(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】包装シート、及び包装吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20231117BHJP
A61F 13/551 20060101ALI20231117BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/551 200
A61F13/56 110
(21)【出願番号】P 2020058093
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】与那覇 奨
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-205709(JP,A)
【文献】特開2006-340982(JP,A)
【文献】特開2019-170610(JP,A)
【文献】特開2018-050714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズレ止め部を備えた吸収性物品を、剥離シートを介して包装する包装シートであって、
長手方向の第1端から前記長手方向に沿って、離間した一対の易破断線が形成されており、前記易破断線を破断させることによってフラップ状片を形成でき、
前記包装シートの、前記フラップ状片となる領域であるフラップ状片形成領域の幅が、前記剥離シートの幅に含まれ、
前記剥離シートが、前記包装シートの前記フラップ状片形成領域以外の領域と、接着部により接着されている、包装シート。
【請求項2】
前記接着部が、前記フラップ状片形成領域の幅方向外側にそれぞれ位置する一対の第1接着部を含む、請求項1に記載の包装シート。
【請求項3】
前記接着部が、前記フラップ状片形成領域の前記長手方向外側に位置する第2接着部を含む、請求項1又は2に記載の包装シート。
【請求項4】
前記フラップ状片の長さが、前記フラップ状片の基端から、前記第1端と反対側の第2端までの長さより長い、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装シート。
【請求項5】
前記包装シートの前記第1端において、前記一対の易破断線間に止着テープが配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装シート。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の包装シートと、前記包装シートによって前記剥離シートを介して包装された、ズレ止め部を備えた吸収性物品とを有する包装吸収性物品であって、
前記包装シートが、前記長手方向の前記第1端を含む第1端部領域と、前記第1端と反対側の第2端を含む第2端部領域と、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間の中央領域とを有し、
前記吸収性物品が包装された状態で、前記第1端部領域が前記第2端部領域の外面に配置されるように、前記第1端部領域及び前記第2端部領域が折り返されている、包装吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装シート、及び包装吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品は、一般に、包装シート等によって包装された状態で提供されている。このような包装された吸収性物品(包装吸収性物品又は個包装体)で用いられている包装シートは元来、吸収性物品を使用開始時まで衛生的に包装しておくという機能を有する。一方、多くの使用者は、包装シートを、吸収性物品の交換時に、使用済みの吸収性物品を廃棄するためにも使用している。そのため、廃棄時にも用いることができる包装シートの構成についても様々な検討が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、略長方形の吸収性物品11と、吸収性物品11より大きい平面を有する包装フィルム14と、取付テープ13と、吸収性物品11の接着部に対向して設けられる離型層とを有する個包装体であって、包装フィルム14がその少なくとも一部に袋状部14aを備え、取付テープ13が包装フィルム14aの長手方向一方端部に設けられたものが開示されている。特許文献1には、使用済みナプキンの廃棄に際し、使用済みナプキン21を包装フィルム14の袋状部14aに挿入することで、経血等が滲み出る恐れなく使用済みナプキンを廃棄できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような袋状部を備えた構成では、使用済み吸収性物品を袋状部内へと押し込む必要がある。そのため、使用済み物品のサイズが大きい場合等には、押し込む作業は煩雑であり、また押し込んでいる間に体液が滲み出て、手を汚してしまう可能性もある。
