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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231117BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231117BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
G03F7/20 501
H01L21/68 N
H05K3/00 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020052629
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152577
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】神田 寛行
(72)【発明者】
【氏名】原 望
【審査官】大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-340120(JP,A)
【文献】特開2013-213852(JP,A)
【文献】特開2013-114153(JP,A)
【文献】特開2008-292915(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0031825(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0070228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/683
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光装置であって、
板状またはフィルム状の基材にパターンを露光する露光部と、
前記基材の一の主面に接触する保持プレートを有し、前記基材を保持するテーブルと、
前記保持プレートに設けられた開口を介して前記基材の前記主面に光を照射することにより、前記露光部によるパターンの露光において参照される参照マークを前記主面に形成する、または、前記基材の前記主面に形成された参照マークを前記開口を介して撮像する光学ユニットと、
前記光学ユニットにおいて最も前記保持プレート側に配置される透光部材と前記保持プレートとの間に所定の気体を供給する気体供給部と、
を備え、
前記気体供給部により供給される前記気体が、前記透光部材と前記保持プレートとの間において前記開口を横断して流れることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置であって、
前記透光部材と前記保持プレートとの間において、前記保持プレートに沿う一の方向に延びるとともに、前記気体が流れる気体流路が設けられることを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の露光装置であって、
前記気体流路の流路面積が、前記開口の面積よりも小さいことを特徴とする露光装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の露光装置であって、
前記保持プレートが、負圧空間に接続された複数の吸引口により前記基材を吸着保持する吸着プレートであり、
前記開口を横断した前記気体が前記負圧空間に流入することを特徴とする露光装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の露光装置であって、
前記光学ユニットが、前記基材の前記主面に前記参照マークを形成するマーク形成部であり、
前記露光部が、前記テーブルに保持される前記基材の他の主面にパターンを露光する際に、前記光学ユニットが、前記主面に前記参照マークを形成し、
前記露光部が、前記主面にパターンを露光する際に、前記参照マークが参照されることを特徴とする露光装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の露光装置であって、
前記光学ユニットと同様の構成を有し、前記保持プレートに設けられた他の開口を介して基材に参照マークを形成する、または、基材の参照マークを撮像する他の光学ユニットをさらに備え、
一の種類の基材に対して前記光学ユニットが利用され、他の種類の基材に対して前記他の光学ユニットが利用されることを特徴とする露光装置。
【請求項7】
露光装置であって、
板状またはフィルム状の基材にパターンを露光する露光部と、
前記基材の一の主面に接触する保持プレートを有し、前記基材を保持するテーブルと、
前記保持プレートに設けられた開口を介して前記基材の前記主面に光を照射することにより、前記露光部によるパターンの露光において参照される参照マークを前記主面に形成する光学ユニットと、
前記光学ユニットにおいて最も前記保持プレート側に配置される透光部材と前記保持プレートとの間に所定の気体を供給することにより、前記開口の内部を正圧にする気体供給部と、
を備えることを特徴とする露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板等の基材にパターンを露光する露光装置が利用されている。露光装置では、基材に予め形成された参照マーク(アライメントマーク)に基づいて、基材上においてパターンを露光する位置が決定される。また、特許文献1では、基板の両主面に対してアライメントマークを形成するマーク形成部と、アライメントマークに基づいて回路パターンを基板に描画する描画部とを備える露光描画装置が開示されている。当該装置では、両主面のアライメントマークを利用して、両主面の回路パターンが正確に対応付けられて描画される。
