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特許7386699発酵適物選別方法及び発酵適物選別システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】発酵適物選別方法及び発酵適物選別システム
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/35 20220101AFI20231117BHJP
   B09B 3/65 20220101ALI20231117BHJP
【FI】
B09B3/35 ZAB
B09B3/65
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019237655
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021104493
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-06-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】井上 繁則
(72)【発明者】
【氏名】辻野 博
(72)【発明者】
【氏名】田中 恒久
(72)【発明者】
【氏名】村井 一真
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴裕
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-026768(JP,A)
【文献】特開2018-075571(JP,A)
【文献】特開2012-086157(JP,A)
【文献】特開2000-070862(JP,A)
【文献】特開昭56-108019(JP,A)
【文献】特開2000-127166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
B29B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物である廃棄物から紙を含む発酵適物を選別してメタン発酵工程に供する発酵適物選別方法であって、
被処理物を破砕し、破砕した被処理物から発酵適物を選別処理する第1破砕選別工程と、
前記第1破砕選別工程で発酵適物が選別された残渣を加湿して残渣に含まれる紙を加湿させる加湿工程と、
前記加湿工程で加湿した残渣から紙を含む発酵適物を選別処理する選別工程と、
を含む発酵適物選別方法。
【請求項2】
前記選別工程は破砕とともに行われる第2破砕選別工程である請求項1記載の発酵適物選別方法。
【請求項3】
前記第2破砕選別工程は、前記加湿工程で加湿した残渣を前記第1破砕選別工程に循環搬送し、前記第1破砕選別工程で実行される請求項2記載の発酵適物選別方法。
【請求項4】
被処理物である廃棄物から紙を含む発酵適物を選別してメタン発酵工程に供する発酵適物選別システムであって、
被処理物を破砕する破砕部と、破砕した被処理物から発酵適物を選別処理する選別部とを備えた第1破砕選別装置と、
前記第1破砕選別装置で発酵適物が選別された後の残渣を加湿して残渣に含まれる紙を加湿させる加湿装置と、
前記加湿装置で加湿した残渣から紙を含む発酵適物を選別処理する選別部を備えた選別装置と、
を含む発酵適物選別システム。
【請求項5】
前記選別装置は、前記加湿装置で加湿した残渣を破砕する破砕部を備え、前記破砕部で破砕した残渣を前記選別部で選別する第2破砕選別装置で構成されている請求項記載の発酵適物選別システム。
【請求項6】
前記第1破砕選別装置と前記第2破砕選別装置が前記加湿装置を挟んで一体に縦続配置されている請求項記載の発酵適物選別システム。
【請求項7】
前記第1破砕選別装置と前記第2破砕選別装置が兼用され、前記加湿装置で加湿した残渣を前記第1破砕選別装置に循環搬送する搬送機構を備えている請求項または記載の発酵適物選別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物から発酵適物を選別する発酵適物選別方法及び発酵適物選別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、資源循環型社会を実現するため、生ごみや紙ごみなどの有機性固形廃棄物を嫌気性微生物によりエネルギー源として利用可能なバイオガス(約60%のメタンガス、約40%の二酸化炭素ガス、少量の硫化水素などを含む)に変換するメタン発酵処理の実用化が進められている。
【0003】