【0006】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、使用済み吸収性物品をより衛生的に廃棄するためにも使用できる包装シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、ズレ止め部を備えた吸収性物品を、剥離シートを介して包装する包装シートであって、長手方向の第1端から前記長手方向に沿って、離間した一対の易破断線が形成されており、前記易破断線を破断させることによってフラップ状片を形成でき、前記包装シートの、前記フラップ状片となる領域であるフラップ状片形成領域の幅が、前記剥離シートの幅に含まれ、前記剥離シートが、前記包装シートの前記フラップ状片形成領域以外の領域と、接着部により接着されている。
【0008】
上記第一の態様によれば、使用者は、包装シートに形成された一対の易破断線にて包装シートを破断することによって、フラップ状片を形成できる。フラップ状片は、包装シートの外面から持ち上げられることで、包装シートの外面から突出し、また包装シートに対して自由に動かすことができる部分となる。よって、廃棄される使用済み吸収性物品を包装シートで包む動作を、フラップ状片を把持し、動かしながら行うことによって、包装シートを巻き付ける際の方向、力加減等を適宜制御できる。また、包装シートより幅の狭いフラップ状片を使用済み吸収性物品にきつく巻き付けることもでき、これにより、使用済み吸収性物品が容易に圧縮され、使用済み吸収性物品をコンパクトに包むことができる。さらに、包装シートから突出した離れた位置にあるフラップ状片の先端部を把持して包む動作を行うので、使用済み吸収性物品に付着している体液に触れる可能性を低減できる。
【0009】
また、フラップ状片形成領域の幅が剥離シートの幅に含まれるので、フラップ状片を長手方向に開いた後でも、フラップ状片が除かれた領域には剥離シートが重ねられている。すなわち、包装シートと剥離シートとの間には平面視で開口が生じず、包装シートと剥離シートとが幅方向に連続した領域が形成される。そのため、使用済み吸収性物品を包装シートで包む際に、使用済み吸収性物品を幅方向に連続して覆うことができ、使用者が使用済み吸収性物品に直接触れる可能性を低減できる。
【0010】
さらに、剥離シートが、包装シートの、フラップ状片形成領域以外の領域と接着されているので、フラップ状片を形成する際に、接着部がフラップ状片を開く妨げになることがない。
【0011】
本発明の第二の態様では、前記接着部が、前記フラップ状片形成領域の幅方向外側にそれぞれ位置する一対の第1接着部を含む。
【0012】
上記第二の態様によれば、フラップ状片形成領域の幅方向の両側で、包装シートと剥離シートとが接着しているため、剥離シートが包装シートに対して幅方向にずれにくく、包装シートにより確実に固定できる。
【0013】
本発明の第三の態様では、前記接着部が、前記フラップ状片形成領域の長手方向外側に位置する第2接着部を含む。
【0014】
上記第三の態様によれば、フラップ状片の長手方向外側、すなわちフラップ状片の基端の外側において包装シートと剥離シートとが接着されている。そのため、包装シートと剥離シートとが、フラップ状片の基端付近でずれることを防止できる。また、フラップ状片の基端の周辺の強度を補強できるので、使用済み吸収性物品をフラップ状片で巻く時に、フラップ状片を強めに引っ張っても破損し難い。
【0015】
本発明の第四の態様は、前記フラップ状片の長さが、前記フラップ状片の基端から、前記第1端と反対側の第2端までの長さより長い。
【0016】
上記第四の態様によれば、フラップ状片のある程度の長さを確保でき、フラップ状片の先端部を持って使用済み吸収性物品を包む際、使用済み吸収性物品からより離れた位置でフラップ状片の先端部を把持することができ、使用済み吸収性物品に付着している体液に触れる可能性を低減できる。
【0017】
本発明の第五の態様では、前記包装シートの前記第1端において、前記一対の易破断線間に止着テープが配置されている。
【0018】
上記第五の態様によれば、包装シートを易破断線にて破断してフラップ状片を形成し、フラップ状片を長手方向外側に開いた場合、止着テープもフラップ状片と共に開かれる。よって、使用済み吸収性物品に包装シートで包む際に、フラップ状片を巻き付けた後、止着テープを利用して、フラップ状片を止着することができる。
【0019】