【0003】
なお、特許文献2では、透明な平板体の一方主面に担持されたパターンを基板に転写するパターン形成装置が開示されている。当該装置では、平板体の他方主面と当接しながら平板体を真空吸着して保持する保持ステージが設けられる。保持ステージには導光孔が形成され、導光孔の内部には透明な窓部材が設けられる。撮像部では、平板体と基板との位置合わせのために、窓部材を介して平板体が撮像される。また、平板体の他方主面、窓部材の表面および導光孔の側壁面により囲まれたギャップ空間内の気圧が高められる。これにより、平板体がギャップ空間内に撓み込むことが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-292915号公報
【文献】特許第5793410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基材を保持プレート上に保持する露光装置において、基材の第1主面にパターンを露光する際に、保持プレートに接触する第2主面に参照マークを形成し、その後、基材を反転して、当該参照マークを参照することにより、第1主面上のパターンの位置に合わせて、第2主面上にパターンを露光することが考えられる。この場合、参照マーク形成用の開口が保持プレートに設けられ、当該開口を介して基材に対向する位置に、光学ユニットであるマーク形成部が配置される。
【0006】
しかしながら、このような露光装置では、当該開口内にゴミ等の不要物が入り込み、マーク形成部において最も保持プレート側に配置される透光部材の表面に不要物が付着する可能性がある。当該透光部材に不要物が付着すると、参照マークを適切に形成することができなくなる。また、他の光学ユニットであるマーク撮像部をマーク形成部に代えて配置し、保持プレート側の主面の参照マークをマーク撮像部により撮像しつつ、反対側の主面にパターンを露光する露光装置においても同様の問題が生じる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、光学ユニットにおける透光部材の表面に不要物が付着することを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、露光装置であって、板状またはフィルム状の基材にパターンを露光する露光部と、前記基材の一の主面に接触する保持プレートを有し、前記基材を保持するテーブルと、前記保持プレートに設けられた開口を介して前記基材の前記主面に光を照射することにより、前記露光部によるパターンの露光において参照される参照マークを前記主面に形成する、または、前記基材の前記主面に形成された参照マークを前記開口を介して撮像する光学ユニットと、前記光学ユニットにおいて最も前記保持プレート側に配置される透光部材と前記保持プレートとの間に所定の気体を供給する気体供給部とを備え、前記気体供給部により供給される前記気体が、前記透光部材と前記保持プレートとの間において前記開口を横断して流れる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の露光装置であって、前記透光部材と前記保持プレートとの間において、前記保持プレートに沿う一の方向に延びるとともに、前記気体が流れる気体流路が設けられる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の露光装置であって、前記気体流路の流路面積が、前記開口の面積よりも小さい。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の露光装置であって、前記保持プレートが、負圧空間に接続された複数の吸引口により前記基材を吸着保持する吸着プレートであり、前記開口を横断した前記気体が前記負圧空間に流入する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の露光装置であって、前記光学ユニットが、前記基材の前記主面に前記参照マークを形成するマーク形成部であり、前記露光部が、前記テーブルに保持される前記基材の他の主面にパターンを露光する際に、前記光学ユニットが、前記主面に前記参照マークを形成し、前記露光部が、前記主面にパターンを露光する際に、前記参照マークが参照される。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の露光装置であって、前記光学ユニットと同様の構成を有し、前記保持プレートに設けられた他の開口を介して基材に参照マークを形成する、または、基材の参照マークを撮像する他の光学ユニットをさらに備え、一の種類の基材に対して前記光学ユニットが利用され、他の種類の基材に対して前記他の光学ユニットが利用される。
【0014】
請求項7に記載の発明は、露光装置であって、板状またはフィルム状の基材にパターンを露光する露光部と、前記基材の一の主面に接触する保持プレートを有し、前記基材を保持するテーブルと、前記保持プレートに設けられた開口を介して前記基材の前記主面に光を照射することにより、前記露光部によるパターンの露光において参照される参照マークを前記主面に形成する光学ユニットと、前記光学ユニットにおいて最も前記保持プレート側に配置される透光部材と前記保持プレートとの間に所定の気体を供給することにより、前記開口の内部を正圧にする気体供給部とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光学ユニットにおける透光部材の表面に不要物が付着することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】露光装置の構成を示す図である。
