(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】泡吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20231117BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
B65D47/34 110
F04B9/14 B
(21)【出願番号】P 2019236151
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-075268(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0149777(US,A1)
【文献】特開2007-137497(JP,A)
【文献】特開2005-238214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、
前記ステムの上端部に装着され、吐出孔が形成された押下ヘッドと、
前記ポンプを前記口部に装着する装着キャップと、を備え、
前記ポンプは、
前記ステムに連係する液用ピストンが内部に上下摺動自在に設けられた液用シリンダと、
前記ステムの下降移動に伴い、内容積が縮小するように弾性変形させられる空気供給体と、
前記液用シリンダから移送される内容液と前記空気供給体から移送される空気とを混合する気液混合室と、
前記空気供給体の上端部を支持する上支持部と、
前記空気供給体の下端部を支持する下支持部と、を備え、
前記上支持部および前記下支持部は、前記ステムの上下動に連係して、上下方向に互いに接近、および離間し、
前記空気供給体は、
上下方向に延びる本体筒と、
前記本体筒の上端部から径方向の内側に向けて突出し、前記上支持部に支持された環状の被支持部と、を備え、
前記ステムが下降端位置に位置したときに、前記被支持部の内周縁部における下面が、前記装着キャップに当接する、泡吐出器。
【請求項2】
前記装着キャップに、前記空気供給体の下端部を支持する下支持部が形成されている、請求項1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
前記空気供給体内と前記泡吐出器の外部とを連通可能な外気導入孔を備え、
前記ポンプは、
前記空気供給体が内容積を縮小するように弾性変形したときに、前記空気供給体内と前記外気導入孔との連通を遮断して、前記空気供給体内の空気が、前記泡吐出器の外部に放出されるのを規制し、かつ前記空気供給体が内容積を拡張するように復元変形したときに、前記空気供給体内と前記外気導入孔とを連通させ、前記泡吐出器の外部から前記空気供給体内に空気を供給させる空気弁を備え、
前記空気弁は、前記空気供給体と一体に形成されている、請求項1または2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
前記空気供給体は、上下方向に延びる本体筒を備え、
前記本体筒は、前記ステムを径方向の外側から囲い、
前記上支持部および前記下支持部はそれぞれ、周方向の全長にわたって延びている、請求項
1から3のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器本体の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、ステムの上端部に装着され、吐出孔が形成された押下ヘッドと、ポンプを口部に装着する装着キャップと、を備え、ポンプが、ステムに連係する液用ピストンが内部に上下摺動自在に設けられた液用シリンダと、ステムに連係する空気用ピストンが内部に上下摺動自在に設けられた空気用シリンダと、液用シリンダから移送される内容液と空気用シリンダから移送される空気とを混合する気液混合室と、を備える構成が知られている。
この泡吐出器では、押下ヘッドをステムとともに押下すると、液用ピストンおよび空気用ピストンも下降することで、液用シリンダから内容液が、空気用シリンダから空気が、それぞれ気液混合室に移送され、内容液が空気と混合されて発泡し、泡が吐出孔から吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の泡吐出器では、空気用シリンダの内径が、液用シリンダの内径より大きいうえに、ステムの上下動に伴い、空気用シリンダの内周面上を空気用ピストンが摺動するので、例えば、空気用シリンダおよび空気用ピストンを有さず、内容液を液状のまま吐出する構成等と比べて、吐出時に押下ヘッドに加える押下力が高いという問題があった。
