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特許7386793ボールベアリング保持器及びボールベアリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】ボールベアリング保持器及びボールベアリング
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/38 20060101AFI20231117BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
F16C33/38
F16C19/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020541697
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 DE2019100097
(87)【国際公開番号】W WO2019149318
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】102018102275.1
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516188216
【氏名又は名称】ゲブリューダー ラインフルト ゲーエムベーハー ウント コンパニー ケーゲー
【氏名又は名称原語表記】GEBR.REINFURT GMBH & CO.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート・ニーデルマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アルマーニ
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-229073(JP,A)
【文献】特開2004-324738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56
F16C 33/30-33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偶数個のボールポケット(8)を形成して、それに対応する数の所定ボール径(12)のボール(10)を収容する二つの保持器部品(4,6)を有する2部品式ボールベアリング保持器(2)において、
それぞれの保持器部品(4,6)は、環状体(14,16)を備え、当該環状体には、周方向(24)に実質的に均等に分散させて配置された複数のウェブ(18)が前記ボールポケット(8)を形成するために配設され、前記周方向(24)に隣接する二つのウェブ(18)毎の周方向(24)の間隔(20)が、前記ボール径(12)の2倍と、前記周方向(24)における前記ウェブ(18)の幅(22)一つ分との合計に略相当し、
少なくとも一つの保持器部品(4,6)が、軸方向(54)において円錐外面(26,30)を備えていることを特徴とする2部品式ボールベアリング保持器。
【請求項2】
前記円錐外面(26,30)が、略2°から略20°の間のコーヌス角(52)を有することを特徴とする請求項1に記載の2部品式ボールベアリング保持器(2)。
【請求項3】
少なくとも一つの保持器部品(4,6)が、少なくとも部分的にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、フェノール樹脂(PF)、又は綿繊維強化フェノール樹脂(PF)からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の2部品式ボールベアリング保持器(2)。
【請求項4】
前記二つの保持器部品(4,6)は、一つの同じ物質からなるか若しくは複数の同じ物質からなるか、又は、前記二つの保持器部品(4,6)は、少なくとも部分的に若しくは全体的に異なる物質からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の2部品式ボールベアリング保持器(2)。
【請求項5】
前記周方向(24)に隣接する前記二つのウェブ(18)毎の、前記周方向(24)における前記保持器部品(4,6)の外周(32,34)側での間隔(72)は、前記保持器部品(4,6)の内周(36,38)側での前記間隔(74)よりも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の2部品式ボールベアリング保持器(2)。
【請求項6】
切削形成加工によるか、積層造形、特に3Dプリントによるか又は射出成形により製造された請求項1から5のいずれか一項に記載の2部品式ボールベアリング保持器(2)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の2部品式ボールベアリング保持器(2)を単列ラジアル深溝ボールベアリング(40)に使用する方法。
【請求項8】
内側軌道輪(42)、外側軌道輪(44)、所定ボール径(12)の複数のボール(10)及び請求項1から6のいずれか一項に記載の2部品式ボールベアリング保持器(2)を有するボールベアリング(40)において、
前記複数のボール(10)は、前記2部品式ボールベアリング保持器(2)により形成されるボールポケット(8)の数に対応し(“ボール群”50)、前記ボールポケット(8)の一つに前記ボール(10)の一つがそれぞれ収容されていることを特徴とするボールベアリング(40)。
【請求項9】
前記ボール(10)は、5mm未満の前記所定ボール径(12)を有していることを特徴とする請求項8に記載のボールベアリング(40)。
【請求項10】
歯科用装置に使用される請求項8又は9に記載のボールベアリング(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールベアリング保持器と、そのようなボールベアリング保持器を有するボールベアリングとに関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受は、いわゆる内輪と外輪の間で回転する物体、すなわち転動体が摩擦抵抗を低減する軸受である。転がり軸受は、軸及びシャフトの位置を固定する役割を担い、構造的な形状に応じてラジアル力又はアキシアル力の少なくともいずれかを受け止めると同時にシャフトの回転を可能にしたり、或いはそのようにして軸に支えられた例えば車輪といった部品の回転を可能にしたりする。
【0003】
ボールベアリング(玉軸受)は、こういった転がり軸受の下位の一群であり、転動体としての役割をボールが担う(転がり軸受の他の下位グループは、-円筒ころ、円すいころなどの然るべき転動体をそれぞれ有する-例えば円筒ころ軸受、円すいころ軸受、針状ころ軸受、凸面ころ軸受又はトロイダル軸受である。)。
【0004】
ボールベアリングの個々のボール又はボールベアリングのボール群(すなわち、ボールベアリングにおいて周方向の列に配設された全てのボール)の個々のボールを配設するためのボールベアリング保持器(ケージ)も同様に周知であり、(ボールベアリング内のボール群の)ボールをボールベアリングの周方向にほぼ等間隔にその位置に保つ役割を有している。これらのボールは、このとき又はこれに加えて、ボールベアリング保持器により形成された所謂ボールポケットにそれぞれ収容されている。
【0005】
このようなボールベアリング保持器のさまざまな構成も周知である。例えばウィンドウケージ(ソリッド形ケージとも呼ばれる)や1部品式ないし2部品式のスナップ形保持器などである。
【0006】
ボールベアリングのウィンドウケージの場合、転動体、つまりボールは、ウィンドウケージにより-通常は一体的に-形成された閉じた輪郭、すなわちボールポケット内に挿入されている。
【0007】
