容される電子部品の種類や部品収容間隔等である。特許文献1の照合システムでは、部品供給フィーダに貼付けられているバーコードとリールに貼付けられているバーコードをそれぞれ読み取ることによって、部品供給フィーダのテープ送り量とリールの部品収容間隔が一致するか否かを照合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の照合システムでは、リールに貼付けられているバーコードに部品収容間隔が予め記述されていると共に、部品供給フィーダに貼付けられているバーコードにテープ送り量が予め記述されていることを前提としている。しかしながら、テープ送り量を変更できる部品供給フィーダでは、テープ送り量を予めバーコードに記述しておくことができない。このため、特許文献1の照合システムでは、部品供給フィーダのテープ送り量が初期状態から変更されてしまうと、バーコード等の識別子を用いてリールの部品収容間隔と部品供給フィーダのテープ送り量とを照合できない場合があった。
【0006】
本明細書は、テープ送り量を変更できる部品供給フィーダが用いられる場合であっても、部品供給フィーダのテープ送り量とリールに収容される電子部品の部品収容間隔とが一致しているか否かを照合することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示する照合システムは、電子部品を等間隔で収容するテープを巻回するリールであって、当該リールに巻回されるテープに収容される電子部品を識別する部品識別子を備えている、リールと、リールが着脱可能に取付けられると共に、電子部品を基板に実装する部品実装機本体に着脱可能に取付けられ、リールに巻回されるテープに収容される電子部品を部品実装機本体に供給するテープ式の部品供給フィーダであって、リールから送り出されるテープのテープ送り量を変更可能であり、当該部品供給フィーダを識別するフィーダ識別子を備えている、部品供給フィーダと、フィーダ識別子の識別情報及び部品識別子の識別情報を取得する識別情報取得部と、識別情報取得部で取得したフィーダ識別子の識別情報及び部品識別子の識別情報に基づいて、フィーダ識別子の識別情報に紐付けられている当該部品供給フィーダのテープ送り量、及び、部品識別子の識別情報に紐付けられている当該電子部品がテープに収容される部品間隔を取得し、取得したテープ送り量と部品間隔とを照合する照合部と、を備えている。
【0008】
上記の照合システムでは、フィーダ識別子の識別情報に紐付けられている部品供給フィーダのテープ送り量と、部品識別子の識別情報に紐付けられている電子部品の部品間隔を照合することによって、部品供給フィーダのテープ送り量と、リールに収容される電子部品の部品間隔が一致しているか否かを確認することができる。部品供給フィーダのテープ送り量は可変であるが、フィーダ識別子の識別情報と設定されたテープ送り量とが紐付けられているため、フィーダ識別子の識別情報から設定されたテープ送り量を取得できる。このため、テープ送り量が可変の部品供給フィーダにおいても、テープ送り量に関する情報を取得でき、部品供給フィーダのテープ送り量とリールに収容される電子部品の部品間隔を照合することができる。
【0009】
本明細書に開示する部品供給フィーダは、上記の照合システムにおいて、電子部品を基板に実装する部品実装機本体に着脱可能に取付けられ、部品実装機本体に電子部品を供給するテープ式の部品供給フィーダである。部品供給フィーダは、リールから送り出されるテープのテープ送り量を設定する設定部と、設定部で設定されたテープ送り量でリールに巻回されているテープを送り出すリール駆動部と、当該部品供給フィーダを識別する識別情報、及び、設定部で設定されたテープ送り量に関する情報を有するフィーダ識別子を表示する可変表示部と、を備えている。
【0010】
上記の部品供給フィーダでは、可変表示部が設定部で設定されたテープ送り量に関する情報を有するフィーダ識別子を表示することによって、部品供給フィーダに設定されるテープ送り量に応じたフィーダ識別子を表示できる。このため、部品供給フィーダのテープ送り量を変更しても、部品供給フィーダのテープ送り量に関する情報を正確に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例に係る照合システムの概略構成を示す図。
【
図4】部品供給フィーダとリールの概略構成を示す図。
【
図5】部品供給フィーダの制御系を示すブロック図。