図2】テーブルユニットを示す平面図である。
図3】テーブルユニットの内部を示す図である。
図4】テーブルユニットの断面図である。
図5】テーブルユニットの断面図である。
図6】環状蓋部の近傍を拡大して示す図である。
図7】基材にパターンを露光する動作の流れを示す図である。
図8】テーブルユニット上の基材を示す図である。
図9】テーブルユニット上の基材を示す図である。
図10】露光装置の他の例におけるテーブルユニットを示す図である。
図11】テーブルユニット上の基材を示す図である。
図12】テーブルユニット上の基材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る露光装置1の構成を示す図である。図1では、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向およびZ方向として矢印にて示している(他の図において同様)。図1の例では、X方向およびY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。以下の説明では、Z方向を「上下方向」と呼ぶが、露光装置1の設計によっては、Z方向が鉛直方向に対して傾斜した方向等であってもよい。
【0018】
露光装置1は、基材9上の感光材料に光を照射して、当該感光材料に配線等のパターンを描画する直接描画装置である。基材9は、プリント基板等であり、例えば板状である。露光装置1は、制御部2と、露光部3と、テーブルユニット4と、テーブル昇降機構61と、テーブル移動機構62とを備える。制御部2は、例えばCPU等を有するコンピュータである。制御部2は、露光部3、テーブルユニット4、テーブル昇降機構61およびテーブル移動機構62を制御する。テーブルユニット4は、露光部3の下方((-Z)側)にて基材9を保持する。テーブルユニット4の詳細については後述する。
【0019】
露光部3は、複数の描画ヘッド31と、複数の撮像部36とを備える。複数の描画ヘッド31および複数の撮像部36は、図示省略の支持部により支持され、テーブルユニット4の上方((+Z)側)に配置される。複数の描画ヘッド31は、X方向(以下、「幅方向」という。)に配列される。各描画ヘッド31は、光源32と、光変調部33とを備える。光源32は、例えば、半導体レーザ、固体レーザまたは気体レーザ等を有し、光変調部33に向けてレーザ光を出射する。光変調部33は、光源32からの光を変調する。光変調部33により変調された光は、テーブルユニット4に保持された基材9の上方を向く主面91(以下、「第1主面91」という。)に照射される。光変調部33としては、例えば、複数の光変調素子が二次元に配列されたDMD(デジタルミラーデバイス)等が利用される。光変調部33は、複数の光変調素子が一次元に配列された変調器等であってもよい。
【0020】
複数の撮像部36は、描画ヘッド31の(-Y)側において幅方向に並ぶ。図1の例では、2個の撮像部36が設けられる。各撮像部36は、撮像部移動機構37を介して上記支持部に支持される。撮像部移動機構37により撮像部36は幅方向に移動可能である。後述の露光動作では、基材9の各側部(幅方向の端部)に、アライメントマークである参照マーク921(図9参照)が形成される。2個の撮像部36は、幅方向に関して基材9の両側部の参照マーク921と同じ位置に配置され、参照マーク921が、撮像部36により撮像される。
【0021】
テーブル昇降機構61は、モータまたはシリンダ等を有し、テーブルユニット4をZ方向(すなわち、上下方向)に移動する。テーブル移動機構62は、ガイドレール、ガイドブロック、モータ(例えばリニアモータ)、リニアスケール等を有する。テーブル移動機構62は、テーブルユニット4を、テーブル昇降機構61と共にY方向(以下、「移動方向」という。)に移動する。これにより、テーブルユニット4に保持される基材9の第1主面91において、複数の描画ヘッド31からの光の照射位置が移動方向に走査する。露光装置1では、テーブル移動機構62によるテーブルユニット4の移動に同期して、各描画ヘッド31を制御することにより、基材9の第1主面91にパターンが描画(露光)される。露光装置1では、テーブル昇降機構61が省略されてもよく、Z方向に平行な軸を中心としてテーブルユニット4を回転する回転機構が設けられてもよい。
【0022】
図2は、テーブルユニット4の一部を示す平面図である。テーブルユニット4は、テーブル41と、複数のマーク形成部5とを備える。テーブル41は、テーブル本体42と、保持プレート43とを備える。テーブル本体42は、後述の負圧空間421(図5参照)が内部に形成された略板状である。複数のマーク形成部5は、テーブル本体42に保持されており、保持プレート43により覆われる。図2の例では、テーブル本体42の(+Y)側の端部において、幅方向(X方向)に沿って複数のマーク形成部5が配列される。
【0023】
具体的には、幅方向におけるテーブル41の中央から両側に同じ距離だけ離れた位置に一対のマーク形成部5が配置され、当該距離とは異なる距離だけ離れた位置に他の一対のマーク形成部5が配置される。図2のテーブルユニット4では、複数対のマーク形成部5が設けられる。複数のマーク形成部5は、テーブル本体42の(-Y)側の端部に設けられてもよい。テーブル本体42の内部構造、および、マーク形成部5の構成の詳細については後述する。
