(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/42 20060101AFI20231117BHJP
【FI】
B65D47/42 100
(21)【出願番号】P 2020062150
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-209997(JP,A)
【文献】特開2018-034859(JP,A)
【文献】特開2019-209996(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0080782(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着され、前記容器本体内に連通する連通孔、および前記連通孔に連通し、前記容器本体の内容液を吐出する吐出孔が形成された上下方向に延びる筒状の中栓部材と、
前記中栓部材の内側に上下方向に沿って移動可能に支持された有底筒状の収容部、および前記容器本体内で前記連通孔を前記連通孔の下方から閉塞可能に開放した栓体を有し、前記中栓部材との間に前記収容部内と前記容器本体内とを連通する連通路が形成されたホルダと、
前記収容部内に配置されて前記ホルダから上方に突出した塗布部材と、
前記中栓部材に対して前記ホルダを上方付勢する付勢部材と、
前記容器本体の口部に装着され、前記ホルダの上昇を規制した状態で前記吐出孔を閉塞するオーバーキャップと、
を備え
、
前記栓体は、前記中栓部材の内側から前記連通孔を通過して前記中栓部材の下方まで延びており、前記中栓部材の下端部よりも下方に位置する下端部を持つ栓本体を有し、
前記栓本体の前記下端部の外径は、前記連通孔の内径よりも大きく、
前記栓体は、前記栓本体の前記下端部の外周面が前記連通孔の内周面または下端面に密接することで前記連通孔を下方から閉塞する、
塗布容器。
【請求項2】
前記中栓部材は、前記収容部を囲うとともに前記吐出孔が形成された突出筒を有し、
前記ホルダは、前記収容部から前記突出筒の上端部を跨いで前記突出筒の外周側に延びる操作部を有する、
請求項1に記載の塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液等の内容液を例えば人体の頭皮や皮膚等の被塗布部に対して塗布する塗布容器が知られている。例えば、下記特許文献1に示されるように、容器本体の口部に装着されると共に、容器本体内に連通する連通孔、及び連通孔に連通し、且つ内容液を吐出する吐出孔が形成された筒状の中栓部材と、中栓部材の内側に、先端部が吐出孔から外部に突出した状態で連通孔側に向けて移動可能に配設された塗布部材と、塗布部材を吐出孔側に向けて付勢する付勢部材と、を備え、中栓部材には、連通孔と吐出孔との間に位置する部分に、塗布部材に形成された弁体が連通孔側から離反可能に当接する弁座が形成された塗布容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の塗布容器では、不使用時において連通孔と吐出孔との連通が弁体および弁座によって遮断されているので、塗布部材に内容液を含侵させるためには、オーバーキャップを取り外した上で塗布部材を押して開弁させる必要がある。このため、使用前に塗布部材に内容液を追加的に含侵させることが困難である。また、仮に連通孔と吐出孔とが常時連通していると、使用時に内容液が吐出孔から漏出するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、使用時に内容液が漏出することを抑制しつつ、使用前に塗布部材に内容液を含侵させることが可能な塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の塗布容器は、容器本体の口部に装着され、前記容器本体内に連通する連通孔、および前記連通孔に連通し、前記容器本体の内容液を吐出する吐出孔が形成された上下方向に延びる筒状の中栓部材と、前記中栓部材の内側に上下方向に沿って移動可能に支持された有底筒状の収容部、および前記容器本体内で前記連通孔を前記連通孔の下方から閉塞可能に開放した栓体を有し、前記中栓部材との間に前記収容部内と前記容器本体内とを連通する連通路が形成されたホルダと、前記収容部内に配置されて前記ホルダから上方に突出した塗布部材と、前記中栓部材に対して前記ホルダを上方付勢する付勢部材と、前記容器本体の口部に装着され、前記ホルダの上昇を規制した状態で前記吐出孔を閉塞するオーバーキャップと、を備える。
【0007】
本発明によれば、オーバーキャップが容器本体の口部に装着された状態では、栓体が中栓部材の連通孔を開放しているので、連通路を通じて収容部内と容器本体内とが連通している。このため、オーバーキャップを装着したまま塗布容器を倒立させる、または振ることにより、容器本体内の内容液を収容部内に供給できる。この際、中栓部材の吐出孔はオーバーキャップにより閉塞されているので、内容液の漏出を抑制しつつ使用前に塗布部材に内容液を含侵させることができる。
さらに、オーバーキャップを容器本体の口部から取り外すと、ホルダの上昇の規制が解除されるので、栓体が上昇して連通孔を閉塞する。これにより、収容部内と容器本体内との連通が遮断され、使用時に内容液が漏出することを抑制できる。