これに対して、ボールベアリングのスナップ形保持器では、ボールは、-環状体、いわゆる保持器背部にアキシアルに(軸方向に)突出するように且つボールベアリングの周方向に実質的に均等に分散配置させて配設された-ウェブによってその位置が保たれる。この場合、ボールベアリングの周方向に隣接して配設されたどの二つのウェブも、この種のスナップ形保持器においてボールを収容するためのボールポケットを形成し、それらボールポケットの-閉じた輪郭として形成されていないが故の-スナップ開口部、つまり、ボールベアリングの周方向に隣接する二つのウェブ端部間の“開いた”間隙は、ボールポケット内に収容されるボールのそれぞれのボール径よりも通常は小さく(周方向に隣接する二つのウェブ毎の周方向の平均間隔が略ボール径に相当する)、これにより、ボールポケット又はボールベアリング保持器が-ボールベアリングを組み立てる際に-ボール上に“スナップ嵌合”する。
【0008】
2部品式スナップ形保持器は、上記の-この場合第一の-保持器部品、つまり、突出するウェブが設けられた保持器背部に加えて、この第一の保持器部品に対する相手方の部材を形成する第二の保持器部品が設けられ、この第二の保持器部品-同じく大抵は環状の部品として形成されている-が、第一の保持器部品のスナップ開口部を“閉じ/ロックし”、-それにより第一の保持器部品を補強ないし強化する。
【0009】
そのようなボールポケットを有するこの種のボールベアリング保持器の場合、所謂ボールポケットすきまが、ボールベアリング保持器の摩耗特性に関して重大な意味を持つ。このボールポケットすきまは、ボールポケット内部におけるボールベアリング保持器の周方向の動き量及びボールのアキシアル(軸方向の)動き量として規定されている。分かり易い見方をすれば或いは簡単に言えば、ボールポケットは、略-最大の-ボール断面形状をなぞり、ボールポケットすきまは、その略最大のボール断面形状を超え出たボールポケットのアキシアル(軸方向の)拡張部分(“拡張された(ポケットの)幅”)及び/又は周方向における拡張部分(“長穴”)である。
【0010】
ハウジング内における軸受又はボールベアリングの所謂ミスアライメントにより、或いは軸受部位が傾いた場合に、ボール群のボールが異なる速度で動く可能性がある。その結果、先行又は後行のボールがボールポケットの位置から離れようとし、それに伴いボールベアリングの周方向においてボールベアリング保持器に力を及ぼすことになり、この力を-スナップ形保持器の場合であれば-ウェブと保持器背部とによって受け止めなければならなくなる。
【0011】
これが、その箇所でボールベアリングのスナップ形保持器のボールポケットにおける過度の摩耗を引き起こし、最悪の場合には保持器背部の破損をもたらしかねない。このような保持器背部の破壊が起きた時点で、(スナップ式)保持器は、自身に作用する遠心力によりシューブレーキのように作用するため、軸受又はボールベアリングが瞬く間に故障することになる。
【0012】
特許文献1(DE69925976T2)より、2部品式スナップ形保持器を有したラジアル深溝ボールベアリングが公知となっている。この2部品式スナップ形保持器は、同じ構造の二つの個別の部品/半体ないし保持器部品/保持器半体を用いており、これら二つの保持器半体は、取り付け後にボール群内で向かい合わせになりながら互いにスナップ嵌合し、それによりボールポケットのスナップ開口部がロック又は閉鎖される。
【0013】
しかしながら、特許文献1(DE69925976T2)より公知の2部品式スナップ形保持器のこの保持器デザインの欠点は、製造上の理由から、例えば歯科用、特に歯科タービンで使用されるようなミニチュア・ボールベアリングに組み込むことができないことにある。歯科タービンのボールベアリング用のスナップ形保持器は、-例えば-約4mmの内径、5mmの外径及び約1.6mmの幅の寸法を有する。そこで使用できる保持器のこの寸法に対し、特許文献1(DE69925976T2)に記載されているスナップ機構又は同文献内に記載されている保持器デザインは実用化ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許独語翻訳第69925976号明細書
【文献】独国特許発明第102014008763号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、従来技術の欠点と制限を克服することを課題とする。特に、本発明は、摩耗特性が改善され、さらにボールベアリングが傾いて走行する際に保持器背部に働く負荷を大幅に低減して保持器背部の破損を回避できるようにする構造上の形態を有したボールベアリング保持器を提供することを課題とする。
【0016】
特に、本発明は、ミニチュア・ボールベアリングの(応用)分野、特に歯科用途に実用化できる保持器寸法を有するボールベアリング保持器を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、各独立請求項に記載の特徴を有するボールベアリング保持器並びにボールベアリングによって解決される。
【0018】
ボールベアリング保持器、つまり2部品式ボールベアリング保持器(以下、多くの場合に“ボールベアリング保持器”とのみいう。)は、二つの、特に少なくとも実質的に同一の保持器部品を備え、これらの保持器部品は、-ボールベアリング保持器が組み立てられた状態では-偶数個のボールポケットを形成して、それに対応する数の所定ボール径のボールを収容する。すなわち、それぞれの-(ボールベアリング保持器が組み立てられた状態で)形成される-ボールポケットは、一つのボールを収容できるか或いは収容する役割を担う。
【0019】
“2部品式”とはここで、二つの(ボールベアリング保持器の部品としての)保持器部品(だけ)を意味し、-さらに、ボールベアリング保持器が(それ自身又は全体的に)さらに他の部品を備え且つ/又は保持器部品のそれぞれもまた自らさらに他の部品を備えることを排除しない。
【0020】
このボールベアリング保持器のそれぞれの保持器部品は、さらに環状体(“保持器背部”)を備え、当該環状体には、-保持器部品又はボールベアリング保持器の周方向に-実質的に均等に分散させて配置された、とりわけ実質的に同じに形成されたウェブがボールポケットを形成するように配設されている。
【0021】
簡単に分かり易く言うと、それぞれの保持器部品の環状体又は保持器背部には、それぞれ-周方向に一様分布した状態で-アキシアル(軸方向)(すなわち、2部品式ボールベアリング保持器の軸方向又はボールベアリング保持器の幅方向におけるボールポケットの延在範囲)に突出するウェブが配設され、これらウェブが、これらウェブにより形成することができるボールポケットを少なくとも実質的に周方向において画成する。
【0022】
ウェブは、特に両凹形状を備えることができ、その(“内”向きの)丸み/湾曲は、ボール(“円/円弧”)の形に合わされている。
【0023】
周方向に隣接するウェブ二つずつの間の-保持器部品又はボールベアリング保持器の周方向の-間隔はこのとき、ボール径の2倍と、周方向におけるそのウェブ又はそのようなウェブの幅一つ分との合計に略相当する。
【0024】
周方向に隣接する二つのウェブ間のこの“間隔”は、次のようにして測れる。すなわち、この間隔は、特にアキシアル(軸方向)、つまり、2部品式ボールベアリング保持器の軸方向におけるボールポケットの延在範囲、のボールポケットの中心において、並びに、-略-ラジアル(径方向)、つまり、ラジアル(径方向)に2部品式ボールベアリング保持器の中心点Mに向かう或いは中心点Mから遠ざかるウェブの延在範囲、のウェブの平均的な高さ位置において、測定することができ、そしてそれは、それら二つのウェブ間にそれらが関わってできる対応する円弧の長さである(図1参照)。
【0025】
ウェブの“幅”とは、特に、2部品式ボールベアリング保持器の周方向におけるその延在範囲、分かり易い見方をすれば(円弧の)長さを意味する(図1参照)。
【0026】