本発明の第六の態様は、第一から五のいずれかの態様による包装シートと、前記包装シートによって前記剥離シートを介して包装された、ズレ止め部を備えた吸収性物品とを有する包装吸収性物品であって、前記包装シートが、前記長手方向の前記第1端を含む第1端部領域と、前記第1端と反対側の第2端を含む第2端部領域と、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間の中央領域とを有し、前記吸収性物品が包装された状態で、前記第1端部領域が前記第2端部領域の外面に配置されるように、前記第1端部領域及び前記第2端部領域が折り返されている。
【0020】
上記第六の態様によれば、第一から五のいずれかの態様によって得られる効果と同様の効果を奏する包装吸収性物品を提供することができる。また、中央領域の両側の第1端部領域及び第2端部領域が重ねられてなる少なくとも三つ折りされた構造は、複雑でなく、吸収性物品が確実に包装される構造である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、使用済み吸収性物品をより衛生的に廃棄するためにも使用できる包装シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による包装吸収性物品の平面図である。
【
図2】
図1の包装吸収性物品が展開された状態を示す平面図である。
【
図4】
図1の状態から吸収性物品を取り外した後の状態を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による包装シートの使用方法を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態による包装シートの使用方法を説明するための図である。
【
図7】フラップ状片の先端部の使用方法を説明するための図である。
【
図8】フラップ状片の先端部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、図面は、発明の理解を助けるための模式的なものである。
【0024】
図1に、本発明の一形態による包装吸収性物品100の平面図を示す。
図2に、
図1の包装吸収性物品100が展開された状態を、吸収性物品1が配置されている側から見た平面図を示す。
図3には、
図2のA-A線断面図を示す。
図1~
図3に示すように、一形態による包装吸収性物品100は、1つの吸収性物品1が包装シート10によって包装されてなる個別包装体である。
【0025】
(吸収性物品)
本形態における包装シートによって包装される吸収性物品1は、全体として扁平状の物品であってよく、また平面視で細長形状を有していてよい。吸収性物品1は、具体的には、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、軽失禁用パッド等であってよい。吸収性物品1は、液不透過性の裏面シート、吸収体、及び液透過性の表面シートがこの順に積層された基本的な構造を有していてよい。
【0026】
裏面シートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シート等の少なくとも遮水性を有するシート材を用いることができる。透湿性を有するものが用いられてもよい。具体的には、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。
【0027】
表面シートとしては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
吸収体は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。
【0029】
上記吸収体は、表面シート及び裏面シートからはみ出さない寸法及び形状を有し、吸収体の前方及び後方の端縁部では、裏面シートと表面シートとの外縁がホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されている。また、吸収体の側方の外方においては、幅方向両端部に長手方向に沿ってサイド不織布が設けられていてもよい。サイド不織布としては、撥水処理不織布又は親水処理不織布を使用することができる。
【0030】
吸収性物品1には、本体から両側方へ延びる一対のウィングが設けられていてもよい。ウィングは、例えば表面シート又はサイド不織布と裏面シートとが接合されて形成できる。吸収性物品1の本体(主として吸収体が配置されいている部分)は、全体として細長形状であってよい。吸収性物品の全長は、140~420mmとすることができ、吸収性物品1の本体の幅は50~130mmとすることができる。