また、空気用シリンダの内周面に設けた潤滑剤(例えばシリコン塗料等)が、空気用シリンダ内に進入した内容液および水によって除去され、ステムを上下動させたときに作動不良等が生ずるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、泡を吐出する際に押下ヘッドに加える押下力が高くなるのを抑えることができるだけでなく、作動不良等を生じにくくすることもできる泡吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の泡吐出器は、容器本体の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端部に装着され、吐出孔が形成された押下ヘッドと、前記ポンプを前記口部に装着する装着キャップと、を備え、前記ポンプは、前記ステムに連係する液用ピストンが内部に上下摺動自在に設けられた液用シリンダと、前記ステムの下降移動に伴い、内容積が縮小するように弾性変形させられる空気供給体と、前記液用シリンダから移送される内容液と前記空気供給体から移送される空気とを混合する気液混合室と、前記空気供給体の上端部を支持する上支持部と、前記空気供給体の下端部を支持する下支持部と、を備え、前記上支持部および前記下支持部は、前記ステムの上下動に連係して、上下方向に互いに接近、および離間し、前記空気供給体は、上下方向に延びる本体筒と、前記本体筒の上端部から径方向の内側に向けて突出し、前記上支持部に支持された環状の被支持部と、を備え、前記ステムが下降端位置に位置したときに、前記被支持部の内周縁部における下面が、前記装着キャップに当接する。
【0007】
本発明によれば、ポンプが、気液混合室に空気を移送する部材として、互いに摺接する空気用シリンダおよび空気用ピストンに代えて、ステムの下降移動に伴い、内容積が縮小するように弾性変形させられる空気供給体を備えているので、ステムが上下動したときに摺接する箇所を削減することが可能になるとともに、内容積が縮小した空気供給体を、例えばステムを上方付勢する付勢部材の上方付勢力を用いず、空気供給体自身の弾性復元力によって復元変形させることが可能になり、泡を吐出する際に押下ヘッドに加える押下力を容易に低減することができる。
気液混合室に空気を移送する部材として、互いに摺接する空気用シリンダおよび空気用ピストンを排除することが可能になることから、内容液および水等の付着によって、空気用シリンダの内周面に設けた潤滑剤が除去される不具合が生ずることがなくなり、ステムを上下動させたときに作動不良等が生ずるのを抑えることができる。
【0008】
前記装着キャップに、前記空気供給体の下端部を支持する下支持部が形成されてもよい。
【0009】
この場合、装着キャップに、空気供給体の下端部を支持する下支持部が形成されているので、空気供給体の全体が、容器本体の外部に設けられることとなり、容器本体の口部に空気供給体を挿入する必要がないことから、口部の内径を小さく抑えることができる。これにより、例えば、容器本体の外観形状に制約が生ずるのを抑制すること、容器本体の成形性を向上させること、および口部のシール性を容易に確保すること等ができる。
一般に、気液混合室に移送する空気の体積は、気液混合室に移送する内容液の体積と比べて、例えば13倍程度と大きくする必要があるので、空気供給体の体積を、液用シリンダの体積よりも大きくする必要がある。したがって、空気供給体の全体を、容器本体の外部に設けると、口部の内径を小さく抑えることができる。
【0010】
前記空気供給体内と前記泡吐出器の外部とを連通可能な外気導入孔を備え、前記ポンプは、前記空気供給体が内容積を縮小するように弾性変形したときに、前記空気供給体内と前記外気導入孔との連通を遮断して、前記空気供給体内の空気が、前記泡吐出器の外部に放出されるのを規制し、かつ前記空気供給体が内容積を拡張するように復元変形したときに、前記空気供給体内と前記外気導入孔とを連通させ、前記泡吐出器の外部から前記空気供給体内に空気を供給させる空気弁を備え、前記空気弁は、前記空気供給体と一体に形成されてもよい。
【0011】
この場合、空気弁が空気供給体と一体に形成されているので、ポンプが、空気用シリンダおよび空気用ピストンに代えて、弾性変形可能に形成された空気供給体を備えていることと相俟って、ポンプの部品点数を確実に削減することができる。
【0012】
前記ポンプは、前記空気供給体の上端部を支持する上支持部と、前記空気供給体の下端部を支持する下支持部と、を備え、前記上支持部および前記下支持部は、前記ステムの上下動に連係して、上下方向に互いに接近、および離間してもよい。
【0013】
この場合、ポンプが、ステムの上下動に連係して、上下方向に互いに接近、および離間する上支持部および下支持部を備えているので、ステムの下降移動に伴い、空気供給体が、上支持部および下支持部により上下方向に押圧されることとなり、内容積が縮小するように空気供給体を弾性変形させたときの空気供給体の形態を安定させることが可能になり、例えば、気液混合室に供給される空気の量、および押下力等の変動を抑えることができる。
【0014】
前記空気供給体は、上下方向に延びる本体筒と、前記本体筒の上端部から径方向の内側に向けて突出し、前記上支持部に支持された被支持部と、を備えてもよい。
【0015】
この場合、空気供給体が被支持部を備えているので、押下ヘッドを押下したときに、本体筒の上端部から径方向の内側に向けて突出した被支持部が、上支持部により下方に押し込まれることとなり、内容積が縮小するように空気供給体を弾性変形させたときの空気供給体の形態を確実に安定させることができるとともに、押下ヘッドに加える押下力を容易に低減することができる。
【0016】
前記空気供給体は、上下方向に延びる本体筒を備え、前記本体筒は、前記ステムを径方向の外側から囲い、前記上支持部および前記下支持部はそれぞれ、周方向の全長にわたって延びてもよい。
