(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】艶消しポリアミド-PUD
(51)【国際特許分類】
C08G 18/60 20060101AFI20231117BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20231117BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20231117BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20231117BHJP
C08G 18/67 20060101ALI20231117BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20231117BHJP
C08L 47/00 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
C08G18/60
C08G18/00 C
C08G18/10
C08G18/08 019
C08G18/08 009
C08G18/67 005
C08L75/04
C08L47/00
(21)【出願番号】P 2019558486
(86)(22)【出願日】2018-04-30
(86)【国際出願番号】 US2018030232
(87)【国際公開番号】W WO2018201143
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】エルドディ, ガボール
(72)【発明者】
【氏名】ポーラーマディー, ナサー
(72)【発明者】
【氏名】バード, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】スコフ, イスラエル
(72)【発明者】
【氏名】スウェッチ, クリストファー
【審査官】山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-013495(JP,A)
【文献】特開2008-120997(JP,A)
【文献】特表2016-513150(JP,A)
【文献】国際公開第2016/025300(WO,A1)
【文献】特表2017-532389(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0086953(US,A1)
【文献】特開2008-169373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G、C08K、C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中のコロイド的に安定化されたポリマー分散液であって、前記ポリマーが、ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含み、前記水性媒体中の分散液は、
a)以下の
【化15】
から選択されるアミン繰り返し単位を有するポリアミドオリゴマーであって、
式中、R
1~R
5が、独立して、HまたはC
1~C
4の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基から選択され、全てのR
5基の少なくとも80モル%がHであり、前記アミン繰り返し単位の窒素末端基が、アミド結合を形成することができる少なくとも1つのカルボニル基を有する反応性カルボニル繰り返し単位と反応する、ポリアミドオリゴマーと、
b)ヒドロキシル基またはアミノ基と反応させたポリイソシアネートからの少なくとも1つの繰り返し単位と、
c)ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマーに結合した水分散性基と、を含み、
さらに、前記アミン繰り返し単位が、ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマーの一部であり、前記アミン繰り返し単位が、ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマーの4~15重量%であり、
前記ポリアミドオリゴマーの前記アミン繰り返し
単位の少なくとも1つが、a)式-(C(=O)-R
e-C(=O)-の繰り返し単位(式中、R
eはC
3~C
58の直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基(必要に応じて不飽和)である)に結合しており、
前記ポリアミドオリゴマーが、ポリエステル繰り返し単位とさらに結合しており、前記ポリエステル繰り返し単位が、ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマーの1~75重量%である、
水性媒体中のコロイド的に安定化されたポリマー分散液。
【請求項2】
前記ポリアミドオリゴマーが、平均して、ポリマー鎖当たり合計1~10個の式Iまたは式IIの前記アミン繰り返し単位を有する、請求項1に記載の水性媒体中のポリマー分散液。
【請求項3】
前記ポリアミドオリゴマーの前記アミン繰り返し単位の少なくとも1つが、b)式-C(=O)-R
f-O-の繰り返し単位(式中、R
fはC
1~C
14の直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基(必要に応じて不飽和)である)にさらに結合している、請求項1に記載の水性媒体中のポリマー分散液。
【請求項4】
前記ポリマーが、a)1つもしくはそれより多くのポリエステルセグメント、b)1つもしくはそれより多くのポリカーボネートセグメント、c)1つもしくはそれより多くのポリエーテルセグメント、またはd)前記ポリマーに化学的に結合したか、もしくは前記分散液の前記ポリマーと物理的にブレンドされたそれらのブレンドをさらに含み、前記ポリエステル、ポリカーボネート、もしくはポリエーテルセグメント、またはそれらのブレンドが、必要に応じて、500~5,000の数平均分子量を有し、前記セグメント(複数可)は、前記ポリマー分散液の総ポリマー重量の2重量%以上を構成する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項5】
前記ポリマー分散液が、前記分散液中のポリマーの総重量に基づいて10~50重量%の量の、不飽和フリーラジカル重合性モノマー反応物または前記不飽和フリーラジカル重合性モノマー反応物に由来するポリマー種をさらに含む、請求項1~4に記載のポリマー分散液。
【請求項6】
前記ポリマーに組み込まれた、架橋を促進する架橋剤または架橋性基をさらに含む、請求項1~5に記載のポリマー分散液。
【請求項7】
前記ポリマー分散液は、以下の構造
【化16】
の第三級アミド繰り返し単位を有する、少なくとも5重量%のポリアミドをさらに含み、
式中、R
aが、2~48または58個の炭素原子の環状、直鎖、または分岐鎖(必要に応じて芳香族基を含む)アルキレンであり、必要に応じて、前記
-C(O)-R
a
-C(O)-の3個または10個の炭素原子当たり最大1個のヘテロ原子を含み、
式中、R
bが、2~60個の炭素原子の直鎖または分岐鎖(必要に応じて、環状、複素環式、または芳香族部分(複数可)であるかまたはそれを含む)アルキレン基(必要に応じて、10個の炭素原子当たり最大1または3個のヘテロ原子を含む)であり、R
cおよびR
dが、個々に、1~8個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキル基であるか、あるいはR
cおよびR
dが一緒に結合して、1~8個の炭素原子の単一の直鎖または分岐鎖アルキレン基を形成するか、あるいは必要に応じて、R
cおよびR
dの一方が炭素原子でR
bに結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項8】
前記第三級アミド繰り返し単位の少なくとも60モル%が環状第三級アミド繰り返し単位であり、前記第三級アミド繰り返し単位が、構造
【化17】
を有し、式中、R
bが、2~6個の炭素原子を有し、R
cおよびR
dが一緒に結合して、1または2~4個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキレン基となる、請求項7に記載の水性媒体中のポリマー分散液。
【請求項9】
請求項1に記載の前記水分散性基が、アニオン性、カチオン性、非イオン性、またはそれらのブレンドの群から選択される、請求項1~8に記載の水性媒体中のポリマー分散液。
【請求項10】
請求項1に記載の前記水分散性基が、前記ポリマー分散液の前記少なくとも1つのポリマーに共有結合しているアニオン性水分散性基を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項11】
前記アニオン性水分散性基が、5~40mgKOH/gポリマーの酸価で存在するカルボン酸を含む、請求項9または10に記載のポリマー分散液。
【請求項12】
請求項1に記載の前記水分散性基が、前記ポリマー分散液の前記複数のウレタン結合に共有結合している非イオン性オリゴマーを含む、請求項8に記載のポリマー分散液。
【請求項13】
前記水分散性基が、カチオン性水分散基を含み、必要に応じて、前記カチオン性水分散
基が、第三級アミンまたは第四級アンモニウム基の塩を含む、請求項9に記載のポリマー分散液。
【請求項14】
前記ポリマーが、前記分散液のポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマーの総ポリマー重量の2重量%
以上の量で存在する、500~5,000の分子量のポリカーボネートセグメントを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項15】
分散液の形態のポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマー中のポリマーの総重量に基づいて少なくとも10重量%の第2のポリマー(ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマーに共有結合していない)をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマー分散液であって、前記第2のポリマーが、4重量%未満の式Iおよび式IIのアミン繰り返し単位を有する、ポリマー分散液。
【請求項16】
前記第2のポリマーの少なくとも50重量%が、水相中の別個の分散ポリマー粒子中に存在し、前記別個の分散ポリマー粒子の少なくとも50重量%が、4重量%未満の式Iおよび式IIの合わせたアミン繰り返し単位を含む、請求項15に記載のポリマー分散液。
【請求項17】
前記第2のポリマーの少なくとも50重量%が、ポリマー粒子中に、ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマーと共存し、ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合、または複数のウレア結合、または複数のウレタン結合および複数のウレア結合の組み合わせを含む前記ポリマーが、4~15重量%の式Iまたは式IIのアミン繰り返し単位を有することを特徴とする、請求項15に記載のポリマー分散液。
【請求項18】
前記第2のポリマーがポリウレタンポリマーである、請求項15~17のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項19】
前記第2のポリマーが、フリーラジカル重合性不飽和モノマー(複数可)から形成されたポリマーである、請求項15~17のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項20】
自己支持性フィルム、コーティング、または接着剤に形成される、請求項1~19のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項21】
適切な形状に形成し、前記水性媒体を蒸発させることにより、基材上の自己支持性フィルムまたはコーティングに変換された請求項20に記載のポリマー分散液であって、前記フィルムまたはコーティングが、Elcometer408を使用してASTM D523-14に従って3ミル(76マイクロメートル)のフィルムまたはコーティング厚さを用いると、60°で20未満の光沢度を有する(必要に応じて、ヘイズを有する)、ポリマー分散液。
【請求項22】
基材上のコーティングの形態である請求項21に記載のポリマー分散液であって、前記基材が、金属、木材、透明プラスチック、または透明ガラスである、ポリマー分散液。
【請求項23】
前記アミン繰り返し単位のR
5基の少なくとも80モルパーセントがHである、請求項
1~22のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項24】
前記アミン繰り返し単位のR
5基の少なくとも90モルパーセントがHである、請求項1~23のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【請求項25】
前記アミン繰り返し単位のR
