(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】販売計画策定支援装置、及び販売計画策定支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20230101AFI20231117BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2020192775
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 真里
(72)【発明者】
【氏名】小沢 康弘
(72)【発明者】
【氏名】今久保 沙那
(72)【発明者】
【氏名】小林 優美
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-233414(JP,A)
【文献】特開2004-030394(JP,A)
【文献】特開2006-178920(JP,A)
【文献】特開2011-096108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0112750(US,A1)
【文献】国際公開第2017/217310(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/065328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶する記憶装置と、
予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、
前記算出した各製品の販売量を需要量の下限値として前記利益最大化モデルに入力し、前記算出した製造地を前記各製品の製造地として前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記製造地における各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する需要量最大化シミュレーション処理、及び、
前記利益最大化シミュレーション処理で算出した販売利益及び前記需要量最大化シミュレーション処理で算出した販売利益の差分に関する情報を出力する出力処理
を実行する演算装置とを備える、販売計画策定支援装置。
【請求項2】
複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶する記憶装置と、
予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、
前記入力された需要量を変更した需要量と、前記入力された各製品の各製造地と、当該各製造地の製造量の指定された上限値とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の販売量を算出する生産販売割合変動シミュレーション処理、及び
前記利益最大化シミュレーション処理における前記需要量と前記販売量との乖離、及び、前記生産販売割合変動シミュレーション処理における前記指定された需要量と前記販売量との乖離を比較した情報を出力する出力処理
を実行する演算装置とを備える、販売計画策定支援装置。
【請求項3】
複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶する記憶装置と、
予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、
前記入力された需要量と、前記入力された前記各製品の各製造地と異なる各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する生産地変更シミュレーション処理、及び
前記利益最大化シミュレーション処理により特定される全販売利益と前記生産地変更シミュレーション処理により特定される全販売利益との差分に関する情報を出力する出力処理
を実行する演算装置とを備える、販売計画策定支援装置。
【請求項4】
複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶する記憶装置と、
予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、
前記需要量を満たす量の製品を製造できない製造地を、前記算出した製造量に基づき特定し、特定した製造地と、前記特定した各製造地が製造する各製品の各販売地での需要量とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記特定した製造地での製造量及び前記各製品の販売量を算出する生産不可品シミュレーション処理、及び
前記算出した販売量に基づき、前記特定した製造地に由来する損失に関する情報を出力する出力処理
を実行する演算装置とを備える、販売計画策定支援装置。
【請求項5】
情報処理装置が、
複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶し、
予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、
前記算出した各製品の販売量を需要量の下限値として前記利益最大化モデルに入力し、前記算出した製造地を前記各製品の製造地として前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記製造地における各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する需要量最大化シミュレーション処理、及び、
前記利益最大化シミュレーション処理で算出した販売利益及び前記需要量最大化シミュレーション処理で算出した販売利益の差分に関する情報を出力する出力処理
を実行する、販売計画策定支援方法。
【請求項6】
情報処理装置が、
複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶し、
予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、
前記入力された需要量を変更した需要量と、前記入力された各製品の各製造地と、当該各製造地の製造量の指定された上限値とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の販売量を算出する生産販売割合変動シミュレーション処理、及び
前記利益最大化シミュレーション処理における前記需要量と前記販売量との乖離、及び、前記生産販売割合変動シミュレーション処理における前記指定された需要量と前記販売量との乖離を比較した情報を出力する出力処理
を実行する、販売計画策定支援方法。
【請求項7】
情報処理装置が、
複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶し、
予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、
前記入力された需要量と、前記入力された前記各製品の各製造地と異なる各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する生産地変更シミュレーション処理、及び
前記利益最大化シミュレーション処理により特定される全販売利益と前記生産地変更シミュレーション処理により特定される全販売利益との差分に関する情報を出力する出力処理
を実行する、販売計画策定支援方法。
【請求項8】
情報処理装置が、
複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶し、
