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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】無線ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20231117BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20231117BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
H04B1/38
H01Q1/52
H01Q23/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019236985
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021106331
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000237606
【氏名又は名称】加賀FEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 泰治
(72)【発明者】
【氏名】青木 幹雄
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-165319(JP,A)
【文献】国際公開第01/024309(WO,A1)
【文献】特開平09-153730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38-1/58
H01Q 1/00-1/10
H01Q 1/27-1/52
H01Q 3/00-3/46
H01Q 21/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ンテナが設置されるアンテナ設置面を有するアンテナ基板と
第1の電源部品が設置される第1の電源設置面を有する第1の電源基板と、
前記アンテナ基板と前記第1の電源基板との間に配される、第2の電源部品が設置される第2の電源設置面を有する第2の電源基板と、
前記アンテナ基板、前記第2の電源基板及び前記第1の電源基板を、この順に互いに所定の間隙をおいて支持する複数の柱状の支持体と
を具備し、
前記アンテナ基板の前記アンテナ設置面と反対側の面と前記第2の電源基板の前記第2の電源設置面と反対側の面とは対向配置され、
前記第2の電源設置面と前記第1の電源設置面とは対向配置され、
前記アンテナと、前記第1の電源部品と、前記第2の電源部品は平面透視で重なるように配置され、
前記アンテナ基板の前記アンテナ設置面と反対側の面及び/又は前記第2の電源基板の前記第2の電源設置面と反対側の面は、電子部品が設置される部品設置面である
無線ユニット。
【請求項2】
請求項に記載の無線ユニットであって、
前記アンテナ設置面は、前記アンテナが設置される第1の領域と、前記第1の領域に隣接する第2の領域とを有し、
前記アンテナ基板は、前記アンテナと電気的に接続され前記第2の領域に設置された前記アンテナの信号を処理する回路をさらに有する
無線ユニット。
【請求項3】
請求項に記載の無線ユニットであって、
前記アンテナ基板の前記アンテナ設置面と反対側の面は前記部品設置面であり、
前記アンテナ基板の記部品設置面に設置される前記電子部品は、前記第2の領域に対応する領域に偏って設置される
無線ユニット。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1つに記載の無線ユニットであって、
前記複数の柱状の支持体は、前記アンテナ設置面に対して垂直な方向に延びる
無線ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の無線ユニットであって、
前記複数の柱状の支持体のうち少なくとも一部は、導電性材料で構成される
無線ユニット。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1つに記載の無線ユニットであって、
前記電子部品は、センサ部品、音響部品、発光部品、駆動部品または発熱部品の少なくとも1つを含む
無線ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナと電源部品とを備えた無線ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナと信号処理IC(Integrated Circuit)を有し、コイン電池等で単独で動作する無線機として、Bluetooth(登録商標)を代表とする小型で低消費電力の無線デバイスが知られている。例えば特許文献1には、複数のアンテナと、複数のアンテナに接続される回路の電源として用いられる電池を備えた通信機器が記載されている。特許文献1に記載される通信機器は、機器の小型化を阻むことなく、アンテナと周辺回路との相互干渉やアンテナ同士の干渉が抑制されるように、電池が電池の主面に対する垂直方向から視て複数のアンテナ間に配置され、電池の主面に沿って平行に視て複数のアンテナが電池と重なっているように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/168548号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンテナ、周辺回路及び電池を有する通信機器において、アンテナと電池とを隣接させて設置すると、共振周波数の移動やアンテナ効率の低下が生じて無線の飛距離などの無線特性が劣化するため、両者を離して設置することが望ましい。また、アンテナや電池等を一枚の基板に実装する場合には、設置面積が広くなるため小型化が難しい。一方、特許文献1に記載のようにアンテナと電池をそれぞれ異なる基板に実装した場合には、アンテナと電池が互いに対向する関係は回避できても、両者が近接する位置関係になるため良好な無線の飛距離などの無線特性を確保することが困難である。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、無線の飛距離などの無線特性を維持しつつ小型化に最適な構成を有する無線ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に関わる無線ユニットは、無線デバイスと、電源デバイスと、部品デバイスと、支持体とを具備する。
