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特許7386650水素ガス保持剤、水素ガス含有組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】水素ガス保持剤、水素ガス含有組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20231117BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20231117BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20231117BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20231117BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A23L33/125
A23L2/00 A
A23L2/02 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019159050
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021036797
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591014972
【氏名又は名称】株式会社 伊藤園
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100201606
【弁理士】
【氏名又は名称】田岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】安倍 義人
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 光
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 卓也
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-135983(JP,A)
【文献】特開2019-098235(JP,A)
【文献】国際公開第2018/011634(WO,A1)
【文献】特開2008-063246(JP,A)
【文献】特開2009-136159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 - 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不溶性食物繊維を有効成分とする溶液中の水素ガス保持剤であって、
前記不溶性食物繊維の75%積算径が200μm以上であり、
前記水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度が3.9mPa・s以上となるように用いられる
ことを特徴とする水素ガス保持剤。
【請求項2】
前記溶液中の前記不溶性食物繊維含有量が0.06質量%以上となるように用いられることを特徴とする請求項1に記載の水素ガス保持剤。
【請求項3】
前記溶液全体の固形量が0.02%以上となるように用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の水素ガス保持剤。
【請求項4】
前記不溶性食物繊維が、ナタデココまたは柑橘果実に由来するものであることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の水素ガス保持剤。
【請求項5】
水素ガスを含有する組成物であって、
請求項1~のいずれか一項に記載の水素ガス保持剤が配合され、
粘度が3.9mPa・s以上である
ことを特徴とする水素ガス含有組成物。
【請求項6】
前記粘度が10Pa・s以下であることを特徴とする請求項5に記載の水素ガス含有組成物。
【請求項7】
前記水素ガスの含有量が0.1~3.0ppmであることを特徴とする請求項5または6に記載の水素ガス含有組成物。
【請求項8】
水素ガス含有組成物の製造方法であって、
水素ガスと、請求項1~のいずれか一項に記載の水素ガス保持剤とを溶液に配合し、
前記水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度を3.9mPa・s以上に調整する
ことを特徴とする水素ガス含有組成物の製造方法。
【請求項9】
溶液中の水素ガス保持方法であって、
水素ガスと、請求項1~のいずれか一項に記載の水素ガス保持剤とを溶液に配合し、
前記水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度を3.9mPa・s以上に調整する
ことを特徴とする溶液中の水素ガス保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスを含有する組成物において水素ガスの保持性を高める水素ガス保持剤、およびこれを含有する水素ガス含有組成物に関するものである。また本発明は、上記水素ガス保持剤を用いた水素ガス含有組成物の製造方法および水素ガス保持方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
