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特許7386724検査システム及びそれに用いられる発光コントローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】検査システム及びそれに用いられる発光コントローラ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20231117BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20231117BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231117BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01N21/84 E
G06T7/00 610
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020026599
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021131306
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕一郎
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207156(JP,A)
【文献】特開2009-025131(JP,A)
【文献】特開2011-027485(JP,A)
【文献】特開2010-085347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - G01N 37/00
G01B 11/00 - G01B 11/30
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06V 10/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査開始タイミングを定めるトリガー信号をきっかけとして、検査の対象物に光を照射する発光器及び前記対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像装置から出力される画像データに基づいて前記対象物を検査し、その検査結果データを出力する判定装置とを備えたものであって、
前記発光器及び撮像装置を同期動作させる同期コントローラをさらに備え、
該同期コントローラが、
前記発光器に対する発光指令信号及び前記撮像装置に対する撮像指令信号を、前記トリガー信号の受信タイミングに基づいてそれぞれ送信する指令信号送信部と、
前記撮像装置の画像データに基づく検査結果データを、前記判定装置から受信する結果データ受信部と、
前記各指令信号又はその送信有無、及び、前記検査結果データ又はその受信有無を、そのきっかけとなる前記トリガー信号に紐づけて検証データを生成し、該検証データをメモリの所定領域に格納する検証データ生成部とを備えたものであることを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記発光器の発光態様を制御する発光コントローラをさらに備え、該発光コントローラが、前記同期コントローラとしての機能を担うように構成されている請求項1記載の検査システム。
【請求項3】
前記対象物が所定位置に搬送されてきたことを検出する位置センサをさらに備え、該位置センサの検出信号を前記トリガー信号としている請求項1又は2記載の検査システム。
【請求項4】
前記結果データ受信部が、前記発光器による発光結果を示す発光結果データをさらに受信するものであり、
前記検証データ生成部が、前記発光結果データ又はその受信有無を、そのきっかけとなる前記トリガー信号にさらに紐づけて検証データを生成するものである請求項1乃至3いずれかに記載の検査システム。
【請求項5】
前記発光器の光量を検知する発光検知器をさらに備えており、該発光検知器が検知した光量に関するデータが、前記発光結果データとして用いられている請求項4記載の検査システム。
【請求項6】
前記撮像装置が前記発光検知器としての機能を担っていて、専用の発光検知器が用いられておらず、該撮像装置が撮像した画像データに基づいて前記発光結果データが生成される請求項5記載の検査システム。
【請求項7】
前記同期コントローラが、前記発光器、撮像装置及び判定装置(以下、これらを区別しないときには機器という。)と有線又は無線で接続するための接続ポートと、該接続ポートに接続された前記各機器を検出する接続検出部とをさらに備えており、
前記接続ポートが、前記各機器のうちの少なくとも1種類を複数台接続できるように構成されている請求項1乃至6いずれか記載の検査システム。
【請求項8】
前記同期コントローラが、前記トリガー信号の受信タイミングに対する前記各指令信号の出力タイミングを設定する設定部を備えており、