5基の少なくとも95モルパーセントがHである、請求項1~24のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸等の何らかの形態の反応性カルボニルと反応させた環状脂肪族または芳香族第一級もしくは第二級アミンから誘導されたポリアミドセグメントを含む、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/またはウレア結合分散液を含む水性ポリマーに関する。これらのポリアミドは、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合分散液を含む上記ポリマーから誘導されたコーティングの表面に、より低い光沢度を特徴とするテクスチャを予想外に付与する。
【背景技術】
【0002】
コーティング業界では、高光沢の非常に滑らかなコーティング仕上げが所望される場合がある。他の場合には、コーティング表面のばらつきによって入射光を様々な方向に反射する艶消し(低光沢)コーティングまたはインク表面が所望される。異なる種類のコーティング(溶剤ベースおよび水ベース)用に、光沢低下(艶消し)を付与するための様々な機構および製品が開発されている。コーティング業界は、コーティング製造およびコーティング塗布プロセスのあらゆる段階で、艶消しの程度の均一性および一貫した制御、ならびに艶消しのレベルを容易に調節する能力を求めている。
【0003】
粒子サイズを制御したシリカは、艶消し仕上げをもたらす際に広く使用されてきた。シリカ粒子がコーティング表面から突出し、コーティング表面上に様々な方向に光を反射する高さのある部分を形成することによって機能すると考えられる。この用途に使用されるシリカは、完成したコーティングの多孔性を高める多孔質構造を有する(シリカが多いほど、より艶消し度が高く、より多孔性が高い)。コーティングの多孔性は、コーティングを変色させる、コーティングを損なうもしくは軟化させる、またはコーティングの下の基材と不利に反応する(金属の腐食を引き起こす等)可能性がある様々な液体に対する耐性を低下させる。また、シリカは、ほとんどのバインダーと著しく異なる屈折率を有するため、コーティングにいくらかの不透明性を加える。
【0004】
本出願人は、高い割合のポリアミドがピペラジンから誘導された第三級ポリアミドである、ポリアミド含有ポリマーおよびポリウレタン分散液について記載する2つの先の出願(US9,527,961およびUS2016/009953)を有していた。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、水性媒体中のポリマー分散液由来の塗布コーティングに低光沢(高艶消し)仕上げを付与する、特定の環状脂肪族または芳香族第一級もしくは第二級アミン基からのポリアミドを含む、水性媒体(例えば、水および必要に応じて水溶性有機物)中のポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合分散液を含むポリマーに関する。これらのポリアミドは、コーティング、インク、または接着剤のバインダー中のセグメントとして有用である。また、これらのポリアミドは、一次ポリマーバインダー(例えば、第2のポリマー)とは別々に調製することもでき、両方とも水性媒体中の分散液の形態である。ポリアミドならびに複数のウレタン結合および/またはウレア結合を含むポリマーは、第2のポリマーとブレンドしてから該ブレンドを水性媒体中に分散させることができる。あるいは、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーと第2のポリマーとをそれぞれ別々に水性媒体中に分散させ、次いで、水性媒体中の各々からの分散粒子を一緒にブレンドすることができる。あるいは、ポリアミドを含むこれらのポリマーは、必要に応じて第2のポリマーを含むマスターバッチとして作製されてもよく、そのマスターバッチを1つ以上の他のポリマー分散液とブレンドして、コーティング、インク、または接着剤のバインダーを作製することができる。バインダーのポリマーは、熱可塑性、熱硬化性、またはエラストマー性であり得、一般に、これらの樹脂の水性分散液である。それらの特定のポリアミドを含むこれらのポリマー分散液の特有の特徴は、最終コーティングまたはインクにテクスチャ表面を付与する能力であり、上記テクスチャ表面は、光沢の低下した(艶消しを増加した)コーティングまたはインク仕上げを与える。コーティングまたはインクのポリマー中のポリアミドの量が、達成される光沢低下または艶消しのレベルに影響する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義:我々は、括弧を使用して、1)モノマー(複数可)が単数もしくは複数のモノマーを意味するように、または(メタ)アクリレートがメタクリレートもしくはアクリレートを意味するように、何かが必要に応じて存在すること、2)前述の用語を修飾またはさらに定義すること、あるいは3)より狭義の実施形態を列挙することを示す。
【0007】
「ヒドロカルビル」または「ヒドロカルビレン」という用語は、本発明の文脈内で、分子の残りの部分に直接結合した炭素原子を有し、炭化水素または主に炭化水素特性を有する基を意味する。そのような基は、純粋な炭化水素基、すなわち、脂肪族、および必要に応じて、基の主な炭化水素特性を変更しない非炭化水素置換基(ヘテロ原子を含む)を含む。非炭化水素置換基の例として、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ(シアノ基がC原子を介して結合し、またアシルも同様である)、アルコキシ、アシル基等が挙げられる。適切なヘテロ原子は、当業者には明らかであり、例えば、窒素、酸素、および硫黄を含む。
【0008】
本発明の第1の部分は、カルボン酸等の何らかの形態の反応性カルボニル(しばしば、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸からのラクトン)と反応させた環状脂肪族または芳香族第一級もしくは第二級ジアミン型成分からのポリアミドセグメントの生成である。好ましい一実施形態において、両方の窒素原子は、窒素と環との間に原子が介在することなく、環式環または芳香族環に結合している。アミンとカルボン酸とのこの反応は、副産物としての水(またはラクトンの場合はヒドロキシル基)およびアミド結合を生成する。ポリアミドセグメントの形成は、副産物である水を除去することによって促進することができる。一般に、約500~5,000g/モル、より好ましくは約800または1000~3000g/モルのポリアミド数平均分子量が、この技術によって最終バインダーに容易に加工可能となっている。本出願人は、オリゴマーまたはポリマー中の2つ以上のアミド結合という意味でポリアミドを使用している。これらのポリアミドは、最初はアミン、ヒドロキシル、またはカルボン酸末端であり得る。一般に、これらはポリウレタンの前駆体のための従来の末端基であるため、ヒドロキシル末端基を形成することが望ましい。
【0009】
例の多くは、反応性カルボニル基および/またはカルボキシル官能基のモルに対してわずかに過剰なジアミンを使用し、反応させると酸価が非常に低くなり、利用可能なカルボキシル基の実質的に全てが消費される。反応性アミンおよび酸基の化学量論を調整することは、分子量および主な末端基の制御に役立つ。いくつかの実施形態において、唯一のカルボン酸基はヒドロキシカルボン酸またはそれらのラクトンであり、これにより、ポリイソシアネートと反応させたときにポリウレタンを形成するヒドロキシル末端ポリアミドが得られる。
【0010】
他の実施形態において、アミン繰り返し単位を最初にジカルボン酸と反応させてアミン末端ポリアミドを作製し、次いで、そのポリアミドをアミン末端ポリアミドの末端でラクトン重合により鎖延長する。他の反応物(例えば、三官能性アミンもしくは三官能性カルボン酸または単官能性アミンもしくは単官能性カルボン酸)または不純物は、必要とされる反応物に対してそれらが少量で使用され、反応生成物の分子量を過度に増加または減少させない限り、ポリアミド形成に含まれ得る。
【0011】
好ましい環状脂肪族または芳香族および第一級または第二級ジアミン反応物は、以下の式Ib~式IVbであり、
【化1】
またはそれらの組み合わせ。
【0012】
式中、R1~R5は、独立して、HまたはC1~C4の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基から選択され、一実施形態において、望ましくは、アミン繰り返し単位の全R5基の少なくとも80、90または95重量%はHである。
【0013】
好ましい環状脂肪族または芳香族および第一級または第二級ジアミンの繰り返し単位は、式I~IVであり、
【化2】
またはそれらの組み合わせ。
【0014】
式中、R
1~R
5は、独立して、HまたはC
1~C
4の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基から選択され、一実施形態において、望ましくは、アミン繰り返し単位の全R
5基の少なくとも80、90または95重量%はHであり、分子の環状脂肪族または芳香族部分の少なくとも80、90または95重量%は式1および式II(好ましい)が以下に示すようなIaおよび式IIaとなるように、環状脂肪族であり、
【化3】
【0015】
式中、R
4~R
1は、独立して、HまたはC
1~C
4アルキル基である。一実施形態において、ポリアミドまたはポリアミドのアミン繰り返し単位を作製するために使用される式Ib~IVb、式I~IV、および式Ia~IIaのジアミンのR
1、R
2、R
3、およびR
4基の少なくとも60、70または80は水素である。一実施形態において、望ましくは、R
5基の少なくとも80、90、95、99または100モル%が水素であり、第一級ジアミンが得られるこれらの第一級アミンは、反応してポリアミドになると、
【化4】
および
【化5】
の繰り返し単位を生成し、
式中、R
1~R
4は上記の通りである。脂肪族第一級環状ジアミンの例として、1,3-ジアミノシクロヘキシル、および4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、必要に応じて、上記で教示したように置換されたモノまたはジアルキル(メチルが好ましい)が挙げられる。環状脂肪族ジアミンおよび環式芳香族ジアミンが示されているが、芳香族ジアミンは、光源に曝露されるとポリマーコーティングおよびインクにおいて黄色を生成し得ると考えられる。したがって、第一級脂肪族および/または第二級ジアミンが、若干好ましい。
【0016】
アミン化合物骨格として組み込まれた環状構造中の炭素原子に直接結合したアミン基を有する式I~IVの特定の脂肪族環状構造または芳香族構造を有する第一級および/または第二級ジアミンの量は、上記ポリマー分散液中の全ポリマーの約1または2~約20または25重量%、より望ましくはポリウレタン分散液中のポリマーの総量に基づいて4~15、好ましくは6~15(すなわち、一般に、コーティング重量は、水相、充填剤、および顔料の重量より少ない)である。
【0017】
一実施形態において、脂肪族環状ジアミン成分と反応させた二酸は、C
10~C
40ジカルボン酸およびダイマー脂肪酸を含むC
4~C
50または60ジカルボン酸である。特に好ましいより大きな二酸は、セバシン酸、ドデカンド酸およびダイマー酸を含む。それらに由来する繰り返し単位は、構造
【化6】
を有し、式中、RaはC
2~C
48または58、より好ましくはC
8~C
38のヒドロカルビル基である。好ましい二酸は、セバシン酸およびC
10~C
40脂肪族二酸を含む。本出願において、ダイマーおよびトリマー脂肪酸は非常に有用である。
【0018】
ダイマー脂肪酸(ダイマー二酸またはダイマー脂肪二酸とも称される)およびトリマー脂肪酸という用語は、当該技術分野で周知であり、一価不飽和もしくは多価不飽和脂肪酸および/またはそのエステルの二量体化または三量体化生成物を指す。それらは、圧力下で脂肪酸を重合し、次いで蒸留によって未反応の脂肪酸出発物質の大部分を除去することにより調製される。最終生成物は、通常、少量のモノ脂肪酸およびトリマー脂肪酸を含むが、大部分はダイマー脂肪酸で構成される。
【0019】
本発明で使用されるダイマーおよびトリマー脂肪酸は、好ましくはC10~C30脂肪酸、より好ましくはC12~C24脂肪酸、具体的にはC14~C22脂肪酸、さらに好ましくはC16~C20脂肪酸、特にC18脂肪酸の二量体化生成物から誘導される。したがって、結果として得られるダイマー脂肪酸は、好ましくは、20~60個、より好ましくは24~48個、具体的には28~44個、さらに好ましくは32~42個、特に36個の範囲の1分子当たりの炭素原子を含む。好ましくは、ダイマーを作製するために使用される脂肪酸出発物質は、直鎖一不飽和脂肪酸である。
【0020】
ダイマー脂肪酸の分子量(重量平均)は、好ましくは450~690、より好ましくは500~640、具体的には530~610、特に550~590g/モルの範囲である。トリマー脂肪酸の分子量(重量平均)は、好ましくは750~950、より好ましくは790~910、具体的には810~890、特に830~870の範囲である。ダイマー脂肪酸に加えて、二量体化は、通常、様々な量のトリマー脂肪酸(いわゆる「トリマー」)、オリゴマー脂肪酸、およびモノマー脂肪酸(いわゆる「モノマー」)の残基、または存在するそのエステルをもたらす。それらは、Pripol(商標)の商標でCrodaから、またはUnidyme(商標)の商標でArizona Chemicalから入手可能である。
【0021】