以上により、使用時に内容液が漏出することを抑制しつつ、使用前に塗布部材に内容液を含侵させることが可能な塗布容器を提供することができる。
【0008】
上記の塗布容器において、前記中栓部材は、前記収容部を囲うとともに前記吐出孔が形成された突出筒を有し、前記ホルダは、前記収容部から前記突出筒の上端部を跨いで前記突出筒の外周側に延びる操作部を有していてもよい。
【0009】
本発明によれば、オーバーキャップが容器本体の口部から取り外されてホルダが上昇した状態から、操作部を掴む等してホルダを下降させることで、栓体に中栓部材の連通孔を開放させることができる。これにより、連通路を通じて収容部内と容器本体内とを連通させて、塗布容器を振る等して容器本体内の内容液を収容部内に供給可能な状態とすることができる。したがって、オーバーキャップが取り外された状態で、塗布部材に触れることなく塗布部材に内容液を補充することが可能となり、塗布部材を被塗布部に押し当て、当該塗布部材を押し込むことにより連通孔を開放する操作が不要な塗布容器とすることができる。また、内容液が不足した場合に、オーバーキャップを再装着する手間を削減できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用時に内容液が漏出することを抑制しつつ、使用前に塗布部材に内容液を含侵させることが可能な塗布容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の塗布容器を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す状態からオーバーキャップを取り外した状態における塗布容器の断面図である。
【
図3】第2実施形態の塗布容器を示す断面図である。
【
図4】
図3に示す状態からオーバーキャップを取り外した状態における塗布容器の断面図である。
【
図5】第3実施形態の塗布容器を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す状態からオーバーキャップを取り外した状態における塗布容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る塗布容器の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の塗布容器1は、被塗布部に塗布する内容液が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部10の内側に装着された筒状の塗布栓3と、容器本体2の口部10に離脱可能に装着され、塗布栓3を覆う有頂筒状のオーバーキャップ4と、を備える。なお、内容液としては特に限定されるものではないが、例えば人体や皮膚等の被塗布部に塗布される水虫薬等の薬剤や育毛剤、化粧料等の液体が挙げられる。
【0013】
容器本体2、塗布栓3およびオーバーキャップ4は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿うオーバーキャップ4側を上方、その反対側(容器本体2側)を下方という。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
容器本体2の口部10は、容器本体2のうち口部10以外の部位(肩部、胴部および底部)よりも小径に形成されている。図示の例では、容器本体2の口部10の外周面には雄ねじが形成されている。
【0015】
塗布栓3は、容器本体2の口部10に装着され、下方に開口して容器本体2内に連通する連通孔21、および連通孔21に連通し、上方に開口して内容液を吐出する吐出孔22が形成された筒状の中栓部材20と、中栓部材20の内側に配置されたホルダ30と、ホルダ30に保持されてホルダ30から上方に突出した塗布部材50と、中栓部材20に対してホルダ30を上方付勢する付勢部材60と、を備える。
【0016】
中栓部材20は、容器本体2の口部10に装着された装着筒部23と、連通孔21および吐出孔22が形成された吐出筒部26と、を備える。装着筒部23は、円筒状に形成されて容器本体2の口部10の内側に密に嵌合された嵌合部24と、嵌合部24の上端部から径方向の外側に延びて口部10の上端開口縁上に配置された環状のフランジ部25と、を備える。これにより、装着筒部23は、口部10内に挿入された状態で口部10に固定的に装着されている。
【0017】
吐出筒部26は、装着筒部23に接続され、装着筒部23から上下両側に延びている。吐出筒部26の上端開口は、吐出孔22とされている。吐出筒部26の下端開口は、連通孔21とされている。吐出筒部26は、上下方向における中間部で装着筒部23に接続している。吐出筒部26は、装着筒部23の嵌合部24の上端部から上方に延びる突出筒27と、突出筒27の下端部から装着筒部23の内側を下方に延びる垂下筒28と、を備える。
【0018】
突出筒27は、その外径が装着筒部23のフランジ部25の外径よりも小さくなるように形成されている。突出筒27の内周面は、容器軸方向の全体にわたって一定の内径で延びている。ただし、突出筒27の内周面は、少なくとも後述する収容部31が摺接する部分が一定の内径で延びていればよい。突出筒27の上端部には、吐出孔22が形成されている。