一般家庭から廃棄される一般廃棄物や飲食業者などから廃棄される事業系廃棄物(以下、「廃棄物」と記す。)から発酵適物である生ごみや紙ごみなどの有機性固形廃棄物を選別してメタン発酵装置に供給するため、様々な破砕選別装置が用いられている。
【0004】
特許文献2には、生ごみ分別機として、破砕用羽根車の回転に伴って投入された破砕対象物が当該破砕用羽根車の軸線方向に送り出されながら破砕される筒状の破砕室と、破砕室内で破砕された破砕物を振るい落とすために当該破砕室の下側内周面部分を規定している篩面と、篩面から篩落とされずに破砕室の破砕対象物の送り出し方向の端部に至った残渣を外部に排出するために、当該破砕室の端部の上側内周面部分に形成した残渣排出口を備えた粉砕分別機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-86157号公報
【文献】特開2012-101202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
破砕選別装置として一軸破砕機を用いると発酵不適物である硬質樹脂などが同時に破砕処理され、破砕後の被処理物を風力選別する際に重量物である厨芥類側に破砕された硬質樹脂片などが混入する一方、発酵不適物である包装用の塩化ビニル樹脂片などの軽量物側に発酵適物である紙ごみが混入し、良好に選別できない。
【0007】
また、特許文献2に開示されたような粉砕分別機では、破砕用羽根車で紙ごみを良好に破砕することができず、発酵適物として篩面から篩落とされず発酵不適物側に混入するため、やはり良好に選別できない。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来技術に鑑み、被処理物である廃棄物から軽量の紙ごみなどの発酵適物を良好に選別可能な発酵適物選別方法及び発酵適物選別システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明による発酵適物選別方法の第一の特徴構成は、被処理物である廃棄物から紙を含む発酵適物を選別してメタン発酵工程に供する発酵適物選別方法であって、被処理物を破砕し、破砕した被処理物から発酵適物を選別処理する第1破砕選別工程と、前記第1破砕選別工程で発酵適物が選別された残渣を加湿して残渣に含まれる紙を加湿させる加湿工程と、前記加湿工程で加湿した残渣から紙を含む発酵適物を選別処理する選別工程と、を含む点にある。
【0010】
第1破砕選別工程で廃棄物が破砕され、破砕された被処理物から発酵適物が選別処理されてメタン発酵工程に供される。例えば発酵適物である厨芥などと比べて比較的軽い紙類は十分に破砕されないため破砕選別工程で発酵適物として選別処理されず、発酵不適物である残渣側に含まれる。しかし、加湿工程で加湿される残渣に含まれる紙類は吸湿して重量が増加し、発酵適物として適切に選別処理されるようになり、発酵適物の回収率が向上する。加湿工程では紙類の吸湿程度を、適切に選別処理できる程度に調整できるので、選別工程で選別された発酵適物の含水率を低く抑えることができるようになり、その後のメタン発酵処理で過剰に液量の増加を来すことが無く、効率的に発酵処理できる。
【0011】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記選別工程は破砕とともに行われる第2破砕選別工程である点にある。
【0012】
加湿工程で加湿される残渣に含まれる紙類は吸湿して重量が増加し、刃からの衝撃力を受けやすくなるため、発酵適物として適切に選別処理されるようになり、発酵適物の回収率が向上する。加湿工程では紙類の吸湿程度を容易に破砕できる程度に調整できるので、選別工程で選別された発酵適物の含水率を低く抑えることができるようになり、その後のメタン発酵処理で過剰に液量の増加を来すことが無く、効率的に発酵処理できる。
【0013】
同第三の特徴構成は、上述の第二の特徴構成に加えて、前記第2破砕選別工程は、前記加湿工程で加湿した残渣を前記第1破砕選別工程に循環搬送し、前記第1破砕選別工程で実行される点にある。
【0014】
第1破砕選別工程で排出された残渣を再度第1破砕選別工程に循環搬送することで破砕選別できるので、各破砕選別工程を実行するための設備コストを低減できる。また、循環搬送する回数を増せば、それだけ発酵適物の選別精度が上昇し、回数を調整することで目標の回収率を得ることができる。
【0015】
本発明による発酵適物選別システムの第一の特徴構成は、被処理物である廃棄物から紙を含む発酵適物を選別してメタン発酵工程に供する発酵適物選別システムであって、被処理物を破砕する破砕部と、破砕した被処理物から発酵適物を選別処理する選別部とを備えた第1破砕選別装置と、前記第1破砕選別装置で発酵適物が選別された後の残渣を加湿して残渣に含まれる紙を加湿させる加湿装置と、前記加湿装置で加湿した残渣から紙を含む発酵適物を選別処理する選別部を備えた選別装置と、を含む点にある。