本発明で使用されるダイマー脂肪酸は、好ましくは、60重量%超、より好ましくは70重量%超、具体的には80重量%超、特に85重量%超のダイマー脂肪酸(またはダイマー)含有量を有し得る。加えて、特に好ましいダイマー脂肪酸は、40重量%未満、より好ましくは30重量%未満、具体的には20重量%未満、特に15重量%未満のトリマー脂肪酸(またはトリマー)含有量を有し得る。さらに、ダイマーおよび/またはトリマー脂肪酸は、好ましくは10重量%未満、より好ましくは6重量%未満、具体的には4重量%未満、特に3.5重量%未満のモノ脂肪一酸(またはモノマー)を含む。上記の重量パーセント値は全て、存在する重合脂肪酸およびモノ脂肪酸の総重量に基づいている。
【0022】
式HO-C(=O)-R
F-O-Hを有する好ましいヒドロキシカルボン酸、およびそれに由来する式
【化7】
の環状ラクトンは、
2~15個の炭素原子、より好ましくは2~5個の炭素原子を有する、上記式(式中、R
fは1~14個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する)を有する直鎖、分岐鎖および環状R
f構造を含む。様々な非置換のおよびアルキル置換されたカプロラクトンおよびバレロラクトンが好ましい。ヒドロキシカルボン酸から出発する場合、ヒドロキシカルボン酸およびそれに由来するラクトンの両方が、1モルの水の生成を伴って構造-(C(=O)-R
f-O-)-の繰り返し単位をもたらす。
【0023】
本発明の要約に示されるように、ヒドロキシカルボン酸または該酸からのラクトンを、ジカルボン酸を用いてまたは用いずに使用して(逆もまた同様)アミド結合を生成することができ、ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸を使用して、ポリエステル繰り返し単位で本発明のポリアミドを鎖延長することができる。ポリアミドが、ヒドロキシカルボン酸またはそれに由来するラクトンからのポリエステル繰り返し単位で鎖延長される場合、ポリエステル繰り返し単位の量は、望ましくはポリウレタン分散液のポリマーの約1~約75重量%である。
【0024】
1モルの二酸および1モルの特定の第一級ジアミンのポリアミド繰り返し構造は以下のように見え、
【化8】
第一級ジアミン成分は以下のように見え、
【化9】
ジアミンのR
bは、以下の群から選択される構造のように見え、
【化10】
式中、R
1~R
4は上記の通りである。アミン繰り返し単位が水素以外のR
5基を有する第二級アミン型であった場合、その構造はアミド結合の窒素上にR
5基を有するであろう。これらの繰り返し単位はポリアミドにおいて最も一般的であるが、アミン反応物の少なくとも50、70、80、90または95モルパーセントが二官能性である限り、単官能性アミド形成反応物または三官能性アミド形成反応物が存在してもよい。
【0025】
本発明の第2の実施形態は、a)第2、第3もしくはそれ以上のポリマー(複数可)を、a)水性媒体中に分散されるポリアミドならびに複数のウレタン結合および/もしくは複数のウレア結合を含むポリマーに組み込むかもしくはブレンドすること、またはb)水性媒体中にポリアミドならびに複数のウレタンおよび/もしくは複数のウレア結合を含むポリマーと、第2、第3もしくはそれ以上のポリマー(複数可)の別々の分散液(次いで分散液としてブレンドされてブレンドを形成する)を作製することである。式I~IVの繰り返し単位を有するポリアミドならびに複数のウレタン結合および/または複数のウレア結合を含むポリマーの量が、ポリマーの最終フィルムにおける艶消しまたは光沢低下の相対量を制御するため、これらの2つの手順が望ましい。式I~IVの繰り返し単位を有するポリアミドを含むポリマーと、式I~IVの繰り返し単位を実質的に欠くポリマー(複数可)の2つのポリマーをブレンドすることにより、艶消しまたは光沢低下のレベルを制御することができる。a)とb)の組み合わせを使用することができ、その場合、水性媒体中に分散させる前に、1つの第2のポリマーを、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーとブレンドし、第3のポリマーを水性媒体中で別個の分散液とし、その後、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマー、ならびに水性媒体中に分散させる前にブレンドされた第2のポリマーとブレンドする。本出願人らは一般に、ポリウレタンのポリマーセグメントについて論じる際に、ポリウレタンに共有結合することを意味して組み込むという用語を使用する。本出願人らは一般に、物理的なブレンドを形成することを意味してブレンドされたという用語を使用する。
【0026】
本発明の上記実施形態の変形例(必要に応じて組み合わせて使用される)は、a)エステル形成モノマー(複数可)および/もしくはb)他のポリアミド形成モノマー(複数可)をポリアミド鎖末端に重合することによって、または、例えば、オリゴマー種もしくはポリマー種上のツェレビチノフ反応基とポリイソシアネートとの反応によりポリアミドを他の大きなオリゴマーもしくはポリマー種に連結することによって、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーをより大きなポリウレタン構造に組み込むという選択肢を含む。
【0027】
一実施形態において、ポリエステルセグメントが、エステル重合によってポリアミドポリマーの一方または両方の末端に付加される。これは、ポリエステル形成モノマー(複数可)をポリアミドに加え、必要に応じてエステル重合を触媒し、反応物を撹拌および加熱することにより達成され得る。一実施形態において、ポリ(カプロラクトン)が、エステル重合によってポリアミドの一方または両方の末端に付加され得る。ポリエステルセグメントの分子量は、ポリアミドセグメントの数および反応条件に対して相対的に加えられるポリエステル形成反応物の量によって制御することができる。代替として、ジカルボン酸およびジヒドロキシル化合物をポリアミドの存在下で重合し、従来の縮合重合により上記ポリアミドに部分的または完全に結合させることができる。
【0028】
代替として、異なるポリマー構造をモノマー(複数可)から直接上記ポリアミドにまたは上記ポリアミドと重合することにより、ポリイソシアネート反応物を使用して、環状脂肪族または芳香族および第一級または第二級ポリアミンからの上記ポリアミドを他のモノマー、またはオリゴマーもしくはポリマー種に結合させることができる。例えば、セグメント当たり約2つの末端ツェレビチノフ基を有するポリエステル、ポリエーテル、またはポリカーボネートセグメントは、艶消しを提供するポリアミドセグメント上でポリイソシアネートと結合させることができる。ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートセグメントは、ポリイソシアネートがポリイソシアネート当たり約2つの反応性イソシアネート基を有する場合に線状ポリマーをもたらすと考えられるため、セグメント当たり約2つのツェレビチノフ基を有することが望ましい。少量の単官能性反応物または三官能性反応物を使用することができ、その結果は同様であることが知られている(特に、単官能性および三官能性反応物の量がモルでほぼ等しい場合、平均官能価は約2のままである)。しかしながら、使用される単官能性または三官能性反応物が多過ぎると、生成物の分子量が低過ぎるかまたは高過ぎる場合がある。ツェレビチノフ基は周知であり、イソシアネートと反応してウレア結合またはウレタン結合と称される共有結合性化学結合を形成する活性水素含有基(本開示の主要なツェレビチノフ基であるアミンまたはヒドロキシル等)として定義される。ウレタン結合が形成される場合、結合はヒドロキシル基とイソシアネート基の間にあり、結合がアミン基とイソシアネート基の間にある場合、ウレア結合が形成される。好ましい一実施形態において、ツェレビチノフ末端基を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネートセグメントは、約500~約5,000g/モルの数平均分子量を有する。
【0029】
この数平均分子量は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネートが二官能性である場合に算出することができ、試料中のセグメントのグラム数を(試料中のモルで示した官能基の数の0.5倍)で単純に除すことにより、ポリマーセグメント当たりの官能基の数および種類が分かる。この数平均分子量は、テトラヒドロフラン等の良溶剤中でゲル浸透クロマトグラフィー(gpc)を行い、一連の市販されている既知の分子ポリスチレン較正試料でgpcカラムを校正することによって決定することもできる。一般に、2つの方法から非常に類似した分子量が得られる。
【0030】
従来の二官能性酸および脂環式第一級ジアミンから一連のポリアミドオリゴマーを作製した。初期のオリゴマーは、アミン末端基、カルボキシル末端基、または末端アミンもしくはカルボキシル基を他の反応物と反応させることによって誘導される他の末端基を含み得る。これらの構造には強い水素結合が存在するため、該構造は膜形成中に変形しにくく、理論に拘束されることを望むものではないが、水性分散液から膜が形成されるときに、高艶消し/低光沢仕上げの所望のテクスチャコーティング表面の形成を促進すると考えられる。これは、特定の脂肪族または芳香族環状第一級もしくは第二級ジアミンからのポリアミドの場合の低分子量でも起こる。
【0031】
本明細書のオリゴマー、テレケリック、およびポリマーの多くは、所望のモノカルボン酸またはジカルボン酸モノマーならびに脂環式および/または芳香族第一級もしくは第二級ジアミンモノマー(複数可)上の反応基の縮合反応によって作製される。トリアミンモノマーおよびトリカルボン酸は、高度に分岐した、変形しにくいポリアミドを生成すると考えられるため、これにはあまり望ましくない。カルボン酸基とアミンまたはヒドロキシル基とのこれらの縮合反応は周知であり、水の除去および/または触媒によって促進される。カルボン酸基とアミン基の反応によるアミドの形成は、ホウ酸、ホウ酸エステル、ボラン、亜リン酸、リン酸塩、リン酸エステル、アミン、酸、塩基、ケイ酸塩、およびシルセスキオキサンによって触媒され得る。追加の触媒、条件等は、Larockによる「Comprehensive Organic Transformations」等の教本において入手可能である。
【0032】
以前の2つの出願(US9,527,961およびUS2016/0009953)では、高い割合のアミド結合がピペラジンおよび他の第二級ジアミンから誘導された第三級アミド結合である、ポリマーおよびポリウレタン分散液を含む第三級ポリアミドについて説明した。これらのポリマーは、コーティング用途においてそれ自体が艶消しまたは低光沢ではなかった。本開示の一実施形態において、本開示のポリアミドならびに複数のウレタン結合および/または複数のウレア結合を含む艶消しポリマーを、以前の第三級ポリアミド含有ポリマーとブレンドする(水性媒体中に分散させる前または後に)または相互に組み込むことが望ましい。これにより、これらのポリアミドに様々なレベルの平坦化または光沢低下がもたらされる。一実施形態において、(水性媒体中のポリアミド含有ポリウレタン分散液中のポリマー(複数可)の合計重量に基づいて)5~85重量%、より望ましくは少なくとも10、15、20または25重量%および最大約65重量%のポリアミドを含むことが望ましく、ポリアミドは、少なくとも75重量%のアミド繰り返し単位として特徴付けられ、アミド結合の少なくとも60、75または80モル%は第三級アミド結合であり、アミド繰り返し単位中のアミン基の少なくとも60、70または80重量%は環状ジアミンであり、窒素原子は環の一部であり、ピペラジンまたはモノもしくはジアルキル(C1-C4)置換ピペラジン等の3または4個~10個の炭素原子を有する。
【0033】
それらの以前の開示の第三級ポリアミドは、多量の可塑剤、溶剤、または凝集助剤を用いずに、室温またはその付近(約20~25℃)で膜を形成できるように、第一級アミンからのほとんどのポリアミドよりも低い最低膜形成温度(一般に、約-10~約20、25または30℃)を有していた。それらの開示の第三級アミド結合は、第二級アミンとカルボン酸基との共有結合から形成され、第三級アミド結合をもたらした(これらの以前の開示の重要な態様は、より低い最低膜形成温度を得ることである)。第一級アミンは、カルボン酸型の基と反応して第二級アミドを形成するが、これは一般に、より高い最低膜形成温度を有し、他の要素は同じに保たれる。
【0034】
例えば、N-メチルアミノエタノールまたはHN(Rα)(Rβ)等のアミノアルコールと反応させることにより、カルボン酸末端ポリアミドセグメントをヒドロキシル(ツェレビチノフ基)に変換することが望ましい場合があり、その場合、RαはC1~C4アルキル基であり、Rβはアルコール基およびC2~C12アルキレン基を含むか、代替としてRαおよびRβを相互結合させて、環状構造および(2-ヒドロキシメチルピぺリジンにおけるような)ペンダントヒドロキシル基を含むC3~C16アルキレン基を形成してもよく、それらのいずれも末端ヒドロキシル基とポリアミドを形成することができる。(ヒドロキシル基とは対照的に)第二級アミンとカルボン酸との反応は、100%モルの過剰なアミノアルコールを使用し、160℃+/-10または20℃で反応を行うことにより好都合となり得る。過剰なアミノアルコールは、反応後に蒸留により除去することができる。
【0035】