【0024】
保持プレート43は薄い板状であり、例えばアルミニウム等の金属により形成される。保持プレート43は、テーブル本体42の上側の面に載置される。保持プレート43により、テーブル本体42のおよそ全体が覆われる。保持プレート43には、複数(多数)の吸引口431が全体に亘って一様に設けられる。複数の吸引口431は、負圧空間421に接続される。基材9の第1主面91にパターンを露光する際には、基材9の第1主面91とは反対側の第2主面92(図1参照)が保持プレート43に接触する。第2主面92は、複数の吸引口431により吸引される。このように、保持プレート43は、複数の吸引口431により基材9を吸着保持する吸着プレートである。
【0025】
図3は、図2中の破線にて囲む領域A1を拡大して示す図であり、保持プレート43を取り除いてテーブルユニット4の内部を示している。図4は、図3中のIV-IVの位置におけるテーブルユニット4の断面図であり、図5は、図3中のV-Vの位置におけるテーブルユニット4の断面図である。
【0026】
図3に示すテーブル本体42には、負圧空間421が形成される。負圧空間421は、テーブル本体42の上側(+Z側)の面において下方に向かって窪む凹部である。負圧空間421は、ポンプ等を有する減圧機構に接続されており、負圧空間421が減圧される。これにより、保持プレート43上に載置される基材9が複数の吸引口431を介して吸引されて保持される。一例では、テーブル本体42には、互いに独立した複数の負圧空間421が設けられており、保持プレート43上に載置される基材9のサイズに応じて、実際に減圧する負圧空間421が選択される。また、テーブル本体42には、上下方向に貫通する複数の保持孔422が形成される。各マーク形成部5は、略円柱状であり、保持孔422に挿入されてテーブル本体42に固定される。図3の例では、負圧空間421の底面から突出する複数の突出部423が設けられており、突出部423によりマーク形成部5の上部が支持される。
【0027】
複数のマーク形成部5は、参照マーク921形成用の光学ユニットであり、互いに同様の構成を有する。図4および図5に示すように、各マーク形成部5は、光源51と、照明光学系52と、マスク53と、投影光学系54と、鏡筒55とを備える。鏡筒55は、有底の略円筒状であり、光源51、照明光学系52、マスク53および投影光学系54を収容する。鏡筒55の底部551には、光源51が取り付けられる。鏡筒55の内部では、底部551から保持プレート43側に向かって順に、光源51、照明光学系52、マスク53および投影光学系54が光軸J1に沿って配置される。光源51は、例えば半導体レーザであり、レーザ光を出射する。光源51は、半導体レーザ以外のLED等であってもよい。光源51が出射する光の波長帯は、例えば描画ヘッド31の光源32が出射する光の波長帯とほぼ同じであり、本実施の形態では、光源51および光源32が出射する光は紫外線である。照明光学系52は、光源51からの光をマスク53に照射する。
【0028】
マスク53には、当該光を遮蔽する材料にて所定のパターンが形成される。投影光学系54は、マスク53を通過した光を光軸J1に沿って保持プレート43側へと導く。保持プレート43において、光軸J1と交差する位置には、開口432(以下、「プレート開口432」という。)が設けられる。マスク53からの光は、プレート開口432を介して基材9の第2主面92に照射される。実際には、投影光学系54によりマスク53の像が第2主面92に形成される。図4および図5では、二点鎖線にて基材9を示している。
【0029】
本実施の形態では、鏡筒55は、複数の部分に分離可能であり、最も保持プレート43側の部分は、光軸J1を中心とする略円環状の環状蓋部56である。図6は、図4中の環状蓋部56の近傍を拡大して示す図である。
【0030】
環状蓋部56は、蓋部本体57と、中央環状部58とを備える。蓋部本体57は、光軸J1を中心とする略円環状である。蓋部本体57では、上側の部位の内径が、下側の部位よりも大きくなっている。すなわち、蓋部本体57には、上側に位置する大径孔部571と、下側に位置する小径孔部572とが設けられ、大径孔部571の直径が小径孔部572よりも大きい。
【0031】
図3および図5に示すように、蓋部本体57の上面において大径孔部571の周囲には、上方に突出する2つの円弧状突起部573が設けられる。2つの円弧状突起部573は、光軸J1を中心とするとともに同じ半径の円弧状であり、円弧の角度は180度よりも小さい。X方向に垂直かつ光軸J1を含む面に対して、2つの円弧状突起部573は対称である。2つの円弧状突起部573の上端は、保持プレート43の下面に接触する。図3に示すように、2つの円弧状突起部573における(+Y)側の2つの端部の間、および、(-Y)側の2つの端部の間のそれぞれには、間隙574が設けられる。また、蓋部本体57の上面において、2つの円弧状突起部573の周囲における円環状の領域は、図5に示すように、保持プレート43の下面から僅かに離れる。当該円環状の領域と保持プレート43の下面との間の空間は、負圧空間421に直接的に接続する。
【0032】
図6に示す投影光学系54において、最も保持プレート43側に配置されるレンズ541(以下、「最外レンズ541」という。)は、大径孔部571内に配置される。最外レンズ541は、マーク形成部5において最も保持プレート43側に配置される透光部材である。最外レンズ541の下面における外周部は、小径孔部572の上端の縁に接触する。
【0033】