【0017】
この場合、空気供給体の本体筒が、ステムを径方向の外側から囲い、上支持部および下支持部がそれぞれ、周方向の全長にわたって延びているので、押下ヘッドを押下して、内容積が縮小するように空気供給体を弾性変形させたときの空気供給体の形態を一層安定させることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、泡を吐出する際に押下ヘッドに加える押下力が高くなるのを抑えることができるだけでなく、作動不良等を生じにくくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る一実施形態として示した泡吐出器の縦断面図である。
【
図2】
図1の泡吐出器において、ステムが下降端位置に位置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る泡吐出器1について、図面を参照して説明する。
本実施形態の泡吐出器1は、
図1に示されるように、ステム12を有するポンプ13と、ステム12に装着された押下ヘッド14と、ポンプ13を容器本体2の口部3に装着する装着キャップ11と、後述する空気供給体22内に連通可能な外気導入孔64aと、を備えている。
【0021】
内容液が収容される有底筒状の容器本体2、装着キャップ11、およびステム12はそれぞれ、共通軸と同軸に設けられている。以下、この共通軸を軸線Oという。
軸線Oが延びる方向に沿って、容器本体2の底部から押下ヘッド14へ向かう方向を上方といい、押下ヘッド14から容器本体2の底部へ向かう方向を下方といい、軸線Oが延びる方向を上下方向という。
上下方向から見て、軸線Oに交差する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0022】
装着キャップ11は、環状のキャップ天壁部11a、およびキャップ周壁部11bを有する有頂筒状に形成されている。
キャップ天壁部11aは、軸線Oと同軸に配設されている。キャップ天壁部11aの上面における内周縁部に、上方に向けて延びるガイド筒18が形成されている。なお、装着キャップ11は、ガイド筒18を有しなくてもよい。
キャップ周壁部11bは、キャップ天壁部11aの外周縁部から下方に向けて延びている。キャップ周壁部11bの内周面に雌ねじ部が形成されている。装着キャップ11は、口部3に螺着されている。なお、装着キャップ11は、口部3に例えばアンダーカット嵌合されてもよい。キャップ周壁部11bに、径方向の外側に向けて突出した張出壁部15が形成されている。なお、装着キャップ11は、張出壁部15を有しなくてもよい。
【0023】
ガイド筒18の上端部の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、ステム12の外周面に近接した近接突起18dが形成されている。近接突起18dは、周方向の全長にわたって連続して延びている。ガイド筒18の外周面に、上下方向に延びるガイド溝18aが形成されている。ガイド溝18aは、ガイド筒18の上端開口縁に開口している。
図3に示されるように、ガイド溝18aは、ガイド筒18の外周面に、周方向に間隔をあけて複数形成されている。ガイド溝18aは、2つ設けられ、軸線Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。
【0024】
ガイド筒18の上端開口縁に、乗り越え突部18b、および第1規制突起18cが形成されている。複数のガイド溝18aそれぞれに対して、周方向に沿う同じ向きに間隔をあけて、乗り越え突部18b、および第1規制突起18cが、この順に設けられている。乗り越え突部18bは、第1規制突起18cと比べて上下方向、および周方向の各大きさが小さくなっている。これにより、押下ヘッド14の、後述するストッパ部55が、乗り越え突部18bは周方向に摺接しながら乗り越えられる一方、第1規制突起18cは周方向に乗り越えられないようになっている。
【0025】
ガイド筒18の上端開口縁に、ガイド溝18aに対して、周方向に沿う乗り越え突部18bの反対側から近接する第2規制突起18eが形成されている。これにより、後述するストッパ部55が、乗り越え突部18b側からガイド溝18aの直上まで到達したときに、第2規制突起18eに当接することで、ガイド溝18aを周方向に通過することが規制される。
【0026】
張出壁部15は、周方向の全長にわたって連続して延びている。なお、張出壁部15は、周方向の全長にわたって断続的に延びてもよい。張出壁部15のうち、外周部(下支持部)15aは内周部15bより下方に位置し、これらの外周部15aと内周部15bとの接続部分は、上下方向に延びる筒状に形成された段部15cとなっている。段部15cに、径方向の外側に向けて突出した、不図示のシール突起が形成されている。このシール突起により、後述する空気供給体22の下端開口をシールしている。外周部15a、内周部15b、および段部15cは、軸線Oと同軸に配設されている。
【0027】
張出壁部15の外周縁部に、張出壁部15に対して上下方向の双方に突出した外筒部16が形成されている。外筒部16の上端部に、径方向の内側に向けて突出した第2係止突起16aが形成されている。