【
図6】リールと部品供給フィーダの適合を照合する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0013】
(特徴1)本明細書に開示する照合システムでは、フィーダ識別子は、当該部品供給フィーダの変更可能なテープ送り量に関する情報を備えていてもよい。部品供給フィーダは、フィーダ識別子を表示する可変表示部をさらに備えていてもよい。このような構成によると、フィーダ識別子が変更可能なテープ送り量に関する情報を含むことによって、識別情報取得部でフィーダ識別子の識別情報を取得したときに、フィーダのテープ送り量に関する情報も取得できる。また、部品供給フィーダがフィーダ識別子を表示する可変表示部を備えることによって、部品供給フィーダに設定されるテープ送り量に応じたフィーダ識別子を表示できる。このため、部品供給フィーダのテープ送り量を変更しても、部品供給フィーダのテープ送り量に関する情報を正確に取得することができる。
【0014】
(特徴2)本明細書に開示する照合システムでは、部品供給フィーダは、当該部品供給フィーダのテープ送り量に関する情報を備えるフィーダ識別子を生成する識別子生成部をさらに備えていてもよい。このような構成によると、部品供給フィーダは、当該部品供給フィーダのテープ送り量が変更されたときに、そのテープ送り量に対応したフィーダ識別子を生成できる。このため、部品供給フィーダのテープ送り量に関する情報を正確に取得することができる。
【0015】
(特徴3)本明細書に開示する照合システムでは、テープ送り量と部品間隔とが適合しないときに異常を報知する報知部をさらに備えていてもよい。このような構成によると、部品供給フィーダのテープ送り量とリールに収容される電子部品の部品間隔が一致しないときに、その旨を作業者に報知することができる。
【0016】
(特徴4)本明細書に開示する照合システムでは、部品供給フィーダは、当該部品供給フィーダから供給される電子部品の種類が予め設定されていてもよい。リールに巻回されるテープには、予め設定された種類の電子部品が収容されていてもよい。照合部は、識別情報取得部で取得したフィーダ識別子の識別情報及び部品識別子の識別情報に基づいて、部品供給フィーダから供給される電子部品の種類とリールに巻回されるテープに収容される電子部品の種類との適合をさらに照合してもよい。報知部は、部品供給フィーダから供給される電子部品の種類とリールに巻回されるテープに収容される電子部品の種類とが適合しないときに第1の態様で異常を報知すると共に、テープ送り量と部品間隔とが適合しないときに第1の態様とは異なる第2の態様で異常を報知してもよい。このような構成によると、リールに収容される電子部品の種類と部品供給フィーダが供給すべき電子部品の種類とが適合しない場合と、テープ送り量と部品間隔とが適合しない場合とで異なる態様で異常を報知するため、上記のいずれについて適合していないのかを作業者が把握することができる。
【実施例】
【0017】
以下、実施例に係る照合システム1について説明する。照合システム1は、部品実装機10の本体に電子部品4を供給する部品供給フィーダ30と、部品供給フィーダ30に着脱可能に取付けられるリール50との適合を照合する。
図1に示すように、照合システム1は、部品供給フィーダ30と、リール50と、バーコードリーダ70と、演算装置72を備えている。
【0018】
部品供給フィーダ30は、部品実装機10の本体に着脱可能に取付けられる。部品供給フィーダ30が部品実装機10の本体に取付けられると、部品供給フィーダ30は部品実装機10の本体に対して移動不能に固定される。
【0019】
ここで、
図2及び
図3を参照して、部品供給フィーダ30が設置される部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0020】
図2及び
図3に示すように、部品実装機10は、複数の部品供給フィーダ30と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア20と、タッチパネル24と、制御装置26を備える。各々の部品供給フィーダ30には、リール50が着脱可能に設置され、リール50は、複数の電子部品4を収容している。部品供給フィーダ30は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。なお、部品供給フィーダ30とリール50の構成については、後に詳述する。
