(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】航空機の故障予測分類器を生成するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B64D 45/00 20060101AFI20231117BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231117BHJP
【FI】
B64D45/00 Z
G06T7/00 350B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019208397
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スンダレシュワラ, ラシュミ
(72)【発明者】
【氏名】ベッツ, フランツ デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ツァイ-チン
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0228160(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0083830(US,A1)
【文献】特開2015-172945(JP,A)
【文献】YA XUE ET AL,Classification with imperfect labels for fault prediction,DATA MINING FOR SERVICE AND MAINTENANCE, ACM,XP058006769, ISBN: 978-1-4503-0842-7, DOI: 10.1145/2018673.2018676,2 PENN PLAZA, SUITE 701 NEW YORK NY 10121-0701 USA,2011年08月21日,12-16,https://www.davidwilliamsphd.com/publications/DPW_KDD11.pdf,ESR・ESO-D1"X"
【文献】Weiming Jiang, Zhao Zhang, Fanzhang Li, Li Zhang, Mingbo Zhao, Xiaohang Jin,Joint Label Consistent Dictionary Learning and Adaptive Label Prediction for Semisupervised Machine Fault Classification,IEEE TRANSACTIONS ON INDUSTRIAL INFORMATICS,vol. 12, no. 1,IEEE SERVICE CENTER,2016年02月01日,248-256,ESR・ESO-D2"A"
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 45/00
B64F 5/60
G05B 23/00 -23/02
G06N 3/02 - 3/0985
G06N 7/01
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機故障予測分類器(140)を生成する方法が、
複数の特徴ベクトル(130)を含む入力データを受信することであって、入力データが1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータ(150)を含む、受信すること;
故障の発生に対する前記特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、前記複数の特徴ベクトル(130)の各特徴ベクトルにラベルを付けることであって、前記故障の前記発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには第1のラベル値が付けられ、前記故障の前記発生に対する前記時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには第2のラベル値が付けられる、ラベルを付けること;
前記複数の特徴ベクトル(130)のサブセットの各特徴ベクトルについて、前記特徴ベクトルに関連付けられた
前記第1のラベル値または前記第2のラベル値が正しい確率を決定することであって、前記サブセットが前記第1のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルを含む、決定すること;
前記サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることであって、前記1つまたは複数の特徴ベクトルが確率閾値を満たさない確率を有
し、
前記第2のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルまたは前記確率閾値を満たす確率を有する前記サブセットの特徴ベクトルを再ラベル付けすることを控えることを含む、再割り当てすること
;
前記1つまたは複数の特徴ベクトルの前記ラベルを再割り当てした後、前記複数の特徴ベクトル(130)と前記複数の特徴ベクトルに関連付けられた前記ラベルとを含む教師あり訓練データを使用して航空機故障予測分類器(140)を訓練することであって、前記航空機故障予測分類器(140)は航空機の第2のセンサーデータを使用して前記航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されて
おり、
前記複数の特徴ベクトル(130)が、複数のサンプル期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)を含み、1つの潜在的、特徴的な状態値が1つのサンプル期間に対応し、前記潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)は、フライトセンサーからのパラメータデータに基づいて決定される、訓練すること
;および
前記センサーデータ(150)に対してクラスタリング操作を実行して、前記センサーデータ(150)を前記潜在的、特徴的な状態値に分類すること;
を含み、
前記複数の特徴ベクトル(130)の第1の特徴ベクトルを決定することが第1の期間のサンプル期間の第1のセット内の潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス(202)を決定することを含み、前記第1の特徴ベクトルの各要素が前記第1のシーケンス(202)の対応する潜在的、特徴的な状態値を含み、
前記潜在的、特徴的な状態値はj次元の特徴空間内のクラスターに対応し、jは前記センサーデータ(150)内のセンサー変数の種類の数である、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の特徴ベクトルが前記故障の前記発生に対する前記時間的近接度閾値の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記航空機故障予測分類器(140)がランダムフォレスト分類器を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
各特徴ベクトルに関連する前記確率を決定するために確率予測器(134)を訓練することをさらに含み、任意選択で、前記確率予測器(134)がランダムフォレスト回帰予測器を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記航空機の運転中に前記航空機故障予測分類器(140)を実行して、予測される前記第2の故障の発生および前記予測される前記第2の故障の発生に関連する特定の補修を示すプロンプト(162)を生成することか、または前記予測される前記第2の故障の発生に関連する特定の補修に基づいて補修スケジュール(164)を再編成することの少なくとも一方をさらに含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記入力データを受信することが、前記センサーデータ (150)を受信することと、前記複数の特徴ベクトル(130)を生成することとを含み、前記複数の特徴ベクトル(130)は
潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202~214)を含み、前記複数の特徴ベクトル(130)を生成することが前記センサーデータ(150)のサイズを小さくする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
プロセッサ(112):及び
前記プロセッサ(112)に接続され、前記プロセッサ(112)によって実行可能な、操作を実行せよという命令を格納しているメモリ(114)を備えるシステム(100)であって、前記操作が:
複数の特徴ベクトル(130)を含む入力データを受信することであって、前記入力データが1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータ(150)を含む、受信すること;
故障の発生に対する前記特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、前記複数の特徴ベクトル(130)の各特徴ベクトルにラベルを付けることであって、前記故障の前記発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには第1のラベル値が付けられ、前記故障の前記発生に対する前記時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには第2のラベル値が付けられる、ラベルを付けること;
前記複数の特徴ベクトル(130)のサブセットの各特徴ベクトルについて、前記特徴ベクトルに関連付けられた
前記第1のラベル値または前記第2のラベル値が正しい確率を決定することであって、前記サブセットが前記第1のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルを含む、決定すること;
前記サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることであって、前記1つまたは複数の特徴ベクトルが確率閾値を満たさない確率を有
し、
前記第2のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルまたは前記確率閾値を満たす確率を有する前記サブセットの特徴ベクトルを再ラベル付けすることを控えることを含む、再割り当てすること;
前記1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、前記複数の特徴ベクトル(130)と前記複数の特徴ベクトル(130)に関連付けられた前記ラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器(140)を訓練することであって、前記航空機故障予測分類器(140)は航空機の第2のセンサーデータを使用して前記航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されて
おり、
前記複数の特徴ベクトル(130)が、複数のサンプル期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)を含み、1つの潜在的、特徴的な状態値が1つのサンプル期間に対応し、前記潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)は、フライトセンサーからのパラメータデータに基づいて決定される、訓練すること
;および
前記センサーデータ(150)に対してクラスタリング操作を実行して、前記センサーデータ(150)を前記潜在的、特徴的な状態値に分類すること
を含み、
前記複数の特徴ベクトル(130)の第1の特徴ベクトルを決定することが第1の期間のサンプル期間の第1のセット内の潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス(202)を決定することを含み、前記第1の特徴ベクトルの各要素が前記第1のシーケンス(202)の対応する潜在的、特徴的な状態値を含み、
前記潜在的、特徴的な状態値はj次元の特徴空間内のクラスターに対応し、jは前記センサーデータ(150)内のセンサー変数の種類の数である、
システム(100)。
【請求項8】
前記複数の特徴ベクトル(130)が、複数のサンプル期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)を含み、各潜在的、特徴的な状態は1つのサンプル期間に対応し、前記潜在的、特徴的な状態値は1つの特徴空間の1つのクラスターに対応する、
請求項7に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記航空機をさらに備
え、前記プロセッサ(112)が前記航空機故障予測分類器(140)を実行するように構成されており、任意選択で、前記第2のセンサーデータを生成するために前記航空機を監視するように構成されている1つまたは複数のセンサー(102)をさらに備える、
請求項7または8に記載のシステム(100)。
【請求項10】
コンピュータ可読記憶装置であって、プロセッサ(112)によって実行されると、
複数の特徴ベクトル(130)を含む入力データを受信することであって、前記入力データが1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータ(150)を含む、受信すること;
故障の発生に対する前記特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、前記複数の特徴ベクトル(130)の各特徴ベクトルにラベルを付けることであって、前記故障の前記発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには第1のラベル値が付けられ、前記故障の前記発生に対する前記時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには第2のラベル値が付けられる、ラベルを付けること;
前記複数の特徴ベクトル(130)のサブセットの各特徴ベクトルについて、前記特徴ベクトルに関連付けられた
前記第1のラベル値または前記第2のラベル値が正しい確率を決定することであって、前記サブセットが前記第1のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルを含む、決定すること;
前記サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることであって、前記1つまたは複数の特徴ベクトルが確率閾値を満たさない確率を有
し、
前記第2のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルまたは前記確率閾値を満たす確率を有する前記サブセットの特徴ベクトルを再ラベル付けすることを控えることを含む、再割り当てすること