予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、
前記需要量を満たす量の製品を製造できない製造地を、前記算出した製造量に基づき特定し、特定した製造地と、前記特定した各製造地が製造する各製品の各販売地での需要量とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記特定した製造地での製造量及び前記各製品の販売量を算出する生産不可品シミュレーション処理、及び
前記算出した販売量に基づき、前記特定した製造地に由来する損失に関する情報を出力する出力処理
を実行する、販売計画策定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売計画策定支援装置、及び販売計画策定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の製品を取り扱うサプライチェーン企業においては、より確実に収益を上げるために収益を予測しつつ販売計画を策定することが非常に重要である。
【0003】
例えば、特許文献1には、損益分岐点をシミュレーションするシステムとして、製品ごとのシミュレーション条件を読み込むシミュレーション条件管理手段と、製品ごとの設計情報を読み込む設計情報管理手段と、部品の製造工程情報を読み込む工程情報管理手段と、購買実績と最新購買情報に基づき作成された原価費目と数量および価格情報を有するコストテーブルを読み込むコスト管理手段と、予算額情報を有する予算テーブルを読み込む予算管理手段と、シミュレーション条件の範囲で複数の条件を組合せ、設計情報、工程情報、コストテーブル、および予算テーブルを用いて、材料費、加工費、経費、販売管理費を算出し、これらを積み上げて総原価計算する原価計算手段と、を備える損益分岐点シミュレーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、広い市場を対象に多数の品目の製品を取り扱う企業においては、その収益を確保するために、各製品の需要側及び供給側が有する様々な要因を考慮しなければならない。例えば、多種の製品のそれぞれについて、各製品の製造元の製造能力及び販売先での製品の需要といった事項を総合的に考慮する必要がある。
【0006】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、多種類の製品を取り扱うサプライチェーンにおいて各製品の需給の状況を総合的に考慮して収益の予測を行うことが可能な販売計画策定支援装置、及び販売計画策定支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するための本発明の一つは、複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶する記憶装置と、予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、前記算出した各製品の販売量を需要量の下限値として前記利益最大化モデルに入力し、前記算出した製造地を前記各製品の製造地として前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記製造地における各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する需要量最大化シミュレーション処理、及び、前記利益最大化シミュレーション処理で算出した販売利益及び前記需要量最大化シミュレーション処理で算出した販売利益の差分に関する情報を出力する出力処理を実行する演算装置とを備える、販売計画策定支援装置、とする。
【0008】
前記の課題を解決するための本発明の他の一つは、複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶する記憶装置と、予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、前記入力された需要量を変更した需要量と、前記入力された各製品の各製造地と、当該各製造地の製造量の指定された上限値とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の販売量を算出する生産販売割合変動シミュレーション処理、及び
前記利益最大化シミュレーション処理における前記需要量と前記販売量との乖離、及び、前記生産販売割合変動シミュレーション処理における前記指定された需要量と前記販売量との乖離を比較した情報を出力する出力処理を実行する演算装置とを備える、販売計画策定支援装置、とする。
【0009】
前記の課題を解決するための本発明の他の一つは、複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶する記憶装置と、予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、前記入力された需要量と、前記入力された前記各製品の各製造地と異なる各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する生産地変更シミュレーション処理、及び前記利益最大化シミュレーション処理により特定される全販売利益と前記生産地変更シミュレーション処理により特定される全販売利益との差分に関する情報を出力する出力処理を実行する演算装置とを備える、販売計画策定支援装置、とする。
【0010】
前記の課題を解決するための本発明の他の一つは、複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶する記憶装置と、予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、前記需要量を満たす量の製品を製造できない製造地を、前記算出した製造量に基づき特定し、特定した製造地と、前記特定した各製造地が製造する各製品の各販売地での需要量とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記特定した製造地での製造量及び前記各製品の販売量を算出する生産不可品シミュレーション処理、及び前記算出した販売量に基づき、前記特定した製造地に由来する損失に関する情報を出力する出力処理を実行する演算装置とを備える、販売計画策定支援装置、とする。
【0011】
前記の課題を解決するための本発明の他の一つは、情報処理装置が、複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶し、予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、前記算出した各製品の販売量を需要量の下限値として前記利益最大化モデルに入力し、前記算出した製造地を前記各製品の製造地として前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記製造地における各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する需要量最大化シミュレーション処理、及び、前記利益最大化シミュレーション処理で算出した販売利益及び前記需要量最大化シミュレーション処理で算出した販売利益の差分に関する情報を出力する出力処理を実行する、販売計画策定支援方法、とする。
【0012】
