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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】LED発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231117BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20231117BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20231117BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20231117BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20231117BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231117BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20231117BHJP
   F21Y 105/18 20160101ALN20231117BHJP
【FI】
F21S2/00 311
H01L33/50
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V9/38
F21V9/32
F21Y115:10
F21Y113:13
F21Y105:18
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020002532
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2020113537
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2019003176
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019003177
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019003178
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019003179
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】栗城 新吾
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正博
(72)【発明者】
【氏名】大森 祐治
(72)【発明者】
【氏名】松村 一輝
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-263128(JP,A)
【文献】特開2017-163001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0013447(US,A1)
【文献】特開2015-061066(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009033(WO,A1)
【文献】特開2015-070170(JP,A)
【文献】特開2014-130923(JP,A)
【文献】特開2007-165803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 19/00-19/06
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
H01L 33/50
F21Y 115/10
F21Y 113/13
F21Y 105/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色で発光する複数の第1発光領域及び第2色で発光する複数の第2発光領域を備え、前記第1発光領域及び前記第2発光領域は、それぞれ第1LEDダイ及び第2LEDダイを含み、一枚の実装基板上で市松模様配列し、
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの底面は、それぞれダイボンド材により前記実装基板の表面に接着され、前記ダイボンド材は、反射性微粒子を含有し、第1LEDダイ及び第2LEDダイの側面をそれぞれ這い上がるようにして前記側面を被覆し、
前記第1LEDダイ及び第2LEDダイのそれぞれ上面が第1蛍光樹脂層及び第2蛍光樹脂層で被覆され、前記第1蛍光樹脂層は、個別に前記第1LEDダイの上部をドーム状に覆っていると共に前記ダイボンド材の斜面の一部を覆っていることを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
第1色で発光する複数の第1発光領域及び第2色で発光する複数の第2発光領域を備え、前記第1発光領域及び前記第2発光領域は、それぞれ第1LEDダイ及び第2LEDダイを含み、一枚の実装基板上で市松模様配列し、
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの底面は、それぞれダイボンド材により前記実装基板の表面に接着され、前記ダイボンド材は、反射性微粒子を含有し、第1LEDダイ及び第2LEDダイの側面をそれぞれ這い上がるようにして前記側面を被覆し、
前記第1LEDダイ及び第2LEDダイのそれぞれ上面が第1蛍光樹脂層及び第2蛍光樹脂層で被覆され、前記第1蛍光樹脂層は、個別に前記第1LEDダイの上部をドーム状に覆っており、
前記実装基板は、表面に銀層を備え、前記銀層は、前記第1LEDダイと前記第2LEDダイとの間隙で前記ダイボンド材から露出していることを特徴とするLED発光装置。
【請求項3】
前記第1蛍光樹脂層は、前記ダイボンド材との接触部においてフィレットを形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記第1LED同士を接続する第1ワイヤと、前記第2LED同士を接続する第2ワイヤとを備え、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方は、被膜により補強されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項5】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方は、下部に保護樹脂膜を備えていることを特徴とする請求項に記載のLED発光装置。
【請求項6】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとが交差するとき、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤのうち、一方は、側面視曲線であって、他方は、側面視台形であることを特徴とする請求項又はに記載のLED発光装置。
【請求項7】
前記実装基板は、n=t2+3t+2(t=1,2,3,…)で表される自然数nに対し、n行n列のマトリクス状に配列したn2個のブロックからなる領域から、4隅についてそれぞれn/2個の前記ブロックを取り除いた発光領域を備え、
前記ブロックは、前記第1発光領域又は前記第2発光領域のいずれか一方を含み、
前記発光領域は、前記第1LEDダイがn個直列接続した第1LED列を(n/2-1)本備え、前記第2LEDダイがn個直列接続した第2LED列を(n/2-1)本備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項8】
前記第1LED列及び前記第2LED列に含まれる前記第1LEDダイ同士及び前記第2LEDダイ同士は、それぞれワイヤで斜行するように接続されていることを特徴とする請求項に記載のLED発光装置。
【請求項9】
第1色で発光する複数の第1発光領域及び第2色で発光する複数の第2発光領域を備え、
前記第1発光領域及び前記第2発光領域は、それぞれ第1LEDダイ及び第2LEDダイを含み、一枚の実装基板上で市松模様配列し、
前記第1LEDダイ及び第2LEDダイは、それぞれ上面が第1蛍光樹脂層及び第2蛍光樹脂層で被覆され、
前記第1蛍光樹脂層は、個別に前記第1LEDダイの上部をドーム状に覆っているLED発光装置の製造方法において、
前記実装基板と複数の前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイをそれぞれ準備する準備工程と、
前記実装基板に前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイをそれぞれ接着するダイボンド工程と、
前記第1LEDダイ同士及び前記第2LEDダイ同士をワイヤで接続するワイヤボンド工程と、
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの集合の周りにダムを形成するダム形成工程と、
前記ダムが囲む部分に、変性シリコンの溶液を流し込み、前記溶液の溶剤を揮発させ、前記ワイヤに保護樹脂膜を形成する保護樹脂膜形成工程と、
前記第1LEDダイの上部に個別に第1蛍光樹脂を塗布して第1蛍光樹脂層を形成する第1蛍光樹脂被覆工程と、
前記第2LEDダイの上部を第2蛍光樹脂で被覆して第2蛍光樹脂層を形成する第2蛍光樹脂被覆工程と、を備えていることを特徴とするLED発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1LEDダイと前記第2LEDダイとの間隙に白色樹脂を充填する白色樹脂充填工程をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載のLED発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1蛍光樹脂層及び前記第2蛍光樹脂層の上面並びに前記ワイヤを透明樹脂層で被覆する透明樹脂被覆工程をさらに備えていることを特徴とする請求項又は10に記載のLED発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記ダイボンド工程の後に前記第1蛍光樹脂被覆工程を、前記第1蛍光樹脂被覆工程の後に前記ダム形成工程を、前記ダム形成工程の後に前記保護樹脂膜形成工程をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項から11のいずれか一項に記載のLED発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記準備工程において、個片化すると前記実装基板が多数得られる大判基板を前記実装基板の代わりに準備し、
前記透明樹脂被覆工程又は前記第2蛍光樹脂被覆工程の後に、前記大判基板を切断して前記LED発光装置を得る個片化工程を備えていることを特徴とする請求項から12のいずれか一項に記載のLED発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚の実装基板上に第1色で発光する第1発光領域と、第2色で発光する第2発光領域が市松模様状に配列したLED発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一枚の実装基板上に、第1色で発光する複数の微細な第1発光領域と、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域とを備え、照明光の色むらを抑制するため、これら2種類の発光領域を市松模様状に配置したLED発光装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の図1には、2種類の微細な発光領域を市松模様状に配置し、色むらの改善を図ったLED発光装置が示されている。
【0004】
そこで、特許文献1の図1を本願の図31に引用し、当該LED発光装置(LEDモジュール)について説明する。図31は、従来例として示すLED発光装置200の平面図である。なお、()には、特許文献1で使用されている用語を示す。引用に際し、符号を変更した。
【0005】
図31に示すように、LED発光装置200は、実装基板207(基板)と、複数のLEDダイ205、206(LEDチップ)と、ダム210(枠部)と、コネクタ213を備えている。実装基板207の一面207aに形成された絶縁層208上には、青色で発光するLEDダイ205が直列接続した複数の第1LED列202(第1のLED群)と、赤色で発光するLEDダイ206が直列接続した複数の第2LED列203(第2のLED群)とが実装されている。また、絶縁層208上において、LEDダイ205、206は、ダム210により囲まれ、黄色蛍光体を含有する蛍光樹脂209(透光性樹脂)で被覆されている。すなわち、LED発光装置200は、第1色としてLEDダイ205と黄色蛍光体を含有する蛍光樹脂209により白色発光する微細な第1発光領域と、第2色としてLEDダイ206により赤色発光する微細な第2発光領域を多数備え、これらを市松模様状に配列している。
【0006】
ここで、LED発光装置200は、絶縁層208上に、接続パターン204、配線パターン211、212を備えている。接続パターン204には、第1LED列202のアノード及び第2LED列203のカソードがワイヤ214(ボンディングワイヤ)で接続されている。配線パターン211には、第2LED列203のアノードが、配線パターン212には、第1LED列202のカソードが、それぞれ接続されている。配線パターン211、212は、コネクタ213に接続している。すなわち、コネクタ213から電力を供給する際、配線パターン211、第2LED列203、接続パターン204、第1LED列202、配線パターン212の順で電流が流れ、LEDダイ205、206が点灯する。
【0007】
このとき、LED発光装置200では、LEDダイ205同士を接続するワイヤ214、及びLEDダイ206同士を接続するワイヤ214がジグザグ形状をとっている。このようにして、LED発光装置200は、ワイヤ214同士を交差させないようにしながら、2種類の微細な発光領域を市松模様状に配列し、LEDダイ205及び黄色蛍光体により得られた白色光と、LEDダイ206から得られた赤色光とを均一でムラなく混色している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014―203569号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図31に示したLED発光装置200では、実装基板207上にLEDダイ205とLEDダイ206を実装していた。すなわち、LED発光装置200は、製造に当たり、青色で発光するLEDダイ205と赤色で発光するLEDダイ206の2種類のLEDダイを準備しなければならない。
【0010】
2種類のLEDダイ205、206を準備することは製造上の負担になるので、1種類のLEDダイだけで第1発光領域と第2発光領域を構成することが望まれる。このためには、発光色の異なる第1蛍光樹脂と第2蛍光樹脂を準備し、実装基板上にマトリクス配列した一種類のLEDダイに対し、第1発光領域に含まれるLEDダイを第1蛍光樹脂で封止し、第2発光領域に含まれるLEDダイを第2蛍光樹脂で封止すれば良い。
【0011】
しかしながら、LED発光装置の小型化及び混色性の向上のため、LEDダイ同士を近接させようとすればするほど、隣接し合う2つのLEDダイを第1蛍光樹脂と第2蛍光樹脂で封止し分けることが困難になってくる。
【0012】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、一枚の実装基板上に、第1色で発光する複数の微細な第1発光領域と、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域とを市松模様状に配列させたLED発光装置において、第1発光領域及び第2発光領域を構成する同一種類のLEDダイが近接しても、性能や品質面で遜色なく、製造しやすいLED発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明のLED発光装置は、第1色で発光する複数の第1発光領域及び第2色で発光する複数の第2発光領域を備え、前記第1発光領域及び前記第2発光領域は、それぞれ第1LEDダイ及び第2LEDダイを含み、一枚の実装基板上で市松模様配列し、前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイは、それぞれ上面が第1蛍光樹脂層及び第2蛍光樹脂層で被覆され、前記第1蛍光樹脂層は、個別に前記第1LEDダイの上部をドーム状に覆っていることを特徴とする。