;
前記1つまたは複数の特徴ベクトルの前記ラベルを再割り当てした後、前記複数の特徴ベクトル(130)と前記複数の特徴ベクトル(130)に関連付けられた前記ラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器(140)を訓練することであって、前記航空機故障予測分類器(140)は航空機の第2のセンサーデータを使用して前記航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されて
おり、
前記複数の特徴ベクトル(130)が、複数のサンプル期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)を含み、1つの潜在的、特徴的な状態値が1つのサンプル期間に対応し、前記潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)は、フライトセンサーからのパラメータデータに基づいて決定される、訓練すること
;および
前記センサーデータ(150)に対してクラスタリング操作を実行して、前記センサーデータ(150)を前記潜在的、特徴的な状態値に分類すること;
を含む操作を前記プロセッサ(112)に実行させる命令を格納し、
前記複数の特徴ベクトル(130)の第1の特徴ベクトルを決定することが第1の期間のサンプル期間の第1のセット内の潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス(202)を決定することを含み、前記第1の特徴ベクトルの各要素が前記第1のシーケンス(202)の対応する潜在的、特徴的な状態値を含み、
前記潜在的、特徴的な状態値はj次元の特徴空間内のクラスターに対応し、jは前記センサーデータ(150)内のセンサー変数の種類の数である、コンピュータ可読記憶装置。
【請求項11】
前記複数の特徴ベクトル(130)が、対応する故障表示を伴う少なくともいくつかのデータを含む履歴データに少なくとも部分的に基づいている、
請求項10に記載のコンピュータ可読記憶装置。
【請求項12】
前記第2のセンサーデータが、前記航空機の運転中に生成されるリアルタイムまたは近リアルタイムセンサーデータ(152)を含む、
請求項10または11に記載のコンピュータ可読記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空機故障予測分類器の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の改善により、航空機、自動車、船舶、ドローン、ロケット、宇宙船等の車両に搭載されるセンサーの数が増加している。これらのセンサーは、車両の輸送前、輸送中、輸送後にデータを記録することが可能である。例えば、パラメトリック飛行データは、フライトデータレコーダー(FDR)、クイックアクセスレコーダー(QAR)、コンティニュアス・パラメータ・ロギング(CPL)システム、高性能飛行中フライトレコーダー(EAFR)、またはその他の種類のセンサーシステムによって記録され得る。このセンサーデータは、故障予測など、さまざまな目的に利用可能である。
【0003】
故障予測を行う方法の一つは、モデルベースの方法である。例えば、航空機の予想される操作状態の物理ベースのモデルを生成し、センサーデータをモデルと比較して故障状態を予測することができる。さらに説明すると、ルールベースのモデルは、期待値にアクセスできる論理テーブルによって生成されたルールを使用して、いつルールが破られるか(例:いつ故障が予測されるか)を決定する。いくつかのモデルベースの手法は、予想される操作状態の知識を必要とするが、これは決定に時間がかかり、リソースを大量に消費し、重要なシステムリソース(例:ストレージリソースおよび処理リソース)を使用する場合がある。さらに、車両のメンテナンスが行われたり、構成が変更されたりすると、その変更のためにモデルが車両の操作状態をもはや表していない場合がある。
【発明の概要】
【0004】
特定の実装形態において、方法には、複数の特徴ベクトルを含む入力データを受信することが含まれる。入力データには、1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータが含まれる。この方法には、故障の発生に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、複数の特徴ベクトルの各特徴ベクトルにラベルを付けることが含まれる。故障の発生に対する時間的近接度閾値(threshold temporal proximity)の範囲内にある特徴ベクトルには、第1のラベル値が付けられ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには、第2のラベル値が付けられる。この方法には、複数の特徴ベクトルのサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベルが正しい確率を決定することが含まれる。該サブセットには、第1のラベル値を示すラベルを持つ特徴ベクトルが含まれる。この方法には、サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることが含まれ、1つまたは複数の特徴ベクトルは、確率閾値を満たさない確率を有する。この方法には、1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、複数の特徴ベクトルと複数の特徴ベクトルに関連付けられたラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器を訓練することがさらに含まれる。航空機故障予測分類器は、航空機の第2のセンサーデータを使用して、航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されている。
【0005】
別の特定の実装形態では、システムには、プロセッサと、プロセッサに結合した、複数の特徴ベクトルを含む入力データの受信を含む操作を実行せよというプロセッサによって実行可能な命令を格納するメモリとが含まれる。入力データには、1又は複数の航空機に関連するセンサーデータが含まれる。これらの操作には、故障の発生に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、複数の特徴ベクトルの各特徴ベクトルにラベルを付けることが含まれる。故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには、第1のラベル値が付けられ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには、第2のラベル値が付けられる。これらの操作には、複数の特徴ベクトルのサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベルが正しい確率を決定することが含まれる。該サブセットには、第1のラベル値を示すラベルを持つ特徴ベクトルが含まれる。これらの操作には、サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることが含まれ、1つまたは複数の特徴ベクトルは、確率閾値を満たさない確率を有する。これらの操作には、1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、複数の特徴ベクトルと複数の特徴ベクトルに関連付けられたラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器を訓練することがさらに含まれる。航空機故障予測分類器は、航空機の第2のセンサーデータを使用して、航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されている。
【0006】
別の特定の実装形態では、コンピュータ可読記憶装置は、プロセッサによって実行されると、複数の特徴ベクトルを含む入力データを受信することを含む操作をプロセッサに実行させる命令を格納する。入力データには、1機以上の航空機に関連するセンサーデータが含まれる。これらの操作には、故障の発生に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、複数の特徴ベクトルの各特徴ベクトルにラベルを付けることが含まれる。故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには、第1のラベル値が付けられ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには、第2のラベル値が付けられる。これらの操作には、複数の特徴ベクトルのサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベルが正しい確率を決定することが含まれる。該サブセットには、第1のラベル値を示すラベルを持つ特徴ベクトルが含まれる。これらの操作には、サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることが含まれ、1つまたは複数の特徴ベクトルは、確率閾値を満たさない確率を有する。これらの操作には、1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、複数の特徴ベクトルと複数の特徴ベクトルに関連付けられたラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器を訓練することがさらに含まれる。航空機故障予測分類器は、航空機の第2のセンサーデータを使用して、航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】特徴ベクトルのラベルを再割り当てして航空機故障予測分類器を生成するシステムの特定の実装形態を示すブロック図である。
【
図2】潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを決定する例を示す。
【
図3】確率に基づいてラベルを再割り当てする例を示す。
【
図4】航空機故障予測分類器を生成する方法の例のフローチャートである。
【
図5】航空機故障予測分類器を生成する方法の例のフローチャートである。
【
図6】航空機故障予測システムに関連する方法のフローチャートである。
【
図7】航空機故障予測システムを含む航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の実装形態について、図面を参照して説明する。説明の中で、共通の特徴は、図面全体を通して共通の参照番号が付される。本明細書で使用される場合、さまざまな用語は、特定の実装形態のみを説明する目的で使用され、限定することを意図したものではない。例えば、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限りは、複数形も含むことを意図したものである。さらに、「含む/備える(comprise、comprisesおよびcomprising)」という用語は、「含む/含まれる(include、includesまたはincluding)」と互換的に用いられることがある。加えて、「(ここで)~である(wherein)」という用語は、「ここで(where)」と互換的に使用されてもよい。本明細書で使用される場合、「例示的」は、例、実装形態および/または態様を指す場合があり、限定するものとして、または優先もしくは好ましい実施を示すものとして解釈されるものではない。本明細書で使用される場合、構造、コンポーネント、操作等の要素を修飾するのに使用される、順序を示す用語(例:「第1の」、「第2の」、「第3の」等)は、それ自体では、別の要素に対するその要素の優先度または順序を示すものではなく、単にその要素を(順序を示す用語の使用を別にすれば)同じ名称を持つ別の要素と区別するものである。本明細書で使用される場合、「セット」という用語は、1つまたは複数の要素のグループを指し、「複数」という用語は複数の要素を指す。
【0009】
本開示では、「決定する」、「計算する」、「生成する」、「調整する」、「修正する」等の用語を使用して、1つまたは複数の操作がどのように実行されるかを説明することができる。そのような用語は、限定するものとして解釈されるものではなく、他の技術を利用して同様の操作を実行できることに留意されたい。加えて、本明細書にあるように、「生成する」、「計算する」、「使用する」、「選択する」、「アクセスする」および「決定する」は互換的に使用され得る。例えば、パラメータ(または信号)の「生成」、「計算」または「決定」とは、パラメータ(または信号)をアクティブに生成、計算または決定すること、あるいは別のコンポーネントまたは装置などによって既に生成されているパラメータ(または信号)を使用、選択またはそれにアクセスすることを指す。さらに、「調整する」と「修正する」は、互換的に使用することができる。例えば、「パラメータを「調整する」または「修正する」とは、パラメータを第1の値から第2の値(「修正値」または「調整値」に変更することを指し得る。本明細書で使用される場合、「結合」は、「通信可能に結合」、「電気的に結合」または「物理的に結合」を含み、あるいは(代わりに)それらの任意の組み合わせを含み得る。2つの装置(またはコンポーネント)は、1つまたは複数の他の装置、コンポーネント、ケーブル、バス、ネットワーク(例:有線ネットワーク、無線ネットワークまたはこれらの組み合わせなど)を介して直接または間接的に結合(通信可能に結合、電気的に結合または物理的に結合)され得る。電気的に結合される2つの装置(またはコンポーネント)は、同じ装置または異なる装置に含まれ、非限定的な例として、電子装置、1つもしくは複数のコネクタ、または誘導結合を介して接続され得る。いくつかの実装形態では、電気通信などで通信可能に結合された2つの装置(またはコンポーネント)は、1つまたは複数のケーブル、バス、ネットワーク等を介して直接または間接的に電気信号(デジタル信号またはアナログ信号)を送受信できる。本明細書で使用される場合、「直接結合」は、コンポーネントを介在させることなく結合される(例えば通信可能に結合される、電気的に結合される、または物理的に結合される)2つの装置を含み得る。
【0010】
本明細書で説明する実装形態は、航空機(または他の車両)の故障検出のためのモデルフリーシステムおよび方法を説明している。このアプローチは、あらゆるフライトフェーズからのあらゆるタイプの時系列フライトセンサーデータに対して汎用性がある。本明細書で説明する技術は、教師あり学習アルゴリズムにおいて潜在的、特徴的な状態値(例:時間シグネチャ(temporal signatures))のシーケンスを」使用して、航空機の故障予測分類器を生成する。
【0011】
潜在的、特徴的な状態値のシーケンスは、本明細書でさらに説明するように、フライトセンサー(または他の車両センター)からのパラメータデータに基づいて決定され、航空機故障予測分類器の訓練における特徴ベクトルとして使用される。特定の例では、センサーからのデータに対してクラスタリング操作が実行されて潜在的、特徴的な状態値が生成され、サンプリング期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンスが決定されて特徴ベクトルが生成される。
