(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】エアロゾル冷却要素を備えるエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 3/17 20200101AFI20231117BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D3/04
(21)【出願番号】P 2020543572
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2019051668
(87)【国際公開番号】W WO2019158334
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-14
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】サントス バレ ミゲル レレノ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518041(JP,A)
【文献】国際公開第2016/162932(WO,A1)
【文献】特表2015-508676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/17
A24D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル冷却要素を備えるエアロゾル発生物品
を製造する方法であって、
ダイを通して材料の押出成形によって直接形成される連続的な押出成形構造を含む押出成形部材を
提供するステップを含み、
前記押出成形部材が長さを有し、前記押出成形部材が、
前記押出成形部材の前記長さと直角を成す断面の外周を画定する外部表面と、
前記押出成形部材の前記長さを通る一つ以上の経路を画定する内部表面とを備え、
前記製造方法は、さらに、
空気による前記エアロゾル冷却要素の熱伝達の特性を改善する亀裂、穴、切れ目、又は突起の形態で、前記内部表面、または前記外部表面、または前記内部表面と前記外部表面の両方が表面の不規則性を備え、前記表面の不規則性
を、前記連続的な押出成形構造を急速に冷却することによって、押出成形の速度を増加させることによって、及び/又は、前記押出成形部材が前記ダイを通過する際に前記押出成形部材への摩擦力を増加させることによって、誘発
するステップとを含む、エアロゾル発生物品
を製造する方法。
【請求項2】
前記一つ以上の経路が、前記外部表面によって画定された断面の面積の50%~90%を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品
を製造する方法。
【請求項3】
前記エアロゾル冷却要素が二つ以上の経路を備える、請求項1~2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品
を製造する方法。
【請求項4】
前記押出成形部材が5~10mmの直径の円形断面を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品
を製造する方法。
【請求項5】
前記押出成形部材が7~28mmの長さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品
を製造する方法。
【請求項6】
前記押出成形部材がポリ乳酸を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品
を製造する方法。
【請求項7】
前記エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生基体およびフィルターをさらに備え、前記エアロゾル冷却要素が前記フィルターと前記エアロゾル発生基体の間に位置付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品
を製造する方法。
【請求項8】
エアロゾル発生物品のエアロゾル冷却要素を製造する方法であって、前記方法が、
材料を提供する工程と、
前記材料をダイを通して押出成形し、内部表面および外部表面を備える連続的な押出成形構造を形成する工程であって、前記内部表面が前記連続的な押出成形構造内の一つ以上の経路を画定し、前記外部表面が前記連続的な押出成形構造の断面の外周を画定する工程と、
空気による前記エアロゾル冷却要素の熱伝達の特性を改善する亀裂、穴、切れ目、又は突起の形態で、前記外部表面、または前記内部表面、または前記外部表面と前記内部表面の両方に表面の不規則性を誘発する工程であって、前記表面の不規則性は、前記連続的な押出成形構造を急速に冷却することによって、押出成形の速度を増加させることによって、及び/又は、前記
材料が前記ダイを通過する際に前記押出成形部材への摩擦力を増加させることによって、誘発される、前記表面の不規則性を誘発する工程と、
前記連続的な押出成形構造を切断して前記エアロゾル冷却要素を形成する工程とを含む、方法。
【請求項9】