一実施形態において、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合分散液を含むポリマーは、次のいくつかの段落に記載されるように、他のポリアミド含有ポリマー分散液(初期の第三級ポリアミドとして記載される)と共重合またはブレンドされる。初期の第三級ポリアミドを形成するのに好ましいジカルボン酸は、ジカルボン酸のアルキレン部分が、必要に応じて炭素原子3または10個当たり最大1個のヘテロ原子を含む2~36個の炭素原子、より好ましくは4、8または12~36個の炭素原子の環状、直鎖、または分岐鎖(必要に応じて芳香族基を含む)アルキレンである場合である(二酸はアルキレン部分よりも2個多い炭素原子を含む)。これらは、ダイマー脂肪酸、水素化ダイマー酸、セバシン酸等を含む。一般に、本出願人らは、より大きなアルキレン基を有する二酸を好むが、それは一般に、二酸がより低い膜形成温度でポリアミド繰り返し単位を提供するためである。
【0036】
第三級ポリアミドを形成するための好ましいジアミンは、6~60個の炭素原子、より望ましくは6~20個、好ましくは6もしくは12個、または13~15個、17もしくは20個の炭素原子を有し、必要に応じて、ジアミンの3または10個の炭素原子ごとに1個のヘテロ原子を含み(2個の窒素原子を除く)、必要に応じて、様々な環状、芳香族、または複素環式基を含む、ジアミンを含むが、但し、アミン基の一方または両方が第一級アミンであり、好ましい式は以下の通りであり、
【化11】
R
bは、2~36個の炭素原子、より好ましくは2または4~12個の炭素原子の、直接結合または直鎖もしくは分岐鎖(必要に応じて、環状、複素環、または芳香族部分(複数可)であるかまたはそれを含む)アルキレン基(必要に応じて、ジアミンの10個の炭素原子当たり最大1個または3個のヘテロ原子を含む)であり、R
cおよびR
dは、個々に、1~8個の炭素原子、より好ましくは1または2~4個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキレン基であるか、あるいは必要に応じて、R
cおよびR
dは一緒に結合して、1~8個の炭素原子の単一の直鎖または分岐鎖アルキレン基を形成するか、あるいは必要に応じてR
cおよびR
dの一方が炭素原子でR
bに結合し、より望ましくはR
cおよびR
dが一緒に結合して、1または2~4個の炭素原子が組み合わされる。
【0037】
第三級ポリアミドに関する先行開示の一実施形態において、望ましくは少なくとも50重量%、より望ましくは少なくとも60、70、80または90重量%の上記ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドが二酸からの繰り返し単位を含み、該繰り返し単位の構造のジアミンは以下の通りであり、
【化12】
式中、R
aは、ジカルボン酸のアルキレン部分であり、かつ、必要に応じて二酸の3または10個の炭素原子当たり最大1個のヘテロ原子を含む2~36個の炭素原子、より好ましくは4~36個の炭素原子の環状、直鎖、または分岐鎖(必要に応じて芳香族基を含む)アルキレンであり(二酸型は、二酸のアルキレン部分よりも2個多い炭素原子を含む)、
式中、R
bは、以下の式によるものであり、
【化13】
式中、R
bは、2~36個または60個の炭素原子、より好ましくは2または4~12個の炭素原子であり、R
cおよびR
dは、個々に、1~8個の炭素原子、より好ましくは1または2~4個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキル基であるか、あるいはR
cおよびR
dは一緒に結合して、1~8個の炭素原子の単一の直鎖または分岐鎖アルキレン基を形成するか、あるいは必要に応じて、R
cおよびR
dの一方が炭素原子でR
bに結合し、より望ましくはR
cおよびR
dが一緒に結合して、1または2~4個の炭素原子のアルキレン基となる。
【0038】
ポリアミド含有ポリウレタンを形成するための本開示のポリアミドとポリイソシアネートとの反応中に、結果として得られるポリウレタンと共反応するようにツェレビチノフ基とともに他の種を存在させることができる。これらは、低分子量種(例えば、500g/モル未満のジオールまたはジアミン)または高分子量種(例えば、結果として得られるウレタンポリマー中に高または低Tg相を形成するために加えられる500~5,000g/モルのオリゴマー)であり得る。一般に、水性媒体中にポリマー分散液を作製ために低粘度のプレポリマーを所望する場合、プレポリマーと称される中程度の分子量種を形成するための反応基の間に化学量論的不均衡を有する構成要素と、大部分のプレポリマー単位の主要な末端である過剰に存在する官能基とを反応させるのみである。これは通常、ツェレビチノフ基に対するイソシアネート基の化学量論比を1:1の比率から遠ざけることによって達成される(末端基として機能するイソシアネートまたはツェレビチノフ基が過剰であるため、分子量が制限されたプレポリマーが生成される)。プレポリマーの分子量はかなり低く抑えられるため(5,000g/モル~100,000g/モル)、プレポリマーは室温または室温より若干に高い温度(一般に最大約80℃)で液体である。80℃以下でのこのように粘度が低いことにより、液体プレポリマーの混合およびせん断が促進され、水中で安定な微細分散コロイド状プレポリマー相が形成される。多くの場合、プレポリマーがイソシアネート末端であるように、過剰なイソシアネート基が使用される。
【0039】
ウレタンプレポリマーの分子量は、プレポリマーの分散が行われた後に増加させることができる(または、ウレタンポリマー中にプレポリマーを鎖延長すると称される場合もある)。これは、分散液に、イソシアネート末端プレポリマーと反応することができるジオール、トリオール、テトロール、またはジアミン、トリアミンもしくはテトラアミン等の低分子量種を加えて、それらをより分子量の高い種に連結することによって行うことができる。プレポリマーのイソシアネート基はまた、連続相の水と反応して、CO2ガスおよびプレポリマーのいくつかに末端アミン基を生成し得る。プレポリマーのうちのいくつかのアミン基は、次いで、他のプレポリマーのイソシアネート基と反応し、両方の種を鎖延長することができる。次の段落では、プレポリマー/ポリマーに組み込むことができる分散基について説明するが、アニオン型、カチオン型、非イオン型、または双性イオン型の分散剤および界面活性剤またはそれらの混合物を利用して、連続媒体中のプレポリマー/ポリマーの分散を促進することもまた可能である。
【0040】
連続水相にプレポリマー(またはポリマー)を分散させることが望ましい場合、アニオン種、カチオン種、非イオン種、または双性イオン種等の表面活性分散種をプレポリマー(またはポリマー)に加えることが望ましい。これらの分散種は、分散相にコロイド安定化を提供するのに役立つ。界面活性分散基がポリマーに組み込まれる場合、(例えば、ウレタンプレポリマーの調製中に)ポリアミドオリゴマーの反応またはツェレビチノフ反応基の他の源にそれらを含めることが望ましい。イソシアネート基と反応してウレアまたはウレタン結合を形成するツェレビチノフ活性基を有する分散基が、この目的には特に好ましい。
【0041】
水性媒体中でポリウレタン分散液を形成することを所望する場合、界面活性剤/乳化剤として、またはポリウレタン自体に組み込むことができる水分散基として、水分散成分を含めることが望ましい。したがって、水性媒体中のポリマー/プレポリマーの分散を補助するために、本発明のウレタン形成ポリマーおよびプレポリマーのための反応物中に少なくとも1つの水分散性向上化合物、すなわち、少なくとも1つの親水性基、イオン性基または潜在的にイオン性の基を有する分散官能性モノマーを含めることがしばしば望ましい。典型的には、これは、少なくとも1つの親水性基、または例えば、中和等の化学修飾によって親水性にすることができる基を担持する化合物を、(化合物の1つまたは2つのツェレビチノフ基を介して)ポリマー/プレポリマー鎖に組み込むことによって行われる。これらの化合物は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、またはそれらの組み合わせのものであり得る。例えば、カルボン酸基等のアニオン性基をプレポリマーに組み込み、続いて、以下により詳細に定義される水酸化アンモニウムまたは第三級アミン等の塩形成化合物によってイオン化することができる。カルボン酸基に基づくアニオン分散性ウレタンプレポリマー/ポリウレタンは、一般に、約1~約60mgKOH/グラム、典型的には1~約40、またはさらには10~35もしくは12~30もしくは14~25mgKOH/グラムの酸価を有する。他の水分散性向上化合物も、側方または末端の親水性エチレンオキシドまたはウレイド単位を含むウレタン結合またはウレア結合によって反応させてウレタンプレポリマー骨格にすることができる。
【0042】
特に興味深い水分散性向上化合物は、弱いカルボキシル基をプレポリマーに組み込むことができるものである。通常、それらは一般式(HO)×Q(COOH)y(式中、Qは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルであり、xおよびyは1~3である)を有するヒドロキシカルボン酸から誘導される。そのようなヒドロキシカルボン酸の例として、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ジヒドロキシリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸等、およびそれらの混合物が挙げられる。ジヒドロキシカルボン酸がより好ましく、ジメチロールプロパン酸およびジメチロールブタン酸が最も好ましい。
【0043】
特に興味深い水分散性向上化合物の別の群は、側鎖親水性モノマーである。いくつかの例として、例えば米国特許第6,897,281号(参照によりその開示は本明細書に組み込まれる)に示されるように、アルキレンオキシド基が2~10個の炭素原子を有するアルキレンオキシドポリマーおよびコポリマーが挙げられる。非イオン性分散部分としてウレタンおよびウレタンプレポリマーに組み込むことができる、ポリエーテルの一方の末端付近に2つの末端ヒドロキシル基を有する市販のポリエーテルがある。それらは、ポリエーテルの一方の末端でこれらの2つの結合点からウレタンに繋がれた様式で伸びるポリエーテルのかなりの部分を有する。これらは、US6,897,381で使用されたTegomer(登録商標)D3403およびPerstopのYmer(商標)を含む。
【0044】
水分散性向上化合物は、ポリウレタンにカチオン性を付与することができる。カチオン性ポリウレタンは、骨格に組み込まれたまたは結合されたカチオン中心を含む。そのようなカチオン中心は、アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム基を含む。これらの基は、イオン形態で骨格に重合することができるか、または必要に応じて、対応する窒素、リン、または硫黄部分の後中和または後四級化により生成することができる。上記の基の全ての組み合わせ、および非イオン性安定化との組み合わせを使用することができる。アミンの例として、N-メチルジエタノールアミン、およびDPA、ZF-10、Z-110、ZR-50等のJeffcat(登録商標)の商品名でHuntsmanから入手可能なアミノアルコールが挙げられる。これらは実質的にあらゆる酸と塩を形成することができる。酸の例として、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、クエン酸、酒石酸、クロロ酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、2-カルボキシエチルアクリレートおよび他が挙げられる。四級化剤は、塩化メチル、塩化エチル、ハロゲン化アルキル、塩化ベンジル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ベンジル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、クロロ酢酸等を含む。四級化ジオールの例として、ジメチルジエタノールアンモニウムクロリドおよびN、N-ジメチル-ビス(ヒドロキシエチル)四級アンモニウムメタンスルホネートが挙げられる。
【0045】
他の適切な水分散性向上化合物は、チオグリコール酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、スルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール等、およびそれらの混合物を含む。
【0046】
水分散性向上化合物の使用が好ましいが、本発明の分散液は、高せん断分散法を使用して、界面活性剤によって安定化することにより、それらを用いずに調製することができる。
【0047】
ポリイソシアネート
適切なポリイソシアネートは、1分子あたり平均して約2個以上のイソシアネート基、好ましくは平均して約2~約4個のイソシアネート基を有し、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、および複素環式ポリイソシアネート、ならびに単独でまたは2つ以上の混合物中で使用されるそれらのオリゴマー化生成物を含む。ジイソシアネートがより好ましい。ポリイソシアネートは式
【化14】
(式中、R
Qは、必要に応じて1つ以上の環状脂肪族構造または1つ以上の芳香環を含む、5~20個の炭素原子のヒドロカルビレン基であり、Zは、1~4、より望ましくは1~3であり、好ましくは平均して主に2である)を有することができる。