図3に示されるように、第2係止突起16aは、上下方向から見て、周方向に長い長方形状を呈する。第2係止突起16aは、周方向に間隔をあけて複数(図示の例では4つ)形成されている。第2係止突起16aは、周方向に同等の間隔をあけて複数形成されている。第2係止突起16aの周方向の大きさは、周方向で隣り合う第2係止突起16a同士の間の周方向の間隔と同等になっている。張出壁部15の外周部15aにおいて、第2係止突起16aと上下方向で対向する部分に、上下方向に貫通し、上下方向から見て、第2係止突起16aよりわずかに大きく、第2係止突起16aの全体が内側に位置する型抜き用孔16bが形成されている。
【0028】
図1に示されるように、ポンプ13は、口部3に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステム12と、ステム12に連係して上下動する液用ピストン23と、内部に液用ピストン23が上下摺動自在に設けられた液用シリンダ25と、ステム12の下降移動に伴い、内容積が縮小するように弾性変形させられる空気供給体22と、液用シリンダ25から移送される内容液と空気供給体22から移送される空気とを混合する気液混合室26と、空気供給体22内と外気導入孔64aとを連通、および遮断する空気弁48と、を備えている。
【0029】
液用シリンダ25は、装着キャップ11に固定された取付筒部17と、取付筒部17から下方に向けて延びるとともに取付筒部17より小径のシリンダ筒部19と、シリンダ筒部19から下方に向けて延びるとともにシリンダ筒部19より小径の嵌合筒部25aと、を備えている。
液用シリンダ25は、下方に位置するものほど直径が小さい多段筒状に形成されている。液用シリンダ25のうち、最も外径の大きい取付筒部17の外径は、口部3の内径より小さくなっている。液用シリンダ25は、軸線Oと同軸に配設されている。
【0030】
取付筒部17の上端部に、径方向の外側に向けて突出する取付フランジ部17aが形成されている。取付フランジ部17aは、キャップ周壁部11bの上端部内に嵌合されている。取付フランジ部17aは、キャップ天壁部11aの下面と、口部3の上端開口縁と、により上下方向に挟まれる。取付筒部17に、容器本体2の内側に向けて開口する横孔17bが形成されている。横孔17bは径方向に開口している。取付筒部17内に、横孔17bを開閉する閉塞筒29が上下摺動可能に嵌合されている。閉塞筒29の内周面に、径方向の内側に向けて突出する係合突起29aが形成されている。係合突起29aは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
嵌合筒部25a内に、下端開口が容器本体2の底部に位置する吸い上げパイプ34が嵌合されている。
【0031】
液用ピストン23は、シリンダ筒部19内に上下摺動自在に嵌合する大径部と、大径部よりも小径とされ、大径部の内周部から上方に向けて延びる小径部と、を備えている。液用ピストン23は、付勢部材36により上方に向けて付勢されている。付勢部材36の上端部は、液用ピストン23の内面における大径部と小径部との接続部分を支持している。付勢部材36の下端部は、シリンダ筒部19の下部の内面に支持されている。付勢部材36は、例えばコイルスプリング若しくは樹脂バネ等となっている。
【0032】
液用ピストン23、液用シリンダ25および付勢部材36それぞれにおける径方向の内側に、弁部材37が挿入されている。弁部材37は、上下方向に延びる中実の棒状に形成されている。
弁部材37の上端部は、中空の逆円錐状に形成され、液用ピストン23の小径部の上端部内に離反可能に当接した上部弁体39となっている。
弁部材37の下端部は、押下ヘッド14の押下時に、シリンダ筒部19の下端部の内面に当接し、容器本体2内とシリンダ筒部19内との連通を遮断する下部弁体40となっている。下部弁体40は、押下ヘッド14が上昇端位置に位置する待機時に、シリンダ筒部19の下端部の内面から上方に離れている。
【0033】
ステム12は、上下方向に延びる筒状に形成されている。ステム12は、ガイド筒18、キャップ天壁部11a、およびキャップ周壁部11bの各内側に設けられ、装着キャップ11から上下方向の双方に突出している。ステム12の下部は、液用シリンダ25の取付筒部17内に位置している。ステム12の下部内に、液用ピストン23の小径部が嵌合されている。ステム12の下端開口から、液用ピストン23の大径部が下方に突出している。ステム12の下端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる当接部12aが形成されている。当接部12aの下面は、液用ピストン23の外面における大径部と小径部との接続部分に当接している。ステム12において、弁部材37より上方に位置する部分の内周面に、径方向の内側に突出し周方向に延びる環状の台座部43が形成されている。ステム12は、押下ヘッド14の押下時に、液用シリンダ25のシリンダ筒部19内に進入する。
【0034】