上記無線デバイスは、アンテナと、上記アンテナが設置されるアンテナ設置面とを有する。
上記電源デバイスは、電源部品と、上記アンテナ設置面に対向して配置され上記電源部品が設置される電源設置面とを有する。
上記部品デバイスは、電子部品と、上記アンテナ設置面と上記電源設置面との間に配置され上記電子部品が設置される部品設置面とを有する。
上記支持体は、上記無線デバイス、上記電源デバイスおよび上記部品デバイスを支持する。
【0007】
上記無線ユニットにおいては、無線デバイスと電源デバイスとの間に部品デバイスが配置される。これにより、アンテナと電源部品とが部品デバイスを配置する分だけ離間して配置されるため、無線の飛距離などの無線特性の劣化を抑制しつつ、小型化が可能となる。
【0008】
上記無線デバイスは、上記アンテナ設置面である第1の主面を有するアンテナ基板を含み、上記電源デバイスは、上記電源設置面を有する電源基板を含み、上記部品デバイスは、上記部品設置面を有する部品基板を含んでもよい。
これにより、無線デバイス、電源デバイスおよび部品デバイスをそれぞれ、配線基板とその上に実装されたアンテナ、電源部品あるいは電子部品とを含む基板実装体で構成することができる。
【0009】
上記アンテナ設置面である第1の主面は、上記アンテナが設置される第1の領域と、上記第1の領域に隣接する第2の領域とを有し、上記無線デバイスは、上記アンテナと電気的に接続され上記第2の領域に設置された上記アンテナの信号を処理する回路をさらに有してもよい。
これにより、無線デバイスの構成の簡素化を図ることができるとともに、アンテナとアンテナの信号を処理する回路との間の配線長が短くなるため、ノイズの重畳などの回路特性の劣化を抑えることができる。
【0010】
上記アンテナ設置面である第1の主面は、上記部品基板と対向する上記アンテナ基板の主面とは反対側の主面であってもよい。
これにより、アンテナ設置面を電源部品からより遠ざけることができるため、アンテナ効率の劣化をより抑制することができる。
【0011】
上記部品設置面は、上記アンテナ基板に対向する上記部品基板の主面である第1の部品設置面と、上記第1の部品設置面と対向する上記アンテナ基板の主面である第2の部品設置面とを有してもよい。
このように部品設置面は、部品基板だけでなく、アンテナ基板のアンテナ設置面とは反対側の面にも設けられることで、電子部品の実装密度が高まり、無線ユニットの高機能化あるいは機能の拡張化を図ることができる。
【0012】
この場合、上記第2の部品設置面に設置される上記電子部品は、上記第2の領域に対応する領域に偏って設置されてもよい。
これにより、アンテナの直下に電子部品が位置することを排除できるため、アンテナの特性の劣化を抑制することができる。
【0013】
一方、上記電源設置面は、上記部品基板に対向する上記電源基板の主面である第1の電源設置面と、上記第1の電源設置面と対向する上記部品基板の主面である第2の電源設置面とを有してもよい。
このように電源設置面は、電源基板だけでなく、部品基板にも設けられることで、電源の高容量化を図ることができる。
【0014】
あるいは、上記無線デバイスは、上記アンテナ設置面である第1の主面と、上記部品設置面である第2の主面とを有するアンテナ基板を含み、上記電源デバイスは、上記第2の主面に対向して配置され前記電源設置面を有する電源基板を含んでもよい。
電源基板は、単数に限られず、複数の電源を搭載した基板の積層体であってもよい。
【0015】
一方、上記支持体は、上記アンテナ設置面に対して垂直な方向に延び上記アンテナ設置面と上記電源設置面との間に所定の間隙を形成する複数の柱状体を有してもよい。
この場合、複数の柱状体は、上記各設置面との間に所定の間隙を形成するスペーサとして機能させることができる。
【0016】
前記複数の柱状体のうち少なくとも一部は、導電性材料で構成されてもよい。
これにより、上記柱状体を配線の一部として構成することができるため、無線ユニットの小型化、部品点数の削減等を図ることができる。
【0017】
前記電子部品は、センサ部品、音響部品、発光部品、駆動部品または発熱部品の少なくとも1つを含んでもよい。
これにより、例えば、外部機器を通じて無線ユニットの姿勢や動きなど検出し、あるいは、無線ユニットの発光や音響などの制御が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無線の飛距離などの無線特性を維持しつつ小型化が可能な無線ユニットを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る無線ユニットを示す外観斜視図である。
図2】上記無線ユニットの概略断面図である。
図3】上記無線ユニットのユニット本体の概略斜視図である。
図4】第2実施形態に係る無線ユニットの概略斜視図である。
図5】第2実施形態に係る無線ユニットの概略断面図である。
図6】第3実施形態に係る無線ユニットの概略断面図である。
図7】第4実施形態に係る無線ユニットの概略断面図である。
図8】第5実施形態に係る無線ユニットの概略断面図である。
図9】第6実施形態に係る無線ユニットの概略断面図である。
図10】第7実施形態に係る無線ユニットの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
図1図3に、本発明の第1の実施形態に係る無線ユニット100を示す。図1は無線ユニット100の外観斜視図である。図2は無線ユニット100の概略断面図である。図3は筐体を除いた無線ユニット100の概略斜視図である。