【0019】
垂下筒28は、嵌合部24に対して径方向に隙間をあけて配置されている。垂下筒28の下端部は、嵌合部24の下端部と上下方向で同じ位置に位置している。ただし、垂下筒28の下端部の位置は特に限定されるものではない。垂下筒28は、その内径が突出筒27の内径よりも小さくなるように形成されている。垂下筒28の内周面は、下端部を除いて一定の内径で延びている。垂下筒28の下端部には、径方向の内側に突出した環状の台座部29が形成されている。台座部29の下端部には、連通孔21が形成されている。
【0020】
ホルダ30は、中栓部材20の内側に上下方向に沿って移動可能に支持された有底筒状の収容部31と、連通孔21を連通孔21の下方から閉塞可能に開放した栓体35と、を有する。収容部31は、容器軸Oと同軸に配設されている。収容部31は、周壁31aおよび底壁31bを有し、吐出筒部26の突出筒27に囲われている。周壁31aの上部は、吐出筒部26の突出筒27の内周面に密に摺接し、突出筒27に対して上下動可能に配置されている。周壁31aの上端部は、突出筒27よりも上方に突出可能とされている。周壁31aの内周面には、径方向の内側に突出し、上下方向に延びる嵌合リブ32が形成されている。嵌合リブ32は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。底壁31bは、その外径が垂下筒28の上部における内径よりも大きくなるように形成されている。底壁31bの上面には、上方に突出する台座突部33が形成されている。台座突部33は、底壁31bの上面の外周部で周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0021】
収容部31には、流通孔34が形成されている。流通孔34は、周壁31aおよび底壁31bにわたって形成されている。流通孔34は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、収容部31の内側は、流通孔34を通じて収容部31の外側に連通している。ただし、流通孔34の形成箇所は上述した位置に限定されない。例えば、底壁31bを上下方向に貫通するように形成されていてもよいし、周壁31aを径方向に貫通するように形成されていてもよい。
【0022】
栓体35は、吐出筒部26の内側から連通孔21を通過して吐出筒部26の下方まで延びている。栓体35は、収容部31の底壁31bから下方に延びる軸部36と、軸部36の下端部に支持された栓本体37と、を備える。軸部36は、容器軸Oを中心に上下方向に延びている。軸部36は、吐出筒部26に径方向で対向する部分の全体が吐出筒部26の内周面に径方向に間隔をあけるように形成されている。軸部36の下端部は、垂下筒28の内側に位置している。ただし、軸部36の下端部は、垂下筒28の連通孔21から下方に突出していてもよい。軸部36の外周面には、径方向の外側に突出し、上下方向に延びる縦リブ38が形成されている。縦リブ38は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。縦リブ38は、上端部において収容部31の底壁31bの下面に接続し、吐出筒部26の内周面に対して径方向に間隔をあけて延びている。縦リブ38の上端部には、径方向の外側に突出した突出部38aが形成されている。突出部38aにおける径方向外側の端縁は、垂下筒28の内面よりも径方向の内側に位置し、かつ流通孔34に径方向で重なっている。
【0023】
栓本体37は、栓体35の下部を形成している。栓本体37は、容器軸Oを中心とする回転体状に形成され、逆V字状の縦断面形状を有している。栓本体37の下端部は、垂下筒28の下端部よりも下方に位置しているとともに、外径が連通孔21の内径よりも大きくなるように形成されている。栓本体37は、軸部36の外周面に連なるとともに周方向に延びる外周面37aを備える。栓本体37の外周面37aは、下端縁が上端縁よりも径方向の外側に位置するように、全体としておおよそ円錐面状に形成されている。外周面37aにおける上下方向の一部には、連通孔21の内周面又は下端面(下端縁)に密接される第1シール面37bが形成されている。
【0024】
栓体35は、吐出筒部26に径方向で対向する部分の全体が吐出筒部26の内周面に径方向に間隔をあけるように形成されている。これにより、ホルダ30と吐出筒部26との間には、流通孔34および連通孔21を両端として収容部31内と容器本体2内とを連通する連通路40が形成されている。そして、栓本体37が吐出筒部26に対して上昇して第1シール面37bが連通孔21の内周面又は下端面(下端縁)に密接することで、栓本体37が連通孔21を下方から閉塞し、連通路40を通じた収容部31内と容器本体2内との連通が遮断される。
【0025】