中央環状部58は、光軸J1を中心とする略円環状であり、大径孔部571内に挿入される。中央環状部58では、上側の部位の内径が、下側の部位よりも小さくなっている。すなわち、中央環状部58には、上側に位置する小径孔部581と、下側に位置する大径孔部582とが設けられ、小径孔部581の直径が大径孔部582よりも小さい。上下方向において、小径孔部581は、保持プレート43のプレート開口432と対向する。最外レンズ541の上面における外周部は、中央環状部58において、小径孔部581の下端から大径孔部582の上端へと径方向(光軸J1を中心とする径方向)外方に広がる略円環状の面に接触する。これにより、最外レンズ541が、上下方向において蓋部本体57と中央環状部58とにより挟持される。
【0034】
図3に示すように、中央環状部58の上面には、Y方向の全体に亘って延びる溝部583が設けられる。溝部583の一部は、小径孔部581と重なる。例えば、上下方向において、溝部583の深さは、小径孔部581の深さよりも小さい。また、X方向における溝部583の幅は、小径孔部581の直径よりも小さい。長手方向における溝部583の両端は、2つの円弧状突起部573の間に設けられた2つの間隙574にそれぞれ接続する。X方向における間隙574の幅は、溝部583の幅よりも大きいことが好ましい。
【0035】
中央環状部58の上面において、溝部583および小径孔部581を除く領域は、保持プレート43の下面に近接する。換言すると、プレート開口432に対向する位置を除き、溝部583の上方が、保持プレート43によりおよそ閉塞される。後述するように、溝部583には所定の気体が供給され、当該気体が溝部583に沿って流れる。このように、中央環状部58の溝部583により画定される気体流路が、最外レンズ541と保持プレート43との間に設けられる。本実施の形態では、当該気体流路の流路面積(溝部583の長手方向に垂直な断面積)は、プレート開口432の開口面積よりも小さい。なお、中央環状部58の上面において、気体流路はY方向以外の方向に延びていてもよい。
【0036】
図3に示すように、溝部583の底面には、上下方向に延びる連絡孔584が設けられる。図6に示すように、最外レンズ541の外周と大径孔部582の内周面との間には環状空間585が形成されており、連絡孔584は環状空間585に接続する。また、蓋部本体57の外周面には、光軸J1に向かって水平方向に延びる連絡孔576が設けられる。連絡孔576は、小径孔部572の内周面へと接続する。蓋部本体57において、大径孔部571の下端から小径孔部572の上端へと径方向内方に広がる略円環状の面には、下方に向かって延びる連絡孔577が設けられる。連絡孔577の両端は、環状空間585および連絡孔576に接続する。鏡筒55には、連絡孔576に接続する連絡孔552が設けられる。図4に示すように、テーブル本体42には、連絡孔552に接続する連絡孔424が設けられる。
【0037】
露光装置1は、気体供給部71をさらに備える。気体供給部71は、ポンプ等を有し、所定の清浄な気体(以下、「清浄気体」という。)を、テーブル本体42の連絡孔424に供給する。清浄気体は、例えば、フィルタ等を通過させた清浄な空気である。清浄気体は、不要物を含まない空気以外の気体であってもよい。本実施の形態では、気体供給部71は、一定の流量にて清浄気体を連絡孔424に供給する。清浄気体の流量は、必要に応じて変動させてもよい。連絡孔424に供給された清浄気体は、図6の連絡孔552,576,577を介して環状空間585に充填され、さらに、連絡孔584を介して溝部583に供給される。清浄気体は、連絡孔584から溝部583の両端に向かって溝部583に沿って流れる。
【0038】
保持プレート43が基材9を保持していない場合、溝部583内において連絡孔584から光軸J1に向かって流れる清浄気体の一部は、保持プレート43のプレート開口432から外部に排出(噴出)される。換言すると、プレート開口432の内部が、大気圧よりも高い正圧となる。これにより、保持プレート43の上面側からプレート開口432内に不要物が入り込むことが防止または抑制される。当該清浄気体の残りは、中央環状部58の小径孔部581とプレート開口432との間を通過する、すなわち、保持プレート43の下面側においてプレート開口432を横断する。したがって、プレート開口432内に不要物が入り込んだとしても、プレート開口432を横断する清浄気体と共に、当該不要物が溝部583に沿って流される。
【0039】
プレート開口432を横断した清浄気体は、円弧状突起部573間の一方の間隙574を介して、蓋部本体57の上面と保持プレート43との間の空間へと至り、負圧空間421に排出される。また、溝部583内において連絡孔584から光軸J1とは反対側に向かって流れる清浄気体は、円弧状突起部573間の他方の間隙574、および、蓋部本体57と保持プレート43との間の空間を通過して、負圧空間421に排出される。
【0040】
保持プレート43が基材9を保持している場合には、基材9によりプレート開口432が閉塞されるため、溝部583内において連絡孔584から光軸J1に向かって流れる清浄気体のほぼ全てが、プレート開口432を横断する。当該清浄気体は、円弧状突起部573間の一方の間隙574、および、蓋部本体57の上面を通過して、負圧空間421に排出される。このように、清浄気体の排出経路が設けられることにより、プレート開口432の内部が過度に高い圧力となることが防止され、保持プレート43上の基材9が持ち上げられることが防止または抑制される。換言すると、テーブル41では、マーク形成部5と保持プレート43との間に供給される清浄気体の圧力を逃がす構造を設けることにより、パターンの露光において基材9の平面度が低下することが防止または抑制される。溝部583内において連絡孔584から光軸J1とは反対側に向かって流れる清浄気体は、保持プレート43が基材9を保持していない場合と同様である。