前記一つ以上の経路が、前記連続的な押出成形構造の断面の面積の50%~90%である総断面積で形成されるように、前記材料が前記ダイを通して押出成形される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記材料が、二つ以上の経路が形成されるように、前記ダイを通して押出成形される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記連続的な押出成形構造の断面が5~10mmの直径の円形であるように、前記材料が前記ダイを通して押出成形される、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記連続的な押出成形構造が7~28mmの長さに切断される、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記連続的な押出成形構造が切断される前に、前記方法が、
前記連続的な押出成形構造を提供する工程と、
さらなる材料を第二のダイを通して押出成形し、押出成形された外側被覆で前記連続的な押出成形構造を被覆する工程とをさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
エアロゾル発生物品を作成する方法であって、
請求項8~13のいずれか一項に記載の方法によってエアロゾル冷却要素を形成する工程と、
前記エアロゾル冷却要素をエアロゾル発生物品の中に組み込む工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル冷却要素を備えるエアロゾル発生物品と、エアロゾル冷却物品を製造する方法とに関する。特に、本発明は、押出成形されたエアロゾル冷却要素と、エアロゾル冷却要素を押出成形する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で周知である。典型的に、こうした加熱式物品においてエアロゾルは、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に熱源からの熱を伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置していてもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出される空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成する。
【0003】
エアロゾル発生物品は、ロッドの形態に組み立てられた複数の要素を備えてもよい。これらの要素は、エアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体から下流に位置するエアロゾル冷却要素とを含んでもよい。
【0004】
エアロゾル冷却要素は、エアロゾルが移動する経路を備えてもよく、その目的は、エアロゾルの適切な温度を維持することである。
【0005】
エアロゾル冷却要素の製造は、原材料を箔またはウェブに形成する工程を含みうる。次に箔またはウェブは捲縮されうる。「捲縮した」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波型を有するシートを意味する。捲縮した箔は次に、漏斗を通して圧縮されることによって折り畳まれて、最終管状ロッドの直径と類似しているか、それより小さい直径を有する連続的なロッドを提供することができる。その後、連続的なロッドは包装紙で包まれてもよい。連続的なロッドの周りで閉じられるように、包装紙の一つの縁に接着剤を塗布しうる。次に、包装された連続的ロッドは、塗布された接着剤を乾燥または硬化するために加熱されている間に、最終的な望ましい形状に圧縮されうる。次に、包装された連続的ロッドは、より小さい長さの個別ロッドに切断されて、最終的なエアロゾル発生物品で使用する冷却要素構成要素を作成しうる。こうした要素は、折り畳まれて捲縮したシートからの高い内部表面積を有する。
【0006】
上述の通りのエアロゾル冷却要素を備えるエアロゾル発生物品の製造は、使用される材料の圧縮に対する機械的な抵抗が高いことがよくあるため、製造中および完成したエアロゾル発生物品において、幾つかの問題を呈する可能性がある。これは、エアロゾル冷却要素の一貫したプロファイルを達成することを困難にする場合がある。さらに、一部のプロセスにおいて、接着剤は、包装紙をロッドの周りに適切に閉じた状態に保持できない場合がある。別の問題は、経時的な包装紙の膨張のため、直径制御ができない場合があることである。またさらなる問題は、こうしたエアロゾル冷却要素の製造に使用される箔またはウェブの変動のため、重量制御ができない場合があることである。
【0007】
従って、上記の問題を軽減するエアロゾル冷却要素の製造方法を提供することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様によると、エアロゾル冷却要素を備えるエアロゾル発生物品が提供されていて、エアロゾル冷却要素は押出成形部材を備え、押出成形部材は長さを有し、押出成形部材は押出成形部材の長さと直角を成す断面の外周を画定する外部表面と、押出成形部材の長さを通る一つ以上の経路を画定する内部表面とを備え、内部表面、または外部表面、または内部表面と外部表面の両方は表面の不規則性を備える。
【0009】