塗布部材50は、容器軸Oと同軸の円柱状に形成されている。塗布部材50は、収容部31よりも上方に突出するように、収容部31内に配設されている。塗布部材50は、台座突部33に載置されている。塗布部材50は、吐出孔22から上方に突出している。図示の例では、塗布部材50の上端部は、径方向にカット面51が向かい合うように加工されることで、最上部に稜線部が配置された形状とされている。ただし塗布部材50の上端部の形状は図示の例に限定されず、被塗布部に応じて適宜変更して構わない。塗布部材50は内容液を含浸可能な含浸材で形成されている。含浸材としては、例えばスポンジ等の多孔質材料や、合成繊維が樹脂溶液によって固化され、毛細管現象を利用して内容液を含浸させることが可能な繊維体等が挙げられる。
【0026】
付勢部材60は、容器軸Oを中心とするコイルスプリングである。付勢部材60は、中栓部材20の垂下筒28とホルダ30との間に圧縮状態で配置されている。付勢部材60は、上端部がホルダ30の収容部31の底壁31bに底壁31bの下方から接触した状態で縦リブ38の突出部38aに外嵌され、かつ下端部が中栓部材20の垂下筒28の台座部29に付勢部材60の下方から支持されている。
【0027】
オーバーキャップ4は、上面視で円形状に形成された頂壁部70と、頂壁部70の外周縁から下方に延びる上筒部71と、上筒部71の下端部から径方向の外側に延びる環状の段差部72と、段差部72の外周縁から下方に延びる下筒部73と、下筒部73の下端部から下方に延びる螺着筒部74と、を備える。螺着筒部74は、容器本体2の口部10を囲うように配置されている。螺着筒部74は、内周面に雌ねじを有し、口部10に螺着されている。下筒部73は、主に吐出筒部26の突出筒27を囲うように配置されている。下筒部73は、内径が螺着筒部74の内径よりも小さくなるように形成されている。下筒部73の下端面は、中栓部材20の装着筒部23のフランジ部25にフランジ部25の上方から接触している。上筒部71は、塗布部材50のうち吐出筒部26から上方に突出した部分を囲うように配置されている。上筒部71の下端面には、上筒部71の内周面の下端縁から下方かつ径方向の外側に延びる環状の第2シール面71aが形成されている。第2シール面71aは、吐出筒部26の上端縁に全周にわたって密接している。これにより、上筒部71および頂壁部70は、吐出孔22を閉塞している。
【0028】
上筒部71の内周面には、径方向の内側に突出し、上下方向に延在する規制リブ75が形成されている。規制リブ75は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。規制リブ75は、塗布部材50に対して離間するように形成されている。規制リブ75の下端縁は、吐出筒部26に対して離間している。規制リブ75の下端縁の一部は、下方に突出してホルダ30の収容部31の上端縁に収容部31の上方から接触している。これにより、オーバーキャップ4は、付勢部材60によって上方付勢状態にあるホルダ30の上昇を規制している。
【0029】
次に、上述した塗布容器1の作用について説明する。
オーバーキャップ4が容器本体2の口部10に装着された状態では、ホルダ30の栓体35が中栓部材20の連通孔21を開放しているので、連通路40を通じて収容部31内と容器本体2内とが連通している。このため、オーバーキャップ4を装着したまま塗布容器1を倒立させる、または振ることにより、容器本体2内の内容液を収容部31内に供給できる。中栓部材20の吐出孔22はオーバーキャップ4の上筒部71により閉塞されているので、内容液の漏出を抑制しつつ使用前に塗布部材50に内容液を含侵させることができる。
さらに、オーバーキャップ4を容器本体2の口部10から取り外すと、規制リブ75によるホルダ30の上昇の規制が解除されるので、栓体35が上昇して連通孔21を閉塞する。これにより、収容部31内と容器本体2内との連通が遮断され、使用時に内容液が漏出することを抑制できる。
以上により、使用時に内容液が漏出することを抑制しつつ、使用前に塗布部材50に内容液を含侵させることが可能な塗布容器1を提供することができる。
【0030】
また、オーバーキャップ4が装着された状態では吐出孔22が閉塞され、オーバーキャップ4を取り外すと吐出孔22が開放されるとともにホルダ30が上昇し始めた後に連通孔21が閉塞される。このため、オーバーキャップ4が取り外される際に容器本体2の内圧が一旦解放された状態で、塗布容器1を使用可能な状態とすることができる。したがって、容器本体2の内圧上昇によって使用時に内容液が漏出することを抑制できる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る塗布容器の第2実施形態について図面を参照して説明する。第2実施形態は、ホルダ30が操作部42を有する点で第1実施形態と異なる。なお、この第2実施形態において、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0032】
図3に示すように、ホルダ30は、収容部31から中栓部材20の突出筒27の上端部の上方を径方向に跨いで突出筒27の外周側に延びる操作部42を有する。操作部42は、突出筒27に対して上昇可能に形成されている。操作部42は、収容部31の上端部から径方向の外側に延びて突出筒27の上端開口縁上に配置された環状の鍔部43と、鍔部43の外周縁から突出筒27の外周面に沿って下方に延びる円筒状の囲繞部44と、を備える。囲繞部44の下端部は、オーバーキャップ4を取り外した状態で突出筒27の上端縁よりも下方に位置するように形成されている。