【0041】
実際には、プレート開口432の開口面積に対して、気体流路である溝部583の断面積が過度に小さい場合、基材9が持ち上げられやすくなる。また、プレート開口432の開口面積に対して、溝部583の断面積が過度に大きい場合、プレート開口432の内部の圧力が低くなり、不要物がプレート開口432に入り込みやすくなる、または、プレート開口432の内部を所定の正圧にするために、大量の清浄気体を供給する必要が生じる。したがって、プレート開口432の開口面積と、溝部583の断面積との比は、上記を考慮して決定されることが好ましい。一例では、上記比は、1:0.8である。
【0042】
図7は、露光装置1が基材9にパターンを露光する動作の流れを示す図である。図1の露光装置1が基材9にパターンを露光する際には、まず、露光部3よりも(-Y)側の位置(以下、「移載位置」という。)に配置されたテーブル41上に、外部の搬送機構により基材9が載置されて保持される(ステップS11)。このとき、図2に示す保持プレート43上に設けられた当て板49等を利用して、保持プレート43に対する基材9の位置がある程度調整される。ここでは、基材9の第2主面92が保持プレート43に接触し、第1主面91が露光部3に対向するものとする。なお、基材9では、第1主面91および第2主面92の双方に感光材料が設けられている。
【0043】
続いて、図1のテーブル移動機構62により、テーブル41の移動方向への連続的な移動が開始される。また、テーブル41の移動に同期して複数の描画ヘッド31が制御され、基材9の第1主面91に向けて変調した光が出射される。これにより、図8に示すように、基材9の第1主面91にパターン911が露光される(ステップS12)。図8では、図示の便宜上、パターン911および後述の参照マーク921等を模式的に示している(後述の図9図11および図12において同様)。
【0044】
第1主面91のおよそ全体に対してパターン911が露光されると、テーブル41の移動方向への移動が停止される。なお、露光装置1では、複数の描画ヘッド31またはテーブル41を幅方向に移動する機構が設けられ、テーブル41の移動方向への移動(主走査)が完了する毎に、複数の描画ヘッド31またはテーブル41を幅方向に間欠的に移動(副走査)することにより、第1主面91へのパターン911の露光が行われてもよい。
【0045】
また、図2に示す複数対のマーク形成部5のうち、基材9の両側部(幅方向の両端部)に対向する一対のマーク形成部5が選択される。そして、当該一対のマーク形成部5のそれぞれにおいて、光源51(図4参照)からレーザ光を出射することにより、第2主面92のプレート開口432に対向する位置にマスク53の像が形成される。これにより、図8に示すように、第2主面92に一対の参照マーク921が形成される(ステップS13)。
【0046】
露光装置1では、露光部3および各マーク形成部5の位置が予め校正されており、テーブル41上の基材9において、第1主面91上のパターン911と第2主面92上の参照マーク921との間の相対的な位置(X方向およびY方向の位置)が予め設定された位置となる。第2主面92に対する参照マーク921の形成は、第1主面91に対するパターン911の露光に並行して行われることが好ましい。パターン911の露光と参照マーク921の形成との間において、テーブル41上の基材9の位置を移動させない場合には、参照マーク921の形成が、パターン911の露光の前または後に行われてもよい。
【0047】
第1主面91に対するパターン911の露光、および、第2主面92に対する参照マーク921の形成が完了すると、テーブル41が移載位置に配置され、外部の搬送機構により基材9がテーブル41から取り出される。当該基材9は当該搬送機構により反転された後、テーブル41上に載置されて保持される(ステップS14)。これにより、図9に示すように、第1主面91が保持プレート43に接触し、第2主面92が露光部3に対向する。
【0048】
続いて、テーブル移動機構62によりテーブル41が移動方向に移動し、一対の参照マーク921が2個の撮像部36の下方に配置される。図9では、二点鎖線にて撮像部36を示している。2個の撮像部36は、ステップS13において利用された一対のマーク形成部5と、幅方向の同じ位置に配置されており、各撮像部36により第2主面92の参照マーク921が撮像される(ステップS15)。制御部2では、2個の撮像部36の撮像画像に基づいて、テーブル41に対する一対の参照マーク921の位置および傾きが取得される。これにより、テーブル41に対する第1主面91のパターン911の位置および傾きが取得される。なお、撮像部36による撮像画像において、第2主面92の感光材料に形成された参照マーク921が確認不能である場合等には、ステップS14において、参照マーク921の現像等が行われてもよい。また、第1主面91のパターン911の位置の取得に求められる精度によっては、1つの参照マーク921のみが利用されてもよい。
【0049】
その後、テーブル41を移動方向に連続的に移動しつつ、複数の描画ヘッド31が制御され、基材9の第2主面92にパターンが露光される(ステップS16)。このとき、当該パターンの露光に利用される描画データが、第1主面91のパターン911の位置および傾きに合わせて補正される。これにより、第2主面92のパターンの位置および傾きが、第1主面91のパターン911に対して正確に合わせられる。第2主面92に対するパターンの露光が完了すると、テーブル41が移載位置に配置され、外部の搬送機構により基材9がテーブル41から取り出される(ステップS17)。以上の動作により、露光装置1によるパターンの露光動作が完了する。