【0014】
本発明のLED発光装置の発光領域は、微細な発光領域である第1発光領域と第2発光領域の集合体からなる。この発光領域において、第1発光領域と第2発光領域は、平面視したとき、互いに上下方向及び左右方向で隣接しあい、市松模様配列を構成する。第1発光領域は、1個の第1LEDダイを含み、第1色で発光する。同様に、第2発光領域は、1個の第2LEDダイを含み、第2色で発光する。第1LEDダイの上面及びその近傍は、スポット印刷等により第1蛍光樹脂がポッティングされる。この第1蛍光樹脂層は、上部が曲面(ドーム状)となり、第1LEDダイの上部を被覆する。
【0015】
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイは、同一特性であっても良い。
【0016】
前記第2蛍光樹脂層は、個別に前記第2LEDダイの上部をドーム状に被覆しても良い。
【0017】
前記第1蛍光樹脂層及び前記第2蛍光樹脂層は、高さが互いに異なっても良い。
【0018】
前記第1LEDダイと前記第2LEDダイの間に白色樹脂が充填され、前記白色樹脂の
上面は、前記第1LEDダイ又は前記第2LEDダイの上面より高くても良い。
【0019】
前記第2蛍光樹脂層は、複数の前記第2LEDダイの上面を全体的に覆っても良い。
【0020】
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイを囲むダムを備えていても良い。
【0021】
前記第1LEDダイの高さは、前記第2LEDダイの高さと異なっても良い。
【0022】
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの底面は、それぞれダイボンド材により前記実装基板の表面に接着され、前記ダイボンド材は、反射性微粒子を含有し、第1LEDダイ及び第2LEDダイの側面をそれぞれ這い上がるようにして前記側面を被覆しても良い。
【0023】
前記ダイボンド材は、前記第1LEDダイと前記第2LEDダイとの間隙で前記実装基板の表面を覆っても良い。
【0024】
前記実装基板は、表面に銀層を備え、前記銀層は、前記第1LEDダイと前記第2LEDダイとの間隙で前記ダイボンド材から露出していても良い。
【0025】
前記ダイボンド材は、上面の高さが前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの上面の高さと一致していても良い。
【0026】
前記第1蛍光樹脂層及び前記第2蛍光樹脂層は、それぞれ透明樹脂層で被覆され、前記透明樹脂層は、フィラーを含有しても良い。
【0027】
前記第1蛍光樹脂層は、前記ダイボンド材の斜面の一部を覆っていても良い。
【0028】
前記第1蛍光樹脂層は、前記ダイボンド材との接触部においてフィレットを形成していても良い。
【0029】
前記第1LED同士を接続する第1ワイヤと、前記第2LED同士を接続する第2ワイヤとを備え、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方は、被膜により補強されていても良い。
【0030】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方は、下部に保護樹脂膜を備えていても良い。
【0031】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとが交差するとき、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤのうち、一方は、側面視曲線であって、他方は、側面視台形であっても良い。
【0032】
前記実装基板は、n=t2+3t+2(t=1,2,3,…)で表される自然数nに対し、n行n列のマトリクス状に配列したn2個のブロックからなる領域から、4隅についてそれぞれn/2個の前記ブロックを取り除いた発光領域を備え、前記ブロックは、前記第1発光領域又は前記第2発光領域のいずれか一方を含み、前記発光領域は、前記第1LEDダイがn個直列接続した第1LED列を(n/2-1)本備え、前記第2LEDダイがn個直列接続した第2LED列を(n/2-1)本備えていても良い。
【0033】
前記第1LED列及び前記第2LED列に含まれる前記第1LEDダイ同士及び前記第2LEDダイ同士は、それぞれワイヤで斜行するように接続されていても良い。
【0034】
上記課題を解決するため、本発明のLED発光装置の製造方法は、第1色で発光する複数の第1発光領域及び第2色で発光する複数の第2発光領域を備え、前記第1発光領域及び前記第2発光領域は、それぞれ第1LEDダイ及び第2LEDダイを含み、一枚の実装基板上で市松模様配列し、前記第1LEDダイ及び第2LEDダイは、それぞれ上面が第1蛍光樹脂層及び第2蛍光樹脂層で被覆され、前記第1蛍光樹脂層は、個別に前記第1LEDダイの上部をドーム状に覆っているLED発光装置の製造方法において、前記実装基板と複数の前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイをそれぞれ準備する準備工程と、前記実装基板に前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイをそれぞれ接着するダイボンド工程と、前記第1LEDダイ同士及び前記第2LEDダイ同士をワイヤで接続するワイヤボンド工程と、前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの集合の周りにダムを形成するダム形成工程と、前記ダムが囲む部分に、変性シリコンの溶液を流し込み、前記溶液の溶剤を揮発させ、前記ワイヤに保護樹脂膜を形成する保護樹脂膜形成工程と、前記第1LEDダイの上部に個別に第1蛍光樹脂を塗布して第1蛍光樹脂層を形成する第1蛍光樹脂被覆工程と、前記第2LEDダイの上部を第2蛍光樹脂で被覆して第2蛍光樹脂層を形成する第2蛍光樹脂被覆工程とを備えていることを特徴とする。
【0035】
本発明のLED発光装置の製造方法では、まず、実装基板と第1LEDダイ及び第2LEDダイを準備する。次に、実装基板に第1LEDダイ及び第2LEDダイをダイボンディングしたら、第1LEDダイ同士及び第2LED同士をワイヤで接続する。続いて、ダムを形成し、ダムで囲まれた空間に変性シリコンの溶液を注ぎ込み、溶剤を揮発させると、ワイヤの表面に保護樹脂膜が形成されるとともに、ワイヤから垂れ下がるカーテン状の保護樹脂膜が形成される。
【0036】
前記第1LEDダイと前記第2LEDダイとの間隙に白色樹脂を充填する白色樹脂充填工程をさらに備えていても良い。
【0037】
前記第1蛍光樹脂層及び前記第2蛍光樹脂層の上面並びに前記ワイヤを透明樹脂層で被覆する透明樹脂被覆工程をさらに備えていても良い。
【0038】
前記ダイボンド工程の後に前記第1蛍光樹脂被覆工程を、前記第1蛍光樹脂被覆工程の後に前記ダム形成工程を、前記ダム形成工程の後に前記保護樹脂膜形成工程をそれぞれ備えていても良い。
【0039】
前記準備工程において、個片化すると前記実装基板が多数得られる大判基板を前記実装基板の代わりに準備し、前記透明樹脂被覆工程又は前記第2蛍光樹脂被覆工程の後に、前記大判基板を切断して前記LED発光装置を得る個片化工程を備えていても良い。
【発明の効果】
【0040】
以上のように、本発明のLED発光装置は、第1発光領域において、スポット印刷などにより第1LEDダイの先端部だけにドーム状の第1蛍光樹脂層を形成する。このようにすると第1蛍光樹脂層で被覆されてはいけない第2LEDダイを第1LEDダイに近接できる。また、第1LEDダイ及び第2LEDダイのほとんどの発光は、それぞれ第1蛍光樹脂層及び第2蛍光樹脂層を通過するため、発光効率や波長変換効率を悪化させない。
【0041】
したがって、本発明のLED発光装置は、一枚の実装基板上に、第1色で発光する複数の微細な第1発光領域と、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域とを市松模様状に配列させる際、第1発光領域及び第2発光領域を構成する同一種類のLEDダイを近接させても、性能や品質面において遜色なく、スポット印刷等を適用できるため製造しやすい。
【0042】
また、本発明のLED発光装置の製造方法は、上述したLED発光装置を製造するとき、ワイヤをシリコン樹脂で補強している。
【0043】
すなわち、本発明のLED発光装置の製造方法は、一枚の実装基板上に、第1色で発光する複数の微細な第1発光領域と、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域とを市松模様状に配列させる際、第1発光領域及び第2発光領域を構成する同一種類のLEDダイを近接させても、性能や品質面において遜色なく、交差したワイヤが補強されてショートしづらくなるため製造しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の第1実施形態として示すLED発光装置の平面図である。
図2図1に示すLED発光装置に含まれるLEDダイの平面図である。
図3図1に示すLED発光装置の平面図である。
図4図1に示すLED発光装置の回路図である。
図5図1に示すLED発光装置の部分断面図である。
図6図1に示すLED発光装置の製造方法のフローチャートである。
図7図6に示された各工程の説明図である。
図8】本発明の第2実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図9】本発明の第3実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図10】本発明の第4実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図11】本発明の第5実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図12】本発明の第6実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図13】本発明の第7実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図14図13に示すLED発光装置の製造方法のフローチャートである。
図15図14に示す各工程の説明図である。
図16】本発明の第8実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図17】本発明の第9実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図18】本発明の第10実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図19】本発明の第11実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図20図19に示すLED発光装置の製造方法のフローチャートである。
図21図20のフローチャートに示す各工程の説明図である。
図22】本発明の第12実施形態として示すLED発光装置の部分断面図である。
図23図22に示すLED発光装置の部分平面図である。
図24図22に示すLED発光装置の部分斜視図である。
図25図22に示すLED発光装置の部分断面図である。
図26図22に示すLED発光装置の製造方法のフローチャートである。
図27図26のフローチャートに示す各工程の説明図である。
図28】本発明の第13実施形態として示すLED発光装置の模式図である。
図29図28に示すLED発光装置の回路図である。
図30】本発明の第14実施形態として示すLED発光装置の模式図である。
図31】従来技術として示すLED発光装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図1図30を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。説明のため部材の縮尺は適宜変更している。()には、特許請求の範囲で示した発明特定事項を示す。
【0046】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態として示すLED発光装置10の平面図である。図1
示すように、LED発光装置10は、いわゆるCOB(チップオンボード)モジュールであり、実装基板13を備えている。実装基板13には、2つの隅に電源電極19a、19b、19c、19dが形成されている。さらに、電源電極19a~19dより内側の領域に円環状のダム15が形成されている。ダム15の内側の円形の領域(以下「発光部15a」という)は、透明樹脂層16が充填され、第1発光領域11a及び第2発光領域12aが市松模様状に配列している。
【0047】
ここで、図1は、第1発光領域11a及び第2発光領域12aを便宜的に正方形で表している。すなわち、図1に示す第1発光領域11a及び第2発光領域12aは、それぞれ、第1発光領域11aに含まれる第1LEDダイ11b(図5参照)及び第2発光領域12aに含まれる第2LEDダイ12b(図5参照)と一致するよう描かれている。図5に示すように、第1発光領域11aは、第1LEDダイ11bと第1蛍光樹脂層11cを含み、第2発光領域12aは、第2LEDダイ12bと第2蛍光樹脂層12cを含む。LED発光装置10の非点灯時では、第1発光領域11aは、第1蛍光樹脂層11c、第2発光領域12aは、第2蛍光樹脂層12cとして認識される。これに対し、LED発光装置10の点灯時では、第1発光領域11a及び第2発光領域12aは、正方形の角が取れ、周辺部がぼやけて広がり、丸みを帯びた形状として視認される。なお、第1発光領域11aに含まれる第1LEDダイ11b同士や、第2発光領域12aに含まれる第2LEDダイ12b同士を結ぶワイヤ14(図3参照)は、目視できるが図示していない。
【0048】
図2は、LED発光装置10の第1発光領域11aに含まれる第1LEDダイ11bの平面図である。なお、第2発光領域12aに含まれる第2LEDダイ12bは、第1LEDダイ11bと同一特性且つ同一構造なので図示していない。第1LEDダイ11bは、平面サイズが0.6mm×0.6mmの青色発光ダイオードであり、図4の左上隅にアノード21、右下中央寄りにカソード22を備えている。アノード21は、P層23の上面に形成され、カソード22は、P層23から露出したN層24の上面に形成されている。
【0049】
図3は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bに係る結線の状況が目視できるよう、透明樹脂層16、第1蛍光樹脂層11c、第2蛍光樹脂層12c及びダム15を除去した状態で描いたLED発光装置10の平面図である。なお、図3において、同一サイズ及び同一特性の青色発光ダイオードである第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bが区別できるよう、第1LEDダイ11bをドットで塗りつぶしている。図3に示すように、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bは、全体として市松模様を構成するようマトリクス配列している。
【0050】
また、図3に示すように、LED発光装置10に含まれる実装基板13上には、電源電極19a~19dと、電源電極19a~19dからそれぞれ弧状に延びた配線電極19e~19hとが形成されている。配線電極19eと電源電極19cとの間、及び電源電極19bと配線電極19hとの間には、それぞれ保護用のツェナーダイオード18a、18bが配置されている。ツェナーダイオード18aは、配線電極19e及び電源電極19cにワイヤ14で接続している。同様に、ツェナーダイオード18bは、配線電極19h及び電源電極19bにワイヤ14で接続している。電源電極19a~19dの一部、配線電極19e~19h、ツェナーダイオード18a、18b、及びワイヤ14の一部は、ダム15で被覆される(図1参照)。
【0051】
発光部15aでは、60個の第1LEDダイ11b及び60個の第2LEDダイ12bが実装されている。60個の第1LEDダイ11bは、12個ずつ直列接続して、5本の第1LED列11d(図4参照)を構成している。同様に、60個の第2LEDダイ12bは、12個ずつ直列接続して、5本の第2LED列12d(図4参照)を構成している。第1LED列11dに属する第1LEDダイ11bは、図の左上から右下に向かって折
れ曲がりながら斜行する配置をとる。同様に、第2LED列12dに属する第2LEDダイ12bも、図の左上から右下に向かって折れ曲がりながら斜行する配置をとる。