該設定部が、前記接続検出部で検出された各機器の台数に応じた設定入力画面を出力するものである請求項7記載の検査システム。
【請求項9】
前記検証データ生成部が、前記接続検出部で検出された各機器の台数に応じた前記各指令信号、発光結果データ及び検査結果データを有する検証データを生成する請求項7又は8記載の検査システム。
【請求項10】
検査開始タイミングを定めるトリガー信号をきっかけとして、検査の対象物に光を照射する発光器及び前記対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像装置から出力される画像データに基づいて前記対象物を検査し、その検査結果データを出力する判定装置とを備えた検査システムに用いられ、前記発光器の発光態様をコントロールする発光コントローラであって、
前記発光器に対する発光指令信号及び前記撮像装置に対する撮像指令信号を生成し、前記トリガー信号の受信タイミングに基づいて、前記各指令信号をそれぞれ送信する指令信号送信部と、
前記撮像装置の画像データに基づく検査結果データを、前記判定装置から受信する結果データ受信部と、
前記各指令信号又はその送信有無、及び、前記検査結果データ又はその受信有無を、そのきっかけとなる前記トリガー信号に紐づけて検証データを生成し、該検証データをメモリの所定領域に格納する検証データ生成部とを備えたものであることを特徴とする発光コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに光を照射して撮像した画像によって、該ワークを検査する検査システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製品などの対象物の外観を自動検査する検査システムが開発されている。例えば、特許文献1の検査システム(当該文献では検査装置と記載されている。)は、搬送装置によって次々搬送されてくる対象物に光を照射する光照射装置と、該対象物を撮像してその画像データを出力する撮像装置と、前記画像データを受け取り、その画像データに基づいて当該対象物の良否を自動判定する判定装置とを有している。
【0003】
しかしながら、この種の検査システムにおいて、例えば、撮像タイミングがずれるとか、発光不良とかといった動作不良が生じたとしても、それが一定期間連続的に続けばともかく、たまたま対象物の1つに対してだけ動作不良が発生した場合には、その動作不良に気づくことすら難しい。このような場合、当該対象物の撮像画像が良品とは違った画像になるわけであるから、当該対象物が不良品として処理されるだけである。
【0004】
もっとも、特許文献1の検査システムでは、各対象物の画像データを逐次メモリに蓄積できるようにしてあるから、これら蓄積された画像データをユーザが逐一検証すれば、検査システムの動作不良を発見できる場合もあろう。
【0005】
とはいえ、それもリアルタイムではできず、事後的に画像データを逐一検証するという膨大な作業が必要となる。さらに、画像データのみでの検証であるから、動作不良の発生箇所や原因を的確に突き止めることも難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-105870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであって、この種の検査システムにおいて発生した動作不良やその原因等をより確実に検証できるようにすべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る検査システムは、
(1)検査開始タイミングを定めるトリガー信号をきっかけとして、検査の対象物に光を照射する発光器及び前記対象物を撮像する撮像装置と、
(2)前記撮像装置から出力される画像データに基づいて前記対象物を検査し、その検査結果データを出力する判定装置と、
(3)前記発光器及び撮像装置を同期動作させる同期コントローラと、
を備えたものである。
【0009】
そして、前記同期コントローラが、
(A)前記発光器に対する発光指令信号及び前記撮像装置に対する撮像指令信号を、前記トリガー信号の受信タイミングに基づいてそれぞれ送信する指令信号送信部と、
(B)前記撮像装置の画像データに基づく検査結果データを、前記判定装置から受信する結果データ受信部と、
(C)前記各指令信号又はその送信有無、及び、前記検査結果データ又はその受信有無を、そのきっかけとなる前記トリガー信号に紐づけてなる検証データを生成し、該検証データをメモリの所定領域に格納する検証データ生成部と、を備えたものであることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、一の検証データの内容、すなわち各指令信号及び検査結果データを参照することによって、従来、対象物の外観欠陥と判定されて見過ごされた可能性のある、検査システムの動作不良を高い確率で検出できるうえ、その動作不良箇所を的確に把握できる。このことにより、対象物の検査時におけるトラブルシューティングが容易になるだけでなく、システム開発時のデバッグ等にも資することができる。さらにより的確な予知保全なども可能になる。