本発明の別の態様によると、エアロゾル発生物品のエアロゾル冷却要素を製造する方法が提供されていて、方法は、材料を提供する工程と、ダイを通して材料を押出成形し、材料の内部表面および外部表面を備える連続的な押出成形構造を形成する工程であって、内部表面が連続的な押出成形構造内に一つ以上の経路を画定し、外部表面が連続する押出成形構造の断面の外周を画定する工程と、外部表面、または内部表面、または外部表面と内部表面の両方に表面の不規則性を誘発する工程と、連続的な押出成形構造を切断してエアロゾル冷却要素を形成する工程とを含む。
【0010】
本発明の別の態様によると、本発明の前述の態様によるエアロゾル冷却要素を形成する工程と、エアロゾル冷却要素をエアロゾル発生物品の中に組み込む工程とを含む、エアロゾル発生物品を作成する方法が提供されている。
【0011】
さらなる態様において、本明細書に記載の通り、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル冷却要素が提供されている。
【0012】
さらなる態様において、エアロゾル発生物品における、本明細書に記載の通りのエアロゾル冷却要素の使用が提供されている。
【0013】
押出成形プロセスによる連続的な押出成形構造としてエアロゾル冷却要素を形成することによって、先行技術のプロセスの圧縮工程および包装工程を回避することが可能である。本開示の実施形態の押出成形されたエアロゾル冷却要素は、紙またはその他の包装を必要とせずに、その形状を保持することができ、これは接着剤の不具合に関連する問題を回避するのに役立つ。さらに、押出成形プロセスは、明確で一貫した断面またはプロファイルを有するエアロゾル冷却要素、ならびに要素の長さに沿って実質的に一貫した重量分布をもたらしうる。本開示の実施形態は圧縮シートを含まないため、エアロゾル冷却要素を膨張させうる内部応力が回避される。押出成形はまた、エアロゾル冷却要素のために実質的に一定で制御可能な外径を提供し、接着剤を必要としない。さらに、本開示の実施形態は、エアロゾル冷却要素を形成するための一段階のプロセスを提供し、単一の材料のみを必要とするため、製造の容易さと経済性が改善される。
【0014】
好ましい特徴または態様についての以下の任意の言及は、本発明のすべての態様に適用可能であると見なされるべきである。
【0015】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル形成基体を含む、エアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品を指しうる。エアロゾル発生物品という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために加熱されることが意図されている物品を包含し、随意にエアロゾル発生物品という用語はまた、燃焼されて揮発性化合物を放出することが意図される物品を包含しうる。
【0016】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する基体を指しうる。本明細書に記載のエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、またベイパー(蒸気)(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態にある物質の微粒子)ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。
【0017】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが移動される方向に対する、エアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明しうる。
【0018】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形、または楕円形の断面の概して円筒状の要素を意味するために使用される。
【0019】
本明細書で使用される「押出成形された」という用語は、加熱プロセスによって材料を少なくとも部分的に溶融し、次に少なくとも部分的に溶融された材料をダイを通して押出成形して押出成形部材を形成することによって形成された部材を指しうる。押出成形部材は、長軸方向の条線および/または部材の長軸方向の範囲に沿った実質的に一定の断面などの特徴によって、非押出成形部材と区別されうる。
【0020】
本明細書で使用される「エアロゾル冷却要素」という用語は、大きい表面積および低い引き出し抵抗を有する要素を説明するために使用される。使用時に、エアロゾル発生基体から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生物品の口側端に移動される前にエアロゾル冷却要素を通して引き出される。引き出し抵抗の高いフィルター(例えば、繊維の束から形成されたフィルター)およびその他のマウスピースセグメントとは対照的に、エアロゾル冷却要素は低い引き出し抵抗を有する。膨張室や支持要素などのエアロゾル発生物品内のチャンバーおよびくぼみはまた、エアロゾル冷却要素であるとは見なされない。しかしながら、一部のエアロゾル冷却要素は随意に、濾過機能を果たすことができる、および/またはフィルターと呼ばれる場合もある。
【0021】
本明細書で使用される「外部表面」という用語は、押出成形部材の外側の露出した表面、例えば押出成形部材の外周によって画定された表面を指しうる。
【0022】
本明細書で使用される「内部表面」という用語は、押出成形部材の一方の端から別の端までその長さに沿って通る経路の一つ以上の壁を画定する押出部材の内表面を指しうる。