以下、図において、後述するアンテナ設置面81と平行な面をXY平面とし、当該アンテナ設置面81に直交する方向をZ軸方向とする。Z軸方向は、複数の基板を備える無線ユニット100の基板の積層方向に相当し、高さ方向に相当する。以下では、Z軸方向からみる場合を平面視といい、Z軸方向から透視する場合を平面透視という。
【0022】
図1及び2に示すように、無線ユニット100は、一辺が10mm程度の略立方体形状を有する。なお、本明細書においてあげる数値はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。
【0023】
無線ユニット100は、筐体2と、筐体2内に保持されたユニット本体10とを有する。筐体2は、全体の外形が略立方体形状のユニット本体10を覆う箱状を有する。ユニット本体10を筐体2に収納した状態で、無線デバイス100は構成される。なお、筐体2は、図2に示すように、上面に開口を有する本体部2Aと上記開口を閉塞する蓋部2Bとを有する。筐体2は、典型的には、合成樹脂等の非導電性材料で構成され、その形状は特に限定されず、図示するような立方体あるいは直方体形状でもよいし、あるいは球体形状であってもよい。
【0024】
図2及3に示すように、ユニット本体10は、無線デバイスM1と、電源デバイスM2と、部品デバイスM3と、支持体6とを備える。
【0025】
(無線デバイス)
無線デバイスM1は、アンテナ3と、アンテナ3が設置されるアンテナ設置面81とを有する。無線デバイスM1は、アンテナ基板71と、アンテナの信号を処理する回路4とを含む。無線デバイスM1は、アンテナ3を用いて図示しない外部機器(例えば、スマートホン)との間で電波を送受信可能に構成される。
【0026】
アンテナ基板71は、典型的には、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板で構成される。これにより、アンテナ3がXY平面に平行に安定に支持される。アンテナ基板71は、両面配線基板で構成されてもよいし、片面配線基板で構成されてもよい。
【0027】
アンテナ設置面81は、アンテナ基板71の第1の主面である。本実施形態においてアンテナ基板71の第1の主面は、アンテナ基板71の表面(図2において上面)である。アンテナ設置面81は、第1の領域811と、第2の領域812とを有する。図1~3に示す例では、第1の領域811と第2の領域812はX軸方向に隣接する。第1の領域811には、アンテナ3が配置される。第2の領域812には、アンテナ3の信号を処理する回路4が配置される。
【0028】
アンテナ3は、典型的には、平面アンテナであり、例えば、ループアンテナ、マイクロストリップアンテナ、板状逆Fアンテナなどが採用可能である。アンテナ3は、アンテナ基板71の表面の銅箔を所定形状にパターニングすることで形成される。
【0029】
アンテナ3の信号を処理する回路4は、アンテナ3と電気的に接続され、アンテナ3を介して送受信される信号を処理する。アンテナ3の信号を処理する回路4は、典型的には、IC部品で構成される。アンテナ3の信号を処理する回路4は、IC部品以外にも、コイル、コンデンサ、抵抗などのアンテナの感度をマッチングさせるための受動部品のほか、フィルタ素子、ICへパルス信号を供給するための振動子等を含んでもよい。アンテナ3の信号を処理する回路4がアンテナ3と同一平面(アンテナ設置面81)上に搭載されることにより、アンテナ3との間の配線長を短くできるので、所望とする高周波特性を確保できるとともにノイズの重畳を極力抑えることができる。
【0030】
なお、図示の例に限られず、アンテナ基板71の第2の主面である裏面(図2において下面)にも部品が搭載されてもよい。
【0031】
(電源デバイス)
電源デバイスM2は、電源部品5と、電源部品5が設置される電源設置面82を有する。電源設置面82は、アンテナ設置面81にZ軸方向に対向して配置される。電源デバイスM2は、無線デバイスM1および部品デバイスM3へ電力を供給する。
【0032】
本実施形態において、電源デバイスM2は、電源基板72を含む。電源基板72は、アンテナ基板71と同様に、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板で構成される。これにより、電源部品5がXY平面に平行に安定に支持される。電源基板72は、両面配線基板で構成されてもよいし、片面配線基板で構成されてもよい。
【0033】
電源設置面82は、電源基板72の第1の主面である。本実施形態において電源基板72の第1の主面は、電源基板72の表面(図2において上面)である。電源部品5は、電源基板72の表面の面積の半分以上の面積を占める。なお、電源設置面82は、電源基板72の第2の主面である裏面(図2において下面)に設けられてもよい。電源部品5は、電源基板72の表面および裏面にそれぞれ搭載されてもよい。
【0034】
電源部品5は、単数であってもよいし、複数であってもよい。電源部品5は、全体が金属部品を主体として構成される部品であってもよく、例えば、充放電可能な二次電池、キャパシタ、コイン電池(一次電池)を含む。二次電池は充放電可能であるため、コイン電池よりも無線ユニット100の寿命を延ばすことができる。キャパシタは、二次電池、コイン電池よりも構造が簡素で低コストであるため、無線ユニット100の製造コストを抑えることができる。また、キャパシタは、二次電池やコイン電池よりも構造が簡素であり故障が生じにくいことから、二次電池、コイン電池よりも不良率を下げることができる。一方、コイン電池は、二次電池よりも安価であるという点で、無線ユニット100の低コスト化を図ることができる。
【0035】
(部品デバイス)
部品デバイスM3は、所定機能を有する各種の電子部品11と、これら電子部品11が設置される部品設置面83とを有する。部品設置面83は、アンテナ設置面81と電源設置面82との間に配置される。
【0036】
本実施形態において、部品デバイスM3は、部品基板73を含む。部品基板73は、アンテナ基板71と同様に、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板で構成される。これにより、電子部品11がXY平面に平行に安定に支持される。部品基板73は、両面配線基板で構成されてもよいし、片面配線基板で構成されてもよい。