“略”合計と言うことで、-ボール径の2倍と周方向におけるそのウェブの幅又はそのようなウェブの幅とからなる-間隔の総計/測定において、公差も入り得ること、特にボールポケットすきまも含める又は考慮することができることを表現できる。
【0027】
分かりやすく簡単に言えば、周方向に隣接する保持器部品のどの二つのウェブも-周方向に-(広く)間を空けて或いは互いに離間されて(それぞれの保持器部品の環状体又は保持器背部に配設されて)いることで、-2部品式ボールベアリング保持器を組み立てる際に、或いは組み立てた後に、二つの保持器部品が互いに向かい合わせになりながらボール群にスナップ嵌合するとき-一方の保持器部品の一つのウェブが、他方の保持器部品の周方向に隣接する二つのウェブの間(略真中)にアキシアルに(軸方向に)“入り込む”又は位置するに至ると、或いはそのことを通して、保持器部品の二つのウェブの間に(ボールベアリング保持器が組み立てられた状態で)二つのボールポケット(それ故に、2部品式ボールベアリング保持器でも偶数個のボールポケット)を形成することができるようになっている。
【0028】
言い換えれば、一方の保持器部品のウェブと他方の保持器部品のウェブとが-ボールベアリング保持器が組み立てられた状態で-ボールベアリング保持器における個々のボールポケットを交互に或いはかわるがわる画成する。
【0029】
ボールベアリング保持器、すなわち2部品式ボールベアリング保持器は、こうして二つの、特に少なくとも実質的に同一の保持器部品(“保持器半体”)を使用でき、これら二つの保持器部品/保持器半体を-ボールベアリング保持器を組み立てる際に-互いに向かい合わせた状態でボールベアリングのボール群にスナップ嵌めすることができ(”(スナップ式に)ロックする”/“スナップロック”)、それにより-ボールベアリングにおけるボールベアリング保持器又は保持器半体の取り付け後には-ボールベアリング保持器の-偶数の-ボールポケットが出来る。
【0030】
ボールベアリング保持器、すなわち2部品式ボールベアリング保持器が、互いに向かい合わせた状態でボール群に“スナップ嵌め可能な”保持器部品/保持器半体(“スナップ形保持器”)としてこれら二つの保持器部品/保持器半体を使用できると、そのことによって、これら“スナップ嵌め可能な”保持器部品/保持器半体が、(さらにもっと)ボールベアリング保持器又はボールベアリングの周方向に互い違いに自在に移動できることが可能になる。
【0031】
その結果、傾いて走行するボール群の先行するボールが周方向に付加的な空いたスペースを生み出すことが(“一体形成され”て(幅と長さが)不変のボールポケットを有する1部品式/2部品式スナップ形保持器の場合とウィンドウケージの場合とにおいてボールを収容する、公知の“一体形成され”てしっかり閉鎖された輪郭/ボールポケットの場合とは違って)可能で、しかもそれにより、二つの保持器半体の保持器背部とボールポケットにかかる負荷を最小限に抑えることができる。
【0032】
同時に、これら二つの保持器部品/保持器半体の軸方向のシフトも、これに関連するボールベアリングが傾いているときに可能であり、そのときには、二つの保持器部品/保持器半体をボールベアリングの内輪又は外輪それぞれの内輪肩部(ショルダー部)又は外輪肩部(ショルダー部)の上でガイドさせることができるので、これによっても保持器背部とボールポケットとに対して生じる負荷がさらに低くなる。
【0033】
ボールベアリング保持器のそれぞれの保持器部品/保持器半体を(内輪/外輪の)肩部の上で別々にガイドできることから、発生する振動も有利に減衰させることができる。
【0034】
また、このボールベアリング保持器は、その設計上、典型的には例えば歯科タービン内の歯科用途のためのボールベアリングといった、ミニチュア・ボールベアリングにこのボールベアリング保持器を使用できるようになるという点で有利であることが判明している。
【0035】
(2部品式)ボールベアリング/スナップ形保持器の二つの保持器部品/保持器半体のこの(スナップ式の)ロックは、-1部品式のスナップ形保持器と比較して-より狭いスナップ開口部によって実現できるため、ボールベアリング保持器が動作中に分解する危険性をさらに低減できることになる。
【0036】
ボールベアリングは、-(2部品式)ボールベアリング保持器の他に-内側軌道輪、外側軌道輪及び所定ボール径の複数のボールを備えるが、複数のボールは、(2部品式)ボールベアリング保持器により-ボールベアリング保持器が組み立てられた状態で-形成されるボールポケットの数に対応し(“ボール群”)、ボールポケットの一つに(ボール群の)ボールの一つがそれぞれ収容されている。
【0037】
このような-(2部品式)ボールベアリング保持器を有した-ボールベアリングは、特に、ラジアル深溝ボールベアリング、アンギュラコンタクトベアリング、スラスト深溝ボールベアリング、スラストアンギュラボールベアリング、4点接触ボールベアリング又はマグネトボールベアリング(ショルダーボールベアリング)であってもよい。
【0038】
外側軌道輪及び/又は内側軌道輪は、例えば、100Cr6(DIN(ドイツ工業規格)材料番号(Werkstoff-Nr.)1.3505)であるおよそ炭素1%とクロム1.5%を含有する鋼等のクロム鋼から製造されているのでもよい。他の-外側軌道輪及び/又は内側軌道輪のための-鋼として考えられるのは、例えば、100CrMn6および100CrMo6であり、これらの合金元素のマンガン(Mn)とモリブデン(Mo)は、この場合、焼入れ性を向上させるのに役立つ。
【0039】
腐食性環境下でのボールベアリングの用途のために、高合金鋼X65Cr13(DIN材料番号1.4037)及びX105CrMo17(DIN材料番号1.4125)、又はX30CrMoN15-1(DIN材料番号1.4108)を-内側軌道輪及び/又は外側軌道輪において-用いることができる。後者の鋼は、人体臓器内にも少なくとも数日間使用することができる。
【0040】
特殊な動作仕様に対しては、ボールベアリングは、例えば工作機械のスピンドル軸受の場合、軸受リングないし走行リムが鋼からなり、ボールがセラミックからなる(二材料の)ハイブリッド軸受として設けられていてもよいし、走行リムもボールもいずれもセラミックからなるセラミック軸受として設けられていてもよいし、或いはまた、化学産業及び食品産業における腐食性の酸やアルカリに耐えるガラスないしセラミックからなるボールを有したプラスチック軸受として設けられていてもよい。
【0041】
また、ボールベアリングにおけるボールベアリング保持器が、内輪案内保持器として或いは外輪案内保持器として、とりわけ内輪案内保持器として構成されているようにしてもよい。この場合、ボールベアリング保持器の外周が外側軌道輪の内周上を滑走するか或いはボールベアリング保持器の内周が内側軌道輪の外周上を滑走する。
【0042】
本発明の好ましい発展形態は、従属請求項からももたらされる。発展形態は、ボールベアリング保持器とボールベアリングのいずれにも関係する。
【0043】
発展的には、少なくとも一つの保持器部品、特にそれぞれの保持器部品が、軸方向に円筒外面を有するようにしてもよい。この形態又はこの保持器デザインは、好ましくは、回転数に起因してボールベアリングに発生する遠心力によってカロット・ノーズ部(Kalotten-Nase)が外側に曲がらない深溝ボール軸受に使用することができる。
【0044】
これに代えて、少なくとも一つの保持器部品、特にそれぞれの保持器部品が、軸方向に円錐外面、特に略2°から略20°の間のコーヌス角、特に略7°から略12°の間のコーヌス角を有する円錐外面を有しているようにしてもよい。これにより、回転数に起因してボールベアリングに発生する遠心力によってカロット・ノーズ部が外側に曲がることができ、このとき外側に湾曲したカロット・ノーズ部が、外側軌道輪の肩部又は走行軌道に接触することを防ぐことができる。
【0045】