【0011】
例えば、一の対象物における検証データを参照した際に、前記発光指令信号が発生していなければ、発光コントローラにおける指令信号送信部に動作不良があったことがわかる。このような場合、従来であれば、発光器による照明がないまま対象物が撮像されるわけであるから、画像は暗くなり、その画像データを基にした判定装置による検査結果データは当然不合格となって、当該対象物の外観欠陥と判定されるに過ぎない。
【0012】
特に、当該検査システムが異常動作したか否かを前記検証データに基づいて検出する異常動作検出部を設けておけば、リアルタイムで検査システムの動作不良を検出することも可能になる。
【0013】
前記発光器の発光態様を制御する発光コントローラをさらに備え、該発光コントローラが、前記同期コントローラとしての機能を担うように構成されていれば、従来のシステム構成を変更する必要がほとんどなく、例えば、既存の発光コントローラを置き換えるだけで、本検査システムを安価かつ迅速に構築できる。
【0014】
具体的な実施態様としては、前記対象物が所定位置に搬送されてきたことを検出する位置センサをさらに備え、該位置センサの検出信号を前記トリガー信号としているものを挙げることができる。
【0015】
より確実に、異常発生箇所を特定できるようにするには、前記結果データ受信部が、前記発光器による発光結果を示す発光結果データをさらに受信するものであり、前記検証データ生成部が、前記発光結果データ又はその受信有無を、そのきっかけとなる前記トリガー信号にさらに紐づけて検証データを生成するものであることが望ましい。
【0016】
より具体的な実施態様としては、前記発光器の光量を検知する発光検知器をさらに備えており、該発光検知器が検知した光量に関するデータが、前記発光結果データとして用いられているものを挙げることができる。
【0017】
上述の構成を、専用の発光検知器を用いることなく実現するには、前記撮像装置が前記発光検知器としての機能を担っており、該撮像装置が撮像した画像データに基づいて前記発光結果データが生成されるように構成してあるものが好ましい。
【0018】
前記同期コントローラが、前記発光器、撮像装置及び判定装置(以下、これらを区別しないときには機器という。)と有線又は無線で接続するための接続ポートと、該接続ポートに接続された前記各機器を検出する接続検出部とをさらに備えており、前記接続ポートが、前記各機器のうちの少なくとも1種類を複数台接続できるように構成されていれば、前記各機器の台数を変更できるので、ユーザの要望に応応じたシステムを柔軟に構築できるし、途中でシステム構成を変更することもできる。該同期コントローラの接続対象となる前記機器として、前記発光検知器が含まれていれば、なお好適である。
【0019】
さらに、前記同期コントローラが、前記トリガー信号の受信タイミングに対する前記各指令信号の出力タイミングを設定する設定部を備えており、該設定部が、前記接続検出部で検出された各機器の台数に応じた設定入力画面を出力するものであれば、前記システム構成に応じた設定入力画面をいちいち構成する必要がないので、例えばそのためのコーディング作業等が削減でき、開発時間の短縮を図れる。さらに、システムの運用オペレータにとっても非常に取り扱いやすいものになる。
【0020】
また、前記検証データ生成部が、前記接続検出部で検出された各機器の台数に応じた前記各指令信号、発光結果データ及び検査結果データを有する検証データを生成するようにしておけば、システム構成に応じて、前記検証データの構造を作成する必要がないので、前述同様、開発時間の短縮等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における検査システムを示す模式図。
図2】同実施形態における発光コントローラの機能を示す機能ブロック図。
図3】同実施形態における各信号やデータの発生タイミングを示すタイミングチャート。
図4】同実施形態における検証データの一例を示すデータ構造図。
図5】同実施形態における検査システムの構成変形例。
図6】同実施形態における検査システムの構成変形例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る検査システム100について、各図を参照しながら説明する。
【0023】
この検査システム100は、図1に示すように、対象物W(以下、ワークWという。)の外観検査をしてその良否を自動判定するものであり、搬送装置Cによって次々搬送されてくる前記ワークWの位置を検知する位置センサ1と、前記位置センサ1によって検知されたワークWに光を照射する光照射装置2と、該光照射装置2によって光が照射されているワークWを撮像してその画像データを出力する撮像装置3と、該撮像装置3が出力した画像データを受け取り、その画像データに基づいて当該ワークWの良否を自動判定する判定装置4とを有している。
各部を説明する。
【0024】