前記の課題を解決するための本発明の他の一つは、情報処理装置が、複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶し、予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、前記入力された需要量を変更した需要量と、前記入力された各製品の各製造地と、当該各製造地の製造量の指定された上限値とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の販売量を算出する生産販売割合変動シミュレーション処理、及び
前記利益最大化シミュレーション処理における前記需要量と前記販売量との乖離、及び、前記生産販売割合変動シミュレーション処理における前記指定された需要量と前記販売量との乖離を比較した情報を出力する出力処理を実行する、販売計画策定支援方法、とする。
【0013】
前記の課題を解決するための本発明の他の一つは、情報処理装置が、複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶し、予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、前記入力された需要量と、前記入力された前記各製品の各製造地と異なる各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する生産地変更シミュレーション処理、及び前記利益最大化シミュレーション処理により特定される全販売利益と前記生産地変更シミュレーション処理により特定される全販売利益との差分に関する情報を出力する出力処理を実行する、販売計画策定支援方法、とする。
【0014】
前記の課題を解決するための本発明の他の一つは、情報処理装置が、複数の製品の需要量、前記複数の製品の各製造地、当該各製造地の製造量、前記複数の製品の各販売地での販売量の間の関係を規定した利益最大化モデルを記憶し、予め指定された、各製品の各販売地での需要量と前記各製品の各製造地とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記各製品の製造量及び前記各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理、前記需要量を満たす量の製品を製造できない製造地を、前記算出した製造量に基づき特定し、特定した製造地と、前記特定した各製造地が製造する各製品の各販売地での需要量とを前記利益最大化モデルに入力することにより、前記各製品による全販売利益が最大となる、前記特定した製造地での製造量及び前記各製品の販売量を算出する生産不可品シミュレーション処理、及び前記算出した販売量に基づき、前記特定した製造地に由来する損失に関する情報を出力する出力処理を実行する、販売計画策定支援方法、とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多種類の製品を取り扱うサプライチェーンにおいて各製品の需給の状況を総合的に考慮して収益の予測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る販売計画策定支援装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】調達コストマスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図3】製造能力マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】BOMマスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】拠点コストマスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】製造拠点間取引マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】物流諸経費マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図8】関税マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図9】為替マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図10】販売計画マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図11】需要量最大化マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図12】生産販売割合パターンマスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図13】販売計画策定支援装置のハードウェア構成の一例を説明する図である。
【
図14】販売計画策定支援装置が行う販売計画立案支援処理の一例を説明するフロー図である。
【
図15】利益最大化シミュレーション処理の詳細を説明するフロー図である。
【
図16】需要情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図17】利益最大化シミュレーション結果DBの一例を示す図である。
【
図18】シミュレーション処理の詳細を説明するフロー図である。
【
図19】需要量最大化シミュレーション処理の一例を説明するフロー図である。
【
図20】需要量最大化シミュレーション結果DBの一例を示す図である。
【
図22】生産販売割合変動シミュレーション処理の一例を説明するフロー図である。
【
図23】生産販売割合変動シミュレーション結果DBの一例を示す図である。
【
図24】生産販売パターン別売上損益の一例を示す図である。
【
図25】生産地変更シミュレーション処理の一例を説明するフロー図である。
【
図26】生産地変更シミュレーション結果DBの一例を示す図である。
【
図27】生産地変更可能リストの一例を示す図である。
【
図28】生産不可品損失シミュレーション処理の一例を説明するフロー図である。
【
図29】生産不可品損失シミュレーション結果DBの一例を示す図である。
【
図30】生産不可品損失リストの一例を示す図である。
【
図31】利益最大化モデルの実行に際して入力されるパラメータの一覧を示す図である。
【
図32】本実施形態の販売計画策定支援装置を用いた業務フローの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<システム構成>>
図1は、本実施形態に係る販売計画策定支援装置10の構成の一例を示す図である。販売計画策定支援装置10は、複数の製品を複数の製造拠点(各国の工場等)から調達し、調達したこれらの製品を組み合わせた上で複数の品目の製品に再構成して複数の販売拠点(複数の国等)で販売を行うサプライチェーン企業等に導入される。なお、製品は、複数の製造拠点を経由して当該企業に調達される場合がある。
【0018】
販売計画策定支援装置10は、自社の販売計画や制約条件を入力データとして実行することで、その条件において自社の利益が最大化する場合の各製品の製造量及び販売量等を自動的に算出する利益最大化モデル70(詳細は後述)を記憶している。
【0019】