【0012】
特徴ベクトルが生成されると、故障の発生に対する各特徴ベクトル(例:潜在的、特徴的な状態値のシーケンス)の時間的近接度に基づいて、特徴ベクトルにラベルが付けられる。例えば、故障の特定の範囲内(例:故障の3分前)の期間に対応する特徴ベクトルは、第1のラベル値(例:「前兆」に対応する数値)でラベル付けされ、故障の特定の範囲内にない期間に関連する特徴ベクトルは、第2のラベル値(例:「通常」に対応する数値)でラベル付けされる。この段階で、特徴ベクトルは、故障の発生への時間的近接度のみに基づいて、故障状態の前兆として識別される。ただし、故障に先行する潜在的な状態の特徴値のすべてのシーケンスが実際に障害の原因であったり、または故障と関連付けられるわけではなく、したがって、故障の発生への時間的近接度に基づいて各特徴ベクトルにラベル付けすると、一部の特徴ベクトルの偽陽性ラベルにつながる。
【0013】
故障状態の前兆の偽陽性識別の数を減らすために、特徴ベクトルのサブセットの各特徴ベクトルが正しくラベル付けされている確率が決定される。特定の実装形態では、確率を決定するために、ラベル付き特徴ベクトルが、ランダムフォレスト回帰予測器などの確率分類器に訓練データとして提供される。ランダムフォレスト回帰予測器は、複数の特徴ベクトルおよびラベルの回帰分析を実行して回帰値を出力するように訓練され、ここで回帰値は、複数の特徴ベクトルを所与として、特徴ベクトルのサブセットの特徴ベクトルが正しくラベル付けされている確率を示す。特徴ベクトルのサブセットには、第1のラベル値でラベル付けされた特徴ベクトルが含まれる(例:故障の特定の範囲内にあり、「前兆」に対応する数値でラベル付けされた特徴ベクトル)。確率閾値を満たさない確率を有する特徴ベクトルのサブセットの特徴ベクトルは、第2のラベル値(例:「通常」に対応する数値)で再ラベル付けされる。サブセット以外の特徴ベクトル(例:「通常」に対応する数値でラベル付けされた特徴ベクトル)および確率閾値を満たさない確率を有する、サブセットの特徴ベクトルは、再ラベル付けされない。したがって、確率は、故障の前兆としてラベル付けされたいくつかの特徴ベクトルを、通常の特徴ベクトルとして故障に再分類するために使用される(例:非故障前兆)。
【0014】
1つまたは複数の特徴ベクトルにラベルを再割り当てした後、ラベル付けされた特徴ベクトルは、航空機の故障予測分類器の訓練データとして使用される。航空機の故障予測分類器は、入力データに基づいて故障の発生を予測する(例:故障の前兆である潜在的な状態特徴値のシーケンスを識別する)ように訓練される。特定の実装形態において、航空機故障予測分類器は、入力特徴ベクトル.に基づいてラベル(例:第1のラベルまたは第2のラベル)を出力するように構成されたランダムフォレスト分類器を含む。(潜在的、特徴的な状態値の特徴ベクトルの生成後)航空機のリアルタイム(または近リアルタイム)センサーデータに対して航空機故障予測分類器を実行して、航空機の故障を予測することができる。いくつかの実装形態では、航空機故障予測分類器は、予測された発生および予測に関連する特定の補修または部品を示すプロプトを生成する。追加的にまたは代替的に、航空機故障予測分類器は、予測に基づいて航空機の補修スケジュールを再編成することができる。したがって、ここで説明する実装形態は、時系列データの広範な人的ラベリングなしで故障予測および補修に使用するための、故障前の潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを決定し、故障の偽陽性識別(または故障の前兆)を減らすデータ駆動型アプローチである。
【0015】
図1は、1つまたは複数の航空機故障予測分類器を生成するシステム100の特定の実装形態の例を示す。システム100には、1つまたは複数のセンサー102、計算装置104およびディスプレイ装置106が含まれる。特定の実装形態では、システム100は、車両に組み込まれている。システム100は例えば、非限定的な例示として、航空機、無人航空機(UAV)(例:ドローン航空機)、自動車、列車、オートバイ、バス、船舶もしくはボート、ロケット、宇宙船、自律車両、またはその他の車両に組み込まれ得る。他の実装形態では、センサー102、計算装置104、ディスプレイ装置106、又はこれらの組み合わせなど、1つまたは複数のコンポーネントが車両の外部にあってもよい。
【0016】
センサー102は、車両の1つまたは複数の態様または特徴の読み取りを実行して、センサーデータ150を生成するように構成される。特定の実装形態では、センサー102は1又は複数の航空機に接続されており、かつ、センサー102は、1又は複数の航空機の飛行前、飛行中および飛行後にセンサーデータ150を生成するように構成される。センサー102は、複数のタイプのセンサーを含み得る。例示として、センサー102には、速度センサー、高度センサー、圧力センサー、舵面センサー(例:フラップ位置指示器)、脚位置指示器、燃料流量センサー、エンジンセンサー(例:1分当たりのエンジン回転数(RPM)センサー)、振動センサー、温度センサー、その他のセンサー、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0017】
センサーデータ150には、1つまたは複数パラメータ(例:変数)の値を示す時系列データが含まれる。例として、センサー102は、連続的にまたは離散間隔で1つまたは複数の特徴を測定するように構成されている。測定値はサンプルと呼ばれ、測定速度はサンブリング速度と呼ばれる。非限定的な例として、センサーデータ150には、ファン・エア・モジュレーティング・バルブ(FAMV)センサー値が含まれ、これはFAMVの温度、圧力及び位置を測定する。別の非限定的な例として、センサーデータ150には、FCVの高度および位置を測定する流量制御バルブ(FCV)センサー値が含まれる。他の例では、センサーデータ150には、他のタイプのセンサー値も含まれる。いくつかの実装形態では、センサーデータ150にはタイムスタンプが付けられる。他の実装形態では、センサーデータ150には開始時刻とサンプリング速度が含まれ、このセンサーデータは、計算装置104または別のプロセッサもしくは航空機のコントローラなど、その他のコンポーネントによってタイムスタンプが付けられるかまたは同期される。
【0018】
いくつかの実装形態では、計算装置104は、センサー102に接続され、センサー102からセンサーデータ150を取得するように構成される。特定の実装形態では、計算装置104は、ネットワークを介してセンサー102に接続される。このネットワークには、有線ネットワークまたは無線ネットワークが含まれ得る。このネットワークは、1つまたは複数の無線通信プロトコル、例えば米国電気電子学会(IEEE)プロトコル、Wi-Fi Allianceプロトコル、Bluetooth(登録商標)プロトコル、Zigbee(登録商標)プロトコル、近距離無線通信プロトコル、セルラプロトコル、ロングタームエボリューション(LTE)プロトコルまたはこれらの組み合わせに従って構成することができる。BluetoothはBluetooth Special Interest Group(SIG)の登録商標であり、ZigbeeはZigbee Allianceの登録商標である。別の特定の実装形態では、計算装置104は航空機のセンサーシステムのインターフェース(例:バス)に接続され、そのインターフェースを介してセンサーデータ150を受信するように構成される。他の実装形態では、計算装置104は航空機の外部にあり、センサーデータ150を格納するデータ記憶装置または航空機のその他のメモリなどの1つまたは複数の中継装置からセンサーデータ150を受信するように構成される。いくつかの実装形態では、センサーデータ150は、センサーデータ150を格納するサーバーなどの1つまたは複数の中継装置を介して複数の航空機から受信される。
【0019】
いくつかの実装形態では、センサーデータ150は、特定の航空機の飛行前、飛行中および飛行後のセンサー読み取り値からのものである。例えば、センサーデータ150は、1回の飛行の複数の区間または複数の異なる飛行の複数の区間からのセンサーデータを含み得る。加えて、センサーデータ150は、他の航空機の飛行前、飛行中および飛行後からのセンサー読み取り値を含み得る。例えば、センサーデータ150は、複数の異なる航空機の特定の飛行区間、複数の異なる航空機にわたる異なる飛行の異なる区間またはこれらの任意の組み合わせからのセンサーデータを含み得る。
【0020】
計算装置104は、入力インターフェース110、入力インターフェース110に接続されたプロセッサ112、およびプロセッサ112に接続されたメモリ114を含む。特定の実装形態では、バスまたは他のインターフェースを介して、入力インターフェース110、プロセッサ112およびメモリ114が同時に接続される。入力インターフェース110は、非限定的な例として、キーボード、マウス、タッチスクリーン、カメラ(ジェスチャコマンド用)、マイク(音声コマンド用)またはこれらの組み合わせ等のユーザー入力装置からのユーザー入力を受信するように構成される。メモリ114には、揮発性メモリ、不揮発性メモリまたはこれらの組み合わせが含まれる。プロセッサ112は、メモリ114に格納された命令を実行して、本明細書で説明される操作を実行するように構成される。
【0021】
図1に示す実装形態では、命令は、特徴ベクトル生成命令120、ラベリング命令122、確率決定命令124、ラベル再割り当て命令126および分類器生成命令128を含む。特徴ベクトル生成命令120は、本明細書でさらに説明されるように、センサーデータ150に基づいて特徴ベクトル130を生成するように構成される。ラベリング命令122は、本明細書でさらに説明されるように、特徴ベクトル130に第1のラベル136を付けするように構成される。確率決定命令124は、本明細書でさらに説明されるように、第1のラベル136のサブセットのそれぞれが正しい確率を決定するように構成される。ラベル再割り当て命令126は、本明細書でさらに説明されるように、確率に基づいて第1のラベル136のうちの1つ以上を再割り当てして、第2のラベル138を生成するように構成される。分類器生成命令128は、本明細書でさらに説明されるように、航空機故障予測分類器140を生成および訓練するように構成される。
【0022】
ディスプレイ装置106は計算装置104に接続されており、計算装置104からのデータに基づいて出力を表示するように構成される。例えば、ディスプレイ装置106には、スクリーン、タッチスクリーン、モニタまたは別のタイプのディスプレイ装置が含まれ得る。ディスプレイ装置106は、他の実装形態では計算装置104の外部にあるように示されているが、計算装置104内に組み込まれている。
【0023】
操作中、プロセッサ112はセンサーデータ150を受信する。センサーデータ150は、センサー読み取り値および対応するタイミングの時系列データを含む。プロセッサ112はまた、メモリ114に格納できる故障データ132も受信する。故障データ132は、1または複数の航空機.で故障が検出されたタイミングを示す。例えば、故障データ132は、保守メッセージが1または複数の航空機によって生成された時刻を示し、保守メッセージは故障の発生を示す。
【0024】
特徴ベクトル生成命令120は、センサーデータに基づいて特徴ベクトル130を生成する。特徴ベクトル130は、複数のサンプル期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを含み、ここで1つの潜在的、特徴的な状態値は1つのサンプル期間に対応する。潜在的な状態値を決定するために、プロセッサ112は、センサーデータ150に対してクラスタリング操作を実行して、センサーデータ150を潜在的、特徴的な状態値に分類する。クラスタリング操作は、重心クラスタリング操作(例:k平均法、k中央値法、k非類似度総和最小法等)、分布クラスタリング操作、期待値最大化(EM)クラスタリング操作、階層的クラスタリング操作、密度クラスタリング操作(例:DBSCAN)、他のタイプのクラスタリング操作またはこれらの任意の組み合わせ等、あらゆるタイプのクラスタリング操作を含み得る。特定の実装形態では、各潜在的、特徴的な状態値は、j次元の特徴空間内のクラスターに対応し、ここでjは、センサーデータ150内のセンサー変数の種類の数である。潜在的、特徴的な状態値の生成についてのさらなる詳細は、
図2を参照してさらに説明する。潜在的、特徴的な状態値が決定された後、潜在的、特徴的な状態値に基づいて特徴ベクトル130が生成される。例えば、第1の特徴ベクトルは、潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンスを含み(例:第1の特徴ベクトルの各要素は潜在的、特徴的な状態値を示す)、第2の特徴ベクトルは潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンスを示す。
【0025】
特定の実装形態では、潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを生成することにより、センサーデータ150のサイズを小さくすることができる。例えば、特徴ベクトル130として格納された潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを生成することは、センサーデータ150の全体を格納することに比べて、メモリ114に格納される情報の量を減らす。さらに説明すると、各サンプル時間で複数の測定値を保存する代わりに、その期間のセンサーデータ150は、単一の潜在的、特徴的な状態値として表される。したがって、センサーデータ150を特徴ベクトル130に変換することによって、メモリ114の格納スペースを削減することができる。
【0026】
潜在的、特徴的な状態値を生成した後、特徴ベクトル生成命令120は、潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを決定し、これらの潜在的、特徴的な状態値のシーケンスは特徴ベクトル130である。例えば、n個の時間ステップのローリングウィンドウを使用して、n個の潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを特徴ベクトルとして識別する。例えば特徴ベクトルの各要素は、潜在的、特徴的な状態値に関連付けられた時間ステップに基づいたシーケンス内の潜在的、特徴的な状態値を示す。
【0027】
特徴ベクトル130が生成された後、特徴ベクトル130のそれぞれにラベルが付けられる。例えば、ラベリング命令122は、各特徴ベクトルに第1のラベル値または第2のラベル値を付けるように構成される。第1のラベル値は、故障の前兆として識別される特徴ベクトルに対応し、第2のラベル値は、「通常の」特徴ベクトル(例:故障の前兆ではない特徴ベクトル)に対応する。例えば、各特徴ベクトルは、前兆に対応する第1の数値(例:1)または「通常の」特徴ベクトル.に対応する第2の数値(例:0)などの数値でラベル付けされる。特徴ベクトル130のそれぞれに対するラベルは、第1のラベル136としてメモリ114に格納される。