【0031】
さらに、吸収性物品1は、
図2及び
図3に示すように、裏面シート側(非肌面側)に、装着中に下着からのズレを防止するためのズレ止め部9を備えていてよい。ズレ止め部9は1つであっても、複数であってもよい。ズレ止め部9は、粘着性であっても非粘着性であってもよいが、ズレ止め作用が高いことから粘着性のものが好ましい。
【0032】
(包装シート)
包装シート10の形状は特に限定されないが、
図2及び
図3に示すような展開された状態(折り畳まれていない状態)で細長形状、例えば長方形、長楕円形等を有するものであると好ましい。これにより、細長形状で且つ扁平状の吸収性物品1を衛生的に包装することができる。
【0033】
包装シート10の寸法は、包装する吸収性物品1の大きさや形状によるが、例えば、包装シート10を広げた状態で、包装シート10の長手方向D1の長さ(単に長さと呼ぶ場合がある)は100~450mmとすることができ、長手方向D1に直交する幅方向D2の長さ(単に幅と呼ぶ場合がある)は70~250mmとすることができる。
【0034】
包装シート10を構成する材料は、特に限定されず、紙、不織布等の繊維含有シートであってもよいし、樹脂製フィルムであってもよい。
【0035】
包装シート10に紙を用いた場合、廃棄の際の環境負担が少なく、独特の風合いを付与できるという点で好ましい。なお、本明細書において、紙とは、植物繊維その他の繊維を膠着剤で膠着させて平板状にしたものを指すことができる。特に、植物繊維(パルプ)を主原料としたもの、例えば含有繊維のうち植物繊維が50%以上であるもの、好ましくは80%以上であるものを指すことができる。紙に含まれるパルプの種類としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプが含まれていてよく、これらは、機械パルプ、化学パルプのいずれであってもよい。紙には、添加剤が添加されていてもよい。さらに、包装シート10に用いられる具体的な紙の例としては、洋紙、和紙、加工紙、合成紙等の様々な種類の紙を挙げることができる。また、従来他の用途で使用されている紙、例えば、新聞用紙、印刷用紙(上質紙を含む)、筆記用紙、図画用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙等と呼ばれる紙を未加工で又は加工して用いることもできる。
【0036】
包装シート10の材料として紙を用いた場合には、吸収性物品を包装する際に折り畳みやすく、包装された後の状態を維持しやすくするために、包装シート10は、目付の低い薄葉紙とすることができる。薄葉紙は、薄口模造紙、インディアンペーパー、ライスペーパー、グラシン紙、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ろ紙等であってもよい。また、包装シート10は、抄紙後に加工が施されたものであってもよい。上記加工とは、例えば、クレープ加工、エンボス加工、カレンダー加工、撥水加工(又は剥離加工)、スリット加工、プライ加工、印刷加工等が挙げられる。クレープ加工やエンボス加工を行うことにより、強度及び柔軟性をともに向上させることができる。
【0037】
包装シート10に不織布を用いた場合、風合いやソフト感等を向上させることができ、好ましい。用いられる不織布としては、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布等が好ましく、これらの不織布の層を組み合わせ複数積層させたものを用いることもできる。また、不織布を構成する繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド等であってよい。
【0038】
包装シート10に樹脂製フィルを用いた場合、用いられる樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。樹脂製フィルムとしては、延伸加工されたものが好ましい。また、樹脂製フィルムは、非通気性フィルムであってもよいし、通気性フィルムであってもよい。樹脂製フィルムを用いた場合、印刷の輪郭が明瞭になり、着色剤の発色も良好になるので、包装シートのデザイン性を向上させることができる。また、包装シート10が樹脂製フィルムを含むことで、包装シートに形成できるフラップ状片(後述)に伸縮性を付与できるので好ましい。
【0039】
包装シート10は、上述の材料からなる単層のシートであってもよいし、異なる材料からなる複数の層を積層させてなる積層シートであってもよい。よって、例えば、上述の紙製のシートに、樹脂フィルムをラミネートさせて構成したものであってもよい。
【0040】
(包装吸収性物品、及びその開封)