【0048】
適切な脂肪族ポリイソシアネートの具体例として、5~20個の炭素原子を有するα、ω-アルキレンジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート等が挙げられる。5個より少ない炭素原子を有するポリイソシアネートを使用することができるが、それらの高い揮発性および毒性のためにあまり好ましくない。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレン-ジイソシアネート、および2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネートを含む。
【0049】
適切な脂環式ポリイソシアネートの具体例として、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(Bayer CorporationからDesmodur(商標)Wとして市販されている)、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。好ましい脂環式ポリイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートを含む。
【0050】
適切な芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例として、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。好ましい芳香脂肪族ポリイソシアネートは、テトラメチルキシリレンジイソシアネートである。
【0051】
適切な芳香族ポリイソシアネートの例として、4,4’-ジフェニルメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、それらの異性体、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメチレンジイソシアネートおよびトルエンジイソシアネートを含む。
【0052】
適切な複素環式イソシアネートの例として、5,5’-メチレンビスフルフリルイソシアネートおよび5,5’-イソプロピリデンビスフルフリルイソシアネートが挙げられる。
【0053】
他のポリマーを含む従来のブレンド
本発明の分散液中に形成されるポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーは、当業者に周知の方法によって適合性ポリマー(すなわち、第2のポリマー)および/またはポリマー分散液と組み合わせることができる。一般に、第2のポリマーは、上記ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/もしくはウレア結合を含むポリマーに共有結合されないため、かつ/または、本開示の独自のポリマーを定義する式Iおよび/もしくはIIのアミン繰り返し単位の指定量未満を有するため、分散液のポリアミドならびに複数のウレタンおよび/もしくは複数のウレア結合を含むポリマーと区別することができる。そのようなポリマー、ポリマー溶液、および分散液は、A.S.Teot.“Resins,Water-Soluble”in:Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology.John Wiley&Sons.3rd Edn.,Vol.20,H.F.Mark et al.Eds.,pp.207-230(1982)に記載されるものを含む。
【0054】
相のより良好な相互浸透を提供する複合ポリマー組成物(例えば、フリーラジカル重合性モノマーを含むポリウレア/ウレタン)
一実施形態において、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むプレポリマーまたはポリマーの調製中および分散中にプレポリマーの粘度を低下させ、続いて不飽和モノマー(複数可)を重合してポリマーを形成するための溶剤として、エチレン性不飽和モノマー(複数可)を用いることができる。エチレン性不飽和モノマーおよび他のフリーラジカル重合性モノマーを従来のフリーラジカル源により重合して、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合粒子を含むポリマー内にポリマーを形成し、分散液のポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーとの複合ポリマーを形成することができる。ビニルポリマーは、不飽和モノマーの相当な部分から誘導されるポリマー、またはそれらのモノマーから誘導されるポリマーの総称である。アクリルは、ビニルのサブセットと見なされることが多く、アクリル酸、アクリル酸のエステルであるアクリレート、ならびにメタクリレートおよびエタクリレート等のアルカクリレート(alkacrylates)、ならびにそれらからのポリマーを指す。様々なスチレンおよびアルキル置換スチレン型のモノマー、例えば、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリルアミド等の不飽和アミド、4~6個の炭素原子のジエン、AMPモノマー(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)等の分散部分を有するビニルモノマー、および他のビニルモノマーは、アクリルモノマーと容易に共重合する。追加のフリーラジカル重合性材料、例えば、他の不飽和モノマーをビニルまたはアクリルモノマーに加えて共重合させてもよい。これらの他のモノマーは、無水マレイン酸、マレイン酸、および炭素-炭素二重結合がエチレン性不飽和モノマーとほぼ同じ反応性(および共重合性)である他のモノマー等の、厳密にはエチレン性不飽和ではないモノマーであり得る。ジエンはエチレン性不飽和と見なされ、広いカテゴリーのビニルモノマーおよび狭いカテゴリーのアクリルモノマーの両方と共重合する。
【0055】
ポリウレタン粒子内の重合は、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/またはウレア結合複合体を含むポリマーの水性分散液を形成し、次いで、追加のモノマーを、それらの分散液の存在下で乳化重合または懸濁重合によって重合することにより行うことができる。複合ポリマーを作製する別の方法は、例えば、プレポリマーを形成するための反応物とともに、および/またはポリウレタンプレポリマーを分散させる前に、プレポリマー形態のポリアミドならびに複数のウレタンおよび/またはウレア結合を含むポリマーにエチレン性不飽和モノマーを含め、プレポリマーを水性媒体中に分散させる前、分散中、および/または分散後に、これらのモノマーを重合させることである。ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーと、フリーラジカル重合性モノマーと、任意の追加のブレンドまたは組み込まれたポリマーとを合わせた100部に基づくフリーラジカル重合性モノマー(またはそれからのポリマー)からのポリマー(複数可)の重量パーセントは、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合分散液を含むポリマー中の合わせたポリマーの少なくとも1、5、または10重量パーセント、望ましくは最大30、40または50重量パーセントである。
【0056】
1つのアプローチにおいて、フリーラジカル重合性モノマー(エチレン性不飽和モノマー)は、プレポリマー形成中に希釈剤(または可塑剤)として作用するフリーラジカル重合性モノマー(例えば、アクリル)またはそれらのポリマーを含むおよび含まない、本発明のポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーの複合体は、これらのアプローチのいずれかによって作製することができる。
【0057】
水性媒体中に分散した複合および/またはハイブリッドポリマーの定義の拡大
複合体(ハイブリッド組成物としても知られる)は、艶消し効果または光沢度を最適化するために、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/またはウレア結合を含むポリマー中の他の繰り返し単位(例えば、必要に応じて、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルセグメント、ポリシロキサン等)に対するポリアミド繰り返し単位の重量パーセントを調節することを可能にする。したがって、この技術は、複合ポリウレタン粒子中のポリアミドの量を独立して制御するためのいくつかの方法を提供し、これは、複合粒子の極性もしくは水素結合、複合粒子の表面張力、および/または特定の重要な温度における複合ポリマーの弾性率、引張強度等に影響を与え得る。
【0058】
複合体および/またはハイブリッドという用語により、我々は、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマー等のポリアミドに富んだポリマー型と、他のポリマーとの様々な混合物を含めることを意図する。ポリアミドセグメントを含むポリマーは、ポリアミドセグメントに直接的または間接的に連結された他のコモノマーまたはコモノマーセグメントを有してもよい。これらのコモノマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリシロキサン等のものを含むことができる。複合体および/またはハイブリッド分散液の複合および/またはハイブリッドポリマーは、水中のポリウレタン分散液について開示されているものとほぼ同じ粒径範囲を有する。
【0059】
複合および/またはハイブリッドポリマー分散液は、先に開示されたように、ポリマー内にアニオン性、非イオン性、または双性イオン性のコロイド安定化基を有し得る。
【0060】
水は、水性媒体中の分散液の形態でポリアミドならびに複数のウレタンおよび/またはウレア結合を含むポリマーの約10、20または30重量パーセント~約70、80または90重量%の量で存在し得る。典型的には、含水量を低くすると、同じ量のポリマーの輸送コストを節約できるが、含水量を最小限にすると分散液の粘度が高くなる傾向がある。
【0061】
一実施形態において、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/もしくは複数のウレア結合を含むポリマー、またはその中の第2もしくは第3のポリマーの1つを部分的に架橋して、引張強度および弾性率等のポリマーの物理的特性を高めることが望ましい。これは、分散液中のポリマーに様々な架橋官能基を加えることによって、または分散液の形態でポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーに別の架橋成分を加えることによって達成することができる。架橋成分は、ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアネート、アジリジン、ケトン-ヒドラジン架橋等を含むことができる。ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアネート、およびケトン-ヒドラジン架橋は、それぞれ好ましい種類である。
【0062】
ブロック化イソシアネート(例えば、MEKO)または1,3-ジカルボニル化合物型(例えば、DEM)の反応性架橋部分は、一成分系による二成分の性能の送達を可能にする。いくつかの型の化合物をブロッキング(別名は保護またはマスキング)剤として用いて、ウレタンポリマーおよびコーティング組成物に架橋官能基を提供することができる。それらの機能は、イソシアネート基を望ましくない反応から一時的に保護することである。ブロッキング化合物についての主な要件は、イソシアネートとの反応が可逆的であることである。反応が逆転すると、イソシアネート基が再生され、脱ブロック後にさらなる反応に利用可能となる。脱ブロック反応は、物理的または化学的手段、例えば、高温、放射線、真空、触媒、活性水素を含む化合物、またはそれらの組み合わせによって誘発され得る。マロネート(DEM等)は、水等との望ましくない反応からイソシアネート基をブロックするが、ヒドロキシル含有基質と組み合わせると、架橋中に高温で脱ブロックするのではなく、低温で反応してそのような反応性ヒドロキシルと化学結合を形成するため、これはブロッキング化合物の変形例である。
【0063】
反応性架橋部分の例(ブロッキング剤を含む)として、1,3-ジカルボニル化合物、オキシムおよび他のN-ヒドロキシル化合物、フェノール、アルコール、ラクタム、イミダゾール、ピラゾール、酸、メルカプタン、イミド、第二級アミン、シアノアセテート、マロノニトリルおよびその誘導体、ならびに亜硫酸塩が挙げられる。好ましい反応性架橋剤(ブロッキング剤を含む)は、1,3-ジカルボニル化合物(ジカルボニルメタン)(US2,826,526)である。例として、アセチルアセトンおよびその誘導体、アルキルアセトアセテート、アルコキシアルキルアセトアセテート、バルビツール酸およびその誘導体が挙げられる。反応性架橋部分は、反応させてプレポリマーに、その後ポリウレタンにすることができるか、または反応性架橋部分は、ポリウレタンを架橋させるかもしくはポリウレタンを基質に結合させるように反応する別のイソシアネート系化合物/部分(例えば、ブロック化ポリイソシアネート部分またはポリイソシアネートと1,3-ジカルボニル化合物との反応生成物)であってもよい。