【0037】
部品設置面83は、部品基板73の第1の主面である。本実施形態において部品基板73の第1の主面は、部品基板73の表面(図2において上面)である。部品設置面83は、図示するように部品基板73の表面だけでなく、部品基板73の第2の主面である裏面(図2において下面)に設けられてもよい。電子部品11は、部品基板73の表面および裏面にそれぞれ搭載されてもよい。
【0038】
電子部品11は、単数であってもよいし、複数であってもよい。電子部品11は、電源部品5と比較して小型であり、その表面を構成する材料が主としてプラスチックやセラミックなどの非導電性材料であるものをいう。このような電子部品11としては、加速度センサや角速度センサ、地磁気センサなどのセンサ部品が挙げられる。また、電子部品11は、マイクロフォンやスピーカなどの音響部品、LED(Light Emitting Diode)などの発光部品、モータなどの駆動部品、または、ヒータなどの発熱部品、あるいは、これら電子部品の組み合わせであってもよい。なお、電子部品11は、アンテナ3の信号を処理する回路4の一部を構成する電子部品でもよいし、アンテナ3の信号を処理する回路4以外の電子部品であってもよい。
【0039】
アンテナ基板71、電源基板72および部品基板73は、互いに所定の間隙をもって離間して平行に配置される。アンテナ基板71、電源基板72および部品基板73は、ほぼ同じ大きさの外形を有し、平面透視ですべて重なり合っている。換言すると、アンテナ設置面81及び部品設置面83は、それぞれを電源設置面82に投影したときの投影領域が電源設置面82と完全に重なり合っている。
【0040】
アンテナ基板71、電源基板72および部品基板73は、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に沿う4つの辺を有する略正方形状の板である。アンテナ基板71、電源基板72および部品基板73の一辺は10mm以下であり、本実施形態では例えば8mm程度である。アンテナ基板71、電源基板72および部品基板73の板厚(Z軸方向における寸法)は例えば1mm以下であり、本実施形態では例えば0.3mm程度である。本実施形態においてはアンテナ基板71、電源基板72および部品基板73は略正方形の外形を有するが、これに限定されず、所望の形状としてもよい。
【0041】
(支持体)
支持体6は、無線デバイスM1、電源デバイスM2および部品デバイスM3を支持するためのものである。支持体6は、無線デバイスM1と部品デバイスM3との間、および、電源デバイスM2と部品デバイスM3との間に所定の間隙を形成できる構成であれば特に限定されず、本実施形態では図2および図3に示すように複数本の支柱で構成される。
【0042】
支持体6は、無線デバイスM1と部品デバイスM3との間を接続する第1の支柱61と、電源デバイスM2と部品デバイスM3との間を接続する第2の支柱62とを有する。第1および第2の支柱61,62は、典型的には、アンテナ基板71、電源基板72および部品基板73の四隅に取り付けられる。
【0043】
第1および第2の支柱61,62は、Z軸方向に延びる軸状あるいは棒状の複数の柱状体で構成される。第1および第2の支柱61,62は相互に同軸上に設けられるが、これに限られず、相互に軸心位置がオフセットした位置に設けられてもよい。本実施形態において第1および第2の支柱61,62は、共通の柱状体からなり、当該柱状体の上部が第1の支柱61として構成され、当該柱状体の下部が第2の支柱62として構成される。
【0044】
支持体6(第1および第2の支柱61,62)の高さは特に限定されず、電源部品5の高さ(厚み)や電子部品11の高さ(厚み)に応じて適宜設定される。無線ユニット100の小型化の観点からでは、支持体6の高さは小さいほど好ましいが、アンテナ3と電源部品5との接近により、共振周波数の移動やアンテナ効率の低下が生じて無線の飛距離などの無線特性(アンテナ特性)が劣化しやすくなる。アンテナ3と電源部品5との間隙H(図2参照)が大きいほどアンテナ3の通信距離や通信パワーなどの通信特性は良好となるが、無線ユニット100の大型化が避けられない。そこで本実施形態では、アンテナ3と電源部品5との間隙H内に部品デバイスM3を配置して無線ユニット100の小型化を図りつつ、アンテナ3と電源部品5とに一定の間隙Hを形成することで、アンテナ3の通信距離や通信パワーなどの通信特性の劣化を抑制するようにしている。
【0045】
支持体6の構成材料は特に限定されず、本実施形態では鉄、ステンレス、銅、アルミニウムなどの金属材料で構成される。支持体6を金属製とすることにより、無線デバイスM1、電源デバイスM2および部品デバイスM3の間を、支持体6を介してそれぞれ電気的に接続することができるため、これら各デバイスM1~M3間を電気的に接続する別途の配線材料が不要となる。
【0046】
支持体6は、アンテナ基板71、電源基板72および部品基板73に対し、例えば、はんだ付けなどにより電気的に接続される。接続方法は特に限定されず、例えば、挿入実装法が適用可能である。この場合、アンテナ基板71、電源基板72および部品基板73の四隅には層間接続用のスルーホールがそれぞれ設けられ、支持体6がこれら各基板のスルーホールに挿入された状態ではんだ付けされる。なお、第1および第2の支柱61,62が別部材で構成される場合には、各支柱61,62をアンテナ基板71、電源基板72および部品基板73へ表面実装法によりはんだ付けすることができる。
【0047】
4つの支持体6のうち、少なくとも1つ(支持体6A)は、電源部品5からの電源電圧を無線デバイスM1のアンテナ3の信号を処理する回路4および部品デバイスM3の各電子部品11に供給する供給接続部として機能する。残りの3つの支持体6のうち、少なくとも1つ(支持体6B)は、アンテナ3の信号を処理する回路4および各電子部品11をグランドに接続するグランド接続部として機能する。他の2つの支持体は、電気的にフローティング状態であってもよい。つまり、供給接続部とグランド接続部がそれぞれ少なくとも1つずつあればよい。