【0052】
第1LEDダイ11b同士及び第2LEDダイ12b同士は、それぞれワイヤ14で接続されている。図3では、ワイヤ14による結線を分かりやすくするため、第1LED列11dに属するワイヤ14を点線、第2LED列12dに属するワイヤ14を実線で示した。図3に示すように、第1LED列11dに属するワイヤ14と、第2LED列12dに属するワイヤ14とは、平面視したとき、一部分で交差しているように視認される。これは、第1LED列11d及び第2LED列12dに含まれる第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの直列段数を12段に制限し、第1LED列11d及び第2LED列12dを比較的低い電圧(例えば、2.7(V)×12(段)=32.4(V))で点灯できるようにしたためであり、LED発光装置10の取り扱い易さに配慮した結果である。
【0053】
なお、第1LED列11dにおいて、図の上側の端部に配された第1LEDダイ11bのアノード21(図2参照)は、配線電極19eと接続し、図の下側の端部に配された第1LEDダイ11bのカソード22(図2参照)は、配線電極19gと接続する。同様に、第2LED列12dにおいて、図の上側の端部に配された第2LEDダイ12bのアノード21は、配線電極19fと接続し、図の下側の端部に配された第2LEDダイ12bのカソード22は、配線電極19hと接続する。
【0054】
図4は、LED発光装置10の回路図である。LED発光装置10は、低い色温度(例えば、3000°K)で発光する第1回路11eと、高い色温度(例えば、5000°K)で発光する第2回路12eからなる。
【0055】
図4に示すように、第1回路11eでは、第1LEDダイ11bが12個直列接続した第1LED列11dが5個並列接続している。第1LED列11dに含まれる初段の第1LEDダイ11bのアノード21(図2参照)は、配線電極19eを介して電源電極19aに接続している。第1LED列11dに含まれる最終段の第1LEDダイ11bのカソード22(図2参照)は、配線電極19gを介して電源電極19cに接続している。配線電極19e、19gには保護用のツェナーダイオード18aが接続している。
【0056】
同様に、第2回路12eでは、第2LEDダイ12bが12個直列接続した第2LED列12dが5個並列接続している。第2LED列12dに含まれる初段の第2LEDダイ12bのアノード21(図2参照)は、配線電極19fを介して電源電極19bに接続している。第2LED列12dに含まれる最終段の第2LEDダイ12bのカソード22(図2参照)は、配線電極19hを介して電源電極19dに接続している。配線電極19f、19hには保護用のツェナーダイオード18bが接続している。
【0057】
図5は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置10の部分断面図である。図5には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。なお、図5でも、図1と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。
【0058】
図5に示すように、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの底面は、実装基板13の上面にダイボンド材17で接着されている。さらに、ダイボンド材17は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がるようにして覆うとともに、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙で実装基板13の表面を覆っている。ダイボンド材17は、反射性の微粒子を含有し、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ11bの側面において、高さが半分程度の位置で遮光に十分な厚さ(例えば、30~50μm)を確保できるようにする。
【0059】
第1蛍光樹脂層11cは、第1LEDダイ11bの上面及び側面の上部を覆い、上部が曲面となるドーム形状(椀形状)を成す。同様に、第2蛍光樹脂層12cも、第2LEDダイ12bの上面及び側面の上部を覆い、上部が曲面となるドーム形状(椀形状)を成す。第1LEDダイ11bの側面を覆う第1蛍光樹脂層11c及びダイボンド材17は、第1LEDダイ11bの側面から放射される第1LEDダイ11bの発光を抑制している。同様に、第2LEDダイ12bの側面を覆う第2蛍光樹脂層12c及びダイボンド材17は、第2LEDダイ12bの側面から放射される第2LEDダイ12bの発光を抑制している。なお、第1蛍光樹脂層11cは、第2蛍光樹脂層12cより図の上下方向に厚くなっている。
【0060】
透明樹脂層16は、ダイボンド材17、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cを上部から覆い、それらを封止している。なお、図示していないワイヤ14(図3参照)のうち第1LEDダイ11bの上面に接続するワイヤ14は、第1蛍光樹脂層11cを出て、透明樹脂層16を抜け、図示していない他の第1蛍光樹脂層11cに入り、図示していない他の第1LEDダイ11bの上面と接続する。第2LEDダイ12b同士を接続するワイヤ14も同様である。
【0061】
実装基板13は、そのベース材がアルミナからなる白色のセラミクスである。実装基板13の上面には、Cu上にNi、Auを積層した金属膜からなる配線電極19e~19h及び電源電極19a~19dが形成されている(図3参照)。なお、実装基板13のベ-ス材は、表面を反射処理した窒化アルミニウムや、表面に絶縁層を備えたアルミニウムであっても良い。ダイボンド材17は、樹脂中に酸化チタンからなる反射性微粒子を混練した接着材である。ダム15は、酸化チタンの微粒子を混練した白色のシリコン樹脂からなり、太さが0.7~1.0mm、高さが0.5~0.8mmである。
【0062】
第1蛍光樹脂層11cは、厚さが0.5mm程度で、緑色で発光する蛍光体(例えばLu3Al512:Ce)と赤色で発光する蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)とを含有している。第1発光領域11aの発光色は、第1LEDダイ11bが発する青色光及び第1蛍光樹脂層11cの発光により3000°K程度の色温度になる。第2蛍光樹脂層12cは、厚さが0.3mm程度で、緑色で発光する蛍光体(例えばLu3Al512:Ce)と赤色で発光する蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)とを含有しているが、第1蛍光樹脂層11cとは蛍光体の濃度及び比率が異なる。第2発光領域12aの発光色は、第2LEDダイ12bが発する青色光及び第2蛍光樹脂層12cの発光により5000°K程度の色温度になる。
【0063】
次に、図6図7によりLED発光装置10の製造方法を説明する。図6は、LED発光装置10の製造方法に含まれる製造工程を示すフローチャート、図7は、図6のフローチャートに示された製造工程の説明図である。なお、特別な指示なしに図1図4に示した部材を引用する。
【0064】
図6に示すように、LED発光装置10の製造方法は、実装基板13や第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12b等を準備する準備工程31、実装基板13に第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ等をダイボンド材17で接着するダイボンド工程32、第1LEDダイ11b同士及び第2LEDダイ12b同士等をワイヤ14で電気的に接続するワイヤボンド工程33、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bからなる集合を取り囲むようにして実装基板13上にダム15を形成するダム形成工程34、第1LEDダイ11bの上部を第1蛍光樹脂層11cで被覆する第1蛍光樹脂被覆工程35、第2LEDダイ12bの上部を第2蛍光樹脂層12cで被覆する第2蛍光樹脂被覆工程36、並びにダム15の内側の領域を透明樹脂層16で被覆する透明樹脂被覆工程37を含む。
【0065】
図7では、図6に示した各工程を説明するため、製造途上にあるLED発光装置10の断面を模式的に描いている。なお、LED発光装置10は、個別に分離した実装基板13にLEDダイ11を実装し、実装基板13の上面に様々な電子部品や樹脂を配置する工法で製造しても良いし、個片化すると多数の実装基板13が得られる大判基板に様々な電子部品や樹脂を配置し、最後に大判基板を個片化してLED発光装置10を得る、いわゆる集合基板工法で製造しても良い。大量生産には後者の工法が適しているが、図7では、簡単のため、前者の工法でLED発光装置10の製造方法を説明する。また、図7(a)~(f)では、60個の第1LEDダイ11b及び60個の第2LEDダイ12bからなる集合を、それぞれ1個ずつだけで代表的に記載している。
【0066】
図7(a)は、準備工程31の説明図である。準備工程31では、実装基板13、第1LEDダイ11b、第2LEDダイ12b及びツェナーダイオード18a、18bを準備する。実装基板13は、そのベース材がアルミナからなる白色のセラミクスである。実装基板13の上面には、Cu上にNi、Auを積層した金属膜からなる配線電極19e~19h及び電源電極19a~19dが形成されている(図3参照)。なお、実装基板13のベ-ス材は、表面を反射処理した窒化アルミニウムや、表面に絶縁層を備えたアルミニウムであっても良い。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、上面に半導体層を備え、ツェナーダイオード18a、18bは、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bより小型である。
【0067】
図7(b)は、ダイボンド工程32の説明図である。ダイボンド工程32では、実装基板13に第1LEDダイ11b、第2LEDダイ12b及びツェナーダイオード18a、18bをダイボンド材17で接着する。なお、第1LEDダイ11b、第2LEDダイ12b及びツェナーダイオード18a、18bを実装基板13に搭載する前に、予め各素子を配置する位置にダイボンド材17を塗っておく。その後、各素子をピッカーで所定の位置に配置する。このとき、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを接着するダイボンド材17の量を調整し、ダイボンド時に第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの周囲にダイボンド材17をはみ出させ、一部のダイボンド材17に第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がらせる。これと並行して、隣接する第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bとの間でダイボンド材17同士をつなぎ合わせる。最後に、LED発光装置10を加熱してダイボンド材17を硬化する。ここで、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの間隔は、0.1~0.4mmである。
【0068】
図7(c)は、ワイヤボンド工程33の説明図である。ワイヤボンド工程33では、第1LEDダイ11b同士、第2LEDダイ12b同士、第1LEDダイ11bと配線電極19e、19c、第2LEDダイ12bと配線電極19f、19h、ツェナーダイオード18aと電源電極19c及び配線電極19e、並びにツェナーダイオード18bと電源電極19b及び配線電極19h、の間をワイヤ14で電気的に接続する。前述のように、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bについて、円環状のダム15の内側の領域において、高い面積利用効率で配置し、取り扱い易さに配慮して結線すると、一部のワイヤ14が交差する(平面視したとき交差するように視認されるが、立体的には接続していない。)。なお、図中、この交差を象徴的に示すため、ワイヤ14の頂部を交差させた。ワイヤ14については、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの近傍のみ描き、他の部分は省略している。
【0069】
図7(d)は、ダム形成工程34の説明図である。ダム形成工程34では、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの集合を取り囲むようにして、実装基板13上にダム15を形成する。ダム15は、白色シリコン樹脂からなり、太さが0.7~1.0mm、高さが0.5~0.8mmである。また、ダム15は、ディスペンサのノズルを移動し
ながら、粘度(又はチクソ性)が高い状態の白色シリコン樹脂をノズルから吐出して形成する。このとき、ツェナーダイオード18a、18bは、ダム15に埋め込まれる。同様に、配線電極19e~19h、及び配線電極19e~19hと第1LEDダイ11b又は第2LEDダイ12bとを接続するワイヤ14の一部分も、ダム15に埋め込まれる。最後に、LED発光装置10を加熱し、ダム15を硬化する。
【0070】
図7(e)は、第1蛍光樹脂被覆工程35の説明図である。第1蛍光樹脂被覆工程35では、第1LEDダイ11bの上部に第1蛍光樹脂を塗布し第1蛍光樹脂層11cを形成する。第1蛍光樹脂は、緑色で発光する蛍光体(例えばLu3Al512:Ce)と赤色で発光する蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)とを含有しているシリコン樹脂であり、可動型のノズルにより第1LEDダイ11bの上部にスポット印刷される。スポット印刷により生成された第1蛍光樹脂層11cは、最大の厚さが0.5mm程度でドーム形状となる。第1蛍光樹脂層11cを含む第1発光領域11aの発光色は、第1LEDダイ11bが発する青色光と第1蛍光樹脂層11cの発光により3000°K程度になる。
【0071】
図7(f)は、第2蛍光樹脂被覆工程36の説明図である。第2蛍光樹脂被覆工程36では、第2LEDダイ12bの上部に第2蛍光樹脂を塗布し第2蛍光樹脂層12cを形成する。第2蛍光樹脂も、緑色で発光する蛍光体(例えばLu3Al512:Ce)と赤色で発光する蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)とを含有しているシリコン樹脂であり、可動型のノズルにより第2LEDダイ12bの上部にスポット印刷される。スポット印刷により生成された第2蛍光樹脂層12cは、最大の厚さが0.3mm程度でドーム形状となる。第2蛍光樹脂層12cを含む第2発光領域12aの発光色は、第1LEDダイ11bが発する青色光と第1蛍光樹脂層11cの発光により5000°K程度になる。
【0072】
図7(g)は、透明樹脂被覆工程37の説明図である。透明樹脂被覆工程37では、ダム15の内側の領域に透明樹脂を充填し透明樹脂層16を形成する。透明樹脂は、透明なシリコン樹脂であり、硬化前は低粘度であり、充填にはディスペンサが使われる。充填後、加熱により透明樹脂を硬化する。
【0073】
なお、第1蛍光樹脂被覆工程35では、第1LEDダイ11bの上部に第1蛍光樹脂をスポット印刷で塗布していた。同様に、第2蛍光樹脂被覆工程36でも、第2LEDダイ12bの上面に第2蛍光樹脂をスポット印刷で塗布していた。しかしながら、塗布方法はスポット印刷に限られず、例えば、スポット印刷の代わりにスプレイ印刷でも良い。どちらの方法であっても、塗布後、第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹は表面張力でドーム形状にする。
【0074】
図1図7により説明してきたLED発光装置10は、微細な発光領域である第1発光領域11aと第2発光領域12aの集合体からなる。発光部15aにおいて、第1発光領域11aと第2発光領域12aは、平面視したとき上下及び左右方向で互いに隣接しあい、市松模様配列する。第1発光領域11aは、1個の第1LEDダイ11bを含み、約3000°K(第1色)で発光する。同様に、第2発光領域12aは、1個の第2LEDダイ12bを含み、約5000°K(第2色)で発光する。第1LEDダイ11bの上面及び上面近傍の側面は、スポット印刷等により第1蛍光樹脂をポッティングする。これで形成された第1蛍光樹脂層11cは、上面に曲面を有するドーム状となる。
【0075】