さらに発展的には、少なくとも一つの保持器部品は、少なくとも部分的にプラスチックからなり、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)又はフェノール樹脂(PF)、特に綿繊維強化フェノール樹脂(PF)からなるか又は製造されている/されるようにしてもよい。
【0046】
一つの発展形では、二つの保持器部品は、一つの同じ物質、例えば耐磨耗性の材料ないし滑りを調整された材料、又は、複数の同じ物質からなるようにしてもよい。
【0047】
また、二つの保持器部品は、少なくとも部分的に若しくは全体的に異なる物質からなるようにしてもよい。好ましくはここで、例えば、第一の保持器部品が耐磨耗性の材料からなり、第二の保持器部品が滑りを調整された材料からなるようにしてもよい。
【0048】
さらに発展的には、周方向に隣接する二つのウェブ毎の、周方向における保持器部品の外周側での間隔は、それら二つのウェブの、保持器部品の内周側での間隔よりも大きく設けてもよい。
【0049】
このように内周側又は外周側において間隔寸法が異なる結果、-ボールベアリング保持器が組み立てられた状態では-特に、(ボールベアリング保持器が組み立てられた状態で)形成されるボールポケットがボールベアリング保持器の外周側又は内周側においてそれぞれ(周方向に)異なるボールポケット長さを有することになる(“漏斗形”のボールポケット)。
【0050】
この種の-ボールベアリング保持器の外周側又は内周側で異なるボールポケット長さを有する-保持器のデザイン-(及びその製造)は、特許文献2(DE102014008763B4)(Gebrueder Reinfurt GmbH&Co.KG),2015年12月17日(公開日),段落[0018]以下に-同文献の特に1部品式の内輪案内スナップ形保持器又は外輪案内スナップ形保持器についての図5から図7及び図10又は図15から図17及び図20とともに述べられており、これに関連したその内容は、かくして目下の実施例の一部になっている(特許文献2には、“ボールベアリング保持器の外周側のボールポケットの長さが、ボールベアリング保持器の内周側のボールポケットの長さよりも大きい”との記載(特許文献2の段落[0028]参照)がある。)。
【0051】
好ましくは、ボールベアリング保持器は、切削形成加工によるか、積層造形、特に3Dプリントによるか又は射出成形により製造される又は製造されているものでもよい。
【0052】
好ましくは、ボールベアリング保持器は、単列ラジアル深溝ボールベアリングに使用又は利用されるようにしてもよい。
【0053】
また、好ましくは、ボールベアリング保持器は、高速用途のために/において利用又は使用され、回転数のパラメータがおよそn×dm≧1000000mm/分(ここで、nは内側軌道輪の回転数に対応し、dmは平均軸受径に対応する。)の範囲にある歯科タービンの場合の例のように、例えば歯科技術に応用又は使用されるようにしてもよい。この平均軸受径dmは、ボールベアリングの外径と穴径との間の平均値として算出される。
【0054】
一発展形では、(ボールベアリング保持器を有した)ボールベアリングのボールは、5mm未満の所定ボール径を有するようにしてもよい。
【0055】
好ましくは、ボールベアリング(及び/又はボールベアリング保持器)は、歯科用装置、特に歯科タービンに使用される又は使用されているようにしてもよい。
【0056】
好ましくは、-ボールベアリング保持器を有する-ボールベアリングの組み立ては、次のステップによって行なわれる:
-ボールを互いに接し合うようにして外側軌道輪内に入れ、
-内側軌道輪をまず偏心位置から外側軌道輪内に挿入して外側軌道輪内の略同心の位置へと持っていき、
-ボールを分散配置して、これらのボールが周方向に互いに略同じ間隔を有するようにし、
-二つの保持器部品を交互に両側から内側軌道輪と外側起動輪の間に挿入し、これらの保持器部品を互いに向かい合わせにしてボール群にスナップ嵌めする。
【0057】
本発明の有利な形態のこれまでに与えられた説明は、多くの特徴を含み、そのいくつかは、個々の従属請求項に要約されている。しかしながら、当業者であれば、これらの特徴を目的に合せて個別に着目もし、有用なさらなる別の組み合わせに集約するであろう。
【0058】
本発明の上記の特性、特徴及び長所並びにそれらがどのようにして実現されるかについての態様は、図面に関連させて詳細に説明される一つ又は複数の実施例についての以下の記載との関係でよりはっきり明確に理解できるようになる。
【0059】
しかしながら、本発明は、機能的な特徴に関してであっても、一つ又は複数の実施例において示される特徴の組み合わせには限定されない。そのため、組み合わせに適したどの実施例の特徴も、明確に分離して着目することもでき、一つの実施例から切り離されて、他の実施例にその実施例を補足するために導入することができる。
【0060】
同じ部材、構成要素等は、図において同一の符号により示されている。一点鎖線は断面を明示し、一続きの線(実線)はエッジを示している。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】第一の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(斜視図で)示す図である。
図2】第一の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(側面図で)示す図である。
図3】第一の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(側面断面図で)示す図である。
図4】第一の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(正面断面図で)示す図である。
図5】第一の実施形態の変形例による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(“漏斗形”,正面断面図で)示す図である。
図6】第一の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の両方の保持器半体を(斜視図で)示す図である。
図7】第一の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の両方の保持器半体を内輪とボールとともに(斜視図で)示す図である。
図8】第一の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する内輪案内2部品式スナップ形保持器を有するラジアル深溝ボールベアリングを(側面断面図で)示す図である。
図9】第二の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(斜視図で)示す図である。
図10】第二の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(側面図で)示す図である。
図11】第二の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(側面断面図で)示す図である。
図12】第二の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(正面断面図で)示す図である。
図13】第二の実施形態の変形例による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の一つの保持器半体を(“漏斗形”,正面断面図で)示す図である。
図14】第二の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の両方の保持器半体を(斜視図で)示す図である。
図15】第二の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する2部品式スナップ形保持器の両方の保持器半体を内輪とボールとともに(斜視図で)示す図である。