我国における飲料製品は、生活スタイルの変化や飲食に対する嗜好の多様化に応えるため、その種類は年々増加し続けている。特に、所定の容器中に封入され、そのままの状態で飲用可能な所謂RTD(Ready to Drink)形態の容器詰飲料が飲料製品全体でも主流となっている。更に、RTD形態の容器詰飲料は、紙製容器等が用いられ冷蔵保管が必要な所謂チルド製品と、缶やペットボトルといった常温で長期間の保存が可能な所謂ドライ製品とに分類されるが、圧倒的にドライ製品が大きな市場規模を有している。
【0003】
昨今の食と健康に対する意識の高まりもあって、身体に対する生理活性機能を備えた、所謂機能性飲食品に注目が集まっている。飲料製品もこの例外ではなく、既にトクホ飲料と称される製品が多種上市されており、これに加えて、昨今では、健康増進法等に定められた上記の特定保健用食品(トクホ)や、栄養機能食品の対象とは別に、一定の要件を備えることで食品への機能性表示が認められるという、新たな機能性飲料の制度にも期待が寄せられている。
【0004】
生理活性機能を発揮する可能性がある成分の一つとして、近年注目されている物質の一つに水素がある。水素を高濃度で水に溶解させた、所謂「水素水」は、溶存水素の身体に対する具体的な挙動や、作用メカニズムの詳細については依然不明であるものの、分子状の水素が体内の活性酸素(酸素ラジカル)を除去する効果があるとされ、これによってさまざまな健康増進作用を促進するものとして期待されている。水素水は、缶やパウチ形態等の容器に封入された水素水製品として流通している。
【0005】
水素を水に溶解させる方法として、ガス透過膜を介して原料水に所定圧に加圧した水素を溶解させる工程と、溶解後の水素水の水素濃度を測定する工程と、水素濃度が所定範囲になるように、加圧水素の圧力を調整する工程を備えた飲料用水素含有水の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
水素水において水中に含まれる水素の含有量は最も重要な要素であり、水素が有効成分として作用することを鑑みれば、その含有量は高いほうが望ましい。しかしながら、水素は水に対して難溶解性であって、その飽和溶解量は、20℃で0.16mg/100mL(約1.6mg/L(1.6ppm))、0℃で0.19mg(1.9mg/L(1.9ppm))と微量であり、且つ非常に軽い気体であることから、一旦溶解した水素が短時間で外部に抜け出てしまいやすい。水素の抜け出しを完全に防ぐことは非常に困難であることから、水素濃度の低下を可能な限り抑制する方法が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4573904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水素ガスを含有する組成物において水素ガスの保持性を高めることのできる水素ガス保持剤を提供することを目的とする。また、本発明は、水素ガスの保持性の高い水素ガス含有組成物、その製造方法および水素ガス保持方法を提供することをさらなる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記問題を解決すべく研究を行った結果、不溶性食物繊維が水素ガスの保持に有効であり、さらに水素ガス含有組成物の粘度を調整することにより水素ガス保持性を高めることを見出し、本発明を完成させた。具体的には、本発明は以下のとおりである。
【0010】
〔1〕 不溶性食物繊維を有効成分とする溶液中の水素ガス保持剤であって、
前記水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度が3.9mPa・s以上となるように用いられる
ことを特徴とする水素ガス保持剤。
〔2〕 前記溶液中の前記不溶性食物繊維含有量が0.06質量%以上となるように用いられることを特徴とする〔1〕に記載の水素ガス保持剤。
〔3〕 前記溶液全体の固形量が0.02%以上となるように用いられることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の水素ガス保持剤。
〔4〕 前記不溶性食物繊維の75%積算径が200μm以上であることを特徴とする〔1〕~〔3〕に記載の水素ガス保持剤。
〔5〕 前記不溶性食物繊維が、ナタデココまたは柑橘果実に由来するものであることを特徴とする〔1〕~〔4〕に記載の水素ガス保持剤。
〔6〕 水素ガスを含有する組成物であって、
〔1〕~〔5〕に記載の水素ガス保持剤が配合され、
粘度が3.9mPa・s以上である
ことを特徴とする水素ガス含有組成物。
〔7〕 前記水素ガスの含有量が0.1~3.0ppmであることを特徴とする〔6〕に記載の水素ガス含有組成物。
〔8〕 水素ガス含有組成物の製造方法であって、
水素ガスと、〔1〕~〔5〕に記載の水素ガス保持剤とを溶液に配合し、
前記水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度を3.9mPa・s以上に調整する