このLED発光装置10は、第1回路11eに流す電流と第2回路12eに流す電流を独立して制御し発光色を調整しできる。つまり、第1回路11eの輝度(第1回路11eを構成する全ての第1発光領域11aの発光量)と、第2回路12eの輝度(第2回路12eを構成する全ての第2発光領域12aの発光量)が独立して制御できるので、LED発光装置10は、任意の輝度で、3000°Kから5000°Kの間の発光色を得ること
ができる。
【0076】
以上のようにして、LED発光装置10は、第1LEDダイ11bの先端部だけに、スポット印刷によりドーム状の第1蛍光樹脂層11cを形成し、第1蛍光樹脂層11cで被覆されてはいけない第2LEDダイ12bを第1LEDダイ11bに近接させている。また、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bのほとんどの発光は、それぞれ第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cを通過するため、発光効率や波長変換効率を悪化させない。したがって、LED発光装置10は、一枚の実装基板13上に、第1色で発光する複数の微細な第1発光領域11aと、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域12aとを市松模様状に配列させる際、第1発光領域11a及び第2発光領域12aを構成する同一種類の第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを近接させても、LEDダイ間の距離が大きなLED発光装置に比べ、性能や品質面に遜色なく、製造しやすい。
【0077】
この他、LED発光装置10には、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bが同一サイズで同一特性であること、第2LEDダイ12bも個別に第2蛍光樹脂層12cでドーム状に被覆されていること、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面をダイボンド材17が這い上がっていること、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの間の実装基板13の表面をダイボンド材17が被覆していること、という特徴がある。
【0078】
具体的には、LED発光装置10は、実装基板13上に第1色で発光する第1発光領域11a及び第2色で発光する第2発光領域12aを備え、第1発光領域11aと第2発光領域12aが市松模様状に配列していた。さらに、このLED発光装置10は、実装基板13に実装された複数の第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bと、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの集合を取り囲むダム15と、第1LEDダイ11b同士又は前記第2LEDダイ12b同士を接続するワイヤ14と、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面をそれぞれ覆う第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cとを備えていた。このとき、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、同じ青色発光ダイオードであった。第1発光領域11a、第1LEDダイ11b及び第1蛍光樹脂層11cを含み、第2発光領域12aは、第2LEDダイ12b及び第2蛍光樹脂層12cを含む。また、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面は、白色のダイボンド材17で遮光されるとともに、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙では、実装基板13の上面が白色のダイボンド材17により被覆されていた。
【0079】
一種類のLEDダイである第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、LED発光装置10の実装基板13上において、マトリクス状に配列し、市松模様となるよう、2種類の蛍光樹脂である第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂を第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上部に個別に塗布していた。このようにして、LED発光装置10は、実装基板13上で、第1色で発光する複数の微細な第1発光領域11aと、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域12aとが市松模様状に配列した構成を得ていた。したがって、LED発光装置10は、図6に示す準備工程31で1種類のLEDダイだけを準備すればよいので、製造工程をいっそう簡略化できる。また、LEDダイが一種類であること、実装基板13の面積利用効率を最適化しやすくなる。
【0080】
なお、所望とする発光色が、蛍光樹脂の調整だけでは達成できない場合がある。例えば、第2発光領域12aの発光色である第2色(スペクトル)が、第2蛍光樹脂層12cの調整だけでは達成できないことがある。このとき、第2LEDダイ12bを近紫外発光LEDとし、その特性やサイズを第1LEDダイ11bと異ならせても良い。このようにす
ると、第2蛍光樹脂層12cが青色発光の蛍光体を含むようになり、青色光のスペクトルが太くなって自然な光に近づく。
【0081】
また、第2蛍光樹脂層12cで第2LEDダイ12bを個別に被覆すると、第2蛍光樹脂層12cのサイズが小型化するため、第1LEDダイ11bの放射光のうち第1蛍光樹脂層11cを通り抜けた成分が、第2蛍光樹脂層12c中の蛍光体を励起しづらくなる。つまり、第1LEDダイ11bの放射光による第2蛍光樹脂層12c中の蛍光体発光は、予定外の発光であり、いわゆるノイズとなるので、LED発光装置10は、このノイズのレベルが低い。したがって、LED発光装置10は発光色の制御及び管理が容易になる。なお、LED発光装置10では、第1蛍光樹脂層11cと第2蛍光樹脂層12cの高さを異ならせていた。これは、第1発光領域11a及び第2発光領域12aの発光色が、第1蛍光樹脂層11cと第2蛍光樹脂層12cの濃度以外に高さでも調整できることを示している。
【0082】
また、ダイボンド材17は、それぞれ第1発光領域11a及び第2発光領域12aに含まれる第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの底面からはみ出し、第1LEDダイ及び第2LEDダイの側面を這い上がる。このダイボンド材17は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面放射光を遮るとともに、表面が反射層として機能する。したがって、LED発光装置10は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面に追加的な遮光部材を配置することなく、簡単な構造で側面放射光を抑圧しながら発光効率を高い状態で維持できる。
【0083】
また、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がった白色のダイボンド材17は、ノイズを低減させる。つまり、このダイボンド材17により第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面から出射しようとする光(側面放射光)を遮ることにより、予定外の蛍光体励起を減らせる。例えば、もし仮に、このダイボンド材17がない場合、第1LEDダイ11bの側面から放射された光が、第2LEDダイ12bに入り込み、第2蛍光樹脂層12c中の蛍光体を励起するようになる。したがって、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面をダイボンンド材17で遮光すると、このノイズが大幅に低減するので、LED発光装置10の発光色の制御及び管理が容易になる。
【0084】
また、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙において実装基板13の表面を覆うダイボンド材17は、実装基板13の表面を反射処理しているかいないかにかかわらず、発光部15aの反射効率を向上させる。したがって、LED発光装置10は、このダイボンド材17により発光効率を高くしている。
【0085】
また、図3に示したように、LED発光装置10は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを実装基板13にフェイスアップ実装(発光層を上面とする実装)していた。このため、ワイヤ14は、平面視したとき一部で交差させざるを得なかった。これに対し、例えば、第1LEDダイ11bをフェイスアップ実装、第2LEDダイ12bをフェイスダウン実装(フリップチップ実装ともいう)とすることにより、ワイヤ14は交差しなくなる。なお、実装基板13の上面には、第2LEDダイ12b同士を接続するための配線電極が必要になる。
【0086】
(第2実施形態)
第1実施形態として示したLED発光装置10は、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bとの間隙において、実装基板13の上面が白色のダイボンド材17で覆われていた。しかしながら、実装基板13の上面の反射性がダイボンド材17より優れていれば、実装基板13の表面を全て白色のダイボンド材17で覆う必要はない。つまり、第1L
EDダイ11bと第2LEDダイ12bとの間隙において実装基板13の表面を露出させれば発光効率が向上する。また、LED発光装置10は、透明樹脂層16で一体的に第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cやワイヤ14等を封止していた。しかしながら、透過率が大きく低減しなければ、透明樹脂層16に拡散性を持たせ、混色性を向上させることができる。
【0087】
そこで、本発明の第2実施形態として、図8により、反射性のある実装基板13と拡散性のある透明樹脂層16を備えたLED発光装置20について説明する。なお、LED発光装置20は、LED発光装置10に対し、実装基板13の表面、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙に反射性の露出部27があること、並びに透明樹脂層16に拡散性があることなどを除き、実質的に同一部材、同一構造となっている。そこで、LED発光装置20の説明に際し、図1図4を引用し、図8において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0088】
図8は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置20の部分断面図である。図8には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。図8でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。
【0089】
図8に示すように、実装基板13の上面には、銀層28が形成されている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、ダイボンド材17により、底面が銀層28に接着されるとともに、側面が被覆されている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙には銀層28の露出部27が存在し、ここでダイボンド材17から銀層28が露出している。
【0090】
LED発光装置20でも、LED発光装置10と同様に、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上部は、それぞれ第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cにより覆われている。さらに、LED発光装置20では、銀層28の露出部27、ダイボンド材17の表面並びに第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cの表面を保護層29が覆っている。透明樹脂層16は、透明樹脂16aとフィラー16bからなり、保護層29を介して、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cや図示していないワイヤ14等を封止している。
【0091】
図示していないワイヤ14のうち第1LEDダイ11bの上面に接続するワイヤ14は、第1蛍光樹脂層11cを出て、透明樹脂層16を抜け、図示していない他の第1蛍光樹脂層11cに入り、図示していない他の第1LEDダイ11bの上面と接続する。第2LEDダイ12b同士を接続するワイヤ14も同様である。ワイヤ14は、保護層29を構成する材料が付着しているため、ワイヤ14が単独で設けられている場合に比べ強度を増している。
【0092】
実装基板13は、銀層28と電源電極19a等を絶縁するため、上面に銀層28が形成された平板基材と、上面に電源電極19a~19d及び配線電極19e~19hが形成され、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを実装する部分が開口したプリント基板を準備し、平板基材にプリント基板を貼り合わせて構成する。保護層29には、SiO2やシリコン樹脂が使用できる。保護層29をSiO2とする場合、ワイヤボンド工程33、ダム形成工程34並びに第1蛍光樹脂被覆工程35及び第2蛍光樹脂被覆工程36の後、スパッタ法により、保護膜29として数10nmの厚さでSiO2膜を形成する。保護層29をシリコン樹脂とする場合、図6に示したワイヤボンド工程33、ダム形成工程34並びに第1蛍光樹脂被覆工程35及び第2蛍光樹脂被覆工程36の後、噴霧や塗布により、保護膜29として10μmの厚さでシリコン膜を形成する。フィラー16bは、例えば、直径が6μm程度の球状の酸化チタンとする。
【0093】
露出部27における銀層28は、保護層29により硫化等が抑えられるため、良好な反射特性を維持し続け、LED発光装置20の発光効率向上に寄与する。すなわち、反射性の露出部27を備えるLED発光装置20は、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの間隔が大きいときに有利になる。また、封止樹脂64が含有するフィラー16bは、拡散により第1発光領域11a及び第2発光領域12aの境界をぼやかす。このため、LED発光装置20は、LED発光装置10に比べ混色性が向上する。
【0094】
なお、LED発光装置10、20は、ダム15を備えていた。それぞれ、硬化前の透明樹脂層16について粘度(又はチクソ性)を調整すればダム15を省くことが出来る。また、LED発光装置20は、透明樹脂層16を省いても良い。この場合、ワイヤ14の一部が露出するが、ワイヤ14に保護層29が形成されているので透明樹脂層16を省きやすくなる。
【0095】
(第3実施形態)
第1実施形態及び第2実施形態として示したLED発光装置10、20は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上部側面をそれぞれ第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cで覆っていた。しかしながら、上部側面における第1蛍光樹脂層11c又は第2蛍光樹脂層12cの被覆部分が狭い場合や、ダイボンド材17の這い上がりが小さい場合に、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面放射光を充分に遮れない場合がある。
【0096】
そこで、本発明の第3実施形態として、図9により、側面放射光を確実に遮ることが可能なLED発光装置30について説明する。なお、LED発光装置30は、LED発光装置10に対し、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12c並びにダイボンド材17の断面形状が異なることなどを除き、実質的に同一部材、同一構造となっている。そこで、LED発光装置30の説明に際し、図1図4を引用し、図9において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0097】