図16】第二の実施形態による二つの同一の保持器半体を有する内輪案内2部品式スナップ形保持器を有するラジアル深溝ボールベアリングを(側面断面図で)示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
2部品式ボールベアリング保持器又はスナップ形保持器2(図1から図16
【0063】
図1から図8は、2部品式ボールベアリング保持器又は2部品式スナップ形保持器2の第一の実施形態(“円筒外面を有する2部品式ボールベアリング保持器又はスナップ形保持器2”)を(様々な視点で、斜視で、側面視してさらに断面図示して、そしてまた単列ラジアル深溝ボールベアリング40に組み込まれた状態で)示し;図9から図16は、2部品式ボールベアリング保持器又は2部品式スナップ形保持器2の第二の実施形態(“円錐外面を有する2部品式ボールベアリング保持器又はスナップ形保持器2”)を(同じように対応させた様々な視点で、斜視で、側面視してさらに断面図示して、そしてまたこの例でも単列ラジアル深溝ボールベアリング40に組み込まれた状態で)示す。
【0064】
これら2部品式ボールベアリング保持器又は2部品式スナップ形保持器2は、-その保持器の二つの(ほとんど)同一の(保持器)部品4,6、すなわち、二つの同一の保持器半体4,6により-ボールポケット8を形成し、これらのボールポケットが、ボールベアリング40のボール10、或いは-この場合には-単列ラジアル深溝ボールベアリング40のボール10を収容するのに用いられる(図7及び図8又は図15及び図16を参照)。
【0065】
この場合、2部品式ボールベアリング保持器又はスナップ形保持器2の形成されたボールポケット8のそれぞれが、一つのボール10を収容する。2部品式のボールベアリング保持器又はスナップ形保持器2の形成されたボールポケット8に収容された全てのボール10は、それら全体では(ボールベアリング又は単列ラジアル深溝ボールベアリング40の)ボール群50とも呼ばれる。
【0066】
用いられるボール群50のボール10は、所定ボール径12、例えば1mmを有し、その結果、-この場合には-(これらボール10又はボール群50を有した)然るべきボールベアリング40は、例えば歯科タービンにおけるような歯科用途を例とするミニチュア用途の範囲に入る。
【実施例1】
【0067】
-円筒外面26,28を有する2部品式ボールベアリング保持器又はスナップ形保持器2(図1から図8
【0068】
図1から図5は、それぞれ、第一の実施形態(“円筒外面26,28”)による2部品式ボールベアリング保持器2又は2部品式スナップ形保持器2(以下、短く単にスナップ形保持器2)の一方の保持器半体4,6を示す。スナップ形保持器2の二つの保持器半体4,6は、互いに同一に形成されている(図6及び図7参照)。
【0069】
図1から図5が、二つの(同一の)保持器半体4,6の一方についてそれぞれ-例示的に-示しているように、それぞれの保持器半体4,6は、環状の保持器背部14,16を備えるとともに、これに-スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24に略均等に分散配置させた状態で-アキシアル(軸方向)54に(すなわちスナップ形保持器2又は保持器半体4,6の幅方向54に)突出するように配設されたウェブ18を備えている。
【0070】
ウェブ18は、図1から図3及び図6から図7に示すように、その軸方向又は幅方向54に両凹形のカーブ/両凹形状を備え、その(“内”向きの)丸み/湾曲がそれぞれボール10のボール断面形状(“円/円弧”)に合わされており、それによりウェブ18は、これらウェブ18がスナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24にボールポケット8を画成することによって(協働して)ボールポケット8を形成している。
【0071】
形成されるボールポケット8の(軸方向54における)幅64は、それぞれボール10のボール径12よりもわずかに大きい。
【0072】
図1から図7も示すように、保持器部品4,6は、軸方向54に円筒外面26,28を備えている。この第一の実施形態又はこの保持器デザインは、好ましくは、回転数に起因して単列ラジアル深溝ボールベアリング40に発生する遠心力によってカロット・ノーズ部が外側に曲がらないような単列ラジアル深溝ボールベアリング40に使用することができる。
【0073】
これまでの通常のスナップ形保持器又は通常の保持器の、ボールポケットを形成するウェブを備えた保持器部品とは異なり、或いはそれとは変わって、この例では、つまり、本例のスナップ形保持器2又は本例の保持器半体4,6では、特に図1から図5に明らかなように、周方向24に隣接するウェブ18二つずつの間の-スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24における-間隔20が、ボールポケット8に対して設けられるボール10のボール径12の2倍と、周方向24におけるそのウェブ18又はそのようなウェブ18の幅22一つ分との合計に相当する。公差及び/又はボールポケットすきまがあれば、それは(合計する際に)付け加わるか又は合せて考慮することができる。
【0074】
これにより、つまり、保持器半体4,6の(における)それらウェブ18における(の間の)そのような間隔20の場合には、-スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24において-周方向24に隣接する保持器半体4,6のどの二つのウェブ18の間にも(その他の通常のものとは異なり)二つのボールポケット8を形成することができ、従って二つのボール10を収容することができる。
【0075】
周方向24に隣接する二つのウェブ18の間のこの“間隔”20は、次のようにして測れる。すなわち、この間隔は、特に図1から図5に明らかなように、アキシアル(軸方向)54、つまり、スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の(幅方向54でもある)軸方向54におけるボールポケット8の延在範囲、のボールポケット8の中心58において、並びに、ラジアル(径方向)56、つまり、ラジアル(径方向)56にスナップ形保持器2の中心点M62に向かう或いは中心点M62から遠ざかるウェブ18の延在範囲、のウェブ18の平均的な高さ位置60において、測定することができ、そしてそれは、隣接する二つのウェブ18間にそれらが関わってできる対応する円弧の長さ20(円弧長20)である(特に図1から図5参照)。
【0076】
ウェブ18の“幅”22とは、スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24における-この例であれば、ボールポケット8のアキシアル(軸方向の)中心58での、並びに、一つ又は複数のウェブ18の平均的なラジアル(径方向の)高さ位置60での-その延在範囲22、分かり易い見方をすれば(円弧の)長さ22を意味する(特に図1から図5を参照)。
【0077】
分かりやすく簡単に言えば、周方向24に隣接する保持器半体4,6のどの二つのウェブ18も-周方向24に-(予め決まった間隔20によって)(広く)間を空けて或いは互いに離間されて(それぞれの保持器半体4,6の保持器背部14,16に配設されて)いることで、-スナップ形保持器2を組み立てる際に、或いは組み立てた後に、二つの保持器半体4,6が互いに向かい合わせになりながらボール群50にスナップ嵌合するとき(図7参照)-一方の保持器部品4,6の一つのウェブ18が、他方の保持器部品4,6の周方向24に隣接する二つのウェブ18の間(略真中)にアキシアルに(軸方向に)“入り込む”又は位置するに至ると、或いはそのことを通して、保持器半体の二つのウェブの間に(スナップ形保持器2が組み立てられた状態で-図6及び図7を参照)、(二つのボール10を収容するための)二つのボールポケット8を形成することができるようになっている。