【0023】
本明細書で使用される「経路」という用語は、押出成形部材がエアロゾル冷却要素として構成されている時に、エアロゾル発生基体からマウスピースまでその長さに沿って押出成形部材を通るエアロゾルの通過を可能にする押出成形部材の内部容積を通る経路またはトンネルを指しうる。
【0024】
本明細書で使用される「長さ」という用語は、押出部材の第一の端から第二の端までの長軸方向の距離を指してもよく、この長軸方向に沿って押出部材の断面は実質的に一定である。
【0025】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【0026】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、「備える」および「含む」およびそれらの変形は、「含むが、それに限定されない」を意味し、その他の部分、添加物、構成要素、整数または工程を除外することを意図しない(および除外しない)ことを意味する。本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、単数形は複数形を包含するが、そうでないことを文脈が要求する場合はその限りではない。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、複数ならびに単数を企図するとして理解されるべきであるが、そうでないことを文脈が要求する場合はその限りではない。
【0027】
エアロゾル冷却要素は、エアロゾル要素を通る一つ以上の経路を備えうる。一部の実施形態において、一つ以上の経路は、外部表面によって画定された断面の面積の50%~90%、または随意に60%~80%、または随意に65%~75%を含みうる。これは、測定顕微鏡を使用してエアロゾル冷却要素の断面を調べることによって定量化されうる。経路は、要素の断面の画像に閾値を適用して、経路を要素内部構造から分離することによって識別されうる。次に経路ピクセルを計数して、経路の総断面積を決定しうる。一部の実施形態において、エアロゾル冷却要素は二つ以上の経路を備えうる。エアロゾル冷却要素が二つ以上の経路を備える実施形態において、外部表面によって画定された断面の面積の面積%は、経路によって占められる断面の累積面積である。
【0028】
押出成形部材は、5~10mm、随意に6~9mm、または随意に7~8mmの直径の円形断面を有してもよい。
【0029】
押出成形部材は7~28mm、または随意に10~25mm、または随意に13~22mm、随意に16~19mmの長さを有してもよい。
【0030】
押出成形部材は、高分子材料を含んでもよく、または高分子材料から形成されてもよい。高分子材料は、熱可塑性高分子、生体高分子、生分解性高分子のうちの一つ以上であってもよい。適切な生分解性高分子は、デンプン、脂肪族高分子、セルロースポリマーのうちの一つ以上を含みうる。高分子材料は半晶質であってもよい。高分子はラクチドモノマーまたは共重合体を含んでもよく、特定の実施形態においてポリ乳酸を含んでもよい。
【0031】
内部表面、または外部表面、または内部表面と外部表面の両方は、表面の不規則性を備える。こうした表面の不規則性は、空気での熱伝達を増大させるために望ましい場合がある。例えば、冷却された物質と接触させることによって押出成形後に押出成形材料を冷却することは、押出成形材料に熱応力を誘発しうる。これらの熱応力は外部表面の亀裂の形成につながる場合があり、これは押出成形部材がエアロゾル冷却要素として使用されている時に、表面積を増大させ、従って空気での熱伝達を増大させうる。
【0032】
材料の冷却は、外部表面および/または内部表面に表面の不規則性を誘発するために急速に冷却することを含みうる。
【0033】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体およびフィルターをさらに備えてもよく、エアロゾル冷却要素はフィルターとエアロゾル発生基体の間に位置付けられてもよい。
【0034】
連続的な押出成形構造が切断される前に、方法は、連続的な押出成形構造を提供する工程と、第二のダイを通してさらなる材料を押出成形して、押出成形された外側被覆で連続的な押出成形構造を被覆する工程とをさらに含みうる。
【0035】
材料にダイを通過させること、および/または材料に第二のダイを通過させることは、外部表面および/または内部表面に不規則性を誘発することを含みうる。
【0036】
押出成形速度の変更は、外部表面の直径を制御するために使用されうる。より速い押出成形速度は、より薄い外部表面直径をもたらしうる一方、より遅い押出成形速度は、より厚い外部表面直径をもたらしうる。例えば直径チェックシステムによって、外部表面直径が薄すぎると判断された場合、信号が装置制御システムに送信されて、押出成形速度を低下させうる。別の方法として、例えば直径チェックシステムによって、外部表面直径が厚すぎると判断された場合、信号が装置制御システムに送信されて、押出成形速度を増加させうる。
【0037】
本発明のエアロゾル発生物品は、別個の加熱装置で使用するために構成されてもよい。こうした加熱装置は、エアロゾル形成基体と相互作用して、エアロゾルを発生することができる。本発明のエアロゾル発生物品はそれ自体、熱源と、熱源から物品のエアロゾル形成基体に熱を伝達するための少なくとも一つの熱伝導性要素とを備えうる。