気液混合室26は、ステム12内において、台座部43より上方に位置する部分に設けられている。気液混合室26は、ステム12の上端部内に設けられている。気液混合室26内に、台座部43上に上方に向けて離反可能に配置された球状の逆止弁44が設けられている。逆止弁44が台座部43から上方に離れたときに、気液混合室26と、ステム12内のうち、台座部43よりも下方に位置する部分と、が連通する。
【0035】
ステム12に、上下方向に延びる連結筒24が装着されている。
連結筒24のうち、上端部は、ステム12の上端部に外嵌され、上端部より下方に位置する部分の内周面は、ステム12の外周面から径方向の外側に離れている。連結筒24の上端部とステム12の上端部との間に、上下方向に延び、下方に向けて開口した連通縦溝49が形成されている。連通縦溝49は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。連結筒24のうち、上端部より下方に位置する部分は、ガイド筒18の内周面との間に径方向の隙間を設けた状態で、ステム12の外周面とガイド筒18の内周面との間に差し込まれている。連結筒24、およびガイド筒18それぞれの下端部の上下方向の位置は、互いに同等になっている。連結筒24の外周面において、ガイド筒18の近接突起18dより下方に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出した押下突起24aが形成されている。押下突起24aは、閉塞筒29の係合突起29aに対して、上方に離れ上下方向で対向している。
なお、ステム12および連結筒24は一体に形成されてもよい。
【0036】
連結筒24の上端部に、上方に向けて突出する上側筒部24bと、下方に向けて突出し、ステム12の上端部内に嵌合された下側筒部24cと、が形成されている。
【0037】
下側筒部24cの下端部は、台座部43上に設けられた逆止弁44より上方に位置している。下側筒部24cの外周面には、その下端縁から上方に延びて上側筒部24bの底部外表面に至り、さらにその径方向の外側に向けて延在して開口し、前述の連通縦溝49の上端部に連通したケーシング溝42が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0038】
上側筒部24b内には、2つの発泡エレメント41が上下方向に連ねられた状態で嵌合されている。発泡エレメント41は、気液混合室26で空気と混合された内容液を発泡させる。発泡エレメント41は、上下方向に延びる筒状体41aと、筒状体41aにおける上下方向の端部に設けられたメッシュ部材41bと、を備えている。2つの発泡エレメント41のうち、上側に位置する発泡エレメント41は、メッシュ部材41bが上端に位置する向きに設けられ、下側に位置する発泡エレメント41は、メッシュ部材41bが下端に位置する向きに設けられている。
なお、発泡エレメント41をステム12内、若しくは押下ヘッド14内に設けてもよく、また、泡吐出器1は発泡エレメント41を有しなくてもよい。
【0039】
連結筒24の下端部内に、開閉筒21の上端部が密に上下摺動可能に嵌合されている。開閉筒21は、連結筒24の下端開口から下方に向けて突出し、液用シリンダ25の取付筒部17内に挿入されている。開閉筒21の下端開口縁は、ステム12の当接部12aの上面に当接している。開閉筒21の内周面と、ステム12の外周面と、の間に、径方向の隙間が上下方向の全長にわたって設けられている。開閉筒21の外周面に、径方向の外側に向けて突出し、上方を向く上面を有する段突部21aが形成されている。段突部21aの上面は、連結筒24の下端開口縁に対して、下方に離れ上下方向で対向している。開閉筒21の外周面において、段突部21aの上面より下方に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出する突上げ突起21bが形成されている。突上げ突起21bは、開閉筒21における上下方向の中間部に設けられている。突上げ突起21bは、閉塞筒29の係合突起29aの下面に当接、若しくは近接している。
【0040】
ここで、押下ヘッド14は、連結筒24を介してステム12の上端部に装着されている。押下ヘッド14は、連結筒24の上側筒部24bに外嵌されたヘッド筒部63と、ヘッド筒部63を径方向の外側から囲う有頂筒状の囲繞筒部(上支持部)64と、ヘッド筒部63から径方向の外側に向けて突出して囲繞筒部64を径方向に貫き、その先端に吐出孔70が形成された吐出筒60と、囲繞筒部64とヘッド筒部63との間に設けられ、ガイド筒18の上端開口縁に当接、若しくは近接したストッパ部55と、を備えている。
【0041】
ヘッド筒部63および囲繞筒部64は、軸線Oと同軸に配設されている。押下ヘッド14の下降移動時に、ヘッド筒部63は、装着キャップ11のガイド筒18内に進入し、囲繞筒部64内にガイド筒18が進入する。囲繞筒部64の下端開口縁は、ヘッド筒部63の下端開口縁より下方に位置している。
【0042】
ストッパ部55は、表裏面が周方向を向く板状に形成され、囲繞筒部64における周壁部および頂壁部と一体に形成されている。ストッパ部55は、ヘッド筒部63の外周面から径方向の外側に離れている。ストッパ部55のうち、下端部の径方向の大きさは、他の部分の径方向の大きさより小さくなっており、ストッパ部55の下端部は、囲繞筒部64の周壁部の内周面から径方向の内側に離れている。ストッパ部55の下端部は、囲繞筒部64の下端開口縁より上方に位置している。