ことを特徴とする水素ガス含有組成物の製造方法。
〔9〕 溶液中の水素ガス保持方法であって、
水素ガスと、〔1〕~〔5〕に記載の水素ガス保持剤とを溶液に配合し、
前記水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度を3.9mPa・s以上に調整する
ことを特徴とする溶液中の水素ガス保持方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る水素ガス保持剤は、水素ガスを含有する組成物において水素ガスの保持性を高めることができる。また、本発明に係る水素ガス含有組成物は、上記水素ガス保持剤を含有するため、水素ガスの保持性に優れたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔水素ガス保持剤〕
本実施形態に係る水素ガス保持剤は、溶液中の水素ガスを保持するものであって、不溶性食物繊維を有効成分とするものである。
【0013】
(不溶性食物繊維)
食物繊維とは、人の消化酵素によって消化されない、食物に含まれる難消化性成分の総称である。食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに大別されるが、本実施形態においては不溶性食物繊維を用いる。
不溶性食物繊維としては、例えばセルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサンなどが挙げられるが、セルロースおよびヘミセルロースが好ましく、セルロースが特に好ましい。
【0014】
本実施形態においては、上記不溶性食物繊維の精製物を用いても良いが、不溶性食物繊維を含有する植物(穀類、豆類、果実類、野菜類等)を原料としたものを用いてもよい。そのような植物由来の不溶性食物繊維としては、例えば、ふすま(小麦ふすま、大麦ふすま、ライ麦ふすま、オーツ麦ふすま等)などの穀類から得られる繊維成分;大豆(おから粉末、きな粉等)、インゲン豆、ひよこ豆、エンドウ豆等の豆類から得られる繊維成分;コーンファイバー;ビートファイバー;ポテトファイバー;オレンジ等の柑橘類やリンゴ等の果実パルプ;などが挙げられる。
また、微生物が産生するセルロース繊維も好適に利用することができる。かかる微生物としては、Acetobacter属、Gluconacetobacter属、Agrobacterium属、Rhizobium属等の細菌を例示することができる。中でも、ナタデココは、ココナッツの果肉を粉砕し濾過してココナッツミルクとし、これに水、砂糖等を加え、さらにAcetobactor属、Gluconacetobacter属等の酢酸菌を接種して発酵させることにより製造されるものであり、食品として広く利用されている。
これらの不溶性食物繊維は、一種を単独で使用してもよいが、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0015】
中でも、ナタデココに由来する不溶性食物繊維、柑橘果実に由来する不溶性食物繊維は、水素ガスを保持する効果に優れており、本実施形態において特に好適に利用することができる。ここで、ナタデココは前述したとおりであり、柑橘果実としては、例えば、オレンジ、日向夏、レモン、温州ミカン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、シークワーサー、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等が挙げられる。
【0016】
(不溶性食物繊維含有量)
本実施形態の水素ガス保持剤は、溶液に配合されたときに水素ガスを保持し得るものである。かかる水素ガス保持剤は、溶液中の不溶性食物繊維含有量が乾燥質量換算で0.06質量%以上となるように用いられることが好ましく、0.1質量%以上となるように用いられることがさらに好ましく、0.15質量%以上となるように用いられることが特に好ましい。とりわけ、上記不溶性食物繊維として柑橘果実由来のものを用いる場合には、溶液中の不溶性食物繊維含有量は、乾燥質量換算で0.4質量%以上となるように用いられることが好ましく、0.5質量%以上となるように用いられることがさらに好ましく、0.6質量%以上となるように用いられることがさらに好ましい。上記範囲となるように水素ガス保持剤を用いることで、溶液中の水素ガスを効果的に保持しやすくなる。
また、本実施形態の水素ガス保持剤は、溶液中の不溶性食物繊維含有量が乾燥質量換算で3質量%以下となるように用いることができ、1.5質量%以下となるように用いることができ、さらには1質量%以下となるように用いることができる。溶液に配合された場合の不溶性食物繊維含有量が上記範囲内にあると、飲用したときに不溶性食物繊維に由来するざらつきなどを感じにくくなり、水素ガス含有組成物が、飲用に適した液状飲食品として特に好適なものとなる。
【0017】
(不溶性食物繊維の75%積算径)
上記不溶性食物繊維の75%積算径(d75)は、200μm以上であることが好ましく、300μm以上であることがさらに好ましく、400μm以上であることが特に好ましい。75%積算径が上記範囲にある不溶性食物繊維は、水素の保持効果に優れる。また、75%積算径が上記範囲にある不溶性食物繊維は、溶液に粘性を付与しやすいため、溶液の粘度を後述する範囲に調整することが容易になり、かかる観点からも水素の保持効果を発揮しやすい。