販売計画策定支援装置10は、演算装置及び記憶装置を備える情報処理装置である。販売計画策定支援装置10は、入力データとして設定可能な情報として、各製品の調達コストの情報を記憶した調達コストマスタ120、各製造拠点における各製品の製造能力の情報を記憶した製造能力マスタ140、各製造拠点で製造する製品の構成の情報を記憶したBOMマスタ160、各製造拠点における製造コストの情報を記憶した拠点コストマスタ180、製造拠点間での各製品の取引価格(内部取引価格)に関する情報を記憶した製造拠点間取引マスタ220、製造拠点間の各製品の輸送費に関する情報を記憶した物流諸経費マスタ240、製造拠点に係る国の間での輸出入に係る関税の情報を記憶した関税マスタ260、製造拠点に係る国の間の為替レートに関する情報を記憶した為替マスタ280、及び自社における各製品の販売計画の情報を記憶した販売計画マスタ300の各データベースを記憶している。
【0020】
また、販売計画策定支援装置10は、利益最大化モデルの実行に際して追加的な入力データとして用いることが可能な、需要量最大化マスタ320及び生産販売割合パターンマスタ340の各データベースを記憶している。
【0021】
(調達コストマスタ120)
図2は、調達コストマスタ120のデータ構成の一例を示す図である。調達コストマスタ120は、各製品について、その製品の品目121、その製品の製造拠点122、その製品の製造拠点122からの調達先123、その製造拠点122からの製品の購買単価124、及びその製造拠点122からの製品の供給可能量125の各情報を有する。
【0022】
(製造能力マスタ140)
図3は、製造能力マスタ140のデータ構成の一例を示す図である。製造能力マスタ140は、製品の各製造拠点について、その製造拠点141、その製造拠点141の設備名称142、その製造拠点141で製造している製品の品目143、その製造拠点141での製造設備の稼動可能日数144、その製品の製造に必要な単位数量あたりの所要時間145、及び、その製造拠点141での製品の最大生産量である生産上限値146の各情報を有する。
【0023】
(BOMマスタ160)
図4は、BOMマスタ160のデータ構成の一例を示す図である。BOMマスタ160は、各製造拠点161、その製造拠点161で製造する製品の親品目162、その製造拠点161で製造する製品の子品目163、その製造拠点161の関税コード164、上記子品目163に係る子品目使用数量165、及び、その製造拠点161での製品製造における変動費166の各情報を有する。
【0024】
(拠点コストマスタ180)
図5は、拠点コストマスタ180のデータ構成の一例を示す図である。拠点コストマスタ180は、各製造拠点181、及びその製造拠点181における固定費182の各情報を有する。
【0025】
(製造拠点間取引マスタ220)
図6は、製造拠点間取引マスタ220のデータ構成の一例を示す図である。製造拠点間取引マスタ220は、製品の品目221、その品目221の製品の発送元の製造拠点である発送元拠点222、その品目221の製品の発送先の製造拠点である着荷先拠点223、及び、その品目221の製品の内部取引売価224の各情報を有する。
【0026】
(物流諸経費マスタ240)
図7は、物流諸経費マスタ240のデータ構成の一例を示す図である。物流諸経費マスタ240は、各製品の品目241、その製品の発送元の製造拠点である発送元拠点242、その製品の発送先の製造拠点である着荷先拠点243、及びその製品の発送元拠点242から着荷先拠点243への輸送単価244の各情報を有する。
【0027】
(関税マスタ260)
図8は、関税マスタ260のデータ構成の一例を示す図である。関税マスタ260は、各関税について、その関税コード261、その関税に係る輸入国名262、その関税に係る輸出国名263、その関税の関税率264(輸入税率)、及びその関税の輸出税率265の各情報を有する。
【0028】
(為替マスタ280)
図9は、為替マスタ280のデータ構成の一例を示す図である。為替マスタ280は、通貨281、及びその通貨281に関する為替レート282の各情報を有する。
【0029】
(販売計画マスタ300)
図10は、販売計画マスタ300のデータ構成の一例を示す図である。販売計画マスタ300は、計画対象の製品の品目301、計画対象の製品の販売拠点302、計画にて予測しているその製品の市場等での需要量303、計画対象の製品の販売価格304、計画対象の製品の製造拠点305、計画対象の製品の内部取引単価306、及び、計画対象の製品の最低供給量(最低製造量)である必須供給量307の各情報を含む。
【0030】
(需要量最大化マスタ320)
図11は、需要量最大化マスタ320のデータ構成の一例を示す図である。需要量最大化マスタ320は、利益最大化モデルにおけるパラメータである、製品の需要量を一時的に増加させるための需要量最大化係数321を備える。需要量最大化マスタ320は、製品の需要量を最大化させて各製造拠点における最大製造能力を求めるために用いられる。
【0031】
(生産販売割合パターンマスタ340)
図12は、生産販売割合パターンマスタ340のデータ構成の一例を示す図である。生産販売割合パターンマスタ340は、利益最大化モデルにおいて、製品の生産量及び販売量を所定の割合で一時的に増減させるためのパラメータ(生産販売割合パラメータという)を記憶している。具体的には、生産販売割合パターンマスタ340は、生産販売割合パラメータのパターン番号であるパターンNO341、そのパターンにおける販売量の増減割合である販売量偏差342、及びそのパターンにおける生産量の増減割合である生産量偏差343の各情報を含む。
【0032】
次に、
図1に示すように、販売計画策定支援装置10は、利益最大化シミュレーション結果DB500、需要量最大化シミュレーション結果DB520、生産販売割合変動シミュレーション結果DB560、生産地変更シミュレーション結果DB600、及び生産不可品損失シミュレーション結果DB640の各データベースを作成する。これらの詳細は後述する。
【0033】
販売計画策定支援装置10は、利益最大化モデル70を記憶している。また、販売計画策定支援装置10は、利益最大化シミュレーション部71、需要量最大化シミュレーション部72、生産販売割合変動シミュレーション部73、生産地変更シミュレーション部74、及び生産不可品損失シミュレーション部75の各機能部(プログラム)を備える。
【0034】
利益最大化モデル70は、販売計画マスタ300に設定されている複数の製品の需要量、それらの製品の各製造地(製造拠点)、各製造地の製造量、それらの製品の各販売地(販売拠点)での販売量の間の関係を規定した数値モデルである。利益最大化モデル70は、各種の制約条件(例えば、製造地の製造能力、製造コスト)の下での、それらの製品の販売利益を最大化するような、各製品の製造量、販売量、又は製造地を出力することができる。
【0035】
利益最大化モデル70は、本実施形態のように、上記パラメータ間の所定の関係式を記憶したデータベースとして構成されていてもよいし、上記パラメータの値を教師データとして用いて機械学習する(例えば、ディープラーニングによる手法を用いる)ことにより作成された学習済みモデルとして構成されていてもよい。なお、利益最大化モデル70を実現するための構成は、例えば、特開2016-076182号公報、特開2013-89101号公報等に開示されている。
【0036】
利益最大化シミュレーション部71は、自社の現在の販売計画(販売計画マスタ300)を入力値として利益最大化モデル70を実行することで、自社の利益を最大化するような製品の製造拠点及び販売量等を算出する。
【0037】
需要量最大化シミュレーション部72は、製品の需要量を増大させてこれを利益最大化モデル70に入力して実行することで、製品の最大製造可能量を算出する。
【0038】
生産販売割合変動シミュレーション部73は、様々なパターンの生産販売割合パラメータを利益最大化モデル70に入力して実行することで、製品の需給量(需給バランス)を変動させた場合の製品の在庫量を算出する。