【0028】
特徴ベクトル130のそれぞれは、故障.の発生に対する特徴ベクトル130の時間的近接度に基づいてラベル付けされる。説明すると、ラベリング命令122が故障データ132にアクセスして、故障が発生した時間(例:保守メッセージが生成された時間)を決定する。加えて、または代替として、センサーデータ150の少なくとも一部は、対応する故障表示を伴う少なくともいくつかのデータなどの履歴データを含む(例:センサーデータ150の少なくとも一部は、計算装置104によって受信されたときにラベル付けされ得る)。故障に対する時間的近接度閾値(例:m秒)の範囲内で発生する潜在的、特徴的な状態値のシーケンスは、第1のラベル値(例:1)でラベル付けされ、故障の発生に対する時間的近接閾値の範囲内にない特徴ベクトルは、第2のラベル値(例:0)でラベル付けされる。特定の例として、故障の発生の3分前の時間に対応する各特徴ベクトルは、第1のラベル値(例:「前兆」に対応する1)でラベル付けされる。この例では、故障が発生する3分前ではない時間に対応する特徴ベクトルは、第2のラベル値(例:「通常」に対応する0)でラベル付けされる。他の例では、mは3分未満または3分を過ぎている(例:180秒)。
【0029】
mの値は、故障につながる潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを正しく識別することと偽陽性識別の数を減らすことに関する矛盾する問題に基づいて選択される。例えば、mを増やすと、第1のラベル値で最初にラベル付けされる特徴ベクトル(例:潜在的、特徴的な状態値のシーケンス)の数が増え、これにより故障の原因となった特徴ベクトルが識別される可能性が高まるが、偽陽性である特徴ベクトル(例:第1のラベル値でラベル付けされているが、実際には故障と無関係)の数も増える。mを減らすと、第1のラベル値で最初にラベル付けされる特徴ベクトルの数が減り、これにより偽陽性の数は減るが、正しい特徴ベクトルが識別される可能性も低くなる。
【0030】
第1のラベル136を生成した後、第1のラベル136のサブセットが正しい確率が決定される。例えば、確率決定命令124は、特徴ベクトル130のサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベルが正しい確率を決定するように構成される。本明細書でさらに説明するように、確率は、1つ以上の特徴ベクトル130のラベルを付け直す際に使用される。該サブセットには、第1のラベル値(例:「前兆」に対応する1)を示すラベルを持つ特徴ベクトルが含まれる。例えば、確率決定命令124は、第1のラベル値でラベル付けされた特徴ベクトルが正しくラベルされている確率を決定するように構成される。
【0031】
特定の実装形態では、確率決定命令124は、確率予測器134を生成および訓練するように構成される。確率予測器134は、各特徴ベクトルが正しくラベル付けされている確率を決定するように構成される。特定の実装形態では、確率予測器134には、ランダムフォレスト回帰予測器が含まれる。例えば、ランダムフォレスト回帰予測器には、特徴ベクトル130と第1のラベル136を入力として使用する教師あり学習プロセスを使用して訓練される複数の回帰木・決定木(multiple regression decision trees)が含まれる。各決定木は、特徴ベクトル130の特徴のランダムサンプリングに基づいて数値を出力するように構成され複数の回帰木・決定木の出力は、ランダムフォレスト回帰予測器の出力を生成するためにまとめて平均化される。複数の回帰木・決定木の出力はまとめて平均化されるため、ランダムフォレスト回帰予測器は、許容できるレベルの複雑さと予測速度を維持しながら、訓練データへの過剰適合の可能性を減らす。
【0032】
回帰ランダムフォレスト予測器は、回帰ランダムフォレスト予測器に提供される各訓練およびテスト特徴ベクトルの回帰値を返す。回帰値は、各特徴ベクトルがそのクラス(例:前兆または通常)にどの程度関連しているかについてのデータ駆動型の信頼スコアであると解釈される。これは、特徴ベクトル130の初期のラベルが数値(例:前兆に対応する1および通常に対応する0)であるから可能である。したがって、ランダムフォレスト回帰予測器を訓練した後、特徴ベクトル130のサブセットがランダムフォレスト回帰予測器に提供され、特徴ベクトル130のサブセットの各特徴ベクトルが正しくラベル付けされている確率を決定するために、ランダムフォレスト回帰予測器の出力(例:回帰値)が使用される。
【0033】
他の実装形態において、確率予測器134には、ニューラルネットワーク予測器、サポートベクターマシン予測器、ベイジアン予測器、パーセプトロン予測器または別のタイプの予測器など、異なるタイプの予測器が含まれる。確率予測器134の使用により、機械学習技術を使用した確率の効率的な決定が可能になる。
【0034】
サブセットに(例えば第1のラベル値でラベル付けされている特徴ベクトルに)関連付けられている確率を決定した後、1つ以上第1のラベル136が再割り当てされ、第2のラベル138が生成される。例えば、ラベル再割り当て命令126は、特徴ベクトル130のサブセットの1つ以上の特徴ベクトルのラベルを再割り当てするように構成される。特徴ベクトル(例:再割り当てされるラベルを有する特徴ベクトル)の1つまたは複数は、第1のラベル値(例:「前兆」に対応する1)を示す再割り当て前のラベルを有し、かつ、確率の閾値を満たさない確率を有する。例えば、第1のラベル値(例:「前兆」に対応する)でラベル付けされ、確率の閾値を満たさない確率(例えば確率予測器134の出力に基づく)を有する特徴ベクトルの1つまたは複数が、第2のラベル138の第2のラベル値(例:「通常の」特徴ベクトルに対応する0)で再ラベル付けされる。数値ラベル値(例:0または1)で再ラベル付けされていると述べられているものの、他の実装形態では、すべてのラベルは、カテゴリーラベル値を使用してラベル付け(例:「前兆」または「通常」)され得る。したがって、故障の発生の時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルの1つまたは複数(第1のラベル値と同様に最初にラベル付けされたサブセット内の特徴ベクトルの1つまたは複数)は、確率に基づいて第2のラベル値で再ラベル付けされる。対応する確率に基づくと、これらの1つ以上の特徴は故障の原因である可能性が低いために、これらの特徴ベクトルの1つまたは複数を再ラベル付けすると、「前兆」である特徴ベクトルの偽陽性識別が減る。加えて、第1のラベル136のいくつかは再ラベル付けされない。例えば、ラベル再割り当て命令126は、第2のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトル(例:「通常」とラベル付けされた特徴ベクトル)の再ラベル付けを控えるように構成される。別の例として、ラベル再割り当て命令126は、確率閾値を満たす確率を有する、サブセットの特徴ベクトル(例:「前兆」とラベル付けされた特徴ベクトル)のラベル付けを控えるように構成される。したがって、故障に関係する可能性が高い特徴ベクトルは、第1のラベル値でラベル付け(例:「前兆」)されたままである。
【0035】
航空機故障予測分類器140は、ラベルを再割り当て(例えば第2のラベル138を生成)した後で訓練される。例えば、分類器生成命令128は、航空機故障予測分類器140を生成および訓練するように構成される。航空機故障予測分類器140は、特徴ベクトル130と第2のラベル138とを含む訓練データを使用して、訓練される。例えば、各特徴ベクトルは「前兆」または「通常」とラベル付けされ(数値ラベル値またはカテゴリーラベル値のいずれかを使用)、ラベル付けされた特徴ベクトルは、入力センサーデータに基づいて航空機の故障の発生を予測するために、航空機故障予測分類器140を訓練する教師あり学習プロセスで使用される。この訓練データは、好ましくは、第1のラベル値でラベル付け(例えば「前兆」)された複数の特徴ベクトルと、第2のラベル値でラベル付け(例えは「通常」)された複数の特徴ベクトルとを含む。
【0036】
特定の実装形態では、航空機故障予測分類器140には、ランダムフォレスト分類器が含まれる。ランダムフォレスト分類器には、特徴ベクトル130と第2のラベル138に基づく教師あり学習プロセスを用いて訓練されて、入力特徴ベクトルが第1のラベル値(例:1または「前兆」)または第2のラベル値(例:0または「通常」)に関連するか否かを決定する複数の決定木分類器が含まれる。各決定木分類器は、特徴ベクトル130からの特徴のランダム(または擬似ランダム)選択を使用して訓練され、分類を出力する(例えば、入力特徴ベクトルを「前兆」または「通常」とラベル付けする)。複数の決定木分類器の出力は、多数決プロセスを用いて集約される。例えば、所与の入力特徴ベクトルに対して、より多くの決定木分類器が「通常」よりも「前兆」を出力した場合、ランダムフォレスト分類器の出力は「前兆」となる。ランダムフォレスト分類器の出力は複数の決定木分類器の出力の集合であるため、ランダムフォレスト分類器は、許容可能なレベルの複雑さと分類速度を維持しながら、訓練データへの過剰適合の可能性を減らす。したがって、ランダムフォレスト分類器iの出力は、入力特徴ベクトルに関連付けられたラベル値である。ランダムフォレスト分類器として説明されているが、他の実装形態では、航空機故障予測分類器140には、ニューラルネットワーク分類器、サポートベクターマシン分類器、ベイジアン分類器、パーセプトロン分類器または別のタイプの分類器などの異なるタイプの分類器が含まれる。
【0037】
特定の実装形態では、航空機の運転中、計算装置104は、センサー102からリアルタイムセンサーデータ152(または近リアルタイムセンサーデータ)を受信する。本明細書で使用される場合、リアルタイムまたは近リアルタイムで受信されるセンサーデータとは、航空機(または他の車両)の運転中に生成され、任意の処理が実行された後にセンサー102から受信されるセンサーデータを指す。例えば、センサー102は、リアルタイムセンサーデータ152を生成するために航空機を監視して、リアルタイムセンサーデータ152を計算装置104に渡す(または処理して渡す)ように構成されている。複数の航空機(例:同じタイプの複数の航空機、異なるタイプの複数の航空機またはこれらの組み合わせ)からの履歴センサーデータを含むことができるセンサーデータ150とは異なり、リアルタイムセンサーデータ152は、特定の航空機から、その特定の航空機の飛行中(またはその他の運転中)に受信される。プロセッサ112は、特徴ベクトル生成命令120を実行して、リアルタイムセンサーデータ152に基づく追加の特徴ベクトルを生成する。追加の特徴ベクトルは、特徴ベクトル130を生成するためのプロセスに従って生成される。追加の特徴ベクトルが生成された後、追加の特徴ベクトルは、航空機故障予測分類器140に提供され、航空機故障予測分類器140は、リアルタイムセンサーデータ152に基づいて(例えば追加の特徴ベクトルに基づいて)故障が予測されるか否かの表示を出力する。したがって、航空機故障予測分類器140は、航空機(または他の車両)からのリアルタイムセンサーデータに基づいて、航空機(航空機(または他の車両)の運転中に故障が発生するか否かを予測するために使用され得る。
【0038】
特定の実装形態では、プロセッサ112は、航空機故障予測分類器140を実行するように構成されている。例えば、計算装置104は航空機に実装することができ、プロセッサ112は、航空機の飛行中に航空機故障予測分類器140を実行して故障の発生を予測するように構成される。あるいは、航空機故障予測分類器140は計算装置104によって生成され、実行のために別の装置に提供され得る。例えば、計算装置104は地上局に実装することができ、航空機故障予測分類器140は、地上局で生成され、その後、航空機の運転中の実行のために航空機に提供され得る。航空機は、特徴生成命令を実行して、リアルタイムセンサーデータに基づいて特徴ベクトルを生成し、特徴ベクトルは、航空機の故障状態を予測する際に使用するために航空機故障予測分類器140に提供される。
【0039】
特定の実装形態では、プロセッサ112は、ディスプレイ装置106での表示のためのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)160を生成するように構成される。例えば、メモリ114は、プロセッサ112によって実行可能なGUI生成命令を格納する。GUI160は、リアルタイムセンサーデータ152での航空機故障予測分類器140の実行結果を示す。特定の例として、GUI160には、予測される故障の発生と予測される故障の発生に関連付けられた特定の補修とを示すプロンプト162が含まれ得る。説明すると、メモリ114に格納されたデータは、潜在的、特徴的な状態値(例:特徴ベクトル)の1つまたは複数のシーケンスを特定のタイプの故障と相関させることができ、この特定のタイプの故障は、航空機に対して実施される異なる修復に関連し得る。プロセッサ112は、特定の特徴ベクトルを対応する補修に一致させた後にプロンプト162を発行する。別の特定の例として、GUI160は補修スケジュール164の表示を含むことができ、補修スケジュールは故障の発生の予測に基づいて再編成するこができる。例えば、航空機故障予測分類器140による故障の予測により、航空機の予定された補修またはダウンタイムを短期化することができる。
【0040】
システム100は、航空機故障予測分類器140の生成を高速かつ効率的な方法で可能にする。航空機故障予測分類器140は特徴ベクトル130に基づいて(例えばセンサーデータ150に基づいて)訓練されるため、本明細書に記載の技術は、航空機の運転状態をモデル化するために生成される物理ベースのモデルと比較してデータ駆動型である。これらの物理ベースのモデルは開発に時間がかかり、かなりの処理及び格納リソースを使用する可能性がある。別の利点として、航空機故障予測分類器140を訓練するために使用される訓練データはシステム100によりラベル付けされ、それにより、ユーザーによって実施される時系列データのラベリングが減る(またはなくなる)。加えて、特徴ベクトル130は訓練データとして使用される前に再ラベル付けされるため、航空機故障予測分類器140による故障の偽陽性識別が低減される。したがって、システム100は、航空機の補修時間またはダウンタイムを削減し、かつ、故障の偽陽性識別の少ない航空機故障予測分類器140の生成を可能にし、そのことが航空機故障予測分類器140の有用性を改善する。
【0041】
図2を参照すると、潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを決定する例が示されており、全体として200とされる。潜在的、特徴的な状態値のシーケンスは、
図1のセンサーデータ150に基づいて決定される。潜在的、特徴的な状態値のシーケンスが決定されると、シーケンスの値が特徴ベクトル130として格納される。
【0042】