【0078】
言い換えると、一方の保持器部品4,6のウェブ18と他方の保持器部品4,6のウェブ18とが、図6及び図7に明らかなように、-スナップ形保持器2が組み立てられた状態で-スナップ形保持器2における個々のボールポケット8を交互に或いはかわるがわる画成する。
【0079】
スナップ形保持器2は、こうして二つの同一の保持器半体4,6を使用でき、これら二つの保持器半体4,6は-スナップ形保持器2を組み立てる際に-互いに向かい合わせた状態でボールベアリング40のボール群50にスナップ嵌めすることができ(”(スナップ式に)ロックする”/“スナップロック”)、それにより-ボールベアリング40におけるスナップ形保持器2又は保持器半体4,6の取り付け後には-スナップ形保持器2の-偶数の-ボールポケット8が出来る。
【0080】
図4及び図5は、スナップ形保持器2の第一の実施形態、すなわち円筒外面26,28を有するスナップ形保持器2における考えられる代替的な二つの(下位の)形態を示す。
【0081】
図4が-スナップ形保持器2の二つの同一の保持器半体4,6の一方の保持器半体4,6について例示的に-示しているように、この第一の(下位の)形態では、周方向に隣接する二つのウェブ18毎の、周方向24における保持器半体4,6の外周32,34側での間隔72は、それら二つのウェブ18の、保持器半体4,6の内周36,38側での間隔74と略同じ大きさに設けられ、つまり、ボールポケット8に対して設けられるボール10のボール径12の2倍と、周方向24におけるそのウェブ18又はそのようなウェブ18の幅22一つ分との合計の間隔20とも同じ大きさに設けられている。
【0082】
図4が-この寸法を-(断面で)明らかにしているように(図4は、ボールポケット8のアキシアル(軸方向の)中心58におけるスナップ形保持器2の半径R68に平行なスナップ形保持器2の(横)断面である。)、ボールポケット8を周方向24に画成するウェブ18の壁部66は、スナップ形保持器2の径方向におけるそれらの(仮想)延長線70が保持器の中心点M62の“手前で”交差するように、スナップ形保持器2の中心点M62に向かう方向に収束するように延在している。
【0083】
これに対して、第二の代替的な(下位の)形態では、図5が-スナップ形保持器2の二つの同一の保持器半体4,6の一方の保持器半体4,6をここでも同様に例示的に-示しているように、周方向24に隣接する二つのウェブ18毎の、周方向24における保持器半体4,6の外周32,34側での間隔72が、-この場合には-それら二つのウェブ18の、保持器半体4,6の内周36,38側での間隔74よりも大きく(ボールポケット8に対して設けられるボール10のボール径12の2倍と、そのウェブ18又はそのようなウェブ18の周方向24における-ボールポケット8のアキシアル(軸方向の)中心58におけるとともに一つ又は複数のウェブ18の平均的なラジアル(径方向の)高さ位置60における-幅22との略合計であるよう設けられた間隔20に関わりなくしかもそれを損なうことなく)設けられている。
【0084】
図5が-この寸法を-(同じく断面で)明らかにしているように(図5は、同じくボールポケット8のアキシアル(軸方向の)中心58におけるスナップ形保持器2の半径R68に平行なスナップ形保持器2の(横)断面である。)、ボールポケット8を周方向24に画成するウェブ18の壁部66は、スナップ形保持器2の径方向におけるそれらの(仮想)延長線70が保持器の中心点M62において交差するように、スナップ形保持器2の中心点M62に向かう方向に収束するように延在している。
【0085】
このように(第二の代替的な(下位の)形態の場合に)内周32,34側又は外周36,38側において間隔寸法が異なる結果、-スナップ形保持器2が組み立てられた状態では-特に、(スナップ形保持器2が組み立てられた状態で)形成されるボールポケット8がスナップ形保持器2の外周32,34側又は内周36,38側においてそれぞれ(周方向24に)異なるボールポケット長さを有することになる(“漏斗形”のボールポケット8)。
【0086】
スナップ形保持器2は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)又はポリイミド(PI)といった高性能プラスチックから製造されている。
【0087】
図8は、-内側軌道輪42並びに外側軌道輪44の間に-組み込まれた、ボール10を所定の位置に保持するスナップ形保持器2を有する単列ラジアル深溝ボールベアリング40を示す。スナップ形保持器2は、内輪案内ボールベアリング保持器2として構成されており、すなわち、スナップ形保持器2の内周36,38、言いかえれば二つの保持器半体4,6の内周36,38が内側軌道輪42の外周76上を滑走する。
【0088】
スナップ形保持器2のそれぞれの保持器半体4,6をこのとき単列ラジアル深溝ボールベアリング40における内側軌道輪42の内輪肩部78の上で別々にガイドできることから、発生する振動を有利に減衰させることができる。
【0089】
単列ラジアル深溝ボールベアリング40の外側軌道輪44及び内側軌道輪42は、例えば、100Cr6(DIN材料番号1.3505)であるおよそ炭素1%とクロム1.5%を含有する鋼等のクロム鋼から製造されているのでもよい。
【0090】
単列ラジアル深溝ボールベアリング40の組み立て100では、先ず初めにボール10を互いに接し合うようにして外側軌道輪44内に入れること102を行なう。
【0091】
次に、内側軌道輪42をまず偏心位置から外側軌道輪44内に挿入し、それから外側軌道輪44の略同心位置へと持っていくこと104を行なう。
【0092】
そうして次には、ボール10を分散配置して、これらのボールが周方向24に互いに略同じ間隔を持つようにすること106が行なわれる。
【0093】
これに続けて、二つの保持器半体4,6を交互に両側46,48から内側軌道輪42と外側起動輪44の間に挿入し、これらの保持器半体を互いに向かい合わせにしてボール群50にスナップ嵌めすること108を行なう。
【実施例2】
【0094】
-円錐外面26,30を有する2部品式ボールベアリング保持器又はスナップ形保持器2(図9から図16
【0095】
図9から図13は、それぞれ、第二の実施形態(“円錐外面26,30”)による2部品式ボールベアリング保持器2又は2部品式スナップ形保持器2(以下、ここでも短く単にスナップ形保持器2)の一方の保持器半体4,6を示す。スナップ形保持器2の二つの保持器半体4,6は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同様に)互いに同一に形成されている(図14及び図15参照)。
【0096】
図9から図13が、二つの(同一の)保持器半体4,6の一方についてそれぞれ-例示的に-示しているように、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)それぞれの保持器半体4,6は、環状の保持器背部14,16を備えるとともに、これに-スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24に略均等に分散配置させた状態で-アキシアル(軸方向)54に(すなわちスナップ形保持器2又は保持器半体4,6の幅方向54に)突出するように配設されたウェブ18を備えている。
【0097】
ウェブ18は、図9から図11及び図14から図15に示すように、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)その軸方向又は幅方向54に両凹形のカーブ/両凹形状を備え、その(“内”向きの)丸み/湾曲がそれぞれボール10のボール断面形状(“円/円弧”)に合わされており、それによりウェブ18は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)これらウェブ18がスナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24にボールポケット8を画成することによって(協働して)ボールポケット8を形成している。