【0021】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品供給フィーダ30を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。装着ヘッド16は、一又は複数の吸着ノズル6を着脱可能に保持し、吸着ノズル6を用いて部品供給フィーダ30が供給する電子部品4を取り上げ、当該電子部品4を回路基板2上へ装着する。このとき、ヘッド移動装置18が、部品供給フィーダ30及び回路基板2に対して、装着ヘッド16を移動させる。これによって、複数の部品供給フィーダ30のうち特定の部品供給フィーダ30から電子部品4が取り上げられ、回路基板2の予め定められた位置に電子部品4が装着される。基板コンベア20は、回路基板2の搬入、支持及び搬出を行う。タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。制御装置26は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置26は、管理装置8から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。
【0022】
次に、
図1、
図4及び
図5を参照して、リール50と部品供給フィーダ30について説明する。
図4に示すように、リール50には、複数の電子部品4を一定の間隔で収容する長尺のテープ52が巻き付けられている。テープ52は、ベーステープ54とカバーテープ56を有しており、ベーステープ54とカバーテープ56の間に電子部品4が収容されている。リール50の中央には開口部58が設けられており、開口部58は、後述する部品供給フィーダ30のリール支持部34の径方向の寸法より大きくされている。開口部58をリール支持部34に係合させることによって、リール50は部品供給フィーダ30に設置される。リール50は、部品供給フィーダ30に対して交換可能となっている。
【0023】
また、リール50の表面には、部品バーコード60が貼り付けられている。部品バーコード60には、リール50に収容されている電子部品4を識別する情報(以下、部品識別情報ともいう)と、テープ52に収容される電子部品4の間隔(以下、部品間隔ともいう)に関する情報が記録されている。
【0024】
図1、
図4及び
図5に示すように、部品供給フィーダ30は、ハウジング32と、リール支持部34と、テープ送出機構36と、入力部38と、演算部40と、表示部44を備えている。リール支持部34は、円筒状であり、リール支持部34の一端は、部品供給フィーダ30のハウジング32に取付けられている。リール支持部34は、リール50を回転可能に支持する。テープ送出機構36は、リール支持部34で支持されるリール50に巻回されるテープ52を、リール50から一定量ずつ送り出す。詳細には、テープ送出機構36は、演算部40から出力されたテープ52の送り出し量(以下、単に「テープ送り量」ともいう)に従い、一定量ずつリール50からテープ52を送り出す。送り出されたテープ52上の電子部品4は、所定の取り上げ位置において、装着ヘッド16により取り上げられる。
【0025】
入力部38は、作業者によって操作され、リール50からのテープ送り量が入力される。入力部38は、例えば、DIPスイッチであり、作業者が入力部38を操作すると、入力部38は入力されたテープ送り量を演算部40に出力する。
【0026】
演算部40は、入力部38に入力されたテープ送り量を取得し、取得したテープ送り量に基づいて、テープ送出機構36を制御する。また、演算部40は、取得したテープ送り量に基づいて、フィーダバーコード42を生成する。フィーダバーコード42には、その部品供給フィーダ30を識別する情報(以下、フィーダ識別情報ともいう)と、入力部38から取得したテープ送り量に関する情報が記録されている。演算部40は、生成したフィーダバーコード42を表示部44に出力する。表示部44は、演算部40から出力されたフィーダバーコード42を表示する。
【0027】
本実施例では、作業者が入力部38を操作することによって、部品供給フィーダ30のテープ送り量を変更することができる。演算部40は、入力部38から取得したテープ送り量に関する情報を含むフィーダバーコード42を生成し、表示部44に生成したフィーダバーコード42を表示させる。すなわち、部品供給フィーダ30のテープ送り量を変更すると、変更されたテープ送り量に関する情報を含むフィーダバーコード42が表示部44に表示される。このため、テープ送り量が可変の部品供給フィーダ30であっても、設定されたテープ送り量に対応したフィーダバーコード42を表示部44に表示することができる。