【0064】
オキシムは、一般に好ましいブロッキング剤の別の群である。オキシムは、一般式CRR’=NOHで表すことができ、式中、RおよびR’は独立してHまたはCnH2n+1であり得る。RおよびR’はまた、脂環式、芳香族基、および複素環式基を含むヘテロ原子を有する基を含んでもよい。オキシムは、RおよびR’の一方または両方が水素である場合はアルドキシムであってもよく、またはRおよびR’の両方がヒドロカルビル基、望ましくは1~12個の炭素原子を有するアルキル基である場合は、ケトキシムあってもよい。アルドキシムの例として、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、プロピオナルドキシム、ブチルアルドキシム、ベンズアルドキシム等が挙げられる。ケトキシムの例として、アセトキシム、ブタノンオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKO)、メチルイソブチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム等が挙げられる。1,3-ジカルボニル化合物とオキシムは、単独でまたは組み合わせて使用することができる。それらは他のブロッキング剤で部分的に置き換えられてもよい。
【0065】
他のブロッキング剤は、ラクタム、第二級および第三級アルコール、フェノール、ピラゾール、メルカプタン、N-ヒドロキシル化合物、ならびにそれらの混合物を含む。他の適切なブロッキング剤の具体例の一部として、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、カプロラクタム、フェノール、およびその誘導体、例えば、ヒドロキシ安息香酸のエステル、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、ジブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、ピペラジン、tert-ブタノール、シクロヘキサノール、イソプロパノール、炭酸グリセリン、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシピリジン、およびヒドロキサム酸のエステルが挙げられる。段階的な反応が所望される場合、2つ以上のブロッキング剤の組み合わせ、特に異なる温度で脱ブロックするブロッキング剤の混合物が好ましい。
【0066】
イソシアネートブロッキング反応は、PUD合成の実質的に全ての段階で行うことができ、通常、30℃を超える温度で行われる。反応時間は様々であり、温度、ならびにイソシアネート、ブロッキング剤、および他の成分の種類および濃度に依存する。ブロッキング反応は、触媒の使用により加速され得る。適切な触媒は、ブレンステッド塩基および/またはルイス酸を含む。例として、アルカリ金属アルコラート、フェノラート、および金属カルボキシレートが挙げられる。
【0067】
脱ブロッキングは、鎖延長中、またはポリマー乾燥中、および/または別の硬化中に行われてもよい。多くの場合、乾燥または硬化中にポリマーから蒸発するブロッキング剤を使用することが好ましい。これらの場合、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセトキシム、ブタノンオキシム、ブチルアルドキシム等の低分子量ブロッキング剤が好ましい。
【0068】
本発明のブロック化イソシアネートはまた、“Functional Latex and Thermoset Latex Films”J.W.Taylor M.A.WinnikJ.Coatings Tech.,Research,v.1,No.3,p.163(2004)(参照により本明細書に組み込まれる)に要約されるような他の架橋性化学物質と組み合わせて使用されてもよい。それらは、メラミン系架橋剤、金属カルボン酸塩、アジリジン、カルボジイミド、エポキシド、不飽和化合物、アセトアセトキシおよびケトン官能性ポリマーおよび添加剤、エナミンおよびアミン架橋、イソシアネートおよび自己ブロック化イソシアネート、OH官能性ポリエステルおよびアクリレート、酸官能性樹脂、ならびにヒドロキシアルキルアミドを含む。
【0069】
ケトン-ヒドラジン架橋を含む一実施形態において、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマー中のケトン架橋可能な官能基の量は、上記ポリマー分散液1グラム当たり少なくとも0.05ミリ当量、または最大約1ミリ当量、好ましくは上記ポリマー分散液1グラム当たり約0.05~約0.5ミリ当量、より好ましくは約0.1~約0.3ミリ当量である。その実施形態において、ケトン基は、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/もしくは複数のウレア結合を含むポリマー、ならびに/またはエチレン性不飽和モノマーからのポリマー上にあり得る。別の実施形態において、上記ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーの少なくとも10、20、30、40または50重量%は、上記ポリウレタンの各ポリウレタン鎖に化学的に結合した少なくとも1つのケトン基を有する。別の実施形態において、分散液の形態の上記ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーは、分散液の形態の上記ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマー中のケトン基の10モル%~約100または200モル%の量のヒドラジンおよび/またはヒドラジド基(時には低分子量種の形態、時にはヒドラジド基を有するポリマーの形態)をさらに含む。これにより、ヒドラジンとのケトン化学反応を提供し、化学的架橋として機能し得る化学結合を形成する。典型的には、架橋のためにヒドラジンを加える場合、ヒトに対するヒドラジンの潜在的に望ましくない反応のために、過剰なヒドラジンは使用しない。一実施形態において、ヒドラジンまたはヒドラジド基の量は、ケトン官能基の量の約20~100モル%であることが望ましい。
【0070】
一実施形態において、上記ヒドラジンおよび/またはヒドラジド基は、400、300または220g/モル未満の分子量の反応性ヒドラジンまたはヒドラジド化合物(アジピン酸ジヒドラジド等)の一部である。別の実施形態において、上記ヒドラジド基が存在し、上記ヒドラジド基は、300または400g/モルから500,000g/モルの分子量のヒドラジド反応性オリゴマーまたはポリマー化合物の一部である。
【0071】
別の実施形態において、フリーラジカル重合性モノマーからの上記ポリマーは、平均して1つ以上の(乾燥ポリマーの重量ベースで、フリーラジカル重合性モノマーからの上記ポリマーのグラム当たり、より望ましくは最大約1ミリ当量、好ましくは約0.05~約0.5ミリ当量、より好ましくは約0.1~約0.3ミリ当量)のポリマー当たりのケトン基を含み、上記分散液は、上記ケトン基のモルに基づいて10モル%~約200モル%の量のヒドラジンおよび/またはヒドラジド基をさらに含む。
【0072】
上記のケトン-ヒドラジン架橋は、揮発性塩基が蒸発し、溶液のpHがわずかに塩基性から中性または酸のpHにシフトする際に室温付近でポリマー分散液に効果的な架橋剤として、ウレタンおよびアクリルポリマー分散液の技術分野において周知である。US8,901,244は、架橋された、またはケトン-ヒドラジン架橋により分子量が増加した、水中のウレタンおよび関連化合物について教示している。この技術は、ときにはアゾメチン結合としても知られている。
【0073】
分散液の形態でポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーはまた、分散液のコロイド安定化を助けるために、アニオン性、非イオン性、または双性イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0074】
プロセス
本開示のポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーのプレポリマーは、(水はイソシアネート基と反応するため)実質的に水の非存在下でツェレビチノフ反応基とポリイソシアネートとの反応からプレポリマーを形成し、次いでこのプレポリマーを水性媒体中に分散させることによって、本発明に従って作製される。これは、当該技術分野で既知の方法のいずれかにおいて行うことができる。典型的には、プレポリマーの形成は、プレポリマーの成分をバルクまたは溶液重合することによって行われる。
【0075】
ウレタンプレポリマー混合物が形成されると、必要に応じて上記プレポリマー/ポリマーに組み込まれた分散部分とともに、それを水性媒体中に分散させて分散液または溶液を形成する。プレポリマーを水性媒体中に分散させることは、バルク重合または溶液重合によって作製されたポリウレタンプレポリマーを水に分散させるのと同じ方法で、任意の従来の技術によって行うことができる。通常、これは、プレポリマーブレンドと水性媒体とを混合しながら合わせることによって行われる。溶剤重合が用いられる場合、溶剤および他の揮発性成分は、必要に応じて、最終分散液から必要に応じて留去することができる。プレポリマーが、乳化剤(界面活性剤)を加えずに安定した分散液を形成するのに十分な水分散性向上化合物、例えば、アニオン性、カチオン性、および/または非イオン性モノマーを含む場合、そのような化合物を用いずに、すなわち、必要に応じて、200g/1モル重量未満の界面活性剤を実質的に含まない、分散液を作製することができる。このアプローチの利点は、低分子量界面活性剤を用いずにポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーから作製されたコーティングまたは他の生成物が、より低い感水性、多くの場合、より良好な膜形成およびより少ない発泡を示すということである。
【0076】
水性ポリウレタン分散液を作製する他の既知の方法も、本発明の分散液を作製するために使用することができる。それらの概説は、D.Dieterich in Progress in Organic Coatings,vol.9,pp.281-340(1981)を含むいくつかの刊行物に見出すことができる。プロセスの例として、以下が挙げられる。
【0077】
せん断混合-乳化剤(界面活性剤等の外部乳化剤、あるいはポリマー骨格の一部として、もしくは該骨格に懸垂した、および/またはポリマー骨格上の末端基として、アニオン性、非イオン性、カチオン性および/または双性イオン性基を有する内部乳化剤)を用いた、せん断力によるプレポリマーの分散。
【0078】
アセトンプロセス-アセトン、MEK、および/またはイソシアネートと非反応性であり、容易に蒸留される他の極性溶剤の存在下または非存在下でプレポリマーを形成する。プレポリマーを、必要に応じて上記溶剤にさらに希釈し、活性水素含有化合物で鎖延長する。鎖延長されたポリマーに水を加え、溶剤を留去する。このプロセスの変形例は、水性媒体への分散後にプレポリマーを鎖延長することである。
【0079】
溶融分散プロセス-イソシアネート末端プレポリマーを形成し、次いで、過剰なアンモニアまたはウレアと反応させて、末端ウレアまたはビウレット基を有する低分子量オリゴマーを形成する。このオリゴマーを水性媒体中に分散させ、ホルムアルデヒドを用いたビウレット基のメチロール化により鎖延長する。
【0080】
ケタジンおよびケチミンプロセス-ヒドラジンまたはジアミンをケトンと反応させてケタジンまたはケチミンを形成する。これらをプレポリマーに加え、イソシアネートに対して不活性なままにする。プレポリマーを水に分散させると、ヒドラジンまたはジアミンが遊離し、分散が起こるにつれて鎖延長が起こる。
【0081】
連続プロセス重合-イソシアネート末端プレポリマーを形成する。このプレポリマーを、高せん断ミキシングヘッド(複数可)を介してポンプ輸送し、水中に分散させ、次いで、上記ミキシングヘッド(複数可)で鎖延長するか、または上記ミキシングヘッド(複数可)で同時に分散および鎖延長する。これは、プレポリマー(または中和されたプレポリマー)、必要に応じて中和剤、水、ならびに必要に応じて鎖延長剤および/または界面活性剤からなる複数の流れによって達成される。
【0082】
逆供給プロセス-水および必要に応じて中和剤(複数可)ならびに/または鎖延長剤アミンを(複数可)撹拌下でプレポリマーに投入する。プレポリマーは、水および/またはジアミン鎖延長剤を加える前に中和することができる。
【0083】
添加剤および用途
所望の温度でポリマー粒子が互いに凝集し、かつ組成物中の任意の固体添加剤と凝集するのを促進する助けとなるように、本開示の分散液の形態のポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むプレポリマーおよびポリマーに凝集助剤を含めることが望ましい場合がある。凝集助剤は、それらの機能に応じて、溶剤または可塑剤としても知られている。凝集助剤の1つは、複合ポリマーブレンドについて前述したフリーラジカル重合性モノマー(ビニルモノマー)である。好ましいビニルモノマーは、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレートおよびスチレンを含む。凝集溶剤には、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジメチルカーボネート、イソプロピルアルコール、ジブチレングリコールジメチルエーテル、およびテキサノール(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールのイソ酪酸エステル)を含む。