【0048】
(本実施形態の作用)
上述した構成の無線ユニット100において、アンテナ3、アンテナ3の信号を処理する回路4、電源部品5及び電子部品11のうち、平面視で最も面積の大きいものは電源部品5である。本実施形態においては、最も大きい平面面積を有する電源部品5を基準として、平面視でのユニット本体10の大きさが、電源部品5が設置される電源基板72よりも大きくならないように、アンテナ3およびアンテナ3の信号を処理する回路4が設置されるアンテナ基板71、および、電子部品11が設置される部品基板73が配置される。これにより、無線ユニット100をコンパクトな形状とすることができる。
【0049】
電源部品5は、体積のある金属製のデバイスであり、アンテナ3と電源部品5とを近接させると、共振周波数の移動やアンテナ効率の低下が生じて無線の飛距離などの無線特性が劣化する。電子部品11は電源部品5よりも体積が小さく、金属製の表面割合は電源部品5に比べて小さい。このため、無線デバイスM1の近傍に部品デバイスM2が配置されたとしても、アンテナ3の無線の飛距離などの無線特性への影響は、電源デバイスM2が近接配置される場合と比較して小さい。
【0050】
本実施形態の無線ユニット100では、電源部品5がアンテナ3と平面透視で重なるように配置され、更に、アンテナ設置面81と電源設置面82との間に、電子部品11が設けられる部品設置面83が位置するように構成される。このように、アンテナ3と電源部品5とを平面透視で重なるように対向配置することにより無線ユニット100を小型化することが可能となる。更に、アンテナ3と電源部品5が平面透視で重なるように対向配置されていても、積層方向に沿って、アンテナ3と電源部品5との間に電子部品11を配置するため、アンテナ3と電源部品5との間に所定の間隙Hを形成でき、これにより共振周波数の移動やアンテナ効率の低下を抑えて無線の飛距離などの無線特性の劣化が抑制される。加えて、アンテナ3と電源部品5との間に電子部品11を配置することにより、無線ユニット100の体積の最小化が可能となり、これにより無線ユニット100の適用範囲を広げることができる。例えば、サイコロや鈴等を模した小型のサイズや立体的な形状の無線デバイス100を構成することができる。本実施形態においては、略立方体形状の無線ユニットとすることができ、無線ユニットの全ての面を最小面積とすることができる。
【0051】
また、本実施形態においては、アンテナ基板71において、アンテナ3が配置される第1の領域811の裏面側には電子部品は設けられていない。このように、アンテナ基板71を挟んでアンテナ3に近接する金属製品の存在を極力排除することで、アンテナ3への悪影響を低減させることができる。
【0052】
また、本実施形態においては、支持体は各デバイスM1~M3間を接続する接続部としての機能と各デバイスM1~M3の間に間隙を形成するスペーサとしての機能の双方を有しており、接続部とスペーサを別々に設ける場合と比較して部品点数を削減することができる。
【0053】
ここで、供給接続部として機能する支持体6Aおよびグランド接続部として機能する支持体6Bは、アンテナ3が形成される領域である第1の領域811からなるべく遠くに位置するように配置することが好ましい。これにより、支持体6A,6Bによる無線の飛距離などの無線特性の劣化が抑制される。この場合、フローティング状態の支持体6は、電気接続部としては機能しないダミー接続部であり、第1の領域811に位置していても、無線の飛距離などの無線特性への影響はほとんどない。本実施形態においては、接続部として機能する支持体6A,6Bは、矩形状の第2の領域812のうち第1の領域811と接する辺と対向する辺の両側に位置する。これにより支持体6A,6Bを、平面透視で第1の領域811と重なる領域から離れるように配置することができる。この場合、フローティング状態の支持体6は、配線基板71~73間を所定の間隙に離間させて対向配置させるスペーサとしてのみ機能する。
【0054】
本実施形態では、4つの支持体6を設ける例を挙げたが、支持体6の数はこれに限定されない。例えば、スペーサ機能および接続部の機能の観点から、支持体6は少なくとも2つあればよい。この場合においても、接続部として機能する2つの支持体6A,6Bは、それぞれ、平面透視で少なくとも一部が第2の領域812と重なる領域に位置することが好ましい。これにより、支持体6A,6Bによる無線の飛距離などの無線特性の劣化を、第1の領域811と重なる領域内に配置する場合と比較して低減することができる。
【0055】
さらに本実施形態によれば、電子部品11として所定機能を有する各種電子部品が採用されているため、以下のような機能をさらに有する。
【0056】
例えば、電子部品11として、3軸加速度センサ、3軸角速度センサ及び3軸地磁気センサを組み合わせた9軸センサを用いて、無線ユニット100を構成することができる。当該無線ユニット100を鈴型にして例えば飼い猫の首輪に取り付けることにより、9軸センサで取得された猫の動き情報が無線ユニット100から送信可能となる。これにより、飼い主は、無線ユニット100から送信される情報を受信可能な電子機器(例えば、スマートホン)を通じて、目の届かない遠方にいる猫の様子を確認することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態の無線ユニット100は立方体形状に構成することができるので、9軸センサを用いた無線ユニット100を用いてサイコロを構成することができる。このような構成のサイコロでは、9軸センサで取得されたサイコロの姿勢情報が無線ユニット100から電子機器に送信可能となる。そして、例えばサイコロの姿勢情報から得られるサイコロの目の情報を用いて電子機器の表示部上でゲーム等をすることができる。また、スピーカを更に設け、9軸センサを用いて取得されるサイコロの目の情報をスピーカから音声出力するようにすることもできる。
【0058】