【0043】
外気導入孔64aは、囲繞筒部64の周壁部を径方向に貫き、囲繞筒部64の周壁部の下端部に形成されている。外気導入孔64aは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。外気導入孔64aは、囲繞筒部64の下端開口縁に開口している。囲繞筒部64の下端開口縁は、外気導入孔64aを除き、周方向の全長にわたって連続して延びている。
なお、外気導入孔64aは、囲繞筒部64において下端開口縁より上方に位置する部分に形成されてもよいし、空気供給体22、若しくは装着キャップ11等に形成されてもよい。
【0044】
そして、空気供給体22は、例えばエラストマ等の軟材質で形成されている。空気供給体22は、上下方向に延びる筒状に形成され、ガイド筒18を径方向の外側から囲っている。空気供給体22の外径は、口部3の内径より大きくなっている。空気供給体22の上端開口は、囲繞筒部64の内側を通してガイド筒18の上端開口に連通している。空気供給体22の下端部が、装着キャップ11に支持されており、空気供給体22の全体が、容器本体2の外部に設けられている。なお、空気供給体22の少なくとも一部が、容器本体2の内部に設けられてもよい。
【0045】
ここで、空気供給体22内は、空気通路30を通して気液混合室26に連通している。
空気通路30は、空気供給体22内に連通する外側通路30aと、気液混合室26に連通する内側通路30bと、を備えている。外側通路30aは、内側通路30bを径方向の外側から囲っている。
外側通路30aは、囲繞筒部64、ガイド筒18、閉塞筒29、および取付筒部17の各内周面と、ヘッド筒部63、連結筒24、および開閉筒21の各外周面と、の間の径方向の隙間により構成されている。
内側通路30bは、開閉筒21および連結筒24の各内周面と、ステム12の外周面と、の間の径方向の隙間、連通縦溝49、およびケーシング溝42により構成されている。
外側通路30aおよび内側通路30bは、押下ヘッド14の押下時に、開閉筒21の下端開口縁と、ステム12の当接部12aと、の間に形成される上下方向の隙間を通して互いに連通する。
【0046】
空気供給体22は、上下方向に延びる本体筒45と、本体筒45の上端部から径方向の内側に向けて突出した被支持部46と、を備えている。
【0047】
本体筒45は、軸線Oと同軸に配設されている。本体筒45は、ガイド筒18を径方向の外側から囲っている。すなわち、本体筒45は、ガイド筒18および連結筒24を介してステム12を径方向の外側から囲っている。本体筒45の下端部は、張出壁部15の段部15cに外嵌している。本体筒45の下端部の外周面に、径方向の外側に向けて突出し、外筒部16の第2係止突起16aにアンダーカット嵌合した被係止突起45aが形成されている。本体筒45の下端開口縁は、張出壁部15の外周部(下支持部)15aの上面に当接している。これにより、空気供給体22の下端部が、装着キャップ11に支持されている。張出壁部15の外周部15aの上面は、周方向の全長にわたって延び、空気供給体22の下端部を周方向の全長にわたって連続して支持している。なお、本体筒45の下端開口縁は、張出壁部15の内周部15bの上面、若しくはキャップ天壁部11aの上面等に当接してもよい。
【0048】
被支持部46は、環状に形成され、軸線Oと同軸に配設されている。被支持部46は、径方向の内側に向かうに従い、下方に向けて延びている。なお、被支持部46として、例えば径方向に真直ぐ延びる構成等を採用してもよい。また、空気供給体22は、被支持部46を有しなくてもよい。
【0049】
被支持部46の内周面は、ガイド筒18の外周面に対して、径方向の外側に離れ径方向で対向している。被支持部46の内側を通して、空気供給体22内と囲繞筒部64内とが連通している。被支持部46の内周縁部における上面および下面はそれぞれ、上方および下方を向く平坦面となっている。被支持部46の内周縁部の上面に、囲繞筒部(上支持部)64の下端開口縁が当接している。これにより、空気供給体22の上端部が、押下ヘッド14に支持されている。囲繞筒部64の下端開口縁は、空気供給体22の上端部を周方向の全長にわたって支持している。
被支持部46に、上方に向けて突出し、囲繞筒部64に外嵌された外嵌筒47が形成されている。外嵌筒47は、囲繞筒部64にアンダーカット嵌合している。
【0050】
囲繞筒部64の下端開口縁は、張出壁部15の外周部15aより径方向の内側に位置している。囲繞筒部64の下端開口縁、および張出壁部15の外周部15aは、ステム12の上下動に連係して、上下方向に互いに接近、および離間する。囲繞筒部64、および外周部15aは、軸線Oと同軸に設けられているが、互いに偏心して設けられてもよい。
【0051】
空気弁48は、被支持部46の内周縁部から上方に向けて突出している。空気弁48は、被支持部46と一体に形成されている。空気弁48は、筒状に形成され、囲繞筒部64内に嵌合されている。なお、空気弁48は、空気供給体22と別体であってもよい。空気弁48は、ストッパ部55の下端部と、囲繞筒部64の内周面と、の間に差し込まれて、囲繞筒部64の内周面に当接し、外気導入孔64aと、空気供給体22の内部と、の連通を遮断している。空気弁48は、弾性変形可能に形成されている。