包装シート10の元来の機能は、吸収性物品1の使用開始まで、吸収性物品1を個別に包装しておくことである。吸収性物品1が包装シート10によって包装された包装吸収性物品100は、例えば吸収性物品1を包装シート10に重ね、共に折り畳むことで得られる。より具体的には、
図2に示すように、包装シート10に吸収性物品1を配置した後、包装シート10の長手方向D1の第2端12を含む第2端部領域E2を第2折り位置L2にて、包装シート10の内面側(吸収性物品1が配置されている側)に折り返した後、長手方向D1の第1端11を含む第1端部領域E1を第1折り位置L1にて、第2端部領域E2の外面に重なるように折り返す。これにより、
図1に示すように包装シート10が巻き三つ折りされた包装吸収性物品100が得られる。なお、第1端部領域E1と第2端部領域E2との間の領域を中央領域Mと呼ぶ。
【0041】
上述のように包装シート10が折り畳まれた後、包装シート10の幅方向D2の両縁部に、使用者の通常の力で剥離可能なシール部15、15を形成できる(
図1)。シール部15、15によって、吸収性物品1が外部に対して露出することを防止し、また包装吸収性物品100の内側に幅方向D2からゴミ等が侵入することも防止できる。シール部15、15は、例えばヒートシール、超音波シール、接着剤、又は機械的手法によって形成されていてよい。機械的手法は、例えば、エンボス加工等によって包装シートの表面に変形を加え、包装シート同士を係合させる方法である。
【0042】
さらに、包装吸収性物品100には、包装シート10の第1端11を跨るように、すなわち第1端部領域E1及び第2端部領域E2にわたって、止着テープ50が設けられていてよい(
図1)。止着テープ50は、包装シート10の側に粘着剤層を備えた粘着テープである。止着テープ50を設けることで、第1端部領域E1を第2端部領域E2に少なくとも部分的に止着でき、第1端部領域E1が容易に開かないように、或いは開封前に誤って第1端部領域E1を第2端部領域E2から剥がしてしまうことを防止できる。また、止着テープ50は、包装吸収性物品100の開封時には、使用者によって把持され、開封動作を容易にする把持部としても機能する。
【0043】
包装吸収性物品100を開封するには、止着テープ50を第2端部領域E2から剥がした後、引き挙げる。これにより、止着テープ50と共に第1端部領域E1が持ち上げることができ、第1端部領域E1と第2端部領域R2とのシール部15、15における接合が解除され、第1端部領域E1を長手方向D1外方へ開くことができる。その後、第2端部領域E2も長手方向D2外方へ開いて、
図2に示すような状態に展開し、吸収性物品1を取り外す。或いは、第2端部領域E2を開く前に、吸収性物品1を取り外してもよい。
【0044】
(剥離シート)
図1~
図3に示すように、本形態による包装シート10は、剥離シート20を介して吸収性物品1を包装している。すなわち、吸収性物品1と包装シート10との間に、剥離シート20が介在している。剥離シート20が配置されていることで、開封前にズレ止め部9に塵等が付着して、ズレ止め部9の作用が低下することを防止できる。特に、ズレ止め部9が粘着性である場合には、使用前にズレ止め部9が別の部材に意図せず粘着して不都合が生じたりすることも防止できる。
【0045】
剥離シートは、紙、不織布、樹脂フィルム等のシート基材の表面に剥離加工(若しくは離型加工)が施されたものであってよい。剥離加工は、シリコーン樹脂、パラフィン樹脂、フッ素樹脂の1以上を含む剥離剤を塗布する加工であってよい。上記加工は、剥離シート20の、少なくとも吸収性物品1に対向する面に施されていればよい。また、剥離シート自体を、上記樹脂の1以上から形成してもよい。
【0046】
図2及び
図3に示すように、剥離シート20は、平面視で、ズレ止め部9全体が含まれる範囲の大きさ及び形状を有する。本形態では、剥離シート20は、1枚で複数のズレ止め部9を覆っているが、複数のズレ止め部9をそれぞれ覆う複数の剥離シートを含んでいてもよい。剥離シート20が、平面視で、第1折り位置L1及び第2折り位置L2を跨るように配置されている場合には、吸収性物品1が包装される際に、剥離シート20も包装シート10と共に折り畳まれる。
【0047】
剥離シート20は、包装シート10に剥離不能に、例えば接着剤で接着されている。例えば、剥離シート20は、
図2及び
図3に示すように、第1接着部31、31及び第2接着部32にて包装シート10に接着されていてよい。なお、剥離不能とは、使用者が通常の方法で包装吸収性物品100を開封した際に分離できないことを指す。よって、吸収性物品1を包装シート10から取り外すと、剥離シート20は包装シート10に接着されたまま包装シート10上に残される。