【0016】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記選別装置は、前記加湿装置で加湿した残渣を破砕する破砕部を備え、前記破砕部で破砕した残渣を前記選別部で選別する第2破砕選別装置で構成されている点にある。
【0017】
同第三の特徴構成は、上述の第二の特徴構成に加えて、前記第1破砕選別装置と前記第2破砕選別装置が前記加湿装置を挟んで一体に縦続配置されている点にある。
【0018】
選別装置のコンパクト化を図ることができる。
【0019】
同第四の特徴構成は、上述の第二または第三の特徴構成に加えて、前記第1破砕選別装置と前記第2破砕選別装置が兼用され、前記加湿装置で加湿した残渣を前記第1破砕選別装置に循環搬送する搬送機構を備えている点にある。
【発明の効果】
【0020】
以上説明した通り、本発明によれば、被処理物である廃棄物から軽量の紙ごみなどの発酵適物を良好に選別可能な発酵適物選別方法及び発酵適物選別システムを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は本発明による発酵適物選別方法に好適な破砕選別装置の要部断面図、(b)は破砕用羽根車の側面図
図2】本発明による発酵適物選別方法の説明図
図3】本発明による発酵適物選別方法の他の態様を示す説明図
図4】本発明による発酵適物選別方法の他の態様を示す説明図
図5】本発明による発酵適物選別方法の他の態様を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明による発酵適物選別方法及び発酵適物選別システムを説明する。
[破砕選別装置の説明]
図1(a)には発酵適物選別方法に用いられる破砕選別装置1が示されている。破砕選別装置1は、軸心Pが水平姿勢となるように架台上に配された円筒状のドラム2と、ドラム2の内部に収容され、ドラム2の軸心Pに沿って配された回転軸3に複数枚の破砕刃5が櫛状に取付けられた破砕用羽根車4と、ドラム2の一端側上方に開口された投入ホッパー6と、ドラム2の他端側に開口された排出口7を備えている。ドラム2の側方には破砕用羽根車4を回転駆動するモータが配置されている。
【0023】
投入ホッパー6の底部に沿って平行に配置された一対のスクリューコンベア8が設けられている。例えばベルト式コンベア機構で搬送された廃棄物が、上方から投入ホッパー6に落下供給されると、スクリューコンベア8でドラム2内の破砕選別空間に供給される。投入ホッパー6の側壁にはスクリューコンベア8を回転駆動するモータが配置されている。
【0024】
ドラム2の外周のうち、軸芯Pより下側の領域には、径が、例えば30,50,75mm程度で複数の開口が形成されたパンチングメタルでなる篩機構2Aが構成されている。
【0025】
図1(b)に示すように、破砕用羽根車4は、軸芯方向視で十字状に破砕刃5が位置するように回転軸3にアタッチメント3A,3Bを介して其々破砕刃5が揺動軸5Aを介して揺動可能に取り付けられている。被処理物に金属などの硬質部材が混入しているような場合に、破砕刃5が揺動することで破損を回避するためである。なお、破砕刃5の揺動は必須ではない。
【0026】
破砕選別空間に供給された廃棄物には、発酵適物となる厨芥などの有機性廃棄物や紙類などの有機性廃棄物以外に、発酵不適物となるガラス、樹脂、陶磁器片、金属片など雑多な廃棄物が混入している。
【0027】
このような廃棄物が複数枚の破砕刃5と衝突してせん断破砕または衝撃破砕されながら軸心に沿って排出口7側に搬送される過程で、発酵適物が篩機構2Aの開孔から落下し、篩機構2Aの下方に設置されたコンベア機構で回収されてメタン発酵装置に供給される。
【0028】
一方、破袋されたシート状の樹脂や金属などの発酵不適物は破砕刃5と衝突しても容易に破断されずに下流側に搬送され、回転軸3の最下流側に配された排出用のブレード9で掻き上げられて排出口7から排出される。
【0029】
発酵適物である紙類はシート状の樹脂と同様に非常に軽く、刃からの衝撃力を受け流してしまうため、破砕刃5と衝突しても容易に破断されず、発酵不適物とともに排出口7から排出される割合が高い傾向がある。
【0030】
篩機構2Aによる選別に代えて、風力選別機構を用いた選別を採用しても、紙類はシート状の樹脂と同様に、厨芥などの発酵適物より軽量であるため、発酵不適物側に選別される傾向が高い。
【0031】