【0098】
形成されるボールポケット8の(軸方向54における)幅64は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)それぞれボール10のボール径12よりもわずかに大きい。
【0099】
図9から図15も示すように、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と違って)保持器部品4,6は、軸方向54に円錐外面26,30を備えている。この第二の実施形態又はこの保持器デザインは、好ましくは、回転数に起因して単列ラジアル深溝ボールベアリング40に発生する遠心力によってカロット・ノーズ部が外側に曲がるような単列ラジアル深溝ボールベアリング40に使用することができ、これにより、このとき外側に湾曲したカロット・ノーズ部が、単列ラジアル深溝ボールベアリング40の外側軌道輪の肩部又は走行軌道に接触することを防ぐことができる。
【0100】
このスナップ形保持器2の保持器部品4,6におけるこの円錐外面26,30のコーヌス角52は、図9から図15、特に図10図11にも明らかなように、本例では、約10°である。
【0101】
これまでの通常のスナップ形保持器又は通常の保持器の、ボールポケットを形成するウェブを備えた保持器部品とは異なり、或いはそれとは変って、ここでもまた、つまり、本例のスナップ形保持器2又は本例の保持器半体4,6では、特に図9から図13に明らかなように、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)周方向24に隣接するウェブ18二つずつの間の-スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24における-間隔20が、ボールポケット8に対して設けられるボール10のボール径12の2倍と、周方向24におけるそのウェブ18又はそのようなウェブ18の幅22一つ分との合計に相当する。公差及び/又はボールポケットすきまがあれば、それは(合計する際に)付け加わるか又は合せて考慮することができる。
【0102】
これにより、つまり、保持器半体4,6の(における)それらウェブ18における(の間の)そのような間隔20の場合には、-スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24において-周方向24に隣接する保持器半体4,6のどの二つのウェブ18の間にも(その他の通常のものとは異なり、また第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)二つのボールポケット8を形成することができ、従って二つのボール10を収容することができる。
【0103】
周方向24に隣接する二つのウェブ18の間のこの“間隔”20は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)次のようにして測れる。すなわち、この間隔は、特に図9から図13に明らかなように、アキシアル(軸方向)54、つまり、スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の(幅方向54でもある)軸方向54におけるボールポケット8の延在範囲、のボールポケット8の中心58において、並びに、ラジアル(径方向)56、つまり、ラジアル(径方向)56にスナップ形保持器2の中心点M62に向かう或いは中心点M62から遠ざかるウェブ18の延在範囲、のウェブ18の平均的な高さ位置60において、測定することができ、そしてそれは、隣接する二つのウェブ18間にそれらが関わってできる対応する円弧の長さ20(円弧長20)である(特に図9から図13参照)。
【0104】
ウェブ18の“幅”22とは、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)スナップ形保持器2又は保持器半体4,6の周方向24における-この例であれば、ボールポケット8のアキシアル(軸方向の)中心58での、並びに、一つ又は複数のウェブ18の平均的なラジアル(径方向の)高さ位置60での-その延在範囲22、分かり易い見方をすれば(円弧の)長さ22を意味する(特に図9から図13を参照)。
【0105】
分かりやすく簡単に言えば、周方向24に隣接する保持器半体4,6のどの二つのウェブ18も-周方向24に-(予め決まった間隔20によって)(広く)間を空けて或いは互いに離間されて(それぞれの保持器半体4,6の保持器背部14,16に配設されて)いることで、-スナップ形保持器2を組み立てる際に、或いは組み立てた後に、二つの保持器半体4,6が互いに向かい合わせになりながらボール群50にスナップ嵌合するとき(図15参照)-一方の保持器部品4,6の一つのウェブ18が、他方の保持器部品4,6の周方向24に隣接する二つのウェブ18の間(略真中)にアキシアルに(軸方向に)“入り込む”又は位置するに至ると、或いはそのことを通して、保持器半体の二つのウェブの間に(スナップ形保持器2が組み立てられた状態で-図14及び図15を参照)、(二つのボール10を収容するための)二つのボールポケット8を形成することができるようになっている。
【0106】
言い換えると、一方の保持器部品4,6のウェブ18と他方の保持器部品4,6のウェブ18が、図14及び図15に明らかなように、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)-スナップ形保持器2が組み立てられた状態で-スナップ形保持器2における個々のボールポケット8を交互に或いはかわるがわる画成している。
【0107】
スナップ形保持器2は、こうして(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)二つの同一の保持器半体4,6を使用でき、これら二つの保持器半体4,6を-スナップ形保持器2を組み立てる際に-互いに向かい合わせた状態でボールベアリング40のボール群50にスナップ嵌めすることができ(”(スナップ式に)ロックする”/“スナップロック”)、それにより-ボールベアリング40におけるスナップ形保持器2又は保持器半体4,6の組み立て後には-スナップ形保持器2の-偶数の-ボールポケット8が出来る。
【0108】
図12及び図13は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)スナップ形保持器2の第二の実施形態、すなわち円錐外面26,30を有するスナップ形保持器2における考えられる代替的な二つの(下位の)形態を示す。
【0109】
図12が、-スナップ形保持器2の二つの同一の保持器半体4,6の一方の保持器半体4,6を例示的に-示しているように、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)この第一の(下位の)形態では、周方向に隣接する二つのウェブ18毎の、周方向24における保持器半体4,6の外周32,34側での間隔72は、それら二つのウェブ18の、保持器半体4,6の内周36,38側での間隔74と略同じ大きさに設けられ、つまり、ボールポケット8に対して設けられるボール10のボール径12の2倍と、周方向24におけるそのウェブ18又はそのようなウェブ18の幅22一つ分との合計である間隔20とも同じ大きさに設けられている。
【0110】
図12が-この寸法を-(断面で)明らかにしているように(図12は、ボールポケット8のアキシアル(軸方向の)中心58におけるスナップ形保持器2の半径R68に平行なスナップ形保持器2の(横)断面である。)、ボールポケット8を周方向24に画成するウェブ18の壁部66は、スナップ形保持器2の径方向におけるそれらの(仮想)延長線70が保持器の中心点M62の“手前で”交差するように、スナップ形保持器2の中心点M62に向かう方向に収束するように延在している。