【0050】
露光装置1において、上記の基材9とは幅方向における幅が異なる他の基材9にパターンを露光する場合には、ステップS13において、他の一対のマーク形成部5が参照マーク921の形成に利用される。当該他の一対のマーク形成部5は、テーブル41上の当該他の基材9の両側部に対向する。そして、ステップS15では、当該他の一対のマーク形成部5と幅方向の同じ位置に配置された2個の撮像部36により、第2主面92上の参照マーク921が撮像され、第2主面92に対するパターンの露光において、第1主面91上のパターン911との位置合わせ(アライメント)が行われる。このように、一の種類の基材9に対して一のマーク形成部5を利用し、他の種類の基材9に対して他のマーク形成部5を利用することにより、露光装置1では、様々な種類の基材9に対してパターンを露光することが可能である。
【0051】
以上に説明したように、露光装置1では、保持プレート43に設けられたプレート開口432を介して基材9の主面に光を照射することにより、参照マーク921を当該主面に形成するマーク形成部5が設けられる。露光装置1における露光動作では、露光部3が、テーブル41に保持される基材9の第1主面91にパターンを露光する際に、マーク形成部5により、第2主面92に参照マーク921が形成される。また、露光部3が、第2主面92にパターンを露光する際に、当該参照マーク921が参照される。これにより、第2主面92のパターンの位置および傾きを、第1主面91のパターン911に対して正確に合わせることが可能となる。また、参照マーク921を効率よく形成することも実現される。
【0052】
また、気体供給部71により、最外レンズ541と保持プレート43との間に清浄気体が供給され、清浄気体が、最外レンズ541と保持プレート43との間においてプレート開口432を横断して流れる。これにより、マーク形成部5における最外レンズ541の表面に不要物が付着することを抑制することができる。さらに、プレート開口432の内部が正圧とされることにより、プレート開口432内に不要物が入り込みにくくなり、最外レンズ541の表面に不要物が付着することをさらに抑制することができる。保持プレート43上に基材9が保持されている場合に、清浄気体がプレート開口432を横断して流れる、すなわち、当該清浄気体が最外レンズ541と保持プレート43との間から排出されることにより、プレート開口432内が過度に高い圧力となることが防止される。その結果、基材9が持ち上げられて、基材9の平面度が低下することが防止または抑制され、パターンの露光を適切に行うことが可能となる。
【0053】
露光装置1では、最外レンズ541と保持プレート43との間において、保持プレート43に沿う一の方向に延びる気体流路(溝部583)が設けられ、清浄気体が当該気体流路を流れる。このように、清浄気体が専用の気体流路を流れることにより、気体流路を設けない場合に比べて、プレート開口432を横断する清浄気体の流速を容易に大きくすることができる。その結果、最外レンズ541への不要物の付着をより確実に抑制することができる。
【0054】
また、当該気体流路の流路面積が、プレート開口432の面積よりも小さいことにより、プレート開口432からある程度の量の清浄気体を噴出させて、プレート開口432内に不要物が入り込むことをさらに抑制することができる。プレート開口432を横断した清浄気体が、テーブル本体42の負圧空間421に流入することにより、清浄気体を適切に排出することができる。
【0055】
図10は、露光装置の他の例を示す図であり、テーブルユニット4aを示している。図10のテーブルユニット4aでは、マーク形成部5に代えてマーク撮像部5aが設けられる点で、図2のテーブルユニット4と相違する。テーブルユニット4aを有する露光装置1の他の構成は、図1と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
【0056】
マーク撮像部5aは、参照マーク921撮像用の光学ユニットであり、図4のマーク形成部5における光源51が撮像素子に置き換えられる。また、マスク53および照明光学系52が省略され、投影光学系54により、基材9の主面においてプレート開口432に対向する領域の像が、撮像素子の撮像面上に形成される。投影光学系54の最外レンズ541の周囲の構造、すなわち、環状蓋部56の構造は、図6と同様である。なお、マーク撮像部5aにおいて、照明用の光源(基材9の感光材料を感光させない波長帯の光源)が必要に応じて設けられてもよい。
【0057】
テーブルユニット4aを有する露光装置1における露光動作の一例では、露光部3により、図11に示すように、基材9の第1主面91にパターン911が露光される。また、露光部3により、第1主面91に複数(図11では、2個)の参照マーク921が形成される。続いて、基材9が反転され、第1主面91が保持プレート43に接触する。このとき、図12に示すように、各参照マーク921がプレート開口432に対向する位置に配置され、マーク撮像部5aにより参照マーク921が撮像される。なお、テーブルユニット4aでは、テーブルユニット4に比べてプレート開口432が大きくされ、基材9において、マーク撮像部5aによる広い撮像領域が確保されることが好ましい。
【0058】