【0038】
一部の実施形態において、エアロゾル発生物品は、喫煙物品(フィルター付き紙巻たばこ、または他の喫煙物品など)であってもよく、その中でエアロゾル発生基体は、燃焼されて煙を形成するたばこ材料を含む。従って、上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、エアロゾル発生基体は、たばこロッドを備えてもよい。さらに、上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、マウスピースはフィルターであってもよい。こうした実施形態において、フィルターはチッピングペーパーによってたばこロッドに固定されてもよい。
【0039】
マウスピースは、マウスピースセグメントの上流に配置された一つ以上のセグメントを備えうる。一つ以上のセグメントは、支持要素、エアロゾル冷却要素、およびフィルターセグメントのうちの一つ以上を含みうる。
【0040】
支持要素はエアロゾル形成基体のすぐ下流に位置することができ、またエアロゾル形成基体に隣接することができる。支持要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。例えば、支持要素は、セルロースアセテート、ボール紙、捲縮した紙(捲縮した耐熱紙または捲縮した硫酸紙など)、および高分子材料(低密度ポリエチレン(LDPE)など)から成る群から選択される一つ以上の材料から形成されてもよい。好ましい実施形態において、支持要素はセルロースアセテートから形成されている。支持要素は中空の管状要素を備えてもよい。好ましい実施形態において、支持要素は中空のセルロースアセテートチューブを備える。支持要素はエアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有することが好ましい。支持要素は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルの外径、例えばおよそ5ミリメートル~およそ10ミリメートルの外径、またはおよそ6ミリメートル~およそ8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい実施形態において、支持要素は7.2ミリメートル±10パーセントの外径を有する。支持要素は、およそ5ミリメートル~およそ15ミリメートルの間の長さを有してもよい。好ましい実施形態において、支持要素は、およそ8ミリメートルの長さを有する。
【0041】
エアロゾル冷却要素はエアロゾル形成基体の下流に位置することができ、例えばエアロゾル冷却要素は支持要素のすぐ下流に位置すること、および支持要素と隣接することができる。
【0042】
エアロゾル冷却要素は、大きい表面積を有してもよいが、その長さにわたって低い圧力降下を有する。フィルターおよびその他のマウスピースは、比較的より高い圧力降下を生じさせる場合があり(例えば繊維の束で形成されたフィルター)、エアロゾル冷却要素とは見なされない。
【0043】
当然のことながら、本発明の一態様に関して上述した好ましい特徴は、本発明の他の態様にも適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0045】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による押出成形部材を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による押出成形部材を備えるエアロゾル発生物品の概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態によるエアロゾル冷却要素の製造のための装置の概略図を示す。
【
図4】
図4は、プラスチック押出成形機の概略図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生物品のエアロゾル冷却要素を製造する方法の流れ図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態によるエアロゾル冷却要素の製造に使用するダイの断面図を示す。
【
図7】
図7は、チャンバー内の軸AA’に沿って切断された、
図6のダイの図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による、押出成形された外側被覆で連続的な押出成形構造を被覆するための、さらなる材料の押出成形のための装置の概略図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態による、押出成形された外側被覆で連続的な押出成形構造を被覆するための、さらなる材料の押出成形の方法の流れ図を示す。
【0046】
本発明は、エアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体から形成されたエアロゾルを冷却するためのエアロゾル冷却要素とを備えるエアロゾル発生物品に関する。たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で周知である。エアロゾル発生物品を使用するシステムの例としては、たばこ含有基体を摂氏200度より高い温度に加熱してニコチン含有エアロゾルを生成するシステムが挙げられる。