図9は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置30の部分断面図である。図9には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。図9でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。
【0098】
図9に示すように、ダイボンド材17は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がり、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間で斜面を形成している。LED発光装置30では、LED発光装置10のダイボンド材17よりLED発光装置30のダイボンド材17の分量が多くなっている。第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cは、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面を覆うとともにダイボンド材17の斜面の一部を覆っている。
【0099】
以上のように、LED発光装置30は、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cがダイボンド材17の斜面の一部を覆うことにより、側面放射光を確実に遮っている。この手法は、LED発光装置20のように、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間に実装基板13の露出部27がある場合にも有効である。
【0100】
(第4実施形態)
第3実施形態として示したLED発光装置30は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面上部において第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cの厚さを充分に確保するため、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層72cとダイボンド材17の接触角を大きくしていた(図9では45°程度)。しかしながら、一般に、接触角
が大きいと接着力が弱くなってしまう。
【0101】
そこで、本発明の第4実施形態として、図10により、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面上部において第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cの厚さを充分に確保しながら、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cとダイボンド材17との接着を改善できるLED発光装置40について説明する。なお、LED発光装置40は、LED発光装置30に対し、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12c並びにダイボンド材17の断面形状だけが異なる。そこで、LED発光装置40の説明に際し、図1図4を引用し、図10において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0102】
図10は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置40の部分断面図である。図10には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。図10でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。
【0103】
図10示すように、LED発光装置40のダイボンド材17は、LED発光装置30のダイボンド材17(図9参照)に比べ、這い上がりが少なく、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間の断面湾曲も小さい。このとき、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cは、ダイボンド材17との接触部でフィレットを形成している。すなわち、LED発光装置40において、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cは、LED発光装置30(図9参照)に比べ、塗布時の粘性・チクソ性が低く調整され、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上側角部で若干薄くなっているものの、側面中間部では厚くなっており、全体的に十分な厚さを確保できている。
【0104】
以上のように、LED発光装置40は、ダイボンド材17の断面湾曲が小さくても、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cがダイボンド材17の斜面の一部を覆う際、フィレットを形成することにより、側面における第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cの厚さを充分に確保しながら、接着を良好な状態にできている。
【0105】
なお、LED発光装置40において、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cは、ともにフィレットを備えていた。しかしながら、第1蛍光樹脂層11c又は第2蛍光樹脂層12cのうち、少なくとも一方だけにフィレットを設けても良い。例えば、厚く塗布されている第1蛍光樹脂層11cには、強く接着するためフィレットを設け、薄く塗布されている第2蛍光樹脂層12cには、LED発光装置30に含まれる第2蛍光樹脂層12c(図9参照)のようにフィレットを設けなくても良い。
【0106】
(第5実施形態)
第4実施形態として示したLED発光装置40は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上側角部において、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cが側面中間部に比べ薄くなっていた。このため、LED発光装置40は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上側角部から放射される青色光を充分に波長変換できない場合があり、このとき方位角による色むらを生じることがある。
【0107】
そこで、本発明の第5実施形態として、図11により、方位角による色むらを軽減できるLED発光装置50について説明する。なお、LED発光装置50は、LED発光装置40に対し、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12c並びにダイボンド材17の断面形状だけが異なる。そこで、LED発光装置50の説明に際し、図1図4を引用し、図11において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0108】
図11は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置50の部分断面図である。図11には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されて
いる。図11でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。
【0109】
図11に示すように、LED発光装置50のダイボンド材17は、上面の高さが第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面の高さと一致している。さらに、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cは、ダイボンド材17との接触部でフィレットを形成している。すなわち、LED発光装置50において、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cは、LED発光装置40(図9参照)に比べ、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上側角部で充分な厚さを確保している。
【0110】
以上のように、LED発光装置50は、ダイボンド材17の上面の高さを第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面の高さと一致させることにより、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上側角部において、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cの厚さを充分に確保している結果、上側角部から放射される青色光を適切に波長変換できるようになり、方位角によって生じる色むらを軽減できる。
【0111】
なお、ダイボンド材17の上面を第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面と一致させるには、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間の距離を小さくすることが効果的である。LED発光装置50では、ダイサイズ650μmに対し、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間の距離を400μmとした。また、方位角によって生じる色むらを軽減するには、ダイボンド材17の上面の高さについて、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面と概ね一致させれば良く、同様に第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間で概ね平坦であれば良い。
【0112】
(第6実施形態)
LED発光装置10、20、30、40、50では、ダイボンド材17の最も高い部分が第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面の高さ以下であった。これに対し、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間に白色の樹脂を充填し、この樹脂の頂部を第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面より高くしても良い。
【0113】
そこで、本発明の第6実施形態として、図12により、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間に充填された白色樹脂61の頂部が、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面より高いLED発光装置60について説明する。なお、LED発光装置60は、LED発光装置10等に対し、白色樹脂61が追加されたこと、及びダイボンド材17の這い上がりが少ないことだけが異なる。そこで、LED発光装置60の説明に際し、図1図4を引用し、図12において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0114】
図12は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置60の部分断面図である。図12には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。なお、図12でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。
【0115】
図12に示すように、ダイボンド材17は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの底面と実装基板13の表面とを接着するだけであり、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面をほとんど覆っていない。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上部は、それぞれ個別にドーム状の第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cで覆われている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間には白色樹脂61が充填され、白色樹脂61の上面は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面より高くなっている。第1蛍光樹脂層11c、第2蛍光樹脂層12c、及び白色樹脂61を透明樹脂層16が封止している。なお、白色樹脂61は、酸化チタンの微粒子を混練したシリコン樹脂であり、図6に示す第2蛍光樹脂被覆工程36と透明樹脂被覆工程37との間に追加された工程で、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ1
2bの間に充填される。
【0116】
以上のようにして、白色樹脂61の上面を第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面より高くすると、第1LEDダイ11bの発光が第2蛍光樹脂層12cに入り込むこと及び第2LEDダイ12bの発光が第1蛍光樹脂層11cに入り込むことが減少するとともに、第1蛍光樹脂層11cと第2蛍光樹脂層12cとの間でそれぞれの発光が互いに入り込みあうことも減少する。すなわち、LED発光装置60は、白色樹脂61により、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cに含まれる蛍光体が、実質的に、それぞれ第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bだけで励起されるようになる。この結果、LED発光装置60は、ノイズが減少し、よりいっそう発光色の管理が容易になる。
【0117】
(第7実施形態)
LED発光装置10、20、30、40、50、60は、第1発光領域11aにおいてドーム状の第1蛍光樹脂層11cが第1LEDダイ11bを個別に被覆するとともに、第2発光領域12aにおいてドーム状の第2蛍光樹脂層12cが第2LEDダイ12bを個別に被覆していた。しかしながら、ドーム状の第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cを形成するため、LED発光装置10等のように第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの全てについてスポット印刷を適用すると製造工程が長くなってしまう。
【0118】
そこで、図13図15により、第7実施形態として、一枚の実装基板上に、第1色で発光する複数の微細な第1発光領域11aと、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域12aとを市松模様状に配列させても、製造工程が長くならないLED発光装置70及びその製造方法を説明する。なお、LED発光装置70は、LED発光装置10に対し、透明樹脂層16がないこと、及び第2蛍光樹脂層12cの断面形状がドーム状でないことだけが異なる。そこで、LED発光装置70の説明に際し、図1図4を引用し、図13図15において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0119】
図13は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置70の部分断面図である。図13には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。図13に示すように、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの底面は、実装基板13の上面にダイボンド材17で接着されている。ダイボンド材17は、白色であり、酸化Ti等からなる反射性微粒子を含有し、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を覆うとともに、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙で実装基板13の上面を覆っている。なお、図13でも、図5と同様にワイヤ14は図示していない。
【0120】