【0052】
空気弁48は、空気供給体22が内容積を縮小するように弾性変形すると、囲繞筒部64の内周面に押付けられ、空気供給体22内と外気導入孔64aとの連通を遮断し、空気供給体22内の空気が、外気導入孔64aを通して泡吐出器1の外部に放出されるのを規制する。この際、囲繞筒部(上支持部)64の内周面に、空気弁48が当接しているので、空気供給体22の上端部が、囲繞筒部64から外れるのを抑えることができる。その後、空気供給体22が内容積を拡張するように復元変形すると、空気供給体22内の負圧によって、空気弁48が、囲繞筒部64の内周面から径方向の内側に離れ、空気供給体22内と外気導入孔64aとが連通し、泡吐出器1の外部から外気導入孔64aを通して空気供給体22内に空気が吸引される。
【0053】
以上のように構成された泡吐出器1の使用方法について説明する。
【0054】
まず、押下ヘッド14を、装着キャップ11に対して軸線O回りに回転させ、ストッパ部55を、第1規制突起18cから周方向に離れるように、乗り越え突部18bを周方向に乗り越えさせ、第2規制突起18eに当接させてガイド溝18aと上下方向で対向させる。次に、押下ヘッド14を押下すると、ストッパ部55がガイド溝18aを下方に向けて進入しつつ、ステム12、連結筒24、および液用ピストン23が一体的に押し下げられる。このとき、連結筒24が、開閉筒21の上端部の外周面上を摺動する。これにより、開閉筒21の上下方向の位置が維持されて、ステム12の当接部12aが開閉筒21の下端開口縁から下方に離れ、当接部12aと、開閉筒21の下端開口縁と、の間に上下方向の隙間(以下、連通隙間と呼ぶ)があけられる。連通隙間を通して外側通路30aおよび内側通路30bが互いに連通する。このとき、弁部材37の上部弁体39とステム12の内周面との間に生ずる摺動抵抗により、弁部材37も下方に移動させられ、弁部材37の下部弁体40が、液用シリンダ25のシリンダ筒部19の下端部の内面に当接して、シリンダ筒部19の下端開口が閉塞される。
【0055】
さらに、押下ヘッド14を押下すると、囲繞筒部64の下端部が、空気供給体22の被支持部46の上面を下方に向けて押し込むことで、空気供給体22が、内容積を縮小させるように弾性変形する。
この際、開閉筒21の段突部21aの上面が、連結筒24の下端開口縁に押下げられ、突上げ突起21bが、閉塞筒29の係合突起29aから下方に離れるとともに、空気弁48が、空気供給体22内の正圧により、囲繞筒部64の内周面に押付けられ、空気供給体22内の空気が、泡吐出器1の外部に放出されることが規制される。これにより、空気供給体22内の空気が、被支持部46の内側を通して囲繞筒部64内に進入し、外側通路30a、前記連通隙間、および内側通路30bを通して、気液混合室26に移送される。
【0056】
またこの際、シリンダ筒部19の下端開口が閉塞された状態で、液用ピストン23が、付勢部材36を圧縮変形させつつ、ステム12とともに下方移動する。これにより、液用ピストン23の小径部の上端部が、弁部材37の上部弁体39から下方に離れて、シリンダ筒部19の内部とステム12の内部とが連通し、シリンダ筒部19内の内容液が、台座部43内を上方に通過して逆止弁44を押上げつつ、気液混合室26に移送される。
【0057】
気液混合室26に空気および内容液がそれぞれ移送されると、これらが気液混合室26で合流して混合された後に、発泡エレメント41を通過し、内容液が発泡する。発泡した内容液は、ヘッド筒部63、および吐出筒60の各内部を通って吐出孔70から吐出される。
そして、押下ヘッド14が下降端位置に位置するまでの間に、連結筒24の押下突起24aが、閉塞筒29の係合突起29aに当接して、閉塞筒29を押下げ、取付筒部17の横孔17bから下方に離す。また、
図2に示されるように、押下ヘッド14が下降端位置に位置すると、空気供給体22の被支持部46の内周縁部における下面が、キャップ天壁部11aの上面に当接する。
【0058】
次いで、押下ヘッド14の押下を解除すると、付勢部材36の弾性復元力により、液用ピストン23が上方へ押し上げられる。これにより、液用ピストン23の小径部の上端部が弁部材37の上部弁体39に当接し、液用ピストン23と上部弁体39との間が閉塞される一方、ステム12の内周面が、弁部材37の上部弁体39に摺接することで、弁部材37の下部弁体40が、シリンダ筒部19の下端部の内面から上方に離れ、シリンダ筒部19の下端開口が開放される。このとき、容器本体2内の内容液が、吸い上げパイプ34の内部を通して、シリンダ筒部19の内部に供給される。
【0059】
ここで、押下ヘッド14の押下を解除した後は、空気供給体22は、主に自身の弾性復元力によって、内容積を拡張するように復元変形する。この際、空気供給体22内が負圧になることで、空気弁48が、囲繞筒部64の内周面から径方向の内側に離れて、外気導入孔64aが開放され、泡吐出器1の外部から外気導入孔64a、および囲繞筒部64内を通して空気供給体22内に空気が吸引される。これにより、容器本体2内の内容液が、吸い上げパイプ34の内部を通して、シリンダ筒部19の内部に供給されるのに伴い、外気導入孔64aを通して囲繞筒部64内に吸引された空気が、外側通路30a、および横孔17bを通して容器本体2内に供給されることで、容器本体2内が負圧になることが防止される。
