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  • 特許-電池保護構造体 図1
  • 特許-電池保護構造体 図2
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  • 特許-電池保護構造体 図4
  • 特許-電池保護構造体 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】電池保護構造体
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20231117BHJP
   B60L 50/64 20190101ALI20231117BHJP
   B60K 6/28 20071001ALN20231117BHJP
【FI】
B60K1/04 Z ZHV
B60L50/64
B60K6/28
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019209548
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021079850
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】高波 雄太
(72)【発明者】
【氏名】久々江 岳文
(72)【発明者】
【氏名】川口 聡
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0272853(US,A1)
【文献】特開2013-89449(JP,A)
【文献】特開2019-18765(JP,A)
【文献】特開2013-129391(JP,A)
【文献】特開平7-242125(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017005315(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00- 6/12
B60K 7/00- 8/00
B60K 16/00
B60K 6/20- 6/547
B60L 50/64
B60W 10/00
B60W 10/02
B60W 10/06
B60W 10/08
B60W 10/10
B60W 10/18
B60W 10/26
B60W 10/28
B60W 10/30- 20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護部材と、前記保護部材の上面側に重ねた板状の止水部材と、前記止水部材の上面側に配置した電池モジュールの搭載部とを備え、
前記保護部材複数の保護フレームを相互に連結してあり、
前記保護フレームは中空部を有するベース部とその両側の嵌合凹部と嵌合凸部とからなる全体として断面コ字形状であり、隣り合う保護フレームは一方の嵌合凹部と他方の嵌合凸部とが相互に嵌合連結されていることを特徴とする電池保護構造体。
【請求項2】
前記相互に連結された複数の保護フレームの連結方向と直交する端部は中空断面形状からなるサイドフレームが連結されていることを特徴とする請求項1記載の電池保護構造体。
【請求項3】
前記止水部材の上面に配置した電池モジュールを覆うカバー部材を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電池保護構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に二次電池を搭載するのに用いられる電池保護構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車の分野には、電池モジュール,電池パック等と称される二次電池が搭載されている。
一回の充電で走行できる航続距離を長くするには、それだけ二次電池の搭載スペースが広く必要となり、重量も大きくなる。
そこで近年は、車両のフロア下面側に電池搭載スペースを確保することが検討されている。
この場合に、外部からの雨水の浸入を防ぐ必要がある。
例えば特許文献1には、電池(バッテリ)を搭載するためのバッテリフレームに内周縁と外周縁を設けることで、この間にフロアメンバをシール材を挟むように嵌合する構造を開示する。
しかし、このような構造にあっては、車両への取付作業が大変である。
また、同公報に開示するバッテリフレームの構造では、外部からの入力荷重に対しての電池の保護が不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-242125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、車両に搭載する電池の保護効果が高く、止水性に優れる電池保護構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電池保護構造体は、保護部材と、前記保護部材の上面側に重ねた板状の止水部材と、前記止水部材の上面側に配置した電池モジュールの搭載部とを備え、前記保護部材はそれぞれ中空断面形状からなる複数の保護フレームを相互に連結してあることを特徴とする。
【0006】
ここで保護部材は、車両のフロアの下部側から等の衝撃等の入力荷重から電池を保護するためのものであり、本発明においてはアルミニウム合金押出材等の中空断面形状とした。
電池の搭載量が多くなると、保護部材の車両幅方向や前後方向の長さが大きくなり、押出成形等が設備上の制限等から製作が難しくなる。
そこで本発明は、中空断面形状からなる保護フレームを複数連結したものである。
連結方法は、溶接,嵌合,ビス止め等、いろいろな方法を採用できる。