一方、75%積算径の上限は特に限定されないが、1200μm以下であってよく、900μm以下であってよい。
なお、本実施形態における75%積算径は、不溶性食物繊維をレーザ回折式粒子径分布測定装置により測定し、得られた体積基準の粒度分布曲線に基づき、積算値が75%に相当する粒子径(d75)として求めることができる。
【0018】
(不溶性食物繊維のモード径)
また、上記不溶性食物繊維のモード径(最頻径)は、200μm以上であることが好ましく、300μm以上であることがさらに好ましく、450μm以上であることが特に好ましい。モード径の上限は特に限定されないが、1000μm以下であってよく、800μm以下であってよい。
なお、本実施形態におけるモード径は、75%積算径と同様にして得られた体積基準の粒度分布曲線に基づき、頻度が最も多い粒子径として求めることができる。
【0019】
(不溶性食物繊維のメジアン径)
上記不溶性食物繊維のメジアン径(d50)は、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがさらに好ましく、200μm以上であることが特に好ましい。メジアン径の上限は特に限定されないが、800μm以下であってよく、500μm以下であってよい。
なお、本実施形態におけるメジアン径は、上記のようにして得られた体積基準の粒度分布曲線に基づき、積算値が50%に相当する粒子径(d50)として求めることができる。
【0020】
上記のような75%積算径、モード径、またはメジアン径を有する不溶性食物繊維は、水素ガスの保持効果に優れており、本実施形態において特に好適に用いることができる。また、75%積算径、モード径、またはメジアン径が上記上限値以下であると、飲用したときに不溶性食物繊維に由来するざらつきなどを感じにくくなり、水素ガス含有組成物が、飲用に適した液状飲食品として特に好適なものとなる。
【0021】
(溶液の粘度)
本実施形態に係る水素ガス保持剤は、当該水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度が3.9mPa・s以上となるように用いることが好ましい。さらに、上記水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度は、4.2mPa・s以上であることが好ましく、4.5mPa・s以上であることが特に好ましい。水素ガス保持剤を配合した溶液の粘度が上記下限値以上となるように用いることで、水素ガスの保持効果をより良好なものとすることができる。
なお、本実施形態に係る水素ガス保持剤は、上記溶液の粘度が10Pa・s以下となるように用いることができ、さらに1Pa・s以下となるように用いることができ、さらにまた100mPa・s以下となるように用いることができる。かかる粘度を有する溶液は、飲用に適しているということができ、液状飲食品として好適なものとなる。なお、本実施形態においては、このような比較的低粘度の溶液であっても、水素ガス保持剤の有効成分である上記不溶性食物繊維の作用により、水素ガスを効果的に保持することが可能である。
【0022】
また、本実施形態に係る水素ガス保持剤は、その配合の有無による上記溶液の粘度の差が、0.9mPa・s以上となるように用いることが好ましい。さらに、配合の有無による上記溶液の粘度の差は、1.2mPa・s以上であることが好ましく、1.5mPa・s以上であることが特に好ましい。上記溶液の粘度の差が上記下限値以上であることで、水素ガスの保持効果をより一層優れたものとなる。
【0023】
(溶液全体の固形量)
本実施形態の水素ガス保持剤は、配合される溶液の全体において、固形量が0.02質量%以上となるように用いられることが好ましく、0.03質量%以上となるように用いられることがさらに好ましく、0.04質量%以上となるように用いられることが特に好ましい。とりわけ、上記不溶性食物繊維として柑橘果実由来のものを用いる場合には、固形量は、0.35質量%以上となるように用いられることが好ましく、0.4質量%以上となるように用いられることが特に好ましい。上記範囲となるように水素ガス保持剤を用いることで、溶液中の水素ガスを効果的に保持しやすくなる。
また、本実施形態の水素ガス保持剤は、溶液全体の固形量が3質量%以下となるように用いることができ、1.5質量%以下となるように用いることができ、さらには1質量%以下となるように用いることができる。溶液全体の固形量が上記範囲内にある溶液は、飲用に適した液状飲食品として特に好適なものとなる。
なお、上記固形量はBrixで表すことができ、常法に従って屈折糖度計にて測定することができる。
【0024】
〔水素ガス含有組成物〕
本発明の一実施形態に係る水素ガス含有組成物は、水素ガスを含有し、上記実施形態に係る水素ガス保持剤が配合されたものであって、所定の粘度を有するものである。なお、水素ガス含有組成物の粘度は、上述した範囲にあることが好ましい。
【0025】
(水の種類)