そのため、廃棄物に混入している紙類を発酵適物として選別回収するのは非常に困難であった。本発明の発酵適物選別方法及び発酵適物選別システムは、そのような紙類を発酵適物として効率的に選別回収可能にすることを可能にする。
【0032】
[発酵適物選別方法の説明]
図2に示すように、発酵適物選別方法は、被処理物である廃棄物から紙を含む発酵適物を適切に選別するため方法で、樹脂製の袋に充填された廃棄物を破袋機10に投入して破袋し、破袋された被処理物を破砕選別機1に投入して、せん断破砕または衝撃破砕し、破砕した被処理物から発酵適物を選別処理する第1破砕選別工程と、第1破砕選別工程で発酵適物が選別された残渣を加湿する加湿工程と、加湿工程で加湿した残渣をせん断破砕または衝撃破砕し、破砕した残渣から発酵適物を選別処理する第2破砕選別工程と、を含む。
【0033】
第1破砕選別工程で廃棄物がせん断破砕または衝撃破砕され、破砕された被処理物から発酵適物が選別処理される。厨芥などと比べて比較的軽い紙類は十分に破砕されないため第1破砕選別工程で発酵適物として選別処理されず、発酵不適物である残渣側に含まれる。
【0034】
しかし、加湿工程で加湿される残渣に含まれる紙類は吸湿して重量が増加し、衝撃力を受けやすくなるため、第2破砕選別工程で容易く破砕されるようになり、発酵適物として適切に選別処理されるようになる。
【0035】
加湿工程では紙類の吸湿程度を、容易に破砕できる程度に調整できるので、第2破砕選別工程で選別された発酵適物の含水率を低く抑えることができ、その後のメタン発酵処理で過剰に液量の増加を来すことが無く、効率的に発酵処理できる。
【0036】
第1破砕選別工程で排出された残渣に発酵適物が含まれているか否かを検査する検査工程を備えていることが好ましく、残渣に含まれている発酵適物が微量である場合には、そのまま不適物処理装置に搬送される。検査工程は直接または撮像装置による撮影画像に基づいて作業者が目視判断することができる。また、撮影画像を画像処理して発酵適物の含有の程度を自動判定してもよい。特に発酵適物として紙類の量がどの程度含まれているかを自動判定することが好ましい。
【0037】
加湿工程は噴霧ノズルを介して残渣に水を噴霧する工程であり、第1破砕選別工程で発酵適物が選別された後の残渣に含まれる発酵適物の混入状態に基づいて噴霧量を調整する噴霧量調整処理を含むことが好ましい。紙類の含有率に基づいて加湿工程で噴霧ノズルからの噴霧量が適切に調整される。
【0038】
例えば、雑多な残渣が撮影された画像を色や形状に基づいて領域分離し、分離された各領域の形状や色に基づいて紙類の量を判定する機械学習装置を備え、機械学習装置が、紙類の含有率が所定の閾値以上であると判定した場合に加湿工程に移行し、紙類の含有率が所定の閾値未満であると判定した場合に不適物処理装置へ搬送することが好ましい。
【0039】
この様な機械学習装置により噴霧量調整機構が構成できる。例えば噴霧量調整機構は、残渣の撮影画像を入力する入力部と、入力部に入力された撮影画像に基づいて水の噴霧量を算出する演算部と、演算部により算出された水の噴霧量を出力する出力部とを備えた機械学習装置で構成することができる。
【0040】
具体的に機械学習装置はニューラルネットワークなどで構成することができ、前処理部雑多な残渣が撮影された画像を色や形状に基づいて領域分離し、各領域の形状や色に基づいて紙類がどの程度含まれているかを判定出力するとともに、噴霧量を判定出力するニューラルネットワークで構成することができる。
【0041】
図3には、発酵適物選別方法の他の態様が示されている。第2破砕選別工程は、加湿工程で加湿した残渣を第1破砕選別工程に循環搬送し、第1破砕選別工程で実行されるように構成されている。つまり、廃棄物が第1破砕選別工程に循環供給される態様である。この態様では、破砕選別工程が連続的に実行されるのではなく、一定量の廃棄物が第1破砕選別工程でバッチ処理され、その後に残渣が再度第1破砕選別工程に循環されてバッチ処理される。循環回数は1回で十分であるが、検査工程の結果に基づき複数回循環することも可能である。
【0042】
第1破砕選別工程で排出された残渣を第1破砕選別工程に循環搬送することで第2破砕工程が実行できるので、各破砕選別工程を実行するための設備コストを低減できる。また、循環搬送する回数を増せば、それだけ発酵適物の選別精度が上昇する。
【0043】
図4には、図2に示した発酵適物選別方法の実施に好適な破砕選別装置が示されている。上述した破砕選別装置1の円筒状のドラムが軸心方向に長く延出され、投入ホッパーに近い上流側で第1の破砕選別工程が実行される第1破砕選別領域が設けられ、排出部に近い下流側で第2の破砕選別工程が実行される第2破砕選別領域が設けられている。そして、第1破砕選別領域と第2破砕選別領域の間に噴霧機構が設けられている。