【0047】
本発明の一実施形態において、エアロゾル発生物品はエアロゾル冷却要素を備え、エアロゾル冷却要素は押出成形部材を備える。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態による押出成形部材100を備えるエアロゾル冷却要素を示す。押出成形部材100は、長さ108を有し、押出成形部材100の長さ108と直角を成す断面の外周を画定する外部表面104を備える。押出成形部材100の長さ108を通して一つ以上の経路110を画定する内部表面102が示されている。
【0049】
一部の実施形態において、一つ以上の経路110は、外部表面104によって画定された断面の面積の50%~90%を含む。押出成形部材100は、二つ以上の経路110を備える。この特定の実施形態において、7つの経路が示されている。
【0050】
一部の実施形態において、押出成形部材100は、5~10mmの直径106の円形断面を有する。
【0051】
一部の実施形態において、押出成形部材100は、7~28mmの長さ108を有する。
【0052】
一部の実施形態において、押出成形部材100はポリ乳酸(PLA)を含むか、またはポリ乳酸(PLA)から作られている。
【0053】
一部の実施形態において、押出成形部材100の内部面102および/または外部表面104は、表面の不規則性(
図1に図示せず)を備える。表面の不規則性は、押出成形部材100の外部表面104または内部表面102上の任意の滑らかでない特徴(例えば、亀裂、穴、切れ目、突起など)であってもよい。
【0054】
図2は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生物品200の断面図を示す。エアロゾル発生物品200は、エアロゾル発生基体202と、エアロゾル冷却要素204と、フィルター210とを備える。
図2に示す通り、エアロゾル冷却要素204は、フィルター210とエアロゾル発生基体202の間に位置付けられている。エアロゾル冷却要素204は、二つ以上の経路110を含む、
図1に示す通りの押出成形部材100を備えうる。
【0055】
一部の実施形態において、フィルター210は、セルロースアセテートから形成された従来のマウスピースフィルターであり、約45ミリメートルの長さを有しうる。
【0056】
エアロゾル冷却要素204は、熱伝達によってエアロゾル冷却要素を通して引き出されたエアロゾルの流れの温度を冷却するように作用してもよい。エアロゾルの成分は、エアロゾル冷却要素204と相互作用し、かつ熱エネルギーを失いうる。
【0057】
エアロゾル冷却要素204は、エアロゾルの流れからの熱エネルギーを消費する相変態を受けることによって要素を通して引き出されたエアロゾルの流れの温度を冷却するように作用する場合がある。例えば、エアロゾル冷却要素を形成する材料は、熱エネルギーの吸収を必要とする溶融またはガラス転移などの相変態を受ける場合がある。エアロゾルがエアロゾル冷却要素204に入る温度で吸熱反応を受けるように要素204が選択される場合には、反応はエアロゾルの流れからの熱エネルギーを消費することになる。
【0058】
一部の実施形態において、エアロゾルの流れの温度は、エアロゾルの流れがエアロゾル冷却要素204を通して引き出されるにつれて、摂氏10度を超える温度だけ下げられてもよい。一部の実施形態において、エアロゾルの流れの温度は、エアロゾルの流れがエアロゾル冷却要素204を通して引き出されるにつれて、摂氏15度を超える、または摂氏20度を超える温度だけ下げられてもよい。エアロゾルがエアロゾル冷却要素204に入る時、その温度は摂氏約60度である。エアロゾル冷却要素204内での冷却のため、エアロゾルがエアロゾル冷却要素を出る時のその温度は摂氏約40度でありうる。さらに、エアロゾルの含水量は低下しうる。
【0059】
たばこ由来の基体を加熱することによって形成されたエアロゾルは典型的に、フェノール化合物を含む。本明細書で考察した実施形態と一致するエアロゾル冷却要素204を使用することは、フェノールおよびクレゾールのレベルを90%~95%減少させうる。一部の実施形態において、フェノール化合物は、エアロゾル冷却要素204を形成する材料との相互作用によって除去されてもよい。フェノール化合物(例えばフェノールおよびクレゾール)は、エアロゾル冷却要素204を形成している材料によって吸着されうる。
【0060】
図3は、本発明の一実施形態によるエアロゾル冷却要素100、204の製造のための装置300の概略図を示す。製造装置300は、ダイ316を通して少なくとも部分的に溶融された高分子を押出成形するためのプラスチック押出成形機400と、高分子がその押出成形された形状を保持し、望ましくない方法で変形しないように、押出成形された高分子を冷却するための冷却ユニット308と、押出成形された少なくも部分的に溶融された高分子をダイ316およびカッター310から離して、押出成形された高分子を望ましい長さの個別の押出成形部材に切断するためのプラーシステム312とを備える。プラスチック押出成形機400は連続的な押出成形構造306を製造し、これは冷却ユニット308、プラーシステム312およびカッター310によってさらに処理される。
【0061】