本実施形態に係る水素ガス含有組成物は、溶媒として、通常は水を用いる。使用し得る水としては、飲食用に適していれば、硬水、軟水の種類は問わず、予め脱気処理された脱気水を用いてもよい。
【0026】
(水素ガスの充填方法)
上記組成物に水素ガスを含有させる方法としては、例えば、高濃度水素水をその他の原料等と共に混合する方法、または調製した原料液に水素ガスを直接吹き込む等の方法などが挙げられる。また、原料液中へ水素を含有させる方法については、本明細書に示した方法に限定されるものではなく、本実施形態の要件を充足する範囲内において、各種公知の手法で水素を含有させても良い。以下、高濃度水素水の調製方法について説明する。
【0027】
(高濃度水素水)
高濃度水素水は、溶媒である水に、1~数ppmといった水素の飽和溶解量と比較して高い濃度に水素を溶解または視認できない程度の微細気泡の状態で含有させた水をいう。なお、本明細書においては、飽和溶解量より高い濃度の水素を含有する高濃度水素水を特に「過飽和水素水」と呼ぶことがある。
水素水について明確な定義は無いが、学術研究会である日本分子状水素医学生物学会では、水素水について以下のように記載している。
「人に対しての水素水の飲用効果についての学術論文では、0.5mg/L(0.5ppm)の水素水を一日1L飲用した場合の効果が報告されており、それ以下の濃度の水素水の飲用効果は見当たらない。現段階では、人への水素水の飲用効果を発揮するためには、最小量として、0.5mg/L(0.5ppm)以上の濃度で、総量が0.5mg以上の飲用が必要であると示唆される。なお、この示唆は学術論文に基づく結果であって、水素水の効果・効能を保証するものではない。また、水素医学の研究は日進月歩なので、研究の発展に伴い、この記載が変更される可能性がありうる。」
水素を含有させる方法は特に限定されないが、標準大気圧以上の水素ガス若しくは水素ガスを含有する気体を細かい気泡の状態で溶媒中に吹き込む方法(所謂バブリング)、または、気体透過膜を介して、液体溶媒中に水素を注入する方法等が挙げられるが、この他の方法であっても、水素を上記濃度以上に含有させることが可能な方法であれば、他の充填方法を採用しても本実施形態の効果は同様である。
【0028】
(気体透過膜)
気体透過膜を介して水素を注入する場合、気体透過膜としては、従来から気体成分の分離に用いられていた多孔質膜、均質膜等を採用することができる。また、気体透過膜の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シリコーンゴム等から選択することができる。
気体透過膜の形態は特に限定されないが、中空糸膜状の形態であることが望ましい。
中空糸膜とは気体透過膜の一利用形態であって、細いストロー状の細管に形成された膜体をいう。上記中空糸膜を多数本束ねた中空糸膜束からなる中空糸膜モジュールは、塩化ビニルの合成樹脂、若しくはアルミ等の金属で形成されたハウジング容器に密閉状態で格納されている。一般的に個々の中空糸膜1本当たりの直径(内径)は、数mm~100μm程度である。
【0029】
(その他の充填方法)
以上のようにして調製した高濃度水素水を用いる方法の他、配合成分を水に混合して原料液を調製し、当該原料液に、バブリングにて水素ガスを吹き込む方法、または気体透過膜を介して原料液中に水素ガスを直接注入する方法等が挙げられる。また、他の公知の方法を用いてもよい。
【0030】
(水素ガス含有量)
本実施形態により最終的に得られる水素ガス含有組成物において、水素ガスの含有量は、0.1ppm以上であることが好ましく、0.3ppm以上であることがより好ましく、0.7ppm以上であることがさらに好ましく、1.0ppm以上であることが特に好ましい。上記水素ガス含有量の上限値は特に限定されないが、例えば、3.0ppmであってよく、2.5ppm以下であってよい。
なお、本実施形態における水素ガス含有組成物の水素濃度は、溶存水素測定器で測定した値であり、具体的な測定方法は後述する実施例にて示す。
【0031】
(その他の含有成分)
本実施形態に係る水素ガス含有組成物は、本実施形態による効果を損なわない範囲において、必要に応じ、通常飲食品に配合される各種食品素材、例えば、植物汁、植物抽出液、甘味付与剤、旨味成分、酸味料、香料、ミネラル分、ビタミン類、色素成分、栄養成分、酸化防止剤等を含有してもよい。
【0032】
植物汁は、植物体に対し、搾汁、破砕、磨砕等の処理を行って得られるものであればよく、汁液からピューレ、ペースト等様々な形態をとることができる。ここで、本実施形態において用い得る植物体には、果実、野菜、穀類、いも類、豆類等だけでなく、藻類、きのこ類をも含まれる。
植物抽出液は植物体から水等の溶媒により抽出されたものであればよく、具体例として;緑茶抽出液、紅茶抽出液、烏龍茶抽出液等の茶抽出液;麦抽出液その他穀類抽出液;コーヒー抽出液等を含む。
【0033】