図4に、
図2の状態から吸収性物品1を取り外した後の平面図を示す。
【0048】
(易破断線)
図1~
図4に示すように、包装シート10には、長手方向D1に沿って延びる互いに離間した一対の易破断線18、18が形成されている。一対の易破断線18、18は、包装シート10の長手方向D1の一方の端部である第1端部11から延在し、第1端部11と反対側の端部である第2端部12に達しない位置で終端している。
【0049】
図2及び
図4に示すように、一対の易破断線18、18は、包装シート10の長手方向D1に沿った中心線CLを対称線として、線対称に形成されているが、一対の易破断線18、18の平面視形状は必ずしも線対称でなくともよい。また、
図2及び
図4に示す例では、易破断線18、18はそれぞれ長手方向D1に平行に延びているが、必ずしも平行に延びていなくともよく、一対の易破断線18、18間の間隔が、長手方向D1に沿って変化していてもよい。例えば、一対の易破断線18、18間の間隔が、包装シート10の第1端11から第2端12に向かうほど大きくなっていてもよく、小さくなっていてもよい。
【0050】
一対の易破断線18、18は、使用者が通常の力を加えることによって包装シート10を破断できる線であれば、その形態は限定されない。一対の易破断線18、18は、例えば、タイ部(繋がっている部分)とカット部(切り込まれている部分)とが交互に配置されたミシン目によって形成されていてもよい。また、長手方向D1に沿って厚みを薄くした溝を形成することによって、或いは材料を脆弱にする薬剤を線状に塗布することによって形成してもよい。
【0051】
一対の易破断線18、18は、包装吸収性物品100の開封時に易破断線18、18に沿って包装シート10が破断されないように構成しておくことが好ましい。特に、シール部15、15における第1端部領域E1と第2端部領域E2との接合が解除される前に、易破断線18、18に沿って包装シート10が破断しないように構成することが好ましい。そのために、一対の易破断線18、18がミシン目である場合には例えば、第1端11上ではタイ部を形成しておき、破断開始に要する力を大きくしておいてもよい。
【0052】
一対の易破断線18、18にて包装シート10を破断させることによって、包装シート10の一対の易破断線18、18間の部分が、包装シート10の残りの部分に対して自由に可動なフラップ状片を形成できる。包装シート10において、このように易破断線18、18に沿った破断によってフラップ状片となる領域を、フラップ状片形成領域FDと呼ぶ(
図1~
図4)。
【0053】
なお、包装吸収性物品100において包装シート10の第1端11を長手方向D1に跨って貼着されている止着テープ50は、一対の易破断線18、18間に貼着されていることが好ましい(
図1、
図2、及び
図4)。別言すれば、一対の易破断線18、18は、止着テープ50が貼着されたフラップ状片Fが形成されるように位置決めされていてよい。よって、一対の易破断線18、18間の距離(フラップ状片形成領域FDの幅)は、止着テープ50の幅より大きいことが好ましい。
【0054】
(フラップ状片の形成)
図5(a)に、
図4に示す包装シート10を、包装シート10の外面(吸収性物品1が配置されていた側と反対側の面)から見た斜視図を示す。
図5(a)に示す状態から、例えば、使用者は、包装シート10の第1端11又は止着テープ50を持って、易破断線18、18にてフラップ状片形成領域FDを持ち上げ、フラップ状片形成領域FDの幅方向D2の両側の領域を残すことができる。
【0055】
図5(b)に、
図5(a)の状態から、包装シート10を一対の易破断線18、18にて破断させた後の状態を示す。
図5(b)に示すように、破断後には、一対の易破断線18、18に沿って切り込みが形成され、このような切り込みによって、一対の易破断線18、18間の部分が自由になり、フラップ状片Fとなる。フラップ状片Fは、包装シート10との接続部分である基端Fbを基部として、長手方向D1外方に開くことができる。これにより、包装シート10の外面から突出し、包装シート10に対して自由に動かすことができる部分が形成される。フラップ状片Fは、使用済み吸収性物品の廃棄時に使用済み吸収性物品を包装シート10で包むために利用できる。
【0056】
図1~
図5より明らかであるように、フラップ状片形成領域FDの幅、又はフラップ状片Fの幅は、剥離シート20の幅よりも小さい。そして、フラップ状片形成領域FDは、フラップ状片形成領域FDの幅が剥離シート20の幅に含まれるように位置に形成されている。これにより、フラップ状片Fの形成後も、平面視で、包装シート10と剥離シート20とが幅方向D2で重なっている状態、すなわち包装シート10と剥離シート20との間に開口がない状態が得られる。包装シート10と剥離シート20とを、幅方向D2に連続したシートとして扱うことができる。