【0007】
本発明においては、仮に保護フレームの連結部から雨水等が浸入しても、その上面側に重ねた板状の止水部材でその浸入を遮断できるので、保護フレームの連結が容易になる。
【0008】
本発明において、相互に連結された複数の保護フレームの連結方向と直交する端部は中空断面形状からなるサイドフレームが連結されていてもよい。
このようにすると、中空断面形状からなる保護フレームの中空断面端部に中空断面形状からなるサイドフレームの側部が突き当たり、全体としての保護効果が向上する。
全体としては、中空断面形状のフレーム体で左右及び前後方向を構成するので、下面側からの入力のみならず、左右,前後方向からの入力に対しても保護効果が向上する。
【0009】
本発明においては、必要に応じて、止水部材の上面に配置した電池モジュールを覆うカバー部材を有していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電池保護構造体にあっては、中空断面形状からなる複数の保護フレームを相互に連結するとともに、その上面に板状の止水部材を配置したので、電池の優れた保護効果と高い止水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は電池保護構造体の斜視図、(b)は保護部材とサイドフレーム、(c)は保護部材の例を示す。
図2】(a)はA-A線断面図、(b)は断面斜視図を示す。
図3】(a)はB-B線断面の一部を示し、(b)は分解図を示す。
図4】電池保護構造体の分解図を示す。
図5】保護フレームの他の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る電池保護構造体の構成例を以下図に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明に係る電池保護構造体の斜視図を示し、カバー部材50は内部の電池モジュール1が分かるように透視図として示した。
図1(b)は、複数の保護フレーム11~15からなる保護部材10と、サイドフレーム21,22との関係を示す。
図1(c)は、保護部材10を単体で示す。
図1(a)のA-A線断面図を図2(a)に示し、B-B線断面図の一部を図3(a)にそれぞれ示す。
【0013】
本実施例における保護部材10は、5本の保護レール11~15を連結した例になっているが、電池モジュールの搭載量に合せて連結本数を選ぶことができる。
保護レール11~15は、同じ構造であり、保護レール11にて説明する。
保護レール11は、複数の中空部11aを有するベース部材の一方の長手方向端部に沿って嵌合凹部11bを有し、反対側が嵌合凸部11cになっている。
保護レール12~15も同様になっていて、例えば保護レール12は、中空部12aと嵌合凹部12b、嵌合凸部12cを有している。
本実施例では、複数の中空部11aからなるベース部と両側の嵌合凹部11bと嵌合凸部11cにて、全体として断面コ字形状になっている。
中空断面形状からなる保護フレームであればこれに限定されないが、断面コ字形状であれば強度が高くなる。
それぞれ隣り合う嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合連結され、必要に応じ溶接接合してある。
連結構造はこれに限定されないが、嵌合構造であると連結部の上下方向の変形荷重が強くなる。
これにより、図1(c)に示すように全体として、長方形のパネル形状の保護部材10が形成される。
【0014】
保護フレーム11~15は、アルミニウム合金の押出材を用いてあり、中空断面の両側の端部に中空部21a,22aを有するサイドフレーム21,22を連結してある。
サイドフレーム21,22は、図3,4に示すように上下一対の嵌合片(21b,21c),(22b,22c)を有し、この間に保護フレーム側の中空部(ベース部)の端部が挿入嵌合された状態で連結してある。
この状態を図1(b)に示す。
これにより、複数の保護フレーム11~15と、これに直交する左右端部のサイドフレーム21,22にて骨組形状の保護部材10が得られ、下側からの入力荷重や、左右,前後の入力荷重に対しても優れた保護効果を示す。
【0015】
本発明は、この保護部材10の上面側の概ね全体を覆うサイズの板状の止水部材30を重ねるように配置した点にも特徴がある。
止水部材は、圧延材や樹脂シート材であってもよい。
これにより、複数の保護フレームの連結部がこの止水部材30にて覆われているので、この部分の止水効果が高い。
【0016】
止水部材30の上面側には、適宜取付部材40を連結し、電池モジュール1の端部のブラケット1a,1bを介して、ビス,ボルト等にて固定する。
また、必要に応じて電池モジュール1の上部をカバー部材50にて覆ってもよい。
カバー部材50は、逆さにした箱形になっていて、外縁部に取付片51~54を有し、止水部材30の上面側に取り外し可能に固定でき、内部に複数の電池モジュール1を搭載することができる。
このカバー部材50は、圧延材を用いてプレス成形してもよく、樹脂材を用いて成形してもよい。
【0017】
本発明に係る電池保護構造体は、サイドフレーム21,22を用いて、車体のフロア側に取り付けることができる。
例えば、車体のフロアを構成するメンバ等にボルト固定することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 電池モジュール
10 保護部材
11 保護フレーム
11a 中空部
11b 連結凹部
11c 連結凸部
21 サイドフレーム
21a 中空部
30 止水部材
40 取付部材
50 カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5