【0028】
次に、バーコードリーダ70と演算装置72について説明する。
図1に示すように、バーコードリーダ70は、バーコードから情報を読み取るように構成されており、本実施例では、部品バーコード60とフィーダバーコード42から情報を読み取る。なお、本実施例では、バーコードリーダ70を用いて部品バーコード60とフィーダバーコード42から情報を読み取っているが、このような構成に限定されない。部品バーコード60とフィーダバーコード42の代わりに、異なる種類の識別子を用いてもよく、例えば、QRコード(登録商標)やデータマトリックス等の2次元コードを用いてもよい。この場合には、バーコードリーダ70に代わり、その識別子の情報を読み取り可能な情報取得手段を用いる。バーコードリーダ70で読み取られた情報は、演算装置72に送信される。
【0029】
演算装置72は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。演算装置72は、バーコードリーダ70から受信した情報を用いて、部品バーコード60に記録される情報とフィーダバーコード42に記録される情報が適合するか否かを判定する。具体的には、演算装置72は、部品バーコード60に記録される部品識別情報と、フィーダバーコード42に記録されるフィーダ識別情報が適合するか否かを判定する。部品実装機10には、生産プログラムに従い電子部品4が供給される。このため、部品実装機10に設置する部品供給フィーダ30の種類と、その部品供給フィーダ30に設置する電子部品4の種類は予め設定されている。演算装置72は、部品識別情報とフィーダ識別情報に基づき、生産プログラムに従い予め設定されている部品供給フィーダ30の種類と電子部品4の種類が適合しているか否かを照合する。また、演算装置72は、部品バーコード60に記録される部品間隔に関する情報と、フィーダバーコード42に記録されるテープ送り量に関する情報が適合するか否かを判定する。
【0030】
また、演算装置72には、モニタ74が接続されている。モニタ74は、演算装置72での照合結果を演算装置72から受信して表示する。具体的には、モニタ74は、部品バーコード60に記録される部品識別情報とフィーダバーコード42に記録されるフィーダ識別情報が適合するか否かの照合結果を表示する。また、モニタ74は、部品バーコード60に記録される部品間隔に関する情報とフィーダバーコード42に記録されるテープ送り量に関する情報が適合するか否かの照合結果を表示する。なお、上記の演算装置72及びモニタ74の機能は、部品実装機10による生産プログラムを管理する管理装置8及び管理装置8に接続されるモニタ(図示省略)が実行してもよいし、部品実装機10の制御装置26及びタッチパネル24が実行してもよい。
【0031】
図6を参照して、リール50と部品供給フィーダ30との適合を照合する処理について説明する。部品供給フィーダ30から部品実装機10に適切に電子部品4を供給するためには、部品実装機10に設置する部品供給フィーダ30と、その部品供給フィーダ30に設置するリール50(詳細には、リール50に収容されている電子部品4)が適合している必要がある。また、本実施例の部品供給フィーダ30はテープ送り量が可変である。このため、部品供給フィーダ30とリール50の組み合わせが正しくても、リール50に収容される電子部品4の部品間隔と、部品供給フィーダ30に設定されるテープ送り量が適合しない場合、部品供給フィーダ30から部品実装機10に適切に電子部品4を供給することができない。そこで、本実施例の照合システム1を用いて、部品供給フィーダ30とリール50(すなわち、リール50に収容されている電子部品4)が適合しているか否か、また、リール50に収容される電子部品4の部品間隔と部品供給フィーダ30のテープ送り量が適合しているか否かを照合する。
【0032】
図6に示すように、まず、演算装置72は、部品バーコード60に記録されている情報を取得する(S12)。具体的には、まず、作業者がバーコードリーダ70を用いてリール50に貼り付けられている部品バーコード60から情報を読み取らせる。そして、バーコードリーダ70は、読み取った部品バーコード60の情報を演算装置72に送信する。