【0057】
剥離シート20は、フラップ状片形成領域FD以外の領域で、包装シート10と接着されている。そのため、剥離シート20と包装シート10とが互いにずれることを防止できると共に、一対の易破断線18、18にて包装シート10を破断させてフラップ状片を形成した場合に、接着部によってフラップ状片の開放が阻害されない。
【0058】
より具体的には、
図2~
図4に示すように、剥離シート20は、第1端11側に形成された一対の第1接着部31、31、及び第2端12側に形成された第2接着部32によって、包装シート10に接着されている。このような接着により、剥離シート20が包装シート10に対してずれることが防止される。
【0059】
一対の第1接着部31、31は、包装シート10の長手方向D1の第1端11側において、剥離シート20の幅方向D2の両端に形成することができる。そのため、特に幅方向D2で、剥離シート20が包装シート10に対してずれ難くなる。
【0060】
第2接着部32は、フラップ状片形成領域FDの長手方向D1外側の位置に形成されていてよい。すなわち、フラップ状片Fの基端Fbに接して当該基端Fbから長手方向D1外側に、又は基端Fbから離れて長手方向D1の外側に形成されいてよい。このように、第2接着部32は、フラップ状片Fの基端Fb付近に形成されるので、基端Fb付近において剥離シート20が包装シート10に対してずれることを防止すると共に、基端Fb付近の強度を向上させることができる。
【0061】
また、
図1~
図4に示す例では、一対の易破断線18、18の終端位置(長手方向D1の第2端12側の端縁)が、第2接着部32の長手方向D1の第1端11側(中央側)の端縁を越えていない。そのため、一対の易破断線18、18の終端位置がフラップ状片Fの基端Fbの位置となり得る。これに対し、一対の易破断線18、18の終端位置が、第2接着部32の長手方向D1の第1端11側の端縁を越えている場合には、第2接着部32の長手方向D1の第1端11側の端縁が、フラップ状片Fの基端Fbとなり得る。すなわち、フラップ状片Fの形成を、第2接着部32に達した位置で止めることができる。このように、フラップ状片Fの基端Fbの位置が、第2接着部32の長手方向D1の第1端11側の端縁の位置となる場合もあるし、一対の易破断線18、18の終端位置となる場合もある。
【0062】
(使用済み吸収性物品の廃棄)
以下、フラップ状片Fを有する包装シート10を用いて使用済み吸収性物品を包む動作の例について説明する。
【0063】
図6(a)に示すように、一対の易破断線18、18での破断によってフラップ状片Fが形成された包装シート10に、表面シートを内側にして丸められた使用済み吸収性物品1aを配置する。
図6(a)に示す包装シート10は、
図5(b)に示す包装シート10を裏返した状態で使用されている。そして、
図6(b)に示すように、包装シート10の第1端11側を使用済み吸収性物品1aに被せることができる。
【0064】
続いて、使用者は、フラップ状片Fの先端部を持って、包装シート10を使用済み吸収性物品1aに巻き付ける。フラップ状片Fを持ち上げることで、
図6(b)に示すように、包装シート10の第2端12側も共に持ち上がり、使用済み吸収性物品1aの上に被せることができる。
図6(c)に、包装シート10の第2端12の側の部分を使用済み吸収性物品1a上にさらに被せた状態を示す。
【0065】
このように、使用者は、使用済み吸収性物品1aに包装シート10を巻き付ける動作を、フラップ状片Fを持って行うことができる。フラップ状片Fは、包装シート10の残された部分に対して自由に、特に幅方向にも自由に動かすことができる。そのため、使用者は、使用済み吸収性物品1aに包装シート10を巻き付ける動作を、フラップ状片Fを動かしながら行うことができるので、包装シート10を巻き付ける方向や力加減を適宜制御できる。
【0066】
また、使用者は、使用済み吸収性物品1aを包む動作を、使用済み吸収性物品1aから離れた位置にあるフラップ状片Fの先端部を持って行うことができるので、使用済み吸収性物品1aに触れる可能性を低減できる。そのため、使用済み吸収性物品1aに付着している、或いは使用済み吸収性物品1aを圧縮することで滲み出る体液によって手を汚す可能性を低減できる。
【0067】
図6(c)に示すように、使用済み吸収性物品1aに包装シート10をある程度巻きつけた後、さらに、
図6(d)に示すように、フラップ状片F自体も、使用済み吸収性物品1aに巻き付けることができる。
【0068】