図4は、例示的なプラスチック押出成形機400の概略図である。プラスチック押出成形機400は、高分子原材料420のチップを保持するためのホッパー402と、原材料420のチップを押出成形機400のシャフト401の中に供給するための供給口404と、モーター416と、スラスト軸受408と、歯車減速機406によってモーター416によって駆動されるスクリュー412であって、前記スクリュー412がシャフト401に沿って押出成形ダイ316に向かって高分子原材料420を駆動するスクリューと、温度を測定するための熱電対410と、少なくとも部分的に高分子原材料420を溶融するための発熱体414と、バレル418とを備える。
【0062】
図5は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生物品のエアロゾル冷却要素100、204を製造する方法500を示すフローチャートである。
図5の方法500において、押出成形部材100の内部表面102および外部表面104は、
図3および
図4の装置300を使用して同時に押出成形することによって形成されている。
図5の方法500を参照すると、原材料420(例えば、PLAのチップ)がホッパー402に加えられていて502、これは原材料420をプラスチック押出成形機400のバレル418に移動させる504。原材料420は、発熱体414によって溶融材料へと徐々に溶融される506。スクリュー412は、バレル418の端に連結されたダイ316の中に溶融材料を押し込む508。連続的な押出成形構造306の形態で、矢印314によって示される通りの方向にダイ316から出る押出成形材料は、冷却ユニット308によって冷却される510。冷却された連続的な押出成形構造306は次に、プラーシステム312によって引き出される512。連続的な押出成形構造306は次に、エアロゾル発生物品(例えば、
図2のエアロゾル発生物品200)で使用するエアロゾル冷却要素204として使用される押出成形部材100を製造するために切断機械310によって切断される514。
【0063】
図6は、本発明の一実施形態による連続的な押出成形構造306の製造で使用するダイ600の前面(出口表面)の断面図を示す。ダイは、メス部品602、オス部品604、およびその間にくぼみ606を含む。
【0064】
図7は、チャンバー706内の線AA’に沿って切り取られたダイ600の図を示す。矢印710は、チャンバー706内の溶融材料の流れの方向を示す。矢印708は、押出成形機400から出る押出成形の流れの方向を示す。
図7で分かる通り、ダイのオス部品604の前部端712は形のある構造を含み、ダイのオス部分604の後部端714は中実の構成である。
【0065】
図6および
図7は、押出形成プロセスで使用して内部表面102および外部表面104を同時に形成することができるダイ600の一例を示す。この実施例において、ダイ600のオス部品604は、一つの中央カラムおよび6つの取り囲むカラムを含む。ダイ600のメス部品602は、オス部品604を囲む環状部である。有利なことに、
図6および
図7のダイ600などの構成のダイは、中央の空の管状経路の周りに、周辺の空の管状経路110を有する押出成形部材を製造する。
【0066】
その他の実施例において、完成した押出成形部材内の経路のさまざまな異なるサイズおよび形状につながるダイが使用されうる。例えば、オス部品604は、押出成形部材100内の異なる断面形状の経路につながる異なる断面形状を有してもよい。例示的な断面には、五角柱、六角柱または八角柱、同心円環形状などの任意の多面体を含みうる。特定の実施例において、実質的に星形の断面を有するオス部品は、実質的に星形の断面を有する経路をもたらすであろう。これは、押出成形部材内の空の内部経路の表面積を増大させる効果があるであろう。内部経路の表面積のこの増大は、内部経路を通して引き出されるエアロゾルの温度を低減する際のロッドの有効性を増大させる効果を有する。
【0067】
本発明の一部の実施例において、連続的な押出成形構造306が押出成形部材100に切断される前に、さらなる材料は、連続的な押出成形構造306の周りに押し出されて、押出成形された外側被覆で連続的な押出成形構造を被覆する。
【0068】
図8は、本発明の一実施形態による、押出成形された外側被覆で連続的な押出成形構造306を被覆するための、さらなる材料の押出成形のための装置の概略図を示す。
【0069】
装置800は、第二の押出成形機802、第二のダイ814、直径チェックシステム808および冷却領域810を含む。連続的な押出成形構造306は、開口部812を通して装置800の中に供給されうる。
【0070】
図9は、本発明の一実施形態による、押出成形された外側被覆で連続的な押出成形構造を被覆するための、さらなる材料の押出成形の方法の流れ図を示す。
【0071】
図9に関して、連続的な押出成形構造306は、開口部812を通して装置800の中に連続的に供給される902。原材料(例えば、PLAペレット)は、第二の押出成形機802に加えられる904。原材料は、第二の押出成形機802の中の第二のヒーターによって融解される906。溶融材料は、第二の金型814の中に押し出されて908、第二の押出成形材料806の円錐を作り出す。次に、第二の押出成形材料806は、開口部812を通して供給される際、連続的な押出成形構造306の上に配置され、押出成形された外側被覆で連続的な押出成形構造306を被覆する910。被覆の直径は、この段階で直径チェックシステム808によってチェックされてもよい912。その後、被覆された連続的な押出成形構造306は、冷却領域810内で冷却される914。被覆された連続的な押出成形構造306が冷却領域810に達する頃には、被覆の直径は実質的に一定である。冷却領域810にて、被覆された連続的な押出成形構造306は、冷却材料に浸漬される、またはその他の方法で曝露される。冷却材料は液体または気体物質であってもよく、適切な冷却のために押出成形プロセスで使用される材料の性質に従って適合させることができる。最後に、冷却された被覆された連続的な押出成形構造306は、エアロゾル発生物品で使用されるためにエアロゾル冷却要素204に切断される916。