図13に示すように、第1LEDダイ11bは、ドーム状の第1蛍光樹脂層11cにより上面が個別に覆われている。さらに、第1蛍光樹脂層11cは、第1LEDダイ11bの側面上部も覆い、ダイボンド材17とともに第1LEDダイ11bの側面から第1LEDダイ11bの発光が直接的に漏れ出さないようにしている。第2LEDダイ12bは、上面が第2蛍光樹脂層12cで覆われている。第2蛍光樹脂層12cは、複数の第2LEDダイ12bの上面を一括して一様に覆うとともに、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙を埋め、さらに第1蛍光樹脂層11cを覆っている。
【0121】
なお、図13に示すように、第1発光領域11aは、第1LEDダイ11bの直上部とその近傍になる。すなわち、第1LEDダイ11bは、直上部に多くの発光が集中するため、たとえ第1LEDダイ11bの発光により励起されて発光する第1蛍光樹脂層11cの発光が等方的であるといっても、第1発光領域11aは、第1LEDダイ11bの発光と第1蛍光樹脂層11cの発光の混合光の強度が強い領域として認識されることから、第
1LEDダイ11bの直上部とその近傍に限られる。同様に、第2発光領域12aは、第2LEDダイ12bの直上部とその近傍に限られる。
【0122】
次に、図14図15により、LED発光装置70の製造方法を説明する。図14は、LED発光装置70の製造方法に含まれる製造工程を示すフローチャート、図15は、図14のフローチャートに示された製造工程の説明図である。なお、図1図4及び図6と共通の符号は、共通の部材及び工程を示し、特別な指示なしに引用する。
【0123】
図14に示すように、LED発光装置70の製造方法は、実装基板13や第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12b等を準備する準備工程31、実装基板13に第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12b等を接着するダイボンド工程32、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bと配線電極19e~19h、第1LEDダイ11b同士又は第2LEDダイ12b同士をワイヤ14で電気的に接続するワイヤボンド工程33、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの集合を取り囲むようにして実装基板13上にダム15を形成するダム形成工程34、第1LEDダイ11bに第1蛍光樹脂を塗布し第1蛍光樹脂層11cを形成する第1蛍光樹脂被覆工程35、及びダム15の内側の領域に第2蛍光樹脂を充填し第2蛍光樹脂層12cを形成する第2蛍光樹脂被覆工程36を含む。
【0124】
図15(a)~(f)は、図14に示した各工程を説明するため、製造途上にあるLED発光装置70の断面を模式的に描いたものである。図15において、(a)に示した準備工程31、(b)で示したダイボンド工程32、(c)で示したワイヤボンド工程33、(d)で示したダム形成工程34、(e)で示した第1蛍光樹脂被覆工程35は、図6の(a)~(e)で示した準備工程31、ダイボンド工程32、ワイヤボンド工程33、ダム形成工程34、第1蛍光樹脂被覆工程35と同じものである。すなわち、LED発光装置70は、図14及び図15で示す工程として、(f)で示した第2蛍光樹脂被覆工程36が図6で示した第2蛍光樹脂被覆工程36と異なり、さらに、図6で示した透明樹脂被覆工程37がない。
【0125】
図15(f)に示す第2蛍光樹脂被覆工程36では、第2LEDダイ12bの上面を覆うように、第2蛍光樹脂をダム15の内側の領域に充填し第2蛍光樹脂層12cを形成する。硬化前の第2蛍光樹脂は、低粘度であり、充填にはディスペンサが使われる。なお、図13で示したように、第1蛍光樹脂層11cは、第2蛍光樹脂層12cにより覆われている。第2蛍光樹脂層12cも、緑色で発光する蛍光体(例えばLu3Al512:Ce)と赤色で発光する蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)とを含有しているが、第1蛍光樹脂層11cとは蛍光体の濃度及び比率が異なる。第2発光領域12aの発光色は、第2LEDダイ12bが発する青色光と第2蛍光樹脂層12cの発光により5000°K程度の色温度になる。
【0126】
以上のように、LED発光装置70は、一枚の実装基板13上に、第1色で発光する複数の微細な第1発光領域11aと、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域12aとを市松模様状に配列させる際、一種類のLEDダイだけを準備しているだけであるにも関わらず、第1発光領域11aに属する第1LEDダイ11bをドーム状の第1蛍光樹脂層11cで個別に被覆する一方、第2発光領域12aに属する第2LEDダイ12bを第2蛍光樹脂層12cで一括して被覆しているので、製造工程が長くならない。
【0127】
LED発光装置70において、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cは、それぞれ第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの発光に基づいて発光する。さらに、付加的に、第2蛍光樹脂層12cは、第1蛍光樹脂層11cの発光及び第1蛍光樹脂層11cを通り抜けてきた第1LEDダイ11bの発光で発光する。すなわち、LED発
光装置10等に比べ、ノイズが多くなっている。したがって、LED発光装置70は、発光色に対する制約が少なく、明るさとコストを重視する場合に適している。
【0128】
なお、LED発光装置70は、ダム15を備えていた。硬化前の第2蛍光樹脂の粘度(又はチクソ性)を調整すればダム15を省くことができる。しかしながら、ダム15があれば、第2蛍光樹脂層12cの厚さを均一にできるので取扱い易くなる。
【0129】
また、LED発光装置70は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面に白色のダイボンド材17を這い上がらせ、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面から出射しようとする光を遮っていた。ダイボンド材17の這い上がりを減らし、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面から光を出射させても、一定レベルの第1色及び第2色の混色性は確保できる。このときノイズが増加し発光色の管理性が低下するが、輝度は向上する。
【0130】
また、LED発光装置70では、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙において、ダイボンド材17で実装基板13の表面を覆っていた。LED発光装置20のように実装基板表面が反射処理されていれば、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間の領域で実装基板13の上面を露出させても良い。
【0131】
(第8実施形態)
LED発光装置70は、ダイボンド材17が第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がっていた。しかしながら、ダイボンド材17は、必ずしも第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がる必要はない。
【0132】
そこで、本発明の第8実施形態として、図16により、ダイボンド材17が第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がっていないLED発光装置80について説明する。なお、LED発光装置80は、LED発光装置70に対し、ダイボンド材17及び第2蛍光樹脂層12cの断面形状だけが異なる。そこで、LED発光装置80の説明に際し、図1図4を引用し、図16において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0133】
図16は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置80の部分断面図である。図16には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。図16でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。図16に示すように、ドーム状の第1蛍光樹脂層11cは、第1LEDダイ11bの上部を個別に覆い、第2蛍光樹脂層12cは、第2LEDダイ12bの上面、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間、並びに第1LEDダイ11bの上部を覆う。ダイボンド材17は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの底面と実装基板13の表面との間にだけ存在する。すなわち、ダイボンド工程32(図6参照)において、ダイボンド材17の塗布量を少なくし、ダイボンド時にダイボンド材17が第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がらないようにしている。
【0134】
LED発光装置80は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの発光のうち側面全体から放射する成分が全て第2蛍光樹脂層12cに入力するので発光効率が高くなる。すなわち、LED発光装置80は、発光効率を重視する場合に有効となる。
【0135】
(第9実施形態)
LED発光装置70は、第1LEDダイ11bの高さと第2LEDダイ12bの高さが等しかった。しかしながら、必ずしも第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの高さを等しくする必要はない。
【0136】
そこで、本発明の第9実施形態として、図17により、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの高さが異なるLED発光装置90について説明する。なお、LED発光装置90は、LED発光装置70に対し、第1LEDダイ11b、第2LEDダイ12b、ダイボンド材17及び第2蛍光樹脂層12cの断面形状だけが異なる。そこで、LED発光装置90の説明に際し、図1図4を引用し、図17において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0137】
図17は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置90の部分断面図である。図17には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。図17でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。図17に示すように、第1LEDダイ11bは、第2LEDダイ12bより背が高い。ドーム状の第1蛍光樹脂層11cは、第1LEDダイ11bの上部を個別に覆い、第2蛍光樹脂層12cは、第2LEDダイ12bの上面、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間、並びに第1LEDダイ11bの上部を覆う。ダイボンド材17は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間の実装基板13表面を被覆するとともに、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を少しだけ這い上がっている。
【0138】
LED発光装置90は、低い色温度で発光するとき、第1蛍光樹脂層11cが第2蛍光樹脂層12cの表面近くにあるため、ノイズの少ない状態で発光できるという特徴がある。
【0139】
(第10実施形態)
LED発光装置90は、第1LEDダイ11bが第2LEDダイ12bより高かった。しかしながら、第1LEDダイ11bの高さと第2LEDダイ12bの高さを異ならせる場合、必ずしも第1LEDダイ11bを第2LEDダイ12bより高くする必要はない。
【0140】
そこで、本発明の第10実施形態として、図18により、第1LEDダイ11bが第2LEDダイ12bより背が低いLED発光装置100について説明する。なお、LED発光装置100は、LED発光装置90に対し、第1LEDダイ11b、第2LEDダイ12b及び第2蛍光樹脂層12cの断面形状だけが異なる。そこで、LED発光装置100の説明に際し、図1図4を引用し、図18において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0141】
図18は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置100の部分断面図である。図18には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ2つずつ示されている。図18でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。図18に示すように、第1LEDダイ11bは、第2LEDダイ12bより背が低い。ドーム状の第1蛍樹脂体層11cは、第1LEDダイ11bの上部を個別に覆い、第2蛍光樹脂層12cは、第2LEDダイ12bの上面、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間、並びに第1LEDダイ11bの上部を覆う。ダイボンド材17は、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間の実装基板13表面を被覆するとともに、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を少しだけ這い上がっている。
【0142】
前述のように、LED発光装置100において、第2LEDダイ12bの発光の多くの成分は、上方に向かう。この成分のうち、斜め上方に向かう部分は、第2LEDダイの背が高いため、第1蛍光樹脂層11cに入射しなくなる。すなわち、LED発光装置100は、高い色温度で発光するとき(第1LEDダイ11bがほとんど消灯しているとき)、第2LEDダイ12bの発光で第1蛍光樹脂層11cが励起されづらいため、ノイズの少ない状態で発光できるという特徴がある。
【0143】
なお、第9及び第10実施形態として示したLED発光装置90、100は、実質的には、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bの発光面の高さ異ならせていたといえる。すなわち、実装基板13の表面に凹凸を設け、発光面の高さを調節しても良い。例えば、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bを同一サイズとし、第1LED11bの実装部に突部を設けることにより、LED発光装置90と同等のLED発光装置が得られる。
【0144】
(第11実施形態)
LED発光装置10等は、平面視正方形の実装基板13に多数の第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを実装しながら、発光部15aを円形にしていた(図1参照)。これは、実装基板13の4隅のうち、対向する2隅に電源電極19a~19dを形成し、残った2隅にマザーボードやヒートシンク等への取り付け機構(図1では1/4円状の切り欠き)を設けると、構造上効率的になるからであり、さらに、円形のレンズを取り付けるとき発光部15aも円形であると都合が良いからである。
【0145】
しかしながら、LED発光装置10のように、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bによる市松模様配列の外縁を多角形(八角形)とし、複数の第1LED列11d同士及び第2LED列12d同士を並列接続させると、平面視したとき図3にみられるようにワイヤ14が交差せざるを得なくなる。しかしながら、ワイヤ114が交差(本実施形態及び第12実施形態の説明において、平面視したとき交差するように視認される状態を、単に「交差」という。)すると、第1蛍光樹脂、第2蛍光樹脂又は透明樹脂をワイヤ14の上部から充填するとき、交差部においてワイヤ14同士がショートする恐れが増大する。
【0146】