【0084】
中和剤は、必要に応じて、本発明の分散液およびそのような分散液から調製されたコーティング組成物に用いることができる。組成物のpHは、アニオン的に安定化される場合は約7~約10の範囲であり得る。適切な中和剤として、これらに限定されないが、アルカリ性水酸化物、例えば、リチウム、ナトリウムおよびカリウム、ならびに有機塩基、例えば、アンモニアおよび第三級アミン、例えば、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンモルホリン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0085】
架橋剤
少なくとも1つの架橋性官能基を有する化合物もまた、必要に応じて、本発明のポリウレア/ウレタンに組み込むことができる。そのような化合物の例として、カルボキシル基、カルボニル基、アミン基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アセトアセトキシ基、オレフィン基およびヒドラジド基、ブロックイソシアネート等、ならびにそれらが由来する元の基に逆行することができる保護された形態の同じ基を有するものが挙げられる。架橋能を提供する他の適切な化合物は、チオグリコール酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、メラミンおよびその誘導体、多価金属化合物等、ならびにそれらの混合物を含む。
【0086】
ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーのプレポリマー中に架橋性官能基を有する必要に応じた化合物の量は、乾燥重量ベースでポリウレタン分散液中の最終ポリマー(複数可)の1グラム当たり、典型的には最大約1ミリ当量、好ましくは約0.05~約0.5ミリ当量、より好ましくは約0.1~約0.3ミリ当量である。
【0087】
当業者に周知の他の添加剤を使用して、本発明の分散液の調製を補助することができる。そのような添加剤は、界面活性剤、安定剤、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、抗菌剤、酸化防止剤、UV吸収剤、難燃剤、顔料、染料等を含む。これらの添加剤は、製造プロセスの任意の段階で加えることができる。
【0088】
本発明の分散液は、典型的には、全コーティング組成物の重量に基づいて、一態様では少なくとも約20重量パーセント、別の態様では少なくとも約30重量パーセント、さらなる態様では少なくとも約40重量パーセント、さらに別の態様では約45重量パーセントの全固形分を有する。
【0089】
コーティング組成物または接着剤として、刷毛塗り、浸漬、フローコーティング、噴霧等を含む任意の従来の方法によって、木材、金属、ガラス、布、革、紙、プラスチック、発泡体等を含む任意の基材に塗布することができる。
【0090】
本開示のコーティングおよびフィルムの光沢度は、ASTM D523-14に従って達成することができる。測定は、20度、60度、または85度の幾何角度で行うことができる。望ましくは、60度での厚さ3ミル(0.076mm)のコーティングの光沢値は、60未満であり、より望ましくは40未満であり、好ましくは20未満である。望ましくは、そのような光沢値ではヘイズ値が比較的低く、ヘイズ値は、5未満、より望ましくは4または3未満、好ましくは2未満である。60度光沢が20である従来のシリカ平坦化剤は、通常、5または10を超えるヘイズ値をもたらす。光沢は、鏡面反射に近い方向で他の方向よりも多くの光を反射する表面の能力に関連している。測定は、同様の角度で行われた表面の輝きの視覚的観察と相関している。光沢の評価には、写像の明瞭さ、反射ヘイズ、およびテクスチャ等の表面の外観の他の視覚的側面が関与している。光沢およびヘイズの測定に望ましい基質として、(必要に応じて下塗りされた)冷間圧延金属、ガラス板、Mylar等のポリエステルフィルム、およびLeneta社製チャート(ヘイズを測定する場合は必要に応じて黒)が挙げられる。
【0091】
本発明の組成物およびそれらの配合物は、式I~IVのアミン繰り返し単位からのポリアミドによって艶消しまたは光沢が調整された様々な基材上の自己支持性フィルム、コーティング、インク、および接着剤として有用である。本開示の組成物は、従来技術の艶消し剤が、しばしば材料の汚染、または水等の基材損傷もしくは腐食材料によってコーティングの多孔性または透過性を加える、木材および金属のコーティングに特に有用である。本開示の組成物は、低艶消し、中艶消し、または高艶消し仕上げが他の領域の高光沢仕上げとうまく対照をなす、運搬用車両および他の相手先商標製品製造会社に使用される金属コーティングにおいて特に有用である。本開示の組成物は、他の表面上におけるグレアおよび光の反射を回避すること、または基板を透過する全透過光を減少させることなく基板の反対側の物体の識別を妨げる/不明瞭にすることが所望される、透明なまたは透明性の高い基板に特に有用である。ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むこれらのポリマーは、コーティングを通る光透過率が高いが、十分な艶消しにより、基材の反対側の物体を実質的に遮る/不明瞭にすることができるが、依然として実質的に全ての入射光がコーティングを透過させることができる。他の先行技術の艶消し剤は、ミネラル添加剤を使用して艶消しを調節するが、これらのミネラル添加剤はこのポリアミドよりもはるかに高い屈折率を有し、したがってポリマーバインダーと艶消し剤との屈折率の違いのためにより多くの入射光を反射する。
【0092】
実施例
これらの実施例では、以下の試薬を使用した。
H12MDI Bayer Corporation社製 Desmodur(登録商標)Wとしての1,1’-メチレンビス(4-イソシアナトシクロヘキサン)
水素化ダイマー酸-DA
セバシン酸-SA
ドデカン二酸-DDA
カプロラクトン-CPL
4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)-MHMDA
4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)-HMDA
1,2-シクロヘキサンジアミン-CHDA
イソホロンジアミン-IDA
ポリケトンジオールは、2モルのレブリン酸と1モルのビスフェノールAのジグリシジルエーテルと0.5~0.7モルのジイソシアネートとの反応生成物であり、カップリングを生じさせる。
ポリカーボネートは、UBEから販売されている脂肪族ポリカーボネートであるEternacoll PH100であり、これは1,6-ヘキサンジオールおよび1,5-ペンタンジオールを含むカーボネートの繰り返し単位を含む約1000g/モル分子量のジオールであると考えられる。
DMBAはジメチロールブタン酸である。
アクリレートは、70重量%のメチルメタクリレート、10重量%のエチレングリコールジメタクリレート、および20重量%のオクチルアクリルアミドのブレンドである。
TEAはトリエタノールアミンである。
ヒドラジンはH2N=NH2であり、通常、35%の活性物質として入手可能である。
ADHはアジピン酸ジヒドラジドであり、通常、未希釈な状態で提供される。
【0093】
ポリケトンジオールの合成例。温度計、オーバーヘッドスターラー、窒素ガス注入口を備えた4つ口フラスコで、以下の成分の項目1~3を組み合わせることによりポリケトン官能性オリゴマーを調製した。撹拌しながら窒素ブランケット下で、反応混合物の温度を100℃~103℃に上昇させ、この温度で1時間保持した。次いで、温度を110~114℃に上昇させ、さらに1時間そのまま保持した。最後に、反応混合物を121~125℃に上昇させ、この温度で2時間または酸価が<1.0(mg/g)になるまで保持した。この時点で、項目4を溶剤として加え、続いて90~94℃で項目5を加え、以前に作成したオリゴマーのカップリングを行った。温度を116~120℃まで上昇させ、得られた生成物の滴定NCOが<0.1%(または本質的にゼロ)になるまでそのまま維持した。最終的な材料は、わずかに琥珀色であり、70℃で約5,100cpsの粘度を有していた。
【表6】
【0094】
ポリアミド1
4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、水素化ダイマー酸およびセバシン酸を、窒素下で2000mLの撹拌反応器に加え、180℃に加熱した。ポリマーの酸価が1(mgKOH/g)を下回るまでモノマーを反応させた。反応中に形成された水を反応器から蒸発させ、反応器を短時間真空下に置いて微量の水を除去した。次いで、カプロラクトンを投入し、6時間反応させた。最終生成物は黄色がかったポリアミドオリゴマーである。
ポリアミド2
4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、水素化ダイマー酸、およびドデカン二酸を、窒素下で2000mLの撹拌反応器に加え、180℃に加熱した。ポリマーの酸価が1(mgKOH/g)を下回るまでモノマーを反応させた。反応中に形成された水を反応器から蒸発させ、反応器を短時間真空下に置いて微量の水を除去した。次いで、カプロラクトンを投入し、6時間反応させた。最終生成物は黄色がかったポリアミドオリゴマーである。
ポリアミド3
4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)およびカプロラクトンを窒素下で2000mLの撹拌反応器に加え、オクタン酸チタン(反応物の重量に基づいて200ppmのチタン(IV)2-エチルヘキシルオキシド)触媒の存在下で、180℃で12時間反応させた。最終生成物は黄色がかったポリアミドオリゴマーである。
ポリアミド4
4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ピペラジンおよびドデカン二酸を、窒素下で2000mLの撹拌反応器に加え、180℃に加熱した。ポリマーの酸価が1(mgKOH/g)を下回るまでモノマーを反応させた。反応中に形成された水を反応器から蒸発させ、反応器を短時間真空下に置いて微量の水を除去した。次いで、カプロラクトンを投入し、オクタン酸チタン触媒の存在下で12時間反応させた。最終生成物は黄色がかったポリアミドオリゴマーである。
ポリアミド5
4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミンおよびドデカン二酸を、窒素下で2000mLの撹拌反応器に加え、180℃に加熱した。ポリマーの酸価が1(mgKOH/g)を下回るまでモノマーを反応させた。反応中に形成された水を反応器から蒸発させ、反応器を短時間真空下に置いて微量の水を除去した。次いで、カプロラクトンを投入し、オクタン酸チタン触媒の存在下で12時間反応させた。最終生成物は黄色がかったポリアミドオリゴマーである。
ポリアミド6
1,2-ジアミノシクロヘキサンおよびドデカン二酸を、窒素下で2000mLの攪拌反応器に加え、180℃に加熱した。ポリマーの酸価が1(mgKOH/g)を下回るまでモノマーを反応させた。次いで、カプロラクトンを投入し、6時間反応させた。最終生成物は黄色がかったポリアミドオリゴマーである。
【0095】
水性ポリウレタン分散液
ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含むポリマーの調製、水性媒体中への分散、および鎖延長の一般手順。
ポリアミドおよびポリカーボネートを反応器に入れ、150℃に加熱し、均一な混合物が得られるまで混合した。各ポリアミドの推定分子量を表Iに示す。各ポリアミドの構成成分を表IIに示す。次いで、反応器を120℃に冷却し、Desmodur(商標)Wを投入し、100℃で30分間反応させた。全てのアクリレートモノマーをプレポリマーに加え、反応器が均一になった後、温度を85℃に設定し、DMBAを投入した。分散液のレシピを表IVに示す。理論上のNCOに達するまでDMBAを反応させ、次いで、ポリケトンジオールを加えた。理論上のNCOに達するまで、ポリケトンジオールを反応させた。トリエチルアミンをプレポリマーに加え、バッチを65~75℃に冷却し、水に分散させて、20~30重量%のポリマーおよび70~80重量%の水を含む分散液を形成した。次いで、ポリウレタンをヒドラジンで鎖延長し、t-ブチルヒドロペルオキシド、エリソルビン酸、およびEDTA-鉄錯体を加えることによりアクリル重合を開始した。重合の発熱の30分後、温度を50℃に上昇させ、全てのモノマーが反応するまで維持した。最終生成物は、低光沢フィルムを形成する乳白色の分散液である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
アクリレートは、70重量%のメチルメタクリレート、10重量%のエチレングリコールジメタクリレート、および20重量%のオクチルアクリルアミドのブレンドである。
【表5】
【0096】