【0039】
生産地変更シミュレーション部74は、製品の製造拠点に関する指定を解除して利益最大化モデル70を実行し、利益最大化シミュレーション部71の実行結果と比較することで、製品の製造拠点の違いに基づく販売利益の変化を算出する。
【0040】
生産不可品損失シミュレーション部75は、利益最大化シミュレーション部71の実行結果に基づき、需要量を満たす量の製品を製造できない製造拠点を特定し、その製造拠点を利益最大化モデル70を実行することで、その製造拠点で製品の製造ができないことによる生じる損失を算出する。
【0041】
シミュレーション実行部77は、各種の入力値が設定された利益最大化モデル70を実行する。
【0042】
ここで、
図13は、販売計画策定支援装置10のハードウェア構成の一例を説明する図である。販売計画策定支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置11と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置12と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置13とを備え、これらはバス14等で接続される。また、販売計画策定支援装置10は、キーボード、マウス、タッチパネルなどからなる入力装置40と、モニタ(ディスプレイ)等からなる、画面表示を行う出力装置50と、各種の記録媒体20と接続しデータの読み取りを行う記録媒体読取装置30と接続している。
【0043】
販売計画策定支援装置10の機能は、販売計画策定支援装置10のハードウェアによって、もしくは、販売計画策定支援装置10の演算装置11が、主記憶装置12又は補助記憶装置13に記憶されている各プログラム15を読み出して実行することにより実現される。また、これらのプログラム15は、例えば、二次記憶デバイスや不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSDなどの記憶デバイス、又は、ICカード、SDカード、DVDなどの、情報処理装置で読み取り可能な記録媒体20に格納される。
次に、販売計画策定支援装置10が行う処理について説明する。
【0044】
<<処理>>
図14は、販売計画策定支援装置10が行う販売計画立案支援処理の一例を説明するフロー図である。この処理は、例えば、ユーザが入力装置40に所定の入力を行ったことを契機に開始される。
【0045】
まず、販売計画策定支援装置10の利益最大化シミュレーション部71は、販売計画マスタ300から取得される情報である、各製品の需要量と各製品の製造拠点とを少なくとも含む情報(以下、需要情報という)を入力値として、利益最大化モデル70を実行させることにより、全製品の販売利益が最大となるような、上記製造拠点での各製品の販売量を算出する利益最大化シミュレーション処理を実行する(s1)。利益最大化シミュレーション部71は、処理の結果を、利益最大化シミュレーション結果DB500に記憶する。
【0046】
なお、利益最大化モデル70には、制約条件として、各製造拠点の製品の製造能力が入力されるため、利益最大化シミュレーション処理により、製品の需要量に対応する製造ができない製造拠点(製造不可拠点)が出力される場合がある。
【0047】
その後、需要量最大化シミュレーション部72は、利益最大化シミュレーション処理s1で使用した需要情報の需要量を増大させた新たな需要量を設定し、また、製品の最低限の販売量として利益最大化シミュレーション処理s1で算出した販売量を設定した上で、利益最大化モデル70を実行させることにより、全製品の販売利益が最大となるような、各製造拠点の製造量(供給可能量)を算出する需要量最大化シミュレーション処理を実行する(s3)。需要量最大化シミュレーション部72は、処理の結果を、需要量最大化シミュレーション結果DB520に記憶し、この需要量最大化シミュレーション結果DB520に基づき、各製造拠点の製品の製造能力(余力)に関する帳票である余力活用リスト540を出力する。
【0048】
また、利益最大化シミュレーション処理s1の実行後、生産販売割合変動シミュレーション部73は、各製品の需要量及び各製造拠点での製品の製造能力の複数の組み合わせをそれぞれ利益最大化モデル70に入力し実行させることにより、製品の販売利益が最大となるような、製品の製造量及び製品の販売量を算出する生産販売割合変動シミュレーション処理を実行する(s5)。生産販売割合変動シミュレーション部73は、処理の結果を、生産販売割合変動シミュレーション結果DB560に記憶し、この生産販売割合変動シミュレーション結果DB560に基づき、需給バランスを変えた場合の在庫量を示した帳票である生産販売パターン別売上損益580を出力する。
【0049】
また、利益最大化シミュレーション処理s1の実行後、生産地変更シミュレーション部74は、利益最大化シミュレーション処理s1で使用した需要情報における製造拠点の指定を解除して利益最大化モデル70を実行させることにより、全製品の販売利益が最大となるような、各製品の製造拠点及び販売量を算出する生産地変更シミュレーション処理を実行する(s7)。生産地変更シミュレーション部74は、処理の結果を、生産地変更シミュレーション結果DB600に記憶し、この生産地変更シミュレーション結果DB600に基づき、製造拠点を異ならせることによる販売利益の変化を示した帳票である生産地変更可能リスト620を出力する。
【0050】
また、利益最大化シミュレーション処理s1の実行後、生産不可品損失シミュレーション部75は、利益最大化シミュレーション処理s1で算出された、製品の製造不可拠点のみを製品の製造拠点として指定して利益最大化モデル70を実行させることにより、製造不可拠点での販売量(可能販売量)を算出する生産不可品損失シミュレーション処理を実行する(s9)。生産不可品損失シミュレーション部75は、処理の結果を、生産不可品損失シミュレーション結果DB640に記憶し、この生産不可品損失シミュレーション結果DB640に基づき、製造不可拠点での製品の販売ができないことにより生じる損失を示した帳票である生産不可品損失リスト660を出力する。
以下、これらの処理の詳細を説明する。
【0051】
<利益最大化シミュレーション処理>
図15は、利益最大化シミュレーション処理s1の詳細を説明するフロー図である。
【0052】
利益最大化シミュレーション部71は、製品の供給元の情報(調達コストマスタ120)、製品の製造拠点の情報(製造能力マスタ140、BOMマスタ160、及び拠点コストマスタ180)、製品の輸送に関する情報(製造拠点間取引マスタ220、物流諸経費マスタ240、関税マスタ260、及び為替マスタ280)を読み込み、読み込んだ各情報を制約条件として設定する(s11)。
【0053】
また、利益最大化シミュレーション部71は、製品の販売計画に基づく需要情報を取得する。具体的には、利益最大化シミュレーション部71は、販売計画マスタ300を読み込む(s12)。
【0054】
(需要情報)
図16は、需要情報400のデータ構成の一例を示す図である。需要情報400は、各製品の品目401、その製品の販売拠点402(販売地)、その製品の販売拠点402での需要量403、その製品の販売拠点402での販売価格404、その製品の製造拠点405(生産地)、その製品の内部取引単価406、及びその製品の販売拠点402での必須供給量407の各情報を含む。なお、利益最大化シミュレーション処理s1では、需要情報400の必須供給量407は設定されない。
【0055】