以下、他の実施形態について説明するが、前に記載される実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。以下に説明する各実施形態の無線ユニットにおいても、第1の実施形態と同様に、アンテナ3と電源部品5とが対向配置され、アンテナ3が設けられるアンテナ設置面81と電源部品5が設けられる電源設置面82との間に、電子部品11が設けられる部品設置面83が位置するように構成される。これにより設置面の積層方向に沿って、アンテナ3と電源部品5との間に電子部品11が位置することとなり、アンテナ3と電源部5とを離間して配置することができ、無線の飛距離などの無線特性を維持しつつ小型化が可能となる。
【0059】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、アンテナ基板71の裏面側に電子部品や電源が設置されない例をあげたが、アンテナ基板71の裏面側に電子部品や電源が設置されてもよい。図4及び図5は、それぞれ、本発明の第2の実施形態にかかわる無線ユニット200の概略斜視図及び概略断面図である。第2の実施形態以降の各実施形態では筐体の図示を省略する。
【0060】
図4及び5に示すように、本実施形態の無線ユニット200は、ユニット本体20を有する。ユニット本体20は、無線デバイスM1(アンテナ基板71、アンテナ3、アンテナ3の信号を処理する回路4、電子部品11)と、電源デバイスM2(電源基板72、第1の電源部品51、電子部品11)と、部品デバイスM3(部品基板73、電子部品11、第2の電源部品52)と、支持体6とを有する。
【0061】
本実施形態の無線ユニット200は、電源設置面82および部品設置面83がそれぞれ複数設けられる。電源設置面82は、部品基板73に対向する電源基板72の主面(表面)である第1の電源設置面82Aと、第1の電源設置面82Aと対向する部品基板73の主面(裏面)である第2の電源設置面82Bとを有する。第1の電源設置面82Aには電源部品5を構成する第1の電源部品51が搭載され、第2の電源設置面82Bには電源部品5を構成する第2の電源部品52が搭載される。第1の電源部品51および第2の電源部品52には、それぞれ同型の電源部品が用いられるが、異種の電源部品が採用されてもよい。
【0062】
一方、部品設置面83は、アンテナ基板71に対向する部品基板73の主面(表面)である第1の部品設置面83Aと、第1の部品設置面83Aと対向するアンテナ基板71の主面(裏面)である第2の部品設置面83Bと、第1の電源設置面82Aとは反対側の電源基板72の主面(裏面)である第3の部品設置面83Cとを有する。第1~第3の部品設置面83にはそれぞれ適宜の電子部品11が搭載される。
【0063】
アンテナ基板71側の第2の部品設置面83Bは、アンテナ設置面81の反対側の面である。第2の部品設置面83Bにおいて、平面透視でアンテナ設置面81の第2の領域812と重なる領域(第2の領域812と対応する領域)に電子部品11が偏って配置され、第1の領域811と重なる領域には電子部品11は配置されていない。すなわち、アンテナ基板71においてアンテナ3の裏面側には電子部品11は配置されていない。
【0064】
部品基板73側についても同様に、第1の部品設置面83Aにおいて、平面透視でアンテナ設置面81の第2の領域812と重なる領域に電子部品11が偏って配置され、アンテナ設置面81の第1の領域811と重なる領域には電子部品11は配置されていない。
【0065】
本実施形態の無線デバイス200では、アンテナ設置面81と第2の部品設置面83Bとを有するアンテナ基板71と、第1の部品設置面83Aと第2の電源設置面82Bとを有する電源基板72とは、それぞれの部品設置面83A,83Bが対向するように位置している。これにより、アンテナ3と、2つの電源部品51,52のうちアンテナ3寄りに位置する第2の電源部品52との間に、Z軸方向に2層分の電子部品11(部品デバイス)が位置することになる。このため、部品基板73に電源部品が搭載される本実施形態の無線ユニット200においても、アンテナ3と電源部品5との間に上記2層分の電子部品11が介在するため、アンテナ3と電源5との間に所定の間隙を形成できることになる結果、共振周波数の移動やアンテナ効率の低下を抑えて無線の飛距離などの無線特性の劣化を抑制することができる。
【0066】
さらに、本実施形態では、第1の部品設置面83Aと第2の部品設置面83Bとの間に配置される電子部品11は、平面透視でアンテナ設置面81の第2の領域812に偏って配置され、アンテナ3が設置される第1の領域811には電子部品11が配置されない。これにより、電子部品11がアンテナ3に近接して配置され、共振周波数の移動やアンテナ効率の低下が生じることによる無線の飛距離などの無線特性の劣化が抑制される。
【0067】
以上のように構成される本実施形態の無線ユニット200においても、上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態によれば、電源設置面82および部品設置面83がそれぞれ複数設けられているため、電子部品の搭載数の増加による無線ユニット200の高機能化が容易となる。また、複数の電源部品を搭載できるため、十分な電力を確保することができる。
【0068】
<第3の実施形態>
図6は本発明の第3の実施形態に係る無線ユニット300の概略断面図である。
【0069】
図6に示すように、本実施形態の無線ユニット300は、ユニット本体30を有する。ユニット本体30は、第2の実施形態と同様に、無線デバイスM1(アンテナ基板71、アンテナ3、アンテナ3の信号を処理する回路4、電子部品11)と、電源デバイスM2(電源基板72、第1の電源部品51、電子部品11)と、部品デバイスM3(部品基板73、電子部品11、第2の電源部品52)と、支持体6とを有する。
【0070】
本実施形態では、第2の実施形態の構成に加え、第1の部品設置面83Aと第2の部品設置面83Bとの間の、平面透視でアンテナ設置面81の第1の領域811と重なる領域にも電子部品11が配置されている。これにより、第2の部品設置面83Bにおける部品の実装密度が高められるため、無線ユニットのさらなる高機能化を図ることができる。