潜在的特徴値のシーケンスを決定するために、センサーデータ150は最初に潜在的、特徴的な状態値に変換される。センサーデータ150を潜在的、特徴的な状態値に変換するために、センサーデータ150に対してクラスタリング操作が実行される。クラスタリング操作は、データ点の特徴及び関係に基づいてセンサーデータ150の要素(例えばデータ点)をj次元特徴空間内でクラスターに分類し、ここでjは、データ点の特徴及び関係に基づくセンサーデータ150内のセンサー変数(例えばパラメータ)の種類の数である。センサーデータ150はクラスタリング前にラベル付けされないため、教師なし学習プロセスを使用してクラスタリングが実行される。
【0043】
特定の実装形態では、センサーデータ150に対してk平均法が実行されて、特徴空間内でセンサーデータ150がクラスター化される。説明すると、複数のクラスターを決定し、各クラスターのクラスター中心を最初に機能空間に設定する。特定の実装形態では、クラスターの数は、ユーザー入力に基づいて、データの追加分析に基づいて、または何か他の方法で決定される。特徴空間内の各クラスター中心を初期化した後、データ点がさまざまなクラスターに追加され、クラスター中心の場所が変更される。例えば、第1のデータ点が他のいかなるクラスターよりも第1のクラスターに近いとの決定に応じて、第1のデータ点が第1のクラスターに追加され、第1のクラスターの中心の位置が、最初のクラスター中心の位置と第1のデータ点の位置の間にあるように変更される(例えば更新される)。特定の実装形態では、クラスター中心は、クラスター中心と第1のクラスターの各データとの間のユークリッド距離の2乗が最小になるように更新される。同様の方法で、さらなる点をクラスターに追加できる。例えば、第2のデータ点は、他のいかなるクラスターの中心よりも第2のクラスターのクラスター中心に近い第2のデータ点に基づいて第2のクラスターに追加することができ、第2のクラスターのクラスター中心の位置は第2のデータ点.の位置に基づいて更新される。第1のクラスタリング操作は、(例えばセンサーデータ150の)すべてのデータ点が対応するクラスターに割り当てられるまで続き、クラスター中心の各位置は割り当てに基づいて更新される。
【0044】
別の実装形態では、潜在的、特徴的な状態値を決定するために、センサーデータ150に対してk平均法クラスタリング操作が実行される。k非類似度総和最小法クラスタリング操作は、k平均法クラスタリング操作と似ているが、クラスター中心の位置とクラスター内の各データ点の位置との差を最小化するようなクラスター内のデータ点の位置にクラスター中心が更新される点は異なる。k非類似度総和最小法クラスタリング操作は、k平均法クラスタリング操作よりもノイズや外れ値に対してより堅牢であり得る。
【0045】
別の特定の実装形態では、潜在的、特徴的な状態値を決定するために、ガウス混合モデル(GMM)クラスタリング操作、例えばディリクレ過程(DPGMM)クラスタリング操作をセンサーデータ150に対して実行する。説明すると、クラスター中心は、各クラスター中心周辺のデータ点が正規分布しているという仮定に基づいて決定される。具体的には、DPGMMは、GMM内の混合モデル数の事前分布としてディリクレ過程を有する無限混合モデルを想定しており、ここで「混合」は、状態またはクラスターに相当する。DPGMMでは、データに最も適切なクラスターの数は、式1によって定義できる分布G(μ)に従って計算される。
【0046】
クラスターの平均値
は、分布H(λ)に従って分布する(ここでH(λ)は、クラスターの分布に関するユーザーの事前の信念を表し、ユーザーが選択したパラメータλを持つ任意のパラメータ分布に割り当てることができる)。
は、指示関数である。
上の分布は、クラスターの無限セットに対して対称であり、ここで
は、k番目のクラスターに属するデータ点の事前確率である。パラメータλを持つディリクレ過程分布の仮定に基づいて、クラスター内のクラスターの数および点内の分布のカウスモデルに対してデータを記述する最適なクラスター数(潜在的、特徴的な状態の数につながる)を見つけることは、クラスター確率とそれに関連する平均値の事後分布を見つけることを意味する。特定の実装形態では、クラスター数の決定は、クラスター数の事後確率に対するマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)サンプリングを通じて実行される。
【0047】
他の実装形態では、階層クラスタリング、平均シフトクラスタリング操作、連結クラスタリング操作、密度クラスタリング操作(DBSCANなど)、分布クラスタリング操作、EMクラスタリング操作、又は他の種類のクラスタリング操作もしくはアルゴリズムなどの、他の種類のクラスタリング操作が実行される。
【0048】
各クラスターは、特徴空間内の潜在的、特徴的な状態値を表します。センサーデータ150を潜在的、特徴的な状態値にクラスター化した後、潜在的、特徴的な状態値のシーケンスが決定される。
図2に示される例では、センサーデータ150は4つのクラスターの1つにクラスター化され、各クラスターは4つの状態、すなわち第1の状態、第2の状態、第3の状態および第4の状態のうちの1つを表す。各時間tにおいて、潜在的、特徴的な状態値は、時間tに対応するデータ点がクラスタリング操作によってどのクラスターに配置されるかに基づいて決定され得る。
図2に示される例では、クラスタリング操作の結果、時間t1は第2の状態に関連付けられ、時間t2は第2の状態に関連付けられ、時間t3は第1の状態に関連付けられ、時間t4は第3の状態に関連付けられ、時間t5は第3の状態に関連付けられ、時間t6は第4の状態に関連付けられ、時間t7は第1の状態に関連付けられ、時間t8は第3の状態に関連付けられ、時間t9は第2の状態に関連付けられ、時間t10は第4の状態に関連付けられる。他の例では、センサーデータ150は、4つ未満または4つを超えるクラスターにクラスター化される。
【0049】
センサーデータ150に基づいて潜在的な状態特徴値を決定した後、潜在的な状態特徴値のシーケンスが決定される。特定の実装形態では、シーケンスは、ローリングウィンドウ215を潜在的、特徴的な状態値に適用することによって決定される。例えば、サンプルを有するローリングウィンドウを潜在的、特徴的な状態値に適用して、長さnを有する潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを決定することができる。
図2に示される例では、nは4つの時間ステップである。これらの時間ステップは、時間のいかなる増分にも対応でき、他の実装形態では、nは4未満または4を超える時間ステップである。
図2の例で長さnの潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(潜在的特徴の時間シーケンス(TSLF)とも呼ばれる)を選択すると、潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202、潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンス204、潜在的、特徴的な状態値の第3のシーケンス206、潜在的、特徴的な状態値の第4のシーケンス208、潜在的、特徴的な状態値の第5のシーケンス210、潜在的、特徴的な状態値の第6のシーケンス212及び潜在的、特徴的な状態値の第7のシーケンス214が生成される。潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202は時間t1~t4に対応し、潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンス204は時間t2~t5に対応し、潜在的、特徴的な状態値の第3のシーケンス206は時間t3~t6に対応し、潜在的、特徴的な状態値の第4のシーケンス208は時間t4~t7に対応し、潜在的、特徴的な状態値の第4のシーケンス210は時間t5~t8に対応し、潜在的、特徴的な状態値の第6のシーケンス212は時間t6~t9に対応し、潜在的、特徴的な状態値の第7のシーケンス214は時間t7~t10に対応する。潜在的、特徴的な状態値の追加のシーケンスは、時間t8、t9、t10、t11等から始めて決定することができる。
【0050】
潜在的、特徴的な状態値のシーケンス202~214には、連続する時間ステップに関連するn個の特徴値のシーケンスが含まれる。
図2に示される例では、潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202には、第2の状態、それに続く第2の状態、それに続く第1の状態、それに続く第3の状態が含まれる。潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンス204には第2の状態、それに続く第1の状態、それに続く第3の状態、それに続く第3の状態が含まれる。潜在的、特徴的な状態値の第3のシーケンス206には第1の状態、それに続く第3の状態、それに続く第3の状態、それに続く第4の状態が含まれる。潜在的、特徴的な状態値の第4のシーケンス208には第3の状態、それに続く第3の状態、それに続く第4の状態、それに続く第1の状態が含まれる。潜在的、特徴的な状態値210の第4のシーケンスには第3の状態、それに続く第4の状態、それに続く第1の状態、それに続く第3の状態が含まれる。潜在的、特徴的な状態値212の第6のシーケンスには第4の状態、それに続く第1の状態、それに続く第3の状態、それに続く第2の状態が含まれる。潜在的、特徴的な状態値214の第7のシーケンスには第1の状態、それに続く第3の状態、それに続く第2の状態、それに続く第4の状態が含まれる。
【0051】
潜在的、特徴的な状態値のシーケンス202~214は、特徴ベクトル130として保存することができる。説明すると、特徴ベクトル130の第1の特徴ベクトルを決定することは、第1の期間(例:t1-t4)のサンプル期間の第1のセット内の潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202を決定することを含む。第1の特徴ベクトルの各要素は、潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202の対応する潜在的、特徴的な状態値を含む。
図2の例では、第1の特徴ベクトルは、潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202の潜在的、特徴的な状態値に基づく[2,2,1,3]を含む。さらに説明すると、特徴ベクトル130の第2の特徴ベクトルを決定することは、第2の期間(例:t2-t5)のサンプル期間の第2のセット内の潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンス204を決定することを含む。第2の特徴ベクトルの各要素は、潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンス204の対応する潜在的、特徴的な状態値を含む。
図2の例では、第2の特徴ベクトルは[2,1,3,3]を含む。さらに、
図2に示すように、1つの特徴ベクトルに関連付けられた期間は、別の特徴ベクトルに関連付けられた期間と重複する可能性がある。例えば、第1の特徴ベクトルと第2の特徴ベクトルは、(例えば、連続する各時間ステップで適用されるローリングウィンドウ215により)t2~t4の重複期間に関連する。同様に、第3の特徴ベクトルは[1,3,3,4]を含み、第4の特徴ベクトルは[3,3,4,1]を含み、第5の特徴ベクトルは[3,4,1,3]を含み、第6の特徴ベクトルは[4,1,3,2]を含み、第7の特徴ベクトルは[1,3,2,4]を含む。
【0052】
潜在的、特徴的な状態値のシーケンス202~214に対応する特徴ベクトルを決定した後、特徴ベクトルはラベル付けされる。ラベリングは、故障に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づく。説明すると、センサーデータ150は、様々な時間に相関する履歴センサーデータを含み、故障データ132は、様々な時間における故障の発生を示す。特定の実装形態では、故障は、航空機による保守メッセージの生成によって示される。ラベリングのために、サイズnのローリングウィンドウ215を使用して、故障の発生前は「前兆」とラベル付けされ、他の特徴ベクトルは「通常」とラベル付けされる潜在的、特徴的な状態値(及び対応する特徴ベクトル)のシーケンス及び時間m内の時間に関連する特徴ベクトル(例:時間的近接度閾値)を決定する。特定の実装形態では、nは15秒で、mは3分である。他の実装形態では、nとmは他の値を有する。
【0053】
説明すると、
図2の例では、故障218は時間t12に発生する。故障218の発生との時間的近接度216の閾値の範囲内にある特徴ベクトルには、第1のラベル値220のラベルが付けられ、故障218の発生との時間的近接度216の閾値の範囲内にない特徴ベクトルには、第2のラベル値222のラベルが付けられる。例えば、潜在的、特徴的な状態値の第5のシーケンス210、潜在的、特徴的な状態値の第6のシーケンス212、潜在的、特徴的な状態値の第7のシーケンス214に対応する特徴ベクトルには、第1のラベル値220(例:「前兆」に対応する1)が割り当てられる。なぜなら、潜在的、特徴的な状態値のこれらの時間シーケンスは完全に時間的近接度216の閾値内で発生するためである。別の例として、潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202、潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンス204、潜在的、特徴的な状態値の第3のシーケンス206および潜在的、特徴的な状態値の第4のシーケンス208に対応する特徴ベクトルには、第2のラベル値222(例:「通常」に対応する0)が割り当てられる。なぜなら、潜在的、特徴的な状態値の時間シーケンスの少なくとも一部が時間的近接度216の閾値の外側で発生するためである。したがって、故障218の発生に対する時間的近接度216の閾値内にある時間に関連する特徴ベクトルは、最初に「前兆」とラベル付けされ、故障218の発生に対する時間的近接度216の閾値内にない特徴ベクトルは、最初に「通常」とラベル付けされる。
図1を参照してさらに説明すると、これらの特徴ベクトルの1つまたは複数は、特徴ベクトルに関連付けられた確率に基づいて再ラベル付けされ、それにより偽陽性率(例:潜在的、特徴的な状態値のシーケンスが故障の直接の原因ではないにもかかわらず潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを前兆と識別する率)が下がる。
【0054】
したがって、
図2は、センサーデータ(例:
図1のセンサーデータ150)を潜在的、特徴的な状態値のシーケンスに変換することを示している。センサーデータ全体を保存する代わりに、潜在的、特徴的な状態値のシーケンスに基づいて特徴ベクトルを保存すると、メモリ114の保存スペースの使用が削減される。さらに、故障の発生に対する時間的近接度に基づいて、最初に特徴ベクトルにラベルを付けることができる。最初に特徴ベクトルにラベルを付けるこの手法は、「コース」ラベリング(“course” labeling)を提供し、これは、