【0033】
次に、演算装置72は、フィーダバーコード42に記録されている情報を取得する(S14)。具体的には、作業者がバーコードリーダ70を用いて表示部44に表示されているフィーダバーコード42から情報を読み取らせる。上述したように、表示部44には、演算部40で生成されたフィーダバーコード42が表示される。すなわち、表示部44には、その部品供給フィーダ30のフィーダ識別情報と、入力部38に入力されたテープ送り量に関する情報を含むフィーダバーコード42が表示される。このため、演算装置72は、フィーダ識別情報と共に、部品供給フィーダ30で設定されているテープ送り量に関する情報を取得できる。なお、本実施例では、ステップS12を実行した後にステップS14を実行しているが、ステップS14を実行した後にステップS12を実行してもよい。
【0034】
次に、演算装置72は、ステップS12で取得した部品バーコード60の情報とステップS14で取得したフィーダバーコード42の情報に基づいて、リール50に収容される電子部品4の種類と部品供給フィーダ30の種類が適合しているか否かを判定する(S16)。具体的には、演算装置72は、ステップS12で取得した部品バーコード60の情報のうち部品識別情報を用いる。また、演算装置72は、ステップS14で取得したフィーダバーコード42の情報のうちフィーダ識別情報を用いる。そして、演算装置72は、部品識別情報とフィーダ識別情報が適合するか否かを判定する。
【0035】
部品識別情報とフィーダ識別情報が適合しない場合(ステップS16でNO)、演算装置72は、リール50に収容される電子部品4の種類と部品供給フィーダ30の種類が適合していない旨を、モニタ74に表示させる(S18)。例えば、演算装置72は、モニタ74に「NG」と表示させる。上述したように、部品供給フィーダ30の種類と、その部品供給フィーダ30に設置する電子部品4の種類は予め設定されている。このため、リール50に収容される電子部品4の種類と部品供給フィーダ30の種類が適合しない場合、そのリール50を設置した部品供給フィーダ30を部品実装機10に設置しても、部品実装機10に生産プログラム通り適切に電子部品4を供給できない。この場合には、リール50又は部品供給フィーダ30を適切な種類のものに交換する必要がある。リール50に収容される電子部品4の種類と部品供給フィーダ30の種類が適合していない旨をモニタ74に表示することによって、リール50又は部品供給フィーダ30を交換する必要があることを作業者に適切に報知することができる。
【0036】
部品識別情報とフィーダ識別情報が適合している場合(ステップS16でYES)、演算装置72は、ステップS12で取得した部品バーコード60の情報と、ステップS14で取得したフィーダバーコード42の情報に基づいて、テープ52に収容される電子部品4の部品間隔と、部品供給フィーダ30のテープ送り量が適合しているか否かを判定する(S20)。具体的には、演算装置72は、ステップS12で取得した部品バーコード60の情報のうち部品間隔に関する情報を用いる。また、演算装置72は、ステップS14で取得したフィーダバーコード42の情報のうちテープ送り量に関する情報を用いる。そして、演算装置72は、部品間隔に関する情報とテープ送り量に関する情報が適合するか否かを判定する。
【0037】
部品間隔に関する情報とテープ送り量に関する情報が適合しない場合(ステップS20でNO)、演算装置72は、テープ52に収容される電子部品4の部品間隔と、部品供給フィーダ30のテープ送り量が適合していない旨を、モニタ74に表示させる(S22)。例えば、演算装置72は、モニタ74に「PITCH NG」と表示させる。上述したように、部品供給フィーダ30のテープ送り量は、作業者が入力部38から入力することによって変更される。テープ52に収容される電子部品4の部品間隔と部品供給フィーダ30のテープ送り量が適合していないと、部品実装機10に正常に電子部品4を供給できない。この場合には、作業者が適切なテープ送り量となるように部品供給フィーダ30のテープ送り量を変更する必要がある。テープ52に収容される電子部品4の部品間隔と部品供給フィーダ30のテープ送り量が適合していない旨をモニタ74に表示することによって、部品供給フィーダ30のテープ送り量の設定を変更する必要があることを作業者に適切に報知することができる。
【0038】