【0071】
なお、アンテナ3の効率劣化を抑える観点から、アンテナ3の裏面側に搭載される電子部品11としては、例えば、全体の導電性材料の割合が低く構成されるLED、パッケージ樹脂により覆われた電子部品等であることが好ましい。
【0072】
<第4の実施形態>
図7は本発明の第4の実施形態に係る無線ユニット400の概略断面図である。
【0073】
図7に示すように、本実施形態の無線ユニット400は、ユニット本体40を有する。ユニット本体40は、無線デバイスM1(アンテナ基板71、アンテナ3、アンテナ3の信号を処理する回路4、電子部品11)と、電源デバイスM2(電源基板72、電源部品5)と、部品デバイスM3(部品基板73、電子部品11)と、支持体6とを有する。
【0074】
本実施形態において、部品設置面83は、第1の部品設置面83Aと、第2の部品設置面83Bと、第3の部品設置面83Cとを有する。
第1の部品設置面83Aは、アンテナ基板71と対向する部品基板73の主面(表面)であり、第2の部品設置面83Bは、第1の部品設置面83Aと対向するアンテナ基板71の主面(裏面)である。そして、第3の部品設置面83Cは、第1の部品設置面83Aとは反対側の部品基板73の主面(裏面)である。第1~第3の部品設置面83A~83Cには、それぞれ電子部品11が搭載される。
【0075】
本実施形態の無線ユニット400においても第2の実施形態と同様に、第2の部品設置面83Bには、アンテナ設置面81の第2の領域812と重なる領域に電子部品11が偏って配置される。これにより、アンテナ3の直下に電子部品が存在することに起因するアンテナ効率の劣化を抑制することができる。
【0076】
さらに、部品デバイスM3が部品基板73の表面および裏面にそれぞれ設けられるため、アンテナ3と電源部品5との間の離間距離(間隙H)の拡大を図ることができる。これにより、部品搭載数の増加による無線ユニット400の高機能化を図りつつ、アンテナ3の無線の飛距離などの無線特性の劣化をさらに抑制することが可能となる。
【0077】
<第5の実施形態>
図8は、本発明の第5の実施形態に係る無線ユニット500の概略断面図である。
【0078】
図8に示すように、本実施形態の無線ユニット500は、ユニット本体50を有する。ユニット本体50は、無線デバイスM1と、電源デバイスM2と、部品デバイスM3と、支持体6とを有する。
【0079】
無線デバイスM1は、アンテナ基板91と、アンテナ基板91のアンテナ設置面81に設置されたアンテナ3およびアンテナ3の信号を処理する回路4とを有する。アンテナ基板91は、上述の各実施形態におけるアンテナ基板71に相当し、アンテナ設置面81は、アンテナ基板91の一方の主面(表面)である。アンテナ設置面81は、第1の領域811と第2の領域812とを有し、第1の領域811にはアンテナ3が、第2の領域812にはアンテナ3の信号を処理する回路4がそれぞれ設置される。
【0080】
電源デバイスM2は、電源基板92と、電源基板92の電源設置面82に設置された電源部品5とを有する。電源基板92は、アンテナ基板91とZ軸方向に対向して配置され、上述の各実施形態におけるアンテナ基板72に相当する。電源設置面82は、アンテナ基板91と対向する電源基板92の一方の主面(表面)である。アンテナ基板91と電源基板92との間は、支持体6により、所定の間隙が形成される。
【0081】
部品デバイスM3は、電子部品11と、電子部品11が設置される部品設置面83とを有する。部品設置面83は、電源基板92と対向するアンテナ基板91の主面(裏面)である。すなわち本実施形態では、上述の各実施形態における部品基板73に相当する部材を備えておらず、部品設置面83がアンテナ基板91の裏面に設けられる。電子部品11は、部品設置面83の、平面視で第2の領域812と重なる領域に偏って配置され、第1の領域811と重なる領域には電子部品11は配置されていない。
【0082】
本実施形態の無線ユニット500においても、Z軸方向に対向するアンテナ3と電源部品5との間に電子部品11(部品デバイスM3)が配置されることにより、アンテナ3と電源部品5との間に一定の間隙Hが形成される。これにより、共振周波数の移動やアンテナ効率の低下が生じることによる無線の飛距離などの無線特性の劣化を抑制することができる。また、アンテナ3と電源部品5との間に電子部品11を配置することにより、間隙Hを部品の配置スペースとして有効に活用することができるため、無線ユニット500の小型化に貢献することができる。さらに、本実施形態では、アンテナ基板91および電源基板92の2枚の基板を用いて無線ユニット500が構成されるため、上述の各実施形態の無線ユニットと比較してZ軸方向の寸法を小さくすることができ、さらなる小型化が可能となる。
【0083】
<第6の実施形態>
図9は、本発明の第6の実施形態に係る無線ユニット600の概略断面図である。
【0084】
図9に示すように、本実施形態の無線ユニット600は、ユニット本体60を有する。ユニット本体60は、無線デバイスM1と、電源デバイスM2と、部品デバイスM3と、支持体6とを有する。
【0085】
本実施形態は、複数の電源基板を有する点で第5の実施形態と異なる。本実施形態において、電源基板は、第1の電源基板921と、第2の電源基板922とを有する。第1の電源基板921は、アンテナ基板91とZ軸方向に対向して配置され、第2の電源基板922は、アンテナ基板91と第1の電源基板921との間に配置される。アンテナ基板91と第2の電源基板922との間、および、第1の電源基板921と第2の電源基板922との間は、支持体6により、それぞれ所定の間隙が形成される。
【0086】
無線ユニット600は、第1、第2および第3の電源設置面82A,82B,82Cを有する。第1の電源設置面82Aは、第2の電源基板922と対向する第1の電源基板921の主面(表面)である。第2の電源設置面82Bは、第1の電源設置面82Aに対向する第2の電源基板922の主面(裏面)である。第3の電源設置面82Cは、アンテナ基板91と対向する第2の電源基板922の主面(表面)である。第1の電源設置面82Aには第1の電源部品51が搭載され、第2の電源設置面82Bには第2の電源部品52が搭載され、第3の電源設置面82Cには第3の電源部品53が搭載される。