そこで、図19図21により本発明の第11実施形態として、ワイヤ14が交差しても、ワイヤ14間のショートを高い確率で回避できるLED発光装置110及びその製造方法について説明する。なお、LED発光装置110は、基本的な構成がLED発光装置10等と同等なので、説明に際し図1図4を引用し、図19図21において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0147】
図19は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置110の部分断面図である。図19には、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ1つずつ示されている。図19に示すように、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bは、実装基板13上にダイボンド材17を介して実装されている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間は、白色樹脂61が充填されている。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面は、それぞれ第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cで覆われている。白色樹脂61、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cは、透明樹脂層16によって覆われている。なお、第1蛍光樹脂層11cは、第2蛍光樹脂層12cより頂部が低くなっている。なお、図19でも、図5と同様にワイヤ14(図3参照)は図示していない。
【0148】
第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cを平面視したとき、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cが占める領域は、それぞれ第1発光領域11a及び第2発光領域12aとなる(図1参照)。すなわち、第1発光領域11a及び第2発光領域12aには、それぞれ、第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12c、並びに第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bが含まれる。
【0149】
次に、図20図21により、LED発光装置110の製造方法を説明する。図20は、LED発光装置110の製造方法に含まれる製造工程を示すフローチャート、図21
図20のフローチャートに示された製造工程の説明図である。なお、図20及び図21で示されるLED発光装置110の構造の特徴もあわせて説明する。
【0150】
図20に示すように、LED発光装置110の製造方法は、実装基板13や第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12b等を準備する準備工程31、実装基板13に第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12b等を接着するダイボンド工程32、第1LEDダイ11bと配線電極19e~19h、第1LEDダイ11b同士又は第2LEDダイ12b同士をワイヤ14で電気的に接続するワイヤボンド工程33、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの集合を取り囲むようにして実装基板13上にダム15を形成するダム形成工程34、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bとの間隙に白色樹脂61を充填する白色樹脂充填工程38、ワイヤ14等に保護樹脂膜62を形成する保護樹脂膜形成工程39、第1蛍光樹脂を塗布して第1蛍光樹脂層11cを形成する第1蛍光樹脂被覆工程35、第2蛍光樹脂を塗布して第2蛍光樹脂層12cを形成する第2蛍光樹脂被覆工程36、及び第1蛍光樹脂層11c及び第2蛍光樹脂層12cやワイヤ14を透明樹脂層16で被覆する透明樹脂被覆工程37を含む。
【0151】
図21は、図20に示した各工程を説明するため、製造途上にあるLED発光装置110の断面を模式的に描いた説明図である。図21において、(a)で示す準備工程31、(b)で示すダイボンド工程32、(c)で示すワイヤボンド工程33、(d)で示すダム形成工程34は、それぞれ図6で示す準備工程31、ダイボンド工程32、ワイヤボンド工程33、ダム形成工程34と同等のものである。図21において、(g)で示す第1蛍光樹脂被覆工程35、(h)で示す第2蛍光樹脂被覆工程36、(i)で示す透明樹脂被覆工程37は、白色樹脂61及び保護樹脂膜62の存在を除けば、実質的に、図6で示す第1蛍光樹脂被覆工程35、第2蛍光樹脂被覆工程36及び透明樹脂被覆工程37と同じである。
【0152】
図21(e)は、白色樹脂充填工程38の説明図である。白色樹脂充填工程38では、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙に白色樹脂61を充填する。まず、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを避けるようにして、粘度が低い状態の白色樹脂61をディスペンサで適量滴下する。第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの間隙は、毛細管現象で白色樹脂61が充填される。このとき、白色樹脂61の上面と第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの上面とがほぼ等しくなる。最後に、LED発光装置110を加熱して白色樹脂61を硬化する。なお、白色樹脂61は、酸化チタン等の反射性微粒子を混練したシリコン樹脂である。
【0153】
図21(f)は、保護樹脂膜形成工程39の説明図である。保護樹脂膜形成工程39では、ワイヤ14に保護樹脂膜62を形成する。先ず、酢酸エチル等の溶剤で希釈したアクリル変性シリコン及びポリシラザンを含む溶液を、ディスペンサでダム15の内側の空間を満たす。その後、150°Cで1時間程度放置し、溶剤を揮発する。この結果、被着体(ワイヤ14など)の形状に沿って塗膜され、硬化した保護樹脂膜62が得られる。保護樹脂膜62には、SiO2も含まれる。さらに、ワイヤ14の下にカーテンのような形状の保護樹脂膜62が形成される。ワイヤ14は、保護樹脂膜62及びカーテン状の保護樹脂膜62により機械的な強度が増し、後の工程となる第1蛍光樹脂被覆工程35、第2蛍光樹脂被覆工程36、及び透明樹脂被覆工程37でショート等の不具合が低減する。
【0154】
以上のように、LED発光装置110は、保護樹脂膜62により強度が増すため、保護樹脂膜形成工程39に続く、第1蛍光樹脂被覆工程35、第2蛍光樹脂被覆工程36、及び透明樹脂被覆工程37といった樹脂を堆積する工程において、ワイヤ14の変形や倒れが起こりづらくなる。この結果、LED発光装置110及びその製造方法では、発光部15aを円形にしたためワイヤ14が交差しても、ワイヤボンド後の製造工程においてワイ
ヤ14間のショートを高い確率で回避できる。
【0155】
なお、図20及び図21で示したLED発光装置110の製造方法では、実装基板13に、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを実装し、様々な樹脂を配置していた。しかしながら、前述のように、量産時には、個片化するとLED発光装置110に含まれる実装基板13が多数得られる大判基板を使った集合基板工法が適している。このとき、1個のダム15が囲む第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの集合は、LED発光装置110に含まれるものとなり、大判基板には多数のダム15が形成される。集合基板工法では、透明樹脂被覆工程37の後に、大判基板を切断しLED発光装置110を個片化する個片化工程を備える。
【0156】
なお、図20及び図21で示したLED発光装置110の製造方法では、ダム15を形成した後、ダム15の内側の領域に白色樹脂61を充填していた。しかしながら、LED発光装置10等のように、ダイボンド材17を白色化し、多目に使用することで、ダイボンド時にLEDダイ11の周囲にダイボンド材17をはみ出させ、はみ出したダイボンド材17を白色樹脂61の代わりにすることができる。すなわち、はみ出したダイボンド材17が、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がり、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を遮光するとともに、反射部材として機能させても良い。このようにすると、白色樹脂充填工程38が省略できる。
【0157】
さらに、実装基板13のベース材がアルミニウムであるとき、その上面に銀層28(図8参照)を備えていても良い。すなわち、白色のダイボンド材17が第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を這い上がり、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面を遮光できても、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bとの間隔が大きいと、実装基板13の上面が白色のダイボンド材17から露出する場合がある。このようなLED発光装置110は、実装基板13の露出部27(図8参照)が銀層28であるため、銀層28の高い反射率に基づいて発光効率が向上するとともに、保護樹脂膜62が露出部27において銀層28を被覆することにより銀層28の硫化等が防止され、高い信頼性が得られる。
【0158】
(第12実施形態)
第11実施形態として示したLED発光装置110は、LED発光装置10等と同様に、第1発光領域11aにおいて、第1LEDダイ11b上にドーム状の第1蛍光樹脂層11cをスポット印刷で形成するとともに、第2発光領域12aにおいても、第2LEDダイ12b上にドーム状の第2蛍光樹脂層12cをスポット印刷で形成していた。しかしながら、LED発光装置70等(図13参照)のように、第1発光領域11aにおいて第1LEDダイ11b上に第1蛍光樹脂層11cをスポット印刷で形成する一方、第2発光領域12a及び他の領域を被覆するように第2蛍光樹脂層12cを充填により形成しても良い。このようにすると、ワイヤ14に保護樹脂膜62があっても、LED発光装置70のときと同様に製造工程が簡単化する。同時に、LED発光装置110の製造工程から白色樹脂充填工程38を省ける。
【0159】
さらに、交差部におけるワイヤ14同士のショートを防止するためには、互いに交差する一方のワイヤ14を側面視台形とし、他方を側面視曲線(ノーマル形状)とすると良い。
【0160】
そこで、図22図27により、本発明の第12実施形態として、第2蛍光樹脂層12cがダム15の内側領域全体に亘って充填され、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面が遮光されておらず、側面視台形となるワイヤ14を備えたLED発光装置120及びその製造方法について説明する。なお、LED発光装置120は、基本的な
構成がLED発光装置70等と同等なので、説明に際し図1図4を引用し、図22図27において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0161】
図22は、図1のAA´線に沿って要部を描いたLED発光装置120の部分断面図である。図22では、第1発光領域11aと第2発光領域12aがそれぞれ1つずつ示されている。図22に示すように、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、実装基板13上にダイボンド材17を介して実装される。第1LEDダイ11bの上面は、第1蛍光樹脂層11cで、個別にドーム状に覆われている。これに対し、第2蛍光樹脂層12cは、ダム15(図1参照)の内側領域全体に亘って形成され、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面、第2LEDダイ12bの上面、第1蛍光樹脂層11c及び実装基板13の表面を覆っている。
【0162】
さらに、図22では、ワイヤ14(図3参照)のうち、第1LEDダイ11bに接続するワイヤ14(図22図27ではワイヤ14a(第1ワイヤ)とする。)の一部と、第2LEDダイ12bに接続するワイヤ14(図22図27ではワイヤ14b(第2ワイヤ)とする。)の一部が示されている。図22に示すように、ワイヤ14aは、第1LEDダイ11bの表面から上方に向かって延び、第1蛍光樹脂層11cを抜け、第2蛍光樹脂層12cの中で曲線を描いて下方に向かう(以下「ノーマル形状」という)。ワイヤ14bは、第2LEDダイ12bの表面から上方に向かって延び、第2蛍光樹脂層12cの中で折れ曲がり、側方に向かう。なお、ワイヤ14bは、ワイヤ14aとの交差部において、ショートを避けるため特別な形状(側面視台形)としている。また、ワイヤ14bは、交差部以外では、ノーマル形状となる。この結果、交差部において、ワイヤ14aは、ワイヤ14bの下を潜る。すなわち、LED発光装置120では、交差部において、第1LEDダイ11bに接続するワイヤ14aを側面視曲線(ノーマル形状)とし、第2LEDダイ12bに接続するワイヤ14bを側面視台形とすることで、ショートを効果的に避けている。
【0163】
図23図25により、図22に示したLED発光装置120のワイヤ14a、14bについてさらに詳しく説明する。図23は、発光部15a(図3参照)においてワイヤ14a及びワイヤ14bが交差している領域を示す部分平面図である。図24は、図23で示した領域の斜視図である。図25は、(a)が図23のB-B´線に沿った断面図、(b)が図23のC-C´線に沿った断面図である。なお、図23図25の説明に当たり、特別な指示なしに図22を参照する(図26図27でも同様)。図22に示した領域には、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bがそれぞれ2個ずつ含まれるので、図23図25の説明に際し、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを、それぞれ、第1LEDダイ11b1、11b2、及び第2LEDダイ12b1、12b2として区別している。また、図23図25では、ワイヤ14a、14b以外のワイヤ14(図3参照)、第2蛍光樹脂層12c及び実装基板13を図示していない。さらに、図23及び図24では、第1蛍光樹脂層11cを図示していない。
【0164】
図23に示すように、第1LEDダイ11b1のアノード21は、ワイヤ14aにより第1LEDダイ11b2のカソード22と接続している。第2LEDダイ12b1のカソード22は、ワイヤ14bにより第2LEDダイ12b2のアノード21と接続している。ワイヤ14aとワイヤ14bは、平面視したとき交差して観察されるが、立体的にはショートしていない。すなわち、前述したように、交差部ではワイヤ14aがワイヤ14bの下を潜っている。
【0165】
図24では、交差部において、ワイヤ14aがワイヤ14bの下を潜っている様子を視覚的に分かりやすくするため、ワイヤ14aを黒く塗りつぶす一方で、ワイヤ14bを白抜きにして表示している。図24に示すように、ワイヤ14aは、側面視曲線(ノーマル
形状)であり、ワイヤ14bは、側面視台形である。
【0166】
図25(a)に示すように、ワイヤ14aは、第1LEDダイ11b2の表面から上方に向かって延び、第1蛍光樹脂層11cを抜け、図示していない第2蛍光樹脂層12cの中で曲線を描いて下方に向い、第1LEDダイ11b1上の第1蛍光樹脂層11cに入り、第LEDダイ11b1の表面に達する。なお、第1LEDダイ11b2側が、ファーストボンディング(図中、黒丸で示した。)であり、第1LEDダイ11b1側が、セカンドボンディングである。ワイヤ14aは、交差部でワイヤ14bの下を潜る。交差部におけるワイヤ14aとワイヤ14bとの距離は、100μm程度である。ワイヤ14aの表面は、保護樹脂膜62で覆われ、ワイヤ14aの下方には、カーテン状の保護樹脂膜62が形成されている。なお、保護樹脂膜62は、後述するように高い生産性が要請されている関係(図14参照)で、第1蛍光樹脂層11cの外側だけに形成されている。図25(a)では、ワイヤ14bの保護樹脂膜62((b)参照)は、図示していない。
【0167】