甘味付与剤としては、糖類又は甘味料を使用することができる。糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、還元麦芽糖等が挙げられる。甘味料としては、例えば、砂糖、異性化糖、フラクトース、グルコース、キシリトール、ステビア抽出物、パラチノース、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、サッカリン、サッカリンナトリウム等が挙げられる。また、シュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料、高甘味度甘味料等を含んでいてもよいし、ソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよい。
【0034】
旨味成分としては、前述した植物汁、植物抽出液のほか、コンソメ等の獣肉類や魚介類や野菜・果物類等のエキス;天然調味料又はその抽出物からなるだし汁;グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウムやコハク酸ナトリウム等の旨味調味料;味噌、醤油、豆板醤、甜麺醤、魚醤、麹等の発酵調味料;などが挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、又はそれらの塩類が挙げられ、中でも、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸等が好ましい。
香料としては、例えば、柑橘その他果実から抽出した香料、果汁又は果実ピューレ、植物の種実、根茎、木皮、葉等又はこれらの抽出物、乳又は乳製品、合成香料等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD及びビタミンB等が挙げられる。
ミネラル分としては、例えば、カルシウム、カリウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン及び亜鉛等が挙げられる。
色素成分としては、例えば、マリーゴールド色素等のカロテノイド系色素、ベニバナ色素等のフラボノイド系色素、アントシアニン系色素、クロレラ、葉緑素等が挙げられる。
栄養成分としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナイアシン、パントテン酸、L-アスコルビン酸やそのナトリウム塩等が挙げられる。
機能性成分としては、例えば、コラーゲン、鮫軟骨、牡蛎エキス、キトサン、プロポリス、オクタコサノール、トコフェロール、カロチン、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、乳酸菌、霊芝、アガリクス等が挙げられる。
【0035】
また、本実施形態に係る水素ガス含有組成物は、その他、各種エステル類、乳化剤、保存料、調味料、ガム、油、pH調整剤、品質安定剤等を含有してもよい。
【0036】
(pH)
本実施形態に係る水素ガス含有組成物のpHは、特に制限されるものではないが、水素ガス含有組成物が所謂酸性飲食品である場合は、例えば、3.00~4.50とすることができ、さらには3.50~4.00とすることができ、3.70~3.90とすることができる。
一方、水素ガス含有組成物が酸性飲食品でない場合は、中性域を中心としたpH、例えば、5.00~9.50としてもよく、また5.50~9.00としてもよく、さらに6.00~8.50としてもよく、さらにまた6.20~8.00としてもよい。
【0037】
(水素ガス含有組成物の種類)
水素ガス含有組成物の種類としては、果実飲料や野菜飲料等の植物汁を配合した飲料;茶系飲料、コーヒー飲料等の植物抽出液を配合した飲料;牛乳、コーヒー系乳飲料、発酵乳飲料等の乳含有飲料;発泡性飲料(炭酸飲料等)、ニアウォーター、スポーツ飲料等の清涼飲料;コーンスープ、野菜スープ、味噌汁等のスープ飲料;などとすることもできる。さらにまた、摂食・嚥下困難者に対する流動食や経腸栄養組成物とすることもできる。
この他、ドレッシング、ケチャップ、ソース、焼肉等のたれ、シロップ、フルーツソースなど、他の飲食品の味を調える調味用組成物としてもよい。
ここで、水素ガスには酸化による劣化を抑制する作用が知られていることから、本実施形態は、乳成分、脂質、植物由来成分などを含有する組成物に特に好適に適用することができる。
【0038】
(容器)
本実施形態に係る水素ガス含有組成物は、通常、容器に充填されて提供される。かかる容器としては、缶(アルミニウム、スチール)、PETボトル、紙、プラスチック、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等が挙げられる。
本実施形態においては、水素ガスの保持率を優れたものとする観点から、水素のバリア性に優れるガラス瓶、金属缶、又は金属積層フィルムを用いた所謂パウチ形態の容器を用いることが好ましい。ただし、本実施形態に係る水素ガス含有組成物は水素ガスの保持率に優れるため、PETボトル、紙、プラスチック等を用いてもよい。
【0039】
以上述べた水素ガス含有組成物は、不溶性食物繊維を有効成分とする上記水素ガス保持剤を含有し、かつ粘度が所定値以上に調整されているため、水素ガスの保持性に優れたものとなる。
【0040】
〔水素ガス含有組成物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る水素ガス含有組成物の製造方法は、水素ガスを溶液に含有させるとともに、上記水素ガス保持剤を配合し、粘度を所定値に調整する。かかる方法で製造された水素ガス含有組成物は、溶液中の水素ガスが効果的に保持されるものとなる。不溶性食物繊維の種類、含有量、粒度分布、固形量等は、前述したとおりであることが好ましい。