部品間隔に関する情報とテープ送り量に関する情報が適合している場合(ステップS20でYES)、演算装置72は、電子部品4と部品供給フィーダ30が適合している旨を、モニタ74に表示させる(S24)。例えば、演算装置72は、モニタ74に「OK」と表示させる。これにより、リール50に収容される電子部品4の種類と部品供給フィーダ30の種類が適合していると共に、テープ52に収容される電子部品4の部品間隔と部品供給フィーダ30のテープ送り量が適合していることを、作業者に適切に報知することができる。このリール50を設置した部品供給フィーダ30を部品実装機10に設置することによって、部品供給フィーダ30から部品実装機10に正常に電子部品4を供給することができる。
【0039】
本実施例では、設定されたテープ送り量に対応したフィーダバーコード42が表示部44に表示される。このため、テープ送り量が可変の部品供給フィーダ30であっても、演算装置72は、部品供給フィーダ30で設定されているテープ送り量に関する情報を正確に取得することができ、部品供給フィーダ30のテープ送り量とリール50に収容される電子部品4の部品間隔を照合することができる。
【0040】
なお、本実施例では、作業者が入力部38を操作することによって、部品供給フィーダ30のテープ送り量が変更されたが、このような構成に限定されない。例えば、部品供給フィーダ30のテープ送り量は、生産プログラムに従い設定されてもよい。すなわち、入力部38で入力されたテープ送り量に関わらず、部品供給フィーダ30の演算部40は、生産プログラムで設定されるテープ送り量に従い、テープ送出機構36を制御してもよい。この場合、演算部40は、フィーダ識別情報と、生産プログラムに従い設定されたテープ送り量に関する情報を含むフィーダバーコード42を生成する。これにより、上述のステップS20において、テープ52に収容される電子部品4の部品間隔と部品供給フィーダ30のテープ送り量が適合しているか否かを適切に判定することができる。
【0041】
また、本実施例では、部品バーコード60に部品間隔に関する情報が記録され、フィーダバーコード42にテープ送り量に関する情報が記憶されていたが、このような構成に限定されない。例えば、部品間隔に関する情報とテープ送り量に関する情報は、演算装置72の記憶装置(図示省略)に記憶されていてもよい。この場合、部品間隔に関する情報は、部品バーコード60に紐づけられて演算装置72の記憶装置に記憶され、また、テープ送り量に関する情報は、フィーダバーコード42に紐づけられて演算装置72の記憶装置に記憶される。これにより、上述のステップS12において部品バーコード60の情報を取得すれば、演算装置72は、取得した部品バーコード60の情報からこれに紐づけられて記憶される部品間隔に関する情報を記憶装置から取得することができる。同様に、上述のステップS14においてフィーダバーコード42の情報を取得すれば、演算装置72は、取得したフィーダバーコード42の情報からこれに紐づけられて記憶されるテープ送り量に関する情報を記憶装置から取得することができる。このため、上記の実施例と同様に、上述のステップS20において、テープ52に収容される電子部品4の部品間隔と部品供給フィーダ30のテープ送り量が適合しているか否かを判定することができる。
【0042】
実施例で説明した照合システム1に関する留意点を述べる。実施例の部品バーコード60は、「部品識別子」の一例であり、フィーダバーコード42は、「フィーダ識別子」の一例であり、バーコードリーダ70は、「識別情報取得部」の一例であり、演算装置72は、「照合部」の一例であり、表示部44は、「可変表示部」の一例であり、演算部40は、「識別子生成部」の一例であり、モニタ74は、「報知部」の一例であり、入力部38及び演算部40は、「設定部」の一例であり、テープ送出機構36は、「リール駆動部」の一例である。
【0043】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0044】
1:照合システム
2:回路基板
4:電子部品
8:管理装置
10:部品実装機
14:フィーダ保持部
24:タッチパネル
26:制御装置
30:部品供給フィーダ
32:ハウジング
34:リール支持部
36:テープ送出機構
38:入力部
40:演算部
42:フィーダバーコード
44:表示部
50:リール
52:テープ
60:部品バーコード
70:バーコードリーダ
72:演算装置
74:モニタ