図15のs13に示すように、利益最大化シミュレーション部71は、需要情報400の各品目401の需要量403を需要量の最大値とした場合における、各製品品目の販売の全パターン(販売量及び販売地)を販売パターンとして生成すると共に、需要情報400のうち製造拠点405が設定されていない全ての品目401に対する全ての製造拠点のパターンを生産パターンとして生成する。
【0056】
そして、利益最大化シミュレーション部71は、s31で生成した販売パターン及び生産地パターンのそれぞれについて(それぞれを入力値として)利益最大化モデル70を実行するシミュレーション処理を実行する(s100)。シミュレーション処理s100の詳細は後述する。
【0057】
利益最大化シミュレーション部71は、シミュレーション処理s100で利益最大化モデル70が出力した結果(モデル計算結果)を、利益最大化シミュレーション結果DB500に記憶する(s17)。以上で利益最大化シミュレーション処理s1は終了する。
【0058】
(利益最大化シミュレーション結果DB)
図17は、利益最大化シミュレーション結果DB500の一例を示す図である。利益最大化シミュレーション結果DB500は、各製品の品目501、その品目501の販売拠点502、その品目501の販売量503、その品目501の販売価格504、その品目501の製造拠点505、その品目501の売上506、及びその品目501の生産不可数(需要情報400で設定された需要に対して製造ができなかった製品の量)である生産不可数量507の各情報を含む。
【0059】
<シミュレーション処理>
ここで、
図18は、シミュレーション処理s100の詳細を説明するフロー図である。
シミュレーション実行部77は、販売パターン及び生産パターンの組み合わせのパターンのうち一つを選択し(以下、選択パターンという)(s101)、選択パターンの情報を利益最大化モデル70に入力することで、設定した制約条件の下での全製品品目の利益の最大値及び、利益が最大になる場合の各製品品目の販売拠点、販売量、及び製造拠点等の情報を出力し、一時的に記憶する(s102)。
【0060】
シミュレーション実行部77は、前回のs101の処理で出力した利益の最大値と、今回の処理で出力した利益の最大値とを比較する(s103)。
【0061】
前回の処理で出力した利益の最大値が今回の処理で出力した利益の最大値より小さい場合は(s103:YES)、シミュレーション実行部77は、今回のs103の処理で出力した情報を、モデル計算結果として記憶する(s104)。
【0062】
他方、前回の処理で出力した利益の最大値が今回の処理で出力した利益の最大値以上である場合は(s103:NO)、シミュレーション実行部77は、未選択の販売量生産地パターンがある場合はそれらのうち一つを選択してs102の処理を繰り返し、未選択の販売量生産地パターンが無い場合は、シミュレーション処理s100は終了する。
【0063】
<需要量最大化シミュレーション処理>
次に、
図19は、需要量最大化シミュレーション処理s3の一例を説明するフロー図である。需要量最大化シミュレーション処理s3は、例えば、利益最大化シミュレーション処理s1の実行後、販売計画策定支援装置10にユーザから所定の入力がされた場合に開始される。
【0064】
まず、需要量最大化シミュレーション部72は、利益最大化シミュレーション処理s1で算出した各製品の製造拠点及び販売量と、一時的に増大させた製品の需要量とを、需要情報400に設定する。
【0065】
具体的には、需要量最大化シミュレーション部72は、利益最大化シミュレーション処理s1で生成した利益最大化シミュレーション結果DB500の各製品の販売量503を、需要情報400の必須供給量407に設定する。また、需要量最大化シミュレーション部72は、利益最大化シミュレーション結果DB500の各製品の製造拠点505を、需要情報400の製造拠点405に設定する(s31)。
【0066】
また、需要量最大化シミュレーション部72は、需要情報400の各製品の需要量403に対して需要量最大化マスタ320の需要量最大化係数321を乗じた値を、当該需要量403に設定する(s32)。なお、需要量最大化シミュレーション部72は、需要情報400の必須供給量407は設定せず、制約条件のうち製造能力マスタ140の生産上限値146も未指定(制限無し)に設定する。
【0067】
そして、需要量最大化シミュレーション部72は、需要情報400の各品目401の需要量403を需要量の最大値とした場合における、各製品品目の販売の全パターン(販売量及び販売地)を販売パターンとして生成する(なお、製造拠点のパターン(生産パターンに相当)は既に設定されている)(s33)。
【0068】
需要量最大化シミュレーション部72は、s31、s32、s33で設定したパラメータに基づいて(当該パラメータを入力値として)、シミュレーション処理を実行する(s100)。そして、需要量最大化シミュレーション部72は、シミュレーション処理s100のモデル計算結果を、需要量最大化シミュレーション結果DB520に記憶する。
【0069】
(需要量最大化シミュレーション結果DB)
図20は、需要量最大化シミュレーション結果DB520の一例を示す図である。需要量最大化シミュレーション結果DB520は、各製品の品目521、その製品の販売拠点522、その製品の製造拠点523、その製造拠点523における供給可能量524、需要量を増大させた場合におけるその製造拠点523での製品の製造量の変化である供給時売上偏差525、及び、需要量を増大させた場合におけるその製造拠点523での製品に関する利益の変化である供給時利益偏差526の各情報を含む。
【0070】
そして、
図19のs34に示すように、需要量最大化シミュレーション部72は、需要量最大化シミュレーション結果DB520に基づき、帳票(余力活用リスト)を作成する。以上で需要量最大化シミュレーション処理s3は終了する。
【0071】
(余力活用リスト)
図21は、余力活用リスト540の一例を示す図である。余力活用リスト540は、各製品の品目541、その製品の需要量542、その製品の全供給量543、その製品の製造拠点ごとの供給量の内訳である供給量内訳544、及びその製品の製造能力の余力の情報(供給時売上偏差525及び供給時利益偏差526に関する情報)である全体最適余力調査545の各情報を含む。
【0072】
全体最適余力調査545は、製造拠点ごとの製品の供給可能量である供給可能量546、その製品について供給可能量546を供給した場合の売上の偏差である供給時売上偏差547、及びその製品について供給可能量546を供給した場合の利益の偏差である供給時利益偏差548の各情報を含む。
【0073】
<生産販売割合変動シミュレーション処理>
次に、
図22は、生産販売割合変動シミュレーション処理s5の一例を説明するフロー図である。
【0074】
生産販売割合変動シミュレーション部73は、製品の販売量及び生産量のパターン(以下、生産販売パターンという)を読み込む(s51)。具体的には、生産販売割合変動シミュレーション部73は、生産販売割合パターンマスタ340を読み込む。
【0075】
そして、生産販売割合変動シミュレーション部73は、生産販売パターンの一つを選択し、そのパターンに基づいて需要情報400の示す販売量及び、製造能力マスタ140を変更する(s52)。
【0076】
具体的には、生産販売割合変動シミュレーション部73は、需要情報400の需要量403に、生産販売割合パターンマスタ340の販売量偏差342を乗じる。また、生産販売割合変動シミュレーション部73は、製造能力マスタ140の生産上限値146に、生産販売割合パターンマスタ340の生産量偏差343を乗じる。なお、生産販売割合変動シミュレーション部73は、需要情報400の必須供給量407を未指定(制限なし)とする。