【0041】
本実施形態に係る水素ガス含有組成物の製造方法としては、水素ガスを溶液に含有させるとともに、上記水素ガス保持剤を配合し、粘度を所定値に調整する以外は、液状飲食品に適用される従来公知の方法を採用することができる。例えば、水素ガス保持剤である不溶性食物繊維を含有する溶液と、高濃度水素水と、必要に応じて他の成分とを混合し、容器への充填および殺菌を行うことにより、本実施形態に係る水素ガス含有組成物を製造することができる。
【0042】
(殺菌)
本実施形態に係る水素ガス含有組成物は、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造できる。殺菌の条件は食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択すればよいが、例えば、容器として耐熱容器を使用する場合にはレトルト殺菌を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器を用いる場合は、例えば、調合液をプレート式熱交換機等で高温短時間殺菌後、所定温度まで冷却し、ホットパック充填するか冷却後に無菌充填を行うことができる。なお、水素濃度を可能な限り保持するという観点から、殺菌は容器封入後、容器ごと殺菌する方法が好ましい。この場合は、殺菌方法として、高温の水を容器外部から浴びさせる方法等を選択することができる。
【0043】
〔溶液中の水素ガス保持方法〕
本発明の一実施形態に係る溶液中の水素ガス保持方法では、水素ガスと、上記水素ガス保持剤とを溶液に配合し、当該溶液の粘度を所定値以上に調整する。かかる方法によれば、溶液中の水素ガスを効果的に保持することができる。不溶性食物繊維の種類、含有量、粒度分布、固形量等は、前述したとおりであることが好ましい。
【0044】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例
【0045】
以下、製造例、試験例等を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の製造例、試験例等に何ら限定されるものではない。
【0046】
〔製造例1〕セルロースナノファイバー
不溶性食物繊維としてセルロースナノファイバー液(木材パルプを水中にて機械的に微細化して調製)をイオン交換水で希釈し、卓上ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-52,MICROTEC社製)にて処理し、下記の粒度分布を有する水溶液(乾燥質量:2質量%,Brix:0.7)を得た。
75%径:79.8μm,モード径:49.3μm,メジアン径:49.3μm
なお、上記粒度分布は、レーザ回折式粒子径分布測定装置(SALD-2300,島津製作所社製)を用い、フローセルモードにて測定した。
【0047】
得られた水溶液10.0gと、中空糸を用いて調製した水素水(1.9~2.0ppm)140gと、全量180gとなる量のイオン交換水とを、共にTULC缶に充填・巻締し、容器詰水素ガス含有組成物を得た(試料1)。
【0048】
さらに、セルロースナノファイバー水溶液を配合せずイオン交換水を用いて全量を180gとし、容器詰水素ガス含有組成物を得た(対照)。
【0049】
(粘度)
得られた容器詰水素ガス含有組成物を30秒×8回転倒混和した。その後開封し、22℃・65%RHの条件下において、TVB-10形粘度計およびTM1ロータ(いずれも東機産業社製)を用い、60rpm・30秒にて、水素ガス含有組成物の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0050】
(水素濃度の測定)
得られた容器詰水素ガス含有組成物を30秒×8回転倒混和した。その後開封して22℃・65%RHの環境下におき、ニードル型水素濃度測定機(ユニセンス社製)を用い、経時的に水素濃度を測定した。また、下記式に基づき、水素濃度の残存率を算出した。
水素濃度残存率(%)=(測定時の水素濃度)/(開封直後の水素濃度)×100
結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
セルロースナノファイバーでは水素保持効果が確認されなかった。
【0053】
〔製造例2〕ナタデココファイバー
ナタデココを水中にて機械的に微細化し、イオン交換水で希釈して卓上ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-52,MICROTEC社製)にて5000rpmで10分間処理し、以下の粒度分布を有する水溶液(ナタデココ原料:2質量%,乾燥質量:1.0質量%,Brix:0.3)を得た。
75%径:478.2μm,モード径:532.3μm,メジアン径:256.4μm
【0054】
セルロースナノファイバーに替えて、得られたナタデココファイバー水溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして容器詰水素ガス含有組成物を得た(試料2~4)。