位置センサ1は、ワークWの搬送経路上に設置されており、その設置位置で定まる検知エリアにワークWが搬送されてくると、そのワークWを検知して検知信号を出力するものである。ここでは、位置センサ1として、非接触光学式のものを用いているが、磁気式のものなど、他の形式のものでも構わない。
【0025】
光照射装置2は、例えばワーク搬送経路上の所定位置に設置されたLED発光器21と、この発光器21の発光態様(光量、発光開始タイミング、発光時間等)をコントロールする発光コントローラ22とを備えたものである。また、この実施形態では、前記発光器21の光量を検知して、その光量に関する発光結果データを出力する発光検知器5がさらに設けてある。より具体的に、この発光検知器5は、フォトダイオードやCCDなどの光検知素子を有したいわゆる光センサである。発光結果データとは、発光検知器5が計測した輝度を示すデータである。
【0026】
撮像装置3は、図示しないが、イメージセンサ、光学系、制御回路等を有し、撮像したワークWの画像データを出力するものである。撮像タイミング、シャッタ時間などの撮像条件は、外部からの通信または入力によって設定できるようにしてある。なお、ここでは撮像装置3として2次元カメラを用いているが、ラインセンサでも構わない。
【0027】
判定装置4は、画像処理機能を有するコンピュータであり、前記撮像装置3から送信されてきた画像データに二値化やエッジ検出などの所定の画像処理を施し、その処理したデータに基づいて、撮像されたワークWの良否を判定してその結果を示す検査結果データを出力するものである。この良否判定には、機械学習機能(AI)を用いてもよい。
次に、前記発光コントローラ22について詳述する。
【0028】
該発光コントローラ22は、主としてオペアンプ、FETなどからなり、前記LEDに供給する電流を出力するドライバー回路と、CPU、メモリ、通信インタフェースなどからなり、前記ドライバー回路の制御や通信、設定などを司る情報処理回路とを備えたものである。
【0029】
しかしてこの実施形態での発光コントローラ22は、前述した発光器21の発光コントロールのみならず、前記位置センサ1、撮像装置3、判定装置4及び発光検知器5に有線または無線で通信可能に接続されて、これらを同期動作させるとともに、これらの動作を監視する同期コントローラとしての機能をも発揮するように構成してある。
【0030】
すなわち、該発光コントローラ22は、前記メモリに記憶させたプログラムにしたがってCPUやその周辺機器が協働することにより、図2に示すように、トリガー信号受信部22a、指令信号送信部22b、結果データ受信部22c、検証データ生成部22d、異常動作検出部22e、接続検出部22f、設定部22g等としての機能を発揮する。
各部を詳述する。
【0031】
前記トリガー信号受信部22aは、ワークWごとの検査開始タイミングを定めるトリガー信号を受信するものである。ここでは前記位置センサ1によるワークWの検知信号をトリガー信号として受信するようにしてある。
【0032】
前記指令信号送信部22dは、前記発光器21及び撮像装置3を同期動作させるための指令信号を、図3に示すように、前記トリガー信号の受信タイミングから設定された時間だけ遅延させて、該発光器21及び撮像装置3にそれぞれ送信するものである。
【0033】
これら指令信号のうち、発光器21用のもの(以下、発光指令信号ともいう。)は、前記ドライバー回路を介して発光器21に出力されるパルス状の電流供給信号である。この発光指令信号を受信した前記発光器21は、その電圧、出力タイミング及びパルス幅に応じた発光態様、すなわち光量、発光開始タイミング及び発光時間で発光する。
【0034】
他方、撮像装置3用の指令信号(以下、撮像指令信号ともいう。)は、パルス信号であり、この撮像指令信号を受信した撮像装置3は、その受信タイミングにしたがって、シャッタを開け、撮像動作する。なお、シャッタスピードをはじめとする他の撮像パラメータは、撮像装置3においてあらかじめ設定されている。
【0035】
前記結果データ受信部22cは、前記発光指令信号によって発光した前記発光器21の輝度を示す発光結果データを、発光検知器5から受信するとともに、前記指令信号によって撮像装置3が撮像した画像データに基づき、前記判定装置4が当該ワークWについて判定した検査結果データを受信するものである。
【0036】
発光結果データの値は、前述したように計測輝度値であり、ここでは0~100の値をとる。また検査結果データの値は2値で1(良)及び0(否)である。なお、発光結果データとして、例えば、前記輝度計測値を処理して、その値が所定の閾値以上か否かを示す二値データとしたものを用いても構わない。
【0037】
前記検証データ生成部22dは、図4に示すように、トリガー信号受信後、所定時間内に受信した前記各結果データに加え、同所定時間内に前記発光指令信号を送信したか否か、撮像指令信号を送信したか否か、発光結果データを受信したか否か及び検査結果データを受信したか否かを示す送受信完了データを、該トリガー信号に紐づけてなる検証データを生成し、メモリの所定領域に格納するものである。