制御部2では、複数のマーク撮像部5aの撮像画像に基づいて、テーブル41に対する複数の参照マーク921の位置および傾きが取得される。これにより、テーブル41に対する第1主面91のパターン911の位置および傾きが取得される。その後、基材9の第2主面92にパターンが露光される。このとき、当該パターンの露光に利用される描画データが、第1主面91のパターン911の位置および傾きに合わせて補正される。これにより、第2主面92のパターンの位置および傾きが、第1主面91のパターン911に対して正確に合わせられる。
【0059】
以上に説明したように、露光装置1では、基材9の主面に形成された参照マーク921をプレート開口432を介して撮像するマーク撮像部5aが設けられる。露光装置1における露光動作では、露光部3が、テーブル41に保持される基材9の第1主面91にパターンを露光する際に、参照マーク921も第1主面91に形成される。また、露光部3が、第2主面92にパターンを露光する際に、マーク撮像部5aにより当該参照マーク921が撮像されて、当該パターンの露光において参照される。これにより、第2主面92のパターンの位置および傾きを、第1主面91のパターン911に対して正確に合わせることが可能となる。
【0060】
また、テーブルユニット4aにおいても、気体供給部71により、最外レンズ541と保持プレート43との間に清浄気体が供給され、清浄気体が、最外レンズ541と保持プレート43との間においてプレート開口432を横断して流れる。これにより、マーク撮像部5aにおける最外レンズ541の表面に不要物が付着することを抑制することができる。さらに、プレート開口432の内部が正圧とされることにより、プレート開口432内に不要物が入り込みにくくなり、最外レンズ541の表面に不要物が付着することをさらに抑制することができる。
【0061】
上記露光装置1では様々な変形が可能である。
【0062】
光学ユニットであるマーク形成部5およびマーク撮像部5aでは、最外レンズ541と保持プレート43との間に透光板等の他の透光部材が設けられてもよい。この場合、不要物が当該透光部材の表面に付着することを抑制するため、当該透光部材と保持プレート43との間に清浄気体が供給される。以上のように、露光装置1では、光学ユニットにおいて最も保持プレート43側に配置される透光部材と保持プレート43との間に気体供給部71により清浄気体が供給され、清浄気体が当該透光部材と保持プレート43との間においてプレート開口432を横断して流れる、または/および、清浄気体によりプレート開口432の内部が正圧となることが重要である。
【0063】
図3の環状蓋部56では、気体流路を形成する溝部583を省略することも可能である。この場合でも、連絡孔584から中央環状部58の上面に供給される清浄気体が、当該上面に沿って周囲に広がるため、プレート開口432を横断するように清浄気体を流すとともに、プレート開口432の内部を正圧とすることが可能となる。
【0064】
テーブル41が、吸引以外の方式(例えば、機械的なチャック)により基材9を保持する場合等には、プレート開口432を横断した清浄気体が流入する、専用の排出流路がテーブル本体42等に設けられてもよい。
【0065】
上記露光装置1では、基材9を挟んで露光部3に対向する、露光用のテーブル41に、光学ユニットが設けられるが、例えば、参照マーク921形成用、または、参照マーク921撮像用の他のテーブルに、光学ユニットが設けられてもよい。この場合、基材9が当該他のテーブルの保持プレート上に保持された状態で、当該保持プレートのプレート開口を介して、光学ユニットにより基材9の主面に光が照射される、または、当該主面が撮像される。
【0066】
上記マーク形成部5では、感光材料が設けられた第2主面92に対して光を照射することにより参照マーク921が形成されるが、マーク形成部5から高強度のレーザ光が出射され、感光材料が設けられていない第2主面92を部分的に削ることにより参照マーク921が形成されてもよい。
【0067】
マーク撮像部5aにより撮像される参照マーク921は、他の装置において形成されたものであってもよい。この場合、例えば、第1主面91にパターンを露光する際に、第1主面91を撮像する撮像部36により当該参照マーク921が撮像され、第2主面92にパターンを露光する際に、マーク撮像部5aにより当該参照マーク921が撮像される。これにより、第2主面92のパターンの位置および傾きを、第1主面91のパターン911に対して正確に合わせることが可能となる。
【0068】
上記実施の形態では、露光装置1が直接描画装置である場合について説明したが、露光装置1の露光部3は、マスク等に形成されたパターンを基材9に投影して、パターンを露光するものであってもよい。
【0069】
露光装置1では、テーブルユニット4の位置が固定され、基材9にパターンを露光する際に、露光部3が移動方向に移動してもよい。
【0070】
パターンが露光される基材9は、プリント基板以外に、半導体基板やガラス基板等であってもよい。また、基材9は、フレキシブル基板等、フィルム状であってもよい。
【0071】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0072】
1 露光装置
3 露光部
5 マーク形成部
5a マーク撮像部
9 基材
41 テーブル
43 保持プレート
71 気体供給部
91 第1主面
92 第2主面
421 負圧空間
431 吸引口
432 プレート開口
541 最外レンズ
583 溝部
911 パターン
921 参照マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12