得られた容器詰水素ガス含有組成物について、試料1と同様にして粘度および水素濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2に示すように、試料3および4については、水素保持効果が確認された。
【0057】
〔製造例3〕
(日向夏ファイバー)
日向夏(全果)を水中にて機械的に微細化し、イオン交換水で希釈して卓上ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-52,MICROTEC社製)にて5000rpmで10分間処理し、以下の粒度分布を有する水溶液(Brix:11.7,乾燥質量:11.7質量%)を得た。
75%径:367.4μm,モード径:419.6μm,メジアン径:135.9μm
【0058】
セルロースナノファイバーに替えて、得られた日向夏ファイバー水溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして容器詰水素ガス含有組成物を得た(試料5~6)。
得られた容器詰水素ガス含有組成物について、試料1と同様にして粘度および水素濃度を測定した。結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3に示すように、試料5および6については、水素保持効果が確認された。
【0061】
〔製造例4〕
(オレンジファイバー)
オレンジ(全果)を水中にて機械的に微細化し、イオン交換水で希釈して卓上ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-52,MICROTEC社製)にて5000rpmで10分間処理し、水溶液(Brix:8.8,乾燥質量:15.1質量%)を得た。セルロースナノファイバーに替えて、得られたオレンジファイバー水溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして容器詰水素ガス含有組成物を得た(試料7~8)。
【0062】
また、試料7~8と同様にオレンジ(全果)を水中にて機械的に微細化した後、-20℃に2週間おいて凍結させ、その後解凍した。得られた凍結解凍液をイオン交換水にで希釈し、卓上ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-52,MICROTEC社製)にて5000rpmで10分間処理し、以下の粒度分布を有する水溶液(Brix:8.8,乾燥質量:15.1質量%)を得た。
75%径:751.0μm,モード径:675.3μm,メジアン径:623.6μm
【0063】
セルロースナノファイバーに替えて、得られたオレンジファイバー(凍結解凍品)水溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして容器詰水素ガス含有組成物を得た(試料9~10)。
【0064】
(レモンファイバー)
レモン(全果)を水中にて機械的に微細化し、イオン交換水で希釈して卓上ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-52,MICROTEC社製)にて5000rpmで10分間処理し、水溶液(Brix:6.3,乾燥質量:11.4質量%)を得た。セルロースナノファイバーに替えて、得られたレモンファイバー水溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして容器詰水素ガス含有組成物を得た(試料11~12)。
【0065】
また、試料11~12と同様にレモン(全果)を水中にて機械的に微細化した後、-20℃に2週間おいて凍結させ、その後解凍した。得られた凍結解凍液をイオン交換水で希釈し、卓上ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-52,MICROTEC社製)にて5000rpmで10分間処理し、以下の粒度分布を有する水溶液(Brix:6.3,乾燥質量:11.4質量%)を得た。
75%径:485.0μm,モード径:532.3μm,メジアン径:210.8μm
【0066】
セルロースナノファイバーに替えて、得られたレモンファイバー(凍結解凍品)水溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして容器詰水素ガス含有組成物を得た(試料13~14)。
【0067】
得られた容器詰水素ガス含有組成物について、試料1と同様にして粘度および水素濃度を測定した。結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
表4に示すように、粘度が3.9mPa・s以上である試料8、10、12および14については、水素保持効果が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、不溶性食物繊維を含有させ粘度を調整するという簡易な方法により、水素ガス含有組成物において水素ガスの保持性を高めることができるため、多様な液状飲食品に対し好適に適用することができる。