【0077】
そして、生産販売割合変動シミュレーション部73は、需要情報400の各品目401の需要量403を需要量の最大値とした場合における、各製品品目の販売の全パターン(販売量及び販売地)を販売パターンとして生成すると共に、需要情報400のうち製造拠点405が設定されていない全ての品目401に対する全ての製造拠点のパターンを生産パターンとして生成する(s53)。
【0078】
そして、生産販売割合変動シミュレーション部73は、s53で生成した販売パターン及び生産パターンのそれぞれについて(それぞれを入力値として)、シミュレーション処理を実行する(s100)。そして、生産販売割合変動シミュレーション部73は、シミュレーション処理s100のモデル計算結果を、生産販売割合変動シミュレーション結果DB560に記憶する。
【0079】
(生産販売割合変動シミュレーション結果DB)
図23は、生産販売割合変動シミュレーション結果DB560の一例を示す図である。生産販売割合変動シミュレーション結果DB560は、生産販売パターンの番号である生産販売割合パターン番号561、製品の品目562、その製品の販売拠点563、その製品の販売量564、その製品の製造拠点565(生産地)、その製品の売上566(売上額)、その製品の利益567(利益額)、その製品の在庫量568、及びその製品の在庫評価額569の各情報を有する。
【0080】
そして、
図22のs55に示すように、生産販売割合変動シミュレーション部73は、生産販売割合変動シミュレーション結果DB560に基づき帳票(生産販売パターン別売上損益)を作成する。以上で生産販売割合変動シミュレーション処理s5は終了する。
【0081】
(生産販売パターン別売上損益)
図24は、生産販売パターン別売上損益580の一例を示す図である。生産販売パターン別売上損益580は、各生産販売パターンごとの情報を有し、具体的には、生産販売パターンを設定する前の需要量及び売上額である当初計画581と、生産販売パターンを設定した後の需要量582、売上583(売上額)、売上原価584、及び利益585(利益額)と、生産販売パターンを設定する前の製品の在庫量及び在庫評価額である初期在庫586と、生産販売パターンを設定した後の在庫量及び在庫評価額である在庫見通し587とを含む。すなわち、生産販売パターン別売上損益580は、各製品の需要量と販売量との乖離に関する情報を提示している。
【0082】
<生産地変更シミュレーション処理>
図25は、生産地変更シミュレーション処理s7の一例を説明するフロー図である。
まず、生産地変更シミュレーション部74は、需要情報400における全製品の製造拠点を未指定(制限なし)の状態にする(s71)。具体的には、生産地変更シミュレーション部74は、需要情報400の製造拠点405を「未指定」にする。なお、生産地変更シミュレーション部74は、需要情報400の必須供給量407及び製造能力マスタ140の生産上限値146を未指定とする。
【0083】
そして、生産地変更シミュレーション部74は、需要情報400の各品目401の需要量403を需要量の最大値とした場合における、各製品品目の販売の全パターン(販売量及び販売地)を販売パターンとして生成すると共に、需要情報400のうち製造拠点405が設定されていない全ての品目401に対する全ての製造拠点のパターンを生産パターンとして生成する(s73)。
【0084】
そして、生産地変更シミュレーション部74は、s73で生成した販売パターン及び生産パターンのそれぞれについて(それぞれを入力値として)、シミュレーション処理を実行する(s100)。そして、生産地変更シミュレーション部74は、シミュレーション処理でモデルが出力した結果(モデル計算結果)を、生産地変更シミュレーション結果DB600に記憶する。
【0085】
(生産地変更シミュレーション結果DB)
図26は、生産地変更シミュレーション結果DB600の一例を示す図である。生産地変更シミュレーション結果DB600は、各製品の品目601、その製品の販売拠点602、シミュレーション処理により増減したその製品の製造量である変更数量603、シミュレーション処理の実行前のその製品の製造拠点である変更前製造拠点604、シミュレーション処理の実行後のその製品の製造拠点である変更後製造拠点605、シミュレーション処理により増減したその製品の売上の差分金額である売上偏差606、シミュレーション処理により増減したその製品の利益の差分金額である利益偏差607の各情報を含む。
【0086】
次に、
図25のs75に示すように、生産地変更シミュレーション部74は、利益最大化シミュレーション処理s1の処理結果と、生産地変更シミュレーション処理s7の処理結果の差分の情報を提示した帳票(生産地変更可能リスト620)を生成する。以上で生産地変更シミュレーション処理s7は終了する。
【0087】
(生産地変更可能リスト620)
図27は、生産地変更可能リスト620の一例を示す図である。生産地変更可能リスト620は、各製品の品目621、その製品の販売拠点622、シミュレーション処理の実行前のその製品の製造拠点である変更前製造拠点623、シミュレーション処理の実行後のその製品の製造拠点である変更前製造拠点624、及び、シミュレーション処理の実行前後のその製品の製造量の差分である変更数量625と、シミュレーション処理の実行による全製品の売上の差分である売上偏差626と、シミュレーション処理の実行による全製品の販売利益の差分である利益偏差627と、シミュレーション処理の実行による全製品の供給量の差分である供給量偏差628とを含む。
【0088】
<生産不可品損失シミュレーション処理>
図28は、生産不可品損失シミュレーション処理s9の一例を説明するフロー図である。
【0089】
まず、生産不可品損失シミュレーション部75は、利益最大化シミュレーション処理s1の結果に基づき、需要量を満たす量の製品を製造しない製造地がある場合のその製品の品目(以下、生産不可品目という)を特定する(s91)。具体的には、生産不可品損失シミュレーション部75は、利益最大化シミュレーション結果DB500において生産不可数量507が0でない品目501を全て特定する。
【0090】
生産不可品損失シミュレーション部75は、生産不可品目の一つを選択し(s93)、選択した生産不可品目のみの需要情報400を生成する(s95)。
【0091】
具体的には、生産不可品損失シミュレーション部75は、選択した生産不可品目について、需要情報400の品目401に選択した生産不可品目を設定し、需要量403に選択した生産不可品目の販売量(利益最大化シミュレーション結果DB500の生産不可数量507)を設定し、販売価格404に選択した生産不可品目の販売価格(販売計画マスタ300の販売価格304)を設定し、需要情報400の製造拠点405に選択した生産不可品目の製造拠点(利益最大化シミュレーション結果DB500の製造拠点505)を設定する。なお、生産不可品損失シミュレーション部75は、需要情報400の必須供給量407及び製造能力マスタ140の生産上限値146は未指定(制限無し)とする。
【0092】
そして、生産不可品損失シミュレーション部75は、需要情報400の各品目401の需要量403を需要量の最大値とした場合における、各製品品目の需要量に対する各製品品目の販売パターンと、需要情報400において製造拠点の指定が無い製品品目に対する生産パターンとを生成する(s97)。
【0093】