【0033】
オーバーキャップ4は、第1実施形態の上筒部71に替えて上筒部71Aを有する。上筒部71Aの下端面71Aaは、鍔部43の上面に全周にわたって密接している。上筒部71Aと鍔部43との間には、付勢部材60による付勢力に加えて、オーバーキャップ4の締結力が作用している。これにより、オーバーキャップ4は、上筒部71Aの下端面71Aaと鍔部43の上面との間をシールして吐出孔22を閉塞しているとともに、ホルダ30の上昇を規制している。
【0034】
次に、上述した塗布容器1Aの作用について説明する。
図4に示すように、オーバーキャップ4を容器本体2の口部10から取り外すと、ホルダ30の上昇の規制が解除されるので、栓体35が上昇して中栓部材20の連通孔21を閉塞する。この状態から操作部42を掴む等してホルダ30を下降させることで、栓体35に連通孔21を開放させることができる。これにより、連通路40を通じて収容部31内と容器本体2内とを連通させて、塗布容器1Aを振る等して容器本体2内の内容液を収容部31内に供給可能な状態とすることができる。したがって、オーバーキャップ4が取り外された状態で、塗布部材50に触れることなく塗布部材50に内容液を補充することが可能となる。よって、内容液が不足した場合に、オーバーキャップ4を再装着する手間を削減できる。また、塗布部材50を被塗布部に押し当て、塗布部材50押し込むことにより連通孔21を開放する操作が不要な塗布容器1Aとすることができる。
【0035】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る塗布容器の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態において、第2実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0036】
図5に示すように、中栓部材20の吐出筒部26は、第2実施形態の突出筒27に替えて突出筒27Bを有する。突出筒27Bの外周面には、一定の外径で延びるガイド面80と、ガイド面80よりも下方に設けられ、径方向の外側かつ下側を向く傾斜面81と、を備える。
【0037】
ホルダ30の操作部42は、第2実施形態の囲繞部44に替えて囲繞部44Bを有する。囲繞部44Bは、鍔部43の外周縁から突出筒27Bのガイド面80に沿って延びる円筒状の上部45と、突出筒27Bの傾斜面81の径方向外側に配置された下部46と、上部45と下部46とを接続する中間部47と、を備える。上部45は、ガイド面80に摺接して上昇可能とされている。下部46は、周方向で互いに180°ずれた位置に配置されている。ただし、下部46は、環状に形成されていてもよいし、周方向に間欠的に配置されていてもよい。下部46は、突出筒27Bの外周面に対して径方向に間隔をあけて配置されている。下部46は、その径方向内側の端部から径方向の外側かつ上方に延びる対向傾斜面48を備える。対向傾斜面48は、径方向の内側かつ上方を向いている。対向傾斜面48は、突出筒27Bの傾斜面81の下方に位置している。中間部47は、上部45の下端縁から突出筒27Bの外周面に間隔をあけて下方に延びている。中間部47は、上部45に対して下部46を径方向の内側に弾性的に変位可能に支持している。
【0038】
次に、上述した塗布容器1Bの作用について説明する。
図6に示すように、オーバーキャップ4が容器本体2の口部10から取り外され、ホルダ30が上昇すると、ホルダ30の操作部42の対向傾斜面48が突出筒27Bの傾斜面81に傾斜面81の下方から接触する。この状態で、突出筒27Bを挟むようにホルダ30の操作部42の下部46を径方向の内側に変位させると、対向傾斜面48が傾斜面81に摺接し、ホルダ30の操作部42の下部46が下方かつ径方向の内側に変位する。これにより、図中の仮想線で示すように、ホルダ30全体が中栓部材20に対して下降するので、栓体35に中栓部材20の連通孔21を開放させることができる。したがって、上述した第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0039】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、オーバーキャップ4がホルダ30に直接接触してホルダ30の上昇を規制しているが、これに限定されず、オーバーキャップが塗布部材に接触して塗布部材を下方に押圧することによりホルダの上昇を規制していてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、塗布部材50はオーバーキャップ4が容器本体2の口部10に装着された状態で吐出孔22から上方に突出しているが、少なくともオーバーキャップが取り外された状態で吐出孔から上方に突出していればよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0042】
1,1A,1B…塗布容器 2…容器本体 4…オーバーキャップ 10…口部 20…中栓部材 21…連通孔 22…吐出孔 27,27B…突出筒 30…ホルダ 31…収容部 35…栓体 40…連通路 42…操作部 50…塗布部材 60…付勢部材 O…容器軸