図1を参照してさらに説明されるように、特徴ベクトルに関連付けられた確率値に基づいて1つまたは複数のラベルを再割り当てすることによって「微調整」することができる。
【0055】
図3を参照すると、確率に基づいてラベルを再割り当てする例が示されており、全体として300とされる。複数の特徴ベクトル302~308が生成される。例えば、特徴ベクトル302~308は、
図1の特徴ベクトル130を含むか、これに対応する。
図2を参照して説明されるように、特徴ベクトルは潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを示す。
図3の例では、第1の特徴ベクトル302は[3,2,4,1]を含み、第2の特徴ベクトル304は[2,4,1,2]を含み、第3の特徴ベクトル306は[2,2,1,3]を含み、第4の特徴ベクトル308は[2,1,3,3]を含む。他の例では、特徴ベクトルは他の値を有し、4つ未満または4つを超える特徴ベクトルが生成され得る。
【0056】
特徴ベクトル302~308が決定された後、特徴ベクトル302~308には、
図2を参照して説明されるように、故障の発生に対する時間的近接度閾値内にあるかどうかに基づいてラベルが割り当てられる。この初期ラベリングプロセス中に、第1の特徴ベクトル302および第2の特徴ベクトル304は故障の発生に対する時間的近接度閾値内にあること、ならびに特徴ベクトル306および第4の特徴ベクトル308は故障の時間的近接度閾値内にないことが決定される。したがって、第1の特徴ベクトル302のラベル320および第2の特徴ベクトル304のラベル322には第1のラベル値(例:「前兆」に対応する1)が割り当てられ、第3の特徴ベクトル306のラベル324および第4の特徴ベクトル308のラベル326には第2のラベル値(例:「通常」に対応する0)が割り当てられる。
【0057】
初期ラベル割り当ての後、初期ラベル割り当てが特徴ベクトル302~304に対して正しい確率が決定される。
図1を参照して説明されるように、特徴ベクトル302~308および対応するラベル320~326は、ランダムフォレスト回帰分類器などの確率分類器を訓練するための訓練データとして使用される。確率分類器を使用して、対応する特徴ベクトルが正しい確率値が決定される。
図3の例では、第1の特徴ベクトル302には.9の確率310が割り当てられ、第2の特徴ベクトル304には.43の確率312が割り当てられている。第3の特徴ベクトル306と第4の特徴ベクトル308のラベルは第2のラベル値(例:「通常」に対応する0)を有するため、第3の特徴ベクトル306と第4の特徴ベクトル308の確率は関連がない。
【0058】
確率310~312のいずれかが確率閾値330を満たさない(例えば、それ未満である)確率を決定するために、確率310~312が確率閾値330と比較される。
図3の例では、確率閾値330は.7であり、したがって、第2の特徴ベクトル304の確率312は確率閾値330を満たさない。
【0059】
故障状態の前兆の偽陽性識別の数を減らすために、ラベル320~322のうちの1つまたは複数のラベルが確率310~312に基づいて再割り当てされる。説明すると、ラベルが第1のラベル値(例:「前兆」に対応する1)を有し、対応する確率が確率閾値330を満たさない場合、ラベルは第2のラベル値(例:「通常」に対応する0)に再割り当てされる。例えば、第2の特徴ベクトル304には最初に第1のラベル値が割り当てられるため、かつ、確率312が確率閾値330を満たさないため、ラベル322は、第2のラベル値(例:「通常」に対応する0)を有する再割り当てラベル340に再割り当てされる。
図3では、確率310が確率閾値330を満たすため、ラベル320は再割り当てされない。追加の、ならびに(Additional, and)ラベル324および326は、初期ラベル値が第2のラベル値(例:「通常」に対応する0)であるため、再割り当てされない。
【0060】
確率に基づいてラベルを再割り当てすることにより、故障の前兆である1つ以上の偽陽性識別が削減される。1つまたは複数のラベルが再割り当てされた後、
図1を参照して説明されるように、航空機故障予測分類器140を訓練するためにラベル付けされた特徴ベクトルが訓練データとして使用される。航空機故障予測分類器140を訓練して故障状態の偽陽性i識別をより少なく出力することにより、航空機故障予測分類器140の有用性が向上する。
【0061】
図4は、航空機故障予測分類器を生成する方法400を示している。特定の実装形態では、該方法400は、計算装置104によって(例えばプロセッサ112によって)実行される。
【0062】
該方法00は、402で潜在的、特徴的な状態値を計算することを含む。例えば、
図2を参照して説明されるように、潜在的、特徴的な状態値は、センサーデータ150に基づいて決定される。特定の実装形態では、潜在的、特徴的な状態値は、センサーデータ150に対してクラスタリング操作を実行して、センサーデータ150を潜在的、特徴的な状態値に対応するクラスターに分類することによって決定される。クラスタリング操作は、k平均法クラスタリング操作、k非類似度総和最小法クラスタリング操作、DPGMMクラスタリング操作または別のタイプのクラスタリング操作であり得る。
【0063】
方法400は、404で特徴ベクトルを計算することを含む。特定の実装形態では、特徴ベクトル130を計算することは、潜在的、特徴的な状態値のn個の長さのシーケンスを計算することを含む。ラベリングのために、故障の発生前の期間m内にある特徴ベクトルが識別される。
【0064】
方法400は、406で特徴ベクトルをラベリングすることを含む。例えば、故障の発生に対する時間的近接度閾値(例:期間m)内にある特徴ベクトルは、第1のラベル値(例:「前兆」に対応する数値)でラベル付けされ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルは、第2のラベル値(例:「通常」に対応する数値)でラベル付けされる。この最初のラベリングプロセスが第1のラベル136を生成する。
【0065】
方法400は、408で、特徴ベクトルおよびラベルを確率予測器に渡すことを含む。例えば、特徴ベクトル130および第1のラベル136は、教師あり訓練でデータとして確率予測器134に渡される。特定の実装形態では、確率予測器134には、ランダムフォレスト回帰分類器が含まれる。他の実装形態において、確率予測器134には、ニューラルネットワーク予測器、サポートベクターマシン予測器、ベイジアン予測器、パーセプトロン予測器、または別のタイプの予測器が含まれる。入力特徴ベクトルが特定のクラス(例えば「前兆」または「通常」)に属する確率を示す数値を出力するように訓練されることに加えて、確率予測器134は、特徴ベクトル130が正しくラベル付けされている確率を決定するために使用される。
【0066】
方法400は、410で、おそらく故障に最も関連する可能性が高い特徴ベクトルを識別することと、他の特徴ベクトルを再ラベル付けすることとを含む。例えば、最初に第1のラベル値でラベル付け(例:「前兆」)され、閾値を満たす(例えば閾値以上である)確率を有する特徴ベクトルは、故障に最も関連していると考えられ、それゆえ、これらの特徴ベクトルのラベルは維持される。第1のラベル値で最初にラベル付け(例:「前兆」)されており、かつ、閾値を満たさない(例えば閾値未満である)確率を有する特徴ベクトルは、第2の値で再ラベル付け(例:「通常」)される。方法400は、第2のラベル値で最初にラベル付け(例:「通常」)されている特徴ベクトルの再ラベル付けは控える。1つまたは複数ラベルの再ラベリングは、第2のラベル138を生成する。
【0067】
方法400は、412で、再ラベル付けされた特徴ベクトルを使用して航空機故障予測分類器を訓練することをさらに含む。例えば、特徴ベクトル130と第2のラベル138は、航空機故障予測分類器を訓練して入力特徴ベクトルに基づいて故障を予測するように、教師あり訓練データとして航空機故障予測分類器140に提供される。特定の実装形態では、航空機故障予測分類器140には、ランダムフォレスト分類器が含まれる。他の実装形態では、航空機故障予測分類器には、ニューラルネットワーク分類器、サポートベクターマシン分類器、ベイジアン分類器、パーセプトロン分類器または別のタイプの分類器などの他のタイプの分類器が含まれる。
【0068】
方法400は、航空機故障予測分類器140の生成および訓練を可能にする。航空機故障予測分類器140は再ラベル付けされた訓練データ(例:第1のラベル136の代わりに、特徴ベクトル130および第2のラベル138)に基づいて訓練されるため、航空機故障予測分類器140は、故障の偽陽性識別をより少なく生成する。したがって、方法400は、航空機故障予測分類器140の有用性を向上させる。
【0069】
図5は、航空機故障予測分類器を生成する方法500を示している。特定の実装形態では、該方法500は、計算装置104によって(例えばプロセッサ112によって)実行される。
【0070】
方法500は、502で、複数の特徴ベクトルを含む入力データを受信することを含む。入力データには、1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータが含まれる。例えば、プロセッサ112は、センサー102から(またはデータ記憶装置などの1つ以上の他の装置から、またはメモリ114に格納された)センサーデータ150を受信する。
【0071】
方法500は、504で、故障の発生に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、複数の特徴ベクトルの各特徴ベクトルにラベルを付けることを含む。故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには、第1のラベル値が付けられ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには、第2のラベル値が付けられる。例えば、特徴ベクトル130は、故障データ132に基づいてラベル付けされ、第1のラベル136を生成する。第1のラベル136のそれぞれは、対応する特徴ベクトルが故障の時間的近接度閾値内にあるか否かに基づいて、第1のラベル値(例:「前兆」に対応する数値)または第2のラベル値(例:「通常」に対応する数値)を含む。
【0072】
この方法500は、506で、複数の特徴ベクトルのサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベルが正しい確率を決定することが含まれる。該サブセットには、第1のラベル値を示すラベルを持つ特徴ベクトルが含まれる。例えば、特徴ベクトル130および第1のラベル136が確率予測器134に提供されて、特徴ベクトル130のサブセットが正しくラベル付けされている確率を決定する。特徴ベクトル130のサブセットは、最初のラベリング工程中に第1のラベル値でラベル付け(例えば「前兆」)されている特徴ベクトルを含む。
【0073】
方法500は、508で、サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることを含む。これらの1つまたは複数の特徴ベクトルは、確率閾値を満たさない確率を有する。例えば、第1の特徴ベクトルは、第1のラベル値でラベル付け(例えば「前兆」)され、確率閾値を満たさない確率を有する。したがって、第1の特徴ベクトルのラベルは、第2のラベル値に再割り当てされる(例えば「通常」)。1つまたは複数の第1のラベル136を再割り当てすると、第2のラベル138が生成される。
【0074】
この方法500は、510で、1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、複数の特徴ベクトルと複数の特徴ベクトルに関連付けられたラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器を訓練することをさらに含む。航空機故障予測分類器は、航空機の第2のセンサーデータを使用して、航空機に対する第2の故障の発生を予測するように構成されている。例えば、特徴ベクトル130および第2のラベル138は、航空機故障予測分類器140を訓練するための教師あり訓練データとして使用される。航空機故障予測分類器140は、センサー102からのリアルタイムセンサーデータ152に基づいて航空機の故障を予測するように構成される。
【0075】
特定の実装形態では、1つまたは複数の特徴ベクトルは、該発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある。例えば、再割り当てされたラベルを持つ特徴ベクトルは、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある(例えば、特徴ベクトルには最初に「前兆」ラベルが割り当てられる)。故障に対する時間的近接度閾値の範囲内にあり、したがって第1の値でラベル付け(例えば「前兆」)されている1つまたは複数の特徴ベクトルを再割り当てすることにより、航空機故障予測分類器140による故障状態の偽陽性識別を減らし、そのことが航空機故障予測分類器140の有用性を向上させる。
【0076】
特定の実装形態では、航空機故障予測分類器には、ランダムフォレスト分類器が含まれる。例えば、航空機故障予測分類器140には、ランダムフォレスト分類器が含まれる。ランダムフォレスト分類器は、許容できる複雑さと分類速度を維持しながら、航空機故障予測分類器140が訓練データに過剰適合する可能性を減らす。
【0077】
特定の実装形態では、方法500は、確率予測器を訓練して、各特徴ベクトルに関連する確率を決定することをさらに含む。例えば、確率予測器134は、第1のラベル136の対応するラベルが正しい確率を示す確率係数を出力するように訓練される。確率予測器134を使用することにより、機械学習技術を使用した、確率の効率的な決定が可能になる。いくつかの実装形態では、確率予測器134には、ランダムフォレスト回帰予測器が含まれる。ランダムフォレスト回帰予測器は、許容できるレベルの複雑さと分類速度を維持しながら、確率予測器134が訓練データに過剰適合する可能性を減らす。
【0078】
特定の実装形態では、方法500は、第2のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトル、または確率閾値を満たす確率を有する、サブセットの特徴ベクトルを再ラベル付けすることを控えることをさらに含む。例えば
図3を参照すると、確率310が確率閾値330を満たす(例えば、それ以上である)であることから、第1の特徴ベクトル302は再ラベル付けされない。加えて、第3の特徴ベクトル306および第4の特徴ベクトル308は、特徴ベクトルが最初に第2のラベル値でラベル付け(例:「通常」)されることから、再ラベル付けされない。第2のラベル値で最初にラベル付けされた特徴ベクトルの再ラベル付けを控えることにより、実行される確率比較の数が減り、再ラベル付けプロセスの速度が向上する。