【0038】
前記異常動作検出部22eは、当該検査システムが異常動作したか否かを示す異常検出信号を前記検証データに基づいて検出するものである。この異常動作検出部22eが、異常と判断する条件は以下の3要件のいずれかを満たす場合であり、その他にもある。
(1)トリガー信号受信後、所定時間内に発光指令信号または撮像指令信号が送信されていないこと。
(2)トリガー信号受信後、所定時間内に発光結果データまたは検査結果データを受信していないこと。
(3)発光結果データの値が、所定の閾値未満であること。
そして、異常動作検出部22eは、その検出結果を1(異常)又は0(正常)の二値をとる異常検出データとして、該当する検証データに紐づける(図4参照)。
【0039】
前記設定部22gは、当該発光コントローラ22における種々の設定項目に係る値を設定し、メモリの所定領域に格納するものである。設定項目としては、発光コントローラ22が本来有するべき設定項目の他に、同期コントローラとして機能するための設定項目が設けられている。
【0040】
前者は、発光器21の発光態様を定めるための設定項目であり、例えば、光量(調光値)、発光開始タイミング、発光期間などを挙げることができる。この設定項目の値に従って、前記発光指令信号のパラメータである電圧、出力タイミング、パルス幅(いいかえれば発光器21の発光態様)が規定される。
【0041】
後者は、撮像装置3と発光器21の同期動作や、判定装置4及び発光検知器5から受信する各結果データに係る設定項目である。同期動作についての設定項目とは、前記トリガー信号を受信してから前記発光指令信号及び撮像指令信号を出力するまでのそれぞれの遅延時間等である。結果データについての設定項目とは、トリガー信号を受信してから各結果データを受信するために待機可能なそれぞれの最大待機時間や、発光結果データの値において発光不良と判断するための前記閾値等である。
【0042】
この設定部22gはまた、所定の入力画面(図示しない)を、当該発光コントローラ22に設けられた、または接続されたディスプレイに表示する。この入力画面には、上述した各設定項目の値を入力することができるようにしてあり、ユーザーが入力した各設定項目の値である入力データを該設定部22gが読み込む。なお、前記入力データは、他の情報処理機器等から送信して該設定部22gに読み込ませるなどしてもよい。
【0043】
ところで、本検査システム100において、前記発光コントローラ22に接続可能な発光器21、発光検知器5、撮像装置3及び判定装置4それぞれの台数は1台に限らず、複数台でも構成できるようにしてある。
【0044】
その例を図5及び図6に示す。図5は、発光器21、発光検知器5及び撮像装置3を1グループとして、このグループが2つ設けられており、2つの異なるワークWを各グループで照明及び撮像できるようにした例である。図6は、発光器21及び発光動作検出器がそれぞれ2つ設けてあり、1つのワークWを異なる位置から照明できるようにした例である。なお、図5及び図6において、2つあるものには(1)及び(2)を付して区別してある。
【0045】
そして、このように検査システム100の構成機器数を自在に変更できるようにするために、前記発光コントローラ22には、図2に示すように、前記各機器をそれぞれ複数台接続できる接続ポート6が設けてある。なお、ここでいう接続ポート6とは、有線接続するための物理的な端子やコネクタのみならず、無線接続のためのソフトウェア上の仮想的な接続ポートも含まれる。
【0046】
また、前記指令信号送信部22bにおいては、複数の発光器21及び複数の撮像装置3にそれぞれ独立して指令信号を送信できるように回路が構成してあるし、前記結果データ受信部22cにおいても、複数の発光検知器5及び複数の判定装置4からそれぞれ独立して結果データを受信できるように回路が構成してある。
【0047】
さらに、本検査システム100には、図2に示すように、接続検出部22fが設けてある。この接続検出部22fは、発光コントローラ22に接続されている前記発光器21、発光検知器5、撮像装置3及び判定装置4それぞれの台数を検出し、メモリの所定領域に格納するものである。
【0048】
また、前記設定部22gは、前記接続検出部22fで検出された各機器の台数を参照し、それに応じた入力画面を表示するようにしてある。前記検証データ生成部22dも、前記接続検出部22fで検出された各機器の台数に応じた数の前記各指令信号、発光結果データ及び検査結果データを、その起因となる前記トリガー信号に紐づけて検証データを生成する。
【0049】