【0044】
図5には、発酵適物選別方法の他の態様が示されている。
当該発酵適物選別方法は、被処理物を加湿する加湿工程と、加湿工程で加湿した被処理物を破砕し、破砕した被処理物から発酵適物を選別処理する破砕選別工程と、を備え、加湿工程は被処理物に水を噴霧する工程であり、被処理物に含まれる発酵適物の混入状態に基づいて噴霧量を調整する噴霧量調整処理を含む。破砕選別工程で発酵適物が選別された後の残渣を加湿工程に循環供給することが好ましく、発酵適物の回収率が向上する。
【0045】
破砕選別工程の前に被処理物を加湿することで、破砕選別工程の段階で紙類を適切に発酵適物側に選別できる。発酵適物の混入状態は被処理物の最初、または選別後の残渣で測定し、その結果に基づいて加湿量を調整することができる。
【0046】
上述した例では第1及び第2破砕選別工程が、篩選別方法を採用した破砕選別装置1を用いる例を説明したが、第1破砕選別工程及び/または第2破砕選別工程で実行される発酵適物の選別処理は篩選別方法または風力選別方法の何れかが採用されていればよい。
【0047】
第1破砕選別工程で十分に破砕されず、篩選別方法または風力選別方法で発酵適物側に選別されない紙類であっても、加湿工程を経ることにより重量が増し、選別工程で重量の違いを利用して加湿された紙類などの重量物を発酵適物とし、樹脂片などを軽量の発酵不適物として選別する風力選別方法で発酵適物側に選別回収される。また、選別工程では破砕しないので、破砕機構が不要となり装置構成が簡素化される。重量の違いを利用して加湿された紙類などの重量物を選別する方法は風力選別以外に振動による選別などの重量の違いを利用する重量選別を採用してもよい。
【0048】
[発酵適物選別システムの説明]
図1及び図2で説明したように、被処理物である廃棄物から紙を含む発酵適物を選別する発酵適物選別システムは、被処理物を破砕する破砕部と、破砕した被処理物から発酵適物を選別処理する選別部とを備えた第1破砕選別装置と、第1破砕選別装置で発酵適物が選別された後の残渣を加湿する加湿装置と、加湿装置で加湿した残渣を破砕する破砕部と、破砕した残渣から発酵適物を選別処理する選別部とを備えた第2破砕選別装置と、を備えて構成されている。
【0049】
図3で説明したように、第1破砕選別装置と第2破砕選別装置が兼用され、加湿装置で加湿した残渣を第1破砕選別装置に循環搬送する搬送機構を備えていることが好ましい。被処理物に生ごみが含まれる場合には、生ごみの水分が寄与して残渣の重量が重くなるので、噴霧量を抑制しても発酵適物の回収率が向上する。
【0050】
図4で説明したように、第1破砕選別装置と第2破砕選別装置が加湿装置を挟んで一体に縦続配置されていることが好ましい。
【0051】
加湿装置は残渣に水を噴霧する噴霧ノズルと、第1破砕選別装置で発酵適物が選別された残渣に含まれる発酵適物の混入状態に基づいて噴霧量を調整する噴霧量調整機構と、を備えて構成されていることが好ましい。
【0052】
噴霧量調整機構は、残渣の撮影画像を入力する入力部と、入力部に入力された撮影画像に基づいて水の噴霧量を算出する演算部と、演算部により算出された水の噴霧量を出力する出力部とを備えた機械学習装置で構成されていることが好ましい。
【0053】
上述した実施形態では、第2破砕選別工程で残渣が破砕選別される例を説明したが、破砕工程は必須ではなく、選別工程のみが実行されてもよい。つまり、本発明による発酵適物選別方法は、被処理物である廃棄物から紙を含む発酵適物を選別する方法であり、被処理物を破砕し、破砕した被処理物から発酵適物を選別処理する破砕選別工程と、破砕選別工程で発酵適物が選別された残渣を加湿する加湿工程と、加湿工程で加湿した残渣を破砕し、破砕した残渣から発酵適物を選別処理する選別工程と、を備えていればよく、選別工程に破砕工程が含まれていても含まれていなくてもよい。また、本発明による発酵適物選別システムでは、第2破砕選別装置に代えて破砕部を備えずに選別部のみを備えた選別装置を用いることも可能である。
【0054】
上述した実施形態は本発明の一態様であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的な構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1:破砕選別装置
2:ドラム
2A:篩機構
3:回転軸
4:破砕用羽根車
5:破砕刃
6:投入ホッパー
7:排出口
8:スクリューコンベア
P:軸芯
図1
図2
図3
図4
図5