【0079】
特定の実装形態では、複数の特徴ベクトルは、複数のサンプル期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを含む。1つの潜在的、特徴的な状態値は、1つのサンプル期間に対応する。例えば、潜在的、特徴的な状態値のシーケンス202~214は、センサーデータ150に基づいて決定される。各潜在的、特徴的な状態値は、異なる期間に対応する。潜在的、特徴的な状態値のシーケンスを決定することは、故障状態を予測するために使用できる情報を決定する一方で、センサーデータ150のサイズを小さくする。いくつかの実装形態では、方法500は、センサーデータに対してクラスタリング操作を実行して、センサーデータを潜在的、特徴的な状態値に分類することを含む。例えば、センサーデータ150を潜在的、特徴的な状態値にクラスター化するために、センサーデータ150に対してクラスタリング操作が実行される。特定の実装形態では、クラスタリング操作には、k平均法クラスタリング操作、k非類似度総和最小法クラスタリング操作、DPGMMクラスタリング操作または別のタイプのクラスタリング操作が含まれる。センサーデータ150をクラスターにクラスター化することにより、センサーデータ150内の特徴および関係に基づいて、関連のある潜在的、特徴的な状態値を決定することができる。いくつかの実装形態では、潜在的、特徴的な状態値は、j次元の特徴空間内のクラスターに対応し、ここでjは、センサーデータ内のセンサー変数の種類の数である。例えば、クラスタリング操作の実行により、センサーデータ150は、j次元特徴空間内のクラスターに縮小される。センサーデータ150をj次元特徴空間内のクラスターに縮小すると、センサーデータ150内の多くの変数の特徴に基づいて、関連のある潜在的、特徴的な状態値を決定することができる。
【0080】
いくつかの実装形態では、複数の特徴ベクトルの第1の特徴ベクトルを決定することは、第1の期間のサンプル期間の第1のセット内の潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンスを決定することを含む。第1の特徴ベクトルの各要素は、第1のシーケンスの対応する潜在的、特徴的な状態値を含む。例えば、潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202は、
図2のサンプル期間t1~t4に対して決定される。第1の特徴ベクトルは、潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス202に基づいて生成され、
図2に示すように、第1の特徴ベクトルの第1の要素は第2の状態を含み、第1の特徴ベクトルの第2の要素は第2の状態を含み、第1の特徴ベクトルの第3の要素は第1の状態を含み、第1の特徴ベクトルの第4の要素は第3の状態を含む。いくつかの実装形態では、複数の特徴ベクトルの第2の特徴ベクトルを決定することは、第1の期間と部分的に重複する第2期間のサンプル期間の第2のセット内の潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンスを決定することを含む。第2の特徴ベクトルの各要素は、第2のシーケンスの対応する潜在的、特徴的な状態値を含む。例えば、潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンス204は、
図2のサンプル期間t2~t5(これは、第1の特徴ベクトルに関連するサンプル期間と部分的に重複する)に対して決定される。第2の特徴ベクトルは、潜在的、特徴的な状態値の第2のシーケンス204に基づいて生成され、
図2に示すように、第2の特徴ベクトルの第1の要素は第2の状態を含み、第2の特徴ベクトルの第2の要素は第1の状態を含み、第2の特徴ベクトルの第3の要素は第3の状態を含み、第2の特徴ベクトルの第4の要素は第3の状態を含む。潜在的、特徴的な状態値の時間的シーケンスに基づいて特徴ベクトルを生成すると、センサーデータ150全体を使用する場合と比較して、航空機故障予測分類器140を訓練するために使用される情報のサイズが小さくなる。
【0081】
特定の実装形態では、方法500は、航空機の運転中に航空機故障予測分類器を実行して、予測される第2の故障の発生および発生される第2の故障の予測に関連する特定の補修を示すプロンプトを生成することをさらに含む。例えば、リアルタイムセンサーデータ152にも基づく航空機故障予測分類器140の実行は、GUI160を介してディスプレイ装置106に表示されるプロンプト162を生成することができる。特定の実装形態では、プロンプト162は、航空機で実行される特定の補修を示す。例えば、航空機故障予測分類器の訓練の前に、特徴ベクトルは「通常」または「特定の故障の前兆」とラベル付けすることができ、航空機故障予測分類器140は、入力特徴ベクトルが「通常」または対応する種類の故障の「前兆」であるのか否かを識別するように訓練される。この例では、さまざまな種類の故障にさまざまな補修が関連付けられている。故障に関連付けられた特定の補修を識別すると、故障に対する応答性が向上する。
【0082】
特定の実装形態では、方法500は、航空機の運転中に航空機故障予測分類器を実行し、予測される第2の故障の発生に関連する特定の補修に基づいて補修スケジュールを再編成することをさらに含む。例えば、リアルタイムセンサーデータ152に基づく航空機故障予測分類器140の実行は、予測される故障の発生に関連する補修に基づいて補修スケジュール164を再編成することができる。さらに説明すると、航空機が着陸したときに特定の補修に優先順位を付けて故障を補正し、それにより航空機の保守および補修のダウンタイムを削減できる。障害が実際に発生していなくても、故障が予測される場合、将来の故障の発生を未然に防ぐために補修スケジュールを再編成することができる。
【0083】
特定の実装形態では、入力データを受信することは、センサーデータを受信し、複数の特徴ベクトルを生成することを含む。複数の特徴ベクトルは潜在的な状態特徴値のシーケンスを含み、複数の特徴ベクトルベクトルを生成することにより、センサーデータのサイズを小さくすることができる。例えば、特徴ベクトル130は、潜在的、特徴的な状態値のシーケンスに基づいて決定される。特徴ベクトルは(各要素のj変数の代わりに)j次元特徴空間内のクラスターに基づいているため、特徴ベクトル130の保存には、センサーデータ150全体の保存よりも少ないメモリ114の保存スペースを使う。
【0084】
方法500は、航空機故障予測分類器140の生成および訓練を可能にする。航空機故障予測分類器140は再ラベル付けされた訓練データ(例:第1のラベル136の代わりに、特徴ベクトル130および第2のラベル138)に基づいて訓練されるため、航空機故障予測分類器140は、故障の偽陽性識別をより少なく生成する。したがって、方法500は、航空機故障予測分類器140の有用性を向上させる。
【0085】
いくつかの実装形態では、
図4の方法400、
図5の方法500またはその両方は、コンピュータ可読記憶装置に格納された命令として具現化される。特定の実装形態では、コンピュータ可読記憶装置は、プロセッサによって実行されると、複数の特徴ベクトルを含む入力データを受信することを含む操作をプロセッサに実行させる命令を格納する。入力データには、1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータが含まれる。これらの操作には、故障の発生に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、複数の特徴ベクトルの各特徴ベクトルにラベルを付けることが含まれる。故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには、第1のラベル値が付けられ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには、第2のラベル値が付けられる。これらの操作には、複数の特徴ベクトルのサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベルが正しい確率を決定することが含まれる。該サブセットには、第1のラベル値を示すラベルを持つ特徴ベクトルが含まれる。これらの操作には、サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることが含まれ、1つまたは複数の特徴ベクトルは、確率閾値を満たさない確率を有する。これらの操作には、1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、複数の特徴ベクトルと複数の特徴ベクトルに関連付けられたラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器を訓練することがさらに含まれる。航空機故障予測分類器は、航空機の第2のセンサーデータを使用して、航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されている。特定の実装形態では、複数の特徴ベクトルは、対応する故障表示を伴う少なくともいくつかの日付を含む履歴データに少なくとも部分的に基づいている。例えば、センサーデータ150は、事前にラベル付けされた履歴故障データを含み得る。あるいは、最初のラベル付けプロセスを実行して、第1のラベル136を決定する。ラベル付き履歴データを使用して航空機故障予測分類器140を訓練することは、航空機故障予測分類器140が1または複数の航空機の1または複数の飛行からのセンサーデータに基づいて識別される故障を予測することを可能にする。別の特定の実装形態では、第2のセンサーデータは、航空機の運転中に生成されるリアルタイムまたは近リアルタイムセンサーデータを含む。例えば、航空機故障予測分類器140は、航空機の故障を予測するために、リアルタイムセンサーデータ152で実行される。航空機故障予測分類器140への入力としてリアルタイムセンサーデータ152を使用することは、航空機の飛行中の故障の予測を可能にする。
【0086】
図6および
図7を参照すると、本開示の実施例は、
図6のフロー図によって示されている車両の製造およびサービスの方法600、および
図7のブロックダイアグラムによって示されている車両システム700との関連で説明されている。
図6の車両の製造および保守の方法600により生産される車両及び
図7の車両700は、例示的、非限定的な例として、航空機、自動車、列車、オートバイ、バス、船舶もしくはボート、ロケット、宇宙船、自律車両、またはその他の車両を含み得る。
【0087】
図6を参照すると、航空機故障予測システムに関連する方法の例示的な例のフローチャートが示され、600とされる。製造前の段階で、例示的な方法600は、602においい、
図7を参照して説明される車両700などの車両の仕様および設計を含む。方法600は、車両の仕様および設計の作成段階で、1つまたは複数のセンサー、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ装置、又はこれらの組み合わせを指定することを含む。特定の実装形態では、上記の1つまたは複数のセンサー、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ装置はそれぞれ、
図1のセンサー102、プロセッサ112、メモリ114、ディスプレイ装置106を含むか又はそれに対応する。604では、方法600は材料の調達を含む。例えば、方法600は、航空機故障予測システムのための材料(1つまたは複数のセンサー、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ装置、またはこれらの組み合わせ等)を調達することを含み得る。
【0088】
製造中、方法600は、606におけるコンポーネントおよびサブアセンブリの製造を含み、608における車両のシステムインテグレーションを含む。特定の実装形態では、方法600は、航空機故障予測システムのコンポーネントおよびサブアセンブリの製造(例:1つまたは複数のセンサー、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ装置、またはこれらの組み合わせを製造すること)、ならびに航空機故障予測システムのシステムインテグレーション(例:1つまたは複数センサーをプロセッサに接続すること)を含む。方法600は、612における車両の認可および納品、612における車両の運行開始を含む。いくつかの実装形態では、認可および納品は、航空機故障予測システムの認可を含む。運行開始には、航空機故障予測システムを稼働させることも含まれる。顧客により運行される間に、車両は、定期的な整備および保守(改造、再構成、改修等も含み得る)が予定され得る。614において、方法600は、車両の整備および保守を実施することを含む。特定の実装形態では、方法600は、航空機故障予測システムの整備および保守を実施することを含む。例えば、航空機故障予測システムの整備および保守は、1つもしくは複数のセンサー、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ装置の1つまたは複数あるいはこれらの組み合わせ.を交換することを含む。
【0089】
方法600のプロセスの各々は、システムインテグレータ、第三者および/またはオペレータ(例えば顧客)によって実施または実行される。本明細書において、システムインテグレータとは、限定するものではないが、任意の数の車両製造者および主要システムの下請業者を含み、第三者とは、限定するものではないが、任意の数のベンダー、下請業者および供給業者を含み、オペレータとは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等である。
【0090】
図7を参照すると、航空機故障予測システムのコンポーネントを含む車両の例示的な実装形態のブロック図が示され、700とされる。特定の実装形態では、車両700は航空機を含む。他の実装形態では、車両700は他のタイプの車両を含む。少なくとも1つの実行形態において、車両700は、
図6の方法600の少なくとも一部によって製造される。
図7に示すように、車両700は、複数のシステム720および内装722を備えた機体718を含む。複数のシステム720の例には、推進システム724、電気システム726、環境システム728、油圧システム730、およびセンサーシステム(例えばセンサー102)の1つまたは複数が含まれる。センサー102は、車両700に搭載された1つまたは複数のセンサーを含み、車両700の運転前、運転中、運転後にセンサーデータを生成するように構成されている。
【0091】
車両700は、航空機故障予測システム734も含む。航空機故障予測システム734は、
図1を参照して説明されるように、プロセッサ112およびメモリ114を含む。プロセッサ112は、車両700の故障を予測するために、センサー102からのリアルタイム(または近リアルタイム)センサーデータで航空機故障予測分類器140を実行するように構成される。航空機故障予測システム734は、