以上のように構成された本実施形態によれば、検証データの内容、すなわち各指令信号及び各結果データを参照することによって、従来、ワークWの外観欠陥と判定されて見過ごされた可能性のある、検査システム100の動作不良を確実に検出できるうえ、その動作不良箇所を的確に把握できる。図4に示す検証データを例にとれば、3番目の検証データから、このとき発光器21に動作不良があったことがわかる。198番目及び199番目の検証データから、このとき、指令信号送信部22bに動作不良が生じたことがわかる。また、この例では、ワークWが一定間隔で搬送されてくることから、トリガー信号も一定間隔で発生するとして、トリガー信号の発生間隔を監視しているところ、305番目の検証データにおいては、発生すべきタイミングでトリガー信号が受信できなかったことから、ワークWに抜けがあったか、位置センサに動作不良が生じたかということがわかる。
【0050】
そして、このことにより、ワークWの検査時におけるトラブルシューティングが容易になるだけでなく、検査システム開発時のデバッグ等にも資することができる。さらにより的確な予知保全なども可能になる。
【0051】
また、この実施形態では、異常動作検出部22eによって、当該検査システム100が異常動作したか否かを前記検証データに基づいて検出されるので、その検出タイミングでその旨をディスプレイに出力するなどの報知させるようにすれば、リアルタイムで検査システム100の動作不良を自動検出することも可能となる。
【0052】
また、発光コントローラ22が、同期コントローラとしての機能を担うので、ユーザーにとってみれば、従来のシステム構成を変更する必要がほとんどなく、例えば、既存の発光コントローラを置き換えるだけで、本検査システム100を安価かつ迅速に構築できる。
【0053】
また、前記各機器の台数を変更しても、そのシステム構成に応じた設定入力画面が自動的に作成されるし、検証データの内容もそれに応じて自動的に変更されるので、例えばそのためのコーディング作業等が削減でき、開発時間の短縮を図れる。さらに、システムの運用オペレータにとっても非常に取り扱いやすいものになる。その結果、ユーザの要望に応じたシステムを柔軟に構築できるし、途中でシステム構成を変更することも容易にできる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、同期コントローラを、独立して設けてもよいし、あるいは、撮像装置や判定装置にその機能を担わせてもよい。
【0055】
この検査システムを、インターネットなどの通信網に接続しておけば、前記検証データを遠隔で監視でき、ユーザのみならずサプライヤーによる点検保守や動作監視に資することができるようになる。また、そのようにして収集された各ユーザからの検証データによって、改良や新製品の開発に役立てることができるようにもなる。
発光検知器を有さない、すなわち、発光結果データの無い検査システムでも構わない。その場合、検証データには、発光結果データ及びその受信の有無は存在しなくなる。
【0056】
発光検知器は、光センサのみならず、例えば発光器の内部を流れる電流をモニターする電流センサなど、要するに、発光器の明るさや、点灯/消灯を検知できるものであればよい。
【0057】
撮像装置に発光検知器としての機能を担わせてもよい。このようにすれば、専用の発光検知器が不要になるというメリットがある。
【0058】
その場合、画像データから発光結果データを生成する発光結果データ生成部が必要となる。この発光結果データ生成部による、画像データから発光結果データを生成する具体的な手法としては、画像データにおいて、対象物が写り込まない領域の画素は、発光器の光量を示していると考えられるから、その画素の値をもって発光結果データとすることが挙げられる。その他、画像データの平均的な明るさをもって発光結果データとするなど、他にも種々考えられる。
【0059】
また、該発光結果データ生成部は、同期コントローラ、撮像装置、判定装置のいずれかに設ければよい。
【0060】
同期コントローラに発光結果データ生成部が設けられた場合は、撮像装置から画像データが同期コントローラに送信され、そこで発光結果データが生成される。撮像装置又は判定装置に発光結果データ生成部が設けられた場合は、そこで生成された発光結果データが同期コントローラに送信される。
【0061】
さらに撮像装置に発光検知器としての機能を担わせ、かつ、別途、光センサなどの専用の発光検知器を設けてもよい。このようにすれば、撮像装置による発光結果データと、発光検知器による発光結果データとを比較することにより、発光検知の動作異常をも精度よく検出できる。具体的にいえば、双方の発光結果データが食い違っていた場合、発光器21か撮像装置3のいずれかに異常が生じていることがわかる。
【0062】
その他、本発明はその趣旨に反しない限りにおいて様々な変形を行ったり、各実施形態の一部同士を組み合わせたりしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
100・・・検査システム
21・・・発光器
3・・・撮像装置
4・・・判定装置
5・・・発光検知器
22・・・発光コントローラ(同期コントローラ)
22b・・・指令信号送信部
22c・・・結果データ受信部
22d・・・検証データ生成部
W・・・ワーク(対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6