【0072】
押出成形材料の直径は、第二の押出成形機802による押出成形の速度に比例する。溶融材料が押出成形機スクリューによって第二のダイ814に押し込まれるのがより速いほど、被覆の直径はより大きい。被覆の直径はまた、被覆された連続的な押出成形構造306がプラーシステムから引き出される速度に比例する。被覆された連続的な押出成形構造306がプラーシステムから引き出されるのがより速いほど、被覆の直径はより小さい。被覆の直径に影響を与える別の要因は、冷却ユニット810が第二の押出成形機802の流出開口部から離れている距離である。被覆の直径は、流出開口部からの距離の増大とともに減少しうる。これらの技法は、エアロゾル冷却要素204の被覆の望ましい直径を達成するために、単一または組み合わせで使用されうる。
【0073】
一部の実施例において、装置(300、800)は一つ以上の制御システムを備える。これらの制御システムは、様々なパラメータを監視する能力を有しうる。制御システムは、製造の終了時に、製造のサンプルに、および/または製造中に位置しうる。例えば、直径チェックシステム808は、少なくとも一つの直径測定システムのうちの一つであってもよく、オンラインシステムであってもよい。オンラインチェックシステムは、制御システムに読み取り値を送信し、制御システムは読取り値に従って、押出成形材料の直径が所定の直径サイズ許容範囲内にとどまるように、上記の直径に影響を与える技法のパラメータを調整することができる。さらに、直径チェックシステム808は、間違った直径を有する押出成形部材で製造されたと直径チェックシステム808が判断した押出成形部材を却下するために、下流アクチュエータに警告信号を送信するように構成されてもよい。
【0074】
本発明の装置300および装置800をそれぞれに伴う方法500および方法900に記載の押出成形を使用することは、機械的に安定していて、一貫したプロファイルを有するエアロゾル冷却要素204の製造を可能にする。押出成形中に作成された押出成形プロファイルは、箔圧縮方法によって作成されたプロファイルよりも変動が少ない。
【0075】
方法500および方法900に由来するエアロゾル冷却要素204は、連続的なシリンダーが押出成形によって直接形成されるので、接着段階がないというさらなる利点を有する。接着段階の必要性を無くすことは、エアロゾル冷却要素204の直径が包装材料の膨張によって経時的に増大するにつれて、弱い縫目での開口および直径制御の失敗などの関連する問題を無くす。本発明の方法によって作り出されたエアロゾル冷却要素204の直径は、押出成形材料が冷却されると、比較的一定している。
【0076】
さらに、本発明の方法は、押出成形部材100の厚さを設定することを可能にする。これは、押出成形部材100の重量制御の失敗がほとんどまたは全くなくなることにつながりうる。
【0077】
図10は、一実施形態によるダイの断面図を示す。
図10のダイ1000は、ダイ1000のメス部品1002の最も内側の部分と、矢印1008によって図示された流入押出成形材料の流れの方向との間の角度1004が減少しているという点で、
図6および
図7のダイ600とは異なる。角度1004の減少は、ダイ1000を通して押し出される際に、押出成形材料への摩擦力を増加させうる。これは結果として、表面の不規則性を増大させる効果を有しうる。表面の不規則性は、押出成形部材の外部表面または内部表面上の任意の滑らかでない特徴(例えば、亀裂、穴、切れ目、突起など)である。これらの表面の不規則性は、空気でのエアロゾル冷却要素の熱伝達の特性を改善しうる。これは、エアロゾル冷却要素を備えるエアロゾル発生物品の中のエアロゾルのより低い温度を達成できるので有利である。
【0078】
その他の技法を用いて表面の不規則性を増大させることができる。一つの例示的な技法は、例えば非常に冷たい流体に浸漬して押出成形材料の内部と外部の間の温度勾配を生成することによって、押出成形材料を急速に冷却することである。この温度勾配は、押出成形材料に応力を引き起こし、表面亀裂の外観をもたらしうる。その他の例示的な技法としては、押出成形速度の増加、チャンバー内部の摩擦の増加、およびダイとの摩擦の増加が挙げられる。これらはすべて、周囲の空気でのエアロゾル冷却要素の熱伝達を増大させうる表面の不規則性につながりうる。
【0079】
上述の本発明のさらなる利点には、必要な材料の量の低減と、製造の全体的なコストの低減とが含まれうる。箔圧縮プロセスなどの非押出成形エアロゾル冷却要素製造技法と比較して、最終製品重量が低下するため、必要とする材料は低減されうる。ペレットなどの原材料から直接押出成形されるため、全体的なコストは低減されうる。これは、ペレットを箔に変換してから、それをロッドの形状にする必要のある箔圧縮プロセスとは異なる。