【0060】
また、液用ピストン23とともに、ステム12が一体的に上昇すると、ステム12の当接部12aの上面が、開閉筒21の下端開口縁に当接し、外側通路30aと内側通路30bとの連通が遮断されるとともに、閉塞筒29の係合突起29aに対して、連結筒24の押下突起24aが上方に離れる一方、開閉筒21の突上げ突起21bが当接して、閉塞筒29を上昇させ、閉塞筒29により横孔17bを閉塞させる。
【0061】
以上説明した本実施形態の泡吐出器1は、ポンプ13が、気液混合室26に空気を移送する部材として、互いに摺接する空気用シリンダおよび空気用ピストンに代えて、ステム12の下降移動に伴い、内容積が縮小するように弾性変形させられる空気供給体22を備えているので、ステム12が上下動したときに摺接する箇所を削減することが可能になるとともに、内容積が縮小した空気供給体22を、例えばステム12を上方付勢する付勢部材36の上方付勢力を用いず、空気供給体22自身の弾性復元力によって復元変形させることが可能になり、泡を吐出する際に押下ヘッド14に加える押下力を容易に低減することができる。
【0062】
気液混合室26に空気を移送する部材として、互いに摺接する空気用シリンダおよび空気用ピストンを排除することが可能になることから、内容液および水等の付着によって、空気用シリンダの内周面に設けた潤滑剤が除去される不具合が生ずることがなくなり、ステム12を上下動させたときに作動不良等が生ずるのを抑えることができる。
【0063】
装着キャップ11の前記外周部15aが、空気供給体22の下端部を支持しているので、空気供給体22の全体が、容器本体2の外部に設けられることとなり、容器本体2の口部3に空気供給体22を挿入する必要がないことから、口部3の内径を小さく抑えることができる。これにより、例えば、容器本体2の外観形状に制約が生ずるのを抑制すること、容器本体2の成形性を向上させること、および口部3のシール性を容易に確保すること等ができる。
一般に、気液混合室26に移送する空気の体積は、気液混合室26に移送する内容液の体積と比べて、例えば13倍程度と大きくする必要があるので、空気供給体22の体積を、液用シリンダ25の体積よりも大きくする必要がある。したがって、空気供給体22の全体を、容器本体2の外部に設けると、口部3の内径を小さく抑えることができる。なお、気液混合室26に移送する空気および内容液の比率は、例えば内容液の性状、若しくは泡質等に応じて適宜変更することができる。
【0064】
空気弁48が空気供給体22と一体に形成されているので、ポンプ13が、空気用シリンダおよび空気用ピストンに代えて、弾性変形可能に形成された空気供給体22を備えていることと相俟って、ポンプ13の部品点数を確実に削減することができる。
【0065】
空気供給体22の下端部を支持する前記外周部15a、および空気供給体22の上端部を支持する囲繞筒部64の下端開口縁が、ステム12の上下動に連係して、上下方向に互いに接近、および離間するので、ステム12の下降移動に伴い、空気供給体22が上下方向に押圧されることとなり、内容積が縮小するように空気供給体22を弾性変形させたときの空気供給体22の形態を安定させることが可能になり、例えば、気液混合室26に供給される空気の量、および押下力等の変動を抑えることができる。
【0066】
空気供給体22が被支持部46を備えているので、押下ヘッド14を押下したときに、本体筒45の上端部から径方向の内側に向けて突出した被支持部46が、囲繞筒部64により下方に押し込まれることとなり、内容積が縮小するように空気供給体22を弾性変形させたときの空気供給体22の形態を確実に安定させることができるとともに、押下ヘッド14に加える押下力を容易に低減することができる。
【0067】
空気供給体22の本体筒45が、ステム12を径方向の外側から囲い、空気供給体22の下端部を支持する前記外周部15a、および空気供給体22の上端部を支持する囲繞筒部64の下端開口縁がそれぞれ、周方向の全長にわたって延びているので、押下ヘッド14を押下して、内容積が縮小するように空気供給体22を弾性変形させたときの空気供給体22の形態を一層安定させることができる。
【0068】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0069】
ステム12の下降移動に伴い、空気供給体22が、例えば径方向に押圧される構成等を採用してもよい。
【0070】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 泡吐出器
2 容器本体
3 口部
11 装着キャップ
12 ステム
13 ポンプ
14 押下ヘッド
15a 外周部(下支持部)
22 空気供給体
23 液用ピストン
25 液用シリンダ
26 気液混合室
45 本体筒
46 被支持部
48 空気弁
64 囲繞筒部(上支持部)
64a 外気導入孔
70 吐出孔