実施例を除いて、または別途指示されている場合を除いて、量、反応条件、分子量、炭素原子の数等を特定する本明細書における全ての数値的な量は、「約」という語によって修飾されていると理解されたい。別段の指示がない限り、全てのパーセントおよび配合値はモルベースである。別段の指示がない限り、全ての分子量は数平均分子量である。別段の指示がない限り、本明細書において言及される各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および商業グレードに存在すると通常理解される他のそのような材料を含み得る商業グレードの材料であると解釈されるべきである。しかしながら、別段の指示がない限り、各化学成分の量は、市販の材料に慣例的に存在し得る任意の溶剤および希釈剤を除いて提示される。本明細書で使用される場合、「~から本質的になる」は、検討中の組成物の基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない物質を含めることを許容する。本明細書に記載される本発明の実施形態は全て、オープンエンドかつ包括的な視点(すなわち、「~を含む」という文言を使用)およびクローズドかつ排他的な視点(すなわち、「~からなる」という文言を使用)の両方から企図され、読まれ得る。本明細書で使用される場合、括弧は、1)モノマー(複数可)が単数もしくは複数のモノマーを意味するように、または(メタ)アクリレートがメタクリレートもしくはアクリレートを意味するように、何かが必要に応じて存在すること、2)前述の用語を修飾またはさらに定義すること、あるいは3)より狭義の実施形態を列挙することを示すために使用される。
【0097】
主題の発明を説明する目的である特定の代表的な実施形態および詳細を示してきたが、主題の発明の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
水性媒体中のコロイド的に安定化されたポリマー分散液であって、前記ポリマーが、ポリアミドオリゴマーならびに複数のウレタン結合および/または複数のウレア結合を含み、前記水性媒体中の分散液は、
a)以下の
【化15】
から選択されるアミン繰り返し単位を有するポリアミドオリゴマーであって、
式中、R
1
~R
5
が、独立して、HまたはC
1
~C
4
の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基から選択され、一実施形態において、全てのR
5
基の少なくとも80、90または95モル%が望ましくはHであり、前記アミン繰り返し単位の窒素末端基が、アミド結合を形成することができる少なくとも1つのカルボニル基を有する反応性カルボニル繰り返し単位(ジカルボン酸、ラクトン、ヒドロキシカルボン酸および/またはラクタムもしくはアミノカルボン酸等)と反応する、ポリアミドオリゴマーと、
b)ヒドロキシル基またはアミン基と反応させたポリイソシアネートからの少なくとも1つの繰り返し単位と、
c)反応させて、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含む前記ポリマーにした水分散性基と、を含み、
さらに、前記アミン繰り返し単位が、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/またはウレア結合を含む前記ポリマーの一部であり、前記アミン繰り返し単位が、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含む前記ポリマーの約4~約15重量%である、水性媒体中のコロイド的に安定化されたポリマー分散液。
(項目2)
前記ポリアミドオリゴマーが、平均して、ポリマー鎖当たり合計約1~約10個の式Iまたは式IIの前記アミン繰り返し単位を有する(かつ望ましくは、前記ポリアミドオリゴマーが、前記ポリマーの少なくとも10モル%に化学的に共有結合している)、項目1に記載の水性媒体中のポリマー分散液。
(項目3)
前記ポリアミドオリゴマーの前記アミン繰り返し基の少なくとも1つが、a)交互配列のジカルボン酸に由来する式-(C(=O)-R
e
-C(=O)-の繰り返し単位(式中、R
e
はC
3
~C
48もしくは58
の直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基(必要に応じて不飽和)であり、より望ましくはC
8
~C
38
の直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基(必要に応じて不飽和)である)、b)式-C(=O)-R
f
-O-の繰り返し単位(式中、R
f
はC
1
~C
14
(より望ましくはC
2
~C
5
)の直鎖もしくは分岐鎖アルキレン基(必要に応じて不飽和)である)、またはc)それらの組み合わせに結合している、項目1に記載の水性媒体中のポリマー分散液。
(項目4)
前記ポリアミドオリゴマーが、前記ポリアミドオリゴマーをポリエステル繰り返し単位で鎖延長するために、2~15個の炭素原子の環状ラクトン(好ましくはカプロラクトン)またはヒドロキシカルボン酸とさらに反応し、前記ポリエステル繰り返し単位が、ポリアミドならびに複数のウレタン結合および/またはウレア結合を含む前記ポリマーの1~75重量%である、項目3に記載のポリマー分散液。
(項目5)
前記ポリマーが、a)1つもしくはそれより多くのポリエステルセグメント、b)1つもしくはそれより多くのポリカーボネートセグメント、c)1つもしくはそれより多くのポリエーテルセグメント、またはd)前記ポリマーに化学的に結合したか、もしくは前記分散液の前記ポリマーと物理的にブレンドされたそれらのブレンドをさらに含み、前記ポリエステル、ポリカーボネート、もしくはポリエーテルセグメント、またはそれらのブレンドが、必要に応じて、約500~5,000g/モルの数平均分子量を有し、前記セグメント(複数可)は、前記ポリマー分散液の総ポリマー重量の約2、5、10または15から約30、40または50重量%までを構成する、項目1~4のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
(項目6)
前記ポリマー分散液が、前記分散液中のポリマーの総重量に基づいて約10~約50重量%の量の、不飽和フリーラジカル重合性モノマー反応物または前記不飽和フリーラジカル重合性モノマー反応物に由来するポリマー種をさらに含む、項目1~5に記載のポリマー分散液。
(項目7)
前記ポリマーに組み込まれた、架橋を促進する架橋剤または架橋性基をさらに含む、項目1~6に記載のポリマー分散液。
(項目8)
前記ポリマー分散液は、以下の構造
【化16】
の第三級アミド繰り返し単位を有する、少なくとも5重量%(より望ましくは少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20または少なくとも25重量%)のポリアミドをさらに含み、
式中、R
a
が、前記ジカルボン酸のアルキレン部分であり、かつ2~48または58個の炭素原子の環状、直鎖、または分岐鎖(必要に応じて芳香族基を含む)アルキレンであり、必要に応じて、前記二酸の3個または10個の炭素原子、より好ましくは4~38個の炭素原子当たり最大1個のヘテロ原子を含み、
式中、R
b
が、2~60個の炭素原子、より好ましくは2~36個、または2もしくは4~12個、より望ましくは2~6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖(必要に応じて、環状、複素環式、または芳香族部分(複数可)であるかまたはそれを含む)アルキレン基(必要に応じて、10個の炭素原子当たり最大1または3個のヘテロ原子を含む)であり、R
c
およびR
d
が、個々に、1~8個の炭素原子、より好ましくは1または2~4個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキル基であるか、あるいはR
c
およびR
d
が一緒に結合して、1~8個の炭素原子の単一の直鎖または分岐鎖アルキレン基を形成するか、あるいは必要に応じて、R
c
およびR
d
の一方が炭素原子でR
b
に結合し、より望ましくはR
c
およびR
d
が一緒に結合して、1または2~4個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキレン基となる、項目1~6のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
(項目9)
前記第三級アミド構造の前記繰り返し単位の少なくとも60モル%、より望ましくは少なくとも75モル%、好ましくは少なくとも85モル%が環状第三級アミド繰り返し単位であり、前記繰り返し単位が、構造
【化17】
を有し、式中、R
b
が、2~6個の炭素原子を有し、R
c
およびR
d
が一緒に結合して、1または2~4個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキレン基となる、項目8に記載の水性媒体中のポリマー分散液。
(項目10)
項目1に記載の前記水分散性基が、アニオン性、カチオン性、非イオン性、またはそれらのブレンドの群から選択される、項目1~9に記載の水性媒体中のポリマー分散液。
(項目11)
項目1に記載の前記水分散性基が、前記ポリマー分散液の前記少なくとも1つのポリマーに共有結合しているまたは合成されたアニオン性水分散を含む、項目1~10のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
(項目12)
前記アニオン性水分散基が、約5~約40mgKOH/gポリマーの酸価で存在するカルボン酸を含む、項目10または11に記載のポリマー分散液。
(項目13)
項目1に記載の前記水分散性基が、前記ポリマー分散液の前記少なくとも1つのポリウレタンに共有結合しているまたは合成された非イオン性オリゴマーを含む(より望ましくは、前記非イオン性オリゴマーは、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含む前記ポリマーにペンダント状に結合している)、項目9に記載のポリマー分散液。
(項目14)
前記水分散性基が、カチオン性水分散基を含み、必要に応じて、前記カチオン性水分散基が、第三級アミンまたは第四級アンモニウム基の塩を含む、項目10に記載のポリマー分散液。
(項目15)
前記ポリマーが、前記分散液のポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含む前記ポリマーの総ポリマー重量の約2、5、10または15から約30、40または50重量%までの量で存在する、500~5,000g/モルの分子量のポリカーボネートセグメントを含む、項目1~14のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
(項目16)
分散液の形態のポリアミドならびに複数のウレタン結合および/または複数のウレア結合を含む前記ポリマー中のポリマーの総重量に基づいて少なくとも10重量%の第2のポリマー(ポリアミドならびに複数のウレタン結合および/または複数のウレア結合を含む前記ポリマーに共有結合していない)をさらに含む、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー分散液であって、前記第2のポリマーが、4重量%未満の式Iおよび式IIのアミン繰り返し単位を有する、ポリマー分散液。
(項目17)
前記第2のポリマーの少なくとも50重量%が、水相中の別個の分散ポリマー粒子中に存在し、前記別個の分散ポリマー粒子の少なくとも50重量%が、4重量%未満の式Iおよび式IIの合わせたアミン繰り返し単位を含む、項目16に記載のポリマー分散液。
(項目18)
前記第2ポリマーの少なくとも50重量%が、ポリマー粒子中に、ポリアミドならびに複数のウレタンおよび/または複数のウレア結合を含む前記ポリマーと共存し、ポリアミドならびに複数のウレタン結合および/または複数のウレア結合を含む前記ポリマーが、約4~約15重量%の式Iおよび/または式IIのアミン繰り返し単位を有することを特徴とする、項目16に記載のポリマー分散液。
(項目19)
前記第2のポリマーがポリウレタンポリマーである、項目16~18のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
(項目20)
前記第2のポリマーが、フリーラジカル重合性不飽和モノマー(複数可)から形成されたポリマーである、項目16~18のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
(項目21)
自己支持性フィルム、コーティング、または接着剤に形成される、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー分散液。
(項目22)
前記適切な形状に形成し、前記水性媒体を蒸発させることにより、基材上の自己支持性フィルムまたはコーティングに変換された項目21に記載のポリマー分散液であって、前記フィルムまたはコーティングが、Elcometer408を使用してASTM D523-14に従って3ミル(76マイクロメートル)のフィルムまたはコーティング厚さを用いると、60°で20未満の光沢度を有する(必要に応じて、好ましくは5を下回る、より好ましくは2を下回るヘイズを有する)、ポリマー分散液。
(項目23)
基材上のコーティングの形態である項目22に記載のポリマー分散液であって、前記基材が、金属、木材、透明プラスチック、または透明ガラスである、ポリマー分散液。
(項目24)
前記アミン繰り返し単位のR
5
基の少なくとも80、90または95モルパーセントがHである、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー分散液。