そして、生産不可品損失シミュレーション部75は、s97で生成した販売パターン及び生産パターンのそれぞれについて(それぞれを入力値として)、シミュレーション処理を実行する(s100)。そして、生産不可品損失シミュレーション部75は、シミュレーション処理s100のモデル計算結果を、生産不可品損失シミュレーション結果DB640に記憶する。
【0094】
(生産不可品損失シミュレーション結果DB640)
図29は、生産不可品損失シミュレーション結果DB640の一例を示す図である。生産不可品損失シミュレーション結果DB640は、各生産不可品目の製品の品目641、その製品の販売拠点642、その製品の製造拠点643、需要に対してその製品の生産が不足する量である生産不可数644、その製品の損失売上645、及びその製品の損失利益646(逸失利益)の各情報を有する。
【0095】
そして、
図29のs99に示すように、生産不可品損失シミュレーション部75は、他に生産不可品目があるか否かを判定し、他に生産不可品目がある場合はその生産不可品目についてs95以降の処理を繰り返す。他に生産不可品目がない場合は、生産不可品損失シミュレーション部75は、s101の処理を実行する。
【0096】
s101において、生産不可品損失シミュレーション部75は、生産不可品損失シミュレーション結果DB640に基づき帳票(生産不可品損失リスト660)を作成する。以上で生産不可品損失シミュレーション処理s9は終了する。
【0097】
(生産不可品損失リスト)
図30は、生産不可品損失リスト660の一例を示す図である。生産不可品損失リスト660は、各生産不可品目の製品の品目661、その製品の需要量662、その製品の供給量663、その製品の各製造拠点における供給量である供給量内訳664、及びその製品の詳細情報(生産不可となった数、生産不可となったことによる売り上げの損失、生産不可となったことによる逸失利益)である生産不可665の各情報を有する。
【0098】
なお、
図31に、以上の販売計画立案支援処理における利益最大化モデル70の実行に際して入力されるパラメータの一覧を示す。
【0099】
また、
図32は、本実施形態の販売計画策定支援装置10を用いた業務フローの一例を説明する図である。同図に示すように、まず、販売計画の立案者は、販売計画策定支援装置10に、販売計画登録画面を利用して製品の販売計画の情報を入力し、販売計画マスタ300(需要情報400)を作成する。また、立案者は、マスタ取込画面を利用して各データベースにデータを入力する。そして、立案者は、入力したこれらの情報を設定した利益最大化モデル70をシミュレーション実行画面を利用して実行する。
【0100】
立案者は、この利益最大化モデル70の実行結果を利用して需要情報400やデータベースを適宜変更して利益最大化モデル70を再び実行し、余力活用リスト、生産販売パターン別損益、生産地変更リスト、及び生産不可品損失リストの各帳票を作成する。なお、これらの帳票の作成の順序や回数は問わない。
【0101】
販売計画の策定グループは、これらの帳票を参照することで、各製造拠点の製造能力の余力、製品の需給変化、及び製造拠点の変更の可能性といった要素を総合的に検討して販売計画を定めることができるので、利益を最大化するような販売計画を迅速に決定することができる。
【0102】
以上に説明したように、本実施形態の販売計画策定支援装置10は、販売計画マスタ300により予め指定された各製品の各販売地での需要量及びそれらの製造地とを利益最大化モデル70に入力することで、全販売利益が最大となる各製品の製造量及び販売量を算出しておき、その後、算出した販売量を需要量の下限値とし、上記で算出した製造地を各製品の製造地として利益最大化モデル70を再実行することで、全販売利益が最大となる各製品の製造量及び販売量を算出し、これらに基づき両販売利益の差分を表す帳票(余力活用リスト540)を出力することで、販売計画の立案者は、各製品の需要が最大限高まった場合の各製造拠点の製造能力、すなわち各製造拠点の現在の製造余力を知ることができる。これにより、自社の各製品の製造の能力の限界を予測することができる。
【0103】
また、本実施形態の販売計画策定支援装置10は、販売計画マスタ300により予め指定された、各製品の各販売地での需要量及びそれらの製造地を利益最大化モデル70に入力することにより、全販売利益が最大となる各製品の製造量及び販売量を算出しておき、その後、上記入力需要量を変更した指定需要量、上記各製造地、及びそれらの製造量指定上限値に基づいて利益最大化モデルを再実行することにより、全販売利益が最大となる各製品の販売量を算出し、上記2種類の需要量と販売量との乖離(すなわち、各製品の在庫)に関する帳票(生産販売パターン別売上損益580)を出力することで、販売計画の立案者は、各製品の需給バランスが変動した場合に生じうるリスク(在庫の増大)を知ることができる。
【0104】
また、本実施形態の販売計画策定支援装置10は、販売計画マスタ300により予め指定された、各製品の各販売地での需要量及びそれらの製造地を利益最大化モデル70に入力することにより、全販売利益が最大となる各製品の製造量及び販売量を算出しておき、その後、入力需要量と、入力製造地と異なる各製造地とに基づいて利益最大化モデル70を再実行することにより、全販売利益が最大となる各製品の製造量及び販売量を算出し、上記両実行結果の全販売利益の差分に関する帳票(生産地変更可能リスト620)を出力することで、販売計画の立案者は、現状で指定されている製造地を変更して他の製造地から製品を調達するようにした場合の、利益額の変化を知ることができる。
【0105】
また、本実施形態の販売計画策定支援装置10は、販売計画マスタ300により予め指定された、各製品の各販売地での需要量及びそれらの製造地を利益最大化モデル70に入力することにより、全販売利益が最大となる各製品の製造量及び販売量を算出しておき、その後、需要量を満たす量の製品を製造できない製造地(生産不可拠点)を特定し、その生産不可拠点と、各生産不可拠点が製造する各製品の各販売地での需要量とを、利益最大化モデル70に入力することにより、全販売利益が最大となる生産不可拠点での製造量及び販売量を算出し、生産不可拠点に由来する損失に関する帳票(生産不可品損失リスト660)を出力することで、販売計画の立案者は、現状の製造拠点の製造能力の限界に由来して発生する損失(逸失利益)を知ることができる。
【0106】
このように、本実施形態の販売計画策定支援装置10によれば、多種類の製品を取り扱うサプライチェーンにおいて各製品の需給の状況を総合的に考慮して収益の予測を行うことができる。
【0107】
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
【0108】
例えば、利益最大化モデル70における制約条件として、本実施形態で説明した要素以外の要素を追加してもよいし、本実施形態で説明した要素の一部を削除してもよい。
【0109】
また、本実施形態においては、各製品の製造拠点及び販売拠点は国ごととしたが、これに限らず、地域ごと、製造業者ごと、又は購買層ごとといった他の種類のグループとしてもよい。
【0110】
また、本実施形態においては、需要量最大化マスタ320は全ての製品品目に対して一律に適用されるものとしたが、製品品目又は販売拠点ごと等に異ならせるようにしてもよい。
【0111】
また、本実施形態においては、生産地変更シミュレーション処理s7は、全ての製造拠点を未指定としたが、選択された一部の製造拠点のみを未指定としてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 販売計画策定支援装置、70 利益最大化モデル