図25(b)に示すように、ワイヤ14bは、第2LEDダイ12b1の表面から上方に向かい、図示していない第2蛍光樹脂層12cの中で折れ曲がり、側方に向かう。さらに、ワイヤ14bは、下方に向かって折れ曲がり、第2LEDダイ12b2の表面に達する。なお、第2LEDダイ12b1側が、ファーストボンディング(図中、黒丸で示した。)であり、第2LEDダイ12b2側が、セカンドボンディングである。ワイヤ14bは、交差部でワイヤ14aを跨いでいる。ワイヤ14bの表面は、全体的に、保護樹脂膜62で覆われ、ワイヤ14bの下方にはカーテン状の保護樹脂膜62が形成されている。なお、ワイヤ14bは、全体的に保護樹脂膜62が形成されている。図25(b)では、ワイヤ14aの保護樹脂膜62((a)参照)は、図示していない。
【0168】
以上のように、LED発光装置120では、交差部において、ワイヤ14aを側面視曲線(ノーマル形状)とし、ワイヤ14bを側面視台形とすることにより、ショートを避けている。ただし、ショートを効果的に避けていると言っても、側面視台形のワイヤ14bは、側面視曲線のワイヤ14aよりも構造的に弱い(断線等を起こしやすい)ことが、ヒートショック等の信頼性試験で確かめられている。そこで、LED発光装置120では、ワイヤ14b全体に亘って保護樹脂膜62を形成することにより、実用上問題のない程度までワイヤ14bを補強している(同時に、ワイヤ14aを含むワイヤ14b以外のワイヤ14も補強されている。)。
【0169】
次に、図26図27によりLED発光装置120の製造方法を説明する。図26は、LED発光装置120の製造方法を示すフローチャートである。図26に示すように、LED発光装置120の製造方法は、実装基板13や第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12b等を準備する準備工程31、実装基板13に第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12b等を接着するダイボンド工程32、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bと配線電極19e~19h、第1LEDダイ11b同士又は第2LEDダイ12b同士をワイヤ14で電気的に接続するワイヤボンド工程33、第1蛍光樹脂を塗布して第1蛍光樹脂層11cを形成する第1蛍光樹脂被覆工程35、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの集合を取り囲むようにして実装基板13上にダム15を形成するダム形成工程34、ワイヤ14等に保護樹脂膜62を形成する保護樹脂膜形成工程39、ダム15の内側の領域に第2蛍光樹脂層を充填して第2蛍光樹脂層12cを形成する第2蛍光樹脂被覆工程36を含む。
【0170】
図26に示したフローチャートは、図20に示したフローチャートに対し、白色樹脂充填工程38と透明樹脂被覆工程37がないことにおいて相違するとともに、第1蛍光樹脂被覆工程35、ダム形成工程34、保護樹脂膜形成工程39の順番となっていることにおいて相違する。
【0171】
前述の通り、LED発光装置120では、第2蛍光樹脂がダム15の内側領域全体に亘って充填されているとともに、第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの側面が遮光されていないので、白色樹脂充填工程38と透明樹脂被覆工程37が不必要となった。
【0172】
また、ダム15を形成してから、第1蛍光樹脂をスポット印刷する場合、スポット印刷の糸切り動作のためノズル先端を素子(第1LEDダイ11b又は第2LEDダイ12b)に近づけようとするとき、ダム15が邪魔となり製造時間が長くなってしまうことがある。このため、LED発光装置120の製造に当たっては、第1蛍光樹脂被覆工程35、ダム形成工程34、保護樹脂膜形成工程39という順番を採用した。すなわち、ダム15の形成を第1蛍光樹脂のスポット印刷の後にすることにより高い生産性を確保している。なお、LED発光装置120では、第1蛍光樹脂被覆工程35、ダム形成工程34、保護樹脂膜形成工程39という順番になっていても、側面視台形であるため強度が低下するワイヤ14bの全体に亘って保護樹脂膜62を形成できている。
【0173】
図27は、図21と同様にして描いた図26のフローチャートの各工程の説明図である。(a)に示す準備工程31、(b)に示すダイボンド工程32は、図21に示す準備工程31、ダイボンド工程32と同じである。(c)に示すワイヤボンド工程33では、ワイヤ14の交差部において、ワイヤ14aを側面視曲線、ワイヤ14bを側面視台形とすることに特徴があり、これ以外は、図21に示すワイヤボンド工程33と同じである。
【0174】
図27(d)に示す第1蛍光樹脂被覆工程35では、図21に示す第1蛍光樹脂被覆工程35と異なり、ダム15及び保護樹脂膜62が形成されていない状態で、第1蛍光樹脂を第1LEDダイ11b上にスポット印刷する。すなわち、第1蛍光樹脂91cをスポット印刷する直前では、第1LEDダイ11bの上面を清浄に保つ必要があることなどから、保護樹脂膜62を形成する前に第1蛍光樹脂をスポット印刷しておくのが良い。この結果、高い生産性と信頼性が確保される。
【0175】
図14(e)に示すダム形成工程34及び(f)に示す保護樹脂膜形成工程39は、ダム15及び保護樹脂膜62を形成するという点に関し、それぞれ、図21に示すダム形成工程34及び保護樹脂膜形成工程39と同じである。(g)に示す第2蛍光樹脂被覆工程36では、ダム15の内側の領域にディスペンサで第2蛍光樹脂を充填する。
【0176】
以上のように、LED発光装置120は、ワイヤ14が交差しても、LED発光装置110と同様に、保護樹脂膜62によりワイヤ14間のショートを高い確率で回避する。さらに、LED発光装置120は、ワイヤ14aとワイヤ14bをそれぞれ側面視曲線及び側面視台形として、より確実にショートを回避している。また、LED発光装置120は、ダム15の内側の領域に第2蛍光樹脂を充填することにより、発光効率の向上及び製造工程の短縮を図るとともに、第1蛍光樹脂を塗布してからダム15及び保護樹脂膜62を形成することにより、高い生産性と信頼性を両立している。
【0177】
(第13実施形態)
2種類の発光領域を市松模様配置するという制約だけであれば、LED発光装置10等は、様々な平面形状の発光領域や回路構成が採用可能である。しかしながら、前述のようにレンズ等の光学系を考慮した場合、発光部は平面視円形であることが好ましい。さらに、第1LED列11dに含まれる第1LED11bの直列段数、及び第2LED列12dに含まれる第2LED12bの直列段数が全て等しい場合、4つの電源電極19a~19dで済むため効率的である。すなわち、一枚の実装基板上に第1色で発光する複数の微細な第1発光領域と、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域を備えているLED発光
装置において、発光部を円形にしながら、効率的に第1発光領域と第2発光領域とを市松模様状に配列できることが望ましい。
【0178】
そこで、まず前述の配列を効率的に実現できるLED発光装置について概要を示し、その後、図28及び図29により、本発明の第13実施形態としてLED発光装置130について説明する。なお、LED発光装置130は、LED発光装置10等と第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12など部材が共通であること並びに回路構成が類似することから、説明に際し図1図4を引用し、図28及び図29において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0179】
効率的に、第1発光領域と第2発光領域とを市松模様配列し、外形を略円形(多角形)とできるLED発光装置の発光部は、{6,12,20,30,42,56,…}で表される数列から1つの自然数nを選んだとき、n行n列でマトリクス配列したn2個のブロックからなる正方形の領域から、4隅についてそれぞれn/2個のブロックを取り除いた略八角形の領域として表される。
【0180】
ここで、ブロックとは、第1発光領域又は第2発光領域のいずれか一方を含んでいる概ね正方形の領域である。n2個のブロックを集め、n行n列で配列させると、概ね正方形となる仮想的な発光部が得られる。この仮想的な発光部の4隅からn/2個のブロックを取り除いた領域は、(n2-2n)個のブロックが集合した略八角形の現実の発光部となる。なお、この現実の発光部では、第1発光領域と第2発光領域が市松模様状に配列している。第1発光領域及び第2発光領域には、それぞれ1個の第1LEDダイ及び第2LEDダイが含まれる。
【0181】
さらに、このLED発光装置は、第1LEDダイの集合から、n個の第1LEDダイを直列接続し、(n/2-1)本の第1LED列を構成する。同様に、第2LEDダイの集合から、n個の第2LEDダイを直列接続し、(n/2-1)本の第2LED列を構成する。
【0182】
次に、図28及び図29に基づいてLED発光装置130について説明する。なお、LED発光装置130は、n=6(t=1)の場合である。
【0183】
図28は、LED発光装置130の発光部15aの模式図である。LED発光装置130は、LED発光装置10等に比べ発光部15aが小さくなっている。すなわち、LED発光装置130の発光部15aは、12個の第1発光領域11aと12個の第2発光領域12aからなる。LED発光装置130の実装基板13やダム15は、相似的に小さくなるだけなので、LED発光装置130について平面図や断面図は省略し、発光部15aの特徴を模式図により説明する。
【0184】
図28に示すように、発光部15aは、12個の第1ブロック51(第1発光領域11a)と12個の第2ブロック52(第2発光領域12a)とからなる略八角形の領域である。図中、第1ブロック51は、白抜きのブロック、第2ブロック52は、ドットで塗りつぶしたブロックで示している。実際の第1発光領域11a及び第2発光領域12aは、図1に示したように第1発光領域11a及び第2発光領域12aの間にダイボンド材17及び透明樹脂層16からなる領域が存在するが、図28では、模式化に際しこの領域を無視し、第1発光領域11aと第2発光領域12aを第1ブロック51及び第2ブロック52により表している(図30でも同様)。
【0185】
LED発光装置130では、6個の第1ブロック51を斜行するように接続し、第1LED列11dを構成する。同様に、6個の第2ブロック52を斜行するように接続し、第
2LED列12dを構成できる。LED発光装置130には、2個の第1LED列11dと2個の第2LED列12dを含む。なお、図中、第1LED列11dを点線、第2LED列12dを実線で示した。
【0186】
LED発光装置130の現実の発光部15aは、仮想的な発光部である6行6列のマトリクス領域から黒塗りで示した12個の第3ブロック53を除いた部分である。第3ブロック53は、仮想的な発光部であるマトリクス領域において、各隅に3個、合計12個存在する。12個の第3ブロック53は、第1LED列11d又は第2LED列12dについて2本分である。現実の発光部15aは、外延が略八角形となり、第1ブロック51と第2ブロック52が市松模様状に配列している。
【0187】
図29は、図28に示すLED発光装置130の回路図である。第1回路11eでは、電源電極19a、19cの間に、6個の第1LEDダイ11bが直列接続した第1LED列11dが2本並列接続している。同様に、第2回路12eでは、電源電極19b、19dの間に、6個の第2LEDダイ12bが直列接続した第2LED列12dが2本並列接続している。
【0188】
(第14実施形態)
図30は、本発明の第14実施形態として示すLED発光装置140に含まれる発光部15aの模式図である。なお、図30は、n=12、(t=2)の場合に相当し、LED発光装置10等の発光部15aの模式図となる。また、LED発光装置140の説明に際し、図1図4を引用し、図30において共通の部材には共通の符号を用いる。
【0189】
LED発光装置140について、図28と同様の模式化を行う。LED発光装置140の現実の発光部15aは、12行12列の仮想的な発光部であるマトリクス領域から黒塗りで示した24個の第3ブロック53を除いた部分となる。第3ブロック53は、仮想的な発光部であるマトリクス領域において、各隅に6個、合計24個存在する。24個の第3ブロック53は、第1LED列11d又は第2LED列12dについて2本分である。図中、例として、一本の第1LED列11dを点線、一本の第2LED列12dを実線で示した。
【0190】
最後に、LED発光装置130、140(図28図30)に基づいて、発光部15aを略円形(略八角形)にしながら、効率的に第1発光領域11aと第2発光領域12aとを市松模様状に配列できる条件を詳細に説明する。
【0191】
LED発光装置130、140が属するLED発光装置では、現実の発光部15aを、n行n列のマトリクス状に配列したn2個のブロックからなる領域(仮想的な発光部)から、4隅についてそれぞれn/2個の第3ブロックを取り除いた領域とする。4隅の領域は、略2等辺直角三角形であり、n/2個は、3、6、10、15、21、…となる。すなわち、nは、6、12、20、30、42、…となり、
n=t2+3t+2 (t=1,2,3,…)
で表される。現実の発光部15aには、(n2-2n)個のブロックが含まれる。
【0192】
このようにして得られた八角形の領域(現実の発光部15a)には、第1発光領域11aと第2発光領域12aが市松模様状に配列し、n個の第1発光領域11aからなる(n/2-1)本の第1LED列11d、及びn個の第2発光領域12aからなる(n/2-1)本の第2LED列12dが含まれる。なお、第1LED列11d及び第2LED列12dは斜行している。このようにすると、第1発光領域11a及び第2発光領域12aに含まれる第1LEDダイ11b同士及び第2LEDダイ12b同士を接続するワイヤ14を短くでき、効率的な接続及び配置が達成される。
【0193】
第1発光領域11a及び第2発光領域12aを含む第1ブロック51及び第2ブロック52がn行n列で市松模様配列した領域(仮想的な発光部)では、第1発光領域11aに1個含まれる第1LEDダイ11bをn個直列接続した第1LED列11dと、第2発光領域12aに1個含まれる第2LEDダイ12bをn個直列接続した第2LED列12dが、それぞれn/2本ずつ構成できる。LED発光装置130、140では、この正方行列状の領域の4隅からそれぞれn/2個の第3ブロック53を取り除いた略八角形の領域(現実の発光部15a)を備え、この略八角形の領域に第1LED列11d及び第2LED列12dをそれぞれ(n/2-1)個ずつ構成する。すなわち、この略八角形の領域は、円環状のダム15の内側に効率よく収まるとともに、第1発光領域11a及び第2発光領域12aを市松模様状に配列しても、同数の第1LED列11d及び第2LED列12dを無駄なく構成できる。
【0194】
したがって、LED発光装置130、140は、一枚の実装基板13上に第1色で発光する複数の微細な第1発光領域11aと、第2色で発光する複数の微細な第2発光領域12aを備えているとき、発光部15aを円形にしながら、効率的に第1発光領域11aと第2発光領域12aとを市松模様状に配列できる。
【符号の説明】
【0195】
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140…LED発光装置、
11a…第1発光領域、
11b…第1LEDダイ、
11c…第1蛍光樹脂層、
11d…第1LED列、
11e…第1回路、
12a…第2発光領域、
12b…第2LEDダイ、
12c…第2蛍光樹脂層、
12d…第2LED列、
12e…第2回路、
13…実装基板、
14、14a、14b…ワイヤ、
15…ダム、
15a…発光部、
16…透明樹脂層、
16a…透明樹脂、
16b…フィラー、
17…ダイボンド材、
18a、18b…ツェナーダイオード、
19a~19d…電源電極、
19e~19h…配線電極、
21…アノード、
22…カソード、
23…P層、
24…N層、
27…露出部、
28…銀層、
29…保護層、
31…準備工程、
32…ダイボンド工程、
33…ワイヤボンド工程、
34…ダム形成工程、
35…第1蛍光樹脂被覆工程、
36…第2蛍光樹脂被覆工程、
37…透明樹脂被覆工程、
38…白色樹脂充填工程、
39…保護樹脂膜形成工程、
51…第1ブロック、
52…第2ブロック、
53…第3ブロック、
61…白色樹脂、
62…保護樹脂膜。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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