図1を参照して説明されるように、ディスプレイ装置106(GUI 160を表示するように構成されている)を任意選択的に含む。
【0092】
任意の数の他のシステムが車両700に含まれ得る。航空宇宙産業の例が示されているが、本開示は、他の産業にも適用され得る。例えば、航空機故障予測システム734は、有人もしくは無人車両(衛星、船舶または陸上車両等)に搭載して、又は建物もしくは他の構造物内で使用することができる。
【0093】
本明細書に含まれる装置および方法は、
図6の方法600の任意の1つまたは複数の段階で用いられ得る。例えば、製造プロセス608に対応するコンポーネントまたはサブアセンブリは、例えば、限定するものではないが、612における車両700の運行中に製造されるコンポーネントまたはサブアセンブリと同様の方法で作製または製造され得る。また、装置の1つまたは複数の実装、方法の実装、またはこれらの組み合わせは、例えば、車両700の組立てを実質的に効率化するか、または車両700のコストを削減することにより、製造段階(例えば方法600の段階602~610)で利用することができる。同様に、装置の実装、方法の実装またはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を、例えば、限定するものではないが、700における車両700の運行中に、614における整備および保守に利用することができる。
【0094】
図1~7の1つまたは複数は、本開示の教示によるシステム、装置および/または方法を示し得るが、本開示は、これらの図示されたシステム、装置および/または方法に限定されない。本明細書で図示または説明される
図1~7のいずれかの1つもしくは複数の機能またはコンポーネントは、別の
図1~7の1つまたは複数の他の部分と組み合わせることができる。例えば、
図5の方法500、
図6の方法600の1つもしくは複数の要素またはそれらの組み合わせは、
図5の方法500、
図6の方法600の1つもしくは複数の要素、それらの任意の組み合わせ、または本明細書に記載の他の操作と組み合わせて実施されてもよい。したがって、本明細書で説明される実装形態は、1つとして限定として解釈されるものではなく、本開示の実装形態は、本開示の教示から逸脱することなく適切に組み合わせることができる。一例として、
図5~6を参照して説明される1つまたは複数の操作は任意であり、少なくとも部分的に同時に実行され、かつ/または図示または説明とは異なる順序で実行され得る。
【0095】
本明細書で説明されている例の図は、さまざまな実装の構造の概略的な理解をもたらすことを意図している。これらの図は、本明細書に記載された構造または方法を利用する装置およびシステムのすべての要素および特徴を網羅的に説明することを意図していない。本開示を精査することで、当業者には、他の多くの実装が明らかになり得る。他の実装形態を、本開示の範囲から逸脱することなく構造および論理的な置換および変更を行うことができるように利用し、本開示から引き出すことができる。例えば、方法操作を図に示す順序とは異なる順序で実行してもよく、または1つもしくは複数の方法操作を省略してもよい。したがって、本開示および図は、限定的というよりは、むしろ例示的なものとみなされるべきである。
【0096】
さらに、本明細書では具体的な例を図示および説明してきたが、同一または類似の結果を実現するよう設計された任意の後続の構成を、示された特定の実装形態と置き換えてもよい。本開示は、さまざまな実装のありとあらゆる後続する適用例または変形例を網羅することが意図されている。上述の実装の組み合わせ、および本明細書で特段に説明していないその他の実装は、本明細書を精査することで当業者には明らかになるであろう。
【0097】
さらに、本開示は、以下の条項による実装形態を含む。
【0098】
条項1. 航空機故障予測分類器(140)を生成する方法が、
複数の特徴ベクトル(130)を含む入力データを受信することであって、入力データが1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータ(150)を含む、受信すること;
故障の発生に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、複数の特徴ベクトル(130)の各特徴ベクトルにラベルを付けることであって、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには第1のラベル値が付けられ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには第2のラベル値が付けられる、ラベルを付けること;
複数の特徴ベクトル(130)のサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベル値が正しい確率を決定することであって、サブセットが第1のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルを含む、決定すること;
サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることであって、1つまたは複数の特徴ベクトルが確率閾値を満たさない確率を有する、再割り当てすること;および
1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、複数の特徴ベクトル(130)と複数の特徴ベクトルに関連付けられたラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器(140)を訓練することであって、航空機故障予測分類器(140)は航空機の第2のセンサーデータを使用して航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されている、訓練すること
を含む、方法。
【0099】
条項2. 1つまたは複数の特徴ベクトルが故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある、条項1の方法。
【0100】
条項3. 航空機故障予測分類器(140)がランダムフォレスト分類器を含む、条項1または2の方法。
【0101】
条項4. 各特徴ベクトルに関連する確率を決定するために確率予測器(134)を訓練することをさらに含む、条項1~3のいずれか1つの方法。
【0102】
条項5. 確率予測器(134)がランダムフォレスト回帰予測器を含む、条項1~4のいずれか1つの方法。
【0103】
条項6. 第2のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルまたは確率閾値を満たす確率を有する、サブセットの特徴ベクトルを再ラベル付けすることを控えることをさらに含む、条項1~5のいずれか1つの方法。
【0104】
条項7. 条項1~6のいずれか1つの方法であって、複数の特徴ベクトル(130)が、複数のサンプル期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)を含み、1つの潜在的、特徴的な状態値は1つのサンプル期間に対応する、方法。
【0105】
条項8. 条項1~7のいずれか1つの方法であって、潜在的、特徴的な状態値が、j次元の特徴空間内のクラスターに対応し、jはセンサーデータ(150)内のセンサー変数の種類の数である、方法。
【0106】
条項9. 条項1~8のいずれか1つの方法であって、センサーデータ(150)に対してクラスタリング操作を実行して、センサーデータ(150)を潜在的、特徴的な状態値に分類することをさらに含む、方法。
【0107】
条項10. 条項1~8のいずれか1つの方法であって、複数の特徴ベクトル(130)の第1の特徴ベクトルを決定することが第1の期間のサンプル期間の第1のセット内の潜在的、特徴的な状態値の第1のシーケンス(202)を決定することを含み、第1の特徴ベクトルの各要素は第1のシーケンス(202)の対応する潜在的、特徴的な状態値を含む、方法。
【0108】
条項11. 航空機の運転中に航空機故障予測分類器(140)を実行して、予測される第2の故障の発生および予測される第2の故障の発生に関連する特定の補修を示すプロンプト(162)を生成することをさらに含む、条項1~10のいずれか1つの方法。
【0109】
条項12. 航空機の運転中に航空機故障予測分類器(140)を実行して、予測される第2の故障の発生に関連する特定の補修に基づいて補修スケジュール(164)を再編成することをさらに含む、条項1~11のいずれか1つの方法。
【0110】
条項13. 条項1~12のいずれか1つの方法であって、入力データを受信することが、センサーデータ(150)を受信することと、複数の特徴ベクトル(130)を生成することとを含み、複数の特徴ベクトル(130)は潜在的な状態特徴値のシーケンス(202~214)を含み、複数の特徴ベクトル(130)を生成することがセンサーデータ(150)のサイズを小さくする、方法。
【0111】
条項14. プロセッサ(112):及びプロセッサ(112)に接続され、プロセッサ(112)によって実行可能な、操作を実行せよという命令を格納しているメモリ(114)を備えるシステム(100)であって、前記操作が:
複数の特徴ベクトル(130)を含む入力データを受信することであって、入力データが1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータ(150)を含む、受信すること;
故障の発生に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、複数の特徴ベクトル(130)の各特徴ベクトルにラベルを付けることであって、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには第1のラベル値が付けられ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには第2のラベル値が付けられる、ラベルを付けること;
複数の特徴ベクトル(130)のサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベル値が正しい確率を決定することであって、サブセットが第1のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルを含む、決定すること;
サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることであって、1つまたは複数の特徴ベクトルが確率閾値を満たさない確率を有する、再割り当てすること;および
1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、複数の特徴ベクトル(130)と複数の特徴ベクトル(130)に関連付けられたラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器(140)を訓練することであって、航空機故障予測分類器(140)は航空機の第2のセンサーデータを使用して航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されている、訓練すること
を含む、システム(100)。
【0112】
条項15. 条項14のシステム(100)であって、複数の特徴ベクトル(130)が、複数のサンプル期間にわたる潜在的、特徴的な状態値のシーケンス(202-214)を含み、各潜在的、特徴的な状態は1つのサンプル期間に対応し、潜在的、特徴的な状態値は1つの特徴空間の1つのクラスターに対応する、システム(100)。
【0113】
条項16. プロセッサ(112)が航空機故障予測分類器(140)を実行するように構成されている条項14または15のシステム(100)が、航空機をさらに備える、システム(100)。
【0114】
条項17. 第2のセンサーデータを生成するために航空機を監視するように構成された1つまたは複数のセンサー(102)をさらに備える、条項14~16のいずれか1つのシステム(100)。
【0115】
条項18. コンピュータ可読記憶装置であって、プロセッサ(112)によって実行されると、
複数の特徴ベクトル(130)を含む入力データを受信することであって、入力データが1または複数の航空機に関連付けられたセンサーデータ(150)を含む、受信すること;
故障の発生に対する特徴ベクトルの時間的近接度に基づいて、複数の特徴ベクトル(130)の各特徴ベクトルにラベルを付けることであって、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にある特徴ベクトルには第1のラベル値が付けられ、故障の発生に対する時間的近接度閾値の範囲内にない特徴ベクトルには第2のラベル値が付けられる、ラベルを付けること;
複数の特徴ベクトル(130)のサブセットの各特徴ベクトルについて、特徴ベクトルに関連付けられたラベルが正しい確率を決定することであって、サブセットが第1のラベル値を示すラベルを有する特徴ベクトルを含む、決定すること;
サブセットの1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てすることであって、1つまたは複数の特徴ベクトルが確率閾値を満たさない確率を有する、再割り当てすること;および
1つまたは複数の特徴ベクトルのラベルを再割り当てした後、複数の特徴ベクトル(130)と複数の特徴ベクトル(130)に関連付けられたラベルとを含む教師あり訓練データを使用して、航空機故障予測分類器(140)を訓練することであって、航空機故障予測分類器(140)は航空機の第2のセンサーデータを使用して航空機の第2の故障の発生を予測するように構成されている、訓練すること
を含む操作をプロセッサ(112)に実行させる命令を格納する、コンピュータ可読記憶装置。
【0116】
条項19. 条項18のコンピュータ可読記憶装置であって、複数の特徴ベクトル(130)が、対応する故障表示を伴う少なくともいくつかのデータを含む履歴データに少なくとも部分的に基づいている、コンピュータ可読記憶装置。
【0117】
条項20. 条項18または19のコンピュータ可読記憶装置であって、第2のセンサーデータが、航空機の運転中に生成されるリアルタイムまたは近リアルタイムセンサーデータ(152)を含む、コンピュータ可読記憶装置。
【0118】
「要約書」は、特許請求の範囲もしくはその意味を解釈する又は限定するために使用されないとの理解のもとに、提出されるものである。 加えて、上記の「発明を実施するための形態」においては、本開示を簡潔にする目的で、様々な特徴が一つにまとめられたり、又は一つの実装形態として説明されたりする場合がある。上述の実施例は、本開示を説明するが、本開示を限定するものではない。また、本開示の原理に従って多くの修正例および変形例が可能である。以下の特許請求の範囲が示すように、特許請求される主題は、開示されたいずれかの例のすべての特徴よりも少ない特徴に関する場合がある。したがって、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって規定される。