【0087】
以上のように構成される本実施形態の無線ユニット600によれば、上述の第5の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態によれば、複数の電源基板921,922を備えるため、複数の電源部品51~53をZ軸方向に対向させて配置することができる。これにより、電源の高容量化を図ることができるため、高出力あるいは長寿命の無線ユニットを構成することができる。
【0088】
<第7の実施形態>
図10は、本発明の第7の実施形態に係る無線ユニット700の概略断面図である。
【0089】
図10に示すように、本実施形態の無線ユニット700は、ユニット本体70を有する。ユニット本体70は、無線デバイスM1と、電源デバイスM2と、部品デバイスM3と、支持体6とを有する。
【0090】
無線デバイスM1は、アンテナ基板91と、アンテナ基板91のアンテナ設置面81に設置されたアンテナ3とを有する。アンテナ基板91は、第1の実施形態における第1の配線基板71に相当し、アンテナ設置面81は、アンテナ基板91の一方の主面(表面)である。
【0091】
電源デバイスM2は、電源基板92と、電源基板92の電源設置面82に設置された電源部品5とを有する。電源基板92は、アンテナ基板91とZ軸方向に対向して配置され、第1の実施形態における電源基板72に相当する。電源設置面82は、アンテナ基板91と対向する電源基板92の一方の主面(表面)である。アンテナ基板91と電源基板92との間は、支持体6により、所定の間隙が形成される。
【0092】
部品デバイスM3は、アンテナ3の信号を処理する回路4と、アンテナ3の信号を処理する回路4が設置される部品設置面83とを有する。部品設置面83は、電源基板92と対向するアンテナ基板91の主面(裏面)である。すなわち本実施形態では、アンテナ3の信号を処理する回路4は、部品デバイスM3を構成する電子部品11の一部として構成され、アンテナ設置面81とは反対側の部品設置面83に搭載される点で第1の実施形態と異なる。
【0093】
本実施形態の無線ユニット700においても、第5の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態によれば、アンテナ設置面81の反対側の面にアンテナ3の信号を処理する回路4が搭載されているため、無線ユニット700の低背化あるいは薄型化を図ることができる。
【0094】
<変形例>
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上述の実施形態では、導電性の支持体6(6A,6B)を介して、無線デバイスM1、電源デバイスM2および部品デバイスM3との間の電気的接続を行うようにしたが、電気的な接続を確保できるものであれば電気的接続方法は上記の例に限定されない。例えばワイヤボンディングやフレキシブルケーブル等の配線部材を用いて、各デバイス間の電気的接続を行うようにしてもよい。
【0095】
また、上述の実施形態においては、支持体が支柱6で構成されたが、基板間の間隙を保持する構成であれば支持体6の構成は特に限定されない。例えば、支持体として、基板間に充填された樹脂層であってもよい。
【0096】
また、上述の実施形態においては、アンテナ3を電源部品5に投影させたときの投影領域が電源部品5の領域内に完全に収まる例をあげたが、アンテナ3の投影領域が部分的に電源部品5の領域に位置してもよい。これにより、アンテナ3の投影領域と電源部品5との領域とが全く重ならない形態と比較して、無線デバイスを平面視したときの面積を縮小することが可能となる。無線ユニットを平面視したときの面積の縮小の観点からは、アンテナ3を電源部品5に投影させたときの投影領域が電源部品5の領域内に完全に収まる形態とすることが好ましい。
【0097】
また、上述の実施形態においては、各デバイスM1~M3をグランド電位に接続するグランド用の支持体は、2つ以上であってもよい。これにより、無線的にはシールド効果が増すことになり、不要な輻射や外乱ノイズの影響を軽減することができる。
【0098】
また、上述の実施形態においては、各基板を同じ大きさの外形とし、平面透視で完全に重なり合う例をあげたが、各基板の大きさを異ならせてもよい。この場合においても、最も大きい平面面積を有する電源部を基準として、平面視でのユニット本体の大きさが、電源部品が設置される電源基板よりも大きくならないように、他の基板の大きさや配置を決定することにより、無線ユニットをコンパクトに小型化することができる。
【0099】
また、上述の実施形態では、電源部品が電源基板上に設置される例をあげたが、電源基板を設けず、電源部品が支柱等によって接続固定される形態としてもよい。このような構成においても、ある一方向に沿って互いに対向して位置する電源部品とアンテナとの間に電子部品が位置するように構成することにより、無線の飛距離などの無線特性を維持しつつ小型化が可能となる。
【0100】
さらに、上述の実施形態では、基板上に形成された導電パターンによってアンテナが構成される例をあげたが、基板に装着されるチップアンテナであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
100、200、300、400、500、600、700…無線ユニット
3…アンテナ
4…アンテナ3の信号を処理する回路
5、51、52、53…電源部品
6、6A、6B、61、62…支持体
11…電子部品
71、91…アンテナ基板
72、92、921、922…電源基板
73…部品基板
81…アンテナ設置面
82、82A、82B、82C…電源設置面
83、83A、83B、83C…部品設置面
M1…無線デバイス
M2…電源デバイス
M3…部品デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10