一般に、使用済み吸収性物品1aの廃棄時には、使用済み吸収性物品1aの体積を減らすことが好ましい。そのため、使用者は、使用済み吸収性物品1aを圧縮しながら包装シート10を巻き付ける場合、使用済み吸収性物品1aの幅方向両端を両手で持って巻くことが多い。その際に、使用済み吸収性物品1aの両端から体液が滲み出て手を汚す可能性が高まる。これに対し、本形態では、包装シート10の幅よりも狭い幅のフラップ状片Fをある程度引っ張って使用済み吸収性物品1aの周りに巻き付けることで、フラップ状片Fをベルトのように使用済み吸収性物品1aを締め付けることができる。これにより、両手で使用済み吸収性物品1aの幅方向両端を持つ必要なく、使用済み吸収性物品1aを比較的容易に圧縮することができ、使用済み吸収性物品1aの体積を減らすことができる。
【0069】
フラップ状片Fの幅、すなわちフラップ状片形成領域FDの幅は、包装シート10の幅の15~40mmであると好ましい。これにより、上記のようにフラップ状片Fを引っ張りつつ使用済み吸収性物品1aに巻き付けた場合に、使用済み吸収性物品1aの圧縮をある程度の幅にわたり、且つ比較的小さな力で行うことができる。
【0070】
図6(d)に示す状態から、フラップ状片Fの先端部に配置されている止着テープ50を用いて、フラップ状片Fを止着することができる。
【0071】
ここで、
図7(a)に、
図6(d)の部分Bの拡大図を示す。
図7(a)に示すように、フラップ状片Fの先端部を、使用済み吸収性物品1aに向けて被せる場合、止着テープ50の粘着剤層は、使用済み吸収性物品1a(又は包装シート10)には対向していない。そのため、
図7(b)に示すように、止着テープ50の先端部を捩じって、止着テープ50の粘着剤層52が使用済み吸収性物品1aに対向させることが好ましい。これにより、止着テープ50でフラップ状片Fを止めて、使用済み吸収性物品1aがコンパクトに巻かれた状態を維持することができる。
【0072】
なお、フラップ状片Fの長手方向D1の長さ、すなわち、フラップ状片形成領域FDの長手方向D1の長さは、フラップ状片Fの基端Fbから第2端12までの長さよりも長いことが好ましい。これにより、フラップ状片Fを長手方向D1に開いて平面に置いた場合、フラップ状片Fが包装シート10の第2端12から突出する延長部となり得る。これにより、使用済み吸収性物品1aに触れる可能性を低減できるという上述の効果が向上する。
【0073】
また、図示の形態では、フラップ状片Fの基端Fbの位置は第2端部領域E2と中央領域Mとの境界上にあるが、この位置は、第2端部領域E2にあってもよいし、中央領域Mにあってもよい。但し、基端Fbは、長手方向D1の第2端12から10mm以上離れた位置にあることが好ましい。これにより、易破断線18、18に沿って包装シート10を破断する際に、易破断線18、18の端縁を越えて誤って第2端12まで形成されてしまい、フラップ状片Fとなるべき部分を含む部分が離脱してしまうことを防止できる。
【0074】
(フラップ状片の先端部の変形例)
図8に、フラップ状片Fの先端部の変形例を示す。
図8は、
図6(d)のB部分に対応する拡大図である。
図8に示すように、フラップ状片Fの先端部には、止着テープ50から離間した位置に、フラップ状片Fの幅方向に沿ってスリットSLが形成されている。スリットSLには、止着テープ50が挿入可能になっている。使用者は、止着テープ50の粘着剤層52が露出するように止着テープ50を折り返し、止着テープ50の先端をスリットSLに挿入することができる。これにより、止着テープ50を折り返す前とは反対側に止着テープ50の粘着剤層52が露出する。そのため、上述の使用済み吸収性物品1aを包装シート10で包む動作の最終段階で(
図6(d))、フラップ状片Fの先端部を使用済み吸収性物品1aに被せる際、フラップ状片Fの先端部を捩じることなく、止着テープ50の粘着剤層52が使用済み吸収性物品1aに対向するので、止着テープ50を機能させることができる。
【0075】
スリットSLの長さは、止着テープ50の先端を挿入できる長さであればよく、止着テープ50の幅以上の長さに形成されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0076】
1 吸収性物品
9 ズレ止め部
10 包装シート
15 シール部
18 易破断線
20 剥離シート
31 第1接着部
32 第2接着部
50 止着テープ
52 止着テープの粘着剤層
100 包装吸収性物品
D1 長手方向
D2 幅方向
E1 第1端部領域
E2 第2端部領域
F フラップ状片
Fb フラップ状片の基端
FD フラップ状片形成領域
L1 第1折り位置
L2 第2折り位置
M 中央領域
SL スリット