【0111】
これに対して、第二の代替的な(下位の)形態では、図13が、-スナップ形保持器2の二つの同一の保持器半体4,6の一つ保持器半体4,6をここでもまた同様に例示的に-示しているように、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)周方向24に隣接する二つのウェブ18毎の、周方向24における保持器半体4,6の外周32,34側での間隔72が、-この場合には-それら二つのウェブ18の、保持器半体4,6の内周36,38側での間隔74よりも大きく(ボールポケット8に対して設けられるボール10のボール径12の2倍と、そのウェブ18又はそのようなウェブ18の周方向24における-ボールポケット8のアキシアル(軸方向の)中心58におけるとともに一つ又は複数のウェブ18の平均的なラジアル(径方向の)高さ位置60における-幅22との略合計であるよう設けられた間隔20に関わりなくしかもそれを損なうことなく)設けられている。
【0112】
図13が、-この寸法を-(同じく断面で)明らかにしているように(図13は、同じくボールポケット8のアキシアル(軸方向の)中心58におけるスナップ形保持器2の半径R68に平行なスナップ形保持器2の(横)断面である。)、ボールポケット8を周方向24に画成するウェブ18の壁部66は、スナップ形保持器2の径方向におけるそれらの(仮想)延長線70が保持器の中心点M62において交差するように、スナップ形保持器2の中心点M62に向かう方向に収束するように延在している。
【0113】
このように(第二の代替的な(下位の)形態の場合に)内周32,34側又は外周36,38側において間隔寸法が異なる結果、-スナップ形保持器2が組み立てられた状態では-特に、(スナップ形保持器2が組み立てられた状態で)形成されるボールポケット8がスナップ形保持器2の外周32,34側又は内周36,38側においてそれぞれ(周方向24に)異なるボールポケット長さを有することになる(“漏斗形”のボールポケット8)。
【0114】
スナップ形保持器2は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)又はポリイミド(PI)といった高性能プラスチックから製造されている。
【0115】
図16は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)-内側軌道輪42並びに外側軌道輪44の間に-組み込まれた、ボール10を所定の位置に保持するスナップ形保持器2を有する単列ラジアル深溝ボールベアリング40を示す。スナップ形保持器2は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)内輪案内ボールベアリング保持器2として構成されており、すなわち、スナップ形保持器2の内周36,38、言いかえれば二つの保持器半体4,6の内周36,38が内側軌道輪42の外周76上を滑走する。
【0116】
スナップ形保持器2のそれぞれの保持器半体4,6をこのとき(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)単列ラジアル深溝ボールベアリング40における内側軌道輪42の内輪肩部78の上で別々にガイドできることから、発生する振動を有利に減衰させることができる。
【0117】
単列ラジアル深溝ボールベアリング40の外側軌道輪44及び内側軌道輪42は、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)例えば、100Cr6(DIN材料番号1.3505)であるおよそ炭素1%とクロム1.5%を含有する鋼等のクロム鋼から製造されているのでもよい。
【0118】
単列ラジアル深溝ボールベアリング40の組み立て100では、(第一の実施形態によるスナップ形保持器2と同じか又はそれと同じように)先ず初めにボール10を互いに接し合うようにして外側軌道輪44内に入れること102を行なう。
【0119】
次に、内側軌道輪42をまず偏心位置から外側軌道輪44内に挿入し、それから外側軌道輪44の略同心位置へと持っていくこと104を行なう。
【0120】
そうして次には、ボール10を分散配置して、これらのボールが周方向24に互いに略同じ間隔を持つようにすること106が行なわれる。
【0121】
これに続けて、二つの保持器半体4,6を交互に両側46,48から内側軌道輪42と外側起動輪44の間に挿入し、これらの保持器半体を互いに向かい合わせにしてボール群50にスナップ嵌めすること108を行なう。
【0122】
本発明を好ましい例示的な実施形態によってより詳細に例示および説明したが、本発明は、そのことによって開示された例に限定されているわけではないし、当業者がそこから本発明の範囲を逸脱することなく他の変形例を導き出すことが可能である。
【符号の説明】
【0123】
2 (2部品式)ボールベアリング保持器,(2部品式)スナップ形保持器
4 (第一の)保持器部品,(第一の)保持器半体
6 (第二の)保持器部品,(第二の)保持器半体
8 ボールポケット
10 ボール
12 ボール径
14 第一の保持器部品/保持器半体4の環状体/保持器背部
16 第二の保持器部品/保持器半体6の環状体/保持器背部
18 ウェブ
20 (保持器半体/保持器部品4,6の隣接する二つのウェブ18間の)間隔,円弧長
22 ウェブ18の幅,周方向24における円弧(円弧長)に沿ったウェブ18の延在範囲
24 (2部品式)ボールベアリング保持器2又は(2部品式)スナップ形保持器2又は保持器半体4,6又はボールベアリング40の周方向
26 外面
28 円筒外面
30 円錐外面
32 第一の保持器部品/保持器半体4又は(2部品式)ボールベアリング保持器2又は(2部品式)スナップ形保持器2又はボールベアリング40の外周
34 第二の保持器部品/保持器半体6又は(2部品式)ボールベアリング保持器2又は(2部品式)スナップ形保持器2又はボールベアリング40の外周
36 第一の保持器部品/保持器半体4又は(2部品式)ボールベアリング保持器2又は(2部品式)スナップ形保持器2又はボールベアリング40の内周
38 第二の保持器部品/保持器半体6又は(2部品式)ボールベアリング保持器2又は(2部品式)スナップ形保持器2又はボールベアリング40の内周
40 ボールベアリング,(単列)ラジアル深溝ボールベアリング
42 内側軌道輪(内輪)
44 外側軌道輪(外輪)
46 ボールベアリング40の第一の側
48 ボールベアリング40の第二の側
50 ボール群
52 コーヌス角
54 軸方向,幅方向
56 径方向
58 ボールポケット8のアキシアル中心(軸方向の中心)
60 ウェブ18の平均的なラジアル高さ位置(径方向の高さ位置)
62 (2部品式)ボールベアリング保持器又は(2部品式)スナップ形保持器2又はボールベアリング40の中心点M
64 (軸/幅方向54における)ボールポケット8の幅
66 ボールポケット8の壁部
68 半径R
70 延長線
72 (保持器半体/保持器部品4,6の外周側における保持器半体/保持器部品4,6の隣接する二つのウェブ18間の)間隔,円弧長
74 (保持器半体/保持器部品4,6の内周側における保持器半体/保持器部品4,6の隣接する二つのウェブ18間の)間隔,円弧長
76 内側軌道輪42の外周
78 内側軌道輪42の内輪肩部

100 ボールベアリング40の組立方法
102 ボール10の搬入
104 内側軌道輪42の搬入と中心合わせ
106 ボール10の分散配置
108 二つの保持器部品/保持器半体4,6の交互の挿入とボール群50へのスナップ嵌め
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
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図16